説明

ワークピースの塗装のための装置

【課題】本発明の目的は、長いワークピースを塗装するためのラッカー装置を提供することである。
【解決手段】本発明は、移動レールに配置され、且つ移動方向に沿ってその上を移動させる少なくとも1つのラッカーロボットを有するワークピースを塗装するための装置に関する。各部分ために、移動レールは、作業面に平行な静止の基準点に対してそれ自体を移動される。本発明はまた、少なくとも1つのラッカー機器を有するワークピースの塗装のためのラッカーキャビンに関し、少なくとも1つのラッカー装置は、その間に作業領域が設けられる2つの互いに対向するポーチ状の開口部を有するラッカーキャビンに関する。ラッカーキャビンは、シャーシは、互いに平行に配置された少なくとも2つのシャーシに支持され、2つのシャーシと共に移動される。本発明はまた、このようなラッカーキャビンによってラッカーで塗装するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのラッカーロボットを有する、ワークピースの塗装のための装置において、少なくとも1つのラッカーロボットは、移動レールに配置され、移動方向に沿って移動レール上を移動させることができる装置に関する。さらに、本発明はまた、ワークピースの塗装のためのラッカーキャビン(lacquering cabin)において、ラッカーキャビンは、少なくとも1つのラッカー機器を有し、ラッカー機器は、2つの互いに対向するポーチウェイ状の開口部(porchway-like opening)を有し、その開口部間に、作業領域が設けられるラッカーキャビンに関し、及びワークピースがラッカーキャビンによって囲まれた作業領域より長い状態で、このようなラッカーキャビンにおいてワークピースの塗装のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるラッカー機器が、特に、塗料又はラッカーとともに、ワークピースの塗装のために使用されることは、一般的に知られている。適切なラッカー機器は、例えば、ラッカー噴射器が設けられたラッカーロボットである。さらに、例えば、複数のラッカー噴射器は、互いに対して移動することができないように、ポーチウェイの形態で配置され、そのポーチウェイを通じて、移動されることができるラッカーされるべき対象物は、例えば、ラッカー機器として見なされる場合もある。
【0003】
ラッカーロボットは、それぞれのラッカー噴射器のパラメーターは通常、ラッカー噴射器のための移動経路の様々な区域のために事前設定された状態で、プログラムに従って、塗装されるべきワークピースの周りを所定の速度で所定の移動経路に沿って、塗装処理中に、ラッカー噴射器を案内する。
【0004】
ラッカーロボットは通常、移動の6自由度(six degrees of freedom of movement)を有し、その作業領域は、そのベース部の周りの2mから3mの領域に制限される。一例として、このようなロボットは、ワークピースに対してロボットのベース部の任意の相対的な移動なしで、自動車の車体構造用のバンパーバーなどの比較的に小さなワークピースをラッカーで塗装するように使用されることができる。
【0005】
自動車の車体構造などのより大きいワークピースをラッカーで塗装するために、ロボットに関係した移動レール上にロボットを取り付けることによって、移動の7番目の自由度(seventh degree of freedom of movement)を有するこのようなロボットを提供することは、一般的な実施であり、そのような場合において、全ての移動の7自由度(seven degrees of freedom of movemen)は通常、ロボットの制御のために完全に配慮されている。このようなロボットは、ラッカーされるべき対象物に沿って、典型的に、自動車分野において通常4mから10mの長さを有するロボットの移動レールに沿って、移動されることができる。
【0006】
特に、細長いワークピースの場合において、これは、ロボット又はラッカー機器の移動レールの対応する長さになる。
【0007】
風力設備の回転翼などの細長いワークピースの塗装のために、塗装処理中の非常に長いワークピースの移動は、別の方法で発生するであろうラッカーエラー(lacquering errors)を信頼して避けるために、できる限り避けられるべきである。これは、製造プロセス中に、回転翼が一般的に、一の端部でローターフランジに水平方向の位置に取り付けられるからであり、それによって、ローターブレードの任意の移動が、固定されていない自由端で、例えば±250mm以上の許容度で、往復させ、それ故に、塗装処理を実質的に不可能にさせる。
【0008】
例えば、40mのラッカー機器の移動レールの長い長さの不利点は、移動レールに対応して長いラッカーキャビンを設計するように、大量の技術的な複雑さだけではなく、その換気のために、キャビンの長さから生じる複雑さでもある。一般的に、0.3m/sの標準の空気沈降速度(air sink rate)及び50m×6mのキャビンフットプリントにおけるラッカーキャビンとともに、これは、例えば1時間に320000m以上の要求となり、さらに濾過され、且つ調節されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この先行技術の背景に対して、本発明の一の目的は、品質の損失がなく、細長いワークピースでさえ、できる限り単純な方法で塗装されることを可能にする、最初に述べた種類の装置を特徴づけることである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、この目的のためのラッカーキャビンを特徴付けることであり、対応する塗装方法を特徴付けることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、請求項1の特徴によって達成される。それに応じて、少なくとも1つのラッカーロボットを有する、ワークピースを塗装するための装置であって、ラッカーロボットが移動レールに配置され、且つ移動方向に沿って移動レール上に移動させることができる装置において、移動レールは、それ自体を静止状態の基準点に対して移動させることができ、且つ作業表面に平行に移動させることができる。
【0012】
5mから10mの移動可能な移動レールの長さは、それ故に、例えば20mの長さから70m以上の長さまでの、ラッカーで塗装されるべき非常に長いワークピースであることを考慮しても、完全に十分である。同時に、ラッカーロボットは、このワークピースが完全に塗装されることができるように、移動レールに平行して配置されるワークピースに対して移動レールに沿って非常に良好なアクセシビリティを有する。
【0013】
移動レール自体の移動のために本発明によって提供された性能の結果として、これは、ラッカー機器とともに、例えば、移動レールの長さよりかなり大きい任意の所望される長さのワークピースが塗装されることができるように、塗装されるべきワークピースに対して異なる作業位置を呈する。
【0014】
これは、有利には、静止状態の移動レールを使用して塗装するために、今まで発生している多くの製造努力を徹底的に減少するとともに、同時に製造品質をかなり改善することを可能にする。
【0015】
本発明による装置の一の好ましい改良によれば、移動レールは、少なくとも1つのシャーシに接続され、このシャーシは、移動レールの一定の移動を可能にする。装置のこのモジューラ化設計は、有利には、
移動レールの移動性能の実施のために、設計の複雑さをかなり減少する。
【0016】
本発明による装置のさらなる変形によれば、このシャーシは、少なくとも2つのシャフトを有し、これらのシャフトは、互いに平行に配置され、レール内にまたはレール上に案内される少なくとも1つのホイールがそれぞれ設けられる。ホイールの使用は、シャーシが、特に、ほとんど抵抗がなく移動されることを可能にする。シャーシのホイールを案内するためのレールの使用は、移動レール自体の移動経路を予め決定し、好ましくは、それ自体が移動レール上のラッカーロボットの移動経路に対して平行に延在する。
【0017】
これは、有利には、同一の方向における移動レール自体の移動を単純化することによって、より短い移動レールから生じるラッカーロボットの移動の自由における制限を補償することを可能にする。
【0018】
この装置のさらなる特に好ましい改良によれば、移動レールは、互いに平行に配置され、移動レールの間で一定の距離で互いに堅固に結合される。
【0019】
移動レールは、好ましくは、機器の作業位置が、例えば、下部からワークピースの負荷を支持する支持部を変える場合に、結合手段、たとえば水平方向の支持部がワークピースのための任意の支持部とともに衝突しないように、堅固に結合される。
【0020】
さらに、移動レールの堅固な結合は、装置を異なる作業位置に移動するための複雑さを減少する。
【0021】
2つの好ましい対向する移動レールが平行に配置され、その移動レールのそれぞれに、ラッカー機器が配置され、それによって、ラッカーキャビンが移動することができる場合、これは、ワークピースが両側でラッカーで塗装されることを可能にする。
【0022】
一の代替的な実施形態によれば、移動レールを支持するシャーシは、駆動部によって移動させることができる。これは、本発明による装置の作業位置における変更をさらに単純化する。
【0023】
少なくとも1つのラッカー機器を有する、ワークピースを塗装するためのラッカーキャビンであって、2つの互いに対向するポーチウェイ状の開口部を有し、それらの開口部の間に、作業領域が設けられるラッカーキャビンに関するさらなる目的は、ラッカーキャビンが少なくとも2つのシャーシに支持され、それらのシャーシが互いに平行に配置され、且つ少なくとも2つのシャーシとともに移動させることができるとの本発明によって達成される。
【0024】
本発明によるラッカーキャビンには、一般的に、保護壁が設けられ、できる限り、ラッカー機器及びその作業領域を完全に囲むカバーとともに保護壁が設けられる。
【0025】
この保護壁には、好ましくは、それぞれのポーチウェイ状の開口部が、その端部表面の両側に設けられ、該ポーチウェイ状の開口部は、ワークピースが、ラッカーキャビンによって周囲を囲まれた作業領域内に誘導されることを可能にし、かつ、物理的な長さがラッカーキャビンの長さより大きい細長い構成要素が、作業領域内で、セグメントで処理されることを可能にする。
【0026】
本発明によるラッカーキャビンは、それ故に、ラッカーで塗装されるべきであり、好ましくは、処理の持続中に移動されることができないワークピースの塗装を可能にする方法を使用することを可能にし、ポーチウェイ状の開口部の断面は、本発明によって処理されることができるワークピースの最大寸法を予め決定される。
【0027】
さらに、その下部に、ラッカーキャビンは、好ましくは、作業領域の下に開口する、すなわち、この方法において、必要な場合、ワークピースが下部から支持されることを可能にするために、ラッカーキャビンに接続される床面を有していない。
【0028】
それ自体が作業領域を有する各ラッカー機器は、ラッカーキャビンで使用するために適切である。一例として、これは、6自由度を有する工業用ロボットであり、その移動レールを有していない、又は、ラッカーキャビン内に配置される移動レールに沿って移動されることができる、既に述べられるようなラッカーポーチウェイを有していない。
【0029】
ラッカーキャビンを囲む保護壁は、塗装処理中に必然的に生み出されるラッカーミストに対して周囲の領域のための保護を示す。2つ又はそれ以上のシャーシ上のラッカーキャビンとともに、ラッカー機器の配置は、ラッカーキャビンの作業位置が容易に変更させることを可能にする。
【0030】
ラッカーキャビン内のラッカー機器の作業領域より長いワークピースは、さらなる作業位置で、長手方向におけるラッカーキャビンの移動によって塗装されることができ、そのような場合において、移動レールの長さ、及びそれ故に、同様にラッカーキャビンの長さは、有利には、短くされる。
【0031】
同時に、塗装処理中に生み出されるラッカーミストは、同様に有利な方法でラッカーキャビン内に留まる。
【0032】
ラッカーキャビンの一の好ましい改良によれば、ラッカー機器は、作業領域の両側に配置された少なくとも2つのラッカーロボットによって形成される。ラッカーロボット、好ましくは、移動の6自由度を有するラッカーロボットは、高いレベルの適応性を有し、それらのベース部の周りの約2mから約3mの作業領域を有する。例えば、平行に配置された2つの移動レールの間で接続している支持部の、ラッカーされるべき対象物の上方のラッカー機器の配置はまた、本発明の技術範囲内である。
【0033】
ラッカーロボットのための移動レールは、この場合において、有利には、絶対に不可欠ではないが、そのアームの範囲が十分に良好であることを提供する。作業領域の周りの両側へのラッカーロボットの配置は、ワークピースの区間が、同一の位置でラッカーキャビンとともに、両側で塗装されることを可能にする。
【0034】
ラッカーキャビンのさらなる実施形態によれば、設けられた少なくとも2つのラッカーロボットは、それらの移動レールが少なくとも1つのシャーシに支持されている状態で、ラッカーキャビン内の作業領域の両側に配置された移動レール上に長手方向にそれぞれ移動されることができる。
【0035】
ラッカーキャビン内のラッカーロボットの作業領域は、それ故に、延在され、長いワークピースを塗装するために必要とされるラッカーキャビンの複数の位置は、有利には、低減される。
【0036】
ラッカーキャビンの一の特に好ましい実施形態には、空気を供給する、及び/又は空気を取り除くための機器が設けられ、この装置には、空気フィルターが好ましくは配置されることができる。
【0037】
塗装処理中に生み出されるラッカーミストは、この方法でラッカーキャビンの外側に吸い出され、それ故に、ラッカーによる塗装結果の品質を改善することを可能にする。
【0038】
ラッカーキャビンは、好ましくは、減少された圧力で操作され、すなわち、キャビンの上部を通じる流れより多くの空気が、ラッカーキャビンの底領域で外側に吸い出される。失っている空気の量は、対向するポーチウェイ状の開口部を通じて周辺領域から吸い込まれる。これは、有利には、周辺領域に放射されるラッカーミストを低減する。
【0039】
さらなる好ましい実施形態によれば、ラッカーキャビンと共に移動する、液体媒体(liquid media)のための容器、例えば、ラッカー及び/又は溶剤のための供給容器及び/又はリザーバーは、様々な液体のための複雑な供給ラインの必要性がないように、その上に配置される。
【0040】
これは、ラッカーキャビンのための50m又はそれ以上の移動経路に帰着し、塗装されるべきワークピースの長さに依存する。ラッカーキャビン上の媒体容器の配置は、例えばラッカーラインなどの、移動可能なラッカーキャビンから静止状態のラッカー供給部への、例えばラッカーのための、対応して長い溶剤ラインを避ける。
【0041】
これは、有利には、媒体供給及び媒体処理のための設計の複雑さを低減する。さらに、ラッカー供給部とラッカー機器との間の著しく低減されたホース長さは、例えば、ラッカー噴射器のより良いスイッチを入れる応答(switch-on response)を生じ、それ故に、より高い品質のラッカーによる塗装結果になる。
【0042】
第3の目的の達成、特に、ワークピースがラッカーキャビンによって周囲を囲まれる作業領域より長い状態で、上記の特徴を有するラッカーキャビン内のワークピースの塗装のための方法の詳述は、ワークピースは、ワークピースが複数の軸方向に互いに隣接する区画に細分されている状態で、順次的に塗装されることを特徴とすることである。
【0043】
この場合において、各区画を塗装するために、ラッカーキャビンは、塗装されるように意図されたワークピースの区画が、作業領域に配置される位置に移動され、それ故に、ラッカーキャビンによって囲まれ、ラッカー機器によって塗装されることができる。
【0044】
この方法はまた、ラッカーキャビン内の、ラッカー機器の作業領域より長いワークピースを塗装することを可能にする。
【0045】
ラッカーキャビン及びワークピースは、有利には、一の区画を塗装する処理中に、互いに対して固定される。相互の移動、例えば、加速又はブレーキングの結果として、ラッカーキャビンに堅固に接続されるその移動レール上のラッカーロボットの移動は、それ故に妨げられ、ラッカーによる塗装結果は改善される。
【0046】
本発明による方法のさらなる改良において、塗装されるべき任意の所望される数の区画及びラッカーキャビンの相互の隣接位置の任意の所望される数には、複数の区画を塗装する処理中に実質的に連続的に移動されるラッカーキャビンが設けられる。
【0047】
ワークピースに対するラッカーキャビンの瞬間の相対的位置は、ラッカー機器の移動のための基準である。この場合において、ラッカー機器は、移動レール上のプログラムによる移動を非常に大部分で避けるべきであり、その移動方向にラッカーキャビン上に動的力(dynamic force)を生じる。
【0048】
本発明による方法の一の好ましい実施形態において、プログラムによるラッカーキャビンの移動は、ロボット制御システムによって予め決定される。
【0049】
例えば、合計で移動の7自由度である、移動レールを有するラッカーロボットを使用する場合に、ラッカーキャビンの移動は、移動の8番目の自由度として見なされることができ、対応する移動が、移動の他の7自由度と同じ方法で予め決定され、且つ同一のロボット制御システムで予め決定される。
【0050】
移動レールを有することなく、6自由度を有するラッカーロボットを使用する場合、ラッカーキャビンの移動は、移動レール上のラッカーロボットの移動と同じ方法で制御される。
【0051】
移動は、有利には、すでに設けられたロボット制御システムによって制御され、それ故に、ラッカーロボット及びラッカーキャビンの全ての移動と調和する。
【0052】
方法のさらなる改良において、ラッカーキャビンの移動は、それぞれの区画において、ワークピースのラッカーされるべき表面に基づいて決定される。ラッカーされるべきワークピースの区画の長さ当たりの領域がより小さくなればなるほど、さらなる作業位置は、より素早く移動される。
【0053】
それ故に、ワークピースのためのラッカー時間は、有利には、減少されることができる。
【0054】
さらに有利な改良の選択肢は、さらなる従属請求項に見つけることができる。
【0055】
本発明の有利な実施形態及びさらなる利点は、図面に図示される代表的な実施形態を参照して、より詳細に記載され、且つ説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】移動レール上のラッカーロボットの第1の典型的な装置を示す図である。
【図2】2つの結合された移動レール上の2つのロボットの典型的な装置の平面図である。
【図3】典型的なラッカーキャビンの第1の正面図を示す図である。
【図4】端部壁を有する典型的なラッカーキャビンの第2の正面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1は、移動する移動レール14上のラッカーロボット12の典型的な装置10を示す。この装置は、図2に示され、2つの移動レールを表す、さらなる装置の一部として見なされることができ、該2つの移動レールは、平行に配置され、且つ互いに接続される。ラッカーロボット12は、好ましくは、7番目の軸として称される移動レールを含む移動の7自由度を有する。矢印は、2つの移動方向90を示し、その移動方向90に沿って、ラッカーロボット12が、処理プログラムによる事前設定に対応して、移動レール14上を移動させる。その処理プログラムは、ラッカー噴射器の移動経路を決定し、ラッカー噴射器は、図示されていないが、ラッカーロボット12に接続される。移動レール14は、ラッカーロボットのための標準移動レールであり、一般的に、関連するラッカーロボットと同一の製造業者によって提案される。
【0058】
その2つの端部のそれぞれで、移動レール14は、第1のシャーシ16及び第2のシャーシ18に接続される。基本構造としての第1のシャーシ16及び第2のシャーシ18は、好ましくは、例えば鉄鋼などの適切な材料からなる支持部を有し、図1におけるバーとして示される。図示された例における各シャーシは、3つのシャフトを有し、ホイール50は、各ケース内でこれらのシャフトに接続される。図示された例において、シャフトあたりの1つのホイールは、各ケースにおいて見られ、各ケースにおいて、これらのホイールは、レール20上に案内され、このレール20は、入手可能な鉄道用のレールに対応することができる。たとえば、ホイール50は、鉄道用車両のホイールの場合と類似の方法で、適切なフランジによってレール20上に案内されることができる。レール20は、たとえば、コンクリート製の建物の床面などの、作業面99に接続される。図1に図示された装置が、上記のように、2つの接続された移動レールの図2に示されるような装置の一部ではない状況のために、機器を十分に安定させるために、シャフトあたりの2つのホイール50、及び2つのレール20を設けることは、各ケースにおいて必要とされ得る。
【0059】
レール20によって予め決定されるので、シャーシの前方及び後方の移動方向は、移動レール上のラッカーロボットの2つの移動方向90に対応する。
【0060】
図2は、2つの結合された移動レール14,34上の2つのラッカーロボット12,32の典型的な装置100の断面図を再び示す。図1における異なる観点から既に図示されているように、第1の移動レール14は、第1のシャーシ16及び第2のシャーシ18に接続され、ホイールによって案内される。該シャーシは、この図に示されていないが、ホイールによってレール20上に案内され、それらのホイールは、レール20上に構成の荷重を支持する。これに対して平行で類似の構造において、移動レール34は、第3のシャーシ36及び第4のシャーシ38に接続され、それらのシャーシは、ホイール50にそれ自体を案内される。ホイール50は、図示されていないが、レール20に平行に走るレール40上に案内される。2つの移動レール14、34は、平行に配置され、互いから所定の距離で隔離され、ラッカーされるべきであるワークピース92をレールの間に配置することを可能にする。移動レール上に配置されたラッカーロボットは、互いに対向する、すなわち、ラッカーされるべきワークピース92の方向で、作業領域を有する。
【0061】
第1のシャーシ16及び第3のシャーシ36は、第1の接続要素60を介して互いに堅固に結合される。第2のシャーシ18及び第4のシャーシ38は、第2の接続要素61を介して類似の方法で互いに堅固に接続される。一例として、適切な接続要素60、61は、ポーチウェイ(porchway)の形態である鋼鉄製の支持部である。ポーチウェイ状の形態は、接続要素60、61がワークピース92と衝突することを妨げる。この装置は、図3に示されるラッカーキャビンの基本的な構造として見なされることができる。
【0062】
図3は、第1の接続要素60の外側下部領域の2つの側部のそれぞれに、水平方向の基準面62が追加されて図示される状態で、図2に図示された構成の正面図を示す。水平方向の基準面62は、好ましくは、ラッカーキャビンの全長に亘って延在し、作業面及び位置付け面として使用される。第1の容器64、第2の容器66、第3の容器68、及び第4の容器70は、2つの基準面62上に直立して図示される。それらの容器は、例えば、ラッカー及び/又は溶剤を供給するために、または、プログラムによる洗浄の目的のために使用される溶剤の処理のために使用される。
【0063】
塗装されるべきワークピース92は、ホルダー94に配置して図示される。第1の接続要素60のポーチウェイ状の形態は、ワークピース92及びそのホルダー94との衝突を妨げる。
【0064】
図2において、ラッカーロボット12及び32はまた、再び図示され、移動レール14及び34に配置され、該移動レール14及び34は、シャーシに配置され、その第1のシャーシ16及び第3のシャーシ36は、この図に見られる。レール20及び40によって案内されるホイール50のケースにおいて、走行面は、案内のためのフランジと同じように、それぞれのレール20及び40の上縁部と接触するように、図示される。
【0065】
図4は、図3と同一の典型的なラッカーキャビンの正面図を示すが、端面ともに、ポーチウェイ状の開口部74を有するキャビンの壁72とともに示される。
【符号の説明】
【0066】
10 移動レール上のラッカーロボットを移動させる典型的な装置
12 第1のラッカーロボット
14 第1の移動レール
16 第1のシャーシ
18 第2のシャーシ
20 第1のレール
32 第2のラッカーロボット
34 第2の移動レール
36 第3のシャーシ
38 第4のシャーシ
40 第2のレール
50 ホイール
60 第1の接続要素
61 第2の接続要素
62 基準面
64 第1の容器
66 第2の容器
68 第3の容器
70 第4の容器
72 ポーチウェイ状の開口部を有するキャビンの壁
74 ポーチウェイ状の開口部
90 移動方向
92 ワークピース
94 ホルダー
99 作業面
100 ロボット及びシャーシを有する2つの結合された移動レールの平面図
101 典型的なラッカーキャビンの正面図
102 端部壁を有する典型的なラッカーキャビンの正面図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのラッカーロボット(12,32)を有する、ワークピース(92)を塗装するための装置であって、
前記ラッカーロボット(12,32)は、移動レール(14,34)に配置され、且つ移動方向(90)に沿って前記移動レール上を移動させることができる装置において、
前記移動レール(14,34)は、それ自体を静止状態の基準点に対して、移動させることができ、且つ作業面(99)に平行に移動させることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記移動レール(14,34)は、前記移動レール(14,34)の移動を可能にする少なくとも1つのシャーシ(16、18、36、38)に接続されることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置において、
前記シャーシ(16、18、36、38)は、少なくとも2つのシャフトを有し、
前記シャフトは、互いに平行に配置され、
前記シャフトには、レール(20、40)内に/レール(20,40)上に案内されるホイール(50)が少なくとも1つの端部にそれぞれ設けられることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置において、
前記移動レール(14,34)は、互いに平行に配置され、且つ互いに堅固に結合されることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置において、
前記移動レール(14,34)を支持する前記シャーシ(16,18,36,38)は、駆動部によって移動させることができることを特徴とする装置。
【請求項6】
少なくとも1つのラッカー機器を有する、ワークピース(92)を塗装するためのラッカーキャビンであって、
2つの互いに対向するポーチウェイ状の開口部(74)を有し、前記ポーチウェイ状の開口部の間に、作業領域が設けられるラッカーキャビンにおいて、
前記ラッカーキャビンは、少なくとも2つのシャーシ(16、18、36、38)に支持され、前記少なくとも2つのシャーシ(16、18、36、38)は、互いに平行に配置され、且つ前記少なくとも2つのシャーシとともに移動させることができることを特徴とするラッカーキャビン。
【請求項7】
請求項6に記載のラッカーキャビンにおいて、
前記ラッカー機器は、前記作業領域の両側に配置された少なくとも2つのラッカーロボット(12,32)によって形成されることを特徴とするラッカーキャビン。
【請求項8】
請求項7に記載のラッカーキャビンにおいて、
設けられた前記2つのラッカーロボット(12,32)はそれぞれ、前記ラッカーキャビンにおける前記作業領域の両側に配置された移動レール(14,34)上で長手方向に移動されることができ、
それらの移動レール(14,34)が少なくとも1つのシャーシ(16,18、26、38)上に支持されていることを特徴とするラッカーキャビン。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか一項に記載のラッカーキャビンにおいて、
前記ラッカーキャビンには、供給するための機器、及び/又は除去するための装置、及び/又は空気を洗浄するための装置が設けられることを特徴とするラッカーキャビン。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか一項に記載のラッカーキャビンにおいて、
前記ラッカーキャビンには、液状媒体のための容器、例えば、ラッカー及び/又は溶剤のための供給容器及び/又はリザーバーが設けられることを特徴とするラッカーキャビン。
【請求項11】
請求項6〜10のいずれか一項に記載のラッカーキャビンにおけるワークピースを塗装するための方法であって、
前記ワークピース(92)が前記ラッカーキャビンによって周囲を囲まれた作業領域より長い状態で、塗装するための方法において、
前記ワークピース(92)は、前記ワークピース(92)が軸方向に互いに隣接する複数の区画に細分された状態で、順序的に塗装され、
各区画を塗装するために、前記ラッカーキャビンは、塗装されるように意図された前記ワークピース(92)の前記区画が、前記作業領域に配置される位置に移動され、
それ故に、前記ラッカーキャビンによって囲まれ、ラッカー機器(12,32)によって塗装されることができることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
一の区画の塗装の処理中に、前記ラッカーキャビン及び前記ワークピース(92)は、互いに対して固定されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、
任意の所望される数の区画及び任意の所望される数の位置が提供され、前記ラッカーキャビンは、複数の区画の塗装の処理中に実質的に連続的に移動されることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法であって、
前記ラッカーキャビンの移動は、ロボット制御システムによって予め決定されていることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項11〜14のいずれか一項に記載の方法であって、
前記ラッカーキャビンの移動は、ラッカーで塗装されるべき区画における、前記ワークピースにラッカーで塗装されるように、表面の基部に基づいて決定されることを特徴とする方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−208075(P2009−208075A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−46556(P2009−46556)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(508278675)アーベーベー・アーゲー (9)
【氏名又は名称原語表記】ABB AG
【住所又は居所原語表記】Kallstadter Str. 1,68309 Mannheim,Germany
【Fターム(参考)】