ワイヤーハーネスの剛性推定方法

【課題】剛性測定の手間やコストを削減し、ハーネスの形状や取り付け反力を簡単で効率良く予測できるワイヤーハーネスの剛性推定方法を提供する。
【解決手段】ワイヤーハーネスを構成する各単線の曲げ剛性理論値を求め、各単線の曲げ半径と曲げ剛性間の関係を示す既に測定済みの単線の曲げ剛性測定データを入力し、この理論値と曲げ剛性測定データとの関係から単線の曲げ剛性推定用パラメータを求め、各単線を束ねたワイヤーハーネスの曲げ半径と曲げ剛性間の関係を示す既に測定済みの曲げ剛性測定データを入力し、この理論値、各単線の曲げ剛性推定用パラメータ、曲げ剛性測定データとの関係から曲げ剛性推定用パラメータを求め、曲げ剛性の理論値、単線の曲げ剛性推定用パラメータ、ワイヤーハーネスの曲げ剛性推定用パラメータを用いて特定の曲げ曲げ半径におけるワイヤーハーネスの曲げ剛性を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,特に自動車に配索するのに適したワイヤーハーネスの剛性推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用ワイヤーハーネスは自動車の様々な部位に配索されるようになっており、その一例として、ドアアウタパネルとドアインナパネルとからなり閉断面を形成するリアドアパネルのドアインナパネルに開断面の凹部を形成し、この凹部にワイヤーハーネスを配策する構造(例えば、特許文献1参照)や、リアドアの内部空間にワイヤーハーネスを配策する構造(例えば、特許文献2参照)が知られている。また、ドアに限らず車体のフロアパネルやエンジンルーム内、トランクルーム内、ルーフパネルとルーフライニングとの間等様々な場所に様々な種類の自動車用ワイヤーハーネスが配索されている。
【0003】
そして、自動車用ワイヤーハーネスの曲げ剛性や捻り剛性などの機械的特性は、取り付け場所によって長さや本数、線種等が大きく異なり、テープやチューブといった外装材の有無によっても大きく異なる。そのため、組み付け作業性まで考慮したワイヤーハーネス設計においては、ワイヤーハーネスの各部位での曲げ剛性値や捻り剛性値を事前に予測したり算出したりしておくとともに、組み付け時のハーネス形状や取り付け時の反力値等を事前に予測したり算出したりしておくことが重要である。しかしながら、上述したようにワイヤーハーネス自体に多様性があるために個々のワイヤーハーネスの剛性、形状、反力等の推定が難しく、それらを効率良く体系的に評価する方法を確立することが望まれている。
【特許文献1】実開昭61−090616号公報(5−6頁、第2図)
【特許文献2】特開2002−096697号公報(3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のワイヤーハーネスの剛性算出方法は、以下の式(A)(B)に示す単線の理論値に単線の本数とそれに伴う図8のプロットに示す実測データに基づいて決定された補正係数を掛けただけのものであり、その評価式を実際のワイヤーハーネス形状に適用しても、算出された形状や取り付け反力は実際と比べ大きく異なってしまうことが多く、剛性の推定精度が良くなかった。
【0005】
EI=αNEI・・・(式A)
GJ=αNGJ・・・(式B)
この原因と考えられるものとして、実測データの不足による補正係数の精度不良や、断面変形に起因する剛性値の変化つまり曲げ半径や捻り角依存性が挙げられる。
【0006】
すなわち、従来のワイヤーハーネスの剛性算出方法では、単線に対する理論式から単線を束ねたワイヤーハーネスの剛性値を推定し、比例定数のみを付加した推定式を用いているに過ぎず、外装材が剛性に及ぼす影響も比例定数を付加する形で考慮しているに過ぎなかった。そして、曲げ半径や捻り角依存性については考慮されていなかった。このように、曲げ半径や捻り角依存性が考慮されていないため、取り付け形状や反力等が現実的な(実際の)値と大きく異なる場合があり、計算精度に問題が生じていた。
【0007】
しかしながら、多様性に富んだワイヤーハーネスの組み合わせに対し、全ての場合において実測データを集めることは時間やコストの面から効率的でない。そのため、ある程度の実測データは必要であるものの、曲げ半径や捻り角を考慮したワイヤーハーネスの曲げ剛性の特性及び捻り剛性の特性をある程度の精度で簡易に推定できる方式が望まれていた。
【0008】
本発明の目的は、剛性測定の手間やコストを削減し、また、算出されるハーネスの形状や取り付け反力をこれまでより簡単で効率良く予測することのできるワイヤーハーネスの剛性推定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するために、本発明の請求項1に記載のワイヤーハーネスの剛性推定方法は、
ワイヤーハーネスを構成する各単線に含まれる素線や被覆の寸法及び物性値から単線の曲げ剛性の理論値をコンピュータの演算手段に計算させる第1のステップと、
前記各単線の曲げ半径と曲げ剛性間の関係を示す既に測定済みの単線の曲げ剛性測定データをコンピュータの記憶手段に記憶させる第2のステップと、
前記第1のステップにおける単線の曲げ剛性の理論値と前記第2のステップにおける単線の曲げ剛性測定データとの関係からコンピュータの演算手段によってフィッティングを行い、単線の曲げ剛性に関する推定式に用いる単線の曲げ剛性推定用パラメータを求める第3のステップと、
前記各単線を束ねたワイヤーハーネスの曲げ半径と曲げ剛性間の関係を示す既に測定済みのワイヤーハーネスの曲げ剛性測定データをコンピュータの記憶手段に記憶させる第4のステップと、
前記第1のステップで求めた各単線の曲げ剛性の理論値と、前記第3のステップで求めた各単線の曲げ剛性推定用パラメータと、前記第4のステップにおけるワイヤーハーネスの曲げ剛性の測定データとの関係からコンピュータの演算手段によってフィッティングを行い、ワイヤーハーネスの曲げ剛性に関する推定式に用いるワイヤーハーネスの曲げ剛性推定用パラメータを求める第5のステップと、
前記第1のステップにおける単線の曲げ剛性の理論値、第3のステップにおける単線の曲げ剛性推定用パラメータ、第5のステップにおけるワイヤーハーネスの曲げ剛性推定用パラメータを用いて外装材のないワイヤーハーネスの曲げ半径から曲げ剛性を推定するワイヤーハーネスの曲げ剛性推定式をコンピュータの演算手段に作成させる第6のステップと、
前記第6のステップによって得られた外装材のないワイヤーハーネスの曲げ剛性推定式から特定の曲げ半径における外装材のないワイヤーハーネスの曲げ剛性を推定する第7のステップからなることを特徴としている。
【0010】
このようなワイヤーハーネスの剛性推定方法により、様々な組み合わせからなる外装材のない新しいワイヤーハーネスに対しても過去に算出した各曲げ剛性(推定)値を利用することができ、ある程度の精度を有した曲げ剛性の推定が可能になる。
【0011】
また、請求項2に記載のワイヤーハーネスの剛性推定方法は、請求項1に記載のワイヤーハーネスの剛性推定方法において、
前記ワイヤーハーネスを構成する複数の単線がN本の同種の単線からなり、単線の曲げ剛性理論値EI、曲げ半径R、曲げ半径Rの際の曲げ剛性測定値EI(R)とすると、
EI(R)=EI(aR1/2+b)・・・(式1)
により、第3のステップにおいて単線の曲げ剛性推定用パラメータa,bを求め、
EI(R)=βNEI(aR1/2+bc)・・・(式2)
により第5のステップにおいて外装材のないワイヤーハーネスの曲げ剛性推定用パラメータβ,cを求め、
前記曲げ剛性推定用パラメータa,b,β,cを用いて、(式2)から外装材のないワイヤーハーネスの曲げ半径Rにおける曲げ剛性を推定することを特徴としている。
【0012】
ワイヤーハーネスの剛性推定方法をこのように具体的に行うことにより、様々な組み合わせからなる外装材のない新しいワイヤーハーネスに対しても過去に算出した各曲げ剛性(推定)値を利用することができ、ある程度の精度を有した曲げ剛性の推定が可能になる。
【0013】
また、請求項3に記載のワイヤーハーネスの剛性推定方法は、請求項1に記載のワイヤーハーネスの剛性推定方法において、
前記第1乃至第5のステップに加えて、第4のステップにおける各単線を束ねたワイヤーハーネスに外装材を更に備えた外装材付きワイヤーハーネスの曲げ半径と曲げ剛性間の関係を示す既に測定済みの外装材付きワイヤーハーネスの曲げ剛性測定データをコンピュータの記憶手段に記憶させる第6のステップと、
前記第1のステップで求めた各単線の曲げ剛性の理論値と、前記第3のステップで求めた単線の曲げ剛性推定用パラメータと、前記第5のステップで求めたワイヤーハーネスの曲げ剛性推定用パラメータと、前記第6のステップにおける外装材付きワイヤーハーネスの曲げ剛性測定データとの関係からコンピュータの演算手段によってフィッティングを行い、外装材付きワイヤーハーネスの曲げ剛性に関する推定式に用いる外装材の曲げ剛性推定値を求める第7のステップと、
前記第1のステップにおける単線の曲げ剛性の理論値、第3のステップにおける単線の曲げ剛性推定用パラメータ、第5のステップにおけるワイヤーハーネスの曲げ剛性推定用パラメータ、第7のステップにおける外装材の曲げ剛性推定値を用いて外装材付きワイヤーハーネスの曲げ半径から曲げ剛性を推定する外装材付きワイヤーハーネスの曲げ剛性推定式をコンピュータの演算手段に作成させる第8のステップと、
前記第8のステップによって得られた外装材付きワイヤーハーネスの曲げ剛性推定式から特定の曲げ半径Rにおける外装材付きワイヤーハーネスの曲げ剛性を推定する第9のステップからなることを特徴としている。
【0014】
このようなワイヤーハーネスの剛性推定方法により、様々な組み合わせからなる外装材付きの新しいワイヤーハーネスに対しても過去に算出した各曲げ剛性(推定)値を利用することができ、ある程度の精度を有した曲げ剛性の推定が可能になる。
【0015】
また、請求項4に記載のワイヤーハーネスの剛性推定方法は、請求項3に記載のワイヤーハーネスの剛性推定方法において、
前記ワイヤーハーネスを構成する複数の単線がN本の同種の単線からなり、単線の曲げ剛性理論値EI、曲げ半径R、曲げ半径Rにおける曲げ剛性測定値EI(R)、外装材付きワイヤーハーネスの外装材のみの曲げ剛性合計推定値をΣEIとすると、
EI(R)=EI(aR1/2+b)・・・(式1)
により、第3のステップにおいて単線の曲げ剛性推定用パラメータa,bを求め、
EI(R)=βNEI(aR1/2+bc)・・・(式2)
により第5のステップにおいて外装材のないワイヤーハーネスの曲げ剛性推定用パラメータβ,cを求め、
EI(R)=(βNEI+ΣEI)(aR1/2+bc)・・・(式3)
により第7のステップにおいて外装材の曲げ剛性合計推定値ΣEIを求め、
これらの曲げ剛性推定用パラメータa,b,β,c,及び外装材の曲げ剛性合計推定値ΣEIを用いて、(式3)から外装材付きワイヤーハーネスの曲げ半径Rにおける曲げ剛性を推定することを特徴としている。
【0016】
ワイヤーハーネスの剛性推定方法をこのように具体的に行うことにより、様々な組み合わせからなる外装材付きの新しいワイヤーハーネスに対しても過去に算出した各曲げ剛性(推定)値を利用することができ、ある程度の精度を有した曲げ剛性の推定が可能になる。
【0017】
また、請求項5に記載のワイヤーハーネスの剛性推定方法は、
ワイヤーハーネスを構成する各単線に含まれる素線や被覆の寸法及び物性値から単線の捻り剛性の理論値をコンピュータの演算手段に計算させる第1のステップと、
前記各単線を束ねたワイヤーハーネスの単位捻れ角と捻り剛性間の関係を示すワイヤーハーネスの捻り剛性測定データをコンピュータの記憶手段に記憶させる第2のステップと、
前記第1のステップにおける捻り剛性の理論値と前記第2のステップにおけるワイヤーハーネスの捻り剛性測定データとの関係からコンピュータの演算手段によってフィッティングを行い、ワイヤーハーネスの捻り剛性に関する推定式に用いるワイヤーハーネスの捻り剛性推定用パラメータを求める第3のステップと、
前記第1のステップにおける単線の捻り剛性の理論値、第3のステップにおけるワイヤーハーネスの捻り剛性推定用パラメータを用いて、外装材のないワイヤーハーネスの捻り剛性の捻り角度から捻り剛性を推定する外装材のないワイヤーハーネスの捻り剛性推定式をコンピュータの演算手段に作成させる第4のステップと、
前記第4のステップによって得られた外装材のないワイヤーハーネスの捻り剛性推定式を用いて特定の捻り角度における外装材のないワイヤーハーネスの捻り剛性を推定する第5のステップからなることを特徴としている。
【0018】
このようなワイヤーハーネスの剛性推定方法により、様々な組み合わせからなる外装材のない新しいワイヤーハーネスに対しても過去に算出した各捻り剛性(推定)値を利用することができ、ある程度の精度を有した捻り剛性の推定が可能になる。
【0019】
また、請求項6に記載のワイヤーハーネスの剛性推定方法は、請求項5に記載のワイヤーハーネスの剛性推定方法において、
前記ワイヤーハーネスを構成する複数の単線がN本の同種の単線からなり、単線の捻り剛性理論値GJ、捻り角θ、捻り角θにおける捻り剛性測定値GJ(θ)とすると、
GJ(θ)=αNGJ(1+a’/θ+b’+c’θ)・・・(式4)
により、第3のステップにおいて外装材のないワイヤーハーネスの捻り剛性推定用パラメータα,a’,b’,c’を求め、
前記捻り剛性理論値GJ及び捻り剛性推定用パラメータα,a’,b’,c’を用いて、(式4)から外装材のないワイヤーハーネスの捻り角θにおける捻り剛性を推定することを特徴としている。
【0020】
ワイヤーハーネスの剛性推定方法をこのように具体的に行うことにより、様々な組み合わせからなる外装材のない新しいワイヤーハーネスに対しても過去に算出した各捻り剛性(推定)値を利用することができ、ある程度の精度を有した捻り剛性の推定が可能になる。
【0021】
また、請求項7に記載のワイヤーハーネスの剛性推定方法は、請求項5に記載のワイヤーハーネスの剛性推定方法において、
前記第1のステップ及び第2のステップに加えて、外装材の単位捻れ角と捻り剛性間の関係を示す外装材の捻り剛性測定データをコンピュータの記憶手段に記憶させる第3のステップと、
前記第3のステップにおける外装材の捻り剛性測定データの関係からコンピュータの演算手段によってフィッティングを行い、外装材の捻り剛性推定用パラメータ及び捻り剛性合計推定値を求める第4のステップと、
前記第1のステップにおける捻り剛性の理論値、前記第2のステップにおける外装材のないワイヤーハーネスの捻り剛性推定用パラメータ、前記第4のステップにおける外装材の捻り剛性推定用パラメータ及び捻り剛性合計推定値によって外装材付きワイヤーハーネスの捻り剛性推定式をコンピュータの演算手段に作成させる第5のステップと、
前記第5のステップによって得られた外装材付きのワイヤーハーネスの捻り剛性推定式を用いて特定の捻り角度における外装材付きワイヤーハーネスの捻り剛性を推定する第6のステップからなることを特徴としている。
【0022】
このようなワイヤーハーネスの剛性推定方法により、様々な組み合わせからなる外装材付きの新しいワイヤーハーネスに対しても過去に算出した各捻り剛性(推定)値を利用することができ、ある程度の精度を有した捻り剛性の推定が可能になる。
【0023】
また、請求項8に記載のワイヤーハーネスの剛性推定方法は、請求項7に記載のワイヤーハーネスの剛性推定方法において、
前記ワイヤーハーネスを構成する複数の単線がN本の同種の単線からなり、単線の捻り剛性理論値GJ、捻り角θ、捻り角θの際の捻り剛性測定値GJ(R)、とすると、
GJ(θ)=αNGJ(1+a’/θ+b’+c’θ)・・・(式5)
により、第3のステップにおいて外装材のないワイヤーハーネスの捻り剛性推定用パラメータα,a’,b’,c’を求め、
外装材の捻り剛性推定用パラメータβ’,d’、外装材の捻り剛性推定値をGJとすると、
GJ=β’(1+d’/θ)・・・(式6)
により、第4のステップにおいて外装材の捻り剛性推定用パラメータβ’,d’、外装材の捻り剛性推定値GJを求め、
前記捻り剛性理論値GJ、及び捻り剛性推定用パラメータα,a’,b’,c’,β’,d’、並びに外装材の捻り剛性合計推定値ΣGJから、
GJ(θ)=(αNGJ+ΣGJ)(1+a’/θ+b’+c’θ)・・・(式7)
により、外装材付きワイヤーハーネスの捻り角θにおける捻り剛性を推定することを特徴としている。
【0024】
ワイヤーハーネスの剛性推定方法をこのように具体的に行うことにより、様々な組み合わせからなる外装材付きの新しいワイヤーハーネスに対しても過去に算出した各捻り剛性(推定)値を利用することができ、ある程度の精度を有した捻り剛性の推定が可能になる。
【0025】
また、請求項9に記載のワイヤーハーネスの剛性推定方法は、請求項1乃至請求項8の何れかに記載のワイヤーハーネスの剛性推定方法において、
前記各フィッティングパラメータや外装材の剛性推定値を求める際に最小二乗法を用いることを特徴としている。
【0026】
最小二乗法を用いることで、簡易で正確なワイヤーハーネスの剛性推定方法を実現する。
【0027】
また、請求項10に記載のワイヤーハーネスの剛性推定装置は、
前記請求項1乃至請求項9の何れかに記載のワイヤーハーネスの剛性推定方法を実行することを特徴としている。
【0028】
また、請求項11に記載のコンピュータ記録媒体は、
前記請求項1乃至請求項9の何れかに記載のワイヤーハーネスの剛性推定方法をコンピュータに実行させることを特徴としている。
【0029】
また、請求項12に記載のコンピュータソフトウエアは、
前記請求項1乃至請求項9の何れかに記載のワイヤーハーネスの剛性推定方法をコンピュータに実行させることを特徴としている。
【0030】
また、請求項13に記載のワイヤーハーネスの製造方法は、
前記請求項1乃至請求項9の何れかに記載のワイヤーハーネスの剛性推定方法を用いて剛性を推定しながら実際のワイヤーハーネス配索経路に適したワイヤーハーネスを個別に製造することを特徴としている。
【発明の効果】
【0031】
本発明によると、剛性測定の手間やコストを削減し、また、算出されるハーネスの形状や取り付け反力をこれまでより簡易に効率良く予測することの可能なワイヤーハーネスの剛性推定方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
(1−1)第1の実施形態:外装材のないワイヤーハーネスの曲げ剛性推定方法
以下、本発明の第1の実施形態にかかるワイヤーハーネスの剛性推定方法について説明する。本発明の第1の実施形態にかかるワイヤーハーネスの剛性推定方法は、外装材のないワイヤーハーネスの曲げ剛性を推定する方法であり、以下の記載及び図1に示すように、ステップ1からステップ6の手順から成り立っている。
【0033】
まず、第1のステップにおいて、ワイヤーハーネスを構成する各単線に含まれる素線や被覆の寸法及び物性値から単線の曲げ剛性の理論値EI0をコンピュータの演算手段に計算させる。
【0034】
次いで、第2のステップにおいて、各単線の曲げ半径R、曲げ半径Rの際の曲げ剛性測定値EI0(R)間の関係を示す既に測定済みの単線の曲げ剛性測定データをコンピュータの記憶手段に記憶させる。図5は、このようにして記憶された実測値(プロット)を示している。
【0035】
次いで、第3のステップにおいて、第1のステップにおける単線の曲げ剛性の理論値EI0と第2のステップにおける単線の曲げ剛性測定データとの関係からコンピュータの演算手段によってフィッティングを行い、単線の曲げ剛性に関する推定式に用いる単線の曲げ剛性推定用パラメータを求める。
【0036】
具体的には、ワイヤーハーネスを構成する複数の単線がN本の同種の単線からなり、単線の曲げ剛性理論値EI、曲げ半径R、曲げ半径Rの際の曲げ剛性測定値EI(R)とすると、
EI(R)=EI(aR1/2+b)・・・(式1)
により、この第3のステップにおいて単線の曲げ剛性推定用パラメータa,bを求める。なお、各曲げ剛性推定用パラメータa,bを求める際に例えば最小二乗法を用いて求めるのが良いが、必ずしもこの方法に限定されるものではない。以下、各曲げ剛性推定パラメータ(フィッティングパラメータ)を求める際も同様とする。図5は、各曲げ剛性推定用パラメータを式(1)に代入して得られたフィッティング曲線を示している。
【0037】
次いで、第4のステップにおいて、各単線を束ねたワイヤーハーネスの曲げ半径と曲げ剛性間の関係を示す既に測定済みのワイヤーハーネスの曲げ剛性測定データをコンピュータの記憶手段に記憶させる。図6は、このようにして記憶された実測値(プロット)を示している。
【0038】
次いで、第5のステップにおいて、第1のステップで求めた各単線の曲げ剛性の理論値と、第3のステップで求めた各単線の曲げ剛性推定用パラメータと、第4のステップにおけるワイヤーハーネスの曲げ剛性の測定データとの関係からコンピュータの演算手段によってフィッティングを行い、ワイヤーハーネスの曲げ剛性に関する推定式に用いるワイヤーハーネスの曲げ剛性推定用パラメータを求める。
【0039】
具体的には、
EI(R)=βNEI(aR1/2+bc)・・・(式2)
によりこの第5のステップにおいて外装材のないワイヤーハーネスの曲げ剛性推定用パラメータβ,cを求める。
【0040】
次いで、第6のステップにおいて、第1のステップにおける単線の曲げ剛性の理論値、第3のステップにおける単線の曲げ剛性推定用パラメータ、第5のステップにおけるワイヤーハーネスの曲げ剛性推定用パラメータを用いて外装材のないワイヤーハーネスの曲げ半径から曲げ剛性を推定するワイヤーハーネスの曲げ剛性推定式をコンピュータの演算手段に作成させる。図6は、各剛性推定値用パラメータを式(2)に代入して得られたフィッティング曲線を示している。
【0041】
具体的には、これらの曲げ剛性推定用パラメータa,b,β,cを(式2)に代入し、外装材のないワイヤーハーネスの曲げ半径から曲げ剛性を推定するワイヤーハーネスの曲げ剛性推定式を得る。
【0042】
次いで、第7のステップにおいて、外装材のないワイヤーハーネスの半径Rにおける曲げ剛性を推定する。

(1−2)第1の実施形態の変形例:外装材付きワイヤーハーネスの曲げ剛性推定方法
次いで、上述した第1の実施形態の変形例にかかるワイヤーハーネスの剛性推定方法について説明する。上述した第1の実施形態の変形例にかかるワイヤーハーネスの剛性推定方法は、テープやコルゲートチューブといった外装材(以下、単に「外装材」とする)の付いたワイヤーハーネスの曲げ剛性を推定する方法であり、以下の記載及び図2に示すようにステップ1からステップ8の手順から成り立っている。
【0043】
まず、第1のステップにおいて、ワイヤーハーネスを構成する各単線に含まれる素線や被覆の寸法及び物性値から単線の曲げ剛性の理論値EI0をコンピュータの演算手段に計算させる。
【0044】
次いで、第2のステップにおいて、各単線の曲げ半径R、曲げ半径Rの際の曲げ剛性測定値EI(R)間の関係を示す既に測定済みの単線の曲げ剛性測定データをコンピュータの記憶手段に記憶させる。図5は、このようにして記憶された実測値(プロット)を示している。
【0045】
次いで、第3のステップにおいて、第1のステップにおける単線の曲げ剛性の理論値EIと第2のステップにおける単線の曲げ剛性測定データとの関係からコンピュータの演算手段によってフィッティングを行い、単線の曲げ剛性に関する推定式に用いる単線の曲げ剛性推定用パラメータを求める。
【0046】
具体的には、ワイヤーハーネスを構成する複数の単線がN本の同種の単線からなり、単線の曲げ剛性理論値EI、曲げ半径R、曲げ半径Rの際の曲げ剛性測定値EI(R)とすると、
EI(R)=EI(aR1/2+b)・・・(式1)
により、この第3のステップにおいて単線の曲げ剛性推定用パラメータa,bを求める。なお、各曲げ剛性推定用パラメータa,bを求める際に例えば最小二乗法を用いて求めるのが良いか、必ずしもこの方法に限定されるものではない。以下、各曲げ剛性推定パラメータ(フィッティングパラメータ)、及び外装材の曲げ剛性推定値を求める際も同様とする。図5は、各曲げ剛性推定用パラメータを式(1)に代入して得られたフィッティング曲線を示している。
【0047】
次いで、第4のステップにおいて、各単線を束ねたワイヤーハーネスの曲げ半径と曲げ剛性間の関係を示す既に測定済みのワイヤーハーネスの曲げ剛性測定データをコンピュータの記憶手段に記憶させる。図6は、このようにして記憶された実測値(プロット)を示している。
【0048】
次いで、第5のステップにおいて、第1のステップで求めた各単線の曲げ剛性の理論値と、第3のステップで求めた各単線の曲げ剛性推定用パラメータと、前記第4のステップにおけるワイヤーハーネスの曲げ剛性の測定データとの関係からコンピュータの演算手段によってフィッティングを行い、ワイヤーハーネスの曲げ剛性に関する推定式に用いるワイヤーハーネスの曲げ剛性推定用パラメータを求める。
【0049】
具体的には、
EI(R)=βNEI(aR1/2+bc)・・・(式2)
によりこの第5のステップにおいて外装材のないワイヤーハーネスの曲げ剛性推定用パラメータβ,cを求める。図6は、各剛性推定値用パラメータを式(2)に代入して得られたフィッティング曲線を示している。
【0050】
次いで、第6のステップにおいて、第4のステップにおける各単線を束ねたワイヤーハーネスに外装材を更に備えた外装材付きワイヤーハーネスの曲げ半径と曲げ剛性間の関係を示す既に測定済みの外装材付きワイヤーハーネスの曲げ剛性測定データをコンピュータの記憶手段に記憶させる。
【0051】
次いで、第7のステップにおいて、第1のステップで求めた各単線の曲げ剛性の理論値と、第3のステップで求めた単線の曲げ剛性推定用パラメータと、第5のステップで求めたワイヤーハーネスの曲げ剛性推定用パラメータと、第6のステップにおける外装材付きワイヤーハーネスの曲げ剛性測定データとの関係からコンピュータの演算手段によってフィッティングを行い、外装材付きワイヤーハーネスの曲げ剛性に関する推定式に用いる外装材の曲げ剛性推定値を求める。
【0052】
具体的には、
EI(R)=(βNEI+ΣEI)(aR1/2+bc)・・・(式3)
によりこのステップにおいて外装材の曲げ剛性合計推定値ΣEIを求め、
これらの曲げ剛性推定用パラメータa,b,β,c,及び外装材の曲げ剛性合計推定値ΣEIを求める。
【0053】
次いで、第8のステップにおいて、第1のステップにおける単線の曲げ剛性の理論値、第3のステップにおける単線の曲げ剛性推定用パラメータ、第5のステップにおけるワイヤーハーネスの曲げ剛性推定用パラメータ、第7のステップにおける外装材の曲げ剛性合計推定値を用いて外装材付きワイヤーハーネスの曲げ半径から曲げ剛性を推定する外装材付きワイヤーハーネスの曲げ剛性推定式をコンピュータの演算手段に作成させる。
【0054】
具体的には、曲げ剛性推定用パラメータa,b,β,c,及び外装材の曲げ剛性合計推定値ΣEIを用いて、(式3)から外装材付きワイヤーハーネスの曲げ半径Rにおける曲げ剛性推定式を得る。
【0055】
次いで、第9のステップにおいて、第8のステップによって得られた外装材付きワイヤーハーネスの曲げ剛性推定式から特定の曲げ半径Rにおける外装材付きワイヤーハーネスの曲げ剛性を推定する。

(2−1)第2の実施形態:外装材のないワイヤーハーネスの捻り剛性推定方法
次いで、本発明の第2の実施形態にかかるワイヤーハーネスの剛性推定方法について説明する。本発明の第2の実施形態にかかるワイヤーハーネスの剛性推定方法は、外装材のないワイヤーハーネスの捻り剛性を推定する方法であり、以下のステップ1からステップ4の手順から成り立っている。
【0056】
まず、第1のステップにおいて、ワイヤーハーネスを構成する各単線に含まれる素線や被覆の寸法及び物性値から単線の捻り剛性の理論値GJをコンピュータの演算手段に計算させる。
【0057】
次いで、第2のステップにおいて、各単線を束ねたワイヤーハーネスの単位捻れ角θと捻り剛性GJ(θ)間の関係を示すワイヤーハーネスの捻り剛性測定データをコンピュータの記憶手段に記憶させる。図6は、このようにして記憶されたねじり剛性推定データをプロットで示している。
【0058】
次いで、第3のステップにおいて、第1のステップにおける捻り剛性の理論値GJと第2のステップにおけるワイヤーハーネスの捻り剛性測定データとの関係からコンピュータの演算手段によってフィッティングを行い、ワイヤーハーネスの捻り剛性に関する推定式に用いるワイヤーハーネスの捻り剛性推定用パラメータを求める。
【0059】
具体的には、ワイヤーハーネスを構成する複数の単線がN本の同種の単線からなり、単線の捻り剛性理論値GJ、捻り角θ、捻り角θにおける捻り剛性測定値GJ(θ)とすると、
GJ(θ)=αNGJ(1+a’/θ+b’+c’θ)・・・(式4)
により、第3のステップにおいて外装材のないワイヤーハーネスの捻り剛性推定用パラメータα,a’,b’,c’を求める。なお、各捻り剛性推定用パラメータa,bを求める際に例えば最小二乗法を用いて求めるのが良いが、必ずしもこの方法に限定されるものではない。以下、各捻り剛性推定パラメータ(フィッティングパラメータ)を求める際も同様とする。
【0060】
次いで、第4のステップにおいて、第1のステップにおける単線の捻り剛性の理論値、第3のステップにおけるワイヤーハーネスの捻り剛性推定用パラメータを用いて、外装材のないワイヤーハーネスの捻り剛性の捻り角度から捻り剛性を推定する外装材のないワイヤーハーネスの捻り剛性推定式をコンピュータの演算手段に作成させる。図6は、このようにして得られた捻り剛性推定式をフィッティング曲線で示している。
【0061】
具体的には、単線の捻り剛性の理論値GJ、及び捻り剛性推定用パラメータα,a’,b’,c’を用いて、(式4)から外装材のないワイヤーハーネスの捻り角θにおける捻り剛性推定式を得る。
【0062】
次いで、第5のステップにおいて、第4のステップによって得られた外装材のないワイヤーハーネスの捻り剛性推定式を用いて特定の捻り角度における外装材のないワイヤーハーネスの捻り剛性を推定する。

(2−2)第2の実施形態の変形例:外装材付きワイヤーハーネスの捻り剛性推定方法
次いで、上述した第2の実施形態の変形例にかかるワイヤーハーネスの剛性推定方法について説明する。上述した第2の実施形態の変形例にかかるワイヤーハーネスの剛性推定方法は、外装材付きのワイヤーハーネスの捻り剛性を推定する方法であり、以下のステップ1からステップ8の手順から成り立っている。
【0063】
まず、第1のステップにおいて、ワイヤーハーネスを構成する各単線に含まれる素線や被覆の寸法及び物性値から単線の捻り剛性の理論値GJをコンピュータの演算手段に計算させる。
【0064】
次いで、第2のステップにおいて、各単線を束ねたワイヤーハーネスの単位捻れ角θと捻り剛性GJ(θ)間の関係を示すワイヤーハーネスの捻り剛性測定データをコンピュータの記憶手段に記憶させる。図6は、このようにして記憶されたねじり剛性推定データをプロットで示している。
【0065】
次いで、第3のステップにおいて、外装材の単位捻れ角θと捻り剛性GJ間の関係を示す外装材の捻り剛性測定データをコンピュータの記憶手段に記憶させる。
【0066】
次いで、第4のステップにおいて、第3のステップにおける外装材の捻り剛性測定データの関係からコンピュータの演算手段によってフィッティングを行い、外装材の捻り剛性推定用パラメータ及び捻り剛性合計推定値ΣGJを求める。
【0067】
具体的には、ワイヤーハーネスを構成する複数の単線がN本の同種の単線からなり、単線の捻り剛性理論値GJ、捻り角θ、捻り角θの際の捻り剛性測定値GJ(θ)、とすると、
GJ(θ)=αNGJ(1+a’/θ+b’+c’θ)・・・(式5)
により、第3のステップにおいて外装材のないワイヤーハーネスの捻り剛性推定用パラメータα,a’,b’,c’を求め、
外装材の捻り剛性推定用パラメータβ’,d’、外装材の捻り剛性推定値をGJとすると、
GJ=β’(1+d’/θ)・・・(式6)
により、第4のステップにおいて外装材の捻り剛性推定用パラメータβ’,d’、外装材の捻り剛性推定値GJを求める。
【0068】
次いで、第5のステップにおいて、第1のステップにおける捻り剛性の理論値、第2のステップにおける外装材のないワイヤーハーネスの捻り剛性推定用パラメータ、第4のステップにおける外装材の捻り剛性合計推定値によって外装材付きワイヤーハーネスの捻り剛性推定式をコンピュータの演算手段によって作成させる。
【0069】
具体的には、捻り剛性の理論値GJ、及び捻り剛性推定用パラメータα,a’,b’,c’,β’,d’、並びに捻り剛性合計推定値ΣGJから、
GJ(θ)=(αNGJ+ΣGJ)(1+a’/θ+b’+c’θ)・・・(式7)
により、外装材付きワイヤーハーネスの捻り角θにおける捻り剛性推定式を作成する。
【0070】
次いで、第6のステップにおいて、第5のステップによって得られた外装材付きのワイヤーハーネスの捻り剛性推定式を用いて特定の捻り角度における外装材付きワイヤーハーネスの捻り剛性を推定する。
【0071】
以上説明したように、本発明によってテープやコルゲートチューブといった外装材を含めた単一線種複数本からなる自動車用ワイヤーハーネスの曲げ剛性及び捻り剛性の推定評価式を作成できた。
【0072】
推定式は、各種ハーネス線材と外装材の剛性値の和で表わされており、更にハーネスの曲げ剛性や捻り剛性に対し、それぞれ「曲げ半径」、「捻り角度」依存性を含めた形となっている。ハーネス線材の剛性と外装材の剛性が分離した形になっているため、数種の外装材や線材が組み合わさったハーネスに対してもそれぞれの剛性成分の組み合わせることで剛性の推定が容易になることが期待できる。
【0073】
また、この推定式は、これまでの剛性実測データに基づいてできるだけ簡易に剛性を推定する方法を確立することを目指したものであり、ハーネス線材の剛性値は主に理論式を用い、それらにフィッティングパラメータ(比例係数、展開係数)を付加することで実測との一致を図っている。単線の曲げ剛性値や捻り剛性値にフィッティングパラメータを付加し、それらのパラメータ値を剛性測定結果へのフィッティング結果から決定している。また、テープやコルゲートチューブなど各種外装材の剛性への寄与もフィッティングパラメータとして推定式に含めている。
【0074】
このようにハーネス全体の推定剛性式をハーネスの線材剛性部と外装材剛性部の和として表しているために、それぞれの剛性への寄与を分離して考えることが可能となっている。それによって、様々な組み合わせからなる新しいハーネスに対しても過去に算出した各剛性(推定)値を利用することができ、ある程度の精度をもって剛性推定が容易に行えるようになった。
【0075】
すなわち、外装材の組み合わせに応じて各ハーネス線材の物性値による材料力学的理論式からだけでなく、剛性の測定結果(曲げ半径・捻り角依存性等)を考慮することでより実際に近い剛性値の推定が可能となった。
【0076】
以上から明らかなように、これまでは多種多様な組み合わせからなるハーネスの剛性値を求める(推定する)のが困難であったためにハーネスの取り付け時の形状や取り付け反力を予測することが難しく、その精度も悪かった。しかしながら、本発明の方法を用いることで、ある程度それらの予測が可能となり、その精度も向上した。また、形状や反力(応力)の推定精度が向上することによってハーネス設計や疲労特性の解析にも繋がると期待できる。
【0077】
すなわち、本発明により、剛性測定の手間やコストを削減し、また、算出されるハーネス形状や取り付け反力をこれまでより簡易に効率よく予測することができるようになった。そして、ワイヤーハーネスの取り付け場所毎の形状や反力値等が簡易に且つ精度良く推定できるようになり、結果的に、ハーネスの疲労特性解析にも利用でき、ワイヤーハーネス疲労の事前予測にも役立つと考えられる。
【0078】
なお、上述の各剛性推定方法は、当該方法を実行する演算手段やメモリを有したワイヤーハーネスの剛性推定装置によって実施しても良く、このようなワイヤーハーネスの剛性推定方法をコンピュータに実行させるコンピュータ記録媒体を用いてコンピュータに実施させても良く、このようなワイヤーハーネスの剛性推定方法をコンピュータに実行させるダウンロード可能なコンピュータソフトウエアを用いてコンピュータに実施させても良い。
【0079】
また、以上説明したワイヤーハーネスの剛性推定方法を用いて剛性を推定しながら実際のワイヤーハーネス配索経路に適したワイヤーハーネスを個別に製造することにより、所望の曲げ剛性や捻り剛性を有する機械的特性に優れた高品質のワイヤーハーネスを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるワイヤーハーネスの剛性推定方法を説明するフローチャートである。
【図2】第1の実施形態の変形例にかかるワイヤーハーネスの剛性推定方法を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態にかかるワイヤーハーネスの剛性推定方法を説明するフローチャートである。
【図4】第2の実施形態の変形例にかかるワイヤーハーネスの剛性推定方法を説明するフローチャートである。
【図5】第1の実施形態及びその変形例において、単線の曲げ剛性と曲げ半径(曲率半径)との関係を示す図である。
【図6】第1の実施形態及びその変形例において、複線の曲げ剛性と曲げ半径(曲率半径)との関係を示す図である。
【図7】第2の実施形態及びその変形例において、単線の捻り剛性と単位捻れ角度との関係を示す図である。
【図8】従来のワイヤーハーネスの曲げ剛性推定方法を説明する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーハーネスを構成する各単線に含まれる素線や被覆の寸法及び物性値から単線の曲げ剛性の理論値をコンピュータの演算手段に計算させる第1のステップと、
前記各単線の曲げ半径と曲げ剛性間の関係を示す既に測定済みの単線の曲げ剛性測定データをコンピュータの記憶手段に記憶させる第2のステップと、
前記第1のステップにおける単線の曲げ剛性の理論値と前記第2のステップにおける単線の曲げ剛性測定データとの関係からコンピュータの演算手段によってフィッティングを行い、単線の曲げ剛性に関する推定式に用いる単線の曲げ剛性推定用パラメータを求める第3のステップと、
前記各単線を束ねたワイヤーハーネスの曲げ半径と曲げ剛性間の関係を示す既に測定済みのワイヤーハーネスの曲げ剛性測定データをコンピュータの記憶手段に記憶させる第4のステップと、
前記第1のステップで求めた各単線の曲げ剛性の理論値と、前記第3のステップで求めた各単線の曲げ剛性推定用パラメータと、前記第4のステップにおけるワイヤーハーネスの曲げ剛性の測定データとの関係からコンピュータの演算手段によってフィッティングを行い、ワイヤーハーネスの曲げ剛性に関する推定式に用いるワイヤーハーネスの曲げ剛性推定用パラメータを求める第5のステップと、
前記第1のステップにおける単線の曲げ剛性の理論値、第3のステップにおける単線の曲げ剛性推定用パラメータ、第5のステップにおけるワイヤーハーネスの曲げ剛性推定用パラメータを用いて外装材のないワイヤーハーネスの曲げ半径から曲げ剛性を推定するワイヤーハーネスの曲げ剛性推定式をコンピュータの演算手段に作成させる第6のステップと、
前記第6のステップによって得られた外装材のないワイヤーハーネスの曲げ剛性推定式から特定の曲げ半径における外装材のないワイヤーハーネスの曲げ剛性を推定する第7のステップからなることを特徴とするワイヤーハーネスの剛性推定方法。
【請求項2】
前記ワイヤーハーネスを構成する複数の単線がN本の同種の単線からなり、単線の曲げ剛性理論値EI、曲げ半径R、曲げ半径Rの際の曲げ剛性測定値EI(R)とすると、
EI(R)=EI(aR1/2+b)・・・(式1)
により、第3のステップにおいて単線の曲げ剛性推定用パラメータa,bを求め、
EI(R)=βNEI(aR1/2+bc)・・・(式2)
により第5のステップにおいて外装材のないワイヤーハーネスの曲げ剛性推定用パラメータβ,cを求め、
前記曲げ剛性推定用パラメータa,b,β,cを用いて、(式2)から外装材のないワイヤーハーネスの曲げ半径Rにおける曲げ剛性を推定することを特徴とする、請求項1に記載のワイヤーハーネスの剛性推定方法。
【請求項3】
前記第1乃至第5のステップに加えて、第4のステップにおける各単線を束ねたワイヤーハーネスに外装材を更に備えた外装材付きワイヤーハーネスの曲げ半径と曲げ剛性間の関係を示す既に測定済みの外装材付きワイヤーハーネスの曲げ剛性測定データをコンピュータの記憶手段に記憶させる第6のステップと、
前記第1のステップで求めた各単線の曲げ剛性の理論値と、前記第3のステップで求めた単線の曲げ剛性推定用パラメータと、前記第5のステップで求めたワイヤーハーネスの曲げ剛性推定用パラメータと、前記第6のステップにおける外装材付きワイヤーハーネスの曲げ剛性測定データとの関係からコンピュータの演算手段によってフィッティングを行い、外装材付きワイヤーハーネスの曲げ剛性に関する推定式に用いる外装材の曲げ剛性推定値を求める第7のステップと、
前記第1のステップにおける単線の曲げ剛性の理論値、第3のステップにおける単線の曲げ剛性推定用パラメータ、第5のステップにおけるワイヤーハーネスの曲げ剛性推定用パラメータ、第7のステップにおける外装材の曲げ剛性推定値を用いて外装材付きワイヤーハーネスの曲げ半径から曲げ剛性を推定する外装材付きワイヤーハーネスの曲げ剛性推定式をコンピュータの演算手段に作成させる第8のステップと、
前記第8のステップによって得られた外装材付きワイヤーハーネスの曲げ剛性推定式から特定の曲げ半径Rにおける外装材付きワイヤーハーネスの曲げ剛性を推定する第9のステップからなることを特徴とする、請求項1に記載のワイヤーハーネスの剛性推定方法。
【請求項4】
前記ワイヤーハーネスを構成する複数の単線がN本の同種の単線からなり、単線の曲げ剛性理論値EI、曲げ半径R、曲げ半径Rにおける曲げ剛性測定値EI(R)、外装材付きワイヤーハーネスの外装材のみの曲げ剛性合計推定値をΣEIとすると、
EI(R)=EI(aR1/2+b)・・・(式1)
により、第3のステップにおいて単線の曲げ剛性推定用パラメータa,bを求め、
EI(R)=βNEI(aR1/2+bc)・・・(式2)
により第5のステップにおいて外装材のないワイヤーハーネスの曲げ剛性推定用パラメータβ,cを求め、
EI(R)=(βNEI+ΣEI)(aR1/2+bc)・・・(式3)
により第7のステップにおいて外装材の曲げ剛性合計推定値ΣEIを求め、
これらの曲げ剛性推定用パラメータa,b,β,c,及び外装材の曲げ剛性合計推定値ΣEIを用いて、(式3)から外装材付きワイヤーハーネスの曲げ半径Rにおける曲げ剛性を推定することを特徴とする、請求項3に記載のワイヤーハーネスの剛性推定方法。
【請求項5】
ワイヤーハーネスを構成する各単線に含まれる素線や被覆の寸法及び物性値から単線の捻り剛性の理論値をコンピュータの演算手段に計算させる第1のステップと、
前記各単線を束ねたワイヤーハーネスの単位捻れ角と捻り剛性間の関係を示すワイヤーハーネスの捻り剛性測定データをコンピュータの記憶手段に記憶させる第2のステップと、
前記第1のステップにおける捻り剛性の理論値と前記第2のステップにおけるワイヤーハーネスの捻り剛性測定データとの関係からコンピュータの演算手段によってフィッティングを行い、ワイヤーハーネスの捻り剛性に関する推定式に用いるワイヤーハーネスの捻り剛性推定用パラメータを求める第3のステップと、
前記第1のステップにおける単線の捻り剛性の理論値、第3のステップにおけるワイヤーハーネスの捻り剛性推定用パラメータを用いて、外装材のないワイヤーハーネスの捻り剛性の捻り角度から捻り剛性を推定する外装材のないワイヤーハーネスの捻り剛性推定式をコンピュータの演算手段に作成させる第4のステップと、
前記第4のステップによって得られた外装材のないワイヤーハーネスの捻り剛性推定式を用いて特定の捻り角度における外装材のないワイヤーハーネスの捻り剛性を推定する第5のステップからなることを特徴とするワイヤーハーネスの剛性推定方法。
【請求項6】
前記ワイヤーハーネスを構成する複数の単線がN本の同種の単線からなり、単線の捻り剛性理論値GJ、捻り角θ、捻り角θにおける捻り剛性測定値GJ(θ)とすると、
GJ(θ)=αNGJ(1+a’/θ+b’+c’θ)・・・(式4)
により、第3のステップにおいて外装材のないワイヤーハーネスの捻り剛性推定用パラメータα,a’,b’,c’を求め、
前記捻り剛性理論値GJ及び捻り剛性推定用パラメータα,a’,b’,c’を用いて、(式4)から外装材のないワイヤーハーネスの捻り角θにおける捻り剛性を推定することを特徴とする、請求項5に記載のワイヤーハーネスの剛性推定方法。
【請求項7】
前記第1のステップ及び第2のステップに加えて、外装材の単位捻れ角と捻り剛性間の関係を示す外装材の捻り剛性測定データをコンピュータの記憶手段に記憶させる第3のステップと、
前記第3のステップにおける外装材の捻り剛性測定データの関係からコンピュータの演算手段によってフィッティングを行い、外装材の捻り剛性推定用パラメータ及び捻り剛性合計推定値を求める第4のステップと、
前記第1のステップにおける捻り剛性の理論値、前記第2のステップにおける外装材のないワイヤーハーネスの捻り剛性推定用パラメータ、前記第4のステップにおける外装材の捻り剛性推定用パラメータ及び捻り剛性合計推定値によって外装材付きワイヤーハーネスの捻り剛性推定式をコンピュータの演算手段に作成させる第5のステップと、
前記第5のステップによって得られた外装材付きのワイヤーハーネスの捻り剛性推定式を用いて特定の捻り角度における外装材付きワイヤーハーネスの捻り剛性を推定する第6のステップからなることを特徴とする、請求項5に記載のワイヤーハーネスの剛性推定方法。
【請求項8】
前記ワイヤーハーネスを構成する複数の単線がN本の同種の単線からなり、単線の捻り剛性理論値GJ、捻り角θ、捻り角θの際の捻り剛性測定値GJ(R)、とすると、
GJ(θ)=αNGJ(1+a’/θ+b’+c’θ)・・・(式5)
により、第3のステップにおいて外装材のないワイヤーハーネスの捻り剛性推定用パラメータα,a’,b’,c’を求め、
外装材の捻り剛性推定用パラメータβ’,d’、外装材の捻り剛性推定値をGJとすると、
GJ=β’(1+d’/θ)・・・(式6)
により、第4のステップにおいて外装材の捻り剛性推定用パラメータβ’,d’、外装材の捻り剛性推定値GJを求め、
前記捻り剛性理論値GJ、及び捻り剛性推定用パラメータα,a’,b’,c’,β’,d’、並びに外装材の捻り剛性合計推定値ΣGJから、
GJ(θ)=(αNGJ+ΣGJ)(1+a’/θ+b’+c’θ)・・・(式7)
により、外装材付きワイヤーハーネスの捻り角θにおける捻り剛性を推定することを特徴とする、請求項7に記載のワイヤーハーネスの剛性推定方法。
【請求項9】
前記各フィッティングパラメータや外装材の剛性推定値を求める際に最小二乗法を用いることを特徴とする、請求項1乃至請求項8の何れかに記載のワイヤーハーネスの剛性推定方法。
【請求項10】
前記請求項1乃至請求項9の何れかに記載のワイヤーハーネスの剛性推定方法を実行することを特徴とするワイヤーハーネスの剛性推定装置。
【請求項11】
前記請求項1乃至請求項9の何れかに記載のワイヤーハーネスの剛性推定方法をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータ記録媒体。
【請求項12】
前記請求項1乃至請求項9の何れかに記載のワイヤーハーネスの剛性推定方法をコンピュータに実行させることを特徴とするダウンロード可能なコンピュータソフトウエア。
【請求項13】
前記請求項1乃至請求項9の何れかに記載のワイヤーハーネスの剛性推定方法を用いて剛性を推定しながら実際のワイヤーハーネス配索経路に適したワイヤーハーネスを個別に製造することを特徴とするワイヤーハーネスの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−198890(P2007−198890A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−17465(P2006−17465)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,444)
【出願人】(391045897)古河オートモーティブパーツ株式会社 (570)
【出願人】(598018786)古河インフォメーション・テクノロジー株式会社 (9)
【Fターム(参考)】