一般化した誤差分布を用いる位置推定方法
加重最小二乗最適化を組み込んだ無線位置検出システムの結果を改良する方法は、最大事後(MAP)確率メトリックを用いて、特定の測位問題(例えば、UTDOA)の特性を組み込むことによって、加重最小二乗法を一般化する。加重最小二乗法は、通例、TDOA、ならびにTDOA/AOAおよびTDOA/GPS混成システムを含む、関連のある位置検出システムによって用いられる。組み込まれる特性には、TDOA誤差についての経験的情報、および他のネットワーク・エレメントに対する移動体の位置の確率分布が含まれる。TDOA誤差分布および事前移動体位置をモデリングする技法を提供する。この新しい確率分布モデルを用いて、MAP判断メトリックを計算する方法を提供する。フィールド・データを用いる検査は、この方法が既存の加重最小二乗法に対してかなりの改良をもたらすことを示す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互引用
[0001] 本願は、2008年12月30日に出願された米国特許出願第12/346,146号の優先権を主張する。この特許出願をここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。
技術分野
[0002] 本願は、一般的には、ワイヤレス位置検出の分野、即ち、ワイヤレス・デバイスの位置を推定するシステムおよび方法に関し、更に特定すれば、一般化した誤差分布を用いる方法に関する。
【従来技術】
【0002】
[0003] 連邦通信委員会がPSAP−レベル位置検出精度命令に踏み出したため、異なる位置検出技術の方法を改良することが必要となった。本明細書において記載する主題は、通信および位置検出技術の分野に関する。これは、汎地球測位システム(GPS)、アップリンク到達時間差(UTDOA)、および 高度前進リンク三角測量(AFLT)というような位置検出技術の精度を高める手段を提供する。
【0003】
[0004] 位置推定の一般的な手法の1つは、時間差、疑似距離、または電力レベルというような測定量から、加重最小二乗解を求めることである。加重最小二乗解は、入力誤差が独立しておりそして正規分布(Gaussian)(J. CafferyのWireless Location in CDMA Cellular Radio System”(CDMAセルラ無線システムにおけるワイヤレス位置検出), Boston-London: Kluwer Academic Publishers, 2000を参照のこと)であるときに最大尤度(ML)に達することが知られている。しかし、実際に遭遇するより一般的な条件の下では、これを行うことができない。例えば、TDOA誤差は、予測したマルチパス遅延プロファイル(multipath delay profile)の前端に対して正となる傾向がある。以下で説明するように、完全でない先端の検出、および非見通し線(NLOS:non-line-of-sight)伝搬というような、様々な要因がこれら正の誤差に寄与する。その結果、基準線毎(per-baseline)の誤差分布にスキューが生じる。このスキューが、基本的な加重最小二乗法の精度を低下させる。対照的に、本明細書において記載する方法は、このスキューの知識を利用して改良した結果を得る。更に、多くの場合これらの誤差間における相関は求めることができる。例えば、同じセクタにおいて別々のマルチパス成分を受信することができ、1つのサイトにNLOS条件が存在することもあり、そして基準信号によって共通誤差が混入されることもあり得る。これらの相関は、以下で説明するように、最大事後確率(MAP:maximum a posteriori)アルゴリズムに組み込むことができる。また、このフレームワークは、位置検出解における事前移動体位置分布の推定値を組み込むために用いることもできる。
【0004】
[0005] UTDOAは、任意のタイプの移動局(MS)から送信された任意の信号を任意の基地局において受信してUTDOA測定値を求めることを可能にする、ネットワーク・ベース技術である。図1に示すように、規準基地局が、各協同基地局とほぼ同時に、受信信号を測定する。
【0005】
[0006] 図1は、測位のために移動体デバイスに利用可能な、または移動体デバイスから入手可能な信号の理想化したモデルを示し、本発明は、測位推定値(位置検出試行とも呼ばれる)の精度を高めるために用いることができる。また、この図は、ワイヤレス位置検出のためのシステム・コンポーネントも特定する。図1において、米国のNavstar汎地球測位システム(GPS)のようなグローバル・ナビゲーション衛星システム101(GNSS)が、鮮明な符号分割多元接続(CDMA)スペクトル拡散信号107をブロードキャストする。この信号は、緯度、経度、高度、および速度のTDOA位置推定のために、空間に配備された移動体和やレス・デバイス102によって用いられる。位置計算のための衛星信号107を受信するための移動体デバイス102が装備されていない場合、TDOAまたは到達時刻(TOA)計算を用いるアップリンクおよびダウンリンク地上ワイヤレス技法を用いて、位置推定値を求めることができる。ダウンリンク(ネットワーク・ベース送信機からデバイスへ)TDOAまたはTOA技法を用いる地上広域ワイヤレス位置検出技法には、高度前進リンク三角測量(FLT)[IS−95、IS−2000]、改良到達時間差(E−OTD)[GSM]および観測到達時間差(OTDOA)[UMTS]、ならびに分散ビーコン技法が含まれる。地上ダウンリンク技法は、移動体デバイス102がネットワーク・ベース送信機103、104からのダウンリンク無線信号108を測定し、次いで無線リンク(1つまたは複数)109、バックホール設備113、およびワイヤレス通信ネットワーク110を用いて、緯度、経度、そして場合によっては高度に変換するために、収集無線測定値を位置判定エンティティ(PDE)106に伝えることを必要とする。
【0006】
[0007] アップリンク(デバイスからネットワーク・ベース受信機)TDOAまたはTOA技法を用いる地上広域ワイヤレス位置検出技法には、U−TDOA、U−TDOA/到達角度(AoA)混成、およびU−TDOA/補助GPSが含まれる。U−TDOAおよび混成は、現在CDMA[IS−95、IS−2000]、GSM、UMTS、WiMAX(802.16e/mおよび802.20)において機能しており、来るべき長期発展(LTE:Long-Term-Evolution)OFDMベース・ワイヤレス無線アクセス・ネットワーク(RAN)のために概念的に機能する。地上アップリンク技法は、移動体デバイス102の送信109を、ネットワーク・ベース受信機(この場合、セル・サイト103、104内に一緒に配置されている)が測定することを必要とする。次いで、測定データはバックホール111によって、緯度、経度、速度、そして場合によっては高度に変換するために、位置判定エンティティ(PDE)106に伝えられる。前述のワイヤレス位置検出技法とは関係なく、無線信号飛行時間(time-of-flight)の判定は、デバイス102の実際の位置の精度高い判定に対する鍵となる。図1では、加算的または減算的干渉による信号反射、回折、および減衰の実世界における影響は、示されていない。
【0007】
[0008] 図1のシステムでは、基準基地局における受信信号を、協同基地局における受信信号と相関付けることによって、到達時間差が判定される。協同局は、それらのTDOA測定値を位置判定エンティティ(PDE)に送り、この位置判定エンティティにおいて、位置検出解が求められる。しかしながら、加法性ノイズおよび信号レベル変動によって、測定値に対する減損が生ずる可能性がある。これらの減損は、協同基地局において移動体信号の存在を検出する感度に影響を及ぼす可能性がある。推定に対する他の障害も、協同局見通し線(LOS)経路遅延を検出する能力に影響を及ぼす。
【0008】
[0009] 図2a、図2b、図2c、および図2dは、建造物のような物体がどのように直接経路を遮断して、アップリンク、ダウンリンク、GNSS、および混成GNSS/アップリンク・システム(GNSSは、グローバル・ナビゲーション衛星システムを表す)を含む異なる位置検出環境において、非見通し線障害が生ずるかについて示す。建造物周囲を通過する回折経路が、非常に減衰されたまたは完全に遮断された直接経路よりも遅れて、受信機に到達する。加えて、障害物からの反射も散乱を発生する可能性があり、この散乱が異なる経路の到達時間の分散を生ずる。図2aには、アップリンク・ワイヤレス位置検出システムの一例が図示されている。移動体デバイス102が信号109を送信する。場合によっては、基準受信機203に対するように、無線信号が直接受信されることもある(見通し線、即ち、LOSの場合)。しかし、他の受信機104は回折信号202または反射信号203を受信するかもしれない。各場合において、元のアップリンク信号109も受信されるかもしれず、あるいは障害物201によって遮断、減衰、または遅延された元の信号を有するかもしれない。
【0009】
[0010] 図3は、最初の到達の検出を困難にし、TDOA誤差のスキューの原因となる障害を示す。図3における参照番号は、次のように用いられている。
【0010】
303=送信時刻
304=検出しきい値
305=見通し線(LOS)飛行時間
306=遅れ時間
307=報告されるTOAまたはTDOAの基準
308=遅延拡散
309=失われた信号成分
[0011] 図3は、振幅302対時間301のプロット300における、マルチ・パス劣化信号の到達時刻を示す。時点303において信号が送信され、この信号は305として示す潜在的な直接経路見通し線を有する。最も早い信号成分の到達は検出されない。何故なら、これらは検出しきい値304未満のレベルで到達するからである。検出しきい値304は、過剰な偽警報を回避するように維持しなければならない。最も早い到達の検出イベントを逸したことにより、報告されるTOAまたはTDOAが、望まれるLOS TOAまたはTDOAよりも大きくなる。この例では、しきい値307よりも大きな最初の信号は、本当の最初に到達した信号成分から306の遅延を生ずる。加えて、最も早く到達するマルチパス成分が、NLOS遅延を生ずるNLOS伝搬のために、予期したよりも遅く到達する可能性がある。これによっても、報告されるTDOAがLOS TODAよりも大きくなる。これらの要因は、TDOA測定値と、測位アルゴリズムによってサーチまたは計算されるLOS TDOAとの間における誤差にスキューが生じる。本明細書において記載する本発明の解決策における測位判断は、これらの要因によって生ずる誤差のスキュー、および誤差分布の非正規分布形状の双方を利用する。
【0011】
[0012]”Bayesian-update based location prediction method for CDMA Systems”(CDMAシステムのためのベイズ更新に基づく位置予測方法)と題するK. Chang et al.,の2003年5月13日付け米国特許第6,564,065号に記載されている方法は、シミュレーションを用いた事後電力分布から下した位置判断によって、CMDAパイロット・チャネル測定値から電力レベルを予測するように思われる。”Method of precise position determination”(正確な位置判定方法)と題するE. Freiの1993年10月12日付けの米国特許第5,252,982号に記載されている方法は、事後RMA誤差を用いるGPS位置検出解に対する位相の曖昧さを反復的に求める加重最小二乗法を用いて、ガウス誤差を憶測するように思われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
[0013] 加重最小二乗最適化を組み込んだ無線位置検出システムの結果を改良する方法は、最大事後(MAP)確率メトリックを用いて、特定の測位問題(例えば、UTDOA)の特性を組み込むことによって、加重最小二乗法を一般化する。先に論じたように、WLS方法は、通例、TDOA、ならびにTDOA/AOAおよびTDOA/GPS混成システムを含む、関連のある位置検出システムによって用いられる。組み込まれる特性には、TDOA誤差についての経験的情報、および他のネットワーク・エレメントに対する移動体の位置の確率分布が含まれる。TDOA誤差分布および事前移動体位置をモデリングする技法を提供する。この新しい確率分布モデルを用いて、MAP判断メトリックを計算する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
[0014] 例示的な実施形態は、誤差検出方法を提供する。この方法は、フィールド・データを得るステップであって、前記フィールド・データが、前記信号相関モデルにおいて用いる基準線または位置依存値を有する、ステップと、(1)信号相関モデルおよび関連する測定パラメータ、(2)相関マトリクス規則、ならびに(3)事前位置のモデルを得るために、前記フィールド・データを分析するステップと、前記測定の推定した可変性に基づいて、測定値に対する重みを計算するステップと、共分散マトリクスを発生するために、前記相関マトリクス規則と共に前記重みを用い、逆共分散マトリクスを計算するステップと、最大の事後(MAP)メトリックを有する位置を発見するために、地理的領域にわたって反復サーチを行うステップと、停止条件に達したと判定するステップと、最大のMAPメトリックを有する地理的位置を位置解として報告するステップとを備えている。
【0014】
[0015] 本明細書において記載する方法は、以下の様々な主要な改革を含むが、必ずしもこれらに限定される訳ではない。
【0015】
[0016] 分析事前分布(Analytical a priori distribution):実際の位置を与える経験的データを用いて、基準タワーからの正規化した距離の位置検出解に対する分布を求めて、サーチエリアにおけるタワーに対する事前位置の全体的な形状をモデル化する。事前位置分布の形状を近似する指数分布が示され、その分散が、経験的データから計算される。
【0016】
[0017] 分析TDOA誤差分布:二重指数分布モデルを一般化して、指数にスキューおよび任意の累乗(power)を組み込む。経験的データから、モデル・パラメータを推定する。
【0017】
[0018] マルチパス/NLOS誤差指標:TDOA誤差分布の主要な指標には、基準線の数、予測されたマルチパス補正(観察された信号パラメータおよび/またはローカルRF環境の知識に基づいて)、および各基準線のTDOA相関が含まれる。経験的データを分析し、条件付き誤差分布を発生することによって、これらの指標からモデル・パラメータを求める方法を提供する。基準線毎に、スキューのようなモデル/パラメータをこれらの指標から計算する。
【0018】
[0019] TDOA誤差相関:前述の分析TDOA誤差分布を有する基準線間において相関付けした誤差に対する事後確率を計算する方法を提供する。これらの相関は、対応する合同誤差確率分布(joint error probability distribution)によって、MAPアルゴリズムに組み込まれる。
【0019】
[0020] 共通バイアス軽減方法:更に一般的な分布を用いると、測定値に存在する可能性がある共通バイアスに対する分析解を求めるのが難しくなる。バイアスの除去方法を、種々の複雑さ−性能トレードオフと共に提供する。
【0020】
[0021] 反復調節:以上の方法を応用する反復手順を制作する。この手順は、初期化動作と、残余値の推定を含む。
【0021】
[0022] 本発明の技術の他の特徴について、以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
[0023] 添付図面は以下を含む。
【図1】図1は、測位ネットワークの図である。
【図2a】図2aは、LOS経路遅延推定に対する障害を示す。
【図2b】図2bは、LOS経路遅延推定に対する障害を示す。
【図2c】図2cは、LOS経路遅延推定に対する障害を示す。
【図2d】図2dは、LOS経路遅延推定に対する障害を示す。
【図3】図3は、測定誤差スキューの原因の図。
【図4a】図4aは、MAP誤差分布方法の成分である。
【図4b】図4bは、MAP誤差分布方法の成分である。
【図5】図5は、誤差分布モデリング・プロセス。
【図6】図6は、事前分布データ分析の論理フロー。
【図7】図7は、事前位置分散と経験的モデルとの比較である。
【図8】図8は、条件付き誤差分布データ分析である。
【図9】図9は、誤差分布対加重最小二乗法の総体的サンプル(sample overall)を示す。
【図10】図10は、サンプル全体誤差分布対新しい粗いモデルを示す。
【図11】図11は、スキュー率の相関に対するサンプル依存性を示す。
【図12】図12は、サンプル全体条件付き誤差分布対新たなモデル(小さなスキュー)の関係を示す。
【図13】図13は、サンプル条件付き誤差分布対新たなモデル(大きなスキュー)の関係を示す。
【図14】図14は、MAP判断メトリック計算の論理フローである。
【図15】図15は、二重指数仮定(p=1、ξ=1)に対するバイアス計算である。
【図16】図16は、条件付き誤差計算である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[0040] 図4aおよび図4bは、MAP誤差検出方法の例示的な実施態様のコンポーネントを示す。図示のように、MAPプロセスはステップ401において開始する。フィールド・データ402を分析して(403)、1組の信号相関規則およびモデルを求める。これらのモデルおよび関連付けられた測定パラメータを、モデルにおいて用いられる基準線または位置(location)(または、場所(position)、ここで「位置」および「場所」という用語は本明細書では相互交換可能に用いられるものとする)依存値を有することができるフィールド・データから展開する(develop)。例えば、誤差のスキューは、低相関UTDOA測定値の方が大きいこともある。このため、表405を作成することができる。この表は、スキューに対するモデル・パラメータと測定に対する相関値との間のマッピングを規定する。同様に、事前位置についてモデルおよび表を計算する(406)。また、フィールド・データ分析プロセスが、位置検出受信機(location receiver)(例えば、位置測定ユニット(LMU)または信号収集システム(SCS))を外部アンテナにリンクする異なる受信機ポート間の相関を分析し、それらの用途に合わせて相関値および規則を与える。例えば、NLOS効果のために、同じ位置(共通サイト・ポート)にあるポートにおいて、誤差の小さな相関がある場合がある。一旦フィールド・データを分析したなら、推定した測定の可変性に基づいて、測定値に対して重みを計算する。次いで、このこれらの重みを相関マトリクス規則と共に用いて、ポート毎の共分散を発生し、409において反転させる。
【0024】
[0041] 図4bに示すように、次に、地理的領域にわたって反復サーチを実行する。その目的は、MAPメトリックが最も大きい位置を発見することである。一旦反復サーチを開始したなら(411)、分解能ループ(resolution loop)に入る(412)。このループにおいて、反復毎に地理的サーチ空間分解能を低下させて、内挿補間によって新たな検査地点を発生する。このサーチは、実行前に、前の反復の最小誤差地点を中心に置き直すことができる。現在の地理的領域における検査地点毎に、MAPメトリックを計算し(415)、メトリックが最も小さい地点を選択することによって、現在の地理的領域をサーチする(414)。MAPメトリックの計算には、共分散マトリクス404、誤差モデル、および測定パラメータ表405を用いる。サーチ空間内に未だ他にも検査地点が存在する場合、処理ロジック417は414に戻ってサーチを再開する。現在の分解能によって与えられる現在のサーチ空間の中に検査していない検査地点がない場合、MAPプロセスは、予め設定されている分解能限度集合(resolution limit set)をチェックする(418)。未だ最も高い分解能に達していない場合、プロセスはステップ412に戻る。それ以外の場合、MAPプロセスは、1つ以上の停止規準に到達したか否かチェックする(419)。停止規準を満たす場合、MAPプロセスは終了し(420)、メトリックが最も大きい地理的位置が位置検出解を与える。
【0025】
[0042] 本発明の解決策の目的は、誤差の事後確率をモデル化し、この確率を最大にする位置検出解を求めることである。ベイズの定理から(A. Papoulis, Probability Random Variables, and Stochastic Processes(確率ランダム変数、および確率的プロセス)、 MacGraw Hill Inc., New York, NY, 1984を参照のこと)、ランダム位置ベクトルLの条件付き確率密度関数は、N個の測定誤差eに関して、以下のように与えられる。
【0026】
【数1】
【0027】
ここで、
【0028】
【数2】
【0029】
は、ランダム位置ベクトル、
【0030】
【数3】
【0031】
は、TODA誤差+共通バイアス、
そして、
τi(x、y、z)は、i番目の基準線に対する、地点x、y、zにおけるLOS TDOAである。
【0032】
【数4】
【0033】
は、i番目のTDOA基準線測定値、
Bは、測定値の中に存在し得る共通バイアスである。
【0034】
[0043] 計算を簡略化するために、(1)の対数を最大にすることができる。何故なら、(1)を最大にする位置は、(1)の対数を最大にする位置でもあるからである。(1)の自然対数は、
【0035】
【数5】
【0036】
となる。
【0037】
[0044] 最後の項は位置には依存しないので、異なる位置を考慮するときには、これは一定となるため、無視することができる。この結果、全ての位置において最大化すべき以下の関数が残る。
【0038】
【数6】
【0039】
[0045] 最初の項は、事後誤差確率密度の対数であり、2番目の項は事前確率密度の対数である。
誤差分布モデリング・プロセス
[0046] 誤差分布モデリング・プロセスを図5に示す。最初に、フィールド・データ402を分析して、種々の基準線および位置特定測定パラメータの事前位置分布および誤差分布に対する影響を判定する。次に、異なる基準線に対する誤差間の相関を分析して、相関値、およびこれらの相関を得るための規則を決定する。誤差分布全体に当てはまる(fit)誤差分布の粗いモデルを求める(504)。フィールド・データの事前分布に基づいて、事前分布のモデルを求める。次に、種々の位置特定および基準線特定測定パラメータに基づいて、修正可能にするために、誤差分布モデルをリファインする。最後に、相関値、およびこれらの値を適用するための関連規則に基づいて、相関マトリクスを発生する。
事前分布
[0047] 適した事前分布を求めるロジックを図6に示す。位置サーチエリアは、位置特定データによっては、非常に異なる寸法を有する可能性があり、位置検出の問題も非常に異なるネットワーク構成を有することがあるので、サーチエリア内にある実際の位置の関数であるモデル・パラメータの分布を求めることが望ましい。サーチエリア内にある位置は、事前位置である。式(5)において用いるための事前位置確率を決定するために計算し用いることができる事前位置の関数であるモデル・パラメータを求めることが望ましい。最初に、フィールド・データを分析して、候補パラメータを決定する。例えば、基準タワーからの距離についての統計が、事前位置を表すことがある。あるいは、サービング・タワーからの距離を考慮してもよい。これらの距離を最大サーチ範囲に正規化するとよい。パラメータ毎に、範囲およびビン・サイズを選択しなければならず、フィールド・データにおける実際の(真の)位置に基づいて更新された事前分布を表すヒストグラムも選択しなければならない。パラメータ計算と共に、各潜在的分布を事前パラメータ・データベースに格納する。
【0040】
[0048] 一旦潜在的事前分布を種々のモデル・パラメータについて計算したなら、図5に示したようにモデルを選択する。このモデルは、フィールド・エリアからの分布を表し、そして計算上効率的であるように、モデルを選択する。基準タワーからサーチ領域のエッジまでの最大距離に正規化された、基準タワーから候補位置の距離となるように、モデル・パラメータ例を選択する。これによって、以下のような、三次元ランダム・ベクトルLから、基準タワーからの正規化ランダム距離Dへの変換が得られる。
【0041】
【数7】
【0042】
ここで、
xref、yref、zrefは、基準タワーの位置座標である。
【0043】
Rmaxは、基準タワーからサーチ領域のエッジまでの最大距離である。
【0044】
以下のように、指数となるようにモデル例を選択する。
【0045】
【数8】
【0046】
ここで、λa=11が、フィールド・データに当てはまるように選択された。図7では、このモデルを、正確な一致を示すフィールド・データと比較する。
誤差分布
[0049] また、誤差分布のモデルを得るためにも、フィールド・データを分析する。図8は、事前データ分析におけると同様の一連のステップを示す。この図では、測定パラメータを分析して、誤差分布においてどのパラメータが大きな変化の原因となるのか判定する。測定パラメータの例には、次のものが含まれる。
【0047】
基準線毎のUTDOA相関、
基準線毎のマルチパス相関係数、
位置毎の測定数。
【0048】
[0050] 条件付き統計および全体的統計を蓄積するために、これらのパラメータの範囲およびビン・サイズを決定する。
【0049】
[0051] 誤差分布全体のサンプルが、図9に示されており、加重最小二乗法によって想定される正規分布(Gaussian distribution)と比較される。この図から、ガウス仮定は分布全体の形状を適正にモデル化していないことは明白である。分布全体の右へのスキューは明白である。
【0050】
[0052] この分布全体は、図5に示したような粗い誤差モデルへの入力を与える。i番目の限界誤差(marginal error)の誤差モデル例を、次のようになるように決定する。
【0051】
【数9】
【0052】
ここで、
piは、0よりも大きい任意の指数型ベキ(exponential power)であるモデル・パラメータである。
【0053】
riは、分布のスキューを示す正の比率であるモデル・パラメータである。
【0054】
σiは、i番目の基準線に対する標準偏差である。
【0055】
[0053] kおよびAの値は、所与のriおよびpiについて以下の条件、
【0056】
【数10】
【0057】
を満足するように選択される。正規分布では、ri=1、pi=2、そしてk=1/2となる。二重指数分布またはラプラス分布では、ri=1、pi=1、そしてk=√2となる。
【0058】
[0054] 粗いモデリング・ステップでは、フィールド・データと一致する式(8)におけるモデル・パラメータの値を計算する。図10は、pi=1.1およびri=1.1として、粗いモデルを適用する効果を示す。この図は、図9に示したガウス仮定よりも、遙かに正確にフィールド・データと一致することを示す。
【0059】
[0055] 図5における「細かい誤差モデル決定」ブロック506への入力として、条件付き誤差分布が用いられる。条件付き誤差に対して、測定パラメータ・ビン毎に、誤差の平均および標準偏差に基づいて、スキュー率を計算する。ビンの中心は、誤差分布の条件付き値となる。
【0060】
[0056] 以下のようにして、条件付き分布の平均および標準偏差に関するスキューを求めることができる。条件付き誤差分布を二重指数として近似する場合、指数におけるスケーリング係数は、
【0061】
【数11】
【0062】
となる。ここで、σは条件付き分布の標準偏差である。
【0063】
[0057] riを推定するために、2つの別のスケーリングした指数分布を考慮し、これらの1つを0を中心として折り返す(flip)。分布の双方の成分をスケーリングして、1/2まで積分する。その結果、条件付き分布の平均mを、スケーリング係数について、次のように置くことができる。
【0064】
【数12】
【0065】
ここで、λLおよびλRは、それぞれ、0の左側および右側における別の指数分布成分の指数におけるスケーリング係数である。尚、スキューの全てはλに対するλRの変化によるものであると仮定すると、λL≒λという仮定が可能になる。λRについて式(10)を解き、λL≒λとして(9)を用いると、次の式が得られる。
【0066】
【数13】
【0067】
[0058] 次に、(9)および(11)からスキュー率は次のようになる。
【0068】
【数14】
【0069】
[0059] 次に、条件付き誤差分布からのσおよびmの値を用いて、式(12)を用いてriを計算することができる。
【0070】
[0060] UTDOA相関の関数としてのスキュー率の一例を図11に示す。条件付き分散毎に、式(12)において平均mおよび標準偏差σを用いて、riを計算する。図では、相関が低い場合には、スキューが増大することが明白である。サンプル数およびビン・サイズの関数である可変性を平均化するために表の参照の代わりに用いることができる線型データ当てはめを示す。「細かい誤差モデル決定」ブロック506(図5)の結果、UTDOA相関のような測定パラメータ値の、スキューのようなモデル・パラメータへのマッピングが得られる。(8)におけるモデル・パラメータpiに対する同様の調節も、種々の測定パラメータ値の関数として行うことができる。
【0071】
[0061] 細かいモデル調節の結果例を図12に示す。ここでは、相関が高い方に小さなスキューがある。図13は、相関が低い方に大きなスキューがある例を示す。これらの図は、誤差分布モデルにおいて、図10に対して更なる改良が達成されることを示す。
相関マトリクス
[0062] また、図5に示したような異なるポートについて誤差間に存在する相関を分析するためにも、フィールド・データが用いられる。誤差間の相関は、種々の規則または条件に基づいて計算される。2つのポート間における相関を計算する規則例には、次のことが含まれる。
【0072】
同じセクタにあるポート間に固定相関を適用する。
【0073】
同じサイトにあるポート間に固定相関を適用する。
【0074】
協同ポートと基準ポートとの間に固定相関を適用する。
【0075】
[0063] 規則毎に、フィールド・データ統計から、誤差に対する正規化相関値または相関係数を計算する(A. Papoulis, Probability Random Variables, and Stochastic Processes(確率ランダム変数、および確率的プロセス)、 MacGraw Hill Inc., New York, NY, 1984を参照のこと)。相関値および規則は、「共分散マトリクス入力および反転実行」ブロック409(図4a)に入力を与える。相関マトリクス発生江ブロックでは、相関値のポート毎のマトリクスを計算する。複数の規則が1対のポートに適用される場合、このマトリクスでは最も大きな相関値が用いられる。
加重および分散の計算
[0064] 各基準線に対する加重は、クラメール・ラオ境界(R. MacDonough, A. Whalen, Detection of Signals in Noise, 2nd Ed., Academic Press, San Diego, CA, 1995を参照のこと)からのRMS誤差に基づく。AWGN(加法的ホワイト・ガウス・ノイズ)におけるTDOA RMS誤差の下限は、次のようになる。
【0076】
【数15】
【0077】
ここで、Wは信号帯域幅、Tはコヒーレント積分長、そしてρiはi番目の基準線の相関である。AWGNにおける平均誤差は0に近いので、誤差の標準偏差はほぼRMS誤差となる。重みは、RMS誤差の二乗に対して1であり、以下のような理論的加重が与えられる。
【0078】
【数16】
【0079】
[0065] これらの加重動作例は、図4に示したような「重み計算」ブロック407におけるフィールド・データ分析後に行われる。RMS誤差を更に増大させるマルチパスのような劣化を考慮する他の効果を含めてもよい。
共分散マトリクスの計算
[0066] 合同誤差密度を用いて判定を下すために、共分散マトリクスが必要になることがある。共分散マトリクスCは、以下のように計算される、i番目のポートとj番目のポートとの間における共分散のポート毎のマトリクスである。
【0080】
【数17】
【0081】
ここで、βijは、相関マトリクスからのi番目のポートとj番目のポートとの間における相関係数である。
【0082】
[0067] あるいは、ポート間における相関レベルが小さすぎると見なされる場合には、計算効率のために、このステップを迂回してもよい。判断基準の一例は、βijの少なくとも1つが相関しきい値を超過する場合に、共分散マトリクスを用いることである。このしきい値を超過しない場合、独立誤差分析を用いるために、フラグをセットする。
MAP判断メトリック計算
[0068] 合同誤差密度を用いたMAP判断計算は、相関付けられたUTDOA誤差に対して更なる一般化を用いる。合同ガウス誤差から開始して、事後確率は次のようになる。
【0083】
【数18】
【0084】
ここで、Gは一定である。個々のUTDOA誤差に関して、
【0085】
【数19】
【0086】
ここで、dijはC-1のエレメントである。限界誤差確率密度についての式(8)におけるモデルを想定すると、合同密度に対して以下の一般化が式(17)に行われる。
【0087】
【数20】
【0088】
ここで、
【0089】
【数21】
【0090】
【数22】
【0091】
そして、
【0092】
【数23】
【0093】
(18)および(7)の自然対数を(5)に代入すると、次の式が得られる。
【0094】
【数24】
【0095】
[0069] 目的は(22)を最大にするx、y、zおよびBを求めることであるので、x、y、zおよびBに依存しない項を無視することができ、次の式が得られる。
【0096】
【数25】
【0097】
[0070] 計算効率のために、式(23)を−kで除算してもよく、
【0098】
【数26】
【0099】
を最大にするx、y、zは、以下のように求められる。
【0100】
【数27】
【0101】
[0071] 次いで、最小にする判断メトリックは、
【0102】
【数28】
【0103】
となる。
【0104】
[0072] 基準線間に低い(〜0)相互相関がある位置では、共分散マトリクスは対角線状となる。UTDOA誤差間に独立を仮定すると、(25)を次のように簡略化することができる。
【0105】
【数29】
【0106】
[0073] 基準線毎に予め計算されている重みに関して、メトリックは、
【0107】
【数30】
【0108】
となる。
【0109】
[0074] 図14は、各x、y、z値におけるMAP判断メトリック計算の論理フローを示す。考慮するx、y、zについて、誤差サンプルを計算する(1401)。一般に、Mを最小にする式(27)における共通バイアス「B」についての分析解は、計算するのが難しい。したがって、計算するのが比較的容易な2つのサンプル点におけるバイアス(pi=1、ri=1、およびpi=2、ri=1)を発見し、組み合わせて近似値を得る。誤差に対してガウス統計を仮定して、最小バイアスを計算し(1402)、次いで、二重指数統計を仮定した計算を行う(1403)。次に、2つのバイアス点を組み合わせることによって、用いるべきバイアスを求める(1404)。この組み合わせえは、単にガウス指数バイアスおよび二重指数バイアスの平均を取ることによって行うことができる。あるいは、任意のpiおよびriに対するバイアスを、複雑さを犠牲にして、可能な全てのバイアスにわたるサーチによって発見することもできる。これを行う場合、2つのバイアス・サンプルの平均を、サーチの開始点として用いる。あるいは、オフラインでサーチを行い、2つのバイアス・サンプルに対するバイアス結果と比較することもできる。この場合、オフライン分析を犠牲にして、2つのバイアス点からの平均百分率偏差を、組み合わせにおいて用いることもできる。サンプル・バイアスを組み合わせた後、この組み合わせバイアス1405、共分散マトリクス1407、ならびにフィールド・データから既に展開されている誤差モデルおよびパラメータ表を用いて、条件付き誤差寄与を判定する(1405)。次に、計算した条件付き誤差寄与1405、および事前位置について既に展開されているモデル1409を用いて、MAPメトリックに対する事前寄与を求める(1406)。種々の地理的マップ分解能および反復によるx、y、zに対する図14におけるメトリック計算の最小値が、図4に示したように、最終解を与える。
ガウス・バイアス
[0075] (27)においてpi=2およびri=1と設定することによって、ガウス・バイアスを求める。尚、ri=1について、
【0110】
【数31】
【0111】
が、
【0112】
【数32】
【0113】
を与えることに注意すること。
ここで、Nは基準線の数であり、
【0114】
【数33】
【0115】
はバイアス無し誤差(unbiased error)である。
【0116】
[0076] Bに対する(28)の導関数を0に設定し、Bについて解くことによって、バイアスに対する最小解を求めると、次の式が得られる。
【0117】
【数34】
【0118】
式(29)は、誤差分布が正規分布であるときのバイアスを与える。
指数バイアス
[0077] 指数バイアスは、(27)においてpi=1およびri=1に設定することによって求められ、次の式が得られる。
【0119】
【数35】
【0120】
[0078] 再度、Bに対する(28)の導関数を0に等しく設定し、Bについて解くことによって、バイアスに対する最小解を求める。Bに対する各項の導関数は、次の通りである。
【0121】
【数36】
【0122】
ここでU(x)は、ユニット・ステップ関数である(A. Oppenhem and A. Willsky, Signals and Systems(信号およびシステム), Prentice-Hall, Inc., Englewood Cliffs, NJ, 1983を参照のこと)。和の導関数を0に設定すると、次の式が得られる。
【0123】
【数37】
【0124】
[0079] Bの関数としての(32)における各項は、値Δτiに達するまでは−√Wiとなり、次いでBgaΔτiよりも大きくなると、1ステップで√Wiになる。これらの不連続のために、Bには正確な解がない。しかしながら、近似解を与えるBの値を発見することができる。
【0125】
[0080] 図15における解は、増大するΔτiにしたがって(32)における加法を命令する(order)。次いで、(32)をできるだけ0に近づけるBの値を求める。これが生ずるのは、k番目のステップ遷移が発生して、負項の合計が正項の合計にほぼ等しくなるBの値のときである(即ち、
【0126】
【数38】
【0127】
ここで、Nは命令された加算における基準線の総数である)。図では、重みおよびサンプル・アレイが入力され、並び替えられる。停止条件を与えるために、
【0128】
【数39】
【0129】
となるしきい値を計算する。最も小さい遷移点を有する項から最も大きな遷移点を有する項まで順番に、項を蓄積する。しきい値に達した時点で、奇数個の項がある場合、値Δτkが返され、それ以外の場合、k番目の項の遷移点と、前の項の遷移点との平均を取る。
メトリック計算
[0081] (27)における最初の項を、図16におけるステップにしたがって計算する。基準線毎に、UTDOA相関、基準線の数、およびマルチパス・パラメータというような測定パラメータを決定する。これらの測定パラメータは、参照表からまたはパラメータ当てはめモデルを用いた直接計算によって誤差モデル・パラメータpiおよびriを決定するために用いられる。スキューに応じて、誤差を調節する。最後に、誤差が有意な相関を有するときには(25)を用いて、また誤差が有意な相関を有していないときには(27)を用いて、メトリックにおける合計を計算する。相関の有意性は、図4における共分散マトリクス計算の一部として判定される。最後に、事前確率を考慮に入れるために、(6)を用いて、(27)および(25)における最後の項を計算する。
サンプル結果
[0082] 以下の表は、加重最小二乗アルゴリズムに対するサンプルの改良を示す。約46,000個の位置測定値を用いて、加重最小二乗アルゴリズムおよび上述のアルゴリズムを用いて、測位誤差の分布を編集した。上述のモデルのパラメータは、32,000箇所の別の訓練データ集合を用いて選択した。この表は、95番目および67番目の百分位数において、それぞれ、約20メートルおよび2メートルの改良を示す。平均誤差は、約15メートルだけ改善した。
【0130】
【表1】
【0131】
結論
[0083] 本発明、および以下の特許請求の範囲の保護範囲は、以上に記載した詳細には全く限定されない。ワイヤレス位置検出の当業者であれば、本明細書において開示した発明概念から逸脱することなく、例示的な実施形態に対して種々の変更を行うことができよう。
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互引用
[0001] 本願は、2008年12月30日に出願された米国特許出願第12/346,146号の優先権を主張する。この特許出願をここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。
技術分野
[0002] 本願は、一般的には、ワイヤレス位置検出の分野、即ち、ワイヤレス・デバイスの位置を推定するシステムおよび方法に関し、更に特定すれば、一般化した誤差分布を用いる方法に関する。
【従来技術】
【0002】
[0003] 連邦通信委員会がPSAP−レベル位置検出精度命令に踏み出したため、異なる位置検出技術の方法を改良することが必要となった。本明細書において記載する主題は、通信および位置検出技術の分野に関する。これは、汎地球測位システム(GPS)、アップリンク到達時間差(UTDOA)、および 高度前進リンク三角測量(AFLT)というような位置検出技術の精度を高める手段を提供する。
【0003】
[0004] 位置推定の一般的な手法の1つは、時間差、疑似距離、または電力レベルというような測定量から、加重最小二乗解を求めることである。加重最小二乗解は、入力誤差が独立しておりそして正規分布(Gaussian)(J. CafferyのWireless Location in CDMA Cellular Radio System”(CDMAセルラ無線システムにおけるワイヤレス位置検出), Boston-London: Kluwer Academic Publishers, 2000を参照のこと)であるときに最大尤度(ML)に達することが知られている。しかし、実際に遭遇するより一般的な条件の下では、これを行うことができない。例えば、TDOA誤差は、予測したマルチパス遅延プロファイル(multipath delay profile)の前端に対して正となる傾向がある。以下で説明するように、完全でない先端の検出、および非見通し線(NLOS:non-line-of-sight)伝搬というような、様々な要因がこれら正の誤差に寄与する。その結果、基準線毎(per-baseline)の誤差分布にスキューが生じる。このスキューが、基本的な加重最小二乗法の精度を低下させる。対照的に、本明細書において記載する方法は、このスキューの知識を利用して改良した結果を得る。更に、多くの場合これらの誤差間における相関は求めることができる。例えば、同じセクタにおいて別々のマルチパス成分を受信することができ、1つのサイトにNLOS条件が存在することもあり、そして基準信号によって共通誤差が混入されることもあり得る。これらの相関は、以下で説明するように、最大事後確率(MAP:maximum a posteriori)アルゴリズムに組み込むことができる。また、このフレームワークは、位置検出解における事前移動体位置分布の推定値を組み込むために用いることもできる。
【0004】
[0005] UTDOAは、任意のタイプの移動局(MS)から送信された任意の信号を任意の基地局において受信してUTDOA測定値を求めることを可能にする、ネットワーク・ベース技術である。図1に示すように、規準基地局が、各協同基地局とほぼ同時に、受信信号を測定する。
【0005】
[0006] 図1は、測位のために移動体デバイスに利用可能な、または移動体デバイスから入手可能な信号の理想化したモデルを示し、本発明は、測位推定値(位置検出試行とも呼ばれる)の精度を高めるために用いることができる。また、この図は、ワイヤレス位置検出のためのシステム・コンポーネントも特定する。図1において、米国のNavstar汎地球測位システム(GPS)のようなグローバル・ナビゲーション衛星システム101(GNSS)が、鮮明な符号分割多元接続(CDMA)スペクトル拡散信号107をブロードキャストする。この信号は、緯度、経度、高度、および速度のTDOA位置推定のために、空間に配備された移動体和やレス・デバイス102によって用いられる。位置計算のための衛星信号107を受信するための移動体デバイス102が装備されていない場合、TDOAまたは到達時刻(TOA)計算を用いるアップリンクおよびダウンリンク地上ワイヤレス技法を用いて、位置推定値を求めることができる。ダウンリンク(ネットワーク・ベース送信機からデバイスへ)TDOAまたはTOA技法を用いる地上広域ワイヤレス位置検出技法には、高度前進リンク三角測量(FLT)[IS−95、IS−2000]、改良到達時間差(E−OTD)[GSM]および観測到達時間差(OTDOA)[UMTS]、ならびに分散ビーコン技法が含まれる。地上ダウンリンク技法は、移動体デバイス102がネットワーク・ベース送信機103、104からのダウンリンク無線信号108を測定し、次いで無線リンク(1つまたは複数)109、バックホール設備113、およびワイヤレス通信ネットワーク110を用いて、緯度、経度、そして場合によっては高度に変換するために、収集無線測定値を位置判定エンティティ(PDE)106に伝えることを必要とする。
【0006】
[0007] アップリンク(デバイスからネットワーク・ベース受信機)TDOAまたはTOA技法を用いる地上広域ワイヤレス位置検出技法には、U−TDOA、U−TDOA/到達角度(AoA)混成、およびU−TDOA/補助GPSが含まれる。U−TDOAおよび混成は、現在CDMA[IS−95、IS−2000]、GSM、UMTS、WiMAX(802.16e/mおよび802.20)において機能しており、来るべき長期発展(LTE:Long-Term-Evolution)OFDMベース・ワイヤレス無線アクセス・ネットワーク(RAN)のために概念的に機能する。地上アップリンク技法は、移動体デバイス102の送信109を、ネットワーク・ベース受信機(この場合、セル・サイト103、104内に一緒に配置されている)が測定することを必要とする。次いで、測定データはバックホール111によって、緯度、経度、速度、そして場合によっては高度に変換するために、位置判定エンティティ(PDE)106に伝えられる。前述のワイヤレス位置検出技法とは関係なく、無線信号飛行時間(time-of-flight)の判定は、デバイス102の実際の位置の精度高い判定に対する鍵となる。図1では、加算的または減算的干渉による信号反射、回折、および減衰の実世界における影響は、示されていない。
【0007】
[0008] 図1のシステムでは、基準基地局における受信信号を、協同基地局における受信信号と相関付けることによって、到達時間差が判定される。協同局は、それらのTDOA測定値を位置判定エンティティ(PDE)に送り、この位置判定エンティティにおいて、位置検出解が求められる。しかしながら、加法性ノイズおよび信号レベル変動によって、測定値に対する減損が生ずる可能性がある。これらの減損は、協同基地局において移動体信号の存在を検出する感度に影響を及ぼす可能性がある。推定に対する他の障害も、協同局見通し線(LOS)経路遅延を検出する能力に影響を及ぼす。
【0008】
[0009] 図2a、図2b、図2c、および図2dは、建造物のような物体がどのように直接経路を遮断して、アップリンク、ダウンリンク、GNSS、および混成GNSS/アップリンク・システム(GNSSは、グローバル・ナビゲーション衛星システムを表す)を含む異なる位置検出環境において、非見通し線障害が生ずるかについて示す。建造物周囲を通過する回折経路が、非常に減衰されたまたは完全に遮断された直接経路よりも遅れて、受信機に到達する。加えて、障害物からの反射も散乱を発生する可能性があり、この散乱が異なる経路の到達時間の分散を生ずる。図2aには、アップリンク・ワイヤレス位置検出システムの一例が図示されている。移動体デバイス102が信号109を送信する。場合によっては、基準受信機203に対するように、無線信号が直接受信されることもある(見通し線、即ち、LOSの場合)。しかし、他の受信機104は回折信号202または反射信号203を受信するかもしれない。各場合において、元のアップリンク信号109も受信されるかもしれず、あるいは障害物201によって遮断、減衰、または遅延された元の信号を有するかもしれない。
【0009】
[0010] 図3は、最初の到達の検出を困難にし、TDOA誤差のスキューの原因となる障害を示す。図3における参照番号は、次のように用いられている。
【0010】
303=送信時刻
304=検出しきい値
305=見通し線(LOS)飛行時間
306=遅れ時間
307=報告されるTOAまたはTDOAの基準
308=遅延拡散
309=失われた信号成分
[0011] 図3は、振幅302対時間301のプロット300における、マルチ・パス劣化信号の到達時刻を示す。時点303において信号が送信され、この信号は305として示す潜在的な直接経路見通し線を有する。最も早い信号成分の到達は検出されない。何故なら、これらは検出しきい値304未満のレベルで到達するからである。検出しきい値304は、過剰な偽警報を回避するように維持しなければならない。最も早い到達の検出イベントを逸したことにより、報告されるTOAまたはTDOAが、望まれるLOS TOAまたはTDOAよりも大きくなる。この例では、しきい値307よりも大きな最初の信号は、本当の最初に到達した信号成分から306の遅延を生ずる。加えて、最も早く到達するマルチパス成分が、NLOS遅延を生ずるNLOS伝搬のために、予期したよりも遅く到達する可能性がある。これによっても、報告されるTDOAがLOS TODAよりも大きくなる。これらの要因は、TDOA測定値と、測位アルゴリズムによってサーチまたは計算されるLOS TDOAとの間における誤差にスキューが生じる。本明細書において記載する本発明の解決策における測位判断は、これらの要因によって生ずる誤差のスキュー、および誤差分布の非正規分布形状の双方を利用する。
【0011】
[0012]”Bayesian-update based location prediction method for CDMA Systems”(CDMAシステムのためのベイズ更新に基づく位置予測方法)と題するK. Chang et al.,の2003年5月13日付け米国特許第6,564,065号に記載されている方法は、シミュレーションを用いた事後電力分布から下した位置判断によって、CMDAパイロット・チャネル測定値から電力レベルを予測するように思われる。”Method of precise position determination”(正確な位置判定方法)と題するE. Freiの1993年10月12日付けの米国特許第5,252,982号に記載されている方法は、事後RMA誤差を用いるGPS位置検出解に対する位相の曖昧さを反復的に求める加重最小二乗法を用いて、ガウス誤差を憶測するように思われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
[0013] 加重最小二乗最適化を組み込んだ無線位置検出システムの結果を改良する方法は、最大事後(MAP)確率メトリックを用いて、特定の測位問題(例えば、UTDOA)の特性を組み込むことによって、加重最小二乗法を一般化する。先に論じたように、WLS方法は、通例、TDOA、ならびにTDOA/AOAおよびTDOA/GPS混成システムを含む、関連のある位置検出システムによって用いられる。組み込まれる特性には、TDOA誤差についての経験的情報、および他のネットワーク・エレメントに対する移動体の位置の確率分布が含まれる。TDOA誤差分布および事前移動体位置をモデリングする技法を提供する。この新しい確率分布モデルを用いて、MAP判断メトリックを計算する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
[0014] 例示的な実施形態は、誤差検出方法を提供する。この方法は、フィールド・データを得るステップであって、前記フィールド・データが、前記信号相関モデルにおいて用いる基準線または位置依存値を有する、ステップと、(1)信号相関モデルおよび関連する測定パラメータ、(2)相関マトリクス規則、ならびに(3)事前位置のモデルを得るために、前記フィールド・データを分析するステップと、前記測定の推定した可変性に基づいて、測定値に対する重みを計算するステップと、共分散マトリクスを発生するために、前記相関マトリクス規則と共に前記重みを用い、逆共分散マトリクスを計算するステップと、最大の事後(MAP)メトリックを有する位置を発見するために、地理的領域にわたって反復サーチを行うステップと、停止条件に達したと判定するステップと、最大のMAPメトリックを有する地理的位置を位置解として報告するステップとを備えている。
【0014】
[0015] 本明細書において記載する方法は、以下の様々な主要な改革を含むが、必ずしもこれらに限定される訳ではない。
【0015】
[0016] 分析事前分布(Analytical a priori distribution):実際の位置を与える経験的データを用いて、基準タワーからの正規化した距離の位置検出解に対する分布を求めて、サーチエリアにおけるタワーに対する事前位置の全体的な形状をモデル化する。事前位置分布の形状を近似する指数分布が示され、その分散が、経験的データから計算される。
【0016】
[0017] 分析TDOA誤差分布:二重指数分布モデルを一般化して、指数にスキューおよび任意の累乗(power)を組み込む。経験的データから、モデル・パラメータを推定する。
【0017】
[0018] マルチパス/NLOS誤差指標:TDOA誤差分布の主要な指標には、基準線の数、予測されたマルチパス補正(観察された信号パラメータおよび/またはローカルRF環境の知識に基づいて)、および各基準線のTDOA相関が含まれる。経験的データを分析し、条件付き誤差分布を発生することによって、これらの指標からモデル・パラメータを求める方法を提供する。基準線毎に、スキューのようなモデル/パラメータをこれらの指標から計算する。
【0018】
[0019] TDOA誤差相関:前述の分析TDOA誤差分布を有する基準線間において相関付けした誤差に対する事後確率を計算する方法を提供する。これらの相関は、対応する合同誤差確率分布(joint error probability distribution)によって、MAPアルゴリズムに組み込まれる。
【0019】
[0020] 共通バイアス軽減方法:更に一般的な分布を用いると、測定値に存在する可能性がある共通バイアスに対する分析解を求めるのが難しくなる。バイアスの除去方法を、種々の複雑さ−性能トレードオフと共に提供する。
【0020】
[0021] 反復調節:以上の方法を応用する反復手順を制作する。この手順は、初期化動作と、残余値の推定を含む。
【0021】
[0022] 本発明の技術の他の特徴について、以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
[0023] 添付図面は以下を含む。
【図1】図1は、測位ネットワークの図である。
【図2a】図2aは、LOS経路遅延推定に対する障害を示す。
【図2b】図2bは、LOS経路遅延推定に対する障害を示す。
【図2c】図2cは、LOS経路遅延推定に対する障害を示す。
【図2d】図2dは、LOS経路遅延推定に対する障害を示す。
【図3】図3は、測定誤差スキューの原因の図。
【図4a】図4aは、MAP誤差分布方法の成分である。
【図4b】図4bは、MAP誤差分布方法の成分である。
【図5】図5は、誤差分布モデリング・プロセス。
【図6】図6は、事前分布データ分析の論理フロー。
【図7】図7は、事前位置分散と経験的モデルとの比較である。
【図8】図8は、条件付き誤差分布データ分析である。
【図9】図9は、誤差分布対加重最小二乗法の総体的サンプル(sample overall)を示す。
【図10】図10は、サンプル全体誤差分布対新しい粗いモデルを示す。
【図11】図11は、スキュー率の相関に対するサンプル依存性を示す。
【図12】図12は、サンプル全体条件付き誤差分布対新たなモデル(小さなスキュー)の関係を示す。
【図13】図13は、サンプル条件付き誤差分布対新たなモデル(大きなスキュー)の関係を示す。
【図14】図14は、MAP判断メトリック計算の論理フローである。
【図15】図15は、二重指数仮定(p=1、ξ=1)に対するバイアス計算である。
【図16】図16は、条件付き誤差計算である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[0040] 図4aおよび図4bは、MAP誤差検出方法の例示的な実施態様のコンポーネントを示す。図示のように、MAPプロセスはステップ401において開始する。フィールド・データ402を分析して(403)、1組の信号相関規則およびモデルを求める。これらのモデルおよび関連付けられた測定パラメータを、モデルにおいて用いられる基準線または位置(location)(または、場所(position)、ここで「位置」および「場所」という用語は本明細書では相互交換可能に用いられるものとする)依存値を有することができるフィールド・データから展開する(develop)。例えば、誤差のスキューは、低相関UTDOA測定値の方が大きいこともある。このため、表405を作成することができる。この表は、スキューに対するモデル・パラメータと測定に対する相関値との間のマッピングを規定する。同様に、事前位置についてモデルおよび表を計算する(406)。また、フィールド・データ分析プロセスが、位置検出受信機(location receiver)(例えば、位置測定ユニット(LMU)または信号収集システム(SCS))を外部アンテナにリンクする異なる受信機ポート間の相関を分析し、それらの用途に合わせて相関値および規則を与える。例えば、NLOS効果のために、同じ位置(共通サイト・ポート)にあるポートにおいて、誤差の小さな相関がある場合がある。一旦フィールド・データを分析したなら、推定した測定の可変性に基づいて、測定値に対して重みを計算する。次いで、このこれらの重みを相関マトリクス規則と共に用いて、ポート毎の共分散を発生し、409において反転させる。
【0024】
[0041] 図4bに示すように、次に、地理的領域にわたって反復サーチを実行する。その目的は、MAPメトリックが最も大きい位置を発見することである。一旦反復サーチを開始したなら(411)、分解能ループ(resolution loop)に入る(412)。このループにおいて、反復毎に地理的サーチ空間分解能を低下させて、内挿補間によって新たな検査地点を発生する。このサーチは、実行前に、前の反復の最小誤差地点を中心に置き直すことができる。現在の地理的領域における検査地点毎に、MAPメトリックを計算し(415)、メトリックが最も小さい地点を選択することによって、現在の地理的領域をサーチする(414)。MAPメトリックの計算には、共分散マトリクス404、誤差モデル、および測定パラメータ表405を用いる。サーチ空間内に未だ他にも検査地点が存在する場合、処理ロジック417は414に戻ってサーチを再開する。現在の分解能によって与えられる現在のサーチ空間の中に検査していない検査地点がない場合、MAPプロセスは、予め設定されている分解能限度集合(resolution limit set)をチェックする(418)。未だ最も高い分解能に達していない場合、プロセスはステップ412に戻る。それ以外の場合、MAPプロセスは、1つ以上の停止規準に到達したか否かチェックする(419)。停止規準を満たす場合、MAPプロセスは終了し(420)、メトリックが最も大きい地理的位置が位置検出解を与える。
【0025】
[0042] 本発明の解決策の目的は、誤差の事後確率をモデル化し、この確率を最大にする位置検出解を求めることである。ベイズの定理から(A. Papoulis, Probability Random Variables, and Stochastic Processes(確率ランダム変数、および確率的プロセス)、 MacGraw Hill Inc., New York, NY, 1984を参照のこと)、ランダム位置ベクトルLの条件付き確率密度関数は、N個の測定誤差eに関して、以下のように与えられる。
【0026】
【数1】
【0027】
ここで、
【0028】
【数2】
【0029】
は、ランダム位置ベクトル、
【0030】
【数3】
【0031】
は、TODA誤差+共通バイアス、
そして、
τi(x、y、z)は、i番目の基準線に対する、地点x、y、zにおけるLOS TDOAである。
【0032】
【数4】
【0033】
は、i番目のTDOA基準線測定値、
Bは、測定値の中に存在し得る共通バイアスである。
【0034】
[0043] 計算を簡略化するために、(1)の対数を最大にすることができる。何故なら、(1)を最大にする位置は、(1)の対数を最大にする位置でもあるからである。(1)の自然対数は、
【0035】
【数5】
【0036】
となる。
【0037】
[0044] 最後の項は位置には依存しないので、異なる位置を考慮するときには、これは一定となるため、無視することができる。この結果、全ての位置において最大化すべき以下の関数が残る。
【0038】
【数6】
【0039】
[0045] 最初の項は、事後誤差確率密度の対数であり、2番目の項は事前確率密度の対数である。
誤差分布モデリング・プロセス
[0046] 誤差分布モデリング・プロセスを図5に示す。最初に、フィールド・データ402を分析して、種々の基準線および位置特定測定パラメータの事前位置分布および誤差分布に対する影響を判定する。次に、異なる基準線に対する誤差間の相関を分析して、相関値、およびこれらの相関を得るための規則を決定する。誤差分布全体に当てはまる(fit)誤差分布の粗いモデルを求める(504)。フィールド・データの事前分布に基づいて、事前分布のモデルを求める。次に、種々の位置特定および基準線特定測定パラメータに基づいて、修正可能にするために、誤差分布モデルをリファインする。最後に、相関値、およびこれらの値を適用するための関連規則に基づいて、相関マトリクスを発生する。
事前分布
[0047] 適した事前分布を求めるロジックを図6に示す。位置サーチエリアは、位置特定データによっては、非常に異なる寸法を有する可能性があり、位置検出の問題も非常に異なるネットワーク構成を有することがあるので、サーチエリア内にある実際の位置の関数であるモデル・パラメータの分布を求めることが望ましい。サーチエリア内にある位置は、事前位置である。式(5)において用いるための事前位置確率を決定するために計算し用いることができる事前位置の関数であるモデル・パラメータを求めることが望ましい。最初に、フィールド・データを分析して、候補パラメータを決定する。例えば、基準タワーからの距離についての統計が、事前位置を表すことがある。あるいは、サービング・タワーからの距離を考慮してもよい。これらの距離を最大サーチ範囲に正規化するとよい。パラメータ毎に、範囲およびビン・サイズを選択しなければならず、フィールド・データにおける実際の(真の)位置に基づいて更新された事前分布を表すヒストグラムも選択しなければならない。パラメータ計算と共に、各潜在的分布を事前パラメータ・データベースに格納する。
【0040】
[0048] 一旦潜在的事前分布を種々のモデル・パラメータについて計算したなら、図5に示したようにモデルを選択する。このモデルは、フィールド・エリアからの分布を表し、そして計算上効率的であるように、モデルを選択する。基準タワーからサーチ領域のエッジまでの最大距離に正規化された、基準タワーから候補位置の距離となるように、モデル・パラメータ例を選択する。これによって、以下のような、三次元ランダム・ベクトルLから、基準タワーからの正規化ランダム距離Dへの変換が得られる。
【0041】
【数7】
【0042】
ここで、
xref、yref、zrefは、基準タワーの位置座標である。
【0043】
Rmaxは、基準タワーからサーチ領域のエッジまでの最大距離である。
【0044】
以下のように、指数となるようにモデル例を選択する。
【0045】
【数8】
【0046】
ここで、λa=11が、フィールド・データに当てはまるように選択された。図7では、このモデルを、正確な一致を示すフィールド・データと比較する。
誤差分布
[0049] また、誤差分布のモデルを得るためにも、フィールド・データを分析する。図8は、事前データ分析におけると同様の一連のステップを示す。この図では、測定パラメータを分析して、誤差分布においてどのパラメータが大きな変化の原因となるのか判定する。測定パラメータの例には、次のものが含まれる。
【0047】
基準線毎のUTDOA相関、
基準線毎のマルチパス相関係数、
位置毎の測定数。
【0048】
[0050] 条件付き統計および全体的統計を蓄積するために、これらのパラメータの範囲およびビン・サイズを決定する。
【0049】
[0051] 誤差分布全体のサンプルが、図9に示されており、加重最小二乗法によって想定される正規分布(Gaussian distribution)と比較される。この図から、ガウス仮定は分布全体の形状を適正にモデル化していないことは明白である。分布全体の右へのスキューは明白である。
【0050】
[0052] この分布全体は、図5に示したような粗い誤差モデルへの入力を与える。i番目の限界誤差(marginal error)の誤差モデル例を、次のようになるように決定する。
【0051】
【数9】
【0052】
ここで、
piは、0よりも大きい任意の指数型ベキ(exponential power)であるモデル・パラメータである。
【0053】
riは、分布のスキューを示す正の比率であるモデル・パラメータである。
【0054】
σiは、i番目の基準線に対する標準偏差である。
【0055】
[0053] kおよびAの値は、所与のriおよびpiについて以下の条件、
【0056】
【数10】
【0057】
を満足するように選択される。正規分布では、ri=1、pi=2、そしてk=1/2となる。二重指数分布またはラプラス分布では、ri=1、pi=1、そしてk=√2となる。
【0058】
[0054] 粗いモデリング・ステップでは、フィールド・データと一致する式(8)におけるモデル・パラメータの値を計算する。図10は、pi=1.1およびri=1.1として、粗いモデルを適用する効果を示す。この図は、図9に示したガウス仮定よりも、遙かに正確にフィールド・データと一致することを示す。
【0059】
[0055] 図5における「細かい誤差モデル決定」ブロック506への入力として、条件付き誤差分布が用いられる。条件付き誤差に対して、測定パラメータ・ビン毎に、誤差の平均および標準偏差に基づいて、スキュー率を計算する。ビンの中心は、誤差分布の条件付き値となる。
【0060】
[0056] 以下のようにして、条件付き分布の平均および標準偏差に関するスキューを求めることができる。条件付き誤差分布を二重指数として近似する場合、指数におけるスケーリング係数は、
【0061】
【数11】
【0062】
となる。ここで、σは条件付き分布の標準偏差である。
【0063】
[0057] riを推定するために、2つの別のスケーリングした指数分布を考慮し、これらの1つを0を中心として折り返す(flip)。分布の双方の成分をスケーリングして、1/2まで積分する。その結果、条件付き分布の平均mを、スケーリング係数について、次のように置くことができる。
【0064】
【数12】
【0065】
ここで、λLおよびλRは、それぞれ、0の左側および右側における別の指数分布成分の指数におけるスケーリング係数である。尚、スキューの全てはλに対するλRの変化によるものであると仮定すると、λL≒λという仮定が可能になる。λRについて式(10)を解き、λL≒λとして(9)を用いると、次の式が得られる。
【0066】
【数13】
【0067】
[0058] 次に、(9)および(11)からスキュー率は次のようになる。
【0068】
【数14】
【0069】
[0059] 次に、条件付き誤差分布からのσおよびmの値を用いて、式(12)を用いてriを計算することができる。
【0070】
[0060] UTDOA相関の関数としてのスキュー率の一例を図11に示す。条件付き分散毎に、式(12)において平均mおよび標準偏差σを用いて、riを計算する。図では、相関が低い場合には、スキューが増大することが明白である。サンプル数およびビン・サイズの関数である可変性を平均化するために表の参照の代わりに用いることができる線型データ当てはめを示す。「細かい誤差モデル決定」ブロック506(図5)の結果、UTDOA相関のような測定パラメータ値の、スキューのようなモデル・パラメータへのマッピングが得られる。(8)におけるモデル・パラメータpiに対する同様の調節も、種々の測定パラメータ値の関数として行うことができる。
【0071】
[0061] 細かいモデル調節の結果例を図12に示す。ここでは、相関が高い方に小さなスキューがある。図13は、相関が低い方に大きなスキューがある例を示す。これらの図は、誤差分布モデルにおいて、図10に対して更なる改良が達成されることを示す。
相関マトリクス
[0062] また、図5に示したような異なるポートについて誤差間に存在する相関を分析するためにも、フィールド・データが用いられる。誤差間の相関は、種々の規則または条件に基づいて計算される。2つのポート間における相関を計算する規則例には、次のことが含まれる。
【0072】
同じセクタにあるポート間に固定相関を適用する。
【0073】
同じサイトにあるポート間に固定相関を適用する。
【0074】
協同ポートと基準ポートとの間に固定相関を適用する。
【0075】
[0063] 規則毎に、フィールド・データ統計から、誤差に対する正規化相関値または相関係数を計算する(A. Papoulis, Probability Random Variables, and Stochastic Processes(確率ランダム変数、および確率的プロセス)、 MacGraw Hill Inc., New York, NY, 1984を参照のこと)。相関値および規則は、「共分散マトリクス入力および反転実行」ブロック409(図4a)に入力を与える。相関マトリクス発生江ブロックでは、相関値のポート毎のマトリクスを計算する。複数の規則が1対のポートに適用される場合、このマトリクスでは最も大きな相関値が用いられる。
加重および分散の計算
[0064] 各基準線に対する加重は、クラメール・ラオ境界(R. MacDonough, A. Whalen, Detection of Signals in Noise, 2nd Ed., Academic Press, San Diego, CA, 1995を参照のこと)からのRMS誤差に基づく。AWGN(加法的ホワイト・ガウス・ノイズ)におけるTDOA RMS誤差の下限は、次のようになる。
【0076】
【数15】
【0077】
ここで、Wは信号帯域幅、Tはコヒーレント積分長、そしてρiはi番目の基準線の相関である。AWGNにおける平均誤差は0に近いので、誤差の標準偏差はほぼRMS誤差となる。重みは、RMS誤差の二乗に対して1であり、以下のような理論的加重が与えられる。
【0078】
【数16】
【0079】
[0065] これらの加重動作例は、図4に示したような「重み計算」ブロック407におけるフィールド・データ分析後に行われる。RMS誤差を更に増大させるマルチパスのような劣化を考慮する他の効果を含めてもよい。
共分散マトリクスの計算
[0066] 合同誤差密度を用いて判定を下すために、共分散マトリクスが必要になることがある。共分散マトリクスCは、以下のように計算される、i番目のポートとj番目のポートとの間における共分散のポート毎のマトリクスである。
【0080】
【数17】
【0081】
ここで、βijは、相関マトリクスからのi番目のポートとj番目のポートとの間における相関係数である。
【0082】
[0067] あるいは、ポート間における相関レベルが小さすぎると見なされる場合には、計算効率のために、このステップを迂回してもよい。判断基準の一例は、βijの少なくとも1つが相関しきい値を超過する場合に、共分散マトリクスを用いることである。このしきい値を超過しない場合、独立誤差分析を用いるために、フラグをセットする。
MAP判断メトリック計算
[0068] 合同誤差密度を用いたMAP判断計算は、相関付けられたUTDOA誤差に対して更なる一般化を用いる。合同ガウス誤差から開始して、事後確率は次のようになる。
【0083】
【数18】
【0084】
ここで、Gは一定である。個々のUTDOA誤差に関して、
【0085】
【数19】
【0086】
ここで、dijはC-1のエレメントである。限界誤差確率密度についての式(8)におけるモデルを想定すると、合同密度に対して以下の一般化が式(17)に行われる。
【0087】
【数20】
【0088】
ここで、
【0089】
【数21】
【0090】
【数22】
【0091】
そして、
【0092】
【数23】
【0093】
(18)および(7)の自然対数を(5)に代入すると、次の式が得られる。
【0094】
【数24】
【0095】
[0069] 目的は(22)を最大にするx、y、zおよびBを求めることであるので、x、y、zおよびBに依存しない項を無視することができ、次の式が得られる。
【0096】
【数25】
【0097】
[0070] 計算効率のために、式(23)を−kで除算してもよく、
【0098】
【数26】
【0099】
を最大にするx、y、zは、以下のように求められる。
【0100】
【数27】
【0101】
[0071] 次いで、最小にする判断メトリックは、
【0102】
【数28】
【0103】
となる。
【0104】
[0072] 基準線間に低い(〜0)相互相関がある位置では、共分散マトリクスは対角線状となる。UTDOA誤差間に独立を仮定すると、(25)を次のように簡略化することができる。
【0105】
【数29】
【0106】
[0073] 基準線毎に予め計算されている重みに関して、メトリックは、
【0107】
【数30】
【0108】
となる。
【0109】
[0074] 図14は、各x、y、z値におけるMAP判断メトリック計算の論理フローを示す。考慮するx、y、zについて、誤差サンプルを計算する(1401)。一般に、Mを最小にする式(27)における共通バイアス「B」についての分析解は、計算するのが難しい。したがって、計算するのが比較的容易な2つのサンプル点におけるバイアス(pi=1、ri=1、およびpi=2、ri=1)を発見し、組み合わせて近似値を得る。誤差に対してガウス統計を仮定して、最小バイアスを計算し(1402)、次いで、二重指数統計を仮定した計算を行う(1403)。次に、2つのバイアス点を組み合わせることによって、用いるべきバイアスを求める(1404)。この組み合わせえは、単にガウス指数バイアスおよび二重指数バイアスの平均を取ることによって行うことができる。あるいは、任意のpiおよびriに対するバイアスを、複雑さを犠牲にして、可能な全てのバイアスにわたるサーチによって発見することもできる。これを行う場合、2つのバイアス・サンプルの平均を、サーチの開始点として用いる。あるいは、オフラインでサーチを行い、2つのバイアス・サンプルに対するバイアス結果と比較することもできる。この場合、オフライン分析を犠牲にして、2つのバイアス点からの平均百分率偏差を、組み合わせにおいて用いることもできる。サンプル・バイアスを組み合わせた後、この組み合わせバイアス1405、共分散マトリクス1407、ならびにフィールド・データから既に展開されている誤差モデルおよびパラメータ表を用いて、条件付き誤差寄与を判定する(1405)。次に、計算した条件付き誤差寄与1405、および事前位置について既に展開されているモデル1409を用いて、MAPメトリックに対する事前寄与を求める(1406)。種々の地理的マップ分解能および反復によるx、y、zに対する図14におけるメトリック計算の最小値が、図4に示したように、最終解を与える。
ガウス・バイアス
[0075] (27)においてpi=2およびri=1と設定することによって、ガウス・バイアスを求める。尚、ri=1について、
【0110】
【数31】
【0111】
が、
【0112】
【数32】
【0113】
を与えることに注意すること。
ここで、Nは基準線の数であり、
【0114】
【数33】
【0115】
はバイアス無し誤差(unbiased error)である。
【0116】
[0076] Bに対する(28)の導関数を0に設定し、Bについて解くことによって、バイアスに対する最小解を求めると、次の式が得られる。
【0117】
【数34】
【0118】
式(29)は、誤差分布が正規分布であるときのバイアスを与える。
指数バイアス
[0077] 指数バイアスは、(27)においてpi=1およびri=1に設定することによって求められ、次の式が得られる。
【0119】
【数35】
【0120】
[0078] 再度、Bに対する(28)の導関数を0に等しく設定し、Bについて解くことによって、バイアスに対する最小解を求める。Bに対する各項の導関数は、次の通りである。
【0121】
【数36】
【0122】
ここでU(x)は、ユニット・ステップ関数である(A. Oppenhem and A. Willsky, Signals and Systems(信号およびシステム), Prentice-Hall, Inc., Englewood Cliffs, NJ, 1983を参照のこと)。和の導関数を0に設定すると、次の式が得られる。
【0123】
【数37】
【0124】
[0079] Bの関数としての(32)における各項は、値Δτiに達するまでは−√Wiとなり、次いでBgaΔτiよりも大きくなると、1ステップで√Wiになる。これらの不連続のために、Bには正確な解がない。しかしながら、近似解を与えるBの値を発見することができる。
【0125】
[0080] 図15における解は、増大するΔτiにしたがって(32)における加法を命令する(order)。次いで、(32)をできるだけ0に近づけるBの値を求める。これが生ずるのは、k番目のステップ遷移が発生して、負項の合計が正項の合計にほぼ等しくなるBの値のときである(即ち、
【0126】
【数38】
【0127】
ここで、Nは命令された加算における基準線の総数である)。図では、重みおよびサンプル・アレイが入力され、並び替えられる。停止条件を与えるために、
【0128】
【数39】
【0129】
となるしきい値を計算する。最も小さい遷移点を有する項から最も大きな遷移点を有する項まで順番に、項を蓄積する。しきい値に達した時点で、奇数個の項がある場合、値Δτkが返され、それ以外の場合、k番目の項の遷移点と、前の項の遷移点との平均を取る。
メトリック計算
[0081] (27)における最初の項を、図16におけるステップにしたがって計算する。基準線毎に、UTDOA相関、基準線の数、およびマルチパス・パラメータというような測定パラメータを決定する。これらの測定パラメータは、参照表からまたはパラメータ当てはめモデルを用いた直接計算によって誤差モデル・パラメータpiおよびriを決定するために用いられる。スキューに応じて、誤差を調節する。最後に、誤差が有意な相関を有するときには(25)を用いて、また誤差が有意な相関を有していないときには(27)を用いて、メトリックにおける合計を計算する。相関の有意性は、図4における共分散マトリクス計算の一部として判定される。最後に、事前確率を考慮に入れるために、(6)を用いて、(27)および(25)における最後の項を計算する。
サンプル結果
[0082] 以下の表は、加重最小二乗アルゴリズムに対するサンプルの改良を示す。約46,000個の位置測定値を用いて、加重最小二乗アルゴリズムおよび上述のアルゴリズムを用いて、測位誤差の分布を編集した。上述のモデルのパラメータは、32,000箇所の別の訓練データ集合を用いて選択した。この表は、95番目および67番目の百分位数において、それぞれ、約20メートルおよび2メートルの改良を示す。平均誤差は、約15メートルだけ改善した。
【0130】
【表1】
【0131】
結論
[0083] 本発明、および以下の特許請求の範囲の保護範囲は、以上に記載した詳細には全く限定されない。ワイヤレス位置検出の当業者であれば、本明細書において開示した発明概念から逸脱することなく、例示的な実施形態に対して種々の変更を行うことができよう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誤差検出方法であって、
フィールド・データを得るステップ(402)であって、前記フィールド・データが、信号相関モデルにおいて用いる基準線または位置依存値を有する、ステップと、
(1)信号相関モデルおよび関連する測定パラメータ(405)、(2)相関マトリクス規則(404)、ならびに(3)事前位置のモデル(406)を得るために、前記フィールド・データを分析するステップ(403)と、
前記測定の推定した可変性に基づいて、測定値に対する重みを計算するステップ(407)と、
共分散マトリクス(409)を発生するために、前記相関マトリクス規則と共に前記重みを用い、逆共分散マトリクス(410)を計算するステップと、
最大の事後(MAP)メトリックを有する位置を発見するために、地理的領域にわたって反復サーチを行うステップ(415)と、
停止条件に達したと判定するステップ(419)と、
最大のMAPメトリックを有する地理的位置を位置解として報告するステップと、
を含む、誤差検出方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、更に、スキューに対する測定パラメータと、前記測定に対する相関値との間のマッピングを規定する表を作成するステップを含む、方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法であって、更に、スキューに対する測定パラメータと、基準線の数との間のマッピングを規定する表を作成するステップを含む、方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、更に、位置検出受信機を外部アンテナにリンクする異なる受信ポート間の相関を分析し、その用途に対する相関値および規則を与えるステップを含む、方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、前記反復サーチが、各反復において地理的サーチ空間分解能を低下させ、内挿補間によって新たな検査地点を発生する、分解能ループを含む、方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、前記サーチが、実行前に、前の反復の最小誤差地点を中心に置き直され、現在の地理的領域サーチ空間内にある検査地点が、個々にサーチされ、検査地点毎に、MAPメトリックを計算する、方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、前記反復サーチが、前記共分散マトリクス、誤差モデル、および測定パラメータ表を用いるMAPメトリック計算を含む、方法。
【請求項1】
誤差検出方法であって、
フィールド・データを得るステップ(402)であって、前記フィールド・データが、信号相関モデルにおいて用いる基準線または位置依存値を有する、ステップと、
(1)信号相関モデルおよび関連する測定パラメータ(405)、(2)相関マトリクス規則(404)、ならびに(3)事前位置のモデル(406)を得るために、前記フィールド・データを分析するステップ(403)と、
前記測定の推定した可変性に基づいて、測定値に対する重みを計算するステップ(407)と、
共分散マトリクス(409)を発生するために、前記相関マトリクス規則と共に前記重みを用い、逆共分散マトリクス(410)を計算するステップと、
最大の事後(MAP)メトリックを有する位置を発見するために、地理的領域にわたって反復サーチを行うステップ(415)と、
停止条件に達したと判定するステップ(419)と、
最大のMAPメトリックを有する地理的位置を位置解として報告するステップと、
を含む、誤差検出方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、更に、スキューに対する測定パラメータと、前記測定に対する相関値との間のマッピングを規定する表を作成するステップを含む、方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法であって、更に、スキューに対する測定パラメータと、基準線の数との間のマッピングを規定する表を作成するステップを含む、方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、更に、位置検出受信機を外部アンテナにリンクする異なる受信ポート間の相関を分析し、その用途に対する相関値および規則を与えるステップを含む、方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、前記反復サーチが、各反復において地理的サーチ空間分解能を低下させ、内挿補間によって新たな検査地点を発生する、分解能ループを含む、方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、前記サーチが、実行前に、前の反復の最小誤差地点を中心に置き直され、現在の地理的領域サーチ空間内にある検査地点が、個々にサーチされ、検査地点毎に、MAPメトリックを計算する、方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、前記反復サーチが、前記共分散マトリクス、誤差モデル、および測定パラメータ表を用いるMAPメトリック計算を含む、方法。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2012−514210(P2012−514210A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544458(P2011−544458)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2009/067886
【国際公開番号】WO2010/077819
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(500532540)トゥルーポジション・インコーポレーテッド (48)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2009/067886
【国際公開番号】WO2010/077819
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(500532540)トゥルーポジション・インコーポレーテッド (48)
【Fターム(参考)】
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