説明

一液軟質発泡ポリウレタンエアゾール組成物

【課題】作業性に優れ、性能も良好で気密性に優れた一液軟質発泡ポリウレタンエアゾール組成物を提供する。
【解決手段】ポリウレタンプレポリマー、噴射剤及びその他の添加剤を含有する一液発泡ポリウレタンエアゾール組成物において、ポリウレタンプレポリマーが、官能基数が2〜3、分子量1,000〜10,000のポリオールとピュアMDIとをNCOインデックスが3〜4.5で反応させたものであることを特徴とする一液軟質発泡ポリウレタンエアゾール組成物により課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一液軟質発泡ポリウレタンエアゾール組成物に関する。詳しくは、エアゾール容器から噴射した発泡硬化体が接着性、発泡性、柔軟性、追随性に優れ、例えば、住宅、水道管又は電気配線周りの気密補助材としての適用性が一段と拡張された一液軟質発泡ポリウレタンエアゾール組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、一液発泡ポリウレタンエアゾール組成物は、エアゾールタイプの硬質ウレタンフォームとして、建築物、水道管、電気配線周り等の断熱、気密シール、保温、保冷、接着、固定等に充填補修材や気密補助材として広く用いられている。
例えば、特開2001−247641公報(特許第3579741号)に記載された一液発泡ポリウレタンエアゾール組成物は、ウレタン樹脂のもつ、優れた耐摩耗性、耐薬品性、密着性などに加え、弾性を有し、断熱性、遮音性などの点でも優れ、上記の用途に有効に適用されている。
しかしながら、従来の一液発泡ポリウレタンエアゾール組成物は、その発泡体の硬度が高いため、構造物の動き(木材の収縮等)に追随できず、また、一度硬化させた後、外力を加え変形させることが困難であった。例えば、建築物における実際の使用において、硬化体に無理に外力を加えると、硬化体が破壊したり、接着面から剥離したりする可能性が大きいものであった。
また、木材に接着し硬化した発泡体が、木材の収縮に追随しきれず、隙間を生じ、そこから剥離し、結果として気密性を失うなどの問題を生じ、一液発泡ポリウレタンエアゾール組成物の機能を十分に発揮できないことが指摘されていた。
すなわち、従来の一液発泡ポリウレタンエアゾール組成物は、建築物の断熱、気密、保温、保冷、固定材として、加工性と施工性に優れ、有効に適用されているものの、上記のような問題点があった。
【特許文献1】特開2001−247641公報(特許第3579741号)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、気密性及び作業性を改善し、生成した発泡硬化体が使用目的に適した拡張及び向上させた物性を有し、建造物のひび割れ、隙間の深部、複雑な形状面に吹き付けて強固且つ柔軟な接着効果により、建造物の補修、気密シール補助材等として、従来の一液発泡ポリウレタンエアゾール組成物では得られなかった新たな効果を奏し、その適用性が増した一液軟質発泡ポリウレタンエアゾール組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討し、本発明者等が先に発明して提供した発泡ポリウレタンエアゾール組成物(特許第3579741号)において、ウレタンプレポリマーとして、(1)官能基数2〜3、分子量1,000〜10,000のポリエーテルポリオールと、(2)ピュアジフェニルメタンジイソシアネート(以下ピュアMDIという)とを、NCOインデックスが3〜4.5の範囲で反応させて得られるものを選択して用いることにより、接着性、引張強度、引裂き強度、伸び等が優れた発泡硬化体が得られ、気密性に優れた各種施工が可能となった一液軟質発泡ポリウレタンエアゾール組成物を見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、ウレタンプレポリマー(A)、噴射剤(B)を含有する一液軟質発泡ポリウレタンエアゾール組成物であって、ウレタンプレポリマー(A)が、官能基数2〜3、分子量1,000〜10,000のポリエーテルポリオール(a−1)とピュアMDI(a−2)とをNCOインデックス3〜4.5の範囲で反応させて得られるウレタンプレポリマーであることを特徴とする一液軟質発泡ポリウレタンエアゾール組成物である。
該組成物中に上記のウレタンプレポリマー(A)と噴射剤(B)とを、該ポリマー(A)40〜99重量部と該噴射剤(B)1〜60重量部の割合で含有する一液軟質発泡ポリウレタンエアゾール組成物である。
また、噴射剤(B)が、沸点範囲が10〜100℃の炭化水素系溶剤及び噴射剤を含有する高沸点炭化水素系溶剤含有噴射剤(B−1)又は噴射剤(B−2)である一液軟質発泡ポリウレタンエアゾール組成物である。
【発明の効果】
【0005】
本発明の一液軟質発泡ポリウレタンエアゾール組成物は、エアゾール容器から噴射して得られるポリウレタン発泡体が、接着性、発泡体の伸び、引張強度、引裂き強度等の性能に優れている。すなわち、被噴射体に噴射されて形成される発泡硬化体は、接着性に優れ、柔軟性を有し、壁面において垂れがなく、保持性にも優れている。
そのため、気密性を賦与しようとする建造物等に噴射した発泡硬化体は、木材のへたりが起きたときなどにクラックを生じることがなく、へたりに追随し気密性を永く保持できる。また、壁面に板を張付けるような施工における補助剤としても有効に適用できる等、従来の一液発泡ポリウレタンエアゾール組成物では達成出来なかった効果が得られ、また施工困難であって新たな施工にも適用できる可能性を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の一液軟質発泡ポリウレタンエアゾール組成物は、次の成分が耐圧容器に充填され、使用時にこの耐圧容器に、取り付けたノズルを通して容器内の該組成物を噴霧又は棒状に吐出させて、様々の施工形状や施工個所、例えば、ひび割れ、隙間、壁面、その他の複雑な形状に発泡硬化体を形成させ、目的の施工に適用するものである。
耐圧容器に充填される組成物は、ポリオール(a−1)とイソシアネート化合物(a−2)を反応させて得られるウレタンプレポリマー(A)と噴射剤(B)を含有するものであり、その他の必要に応じて添加する助剤として、整泡剤、難燃剤、反応触媒等を含有する。
組成物は、耐圧容器に、ポリオール(a−1)及び整泡剤、難燃剤、触媒などの助剤を混合して含有するレジン原液を充填し、ついでウレタンプレポリマー(A)を生成するためのイソシアネート化合物(a−2)、噴射剤(B)を順次充填する。
又は、ウレタンプレポリマー(A)を、整泡剤、難燃剤、反応触媒などの助剤を含有するポリオール(a−1)とイソシアネート化合物(a−2)とを所定の反応温度で反応させて調製し、このウレタンプレポリマー(A)、噴射剤(B)を耐圧容器に順次充填する方法であってもよい。
【0007】
(A)成分のウレタンプレポリマーは、ポリオール(a−1)としては、水酸基数2〜3、分子量1,000〜20,000のポリエーテルポリオールを用いる。具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレンアジペートグリコール、ポリブチレンアジペートグリコール、ポリブチレンアゼラエートグリコール、ポリカプロラクトングリコール等が挙げられる。好ましくは、ポリプロピレングリコールである。例えば、三井化学ポリウレタン(株)社製のアクトコールMN−1000(OH価160±5mgKOH/g、平均分子量1,000)、アクトコールDiol−2000、(OH価56±5mgKOH/g、平均分子量2,000)等が、好ましく用いられる。
【0008】
また、イソシアネート化合物(a−2)は、ピュアMDIであり、4,4’−及び/又は2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを用いる。従来の一液硬化発泡ポリウレタンエアゾール組成物で用いられるポリメリックMDIでは、本発明の効果が得られず、イソシアネート化合物としてピュアMDIを用いることにより本発明の効果を得ることができる。
ピュアMDIとしては、例えば、三井化学ポリウレタン(株)社製のコスモネートLL、コスモネートLK、その他、市販のピュアMDIが使用できる。
【0009】
ウレタンプレポリマー(A)は、上記のポリオール(a−1)とイソシアネート化合物(a−2)とを、NCOインデックスが3〜4.5、好ましくは3〜4の範囲で反応させる。
NCOインデックスが、3未満では、噴射して形成される硬化体は、フォームの形成が不十分で、柔かく、収縮することがあり、一方、4.5を超えると硬度が高く、所望の物性を有する発泡体を得にくくなるので好ましくない。
硬化反応触媒としては、2,2’−ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)、ジ(2,6−ジメチルモルホリノエチル)エーテルなどがあり、好ましくは2,2’−ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)が用いられる。触媒の使用量は、ポリオール100重量部に対して、0.05〜3.0重量部であり、好ましくは0.3〜1.5重量部である。
反応温度、時間などの反応条件は、特に限定はない。
通常、ポリオールとイソシアネートを耐圧容器内に充填し、ウレタンプレポリマーを生成させる場合は、これらは常温で充填する。
また、予めウレタンプレポリマーを調製して、これを耐圧容器に充填する場合は、実用されている反応条件、例えば、70℃、1時間程度の反応条件でポリオールとイソシアネートを反応させる。
【0010】
噴射剤(B)は、沸点範囲が10〜100℃の炭化水素系溶剤(b−1)に噴射剤(b−2)を含有する高沸点炭化水素溶剤含有噴射剤(B−1)、又は噴射剤(B−2)〔高沸点炭化水素溶剤を含まない噴射剤(b−2)を指す〕が用いられる。
高沸点炭化水素溶剤含有噴射剤(B−1)において、沸点範囲が10〜100℃の炭化水素系溶剤(b−1)は、イソペンタン、ノルマルペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン又はノルマルヘプタン、あるいはこれらの2種以上の混合物である。
また、高沸点炭化水素系溶剤含有噴射剤(B−1)に含まれる噴射剤(b−2)、及び噴射剤(B−2)は、ジメチルエーテル、メタン、エタン、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、炭酸ガス又は窒素あるいはこれらの2種以上を組み合わせた混合物である。
【0011】
上記の高沸点炭化水素溶剤含有噴射剤(B−1)は、通常、エアゾール組成物の各成分を耐圧容器に充填するに際して、レジン原液、イソシアネート化合物、次いで、高沸点炭化水素溶剤と噴射剤とを充填する。又、予めウレタンプレポリマーを調製して、耐圧容器に充填するときは、ウレタンプレポリマーに引き続き、高沸点炭化水素溶剤と噴射剤とを充填する。
【0012】
本発明の一液軟質発泡ポリウレタンエアゾール組成物は、(A)成分のウレタンプレポリマーと(B)成分の噴射剤とが含有されるものであり、エアゾール組成物中に(A)成分のウレタンプレポリマーが40〜99重量部、好ましくは50〜90重量部と、(B)成分の噴射剤が、60〜1重量部、好ましくは50〜10重量部の合計100重量部の配合割合で含有される。なお、ここに示すウレタンプレポリマーとは、ポリオールとイソシアネートから得られるウレタンプレポリマーに難燃剤、整泡剤及び触媒を含むものを言う。
また、噴射剤(B)が高沸点炭化水素溶剤含有噴射剤(B−1)であるとき、高沸点炭化水素溶剤(b−1)と噴射剤(b−2)との比率は、重量比で(b−2)/(b−1)=99/1〜70/30が好適であり、好ましくは97/3〜80/20である。
【0013】
本発明のエアゾール組成物中には、上記ウレタンプレポリマー(A)及び噴射剤(B)に加え、難燃剤、整泡剤、触媒等の助剤の外、その他の改質剤、顔料等の着色剤などを本発明の効果を阻害しない範囲で配合することもできる。これらの改質剤や着色剤等の配合成分は、ウレタンプレポリマーの製造時、あるいはエアゾール組成物の充填時などに配合することができる。
上記助剤の添加量は、本発明の効果が得られる範囲で添加すれば特に限定される量ではないが、通常、難燃剤はポリオール100重量部に対して、50〜150重量部、整泡剤はポリオール100重量部に対して、1〜6重量部であり、また、触媒は上記のとおりである。
【0014】
本発明の一液軟質発泡ポリウレタンエアゾール組成物をエアゾール容器などの耐圧容器に充填する方法としては、合成したウレタンプレポリマーをエアゾール容器に充填する方法とエアゾール容器内でウレタンプレポリマーを作成する方法とが挙げられる。
前者の方法では、所定量のポリオールを、難燃剤、整泡剤及び触媒等の助剤、又は本発明の効果を阻害しない範囲で必要により添加することもあるその他の添加剤を含有する混合物を、イソシアネートと適切な反応温度で反応させてウレタンプレポリマーを調製する。得られたウレタンプレポリマーと噴射剤とを耐圧容器に充填する。
また、後者の方法では、所定量の難燃剤、整泡剤及び触媒等の助剤、また本発明の効果を阻害しない範囲で必要により添加することもあるその他の添加剤、及びポリオールを耐圧容器に充填し、続いてイソシアネート、さらに噴射剤を充填し、耐圧容器内でポリオールとイソシアネートとを反応させてウレタンプレポリマーを生成させることにより、簡易型の一液軟式発泡ポリウレタンエアゾール製品が得られる。
これらエアゾール製品の耐圧容器内の圧力は、25℃で0.20〜0.62MPa程度である。
【0015】
本発明の一液軟質発泡ポリウレタンエアゾール組成物により、次のような施工が可能になった。
1.住宅建設における水周り個所の気密性代替施工
通常、住宅等建築物の基礎と土台の間には空間を設け、床下の換気効率を上げ木材の腐敗菌類やイエシロアリを寄せ付けないような施工が施される。しかし、水周りや玄関周りでは通気を止め、気密性を確保する施工が行われる。
本発明の一液軟質発泡ポリウレタンエアゾール組成物を使用することにより次のような施工を行うことができる。
住宅建築物等の床下に良好な通気を確保するために基礎と土台の間に床下換気工法材が用いられている。該工法材の一つとして、再生材料であるフイラー強化ポリプロピレン樹脂複合材で作られた防鼠タイプであり、かつ通気孔が設けられた材料[例えば、サスマックス(ロングタイプ):商品名、三井化学産資株式会社]がある。通常、このような工法材を基礎と土台の間に配置し、床下の換気を行う施工をする場合がある。
【0016】
一方、住宅の浴室や玄関などの水周りでは気密性を確保するため通気を止める施工が必要である。係る場合、本発明の一液軟質発泡ポリウレタンエアゾール組成物を用い、上記の床下工法材を有効に転用して、簡易に通気を止める施工をすることができる。
すなわち、床下工法材を設置する基礎と土台の個所に床下工法材を土台の大きさに合わせて本発明の組成物を所要の厚さに噴射して発泡硬化層を形成させ、その上に床下工法材を配置し、圧着する。発泡硬化層は、床下工法材の通気孔を埋めて硬化し、気密性を確保できる。したがって、本発明の一液軟質発泡ポリウレタンエアゾール組成物を用いることにより、特定の目的に使用されていた材料をそのまま正反対の目的に使用して、水周りの気密性確保の施工を経済的に簡易に行うことができる。
【0017】
2.床・壁材に化粧板等の取付施工における接着補助剤として
床・壁材の表面に化粧版等を取り付ける施工がある。係る施工に、本発明の一液軟質発泡ポリウレタンエアゾール組成物の垂れ難い性能を効果的に活用し接着補助材として適用できる。壁面に化粧版を取り付ける施工は、壁面に接着剤を塗布し化粧板を圧着する。この工法は壁面に接着剤を広範囲で塗布するような手間のかかる方法である。
これに対して、本発明の一液軟質発泡ポリウレタンエアゾール組成物は、垂れの物性が良好である(垂れ難い)ので、化粧板を取り付ける壁面又は化粧板の所定の位置に組成物を吹き付け、直ちに化粧板を接着固定し、硬化後吹き付け位置をネジ止めすることにより、化粧板をより簡易な作業で壁面に固定することが可能になる。
【0018】
3.窓枠サッシ周りへの適用
窓の下地にサッシを填め込むに際して、両者を固定接着するため、従来から一液硬式発泡ポリウレタンエアゾール組成物が好ましく適用されている。しかし、従来の一液硬式発泡ポリウレタンエアゾール組成物では、空隙を埋めるために使用する材料としては硬化発泡体が硬すぎるため、発泡体の発泡圧力によりドア枠又はサッシ枠を変形させたり、経時による構造物の変形に追従できなかったり、断熱・気密効果が失われやすい。これに対して、本発明の一液軟質発泡ポリウレタンエアゾール組成物では、この惧れがなく、ドア枠とサッシ枠の隙間を柔軟に埋め、構造物の変形に追従できるので、断熱・気密効果を向上できる。
【0019】
その他、従来の一液発泡ポリウレタンエアゾール組成物が、住宅等建造物の断熱・気密性を高める目的のために使用されていた多くの様々な施工における問題点が、本発明の一液軟質発泡エアゾール組成物を用いることにより改善できる。
【実施例】
【0020】
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明する。
実施例1
水酸基数3、分子量1,000のポリエーテルポリオール〔商品名:アクトコールMN−1000(水酸基価:160mgKOH/g)、三井化学ポリウレタン(株)社製〕100重量部と、水酸基数2、分子量2,000のポリエーテルポリオール〔商品名:Diol2000(水酸基価:56mgKOH/g)、三井化学ポリウレタン(株)社製〕4重量部とを混合したポリエーテルポリオール、難燃剤としてトリス(β−クロロエチル)フォスフェ−ト(TCPP)65重量部、整泡剤としてシロキサンオキシアルキレンコポリマー3重量部及び触媒としてテトラメチルへキサンジアミン2重量部との混合物を耐圧容器に充填した。続いてピュアージフェニルメタンジイソシアナート〔商品名:コスモネートLL(NCO%:29.5%)、三井化学ポリウレタン(株)社製〕130.8重量部、噴射剤A(イソペンタン10.0重量%、ジメチルエーテル6.7重量%、プロパン18.3重量%及びイソブタン65.0重量からなる噴射剤組成物)86重量部の順に充填した。ポリエーテルポリオールとイソシアナートの反応により得られたウレタンプレポリマーが噴射剤とともに充填された耐圧容器に、噴射ノズルを付けて密封しエアゾール製品を調製した。
【0021】
調製したエアゾール容器から、一液軟質発泡ポリウレタンエアゾール組成物をノズルから噴射して発泡硬化体を生成させ、その発泡硬化体の諸物性を測定した。
諸物性の測定は、次の方法で行った。
タックフリータイム(分):発泡体を指で触って表面のべとつきがなくなった時間を測定。
フォーム密度(kg/m):JIS A9511
圧縮強度(N/mm):JIS A9511
25%CLD硬度(N/100cm):JIS K6400−2:2004 D法に準拠し、ポリウレタン発泡体、30×200×200mmの試験片を速度10mm/minで全面押圧し、圧縮する方法で行った。
伸び(%):JIS A9511
曲げ強度(N/mm):JIS A9511
引張強度(N/mm):JIS A9511
熱伝導率(W/mK) :JIS A9511
弾性体のフォームの状態:◎−良好、×−不良
結果を表−1に示す。
【0022】
実施例2〜7
表−1に示すポリオール、イソシアネート、助剤及び噴射剤を用い、実施例1の方法に準じてエアゾール製品を調製した。調製したエアゾール容器から、一液軟質発泡ポリウレタンエアゾール組成物をノズルから噴射して発泡硬化体を生成させ、発泡硬化体の諸物性を測定した。結果を表−1に纏めて示す。
【0023】
比較例1
イソシアネートとしてポリメリックジフェニルメタンジイソシアナートを用いる組成物である。水酸基数3、分子量1,000のポリエーテルポリオール〔商品名:アクトコールMN−1000(水酸基価:160mgKOH/g)、三井化学ポリウレタン(株)社製〕100重量部と、水酸基数2、分子量2,000のポリエーテルポリオール〔商品名:Diol2000(水酸基価:56mgKOH/g)、三井化学ポリウレタン(株)社製〕4重量部、難燃剤としてトリス(β−クロロエチル)フォスフェ−ト(TCPP)65重量部、整泡剤としてシロキサンオキシアルキレンコポリマー3重量部及び触媒としてテトラメチルへキサンジアミン2重量部を耐圧容器に充填した。続いてポリメリックジフェニルメタンジイソシアナート〔商品名:コスモネートM−50(NCO%:31.5%)、三井化学ポリウレタン(株)社製〕237.2重量部、噴射剤A(イソペンタン10重量%、ジメチルエーテル7重量%、プロパン18重量%及びイソブタン65重量%からなる噴射剤組成物)94.7重量部の順に充填した。耐圧容器内にポリエーテルポリオールとイソシアナートの反応により得られたウレタンプレポリマーを噴射剤とともに充填された耐圧容器に、噴射ノズルを付けて密封しエアゾール製品を調製した。
調製したエアゾール容器から、一液発泡ポリウレタンエアゾール組成物をノズルから噴射して発泡硬化体を生成させ、その発泡硬化体の諸物性を測定した。結果を表−1に示す。
【0024】
比較例2
イソシアネートとしてポリメリックジフェニルメタンジイソシアナートを用いる組成物である。比較例1と同様のポリエーテルポリオール104重量部、表−1に示す難燃剤、整泡剤及び触媒を、表−1に示す量を用い、イソシアネートとしてコスモネートM−200(NCO%:31.4%)、三井化学ポリウレタン(株)社製〕217.3重量部、噴射剤B(ジメチルエーテル25重量%、プロパン28重量%及びイソブタン47重量%からなる噴射剤組成物)86重量部の順に充填した。ポリエーテルポリオールとイソシアナートとの反応によりウレタンプレポリマーを合成し、噴射ノズルを付けて密封してエアゾール製品を調製した。
得られた一液発泡ポリウレタンエアゾール組成物をノズルから噴射して発泡硬化体を生成させ、発泡硬化体の諸物性を測定した。結果を表−1に示す。
【0025】
比較例3
イソシアネートとしてポリメリックジフェニルメタンジイソシアナートを用いる組成物である。比較例1に準じる方法により、表−1に示す種類と量のポリオール、イソシアネート及び助剤、さらに噴射剤を順次、耐圧容器に充填した。
得られた一液発泡ポリウレタンエアゾール組成物をノズルから噴射して発泡硬化体を生成させ、発泡硬化体の諸物性を測定した。結果を表−1に纏めて示す。
【0026】
【表1】

【0027】
表−1において
1)アクトコールMN−1000:商品名、分子量1000のポリオール、水酸基価:160mgKOH/g、
2)アクトコールDiol−2000:商品名、分子量2000のポリオール、水酸基価:56mgKOH/g、三井化学ポリウレタン(株)社製。
3)コスモネートM−50:商品名、ポリメリックMDI、NCO(%)31.5%、三井化学ポリウレタン(株)社製。
4)コスモネートM−200:商品名、ポリメリックMDI、NCO(%)31.4%、三井化学ポリウレタン(株)社製。
5)コスモネートLL:商品名、ピュアMDI、NCO(%)29.5%、三井化学ポリウレタン(株)社製。
6)コスモネートLK:商品名、ピュアMDI、NCO(%)28.3%三井化学ポリウレタン(株)社製。
7)難燃剤:トリス(β−クロロエチル)フォスフェ−ト
8)整泡剤:シロキサンオキシアルキレンコポリマー
9)触媒:テトラメチルヘキサンジアミン
10)噴射剤A:イソペンタン10重量%、ジメチルエーテル7重量%、プロパン18重量%及びイソブタン65重量%からなる噴射剤組成物。
11)噴射剤B:ジメチルエーテル25重量%、プロパン28重量%及びイソブタン47重量%からなる噴射剤組成物。
12)ウレタンプレポリマーの重量部と噴射剤の重量部は、ポリオール、イソシアネート、難燃剤、整泡剤、触媒量を合計してウレタンプレポリマーの重量部とし、この重量部と噴射剤の重量部との合計が100重量部となる量を示す。
【0028】
比較例4及び5
実施例1のポリオール、イソシアネートをNCOインデックスが2.5または5.0となる量を用い、その外、助剤及び噴射剤を実施例1と同量を用いて実施例1に同様の方法で一液軟質発泡ポリウレタンエアゾール組成物を含有するエアゾール製品を調製した。ノズルから噴射して発泡硬化体を生成させたが、NCOインデックスが2.5では硬化発泡体が柔かすぎて収縮し、また、NCOインデックスが5では発泡硬化体が硬すぎて、本願発明の効果が得られなかった。
【0029】
実施例8
(合成したウレタンプレポリマーをエアゾール容器に充填する例)
水酸基数3、分子量1000のポリエーテルポリオール〔商品名:アクトコールMN−1000(水酸基価:160mgKOH/g)、三井化学ポリウレタン(株)社製〕100重量部と水酸基数2、分子量2000のポリエーテルポリオール〔商品名:アクトコールDiol2000(水酸基価:56mgKOH/g)、三井化学ポリウレタン(株)社製〕4重量部に、ピュアージフェニルメタンジイソシアナート〔商品名:コスモネートLL(NCO%:29.5%)、三井化学ポリウレタン(株)社製〕130.8重量部、難燃剤としてトリス(β−クロロエチル)フォスフェ−ト(TCPP)65重量部、及び整泡剤としてシロキサンオキシアルキレンコポリマー3重量部を混合し、70℃で1時間反応させた。粘度が約20,000cps(25℃)である淡黄色のウレタンプレポリマーを調製した。このウレタンプレポリマーに触媒としてテトラメチルへキサンジアミン2重量部を加え合計305重量部のレジン原液を調製した。
この原液164重量部を耐圧容器に充填し、続いて噴射剤A46重量部の順に充填し密封したエアゾール製品を調製した。
調製したエアゾール製品の一液軟式発泡ポリウレタンエアゾール組成物をノズルから噴射して発泡硬化体を生成させ、発泡硬化体の諸物性を測定した。その結果、タックフリータイム、フォーム密度、25%CLD、伸び、引張強度及び熱伝導率と実施例1の発泡硬化体と略同じ、良好な物性を有し、弾性体のフォームの状態は良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の一液軟質発泡ポリウレタンエアゾール組成物は、従来の一液発泡ポリウレタンエアゾール組成物に比べ、接着性、気密性、柔軟性、伸び等に優れ、住宅建造物の断熱、気密性等に効果を示し、産業上極めて有効である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタンプレポリマー(A)、噴射剤(B)を含有する一液発泡ポリウレタンエアゾール組成物であって、ウレタンプレポリマー(A)が、官能基数2〜3、分子量1,000〜10,000のポリエーテルポリオール(a−1)とピュアMDI(a−2)とをNCOインデックス3〜4.5で反応させて得られたウレタンプレポリマーであることを特徴とする一液軟質発泡ポリウレタンエアゾール組成物。
【請求項2】
請求項1記載の一液軟質発泡ポリウレタンエアゾール組成物中に含有されるウレタンプレポリマー(A)と噴射剤(B)とが、ウレタンプレポリマー(A)40〜99重量部と噴射剤(B)1〜60重量部との合計100重量部である請求項1記載の一液軟質発泡ポリウレタンエアゾール組成物。

【公開番号】特開2009−256435(P2009−256435A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−105682(P2008−105682)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【出願人】(000175021)三井化学産資株式会社 (47)
【Fターム(参考)】