説明

三次元CGアニメキャラクターのカスタム(個人化)製作システム

【課題】近年、三次元CGで人物の頭部形状を自動生成するツールとして、写真を用いたポリゴンベースでモデリングが利用されているが、生成された顔モデル形状は、過度にリアルになるため違和感が感じられ、親しみがわくキャラクターモデルとして利用し難い面がかった。また、後工程で専門デザイナーの手を入れるためには時間とコストがかかるという問題があった。
【解決手段】これに対して、三次元CGアニメ顔形状のカスタム製作(個人化)を行う場合、前記利用者の顔形状を、三次元モデリングソフト上の既構築シーンに配置されたアニメ顔形状に適用するモーフターゲットとして、アニメ顔形状のデフォルメ軽減と利用者の顔の特徴付加でバランスがとれた個人化アニメ顔モデルを製作することが容易となった。さらに該完成シーン画像を絵本、携帯電話、バック等と組み合わせることで、自身のキャラクター商品を容易に製作できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の三次元CG人物メッシュ形状をモーフィング合成する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、三次元コンピュータ・グラフィックス(いわゆるCG)で人物の頭部メッシュ形状を自動生成するツールとして、モデリング顔の形状はを3次元計測器や、写真を用いたポリゴンベースでモデリングを行っている。
【0003】
ユーザーの静止画像から顔の三次元形状とテクスチャを取得し、これらのデータから特徴点(目の端や鼻の位置などの特徴的な点)を用いて、データに適合するように顔の基本モデルを変形し顔のモデルを生成する。
【0004】
しかしながら、ユーザーの顔形状を作成しテクスチャを投影マップすることで忠実に再現した三次元顔モデル、いわゆる自身のフォトリアリスティックな三次元CG画像に対しては、写真やビデオ画像に対するものとは違い、本人が違和感を感じるケースが多い。
【0005】
この点について、最近、三次元CGアニメに登場する人物は顔のパーツ(目、口、鼻、眉毛、顔の輪郭)が意図的に誇張して作られているものが人気キャラクターとして好まれる傾向にある。この点、マンガの人気キャラクターも実際の人間とはかけ離れた形で顔形状がデフォルメ(特徴点が誇張)されている。
【0006】
従って、三次元CG人物顔形状のカスタム(個人化)製作を行う場合、前記自動顔モデリングソフトを用いて生成された形状をバランスよくデフォルメし、かつテクスチャもデフォルメされた形状に適合するように加工する必要が生じてくる。
【0007】
つまり、自動生成された三次元頭部メッシュ形状を、いかに効率よく、バランスのとれたアニメ形状に近づけることが必要となってくる。
【特許文献1】特開2005−228185号公報
【特許文献2】特開2005−78646号公報
【特許文献3】特開2004−5265号公報。
【0008】
特開2005−228185「携帯電話のような端末装置から送信された顔画像から自動的に似顔絵のイラストを生成し、利用者に要求に応じて似顔絵を基にして多種多様なキャラクターを作成して、携帯電話等に利用できるキャラクターの提供サービスを行う。」
このサービスは二次元画像をベースとするもので、ベース顔画像の特徴からキャラクターとなる画像に同様の特徴を付加せんとするものであり、最終的に本人が所望するキャラクターの表情等の微調整がし難い点が残る。
【0009】
特開2005−78646「映像に基づいたフォトリアリスティックな三次元の顔モデリング方法及び装置」可能な限り自動化を具現して、実際の人間らしい顔のモデリング方法がを提供されているが、三次元CG顔形状をキャラクターとして個人化する部分においては、リアリティのある画像に対し、本人が違和感を持つ場合が多い。
【0010】
特開2004−5265[顔画像の合成処理において、リアルな顔画像を合成するとともに、元の画像にはない特徴を付加する。」で、モーフィングにより二次元のベース顔画像を所望する顔画像に変えて楽しむことを提案しているか、本人の顔画像をベースとして、バランスよく特徴点を誇張したり、ベース画像にない特徴をバランスよく、かつ効率的に付加することは難しい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
人物の顔写真をマッピング(投影)することで忠実に再現したフォトリアリスティックな三次元頭部メッシュ頭部モデルを生成する技術は存在するが、写真の被写体となった自分を見る場合とは違い、その三次元CGモデルに対し、本人が違和感を感じるケースが多い。
【0012】
また、最近、人気が高い三次元CGアニメ動画に登場する人物は、顔のパーツ(目、口、鼻、眉、顔の輪郭等)が意図的に誇張されている。
しかしながら、三次元CG人物モデルを本人の顔の特徴を残しながら、バランスよくアニメ顔にデフォルメするためには、デザイナーとしての能力と時間と努力を要するという問題点があった。
【0013】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、個人の顔の特徴を反映させた個人化三次元CGアニメ画像をユーザーとインタラクティブにカスタム製作することができるモーフィング合成方法と、上記方法を実現させるためのプログラムを記録したコンピュータで読み出すことのできる記録媒体を提供することにその目的がある。
【0014】
こうした中で、個人化したキャラクターを絵本の挿絵、携帯電話の待ち受け画面、バッグ、文具等のキャラクタープリントとして利用することで、ニーズの高いキャラクター商品がオンデマンドで製作できるものと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するために、本発明の三次元CGアニメモデルのカスタム生成(個人化)方法は、ベースとなる三次元CGアニメの顔画像とユーザーの写真を用いて自動生成した三次元CG顔画像を提供するステップと、ユーザー顔画形状のテクスチャをアニメ顔形状に適用するための修正ステップと、上記ベース三次元CGアニメ顔形状に、三次元人物顔形状をモーフターゲットとしてモーフィング合成し、ベースアニメ顔形状のデフォルメ軽減と、ユーザーの顔の特徴付加画像を生成する特徴付加ステップと、を含むことを特徴としている。
【0016】
上記の方法および構成により、三次元CGアニメ顔形状と利用者の人物形状をモーフィングによって合成するため、専門デザイナーレベルのセンスと時間と努力を要せず、カスタム製作(個人化)することが可能で、バランスのとれたユーザーのためのアニメ顔画像が生成できる。加えて、顔のパーツごとに形状を任意の合成比率で手作業補間できるためベースアニメ顔形状の、どの部分のデフォルメを、どの程度軽減するか、またユーザーの顔パーツの特徴をどの程度反映させるか、調整することが可能となることを特徴としている。
【0017】
上記の方法および構成により、ユーザーの顔の特徴点を三次元データで表す自動生成顔モデル(モーフターゲット)を利用することで、あらためて顔の特徴点を抽出する必要がない。よって、利用者端末におけるデフォルメ軽減の操作も容易なものとなる。
【0018】
したがって、上記三次元CGアニメモデルのカスタム生成(個人化)システムは、提供者と利用者端末上で互換性ある三次元モデリングソフトウェアを持つことにより、個人化された三次元CGアニメ画像をシーン単位で、通信ネットワーク上で提供することが可能となる。すなわち、通信ネットワークにおいて個人化された(カスタム化された)CGアニメ顔画像を使ったコンテンツ(例えば、絵本、バッグ等小物、携帯電話の画像等)に利用する画を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
上述したように、本発明によれば、三次元モデリング・ソフト上のシーンに配置されたベース三次元CGアニメモデルを、個人の写真を基に自動生成されたメッシュ顔形状(モーフターゲット)を用いて、デフォルメ軽減し、個人化したアニメキャラクターを製作し、ユーザーにとって魅力ある自身のオリジナルキャラクター商品が専門デザイナー無しに、短時間かつ容易に製作できる。
【発明の実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の一実施の形態について図1に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0021】
ユーザー端末10は、カメラ13でユーザーの顔画像を撮影して三次元CG顔形状自動生サーバ20に送信し、該三次元CG顔形状自動生成サーバ20で生成したユーザーの三次元顔形状Dを受信して制御/表示部12に表示する機能を有する。そのため、制御/表示部12は三次元CG顔形状自動生成サーバ20にアクセスして、ユーザーの三次元CG顔形状とベースとなる三次元CGアニメ顔形状を取得するサービスをユーザー端末10から利用できることを可能とする。
【0022】
三次元CGアニメ顔形状DB25から取得したベースアニメ形状Cと、ユーザー端末10から顔画像Aを取得し、三次元CG顔形状自動生成サーバ20で生成したユーザーの三次元顔形状Bを、モーフィング合成部23によってデフォルメ軽減およびユーザーの顔の特徴付加して生成された三次元CGアニメの個人化形状Dを、特徴付加部23へ入力する。
【0023】
特徴付加部23は、特徴顔画像DB25から特徴顔画像Nを取得し、当該特徴顔画像Nと、ベース画像生成部22で生成されたベース画像Cとを、モーフィング合成部24によって合成して特徴付加画像Dを生成し、これを顔画像Aを送信してきたユーザー端末10へ送信する。
【0024】
本三次元CGアニメモデルのカスタム生成(個人化)システム1においては、ユーザーの三次元メッシュ顔モデルBを使用することで特徴点抽出のステップが不必要になる。
【0025】
また、三次元CGアニメモデルの個人化生成部24におけるモーフィング合成の合成比率(アニメ形状のデフォルメ軽減度合)は、該システム1に搭載されている三次元モデリング・ソフト上のシーン内で自動指定、あるいは、ユーザー端末10に搭載される互換性ある三次元モデリング・ソフト上の同一シーン内で、ユーザー端末10によって指定のいずれかによって設定される。
【0026】
具体的な設定方法としては、先ずベースアニメ形状の顔全体について一括してデフォルメ軽減を行い、必要に応じて、顔の各部(眉、目、鼻、口、顔の輪郭)について個別にユーザーの顔形状の特徴を更に一段強く付加することもできる。
【0027】
上記三次元CGアニメ形状のカスタム生成(個人化)システムを使用して生成されるシーン画像をネットワークを介して、ユーザー・提供者間で共有することで、絵本の挿絵、携帯電話の待ちうけ画面、バッグや文具などのキャラクタープリントとして、自分だけのオリジナル・キャラクター商品をオンデマンドで製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】三次元CGアニメモデル個人化生成システム
【図2】システムのフローチャート
【符号の説明】
【0029】
1 三次元CGアニメモデル生成(個人化)システム
10 ユーザー端末(PC及び携帯)
20 三次元CG顔形状(モーフターゲット)生成部
22 ベース三次元CGアニメモデル
23 特徴付加部
24 モーフィング合成部
25 通信ネットワーク
A 顔画像
B モーフターゲット
C ベース画像
D デフォルメ軽減/特徴付加画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーの写真を基に自動生成された人物の三次元頭部メッシュ形状を、ベースとなるの三次元アニメメッシュモデルのモーフターゲットとして適用し、該三次元アニメモデルの顔のデフォルメを軽減することと、ユーザーの顔の特徴を付加することを効率的に行うことにより個人化した三次元CGアニメキャラクターの効率的製作を可能にする方法と、
【請求項2】
上記ユーザーの三次元頭部メッシュ形状及びテクスチャを、3Dモデルソフト上に構築済みのシーン(場面)において、配置されているベース三次元アニメモデルに適用することを可能とした三次元CGアニメキャラクターのカスタム(個人化)製作システムと、
【請求項3】
ユーザーが個人化されたCGアニメ形状を含むシーンをデータとして通信ネットワークを介して提供者に送信し、提供者が該データに基づきシーンを完成させて、ユーザー端末に送信する、インタラクティブに三次元CGアニメキャラクターを個人化できることを特徴とする請求項1記載のカスタム(個人化)製作システム。
【請求項4】
三次元CGアニメキャラクターのカスタム製作システムに適用されるCG画像(CGレンダリング画像等)の生成方法において、上記ユーザーから該画像の利用要求に応じて、同完成画像を絵本の挿絵、携帯電話の待ち受け画面、バッグ、文具等のキャラクターシールとしてユーザーに提供し、個人のアニメキャラクター商品をカスタム製作するシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−287683(P2008−287683A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−154511(P2007−154511)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(504334843)
【Fターム(参考)】