説明

ワークの仕分け設備、その制御方法及びプログラム

【課題】単線の搬送路から複数列の仕分け棚にワークを格納する構成としつつ、ワークの順序の入れ替えの可能範囲を広げる。
【解決手段】ワークを一列に搬送する仕分け前搬送テーブル1と、各々複数のワークを一列に格納することのできる複数列の仕分け棚3a〜3cとを備え、仕分け前搬送テーブル1は、順方向及び逆方向のいずれにもワークを搬送することができる。仕分け前搬送テーブル1の順方向の上流側から第1仕分け棚〜第X仕分け棚が配列されている場合に、先行ワークを順方向に搬送して、第(x+1)仕分け棚(x:0〜X−1)の前に位置させる手順と、次ワークを順方向に搬送して、第x仕分け棚に棚入れする手順と、第(x+1)仕分け棚の前に退避させていた先行ワークを逆方向に搬送して、第x仕分け棚に棚入れする手順とを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単線の搬送路から複数列の仕分け棚にワークを格納するのに好適なワークの仕分け設備、その制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種製造工場では、コンベア等で搬送されるワークを次工程に移行させる際に、ワークの順序を入れ替える必要があることがある。
【0003】
例えば特許文献1には、第1のラインと第2のラインとの間に、ワークを一旦格納する複数列のストレージを設け、第1のラインと第2のライン間でワークの搬送順序を組替えるワークの搬送順序組替え方法が開示されている。
【0004】
また、例えば特許文献2には、ワークを循環させながら、ワークを所定のラインに移行させるようにした仕分け方法及び装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−155199号公報
【特許文献2】特開2007−176658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている設備では、単線で一方向にのみワークを搬送する第1ラインからストレージにワークを格納する構成となっているため、ワークの順序の入れ替えに限界がある。
【0007】
また、例えば複数列のストレージにワークを格納する場合に、特許文献2にあるようにストレージの前でワークを循環させる方式を採用する構成も考えられるが、設備が大型化し、コストがかかるといった問題がある。
【0008】
本発明は、上記のような点に鑑みてなされたものであり、単線の搬送路から複数列の仕分け棚にワークを格納する構成としつつ、ワークの順序の入れ替えの可能範囲を広げることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のワークの仕分け設備は、ワークを一列に搬送する仕分け前搬送路と、前記仕分け前搬送路の搬送方向に配列され、各々複数のワークを一列に格納することのできる複数の仕分け棚と、前記仕分け前搬送路から前記仕分け棚にワークを棚入れする取り込み装置とを備え、前記仕分け前搬送路は、順方向及び逆方向のいずれにもワークを搬送可能であることを特徴とする。
また、本発明のワークの仕分け設備の他の特徴とするところは、前記仕分け前搬送路は、前記各仕分け棚に対応してエリアに区切られており、各エリアにおいて相互に独立して順方向及び逆方向のいずれにもワークを搬送可能である点にある。
また、本発明のワークの仕分け設備の他の特徴とするところは、前記仕分け前搬送路の順方向の上流側から第1仕分け棚〜第X仕分け棚が配列されている場合に、前記仕分け前搬送路により先行ワークを順方向に搬送して、第(x+1)仕分け棚(x:0〜X−1)の前に位置させる手順と、前記仕分け前搬送路により次ワークを順方向に搬送して、第x仕分け棚の前に位置させた後、前記取り込み装置により前記第x仕分け棚に棚入れする手順と、前記仕分け前搬送路により前記第(x+1)仕分け棚の前に退避させていた前記先行ワークを逆方向に搬送して、前記第x仕分け棚の前に位置させた後、前記取り込み装置により前記第x仕分け棚に棚入れする手順とからなる第x仕分け棚前順序交換を実行する制御手段を備えた点にある。
また、本発明のワークの仕分け設備の他の特徴とするところは、前記仕分け棚からワークを払い出す払い出し装置と、前記仕分け前搬送路の入口前におけるワークの搬送順を含むワーク情報、及び所望の払い出し後ワーク順序の情報に基づいて棚入れスケジュールを作成する棚入れスケジュール作成手段とを備え、前記棚入れスケジュール作成手段は、前記ワーク情報に含まれるワークのうち、棚入れする対象ワークと、その次ワークとの組み合わせについて、前記第x仕分け棚前順序交換を行わない棚入れパターンで、前記所望の払い出し後ワーク順序を実現できるか否かを判定する手順と、前記所望の払い出し後ワーク順序を実現できる場合、前記第x仕分け棚前順序交換を行わない棚入れパターンで前記対象ワークを棚入れする手順と、前記所望の払い出し後ワーク順序を実現できない場合、前記第x仕分け棚前順序交換を行う棚入れパターンで、前記所望の払い出し後ワーク順序を実現できるか否かを判定する手順と、前記所望の払い出し後ワーク順序を実現できる場合、前記第x仕分け棚前順序交換を行う棚入れパターンで前記対象ワークを棚入れする手順とを、前記ワーク情報にある先頭のワークから搬送順に従った順に対象ワークを変更して実行する点にある。
本発明のワークの仕分け設備の制御方法は、ワークを一列に搬送する仕分け前搬送路と、前記仕分け前搬送路の搬送方向に配列され、各々複数のワークを一列に格納することのできる複数の仕分け棚と、前記仕分け前搬送路から前記仕分け棚にワークを棚入れする取り込み装置とを備え、前記仕分け前搬送路は、順方向及び逆方向のいずれにもワークを搬送可能であるワークの仕分け設備の制御方法であって、前記仕分け前搬送路の順方向の上流側から第1仕分け棚〜第X仕分け棚が配列されている場合に、前記仕分け前搬送路により先行ワークを順方向に搬送して、第(x+1)仕分け棚(x:0〜X−1)の前に位置させる手順と、前記仕分け前搬送路により次ワークを順方向に搬送して、第x仕分け棚の前に位置させた後、前記取り込み装置により前記第x仕分け棚に棚入れする手順と、前記仕分け前搬送路により前記第(x+1)仕分け棚の前に退避させていた前記先行ワークを逆方向に搬送して、前記第x仕分け棚の前に位置させた後、前記取り込み装置により前記第x仕分け棚に棚入れする手順とを有することを特徴とする。
本発明のプログラムは、ワークを一列に搬送する仕分け前搬送路と、前記仕分け前搬送路の搬送方向に配列され、各々複数のワークを一列に格納することのできる複数の仕分け棚と、前記仕分け前搬送路から前記仕分け棚にワークを棚入れする取り込み装置とを備え、前記仕分け前搬送路は、順方向及び逆方向のいずれにもワークを搬送可能であるワークの仕分け設備を制御するためのプログラムであって、前記仕分け前搬送路の順方向の上流側から第1仕分け棚〜第X仕分け棚が配列されている場合に、前記仕分け前搬送路により先行ワークを順方向に搬送して、第(x+1)仕分け棚(x:0〜X−1)の前に位置させる処理と、前記仕分け前搬送路により次ワークを順方向に搬送して、第x仕分け棚の前に位置させた後、前記取り込み装置により前記第x仕分け棚に棚入れする処理と、前記仕分け前搬送路により前記第(x+1)仕分け棚の前に退避させていた前記先行ワークを逆方向に搬送して、前記第x仕分け棚の前に位置させた後、前記取り込み装置により前記第x仕分け棚に棚入れする処理とをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、仕分け前搬送路は、順方向及び逆方向のいずれにもワークを搬送可能であるので、一つの仕分け棚に棚入れするワークの順序を入れ替えることもできる。これにより、単線の搬送路から複数列の仕分け棚にワークを格納する構成としつつ、ワークの順序の入れ替えの可能範囲を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係る仕分け設備を含む生産ラインの例の概要を示す図である。
【図2】本実施形態に係る仕分け設備の概略構成を示す図である。
【図3】仕分け前搬送テーブルが順方向にのみ製品を搬送する従来のタイプの仕分け設備の作用を説明するための図である。
【図4】本実施形態に係る仕分け設備の作用について説明するための図である。
【図5】本実施形態に係る仕分け設備の作用について説明するための図である。
【図6】本実施形態に係る仕分け設備の制御システムの構成を示す図である。
【図7】本実施形態に係る仕分け設備の制御システムがx棚前順序交換を行うときの処理を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態に係る制御装置の機能構成を示す図である。
【図9】製品ファイルの例を示す図である。
【図10】棚入れスケジュールの作成処理を示すフローチャートである。
【図11】対象製品が先頭製品B(製品ファイルにおけるNo.1)であるときの全棚入れパターンを生成している状態を示す図である。
【図12】対象製品が製品D(製品ファイルにおけるNo.5)であるときの全棚入れパターンを生成している状態を示す図である。
【図13】棚出しスケジュールの作成処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係る仕分け設備を含む生産ラインの例の概要を示す。圧延後の製品、図示例ではH鋼11は、鋸断機12で注文長さに切断されるが、圧延歩留向上の観点から種々の長さや向け先を組み合わせて採取される。その結果、鋸断機12以降のミスト冷却やローラ矯正といった精錬工程に搬送される製品の順序は、数種類の長さや向け先が入り組んだ状態となる。そのため、台車13による倉庫搬送前に、仕分け棚を含む仕分け設備を用いて、同じ長さや向け先の製品毎に選別集約する必要がある。
【0013】
図2に、本実施形態に係る仕分け設備の概略構成を示す。1は複数本のローラR1(図6を参照)からなる搬送路である仕分け前搬送テーブルであり、ローラR1を回転させることによってワークである製品を一列に搬送する。2は複数本のローラR2(図6を参照)からなる搬送路である仕分け後搬送テーブルであり、仕分け前搬送テーブル1に平行に配置され、ローラR2を回転させることによってワークである製品を一列に搬送する。
【0014】
3a〜3cは仕分け前搬送テーブル1と仕分け後搬送テーブル2との間に配置された複数列の仕分け棚である。すなわち、複数の仕分け棚3a〜3cが仕分け前搬送テーブル1の搬送方向に配列されている。仕分け棚3a〜3cは、各々複数のワークを一列に格納することができる。本実施形態では、仕分け前搬送テーブル1の順方向の上流側、すなわち入口4に近い側から第1仕分け棚3a(以下、1棚3aと称する)、第2仕分け棚3b(以下、2棚3bと称する)、第3仕分け棚3c(以下、3棚3cと称する)が配列されている。そして、各仕分け棚3a〜3cは、仕分け前搬送テーブル1側の製品格納プレースP1と、仕分け後搬送テーブル2側の製品格納プレースP2とを有する。各仕分け棚3a〜3cの各プレースP1、P2には、図示を省略するが、在荷状況を確認するためのセンサが備えられる。
【0015】
各仕分け棚3a〜3cには、矢印で簡単に示すが、取り込み装置である取り込みトランスファー5と、払い出し装置である払い出しトランスファー6とが備えられている。取り込みトランスファー5は、仕分け前搬送テーブル1からプレースP1に製品を取り込んだり、プレースP1にある製品をプレースP2に移動したりする。また、払い出しトランスファー6は、プレースP2にある製品を仕分け後搬送テーブル2に払い出す。各トランスファー5、6は、爪を製品に引っ掛けることで、製品の取り込み、移動、払い出しを行う。
【0016】
本実施形態に係る仕分け設備では、仕分け前搬送テーブル1は、各仕分け棚3a〜3cに対応してエリア1a〜1cに区切られており、各エリア1a〜1cにおいて相互に独立して順方向及び逆方向のいずれにも製品を搬送することができる。順方向とは矢印Xに示す方向であり、ローラR1を正転させることにより製品を順方向に搬送することができる。また、逆方向とは矢印Xと逆向きの方向であり、ローラR1を逆転させることにより製品を逆方向に搬送することができる。
【0017】
次に、仕分け設備の役割について説明する。図3は、仕分け前搬送テーブル1が順方向にのみ製品を搬送する従来のタイプの仕分け設備の作用を説明するための図である。なお、便宜上、各構成要素には図2と同じ符号を付して説明する。また、同じ属性の製品(長さや向け先等)には同じアルファベットを付して説明する。図3(a)に示すように、仕分け前搬送テーブル1の入口4前では製品B,A,B,Aの順序で搬送されており、それを製品A,A,B,Bの順序に入れ替えたいものとする。
【0018】
この場合、例えば図3(b)に示すように、1棚3aのプレースP2に先頭の製品Bを、2棚3bのプレースP2に2番目の製品Aを、1棚3aのプレースP1に3番目の製品Bを、2棚3bのプレースP1に4番目の製品Aを取り込む(棚入れとも称する)。そして、図3(c)に示すように、2棚3bから製品A,Aを払い出し(棚出しとも称する)、次に1棚3aから製品B,Bを払い出すことにより、図3(d)に示すように、製品A,A,B,Bの順序に入れ替えることができる。このように、仕分け棚3a〜3cに製品を滞留させ、払い出し順序を制御することによって、製品の順序を入れ替えることができる。
【0019】
しかしながら、図3に示すタイプの仕分け設備では、一つの仕分け棚に棚入れする製品の順序を入れ替えることはできない。
【0020】
次に、図4を参照して、本実施形態に係る仕分け設備の作用について説明する。本実施形態に係る仕分け設備では、仕分け前搬送テーブル1は、各仕分け棚3a〜3cに対応する各エリア1a〜1cにおいて独立して順方向及び逆方向のいずれにも製品を搬送することができる。図4(a)に示すように、仕分け前搬送テーブル1の入口4前では製品B,Aの順序で搬送されている。この場合に、例えば図4(b)に示すように、先行製品Bを一旦2棚3bの前のエリア1bまで搬送し、図4(c)に示すように、次製品Aを1棚3aのプレースP2に取り込む。その後、図4(d)に示すように、2棚3bの前のエリア1bに退避させていた先行製品Bを逆方向に搬送し、この先行製品Bを1棚3aのプレースP1に取り込む。
【0021】
このように、本実施形態に係る仕分け設備では、一つの仕分け棚に棚入れする製品の順序を入れ替えることもできる。
【0022】
次に、図5に示す事例について、本実施形態に係る仕分け設備の作用について説明する。図5(a)に示すように、仕分け前搬送テーブル1の入口4前では製品B,C,B,C,D,A,Dの順序で搬送されており、それを製品A,B,B,C,C,D,Dの順序に入れ替えたいものとする。
【0023】
この場合、例えば図5(b)に示すように、3棚3cのプレースP2に先頭の製品Bを、3棚3cのプレースP1に2番目の製品Cを、2棚3bのプレースP2に3番目の製品Bを、2棚3bのプレースP1に4番目の製品Cを取り込む。
【0024】
続いて、図5(c)に示すように、5番目の製品Dを一旦2棚3bの前のエリア1bまで搬送し、6番目の製品Aを1棚3aのプレースP2に取り込む。その後、図5(d)に示すように、2棚3bの前のエリア1bに退避させていた5番目の製品Dを逆方向に搬送し、この製品Dを1棚3aのプレースP1に取り込む。
【0025】
そして、図5(e)に示すように、1棚3aから製品Aを払い出し、次に3棚3cから製品Bを払い出し、次に2棚3bから製品Bを払い出し、次に3棚3cから製品Cを払い出し、次に2棚3bから製品Cを払い出す。また、1棚3aから製品Aを払い出した後に、1棚3aのプレースP1に格納されていた5番目の製品DをプレースP2に移動させるとともに、7番目の製品Dを1棚3aのプレースP1に取り込んでおく。そして、1棚3aから製品D,Dを払い出すことにより、図5(e)に示すように、製品A,B,B,C,C,D,Dの順序に入れ替えることができる。
【0026】
図3で説明した仕分け前搬送テーブル1が順方向にのみ製品を搬送するタイプの仕分け設備では、上述したように一つの仕分け棚に取り込む製品の順序を入れ替えることができないので、製品Aを製品Dの前に入れ替えることはできない。すなわち、製品A,B,B,C,C,D,Dの順序に入れ替えることはできない。
【0027】
以下では、先行製品を一旦2棚3bの前のエリア1bまで搬送し、次製品を1棚3aに取り込んだ後に、この先行製品を1棚3aに取り込むことにより、1棚3aにおける製品の順序を入れ替えることを1棚前順序交換と呼ぶ。同様に、先行製品を一旦3棚3cの前のエリア1cまで搬送し、次製品を2棚3bに取り込んだ後に、この先行製品を2棚3bに取り込むことにより、2棚3bにおける製品の順序を入れ替えることを2棚前順序交換と呼ぶ。なお、3棚3cについてはエンド位置にあるため、3棚前順序交換を行うことはできない。
【0028】
図6は、仕分け設備の制御手段である制御システムの構成例を示す図である。制御装置100には、仕分け前搬送テーブル1及び仕分け後搬送テーブル2を制御するプログラマブルロジックコントローラ(以下、PLCと称する)200と、取り込みトランスファー5及び払い出しトランスファー6を制御するPLC300とがネットワークを介して接続する。これらPLC200、300は、制御装置100からの指示に従って、仕分け前搬送テーブル1及び仕分け後搬送テーブル2、取り込みトランスファー5及び払い出しトランスファー6を制御する。
【0029】
図7は、仕分け設備の制御システムがx棚前順序交換を行うときの処理を示すフローチャートである。図5の事例ではx=1、2である。制御装置100からx棚前順序交換を行う指示があると、PLC200、300は、仕分け前搬送テーブル1のローラR1を正転させて先行製品を順方向に搬送して、一旦第(x+1)仕分け棚の前のエリアに位置させる(ステップS1)。次に、仕分け前搬送テーブル1のローラR1を正転させて次製品を順方向に搬送して、x棚の前のエリアに位置させる(ステップS2)。そして、取り込みトランスファー5により、当該次製品をx棚に棚入れする(ステップS3)。その後、仕分け前搬送テーブル1のローラR1を逆転させて、(x+1)棚の前のエリアに退避させていた先行製品を逆方向に搬送して、x棚の前のエリアに位置させる(ステップS4)。そして、取り込みトランスファー5により、当該先行製品をx棚に棚入れする(ステップS5)。これにより、x棚における製品の順序を入れ替えることができる。
【0030】
図8は、制御装置100の機能構成を示す図である。101は入力部であり、図9に示すように、仕分け前搬送テーブル1の入口4前における製品の搬送順が記述された製品ファイル51、及び、所望の払い出し後製品順序の情報(図5の事例では製品A,B,B,C,C,D,Dの順序に入れ替えたいといった情報)を入力する。また、仕分け棚3a〜3cの在荷状況を表わす在荷状況ファイル52を入力する。既述したように各仕分け棚3a〜3cの各プレースP1、P2にはセンサが備えられており、在荷状況ファイル52は常時最新の在荷状況に書き換えられている。
【0031】
102は棚入れスケジュール作成部であり、以下に詳述するように棚入れスケジュールファイルを作成する。103は棚出しスケジュール作成部であり、以下に詳述するように棚出しスケジュールファイルを作成する。104は指示部であり、棚入れスケジュール作成部102により作成される棚入れスケジュールファイル、及び、棚出しスケジュール作成部103により作成される棚出しスケジュールファイルに従って、PLC200、300に指示を出力する。
【0032】
図10は、棚入れスケジュール作成部102による棚入れスケジュールの作成処理を示すフローチャートである。以下では、図5の事例も参照しながら説明する。本実施形態では、同時に複数の製品について棚前順序交換を行うことはせず、一つの製品についてだけ棚前順序交換を行うものとする。
【0033】
まず、在荷ファイル52に基づいて、仕分け棚3a〜3cの在荷状況を取得する(ステップS101)。図5(a)の状態であれば、仕分け棚3a〜3cのプレースP1、P2のいずれにも製品がないという在荷状況が取得される。
【0034】
次に、仕分け棚3a〜3cに棚入れする対象製品と、その次製品との組み合わせについて、棚前順序交換を行わない全棚入れパターンを生成する(ステップS102)。図5(a)の状態であれば、まず対象製品となる先頭の製品B(製品ファイル51におけるNo1.)と、その次製品である製品C(同No2.)との組み合わせについて、棚前順序交換を行わない全棚入れパターンを生成する。図11には、対象製品が先頭製品B(同No.1)であるときの全棚入れパターンを生成している状態を示す。棚前交換有無の項目の「×」は棚前順序交換を行わないことを意味する。棚入れパターンを生成する際には、各仕分け棚3a〜3cにおいてプレースP1、P2の両方に空きがあれば、仕分け後搬送テーブル2側のプレースP2に優先的に棚入れするようにする。
【0035】
次に、対象製品と、その次製品との組み合わせについて、ステップS102において生成した全棚入れパターンに対して考えられる全棚出しパターンを生成する(ステップS103)。
【0036】
次に、ステップS103において生成した全棚出しパターンのうち、所望の払い出し順となるもの、すなわち所望の払い出し後製品順序を実現できる棚出しパターンがあるか否かを判定する(ステップS104)。その結果、所望の払い出し順となる棚出しパターンがあればステップS105に、なければステップS108に進む。対象製品が先頭の製品B(同No.1)である場合、所望の払い出し後製品順序(図5の事例では製品A,B,B,C,C,D,Dの順序)を実現できる製品B、Cの順で払い出す棚入れパターンがあるか否かを判定する。この場合、所望の払い出し後製品順序(図5の事例では製品A,B,B,C,C,D,Dの順序)を実現できる製品B、Cの順で払い出す棚入れパターンがあるので、ステップS105に進む。
【0037】
ステップS105では、ステップS104において所望の払い出し順を満たすと判定した棚出しパターンに対応する棚入れパターンに従って、対象製品を棚入れする仕分け棚及びプレースを決定し、棚入れスケジュールファイルに格納する。ステップS104において所望の払い出し順を満たすと判定した棚出しパターンが複数ある場合、それらに対応する棚入れパターンのうち、対象製品をエンド位置にある3棚3cに棚入れする棚入れパターンを採用する。なお、3棚3cが満杯の場合、1棚3a、2棚3bのいずれに棚入れしてもよいが、例えば3棚3cが満杯であれば2棚3bに、2棚3bが満杯であれば1棚3aに棚入れする棚入れパターンを採用するように定めておく。対象製品が先頭の製品B(同No.1)である場合、当該製品Bを3棚3cのプレースP2に棚入れする棚入れスケジュールとなる。その後、当該棚入れスケジュールファイルに従って、対象製品の取り込みを実施する。
【0038】
次に、対象製品が製品ファイル51にある最後の製品であるか否かを判定し(ステップS106)、最後の製品でなければステップS107に進み、最後の製品であれば本処理を終了する。ステップS107では、次製品が入口4に到着するまで待機した後、ステップS101に戻る。対象製品が先頭の製品B(同No.1)である場合、最後の製品ではないので、ステップS107に進む。
【0039】
図5の事例では、2巡目で、対象製品を製品C(同No.2)に変更して、その次製品である製品B(同No.3)との組み合わせについてステップS101〜S106の処理が行われる。その結果、対象製品である製品C(同No.2)を3棚3cのプレースP1に棚入れする棚入れスケジュールとなる。同様に3巡目、4順目でも、対象製品を製品B(同No.3)、対象製品を製品C(同No.4)としてステップS101〜S106の処理が行われ、その結果、製品B(同No.3)を2棚3bのプレースP2に棚入れし、製品C(同No.4)を2棚3bのプレースP1に棚入れする棚入れスケジュールとなる。
【0040】
ここで、対象製品が製品D(同No.5)となった場合、その次製品である製品A(同No.6)との組み合わせについて、ステップS104において所望の払い出し順となる棚出しパターンがないと判定される。したがって、ステップS108に進み、棚前順序交換を行う全棚入れパターンを生成する。この場合に、既に満杯の仕分け棚については、その棚前順序交換を行う棚入れパターンを生成しない。図12には、対象製品が製品D(同No.5)であるときの全棚入れパターンを生成している状態を示す。棚前交換有無の項目の「前」とは次製品を第x仕分け棚に棚入れするために第x+1仕分け棚の前のエリアに退避させる先行製品を表わし、「後」とは先行製品を第x+1仕分け棚の前のエリアに退避させた状態で第x仕分け棚に棚入れする次製品を表わす。「前」と「後」の関係にある製品は、必ず同じ棚(第x仕分け棚)に棚入れするものとする。図5の事例では、2棚3bは既に満杯であるので、1棚前順序交換だけが可能であり、図12に示す棚入れパターンが全棚入れパターンとなる。
【0041】
次に、現時点で仕分け棚3a〜3cにある製品と、対象製品と、その次製品との組み合わせについて、ステップS108において生成した全棚入れパターンに対して考えられる棚出しパターンをシミュレーションする(ステップS109)。
【0042】
棚出しパターンのシミュレーション処理は、後述する棚出しスケジュールの作成のためのフローチャート(図13を参照)と同じものとなる。図13に示すように、まず、所望の払い出し後製品順序(図5の事例では製品A,B,B,C,C,D,Dの順序)のうち先頭にしたい製品(図5の事例では製品A)に該当する製品がいずれかの仕分け棚3a〜3cのプレースP2に存在するか否か判定する(ステップS201)。その結果、存在すればステップS202に進み、当該製品を払い出す。一方、存在しなければステップS203に進み、エンド側の仕分け棚、すなわち3棚3cのプレースP2に製品があれば当該製品を、3棚3cのプレースP2に製品がなければ3棚3cのプレースP1にある製品を払い出す。なお、3棚3cに製品がなければ、2棚3bのプレースP2、P1、1棚3aのプレースP2、P1の順で払い出す製品を決定する。
【0043】
次に、ステップS202、S203において製品を払い出したプレースP2に、同仕分け棚のプレースP1にある製品を移動させる(ステップS204)。以後、ステップS201〜S204の処理を、所望の払い出し後製品順序に従って、すなわち図5の事例では2巡目は製品Bに該当する製品の有無を判定し、3巡目は製品Bに該当する製品の有無を判定し、4巡目は製品Cに該当する製品の有無を判定し、・・・というように仕分け棚3a〜3cにある製品がなくなるまで繰り返す。
【0044】
図10に説明を戻して、次に、ステップS109においてシミュレーションした全棚出しパターンのうち、所望の払い出し順となるもの、すなわち所望の払い出し後製品順序を実現できる棚出しパターンがあるか否かを判定する(ステップS110)。その結果、所望の払い出し順となる棚出しパターンがあればステップS105に、なければステップS111に進む。ステップS105では、ステップS110において所望の払い出し順を満たすと判定した棚出しパターンに対応する棚入れパターンに従って、対象製品を棚入れする仕分け棚及びプレースを決定し、棚入れスケジュールファイルに格納する。対象製品が製品D(同No.5)である場合、当該製品Dと、その次製品A(同No.6)とで1棚順序交換を行って、1棚3aのプレースP2に製品Aを、1棚3aのプレースP1に製品Dを棚入れする棚入れスケジュールとなる。その後、当該棚入れスケジュールファイルに従って、対象製品の取り込みを実施する。
【0045】
一方、ステップS111では、ステップS109においてシミュレーションした全棚出しパターンのうち、所望の払い出し後製品順序に最も近くなるものを抽出し、それに対応する棚入れパターンに従って、対象製品を棚入れする仕分け棚及びプレースを決定し、棚入れスケジュールファイルに格納する。棚出しパターンと所望の払い出し後製品順序との近さの判定は、予め定めておいた基準に従って行うようにする。例えば製品の順序が異なっている数が少ないほど近いと判定する。その後、当該棚入れスケジュールファイルに従って、対象製品の取り込みを実施し、ステップS106に移行することはステップS105の場合と同じである。
【0046】
図13は、棚出しスケジュール作成部103による棚出しスケジュールの作成処理を示すフローチャートである。このフローチャートの起動要因は、製品ファイル51にある製品がすべて仕分け棚3a〜3bに棚入れされたとき、或いは仕分け棚3a〜3bが満杯になったときである。
【0047】
まず、所望の払い出し後製品順序(図5の事例では製品A,B,B,C,C,D,Dの順序)のうち先頭にしたい製品(図5の事例では製品A)に該当する製品がいずれかの仕分け棚3a〜3cのプレースP2に存在するか否か判定する(ステップS201)。その結果、存在すればステップS202に進み、当該製品を払い出す。一方、存在しなければステップS203に進み、エンド側の仕分け棚、すなわち3棚3cのプレースP2に製品があれば当該製品を、3棚3cのプレースP2に製品がなければ3棚3cのプレースP1にある製品を払い出す。なお、3棚3cに製品がなければ、2棚3bのプレースP2、P1、1棚3aのプレースP2、P1の順で払い出す製品を決定する。
【0048】
次に、ステップS202、S203において製品を払い出したプレースP2に、同仕分け棚のプレースP1にある製品を移動させる(ステップS204)。以後、ステップS201〜S204の処理を、所望の払い出し後製品順序に従って、すなわち図5の事例では2巡目は製品Bに該当する製品の有無を判定し、3巡目は製品Bに該当する製品の有無を判定し、4巡目は製品Cに該当する製品の有無を判定し、・・・というように仕分け棚3a〜3cにある製品がなくなるまで繰り返して、棚出しスケジュールを作成する。
【0049】
なお、図5の事例では、製品ファイル51にNo1.〜No.7の7個の製品があるのに対して、仕分け棚3a〜3cは6個の製品で満杯になる。このように製品ファイル51にある製品の個数が、仕分け棚3a〜3cの格納可能個数より1個多い場合は、いずれかの仕分け棚3a〜3bのプレースP2から製品を払い出したときに、そのプレースP2に同仕分け棚のプレースP1にある製品を移動させるとともに、同仕分け棚の空いたプレースP1に最後の製品を取り込むようにすればよい。
【0050】
一方、製品ファイル51にある製品の個数が、仕分け棚3a〜3cの格納個数より2個以上多い場合は、いずれかの仕分け棚3a〜3bのプレースP2から製品を払い出したときに、残っている2個以上の製品について、図10の棚入れスケジュールの作成を行えばよい。
【0051】
本発明の制御手段は、具体的にはCPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータシステムにより構成することができ、CPUがプログラムを実行することによって実現される。
【0052】
また、本発明の目的は、上述した仕分け設備の制御機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給することによっても達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、プログラムコード自体及びそのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【符号の説明】
【0053】
1:仕分け前搬送テーブル、1a〜1:エリア、R1:ローラ、2:仕分け後搬送テーブル、R2:ローラ、3a〜3c:仕分け棚、4:入口、5:取り込みトランスファー、6:払い出しトランスファー、100:制御装置、101:入力部、102:棚入れスケジュール作成部、103:棚出しスケジュール作成部、104:指示部、200、300:プログラマブルロジックコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを一列に搬送する仕分け前搬送路と、
前記仕分け前搬送路の搬送方向に配列され、各々複数のワークを一列に格納することのできる複数の仕分け棚と、
前記仕分け前搬送路から前記仕分け棚にワークを棚入れする取り込み装置とを備え、
前記仕分け前搬送路は、順方向及び逆方向のいずれにもワークを搬送可能であることを特徴とするワークの仕分け設備。
【請求項2】
前記仕分け前搬送路は、前記各仕分け棚に対応してエリアに区切られており、各エリアにおいて相互に独立して順方向及び逆方向のいずれにもワークを搬送可能であることを特徴とする請求項1に記載のワークの仕分け設備。
【請求項3】
前記仕分け前搬送路の順方向の上流側から第1仕分け棚〜第X仕分け棚が配列されている場合に、
前記仕分け前搬送路により先行ワークを順方向に搬送して、第(x+1)仕分け棚(x:0〜X−1)の前に位置させる手順と、
前記仕分け前搬送路により次ワークを順方向に搬送して、第x仕分け棚の前に位置させた後、前記取り込み装置により前記第x仕分け棚に棚入れする手順と、
前記仕分け前搬送路により前記第(x+1)仕分け棚の前に退避させていた前記先行ワークを逆方向に搬送して、前記第x仕分け棚の前に位置させた後、前記取り込み装置により前記第x仕分け棚に棚入れする手順とからなる第x仕分け棚前順序交換を実行する制御手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のワークの仕分け設備。
【請求項4】
前記仕分け棚からワークを払い出す払い出し装置と、
前記仕分け前搬送路の入口前におけるワークの搬送順を含むワーク情報、及び所望の払い出し後ワーク順序の情報に基づいて棚入れスケジュールを作成する棚入れスケジュール作成手段とを備え、
前記棚入れスケジュール作成手段は、
前記ワーク情報に含まれるワークのうち、棚入れする対象ワークと、その次ワークとの組み合わせについて、前記第x仕分け棚前順序交換を行わない棚入れパターンで、前記所望の払い出し後ワーク順序を実現できるか否かを判定する手順と、
前記所望の払い出し後ワーク順序を実現できる場合、前記第x仕分け棚前順序交換を行わない棚入れパターンで前記対象ワークを棚入れする手順と、
前記所望の払い出し後ワーク順序を実現できない場合、前記第x仕分け棚前順序交換を行う棚入れパターンで、前記所望の払い出し後ワーク順序を実現できるか否かを判定する手順と、
前記所望の払い出し後ワーク順序を実現できる場合、前記第x仕分け棚前順序交換を行う棚入れパターンで前記対象ワークを棚入れする手順とを、
前記ワーク情報にある先頭のワークから搬送順に従った順に対象ワークを変更して実行することを特徴とする請求項3に記載のワークの仕分け設備。
【請求項5】
ワークを一列に搬送する仕分け前搬送路と、前記仕分け前搬送路の搬送方向に配列され、各々複数のワークを一列に格納することのできる複数の仕分け棚と、前記仕分け前搬送路から前記仕分け棚にワークを棚入れする取り込み装置とを備え、前記仕分け前搬送路は、順方向及び逆方向のいずれにもワークを搬送可能であるワークの仕分け設備の制御方法であって、
前記仕分け前搬送路の順方向の上流側から第1仕分け棚〜第X仕分け棚が配列されている場合に、
前記仕分け前搬送路により先行ワークを順方向に搬送して、第(x+1)仕分け棚(x:0〜X−1)の前に位置させる手順と、
前記仕分け前搬送路により次ワークを順方向に搬送して、第x仕分け棚の前に位置させた後、前記取り込み装置により前記第x仕分け棚に棚入れする手順と、
前記仕分け前搬送路により前記第(x+1)仕分け棚の前に退避させていた前記先行ワークを逆方向に搬送して、前記第x仕分け棚の前に位置させた後、前記取り込み装置により前記第x仕分け棚に棚入れする手順とを有することを特徴とするワークの仕分け設備の制御方法。
【請求項6】
ワークを一列に搬送する仕分け前搬送路と、前記仕分け前搬送路の搬送方向に配列され、各々複数のワークを一列に格納することのできる複数の仕分け棚と、前記仕分け前搬送路から前記仕分け棚にワークを棚入れする取り込み装置とを備え、前記仕分け前搬送路は、順方向及び逆方向のいずれにもワークを搬送可能であるワークの仕分け設備を制御するためのプログラムであって、
前記仕分け前搬送路の順方向の上流側から第1仕分け棚〜第X仕分け棚が配列されている場合に、
前記仕分け前搬送路により先行ワークを順方向に搬送して、第(x+1)仕分け棚(x:0〜X−1)の前に位置させる処理と、
前記仕分け前搬送路により次ワークを順方向に搬送して、第x仕分け棚の前に位置させた後、前記取り込み装置により前記第x仕分け棚に棚入れする処理と、
前記仕分け前搬送路により前記第(x+1)仕分け棚の前に退避させていた前記先行ワークを逆方向に搬送して、前記第x仕分け棚の前に位置させた後、前記取り込み装置により前記第x仕分け棚に棚入れする処理とをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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