説明

一時的ダイレクト着信機能を有する電話システム

【課題】 特定の相手からの着信を一時的に特定の内線電話機に着信させるボタン電話装置を提供する。
【解決手段】 外線発信通話時に着信待ちリスト登録手段F52により電話番号と内線番号との対応を着信待ちリスト記憶手段F55に登録しておくと、該電話番号の相手から着信があったときに、発番号記憶手段F56に一時記憶された発番号と着信待ちリスト記憶手段F55に登録されている電話番号とを照合処理手段F49により照合を行い、一致した場合は該内線番号の電話機に直接着信させることを可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発信者の電話番号(以降、発番号ともいう)を受信することができ、複数の内線電話機を収容するボタン電話システムまたはPBX(構内交換機)において、発番号に対応した特定の内線電話機を直接呼び出すことを可能とする電話システムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業内に導入されるボタン電話システムやPBXにおいては外線からの着信があった場合は、内線電話機の何れかが応答し、発信者が通話したい担当者を確認後に通話を一旦保留し、該当する担当者に転送する使い方が一般的である。しかし、この使い方では実際に発信者が通話したい担当者につながるまで時間を要し、さらに、電話を受けた人は無駄な時間を費やしてしまうという問題を有している。
【0003】
また、内線電話機毎にダイヤルイン番号を割り当て、ダイヤルイン機能により最初から通話したい担当者を呼び出す方法を利用することにより、無駄な時間を低減することも可能であるが、通常追加する番号毎に基本料金が加算され、不経済である。
【0004】
そこで、発番号通知機能を利用し、事前に発番号に対して直接着信させる電話機(1または複数)を登録しておき、最初から目的の担当者を呼び出す方法が取られる場合もある。(例えば、特許文献1、特許文献2)。
【0005】
【特許文献1】特開平06−276563号公報
【特許文献2】特開2002−33831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1、特許文献2のように、発信者の電話番号が取引先の電話番号で、直接着信させる電話機が取引先の担当者(1または複数)で他の電話機を呼び出す必要がない場合は、発番号に対して直接着信させる電話機は常に固定的であり、事前に発番号に対して直接着信させる電話機を登録するのは電話対応を向上させる上でメリットがあるが、例えば、こちらから外線発信し、相手が離席で応対者に折り返し電話をかけてもらうよう依頼したときや、相手が留守状態で留守番電話に折り返し電話をかけてもらうよう伝言を録音したときに、相手からの着信を直接受ける必要があるのは一時的であり、通常は特定の担当者が応答する必要がない相手の場合もあるため、発番号に対して着信させる電話機を事前登録するのは得策ではなく、また、日常的に着信が来ない相手の発番号を登録するのはメモリの無駄使いになるという問題もある。
【0007】
また、特許文献1、特許文献2のように、発信者の電話番号が取引先の電話番号で、直接着信させる電話機が取引先の担当者(1または複数)である場合、該当する何れかの電話機で応答しても支障ないが、
例えば、複数の担当者が同一の相手に外線発信し、相手が離席で応対者に折り返し電話をかけてもらうよう依頼したときや、相手が留守状態で留守番電話に折り返し電話をかけてもらうよう伝言を録音したときに、複数の電話機を着信させる方式では、相手の意向とは異なる担当者が応答してしまうという問題がある。
【0008】
さらに、特許文献1、特許文献2のように、発信者の電話番号が取引先の電話番号で、直接着信させる電話機が取引先の担当者である場合、直接着信させる電話機に優先順位を付けて複数設定可能とし、担当者が通話中のときは副担当等の他の人が応対するのは業務を円滑に進める上でメリットがあるが、
例えば、こちらから外線発信し、相手が離席で応対者に折り返し電話をかけてもらうよう依頼したときや、相手が留守状態で留守番電話に折り返し電話をかけてもらうよう伝言を録音したときに、直接着信させる電話機が通話中や離席中で応答できない場合、他の電話機で応答しても、再び相手またはこちらから電話をかけ直す手間と、応対者が伝言を連絡するという無駄な作業が発生してしまうという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、第1の発明は、1以上の外線および複数の内線を収容するボタン電話主装置と、前記内線に接続される複数のボタン電話機から成るボタン電話システムであって、前記ボタン電話主装置は、前記ボタン電話機が外線発信通話したときに発信した電話番号と該ボタン電話機の内線番号との対応を電話機のキー操作によって登録する着信待ちリスト登録手段と、該電話番号と該内線番号との対応を着信待ちリストとして記憶する着信待ちリスト記憶手段と、外線着信時に発番号を受信する発番号受信手段と、発番号と前記着信待ちリストに記憶されている電話番号とを照合する照合処理手段と、該発番号と前記着信待ちリストに記憶されている電話番号が一致していたら前記着信待ちリストに記憶されている着信待ち電話機の内線番号に直接着信させる接続処理手段と、該着信に該着信待ち電話機が応答後は前記着信待ちリストから該電話番号と該内線番号との対応を自動消去する着信待ちリスト自動消去手段とを有することを特徴とする。
【0010】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記ボタン電話主装置は、外線着信時に受信した発番号と前記着信待ちリストに記憶されている同一の電話番号に対応する着信待ち電話機の内線番号が複数存在する場合に、着信に自動応答して接続先指定番号の選択操作を案内するトーキー制御手段と、発信者からのPB信号を受信するPB信号受信手段と、
受信したPB信号が示す番号が前記着信待ちリストの接続先指定番号に該当するかを照合する照合処理手段と、前記照合処理結果に基づき接続先を選択する接続処理手段とを有することを特徴とする。
【0011】
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、前記ボタン電話主装置は、転送先電話番号または転送先内線番号を記憶する転送先記憶手段を有し、前記着信待ちリストに登録されている電話番号からの外線着信時に、前記電話番号に対応する着信待ち電話機の内線番号に着信させた後、該着信待ち電話機から一定時間着信に応答がないときに前記転送先記憶手段に記憶されている転送先に転送することを特徴とする。
【0012】
また、第4の発明は、第1または第2の発明において、前記ボタン電話主装置は、該着信待ち電話機が通話中のときに前記着信待ちリストに登録されている電話番号からの着信を話中扱いとせずに、該着信待ち電話機に該電話番号からの着信がある旨を表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明によれば、こちらから外線発信し、相手が離席で応対者に折り返し電話をかけてもらうよう依頼したときや、相手が留守状態で留守番電話に折り返し電話をかけてもらうよう伝言を録音したときに、外線発信した電話機の簡単な登録操作により着信待ちリストに外線発信した相手の電話番号と自分の内線番号を記憶しておくことにより、記憶された電話番号から着信が来たときは記憶された着信待ち電話機に直接着信するので、他の人の電話応対は不要となり業務効率の向上となる。また、通話ができれば、該電話番号と該内線番号との対応は着信待ちリストから消去されるため、以降は該電話番号からの着信は通常の動作に戻り、常に同一の内線電話機に着信することはない。
【0014】
第2の発明によれば、着信待ちリストに記憶された電話番号から着信が来たとき、該電話番号に対応する着信待ち電話機内線番号が着信待ちリストに複数記憶されている場合でも、接続先の選択操作を案内するトーキーを送出し、発信者のPB信号操作により発信者の意向に従って着信待ち電話機を選択することができる。
【0015】
第3の発明によれば、着信待ち電話機が一定時間不応答時に転送する転送先電話番号または内線番号を電話機の登録操作によりボタン電話装置に記憶しておくことで、離席時や外出時等でも、構内の事業所用PHSや携帯電話等で折り返しかかってきた電話を受けることが可能になる。
【0016】
第4の発明によれば、着信待ちリストに記憶された相手からの着信に対しては、着信を待っていた相手であるので対応する着信待ち電話機が通話中の場合でも着信表示させ、現在行っている通話を終了したり一旦保留したりしてから該発信者からの着信に応答することも可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態では、ボタン電話装置としてボタン電話主装置と該ボタン電話主装置に接続された有線式内線電話機を例にあげて説明する。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、有線式内線電話機の代わりに無線式内線電話機を用いることができ、また、ボタン電話装置ではなく構内交換機で実施しても良い。更に、外線は発番号を利用できる回線なら良く、アナログ回線・ISDN回線・IP回線何れも利用できる。なお、外線がIP回線であった場合、ネットワークによっては発信元IPアドレスが前記発番号に対応することもある。
【0018】
図1は、本発明に係るボタン電話装置を構成するボタン電話主装置10と、ボタン電話機20の構成概略図である。図2は、本発明に係るボタン電話主装置10の中央制御部11と、記憶部12の機能ブロック図である。図3は、着信待ちリストの内容の例を示す図である。図4は、本発明に係るボタン電話主装置10の中央制御部11内の着信待ちリストの登録・記憶処理に関するフローチャートである。図5は、本発明に係るボタン電話主装置10の中央制御部11内の着信処理に関するフローチャートである。
【0019】
まず、図1を用いてボタン電話装置を構成するボタン電話主装置10と、ボタン電話機20の構成の概要を説明する。ボタン電話装置は、1以上の外線および複数の内線を収容するボタン電話主装置10と、該ボタン電話主装置10の内線に接続された複数のボタン電話機20−1〜20−nから構成される。
【0020】
ボタン電話主装置10は、少なくとも、中央制御部11と、記憶部12と、1以上の外線回路13−1〜13−mと、発番号受信部14と、PB信号受信部15と、トーキー送出部16と、通話路スイッチ17と、複数の内線回路18−1〜18−nを有して構成される。
【0021】
中央制御部11は、ボタン電話主装置10の各回路からの入力情報(ボタン電話機20からの情報も含む)に対する分析や判断、記憶部11に対する情報の入出力、各回路の制御を行う。
【0022】
記憶部12は、通常の記憶部としての働きの他に、外線着信時の発番号、着信待ちリスト、転送先電話番号、等が記憶される。
【0023】
外線回路13−1〜13−mは、外線に接続されるインタフェース回路である。本発明で開示している外線とは、一般公衆回線、IP電話事業者の回線、専用線、私設線、携帯電話等の無線使用回線(無線/有線交換アダプタ使用)、等も含まれる。なお、本実施形態では、一般公衆回線のアナログ電話網の場合について説明する。
【0024】
発番号受信部14は、外線着信時に発番号を受信するモデム回路であり、通話路スイッチ17経由で外線回路13に接続される。なお、一般公衆回線のISDN回線の場合は、発番号情報は制御チャネルにて送信されるため、発番号受信部14は不要である。また、本実施例では、発番号受信部14は、外線回路13とは独立させ複数の回線で共用する構成としているが、外線回路13に1対1で対応させる構成でも良い。
【0025】
PB信号受信部15は、外線着信後に発信者が送出したPB信号(DTMF信号ともいう)を受信するための回路であり、通話路スイッチ17経由で外線回路13に接続される。また、本実施例では、PB信号受信部15は、外線回路13とは独立させ複数の回線で共用する構成としているが、外線回路13に1対1で対応させる構成でも良い。
【0026】
トーキー送出部16は、発信者に対して操作方法を音声案内するための回路であり、通話路スイッチ17経由で外線回路13に接続される。なお、音声案内は音声合成を用いても、ユーザによる録音を用いても良く、手段に関しては限定しない。また、本実施例では、トーキー送出部16は、外線回路13とは独立させ複数の回線で共用する構成としているが、外線回路13に1対1で対応させる構成でも良い。
【0027】
通話路スイッチ17は、ボタン電話主装置10内の交換処理(外線回線13−1〜13−mと内線回路18−1〜18−nの接続、発番号受信部14と外線回線13−1〜13−mの接続、PB信号受信部15と外線回線13−1〜13−mの接続、トーキー送出部16と外線回線13−1〜13−mの接続、他)を行う。
【0028】
内線回路18−1〜18−nは、ボタン電話機20−1〜20−nと音声や制御情報の通信を行うためのインタフェース回路である。
【0029】
また、ボタン電話機20は、少なくとも、制御部21と、データ送受信回路22と、音声処理部23と、送受話器24と、スピーカ25と、ダイヤルキー26と、外線キー27と、着信待ちリスト登録キー28と、機能キー29と、LCD表示器30を有して構成される。
【0030】
制御部21は、ボタン電話機20内の各回路からの入力情報に対する解析や判断、各回路の制御を行う。
【0031】
データ送受信回路22は、内線を介してボタン電話主装置10と音声データ、制御データの通信を行うためのインタフェース回路である。
【0032】
音声処理部23は、音声のデジタル/アナログ変換、アナログ/デジタル変換と、ボタン電話機20内の送受話器24やスピーカ25等との通話パスの切替処理、および音量を制御する。
【0033】
送受話器24は、通話時の送話、受話を行うためのハンドセットである。
【0034】
スピーカ25は、外線着信音の鳴動や、スピーカによる相手音声の拡声に使用する。
【0035】
ダイヤルキー26は、発信時に電話番号や短縮ダイヤルを入力する手段であり、また、ボタン電話装置において一般的に用いられる短縮ダイヤルの登録や各種設定の入力手段としても用いられる。
【0036】
外線キー27は、複数ある外線から使用したい外線を選択するための複数のボタンであり、該ボタンに対応して外線の状態(着信中、使用中、保留中、他)を表示するLED表示器を備えている。
【0037】
着信待ちリスト登録キー28は、発信通話を行った相手の電話番号と自電話機の内線番号との対応を着信待ちリストに登録するためのキーである。尚、専用キーでなく機能キー29の“設定”ボタンとダイヤルキー26との組み合わせ等で行うことも可能である。
【0038】
機能キー29は、複数備えられ、ボタン電話装置で一般的に使用する“保留”ボタン、 “設定”ボタンの他、短縮ダイヤル発信時に使用する“短縮”ボタンや短縮ダイヤル発信操作をワンタッチで行う“ワンタッチダイヤル”ボタン等の入力手段である。
【0039】
LCD表示器30は、着信時には発信者情報等を表示し、発信時にはダイヤルした番号や通話時間等を表示し、短縮ダイヤルの登録や各種設定の入力を行うときは入力データ等を表示する。
【0040】
次に、本発明に係るボタン電話主装置10の中央制御部11と記憶部12の機能構成を、図2を用いて説明する。中央制御部11は、少なくとも、外線回路制御手段F40と、発番号受信手段F41と、PB信号受信手段F42と、トーキー制御手段F43と、通話路制御手段F44と、データ送受信手段F45と、発番号登録手段F46と、接続処理手段F47と、受信データ分析手段F48と、照合処理手段F49と、着信待ちリスト自動消去手段F50と、転送制御手段F51と、着信待ちリスト登録手段F52と、転送先登録手段53とを有し、記憶部12は転送先記憶手段F54と、着信待ちリスト記憶手段F55と、発番号記憶手段F56とを有して構成される。
【0041】
外線回路制御手段F40は、外線回路13に対し外線発信、外線着信の制御を行う機能を有し、外線着信を検出すると外線着信を検出した旨を接続処理手段F47に通知し、通話路制御手段F44の制御により該外線回路13は通話路スイッチ17を経由して発番号受信部14に接続される。
【0042】
発番号受信手段F41は、発番号受信部14の制御を行い、発番号受信部14が受信した発番号情報を発番号登録手段F46へ通知する機能を有している。なお、発番号情報を受信する制御方法は公知であるため省略する。
【0043】
PB受信手段F42は、PB信号受信部15の制御を行い、発信者から送出されるPB信号(プッシュ信号、DTMF信号とも言う)情報を照合処理手段F49へ通知する機能を有している。なお、PB信号情報を受信する制御方法は公知であるため省略する。
【0044】
トーキー制御手段F43は、トーキー送出部16の制御を行い、発信者へトーキー送出が必要なときに接続処理手段F47からの指定に対応したトーキー(例えば、「○○を呼び出すときは0を、××を呼び出すときは1ダイヤルしてください。」のような操作案内)の送出をトーキー送出部16へ指示する機能を有している。
【0045】
通話路制御手段F44は、接続処理手段F47からの通話路接続指示に従い、各回路の通話路を接続する指示を通話路スイッチ17へ出す機能を有している。例えば、外線着信検出時は該外線回路13と発番号受信部14間の通話路を接続し、トーキー送出が必要な場合は該外線回路13とトーキー送出部16間の通話路を接続し、発信者からのPB信号の受信が必要な場合は該外線回路13とPB信号受信部15間の通話路を接続する指示を通話路スイッチ17へ出す。
【0046】
データ送受信手段F45は、接続処理手段F47の指示により、例えば、外線が着信状態の場合は、ボタン電話機に着信表示情報(着信鳴動有無、着信音の種類、着信表示させるボタン、等)を内線回路18経由でボタン電話機20に送出する機能を有している。また、データ送受信手段F45は、ボタン電話機20の操作内容を受信データ分析手段F48へ通知する機能も有している。
【0047】
発番号登録手段F46は、発番号受信手段F41から受信した発番号情報を発番号記憶手段F56に登録する機能を有している。
【0048】
接続処理手段F47は、各機能ブロックとの情報交換を行い、各種接続処理を行う機能を有している。外線回路制御手段F40から外線着信の検出が通知されると、該外線回路13と発番号受信部14間の通話路の接続を通話路制御手段F44に指示する。トーキー送出が必要なときは、照合処理手段F49からの指示により、トーキー制御手段F43にトーキー送出を指示し、該外線回路13とトーキー送出部16間の通話路の接続を通話路制御手段F44に指示する。着信させる着信待ち電話機が決定したときは、照合処理手段F49からの指示により、データ送受信手段F45に着信表示情報(着信鳴動有無、着信音の種類、着信表示させるボタン、等)を送信する。該電話機が着信に応答したときは、受信データ分析手段F48から応答情報を受信し、該外線回路13と該電話機の内線回路18間の通話路の接続を通話路制御手段F44に指示する。着信待ちリストに基づく通話が成立したときは、着信待ちリスト自動消去手段F50に対して、着信待ちリストから該当する電話番号と内線番号のデータ消去を指示する。該電話機が着信に一定時間応答がなく転送が必要な場合は転送制御手段F51を起動し、外線への転送が必要なときは、転送制御手段F51からの転送指示により、外線回路制御手段F40へ別外線を使用した発信を指示する。内線への転送が必要なときは、転送制御手段F51からの転送指示により、データ送受信手段F45に対して転送先内線回路に対する着信表示情報を送信する。
【0049】
受信データ分析手段F48は、データ送受信手段F45から通知されたボタン電話機20の操作情報を分析する機能を有している。電話機の各状態で行われる操作内容に従い、操作情報は接続処理手段F47、着信待ちリスト登録手段F52、転送先登録手段F53の何れかへ引き渡される。
【0050】
照合処理手段F49は、発番号記憶手段F56の発番号と同一の電話番号が着信待ちリスト記憶手段F55に記憶されているか照合し、記憶されている場合は該電話番号に対応する着信待ち電話機への着信処理を接続処理手段F47に対して指示する機能を有している。なお、該電話番号に対する着信待ち電話機が複数存在する場合は、PB信号受信手段F42から受信したPB信号が示す接続先指定番号に該当する着信待ち電話機への着信処理を接続処理手段F47に対して指示する。
【0051】
着信待ちリスト自動消去手段F50は、着信待ちリストに基づく通話が成立したときに、接続処理手段F47からの指示により着信待ちリスト記憶手段F55から該当する電話番号と内線番号のデータを消去する機能を有している。
【0052】
転送制御手段F51は、着信待ち電話機が一定時間着信に応答しないとき、転送先記憶手段F54の転送先情報に基づき、接続処理手段F47に対して別外線を使用した発信または転送先内線回路に対する着信表示情報の送信を指示する機能を有している。
【0053】
着信待ちリスト登録手段F52は、ボタン電話機20が外線発信通話を行ったときの着信待ちリストへの登録操作を行ったとき、受信データ分析手段F48から指示により、該ボタン電話機が発信した電話番号と該ボタン電話機の内線番号を着信待ちリスト記憶手段F55に登録する機能を有している。なお、既に同一の登録がある場合、重複登録は行わない。
【0054】
転送先登録手段F53は、ボタン電話機20が不応答時の転送先登録操作を行ったとき、受信データ分析手段F48から指示により、該ボタン電話機の転送先電話番号または内線番号を転送先記憶手段F54に登録する機能を有している。
【0055】
転送先記憶手段F54は、転送先登録手段F53から通知された転送先電話番号または内線番号を電話機毎に記憶する機能を有している。
【0056】
着信待ちリスト記憶手段F55は、着信待ちリスト登録手段F52から通知された電話番号と電話機の内線番号との対応を記憶する機能を有している。
【0057】
発番号記憶手段F56は、発番号登録手段F46から通知された発番号情報を一時記憶する機能を有している。
【0058】
次に、着信待ちリストの構成について図3を用いて説明する。着信待ちリストは、発信者の電話番号に対して着信を待っている電話機の内線番号を登録の古い順に記憶している。図では指定番号0から指定番号9まで、最大10台の電話機の内線番号が登録可能な構成となっており、一つの電話番号に対して内線番号が複数登録されている場合(例:電話番号が「03・・1112」の場合、内線番号が指定番号0と指定番号1に登録されている)、音声ガイダンスの指示に従い、発信者は指定番号0から9をダイヤルし接続したい内線を指示することになる。また、登録可能数を増やす場合は指定番号の桁数を増やしても良い。なお、着信待ちリストに基づく通話が成立したときは、着信待ちリストから通話が成立した電話番号に対する内線番号のデータは消去され、消去した箇所をつめて再配置される。図3の例の場合、電話番号「03・・1112」と内線番号「21」の通話が成立したとき、電話番号「03・・1112」の指定番号0の内線番号は「21」から「15」となり、指定番号1は「Null」となる。
【0059】
次に、上記実施の形態におけるボタン電話主装置10側の着信待ちリスト登録・記憶処理の流れについて、図4を用いて説明する。なお、図4において、各ステップの順番は一例を示すものであり、作用・効果を変更しない範囲で任意に入れ替えても良い。
【0060】
まず、外線発信を行い外線通話状態となる(S101)。
【0061】
ステップS102で、電話機から着信待ちリスト登録操作を受信した場合(Yes)は、主装置は着信待ちリスト登録・記憶処理(S103)を行い、着信待ちリスト登録・記憶処理が終了する。
【0062】
ステップS102で、電話機から着信待ちリスト登録操作を受信しない場合(No)は引き続きステップS102に戻り、電話機からの着信待ちリスト登録操作を待つ。尚、ステップS102〜ステップS103の処理は基本的には通話中に行われるが、終話後も次の発信や着信応答を行うまでは処理可能としてもよい。
【0063】
次に、上記実施の形態におけるボタン電話主装置10側の着信処理の流れについて、図5を用いて説明する。なお、図5において、各ステップの順番は一例を示すものであり、作用・効果を変更しない範囲で任意に入れ替えても良い。
【0064】
まず、外線着信があると、外線回路制御手段F40は着信があることを検出し、発番号受信手段F41は発番号受信処理を行う(S201)。発番号情報を受信する制御方法は公知であるため詳細は省略する。
【0065】
受信した発番号は発番号登録手段F46により発番号記憶手段F56に一時記憶される(S202)。
【0066】
ステップS202の後、照合処理手段F49は発番号記憶手段F56の発番号と着信待ちリスト記憶手段F55に記憶されている電話番号を照合し(S203)、不一致なら通常の着信処理(S204)に移行し、応答・通話処理(S205)を経由して最終的には終話となる。
【0067】
ステップS203で一致した電話番号がある場合は、引き続き、着信待ちリスト記憶手段F55に記憶されている着信待ち電話機は1台のみか確認し(S206)、1台のみの場合(Yes)はステップS210に移行する。1台でない場合(No)はステップS207に移行し、トーキー制御手段F43は接続処理手段F47からの指定に対応した着信先案内トーキー(例えば、「○○を呼び出すときは0を、××を呼び出すときは1をダイヤルしてください。」のような操作案内)の送出処理を行う。
【0068】
ステップS207のトーキー送出中、およびトーキー送出後の一定時間(設定による可変でも良い)、発信者からの指定番号のダイヤル操作(PB信号)を待ち、発信者からのPB信号を受信すると(S208)、照合処理手段F49は、受信した指定番号に該当する内線番号があるか照合を行う(S209)。
【0069】
ステップS209で指定番号に該当する内線番号がある場合(該当あり)は、ステップS210に移行する。指定番号に該当する内線番号がない場合(該当なし)は、通常の着信と同様にステップS204に移行する。なお、図では明記していないが、上記ステップS208で一定時間待っても発信者からのPB信号を受信できなかった場合や指定外のPB信号の場合は、ステップS207の着信先案内トーキー送出処理をくり返したり、指定番号に該当する内線番号がない場合と同様に扱ってステップS204に移行したりしてもよい。
【0070】
ステップS206またはステップS209で対応する着信待ち電話機が決定するので、該電話機が通話中かを照合する(S210)。
【0071】
ステップS210で対応する着信待ち電話機が通話中でない場合は(No)、該電話機に対する着信処理を行う(S211)。該電話機が通話中の場合(Yes)は、通話中着信通知処理(S215)を行う。通話中着信通知処理の方法としては、通話中に音量を下げてボタン電話機20のスピーカ25から着信音を鳴らしたり、受話器24からインバンドトーンで割込音(例えば「プップッ」音を一定間隔で流す)を送出したりしてもよく、通知手段は特に限定しない。更に、LCD表示器30に相手の電話番号や名称に加え、着信待ちリストによる着信であることを文字表示してもよい。
【0072】
ステップS211またはステップS215の処理の後に該電話機の着信に対する応答を待ち(S212)、一定時間内に応答した場合(Yes)は、通話処理(S213)に移行した後に着信待ちリスト自動消去手段F50により着信待ちリスト記憶手段F55から該当する電話番号と内線番号のデータを消去する(S214)。なお、該電話番号に対応する内線番号が他にある場合は、該電話機の内線番号のみ消去する。最終的には通話が完了し終話となる。
【0073】
ステップS212で該電話機が一定時間内に着信に応答しない場合(No)は、転送先記憶手段F54に転送先が記憶されているか照合し(S216)、記憶されていない場合(No)は、ステップS221の切断処理に移行する。なお、本図では切断処理への移行としているが、ステップS204の通常の着信処理に移行しても良い。
【0074】
ステップS216で転送先が記憶されている場合(Yes)は、転送制御手段F51は転送先記憶手段F54に記憶されている対応電話機の転送先を照合し、転送先への発信処理を行う(S217)。なお、転送先が外線の場合は、接続処理手段F47に対して別外線を使用した発信を指示し、転送先が内線の場合は、接続処理手段F47に対して転送先内線電話機に対する着信処理を指示する。転送動作に関しては公知であるため、詳細の説明は省略する。
【0075】
ステップS217の処理の後に転送先電話機の応答を待ち(S218)、一定時間内に応答した場合(Yes)は通話処理(S219)に移行し、対応電話機が直接通話した場合と同様、着信待ちリスト自動消去手段F50により着信待ちリスト記憶手段F55から該当する電話番号と内線番号のデータを消去する(S220)。なお、該電話番号に対応する内線番号が他にある場合は、該電話機の内線番号のみ消去する。最終的には通話が完了し終話となる。
【0076】
ステップS218で転送先電話機が一定時間内に応答がない場合(No)は、回線を切断し(S221)処理が終了となる。着信待リストは残ったままとなっているため、再度相手から着信があったとき、前回と同様に対応電話機に着信することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係るボタン電話主装置10と、ボタン電話機20構成概略図。
【図2】本発明に係る中央制御部11と、記憶部12の機能ブロック図。
【図3】着信待ちリストの構成例を説明する図。
【図4】本発明に係るボタン電話主装置10の中央制御部11内の着信待ちリスト登録・記憶処理に関するフローチャート。
【図5】本発明に係るボタン電話主装置10の中央制御部11内の着信処理に関するフローチャート。
【符号の説明】
【0078】
10 ボタン電話主装置
11 中央制御部
12 記憶部
13 外線回路
14 発番号受信部
15 PB信号受信部
16 トーキー送出部
17 通話路スイッチ
18 内線回路
20 ボタン電話機
21 制御部
22 データ送受信回路
23 音声処理部
24 送受話器
25 スピーカ
26 ダイヤルキー
27 外線キー
28 着信待ちリスト登録キー
29 機能キー
30 LCD表示器
F40 外線回路制御手段
F41 発番号受信手段
F42 PB信号受信手段
F43 トーキー制御手段
F44 通話路制御手段
F45 データ送受信手段
F46 発番号登録手段
F47 接続処理手段
F48 受信データ分析手段
F49 照合処理手段
F50 着信待ちリスト自動消去手段
F51 転送制御手段
F52 着信待ちリスト登録手段
F53 転送先登録手段
F54 転送先記憶手段
F55 着信待ちリスト記憶手段
F56 発番号記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の外線および複数の内線を収容するボタン電話主装置と、前記内線に接続される複数のボタン電話機から成るボタン電話システムであって、
前記ボタン電話主装置は、
前記ボタン電話機が外線発信通話したときに発信した電話番号と該ボタン電話機の内線番号との対応を電話機のキー操作によって登録する着信待ちリスト登録手段と、
該電話番号と該内線番号との対応を着信待ちリストとして記憶する着信待ちリスト記憶手段と、
外線着信時に発番号を受信する発番号受信手段と、
発番号と前記着信待ちリストに記憶されている電話番号とを照合する照合処理手段と、
該発番号と前記着信待ちリストに記憶されている電話番号が一致していたら前記着信待ちリストに記憶されている着信待ち電話機の内線番号に直接着信させる接続処理手段と、
該着信に該着信待ち電話機が応答後は前記着信待ちリストから該電話番号と該内線番号との対応を自動消去する着信待ちリスト自動消去手段とを有することを特徴とする一時的ダイレクト着信機能を備えたボタン電話システム。
【請求項2】
請求項1において、前記ボタン電話主装置は、
外線着信時に受信した発番号と前記着信待ちリストに記憶されている同一の電話番号に対応する着信待ち電話機の内線番号が複数存在する場合に、着信に自動応答して接続先指定番号の選択操作を案内するトーキー制御手段と、
発信者からのPB信号を受信するPB信号受信手段と、
受信したPB信号が示す番号が前記着信待ちリストの接続先指定番号に該当するかを照合する照合処理手段と、
前記照合処理結果に基づき接続先を選択する接続処理手段とを有することを特徴とする一時的ダイレクト着信機能を備えたボタン電話システム。
【請求項3】
請求項1または2において、前記ボタン電話主装置は、
転送先電話番号または転送先内線番号を記憶する転送先記憶手段を有し、
前記着信待ちリストに登録されている電話番号からの外線着信時に、前記電話番号に対応する着信待ち電話機の内線番号に着信させた後、該着信待ち電話機から一定時間着信に応答がないときに前記転送先記憶手段に記憶されている転送先に転送することを特徴とする一時的ダイレクト着信機能を備えたボタン電話システム。
【請求項4】
請求項1または2において、前記ボタン電話主装置は、
該着信待ち電話機が通話中のときに前記着信待ちリストに登録されている電話番号からの着信を話中扱いとせずに、該着信待ち電話機に該電話番号からの着信がある旨を表示させることを特徴とする一時的ダイレクト着信機能を備えたボタン電話システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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