説明

三角錐形包装袋

【課題】開口部を広く開口可能として開口面積を確保、制御し、使用性に優れた三角錐形包装袋を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂のフィルム層を複数積層した積層体からなる包装袋であって、縦部と、底部と、背部とをシールし、底シールs3部の中途部に背シールs1部の一端部を直交させて、胴部11および頂部9を有する三角錐形の収容部5を形成するとともに、縦シールs2部の頂部7近傍に、この頂部9を破断して収容部5を開封するためのノッチ8を備え、積層体には、最外層のフィルム層に、ノッチ8を起点とする破断方向と交差する破断抑制線10を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂のフィルム層を複数積層した積層体からなる包装袋であって、縦部と、底部と、背部とをシールし、底シール部の中途部に背シール部の一端部を直交させて、胴部および頂部を有する三角錐形の収容部を形成するとともに、縦シール部の頂部近傍に、この頂部を破断して、収容部を開封するためのノッチを備える三角錐形包装袋に関し、より詳細には、積層体には、最外層のフィルム層に、ノッチによる頂部からの破断方向と交差する破断抑制線を形成した三角錐形包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の、液状や粘状の調味品を包装する軟性樹脂フィルム製の三角錐容器には、抽出量制御用の注ぎ口が、その三角錐容器本体の広幅のシール部のシール内面に設けられており、この注ぎ口は、その三角錐容器本体の頂上付近の内部からその広幅のシール部の解放端方向に伸長して、且つその先端が閉鎖されているもの(例えば、特許文献1など)がある。そして、容器を開封する際には、広幅のシール部の頂上付近から注ぎ口を介して下方に切断し、注ぎ口を開口している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−306406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような容器(包装袋)では、注ぎ口の先端付近を開封させるため、開口部を広く開くことができず、この狭い開口部に、内容物の粘状物や粉体などが詰まり、内容物の注出を阻害してしまい、使用性が悪いという問題があった。また、注ぎ口を開口する際、広幅のシール部の頂上付近から注ぎ口に向けてフィルムを破断するが、破断方向が注ぎ口から離れ、注ぎ口がわずかな開口または開口されないという問題もあった。
従って、この発明の目的は、開口部を広く開口可能として開口面積を確保、制御し、使用性に優れた三角錐形包装袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、請求項1に記載の発明は、熱可塑性樹脂のフィルム層を複数積層した積層体からなる包装袋であって、縦部と、底部と、背部とをシールし、底シール部の中途部に背シール部の一端部を直交させて、胴部および頂部を有する三角錐形の収容部を形成するとともに、前記縦シール部の頂部近傍に、該頂部を破断して、前記収容部を開封するためのノッチを備える三角錐形包装袋において、前記積層体は、少なくとも延伸フィルムを含み、且つ、最外層の前記フィルム層に、前記ノッチを起点とする破断方向と交差する破断抑制線を形成することを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の三角錐形包装袋において、前記破断抑制線は、前記ノッチを起点とする破断方向と直交して形成されることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の三角錐形包装袋において、前記延伸フィルム層の延伸方向は、前記ノッチを起点とした前記頂部の破断方向としたことを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の三角錐形包装袋において、前記破断抑制線の両端部は、前記ノッチを起点とした前記頂部の延伸方向に破断させる線と交会する位置に有する。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1または4に記載の三角錐形包装袋において、前記破断抑制線は、等間隔で断続的に形成したミシン目であることを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の三角錐形包装袋において、前記ミシン目は、前記底シール部に向かって複数列備えることを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項1、4、5、6に記載の三角錐形包装袋において、前記破断抑制線は、レーザー加工により削成した凹部であることを特徴とする。
【0012】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の三角錐形包装袋において、前記破断抑制線は、前記凹部を、前記底シール部に向かって円弧状に形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、熱可塑性樹脂のフィルム層を複数積層した積層体からなる包装袋であって、縦部と、底部と、背部とをシールし、底シール部の中途部に背シール部の一端部を直交させて、胴部および頂部を有する三角錐形の収容部を形成するとともに、縦シール部の頂部近傍に、この頂部を破断して、収容部を開封するためのノッチを備える三角錐形包装袋において、積層体は、少なくとも延伸フィルムを含み、且つ、最外層のフィルム層に、ノッチを起点とする破断方向と交差する破断抑制線を形成するので、ノッチを起点に破断した包装袋の頂部を、所定の方向に直線的に破断させることができ、破断抑制線で容易に切り取り、開口面積を制御した広い開口部を確実に形成することができる。従って、使用性に優れた三角錐形包装袋を提供することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、破断抑制線は、ノッチを起点とする破断方向と直交して形成されるので、ノッチを起点に破断した包装袋の頂部を、破断抑制線で容易に切り取ることができる。従って、開口性に優れた三角錐形包装袋を提供することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、延伸フィルム層の延伸方向は、ノッチを起点とした頂部の破断方向としたので、包装袋頂部の破断方向が破断抑制線まで曲折することなく直線的に破断でき、広い開口部となる切口を確保することができる。従って、開口性に優れた三角錐形包装袋を提供することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、破断抑制線の両端部は、ノッチを起点とした頂部の延伸方向に破断させる線と交会する位置に有するので、ノッチを起点とする頂部の延伸方向の破断部分が、破断抑制線の端部に到達したところで、破断抑制線により延伸方向の破断が抑制されるとともに、破断を、延伸方向とは異なる破断抑制線の方向に切り換えることができ、頂部に広い開口部を確実に形成することができる。従って、開口性に優れた三角錐形包装袋を提供することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、破断抑制線は、等間隔で断続的に形成したミシン目であるので、延伸方向と異なる破断方向であっても、ミシン目により容易に頂部を破断することができる。従って、開口性に優れた三角錐形包装袋を提供することができる。また、ミシン目は最外層のフィルム層にしか形成されないため、袋内の収容物が漏洩することがない。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、ミシン目は、底シール部に向かって複数列備えるので、ノッチを起点とする頂部の延伸方向の破断部分を、ミシン目に確実に交差させることで容易に頂部を破断させることができる。従って、開口性に優れた三角錐形包装袋を提供することができる。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、破断抑制線は、レーザー加工により削成した凹部であるので、簡単な加工処理で容易に破断可能な破断抑制線を形成することができる。従って、生産性に優れた三角錐形包装袋を提供することができる。
【0020】
請求項8に記載の発明によれば、破断抑制線は、凹部を、シール部に向かって円弧状に形成したので、破断抑制線の破断時に、ノッチから側面を延伸方向に沿って破断する方向を交えながら緩やかに側面の破断方向とは異なる破断抑制線を破断させることができ、頂部を楽な力で容易に破断できるとともに、確実に開口させることができる。従って、開口性に優れた三角錐形包装袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施例を示す、三角錐形包装袋の全体斜視図である。
【図2】三角錐形包装袋の全体正面図である。
【図3】頂部を破断途中の三角錐形包装袋の斜視図である。
【図4】破断抑制線としてのミシン目付近の拡大正面図である。
【図5】頂部を破断して開口を形成した三角錐形包装袋の斜視図である。
【図6】複数列備えたミシン目付近の拡大正面図である。
【図7】他の例の配列を示すミシン目の拡大正面図である。
【図8】レーザー加工による破断抑制線の拡大正面図である。
【図9】円弧状に形成したレーザー加工による破断抑制線の拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施例を示す、三角錐形包装袋の全体斜視図、図2は、三角錐形
包装袋の全体正面図、図3は、頂部を破断途中の三角錐形包装袋の斜視図、図4は、破断抑制線としてのミシン目付近の拡大正面図、図5は、頂部を破断して開口を形成した三角錐形包装袋の斜視図、図6は、複数列備えたミシン目付近の拡大正面図、図7は、他の例の配列を示すミシン目の拡大正面図、図8は、レーザー加工による破断抑制線の拡大正面図、図9は、円弧状に形成したレーザー加工による破断抑制線の拡大正面図である。
【0023】
本発明の三角錐形包装袋1は、図1〜2に示すように、天面2と、左右側面3と、底面4とから形成される収容部5内に、例えば、コーヒー粉、カレー粉、砂糖などの粉体や、醤油、ソース、ドレッシングなどの液体、ケチャップやマヨネーズなどの粘調体を例示する食品など(限定されない)の内容物を収容するものである。
【0024】
この三角錐形包装袋1の材質は、熱可塑性樹脂のフィルム層を複数積層した積層体からなり、少なくとも内面にヒートシーラント層があり、引き裂き方向に直進性があるものが好ましい。例えば、ロールの巻き方向に対する直交方向に直線的に引き裂ける腰が強く、他基材(アルミ、紙、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ナイロンフィルム、セロハンなど)と積層しても直線的易引裂性が失われないフィルム素材を強度層として使用し、最内面に、ヒートシーラント層として、直鎖状低密度ポリエチレン、未延伸ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂層を設けたものであれば好適に使用することができる。
【0025】
表面層は、印刷適性、ラミネート適性に優れ、引張り強度、衝撃強度、耐擦傷性度の総合的な機械的強度に優れると共に、耐溶剤性、耐薬品性のほか、ヒートシールの際の加熱に対する耐熱性などが必要である。このようなフィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルムなどを単独または2種以上を積層したものが挙げられ、頂部の破断方向を制御するために、何れかの層に、延伸されたフィルムを使用することが必須である。また、多層にすることで各強度をより高めることができる。さらに、表面層には、防湿性やガスバリヤー性を付与するために、アルミニウムやシリカ(SiOx)等の薄膜を蒸着してもよい。このような表面層の厚さは、9μm〜50μm程度の範囲が好ましい。また、防湿性やガスバリヤー性を付与する別の方法として、アルミニウム箔を積層してもよい。
【0026】
具体例として、外面から順に次の各層構成を挙げる事ができる(限定されない)。
(1)透明蒸着2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)/直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)または未延伸ポリプロピレン(CPP)
(2)延伸ポリプロピレン(OPP)/LLDPEまたはCPP
(3)透明蒸着2軸延伸PET/アルミニウム(AL)/LLDPEまたはCPP
(4)透明蒸着2軸延伸PETまたは無延伸PET/延伸ポリアミド(ONY)/LLDPEまたはCPP
(5)2軸延伸PETまたは無延伸PET/AL/ONY/LLDPEまたはCPP
(6)2軸延伸PETまたは無延伸PET/ONY/AL/LLDPEまたはCPP
(7)OPP/透明蒸着PET/LLDPE
(8)2軸延伸PETまたはOPP/ポリエチレン(PE)/ALまたは蒸着ポリエチレンテレフタレート(VMPET)/PE
(9)ONY/ALまたは蒸着ポリエチレンテレフタレート(VMPET)/LLDPE
【0027】
従って、三角錐形包装袋1は、以上のようなフィルム層を複数積層した積層体を、内容物の充填包装機において、袋用原反を、底面4となる位置で背シールs1(ヒートシール)をして筒状に形成し、次いで、底シールs3をし、内容物の充填後に底シールs3と直交する方向に縦シールs2をして、三角錐形及び扁平リブ6を形成する。
【0028】
そして、扁平リブ6の縦シールs2部分は、上部面積を大きく形成した把持部7を設けるとともに、この把持部7の下端部には、切込を設けたノッチ8が形成される。
【0029】
なお、本願発明の三角錐形包装袋1では、図3に示すように、ノッチ8を起点とする袋の破断方向と、左右側面3に位置するフィルム層の延伸方向とを同じ方向にすることで、ノッチ8から左右側面3端部(左右側面3と天面2との間の稜線r付近)までの破断を、延伸方向に沿って直線的に行うことができる。
【0030】
従って、三角錐形包装袋1は、ノッチ8を有する頂部9と、この頂部9下方の胴部11とから、それら内部に内容物の収容部5を形成し、背シールs1を有する三角形の底面4によって、倒れることなく、頂部9を上にし、胴部11を下部にして、安定的に立設させることができる。また、背シール部を形成することによって、手で左右両側面を持ったときに左右側面が凹むことを軽減できるため、袋の保形性をよくすることができる。
【0031】
また、本願発明の三角錐形包装袋1では、図4に示すように、天面2の上部に、ボトムシールs3と平行な、例えば一本のミシン目10aからなる破断抑制線10が刻設される。この例では、図4に示すように、穴の長さを2mm程度、穴と穴との距離を1mm程度とするが、これに限定されるものではない。穴と穴の距離を0mm(ミシン目を一直線に形成)としてもよい。また、破断抑制線は開口したときに内容物が漏洩しないように内容物の上面より上方に形成する。
【0032】
天面2へのミシン目10aは、周知の技術により刻設されるため、詳細な説明は省略するが、最外層フィルムへの印刷時に、シリンダーに取付けた刃により、最外層フィルムを貫通させてミシン目加工を施すものである。そして、この最外層フィルムを表面層として使用し、最内層フィルムとラミネートし、前記袋用原反を作製する。この例では、最外層フィルムへの印刷時に最外層フィルムを貫通させてミシン目加工を行ったが、これに限定されるものではなく、他の工程でミシン目加工を施してもよいし、また、貫通させずハーフカットとしてもよい。
【0033】
このようにして施されるミシン目10aの左右両端部は、左右側面3と、天面2との境である左右稜線r付近であって、ノッチ8を起点とした、延伸方向に左右側面3を破断する線と交会する位置まで形成される。
【0034】
ここで、三角錐形包装袋1の頂部9を破断して、三角錐形包装袋1を開封する場合には、まず、縦シールs2の上部および把持部7を掴み、ノッチ8を起点として左右側面3を引き裂くことにより、頂部9における側面3(引き裂く力加減により、左右の一方または左右両方)が、延伸方向に沿って直線的に破断される。
【0035】
次いで、左右側面3に形成される破断線が、左右稜線r付近に有する破断抑制線10の端部に達したところで、この破断抑制線10により、左右側面3を引き裂く方向に加わる力を、延伸方向とは異なる破断抑制線10の方向に誘導し、左右側面3の破断が抑制される。
【0036】
そして、把持部7を引っ張ることで、頂部9の引き裂き方向が側面3の延伸方向から天面2の破断抑制線10の方向に切り替わり、頂部9が破断抑制線10に沿って引き裂かれ、図5に示すように、頂部9が切除される。なお、上述した引き裂く力加減により、一方の側面3から破断抑制線10を介して他方の側面3を破断させて頂部9を切除したり、両側面3から破断抑制線10を破断させて頂部9を切除することができる。
【0037】
このような構成により、ノッチ8を起点に破断した包装袋1の頂部9を、破断抑制線10で容易に切り取り、広い開口部oを確実に形成できるため、内容物を効率的に注出させることができるとともに、内容物が開口部oである注出口に詰まることなく、包装袋1から内容物を円滑に注出させることができる。また、積層体は、延伸フィルム層を含むので、積層体を所定の方向に容易に破断させることができる。
【0038】
また、延伸フィルム層の延伸方向は、ノッチ8を起点とした頂部9の破断方向としたので、包装袋1の頂部9の破断方向が破断抑制線10まで曲折することなく直線的に破断でき、広い開口部oとなる切口を確保することができる。また、開口が底面に対して平行なほうが使用性に優れるため、左右側面3の延伸方向は底面と平行になるよう設計することが好ましい。
【0039】
また、破断抑制線10の両端部は、ノッチ8を起点とした側面3を延伸方向に破断させる線と交会する位置に有するので、ノッチ8を起点とする頂部9における側面3の延伸方向の破断部分が、破断抑制線10の端部に到達したところで、破断抑制線10により延伸方向の破断が抑制されるとともに、破断を、延伸方向とは異なる破断抑制線10の方向に切り換えることができ、頂部9に広い開口部oを確実に形成することができる。
【0040】
さらに、破断抑制線10は、等間隔で断続的に形成したミシン目10aであるので、延伸方向と異なる破断方向であっても、ミシン目10aにより容易に頂部9を破断することができる。
【0041】
なお、本願発明の破断抑制線10は、側面3の延伸方向の破断を、より容易かつ確実
に抑制させるため、ミシン目を次のように配列させることができる。
【0042】
破断抑制線10は、図6に示す正面視で、例えば上下に2列のミシン目10bを刻設するもので、上端の一列目のミシン目(ミシン目10a)の、下部シールs3に向かって下方に、一列目のミシン目と平行に、且つ、一列目の隙間を塞ぐように2列目のミシン目が設けられる。
【0043】
このように構成することで、ノッチ8を起点とする側面3の延伸方向の破断部分が、1列目のミシン目端部に到達しても、引き裂く力加減などにより、なおも延伸方向に破断が進んだ場合、2列目のミシン目で破断方向を確実に抑制するとともに、破断抑制線10側に破断方向を切り替えることができる。従って、側面3延伸方向の破断を、ミシン目10bに確実に交差させることで容易に頂部9を破断させることができる。
【0044】
さらに、破断抑制線10は、次のような構成にすることもできる。この場合、破断抑制線10は、図7に示す正面視で、例えば、上述したように、ノッチ8を起点とした左右両側面3の延伸方向に破断させる線と交会する天面2の左右位置に、それぞれ1本の穴(2mm程度)のミシン目を刻設するとともに、それらミシン目から底シールs3側の中央下方に向けて斜め平行に、例えば5列程度(限定されない)の略V字形状としたミシン目10cとすることができる。
【0045】
このような構成にすることで、ノッチ8を起点とする側面3の延伸方向の破断部分が、1列目のミシン目端部に到達したところで、側面3延伸方向に働く力を生かし、天面2に形成さえたミシン目10cの略V字に沿って、順次下方にミシン目間を引き裂きながら、天面2を確実に破断させることができる。
【0046】
また、破断抑制線10は、上述したミシン目の他に、レーザー加工で形成することもできる。この場合、レーザー加工部10dは、図8に示すように、天面2上の上部であって、ノッチ8を起点とした両側面3を延伸方向に破断させる線と交会する天面2上の左右位置(稜線r付近)を連結する、天面2を構成する積層体の最外層表面にレーザー加工が施される。
【0047】
このレーザー加工部10dは、図中の丸枠内に示した側面模式図のように、例えば、側面視略U字形状などの凹部aを、積層体の最外層表面に削成したものであり、このような構成により、レーザーによる簡単な加工処理で容易に破断可能な破断抑制線10を形成することができる。
【0048】
また、レーザー加工による破断抑制線10は、次のような形状に形成することもできる。この場合、レーザー加工部10eは、図9に示すように、天面2上であって、ノッチ8を起点とした両側面3を延伸方向に破断させる線と交会する天面2上の左右位置(稜線r付近)を、底シールs3側に沿って円弧状に連結して、天面2を構成する積層体の最外層表面を凹部にレーザー加工で削成する。
【0049】
このような構成により、破断抑制線10の破断時に、ノッチ8から側面3を延伸方向に沿って破断する破断方向に加わる力を生かしながら、破断方向を破断抑制線10の方向に緩やかに導くことができ、頂部9を楽な力で容易に破断できるとともに確実に大きく開口させることができる。
【0050】
なお、上述したレーザー加工による破断抑制線10を備える三角錐形包装袋1の製造は、ラミネートした前記袋用原反にレーザーを照射し、最外層フィルムのみに上述したような任意の形状のレーザー加工を施す。そして、内容物の充填包装機でフィルムを成形し、背シールs1および底シールs3の後に内容物を充填し、縦シールs2をして完成する。
【0051】
そして、積層体の表面層には、レーザー加工として一般的に使用される炭酸ガスレーザーが反応する材質を用いる必要がある。炭酸ガスレーザーでミシン目を形成する場合は、ポリプロピレンフィルムには削成できないため、最外層にポリプロピレンフィルムは使用せず、ポリエステルフィルムもしくはナイロンフィルムを使用するが、それ以外の層についてはシリンダーに取付けた刃でミシン目加工する場合と同じものが使用できる。具体例として、外面から順に次の各層構成を挙げる事ができる(限定されない)。
(1)2軸延伸PET/LLDPE
(2)2軸延伸PETまたは無延伸PET/ONY/LLDPE
(3)2軸延伸PETまたは無延伸PET/AL/ONY/LLDPEまたはCPP
(4)2軸延伸PETまたは無延伸PET/ONY/AL/LLDPEまたはCPP
(5)2軸延伸PET/AL/CPP
(6)ONY/AL(透明蒸着PET)/LLDPE
【0052】
以上詳述したように、この例の三角錐形包装袋1は、熱可塑性樹脂のフィルム層を複数積層した積層体からなる包装袋であって、縦部と、底部と、背部とをシールし、底シールs3部の中途部に背シールs1部の一端部を直交させて、胴部11および頂部9を有する三角錐形の収容部5を形成するとともに、縦シールs2部の頂部7近傍に、この頂部9を破断して収容部5を開封するためのノッチ8を備え、積層体には、最外層のフィルム層に、ノッチ8を起点とする破断方向と交差する破断抑制線10を形成するものである。
【符号の説明】
【0053】
1 三角錐形包装袋
2 天面
3 左右側面
4 底面
5 収容部
6 扁平リブ
7 把持部
8 ノッチ
9 頂部
10 破断抑制線
10a,10b,10c ミシン目
10d,10e レーザー加工部
11 胴部
r 左右稜線
s1 背シール
s2 縦シール
s3 底シール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂のフィルム層を複数積層した積層体からなる包装袋であって、縦部と、底部と、背部とをシールし、底シール部の中途部に背シール部の一端部を直交させて、胴部および頂部を有する三角錐形の収容部を形成するとともに、前記縦シール部の頂部近傍に、該頂部を破断して、前記収容部を開封するためのノッチを備える三角錐形包装袋において、
前記積層体は、少なくとも延伸フィルムを含み、且つ、最外層の前記フィルム層に、前記ノッチを起点とする破断方向と交差する破断抑制線を形成することを特徴とする三角錐形包装袋。
【請求項2】
前記破断抑制線は、前記ノッチを起点とする破断方向と直交して形成されることを特徴とする、請求項1に記載の三角錐形包装袋。
【請求項3】
前記延伸フィルム層の延伸方向は、前記ノッチを起点とした前記頂部の破断方向としたことを特徴とする、請求項1に記載の三角錐形包装袋。
【請求項4】
前記破断抑制線の両端部は、前記ノッチを起点とした前記頂部の延伸方向に破断させる線と交会する位置に有することを特徴とする、請求項1に記載の三角錐形包装袋。
【請求項5】
前記破断抑制線は、等間隔で断続的に形成したミシン目であることを特徴とする、請求項1または4に記載の三角錐形包装袋。
【請求項6】
前記ミシン目は、前記底シール部に向かって複数列備えることを特徴とする、請求項5に記載の三角錐形包装袋。
【請求項7】
前記破断抑制線は、レーザー加工により削成した凹部であることを特徴とする、請求項1、4、5、6に記載の三角錐形包装袋。
【請求項8】
前記破断抑制線は、前記凹部を、前記底シール部に向かって円弧状に形成したことを特徴とする、請求項7に記載の三角錐形包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−184064(P2011−184064A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50161(P2010−50161)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】