説明

一般畳床とその製造方法、および床暖房用畳床とその製造方法

【課題】畳床製造の作業効率を向上させるとともに、畳小売店における畳床保管場所確保の問題、畳床縫製機のイニシャルコストの問題、および畳床縫製機の設置スペースの問題を解消する。
【解決手段】下方から順に、防湿シート11、下補強板12、ポリエステル系繊維を主材とする芯材13、上補強板14、クッション材15、を積層して構成された一般畳床の製造方法であって、主材よりも低融点であるポリエステル系バインダーと主材との混合体を成形し(混合工程)、第1〜第4接着材S1〜S4を各構成部材11〜15間に塗布し(接着材塗布工程)、各構成部材11〜15をプレス金型M4,M5内に積層設置し(積層設置工程)、金型M4,M5で加熱圧縮することで、混合体13sを所定の厚さ寸法に成形しつつバインダーにて主材同士を接着させて芯材を成形すると同時に、第1〜第4接着材S1〜S4による接着を行う(熱圧着工程)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畳を構成する一部材である畳床に関するものであり、一般畳床とその製造方法、および床暖房用畳床とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、和室等に敷き並べられて使用される一般的な畳は、畳床と、畳床の上面に縫い付けられた畳表と、畳床の縁の丈方向に縫い付けられた畳縁とから構成されている。このような畳床の一例として特許文献1には図10に例示される畳床220が記載されており、下方から順に、防湿シート(裏シート)211、下補強板(板紙)212、芯材213、上補強板(板紙)214、クッション材215を積層して構成されている。そして、これらの防湿シート211、下補強板212、芯材213、上補強板214およびクッション材215は、縫製糸216でまとめて縫い合わせることで一体化されている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−182297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述の各層211〜215を縫製糸216でまとめて縫い合わせる作業は、重労働であるとともに熟練作業員でなければ行えず、熟練作業員でなければ縫製針の折損や糸切れ等のトラブルが頻発してしまう作業であり、その作業効率は極めて悪い。
【0005】
ところで、畳を製造する工程は大きく分けて以下の2工程に分けられる。1つは、前記各層211〜215を専用の畳床縫製機でまとめて縫い合わせる畳床製造工程であり、1つは、畳床を採寸切断し、畳表および畳縁を専用の畳表縫製機,畳縁縫製機で畳床に縫い付ける畳製造工程である。そして、これらの両工程は、消費者からの注文を受けて製造販売する畳小売店で行われるのが一般的である。畳小売店では、前記各層211〜215を材料メーカーから購入し、畳の注文を受けてから納品するまでの期間を短縮する目的で、畳床製造工程を畳受注前から行っており、畳床を作り置きしている。
【0006】
しかしながら、畳小売店では、作り置きした畳床の保管場所を確保するのが困難であるという問題がある。また、前記畳床縫製機が高価なものであるとともに、畳床縫製機の設置スペースが必要となるといった問題を抱えていた。
【0007】
以上の説明では、防湿シート211、下補強板212、芯材213、上補強板214、クッション材215を積層してなる畳床(以下、一般畳床と呼ぶ)についての問題点について言及したが、床暖房設備が設けられた床に敷き並べられて使用される畳の畳床(以下、床暖房用畳床と呼ぶ)についても事情は同じであり、同様の問題点を有している。なお、床暖房用畳床の従来構造は、下方から順に、非透水性の防湿シート、下補強板、芯材、上補強板を積層し、これらの各層をまとめて縫製して一体化された構造であり、クッション材は使用しない場合が多い。
【0008】
本発明は、上記点に鑑み、畳床製造の作業効率を向上させるとともに、畳小売店における畳床保管場所確保の問題、畳床縫製機のイニシャルコストの問題、および畳床縫製機の設置スペースの問題を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の一般畳床の製造方法は、
下方から順に、非透水性の防湿シート、撥水性を有した紙製の下補強板、ポリエステル系繊維を主材とする芯材、撥水性を有した紙製の上補強板、クッション材、を積層して構成された一般畳床の製造方法であって、
前記主材よりも低融点であるポリエステル系バインダーと前記主材との混合体を成形する混合工程と、
前記防湿シートと前記下補強板とを接着させる第1接着材を前記防湿シート又は前記下補強板に塗布し、前記下補強板と前記混合体とを接着させる第2接着材を前記下補強板又は前記混合体に塗布し、前記混合体と前記上補強板とを接着させる第3接着材を前記混合体又は前記上補強板に塗布し、前記上補強板と前記クッション材とを接着させる第4接着材を前記上補強板又は前記クッション材に塗布する接着材塗布工程と、
その後、前記防湿シート、前記下補強板、前記混合体、前記上補強板および前記クッション材をプレス用の金型内に積層設置する積層設置工程と、
その後、前記金型で加熱圧縮することで、前記混合体を所定の厚さ寸法に成形しつつ前記バインダーにて前記主材同士を接着させて前記芯材を成形すると同時に、前記第1乃至第4接着材による接着を行う熱圧着工程と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の一般畳床の製造方法は、前記接着材塗布工程を行うにあたり、前記第1および第2接着材の塗布範囲を、畳表の縫糸で縫われる部分を除いた範囲に設定することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の一般畳床の製造方法は、前記第1および第2接着材を、複数のドットを集合させたパターン又は線状に延びるパターンにて塗布することで、前記第1および第2接着材の塗布範囲の全面積に対して30%〜50%の面積が接着面となるようにしたことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の一般畳床の製造方法は、前記接着材塗布工程を行うにあたり、前記第1乃至第4接着材の塗布範囲を、畳縁の縫糸で縫われる部分を除いた範囲に設定することを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の一般畳床の製造方法は、前記第1乃至第4接着材を、複数のドットを集合させたパターン又は線状に延びるパターンにて塗布することで、前記第1乃至第4接着材の塗布範囲の全面積に対して30%〜50%の面積が接着面となるようにしたことを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の床暖房用畳床の製造方法は、
下方から順に、非透水性の防湿シート、撥水性を有した紙製の下補強板、ポリエステル系繊維を主材とする芯材、撥水性を有した紙製の上補強板、を積層して構成された床暖房用畳床の製造方法であって、
前記主材よりも低融点であるポリエステル系バインダーと前記主材との混合体を成形する混合工程と、
前記防湿シートと前記下補強板とを接着させる第1接着材を前記防湿シート又は前記下補強板に塗布し、前記下補強板と前記混合体とを接着させる第2接着材を前記下補強板又は前記混合体に塗布し、前記混合体と前記上補強板とを接着させる第3接着材を前記混合体又は前記上補強板に塗布する接着材塗布工程と、
その後、前記防湿シート、前記下補強板、前記混合体および前記上補強板をプレス用の金型内に積層設置する積層設置工程と、
その後、前記金型で加熱圧縮することで、前記混合体を所定の厚さ寸法に成形しつつ前記バインダーにて前記主材同士を接着させて前記芯材を成形すると同時に、前記第1乃至第3接着材による接着を行う熱圧着工程と、
を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の床暖房用畳床の製造方法は、前記接着材塗布工程を行うにあたり、前記第1および第2接着材の塗布範囲を、畳表の縫糸で縫われる部分を除いた範囲に設定することを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の床暖房用畳床の製造方法は、前記第1および第2接着材を、複数のドットを集合させたパターン又は線状に延びるパターンにて塗布することで、前記第1および第2接着材の塗布範囲の全面積に対して30%〜50%の面積が接着面となるようにしたことを特徴とする。
【0017】
請求項9に記載の床暖房用畳床の製造方法は、前記接着材塗布工程を行うにあたり、前記第1乃至第4接着材の塗布範囲を、畳縁の縫糸で縫われる部分を除いた範囲に設定することを特徴とする。
【0018】
請求項10に記載の床暖房用畳床の製造方法は、前記第1乃至第4接着材を、複数のドットを集合させたパターン又は線状に延びるパターンにて塗布することで、前記第1乃至第4接着材の塗布範囲の全面積に対して30%〜50%の面積が接着面となるようにしたことを特徴とする。
【0019】
請求項11に記載の一般畳床は、
下方から順に、非透水性の防湿シート、撥水性を有した紙製の下補強板、ポリエステル系繊維を主材とする芯材、撥水性を有した紙製の上補強板、クッション材、を積層して構成されており、
前記芯材は、前記主材よりも低融点であるポリエステル系バインダーと前記主材との混合体を加熱圧縮することで、前記混合体を所定の厚さ寸法に成形しつつ前記バインダーにて前記主材同士を接着させて成形されたものであり、
前記防湿シート、前記下補強板、前記芯材、前記上補強板および前記クッション材の各々は、接着材による接着で一体化されていることを特徴とする。
【0020】
請求項12に記載の一般畳床は、前記防湿シートと前記下補強板を接着させる第1接着材と、前記下補強板と前記芯材を接着させる第2接着材とは、畳表の縫糸で縫われる部分を除いた範囲に塗布されていることを特徴とする。
【0021】
請求項13に記載の一般畳床は、前記第1および第2接着材を、複数のドットを集合させたパターン又は線状に延びるパターンにて塗布することで、前記第1および第2接着材の塗布範囲の全面積に対して30%〜50%の面積が接着面となるようにしたことを特徴とする。
【0022】
請求項14に記載の一般畳床は、前記防湿シートと前記下補強板を接着させる第1接着材と、前記下補強板と前記芯材を接着させる第2接着材と、前記芯材と前記上補強板を接着させる第3接着材と、前記上補強板と前記クッション材を接着させる第4接着材とは、
畳縁の縫糸で縫われる部分を除いた範囲で塗布されていることを特徴とする。
【0023】
請求項15に記載の一般畳床は、前記第1乃至第4接着材を、複数のドットを集合させたパターン又は線状に延びるパターンにて塗布することで、前記第1乃至第4接着材の塗布範囲の全面積に対して30%〜50%の面積が接着面となるようにしたことを特徴とする。
【0024】
請求項16に記載の床暖房用畳床は、
下方から順に、非透水性の防湿シート、撥水性を有した紙製の下補強板、ポリエステル系繊維を主材とする芯材、撥水性を有した紙製の上補強板、を積層して構成されており、
前記芯材は、前記主材よりも低融点であるポリエステル系バインダーと前記主材との混合体を加熱圧縮することで、前記混合体を所定の厚さ寸法に成形しつつ前記バインダーにて前記主材同士を接着させて成形されたものであり、
前記防湿シート、前記下補強板、前記芯材および前記上補強板の各々は、接着材による接着で一体化されていることを特徴とする。
【0025】
請求項17に記載の床暖房用畳床は、前記防湿シートと前記下補強板を接着させる第1接着材と、前記下補強板と前記芯材を接着させる第2接着材とは、畳表の縫糸で縫われる部分を除いた範囲に塗布されていることを特徴とする。
【0026】
請求項18に記載の床暖房用畳床は、前記第1および第2接着材を、複数のドットを集合させたパターン又は線状に延びるパターンにて塗布することで、前記第1および第2接着材の塗布範囲の全面積に対して30%〜50%の面積が接着面となるようにしたことを特徴とする。
【0027】
請求項19に記載の床暖房用畳床は、前記防湿シートと前記下補強板を接着させる第1接着材と、前記下補強板と前記芯材を接着させる第2接着材と、前記芯材と前記上補強板を接着させる第3接着材とは、畳縁の縫糸で縫われる部分を除いた範囲に塗布されていることを特徴とする。
【0028】
請求項20に記載の床暖房用畳床は、前記第1乃至第4接着材を、複数のドットを集合させたパターン又は線状に延びるパターンにて塗布することで、前記第1乃至第4接着材の塗布範囲の全面積に対して30%〜50%の面積が接着面となるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
請求項1に記載の一般畳床の製造方法によれば、防湿シート、下補強板、芯材、上補強板およびクッション材の各々(以下、これらの各部材を一般畳床構成部材と呼ぶ)は接着材で一体化されるので、畳床を製造するにあたり、重労働かつ熟練作業となっていた従来の縫製作業を、機械化および自動化が容易な接着作業に置き換えることができる。しかも、熱圧着工程にて、芯材を成形すると同時に第1乃至第4接着材による接着を行うことができるので、畳床製造の作業効率を飛躍的に向上できる。
【0030】
また、一般畳床構成部材の各々を接着により一体化することで、熟練作業が要求されなくなるので、これらの一般畳床構成部材を製造する材料メーカーにて前記接着の作業を行うことができる。つまり、従来では畳小売店でしか行えなかった畳床製造工程が、本発明により前記材料メーカーで行えるようになり、畳小売店では畳床製造工程を廃止することができる。従って、畳小売店では、畳床を作り置きしておく必要がなくなり、消費者から畳の注文があった後に材料メーカーに畳床を発注して購入すればよい。よって、畳小売店における畳床保管場所確保の問題、畳床縫製機のイニシャルコストの問題、および畳床縫製機の設置スペースの問題を一挙に解消することができる。
【0031】
また、熱圧着工程にて金型のプレスストロークを調節することで、芯材の厚み寸法を容易に調節することができるので、畳床全体の厚み寸法を容易に調節することができ、ひいては一層畳床製造の作業効率をより一層向上できる。なお、本発明に係る畳床全体の厚み寸法は9mm〜24mm、より好ましくは11mm〜14mmとなるように設定して好適である。
【0032】
ここで、従来の芯材には、インシュレートボード、合板、MDF(medium density fiber board)その他の木製ボードや、発泡樹脂ボードが採用されていた。しかしながら、これらの木製ボードや発泡樹脂ボードでは、温度変化の影響を受けやすく、熱収縮、膨張によって芯材の反り変形が生じてしまう。特に、コンクリート打設直後(例えば材令2日)の床に畳を敷き並べて設置する場合には、前記反り変形の度合いが極めて大きく、畳が大きく反り変形してしまう。また、木製ボードを採用した従来の芯材では湿度変化による反り変形も懸念される。
【0033】
これに対し、ポリエステル系繊維を主材とする芯材を採用した本発明によれば、ポリエステル系繊維の1本1本は熱収縮、膨張するものの、芯材の内部空間でポリエステル系繊維の変形が吸収されるので、芯材全体としては反り変形が抑制される。また、ポリエステル系繊維であるため木材のような湿度変化による反り変形は生じない。
【0034】
本発明に係る一般畳床の芯材に関し、目付け(単位面積あたりの重量)が1.0kg/m〜2.0kg/m、より好ましくは1.25kg/mの芯材を用いて好適である。
【0035】
また、本発明に係る芯材に関し、ポリエステル系バインダーに繊維状のバインダーを採用して、混合工程にて、該バインダーを主材の外周に巻き付けるか又は被覆して混合体を成形するようにして好適である。また、主材を60〜80重量%、バインダーを20〜40重量%となるように混合体を成形して好適である。このような芯材によれば、畳のクッション性を適度にでき、畳糸が通り難かったり、畳が割れたりする不都合を抑制できる。また、畳糸が芯材に食い込んで、芯材がちぎれたり折れたりするなどの不都合を抑制できる。また、ポリエステル系繊維の採用により、揮発性有機化合物(VOC)発生の問題を回避できる。
【0036】
また、本発明に係る下補強板および上補強板は、畳床の曲げ剛性を高めるためのものである。そして、本発明の下補強板および上補強板は紙製であるので、畳の厚み寸法および重量の大型化を抑制しつつ、低コストで補強板としての機能を発揮させることができる。また、各補強板を紙製としたことで、樹脂製の補強板を採用した場合に比べて第1乃至第4接着材での接着性を高めることができる。また、各補強板の厚み寸法は1.5mm〜2.5mm、より好ましくは1.7mm〜2.0mmが好適である。
【0037】
また、撥水性を有した紙を採用することで、下補強板および上補強板が空気中の水分を吸収してしまうことを抑制できるので、下補強板および上補強板の強度低下防止を図ることができる。なお、「撥水性を有した紙」の材質例としては、紙に石灰分を含浸させたものが挙げられる。
【0038】
また、本発明に係る防湿シートは、畳を住居の床に敷き並べた際に床上の水分が紙製の下補強板に浸透してしまうことを防止して、下補強板の劣化防止を図るためのものであり、材質例としてポリプロピレンが挙げられる。また、防湿シートの厚み寸法は0.02mm〜0.25mmが好適である。
【0039】
また、防湿シートを製造するにあたり、台紙の上にポリプロピレン等の樹脂膜を載せ、台紙と樹脂膜を加熱プレスすることで、溶解した樹脂膜を台紙中に含浸させるようにして好適である。これによれば、防湿シートの厚み寸法を薄く(例えば0.025mm)できるとともに熱伝導率を向上できる。さらに、このようにして製造された防湿シートは、冷却されると上側(台紙に対して樹脂膜が載せられた側)が凸となるように変形しようとする。従って、下側が凸となるように変形しようとする畳床の挙動を抑制することができ、好適である。
【0040】
また、本発明の実施にあたり、第1および第4接着材には、酢酸ビニル系その他の熱可塑性樹脂系接着材や、でんぷん、デキストリンその他のでんぷん系接着材を用いて好適である。また、第2および第3接着材には、水性アクリル系の接着材や、2液反応型の変性酢酸ビニル系の接着材を用いて好適である。
【0041】
また、本発明に係るクッション材の材質例として、ポリエチレンフォーム等の発泡性樹脂や、不織布等が挙げられる。クッション材の厚み寸法は0.5mm〜2.0mmが好適である。
【0042】
ところで、畳表は、畳床に縫い付ける製造方法の他に、畳床に接着する製造方法もある。畳表を縫い付ける製造方法では、図7に例示される如く、畳の生産設備の最終工程で、本来は真っ直ぐな畳床10の両端を機械M8で挟んで無理やり畳床10を下方に撓ませ、畳床10に畳表20を被せ、その状態で、畳床10の両端を畳糸21で縫うのである。畳糸21で縫製後、応力を解除すると、反発力で畳床10は真っ直ぐになり、畳表20がピーンと張った張設状態となる。この張設状態が畳には絶対不可欠である。一方、畳表を接着する製造方法では、畳表にしわが寄ってしまい、前述の張設状態にすることができない。
【0043】
このように、畳表は接着するよりも縫い付けた方が良質な仕上がりの畳となるが、請求項1に記載の如く、一般畳床構成部材の各々を接着により一体化する構造の畳床では、この畳床に畳表を縫い付ける作業を行うにあたり、第1および第2接着材が縫製針に付着することに起因して、畳表を縫う糸が切れるといった不具合の生じる可能性が高くなってしまうことが分かった。そこで、請求項2に記載の一般畳床の製造方法によれば、前記第1および第2接着材の塗布範囲を、畳表の縫糸で縫われる部分を除いた範囲に設定するので、前述のような糸切れの不具合の可能性を低減できる。
【0044】
請求項3に記載の床暖房用畳床の製造方法によれば、第1および第2接着材による接着面積が前記塗布範囲の全面積に対して30%〜50%となるので、接着強度が高すぎて畳床の曲げ剛性が過剰にならないようにすることを容易に調節することができる。特に、縦寸法と幅寸法が同じとなる半畳の畳床においては、このような曲げ剛性調整の容易化による効果は極めて有効である。また、塗布範囲の全面積を接着面とした場合に比べて接着材の塗布量を減らすことができるので、材料コストを削減できるとともに、接着材を塗布する作業に係る作業者の負担を軽減できる。
【0045】
また、畳床に畳縁を縫い付ける作業を行うにあたっても同様にして、前記接着に用いる接着材が縫製針に付着することに起因して、畳縁を縫う糸が切れてしまうといった不具合の生じる可能性がある。そこで、請求項4に記載の一般畳床の製造方法によれば、第1乃至第4接着材の塗布範囲を、畳縁の縫糸で縫われる部分を除いた範囲に設定するので、前述のような糸切れの不具合の可能性を低減できる。
【0046】
請求項5に記載の床暖房用畳床の製造方法によれば、第1乃至第4接着材による接着面積が前記塗布範囲の全面積に対して30%〜50%となるので、接着強度が高すぎて畳床の曲げ剛性が過剰にならないようにすることを容易に調節することができる。特に、縦寸法と幅寸法が同じとなる半畳の畳床においては、このような曲げ剛性調整の容易化による効果は極めて有効である。また、塗布範囲の全面積を接着面とした場合に比べて接着材の塗布量を減らすことができるので、材料コストを削減できるとともに、接着材を塗布する作業に係る作業者の負担を軽減できる。
【0047】
請求項6に記載の床暖房用畳床の製造方法によれば、請求項1に記載の発明と同様にして、畳床製造の作業効率を飛躍的に向上できるとともに、畳小売店における畳床保管場所確保の問題、畳床縫製機のイニシャルコストの問題、および畳床縫製機の設置スペースの問題を一挙に解消することができ、請求項1と同様の効果が発揮される。
【0048】
なお、請求項6に係る各補強板および芯材の材質例、厚み寸法例は、請求項1に係る材質例および厚み寸法例を援用する。また、本発明に係る床暖房用畳床の芯材に関し、単位面積あたりの重量が2.0kg/m〜3.0kg/mの芯材を用いて好適である。また、本発明に係る畳床は、厚み寸法が7mm〜24mm、より好ましくは9mm〜12mmの畳床に用いて好適である。
【0049】
請求項7乃至10に記載の床暖房用畳床の製造方法によれば、請求項2乃至5に記載の発明と同様にして、糸切れの不具合の可能性を好適に低減できる。
【0050】
請求項11に記載の一般畳床によれば、一般畳床構成部材の各々は接着材で一体化されるので、畳床を製造するにあたり、重労働かつ熟練作業となっていた従来の縫製作業を、機械化および自動化が容易な接着作業に置き換えることができる。しかも、芯材を加熱圧縮すると同時に一般畳床構成部材の各接着を行うことができるので、畳床製造の作業効率を飛躍的に向上できる。また、請求項1に記載の発明と同様にして、畳小売店における畳床保管場所確保の問題、畳床縫製機のイニシャルコストの問題、および畳床縫製機の設置スペースの問題を一挙に解消することができ、請求項1と同様の効果が発揮される。なお、請求項11に係る一般畳床構成部材の材質例および厚み寸法例は、請求項1に係る材質例および厚み寸法例を援用する。
【0051】
請求項12および請求項15に記載の一般畳床によれば、請求項2乃至請求項5に記載の発明と同様にして、糸切れの不具合の可能性を好適に低減できる。
【0052】
請求項16に記載の床暖房用畳床によれば、請求項11に記載の発明と同様にして、畳床製造の作業効率を飛躍的に向上できるとともに、畳小売店における畳床保管場所確保の問題、畳床縫製機のイニシャルコストの問題、および畳床縫製機の設置スペースの問題を一挙に解消することができ、請求項11と同様の効果が発揮される。なお、請求項16に係る各補強板および芯材の材質例、厚み寸法例は、請求項11に係る材質例および厚み寸法例を援用する。
【0053】
請求項17および請求項19に記載の床暖房用畳床によれば、請求項13および請求項15に記載の発明と同様にして、糸切れの不具合の可能性を好適に低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
以下に、本発明の好適な実施形態について図面を参照して説明する。尚、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることは無論である。
【0055】
(第1実施形態)
図1(a)は本実施形態に係る一般畳床10の断面図、図1(b)は(a)に示す一般畳床10に畳表20を縫い付けた状態を示す断面図、図1(c)は(b)に示す一般畳床10に畳縁30を縫い付けて畳が完成した状態を示す断面図である。
【0056】
はじめに、本実施形態に係る一般畳床10の構造を説明すると、図1(a)に示すように、下方から順に、非透水性の防湿シート11、撥水性を有した紙製の下補強板12、ポリエステル系繊維を主材とする芯材13、撥水性を有した紙製の上補強板14、クッション材15、を積層して、一般畳床10は構成されている。以下、これらの積層された各部材11,12,13,14,15を一般畳床構成部材11〜15と呼ぶ。
【0057】
一般畳床構成部材11〜15の各々は、接着材による接着で一体化されている。第1接着材S1は防湿シート11と下補強板12とを接着し、第2接着材S2は下補強板12と芯材13とを接着し、第3接着材S3は芯材13と上補強板14とを接着し、第4接着材S4は上補強板14とクッション材15とを接着する。
【0058】
一般畳床10は上方から見て長方形の形状であり、図2中の符号10aはその短手辺を示し、図2中の符号10bはその長手辺を示している。そして、畳表20は畳床10の短手辺10aを覆うように縫い付けられており、畳縁30は畳床10の長手辺10bを覆うように縫い付けられている。
【0059】
防湿シート11は、畳を住居の床に敷き並べた際に床上の水分が紙製の下補強板に浸透してしまうことを防止して、下補強板の劣化防止を図るためのものである。防湿シート11の材質例には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱可塑性樹脂が挙げられる。防湿シート11の厚み寸法は0.15mm〜0.25mmが好適である。
【0060】
下補強板12および上補強板14は、畳床10の曲げ剛性を高めるためのものである。そして、これらの下補強板12および上補強板14の材質には紙を採用しているので、畳の厚み寸法および重量の大型化を抑制しつつ、低コストで補強板としての機能を発揮させることができる。また、各補強板12,14を紙製としたことで、樹脂製の補強板を採用した場合に比べて第1乃至第4接着材S1〜S4での接着性を高めることができる。また、各補強板12,14の厚み寸法は1.7mm〜2.0mmが好適である。また、撥水性を有した紙を採用することで、下補強板12および上補強板14が空気中の水分を吸収してしまうことを抑制できるので、下補強板12および上補強板14の強度低下防止を図ることができる。
【0061】
クッション材15は、畳のクッション性を発揮させて、畳の上を歩く使用者の感触を良好にするためのものである。クッション材15の材質には、ポリエチレンフォームまたは不織布が採用されており、クッション材15の厚み寸法は0.5mm〜2.0mmが好適である。
【0062】
芯材13は、ポリエステル系繊維を主材とするものであり、主材よりも低融点であるポリエステル系バインダーと主材との混合体を加熱圧縮することで、混合体を所定の厚さ寸法に成形しつつバインダーにて主材同士を接着させて成形されたものである。より具体的には、芯材13は、60〜80重量%のポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す)繊維(融点250℃〜280℃)と、直線状のPET繊維(融点250℃〜280℃)の外周に該PET繊維より低融点(軟化点75℃)のPET系繊維を巻き付けるか又は被覆した20〜40重量%の二重繊維バインダーとが混綿された集合体13p(図4(a)参照)からなる、厚みが2〜30mmで目付けが1.0kg/m〜2.0kg/mの芯材2の厚みは例えば、11mmが好適である。芯材13の厚みを変えることで畳厚を変更できる。
【0063】
芯材13をあまりに硬く成型し剛性を高くすると、クッション性が損なわれ、畳としては不適となる。一方、芯材13をあまりに柔らかくして剛性を低くすると、形状安定性が損なわれ、畳としては不適となる。そこで、下補強板12および上補強板14で芯材13を挟み込むことで、畳床10として適切な硬さに設定することができる。これらの補強板12,14を付加しせずに畳床を構成した場合、これを畳枠に嵌め込むと、寸法のばらつき等に伴い、畳の表面に凹凸ができるおそれがあり設置条件によっては好ましくないからである。
【0064】
畳表20は和紙畳表、ポリプロピレン、ポリエチレン、藺草畳表等の材質が挙げられる。畳縁30はナイロン等の一般的なもので良い。藺草畳表及び和紙畳表の場合、全体の厚み寸法は2.0mm、化学畳表の場合、厚みは2.5mmが例示できるが、これに限らない。畳床10の厚み寸法は例えば、11mm〜14mmが好適である。
【0065】
第1接着材S1および第4接着材S4には、酢酸ビニル系その他の熱可塑性樹脂系接着材や、でんぷん、デキストリンその他のでんぷん系接着材を用いて好適である。また、第2接着材S2および第3接着材S3には、水性アクリル系の接着材や、2液反応型の変性酢酸ビニル系の接着材を用いて好適である。
【0066】
図2の斜線部分は第1および第2接着材S1,S2の塗布範囲を示し、図3の斜線部分は第3および第4接着材S3,S4の塗布範囲を示している。なお、これらの接着材S1〜S4はスプレーガンを用いた吹き付けによって塗布される。塗布しない部分にはマスキングが施され、その上から吹き付け作業が行われる。
【0067】
図2に示すように、第1および第2接着材S1,S2の塗布範囲は、畳床10のうち畳表20の縫糸21(図6(b)参照)で縫われる部分を除いた範囲、かつ、畳縁30の縫糸31(図6(d)参照)で縫われる部分を除いた範囲に設定されている。つまり、畳床10の外周を取り囲むようにしてマスキングが施される。図2に例示される畳床10は、長さ寸法Lが1820mm〜2000mm、幅寸法Wが910mm〜1000mmの仕様であり、この場合の幅方向におけるマスキング寸法A1は50mm〜70mmが好適であり、畳縁30の縫糸32で縫われる部分に相当する。また、長さ方向におけるマスキング寸法A2は70mm〜100mmが好適であり、畳表20の縫糸21で縫われる部分に相当する。
【0068】
また、図3に示すように、第3および第4接着材S3,S4の塗布範囲は、畳床10のうち畳縁30の縫糸32(図6(d)参照)で縫われる部分を除いた範囲に設定されている。つまり、畳床10の長手辺10bに沿ってマスキングが施される。幅方向におけるマスキング寸法A1は50mm〜70mmが好適である。
【0069】
このように、接着材S1〜S4が塗布されない領域を設けることで、畳床10に畳表20および畳縁30を縫い付ける作業を行うにあたり、各接着材S1〜S4が縫製針に付着することに起因して、畳表20および畳縁30を縫う糸21,32が切れるといった不具合の生じる可能性を低減させることができる。
【0070】
なお、畳縁30の縫糸32は、防湿シート11、下補強板12、芯材13、上補強板14およびクッション材15の全てを貫通するように縫われる。つまり、第1乃至第4接着材S1〜S4の全てを貫通する。よって、畳床10のうち畳縁30の縫糸32で縫われる部分は、全ての接着材S1〜S4についてマスキングにより塗布されないようにする必要がある。これに対し、畳表20の縫糸21は、防湿シート11、下補強板12および芯材13のみを貫通するように縫われる。つまり、第1および第2接着材S1,S2のみを貫通する。よって、畳床10のうち畳表20の縫糸21で縫われる部分は、第1および第2接着材S1,S2についてのみマスキングにて塗布されないようにすればよい。
【0071】
次に、本実施形態に係る一般畳床10の製造方法を説明する。
【0072】
(1)原単工程
図4(a)の通り、PETボトルの再生チップを溶かし、PET繊維に成形し、この繊維を綿状の集合体13pとする。この集合体13pが芯材13の主材となる。綿状の集合体とする技術は各種の一般的な技術に従っているので、詳細は割愛する。
【0073】
(2)混綿工程
図4(b)の通り、ブロック状の圧縮繊維の集合体13pを開繊機(図示略)で開繊し開繊維13qとする。
【0074】
(3)計量工程
開繊維13qと二重繊維バインダー13rとをそれぞれ計量し、開繊維13qが70重量%で二重繊維バインダー13rが30重量%とする。二重繊維バインダー13rの重量比率は20〜40重量%が好ましい。開繊維13qは前記のPET繊維に該当し、二重繊維バインダー13rは前記したPET繊維にスパイラル繊維を巻きつけたものに該当する。前記の芯材13は開繊維13q(融点250℃〜280℃)と二重繊維バインダー13rを原料とするものである。この二重繊維バインダー13rは、例えば、芯繊維(融点250℃〜280℃)より融点が低い低融点成分を使用したスパイラル繊維(軟化点75℃)を巻きつけた複合繊維である。例として、芯繊維に通常のPET繊維成分を使用し、スパイラル繊維にこれよりも低融点のPET系繊維を、芯繊維とスパイラル繊維の融点の差が所定温度差(例えば175℃)となるように設定した複合繊維が挙げられる。
【0075】
(4)ブレンド工程(混合工程)
図4(c)の通り、前記計量工程で計量した開繊維13qに計量した二重繊維バインダー13rを投入し、これを混合機(図示略)でブレンドする。
【0076】
(5)コーミング工程
図4(d)の通り、前記ブレンド工程でブレンドされたブレンド繊維(混合体)13sを、針を周設した2つのロールM1の間を通し梳いて繊維の方向を揃えながら定量的に薄い不織布13tに成形する。
【0077】
(6)マット・フォーミング工程
前記の連続的に形成される薄い不織布13tを進行方向に揺れ動かしながら供給する揺動装置(図示略)により、図4(d)の通り、不織布13tをずらしながら斜めに重ね目付けを設定してゆく。この揺動装置の振り幅を狭くすれば、目付けが大きくなり、この揺動装置の振り幅を広くすれば、目付けを少なく設定できる。つぎに、図5(e)の通り、こうして重ね合わされた不織布13uを熱風乾燥炉M2に送り込み、120℃〜250℃の熱風で圧締し嵩を低くし、冷風炉M3で冷却したものが1枚のマット13vになる。熱風の量で二重繊維バインダー13rの溶ける量を調整することで、マット13vの厚みを調整するのである。マット13vをそのまま次の工程に送りこんでもよいが、図4(d)の工程に戻して処理を繰り返してもよい。冷却後のマット13vはスリット刃でカットし採寸する。
【0078】
(7)接着材塗布工程
本工程は、上記(1)〜(6)の工程とは別工程で行われる工程であり、下補強板12の下面に第1接着材S1を、上面に第2接着材S2を塗布する。また、上補強板14の下面に第3接着材S3を、上面に第4接着材S4を塗布する。これらの接着材S1〜S4をスプレーガンにて塗布するにあたり、前述した図2および図3の斜線に示す塗布範囲となるように、各補強板12,14の両面にマスキングを施した上で塗布する。
【0079】
(8)積層設置工程
上記(1)〜(7)の各工程が行われた後、防湿シート11、接着材S1,S2が塗布された下補強板12、マット13v、接着材S3,S4が塗布された上補強板14、およびクッション材15を、図5(f)の通り、プレス用の金型M4,M5内に積層設置する。なお、マット13vは複数枚積層するようにしてもよい。
【0080】
(9)ホットプレス工程(熱圧着工程)
次に、図5(f)の通り、可動側の金型M4を下降させて、金型M4,M5内に積層設置された一般畳床構成部材11〜15をホットプレス(加熱圧縮)する。このホットプレスの温度は150〜250℃(本実施形態では180℃)が好ましく、圧力は5MPa〜40MPaが好ましい。そして、ホットプレスした状態を30秒〜120秒間維持させると、二重繊維バインダー13rの外周の低融点のスパイラル繊維及びポリエチレンが融ける。
【0081】
金型M4のプレスストロークはディスタンスバー(図示略)で規制されるようになっており、このプレスストロークにて厚みを調整する。マット13vの目付けは1.0kg/m〜2.0kg/m、より好ましくは1.25kg/mが好ましい。その目付けを3.0kg/mと設定する場合は、目付けが1.5kg/mのマットを2枚重ねする。
【0082】
ホットプレスによりマット13vが熱圧縮されると、二重繊維バインダー13rのうち低融点のPET系繊維ポリエチレンが溶けて、主材となる開繊維13q同士が二重繊維バインダー13rにて接着し、芯材13が成形される。そして、このように芯材13が成形されると同時に、第1〜第4接着材S1〜S4によって、一般畳床構成部材11〜15の各々は接着されて一体化される。
【0083】
(10)コールドプレス工程
上記ホットプレス工程の後、図示しないコールドプレス用金型にて被プレス物を冷却することで硬化(圧締)させ、その形状を固定する。コールドプレスの温度は30℃、圧力は5MPa〜40MPaが好ましい。プレスストロークをディスタンスバー(図示略)で規制することで最終的に厚み或いは密度を調整することができる。ホットプレス用金型装置とコールドプレス用金型装置とは1つのコンベアラインを構成することが好ましい。
【0084】
以上の(1)〜(10)の工程により、畳床10は製造される。これらの畳床製造工程は、一般畳床構成部材11〜15の材料メーカーの工場にて行われる。そして、消費者からの注文を受けて製造販売する畳小売店では、消費者から畳の注文があった後に材料メーカーに畳床10を発注して購入し、購入した畳床10に畳表20および畳縁30を縫い付ける畳製造工程を行う。以下に、畳製造工程(11)〜(16)を簡単に説明する。
【0085】
(11)裏削ぎ工程
はじめに、下補強板12のうち短手方向に延びるマスキング部分(図2の符号A2に示す部分)を、カッター、ハサミにて手作業で削ぎ剥がす。これにより、図1中の符号10cに示すように、畳床の裏面には短手方向に延びる凹部(畳表逃がし部)10cが形成される。なお、前述の接着材塗布工程を行う前において、下補強板12の長手方向寸法を、畳床10の長手方向寸法より短く設定しておいて、下補強板12短手方向に延びるマスキングを不要にするとともに、この裏削ぎ工程を廃止するようにしてもよい。
【0086】
(12)切断工程
次に、図6(a)の通り、幅決め機(図示略)のカッターM6で、畳床10の短手辺10a(畳表逃がし部10cのある側)をテーパに切断する。前記ホットプレス工程及びコールドプレス工程で製造された畳床10の端部は、成型が不均一のおそれがあるからである。
【0087】
(13)畳表縫付工程
次に、図6(b)の通り、畳床10の幅方向の側に畳表20を巻いて取り付け、畳表縫い機(図示略)により畳糸21で縫い付ける。この畳糸21は、芯材13の側方から、芯材13、下補強板12、防湿シート11を貫通するように縫い付けられる。この縫い付けに用いる縫製針は、前記マスキングによって設定された図3の接着材塗布範囲の設定により、第1および第2接着材S1,S2に接触することはない。
【0088】
図7は、畳表20を縫い付ける手順を説明する模式図であり、はじめに、図7(a)の通り、本来は真っ直ぐな畳床10の両端を機械M8で挟んで無理やり畳床10を下方に撓ませる。次に、図7(b)の通り畳床10に畳表20を被せ、その状態で、畳床10の両端を畳糸21で縫うのである。次に、畳糸21で縫製後、応力を解除すると、図7(c)の通り反発力で畳床10は真っ直ぐになり、畳表20が張設状態となる。この張設状態が一般畳には絶対不可欠である。
【0089】
(14)長さ切断工程
次に、図6(c)の通り、幅方向の両端部を丸鋸M7でテーパに切断する。
【0090】
(15)畳縁縫付工程
次に、図6(d)の通り、前記丸鋸M7による切断面を覆うように畳縁30を取り付けて、縁付け機(図示略)により畳糸31,32で縫い付ける。この畳糸32は、防湿シート11、下補強板12、芯材13、上補強板14およびクッション材15の全てを貫通するように縫い付けられる。この縫い付けに用いる縫製針は、前記マスキングによって設定された図2の接着材塗布範囲の設定により、各接着材S1,S2,S3,S4に接触することはない。
【0091】
以上により、本実施形態によれば、一般畳床構成部材11〜15は各接着材S1〜S4で一体化されるので、畳床10を製造するにあたり、重労働かつ熟練作業となっていた従来の縫製作業を、機械化および自動化が容易な接着材塗布工程(7)および積層設置工程(8)に置き換えることができる。しかも、熱圧着工程(9)にて、芯材13を成形すると同時に第1乃至第4接着材S1〜S4による接着を行うことができるので、畳床製造の作業効率を飛躍的に向上できる。
【0092】
また、一般畳床構成部材11〜15の各々を接着により一体化することで、熟練作業が要求されなくなるので、これらの一般畳床構成部材11〜15を製造する材料メーカーにて接着材塗布工程(7)および積層設置工程(8)の作業を行うことができる。つまり、従来では畳小売店でしか行えなかった畳床製造工程が、本発明により前記材料メーカーで全て行えるようになり、畳小売店では畳床製造工程を廃止することができる。従って、畳小売店では、畳床を作り置きしておく必要がなくなり、消費者から畳の注文があった後に材料メーカーに畳床を発注して購入すればよい。よって、畳小売店における畳床保管場所確保の問題、畳床縫製機のイニシャルコストの問題、および畳床縫製機の設置スペースの問題を一挙に解消することができる。
【0093】
また、熱圧着工程(9)にてプレス用の金型M4のプレスストロークを調節することで、芯材13の厚み寸法を容易に調節することができるので、畳床全体の厚み寸法を容易に調節することができ、ひいては一層畳床製造の作業効率をより一層向上できる。
【0094】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では一般畳床10の構造および製造方法を対象とするのに対し、本実施形態では、床暖房用畳床110の構造および製造方法を対象とする。図8(a)は本実施形態に係る床暖房用畳床110の断面図、図8(b)は(a)に示す床暖房用畳床110に畳表20を縫い付けた状態を示す断面図、図8(c)は(b)に示す床暖房用畳床110に畳縁30を縫い付けて畳が完成した状態を示す断面図である。第1実施形態の構成要素に対応する本実施形態の構成要素の説明は、図中の符号を100番台として説明を援用する。
【0095】
本実施形態に係る床暖房用畳床110の構造を説明すると、図8(a)に示すように、下方から順に、非透水性の防湿シート111、撥水性を有した紙製の下補強板112、ポリエステル系繊維を主材とする芯材113、撥水性を有した紙製の上補強板114を積層して、床暖房用畳床110は構成されている。以下、これらの積層された各部材111,112,113,114を床暖房用畳床構成部材111〜114と呼ぶ。第1実施形態と構造上異なる点は、クッション材15および第4接着材S4を廃止している点である。
【0096】
一般に、床暖房用の畳では、畳上の人の体温を上昇させ、血行がよくなるため、足しびれ等が抑制される。よって、クッション材15を廃止している。また、クッション材15の廃止により、畳表20の表面温度を素早く上昇させることができる。
【0097】
また、一般畳床10に用いられる芯材13は、目付けを1.0kg/m〜2.0kg/mにすることが好適であったのに対し、床暖房用畳床110に用いられる芯材113は、目付けを2.0kg/m〜3.0kg/mにすることが好適である。床暖房用畳床110に用いられる芯材113の材質および製造方法は、一般畳床10に用いられる芯材13の材質および製造方法と同様である。
【0098】
また、各補強板112,114の材質および厚み寸法も第1実施形態の各補強板12,14と同様である。そして、一般畳床10全体の厚み寸法は11mm〜14mmが好適であったのに対し、床暖房用畳床110全体の厚み寸法は9mm〜12mmが好適であり、このような厚み寸法となるように芯材113の厚み寸法は調節される。また、接着材S1〜S3も第1実施形態と同様の接着材を採用する。
【0099】
床暖房用畳床110の製造方法は、一般畳床10の製造方法と同様であり、材料メーカーにおける(1)原単工程、(2)混綿工程、(3)計量工程、(4)ブレンド工程(混合工程)、(5)コーミング工程、(6)マット・フォーミング工程、(7)接着材塗布工程、(8)積層設置工程、(9)ホットプレス工程(熱圧着工程)、(10)コールドプレス工程、から床暖房用畳床110は製造される。また、畳製造工程も同様にして、畳小売店における(11)裏削ぎ工程、(12)切断工程、(13)畳表縫付工程、(14)長さ切断工程、(15)畳縁縫付工程、から床暖房用の畳が製造される。
【0100】
以上により、本実施形態によっても第1実施形態と同様の効果が発揮される。すなわち、床暖房用畳床構成部材111〜114は各接着材S1〜S3で一体化されるので、床暖房用畳床110を製造するにあたり、重労働かつ熟練作業となっていた従来の縫製作業を、機械化および自動化が容易な接着材塗布工程(7)および積層設置工程(8)に置き換えることができる。しかも、熱圧着工程(9)にて、芯材113を成形すると同時に第1乃至第3接着材S1〜S3による接着を行うことができるので、畳床製造の作業効率を飛躍的に向上できる。
【0101】
また、床暖房用畳床構成部材111〜114の各々を接着により一体化することで、熟練作業が要求されなくなるので、これらの一般畳床構成部材11〜15を製造する材料メーカーにて接着材塗布工程(7)および積層設置工程(8)の作業を行うことができる。従って、畳小売店では、床暖房用畳床110を作り置きしておく必要がなくなり、消費者から畳の注文があった後に材料メーカーに床暖房用畳床110を発注して購入すればよい。よって、畳小売店における畳床保管場所確保の問題、畳床縫製機のイニシャルコストの問題、および畳床縫製機の設置スペースの問題を一挙に解消することができる。
【0102】
また、熱圧着工程(9)にてプレス用の金型M4のプレスストロークを調節することで、芯材113の厚み寸法を容易に調節することができるので、床暖房用畳床110全体の厚み寸法を容易に調節することができ、ひいては床暖房用畳床110製造の作業効率をより一層向上できる。
【0103】
(第3実施形態)
上記第1および第2実施形態では、第1および第2接着材S1,S2の塗布範囲(図2の斜線に示す範囲)の全面に第1および第2接着材S1,S2を塗布しているのに対し、本実施形態では、第1および第2接着材S1,S2を図2の斜線に示す塗布範囲の一部分に塗布することで、第1および第2接着材S1,S2による接着面積が前記塗布範囲の全面積に対して30%〜50%となるようにしている。
【0104】
具体的には、第1および第2接着材S1,S2を、図9(a)に例示されるように複数のドットを集合させたパターンにて塗布してもよいし、図9(b)に例示されるように線状に延びるパターンにて塗布(ビート塗布)してもよい。図9(a)の例では、ドット形状所を円形としており、ドット直径が30mm〜50mm、ドットピッチが100mm〜150mmとなるように設定することが望ましい。なお、第1実施形態の構成要素に対応する本実施形態の構成要素の説明は、図9中の符号を200番台として説明を援用する。
【0105】
また、上記第1および第2実施形態では、畳床10の外周を取り囲むようにしてマスキングが施されるのに対し、本実施形態では、畳床10の外周を取り囲む部分に加え、畳床10の中央にて幅方向に延びる部分をもマスキングが施されている。これによれば、図9(a)(b)中の2点鎖線に示す部分で畳床10を切断して、長さ寸法が図中のL’に示す寸法となる半畳用の畳床10として利用する場合であっても、切断後の畳床10はその外周を取り囲む部分がマスキングされていることとなり、1畳用の畳床10として利用する場合と同様に糸切れ不具合の可能性を低減できる。従って、中央の幅方向に延びる部分をもマスキングの幅寸法は、外周を取り囲む部分の幅寸法A2の2倍の寸法に設定することが望ましい。
【0106】
以上により、本実施形態によれば、第1および第2接着材S1,S2による接着面積が前記塗布範囲の全面積に対して30%〜50%となるので、接着強度が高すぎて畳床の曲げ剛性が過剰にならないようにすることを容易に調節することができる。また、塗布範囲の全面積を接着面とした場合に比べて接着材の塗布量を減らすことができるので、材料コストを削減できるとともに、接着材を塗布する作業に係る作業者の負担を軽減できる。また、半畳用の畳床10として利用する場合であっても、1畳用の畳床10として利用する場合と同様に糸切れ不具合の可能性を低減できる。
【0107】
また、本実施形態では、第1および第2接着材S1,S2のみについて言及しているが、第3および第4接着材S3,S4についても接着面積が図3の斜線に示す塗布範囲の全面積に対して30%〜50%となるようにすれば、上記効果と同様の効果を発揮させることができる。
【0108】
(第4実施形態)
上記第1および第2実施形態では、第3および第4接着材S3,S4の塗布範囲を、畳床10の長手辺10bに沿ってマスキングを施すことにより、畳床10のうち畳縁30の縫糸32で縫われる部分を除いた範囲(図3の斜線部)に設定している。これに対し、本実施形態では、第3および第4接着材S3,S4の塗布範囲を、畳床10の外周を取り囲むようにマスキングを施すことにより、図2に示す第1および第2接着材S1,S2の塗布範囲と同様の塗布範囲としている。これによれば、防湿シート11と畳表20とを縫い合わせる場合等、畳床10の短手辺10a部分を上下方向に縫糸で貫通させる場合において、その縫糸が切れるといった不具合の生じる可能性を低減させることができる。
【0109】
また、本実施形態の変形例として、第3および第4接着材S3,S4の塗布範囲を、畳床10の外周を取り囲むようにマスキングを施すことに加え、畳床10の中央にて幅方向に延びる部分をもマスキングすることにより、図9に示す第1および第2接着材S1,S2の塗布範囲と同様の塗布範囲とすることが挙げられる。
【0110】
(他の実施形態)
第1および第2接着材S1,S2の塗布範囲に関し、第1および第2実施形態においても第3実施形態と同様に、畳床10の中央にて幅方向に延びる部分をマスキングするようにして好適である。
また、上記第1乃至第3実施形態では、第1乃至第4接着材S1,S2,S3,S4の塗布範囲についてマスキングする旨を言及しているが、本発明の実施にあたり、第1乃至第4接着材S1,S2,S3,S4のうち選択された任意の接着材の塗布範囲についてのみマスキングするようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の第1実施形態に係る一般畳床10を示す断面図であり、(a)は一般畳床単体を示し、(b)は一般畳床10に畳表20を縫い付けた状態を示し、(c)は一般畳床10に畳表20および畳縁30を縫い付けた状態を示している。
【図2】第1実施形態に係る第1および第2接着材S1,S2の、塗布範囲を示す平面図である。
【図3】第1実施形態に係る第3および第4接着材S3,S4の、塗布範囲を示す平面図である。
【図4】第1実施形態に係る一般畳床10の製造工程を説明する図であり、(a)は原単工程、(b)は混綿工程、(c)はブレンド工程、(d)はコーミング工程を示す。
【図5】第1実施形態に係る一般畳床10の製造工程を説明する図であり、(e)はマット・フォーミング工程、(f)は積層設置工程およびホットプレス工程を示す。
【図6】第1実施形態に係る一般畳床10を用いた畳製造工程を説明する図であり、(a)は切断工程、(b)は畳表縫付工程、(c)は長さ切断工程、(d)は畳縁縫付工程を示す。
【図7】(a)〜(c)は、図6の畳表縫付工程を詳細に説明する図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る床暖房用畳床110を示す断面図であり、(a)は床暖房用畳床110単体を示し、(b)は床暖房用畳床110に畳表20を縫い付けた状態を示し、(c)は床暖房用畳床110に畳表20および畳縁30を縫い付けた状態を示している。
【図9】(a)および(b)は、本発明の第3実施形態に係る第1および第2接着材S1,S2の塗布パターンを示す平面図である。
【図10】特許文献1に記載の畳床の構造を例示する、畳床210単体を示す断面図である。
【符号の説明】
【0112】
10…一般畳床 11…防湿シート(一般畳床構成部材)
12…下補強板(一般畳床構成部材) 13…芯材(一般畳床構成部材)
14…上補強板(一般畳床構成部材) 15…クッション材(一般畳床構成部材)
20…畳表 30…畳縁 S1…第1接着材 S2…第2接着材
S3…第3接着材 S4…第4接着材 M4,M5…プレス用の金型
110…床暖房用畳床 111…防湿シート(床暖房用畳床構成部材)
112…下補強板(床暖房用畳床構成部材) 113…芯材(床暖房用畳床構成部材)
114…上補強板(床暖房用畳床構成部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方から順に、非透水性の防湿シート、撥水性を有した紙製の下補強板、ポリエステル系繊維を主材とする芯材、撥水性を有した紙製の上補強板、クッション材、を積層して構成された一般畳床の製造方法であって、
前記主材よりも低融点であるポリエステル系バインダーと前記主材との混合体を成形する混合工程と、
前記防湿シートと前記下補強板とを接着させる第1接着材を前記防湿シート又は前記下補強板に塗布し、前記下補強板と前記混合体とを接着させる第2接着材を前記下補強板又は前記混合体に塗布し、前記混合体と前記上補強板とを接着させる第3接着材を前記混合体又は前記上補強板に塗布し、前記上補強板と前記クッション材とを接着させる第4接着材を前記上補強板又は前記クッション材に塗布する接着材塗布工程と、
その後、前記防湿シート、前記下補強板、前記混合体、前記上補強板および前記クッション材をプレス用の金型内に積層設置する積層設置工程と、
その後、前記金型で加熱圧縮することで、前記混合体を所定の厚さ寸法に成形しつつ前記バインダーにて前記主材同士を接着させて前記芯材を成形すると同時に、前記第1乃至第4接着材による接着を行う熱圧着工程と、
を備えることを特徴とする一般畳床の製造方法。
【請求項2】
前記接着材塗布工程を行うにあたり、前記第1および第2接着材の塗布範囲を、畳表の縫糸で縫われる部分を除いた範囲に設定することを特徴とする請求項1に記載の一般畳床の製造方法。
【請求項3】
前記第1および第2接着材を、複数のドットを集合させたパターン又は線状に延びるパターンにて塗布することで、前記第1および第2接着材の塗布範囲の全面積に対して30%〜50%の面積が接着面となるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の一般畳床の製造方法。
【請求項4】
前記接着材塗布工程を行うにあたり、前記第1乃至第4接着材の塗布範囲を、畳縁の縫糸で縫われる部分を除いた範囲に設定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の一般畳床の製造方法。
【請求項5】
前記第1乃至第4接着材を、複数のドットを集合させたパターン又は線状に延びるパターンにて塗布することで、前記第1乃至第4接着材の塗布範囲の全面積に対して30%〜50%の面積が接着面となるようにしたことを特徴とする請求項4に記載の一般畳床の製造方法。
【請求項6】
下方から順に、非透水性の防湿シート、撥水性を有した紙製の下補強板、ポリエステル系繊維を主材とする芯材、撥水性を有した紙製の上補強板、を積層して構成された床暖房用畳床の製造方法であって、
前記主材よりも低融点であるポリエステル系バインダーと前記主材との混合体を成形する混合工程と、
前記防湿シートと前記下補強板とを接着させる第1接着材を前記防湿シート又は前記下補強板に塗布し、前記下補強板と前記混合体とを接着させる第2接着材を前記下補強板又は前記混合体に塗布し、前記混合体と前記上補強板とを接着させる第3接着材を前記混合体又は前記上補強板に塗布する接着材塗布工程と、
その後、前記防湿シート、前記下補強板、前記混合体および前記上補強板をプレス用の金型内に積層設置する積層設置工程と、
その後、前記金型で加熱圧縮することで、前記混合体を所定の厚さ寸法に成形しつつ前記バインダーにて前記主材同士を接着させて前記芯材を成形すると同時に、前記第1乃至第3接着材による接着を行う熱圧着工程と、
を備えることを特徴とする床暖房用畳床の製造方法。
【請求項7】
前記接着材塗布工程を行うにあたり、前記第1および第2接着材の塗布範囲を、畳表の縫糸で縫われる部分を除いた範囲に設定することを特徴とする請求項6に記載の床暖房用畳床の製造方法。
【請求項8】
前記第1および第2接着材を、複数のドットを集合させたパターン又は線状に延びるパターンにて塗布することで、前記第1および第2接着材の塗布範囲の全面積に対して30%〜50%の面積が接着面となるようにしたことを特徴とする請求項7に記載の床暖房用畳床の製造方法。
【請求項9】
前記接着材塗布工程を行うにあたり、前記第1乃至第4接着材の塗布範囲を、畳縁の縫糸で縫われる部分を除いた範囲に設定することを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1つに記載の床暖房用畳床の製造方法。
【請求項10】
前記第1乃至第4接着材を、複数のドットを集合させたパターン又は線状に延びるパターンにて塗布することで、前記第1乃至第4接着材の塗布範囲の全面積に対して30%〜50%の面積が接着面となるようにしたことを特徴とする請求項9に記載の床暖房用畳床の製造方法。
【請求項11】
下方から順に、非透水性の防湿シート、撥水性を有した紙製の下補強板、ポリエステル系繊維を主材とする芯材、撥水性を有した紙製の上補強板、クッション材、を積層して構成されており、
前記芯材は、前記主材よりも低融点であるポリエステル系バインダーと前記主材との混合体を加熱圧縮することで、前記混合体を所定の厚さ寸法に成形しつつ前記バインダーにて前記主材同士を接着させて成形されたものであり、
前記防湿シート、前記下補強板、前記芯材、前記上補強板および前記クッション材の各々は、接着材による接着で一体化されていることを特徴とする一般畳床。
【請求項12】
前記防湿シートと前記下補強板を接着させる第1接着材と、前記下補強板と前記芯材を接着させる第2接着材とは、
畳表の縫糸で縫われる部分を除いた範囲に塗布されていることを特徴とする請求項11に記載の一般畳床。
【請求項13】
前記第1および第2接着材を、複数のドットを集合させたパターン又は線状に延びるパターンにて塗布することで、前記第1および第2接着材の塗布範囲の全面積に対して30%〜50%の面積が接着面となるようにしたことを特徴とする請求項12に記載の一般畳床。
【請求項14】
前記防湿シートと前記下補強板を接着させる第1接着材と、前記下補強板と前記芯材を接着させる第2接着材と、前記芯材と前記上補強板を接着させる第3接着材と、前記上補強板と前記クッション材を接着させる第4接着材とは、
畳縁の縫糸で縫われる部分を除いた範囲で塗布されていることを特徴とする請求項11ないし13のいずれか1つに記載の一般畳床。
【請求項15】
前記第1乃至第4接着材を、複数のドットを集合させたパターン又は線状に延びるパターンにて塗布することで、前記第1乃至第4接着材の塗布範囲の全面積に対して30%〜50%の面積が接着面となるようにしたことを特徴とする請求項14に記載の一般畳床。
【請求項16】
下方から順に、非透水性の防湿シート、撥水性を有した紙製の下補強板、ポリエステル系繊維を主材とする芯材、撥水性を有した紙製の上補強板、を積層して構成されており、
前記芯材は、前記主材よりも低融点であるポリエステル系バインダーと前記主材との混合体を加熱圧縮することで、前記混合体を所定の厚さ寸法に成形しつつ前記バインダーにて前記主材同士を接着させて成形されたものであり、
前記防湿シート、前記下補強板、前記芯材および前記上補強板の各々は、接着材による接着で一体化されていることを特徴とする床暖房用畳床。
【請求項17】
前記防湿シートと前記下補強板を接着させる第1接着材と、前記下補強板と前記芯材を接着させる第2接着材とは、
畳表の縫糸で縫われる部分を除いた範囲に塗布されていることを特徴とする請求項16に記載の床暖房用畳床。
【請求項18】
前記第1および第2接着材を、複数のドットを集合させたパターン又は線状に延びるパターンにて塗布することで、前記第1および第2接着材の塗布範囲の全面積に対して30%〜50%の面積が接着面となるようにしたことを特徴とする請求項17に記載の床暖房用畳床。
【請求項19】
前記防湿シートと前記下補強板を接着させる第1接着材と、前記下補強板と前記芯材を接着させる第2接着材と、前記芯材と前記上補強板を接着させる第3接着材とは、
畳縁の縫糸で縫われる部分を除いた範囲に塗布されていることを特徴とする請求項16ないし18のいずれか1つに記載の床暖房用畳床。
【請求項20】
前記第1乃至第4接着材を、複数のドットを集合させたパターン又は線状に延びるパターンにて塗布することで、前記第1乃至第4接着材の塗布範囲の全面積に対して30%〜50%の面積が接着面となるようにしたことを特徴とする請求項19に記載の床暖房用畳床。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−45948(P2006−45948A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−229617(P2004−229617)
【出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(000133065)株式会社タケヒロ (16)
【出願人】(398020219)四国繊維販売株式会社 (4)
【出願人】(595110092)株式会社国枝 (3)
【Fターム(参考)】