説明

ワークの整列搬送装置

【課題】 搬送路(搬送面)の繋ぎ目の隙間や段差をなくすことで、ワークの破損を防止し安定姿勢で高速搬送することが可能な構成のワークの整列搬送装置を提供する。
【解決手段】 ワークの整列搬送装置1は、ワーク移送面が形成され水平回転する回転式フィーダ90と、前記移送路からワークを次工程に供給するためワーク搬送面が形成され水平回転する複数の搬送用ディスクD8を備えた直線式フィーダ70から構成され、回転式フィーダ90上で前記移送面が独立したワーク搬送路となるように区画する円弧状の整列壁Gから、直線式フィーダ70上で前記搬送面が独立したワーク搬送路となるように区画する直線状の整列壁Jへと前記ワーク搬送路が引き継がれ、これら搬送用ディスクD8が上流側が上で下流側が下となるようにそれぞれの外周縁が一部重なって配されており、それぞれの外周縁同士の段差が0.1mm以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転式フィーダに直線式フィーダを連結した構成でワークを整列搬送するワークの整列搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯情報端末やデジタルカメラなどの電子機器は、電子部品を多数高密度実装することで小型・薄型化を実現している。高密度実装にともない、その寸法はさらに小型・薄型化が進んでいる。自動車や産業機器などに用いられる電子部品においても同様に軽量化の要求が高まっている。また、市場や用途によっては、全数検査による品質保証の要求があり、今後は、全数検査を行う品種が拡大するものと考えられる。これらの電子部品は通称、ワーク(又は微小ワーク)と呼ばれている。なお、本明細書では、半導体素子、水晶振動子、水晶素子(SMD水晶素子)、SAWフィルタ素子、チップコンデンサ、抵抗、コイル、端子、基板、シート、フィルム等の多面体形状や円柱形状等多面を有する電子部品をワークと表現している。
【0003】
図24は、多面体形状のワーク20(21,22,23,24)を例示する斜視図である。符号20Hはワーク20の高さ(又は外径)を表し、符号20Wはワーク20の巾を表し、符号20Lはワーク20の全長を表す。また、符号201はワーク20の平面を表し、符号202はワーク20の右側面を表し、符号203はワーク20の底面を表し、符号204はワーク20の左側面を表し、符号205はワーク20の正面を表し、符号206はワーク20の背面を表す。図24(a)に示すワーク21は、チップキャパシタやチップインダクタなど直方体形状のワークである。チップキャパシタ21の寸法としては、例えば、20Hが0.3mm、20Wが0.3mm、20Lが0.6mmの部品がある。図24(b)に示すワーク22は、半導体素子など四角形で薄板形状のワークである。半導体素子22の寸法としては、例えば、20Hが0.05mm、20Wが1.0mm、20Lが2.0mmの部品がある。図24(c)に示すワーク23は、発振子や実装型LEDなど長方形状の部品に凸状部が形成されたワークである。実装型LED23の寸法としては、例えば、20Hが0.2mm、20Wが0.8mm、20Lが1.6mmの部品がある。図24(d)に示すワーク24は、ICコネクタや光コネクタなどに使用される端子など円柱形状(円筒形状)のワークである。光コネクタ用端子24の寸法としては、例えば、20Hが1.7mm、20Lが5.0mmの部品がある。ワーク20としては、チップキャパシタ、半導体素子、水晶素子、SAWフィルタ素子、チップ抵抗、チップコイル、実装型LED、チップIC、光コネクタなどに使用される端子、パッド、スペーサ等の実装部品が挙げられる。これらのワーク20は、例えばサイズが小さくて脆いこと等から電気検査を行なうことが困難であったり、例えば円柱形状で所定長さがあること等から外観検査に手間取る場合があるが、不良のワークを組み付けるとモジュールや実装基板の不良となることから、実装前での自動化された外観検査が必要になる。また、電子部品全般としても、実装後の歩留りを高めるためには、実装前での外観検査を行うことが好ましい。
【0004】
これらのワークは、一旦、バルクケースにまとめてバラ状に包装される場合が多く、バルクケースからランダムな状態で取り出されて、整列搬送されながら外観検査され、外観選別(良否選別やクラス分け)されて次工程に移される。次工程としては、ワークの電気検査工程、ワークを組み付けや実装する組立工程、ワークをテーピングやマガジン詰め等を行う包装工程などがある。
【0005】
既知のワークの整列搬送装置としては、振動を利用した振動式フィーダと、遠心力を利用した回転式フィーダが挙げられる。現在のところ、振動式フィーダ(市販品)のワーク搬送速度の最大値は、およそ6,000 [mm/分]であり、回転式フィーダ(株式会社石川製作所製)のワーク搬送速度の最大値は、およそ40,000 [mm/分]である。よって、回転式フィーダは、高速回転させることによって振動式フィーダに比べてワーク搬送速度をおよそ7倍速くすることが可能である。
【0006】
例えばチップキャパシタ21のような、20Hが0.3mm、20Wが0.3mm、20Lが0.6mmのワークの場合、回転式フィーダ(株式会社石川製作所製)の最大搬送個数速度は、66,670 [個/分]となる。なお、実際には、ワークをテール to ノーズで効率良く搬送できずにロスが生じるので、ワークの最大搬送個数速度は計算上の値よりも小さな値となる。
【0007】
前記回転式フィーダには、直線式フィーダが連結され、当該直線式フィーダを介してワークの外観検査装置に移載され、搬送されながら撮像カメラにて撮像されて良否選別され、次工程に移される。或いは、前記直線式フィーダを介して次工程に移される。次工程としては、ワークの選別工程、ワークの基板実装工程、ワークをテーピングやマガジン詰め等を行う包装工程などがある。
【0008】
近年、外観検査における撮像カメラと画像処理技術は、その高速・高精度化がめざましく、ワークの外観検査を高速かつ高精度に行なう上での障害とはならず、ますますその余裕度が増してきている。その一方で、ワークの全表面、例えば直方体であれば6面すべてを高精度に外観検査するためには、これらワークを整列しかつ一定間隔を離して撮像手段(撮像カメラ)が配されている画像処理部に搬送しなければならない。
【0009】
特許文献1には、投入されたワークを回転させる投入用回転ディスクと周方向にワークの移送路を形成して回転する整列用回転ディスクとを組み合わせた回転式フィーダに、移送路からワークを次の梱包ラインや検査装置等に供給するための搬出ラインを形成する直線式フィーダが連結され、前記搬出ラインには、整列用回転ディスクの移送路と面一となる搬送用回転ディスクと、移送路から移送されるワークを排出ラインに整列させる整列壁とを有するワークの整列供給装置が記載されている(図20)。
排出部のより具体的な構成は、図21に示すように、排出ラインの底部にベース部材が配置され、このベース部材に搬送用回転ディスクが埋設され、ベース部材の上面と埋設された搬送用回転ディスクの上面と前記移送路の面とが面一になっており、前記移送路から移送されてきたワークの搬送面を同じにして新たな所定速度を加えて(推進力を加えるようにして)、次の梱包ライン等に搬出するための排出口へと搬出するとの記述がある(その段落0042を参照)。
【0010】
特許文献2には、投入されたワークを回転させる投入用回転ディスクと周方向にワークの移送路を形成して回転する整列用回転ディスクとを組み合わせた回転式フィーダに、移送路からワークを次の検査機構に供給するための搬出ラインを形成する直線式フィーダが連結され、透明なガラス製の検査用回転ディスクが配された検査機構にワークが受け渡され外観検査される構成のワークの整列供給装置が記載されている(図22)。そして、図23(a)には、2つの検査用回転ディスク同士が面一で外周が接するように配されている構成例が記載されており、図23(b)には、上流側の検査用回転ディスクの下側に外周縁が一部重なるように下流側の検査用回転ディスクが配されている構成例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第4381356号公報
【特許文献2】特開2008−105811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前記ワークの整列搬送装置にて整列搬送させるワークは、小型・薄型化が進んでおり、搬送路(搬送面)の繋ぎ目に隙間や段差があると、ワークが引っ掛かったり挟まったり落下して破損するワークが発生し装置故障の原因にもなる。
しかしながら、回転ディスク同士が面一で外周が接するように配されている構成例(図21、図23(a))では、回転ディスク同士が接している接点以外は隙間が生じており、その隙間は接点から遠ざかるほど隙間が大きくなるので、ワークの受渡し位置によってはワークが引っ掛かったり挟まったりして破損する場合がある。特に、装置レイアウト上、整列用ディスクや検査用ディスクに比べて、直線式フィーダを構成する搬送用ディスクはその外径が小さくなっており、前記接点以外に生じる隙間が大きくなってしまう。また、上流側の回転ディスクの下側に外周縁が一部重なるように下流側の回転ディスクが配されている構成例(図23(b))では、回転ディスクの厚み分だけ段差が生じ、ワークを受け渡す際にワークに外力が加わる上に、ワークの姿勢も不安定な状態となる。このため、従来のワークの整列搬送装置(ワークの外観検査装置)では、ワークをさらに高速搬送することが困難である。
【0013】
上述した従来技術の問題点に鑑みて、本発明の目的は、搬送路(搬送面)の繋ぎ目の隙間や段差をなくすことで、ワークの破損を防止し安定姿勢で高速搬送することが可能な構成のワークの整列搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のワークの整列搬送装置は、ワークの移送路となる移送面が形成され水平回転する整列用ディスクを備えた回転式フィーダと、前記移送路からワークを次工程に供給するためワークの搬送路となる搬送面が形成され水平回転する複数の搬送用ディスクを備えた直線式フィーダから構成され、前記回転式フィーダ上には、前記移送面が独立したワーク搬送路となるように区画する円弧状の整列壁が配されているとともに、前記直線式フィーダ上には、前記ワーク搬送路を引き継いで前記搬送面が独立したワーク搬送路となるように区画する直線状の整列壁が配されており、これら前記搬送用ディスクが上流側が上で下流側が下となるようにそれぞれの外周縁が一部重なって配されており、それぞれの外周縁同士の段差が0.1mm以下となっていることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、これら前記搬送用ディスクが上流側が上で下流側が下となるようにそれぞれの外周縁が一部重なって配されていることで前記ワークの搬送路となる搬送面の隙間をなくすことができ、前記搬送用ディスクそれぞれの外周縁同士の段差が0.1mm以下となっていることでワークの破損を防止し安定姿勢で高速搬送することができる。
【0016】
本発明は、前記円弧状の整列壁と前記直線状の整列壁とが一対一で連結されて独立した複数列のワーク移送路となるように区画されており、前記ワークがそれぞれ複数列で整列搬送されることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、前記円弧状の整列壁と前記直線状の整列壁とが一対一で連結されて独立した複数列のワーク移送路となるように区画されており、これら前記整列壁の配置数に応じてワークの搬送能力を飛躍的に高めることができ、ワークを従来よりも大幅に高速搬送することが可能な構成となる。
【0018】
前記円弧状の整列壁や前記直線状の整列壁の材質としては、ステンレス、鋼、ニッケル、アルミニウム、真鍮、銅等の金属材料が用いられる。これは、ワークとの摩擦による静電気の発生を極力抑えるためである。ワークと前記円弧状の整列壁と前記直線状の整列壁との摩擦抵抗が大きいとワークに回転力が加わり、ワークがスムーズに流れ難くなることから、ワークとの摩擦抵抗を小さくするため前記整列壁のワークとの接触面(前記整列壁の側面)は、鏡面仕上げが好ましい。
【0019】
本発明は、前記整列用ディスクが上で前記搬送用ディスクが下となるようにそれぞれの外周縁が一部重なって配されており、前記整列用ディスクの外周縁がその厚みが0.1mm以下の薄板となっていることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、前記整列用ディスクが上で前記搬送用ディスクが下となるようにそれぞれの外周縁が一部重なって配されており、前記整列用ディスクの外周縁がその厚みが0.1mm以下の薄板となっていることで、前記回転式フィーダから前記直線式フィーダへの搬送路の隙間をなくすことができ、安定姿勢で高速搬送することができる。
【0021】
本発明は、前記搬送用ディスクの外周縁がその厚みが0.005〜0.1mmの範囲内に設定された金属製の薄板となっており、前記薄板が前記ディスク本体に着脱自在に取付けられていることを特徴とする。
【0022】
本発明は、前記整列用ディスクの外周縁がその厚みが0.005〜0.1mmの範囲内に設定された金属製でリング形状の薄板となっており、前記薄板が前記ディスク本体に着脱自在に取付けられていることを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、その厚みが0.005〜0.1mmの範囲内に設定された金属製でリング形状の薄板が前記ディスク本体に着脱自在に取付けられていることで、前記ディスクの外周縁を剛性のある金属製としつつ、そのメンテナンスが容易となる。
【0024】
前記薄板の材質としては、ステンレス、鋼、ニッケル、硬質アルミニウム等の比較的剛性の高い金属材料が用いられる。前記薄板の形状としては、円板形状又はリング形状が挙げられる。前記薄板が前記ディスク本体に着脱自在に取付けられていることで、摺動部材である前記薄板を定期的に交換することが容易である上、ワークの形状や材質に応じて前記薄板を適宜選択して取付けることが容易となる。前記薄板を導電性のある金属製とすることで、静電気の発生が抑止され、ワークが静電気のために搬送され難くなることが防止されるとともに、ワークの静電破壊が誘発されることが防止される。
【発明の効果】
【0025】
本発明のワークの整列搬送装置によれば、前記搬送用ディスクが上流側が上で下流側が下となるようにそれぞれの外周縁が一部重なって配されていることで前記ワークの搬送路となる搬送面の隙間をなくすことができ、前記搬送用ディスクそれぞれの外周縁同士の段差が0.1mm以下となっていることでワークの破損を防止し安定姿勢で高速搬送することができる。本発明によれば、前記円弧状の整列壁と前記直線状の整列壁とが一対一で連結されて独立した複数列のワーク移送路となるように区画されており、これら前記整列壁の配置数に応じてワークの搬送能力を飛躍的に高めることができ、ワークを従来よりも大幅に高速搬送することが可能な構成となる。
【0026】
本発明によれば、前記整列用ディスクが上で前記搬送用ディスクが下となるようにそれぞれの外周縁が一部重なって配されており、前記整列用ディスクの外周縁がその厚みが0.1mm以下の薄板となっていることで、前記回転式フィーダから前記直線式フィーダへの搬送路の隙間をなくすことができ、安定姿勢で高速搬送することができる。本発明によれば、その厚みが0.005〜0.1mmの範囲内に設定された金属製でリング形状の薄板が前記ディスク本体に着脱自在に取付けられていることで、前記ディスクの外周縁を剛性のある金属製としつつ、そのメンテナンスが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明を適用した実施形態のワークの整列搬送装置を模式的に示す斜視図である。
【図2】上記実施形態のワークの整列搬送装置を示す平面図である。
【図3】上記実施形態のワークの整列搬送装置を側面側から見た要部断面図である。
【図4】上記実施形態のワークの整列搬送装置の投入用ディスクと整列用ディスクを側面側から見た断面図である。
【図5】上記整列用ディスクに形成された移送面を拡大して示す断面図である。
【図6】上記実施形態のワークの整列搬送装置の直線式フィーダを上面側から見た要部平面図である。
【図7】上記直線式フィーダを側面側から見た要部断面図である。
【図8】上記直線式フィーダを側面側から見た要部断面拡大図である。
【図9】上記直線式フィーダの外周縁に用いられる薄板を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図10】上記直線式フィーダの外周縁に用いられる薄板の他の例を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図11】上記実施形態の直線式フィーダの他の例を上面側から見た要部平面図である。
【図12】上記実施形態の直線式フィーダの他の例を上面側から見た要部平面図である。
【図13】本発明を適用した実施形態のワークの整列搬送装置の他の例を側面側から見た要部断面図である。
【図14】上記実施形態のワークの整列搬送装置の投入用ディスクを側面側から見た断面図である。
【図15】上記投入用ディスクに形成された移送面を拡大して示す断面図である。
【図16】上記実施形態のワークの整列搬送装置の他の例を示す平面図である。
【図17】上記実施形態の投入用ディスクと受け渡し用ディスクの他の例を模式的に示す平面図である。
【図18】上記実施形態のワークの整列搬送装置を備えたワークの外観検査装置を示す平面図である。
【図19】上記実施形態のワークの外観検査装置を示す側面図である。
【図20】従来のワークの整列供給装置を例示する斜視図である。
【図21】上記従来のワークの整列供給装置の排出部を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は断面図である。
【図22】従来のワークの整列供給装置の他の例を示す平面図である。
【図23】上記従来のワークの整列供給装置の検査用ディスク同士の配置を示す斜視図であり、(a)は面一で配されている構成例であり、(b)は外周縁が一部重なって配されている構成例である。
【図24】ワークを例示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(ワークの整列搬送装置)
本発明を適用した実施形態のワークの整列搬送装置(ワークの整列搬送装置1)を例示する斜視図を図1に示す。図2は、上記実施形態のワークの整列搬送装置1を示す平面図である。図3は、上記実施形態のワークの整列搬送装置を側面側から見た要部断面図である。図4は、上記実施形態のワークの整列搬送装置の投入用ディスクと整列用ディスクを側面側から見た断面図である。図5は、上記整列用ディスクに形成された移送面を拡大して示す断面図である。
【0029】
本実施形態のワークの整列搬送装置1は、中央付近がドーナツ状に窪んだ窪み部K1が一体的に形成された浅皿形状を呈して水平回転する投入用ディスクD1と、深皿状に窪んだ凹部K2によって投入用ディスクD1を下から抱えて投入用ディスクD1と独立して水平回転する整列用ディスクD2とを備える(図2、図3)。投入用ディスクD1は、窪み部K1の所定位置に投入されたワーク20を整列用ディスクD2まで移動させるためのものであり、投入用ディスクD1の中心線P1−P1線上で連結固定された上向きの回転軸171で回転する(図3)。整列用ディスクD2は、投入用ディスクD1の外周に近接してワーク20の移送路となる移送面T2aが形成され前記上向きの回転軸171と同心で回転する構成となっている。整列用ディスクD2の外周側にはリング形状の鍔部T2が設けられており、前記凹部K2の外周側が平らな移送面T2aを有する鍔部T2となっている(図3)。そして、鍔部T2の上面T2aの高さは、投入用ディスクD1の高さよりも若干高い位置に設定されて平坦部を構成し、ワーク20の搬送面となる(図5)。
【0030】
本実施形態では、前記移送路からワーク20を次工程に供給するための直線式フィーダ70が付設されている(図1、図2)。直線式フィーダ70には、上向きの回転軸で前記移送面T2aと面一で回転する複数の搬送用ディスクD8と、搬送用ディスクD8の搬送面T3a上に近接配置されて前記移送路の矢印N2で示す領域から搬送されるワーク20を複数列で整列搬送させる整列壁J(J1,J2,J3)が備わっている(図1、図2、図7)。直線式フィーダ70の基台E2は、搬送用ディスクD8の厚みの分だけ、本体の基台E1よりも下の位置となっており(図1)、複数の搬送用ディスクD8がワーク20の進行方向に千鳥配置となっている(図2、図6)。複数の搬送用ディスクD8は、駆動モータM8からのベルト駆動によって回転する。図2、図6に示す例では、複数の搬送用ディスクD8のうち、手前側が時計回り(符号cw方向)に回転し、向う側が反時計回り(符号ccw方向)に回転することで、ワーク20を排出口(矢印N3で示す排出ライン)へと搬送する。整列壁J(J1,J2,J3)は、前記ワーク移送路を引き継ぎ一対一で対応した独立した2列でワーク20を整列搬送させるために沿わせて整列させる帯状の部材であり、独立した2列で搬送されるワーク20のうち、手前側は、整列壁J2の側面に沿って搬送され、向う側は、整列壁J3の側面に沿って搬送される。整列壁Jの具体的な材質としては、ステンレス、アルミ、鉄等の金属板や、ポリアセタール、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエチレン、フッ素樹脂化合物等のプラスチック板が挙げられる。ワーク20への静電気の影響をなくす観点からは、整列壁Jの材質としては、ステンレス、アルミ、鉄等の導電性の金属板が好ましい。整列壁J(J1,J2,J3)は、図示しないが、基台E2上に配設された支持部材の支持アームから吊り下げられて搬送用ディスクD8の搬送面T3a上に近接配置させるように支持される。本実施形態によれば、直線式フィーダ70によって、ワーク20を独立した複数列で揃わせながら整列搬送させて前記移送路からワーク20を次工程にスムーズに供給することが容易となる。そして、ワーク20の搬送速度を高めて次工程に供給することとなる。
【0031】
図6は、上記実施形態のワークの整列搬送装置1の直線式フィーダ70を上面側から見た要部平面図である。図7は、上記直線式フィーダ1を側面側から見た要部断面図であり、図8は、その要部断面拡大図である。図9は、上記直線式フィーダ1の外周縁に用いられる薄板D88を示す図であり、図9(a)は平面図であり、図9(b)は側面図である。
【0032】
本実施形態は、ワーク20の移送路となる移送面T2aが形成され水平回転する整列用ディスクD2を備えた回転式フィーダ90と、前記移送路からワーク20を次工程に供給するためワークの搬送路となる搬送面T3aが形成され水平回転する複数の搬送用ディスクD8を備えた直線式フィーダ70から構成され、回転式フィーダ90上には、移送面T2aが独立したワーク搬送路となるように区画する円弧状の整列壁Gが配されているとともに、直線式フィーダ70上には、前記ワーク搬送路を引き継いで搬送面T3aが独立したワーク搬送路となるように区画する直線状の整列壁Jが配されている(図1、図2、図6)。本実施形態では、これら搬送用ディスクD8が上流側が上で下流側が下となるようにそれぞれの外周縁D88が一部重なって配されており、それぞれの外周縁D88同士の段差が0.1mm以下の薄板となっている(図6、図7、図8を参照)。そして、整列用ディスクD2が上で搬送用ディスクD8が下となるようにそれぞれの外周縁が一部重なって配されており、整列用ディスクD2の外周縁D28がその厚み(符号881)が0.1mm以下の薄板となっている(図8を参照)。
【0033】
図7に示すように、前記整列壁Jは搬送用ディスクD8の搬送面T3a上に近接配置されている。整列壁Jと搬送面T3aとの隙間S3は、ワーク20が搬送路に沿って進行方向Xaにて搬送されるように所定範囲内の間隔が設けられており、隙間S3は、例えば0.05〜0.2mmに設定される。図8に示すように、前記搬送用ディスクD8が上流側が上で下流側が下となるようにそれぞれの外周縁となる薄板D88が一部重なって配されており、それぞれの外周縁同士の段差(符号889)が0.1mm以下となっている。
【0034】
例えば、ワーク20が図24(a)に示すようなチップキャパシタ21であり、その寸法が、20Hが0.3mm、20Wが0.3mm、20Lが0.6mmの部品であるとする。この場合の設定としては、例えば、整列壁Jの隙間S3を0.1mmとし、薄板D88の板厚D88を0.02mmとする。そうすると、搬送用ディスクD8の外周縁となる薄板D88同士の重なりによる段差(符号889)が約0.02mmとなり、ワーク21(20)がスムーズに搬送用ディスクD8同士の受渡し部である段差889を跨いで搬送されることとなる。
【0035】
上述のように、本実施形態によれば、ワーク20の搬送路となる搬送面T3a同士の隙間をなくすことができるとともに、ワーク20の移送面T2aと搬送面T3aとの隙間をなくすことができ、ワーク20の破損を防止し安定姿勢で高速搬送することができる構成となる。
【0036】
ここでは、整列用ディスクD2に近接配置される上流側の搬送用ディスクD8は、下流側の搬送用ディスクD8よりもその外径が大きく設定されている。これは、ワーク20を整列用ディスクD2から搬送用ディスクD8へとスムーズに受渡しさせるためである(図6)。
【0037】
図9は、上記直線式フィーダ70の外周縁に用いられる薄板D88を示す図であり、図9(a)はその平面図であり、図9(b)はその側面図である。図9に示す例では、リング形状の薄板D88が搬送用ディスクD8の本体D85に着脱自在に取付けられている。例えば、薄板D88の内径882を図示しない搬送用ディスク本体D85の中央突起部に嵌め込んで上から押さえて挟んで取付け固定する構成となっている。
【0038】
図10は、上記直線式フィーダ70の外周縁に用いられる薄板D88の他の例を示す図であり、図10(a)はその平面図であり、図10(b)はその側面図である。図10に示す例では、円板形状の薄板D88が搬送用ディスクD8に着脱自在に取付けられている。例えば、薄板D88の中央に穴を設けて搬送用ディスク本体D85の中央にねじ止めによって取付け固定する構成となっている。
【0039】
前記薄板D88の材質としては、ステンレス、鋼、ニッケル、硬質アルミニウム等の比較的剛性の高い導電性の金属材料が用いられる。薄板D88の形状としては、円板形状又はリング形状が挙げられる。薄板D88が搬送用ディスクD8の本体D85に着脱自在に取付けられていることで、摺動部材である薄板D88を定期的に交換することが容易である上、ワーク20の形状や材質に応じて薄板D88を適宜選択して取付けることが容易となる。
【0040】
例えば、薄板D88は、その厚み881が0.005〜0.1mmの範囲内に設定された金属製の薄板となっている。本実施形態によれば、搬送用ディスクD8の外周縁を剛性のある金属製としつつ、そのメンテナンスが容易となる。
【0041】
前記薄板D88は導電性のある金属製としており、これは、その厚みを薄くしつつ剛性を高めて撓み難くすることでワーク20をスムーズに搬送させるためであるとともに、静電気の発生を防止するためである。搬送用ディスクD8の薄板D88上の搬送面T3aとワーク20との間、及び薄板D88同士の重なっている部位では、整列壁Jとワーク20との間で発生する静電気に比べて、はるかに大きな静電気が発生する。それは、搬送されるワーク20と薄板D88との接触圧が大きく、その間の滑り(摩擦)度合が桁違いに大きいからである。特に本実施形態のように搬送用ディスクD8の薄板D88がその周辺部を互いに押え合って接触しながら高速回転するフィーダでは、搬送用ディスクD8同士の摩擦によっても静電気が発生する。このため、これら搬送用ディスクD8には静電気の発生を抑止するとともに、電荷が溜らないように大地へ逃す対策が施されている。つまり、導電性を有する金属製の薄板D88とすることで、静電気の発生を防止するとともに、搬送用ディスクD8から電気的な接地(符号GND)処理を施している(図8を参照)。本実施形態によれば、ワーク20が静電気のために搬送され難くなることが防止されるとともに、ワーク20の静電破壊が誘発されることが防止される。
【0042】
本実施形態では、上述の搬送用ディスクD8の構成と同様に、整列用ディスクD2についても、その外周縁がその厚みが0.005〜0.1mmの範囲内に設定された金属製でリング形状の薄板D25となっており、薄板D25が搬送用ディスクD8の本体D25に着脱自在に取付けられている構成となっている。本実施形態によれば、整列用ディスクD2の外周縁を剛性のある金属製としつつ、そのメンテナンスが容易となる。
【0043】
前記投入用ディスクD1の外周側の上端と鍔部T2とは、例えば、ワーク20が落下しない程度に僅かの隙間S9があり、互いに非接触で同じ回転方向で水平回転する(図5を参照)。図2に示す例では上から見て反時計回り(符号ccw)に回転する構成であるが、回転方向は任意に設定できる。より具体的には、隙間S9の大きさは、ワーク20の高さ(又は外径)20Hよりも小さい値に設定され、投入用ディスクD1と整列用ディスクD2とが互いに非接触で水平回転できる範囲内の大きさに設定される。
【0044】
内側に配された投入用ディスクD1の中心線P1−P1線上で連結固定された回転軸171は、筐体プレートE4の上側に一体的に固定された基部151に配された軸受けを介して回転自在に基部151の中心を貫通して、筐体プレートE4の下側に取り付けられ支持された駆動手段(駆動モータ)M1の駆動軸にカップリング接続される(図3、図4)。外側に配された整列用ディスクD2は、その下方が基部151の外周側面に配された軸受けを介して基部151に回転自在に設置され、整列用ディスクD2の下方に一体形成されたプーリ(プーリ大)と、筐体プレートE4の下側に取り付けられ支持された駆動手段(駆動モータ)M2の駆動軸の上方に連結固定されたプーリ(プーリ小)とがベルト152によってベルト接続される(図3、図4)。このベルト接続によって、小さな駆動力の駆動モータM2であっても外側の整列用ディスクD2を同心で水平回転させることが容易となる。
【0045】
符号50は、ワーク20をドーナツ状の窪み部K1に供給する供給部材(ホッパ)である。ホッパ50は、例えば、その内周側面に螺旋状のワーク搬送溝が形成された円筒容器と、前記円筒容器の外周側面に接触して回転するローラが接続された駆動モータと、前記円筒容器の外周側面を受ける半円筒形状の受け台と、前記円筒容器の開口部から出されたワーク20をドーナツ状の窪み部K1に向けて滑り落とすために、所定角度で斜め下方に向いている滑り台から構成され(図1)、ワーク20が一度に多量に外に飛び出さないようにワーク供給量が制限されている。窪み部K1へのワーク20の供給方法としては、上記方法の他、バルク詰め容器を微振動させながら滑り台から供給する方法や、バッチ式に所定量のワークを直接置く方法や、小型のパーツフィーダにて連続供給する方法などが挙げられる。
【0046】
符号F1(F2)は、窪み部K1に投入されて投入用ディスクD1の回転によって移動したワーク20を整列用ディスクD2の移送面T2aへと受け渡すための受け渡し用ディスクである(図1〜図3)。投入用ディスクD1が上向きの回転軸171で水平回転するのに対して、受け渡し用ディスクF1は、斜め下向きの回転軸175にて回転し、同様に、受け渡し用ディスクF2は、斜め下向きの回転軸176にて回転する(図1)。受け渡し用ディスクF1はモータM31に連結されており、受け渡し用ディスクF2はモータM32に連結されている。モータM31の回転数は、モータM32の回転数とは概ね同じ回転数である。受け渡し用ディスクF1(F2)は、その外周に沿ってワーク掻き上げ用のワイヤが外向きのブラシ状に植毛されており、前記ドーナツ状の窪み部K1の底部から内周側面にかけて摺接するように斜めに配される(図3)。すなわち、投入用ディスクD1の窪み部K1の底部から外周側の上面T1aまで緩やかな曲率として形成される内周側面に対し、受け渡し用ディスクF1(F2)の外周端(本実施形態では植毛されたワイヤブラシ)が摺接しながら、ワーク20を前記底部から除々に凹状の内周側面に沿うようにして掻き上げて、整列用ディスクD2の外周側の上面T2aへとワーク20を受け渡す。図2に示す例では、受け渡し用ディスクF1(F2)は、上から見て反時計回りの符号C1(C2)で回転する構成であるが、受け渡し用ディスクF1(F2)の回転方向と投入用ディスクD1の回転方向とは上から見て同じ向きであれば良く、回転方向を時計回りとする構成でも良い。
【0047】
受け渡し用ディスクF1(F2)の本体外径は、投入用ディスクD1の窪み部K1の内径の1/2以下で1/4以上の大きさに設定される(図2、図3)。これは、受け渡し用ディスクF1とF2の間隔を開けつつ、窪み部K1の凹状の内周側面に沿うように受け渡し用ディスクF1(F2)の外周端を摺接させるためである。そして、本実施形態では、受け渡し用ディスクF1(F2)は、その外周にワイヤブラシが植毛されており、窪み部K1に投入されたワーク20を受け渡し用ディスクF1(F2)の外周の植毛ワイヤブラシ上に載せるとともに、自身の回転により前記植毛ワイヤブラシ上に載せたワーク20を整列用ディスクD2の移送面T2aに移載させる動作をする。なお、受け渡し用ディスクF1(F2)の外周のワイヤブラシをなくして、その外周を柔らかいプラスチックやラバー状とし、投入されたワーク20を受け渡し用ディスクF1(F2)の外周端上に載せる構成としても良い。
【0048】
前記投入用ディスクD1の上向きの回転軸171の周りには、回転対称で180度の等間隔にて2つの受け渡し用ディスクF1,F2が配されている(図1、図3)。つまり、投入用ディスクD1の鉛直な中心線P1−P1線の周りに、受け渡し用ディスクF1の斜めの中心線Q1−Q1があり、180度回転対称な位置に受け渡し用ディスクF2の斜めの中心線Q2−Q2がある(図1)。鉛直な中心線P1−P1線と斜めの中心線Q1−Q1(斜めの中心線Q2−Q2)とがなす角度は、窪み部K1の形状に応じて5度から50度の範囲内で設定される。
【0049】
前記整列用ディスクD2は、前記投入用ディスクD1と同一方向に回転し、整列用ディスクD2の回転速度は、投入用ディスクD1の回転速度よりも大きな値に設定される。好ましくは、整列用ディスクD2の回転速度は、投入用ディスクD1の回転速度の2倍以上かつ4倍以下の回転速度に設定される。これは、外周速度が速くなるほど、搬送されるワーク20が接線方向に従い、その搬送姿勢が安定するからである。また、受け渡し用ディスクD1から整列用ディスクD2へのワーク20の受渡しがスムーズになるように整列用ディスクD2の回転速度の上限値が設定される。そして、前記受け渡し用ディスクD1から整列用ディスクD2へのワーク20の受渡しがスムーズになるように、前記受け渡し用ディスクF1,F2は、整列用ディスクD2の回転速度よりも速い回転速度に設定される。
【0050】
ワーク20は、搬送面T2aに載置された状態で、整列用ディスクD2の回転によって移動する。そして、整列用ディスクD2の回転速度から投入用ディスクD1の回転速度を差し引いた速度増加分によって、鍔部T2への移動の際に搬送させるワーク20同士の間隔を開けてワーク同士の重なりをなくしつつ整列搬送させる。
【0051】
内側の投入用ディスクD1と外側の整列用ディスクD2は、例えばステンレスやアルミ等の金属製である。平坦な移送面T2aを備えた鍔部T2の材質としては、ステンレスやアルミ等の金属製、ガラス製、セラミックス製等が適用される。外側の整列用ディスクD2の上面と鍔部T2の下面とは、例えば接着剤により接着され、整列用ディスクD2の下側からネジ止めされ一体形成される。
【0052】
本実施形態では、前記鍔部T2の移送面T2aを内周側と外周側とに区画するためのガイド板Gが前記鍔部T2の移送面T2a上に近接配置されている(図4、図5)。ガイド板Gは、帯状の板からなり、所定の曲率で曲げ易くするため、その厚みが1mm以下に設定される。ガイド板Gの具体的な材質としては、ステンレス、アルミ、鉄等の金属板や、ポリアセタール、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエチレン、フッ素樹脂化合物等のプラスチック板が挙げられる。ワーク20への静電気の影響をなくす観点からは、ガイド板Gの材質としては、ステンレス、アルミ、鉄等の導電性の金属板が好ましい。ガイド板Gは、基台E1上に配設された支持部材160の支持アームから吊り下げられて支持される(図4、図5)。ガイド板G1は前記鍔部T2の移送面T2a上に隙間S1で近接配置されており、ガイド板G2は前記鍔部T2の移送面T2a上に隙間S2で近接配置されている(図4、図5)。これらの隙間S1,S2は搬送されるワーク20の高さ20Hよりも小さい値に設定される。隙間S1,S2の設定の仕方としては、例えば、所定厚みのゲージを移送面T2a上に載置して、ガイド板Gを前記ゲージがスライドして動く程度の高さとなるよう上下にスライドさせて位置決めする。
【0053】
前記ガイド板Gは、受け渡し用ディスクF1から前記鍔部T2の移送面T2a上に受け渡されたワーク20を整列させながら前記移送面T2aを内周側と外周側とに区画する第1のガイド板G1と、受け渡し用ディスクF2から前記鍔部T2の移送面T2a上に受け渡されたワーク20を整列させながら前記移送面T2aを内周側と外周側とに区画する第2のガイド板G2とから構成される(図1、図2、図4、図5)。前記鍔部T2の内周T2cの周長さに対して、第1のガイド板G1はほぼ1周分の長さがあり、第2のガイド板G2はほぼ半周分の長さがある(図2)。図2に示す例では、1つのガイド板G1,G2となっているが、ガイド板G1(G2)を複数に分割配置しても良い。そして、局所的に内側や外側に動かすか変形させてワーク20の移送路を独立した複数列に区画形成する。
【0054】
第1のガイド板G1は、受け渡し用ディスクF1からワーク20を受け渡す地点では、鍔部T2の内周T2cに対して外側の位置に配されており、徐々にその間隔を小さくしてワーク20の巾と同じ程度まで狭くし、受け渡し用ディスクF2の配されている領域(矢印N1で示す領域)に入ると、鍔部T2の内周T2cに対して外側の位置となり、第2のガイド板G2の外回りに配置される(図2)。第2のガイド板G2は、受け渡し用ディスクF2からワーク20を受け渡す地点では、鍔部T2の内周T2cに対して外側の位置に配されており、徐々にその間隔を小さくしてワーク20の巾と同じ程度まで狭くし、そのままの間隔で整列用ディスクD2における移送路の排出領域付近(矢印N2で示す領域)まで配されており、そして、矢印N2で示す領域では、ワーク20が独立した2列で整列搬送されることとなる(図2)。上記のように、ガイド板G1、(G2)が徐々に鍔部T2の内周T2cとの間隔を小さくしてワーク20の巾と同じかワーク20の巾の2倍未満とすることで、ワーク20を搬送しながら1列に整列させることとなる。第1のガイド板G1がワーク20を1列に整列させる範囲は、受け渡し用ディスクF1からF2までの範囲で行なわれ、また、第2のガイド板G2がワーク20を1列に整列させる範囲は、受け渡し用ディスクF2からF1までの範囲で行なわれる(図2)。
【0055】
前記内側の投入用ディスクD1が反時計回り(図1の矢印ccw方向)に回転すると、窪み部K1の所定場所に着地したワーク20が反時計回りに移動して、受け渡し用ディスクF1(F2)の外周に植毛されたワイヤブラシによって、ワーク20を前記窪み部K1の底部から除々に凹状の内周側面に沿うようにして掻き上げて、掻き上げ過程でワーク20を前記ワイヤブラシ上に載せるとともに、自身の回転により整列用ディスクD2の鍔部T2の移送面T2aへとワーク20を移載する。移載されたワーク20は、ガイド部材G1(G2)によって徐々に一列に整列させられながら搬送され、半周ないし1周近く周回して、直線式フィーダ70によって、独立した2列でワーク20を揃わせながら整列搬送させて前記移送路からワーク20を次工程に供給する(図1、図2)。本実施形態によれば、受け渡し用ディスクF1,F2と、ガイド部材G1,G2とを適切に配することで、ワーク20の搬送能力が、従来の受け渡し用ディスク1枚に比べて約2倍の搬送能力となる。そして、受け渡し用ディスクF1(F2)から整列用ディスクD2へのワーク20の受渡しがほぼ同じ軌道となり、内周側移送路と外周側移送路とでワーク20を揃わせながら独立した2列で整列搬送させることとなる。
【0056】
そして、前記円弧状の整列壁Gと前記直線状の整列壁Jとが一対一で連結されて独立した複数列のワーク移送路となるように区画されており、ワーク20がそれぞれ複数列で整列搬送される構成となっている。
【0057】
図16は、上記実施形態のワークの整列搬送装置1の他の例を示す平面図である。そして、図11は、上述の直線式フィーダ70の他の例を上面側から見た要部平面図である。ここで、同一の符号は同じ機能を表しており、その説明を一部省略する。本実施例では、3つの受け渡し用ディスクF1,F2,F3が、投入用ディスクD1の上向きの回転軸171の周りに120度間隔で配される構成となっている。そして、ガイド板G1,G2,G3によって、ワーク20の移送路が3つに区画される。受け渡し用ディスクF1,F2,F3は、3つのモータM3にそれぞれ連結されており(図示せず)、それぞれ斜め下向きの回転軸175,176,177によって回転し、前記上向きの回転軸171の周りに等間隔で回転対称となるように配されている(図16)。そして、4つの整列壁J(J1,J2,J3,J4)が配された直線式フィーダ70によって、独立した3列でワーク20を揃わせながら整列搬送させて前記移送路からワーク20をスムーズに次工程に供給する(図11)。
【0058】
図17は、上記実施形態の投入用ディスクと受け渡し用ディスクの他の例を模式的に示す平面図である。そして、図12は、上述の直線式フィーダ70の他の例を上面側から見た要部平面図である。この例では、4つの受け渡し用ディスクF1,F2,F3,F4が、投入用ディスクD1の上向きの回転軸171の周りに90度間隔で配される構成となっている(図17)。そして、5つの整列壁J(J1,J2,J3,J4,J5)が配された直線式フィーダ70によって、独立した4列でワーク20を揃わせながら整列搬送させて前記移送路からワーク20をスムーズに次工程に供給する(図12)。
【0059】
前記円弧状の整列壁Gや直線状の整列壁Jの材質としては、ステンレス、鋼、ニッケル、アルミニウム、真鍮、銅等の金属材料が用いられる。これは、ワーク20との摩擦による静電気の発生を極力抑えるためである。ワーク20と円弧状の整列壁Gと直線状の整列壁Jとの摩擦抵抗が大きいとワーク20に回転力が加わり、ワーク20がスムーズに流れ難くなることから、ワーク20との摩擦抵抗を小さくするため整列壁G,Jのワークとの接触面(前記整列壁の側面)は、鏡面仕上げが好ましい。前記薄板D88を導電性のある金属製とすることで、静電気の発生が抑止され、ワーク20が静電気のために搬送され難くなることが防止されるとともに、ワーク20の静電破壊が誘発されることが防止される。
【0060】
(他の構成例)
図13は、上記実施形態のワークの整列搬送装置の他の構成例を側面側から見た要部断面図である。図14は、上記実施形態のワークの整列搬送装置11の投入用ディスクD11を側面側から見た断面図である。図15は、上記投入用ディスクD11に形成された移送面T2aを拡大して示す断面図である。ここで、同一の符号は同じ機能を表しており、その説明を一部省略する。本実施形態のワークの整列搬送装置11は、中央付近がドーナツ状に窪んだ窪み部K1が一体的に形成された浅皿形状を呈して水平回転する投入用ディスクD1を備え、投入用ディスクD11の外周にはワーク20の移送路となる移送面T2aが一体的に形成されている。この構成によって、投入用ディスクD11に形成された窪み部K1の凹状の内周面から前記移送面T2aまでの隙間をなくすことができ、薄くて小さいワーク20についても隙間に引っ掛かることなくスムーズな移送ができる。本実施形態においても、前記投入用ディスクD11の上向きの回転軸171の周りに回転対称で間隔をおいて2つの受け渡し用ディスクF1,F2が投入用ディスクD11の上向きの回転軸171の周りに180度間隔で配されている構成(図13の構成)に加え、それ以外に、3つの受け渡し用ディスクF1,F2,F3が投入用ディスクD11の上向きの回転軸171の周りに90度間隔で配されている構成(図11と図16の構成を参照)や、4つの受け渡し用ディスクF1,F2,F3,F4が投入用ディスクD11の上向きの回転軸171の周りに90度間隔で配される構成(図12と図17の構成を参照)としても良い。
【0061】
(ワークの外観検査装置)
図18は、上記実施形態のワークの整列搬送装置1(又はワークの整列搬送装置11)を備えたワークの外観検査装置2を模式的に示す平面図である。図19は、上記実施形態のワークの外観検査装置2を示す側面図である。本実施形態のワークの外観検査装置2は、上述の実施形態のワークの整列搬送装置1(又はワークの整列搬送装置11)と、その直線式フィーダ70から複数列で独立したワーク搬送路で整列搬送されるワーク20を一対一で対応した複数列で独立した中継路で中継して搬送する搬送溝を有する無振動中継台80と、前記無振動中継台80から複数列で独立した中継路で整列搬送されるワーク20を一対一で対応した複数列で独立した第1の経路で受け取り回転搬送する第1の回転インデクサ4と、前記第1の回転インデクサ4の下方側に配され前記第1の回転インデクサ4から複数列で独立した第1の経路で整列搬送されるワーク20を一対一で対応した複数列で独立した第2の経路で受け取り回転搬送する第2の回転インデクサ5とを備える(図18、図19)。第1のインデクサ4は、円板形状の外周に所定間隔で形成された第1の吸着口(符号41)にてワーク20をエア吸着して横向きの回転軸45で回転し搬送するものであり、第2のインデクサ5は、円板形状の外周に所定間隔で形成された第2の吸着口(符号51)によって第1のインデクサ4上のワーク20をエア吸着し横向きの回転軸55で逆回転し(第1のインデクサ4の回転方向cwと逆方向の回転方向ccwに回転し)搬送するものである(図18、図19)。
【0062】
前記インデクサには、その外周面に前記直線式フィーダ70及び無振動中継台80からの複数列(図18、図19に示す例では2列)と対応した複数列の溝が平行して形成されている。前記複数列の溝は、ワーク20を整列搬送するためにその断面がV字形状の溝(V溝)となっており、直方体形状のワーク21(20)の二側面を沿わせて搬送することや、円柱形状のワーク24(20)の側面を沿わせて搬送することができる。なお、前記V溝を形成せずに、平坦で溝のない外周面の所定位置に前記無振動中継台80からの複数列と対応した複数列でワークを吸引搬送する第1の吸着口41と第2の吸着口51を配する構成として、直方体形状のワーク21(20)の一面を沿わせて搬送したり、四角形で薄板形状のワーク22(20)の底面や平面を沿わせて搬送したりしても良い。また、ワーク20のサイズによっては、断面が凹形状の溝とすることも可能である。断面が凹形状の溝の場合は、溝の深さを搬送されるワーク20の高さ20Hの半分よりも小さくする必要がある。
【0063】
第1のインデクサ4の斜め下に第2のインデクサ5が近接配置されており、第2の回転軸55と第1の回転軸45とが平行に配されている(図19)。
【0064】
図19に示す構成例では、直方体形状のワーク21(20)の6面を撮像できるようにするために6つの撮像カメラ61,62,63,64,65,66が所定箇所に配されている)。図19に示す構成例では、直方体形状のワーク21(20)の二面を直線式フィーダ70と無振動中継台80の上面のV溝に沿わせて搬送させ、第1のインデクサ4に受け渡し、第1のインデクサ4の右横方向の手前45度の位置に配された撮像カメラ64にてワーク20を手前の側面側から撮像し、第1のインデクサ4の右横方向の向う45度の位置に配された撮像カメラ63にてワーク20を向うの側面側から撮像し、第1のインデクサ4から第2のインデクサ5に受け渡し、第2のインデクサ5の左横方向の手前45度の位置に配された撮像カメラ61にて反転したワーク20を手前の側面側から撮像し、第2のインデクサ5の左横方向の向う45度の位置に配された撮像カメラ62にて反転したワーク20を向うの側面側から撮像し、第2のインデクサ4の左横方向の上45度の位置に配された撮像カメラ66にて反転したワーク20を正面側から撮像し、第2のインデクサ4の左横方向の下45度の位置に配された撮像カメラ65にて反転したワーク20を背面側から撮像し、全部で6面を撮像する。前記撮像カメラ61−66はCCDカメラであるが、被対象物の像を電子データに変換できればCCDカメラに限定されるものではなく、例えばCMOSカメラとしてもよい。そして、ワーク20はインデクサ4,5上を2列で搬送されており、説明図を省略しているが、前記撮像カメラは、符号61−66と似たような配置で、少し位置をずらしてさらに6台の撮像カメラが配されており、上記と同様な方法で、2列の他のワーク20についても、全部で6面を撮像する。つまり、搬送されるワーク1列について6つの前記撮像カメラを配置して、それぞれの列のワークを撮像することとなる。なお、前記撮像カメラの配置数は6つには限定されず、ワーク20の検査対象となる面の数に対応して前記撮像カメラの配置数を設定すれば良い。
【0065】
前記インデクサ4,5に形成された独立した複数列のワーク搬送溝は、ワーク同士が撮像の妨げとならないように適宜、溝同士の間隔を開けている。よって、インデクサ4の溝間隔は、直線式フィーダ70の溝間隔よりも大きく設定されることとなるが、両者の溝間隔の差異は、無振動中継台80の溝配置にてスムーズな溝連結ができるように設定されている。つまり、無振動中継台80の溝配置は、上から見て、ワーク20の進行方向に溝同士の間隔が開くように(概略ハの字形状に)調節されており、直線式フィーダ70の独立した複列のワーク搬送路とインデクサ4の独立した複列のワーク搬送路とを一対一で引き継いで連結させるアダプターとなっている。
【0066】
前記撮像カメラ61−66からの撮像信号は制御回路7に備わっている判定回路に送出され、前記判定回路によって良否判定されたワーク20は、制御回路7によって前記第2のインデクサ上でワーク解放用の噴射口へのエア噴射流を制御することで、第2のインデクサ5に近接配置された良否選別部82の判別排出口821,822,823から判別され排出される。本実施形態では、図示しないが、前記排出手段としてエア噴射流を利用しており、制御回路7が、第2のインデクサ5上でワーク20解放用の噴射口へのエア噴射流を制御して個々のワーク20を選別し分離回収する構成となっている。例えば、判別排出口823を不良排出用とし、判別排出口822を良品排出用とし、判別排出口821を強制排出用とする。前記制御回路7は、前記排出手段に加えて、ワークの整列搬送装置1、第1のインデクサ4、及び第2のインデクサ5を制御しており、例えば制御用PC(パソコン)が適用される。
【0067】
本実施形態によれば、上記構成によって、ワーク20を従来よりも大幅に高速搬送しつつ、良否判定して所定の排出口からそれぞれ対応させて排出することとなる。なお、前記インデクサ4,5に形成された独立した複数列のワーク搬送溝は、ワーク20の整列搬送装置1(又は整列搬送装置11)から供給されるワークの複数列に一対一で対応させたものである。例えば図2に示すワークの整列搬送装置1を用いる場合は、前記インデクサ4,5に形成されたワーク搬送溝は独立した2列となる。また、例えば図10に示すワークの整列搬送装置1を用いる場合は、前記インデクサ4,5に形成されたワーク搬送溝は独立した3列となる。上記実施形態では、第2のインデクサ5を第1のインデクサ4の斜め下に配置する例で説明したが、第2のインデクサ5は、第1のインデクサ4によって整列搬送されたワーク20を受け渡すことができる位置であって、撮像カメラ61−66や良否選別部82と干渉しない位置であれば良く、例えば、第2のインデクサ5を第1のインデクサ4の真下に配置することや、第2のインデクサ5を第1のインデクサ4に対して横向きで配置することもあり得る。
【0068】
以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。前記投入用ディスクの外周に近接してワークの移送路となる移送面が形成され、前記投入用ディスクの上向きの回転軸と同心で回転する整列用ディスクの外側にさらに前記上向きの回転軸と同心で回転する検査用ディスクを備え、ワークの移送経路を長くしてワークを移送しながら撮像カメラで撮像し良否選別する構成とすることも可能である。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0069】
1,11 ワークの整列搬送装置、
D1 投入用ディスク、
D2 整列用ディスク、
F1,F2,F3,F4 受け渡し用ディスク、
G 円弧状の整列壁(ガイド板)、
J 直線状の整列壁(ガイド板)、
70 直線式フィーダ、
90 回転式フィーダ、
T2 鍔部、T2a 移送面、
T3a 搬送面、
20 ワーク、
4 第1のインデクサ、
5 第2のインデクサ、
61,61,63,64,65,66 撮像カメラ、
7 制御回路、
82 良否選別部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの移送路となる移送面が形成され水平回転する整列用ディスクを備えた回転式フィーダと、前記移送路からワークを次工程に供給するためワークの搬送路となる搬送面が形成され水平回転する複数の搬送用ディスクを備えた直線式フィーダから構成され、前記回転式フィーダ上には、前記移送面が独立したワーク搬送路となるように区画する円弧状の整列壁が配されているとともに、前記直線式フィーダ上には、前記ワーク搬送路を引き継いで前記搬送面が独立したワーク搬送路となるように区画する直線状の整列壁が配されており、これら前記搬送用ディスクが上流側が上で下流側が下となるようにそれぞれの外周縁が一部重なって配されており、それぞれの外周縁同士の段差が0.1mm以下となっていることを特徴とするワークの整列搬送装置。
【請求項2】
前記搬送用ディスクの外周縁がその厚みが0.005〜0.1mmの範囲内に設定された金属製の薄板となっており、前記薄板が前記ディスク本体に着脱自在に取付けられていることを特徴とする請求項1記載のワークの整列搬送装置。
【請求項3】
前記整列用ディスクが上で前記搬送用ディスクが下となるようにそれぞれの外周縁が一部重なって配されており、前記整列用ディスクの外周縁がその厚みが0.1mm以下の薄板となっていることを特徴とする請求項1または2記載のワークの整列搬送装置。
【請求項4】
前記整列用ディスクの外周縁がその厚みが0.005〜0.1mmの範囲内に設定された金属製でリング形状の薄板となっており、前記薄板が前記ディスク本体に着脱自在に取付けられていることを特徴とする請求項3記載のワークの整列搬送装置。
【請求項5】
前記円弧状の整列壁と前記直線状の整列壁とが一対一で連結されて独立した複数列のワーク移送路となるように区画されており、前記ワークがそれぞれ複数列で整列搬送されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載のワークの整列搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−47128(P2013−47128A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185630(P2011−185630)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000147774)株式会社石川製作所 (36)
【出願人】(596044169)英光産業株式会社 (14)
【Fターム(参考)】