ワークの洗浄方法、ワーク、時計
【課題】時計のような精密機械の部品や電子部品をはじめとする各種ワークの汚れを効率的に除去できる洗浄方法、この洗浄方法で得られたワーク、および洗浄後のワークを備えた時計を提供すること。
【解決手段】ワークの洗浄方法は、ワーク20を、電解酸性水を満たした洗浄槽21により洗浄する工程と、電解アルカリ水を満たした洗浄槽22により洗浄する工程とを備える。それ故、ワーク20の洗浄効率が極めて高く、時計のような精密機械の部品(ワーク)の洗浄用として好適である。
【解決手段】ワークの洗浄方法は、ワーク20を、電解酸性水を満たした洗浄槽21により洗浄する工程と、電解アルカリ水を満たした洗浄槽22により洗浄する工程とを備える。それ故、ワーク20の洗浄効率が極めて高く、時計のような精密機械の部品(ワーク)の洗浄用として好適である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計のような精密機械の部品や電子部品をはじめとする各種ワークの洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
精密機械の部品や電子部品などは、製造工程で異物が付着することが多く、洗浄工程が必須である。例えば、腕時計を製造する場合、腕時計を組み立てる前に、各種の腕時計部品を製造する必要がある。このような腕時計部品の中には、製造途中で各種の加工を行うものが多い。かかる部品には、研磨剤や加工油などが付着することとなり、洗浄液により除去される。過去には、洗浄性に非常に優れるトリクロロエチレンが洗浄液として汎用されていた。しかし、トリクロロエチレンは、発がん性が指摘されるとともに土壌汚染や地下水汚染を引き起こす原因ともなるため、代替品が模索されている。
そこで、洗浄対象物であるワークに洗浄液を接触させて該ワークについた汚れを除去する際に、洗浄液の周囲の圧力を増加させる操作と減少させる操作とを行う洗浄方法が提案されている(特許文献1参照)。この方法によれば、トリクロロエチレンに替えて炭化水素系溶剤や水系洗浄液などを使用できるとの記載がある。また、電子部品等の洗浄の際に、電解質水溶液電解水のアノード水やカソード水を用いることも提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−300448号公報
【特許文献2】特開平8−126873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の洗浄方法でも、十分な洗浄力を発揮することは困難である。また、特許文献2に記載の洗浄方法では、電解質水溶液電解水のアノード水やカソード水をすすぎ処理として使用しているだけであり、やはり十分な洗浄効果を発揮しているとはいえない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、時計のような精密機械の部品や電子部品をはじめとする各種ワークの汚れを効率的に除去できる洗浄方法、この洗浄方法で得られたワーク、および洗浄後のワークを備えた時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ワークの洗浄方法であって、電解酸性水による酸洗浄工程と、電解アルカリ水によるアルカリ洗浄工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明のワークの洗浄方法によれば、電解酸性水による酸洗浄工程と、電解アルカリ水によるアルカリ洗浄工程をともに備えているので、ワークの洗浄効果に極めて優れる。例えば、時計のような精密機械の部品(ワーク)製造後の洗浄用として好適である。また、腕時計のように、ユーザーによる長期間の使用により内部の各ワーク表面に錆が生じたような場合でも分解清掃の際に好適に使用することができる。
また、酸洗浄工程とアルカリ洗浄工程の少なくともいずれかの工程を実施する際に、超音波をワークに照射すれば一層優れた洗浄効果を得ることができる。
なお、電解アルカリ水と電解酸性水を混合すれば単なる塩の水溶液となるので廃液が問題となることもなく、環境負荷が小さい。
【0007】
本発明では、前記酸洗浄工程後に前記アルカリ洗浄工程を実施することが好ましい。
この構成の発明によれば、先に電解酸性水による酸洗浄工程を実施して、その後に電解アルカリ水によるアルカリ洗浄工程を実施するので、ワークの洗浄効果により優れる。この洗浄機構は必ずしも明確ではないが、最初の酸洗浄工程により、ワーク基材表面をエッチングすることで、汚染物質とワーク基材との間に隙間を生じさせ、その後の還元性のアルカリ水による洗浄工程で汚染物質とワーク界面への浸透性が高くなり、結果としてワーク表面から汚染物質が除去されやすくなったものと推定される。
【0008】
本発明では、前記酸洗浄工程では、電解酸性水によりワークの表層を平均1nm以上エッチングすることが好ましい。
この構成の発明によれば、酸洗浄工程において電解酸性水によりワークの表層を平均1nm以上エッチングするので、酸洗浄工程後に汚染物質が残存していたとしても、ワーク表面と汚染物質との界面は剥離しやすい状態となっている。それ故、次工程のアルカリ洗浄で汚染物質がワーク表面から確実に剥離でき、結果として高い洗浄効率が得られる。
なお、ワークのエッチング深さの平均値は、精密天秤によりエッチング前後のワーク質量を測定し、その差分をワークの表面積で割ることで求めることができる。
【0009】
本発明では、前記電解酸性水のpHが1〜4、酸化還元電位1V以上であることが好ましい。
この構成の発明によれば、電解酸性水のpHが1〜4、酸化還元電位1V以上であるので、酸としての洗浄効果だけでなく、酸化剤としての洗浄効果も併せ持っているのでより洗浄効果に優れる。
【0010】
本発明では、前記電解アルカリ水のpHが10〜13、酸化還元電位が−0.5V以下であることが好ましい。
この構成の発明によれば、電解アルカリ水のpHが10〜13、酸化還元電位が−0.5V以下であるので、アルカリとしての洗浄効果だけでなく、還元剤としての洗浄効果も併せ持っているのでより洗浄効果に優れる。なお、電解酸性水のpHが1〜4、酸化還元電位1V以上であると、これらの相乗効果により、さらに優れた洗浄効果が得られる。特に、最初に電解酸性水による洗浄を行い、次いで電解アルカリ水による洗浄を行うことが洗浄効果の点で最も好ましい。
【0011】
本発明では、上述したワークの材質が銅、銅合金、鉄、鉄合金およびステンレスの少なくともいずれかであることが好ましい。
この構成の発明によれば、ワークの材質が所定の金属であるので、より優れた洗浄効果を得ることができる。また、上記所定の金属は、精密機械用あるいは電子部品用として汎用される材料であるのでその点からも本発明は有用である。
【0012】
本発明のワークは、上述したいずれかの洗浄方法により得られたことを特徴とする。
本発明は、上述したいずれかの洗浄方法により得られたワークであるので、その表面が清浄であり、時計などの精密機械や電子製品の製造に好ましく適用できる。
【0013】
本発明のワークは、時計部品であることが好ましく、本発明の時計は、この時計部品を用いて製造されることが好ましい。
この構成の発明によれば、研磨粉や油分の付着のない清浄な部品を用いるので、精度や耐久性に優れた時計を提供できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、時計のような精密機械の部品や電子部品をはじめとする各種ワークの汚れを効率的に除去できる洗浄方法、この洗浄方法で得られたワーク、および洗浄後のワークを備えた時計を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る3槽式電解槽を示す概略図。
【図2】本実施形態における洗浄工程を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明において使用する2種の電解水の製造方法、および得られた電解水によるワークの洗浄方法について図面をもとにして説明する。
〔電解水の製造方法〕
図1に、本発明の洗浄方法に使用される電解水を製造するための一例として3槽式電解装置10を示す。
3槽式電解装置10は、アノード室11、カソード室12、およびこれらの間に仕切りとして設けたイオン交換膜13により区分された中間室14とを有する。また、アノード室11にはアノード15が配置され、カソード室12にはカソード16が配置され、これらには電源17により直流電圧が印加できるようになっている。
【0017】
また、アノード室11とカソード室12には当初水道水またはイオン交換水が充填されており、中間室14には電解質水溶液、例えば、1〜10質量%濃度の塩化ナトリウム水溶液が充填されている。そして、アノード室11に配置されたアノード15と、カソード室12に配置されたカソード16との間に印加された直流電圧により、中間室14から塩素イオンのようなアニオンは、アノード室11のアノード15に移動し、ナトリウムイオンのようなカチオンはカソード室12のカソード16に移動する。結果として図1に示すような電気分解が行われる。
【0018】
電気分解が始まった後は、中間室14に連続的に電解質水溶液を供給することにより、アノード室11とカソード室12から各々電解酸性水および電解アルカリ水を取り出すことができる。例えば、アノード室11からは、pHが1〜4、酸化還元電位が1V以上である電解酸性水が連続的に供給でき、カソード室12からは、pHが10〜13、酸化還元電位が−0.5V以下である電解アルカリ水が連続的に供給できる。すなわち、一定のpHやORP(Oxidation-reduction Potential;酸化還元電位)を有する電解水を連続的に得ることができる。あるいは、電気分解が一定の程度にまで進んだときに、電圧の印加を止めて、電解酸性水や電解アルカリ水を取り出してもよい。
なお、中間室14を設けたことによって、アノード室11内部の液とカソード室12内部の液が混じり合うことを防止できる。
【0019】
〔電解水によるワークの洗浄方法〕
図2は、上述した電解水を用いてワークの洗浄を行う際のフロー図である。
図2において、21は、酸性水洗浄槽であり、上述したアノード室11から導入された電解酸性水が満たされている。また、22は、アルカリ水洗浄槽であり、上述したカソード室12から導入された電解アルカリ水が満たされている。ここで、電解酸性水および電解アルカリ水ともに、一定の流量で酸性水洗浄槽21およびアルカリ水洗浄槽22に流入させ同時に排出も行わせることが好ましい。そのような連続的な流入・排出により、後述する洗浄中でも洗浄槽21,22内部の洗浄液のpHやORPを一定値に保つことが可能となる。
【0020】
また、電解酸性水のpHは1〜4が好ましく、2〜3.5がより好ましい。酸化還元電位(ORP)は1V以上であるように調製することが好ましく、より好ましくは1.2〜1.4Vである。一方、電解アルカリ水のpHは10〜13が好ましく10.5〜12.5がより好ましい。酸化還元電位は−0.5V以下となるように調製することが好ましく、−0.7〜−0.5Vがより好ましい。酸化還元電位が前記した範囲をはずれると洗浄性が低下する。
本実施形態において、洗浄の対象となるワークの材質は、銅、銅合金、鉄、鉄合金およびステンレスなどの金属が好ましく挙げられる。
【0021】
<酸洗浄工程>
ワーク20は、まず、酸性水洗浄槽21に浸漬されて洗浄される。この際、ワークを適当に揺動することが好ましい。また、超音波をワーク20に照射することによりさらに洗浄効率が向上する。超音波の周波数は、20〜100kHz程度が好ましく、また、超音波の出力は、600〜1800W程度が好ましい。電解酸性水の液温は20〜80℃程度が好ましい。また、電解酸性水による洗浄の際にワーク20の表層を平均1nm以上エッチングすることが好ましい。なお、ワーク20のエッチング深さの平均値は、精密天秤によりエッチング前後のワーク20の質量を測定し、その差分をワークの表面積で割ることで求めることができる。
【0022】
<アルカリ洗浄工程>
次に、ワーク20は、アルカリ水洗浄槽22に浸漬されて洗浄される、ワーク20の揺動、超音波洗浄、および液温については、酸洗浄工程と同様である。
<すすぎ工程>
アルカリ洗浄工程後のワーク20は、イオン交換水が満たされたリンス槽23に浸漬されて洗浄される。
<乾燥工程>
すすぎ工程後のワーク20は、乾燥機24に載置されて乾燥される。
【0023】
上述した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)ワーク20の洗浄において、酸性水洗浄槽21の電解酸性水による酸洗浄工程と、アルカリ水洗浄槽22の電解アルカリ水によるアルカリ洗浄工程を備えているので、ワーク20の洗浄効果に極めて優れる。
【0024】
(2)電解酸性水のpHが1〜4、酸化還元電位1V以上であると、酸としての洗浄効果だけでなく、酸化剤としての洗浄効果も併せ持っているのでより洗浄効果により優れる。また、電解アルカリ水のpHが10〜13、酸化還元電位が−0.5V以下であると、アルカリとしての洗浄効果だけでなく、還元剤としての洗浄効果も併せ持っているので洗浄効果により優れる。特に、最初に電解酸性水による洗浄を行い、次いで電解アルカリ水による洗浄を行うことが洗浄効果の点で最も好ましい。
【0025】
(3)また、洗浄の対象となるワーク20の材質が、銅、銅合金、鉄、鉄合金およびステンレスなどの金属材料であると、電解酸性水によるエッチング作用によりワーク20の表面が削られワーク20の表面と汚染物質との界面が剥離しやすい状態となっている。それ故、その後のアルカリ洗浄工程における洗浄効果が格段に向上する。特に、酸洗浄工程において電解酸性水によりワーク20の表層を平均1nm以上エッチングすることで非常に高い洗浄効果が得られる。それ故、時計のような精密機械の部品(ワーク)製造後の洗浄用として好適である。また、腕時計のように、ユーザーによる長期間の使用により内部の各ワーク表面に錆が生じたような場合でも分解清掃の際に本洗浄方法を好適に利用することができる。
なお、鉄合金の洗浄に本法を適用する場合は、pH2.5以上、酸化還元電位が1.3V以上であるとエッチング作用がなくなるので注意が必要である。
【0026】
(4)ワーク20を洗浄する酸性水洗浄槽21やアルカリ水洗浄槽22において、内部の洗浄液(電解水)のpHおよびORPが一定に保たれているので、ワーク20が大きかったりあるいは大量のワークを次々に洗浄する場合でも安定した洗浄が可能となる。
【0027】
(5)酸洗浄工程やアルカリ洗浄工程において、超音波をワーク20に照射することで一層優れた洗浄効果を得ることができる。
(6)電解アルカリ水と電解酸性水を混合すれば単に元の塩の水溶液となるだけであるので、廃液が問題となることもなく、環境負荷が小さい。
【0028】
なお、本発明は、以上述べた実施形態には限定されず、本発明の目的を達成できる範囲で種々の改良および変形を行うことが可能である。
上述の実施形態においては、電解水の洗浄槽21,22への流入と排出が連続的になされる連続法を採用していたので、洗浄工程における洗浄液(電解水)は、常に一定のpHとORPを保っていた。これに対して、洗浄の対象となるワーク20が小さいものであるとか、洗浄する個数が少ないような場合には、各洗浄液を洗浄槽21,22に満たしただけの静的な状態で洗浄を行ういわゆるバッチ式洗浄法でもよい。バッチ式洗浄法を採用する場合は、洗浄液のpHやORPが設定範囲を超えたときに洗浄液を入れ替えればよい。
【実施例】
【0029】
以下に、実施例および比較例により、本発明をより詳細に説明する。
〔実施例1〕
(1)電解水の製造
図1に示す3槽式電解水製造装置10を用いて、電解酸性水および電解アルカリ水を製造した。具体的には、塩化ナトリウムの1質量%水溶液を中間室14に満たし、純水をアノード室11、カソード室12に満たした後、電圧:60V、電流密度:2A/dm2で電気分解を行った。定常状態では、3L/minの流量で中間室14に塩化ナトリウム水溶液を供給するとともに、アノード室11からはpH:2.5、ORP:1.1Vの電解酸性水を1.5L/minの流量で抜き出し、カソード室12からはpH:11.5、ORP:−0.8Vの電解アルカリ水を1.5L/minの流量で抜き出した。そして、これらの電解酸性水と電解アルカリ水を各々、酸性水洗浄槽21とアルカリ水洗浄槽22に連続的に供給した。なお、酸性水洗浄槽21とアルカリ水洗浄槽22からは、各々1.5L/minの流量で廃液が流出し、混合されて廃液処理工程に送られる。
【0030】
(2)洗浄用ワーク
洗浄用ワークとして以下の2種の試験片を準備した。いすれも、ステンレス(SUS304)製の5mm厚の矩形板(50mm×50mm)であって、中央に1mmφの貫通孔がある。
(2.1)試験片A
貫通孔内部を含め、全体に研磨粉が付着している。
(2.2)試験片B:
貫通孔内部を含め、全体に加工油が付着している。
【0031】
(3)洗浄工程
試験片A,Bについて、各々以下の順序で洗浄、すすぎおよび乾燥を行った(図2参照)。
(3.1)電解酸性水による洗浄(25℃、10分間浸漬)
(3.2)電解アルカリ水による洗浄(25℃、10分間浸漬)
(3.3)純水によるすすぎ(25℃、10分間浸漬、揺動)
(3.4)乾燥(100℃、10分間)
【0032】
〔実施例2〕
実施例1において、電解酸性水による洗浄と電解アルカリ水による洗浄において超音波を試験片A,Bに照射した以外は実施例1と同様に行った。
【0033】
〔比較例1〕
実施例1において、純水によるすすぎを行い、電解酸性水による洗浄と電解アルカリ水による洗浄はいずれも行わなかった。それ以外は、実施例1と同様である。
【0034】
〔比較例2〕
実施例1において、電解酸性水による洗浄の後に純水によるすすぎを行い、電解アルカリ水による洗浄は行わなかった。それ以外は、実施例1と同様である。
【0035】
〔比較例3〕
実施例1において、電解アルカリ水による洗浄の後に純水によるすすぎを行い、電解酸性水による洗浄は行わなかった。それ以外は、実施例1と同様である。
【0036】
〔評価方法〕
洗浄後の試験片Aに付着した研磨粉、および洗浄後の試験片Bに付着した加工油について以下の基準で評価した。表1に結果を示す。
○:汚れはすべて除去されている。
△:試験片の平面部の汚れは除去されるが、貫通孔内に残存物がある。
×:汚れはほとんど除去されない。
【0037】
【表1】
【0038】
〔評価結果〕
表1の結果より、電解酸性水だけによる洗浄(比較例2)や電解アルカリ水だけによる洗浄(比較例3)では汚れが十分に落ちない。これに対して、電解酸性水による洗浄後に電解アルカリ水による洗浄を行った実施例1、2では、試験片の平面部だけでなく、貫通孔内部の汚れもすべて除去されている。
【符号の説明】
【0039】
10…3槽式電解装置、11…アノード室、12…カソード室、13…イオン交換膜、14…中間室、15…アノード、16…カソード、17…電源、20…ワーク、21…(酸性水)洗浄槽、22…(アルカリ水)洗浄槽、23…リンス槽、24…乾燥機
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計のような精密機械の部品や電子部品をはじめとする各種ワークの洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
精密機械の部品や電子部品などは、製造工程で異物が付着することが多く、洗浄工程が必須である。例えば、腕時計を製造する場合、腕時計を組み立てる前に、各種の腕時計部品を製造する必要がある。このような腕時計部品の中には、製造途中で各種の加工を行うものが多い。かかる部品には、研磨剤や加工油などが付着することとなり、洗浄液により除去される。過去には、洗浄性に非常に優れるトリクロロエチレンが洗浄液として汎用されていた。しかし、トリクロロエチレンは、発がん性が指摘されるとともに土壌汚染や地下水汚染を引き起こす原因ともなるため、代替品が模索されている。
そこで、洗浄対象物であるワークに洗浄液を接触させて該ワークについた汚れを除去する際に、洗浄液の周囲の圧力を増加させる操作と減少させる操作とを行う洗浄方法が提案されている(特許文献1参照)。この方法によれば、トリクロロエチレンに替えて炭化水素系溶剤や水系洗浄液などを使用できるとの記載がある。また、電子部品等の洗浄の際に、電解質水溶液電解水のアノード水やカソード水を用いることも提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−300448号公報
【特許文献2】特開平8−126873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の洗浄方法でも、十分な洗浄力を発揮することは困難である。また、特許文献2に記載の洗浄方法では、電解質水溶液電解水のアノード水やカソード水をすすぎ処理として使用しているだけであり、やはり十分な洗浄効果を発揮しているとはいえない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、時計のような精密機械の部品や電子部品をはじめとする各種ワークの汚れを効率的に除去できる洗浄方法、この洗浄方法で得られたワーク、および洗浄後のワークを備えた時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ワークの洗浄方法であって、電解酸性水による酸洗浄工程と、電解アルカリ水によるアルカリ洗浄工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明のワークの洗浄方法によれば、電解酸性水による酸洗浄工程と、電解アルカリ水によるアルカリ洗浄工程をともに備えているので、ワークの洗浄効果に極めて優れる。例えば、時計のような精密機械の部品(ワーク)製造後の洗浄用として好適である。また、腕時計のように、ユーザーによる長期間の使用により内部の各ワーク表面に錆が生じたような場合でも分解清掃の際に好適に使用することができる。
また、酸洗浄工程とアルカリ洗浄工程の少なくともいずれかの工程を実施する際に、超音波をワークに照射すれば一層優れた洗浄効果を得ることができる。
なお、電解アルカリ水と電解酸性水を混合すれば単なる塩の水溶液となるので廃液が問題となることもなく、環境負荷が小さい。
【0007】
本発明では、前記酸洗浄工程後に前記アルカリ洗浄工程を実施することが好ましい。
この構成の発明によれば、先に電解酸性水による酸洗浄工程を実施して、その後に電解アルカリ水によるアルカリ洗浄工程を実施するので、ワークの洗浄効果により優れる。この洗浄機構は必ずしも明確ではないが、最初の酸洗浄工程により、ワーク基材表面をエッチングすることで、汚染物質とワーク基材との間に隙間を生じさせ、その後の還元性のアルカリ水による洗浄工程で汚染物質とワーク界面への浸透性が高くなり、結果としてワーク表面から汚染物質が除去されやすくなったものと推定される。
【0008】
本発明では、前記酸洗浄工程では、電解酸性水によりワークの表層を平均1nm以上エッチングすることが好ましい。
この構成の発明によれば、酸洗浄工程において電解酸性水によりワークの表層を平均1nm以上エッチングするので、酸洗浄工程後に汚染物質が残存していたとしても、ワーク表面と汚染物質との界面は剥離しやすい状態となっている。それ故、次工程のアルカリ洗浄で汚染物質がワーク表面から確実に剥離でき、結果として高い洗浄効率が得られる。
なお、ワークのエッチング深さの平均値は、精密天秤によりエッチング前後のワーク質量を測定し、その差分をワークの表面積で割ることで求めることができる。
【0009】
本発明では、前記電解酸性水のpHが1〜4、酸化還元電位1V以上であることが好ましい。
この構成の発明によれば、電解酸性水のpHが1〜4、酸化還元電位1V以上であるので、酸としての洗浄効果だけでなく、酸化剤としての洗浄効果も併せ持っているのでより洗浄効果に優れる。
【0010】
本発明では、前記電解アルカリ水のpHが10〜13、酸化還元電位が−0.5V以下であることが好ましい。
この構成の発明によれば、電解アルカリ水のpHが10〜13、酸化還元電位が−0.5V以下であるので、アルカリとしての洗浄効果だけでなく、還元剤としての洗浄効果も併せ持っているのでより洗浄効果に優れる。なお、電解酸性水のpHが1〜4、酸化還元電位1V以上であると、これらの相乗効果により、さらに優れた洗浄効果が得られる。特に、最初に電解酸性水による洗浄を行い、次いで電解アルカリ水による洗浄を行うことが洗浄効果の点で最も好ましい。
【0011】
本発明では、上述したワークの材質が銅、銅合金、鉄、鉄合金およびステンレスの少なくともいずれかであることが好ましい。
この構成の発明によれば、ワークの材質が所定の金属であるので、より優れた洗浄効果を得ることができる。また、上記所定の金属は、精密機械用あるいは電子部品用として汎用される材料であるのでその点からも本発明は有用である。
【0012】
本発明のワークは、上述したいずれかの洗浄方法により得られたことを特徴とする。
本発明は、上述したいずれかの洗浄方法により得られたワークであるので、その表面が清浄であり、時計などの精密機械や電子製品の製造に好ましく適用できる。
【0013】
本発明のワークは、時計部品であることが好ましく、本発明の時計は、この時計部品を用いて製造されることが好ましい。
この構成の発明によれば、研磨粉や油分の付着のない清浄な部品を用いるので、精度や耐久性に優れた時計を提供できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、時計のような精密機械の部品や電子部品をはじめとする各種ワークの汚れを効率的に除去できる洗浄方法、この洗浄方法で得られたワーク、および洗浄後のワークを備えた時計を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る3槽式電解槽を示す概略図。
【図2】本実施形態における洗浄工程を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明において使用する2種の電解水の製造方法、および得られた電解水によるワークの洗浄方法について図面をもとにして説明する。
〔電解水の製造方法〕
図1に、本発明の洗浄方法に使用される電解水を製造するための一例として3槽式電解装置10を示す。
3槽式電解装置10は、アノード室11、カソード室12、およびこれらの間に仕切りとして設けたイオン交換膜13により区分された中間室14とを有する。また、アノード室11にはアノード15が配置され、カソード室12にはカソード16が配置され、これらには電源17により直流電圧が印加できるようになっている。
【0017】
また、アノード室11とカソード室12には当初水道水またはイオン交換水が充填されており、中間室14には電解質水溶液、例えば、1〜10質量%濃度の塩化ナトリウム水溶液が充填されている。そして、アノード室11に配置されたアノード15と、カソード室12に配置されたカソード16との間に印加された直流電圧により、中間室14から塩素イオンのようなアニオンは、アノード室11のアノード15に移動し、ナトリウムイオンのようなカチオンはカソード室12のカソード16に移動する。結果として図1に示すような電気分解が行われる。
【0018】
電気分解が始まった後は、中間室14に連続的に電解質水溶液を供給することにより、アノード室11とカソード室12から各々電解酸性水および電解アルカリ水を取り出すことができる。例えば、アノード室11からは、pHが1〜4、酸化還元電位が1V以上である電解酸性水が連続的に供給でき、カソード室12からは、pHが10〜13、酸化還元電位が−0.5V以下である電解アルカリ水が連続的に供給できる。すなわち、一定のpHやORP(Oxidation-reduction Potential;酸化還元電位)を有する電解水を連続的に得ることができる。あるいは、電気分解が一定の程度にまで進んだときに、電圧の印加を止めて、電解酸性水や電解アルカリ水を取り出してもよい。
なお、中間室14を設けたことによって、アノード室11内部の液とカソード室12内部の液が混じり合うことを防止できる。
【0019】
〔電解水によるワークの洗浄方法〕
図2は、上述した電解水を用いてワークの洗浄を行う際のフロー図である。
図2において、21は、酸性水洗浄槽であり、上述したアノード室11から導入された電解酸性水が満たされている。また、22は、アルカリ水洗浄槽であり、上述したカソード室12から導入された電解アルカリ水が満たされている。ここで、電解酸性水および電解アルカリ水ともに、一定の流量で酸性水洗浄槽21およびアルカリ水洗浄槽22に流入させ同時に排出も行わせることが好ましい。そのような連続的な流入・排出により、後述する洗浄中でも洗浄槽21,22内部の洗浄液のpHやORPを一定値に保つことが可能となる。
【0020】
また、電解酸性水のpHは1〜4が好ましく、2〜3.5がより好ましい。酸化還元電位(ORP)は1V以上であるように調製することが好ましく、より好ましくは1.2〜1.4Vである。一方、電解アルカリ水のpHは10〜13が好ましく10.5〜12.5がより好ましい。酸化還元電位は−0.5V以下となるように調製することが好ましく、−0.7〜−0.5Vがより好ましい。酸化還元電位が前記した範囲をはずれると洗浄性が低下する。
本実施形態において、洗浄の対象となるワークの材質は、銅、銅合金、鉄、鉄合金およびステンレスなどの金属が好ましく挙げられる。
【0021】
<酸洗浄工程>
ワーク20は、まず、酸性水洗浄槽21に浸漬されて洗浄される。この際、ワークを適当に揺動することが好ましい。また、超音波をワーク20に照射することによりさらに洗浄効率が向上する。超音波の周波数は、20〜100kHz程度が好ましく、また、超音波の出力は、600〜1800W程度が好ましい。電解酸性水の液温は20〜80℃程度が好ましい。また、電解酸性水による洗浄の際にワーク20の表層を平均1nm以上エッチングすることが好ましい。なお、ワーク20のエッチング深さの平均値は、精密天秤によりエッチング前後のワーク20の質量を測定し、その差分をワークの表面積で割ることで求めることができる。
【0022】
<アルカリ洗浄工程>
次に、ワーク20は、アルカリ水洗浄槽22に浸漬されて洗浄される、ワーク20の揺動、超音波洗浄、および液温については、酸洗浄工程と同様である。
<すすぎ工程>
アルカリ洗浄工程後のワーク20は、イオン交換水が満たされたリンス槽23に浸漬されて洗浄される。
<乾燥工程>
すすぎ工程後のワーク20は、乾燥機24に載置されて乾燥される。
【0023】
上述した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)ワーク20の洗浄において、酸性水洗浄槽21の電解酸性水による酸洗浄工程と、アルカリ水洗浄槽22の電解アルカリ水によるアルカリ洗浄工程を備えているので、ワーク20の洗浄効果に極めて優れる。
【0024】
(2)電解酸性水のpHが1〜4、酸化還元電位1V以上であると、酸としての洗浄効果だけでなく、酸化剤としての洗浄効果も併せ持っているのでより洗浄効果により優れる。また、電解アルカリ水のpHが10〜13、酸化還元電位が−0.5V以下であると、アルカリとしての洗浄効果だけでなく、還元剤としての洗浄効果も併せ持っているので洗浄効果により優れる。特に、最初に電解酸性水による洗浄を行い、次いで電解アルカリ水による洗浄を行うことが洗浄効果の点で最も好ましい。
【0025】
(3)また、洗浄の対象となるワーク20の材質が、銅、銅合金、鉄、鉄合金およびステンレスなどの金属材料であると、電解酸性水によるエッチング作用によりワーク20の表面が削られワーク20の表面と汚染物質との界面が剥離しやすい状態となっている。それ故、その後のアルカリ洗浄工程における洗浄効果が格段に向上する。特に、酸洗浄工程において電解酸性水によりワーク20の表層を平均1nm以上エッチングすることで非常に高い洗浄効果が得られる。それ故、時計のような精密機械の部品(ワーク)製造後の洗浄用として好適である。また、腕時計のように、ユーザーによる長期間の使用により内部の各ワーク表面に錆が生じたような場合でも分解清掃の際に本洗浄方法を好適に利用することができる。
なお、鉄合金の洗浄に本法を適用する場合は、pH2.5以上、酸化還元電位が1.3V以上であるとエッチング作用がなくなるので注意が必要である。
【0026】
(4)ワーク20を洗浄する酸性水洗浄槽21やアルカリ水洗浄槽22において、内部の洗浄液(電解水)のpHおよびORPが一定に保たれているので、ワーク20が大きかったりあるいは大量のワークを次々に洗浄する場合でも安定した洗浄が可能となる。
【0027】
(5)酸洗浄工程やアルカリ洗浄工程において、超音波をワーク20に照射することで一層優れた洗浄効果を得ることができる。
(6)電解アルカリ水と電解酸性水を混合すれば単に元の塩の水溶液となるだけであるので、廃液が問題となることもなく、環境負荷が小さい。
【0028】
なお、本発明は、以上述べた実施形態には限定されず、本発明の目的を達成できる範囲で種々の改良および変形を行うことが可能である。
上述の実施形態においては、電解水の洗浄槽21,22への流入と排出が連続的になされる連続法を採用していたので、洗浄工程における洗浄液(電解水)は、常に一定のpHとORPを保っていた。これに対して、洗浄の対象となるワーク20が小さいものであるとか、洗浄する個数が少ないような場合には、各洗浄液を洗浄槽21,22に満たしただけの静的な状態で洗浄を行ういわゆるバッチ式洗浄法でもよい。バッチ式洗浄法を採用する場合は、洗浄液のpHやORPが設定範囲を超えたときに洗浄液を入れ替えればよい。
【実施例】
【0029】
以下に、実施例および比較例により、本発明をより詳細に説明する。
〔実施例1〕
(1)電解水の製造
図1に示す3槽式電解水製造装置10を用いて、電解酸性水および電解アルカリ水を製造した。具体的には、塩化ナトリウムの1質量%水溶液を中間室14に満たし、純水をアノード室11、カソード室12に満たした後、電圧:60V、電流密度:2A/dm2で電気分解を行った。定常状態では、3L/minの流量で中間室14に塩化ナトリウム水溶液を供給するとともに、アノード室11からはpH:2.5、ORP:1.1Vの電解酸性水を1.5L/minの流量で抜き出し、カソード室12からはpH:11.5、ORP:−0.8Vの電解アルカリ水を1.5L/minの流量で抜き出した。そして、これらの電解酸性水と電解アルカリ水を各々、酸性水洗浄槽21とアルカリ水洗浄槽22に連続的に供給した。なお、酸性水洗浄槽21とアルカリ水洗浄槽22からは、各々1.5L/minの流量で廃液が流出し、混合されて廃液処理工程に送られる。
【0030】
(2)洗浄用ワーク
洗浄用ワークとして以下の2種の試験片を準備した。いすれも、ステンレス(SUS304)製の5mm厚の矩形板(50mm×50mm)であって、中央に1mmφの貫通孔がある。
(2.1)試験片A
貫通孔内部を含め、全体に研磨粉が付着している。
(2.2)試験片B:
貫通孔内部を含め、全体に加工油が付着している。
【0031】
(3)洗浄工程
試験片A,Bについて、各々以下の順序で洗浄、すすぎおよび乾燥を行った(図2参照)。
(3.1)電解酸性水による洗浄(25℃、10分間浸漬)
(3.2)電解アルカリ水による洗浄(25℃、10分間浸漬)
(3.3)純水によるすすぎ(25℃、10分間浸漬、揺動)
(3.4)乾燥(100℃、10分間)
【0032】
〔実施例2〕
実施例1において、電解酸性水による洗浄と電解アルカリ水による洗浄において超音波を試験片A,Bに照射した以外は実施例1と同様に行った。
【0033】
〔比較例1〕
実施例1において、純水によるすすぎを行い、電解酸性水による洗浄と電解アルカリ水による洗浄はいずれも行わなかった。それ以外は、実施例1と同様である。
【0034】
〔比較例2〕
実施例1において、電解酸性水による洗浄の後に純水によるすすぎを行い、電解アルカリ水による洗浄は行わなかった。それ以外は、実施例1と同様である。
【0035】
〔比較例3〕
実施例1において、電解アルカリ水による洗浄の後に純水によるすすぎを行い、電解酸性水による洗浄は行わなかった。それ以外は、実施例1と同様である。
【0036】
〔評価方法〕
洗浄後の試験片Aに付着した研磨粉、および洗浄後の試験片Bに付着した加工油について以下の基準で評価した。表1に結果を示す。
○:汚れはすべて除去されている。
△:試験片の平面部の汚れは除去されるが、貫通孔内に残存物がある。
×:汚れはほとんど除去されない。
【0037】
【表1】
【0038】
〔評価結果〕
表1の結果より、電解酸性水だけによる洗浄(比較例2)や電解アルカリ水だけによる洗浄(比較例3)では汚れが十分に落ちない。これに対して、電解酸性水による洗浄後に電解アルカリ水による洗浄を行った実施例1、2では、試験片の平面部だけでなく、貫通孔内部の汚れもすべて除去されている。
【符号の説明】
【0039】
10…3槽式電解装置、11…アノード室、12…カソード室、13…イオン交換膜、14…中間室、15…アノード、16…カソード、17…電源、20…ワーク、21…(酸性水)洗浄槽、22…(アルカリ水)洗浄槽、23…リンス槽、24…乾燥機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの洗浄方法であって、
電解酸性水による酸洗浄工程と、
電解アルカリ水によるアルカリ洗浄工程と、を備えた
ことを特徴とするワークの洗浄方法。
【請求項2】
請求項1に記載のワークの洗浄方法において、
前記酸洗浄工程後に前記アルカリ洗浄工程を実施する
ことを特徴とするワークの洗浄方法。
【請求項3】
請求項2に記載のワークの洗浄方法において、
前記酸洗浄工程では、電解酸性水によりワークの表層を平均1nm以上エッチングする
ことを特徴とするワークの洗浄方法。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載のワークの洗浄方法において、
前記電解酸性水のpHが1〜4、酸化還元電位1V以上である
ことを特徴とするワークの洗浄方法。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載のワークの洗浄方法において、
前記電解アルカリ水のpHが10〜13、酸化還元電位が−0.5V以下である
ことを特徴とするワークの洗浄方法。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載のワークの材質が銅、銅合金、鉄、鉄合金およびステンレスの少なくともいずれかである
ことを特徴とするワークの洗浄方法。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の洗浄方法により得られた
ことを特徴とするワーク。
【請求項8】
請求項7に記載のワークが時計部品である
ことを特徴とするワーク。
【請求項9】
請求項8に記載の時計部品を用いて製造される
ことを特徴とする時計。
【請求項1】
ワークの洗浄方法であって、
電解酸性水による酸洗浄工程と、
電解アルカリ水によるアルカリ洗浄工程と、を備えた
ことを特徴とするワークの洗浄方法。
【請求項2】
請求項1に記載のワークの洗浄方法において、
前記酸洗浄工程後に前記アルカリ洗浄工程を実施する
ことを特徴とするワークの洗浄方法。
【請求項3】
請求項2に記載のワークの洗浄方法において、
前記酸洗浄工程では、電解酸性水によりワークの表層を平均1nm以上エッチングする
ことを特徴とするワークの洗浄方法。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載のワークの洗浄方法において、
前記電解酸性水のpHが1〜4、酸化還元電位1V以上である
ことを特徴とするワークの洗浄方法。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載のワークの洗浄方法において、
前記電解アルカリ水のpHが10〜13、酸化還元電位が−0.5V以下である
ことを特徴とするワークの洗浄方法。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載のワークの材質が銅、銅合金、鉄、鉄合金およびステンレスの少なくともいずれかである
ことを特徴とするワークの洗浄方法。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の洗浄方法により得られた
ことを特徴とするワーク。
【請求項8】
請求項7に記載のワークが時計部品である
ことを特徴とするワーク。
【請求項9】
請求項8に記載の時計部品を用いて製造される
ことを特徴とする時計。
【図1】
【図2】
【図2】
【公開番号】特開2010−227811(P2010−227811A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77790(P2009−77790)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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