説明

一体型シール及びシーラントのパッケージング

【課題】シール及び関連のシーラントを塗布するための、より信頼性が高く効果的な手法を提供する。
【解決手段】一体型シール及びシーラントパッケージ10は、複数の表面を有する既製のシール要素20と、この複数の表面のうち1つ以上と嵌合する高温シーラント組成物22と、既製のシール要素と高温シーラント組成物を包囲するバッカー材24とから成る。このバッカー材は、封止されるべき隣接部品どうしの間に、シール要素20とシーラント組成物22と一緒に、このバッカー材を取り付けられるようにする組成を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービン機械で使用するスタティックシールに関し、特に、ガスタービンシールスロットに使用するパッケージ済みシール及びシーラントの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
現行の方式において、特定のガスタービン部品のスタティックシール構造には、固形シール又はクロスシールが頻繁に使用される。こうしたクロスシールの1つが、共有特許である米国特許第5,657,998号に記載されている。高温シーラントと組み合わせたクロスシール又はその他のハードシールの使用が検討されている。しかし、コーキングガンや制御されていないその他の何らかの手段でシーラントを塗布すると、シーラント材が不適切に、及び/又は誤った位置に塗布されるであろうことが懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5657998号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、取り付けプロセスを容易にするだけでなく、シールの構造的安定性も向上させる、シール及び関連のシーラントを塗布するための、より信頼性が高く効果的な手法の考案が望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
例示的且つ非限定的な第1の実施例によると、本発明は、複数の表面を有する既製のシール要素と、この複数の表面のうち1つ以上と嵌合する高温シーラント組成物と、既製のシール要素と高温シーラント組成物を包囲するバッカー材であって、封止されるべき隣接部品どうしの間に、シール要素とシーラント組成物と一緒にこのバッカー材を取り付けられるようにする組成を有するバッカー材と、から成る一体型シール及びシーラントパッケージを提供する。
【0006】
例示的且つ非限定的な別の実施例において、封止環境でのシーラント組成物の配置に適したフィルムによって少なくとも部分的に覆われた長尺片として形成された高温シーラント組成物から成る、隣接するタービン部品どうしの間に挿入する一体型シーラントパッケージを提供する。
【0007】
例示的且つ非限定的なまた別の実施例において、タービン機械の一対の隣接部品どうしの間に一体型シール及びシーラントを取り付ける方法を提供するが、本方法は、シール要素を所望のサイズ及び形状にカットするステップと、隣接部品の特定の使用温度よりも低温で焼失する材料から成るバッカーシート上にシール要素を配置するステップと、シール要素の少なくとも1つ以上の側面に高温シーラントを塗布するステップと、シール要素及び高温シーラントをほぼ完全に包囲するように、シール要素の周りをバッカーシートで覆うことによって、一体型シール及びシーラントパッケージを形成するステップと、一対の隣接部品どうしの間の位置に一体型シール及びシーラントパッケージを配置するステップと、タービン機械を運転して隣接部品を特定の使用温度に到達させ、バッカー材を溶解及び/又は焼失させて、シール要素及び高温シーラントを定位置に残すステップと、を含む。
【0008】
これより、下記の図面に関連して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の例示的且つ非限定的な実施例による、隣接し合うガスタービン部品に形成された隣接し合うシールスロット内に配置された、パッケージ済みシール及びシーラントアセンブリを示す概略断面図である。
【図2】例示的且つ非限定的な本発明の別の実施例による、薄いフィルムで覆われた形成済みシーラント組成物の斜視図である。
【図3】シール要素そのものを取り付ける前の、シールスロット内の形成済みシーラント材の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照すると、例示的且つ非限定的な実施例によるシール及びシーラントパッケージ10が、一対の機械部品12及び14の間の原位置に配置された状態で示されている。この部品は、例えば、位置合わせされたシールスロット16、18を含んで形成された、タービンノズル又はシュラウドである。このシール及びシーラントパッケージは、シール要素20、シーラント材22、並びに周囲のパッキン膜又はカバー24(本明細書ではバッカー材ともいう)を含む。
【0011】
より具体的には、シール要素20は、スタティックシールを高温シーラントと組み合わせて採用する、タービン用途で大抵は使用される、その他の従来のハードシール又はクロスシールであってもよい。ハードシールは一般的に、比較的厚い金属シムのことであり、クロスシールは、例えば共有特許である米国特許第5,657,998号に記載のような、クロスの被覆層に覆われた金属箔層の複合材料アセンブリであってもよい。
【0012】
シーラント材22は、最高約2000°Fまで耐える、或いはシールスロット表面材料に適合する、いずれの適切な高温シーラントであってもよい。
【0013】
周囲のカバー又は膜24(本明細書では「バッカー材」ともいう)は、このバッカー材を、ワックスペーパー、プラスチックフィルム、又は封止された部品の使用温度よりも低温で溶解及び/又は焼失させる性質又は特性を備えた、その他の適切な材料から成る。バッカー材は、適切に薄く、廉価でなければならず、残屑を残してはならない。
【0014】
これより、例示的且つ非限定的なシール及びシーラントパッケージの作製/組み立て及び用法を記載する。先ず、クロス又はハードシール要素20を予め作製しておき、必要な組み立て長さ及び幅にカットする。適切なシール要素は、例えば、共有特許である米国特許第5,657,998号に記載されている。シール要素20をバッカー材24上に配置し、一定量の高温シーラント材22を、シール要素20のまだ露出している側面周辺に塗布する。バッカー材24でシール要素20の側面、端部、及び上部を覆って、シール要素及びシーラント材22を完全に包囲する。バッカー材のあらゆる開口部又はムラを(例えば単に加熱によって)個々に封止して保護すると共に、シーラント材22のずれを防止することができる。このとき、用途に応じて、パッケージ内のシーラント材22を圧入するか又はすり込んで、適用されるシールスロット又は凹み(例えば、隣接し合うタービン部品12、14に形成されたスロット16、18)にパッケージを挿入し易くなる、シーラントが所望の位置に配置されるような形状にする必要があろう。この場合、シーラントがシールの1つ以上の縁及び/又は1つ以上の側面に沿って確実に延在するだけで、十分であろう。その他の用途では、シールの全ての側面及び縁がシーラントで確実に被覆されるように、パッケージを操作する必要があろう。
【0015】
シール及びシーラントパッケージ10はその後、機械組み立て工場又はこれが取り付けられる取付現場に出荷される。機械の始動時と、臨界温度(バッカー材が溶解及び/又は燃焼する温度)への到達後に、バッカー材22は溶解及び/又は焼失するが、残屑は残らず、その設計位置に高温シーラント20が残る。
【0016】
別の例示的且つ非限定的な実施例において、シーラント材は形成済みであり、このシーラント材を、非粘着性の剥離可能なプラスチック(又はその他の適切な材料の)フィルム(又はバッカー材)で部分的に又は完全に覆い、その後、関連のシールをシールスロットに塗布する。例えば、図2では、圧延済みシーラント「シリンダ」26が、非粘着性の剥離可能フィルム又はバッカー材28で覆われており、これはその後、束にして出荷及び/又は保管される。使用準備が整うと、個々の片30の長さをカットしてシールスロットに圧入する。フィルム28を部分的に剥離して、シーラントを定位置に圧入した後、フィルムを完全に剥離し、シール要素を挿入する。代替的に、図3に示すように、シーラント片30をそれぞれのシールスロット内に圧入する前に、フィルム28全体を剥離してもよい。
【0017】
更なる代替として、シーラントの非被覆片(non−covered strip)30をシールスロット32内に配置した後、シーラントの露出部分を非粘着性の剥離可能フィルム28で被覆してもよい。シール要素34を取り付ける準備が整うと、フィルム28を剥離し、シール要素34を直接シーラント30の定位置に圧入する。
【0018】
また、非粘着性フィルム28は、シーラント片30上に(シーラント片を完全に被覆することを含む)及び/又はシーラント片28とシール20との間に残り、封止された部品がその使用温度に到達する前に溶解又は焼失することは、理解できよう。
【0019】
フィルム28が非粘着性のものである必要はなく、一部の用途においては、シーラントにある程度接着する粘着性フィルムを有することが望ましいこともあろう。
【0020】
シール及びシーラントパッケージ10は、ガスタービン又はその他の機械の最初の組み立て時に使用すること、或いはガスタービン又はその他のエンジン用のアップデートパッケージの一部として組み込むことも可能なことは、理解できよう。
【0021】
現時点で最も実用的且つ好ましいと思われる実施例に関連して本発明を説明したが、本発明は、開示の実施例に限定されることなく、むしろ、添付の特許請求の範囲に含まれる様々な改変及び等価の措置も包含することを意図することを理解されたい。
【符号の説明】
【0022】
10 シール及びシーラントパッケージ
12、14 機械部品(例えばタービンノズル又はシュラウド)
16、18、32 シールスロット
20、34 シール要素
22 シーラント材又は組成物
24 パッキン膜又はカバー(又はバッカー)
26 シーラントシリンダ
28 フィルム
30 個々のシーラント片
32 シールスロット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体型シール及びシーラントパッケージ(10)であって、
複数の表面を有する既製のシール要素(20)と、
前記複数の表面のうち1つ以上と嵌合する高温シーラント組成物(22)と、
前記既製のシール要素と前記高温シーラント組成物を包囲するバッカー材(24)であって、前記バッカー材は、封止されるべき隣接部品どうしの間に、前記シール要素(20)と前記シーラント組成物(20)と一緒に該バッカー材を取り付けられるようにする組成を有するバッカー材(24)と、
から成る一体型シール及びシーラントパッケージ(10)。
【請求項2】
前記シール要素(20)がクロスシールである、請求項1に記載の一体型シール及びシーラントパッケージ。
【請求項3】
前記シール要素(20)が比較的硬質の金属シムである、請求項1に記載の一体型シール及びシーラントパッケージ。
【請求項4】
前記高温シーラント組成物(22)が最高2000°Fまで耐える、請求項1に記載の一体型シール及びシーラントパッケージ。
【請求項5】
前記バッカー材(24)が、封止される前記部品の特定の使用温度よりも低温で該バッカー材が焼失又は溶解する特性を有するように選択される、請求項1に記載の一体型シール及びシーラントパッケージ。
【請求項6】
前記シール要素(20)が、4つの辺縁、頂面、及び底面から成る、ほぼ長方形であって、
前記高温シーラント組成物(22)が、前記4つの辺縁、前記頂面、及び前記底面の各々と嵌合する、請求項1に記載の一体型シール及びシーラントパッケージ。
【請求項7】
前記シール要素(20)がクロスシールであって、前記高温シーラント組成物(22)が最高2000°Fに耐え、前記バッカー材(24)がワックスペーパー及びプラスチックテープから成る群から選択された材料を含む、請求項1に記載の一体型シール及びシーラントパッケージ。
【請求項8】
隣接するタービン部品どうしの間に挿入する一体型シーラントパッケージであって、
封止環境でのシーラント組成物の配置に適したフィルム(28)によって少なくとも部分的に覆われた長尺片(26)又は(30)として形成された高温シーラント組成物から成る、一体型シーラントパッケージ。
【請求項9】
前記長尺片(26)がほぼ円形の断面形状を有する、請求項8に記載の一体型シーラントパッケージ。
【請求項10】
前記長尺片(26)が前記フィルム(28)によって完全に包囲された、請求項8に記載の一体型シーラントパッケージ。
【請求項11】
タービン機械の一対の隣接部品(12、14)どうしの間に一体型シール及びシーラントパッケージ(10)を取り付ける方法であって、
(a)シール要素(20)を所望のサイズ及び形状にカットするステップと、
(b)前記隣接部品の特定の使用温度よりも低温で焼失する材料から成るバッカーシート(24)上に前記シール要素を配置するステップと、
(c)前記シール要素の少なくとも1つ以上の側面に高温シーラント(22)を塗布するステップと、
(d)前記シール要素(20)及び前記高温シーラント(22)をほぼ完全に包囲するように、前記シール要素(20)の周りを前記バッカーシート(24)で覆うことによって、一体型シール及びシーラントパッケージを形成するステップと、
(e)前記一対の隣接部品(12、14)どうしの間の位置に、前記一体型シール及びシーラントパッケージを配置するステップと、
(f)前記タービン機械を運転して前記隣接部品を前記特定の使用温度に到達させ、前記バッカー材(24)を溶解及び/又は焼失させて、前記シール要素(20)及び前記高温シーラント(22)を定位置に残すステップと、を含む方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−214717(P2011−214717A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66915(P2011−66915)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】