説明

ワーク受渡装置及びワーク受渡方法

【課題】ワークの形状等により整列して隣接するワーク同士が係合あるいは付着していても、ワークを一つずつ分けて受け渡すことができるワーク受渡装置及びワーク受渡方法を提供すること。
【解決手段】ワーク受渡装置1は、整列装置100の整列路から送り出す先頭のワークWを載置する昇降載置面11を有する昇降架台10と、昇降載置面11に隣接して、整列路面101の高さと異ならせた高さに設けられ搬送装置200にワークを受け渡す受渡載置面21を有する受渡載置台20と、昇降架台10の昇降載置面11を整列路面101と受渡載置面21との高さ位置に昇降駆動させる昇降駆動手段40と、受渡載置面21に対向して設置した支持ブロック30と、支持ブロック又は受渡載置台のいずれか一方に吸引開口31を形成して昇降載置面11のワークを吸引して受渡載置面21に受け渡す吸引機構50と、を備える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整列装置で整列させたLED等のワークを、検査測定装置側に一つずつ受け渡すためのワーク受渡装置及びワーク受渡方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、抵抗素子、コンデンサー素子、コイル素子、発光ダイオード等の各種の小型電子部品は、製造された同じ種類の複数の製品が、全く同一の機能に製造されることが望ましいが、実際には、所定の許容範囲内において一つ一つの性能が異なっている。そのため、同じ小型電子部品(以下、ワークという)であっても、その種類によっては、所定の条件の範囲において分類して使用しているのが現状である。
【0003】
特に、LEDのように光を照射する製品(ワーク)では、照射する光の色調等が異なると同じ目的に製造されたとしても、最終形態の製品に組み込んで使用したときにその製品によって光の状態が一定にならないことがある。そのため、同じ目的で製造したワークであっても、同じ条件の光を照射するものごとに分類して使用することが一般的である。
このようなワークを分類する装置としては、例えば、特許文献1、2に記載された構成の分類装置が存在する。この分類装置は、ワークを整列装置にて整列させて一つ一つ順番に搬送手段側に受け渡す動作を行なっており、整列装置の先端に形成した開口からハンドラがワークを吸引して搬送するように構成されている。
【0004】
しかし、従来の分類装置において搬送手段にワークを受け渡す構成では、ワークを受取る搬送手段が上下して整列装置の先端のワークを受け取り、ワークの上下左右を位置決めした状態で保持して搬送しているので、ワークの受け取り、搬送をさらに高速で行うことが困難であった。
そのため、従来、ワークの受け取り搬送を高速で行うことができ、ワークに接触できない面があっても対応できるワーク搬送分類装置及びワーク搬送分類方法が提案されている(特許文献3参照)。
【0005】
特許文献3に記載の分類装置は、その整列装置において、ワークの光照射面を上面として一列で整列させ、列先頭のワークを吸引して搬送手段であるハンドラの爪間に配置させている。そして、吸引して配置したワークは、その側面となる位置をハンドラの左右の爪で挟持され分類装置の搬送軌道に沿って搬送されるように構成されている。
【0006】
この分類装置では、ワークをハンドラに受け渡すときに、列先頭のワークのみを吸引して受け渡すように、列先頭から2番目のワークの側面等を一旦ストッパ等により固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−219002号公報
【特許文献2】特開2003−181383号公報
【特許文献3】特開2011−000564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、前記した分類装置におけるワークを受け渡す構成では、以下に示すようなさらなる改善が望まれていた。
整列装置からワークを分類装置に受け渡す機構では、ワークの種類によっては、ワークの側面にバリや電極構造の出っ張り部分が存在し、ワークを整列させるときに、隣接するワークの互いの出っ張り部分が係合してしまう場合があると、装置を一旦停止してそのワーク同士の係合を解除する必要があった。また、ワークの種類によっては、ワークに粘着物またはモールド品の離型材等が付いてしまうものがあり、ワークを整列させるときにワーク自体を押圧して留める構成にするとその押圧する構成部分にワークが付着してしまうことや、あるいは、ワークを整列させるときに隣接するワークの側面同士がその離型材等により付着してしまう状態が発生した。したがって、ワークを一つずつ分けて受け渡すことができない原因が新たに分かり、その離型材等に対応できる構成が新たに必要になることがわかった。
【0009】
本発明は、前記した問題を解決するために創案されたものであり、ワークを整列させて検査測定する装置等に受け渡すときに、ワークの形状等により隣接するワーク同士が係合あるいは付着していても、ワークを一つずつ分けて受け渡すことができるワーク受渡装置及びワーク受渡方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明に係るワーク受渡装置は、整列して送られる被検査物であるワークを整列装置から一つずつ搬送装置の挟持部に受け渡すワーク受渡装置において、前記ワーク受渡装置は、前記整列装置の整列路に隣接して設置され、前記整列路から送り出す先頭のワークを載置する昇降載置面を有する昇降架台と、この昇降架台を予め設定された高さ位置に昇降駆動させる昇降駆動手段と、前記昇降載置面に隣接して、前記整列装置の整列路面の高さと異ならせた高さに設けられ前記搬送装置にワークを受け渡す受渡載置面を有する受渡載置台と、前記受渡載置面に対向して配置され、前記受渡載置面上を間欠移動する挟持部の部材厚幅を隔てて設置した支持ブロックと、この支持ブロック又は前記受渡載置台のいずれか一方において、前記支持ブロックと前記受渡載置面と当該受渡載置面に位置する前記挟持部で囲まれる囲繞空間に臨む位置に吸引開口を形成し、前記吸引開口を介して、前記昇降架台の昇降載置面に載置されたワークを吸引して前記受渡載置面に受け渡す吸引機構と、を備え、前記昇降駆動手段による前記昇降架台の昇降は、前記昇降載置面の高さを、前記受渡載置台の受渡載置面の高さと前記整列装置の整列路面の高さとの間の範囲において行う構成とした。
【0011】
かかる構成により、ワーク受渡装置は、昇降架台が整列装置の整列路面と昇降架台の昇降載置面との段差部を有する位置のときに、整列路面の先頭のワークがその段差部に当接するまで送られた状態になる。そして、ワーク受渡装置は、昇降駆動機構により昇降架台を移動させることで、整列路面と昇降載置面とを揃えて、整列路面の先頭のワークを昇降載置面に送りワークを載置する。ワーク受渡装置は、整列路面と昇降載置面とが揃っているときに、昇降載置面と受渡載置面とに段差部が形成されているので、ワークがその段差部で留まるようになる。そして、ワーク受渡装置は、ワークを載置した昇降載置面が、昇降駆動機構により受渡載置面に揃えられ、吸引機構により吸引されることで、昇降載置面から受渡載置面にワークを受け渡す。さらに、ワーク受渡装置は、受渡載置面上に搬送装置の挟持部が到来しているので、受渡載置面に載置されたワークが挟持部で挟持されて搬送装置に受け渡す。
【0012】
また、前記ワーク受渡装置において、前記受渡載置台は、その受渡載置面が、前記整列装置の整列路面よりも高い位置に設けられ、前記昇降駆動手段は、前記昇降架台の昇降載置面を、前記受渡載置面よりも低い位置に設定された整列路面と揃う第1レベル位置と、前記整列装置の整列路面よりも高い位置に設定された受渡載置面と揃う第2レベル位置との間において駆動させる。
【0013】
かかる構成により、ワーク受渡装置は、第1レベル位置にある昇降載置面に整列路面からワークが送られて、昇降架台が昇降駆動手段により上昇させられ、整列路面から昇降載置面が上昇することで、整列している先頭のワークが先頭から2番目に位置するワークの隣接状態から強制的に分け放される状態にしている。そして、ワーク受渡装置は、上昇した第2レベル位置において、昇降載置面と受渡載置面とが揃い、吸引機構により吸引されることで昇降載置面から受渡載置面にワークが移動して受け渡される。
【0014】
さらに、前記ワーク受渡装置において、前記昇降架台は、前記受渡載置台の下面に対面するように設けた水平延出部と、この水平延出部の一端で前記受渡載置台に隣接して当該水平延出部よりも上方に突出するように設けた垂直延出部とを備え、前記垂直延出部に前記昇降載置面を形成すると共に、前記水平延出部に前記ワークを前記受渡載置台上の受渡位置に位置決めする位置決ストッパを設け、前記受渡載置台に貫通して形成した貫通孔から、前記位置決ストッパが前記第1レベル位置で前記受渡載置面から突出せずに、前記第2レベル位置で前記受渡載置面から突出して前記挟持部の間に突出する長さで、かつ、前記ワークの幅よりも小さな幅に形成した。
【0015】
かかる構成により、ワーク受渡装置は、昇降駆動手段により昇降架台を上昇させることで、整列路面の先頭のワークを先頭から2番目のワークよりも上方に持ち上げることで、昇降載置面に載置し、そのときに、受渡載置面の貫通孔から位置決ストッパが、挟持部の間で受渡載置面から突出する。ワーク載置装置は、第2レベル位置に昇降載置面を移動させて受渡載置面と高さが揃うと、吸引機構により吸引することで、位置決ストッパに当接する位置で受渡載置面上にワークを受取ることができる。
【0016】
また、前記ワーク受渡装置において、前記支持ブロックは、前記位置決ストッパに当接するワークが当接している状態を検出する第1ワーク検出センサと、前記整列装置の整列路の先頭に位置するワークが前記第2レベル位置における前記昇降架台の段差部に当接している状態を検出する第2ワーク検出センサとが設けられている構成とした。
【0017】
かかる構成により、ワーク受渡装置は、位置決ストッパに当接するワークが有るか無いかを第1ワーク検出センサで検出して確認すると共に、昇降架台の昇降載置面と整列装置の整列路面との段差部にワークが有るか無いかを第2ワーク検出センサで検出して確認することができるので、その検出した信号により搬送装置、昇降駆動手段、整列装置を制御することができる。
【0018】
さらに、前記ワーク受渡装置において、前記昇降架台は、前記垂直延出部に設けた昇降載置面が、前記垂直延出部を貫通して形成されることや、あるいは、前記昇降架台は、前記垂直延出部に設けた昇降載置面が、前記垂直延出部の上部を凹溝にして形成され、形成された前記凹溝の上部に、当該凹溝の上部開口を塞ぐ溝蓋板を備えることとしてもよい。
【0019】
かかる構成により、ワーク載置装置は、昇降載置面の側方および上方が囲まれているので、ワークが整列路面から送られるとき、あるいは、昇降載置面から受渡載置面に吸引により送られるときに、ワークの姿勢が規制されて安定する。また、昇降載置面が囲まれているので吸引機構により吸引したときの吸引エリアを小さくできる。
【0020】
そして、前記ワーク受渡装置において、前記昇降載置面が形成された垂直延出部は、その昇降載置面の両側から上方に立上る左右の内側壁において、前記昇降載置面に載置されるワークの側面に対向する位置に切欠凹溝を形成した構成とした。
かかる構成により、ワーク受渡装置は、ワークの側面にバリ等の出っ張り部分が存在しても、内側壁に形成された切欠凹溝があるので、ワークの出っ張り部分が内側壁に引っ掛かることがなくスムーズに受渡載置面に吸引により送り出すことができる。
【0021】
また、前記した課題を解決するために、本発明に係るワーク受渡方法では、整列して送られる被検査物であるワークを整列させる整列装置と、ワークを一つずつ挟持する挟持部を有する搬送装置との間に設けられ、前記ワークを載置する受渡載置面を有する受渡載置台と、前記ワークを載置する昇降載置面を有する昇降架台とを隣接して備え、前記昇降架台を昇降駆動手段により予め設定された第1レベル位置及び第2レベル位置に昇降するワーク受渡装置により、前記ワークを整列装置から搬送装置の挟持部に受け渡すワーク受渡方法において、以下に示す手順を行うこととした。
【0022】
すなわち、ワーク受渡方法は、被検査物であるワークを整列路面に沿って整列させる整列装置と、前記ワークを一つずつ挟持する挟持部を有する搬送装置との間に設けられ、前記ワークを載置する昇降載置面を有する昇降架台と、前記昇降載置面に隣接して配置され前記ワークを載置する受渡載置面を有する受渡載置台とを備え、前記昇降架台の昇降載置面を昇降駆動手段により前記整列装置の整列路面の高さと前記受渡載置台の受渡載置面の高さに亘って昇降するワーク受渡装置により、前記ワークを整列装置から搬送装置の挟持部に受け渡すワーク受渡方法において、つぎの各工程を行うようにした。
【0023】
すなわち、ワーク受渡方法では、各工程が、前記昇降駆動手段により昇降架台を駆動して昇降載置面を整列路面の高さに揃えて、整列路面から送られる先頭のワークを昇降載置面に受取ると共に、前記昇降載置面と前記受渡載置台の受渡載置面とに段差部を形成する第1工程と、前記昇降架台を昇降駆動部により駆動させ前記ワークを載置した昇降載置面を受渡載置面の高さと揃える第2工程と、前記受渡載置面と、この受渡載置面に対向して前記搬送装置の挟持部の部材厚幅を隔てて設置した支持ブロックと、前記受渡載置面上に到来している前記挟持部とによりに囲まれる囲繞空間に臨むように、前記支持ブロックあるいは前記受渡載置台の一方に形成した吸引開口から吸引する吸引機構により、昇降載置面と高さが揃っている受渡載置面に前記ワークを受取る第3工程と、前記受渡載置面上に位置する前記挟持部により当該受渡載置面に載置されているワークを挟持させて前記搬送装置に受け渡す第4工程と、を行うこととした。
【0024】
かかる手順により、ワーク受渡方法では、はじめに、整列装置の整列路面に整列されて送られる動作により、昇降架台の昇降載置面と整列路面の高さを合わせることで、昇降載置面に整列路面の先頭のワークを受取り、ワークを受け取った昇降載置面と受渡載置面とには段差が生じていることでワークが昇降載置面に収まる。そして、ワーク受渡方法では、昇降駆動手段により昇降架台を駆動して昇降載置面と受渡載置面とを揃え、吸引機構の吸引動作を行なうことで、昇降載置面のワークを受渡載置面に受取る。ワーク受渡方法では、昇降載置面が昇降することで整列装置の整列路面に沿って整列する先頭のワークを2番目のワークから分け取るので、ワーク同士の係合や付着があっても強制的に分けて受取ることが可能となる。さらに、ワークの受渡方法では、受渡載置面に載置されたワークを挟持部が挟持して搬送する。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るワーク受渡装置及びワーク受渡方法では、以下に示す優れた効果を奏することができる。
ワーク受渡装置は、昇降駆動手段により昇降架台の昇降載置面を上昇又は降下させることで整列路に整列した先頭のワークを昇降載置面に受取るので、整列時にワーク同士がバリ等により係合あるいは離型材等により付着していても、整列しているワークから確実に先頭のワークのみを昇降架台が受取り、昇降架台から受渡載置台に送り、受渡載置台から搬送装置の挟持部に受け渡すことが可能となる。また、ワーク受渡装置は、ワークを昇降載置面に受け渡すときに、受渡載置台、昇降架台、整列路との段差を利用してワークの載置位置を抑制しているので、整列路から受渡載置台までの間にワーク自体を押圧して留める構成を設置する必要がなく、特に、バリや、離型材等によるワークの整列中における詰まりの原因を排除できる。
【0026】
ワーク受渡装置は、昇降載置面を整列路面との段差を揃える位置を第1レベル位置とし、その第1レベル位置から上昇させることで昇降載置面と受渡載置台との段差を揃える位置を第2レベル位置としているので、ワークを上昇移動させることで整列路から昇降載置面さらに受渡載置台に受渡でき、ワークをより的確に列から一つずつ分離させて搬送装置の挟持部に受け渡すことが可能となる。
【0027】
ワーク受渡装置は、受渡載置台の貫通穴を位置決ストッパが下方から挿通して出没するように水平延出部に設けているので、受渡載置台の周囲のスペースを有効に利用することができる。また、位置決ストッパを昇降架台の水平延出部に設けることで、昇降架台を昇降させる昇降駆動手段により位置決ストッパの動作を昇降架台の動作と連動させて行なうことができる。さらに、位置決ストッパを挟持部側に設けることなく、受渡載置台側に設けることで、挟持部がワークを挟持するときに挟持部の基端側の空間を開けることができ、ワークの電極位置が底面あるいは側面に形成されていても、挟持部がワークを挟持した状態でプローブを当接する空間を確保することが可能となる。
【0028】
ワーク受渡装置は、位置決ストッパにワークが当接しているか否かを検出する第1ワーク検出センサと、昇降架台の段差にワークが当接しているか否かを検出する第2ワーク検出センサとを備えているので、ワークの受渡状態や整列状態を正確に検出して、搬送装置が連続してワークを挟持部で挟持することができる。
【0029】
ワーク受渡装置は、昇降載置面について、垂直延出部を貫通して、あるいは、垂直延出部の上部を凹溝にしてその凹溝を溝蓋板で塞ぐようにして構成しているので、昇降載置面に載置されたワークの側面あるいは上面側を囲み、動作を行なうときにワークの姿勢が変わらないようにガイドすることができる。また、昇降載置面に載置されたワークを側面および上面で囲むことで、吸引機構により吸引されるときの空間を小さくしてワークの昇降載置面から受渡載置面への移動をよりスムーズにしている。
【0030】
ワーク受渡装置は、垂直延出部を、貫通して、あるいは、凹溝により、昇降載置面の左右に形成される内側壁面を設け、形成した内側壁面に切欠凹溝を形成しているので、ワークの側面にバリや離型材等のようなものが存在していても、スムーズに受渡載置台に受け渡すことができる。
【0031】
ワーク受渡方法では、受渡載置台と昇降架台と搬送路とに段差を設けて、昇降架台の昇降によりその段差を揃えながら、かつ、ワーク列から先頭のワークを昇降させることで一つずつ列から分離させるので、ワークが整列しているときにワーク同士の付着あるいは係合が発生していてもそれを分離して、ワークを受渡載置台に一つずつ送り、搬送装置の挟持部に受け渡すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係るワーク受渡装置が搬送装置と整列装置とに対する位置関係を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明に係るワーク受渡装置の一部を切り欠いて省略して示す側面図である。
【図3】本発明に係るワーク受渡装置の一部を切り欠いて示す部分断面図である。
【図4】本発明に係るワーク受渡装置を模式的に示す一部を分解した斜視図である。
【図5】本発明に係るワーク受渡装置と挟持部との位置関係を示すと共に挟持部の構成を模式的に示す平面図である
【図6】本発明に係るワーク受渡装置における動作を説明する模式図であり、(a)、(b)は、整列したワークが昇降載置面の段差部に当接している状態を示す側断面図及び平面図、(c)、(d)は、整列路面からワークを昇降載置面に受け取った状態を示す側断面図及び平面図、(e)、(f)は、昇降載置面にワークを受け取った昇降架台が上昇して受渡載置面の高さに揃えられた状態を示す側断面図及び平面図、(g)、(h)は、吸引機構により吸引されて昇降載置面に載置されていたワークが受渡載置面に受け渡された状態を示す側断面図及び平面図、(i)、(j)は、受渡載置面のワークを挟持部が挟持する状態を示す側断面図及び平面図である。
【図7】(a)〜(c)は、本発明に係るワーク受渡装置の昇降架台の動作の他の構成を示す模式図である。
【図8】(a)、(b)は、本発明に係るワーク受渡装置の昇降架台の他の構成を断面にして模式的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係るワーク受渡装置について図面を参照して説明する。
なお、ワーク受渡装置1は、整列装置100と搬送装置200との関係において説明する。またワーク受渡装置1において、受け渡すワークWの一例としてLEDのチップであるとして説明する。さらに、説明するワークWは、各図では、縦横高さの寸法が数mmより小さい形状のものもあるが、ここでは分かり易いようにデフォルメして大きく記載して説明している。また、ワークWは光を発光する部分を上にして記載され、ワークWに付した「+」「−」の記号は向きを示すための指標として表示しており、ワークの表裏を示すものではない
【0034】
図1に示すように、ワーク受渡装置1は、ワークWを整列装置100から搬送装置200の挟持部201に受け渡すものである。このワーク受渡装置1は、ここでは、搬送装置200のベース210に設置されている。そして、ワーク受渡装置1は、整列装置100からワークWを受取り載置する昇降載置面11を有する昇降架台10と、この昇降架台10を昇降駆動する昇降駆動手段40と、昇降載置面11に隣接して設けられた受渡載置面21を有する受渡載置台20と、この受渡載置台20の受渡載置面21に対面して設けた支持ブロック30と、この支持ブロックに吸引開口31となる貫通孔を設けた吸引機構50(図2参照)とを備えている。
【0035】
そして、ワーク受渡装置1は、図1及び図2に示すように、受渡載置面21が搬送装置200の挟持部201の搬送経路に対応する位置に固定されるように受渡載置台20が設置されている。さらに、ワーク受渡装置1は、昇降駆動手段40により昇降載置面11を上昇させたときに受渡載置面21の高さに合わせることができる位置となるように、受渡載置台20と昇降架台10とが設置されている。また、ワーク受渡装置1は、昇降駆動手段40により昇降載置面11を降下させたときに整列装置100の整列路面101の高さに合わせることができる位置となるように昇降架台10を整列装置100の整列路102に隣接して配置させている。
【0036】
整列装置100は、図1及び図2に示すように、ワークWを振動により整列させてワーク受渡装置1に送るものである。この整列装置100は、供給されるワークWを収納して図示しない振動機構により振動させながら周縁側に徐々にワークを移動させる収納ボール104と、この収納ボール104の周縁側に接続してワークWを一列に整列させる整列路(リニアフィーダ)102と、この整列路102の上方を覆う路天板103とを備えている。なお、路天板103は、後記する溝蓋板13とワークWとの位置関係が同じになるように設置されている。
【0037】
図1及び図3に示すように、昇降架台10は、整列装置100の整列路102における先頭のワークWを受取り、受渡載置台20に渡すためのものである。昇降架台10は、ベース210に設けた昇降駆動手段40により昇降自在に移動できるように設置されている。この昇降架台10は、受渡載置台20の下面に対面する対面位置に延出して形成した水平延出部18と、この水平延出部18の一端側(整列路側)に当該水平延出部18よりも上方に突出して形成した垂直延出部14とを備えている。そして、昇降架台10は、水平延出部18の受渡載置台20の下面に対面する対面部分に位置決ストッパ19を設け、垂直延出部14の所定位置に昇降載置面11を形成している。
【0038】
図3に示すように、昇降載置面11は、ワークWを載置するものであり、ここでは、垂直延出部14を貫通させるか、あるいは、垂直延出部14の上面に凹溝を形成し、溝蓋板13により凹溝を囲むことで、両側面及び上面が囲まれた状態で形成されている。昇降載置面11は、整列装置100の整列路102によるワークの送り動作によりワークWを整列路面101から受取り、ワークWが受渡載置面21との段差部22に当接することにより、ワークWを昇降載置面11上の適切な位置に載置した状態としている。そのため、昇降載置面11は、ここでは、ワークWの大きさ(整列方向における長さ寸法)と同等あるいは多少小さくなるように形成されている。
【0039】
昇降架台10は、昇降載置面11が受渡載置面21と高さが揃ったときに、整列路面101と段差が形成される段差部12を有している。この段差部12は、整列路面101の先頭のワークWが当接する部分である。段差部12が形成されることで、整列路面101の先頭のワークWは、その段差部12に当接して、それ以上前に送りだされることが抑制されることになる。段差部12は、ここでは昇降載置面11の直下となる昇降架台10の垂直延出部14の側面により、構成されている。
【0040】
図4に示すように、昇降載置面11が形成されている凹溝あるいは貫通穴となる左右の内側壁面15,15には、切欠凹溝16,16を形成する構成としてもよい。この切欠凹溝16,16は、整列路側の開口から受渡載置面側の開口に向かって形成されている。この切欠凹溝16,16は、昇降載置面11にワークWが載置されたときに、そのワークWの側面に対応する位置に形成されている。切欠凹溝16,16が形成されていることで、ワークWにバリやあるいは離型材等が付着していても、内側壁面15,15に接触することがなくなりスムーズなワークWの受渡作業を行うことができる。また、切欠凹溝16,16を形成することで、内側壁面15,15の間隔をワークWに近づけることで小さくできるので、ワークWを吸引機構で吸引するときの空間を小さくでき、確実に昇降載置面11から受渡載置面21にワークWを受け渡すことができる。
【0041】
なお、ここでは、一例として、ワークWが昇降載置面11の中央に載置されたときに、左右の内側壁面15,15までの両方を合わせた間隔となる距離が、ほぼワークWの幅と同等となる範囲以下に形成されている。また、ワークWを昇降載置面11に載置したときに左右の内側壁面15,15までの間隔となる左右の距離を足した値が、ワークWの幅の半分以下となるように、設定されていることが好ましい。ワークWから内側壁面15,15までの距離は、ワークの移動を制限する状態を除き、小さくするほど、ワークWの吸引機構50による移動時の姿勢を大きく変えることなく抑制することが可能となる。なお、昇降載置面11にワークWが載置されたときのワークWの側面から内側壁面15,15までの距離は、具体的な一例として、ここでは、ワークの幅が1mmであるときに、左右それぞれ0.1〜0.2mmずつをあけている。
【0042】
また、昇降載置面11に対面する位置に上面を形成する溝蓋板(貫通穴としたときの天井部分)13は、ワークWを整列路面101から昇降載置面11に送り出されるときに、及び、昇降載置面11から吸引機構の吸引により受渡載置面21に受け渡すときに、ワークWが立ち上る等の姿勢の変化を抑制することができるものである。この溝蓋板13は、その昇降載置面11と対面する下面17を、ワークWの上面に近接した位置となるように設置されている。なお、ここでは、一例としてワークWの上面から溝蓋板13の下面17までの距離がワークWの板厚の2倍以下、好ましくは1倍以下となるように設定されている。ワークWの板厚が例えば0.6mmであれば、具体的一例として、ワークWの上面から下面17までの距離が0.2〜0.3mmとなるように設定されている。
【0043】
位置決ストッパ19は、昇降駆動手段40の昇降駆動により受渡載置台20の貫通穴23から出没する長さに形成されている。この位置決ストッパ19は、昇降載置面11が整列路面101に揃う第1レベル位置では、貫通穴23内に位置し、昇降載置面11が受渡載置面21に揃う第2レベル位置となるときに、貫通穴23から突出する長さに形成されている。そして、位置決ストッパ19は、受渡載置面21に到来している挟持部201がワークWを適切に挟持する位置に設定されている。ここでは、挟持部201がワークWを挟持したときに、挟持部201の基端側となる空間を空けることができるように、位置決ストッパ19の位置が設置されている。位置決ストッパ19は、その幅がワークWよりも小さくなるように形成されている。また、位置決ストッパ19は、円柱形状に形成されているが、ワークWが吸引機構により吸引されて移動したときに、適切に位置を決めることができる形状であれば、四角柱形状等、特に限定されるものではない。
【0044】
昇降架台10は、その下側に昇降駆動手段40が設置されており、昇降駆動手段40の駆動により昇降載置面11が整列路面101の高さに揃える第1レベル位置と、昇降載置面11が受渡載置面21の高さに揃える第2レベル位置とに昇降駆動される。昇降駆動手段40は、ベース210に固定されており、例えば、サーボモータであり、予め設定された第1レベル位置と第2レベル位置との間において図示しない制御部等の信号により昇降架台10を昇降させている。なお、昇降駆動手段40は、設定される位置の範囲で昇降架台10を昇降させることができるものであれば、その構成は限定されるものではない。
【0045】
受渡載置台20は、図1に示すように、ベース210に設置して固定され、昇降架台10に隣接して設置されている。この受渡載置台20は、ワークWを昇降架台10から受取り、搬送装置200の挟持部201に受け渡すためのものである。受渡載置台20は、ベース210に固定するための支持脚部25と、この支持脚部25の上端に形成した受渡載置面21と、この受渡載置面21に隣接する昇降載置面11側の台側面部分を、昇降載置面11が整列路面101の高さと揃っているときに、段差とする段差部22と、受渡載置台20の受渡載置面21が形成されている部分を、裏面24及び受渡載置面21に亘って貫通して形成した貫通穴23と、を備えている。また、受渡載置台20の受渡載置面21は、搬送装置200の挟持部201の搬送経路において、挟持部201の挟持する位置に合わせて設置されている。そして、位置決ストッパ19が出没する貫通穴23は、挟持部201が到来して挟持部201にワークWを挟持させる基準となる位置に形成されている。
【0046】
なお、受渡載置面21では、ワークWを受け渡すときには挟持部201が到来して待機した状態になっているので、位置決ストッパ19にワークWが当接する方向の位置が決まることで、左右方向については挟持部201で挟持して決まる。
【0047】
図3に示すように、支持ブロック30は、その下面側の一部が受渡載置面21に対面する位置で、挟持部201の部材厚幅を隔てる位置に配置されるように設けられている。支持ブロック30は、ここでは、搬送装置200のベース210に図示しない支持脚等を介して設置されている。この支持ブロック30は、吸引機構50の吸引開口31を設けると共に、ワークWを吸引して移動させるための囲繞空間を形成するために設けられている。なお、支持ブロック30は、ここでは、第1ワーク検出センサ61と、第2ワーク検出センサ62と、を設けるための役割も果たしている。
【0048】
支持ブロック30は、下面側が受渡載置面21と対面する第1下面33と、この第1下面33に段差を介して連続し第1下面33に平行な第2下面34とを形成している。また、支持ブロック30は、吸引機構50の接続吸引ホース51のアダプタ52を設ける傾斜面32と、第1ワーク検出センサ61と第2ワーク検出センサ62とを設ける上平面35とを形成した多面体に構成されている。そして、支持ブロック30の第1下面33に形成される吸引開口31は、囲繞空間70に臨む位置に形成されている。吸引開口31は、ここでは、囲繞空間70の一方の端となる位置に臨むように形成されている。
なお、支持ブロック30の第1下面33は、挟持部201に近接して、囲繞空間70の隙間となる部分が小さくなるように設定され、例えば、挟持部201の上端から0.2〜0.4mm、好ましくは0.2mmの間隔を開けた状態となるように設定されている。
【0049】
図2及び図3に示すように、吸引機構50は、昇降載置面11に載置されているワークWを、受渡載置面21に吸引して移動させるためのものである。この吸引機構50は、真空ポンプ等の駆動源53が、ここでは、ベース210に設置され、その駆動源53から支持ブロック30に設けたアダプタ52に着脱自在に接続される接続吸引ホース51を介して、吸引開口31から吸引動作を行いワークWの移動を行っている。
【0050】
図3に示すように、第1ワーク検出センサ61は、ワークWが位置決ストッパ19に当接しているか否かを検出するものである。この第1ワーク検出センサ61は、支持ブロック30の上平面35から下面側に向かって貫通する貫通穴に着脱自在に支持されている。第1ワーク検出センサ61は、例えば、光学センサが使用され、出射した光が反射して戻るまでの距離に応じてワークWが位置決ストッパ19に当接しているか否かを検出している。
【0051】
また、第2ワーク検出センサ62は、ワークWが昇降載置面11と整列路面101の段差となる昇降架台10の段差部12に、整列路面101に整列している先頭のワークWが当接しているか否かを検出するものである。この第2ワーク検出センサ62は、第1ワーク検出センサ61から離間して平行となる位置で、支持ブロック30の上平面35から下面側に向かって貫通する貫通穴に着脱自在に支持されている。第2ワーク検出センサ62は、例えば、第1ワーク検出センサ61と同様に光学センサが使用されている。
【0052】
第1ワーク検出センサ61及び第2ワーク検出センサ62は、図示しない装置制御部に検出した信号を送り、ワークWの検出の有無により、装置制御部が搬送装置200あるいは整列装置100を所定のタイミングで停止させる等の制御を行うために使用される。例えば、ワーク受渡装置1では、第1ワーク検出センサ61によりワークWが検出されないことを確認して、次のワークWを吸引機構50により吸引動作で昇降載置面11から受渡載置面21に移動させること等である。
【0053】
図5に示すように、搬送装置200は、ワークWを挟持部201で挟持して、予め決められている搬送経路となる円周搬送経路上を間欠搬送するものである。この搬送装置200の挟持部201は、回転円板220に設けられ、中央から放射状に円周方向に複数が設置されている。挟持部201は、一方と他方の挟持爪202,203を挟持駆動手段206の駆動により開閉自在として形成されている。挟持部201は、挟持爪202に設けた回転中心部204を中心に回転動作できるように、挟持爪202の他端部205をシリンダ等の挟持駆動手段206により押動させている。
【0054】
なお、挟持部201は、ここでは、他方の挟持爪203が、回転円板220に固定されており、一方の挟持爪202が駆動されることでワークWを挟持するように構成されている。挟持爪203は、その先端となるワークWに当接する位置に挟持突部203aを備えている。また、挟持突部203aに対応する一方の挟持爪202の位置には挟持凹部202aが形成されている。挟持部201は、ワークWを挟持して搬送することができるものであれば、特にその構成を限定されるものではい。また、回転円板220は、回転駆動手段230により間欠的に回転動作するように構成されている。
【0055】
また、搬送装置200の搬送経路中における所定位置には、ワークWを検査測定する各装置が配置されており、例えば、図2で示すように、ワークWの光束を測定する積分球装置250が設けられ、下方からプローブ251が昇降して挟持部201で挟持しているワークWの光束が測定できるように構成されている。
【0056】
つぎに、ワーク受渡装置1の動作について説明する。
ワークWは、整列装置100に投入されることで徐々に整列して整列路102で一列に並べられる。そして、列の先頭のワークWは、図6(a)、(b)に示すように、第2レベル位置にある昇降架台10の段差部12に当接して停止している状態となる。このとき、搬送装置200の挟持部201は、受渡載置面21上には到来していない。また、ワーク受渡装置1では、支持ブロック30に設置された第1ワーク検出センサ61により、受渡載置面21にワークWがないことが検出され、第2ワーク検出センサ62により、整列路面101の先頭のワークWが段差部12に当接していることが検出されている。
【0057】
図6(a)、(c)に示すように、ワーク受渡装置1は、昇降架台10を、昇降駆動手段40(図3参照)を介して第2レベル位置から第1レベル位置に降下させ、昇降載置面11と整列路面101との高さを揃える。昇降載置面11と整列路面101とが揃えられると、整列路面101の先頭のワークWが送り出されて、受渡載置台20の段差部22に当接した状態で昇降載置面11に載置される。このとき、図6(d)に示すように、搬送装置200は、挟持部201を間欠駆動させ、受渡載置面21上に挟持部201を到来させ、挟持部201を開口した状態とする。
【0058】
図6(e)に示すように、ワーク受渡装置1は、昇降駆動手段40(図3参照)の駆動により第1レベル位置にある昇降載置面11を第2レベル位置に上昇させ、昇降載置面11と受渡載置面21との高さを揃える。このときにワークWは、整列路面101から昇降載置面11に受け渡される。つまり、列の先頭のワークWは、その整列している整列路面101の高さから昇降載置面11が上昇することで強制的に先頭のワークWを列から分離して昇降載置面11に載置させる状態となる。また、ワーク受渡装置1は、第2レベル位置に昇降載置面11が上昇することに伴って、位置決ストッパ19が受渡載置面21の貫通穴23から突出した状態となる。図6(f)に示すように、位置決ストッパ19は、受渡載置面21に開口した状態で待機している挟持部201の間に突出した状態となる。
【0059】
図6(g)、(h)に示すように、ワーク受渡装置1は、昇降架台10が上昇すると、吸引機構50を作動させ、吸引動作によりワークWを移動させ、受渡載置面21に突出している位置決ストッパ19に当接させることで、昇降載置面11に載置しているワークWを受渡載置面21に受取る。吸引機構50は、支持ブロック30の第1下面33と受渡載置面21と挟持部201とにより囲繞されている囲繞空間70(図3参照)に臨む吸引開口31から、ワークWを吸引して移動することができる十分な吸引力により吸引動作を行なっている。
【0060】
吸引機構50により吸引されて移動するワークWは、図4に示すように、昇降載置面11の両側となる内側壁面15,15に切欠凹溝16,16が形成されていることから、例えば、ワークWに切断時のバリや離型材等が付着していても内側壁面15,15に接触することなくスムーズに移動することができる。
【0061】
図6(g)、(h)に示すように、整列路面101の先頭のワークWは、昇降架台10が上昇したことで、昇降架台10の段差部12に当接するまで送られた状態となる。受渡載置面21上のワークWは、開口している挟持部201における他方の挟持爪203の挟持突部203aに沿った位置で、位置決ストッパ19に当接した受渡載置面21上における位置に載置される。
【0062】
受渡載置面21上にワークWが載置されると、図6(i)、(j)に示すように、挟持駆動手段206の駆動により回転中心部204を中心に挟持爪202が作動することで、ワークWを挟持爪202,203で挟持する。ワークWは、挟持爪202,203で挟持されるときに、動作する挟持爪202により固定している挟持爪203側にシフトした位置となる。ワークWは、吸引機構により吸引されて位置決ストッパ19に当接した状態のときに、挟持爪203の挟持突部203aにほぼ隣接する位置に配置される。そのため、ワークWは、挟持爪202,203で挟持されたときの位置が、挟持爪203側シフトしても、そのシフトする距離が小さいので、搬送装置200における検査測定を行うときに検査測定に影響を与えることがない状態を確保することができる。
【0063】
ワーク受渡装置1では、ワークWが挟持部201に受け渡されると、再び、図6(a)〜(j)の動作が繰り返されることでワークWを、整列装置100から搬送装置200の挟持部201に一つ一つ受け渡している。
【0064】
なお、搬送装置200は、ワークWが挟持部201により挟持されると、挟持部201を搬送経路に沿って水平方向における所定角度回転させる。搬送装置200は、挟持部201で挟持したワークを、搬送経路に沿って搬送することで、例えば、図2に示すように、積分球装置250の位置で、プローブ251が上昇して、挟持部201で挟持しているワークWを点灯させ、ワークWの光束等が測定される。また、搬送装置200は、図示しない他の装置、機構あるいは制御部と連携している。
そして、ワークWは、図示しない他の検査測定装置等により、光特性等が検査測定され、そのデータに基づいて、搬送装置200に隣接して配置される分類装置(図示せず)により、予め設定されたクラスに分類される。
【0065】
以上説明したように、ワーク受渡装置1では、整列路面101と昇降載置面11と受渡載置面21とに段差を設けた段差部12,22によりワークWの移動を制限して、かつ、整列路面101と昇降載置面11との高さを変えることで整列している先頭のワークWを、その列から強制的に分離して受取るようにしているので、ワークW同士が係合あるいは付着していても、列の先頭のワークWを一つだけ昇降載置面11に列から切り出(送り出)して載置することができる。また、整列路面101に整列しているワークWの側面等を押さえて先頭のワークWを送るような、ワークWを押さえることをしなくても、先頭のワークWを昇降載置面11に送り出すことが可能となる。
【0066】
ワーク受渡装置1では、位置決ストッパ19を昇降架台10に設けて受渡載置面21から出没できるように構成した例として説明したが、挟持部201にワークWが当接して位置決めされる突部216(図7参照)を設けるように構成しても構わない。
また、ワーク受渡装置1では、吸引機構50の吸引開口31を支持ブロック30側に設ける構成として説明したが、受渡載置台20側に設けるようにしても構わない。
【0067】
なお、ワーク受渡装置1は、図1〜図6では、昇降架台10の昇降載置面11が整列路面101から上昇することで列の先頭のワークWを一つだけ昇降載置面11に載置する構成として説明したが、昇降載置面11を降下させることで整列路面101から受取るように構成してもよい。例えば、図7(a)、(b)に示すように、ワーク受渡装置1Aは、整列路面101Aが受渡載置面21Aよりも上に設置される。
【0068】
そして、昇降架台10Aは、上昇した位置で昇降載置面11Aと整列路面101Aの高さが揃い、昇降載置面11Aと受渡載置面21Aとに段差が生じ、支持ブロック30Aの位置に、段差部22(図3参照)に相当する段差部32Aを設ける構成としている。また、昇降架台10Aは、降下した位置で、受渡載置面21Aと高さが揃えられ、かつ、昇降架台10Aの溝蓋板13Aに、段差部12(図3参照)に相当する段差部12Aを設ける構成としている。このように構成することでワーク受渡装置1Aは、昇降架台10Aの昇降動作によりワークWを整列装置100から受取り、搬送装置200の挟持部201に受け渡すことが可能となる。
【0069】
また、降下することで整列路面101AからワークWを切り出す構成のワーク受渡装置1では、図8に示すように、溝蓋板13AのワークWに対面する位置で、昇降載置面11Aに載置されたワークWに対して離間して、ワークWの発光部分を除く周縁部分に当接する当接突片13cを設ける構成にするとさらに好ましい。つまり、ワークWが整列路面101Aで隣接するものと係合あるいは付着していると、昇降載置面11Aが降下したときに、その当接突片13cがワークWの発光部を除く周縁部分を強制的に押し下げることで、先頭のワークWのみを切り出すことができる。
【0070】
図7及び図8に示す場合には、ここでは、位置決ストッパ19に相当する機能は、挟持部201側に持たせるようにしている。なお、挟持部201にストッパ216を設ける場合には、そのストッパ216が突出した状態である構成としても、あるいは出没するように構成されていても構わない。つまり、出没する場合は、挟持爪203の所定位置に位置決ストッパ19に相等するストッパ216設け、挟持爪202が開口しているときには、ワークWに当接する位置に突出し、挟持爪202が閉じてワークWを挟持したときには没入する構成(図示せず)を備えるようにする。
【0071】
なお、ワーク受渡装置1は、ベース210に設置される構成として説明したが、固定できる位置であれば、搬送装置200と独立した位置に設置される構成としても構わない。また、図7及び図8で示すように、挟持部201側にワークWの位置決ストッパ216を設ける構成とする場合には、昇降架台10Aは、水平延出部18がない状態の形状であってもよい。
また、垂直延出部14は、昇降載置面11の部分を含む位置(水平延出部18の高さから上方)を着脱自在にすることで、その部分を取り替えると、ワークWの種類に対応する大きさに合わせて受渡作業を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0072】
1、1A ワーク受渡装置
10、10A 昇降架台
11、11A 昇降載置面
12、12A 段差部
13、13A 溝蓋板
13c 当接突片
14 垂直延出部
15 内側壁面
16 切欠凹溝
17 下面
18 水平延出部
19 位置決ストッパ
20 受渡載置台
21、21A 受渡載置面
22 段差部
23 貫通穴
24 裏面
25 支持脚部
30、30A 支持ブロック
31 吸引開口
35 上平面
32 傾斜面
32A 段差部
33 第1下面
34 第2下面
40 昇降駆動手段
50 吸引機構
51 接続吸引ホース
52 アダプタ
53 駆動源
61 第1ワーク検出センサ
62 第2ワーク検出センサ
70 囲繞空間
100 整列装置
101、101A 整列路面
102 整列路
103 路天板
104 収納ボール
200 搬送装置
201 挟持部
202 挟持爪
202a 挟持凹部
203 挟持爪
203a 挟持突部
204 回転中心部
205 他端部
206 挟持駆動手段
210 ベース
216 突部
220 回転円板
230 回転駆動手段
250 積分球装置
251 プローブ
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
整列して送られる被検査物であるワークを整列装置から一つずつ搬送装置の挟持部に受け渡すワーク受渡装置において、
前記ワーク受渡装置は、前記整列装置の整列路に隣接して設置され、前記整列路から送り出す先頭のワークを載置する昇降載置面を有する昇降架台と、
この昇降架台を予め設定された高さ位置に昇降駆動させる昇降駆動手段と、
前記昇降載置面に隣接して、前記整列装置の整列路面の高さと異ならせた高さに設けられ前記搬送装置にワークを受け渡す受渡載置面を有する受渡載置台と、
前記受渡載置面に対向して配置され、前記受渡載置面上を間欠移動する挟持部の部材厚幅を隔てて設置した支持ブロックと、
この支持ブロック又は前記受渡載置台のいずれか一方において、前記支持ブロックと前記受渡載置面と当該受渡載置面に位置する前記挟持部で囲まれる囲繞空間に臨む位置に吸引開口を形成し、前記吸引開口を介して、前記昇降架台の昇降載置面に載置されたワークを吸引して前記受渡載置面に受け渡す吸引機構と、を備え、
前記昇降駆動手段による前記昇降架台の昇降は、前記昇降載置面の高さを、前記受渡載置台の受渡載置面の高さと前記整列装置の整列路面の高さとの間の範囲において行うことを特徴とするワーク受渡装置。
【請求項2】
前記受渡載置台は、その受渡載置面が、前記整列装置の整列路面よりも高い位置に設けられ、
前記昇降駆動手段は、前記昇降架台の昇降載置面を、前記受渡載置面よりも低い位置に設定された整列路面と揃う第1レベル位置と、前記整列装置の整列路面よりも高い位置に設定された受渡載置面と揃う第2レベル位置との間において駆動させることを特徴とする請求項1に記載のワーク受渡装置。
【請求項3】
前記昇降架台は、前記受渡載置台の下面に対面するように設けた水平延出部と、この水平延出部の一端で前記受渡載置台に隣接して当該水平延出部よりも上方に突出するように設けた垂直延出部とを備え、
前記垂直延出部に前記昇降載置面を形成すると共に、前記水平延出部に前記ワークを前記受渡載置台上の受渡位置に位置決めする位置決ストッパを設け、
前記受渡載置台に貫通して形成した貫通孔から、前記位置決ストッパが前記第1レベル位置で前記受渡載置面から突出せずに、前記第2レベル位置で前記受渡載置面から突出して前記挟持部の間に突出する長さで、かつ、前記ワークの幅よりも小さな幅に形成したことを特徴とする請求項2に記載のワーク受渡装置。
【請求項4】
前記支持ブロックは、前記位置決ストッパに当接するワークが当接している状態を検出する第1ワーク検出センサと、前記整列装置の整列路の先頭に位置するワークが前記第2レベル位置における前記昇降架台の段差部に当接している状態を検出する第2ワーク検出センサとが設けられていることを特徴とする請求項3に記載のワーク受渡装置。
【請求項5】
前記昇降架台は、前記垂直延出部に設けた昇降載置面が、前記垂直延出部を貫通して形成されたことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のワーク受渡装置。
【請求項6】
前記昇降架台は、前記垂直延出部に設けた昇降載置面が、前記垂直延出部の上部を凹溝にして形成され、形成された前記凹溝の上部に、当該凹溝の上部開口を塞ぐ溝蓋板を備えることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のワーク受渡装置。
【請求項7】
前記昇降載置面が形成された垂直延出部は、その昇降載置面の両側から上方に立上る左右の内側壁において、前記昇降載置面に載置されるワークの側面に対向する位置に切欠凹溝を形成したことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のワーク受渡装置。
【請求項8】
被検査物であるワークを整列路面に沿って整列させる整列装置と、前記ワークを一つずつ挟持する挟持部を有する搬送装置との間に設けられ、前記ワークを載置する昇降載置面を有する昇降架台と、前記昇降載置面に隣接して配置され前記ワークを載置する受渡載置面を有する受渡載置台とを備え、前記昇降架台の昇降載置面を昇降駆動手段により前記整列装置の整列路面の高さと前記受渡載置台の受渡載置面の高さに亘って昇降するワーク受渡装置により、前記ワークを整列装置から搬送装置の挟持部に受け渡すワーク受渡方法において、
前記昇降駆動手段により昇降架台を駆動して昇降載置面を整列路面の高さに揃えて、整列路面から送られる先頭のワークを昇降載置面に受け取ると共に、前記昇降載置面と前記受渡載置台の受渡載置面とに段差部を形成する第1工程と、
前記昇降架台を昇降駆動部により駆動させ前記ワークを載置した昇降載置面を受渡載置面の高さと揃える第2工程と、
前記受渡載置面と、この受渡載置面に対向して前記搬送装置の挟持部の部材厚幅を隔てて設置した支持ブロックと、前記受渡載置面上に到来している前記挟持部とによりに囲まれる囲繞空間に臨むように、前記支持ブロックあるいは前記受渡載置台の一方に形成した吸引開口から吸引する吸引機構により、昇降載置面と高さが揃っている受渡載置面に前記ワークを受け取る第3工程と、
前記受渡載置面上に位置する前記挟持部により当該受渡載置面に載置されているワークを挟持させて前記搬送装置に受け渡す第4工程と、を行うワーク受渡方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−180202(P2012−180202A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45278(P2011−45278)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(591057348)株式会社ユニテック (13)
【Fターム(参考)】