説明

ワーク拭取り装置及びマーキング装置

【課題】表面保護層が設けられたワークのシリコン被膜を効率よく傷付けることなく拭き取りが行えるワーク拭取り装置を提供する。
【解決手段】積層されたワークWを一枚ずつ分離供給するワーク供給部1に載置されたワークWのマーキング位置に、洗浄液を含浸させた拭取りヘッド40を拭取りモータ18により回転駆動したままワークWに押し当てることにより被膜を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面保護層を有するワークの表面に付着する被膜を拭取ってマーキングエリアを確保するワーク拭取り装置及びマーキング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばオフセット印刷機においては、シート材を印刷部へ搬送してインキ像が印刷された後、UV乾燥機を通過させて印刷面を乾燥させ、排出装置によって排出トレイに排出される。近年、電子部品の小型化、多様化により、シート材には紙やプラスチックシートに限らず様々なワークが用いられる。例えば、プライマーが塗布されたシート材や表面保護フィルムが貼着されたシート材(液晶パネル用の偏光板)など様々なワークへ印刷が行われる。偏光板は、液晶パネルへ装着する場合に向きがあるため、かかる向きを示すマーキングが行われる。
【0003】
この偏光板へマーキングを行う場合、保護フィルムは長尺物よりフィルムを繰り出して貼り合わせて形成されるため、保護フィルム表面には通常シリコンを含有する離型剤が塗布されている。このシリコン被膜が保護フィルム面に形成されていると、保護フィルム面へマーキングを行ってもインキやシールがはじかれてしまい定着しない。このため、予め作業者が手作業でマーキングする部位のシリコン被膜を、洗浄液を含浸させた不織布などで擦って拭き取ることによりマーキングエリアを確保する作業が行われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した偏光板を一枚ずつ手作業で洗浄液を含浸させた不織布などで拭取り作業を行うのは効率が悪いうえに、拭取られたマーキングエリアにマーキング作業(捺印を行う、シールを貼着する作業など)も手作業で行う必要があるため、作業性や生産性が悪いという課題があった。また、手作業でマーキングを行う場合、マーキングエリアやマーキング方向もワークによってまちまちでありマーキングの適否の判別がし難いし、マーキングの向きを誤るおそれもあった。更には、シリコン被膜を擦って除去する作業を機械的に自動化しようとすると、保護フィルムや偏光板に傷を付けるおそれがあり、品質を損なうおそれがあった。
【0005】
本発明は上述した課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、表面保護層が設けられたワークの被膜を効率よく傷付けることなく拭き取りが行えるワーク拭取り装置及び該ワーク拭取り装置を用いて効率よくマーキングできるマーキング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備える。
表面保護層を有するワークの表面に付着する被膜を拭取ってマーキングエリアを確保するワーク拭取り装置において、積層されたワークを一枚ずつ分離供給するワーク供給部に載置されたワークのマーキング位置に、洗浄液を含浸させた拭取りヘッドを駆動源により回転駆動したままワークに押し当てることにより被膜を除去することを特徴とする。
また、中空回転軸の下端側に拭取りヘッドが設けられ、上端側に洗浄液を貯留する洗浄液タンクが設けられ、洗浄液タンクより洗浄液が軸内を通じて拭取りヘッドに供給されることを特徴とする。
また、駆動源と該駆動源により回転駆動される回転軸の軸端に設けられる拭取りヘッドが回転したまま一体に上下動させる上下動機構を備えていることを特徴とする。
また、拭取りヘッドは、回転軸の下端側に予圧ばねにより下方に付勢されて嵌め込まれることを特徴とする。
また、ワークは表面に保護フィルムが貼り合わされている偏光板であり、保護フィルムに塗布されたシリコン被膜が除去されることを特徴とする。
更には、マーキング装置においては、上述したワーク拭取り装置を備えたワーク供給部と、該ワーク供給部から供給されたワークの拭取りされたマーキングエリアにインキ像を形成するマーキング部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上述したワーク拭取り装置を用いれば、積層されたワークを一枚ずつ分離供給するワーク供給部に載置されたワークのマーキング位置に、洗浄液を含浸させた拭取りヘッドを駆動源により回転駆動したままワークに押し当てることにより被膜を除去するので、マーキングに先立ってワークの表面保護層に形成された被膜を迅速に自動的に除去してからワークをマーキング部へ供給することができる。
また、洗浄液タンクより洗浄液が中空回転軸内を通じて拭取りヘッドに供給されるようになっていると、拭取りヘッドに供給する洗浄液の液切れをなくして連続動作が可能となるうえに、洗浄液タンクより洗浄液が回転軸内を通じて自然流下により拭取りヘッドに供給されるので装置構成も簡略化できる。
また、上下動機構により、拭取りヘッドが回転駆動したまま一体に上下動するので、拭取り動作が迅速に行える。また、拭取りヘッドは回転軸の下端側に予圧ばねにより下方に付勢されて嵌め込まれるので、拭取りヘッドが回転したままワークに押し当てられても、予圧ばねにより押圧力が強まるのを逃がしながら所定の押圧力で拭取り動作が行える。
また、マーキング装置においては、予めワークの所定位置で離型剤などの被膜が除去されたマーキングエリアが形成されているので、ワークごとにマーキングが均一かつ確実にしかも効率よく行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係るワーク拭取り装置及びマーキング装置の最良の実施形態について添付図面とともに詳細に説明する。本実施形態は、表面保護層を有するワークの表面に付着する被膜を拭取ってマーキングエリアを確保するワーク拭取り装置に広く適用できる。以下では、マーキング装置の一例としてオフセット印刷機が用いられ、ワークの一例として液晶パネルに使用される表面保護フィルムが貼着された偏光板(ワーク)を例示し、保護フィルムに塗布された離型剤により形成されるシリコン被膜を除去する場合について説明する。
【0009】
先ず、図9を参照してオフセット印刷機の概略構成について説明する。
図9において、ワーク供給部1にストックされたワークは1枚ずつ分離供給され、送り装置2により所定のタイミングでマーキング部(印刷部)3へ送り込まれる。印刷部3は、ワークにモノクロ印刷はもちろんカラー印刷が行えるようになっている。図示しないイメージスキャナにより読み取られた刷版の画像データ或いはパーソナルコンピュータなどに描かれた刷版の画像データに基づいてブランケットに形成されたインキ像が、ブランケット胴と圧胴とのニップ部をワークが通過する際に印刷が行われる。尚、印刷部3は1色のみの単独機のみならず複数台連結されたカラー印刷用の複合機であっても良い。また、印刷部3は水とインキを混合して使用するタイプでも水を使用せずインキのみ使用するタイプのオフセット印刷機の何れであっても良い。印刷部3でインキ像が印刷されたワークは、UV乾燥機4を通過する際にUV硬化性インキを硬化させてから、ワーク排出装置5により排出トレイへ順次積載される。操作部6は、テンキー、ファンクションキーが設けられており、印刷枚数、印刷濃度、印刷速度、ワークサイズなどの様々な設定データが入力される。
【0010】
ここで、オフセット印刷機の制御系の構成について図8のブロック図を参照して説明する。制御部7は、装置各部から入力された入力信号に基づいて装置各部へ制御指令を出力するCPU(図示せず)、各種動作プログラムが格納されたROM(図示せず)、入力されたデータやCPUのワークエリアとして使用されるRAM(図示せず)等を備えている。
【0011】
制御部7には、ブランケット胴(図示せず)の回転軸に設けられたエンコーダ8よりエンコーダ出力信号(Z相、A相、B相出力信号)が入力される。また、送り装置2の給紙原点センサ9から送り爪(図示せず)が原点位置に復帰したか否かの検出信号が入力される。また、制御部7には、後述する上下動機構に設けられるエアバルブ原点センサ10からエアバルブのバルブ開閉信号が入力される。更に、制御部7には、操作部6から印刷枚数、印刷濃度、印刷速度、ワークサイズなどの様々な設定データが入力される。尚、制御部7には図示しない印圧原点センサから圧入れタイミング検出信号が入力され、ワーク高さセンサ59から検出される昇降台に積載されたワーク高さ位置の検出信号が入力される。
【0012】
制御部7は、ブランケット胴の駆動回路を兼用し、ブランケット胴を回転駆動するメインモータ11を駆動制御する。また、制御部7は給紙原点センサ9からの原点検出信号により、給紙モータドライバ12を通じて給紙モータ13の駆動信号が出力される。また、制御部7は昇降台に積載されたワークWの前端側にエアーを吹き付けて捌き易くするため真空ポンプ14への駆動信号が出力される。また、制御部7は、エアバルブ原点センサ10の原点検出信号によりエアバルブ15を開放してエアシリンダ16を作動させて後述する拭取りヘッド40を上下させる。更に、制御部7はワーク供給動作に先立って、拭取りモータドライバ17を通じて拭取りモータ18を回転駆動させるようになっている。尚、制御部7は、ワーク高さセンサ59から制御部7へ検出信号が入力されると、エレベータモータドライバ60を通じてエレベータモータ23へ駆動信号が出力され、昇降台19を所定量だけ上昇させるようになっている。制御部7は圧入れ原点センサ(図示せず)からの原点検出信号により、圧入れモータドライバを通じて圧入れモータの駆動信号が出力される。
【0013】
次に、ワーク供給部1の構成について図4、図6及び図7を参照して説明する。
図6において、昇降台(給紙トレイ)19にワーク(偏光板)Wが積層されている。両側の装置フレーム20には、上下に設けられたホイール21間に無端状のチェーン22が架設されている。昇降台19の一部はチェーン22に連繋しており、正逆回転可能なエレベータモータ23を所定方向へ回転駆動すると、チェーン22が周回して昇降台19が上昇若しくは下降するようになっている。
【0014】
図7(a)において、吸着パッド28は、ワークWの幅方向に沿って設けられた支持部材24に2箇所で支持されている。吸着パッド28は、昇降台19に積層されたワークWを吸着保持して送り装置2の搬送ベルト25(図4(c)参照)へ供給する。図7(b)(c)において、支持部材24はアーム軸26を中心に揺動する揺動アーム27の先端側に連繋している。
【0015】
図6において、吸着パッド28は、真空ポンプ14(図8参照)の作動によりエアー吸引動作を行う際にロッドが下方に伸長して最上側のワークWに押し当て得られ、ワークWが吸着されるとロッドが上方に引き込まれてワークWを吸着保持するようになっている。吸着パッド28は昇降台19に積層された最上側のワークWを前側よりの部位で吸着して送り装置2へ供給する。
【0016】
図7(c)において、装置フレーム20には、印刷部3側より駆動伝達される伝達ギヤ29が設けられており、該伝達ギヤ29には偏芯カム30及びバルブ開閉カム31(図7(d)参照)が同軸に設けられる。この偏芯カム30は揺動アーム27に常時当接するように付勢されている。偏芯カムが1回転する間に揺動アーム27を揺動させて、該揺動アーム27の上端側に支持された支持部材24を往復動させる。このとき、支持部材24に支持された吸着パッド28が、ワークWを送り装置2へ受け渡す供給位置とワークWを吸着保持可能な吸着位置との間を往復移動するようになっている(図4(c)参照)。尚、印刷部3から伝達ギヤ29への駆動伝達は、ワーク供給動作のタイミングに合わせたクラッチ切り換え動作などにより行われる。
【0017】
図7(c)において、伝達ギヤ29が回転してバルブアーム32がバルブ開閉カム31(図7(d)参照)に当接すると、バルブアーム32がねじりコイルバネ33の付勢に抗して反時計回り方向へ回転する。このとき、吸引バルブが真空破壊されるようになっている。従って、伝達ギヤ29(偏芯カム30)が1回転する間に、揺動アーム27がアーム軸26を中心に往復動すると共に、吸着パッド28にワークWが吸着保持され、当該吸着保持されたワークWの吸着が解除されるように吸引バルブの開閉が行われる。
【0018】
また、図7(a)(d)において、偏芯カムのカム軸34には偏芯部分に対応した重り35が同軸に設けられている。印刷部3側からの駆動伝達を停止すると、偏芯カムは重り35により所定位置で止まるようになっている。これにより、ワークWの交換や印刷動作に中止など供給動作を一時的に停止した場合に、再度吸着パッド28を自動的に原点位置に復帰させることができる。
【0019】
また、図4(a)〜(c)において、昇降台19に積載されたワークWの前端側には送風部36が設けられており、ワークWの前端上部に送風して捌き易くしている。また、ワークWの後端側には押さえバネ37が設けられており、ワークWを前方へ揃えるように付勢している。更には、最上側のワークWには押さえ棒38が載置されており、ワークWの浮き上がりを押さえると共に重ね送りされるのを防いでいる。
【0020】
次に、ワーク拭取り装置の構成について図1乃至図3を参照して説明する。
図2において、ワーク供給部1には昇降台19積層されたワークWのマーキング位置でシリコン被膜を除去するワーク拭取り装置39が設けられている。ワーク拭取り装置39はワーク供給部1がワークWを吸着分離するのに先立って、ワークのマーキング位置に洗浄液を含浸させた拭取りヘッド40を駆動源である拭取りモータ18により回転駆動したままワークWに押し当てることによりシリコン被膜を除去する。ワーク拭取り装置39は、装置フレーム20に架設されたベース部材41に設けられている(図6参照)。
【0021】
先ず、拭取りヘッド40の回転駆動機構について図1(a)乃至図1(d)を参照して説明する。拭取りヘッド40は中空回転軸42の下端部に設けられている。この回転軸42の上端部には、ジョイント43を介して洗浄液タンク44が連結されている。この洗浄液タンク44より洗浄液が軸内を通じて拭取りヘッド40に供給されるようになっている。回転軸42はベアリング45を介してスライドスリーブ46に回転可能に支持されている。スライドスリーブ46は、取付プレート47に一体に固定されている。取付プレート47には拭取りモータ18が一体に固定されている。回転軸42にはプーリ48が一体に嵌め込まれており、モータ軸にはモータプーリ49が嵌め込まれている。モータプーリ49とプーリ48との間には無端状のタイミングベルト50が架設されている。
【0022】
また、図1(c)において、拭取りヘッド40は、回転軸42の下端に筒状のホルダスリーブ51を介してスライド可能に嵌め込まれている。ホルダスリーブ51の上端とスライドスリーブ46の下端との間には予圧ばね52が介装されており、拭取りヘッド40は常時下方に付勢されている。ホルダスリーブ51の下端には、筒体状のホルダー53が一体に嵌め込まれている。ホルダー53の下端側開口部には、洗浄液を含浸させたコア材(フエルト材)54が嵌め込まれている。フエルト材54は、ワイピングクロス(不織布)55により覆われており、ワイピングクロス55はOリング56によりホルダー53の外周に固定されている。拭取りヘッド40は、拭取りモータ18を起動すると、タイミングベルト50を介して回転軸42がスライドスリーブ46に設けられたベアリング45にガイドされて回転する。このとき、回転軸42の下端に設けられた拭取りヘッド40及び上端に設けられた洗浄液タンク44も一体に回転する。
【0023】
次に拭取りヘッド40を回転駆動したまま上下動させる上下動機構について説明する。図1(c)において、ベース部材41には、ベースブロック57が設けられている。このベースブロック57には筒状のスリーブホルダー58が固定されている。スリーブホルダー58には、スライドスリーブ46が上下動可能に嵌め込まれている。
【0024】
また、図1(a)において、ベースブロック57には、エアシリンダ16が取付固定されている。エアシリンダ16のシリンダロッド16aの先端は、取付プレート47に連結されている。エアシリンダ16を作動させると、シリンダロッド16aが連結する取付プレート47が上下動する。取付プレート47が上下動すると、該取付プレート47に一体に固定されたスライドスリーブ46及び拭取りモータ18も一体に移動する。このとき、スライドスリーブ46に支持される回転軸42及び拭取りヘッド40は回転したまま上下動可能になっている。
【0025】
図3(a)はエアシリンダ16のシリンダロッド16aを前進(伸長)させた状態を示す。このとき、拭取りヘッド40は上限位置に保持される。図3(b)はエアシリンダ16のシリンダロッド16aを後退(退避)させた状態を示す。このとき、拭取りヘッド40はスライドスリーブ46がスリーブホルダー58に突き当たって下限位置に保持される。拭取りヘッド40の位置にかかわらず、拭取りモータ18を起動することにより回転軸42を回転させて、拭取りヘッド40を回転駆動することができる。
【0026】
ワーク拭取り装置39の拭取り動作について説明する。図3(a)において、エアバルブ原点センサ10はエアバルブ15が原点位置にあることを検出した状態で、制御部7が拭取りモータドライバ17を通じて拭取りモータ18を起動すると(図8参照)、拭取りヘッド40が回転軸42を中心に回転する。この状態で、エアシリンダ16を作動させるとシリンダロッド16aを下方に後退させ、取付プレート47介して連繋するスライドスリーブ46が下方に移動する。スライドスリーブ46はスリーブホルダー58にガイドされて下動し、拭取りヘッド40のワイピングクロス55が最上側のワークWに当接するまで移動する。このとき、拭取りヘッド40は、図3(b)に示す下限位置より手前でワークWに当接しても予圧ばね52が押し縮められて加圧の強まりを逃がしたまま回転駆動される。拭取りヘッド40は回転したまま所定時間ワークWへ圧接している間に拭取り動作が行われる。拭取りが終了すると、エアシリンダ16を作動させてシリンダロッド16aを上方へ移動させ、取付プレート47介して連繋するスライドスリーブ46が上方に移動する。スライドスリーブ46はスリーブホルダー58にガイドされて上動し、拭取りヘッド40が図3(a)に示す上限位置まで復帰する。
【0027】
次に、ワーク供給部1のワーク供給動作について図4(a)(b)(c)を参照して説明する。図4(a)において、吸着ヘッド28が作動する前に、ワーク拭取り装置39が拭取り動作を開始する。このとき、拭取りモータ18を起動して拭取りヘッド40を回転させたまま、エアシリンダ16を作動させて拭取りヘッド40がワークWに当接するまで下動させる。そして、図4(b)において、拭取りヘッド40がワークWを押圧したまま一定時間(若しくは所定回転数)回転することで拭取り動作が行われる。拭取り動作が終了すると図4(c)においてエアシリンダ16を作動させて拭取りヘッド40がワークWより離間する。そして、伝達ギヤ29へ駆動伝達されて揺動アーム27が揺動し(図7(a)参照)、吸着パッド28により最上側のワークWが吸着保持されて搬送ベルト25と従動ローラ29とのニップ部へ送り込まれる。
【0028】
ワーク拭取り装置39の拭取り動作について図5のフローチャートを参照して説明する。先ず、図5において、ワーク供給動作を開始する前に、拭取りモータ18を起動して拭取りヘッド40を回転させておく(ステップS1)。次に、エアシリンダ16を作動してシリンダロッド16aを後退させて拭取りヘッド40を回転したままワークWへ下降させる(ステップS2)。制御部7は、エアシリンダ16の下降動作から設定時間経過したか否か計測しており設定時間経過すると(ステップS3)、エアシリンダ16を作動させて拭取りヘッド40を上昇させる(ステップS4)。
【0029】
次に、拭取り動作が終了すると、ワーク供給動作を開始し、伝達ギヤ29へ駆動伝達されて揺動アーム27が揺動して吸着パッド28により最上側のワークWが吸着保持されて搬送ベルト25と従動ローラ29とのニップ部へ送り込まれる(ステップS5;図4(c)参照)。吸着パッド28は、ワークWを1枚送り込むと、吸着が解除されて元の位置へ復帰する。次いで、設定枚数分の給紙が行われたか否か判定し(ステップS6)、設定枚数に達していなければ、ステップS2に戻って次のワークWに対する拭取り動作が開始され、設定枚数に達していれば、供給動作を終了する(給紙停止)。尚、昇降台19に積載されたワークWの積載量は、ワーク高さセンサ59により検出されており(図8参照)、所定量送られるとエレベータモータ23が作動して上昇するようになっている。
【0030】
図9において、拭取りが行われたワークWは送り装置2により印刷部3へ所定のタイミングで送り込まれ、拭取りされたマーキングエリアにマーキング(矢印、文字、記号などの印刷)が行われる。印刷部3でマーキングされたワークWは、UV乾燥機4でUV乾燥が行われた後、ワーク排出装置5へ排出される。
【0031】
尚、ワークは偏光板に限らず他の部材でも良く、マーキング装置もオフセット印刷機に限らず他のマーキング方式を採用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】ワーク拭取り装置の正面図、右側面図、矢印A−A断面図及び上視図である。
【図2】ワーク拭取り装置の斜視図である。
【図3】拭取りヘッドの上限位置及び下限位置を示す説明図である。
【図4】ワーク供給動作の状態説明図である。
【図5】ワーク供給動作のワーク供給動作を示すフローチャートである。
【図6】ワーク供給部の斜視図である。
【図7】ワーク供給部の正面図、左右側面図及び平面図である。
【図8】オフセット印刷機の制御系の構成を示すブロック図である。
【図9】オフセット印刷機の説明図である。
【符号の説明】
【0033】
1 ワーク供給部
2 送り装置
3 印刷部
4 UV乾燥機
5 ワーク排出装置
6 操作部
7 制御部
8 エンコーダ
9 給紙原点センサ
10 エアバルブ原点センサ
11 メインモータ
12 給紙モータドライバ
13 給紙モータ
14 真空ポンプ
15 エアバルブ
16 エアシリンダ
17 拭取りモータドライバ
18 拭取りモータ
19 昇降台
20 装置フレーム
21 ホイール
22 チェーン
23 エレベータモータ
24 支持部材
25 搬送ベルト
26 アーム軸
27 揺動アーム
28 吸着パッド
29 伝達ギヤ
30 偏芯カム
31 バルブ開閉カム
32 バルブアーム
33 ねじりコイルバネ
34 カム軸
35 重り
36 送風部
37 押さえバネ
38 押さえ棒
39 ワーク拭取り装置
40 拭取りヘッド
41 ベース部材
42 回転軸
43 ジョイント
44 洗浄液タンク
45 ベアリング
46 スライドスリーブ
47 取付プレート
48 プーリ
49 モータプーリ
50 タイミングベルト
51 ホルダスリーブ
52 予圧ばね
53 ホルダー
54 フエルト材
55 ワイピングクロス
56 Oリング
57 ベースブロック
58 スリーブホルダー
59 ワーク高さセンサ
60 エレベータモータドライバ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面保護層を有するワークの表面に付着する被膜を拭取ってマーキングエリアを確保するワーク拭取り装置において、
積層されたワークを一枚ずつ分離供給するワーク供給部に載置されたワークのマーキング位置に、洗浄液を含浸させた拭取りヘッドを駆動源により回転駆動したままワークに押し当てることにより被膜を除去することを特徴とするワーク拭取り装置。
【請求項2】
中空回転軸の下端側に拭取りヘッドが設けられ、上端側に洗浄液を貯留する洗浄液タンクが設けられ、洗浄液タンクより洗浄液が軸内を通じて拭取りヘッドに供給されることを特徴とする請求項1記載のワーク拭取り装置。
【請求項3】
駆動源と該駆動源により回転駆動される回転軸の軸端に設けられる拭取りヘッドを回転したまま一体に上下動させる上下動機構を備えていることを特徴とする請求項1記載のワーク拭取り装置。
【請求項4】
拭取りヘッドは、回転軸の下端側に予圧ばねにより下方に付勢されて嵌め込まれることを特徴とする請求項1記載のワーク拭取り装置。
【請求項5】
ワークは表面に保護フィルムが貼り合わされている偏光板であり、保護フィルムに塗布されたシリコン被膜が除去されることを特徴とする請求項1記載のワーク拭取り装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項記載のワーク拭取り装置を備えたワーク供給部と、該ワーク供給部から供給されたワークの拭取りされたマーキングエリアにインキ像を形成するマーキング部を備えたことを特徴とするマーキング装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−150736(P2006−150736A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−343985(P2004−343985)
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【出願人】(000106944)シナノケンシ株式会社 (316)
【Fターム(参考)】