説明

一体型構造体、測定装置、方法およびプログラム

【課題】 電磁波が照射されることによって測定される被測定物を有利に取り扱う。
【解決手段】 XY平面において導体板10の導体で囲まれた空隙部(開口)12がX方向およびY方向に配列された格子1の空隙部12の内部に、電磁波を照射することにより特性が測定される被測定物20が配置(充填)されている充填格子2。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波を照射して測定する被測定物の取り扱いに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、テラヘルツ波を被測定物に照射した際の透過率に基づき、被測定物を分析することが知られている(例えば、特許文献1を参照)。また、金属板に孔をあけたものに電磁波を照射した際の透過率も知られている(例えば、非特許文献1を参照)。さらに、金属板に孔をあけたものを位相差板として利用することも知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−108905号公報
【特許文献2】特開2004−117703号公報
【非特許文献1】K.F. Renk and L. Genzel “Interference Filters and Fabry-PerotInterferometers for the Far Infrared”, APPLIED OPTICS, Vol. 1, No. 5, 1962年9月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような先行技術は、電磁波が照射される被測定物をどのように取り扱えば有利かということを開示していない。
【0005】
そこで、本発明は、電磁波が照射されることによって測定される被測定物を有利に取り扱うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる一体型構造体は、電磁波を照射することにより特性が測定される被測定物と、所定の平面において導体で囲まれた空隙部が配置された空隙配置構造体とを備えるように構成される。
【0007】
上記のように構成された一体型構造体によれば、被測定物が、電磁波を照射することにより特性が測定される。空隙配置構造体が、所定の平面において導体で囲まれた空隙部が配置されている。
【0008】
また、本発明にかかる一体型構造体は、前記被測定物が前記空隙部の内部に配置されているようにしてもよい。
【0009】
また、本発明にかかる一体型構造体は、前記被測定物が配置されている配置部材を備え、前記配置部材は前記空隙配置構造体の表面に配置されているようにしてもよい。
【0010】
また、本発明にかかる一体型構造体は、前記空隙配置構造体が、同一形状の前記空隙部が所定の方向に一定の間隔で配置されているようにしてもよい。
【0011】
また、本発明にかかる一体型構造体は、前記空隙配置構造体は、導体を貫通する開口が縦方向および横方向に配列された二次元格子であるようにしてもよい。
【0012】
また、本発明にかかる一体型構造体は、前記空隙配置構造体は、前記導体が配置される基部を有するようにしてもよい。
【0013】
また、本発明にかかる一体型構造体は、前記基部に前記導体が印刷されるようにしてもよい。
【0014】
また、本発明にかかる一体型構造体は、前記空隙部に前記被測定物が配置されている配置部分と、前記空隙部に前記被測定物が配置されていない非配置部分とを有するようにしてもよい。
【0015】
また、本発明にかかる一体型構造体は、前記空隙部に配置された前記被測定物が二種類以上あるようにしてもよい。
【0016】
本発明にかかる測定装置は、一体型構造体に第一電磁波を照射する第一電磁波照射手段と、照射された前記第一電磁波に対する前記一体型構造体による応答である第一応答電磁波を検出する第一電磁波検出手段と、前記空隙部に前記被測定物が配置されていない前記空隙配置構造体に第二電磁波を照射する第二電磁波照射手段と、照射された前記第二電磁波に対する前記空隙配置構造体による応答である第二応答電磁波を検出する第二電磁波検出手段と、前記第一電磁波検出手段の検出結果および前記第二電磁波検出手段の検出結果に基づき、前記被測定物の特性を測定する特性測定手段とを備えるように構成される。
【0017】
上記のように構成された測定装置によれば、第一電磁波照射手段は、一体型構造体に第一電磁波を照射する。第一電磁波検出手段は、照射された前記第一電磁波に対する前記一体型構造体による応答である第一応答電磁波を検出する。第二電磁波照射手段は、前記空隙部に前記被測定物が配置されていない前記空隙配置構造体に第二電磁波を照射する。第二電磁波検出手段は、照射された前記第二電磁波に対する前記空隙配置構造体による応答である第二応答電磁波を検出する。特性測定手段は、前記第一電磁波検出手段の検出結果および前記第二電磁波検出手段の検出結果に基づき、前記被測定物の特性を測定する。
【0018】
本発明にかかる測定装置は、一体型構造体における配置部分に第一電磁波を照射する第一電磁波照射手段と、照射された前記第一電磁波に対する前記配置部分による応答である第一応答電磁波を検出する第一電磁波検出手段と、前記非配置部分に第二電磁波を照射する第二電磁波照射手段と、照射された前記第二電磁波に対する前記非配置部分による応答である第二応答電磁波を検出する第二電磁波検出手段と、前記第一電磁波検出手段の検出結果および前記第二電磁波検出手段の検出結果に基づき、前記被測定物の特性を測定する特性測定手段とを備えるように構成される。
【0019】
上記のように構成された測定装置によれば、第一電磁波照射手段は、一体型構造体における配置部分に第一電磁波を照射する。第一電磁波検出手段は、照射された前記第一電磁波に対する前記配置部分による応答である第一応答電磁波を検出する。第二電磁波照射手段は、前記非配置部分に第二電磁波を照射する。第二電磁波検出手段は、照射された前記第二電磁波に対する前記非配置部分による応答である第二応答電磁波を検出する。特性測定手段は、前記第一電磁波検出手段の検出結果および前記第二電磁波検出手段の検出結果に基づき、前記被測定物の特性を測定する。
【0020】
本発明にかかる測定装置は、一体型構造体における各々の種類の前記被測定物に電磁波を照射する電磁波照射手段と、照射された前記電磁波に対する前記一体型構造体による応答である応答電磁波を検出する電磁波検出手段と、前記電磁波検出手段の検出結果に基づき、前記被測定物の特性を測定する特性測定手段とを備えるように構成される。
【0021】
上記のように構成された測定装置によれば、電磁波照射手段は、一体型構造体における各々の種類の前記被測定物に電磁波を照射する。電磁波検出手段は、照射された前記電磁波に対する前記一体型構造体による応答である応答電磁波を検出する。特性測定手段は、前記電磁波検出手段の検出結果に基づき、前記被測定物の特性を測定する。
【0022】
また、本発明にかかる測定装置は、前記特性測定手段が、前記第一電磁波検出手段の検出結果および前記第二電磁波検出手段の検出結果に基づき、電磁波の透過率を測定する透過率測定手段と、測定された前記透過率に基づき、前記被測定物の屈折率を導出する屈折率導出手段とを有するようにしてもよい。
【0023】
また、本発明にかかる測定装置は、前記屈折率導出手段が、周波数Aにおける前記第一電磁波検出手段の検出結果に基づき測定された透過率と、周波数Bにおける前記第二電磁波検出手段の検出結果に基づき測定された透過率とが等しい場合に、前記被測定物の屈折率をAおよびBに基づき導出するようにしてもよい。
【0024】
また、本発明にかかる測定装置は、周波数特性調整部材を備え、前記周波数Bの近傍において、前記透過率の周波数に対する傾きが、前記周波数特性調整部材が無い場合よりも大きくなるようにしてもよい。
【0025】
本発明は、電磁波を照射することにより特性が測定される被測定物と、所定の平面において導体で囲まれた空隙部が配置された空隙配置構造体とを有する一体型構造体に第一電磁波を照射する第一電磁波照射工程と、照射された前記第一電磁波に対する前記一体型構造体による応答である第一応答電磁波を検出する第一電磁波検出工程と、前記空隙部に前記被測定物が配置されていない前記空隙配置構造体に第二電磁波を照射する第二電磁波照射工程と、照射された前記第二電磁波に対する前記空隙配置構造体による応答である第二応答電磁波を検出する第二電磁波検出工程と、前記第一電磁波検出工程の検出結果および前記第二電磁波検出工程の検出結果に基づき、前記被測定物の特性を測定する特性測定工程とを備えた測定方法である。
【0026】
本発明は、電磁波を照射することにより特性が測定される被測定物と、所定の平面において導体で囲まれた空隙部が配置された空隙配置構造体とを有する一体型構造体における前記空隙部に前記被測定物が配置されている配置部分に第一電磁波を照射する第一電磁波照射工程と、照射された前記第一電磁波に対する前記配置部分による応答である第一応答電磁波を検出する第一電磁波検出工程と、前記一体型構造体における前記空隙部に前記被測定物が配置されていない非配置部分に第二電磁波を照射する第二電磁波照射工程と、照射された前記第二電磁波に対する前記非配置部分による応答である第二応答電磁波を検出する第二電磁波検出工程と、前記第一電磁波検出工程の検出結果および前記第二電磁波検出工程の検出結果に基づき、前記被測定物の特性を測定する特性測定工程とを備えた測定方法である。
【0027】
本発明は、電磁波を照射することにより特性が測定される被測定物と、所定の平面において導体で囲まれた空隙部が配置された空隙配置構造体とを有する一体型構造体であって、前記空隙部に配置された前記被測定物が二種類以上ある一体型構造体における各々の種類の前記被測定物に電磁波を照射する電磁波照射工程と、照射された前記電磁波に対する前記一体型構造体による応答である応答電磁波を検出する電磁波検出工程と、前記電磁波検出工程の検出結果に基づき、前記被測定物の特性を測定する特性測定工程とを備えた測定方法である。
【0028】
本発明は、電磁波を照射することにより特性が測定される被測定物と、所定の平面において導体で囲まれた空隙部が配置された空隙配置構造体とを有する一体型構造体に第一電磁波を照射する第一電磁波照射手段と、照射された前記第一電磁波に対する前記一体型構造体による応答である第一応答電磁波を検出する第一電磁波検出手段と、前記空隙部に前記被測定物が配置されていない前記空隙配置構造体に第二電磁波を照射する第二電磁波照射手段と、照射された前記第二電磁波に対する前記空隙配置構造体による応答である第二応答電磁波を検出する第二電磁波検出手段と、を備えた測定装置における測定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記第一電磁波検出手段の検出結果および前記第二電磁波検出手段の検出結果に基づき、前記被測定物の特性を測定する特性測定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0029】
本発明は、電磁波を照射することにより特性が測定される被測定物と、所定の平面において導体で囲まれた空隙部が配置された空隙配置構造体とを有する一体型構造体における前記空隙部に前記被測定物が配置されている配置部分に第一電磁波を照射する第一電磁波照射手段と、照射された前記第一電磁波に対する前記配置部分による応答である第一応答電磁波を検出する第一電磁波検出手段と、前記一体型構造体における前記空隙部に前記被測定物が配置されていない非配置部分に第二電磁波を照射する第二電磁波照射手段と、照射された前記第二電磁波に対する前記非配置部分による応答である第二応答電磁波を検出する第二電磁波検出手段と、を備えた測定装置における測定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記第一電磁波検出手段の検出結果および前記第二電磁波検出手段の検出結果に基づき、前記被測定物の特性を測定する特性測定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0030】
本発明は、電磁波を照射することにより特性が測定される被測定物と、所定の平面において導体で囲まれた空隙部が配置された空隙配置構造体とを有する一体型構造体であって、前記空隙部に配置された前記被測定物が二種類以上ある一体型構造体における各々の種類の前記被測定物に電磁波を照射する電磁波照射手段と、照射された前記電磁波に対する前記一体型構造体による応答である応答電磁波を検出する電磁波検出手段と、を備えた測定装置における測定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記電磁波検出手段の検出結果に基づき、前記被測定物の特性を測定する特性測定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0032】
第一の実施形態
図1は、本発明の第一の実施形態にかかる格子(空隙配置構造体)1の斜視図である。格子(空隙配置構造体)1は、導体板10を有する。導体板10は、例えば金属板である。導体板10の厚みの方向は、Z方向である。導体板10には、空隙部(開口)12が開けられている。空隙部12はZ方向に導体板10を貫通する。空隙部12は、XY平面において開口する。空隙部12は、縦方向(Y方向)および横方向(X方向)に配列されている。すなわち、格子1は、二次元格子である。
【0033】
図2は、第一の実施形態にかかる格子(空隙配置構造体)1のXY平面図(図2(a))および充填格子(一体型構造体)2のXY平面図(図2(b))である。
【0034】
図2(a)を参照して、格子(空隙配置構造体)1は、XY平面において、空隙部(開口)12が二方向(X方向およびY方向)に配列されている。空隙部12は、正方形の開口であり、X方向およびY方向の一辺の長さ(アパーチャー:aperture)はともに等しい(aであるとする)。また、空隙部12のX方向のピッチおよびY方向のピッチ(pitch)はともに等しい(pであるとする)。なお、aおよびpが数十ミクロン程度なので、格子1は、いわゆるメッシュであるともいえる。
【0035】
図2(b)を参照して、充填格子(一体型構造体)2は、格子1の空隙部12の内部に被測定物20が配置されているものである。被測定物20は、電磁波を照射することにより特性(例えば、電磁波の透過率、屈折率など)が測定されるものである。被測定物20は、例えば、油脂、生体分子(DNAなど)などである。被測定物20が油脂のようなものであれば、空隙部12に被測定物20を充填すれば(空隙部12に隙間があいていてもよい)、空隙部12に被測定物20を配置したことになる。
【0036】
図3は、格子1の空隙部12の一つの近傍を表示した平面図である。空隙部12は、XY平面において、導体板10の一部である導体14で囲まれているものといえる。このような空隙部12がX方向およびY方向に配列されている。
【0037】
図4は、充填格子(一体型構造体)4のXY平面図である。充填格子4は、格子1の空隙部12に被測定物20が配置されていない非配置部分4aと、格子1の空隙部12に被測定物20が配置されている配置部分4bとを有する。
【0038】
なお、図17に示すように、非配置部分4aに、配置部分4bに配置された被測定物とは異なる別の被測定物を配置することも考えられる。図17(a)は、非配置部分4aに別の被測定物を配置した場合の充填格子4のXY平面図である。非配置部分4aには被測定物20aが、配置部分4bには被測定物20bが配置されている。
【0039】
また、図17(b)に示すように、充填格子4に三種類の被測定物を配置してもよい。図17(b)は、三種類の被測定物を配置した充填格子4のXY平面図である。すなわち、第一配置部分4cには被測定物20aが、第二配置部分4dには被測定物20bが、第三配置部分4eには被測定物20cが配置されている。このように、充填格子4に三種類以上の被測定物を配置してもよい。
【0040】
図5は、格子1の変形例について説明するためのXY平面図である。図5(a)は、空隙部12が一方向(X方向)にしか配列されていない。すなわち、一次元に配列されたものである。図5(b)は、空隙部12がX方向、Y1方向およびY2方向(Y方向ではない)に配列されている。どちらも、格子1として使用できる。ただし、図5に示すように同一形状(同じ形かつ同じ大きさ)の空隙部12が所定のピッチ(または間隔)で配置されていることを要する。また、格子1の空隙部12は正方形でなくてもよく、円形でもよいし、三角形や四角形でも可能である。すなわち、二次元的な図形であればよい。さらに、図14に示すように、空隙部12が一個だけの場合も格子1として使用できる。
【0041】
なお、これまで格子1に被測定物20を配置する例として、格子1の空隙部12に被測定物20を配置したものを説明してきた。しかし、格子1に被測定物20を配置する方法は、これに限定されない。例えば、格子1の表面に被測定物20を配置することが考えられる。
【0042】
図18は、格子1の表面に被測定物20を配置した一体型構造体7のXY平面図(図18(a))およびb−b断面図(図18(b))である。一体型構造体7は、シート(配置部材)15を有する。シート15は、格子1の表面に載せられている。図18(a)を参照すると、シート15が格子1の空隙部12を覆い隠して見えないようにしている状態であることがわかる。また、図18(b)を参照すると、シート15の裏面は格子1の表面に接しており、シート15の表面には被測定物20(例えばDNAであり、Y字状の図形として図示している)が配置(例えば、固定)されている。シート15は、例えば、DNAのハイブリダイゼーションに用いられるナイロン膜である。被測定物20であるDNAは、ナイロン膜であるシート15にしみこませることにより、シート15に固定できる。
【0043】
図6は、第一の実施形態にかかる充填格子(一体型構造体)2の被測定物20の屈折率を測定するための測定装置の構成を示す図である。測定装置は、放射制御部32、電磁波照射部(第一電磁波照射手段および第二電磁波照射手段)34、電磁波検出部(第一電磁波検出手段および第二電磁波検出手段)36、特性測定部40を備える。
【0044】
放射制御部32は、電磁波のパワーP1、電磁波の周波数fを指定して、電磁波照射部34に電磁波を放射させる。指定したパワーP1および周波数fは、特性測定部40の透過率測定部42にも与えられる。
【0045】
電磁波照射部(第一電磁波照射手段および第二電磁波照射手段)34は、パワーP1および周波数fの電磁波を放射する。放射された電磁波は格子1または充填格子2に照射される。あるいは、放射された電磁波は充填格子4の非配置部分4aまたは配置部分4bに照射される。
【0046】
ここで、充填格子2に照射される電磁波を第一電磁波といい、格子1に照射される電磁波を第二電磁波という。また、配置部分4bに照射される電磁波を第一電磁波といい、非配置部分4aに照射される電磁波を第二電磁波という。
【0047】
電磁波検出部(第一電磁波検出手段および第二電磁波検出手段)36は、格子1または充填格子2もしくは充填格子4を透過した電磁波を検出し、パワーP2を測定し、特性測定部40の透過率測定部42に与える。なお、透過した電磁波ではなく反射した電磁波を検出することも考えられる。
【0048】
すなわち、照射された第一電磁波に対する充填格子2による応答(例えば、透過、反射)である第一応答電磁波および照射された第二電磁波に対する格子1による応答(例えば、透過、反射)である第二応答電磁波を検出すればよい。または、照射された第一電磁波に対する配置部分4bによる応答(例えば、透過、反射)である第一応答電磁波および照射された第二電磁波に対する非配置部分4aによる応答(例えば、透過、反射)である第二応答電磁波を検出すればよい。
【0049】
特性測定部40は、電磁波検出部36の検出結果に基づき、被測定物20の特性を測定する。特性測定部40は、透過率測定部42、透過率記録部44、屈折率導出部46を有する。
【0050】
透過率測定部42は、電磁波検出部36の検出結果に基づき、電磁波の透過率を測定する。すなわち、充填格子2および格子1の電磁波の透過率を測定する。または、配置部分4bおよび非配置部分4aの電磁波の透過率を測定する。透過率は、P2/P1により求められる。ただし、反射が無視できない場合は、厚さの異なる同一物について、P2を測定してやれば、反射の影響をキャンセルできる。これについては周知なので詳細には説明をしない。
【0051】
透過率記録部44は、透過率測定部42が測定した透過率を電磁波の周波数に対応づけて記録する。
【0052】
屈折率導出部46は、測定された透過率に基づき、被測定物20の屈折率を導出する。すなわち、周波数Aにおける第一応答電磁波の検出結果に基づき測定された透過率と、周波数Bにおける第二応答電磁波の検出結果に基づき測定された透過率とが等しい場合に、被測定物20の屈折率をAおよびBに基づき導出する。
【0053】
次に、第一の実施形態の動作を説明する。
【0054】
図7は、第一の実施形態にかかる測定装置の動作を示すフローチャートである。図8は、被測定物20の屈折率の決定法を説明するためのグラフである。
【0055】
なお、格子1および充填格子2の散乱および吸収は無視できるものとする。例えば、格子1および充填格子2の材質がそのような条件を満たすものである。または、格子1および充填格子2の厚さがそのような条件を満たすものである。
【0056】
一般的に、強度がI0の入射波が物質中をxだけ進行した点での強度をI(x)とすると、入射波の減衰(吸収)は、I(x)
= I0exp-αxのように表せる。
【0057】
上記の式のα(材質によって定まる)かx(厚さ)が非常に小さい場合に吸収が無視できる。
【0058】
まず、格子1(または非配置部分4a)を電磁波照射部34および電磁波検出部36の間に配置して、電磁波照射部34から所定の帯域の第二電磁波を放射する。電磁波検出部36は、透過した電磁波(第二応答電磁波)を検出する。そして、透過率測定部42が格子1(または非配置部分4a)の透過率を測定する(S10)。透過率は、P2/P1により求められる。測定された透過率は第二電磁波の周波数に対応付けられて透過率記録部44に記録される。ただし、測定装置は屈折率n0(例えば、1)の空気中で使用するものとする。
【0059】
図8に示す例では、所定の帯域として0THzを超えて6THz(テラヘルツ)までの帯域をとり、格子1(または非配置部分4a)の透過率を測定したグラフG1が図示されている。このグラフG1は、Tn0(f)と表現できる。すなわち、透過率Tは、屈折率n0および周波数fの関数である。
【0060】
次に、充填格子2(または配置部分4b)を電磁波照射部34および電磁波検出部36の間に配置して、電磁波照射部34から周波数Aの第一電磁波を放射する。電磁波検出部36は、透過した電磁波(第一応答電磁波)を検出する。そして、透過率測定部42が充填格子2(または配置部分4b)の透過率を測定する(S12)。透過率は、P2/P1により求められる。
【0061】
図8に示す例では、周波数A=1THzとして、充填格子2(または配置部分4b)の透過率=40%を得る(グラフG2)。このグラフG2は、Tnx(A)と表現できる。すなわち、周波数Aにおける充填格子2(または配置部分4b)の透過率Tnxは、被測定物20の屈折率nxおよび周波数A(=1THz)の関数である。
【0062】
次に、屈折率導出部46が、透過率記録部44の記録内容および透過率測定部42の測定した充填格子2(または配置部分4b)の透過率に基づき、対応周波数Bを決定する(S14)。すなわち、図8を参照して、屈折率導出部46が、周波数A(=1THz)における電磁波検出部36の検出結果(グラフG2)に基づき測定された透過率(=40%)と、対応周波数Bにおける電磁波検出部36の検出結果に基づき測定された透過率とが等しくなるような、対応周波数Bを決定する。対応周波数Bは3.4THzとなる。
【0063】
これは、Tn0(B) = Tnx(A)ということを意味する。
【0064】
最後に、屈折率導出部46が、被測定物20の屈折率を導出する(S16)。すなわち、被測定物20の屈折率=B/Aとして、被測定物20の屈折率nxを導出する。図8に示す例では、屈折率nx=3.4THz/1THz=3.4となる。これは、B=nx・Aということを用いて、被測定物20の屈折率nxを導出したものである。
【0065】
なお、図17(a)に示す充填格子4を利用する場合も同様に、電磁波を照射して、非配置部分4aおよび配置部分4bの透過率の測定を行う。この場合、特性測定部40は、被測定物20aおよび被測定物20bの透過率の差を測定できる。また、図17(b)に示す充填格子4を利用する場合は、電磁波を照射して、第一配置部分4cの透過率の測定、第二配置部分4dの透過率の測定、および、第三配置部分4eの透過率の測定を行う。この場合、特性測定部40は、被測定物20a、20b、20cの透過率の差を測定できる。
【0066】
第一の実施形態にかかる充填格子(一体型構造体)2によれば、被測定物20を有利に取り扱うことができる。例えば、充填格子2の空隙部12の内部に配置されている被測定物20の特性(例えば、屈折率)を容易に測定できる。
【0067】
第一の実施形態にかかる測定装置によれば、充填格子(一体型構造体)2および格子(空隙配置構造体)1における電磁波の透過率を測定することにより、被測定物20の特性(例えば、屈折率)を容易に測定できる。
【0068】
第一の実施形態にかかる充填格子(一体型構造体)4によれば、格子1を利用しなくても(充填格子2を格子1に差し替えなくても)、被測定物20の特性(例えば、屈折率)を測定できる。
【0069】
図9は、格子1(または非配置部分4a)の透過率を測定したグラフG1の、アパーチャーaおよびピッチpに対する変化を説明するための図である。aおよびpが小さいと(グラフG1−1)、傾きが小さく、aおよびpが大きいと(グラフG1−2)、傾きが大きい。
【0070】
対応周波数Bの最大値は、透過率が極大値をとる周波数F1(グラフG1−1)、周波数F2(グラフG1−2)である。対応周波数Bの最大値が大きい程、より大きな屈折率を測定できる。よって、aおよびpが小さいと(グラフG1−1)、広い範囲の屈折率を測定できる。逆に、aおよびpが大きいと(グラフG1−2)、高精度に屈折率を測定できる。屈折率がわずかに異なっても、透過率が大きく変化するからである。
【0071】
よって、広い範囲の屈折率を測定したいならばアパーチャーaおよびピッチpを小さくした充填格子2、4を利用するとよい。高精度に屈折率を測定したいならばアパーチャーaおよびピッチpを大きくした充填格子2、4を利用するとよい。
【0072】
第二の実施形態
第二の実施形態は、格子(周波数特性調整部材)6を、格子1および充填格子2に平行に配置して使用する(または充填格子4に平行に配置して使用する)点が第一の実施形態と異なる。
【0073】
図10は、第二の実施形態にかかる充填格子(一体型構造体)2の被測定物20の屈折率を測定するための測定装置の構成を示す図である。第二の実施形態にかかる測定装置は、格子(周波数特性調整部材)6のみが第一の実施形態と異なる。他の部分は第一の実施形態と同様であり説明を省略する。
【0074】
格子(周波数特性調整部材)6は、格子1と同じものでよい。ただし、充填格子2の被測定物20(または充填格子4の配置部分4b)と、格子6とが重なりあっていることを要する。しかも、格子6と、格子1、充填格子2および充填格子4との間隔d=(λ/2)・n(ただし、nは自然数)であることを要する。なお、λは対応周波数Bに対応する電磁波の波長である。なお、格子6は格子1と同じ形状であってもよいが、上記の要件を満たし、しかも電磁波を一部透過かつ一部を反射するならば、別の形状であってもかまわない。
【0075】
図11は、格子6を格子1(または充填格子4の非配置部分4a)に平行に配置したときの透過率のグラフG1および格子6を配置しないときの透過率のグラフG1’を示す図である。格子6を格子1に平行に配置したときは対応周波数Bにおいて共振が成立するので、対応周波数Bの近傍部分における透過率の周波数に対する傾きが、格子6を配置しないときよりも大きくなる。
【0076】
すなわち、格子6を格子1に平行に配置したときの透過率のグラフG1は、波打った線になる。言換えれば、格子6を格子1に平行に配置した構成はファブリペローエタロン共振器と同等の構造なので、透過率のグラフG1は、周期的に透過量のピークをもつ。ここで、被測定物20として屈折率のわずかに異なる試料、例えば、DNAの1本鎖、2本鎖や構造の異なる数種類のタンパク質を考える。このような被測定物20の透過率をそれぞれ測定する。屈折率がわずかに異なるだけなので、格子6を配置しなければ、透過率もわずかにしか異ならない。しかし、格子6を配置すれば、わずかな屈折率の違いでも、透過率が大きく異なる。よって、被測定物20のそれぞれについて異なる透過率が得られるため、DNAの結合状態やタンパク質の構造の違いを判別できる。ここで、DNAの1本鎖を図17(a)に示す非配置部分4aに被測定物20aとして、DNAの2本鎖を図17(a)に示す配置部分4bに被測定物20bとして配置すれば、DNAの1本鎖の透過率と2本鎖の透過率が得られる。
【0077】
なお、第二の実施形態の動作は第一の実施形態と同様である。ただし、格子1(または非配置部分4a)を電磁波照射部34および電磁波検出部36の間に配置するかわりに、格子1および格子6(または非配置部分4aおよび格子6)を電磁波照射部34および電磁波検出部36の間に配置する。さらに、充填格子2(または配置部分4b)を電磁波照射部34および電磁波検出部36の間に配置するかわりに、充填格子2および格子6(または配置部分4bおよび格子6)を電磁波照射部34および電磁波検出部36の間に配置する。
【0078】
第二の実施形態によれば、第一の実施形態に比べて高精度に被測定物20の屈折率を測定できる。よって、被測定物20として屈折率のわずかに異なる試料、例えば、DNAの1本鎖、2本鎖や構造の異なる数種類のタンパク質を使用しても、DNAの結合状態やタンパク質の構造の違いを判別できる。
【0079】
第三の実施形態
第三の実施形態は、充填格子(一体型構造体)8が、基部11を有し、導体14が基部11に印刷されている点が第一の実施形態と異なる。
【0080】
図12は、第三の実施形態にかかる充填格子(一体型構造体)8の平面図である。充填格子8は、基部11、導体14および被測定物20を備える。基部11は、照射される電磁波の周波数帯域において、電磁波の透過率が高く、かつほぼ一定であることを要する。基部11は、紙または薄いプラスチック(例えばOHPシート)であることが好ましい。導体14は基部11に印刷される。導体14により形成された空隙部12に被測定物20が配置(あるいは充填)される。
【0081】
図13は、充填格子8の導体14の拡大斜視図である。なお、図示の便宜上、被測定物20を省略して図示している。導体14により空隙部12が形成されている。より詳しくは、XY平面において導体14により空隙部12が囲まれている。かかる空隙部12に被測定物20が配置(あるいは充填)されると、XY平面において導体14により被測定物20が囲まれることになる。なお、空隙部12が縦方向(Y方向)および横方向(X方向)に配列されていることは第一の実施形態と同様である。また、空隙部12が配置されていれば(例えば、図5および図14参照)、縦方向(Y方向)および横方向(X方向)に配列されていなくてもよい。
【0082】
第三の実施形態にかかる測定装置およびその動作は第一の実施形態と同様である。
【0083】
第三の実施形態にかかる充填格子8によれば、被測定物20を有利に取り扱うことができる。例えば、被測定物20の屈折率を容易に測定できる。
【0084】
第四の実施形態
第四の実施形態にかかる測定装置は、充填格子4にテラヘルツ波を照射し、二次元走査を行う点で第一の実施形態と異なる。
【0085】
図15は、第四の実施形態にかかる充填格子4の被測定物20の屈折率を測定するための測定装置の構成を示す図である。第四の実施形態にかかる測定装置は、充填格子4、電磁波照射部30、X−Yステージ50、電磁波検出部60、制御・演算部70、放物面ミラー80a、80b、80c、80d、ミラー90を備える。
【0086】
電磁波照射部30、テラヘルツ波を放射する。X−Yステージ50は、充填格子4をX方向およびY方向に移動させる。電磁波検出部60は、充填格子4を透過したテラヘルツ波を検出する。制御・演算部70は、X−Yステージ50を制御し、かつ、電磁波検出部60の検出結果に基づき、充填格子4の被測定物20の特性(例えば、透過率、屈折率など)を演算する。
【0087】
放物面ミラー80aは、ミラー90から与えられたテラヘルツ波を反射して放物面ミラー80bに与える。放物面ミラー80bは、放物面ミラー80aから与えられたテラヘルツ波を反射して充填格子4に照射する。テラヘルツ波は、充填格子4上の一点(「焦点」という)に照射される。放物面ミラー80cは、充填格子4を透過したテラヘルツ波を反射して放物面ミラー80dに与える。放物面ミラー80dは、放物面ミラー80cから与えられたテラヘルツ波を反射して電磁波検出部60に与える。ミラー90は、電磁波照射部30の放射したテラヘルツ波を反射して、放物面ミラー80aに与える。
【0088】
なお、図示しないディスプレイを制御・演算部70に接続して、屈折率および透過率を表示することもできる。また、画像処理(屈折率または吸収率が大きい程に白く、小さい程に黒く)を施してディスプレイに表示してもよい。
【0089】
次に、第四の実施形態の動作を説明する。
【0090】
電磁波照射部30により放射されたテラヘルツ波は、ミラー90および放物面ミラー80a、80bにより反射され、充填格子4に照射される。ここで、X−Yステージ50は、制御・演算部70の制御を受け、充填格子4の空隙部12(被測定物20が配置されているものも、いないものもある)の各々がテラヘルツ波を受けるように、すなわち焦点が空隙部12にあうように、X方向およびY方向に移動させる。すなわち、二次元走査させる。充填格子4の空隙部12を透過したテラヘルツ波は放物面ミラー80c、80dにより反射され、電磁波検出部60に与えられる。電磁波検出部60は、充填格子4を透過したテラヘルツ波を検出する。制御・演算部70は、電磁波検出部60の検出結果に基づき、充填格子4の被測定物20の特性(例えば、透過率、屈折率など)を演算する。演算法は、第一、第二および第三の実施形態と同様であり説明を省略する。
【0091】
第四の実施形態によれば、充填格子4の空隙部12の各々の透過率、屈折率が測定できるので、充填格子4の被測定物20の特性を詳細かつ精密に測定することができる。
【0092】
なお、上記の実施形態において、格子1(非配置部分4a)および充填格子2(配置部分4b)の透過率を計測すると、透過率が極大値をとる周波数が移動することがわかる。図16は、格子1および充填格子2によって透過率が極大値をとる周波数の移動を示す図である。図16に示すように、透過率が極大値をとる周波数Fa(格子1:グラフGa)がFb(充填格子2:グラフGb)に移動する。これにより、被測定物20が何であるか(これも被測定物20の特性の一種)を特定するようなこともできる。また、被測定物20の空隙部12への充填の具合によって、透過率の特性が変化する。これにより、充填の具合(つまりすぎかといったことなど)を特定するようなこともできる。
【0093】
なお、上記の実施形態は、以下のようにして実現できる。CPU、ハードディスク、メディア(フロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROMなど)読み取り装置を備えたコンピュータのメディア読み取り装置に、上記の各部分(例えば、特性測定部40)を実現するプログラムを記録したメディアを読み取らせて、ハードディスクにインストールする。このような方法でも、上記の実施形態を実現できる。
【0094】
なお、上記のような格子1および充填格子2を用いた屈折率測定は、格子1の機構的なサイズを適切に設計することでどのような周波数においても測定可能である。特に周波数がミリ波帯〜テラヘルツ帯(周波数:100GHz〜10THz、波長:3mm〜30μm)においては、被測定物20を配置(例えば、充填)する際に必要とされる被測定物20の量が少量で済むという点が有利である。
【0095】
より詳細には、上記の帯域よりも周波数が低い帯域と比べた場合は、格子1のサイズを小さくでき、少量の被測定物20で済んでしまう。上記の帯域よりも周波数が高い帯域(波長が光のように短い(すなわち、1μm以下)近赤外領域)と比べた場合は、被測定物20を配置または充填することが容易である。
【0096】
産業応用の観点からも、ミリ波帯〜テラヘルツ帯で、上記のような測定方法を適用すると、小型のDNAチップやタンパクチップなどを容易に製造でき、生体高分子の相互作用測定などに適用できるものと思われる。生体高分子の相互作用測定には近赤外領域で表面プラズモン共鳴現象を利用し、センサーの微小な屈折率の変化を検出する分析装置が開発されているが、流路系を用いてセンサーに液体試料を流し続けるため大量の試料を要する、装置が大型、高価である等の欠点がある。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の第一の実施形態にかかる格子(空隙配置構造体)1の斜視図である。
【図2】第一の実施形態にかかる格子(空隙配置構造体)1のXY平面図(図2(a))および充填格子(一体型構造体)2のXY平面図(図2(b))である。
【図3】格子1の空隙部12の一つの近傍を表示した平面図である。
【図4】充填格子(一体型構造体)4のXY平面図である。
【図5】格子1の定義について説明するためのXY平面図である。
【図6】第一の実施形態にかかる充填格子(一体型構造体)2の被測定物20の屈折率を測定するための測定装置の構成を示す図である。
【図7】第一の実施形態にかかる測定装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】被測定物20の屈折率の決定法を説明するためのグラフである。
【図9】格子1(または非配置部分4a)の透過率を測定したグラフG1の、アパーチャーaおよびピッチpに対する変化を説明するための図である。
【図10】第二の実施形態にかかる充填格子(一体型構造体)2の被測定物20の屈折率を測定するための測定装置の構成を示す図である。
【図11】格子6を格子1(または充填格子4の非配置部分4a)に平行に配置したときの透過率のグラフG1および格子6を配置しないときの透過率のグラフG1’を示す図である。
【図12】第三の実施形態にかかる充填格子(一体型構造体)8の平面図である。
【図13】充填格子8の導体14の拡大斜視図である。
【図14】空隙部12が一個だけの場合の格子1のXY平面図である。
【図15】第四の実施形態にかかる充填格子4の被測定物20の屈折率を測定するための測定装置の構成を示す図である。
【図16】格子1および充填格子2によって透過率が極大値をとる周波数の移動を示す図である。
【図17】非配置部分4aに別の被測定物を配置した場合の充填格子4のXY平面図(図17(a))、および三種類の被測定物を配置した充填格子4のXY平面図(図17(b))である。
【図18】格子1の表面に被測定物20を配置したもののXY平面図である。
【符号の説明】
【0098】
1 格子(空隙配置構造体)
10 導体板
11 基部
12 空隙部(開口)
14 導体
2 充填格子(一体型構造体)
20 被測定物
4 充填格子(一体型構造体)
4a 非配置部分
4b 配置部分
6 格子(周波数特性調整部材)
8 充填格子(一体型構造体)
32 放射制御部
34 電磁波照射部(第一電磁波照射手段および第二電磁波照射手段)
36 電磁波検出部(第一電磁波検出手段および第二電磁波検出手段)
40 特性測定部
42 透過率測定部
44 透過率記録部
46 屈折率導出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を照射することにより特性が測定される被測定物と、
所定の平面において導体で囲まれた空隙部が配置された空隙配置構造体と、
を備えた一体型構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の一体型構造体であって、
前記被測定物が前記空隙部の内部に配置されている、
一体型構造体。
【請求項3】
請求項1に記載の一体型構造体であって、
前記被測定物が配置されている配置部材を備え、
前記配置部材は前記空隙配置構造体の表面に配置されている、
一体型構造体。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の一体型構造体であって、
前記空隙配置構造体は、同一形状の前記空隙部が所定の方向に一定の間隔で配置されている、
一体型構造体。
【請求項5】
請求項4に記載の一体型構造体であって、
前記空隙配置構造体は、導体を貫通する開口が縦方向および横方向に配列された二次元格子である、
一体型構造体。
【請求項6】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の一体型構造体であって、
前記空隙配置構造体は、前記導体が配置される基部を有する、
一体型構造体。
【請求項7】
請求項6に記載の一体型構造体であって、
前記基部に前記導体が印刷される、
一体型構造体。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の一体型構造体であって、
前記空隙部に前記被測定物が配置されている配置部分と、
前記空隙部に前記被測定物が配置されていない非配置部分と、
を有する一体型構造体。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の一体型構造体であって、
前記空隙部に配置された前記被測定物が二種類以上ある、
一体型構造体。
【請求項10】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の一体型構造体に第一電磁波を照射する第一電磁波照射手段と、
照射された前記第一電磁波に対する前記一体型構造体による応答である第一応答電磁波を検出する第一電磁波検出手段と、
前記空隙部に前記被測定物が配置されていない前記空隙配置構造体に第二電磁波を照射する第二電磁波照射手段と、
照射された前記第二電磁波に対する前記空隙配置構造体による応答である第二応答電磁波を検出する第二電磁波検出手段と、
前記第一電磁波検出手段の検出結果および前記第二電磁波検出手段の検出結果に基づき、前記被測定物の特性を測定する特性測定手段と、
を備えた測定装置。
【請求項11】
請求項8に記載の一体型構造体における配置部分に第一電磁波を照射する第一電磁波照射手段と、
照射された前記第一電磁波に対する前記配置部分による応答である第一応答電磁波を検出する第一電磁波検出手段と、
前記非配置部分に第二電磁波を照射する第二電磁波照射手段と、
照射された前記第二電磁波に対する前記非配置部分による応答である第二応答電磁波を検出する第二電磁波検出手段と、
前記第一電磁波検出手段の検出結果および前記第二電磁波検出手段の検出結果に基づき、前記被測定物の特性を測定する特性測定手段と、
を備えた測定装置。
【請求項12】
請求項9に記載の一体型構造体における各々の種類の前記被測定物に電磁波を照射する電磁波照射手段と、
照射された前記電磁波に対する前記一体型構造体による応答である応答電磁波を検出する電磁波検出手段と、
前記電磁波検出手段の検出結果に基づき、前記被測定物の特性を測定する特性測定手段と、
を備えた測定装置。
【請求項13】
請求項10ないし12のいずれか一項に記載の測定装置であって、
前記特性測定手段が、
前記第一電磁波検出手段の検出結果および前記第二電磁波検出手段の検出結果に基づき、電磁波の透過率を測定する透過率測定手段と、
測定された前記透過率に基づき、前記被測定物の屈折率を導出する屈折率導出手段と、
を有する測定装置。
【請求項14】
請求項13に記載の測定装置であって、
前記屈折率導出手段は、周波数Aにおける前記第一電磁波検出手段の検出結果に基づき測定された透過率と、周波数Bにおける前記第二電磁波検出手段の検出結果に基づき測定された透過率とが等しい場合に、前記被測定物の屈折率をAおよびBに基づき導出する、
測定装置。
【請求項15】
請求項14に記載の測定装置であって、
周波数特性調整部材を備え、
前記周波数Bの近傍において、前記透過率の周波数に対する傾きが、前記周波数特性調整部材が無い場合よりも大きくなる、測定装置。
【請求項16】
電磁波を照射することにより特性が測定される被測定物と、所定の平面において導体で囲まれた空隙部が配置された空隙配置構造体とを有する一体型構造体に第一電磁波を照射する第一電磁波照射工程と、
照射された前記第一電磁波に対する前記一体型構造体による応答である第一応答電磁波を検出する第一電磁波検出工程と、
前記空隙部に前記被測定物が配置されていない前記空隙配置構造体に第二電磁波を照射する第二電磁波照射工程と、
照射された前記第二電磁波に対する前記空隙配置構造体による応答である第二応答電磁波を検出する第二電磁波検出工程と、
前記第一電磁波検出工程の検出結果および前記第二電磁波検出工程の検出結果に基づき、前記被測定物の特性を測定する特性測定工程と、
を備えた測定方法。
【請求項17】
電磁波を照射することにより特性が測定される被測定物と、所定の平面において導体で囲まれた空隙部が配置された空隙配置構造体とを有する一体型構造体における前記空隙部に前記被測定物が配置されている配置部分に第一電磁波を照射する第一電磁波照射工程と、
照射された前記第一電磁波に対する前記配置部分による応答である第一応答電磁波を検出する第一電磁波検出工程と、
前記一体型構造体における前記空隙部に前記被測定物が配置されていない非配置部分に第二電磁波を照射する第二電磁波照射工程と、
照射された前記第二電磁波に対する前記非配置部分による応答である第二応答電磁波を検出する第二電磁波検出工程と、
前記第一電磁波検出工程の検出結果および前記第二電磁波検出工程の検出結果に基づき、前記被測定物の特性を測定する特性測定工程と、
を備えた測定方法。
【請求項18】
電磁波を照射することにより特性が測定される被測定物と、所定の平面において導体で囲まれた空隙部が配置された空隙配置構造体とを有する一体型構造体であって、前記空隙部に配置された前記被測定物が二種類以上ある一体型構造体における各々の種類の前記被測定物に電磁波を照射する電磁波照射工程と、
照射された前記電磁波に対する前記一体型構造体による応答である応答電磁波を検出する電磁波検出工程と、
前記電磁波検出工程の検出結果に基づき、前記被測定物の特性を測定する特性測定工程と、
を備えた測定方法。
【請求項19】
電磁波を照射することにより特性が測定される被測定物と、所定の平面において導体で囲まれた空隙部が配置された空隙配置構造体とを有する一体型構造体に第一電磁波を照射する第一電磁波照射手段と、
照射された前記第一電磁波に対する前記一体型構造体による応答である第一応答電磁波を検出する第一電磁波検出手段と、
前記空隙部に前記被測定物が配置されていない前記空隙配置構造体に第二電磁波を照射する第二電磁波照射手段と、
照射された前記第二電磁波に対する前記空隙配置構造体による応答である第二応答電磁波を検出する第二電磁波検出手段と、
を備えた測定装置における測定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記第一電磁波検出手段の検出結果および前記第二電磁波検出手段の検出結果に基づき、前記被測定物の特性を測定する特性測定処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項20】
電磁波を照射することにより特性が測定される被測定物と、所定の平面において導体で囲まれた空隙部が配置された空隙配置構造体とを有する一体型構造体における前記空隙部に前記被測定物が配置されている配置部分に第一電磁波を照射する第一電磁波照射手段と、
照射された前記第一電磁波に対する前記配置部分による応答である第一応答電磁波を検出する第一電磁波検出手段と、
前記一体型構造体における前記空隙部に前記被測定物が配置されていない非配置部分に第二電磁波を照射する第二電磁波照射手段と、
照射された前記第二電磁波に対する前記非配置部分による応答である第二応答電磁波を検出する第二電磁波検出手段と、
を備えた測定装置における測定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記第一電磁波検出手段の検出結果および前記第二電磁波検出手段の検出結果に基づき、前記被測定物の特性を測定する特性測定処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項21】
電磁波を照射することにより特性が測定される被測定物と、所定の平面において導体で囲まれた空隙部が配置された空隙配置構造体とを有する一体型構造体であって、前記空隙部に配置された前記被測定物が二種類以上ある一体型構造体における各々の種類の前記被測定物に電磁波を照射する電磁波照射手段と、
照射された前記電磁波に対する前記一体型構造体による応答である応答電磁波を検出する電磁波検出手段と、
を備えた測定装置における測定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記電磁波検出手段の検出結果に基づき、前記被測定物の特性を測定する特性測定処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−10366(P2007−10366A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−188839(P2005−188839)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)
【出願人】(503359821)独立行政法人理化学研究所 (1,056)
【出願人】(398065531)株式会社ミツカングループ本社 (157)
【Fターム(参考)】