一体化された透過性流路膜
本発明はモノフィラメント糸(4)によって予め規定された距離で間隔をあけられた上部及び下部布表面(2,3)を有する3Dスペーサ布からなる透過性流路を含む膜であって、前記透過性流路が二つの膜層(12,13)の間に挿入され、前記膜層が前記上部及び下部布表面と多数の点で結合されて逆洗操作のために好適な高結合強度を有する一体化構造を形成する膜に関する。さらに、本発明は一体化された透過性流路膜を提供するための方法であって:予め決められた距離でモノフィラメント糸(4)によって間隔をあけられた上部及び下部表面布(2,3)を含む3Dスペーサ布を準備し;そして前記上部及び下部表面布に膜層を適用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば水濾過及び廃水浄化における膜技術のために特に有用な、一体化された透過性流路を含む新規な膜に関する。
【背景技術】
【0002】
膜バイオリアクター(MBR)は、過去数年にわたって水の世界で人気のある対象である。今までの研究は、廃水処理プラント並びに工業的製造工程からの濃縮された流体、廃棄部位からの濾過水の処理及びスラッジの脱水におけるMBRの適用可能性をカバーしている。廃水適用のための膜バイオリアクターの成功に続いて、飲料水製造工程にMBRの概念を適用する対象に対して研究が実施された。
【0003】
廃水適用におけるMBRは、リアクターにおける生物学的処理と膜濾過工程による物理的処理の組み合わせからなる。沈降工程の代わりに膜濾過を導入することによって、高いスラッジ負荷がリアクターに維持されることができ、それは(理論的に)低いスラッジ生成量で高い生物学的分解速度に導く。15〜20g/lのスラッジ濃度は、MBRについての文献に述べられている。高効率の工程は、高濃度の流体を生成し、小さな設置面積のシステムを設計することができる。しかしながら、実際には、設置面積は、8〜12g/lの最大維持可能なスラッジ濃度によって膜濾過のために要求される小さい面積によって減少されるにすぎない。さらに、従来の沈降システムにおいてより高いスラッジ生成速度が記録されている。
【0004】
JP 2001212436は、浸漬タイプの膜カートリッジ及びその製造方法を記載する。この適用において、浸漬タイプの膜カートリッジが製造され、そこでは膜はフィルターカートリッジの縁の内側に溶接される。
【0005】
JP 2003135939及びJP 2003144869は、分離膜及びその製造方法を記載する。分離膜は、有機繊維から構成される多孔質ベース材料の表面上に多孔質樹脂層を形成することによって製造される。樹脂の一部は、多孔質ベース材料の少なくとも表面層の部分中に浸透されて、少なくとも表面層の部分で多孔質ベース材料と複合層を形成する。
【0006】
これらの特許の目的は、目詰りがほとんど起こらず、しかも多孔質ベース材料からの多孔質樹脂層の剥離が防止される、高い水透過性の膜を開発することである。
【0007】
JP 2001321645では、フィルター膜要素が提示されている。フィルター要素は、支持プレートの一部で支持プレートの両表面を透過する水収集のための間隙を有し、水収集のための間隙は、透過された水の取出口の方向に配置され、透過された水の取出口と連通している。
【0008】
WO 03037489は、プレート濾過モジュールを記載し、前記モジュールは、その内部領域を排水するための少なくとも一つの開口を有する複数の「フィルター膜ポケット」を含む。前記ポケットは、隣接するフィルター膜ポケットが液体によって強く横切られることができるような方法で、好ましくは互いに同じ距離で、平行な態様で硬い支持要素に垂直に配置されている。濾過モジュールは、フィルター膜ポケットが本質的に平坦で可撓性があり、対向する側上で支持要素に固定され、前記支持要素が可撓性の液体透過性芯及び複数の液体透過性芯要素を有するフィルター膜ポケットを介して吸引される液体を排出するための少なくとも一つの排出ラインを含む。
【0009】
JP 11244672は、平坦な膜要素を記載し、そこではバッグ形態として形成された四辺形の平坦な膜を構成するためにその上部端及び左右端の三つの側で周囲縁をしっかりと接着することによって封止部分が形成されている。膜支持部材で設置された平坦な膜の未封止周囲縁の一つの側は、膜支持部材の上部の両側の表面上に約1.5cmの高さで重ねられ、膜支持部材に溶接されて平坦な膜を支持する。膜支持部材より大きい厚さの頭が膜支持部材の両端で形成されている。両方の頭は、膜支持部材の流路と連通するノズルを与えられ、透過物を取出すために使用される。
【0010】
従来技術の膜プレート(四辺形の平坦な膜からのフィルターポケット、バッグ)は、別個の構成要素(二つの膜、スペーサ及び支持体)を一緒にもたらすことによって形成される。二つの膜は、互いに向けられたそれらの膜支持体、及び間隙を作るためにそれらの間に置かれたスペーサとともに設置される。これらのコンセプトの弱点は下記の通りである:
・別個の構成要素を用いた透過性流路の構成。モジュール一体性(リーク)及びそのコスト価格をかなりの程度妥協する構成のための多くの作業工程(接着、貼着、溶接)。
・モジュール支持体への膜の接着性(膜の脱離、剥離!)。
・作業上の問題:膜の支持体への劣った接着性のために膜を逆洗することが不可能。
【0011】
螺旋巻きのNF/RO技術は、標準化された圧力容器(240インチ長さまでの長さを有する8インチ直径)に置かれた更新可能な標準化された膜モジュール要素(8インチ直径、40〜60インチ長さ)からなる。
【0012】
かかる螺旋巻きの膜モジュールの製造のため、通常複数の独立したエンベロープ状膜(二つの膜リーフは透過性スペーサを間に入れてそれらの後側で組立てられている)は、中央透過性管の外周表面のまわりに巻かれている。膜エンベロープの四つの縁のうち三つは接着され、第四のものは中央透過性コレクタと接続される。従って、製造では、透過性の水は、膜モジュールの外側から中央透過性管の方への螺旋移動をする。
【0013】
膜エンベロープの巻いたものの間には、通常、供給水スペーサを置く。供給水スペーサの厚さは、膜エンベロープの間の距離を決定する。操作(濾過)中、供給水は、螺旋モジュールの上に供給され、供給スペーサによって膜モジュールに入ることができる。このようにして供給水の部分は、螺旋巻き型の膜要素上を長手方向に流れ、その後濃縮水出口(他方の上側)から放出される。一方、供給水の主要部は、透過され、中央透過性管で収集される。これは、逆浸透及びナノ濾過における通常の操作方法である。
【0014】
螺旋膜技術を精密濾過(MF)及び限界濾過(UF)操作のために有用にするためには、螺旋膜は、膜表面の上の付着した粒子を除去できるように逆洗可能であるべきである(逆濾過)。MF/UF操作(濾過)中、それはNFの操作と全く同様にほとんどの時間作用するが、連続的な濃縮放出物が周期的に排出されるだろう。これは、例えば各々30〜60分後に逆洗によって実施され、操作中に透過物の一部が生成され、これは典型的には生成された容量の2〜10%である。効率的にケーキを除去するために、この逆洗は操作時の流束速度より少なくとも3倍高い流束速度で実施される。
【0015】
この目的のため逆洗可能な精密濾過膜が必要とされる。標準的な平坦なシートMF/UF膜は、不織型の支持体上に注型されたポリマー膜から構成される。これらの膜は、支持体中への物理的取込み/組込みによって支持体に取付けられる。この組込みはしばしば、支持体構造の厚さの30%を占める。しかしながら、かかる膜は、支持体への膜の接着がかなり弱いので、逆洗のために適していない。幾つかの製造業者(例えばTrisep/日東電工)は、逆洗可能な変形例を開発した。これらの場合において、膜は支持体構造を完全に満たしている。これは、支持体への膜の接着性を高め、ある程度逆洗可能にする。
【0016】
しかしながら、このような変化があっても、支持体への膜の接着性又は剥離強度は、一般的なUF膜と比較して3倍高いことが主張されている。逆洗時に最大許容可能な負のTMPは、なお3barの値に制限されている。
【0017】
EP 1022052,JP 2003251154,JP 2002095931は、螺旋巻き型の膜要素及びその使用及び洗浄方法を開示する。WO 0078436は、逆フラッシされることができる螺旋巻きの膜濾過要素を開示する。
【0018】
US 5275725は、内部層を有する三つの層の平坦な膜支持体を開示し、その上に表面層を含む不織布が接着剤で接着されるか又は加熱融着されている。前記表面層上に、膜が両側被覆で適用された後、転相される。
【0019】
これらの開示は全て、以下の問題を示す:
・膜の剥離強度(逆洗時の制限されたTMP);
・めんどうなモジュール製造;
・6m圧力容器における劣った粒子追出力(バイパススペーサのために必要)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、高圧に耐えることができ、従って効率的に逆洗されることができ、頻繁な清浄化の必要性なしで長期間の操作を実現できる、精密濾過、限外濾過、MBR、パーベーパレーション、膜蒸留、支持液膜、パートラクション(pertraction)の如き様々な膜適用に使用可能な一体化された透過性流路を有する新規な膜を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、一緒に束ねられかつモノフィラメント糸によって予め規定された距離で間隔をあけられた上部及び下部布表面を有する3Dスペーサ布からなる透過性流路を含む一体化された透過性流路膜であって、前記透過性流路が二つの膜層の間に挿入され、前記膜層が前記上部及び下部布表面と多数の点で結合されている膜に関する。3Dスペーサ布のモノフィラメント及び布表面は、モノフィラメント糸におけるループによって結合されることが好ましい。好ましくは、前記ループが前記膜層に埋め込まれている。好ましくは、布表面は、編まれた、織られた又は織られていないタイプのものである。上部と下部布表面の間の距離は0.5〜10mmであることが好ましい。
【0022】
3Dスペーサは、ポリエステル、ナイロン、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群から選択される材料を含むことが好ましい。膜層は、HPC,CMC,PVP,PVPP,PVA,PVAc,PEO,TiO2,HfO2,Al2O3,ZrO2,Zr3(PO4)4,Y2O3,SiO2,ペロブスカイト酸化物材料、SiCからなる群から選択された親水性充填剤材料、及びPVC,C−PVC,PSf,PESU,PPS,PU,PVDF,PI,PAN及びそれらのグラフトされた変異体からなる群から選択された有機結合剤材料を含むことが好ましい。
【0023】
本発明の特別は実施態様では、前記膜が平坦である。膜は、膜層を通過せずに透過性流路から又は透過性流路への直接流体移動を防止するために配置された平坦な膜の周囲のシーラント、及び周囲に少なくとも一つの縁を与えられた、透過性流路と流体連通する入口/出口接続をさらに含むことが好ましい。
【0024】
本発明の別の実施態様は、本発明の平坦な膜の配列を含む膜バイオリアクターモジュールにある。
【0025】
本発明の別の特別な実施態様では、前記膜は、中央透過性管のまわりに螺旋状に巻かれている。
【0026】
本発明の別の実施態様は、壁及び前記壁によって規定される内腔、及び多数の螺旋巻きの膜を含む、円筒形の中央透過性管を含む螺旋膜モジュールであって、前記膜の透過性流路が前記中央透過性管の内腔と流体連通し、前記膜が前記中央透過性管のまわりに螺旋状に巻かれる螺旋膜モジュールにある。螺旋膜モジュールは、前記膜の間に挿入された供給スペーサをさらに含むことが好ましい。供給スペーサは、平坦な箔、及び箔の両側に位置された連続リブを含むことが有利である。さらに、本発明の好ましい実施態様では、供給スペーサは、供給バイパスを含むバイパススペーサである。バイパススペーサは、平坦な箔、及び箔の両側で長手方向に位置された連続リブを含み、箔は、長手方向の流体の移動を可能にするように配置された供給バイパスを含む。
【0027】
本発明の膜は、少なくとも10barの逆洗圧力に耐えうることが好ましい。
【0028】
本発明の別の側面は、一体化された透過性流路膜を提供するための方法であって:
予め決められた距離でモノフィラメント糸によって間隔をあけられた上部及び下部表面布を含む3Dスペーサ布を準備し;そして
前記上部及び下部表面布に膜層を適用する
工程を含む方法に関する。
【0029】
膜層を適用する工程は、ドープを被覆して前記ドープを凝固し、前記上部及び下部布表面と多数の点で結合された膜層を形成する工程からなることが好ましい。
ドープは:
HPC,CMC,PVP,PVPP,PVA,PVAc,PEO,TiO2,HfO2,Al2O3,ZrO2,Zr3(PO4)4,Y2O3,SiO2,ペロブスカイト酸化物材料及びSiCからなる群から選択された親水性充填剤材料;
PVC,C−PVC,PSf,PES,PPS,PU,PVDF,PI,PAN及びそれらのグラフトされた変異体からなる群から選択された有機結合剤材料;及び
NMP,DMF,DMSO又はDMAc又はそれらの混合物からなる群から選択された非極性溶媒
を含むことが有利である。
【0030】
本発明の別の側面は、水濾過及び/又は廃水浄化のための本発明による膜又は膜モジュールの使用に関する。
【0031】
図面の簡単な記述
図1は、3Dスペーサ布の側面図を表わす。
【0032】
図2は、3Dスペーサ布の上部表面図を表わす。
【0033】
図3は、モノフィラメントによる上部表面と下部表面の間の接続の詳細を示す。
【0034】
図4は、被覆及び転相工程によって適用された二つの膜層を有する本発明によるIPC−MBR膜の横断面図(SEM写真)を示す。
【0035】
図5は、被覆及び転相工程によって適用された二つの膜層(図4に表わされたものと同じ膜)を有する本発明によるIPC−MBR膜の横断面図(光学写真)を示す。
【0036】
図6は、本発明によるIPC膜を概略的に表わす。
【0037】
図7は、本発明によるIPC膜プレートを概略的に表わす。
【0038】
図8は、特別な供給スペーサの横断面の概略図を示す。
【0039】
図9は、バイパスを有する特別な供給スペーサの横断面の概略図を示す。
【0040】
図10は、逆洗時の240インチ長の圧力容器における四つの螺旋IPC膜モジュールの概略図を示す。
【0041】
図11は、螺旋膜モジュールの横断面の全体像を示す。
【0042】
図12は、螺旋膜の線A−A′に沿った詳細を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
本発明において、透過性流路を含む新規な膜が与えられる。これは、二つの膜層の間の3Dスペーサ布の含有によって実現可能である。
【0044】
この一体化された透過性流路膜(IPC膜)は基本的に次の二種類の構成要素を含む:3Dスペーサ布、及び二つの膜層。
【0045】
3Dスペーサ布は、編成操作によって(例えば、Raschel編機によって)実現されることが好ましい。スペーサ布は、制御可能な距離で二つの表面布(2,3)(編まれた、織られた又は織られていないタイプの布)から構成され、それらは平方cmあたり数百のスペーサモノフィラメント糸(4)で一緒に束ねられる。かかる3Dスペーサ布の例は、図1,2及び3に示されている。二つの布表面2及び3の間の接続は、スペーサモノフィラメント糸4におけるループ5によってなされる。二つの表面布層(2,3)の間の距離は、ループ(5)間のスペーサモノフィラメント糸(4)の長さによって決定され、0.5〜10mmで変化されることができる。好ましい表面布の構造は、図2に示されている。
【0046】
最も好ましいIPC膜は、被覆工程によって作られる。IPC膜は、膜ドープで編まれたスペーサ布の両表面(上部及び下部、2及び3)を同時被覆することによってその場で形成される。膜は次いで、転相工程(非溶剤における凝固)によって形成される。膜ドープは、いかなるタイプのポリマー結合材料(限定されない種類からの天然ポリマー:PVC,C−PVC,PSf,PESU,PPS,PU,PVDF,PI,PAN及びそれらのグラフトされた変異体(スルホン化、アクリル化、アミン化))、非極性溶媒、例えばDMF,DMSO,DMAc又はNMP、及び充填剤材料(HPC,CMC,PVP,PVPP,PVA,PVAc,PEOのようなポリマー材料及び/又はTiO2,HfO2,Al2O3,ZrO2,Zr3(PO4)4,Y2O3,SiO2,ペロブスカイト酸化物材料、SiCのような無機材料)を含有してもよい。非溶剤は、水蒸気相(水蒸気又は冷たい蒸気)、水、又は水と上述の非溶剤の混合物であってもよい。
【0047】
例えば、製造工程は以下のようなものであることができる:
・スペーサ布製造工程:スペーサ布(編まれた、織られた又は織られていない)巻き出し;スペーサ布を垂直位置に案内し、スペーサ布を広げて折り目形成を防止する(製造方向と垂直)。
・スペーサ布被覆工程:両側被覆システムを用いてドープを同時両側被覆し、スペーサ布の両側に自動ドープ供給して(両側に同レベル)、ドープ被覆されたスペーサ布を得る。
・表面細孔形成工程:両側被覆スペーサ布を水蒸気相と接触する。ドープ被覆されたスペーサ布の両側に異なる条件を適用することによって両側に異なる細孔サイズ特性を有する非対称スペーサ布補強膜を得ることもできる。
・バルク形成工程:熱水浴中への製品の凝固。
・後処理工程:水溜めにおける化学物質の洗浄。
・乾燥工程:製品の乾燥。
【0048】
このその場での膜形成方法によって構成要素(編まれたスペーサ布及び二つの膜層)は、互いに破壊不可能に結合される。これは、膜がスペーサ布自体の上及びその内側に形成されるためである。
【0049】
図4,5及び6には、IPC膜の典型的な横断面図が与えられている。モノフィラメント糸4は明確に見ることができるが、両布表面は膜(12,13)でカバーされる。
【0050】
図5は、転相工程によって作られたIPC膜の横断面の光学写真である。図4は、図5に示されたものと同じIPC膜の横断面のFESEM写真である。
【0051】
IPC膜の典型的な横断面図は、IPC膜の典型的な構成要素を示す:
・二つの膜層12及び13の間の多数の柱状物(スペーサ布モノフィラメント糸4);
・二つの膜層12及び13;
・膜構造体の内側の二つの表面のモノフィラメント糸6。
【0052】
これらの横断面図上には、モノフィラメント糸のループ(5)及び布表面(3)のマルチフィラメントが膜層に埋め込まれていることも見られる。
【0053】
これらの図から、膜層が多数の固定点によってスペーサ布と破壊不可能に連結されることが明らかである。
【0054】
IPC膜の特性/特徴
IPC膜の主要な特徴の一つは、一体化された透過性流路の存在である。この透過性流路は、様々な適用のために有用である:
・MBR適用における透過物取り出し、並びに例えば限外及び精密濾過膜;
・蒸留、蒸気透過、パーベーパレーション、及びガス分離;
・パートラクション及び支持液膜における例えば液体イオン交換における固定化目的。
【0055】
編まれたスペーサ布への被覆及び転相工程によって製造されたIPC膜の膜層の固定/接着は、極めて強い。これは、多数の固定点によって説明されることができる。
【0056】
この特性は、(水より50倍高い粘度を有する)シリコーンオイルでの破裂圧の測定によって示される。二つの膜層は17bar以下の圧力では脱着しないことが見出された。
【0057】
IPC膜のこの特性は、優れた逆洗可能な平坦なシート(UF/UF)膜を作る。
【0058】
さらに、形成された複合材料構造が極めて剛いことも見出された。IPC膜は、全体として乾燥後極めて剛い。これは、表面布のモノフィラメント糸のループによるスペーサ布自体の可撓性を考えるとかなり予期せぬことである。これは、二つの膜層の膜構造中へのスペーサ布のモノフィラメントループの固定/含有によって説明されることができる。この特性は、特に大きな表面積(例えば2m×2m)を作ることを可能にする。
【0059】
従って、本発明によるIPC膜の主要な特性は以下の通りである:
− 一体化されたスペーサ流路の存在;
− その逆洗能力;
− その剛性。
【0060】
上述の特性から、様々な新規な膜モジュールコンセプト及び適用は、IPC膜で生成されることができる。本発明は、以下に記載される二つの限定されない例によってさらに説明される。
【0061】
適用例:
1.IPC−MBR膜モジュールコンセプト:
本発明による膜バイオリアクター(MBR):
水中に沈められた膜バイオリアクターのためのこの新規なコンセプトは、IPC−MBR膜モジュールコンセプトと称される。この適用のため、一体化された透過性流路は、別個の透過性スペーサ流路を用いる特別なモジュールコンセプトの必要性なしに活性スラッジシステムから透過物を取出すために使用される。透過のための駆動力は、一体化された透過性流路側から適用された吸引力である。この作用によって精密/限外濾過品質を有する水が活性スラッジシステムから生成される。
【0062】
透過性流路上で吸引力を実現するためには、まずいわゆる「IPC−MBRプレート」を実現しなければならない。これは、エポキシ/ポリウレタンタイプの樹脂、又はいかなるタイプのゴム、又はホットメルトの如きシーラント7でIPC−MBR膜1の少なくとも二つの(好ましくは対向する)縁を閉じることによって、又はいかなるタイプの溶接操作によっても行なうことができる。他の縁は、開いたままであり、かつ入口/出口8に封止され、透過物を排出又はフィードバックすることができる。入口/出口8を有する対向する縁は次いで、ガスが容易に排出されることができるように、垂直位置(上部)に位置されることが好ましい。
【0063】
そうして形成されたIPC−MBRプレート9は、廃水浄化の目的のために次の寸法を持つことができる:0.5m〜2mの幅、及び0.5m〜2mの高さ。
【0064】
MBRモジュールを形成するために、IPC−MBRプレート9は、気泡が膜を通過するように互いに1〜10mmの距離に位置された(これらのIPC−MBRプレートを多数含有する)配列に垂直に位置される。IPC−MBRモジュールは、今使用できる状態である。
【0065】
好ましくは、曝気システムは、モジュールの底部に置かれ、それは、膜を清浄化するため及び活性スラッジシステムの細菌のための酸素供給のために役立つ。
【0066】
従って、IPC−MBR膜は、下記のものである:
・少なくとも二つの閉じられた縁及び少なくとも一つの、入口及び出口を有する縁;
・これらのIPCプレートの配列;
・底部の任意の曝気システム。
【0067】
2.IPC−螺旋UF膜モジュールコンセプト:
本発明によるIPC−螺旋UF膜:
IPC膜は、長い膜寿命を保証する、10bar以上の操作における逆洗の膜間圧(TMP)を支える。この目的のためのIPC膜は、1〜3mmの厚さを有することが好ましい。図11では、IPC螺旋膜モジュールコンセプトの概略図が与えられている。
【0068】
IPC膜リーフ32は、ちょうどエンベロープ状膜タイプのような中央透過水管31に接続される。IPC螺旋膜30では透過性スペーサに対する必要はない。なぜならば二つの膜表面の間の距離はスペーサ糸(柱状物)の長さによって決定されるからである。
【0069】
特別な供給スペーサを使用して特別なバイパススペーサを導入することも推奨される。線A−A′に沿ったIPC螺旋UF膜の詳細図は、図13に表わされている。一体化された透過性流路を有する膜32、供給スペーサ33及びバイパススペーサ34は、本発明の好ましい実施態様のためにそれらのそれぞれの寸法で示されている。
【0070】
特別な供給スペーサ33は、逆洗操作中に粒子追出力を増大することが推奨される。これは、膜モジュール30の二つの上側に濃縮物を案内することによって達成される。スペーサは、がっしりしたPE,PP又はPES箔22からなり、箔の両側に連続リブを有する。リブ21は、膜モジュールの長手方向にある。この新規なスペーサの全厚さは、0.5〜3mmであることが好ましく、0.2〜1mmのリブ高さ及び0.05〜0.3mmの箔厚さである。箔上のリブ間の距離は、5〜30mmであることが好ましい。
【0071】
図8及び9は、特別な供給スペーサの概略図を示す。
【0072】
バイパススペーサ34はまた、より大きなモジュールにおける逆洗操作時の粒子爆発力を増強することが推奨される。実際、それは特別な供給スペーサ33と全く同様である。さらに、それは供給バイパス23(図9参照)を含む。
【0073】
バイパススペーサの供給バイパス23は以下の二つの機能を有する:
・第一の機能は、逆洗操作時の粒子追出を助けることである。図10では、240インチ長の圧力容器が60インチ長の四つの膜モジュールとともに示されている。逆洗時にモジュールCからの濃縮物は、モジュールDの供給スペーサを通過しなければならず、それは同時に逆洗される。従って、モジュールDのバイパススペーサは、モジュールCからの濃縮物の追出のために使用される。モジュールBの濃縮物に対してモジュールAのバイパススペーサのために同様の操作。
・第二の機能は、圧力容器の全てのモジュール、特に濾過時の中央のモジュール(モジュールB及びC)を通って供給水を分配することを助けることである。
【0074】
これらの機能は、長期間にわたって安定した膜間圧(TMP)を維持するため及び膜の化学的清浄を延期するために重要である。UF及びMF膜の低い膜間圧のため、モジュールは、圧力損失を避けるために平行に液圧的に位置される。
【0075】
工業的適用性
本発明による膜に対する適用は、多数あり、MBR、精密濾過、限外濾過、膜蒸留、パーベーパレーション、蒸気透過、ガス分離、支持液膜及びパートラクションを含む。
【0076】
略語
以下の略語が使用される:
・HPC:ヒドロキシプロピルセルロース
・CMC:カルボキシメチルセルロース
・PVP:ポリビニルピロリドン
・PVPP:架橋ポリビニルピロリドン
・PVA:ポリビニルアルコール
・PVAc:ポリ酢酸ビニル
・PEO:ポリエチレンオキサイド
・PVC:ポリ塩化ビニル
・C−PVC:塩素化ポリ塩化ビニル
・PSf:ポリスルホン
・PESU:ポリスルホン
・PPS:ポリフェニレンサルファイド
・PU:ポリウレタン
・PVDF:ポリフッ化ビニリデン
・PI:ポリイミド
・PAN:ポリアクリロニトリル
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】3Dスペーサ布の側面図を表わす。
【図2】3Dスペーサ布の上部表面図を表わす。
【図3】モノフィラメントによる上部表面と下部表面の間の接続の詳細を示す。
【図4】被覆及び転相工程によって適用された二つの膜層を有する本発明によるIPC−MBR膜の横断面図(SEM写真)を示す。
【図5】被覆及び転相工程によって適用された二つの膜層(図4に表わされたものと同じ膜)を有する本発明によるIPC−MBR膜の横断面図(光学写真)を示す。
【図6】本発明によるIPC膜を概略的に表わす。
【図7】本発明によるIPC膜プレートを概略的に表わす。
【図8】特別な供給スペーサの横断面の概略図を示す。
【図9】バイパスを有する特別な供給スペーサの横断面の概略図を示す。
【図10】逆洗時の240インチ長の圧力容器における四つの螺旋IPC膜モジュールの概略図を示す。
【図11】螺旋膜モジュールの横断面の全体像を示す。
【図12】螺旋膜の線A−A′に沿った詳細を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば水濾過及び廃水浄化における膜技術のために特に有用な、一体化された透過性流路を含む新規な膜に関する。
【背景技術】
【0002】
膜バイオリアクター(MBR)は、過去数年にわたって水の世界で人気のある対象である。今までの研究は、廃水処理プラント並びに工業的製造工程からの濃縮された流体、廃棄部位からの濾過水の処理及びスラッジの脱水におけるMBRの適用可能性をカバーしている。廃水適用のための膜バイオリアクターの成功に続いて、飲料水製造工程にMBRの概念を適用する対象に対して研究が実施された。
【0003】
廃水適用におけるMBRは、リアクターにおける生物学的処理と膜濾過工程による物理的処理の組み合わせからなる。沈降工程の代わりに膜濾過を導入することによって、高いスラッジ負荷がリアクターに維持されることができ、それは(理論的に)低いスラッジ生成量で高い生物学的分解速度に導く。15〜20g/lのスラッジ濃度は、MBRについての文献に述べられている。高効率の工程は、高濃度の流体を生成し、小さな設置面積のシステムを設計することができる。しかしながら、実際には、設置面積は、8〜12g/lの最大維持可能なスラッジ濃度によって膜濾過のために要求される小さい面積によって減少されるにすぎない。さらに、従来の沈降システムにおいてより高いスラッジ生成速度が記録されている。
【0004】
JP 2001212436は、浸漬タイプの膜カートリッジ及びその製造方法を記載する。この適用において、浸漬タイプの膜カートリッジが製造され、そこでは膜はフィルターカートリッジの縁の内側に溶接される。
【0005】
JP 2003135939及びJP 2003144869は、分離膜及びその製造方法を記載する。分離膜は、有機繊維から構成される多孔質ベース材料の表面上に多孔質樹脂層を形成することによって製造される。樹脂の一部は、多孔質ベース材料の少なくとも表面層の部分中に浸透されて、少なくとも表面層の部分で多孔質ベース材料と複合層を形成する。
【0006】
これらの特許の目的は、目詰りがほとんど起こらず、しかも多孔質ベース材料からの多孔質樹脂層の剥離が防止される、高い水透過性の膜を開発することである。
【0007】
JP 2001321645では、フィルター膜要素が提示されている。フィルター要素は、支持プレートの一部で支持プレートの両表面を透過する水収集のための間隙を有し、水収集のための間隙は、透過された水の取出口の方向に配置され、透過された水の取出口と連通している。
【0008】
WO 03037489は、プレート濾過モジュールを記載し、前記モジュールは、その内部領域を排水するための少なくとも一つの開口を有する複数の「フィルター膜ポケット」を含む。前記ポケットは、隣接するフィルター膜ポケットが液体によって強く横切られることができるような方法で、好ましくは互いに同じ距離で、平行な態様で硬い支持要素に垂直に配置されている。濾過モジュールは、フィルター膜ポケットが本質的に平坦で可撓性があり、対向する側上で支持要素に固定され、前記支持要素が可撓性の液体透過性芯及び複数の液体透過性芯要素を有するフィルター膜ポケットを介して吸引される液体を排出するための少なくとも一つの排出ラインを含む。
【0009】
JP 11244672は、平坦な膜要素を記載し、そこではバッグ形態として形成された四辺形の平坦な膜を構成するためにその上部端及び左右端の三つの側で周囲縁をしっかりと接着することによって封止部分が形成されている。膜支持部材で設置された平坦な膜の未封止周囲縁の一つの側は、膜支持部材の上部の両側の表面上に約1.5cmの高さで重ねられ、膜支持部材に溶接されて平坦な膜を支持する。膜支持部材より大きい厚さの頭が膜支持部材の両端で形成されている。両方の頭は、膜支持部材の流路と連通するノズルを与えられ、透過物を取出すために使用される。
【0010】
従来技術の膜プレート(四辺形の平坦な膜からのフィルターポケット、バッグ)は、別個の構成要素(二つの膜、スペーサ及び支持体)を一緒にもたらすことによって形成される。二つの膜は、互いに向けられたそれらの膜支持体、及び間隙を作るためにそれらの間に置かれたスペーサとともに設置される。これらのコンセプトの弱点は下記の通りである:
・別個の構成要素を用いた透過性流路の構成。モジュール一体性(リーク)及びそのコスト価格をかなりの程度妥協する構成のための多くの作業工程(接着、貼着、溶接)。
・モジュール支持体への膜の接着性(膜の脱離、剥離!)。
・作業上の問題:膜の支持体への劣った接着性のために膜を逆洗することが不可能。
【0011】
螺旋巻きのNF/RO技術は、標準化された圧力容器(240インチ長さまでの長さを有する8インチ直径)に置かれた更新可能な標準化された膜モジュール要素(8インチ直径、40〜60インチ長さ)からなる。
【0012】
かかる螺旋巻きの膜モジュールの製造のため、通常複数の独立したエンベロープ状膜(二つの膜リーフは透過性スペーサを間に入れてそれらの後側で組立てられている)は、中央透過性管の外周表面のまわりに巻かれている。膜エンベロープの四つの縁のうち三つは接着され、第四のものは中央透過性コレクタと接続される。従って、製造では、透過性の水は、膜モジュールの外側から中央透過性管の方への螺旋移動をする。
【0013】
膜エンベロープの巻いたものの間には、通常、供給水スペーサを置く。供給水スペーサの厚さは、膜エンベロープの間の距離を決定する。操作(濾過)中、供給水は、螺旋モジュールの上に供給され、供給スペーサによって膜モジュールに入ることができる。このようにして供給水の部分は、螺旋巻き型の膜要素上を長手方向に流れ、その後濃縮水出口(他方の上側)から放出される。一方、供給水の主要部は、透過され、中央透過性管で収集される。これは、逆浸透及びナノ濾過における通常の操作方法である。
【0014】
螺旋膜技術を精密濾過(MF)及び限界濾過(UF)操作のために有用にするためには、螺旋膜は、膜表面の上の付着した粒子を除去できるように逆洗可能であるべきである(逆濾過)。MF/UF操作(濾過)中、それはNFの操作と全く同様にほとんどの時間作用するが、連続的な濃縮放出物が周期的に排出されるだろう。これは、例えば各々30〜60分後に逆洗によって実施され、操作中に透過物の一部が生成され、これは典型的には生成された容量の2〜10%である。効率的にケーキを除去するために、この逆洗は操作時の流束速度より少なくとも3倍高い流束速度で実施される。
【0015】
この目的のため逆洗可能な精密濾過膜が必要とされる。標準的な平坦なシートMF/UF膜は、不織型の支持体上に注型されたポリマー膜から構成される。これらの膜は、支持体中への物理的取込み/組込みによって支持体に取付けられる。この組込みはしばしば、支持体構造の厚さの30%を占める。しかしながら、かかる膜は、支持体への膜の接着がかなり弱いので、逆洗のために適していない。幾つかの製造業者(例えばTrisep/日東電工)は、逆洗可能な変形例を開発した。これらの場合において、膜は支持体構造を完全に満たしている。これは、支持体への膜の接着性を高め、ある程度逆洗可能にする。
【0016】
しかしながら、このような変化があっても、支持体への膜の接着性又は剥離強度は、一般的なUF膜と比較して3倍高いことが主張されている。逆洗時に最大許容可能な負のTMPは、なお3barの値に制限されている。
【0017】
EP 1022052,JP 2003251154,JP 2002095931は、螺旋巻き型の膜要素及びその使用及び洗浄方法を開示する。WO 0078436は、逆フラッシされることができる螺旋巻きの膜濾過要素を開示する。
【0018】
US 5275725は、内部層を有する三つの層の平坦な膜支持体を開示し、その上に表面層を含む不織布が接着剤で接着されるか又は加熱融着されている。前記表面層上に、膜が両側被覆で適用された後、転相される。
【0019】
これらの開示は全て、以下の問題を示す:
・膜の剥離強度(逆洗時の制限されたTMP);
・めんどうなモジュール製造;
・6m圧力容器における劣った粒子追出力(バイパススペーサのために必要)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、高圧に耐えることができ、従って効率的に逆洗されることができ、頻繁な清浄化の必要性なしで長期間の操作を実現できる、精密濾過、限外濾過、MBR、パーベーパレーション、膜蒸留、支持液膜、パートラクション(pertraction)の如き様々な膜適用に使用可能な一体化された透過性流路を有する新規な膜を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、一緒に束ねられかつモノフィラメント糸によって予め規定された距離で間隔をあけられた上部及び下部布表面を有する3Dスペーサ布からなる透過性流路を含む一体化された透過性流路膜であって、前記透過性流路が二つの膜層の間に挿入され、前記膜層が前記上部及び下部布表面と多数の点で結合されている膜に関する。3Dスペーサ布のモノフィラメント及び布表面は、モノフィラメント糸におけるループによって結合されることが好ましい。好ましくは、前記ループが前記膜層に埋め込まれている。好ましくは、布表面は、編まれた、織られた又は織られていないタイプのものである。上部と下部布表面の間の距離は0.5〜10mmであることが好ましい。
【0022】
3Dスペーサは、ポリエステル、ナイロン、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群から選択される材料を含むことが好ましい。膜層は、HPC,CMC,PVP,PVPP,PVA,PVAc,PEO,TiO2,HfO2,Al2O3,ZrO2,Zr3(PO4)4,Y2O3,SiO2,ペロブスカイト酸化物材料、SiCからなる群から選択された親水性充填剤材料、及びPVC,C−PVC,PSf,PESU,PPS,PU,PVDF,PI,PAN及びそれらのグラフトされた変異体からなる群から選択された有機結合剤材料を含むことが好ましい。
【0023】
本発明の特別は実施態様では、前記膜が平坦である。膜は、膜層を通過せずに透過性流路から又は透過性流路への直接流体移動を防止するために配置された平坦な膜の周囲のシーラント、及び周囲に少なくとも一つの縁を与えられた、透過性流路と流体連通する入口/出口接続をさらに含むことが好ましい。
【0024】
本発明の別の実施態様は、本発明の平坦な膜の配列を含む膜バイオリアクターモジュールにある。
【0025】
本発明の別の特別な実施態様では、前記膜は、中央透過性管のまわりに螺旋状に巻かれている。
【0026】
本発明の別の実施態様は、壁及び前記壁によって規定される内腔、及び多数の螺旋巻きの膜を含む、円筒形の中央透過性管を含む螺旋膜モジュールであって、前記膜の透過性流路が前記中央透過性管の内腔と流体連通し、前記膜が前記中央透過性管のまわりに螺旋状に巻かれる螺旋膜モジュールにある。螺旋膜モジュールは、前記膜の間に挿入された供給スペーサをさらに含むことが好ましい。供給スペーサは、平坦な箔、及び箔の両側に位置された連続リブを含むことが有利である。さらに、本発明の好ましい実施態様では、供給スペーサは、供給バイパスを含むバイパススペーサである。バイパススペーサは、平坦な箔、及び箔の両側で長手方向に位置された連続リブを含み、箔は、長手方向の流体の移動を可能にするように配置された供給バイパスを含む。
【0027】
本発明の膜は、少なくとも10barの逆洗圧力に耐えうることが好ましい。
【0028】
本発明の別の側面は、一体化された透過性流路膜を提供するための方法であって:
予め決められた距離でモノフィラメント糸によって間隔をあけられた上部及び下部表面布を含む3Dスペーサ布を準備し;そして
前記上部及び下部表面布に膜層を適用する
工程を含む方法に関する。
【0029】
膜層を適用する工程は、ドープを被覆して前記ドープを凝固し、前記上部及び下部布表面と多数の点で結合された膜層を形成する工程からなることが好ましい。
ドープは:
HPC,CMC,PVP,PVPP,PVA,PVAc,PEO,TiO2,HfO2,Al2O3,ZrO2,Zr3(PO4)4,Y2O3,SiO2,ペロブスカイト酸化物材料及びSiCからなる群から選択された親水性充填剤材料;
PVC,C−PVC,PSf,PES,PPS,PU,PVDF,PI,PAN及びそれらのグラフトされた変異体からなる群から選択された有機結合剤材料;及び
NMP,DMF,DMSO又はDMAc又はそれらの混合物からなる群から選択された非極性溶媒
を含むことが有利である。
【0030】
本発明の別の側面は、水濾過及び/又は廃水浄化のための本発明による膜又は膜モジュールの使用に関する。
【0031】
図面の簡単な記述
図1は、3Dスペーサ布の側面図を表わす。
【0032】
図2は、3Dスペーサ布の上部表面図を表わす。
【0033】
図3は、モノフィラメントによる上部表面と下部表面の間の接続の詳細を示す。
【0034】
図4は、被覆及び転相工程によって適用された二つの膜層を有する本発明によるIPC−MBR膜の横断面図(SEM写真)を示す。
【0035】
図5は、被覆及び転相工程によって適用された二つの膜層(図4に表わされたものと同じ膜)を有する本発明によるIPC−MBR膜の横断面図(光学写真)を示す。
【0036】
図6は、本発明によるIPC膜を概略的に表わす。
【0037】
図7は、本発明によるIPC膜プレートを概略的に表わす。
【0038】
図8は、特別な供給スペーサの横断面の概略図を示す。
【0039】
図9は、バイパスを有する特別な供給スペーサの横断面の概略図を示す。
【0040】
図10は、逆洗時の240インチ長の圧力容器における四つの螺旋IPC膜モジュールの概略図を示す。
【0041】
図11は、螺旋膜モジュールの横断面の全体像を示す。
【0042】
図12は、螺旋膜の線A−A′に沿った詳細を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
本発明において、透過性流路を含む新規な膜が与えられる。これは、二つの膜層の間の3Dスペーサ布の含有によって実現可能である。
【0044】
この一体化された透過性流路膜(IPC膜)は基本的に次の二種類の構成要素を含む:3Dスペーサ布、及び二つの膜層。
【0045】
3Dスペーサ布は、編成操作によって(例えば、Raschel編機によって)実現されることが好ましい。スペーサ布は、制御可能な距離で二つの表面布(2,3)(編まれた、織られた又は織られていないタイプの布)から構成され、それらは平方cmあたり数百のスペーサモノフィラメント糸(4)で一緒に束ねられる。かかる3Dスペーサ布の例は、図1,2及び3に示されている。二つの布表面2及び3の間の接続は、スペーサモノフィラメント糸4におけるループ5によってなされる。二つの表面布層(2,3)の間の距離は、ループ(5)間のスペーサモノフィラメント糸(4)の長さによって決定され、0.5〜10mmで変化されることができる。好ましい表面布の構造は、図2に示されている。
【0046】
最も好ましいIPC膜は、被覆工程によって作られる。IPC膜は、膜ドープで編まれたスペーサ布の両表面(上部及び下部、2及び3)を同時被覆することによってその場で形成される。膜は次いで、転相工程(非溶剤における凝固)によって形成される。膜ドープは、いかなるタイプのポリマー結合材料(限定されない種類からの天然ポリマー:PVC,C−PVC,PSf,PESU,PPS,PU,PVDF,PI,PAN及びそれらのグラフトされた変異体(スルホン化、アクリル化、アミン化))、非極性溶媒、例えばDMF,DMSO,DMAc又はNMP、及び充填剤材料(HPC,CMC,PVP,PVPP,PVA,PVAc,PEOのようなポリマー材料及び/又はTiO2,HfO2,Al2O3,ZrO2,Zr3(PO4)4,Y2O3,SiO2,ペロブスカイト酸化物材料、SiCのような無機材料)を含有してもよい。非溶剤は、水蒸気相(水蒸気又は冷たい蒸気)、水、又は水と上述の非溶剤の混合物であってもよい。
【0047】
例えば、製造工程は以下のようなものであることができる:
・スペーサ布製造工程:スペーサ布(編まれた、織られた又は織られていない)巻き出し;スペーサ布を垂直位置に案内し、スペーサ布を広げて折り目形成を防止する(製造方向と垂直)。
・スペーサ布被覆工程:両側被覆システムを用いてドープを同時両側被覆し、スペーサ布の両側に自動ドープ供給して(両側に同レベル)、ドープ被覆されたスペーサ布を得る。
・表面細孔形成工程:両側被覆スペーサ布を水蒸気相と接触する。ドープ被覆されたスペーサ布の両側に異なる条件を適用することによって両側に異なる細孔サイズ特性を有する非対称スペーサ布補強膜を得ることもできる。
・バルク形成工程:熱水浴中への製品の凝固。
・後処理工程:水溜めにおける化学物質の洗浄。
・乾燥工程:製品の乾燥。
【0048】
このその場での膜形成方法によって構成要素(編まれたスペーサ布及び二つの膜層)は、互いに破壊不可能に結合される。これは、膜がスペーサ布自体の上及びその内側に形成されるためである。
【0049】
図4,5及び6には、IPC膜の典型的な横断面図が与えられている。モノフィラメント糸4は明確に見ることができるが、両布表面は膜(12,13)でカバーされる。
【0050】
図5は、転相工程によって作られたIPC膜の横断面の光学写真である。図4は、図5に示されたものと同じIPC膜の横断面のFESEM写真である。
【0051】
IPC膜の典型的な横断面図は、IPC膜の典型的な構成要素を示す:
・二つの膜層12及び13の間の多数の柱状物(スペーサ布モノフィラメント糸4);
・二つの膜層12及び13;
・膜構造体の内側の二つの表面のモノフィラメント糸6。
【0052】
これらの横断面図上には、モノフィラメント糸のループ(5)及び布表面(3)のマルチフィラメントが膜層に埋め込まれていることも見られる。
【0053】
これらの図から、膜層が多数の固定点によってスペーサ布と破壊不可能に連結されることが明らかである。
【0054】
IPC膜の特性/特徴
IPC膜の主要な特徴の一つは、一体化された透過性流路の存在である。この透過性流路は、様々な適用のために有用である:
・MBR適用における透過物取り出し、並びに例えば限外及び精密濾過膜;
・蒸留、蒸気透過、パーベーパレーション、及びガス分離;
・パートラクション及び支持液膜における例えば液体イオン交換における固定化目的。
【0055】
編まれたスペーサ布への被覆及び転相工程によって製造されたIPC膜の膜層の固定/接着は、極めて強い。これは、多数の固定点によって説明されることができる。
【0056】
この特性は、(水より50倍高い粘度を有する)シリコーンオイルでの破裂圧の測定によって示される。二つの膜層は17bar以下の圧力では脱着しないことが見出された。
【0057】
IPC膜のこの特性は、優れた逆洗可能な平坦なシート(UF/UF)膜を作る。
【0058】
さらに、形成された複合材料構造が極めて剛いことも見出された。IPC膜は、全体として乾燥後極めて剛い。これは、表面布のモノフィラメント糸のループによるスペーサ布自体の可撓性を考えるとかなり予期せぬことである。これは、二つの膜層の膜構造中へのスペーサ布のモノフィラメントループの固定/含有によって説明されることができる。この特性は、特に大きな表面積(例えば2m×2m)を作ることを可能にする。
【0059】
従って、本発明によるIPC膜の主要な特性は以下の通りである:
− 一体化されたスペーサ流路の存在;
− その逆洗能力;
− その剛性。
【0060】
上述の特性から、様々な新規な膜モジュールコンセプト及び適用は、IPC膜で生成されることができる。本発明は、以下に記載される二つの限定されない例によってさらに説明される。
【0061】
適用例:
1.IPC−MBR膜モジュールコンセプト:
本発明による膜バイオリアクター(MBR):
水中に沈められた膜バイオリアクターのためのこの新規なコンセプトは、IPC−MBR膜モジュールコンセプトと称される。この適用のため、一体化された透過性流路は、別個の透過性スペーサ流路を用いる特別なモジュールコンセプトの必要性なしに活性スラッジシステムから透過物を取出すために使用される。透過のための駆動力は、一体化された透過性流路側から適用された吸引力である。この作用によって精密/限外濾過品質を有する水が活性スラッジシステムから生成される。
【0062】
透過性流路上で吸引力を実現するためには、まずいわゆる「IPC−MBRプレート」を実現しなければならない。これは、エポキシ/ポリウレタンタイプの樹脂、又はいかなるタイプのゴム、又はホットメルトの如きシーラント7でIPC−MBR膜1の少なくとも二つの(好ましくは対向する)縁を閉じることによって、又はいかなるタイプの溶接操作によっても行なうことができる。他の縁は、開いたままであり、かつ入口/出口8に封止され、透過物を排出又はフィードバックすることができる。入口/出口8を有する対向する縁は次いで、ガスが容易に排出されることができるように、垂直位置(上部)に位置されることが好ましい。
【0063】
そうして形成されたIPC−MBRプレート9は、廃水浄化の目的のために次の寸法を持つことができる:0.5m〜2mの幅、及び0.5m〜2mの高さ。
【0064】
MBRモジュールを形成するために、IPC−MBRプレート9は、気泡が膜を通過するように互いに1〜10mmの距離に位置された(これらのIPC−MBRプレートを多数含有する)配列に垂直に位置される。IPC−MBRモジュールは、今使用できる状態である。
【0065】
好ましくは、曝気システムは、モジュールの底部に置かれ、それは、膜を清浄化するため及び活性スラッジシステムの細菌のための酸素供給のために役立つ。
【0066】
従って、IPC−MBR膜は、下記のものである:
・少なくとも二つの閉じられた縁及び少なくとも一つの、入口及び出口を有する縁;
・これらのIPCプレートの配列;
・底部の任意の曝気システム。
【0067】
2.IPC−螺旋UF膜モジュールコンセプト:
本発明によるIPC−螺旋UF膜:
IPC膜は、長い膜寿命を保証する、10bar以上の操作における逆洗の膜間圧(TMP)を支える。この目的のためのIPC膜は、1〜3mmの厚さを有することが好ましい。図11では、IPC螺旋膜モジュールコンセプトの概略図が与えられている。
【0068】
IPC膜リーフ32は、ちょうどエンベロープ状膜タイプのような中央透過水管31に接続される。IPC螺旋膜30では透過性スペーサに対する必要はない。なぜならば二つの膜表面の間の距離はスペーサ糸(柱状物)の長さによって決定されるからである。
【0069】
特別な供給スペーサを使用して特別なバイパススペーサを導入することも推奨される。線A−A′に沿ったIPC螺旋UF膜の詳細図は、図13に表わされている。一体化された透過性流路を有する膜32、供給スペーサ33及びバイパススペーサ34は、本発明の好ましい実施態様のためにそれらのそれぞれの寸法で示されている。
【0070】
特別な供給スペーサ33は、逆洗操作中に粒子追出力を増大することが推奨される。これは、膜モジュール30の二つの上側に濃縮物を案内することによって達成される。スペーサは、がっしりしたPE,PP又はPES箔22からなり、箔の両側に連続リブを有する。リブ21は、膜モジュールの長手方向にある。この新規なスペーサの全厚さは、0.5〜3mmであることが好ましく、0.2〜1mmのリブ高さ及び0.05〜0.3mmの箔厚さである。箔上のリブ間の距離は、5〜30mmであることが好ましい。
【0071】
図8及び9は、特別な供給スペーサの概略図を示す。
【0072】
バイパススペーサ34はまた、より大きなモジュールにおける逆洗操作時の粒子爆発力を増強することが推奨される。実際、それは特別な供給スペーサ33と全く同様である。さらに、それは供給バイパス23(図9参照)を含む。
【0073】
バイパススペーサの供給バイパス23は以下の二つの機能を有する:
・第一の機能は、逆洗操作時の粒子追出を助けることである。図10では、240インチ長の圧力容器が60インチ長の四つの膜モジュールとともに示されている。逆洗時にモジュールCからの濃縮物は、モジュールDの供給スペーサを通過しなければならず、それは同時に逆洗される。従って、モジュールDのバイパススペーサは、モジュールCからの濃縮物の追出のために使用される。モジュールBの濃縮物に対してモジュールAのバイパススペーサのために同様の操作。
・第二の機能は、圧力容器の全てのモジュール、特に濾過時の中央のモジュール(モジュールB及びC)を通って供給水を分配することを助けることである。
【0074】
これらの機能は、長期間にわたって安定した膜間圧(TMP)を維持するため及び膜の化学的清浄を延期するために重要である。UF及びMF膜の低い膜間圧のため、モジュールは、圧力損失を避けるために平行に液圧的に位置される。
【0075】
工業的適用性
本発明による膜に対する適用は、多数あり、MBR、精密濾過、限外濾過、膜蒸留、パーベーパレーション、蒸気透過、ガス分離、支持液膜及びパートラクションを含む。
【0076】
略語
以下の略語が使用される:
・HPC:ヒドロキシプロピルセルロース
・CMC:カルボキシメチルセルロース
・PVP:ポリビニルピロリドン
・PVPP:架橋ポリビニルピロリドン
・PVA:ポリビニルアルコール
・PVAc:ポリ酢酸ビニル
・PEO:ポリエチレンオキサイド
・PVC:ポリ塩化ビニル
・C−PVC:塩素化ポリ塩化ビニル
・PSf:ポリスルホン
・PESU:ポリスルホン
・PPS:ポリフェニレンサルファイド
・PU:ポリウレタン
・PVDF:ポリフッ化ビニリデン
・PI:ポリイミド
・PAN:ポリアクリロニトリル
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】3Dスペーサ布の側面図を表わす。
【図2】3Dスペーサ布の上部表面図を表わす。
【図3】モノフィラメントによる上部表面と下部表面の間の接続の詳細を示す。
【図4】被覆及び転相工程によって適用された二つの膜層を有する本発明によるIPC−MBR膜の横断面図(SEM写真)を示す。
【図5】被覆及び転相工程によって適用された二つの膜層(図4に表わされたものと同じ膜)を有する本発明によるIPC−MBR膜の横断面図(光学写真)を示す。
【図6】本発明によるIPC膜を概略的に表わす。
【図7】本発明によるIPC膜プレートを概略的に表わす。
【図8】特別な供給スペーサの横断面の概略図を示す。
【図9】バイパスを有する特別な供給スペーサの横断面の概略図を示す。
【図10】逆洗時の240インチ長の圧力容器における四つの螺旋IPC膜モジュールの概略図を示す。
【図11】螺旋膜モジュールの横断面の全体像を示す。
【図12】螺旋膜の線A−A′に沿った詳細を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一緒に束ねられかつモノフィラメント糸(4)によって予め規定された距離で間隔をあけられた上部及び下部布表面(2,3)を有する3Dスペーサ布からなる透過性流路を含む一体化された透過性流路膜であって、前記透過性流路が二つの膜層(12,13)の間に挿入され、前記膜層が前記上部及び下部布表面と多数の点で結合されている膜。
【請求項2】
3Dスペーサ布のモノフィラメント及び布表面がモノフィラメント糸におけるループ(5)によって結合され、前記ループが前記膜層に埋め込まれている請求項1に記載の膜。
【請求項3】
布表面(2,3)が、編まれた、織られた又は織られていないタイプのものである請求項1又は2に記載の膜。
【請求項4】
上部と下部布表面の間の距離が0.5〜10mmである請求項1〜3のいずれかに記載の膜。
【請求項5】
3Dスペーサが、ポリエステル、ナイロン、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群から選択される材料を含む請求項1〜4のいずれかに記載の膜。
【請求項6】
膜層が、HPC,CMC,PVP,PVPP,PVA,PVAc,PEO,TiO2,HfO2,Al2O3,ZrO2,Zr3(PO4)4,Y2O3,SiO2,ペロブスカイト酸化物材料、SiCからなる群から選択された親水性充填剤材料、及びPVC,C−PVC,PSf,PESU,PPS,PU,PVDF,PI,PAN及びそれらのグラフトされた変異体からなる群から選択された有機結合剤材料を含む請求項1〜5のいずれかに記載の膜。
【請求項7】
前記膜が平坦である請求項1〜6のいずれかに記載の膜。
【請求項8】
膜層を通過せずに透過性流路から又は透過性流路への直接流体移動を防止するために配置された平坦な膜の周囲のシーラント(7)又は溶接、及び透過性流路と流体連通する入口/出口(8)接続をさらに含む請求項7に記載の膜。
【請求項9】
請求項8に記載の膜の配列を含む膜バイオリアクターモジュール。
【請求項10】
前記膜が中央透過性管(31)のまわりに螺旋状に巻かれている請求項1〜6のいずれかに記載の膜。
【請求項11】
壁及び前記壁によって規定される内腔、及び請求項10に記載の多数の膜(32)を含む、円筒形の中央透過性管(31)を含む螺旋膜モジュール(30)であって、前記膜の透過性流路が前記中央透過性管の内腔と流体連通し、前記膜が前記中央透過性管のまわりに螺旋状に巻かれている螺旋膜モジュール。
【請求項12】
前記膜の間に挿入された供給スペーサ(33)をさらに含む請求項11に記載の螺旋膜モジュール。
【請求項13】
供給スペーサが、平坦な箔(22)、及び箔(22)の両側に位置された連続リブ(21)を含む請求項12に記載の螺旋膜モジュール。
【請求項14】
供給スペーサが、供給バイパス(23)を含むバイパススペーサ(34)である請求項12に記載の螺旋膜モジュール。
【請求項15】
バイパススペーサ(34)が、平坦な箔(22)、及び箔(22)の両側で長手方向に位置された連続リブ(21)を含み、箔(22)が、長手方向の流体の移動を可能にするように配置された供給バイパス(23)を含む請求項14に記載の螺旋膜モジュール。
【請求項16】
一体化された透過性流路膜を提供するための方法であって:
予め決められた距離でモノフィラメント糸(4)によって間隔をあけられた上部及び下部表面布(2,3)を含む3Dスペーサ布を準備し;そして
前記上部及び下部表面布に膜層を適用して一体化された透過性流路膜を形成する
工程を含む方法。
【請求項17】
膜層を適用する工程が、ドープを被覆して前記ドープを凝固し、前記上部及び下部布表面と多数の点で結合された膜層を形成する工程からなる請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ドープが:
HPC,CMC,PVP,PVPP,PVA,PVAc,PEO,TiO2,HfO2,Al2O3,ZrO2,Zr3(PO4)4,Y2O3,SiO2,ペロブスカイト酸化物材料及びSiCからなる群から選択された親水性充填剤材料;
PVC,C−PVC,PSf,PES,PPS,PU,PVDF,PI,PAN及びそれらのグラフトされた変異体からなる群から選択された有機結合剤材料;及び
NMP,DMF,DMSO又はDMAc又はそれらの混合物からなる群から選択された非極性溶媒
を含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
水濾過及び/又は廃水浄化のための請求項1〜15のいずれかに記載の膜又は膜モジュールの使用。
【請求項20】
前記膜が少なくとも10barの逆洗圧力に耐えることができる請求項1〜15のいずれかに記載の膜。
【請求項21】
精密濾過、限外濾過、MBR、パーベーパレーション、膜蒸留、支持液膜及び/又はパートラクションのための請求項1〜15,20のいずれかに記載の膜の使用。
【請求項1】
一緒に束ねられかつモノフィラメント糸(4)によって予め規定された距離で間隔をあけられた上部及び下部布表面(2,3)を有する3Dスペーサ布からなる透過性流路を含む一体化された透過性流路膜であって、前記透過性流路が二つの膜層(12,13)の間に挿入され、前記膜層が前記上部及び下部布表面と多数の点で結合されている膜。
【請求項2】
3Dスペーサ布のモノフィラメント及び布表面がモノフィラメント糸におけるループ(5)によって結合され、前記ループが前記膜層に埋め込まれている請求項1に記載の膜。
【請求項3】
布表面(2,3)が、編まれた、織られた又は織られていないタイプのものである請求項1又は2に記載の膜。
【請求項4】
上部と下部布表面の間の距離が0.5〜10mmである請求項1〜3のいずれかに記載の膜。
【請求項5】
3Dスペーサが、ポリエステル、ナイロン、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群から選択される材料を含む請求項1〜4のいずれかに記載の膜。
【請求項6】
膜層が、HPC,CMC,PVP,PVPP,PVA,PVAc,PEO,TiO2,HfO2,Al2O3,ZrO2,Zr3(PO4)4,Y2O3,SiO2,ペロブスカイト酸化物材料、SiCからなる群から選択された親水性充填剤材料、及びPVC,C−PVC,PSf,PESU,PPS,PU,PVDF,PI,PAN及びそれらのグラフトされた変異体からなる群から選択された有機結合剤材料を含む請求項1〜5のいずれかに記載の膜。
【請求項7】
前記膜が平坦である請求項1〜6のいずれかに記載の膜。
【請求項8】
膜層を通過せずに透過性流路から又は透過性流路への直接流体移動を防止するために配置された平坦な膜の周囲のシーラント(7)又は溶接、及び透過性流路と流体連通する入口/出口(8)接続をさらに含む請求項7に記載の膜。
【請求項9】
請求項8に記載の膜の配列を含む膜バイオリアクターモジュール。
【請求項10】
前記膜が中央透過性管(31)のまわりに螺旋状に巻かれている請求項1〜6のいずれかに記載の膜。
【請求項11】
壁及び前記壁によって規定される内腔、及び請求項10に記載の多数の膜(32)を含む、円筒形の中央透過性管(31)を含む螺旋膜モジュール(30)であって、前記膜の透過性流路が前記中央透過性管の内腔と流体連通し、前記膜が前記中央透過性管のまわりに螺旋状に巻かれている螺旋膜モジュール。
【請求項12】
前記膜の間に挿入された供給スペーサ(33)をさらに含む請求項11に記載の螺旋膜モジュール。
【請求項13】
供給スペーサが、平坦な箔(22)、及び箔(22)の両側に位置された連続リブ(21)を含む請求項12に記載の螺旋膜モジュール。
【請求項14】
供給スペーサが、供給バイパス(23)を含むバイパススペーサ(34)である請求項12に記載の螺旋膜モジュール。
【請求項15】
バイパススペーサ(34)が、平坦な箔(22)、及び箔(22)の両側で長手方向に位置された連続リブ(21)を含み、箔(22)が、長手方向の流体の移動を可能にするように配置された供給バイパス(23)を含む請求項14に記載の螺旋膜モジュール。
【請求項16】
一体化された透過性流路膜を提供するための方法であって:
予め決められた距離でモノフィラメント糸(4)によって間隔をあけられた上部及び下部表面布(2,3)を含む3Dスペーサ布を準備し;そして
前記上部及び下部表面布に膜層を適用して一体化された透過性流路膜を形成する
工程を含む方法。
【請求項17】
膜層を適用する工程が、ドープを被覆して前記ドープを凝固し、前記上部及び下部布表面と多数の点で結合された膜層を形成する工程からなる請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ドープが:
HPC,CMC,PVP,PVPP,PVA,PVAc,PEO,TiO2,HfO2,Al2O3,ZrO2,Zr3(PO4)4,Y2O3,SiO2,ペロブスカイト酸化物材料及びSiCからなる群から選択された親水性充填剤材料;
PVC,C−PVC,PSf,PES,PPS,PU,PVDF,PI,PAN及びそれらのグラフトされた変異体からなる群から選択された有機結合剤材料;及び
NMP,DMF,DMSO又はDMAc又はそれらの混合物からなる群から選択された非極性溶媒
を含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
水濾過及び/又は廃水浄化のための請求項1〜15のいずれかに記載の膜又は膜モジュールの使用。
【請求項20】
前記膜が少なくとも10barの逆洗圧力に耐えることができる請求項1〜15のいずれかに記載の膜。
【請求項21】
精密濾過、限外濾過、MBR、パーベーパレーション、膜蒸留、支持液膜及び/又はパートラクションのための請求項1〜15,20のいずれかに記載の膜の使用。
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図11】
【図12】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2008−508996(P2008−508996A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525132(P2007−525132)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【国際出願番号】PCT/BE2005/000127
【国際公開番号】WO2006/015461
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(502320688)ヴラームス インステリング ヴール テクノロギシュ オンデルゾーク (ヴイアイティーオー) (19)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【国際出願番号】PCT/BE2005/000127
【国際公開番号】WO2006/015461
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(502320688)ヴラームス インステリング ヴール テクノロギシュ オンデルゾーク (ヴイアイティーオー) (19)
【Fターム(参考)】
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