説明

上皮膜タンパク質2(EMP2)結合試薬および眼疾患治療におけるその使用

上皮膜タンパク質2(EMP2)阻害剤の投与による、血管内皮成長因子(VEGF)の望ましくない発現に関係する眼の病気または障害の治療方法を開示する。本発明は、EMP2阻害剤の眼内または全身投与による黄斑変性、特に加齢性黄斑変性(AMD)の直接的治療に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年2月19日に出願された米国仮特許出願第61/306,073号の優先権を主張し、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府の支援による研究または開発でなされた発明の権利に関する声明
本研究は米国退役軍人省(U.S. Department of Veterans Affairs)からの支援を受けたものであり、連邦政府は本発明について一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
背景
先進国では、平均余命は80歳を超えており、着実に伸びつつある。残念ながら、高齢者の生活の質は、加齢性黄斑変性(「ARMD」または「AMD」)として知られている眼の疾患によってしばしば劇的に低下する。この病気に罹る危険性は80歳を超えた人々では5%超に達する。
【0004】
AMDは60歳を超えたアメリカ人では視力喪失の第1の主因であり、世界的には視力喪失の第3の主因となっている。世界保健機関(World Health Organization)は、約1,400万人の人々がAMDによって視力を喪失しているか、または重度の障害を受けていると推定している。AMDに罹ることは、老年病の人々およびその家族の身体的および精神的健康に大きな影響を与え、公的医療負担が大きくなる。
【0005】
AMDには、萎縮型または乾性AMDと、新生血管型または湿性(滲出型)AMDの2つの型がある。通常、AMDは乾性AMDとして始まる。乾性AMDは、黄斑の網膜色素上皮(RPE)と下層の脈絡膜との間に、ドルーゼンと呼ばれる黄色の斑点状沈着物が形成されることが特徴である。乾性AMD患者の約15%が、重度の視力喪失に繋がる湿性AMDに進行する。
【0006】
湿性AMDに伴う重度の視力喪失は、脈絡毛細管板からの異常な新生血管の成長、すなわち、脈絡膜血管新生(CNV)と呼ばれる過程が原因である。新生血管は、黄斑内で出血し、血清が滲み出て、過剰な修復応答をしがちである。これらの変化は、次には、上層の神経感覚網膜と下層のRPE層との解剖学的関係を変化させ、光受容体の剥離、機能不全および変性を引き起こす。最も重篤な場合には、患者は読む能力を失うか、または介助なしに日常活動を行う能力を失う。
【0007】
抗酸化剤および亜鉛を含有するビタミン補給剤を使用した人々では、AMD進行の危険性が25%低下するという、2001年のAge-Related Eye Disease Studyを始めとして、AMDの予防および治療法がこの10年で急速に変化した。
【0008】
現在では、FDAが認可している湿性AMDの治療法は、レーザー手術、光線力学療法(PDT)、ならびにMacugen(登録商標)、ぺガタニブナトリウムおよびLucentis(商標)(ラニビズマブ)の薬剤の硝子体内注射の4種類のみである。レーザー、PDTおよびペガプタニブは、視力減退を遅らせ、かつ/または視力の喪失を停止させ得る。
【0009】
レーザー手術は、高エネルギーの光線を使用して脆弱で漏れ穴がある血管を破壊しようとするものである。しかしながら、この治療法はまた、周りの健康な組織も破壊するおそれがあるため、実際には視力喪失を進行させることになる。このため、湿性AMD患者の僅かな割合の人々のみが、レーザー手術の治療を受けることができる。
【0010】
光線力学療法も患者の眼の新生血管を破壊しようとする。ベルテポルフィン(Visudyne(登録商標))を患者の腕に注射する。この薬剤は患者の体内を巡って新生血管の表面に「付着」する。次いで、患者の眼に光を当てて薬剤を活性化させ、次にそれが新生血管を破壊する。光線力学療法は、単に一時的に視力喪失の速度を遅らせるだけであり、視力喪失を止める、または視力を回復させることはない。さらに、この薬剤は光により活性化されるので、治療後5日間は太陽光および明るい室内光を避けなければならない。
【0011】
AMDに付随する血管新生は、最初は光線力学療法による治療が有効であったが、実際の視力の改善は、抗−VEGF(血管内皮成長因子)試薬を眼内注射するまで達成されなかった。ペガプタニブ(Macugen(登録商標)、Eyetech Pharmaceuticals Inc.、およびPfizer Inc.)は、湿性AMDの治療用として認可されており、VEGFを標的とするペグ化されたオリゴヌクレオチドアプタマーである。ラニビズマブ(Lucentis(商標))、すなわちVEGFを標的とする抗体フラグメントは、湿性AMDの治療用として最近FDAに認可された。
【0012】
残念ながら、抗−VEGF療法は、網膜が正常に機能するためには、ある量のVEGFが存在する必要があるという重大な欠点を有している。抗−VEGFによる治療後のVEGF量の低下が網膜に悪影響を及ぼすことが研究によって証明されている。このように、AMDおよび他の眼疾患の治療および/または予防に有用な方法および組成物に対するニーズが依然存在している。
【0013】
4回膜貫通型(テトラスパン)タンパク質EPM2(上皮膜タンパク質2)は、眼の離散した場所で発現する。眼内で、EMP2は角膜、毛様体、およびRPEを含む複数の上皮膜に局在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、EMP2タンパク質またはEMP2核酸に結合する、またはそれらを制御する試薬を用いて、AMDおよび他の眼疾患を治療および/または予防する新規の方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
発明の簡単な概要
本発明は、いくつかの実施形態において、眼の新生血管の病気、具体的には湿性の加齢性黄斑変性(AMD)の治療方法を提供する。開示の方法は、必要とする患者に有効量の上皮膜タンパク質2(EMP2)阻害剤を投与することを伴う。
【0016】
いくつかの実施形態では、EMP2阻害剤は抗体である。これらの抗体は、EMP2に特異的に結合することができる。さらに、開示の抗−EMP2抗体は、多クローン性または単クローン性とすることができる。さらに、抗−EMP2抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、組み換え抗体、二重特異性抗体(diabody)、ミニ抗体(minibody)、三重特異性抗体(triabody)、あるいは、KS49、KS83、KS41およびKS89に対応する軽鎖および重鎖の可変配列またはCDRを有する抗体フラグメントであってもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、抗−EMP2抗体は重鎖および軽鎖を包含し、重鎖は3つの相補的決定領域(CDR)、すなわち、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、軽鎖は3つのCDR、すなわち、LCDR1、LCDR2およびLCDR3を含み、HCDR1は配列番号8を含み、HCDR2は配列番号9を含み、HCDR3は配列番号10を含み、LCDR1は配列番号12を含み、LCDR2は配列番号13を含み、LCDR3は配列番号14を含む。
【0018】
他の実施形態では、本発明は、EMP2阻害物質がEMP2si−RNAである、AMDの治療法を提供する。いくつかの実施形態では、EMP2si−RNAは、配列番号3、配列番号4、配列番号5または配列番号6を含む標的配列を含む。
【0019】
他の実施形態では、EMP2si−RNAは、配列番号3、配列番号4、配列番号5および配列番号6の群から選択される標的配列を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、本発明のEMP2阻害物質は医薬組成物に製剤化される。いくつかの実施形態では、これらの医薬組成物は眼への投与に適している。いくつかの実施形態では、EMP2阻害剤は眼内経路により眼に投与される。他の実施形態では、EMP2阻害剤は局所的または結膜下に投与される。これらの組成物は有効量で提供される。
【0021】
いくつかの実施形態では、例えば、糖尿病網膜症、角膜血管新生、脈絡膜血管新生、毛様体炎、ヒッペル−リンダウ病、未熟児網膜症、翼状片、ヒストプラズマ症、虹彩血管新生、黄斑浮腫、緑内障関連の血管新生およびプルチャー網膜症を含む眼疾患の治療法を提供する。
【0022】
他の実施形態では、眼内の血管内皮成長因子(VEGF)の発現を抑制する方法を提供する。開示した方法は、必要とする患者に有効量の上皮膜タンパク質2(EMP2)阻害剤を投与することを提供する。いくつかの実施形態では、眼内のVEGFの発現を抑制する方法は、抗−EMP2抗体の使用を伴う。他の実施形態では、EMP2阻害物質はEMP2si−RNAである。
【0023】
いくつかの実施形態では、必要とする患者に少なくとも2種類の上皮膜タンパク質2(EMP2)阻害剤を有効量投与することを伴う、湿性AMDの治療方法を提供する。いくつかの実施形態では、2種類のEMP2阻害剤は、抗−EMP2抗体とEMP2si−RNAである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、EMP2の過剰発現がVEGF発現を増加させることを示す。還元条件で4〜20%SDS−PAGE勾配ゲルにより分画された細胞抽出物。(A)代表的な免疫ブロット。(B)β−アクチン添加コントロールに対して正規化したバンド密度を定量化した。
【図2】図2は、VEGF発現に対する抗−EMP2二重特異性抗体の効果を示す。(A)抗−EMP2処理は、ELISAで示されるように、未処理(左の棒グラフ)およびコントロールの二重特異性抗体(右の棒グラフ)に比べ、VEGFレベルを大きく低下させる(中央の棒グラフ)。(B)抗−EMP2二重特異性抗体処理後のVEGF発現に対するウエスタンブロット解析結果。抗−EMP2二重特異性抗体処理(右の棒グラフ)は、未処理の細胞に比べ、VEGFレベルを大きく低下させる。
【図3】図3は、抗−EMP2二重特異性抗体処理後の、VEGFの経時的低下を示す。
【図4】図4は、EMP2のsi−RNAがVEGF発現を低下させることを示している。EMP2特異性si−RNAで処理した細胞(中央の棒グラフ)は、未処理の細胞(左の棒グラフ)またはコントロールsi−RNAで処理した細胞(右の棒グラフ)と比べ、VEGFの発現を顕著に低下させた。
【発明を実施するための形態】
【0025】
発明の詳細な説明
導入
加齢性黄斑変性(「ARMD」または「AMD」)は複雑な病気であり、そのリスク因子には、加齢、AMDの家族歴、喫煙、高血圧、肥満、食事および民族性が含まれ、また遺伝子の関与も強く指摘されている。Ambati et al., Surv. Ophalmol., 48:257 (2003)。米国では、視力障害の症例の50%超が、AMDと呼ばれる病気に伴い発症している。AMDには、2つの主要な臨床的表現型、非滲出型(thy)と滲出型(湿性)が認められている。最も重度のAMDの形態である湿性AMDは、脈絡膜または網膜下血管新生と呼ばれる網膜の病理学的な血管新生から引き起こされる。
【0026】
AMDは網膜色素上皮(RPE)の変化を伴う。RPEは、頂端膜で感覚神経網膜と緊密に接触している単層の立方分極上皮層である。RPEは、網膜の恒常性と網膜の正常な機能を維持することにおいて重要であると考えられている。RPEはまた、眼の微小環境における炎症反応の制御および血液脳関門の維持に関与している。RPEは、AMD発病の1過程であるVEGFの産生に関与していると考えられている。
【0027】
RPEで比較的多く産生するEMP2(上皮膜タンパク質2)は、テトラスパンタンパク質スーパーファミリーの成長停止特異的遺伝子3/末梢性ミエリンタンパク質22(GAS3/PMP22)群のメンバーである。EMP2は受容体介在性細胞挙動に関して、少なくとも2つの想定された役割を担っている。第1に、EMP2は細胞内の輸送および区画化、ならびに選択した受容体および糖脂質の表層表示を調節する。第2に、EMP2は物理的にインテグリン−FAK(接着斑キナーゼ)の情報伝達複合体と行動を共にしており、それらの活性を調節していると考えられている。
【0028】
本開示は、有効量のEMP2阻害剤を使用して、眼の疾患および病気を治療する方法および組成物を提供する。
【0029】
「EMP2阻害剤」は、この技術分野で知られている分析法により、EMP2の作用、活性または濃度を抑制する薬剤をいう。EMP2阻害剤は、EMP2ポリペプチド;抗−EMP2抗体;EMP2si−RNA分子;EMP2アプタマー;EMP2−リボザイム;EMP2への結合と競合する化合物、または宿主細胞中でEMP2核酸の発現、転写または翻訳を抑制する薬剤もしくは化合物であり得る。
【0030】
EMP2阻害剤はまた、VEGFの作用、活性または発現レベルを低下させることができる。例えば、EMP2阻害剤は、系内に存在するVEGFタンパク質を、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、90%、95%、98%、99%、またはこれを超えて減少させることができる。
【0031】
「EMP2ポリペプチド」は、配列番号1のポリペプチドを保存的に修飾した変異体をいう。したがって、いくつかの実施形態では、EMPポリペプチドは、配列番号1またはそのフラグメントのEMP2配列からなる。フラグメントのアミノ酸基数は、15〜25、15〜40、25〜50、50〜100個またはそれ以上であり得る。フラグメントは、配列番号1の16〜64の位置からのEMP2フラグメントに対応し得る。
【0032】
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は同義語として使用され、アミノ酸残基のポリマーをいう。ポリペプチドを得る方法(例えば、製造、分離、精製、合成、および組み換え技術による製造)は当業者によく知られている。
【0033】
「アミノ酸」は、天然および合成アミノ酸、ならびに天然アミノ酸に類似の態様で作用するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣体をいう。天然のアミノ酸は遺伝子コードによってコードされたもの、および後で修飾されたアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸およびO−ホスホセリンである。
【0034】
本明細書では、アミノ酸は、IUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionが推奨し、一般に知られている3文字記号か、または1文字記号により記載し得る。同様に、ヌクレオチドは一般に受け入れられている1文字記号により記載し得る。
【0035】
次の8群はそれぞれ、互いに保存的置換体であるアミノ酸:1)アラニン(A)、グリシン(G);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リシン(K);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);7)セリン(S)、トレオニン(T);および8)システイン(C)、メチオニン(M)を含有している(例えば、Creighton, Proteins (1984)を参照されたい)。
【0036】
EMP2阻害剤
本発明はEMP2を阻害する方法および試薬を提供する。本発明のEMP2阻害剤を同定する試験は、候補阻害剤の存在下に行われ、その後、結果を、阻害剤を含まないコントロール試料と比較して、候補阻害剤の所望の活性を調べるか、またはその機能効果を測定する。所望の活性を有する薬剤の正の参照用コントロールを使用してもよい。
【0037】
阻害は、インビボでもインビトロでも起こり得、細胞をEMP2阻害剤を含有する組成物と接触させることにより行われる。インビトロでの接触は、例えば、細胞培地にEMP2阻害剤を加えることにより行い得る。インビボでの接触は、EMP2阻害剤を含有する殺菌した、または薬学的に許容可能な組成物を動物(例えば、患者)に投与することにより行い得る。
【0038】
「機能効果を測定する」とは、本発明で使用するために、間接的または直接的にポリヌクレオチドまたはポリペプチドの影響下にあるパラメータを増加または低下させる化合物を試験する、例えば、物理的および化学的効果または表現効果(phenotypic effect)を測定することをいう。
【0039】
そのような機能効果は、当業者に知られた任意の方法、例えば、そのタンパク質の分光学的特性(例えば、蛍光、吸収、屈折率)、流体力学的特性(例えば、形状)、クロマトグラフ特性、または溶解特性の変化;誘導性マーカー、またはそのタンパク質の転写活性化の測定;結合活性の測定または結合性試験、例えば抗体への結合;リガンド結合親和性の変化;例えば化学発光、蛍光、比色反応、抗体結合、誘導性マーカーおよびリガンド結合試験により測定することができる。
【0040】
EMP2阻害の尺度は、EMP2阻害剤と接触している細胞におけるVEGF発現の低下である。したがって、EMP2阻害剤は、EMP2を過剰発現する細胞に阻害剤を接触させ、機能効果、例えばVEGFの発現レベルを測定することにより同定することができる。ある場合には、そのような試験で、例えばELISAまたはウエスタンブロット法によりVEGFタンパク質の存在が測定される。他の場合には、そのような試験で、VEGFmRNAの存在が測定される。VEGFポリペプチドおよび/またはmRNAの測定に適した他の方法は、当業者に知られている。
【0041】
ある場合には、機能効果を測定する際、コントロール試料に100%の相対性を付与することができる。試験した機能、活性、または発現レベルが、コントロールに対して2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、90%、95%、98%、99%またはこれを超えて低下すれば、抑制が達成されたものとする。
【0042】
本発明で使用する阻害剤の同定に適した方法は、実施例で説明する。
【0043】
抗体
いくつかの実施形態では、EMP2阻害剤は抗体である。本発明における「抗EMP2抗体」または「EMP2抗体」は、配列番号1のEMP2ポリペプチドに特異的に結合する抗体である。
【0044】
本発明で使用する抗体は、組み換え抗体、多クローン性抗体、単クローン性抗体、キメラ抗体、ヒト単クローン性抗体、ヒト化または霊長類化単クローン性抗体、および抗体フラグメントを含むが、これらに限定されるものではない。抗体は、EMP2の外側のループ配列に結合することが好ましい。
【0045】
「抗体」は、抗原に特異的に結合して、それを認識する免疫グログリン遺伝子またはそのフラグメントからのフレームワーク領域を含むポリペプチドをいう。認められている免疫グロブリン遺伝子には、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン、およびミュー定常領域遺伝子、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が含まれる。軽鎖は、カッパまたはラムダのいずれかに分類される。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタまたはイプシロンに分類され、これらは順に免疫グロブリンのクラス、IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEをそれぞれ定義する。通常、抗体の抗原結合領域は、結合の特異性と親和性を提供する。
【0046】
代表的な免疫グロブリン(抗体)の構造単位は、四量体を含む。各四量体は2対の同じポリペプチド鎖からなり、それぞれの対は1つの「軽」(約25kD)と1つの「重」鎖(約50〜70kD)を有する。各鎖のN−末端は、主として抗原認識に関与する、約100〜110以上のアミノ酸からなる可変領域を定義する。可変軽鎖(V)および可変重鎖(V)という用語は、それぞれこれらの軽鎖および重鎖をいう。
【0047】
抗体は、例えば、完全な免疫グロブリンとして、または各種ペプチダーゼによる消化で生成された明確な特徴を有する多くのフラグメントとして存在する。したがって、例えば、ペプシンは、ヒンジ領域のジスルフィド結合の下側で抗体を消化して、それ自体、ジスルフィド結合でV−CIに結合している軽鎖であるFabの二量体であるF(ab)’を生成する。F(ab)’は温和な条件下で還元されて、ヒンジ領域のジスルフィド結合が開裂し、これによりF(ab)’二量体がFab’単量体に変換され得る。Fab’単量体は、実質的にヒンジ領域の一部を有するFabである(Fundamental Immunology (Paul ed., 3d ed. 1993)を参照されたい)。
【0048】
各種抗体フラグメントは、完全な抗体の消化から定義されるが、当業者であれば、そのようなフラグメントは、化学的に、または組み換えDNA技術を使用することによって最初から合成し得ることを認識するであろう。したがって、抗体という用語にはまた、抗体全体を修飾することにより製造された抗体フラグメント、または、組み換えDNA技術により最初から合成されたもの(例えば、一本鎖Fv)、またはファージディスプレイライブラリーにより同定されたもの(例えば、McCafferty et al., Nature 348:552-554 (1990)を参照されたい)が含まれる。
【0049】
したがって、抗体という用語にはまた、ミニ抗体、二重特異性抗体、三重特異性抗体などを包含される。「二重特異性抗体」は、高い結合活性と特異性を有する小さな2価の生体分子特異性抗体フラグメントをいう。それらの高い信号対ノイズ比は、通常は比較的良好な特異性と急速な血液クリアランスに負うところが大きく、特定の抗原を標的とする診断および治療に対するそれらの潜在力を増大させる(Sundaresan et al., J Nucl Med 44:1962-9 (2003))。
【0050】
さらに、これらの抗体は、必要ならば、様々なイソ型を含む、小さな一本鎖Fvから完全なIgGまでの、様々な型の抗体フラグメントとして遺伝子操作を行うことができるため有利である(Wu & Senter, Nat.Biotechnol. 23:1 137-1146 (2005))。いくつかの実施形態では、抗体フラグメントは、二重特異性抗体の一部である。いくつかの実施形態では、本発明は、本発明で使用するための高い結合活性を有する抗体を提供する。
【0051】
以下のヒト由来の抗体配列は、ヒト(KS49、KS83)およびマウス(KS83)のEMP2に特異的な高結合活性抗体をコードし、本発明のいずれかの態様で使用するのに適した抗体可変領域の重鎖および軽鎖を有する。
【0052】
自然抗体、フラグメント抗体または合成主鎖を含む主鎖のタンパク質をコードするのに使用される抗−EMP−2可変領域配列は、EMP−2に強く結合することができる。この結合を通して、これらのタンパク質をEMP−2の検出や、EMP−2の作用の遮断に使用することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、本発明は、KS49、KS83、KS41およびKS89から選択される二重特異性抗体のCDRを有する抗体(例えば、二重特異性抗体、ミニ抗体、三重特異性抗体)またはそのフラグメントを提供する。いくつかの実施形態では、これらの抗体は、ポリヒスチジンタグを欠いている。他の実施形態では、二重特異性抗体は、KS49、KS83、KS41またはKS89二重特異性抗体の軽鎖および重鎖を有している。さらに他の実施形態では、抗体は、ポリヒスチジンタグを有する、または有さないKS49、KS83、KS41およびKS89からなる群から選択される二重特異性抗体とその配列が実質的に同じである。さらに他の実施形態では、抗体は、KS49、KS83、KS41およびKS89からなる群から選択される二重特異性抗体の軽鎖および重鎖の配列と、配列が実質的に同じである。これらの同一性は65%、70%、75%、80%、90%であり得るが、好ましくは、アミノ酸配列の同一性は、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上である。上記の任意の実施形態のうちのさらにいくつかのものでは、抗体は、KS49、KS83、KS41またはKS89の二重特異性抗体と同じCDR配列を含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、本発明は、KS49、KS83、KS41およびKS89から選択される抗体のCDR領域を含む抗−EMP−2配列を提供する。本発明により提供されるCDR領域は、限定はされないが、抗体、scFv、三重特異性抗体、二重特異性抗体、ミニ抗体などを含む抗−EMP−2結合タンパク質を構築するために使用し得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、本発明の抗−EMP−2結合タンパク質は、KS49、KS83、KS41およびKS89から選択される抗体の少なくとも1つのCDR領域を含むであろう。抗−EMP−2結合タンパク質は、例えば、本明細書で提供される抗体の、CDR−H1、CDR−H2、CDR−H3、CDR−L1、CDR−L2、CDR−L3、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。本発明の特定の実施形態では、抗−EMP−2結合タンパク質は、本明細書で提供される抗体の3つのCDR−H配列すべて、本明細書で提供される抗体の3つのCDR−L配列すべて、またはそれらの両方を含んでもよい。
【0056】
抗体に「特異的に(選択的に)結合する」、あるいは「特異的に(選択的に)免疫反応を起こす」という句は、タンパク質またはペプチドについていうとき、しばしばタンパク質および他の生物学的物質の異種集団の中で、そのタンパク質が存在することを決定する結合反応をいう。
【0057】
したがって、特定の抗体は、指定された免疫試験条件下で、バックグラウンドの少なくとも2倍、より典型的にはバックグラウンドの10〜100倍超で特定のタンパク質に結合する。このような条件下での抗体への特異的結合は、特定のタンパク質に対する特異性に関して選択される抗体を必要とする。
【0058】
例えば、多クローン性抗体は、選択された抗原と特異的に免疫反応を起こし、他のタンパク質とは反応しない多クローン性抗体のみが得られるように、選択することができる。この選択は、他の分子と交差反応する抗体を取り除くことによって達成し得る。特定のタンパク質と特異的に免疫反応を起こす抗体を選択するために、各種方式の免疫測定法を使用し得る。例えば、固相ELISA免疫測定法は、あるタンパク質と特異的に免疫反応する抗体を選択するために日常的に使用される(特定の免疫反応を測定するために使用することができる免疫測定法の方式と条件の記載については、例えば、Harlow & Lane, Using Antibodies, A Laboratory Manual (1998)を参照されたい)。
【0059】
当技術分野では、例えば、ウサギのEMP2に対する多クローン性抗体が知られている(Wang et al., Blood 97:3890-3895 (2001)を参照)。このような抗体は、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ−EMP2融合タンパク質を使用して得ることができる。ウサギの抗体は、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)−EMP2融合タンパク質として構築された遺伝子の第1細胞外領域(アミノ酸16〜64)に対して生じさせることができる。EMP2ペプチドは、次のプライマー:CGCGGATCCTCTACCATTGACAATGCCTGG(フォワード;下線部BamH1)、CCGGAATTCTTACGCCTGCATCACAGAATAACC(リバース;下線部EcoR1)を使用してPCRによりクローンを作成することができる。
【0060】
PCR生成物は、GST遺伝子(Pharmacia)を含有するpGEX−4T−1ベクターの、BamHIおよびEcoRI部位に一方向性にクローン化することができる。EMP2フラグメントは、GSTによりフレーム内でクローン化されて融合タンパク質を生成する。挿入部分はシークエンシングにより確認することができる。GST融合タンパク質は、前述のように生成することができる(Smith DB et al., Gene 67:31-40 (1988)参照)。対数期の細菌(OD600が0.6〜0.9)は、1mMのイソプロピル−1−チオ−3−D−ガラクトピラノシドを使用し、37℃において、2.5〜3時間で誘導することができる。細菌を溶解し、可溶性画分をグルタチオン−セファロースカラム(Pierce, Rockford, IL)に導入する。充填容積の10倍のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)/EDTAでカラムを洗浄する。20mM還元型グルタチオン(Sigma, St Louis, MO)の50mMのTris−Cl溶液(pH8.0)を使用し、カラムから融合タンパク質を溶出させる。抗体作成のために、ウサギをGST−EMP2融合タンパク質で2回免疫化し、最後の免疫化の2週間後から血清の採取を開始する(Research Genetics, Huntsville, AL)。
【0061】
抗−EMP2のCDR配列は、抗体の主鎖、またはそのフラグメントに使用することができ、同様に、ヒト化抗体またはヒト化配列を含有する抗体を含むことができる。これらの抗体は、例えば、EMP−2を検出するために、インビボでEMP−2を発現する細胞を検出するために、またはEMP−2の機能を遮断するために使用することができる。いくつかの実施形態では、CDR領域は、Kabatの定義、Chothiaの定義、AbMによる定義、接触による定義、または他の任意の適切なCDR番号付けシステムにより定義することができる。
【0062】
本発明で使用する、抗体阻害剤の同定に適した方法は、実施例4および6で説明する。
【0063】
EMP2si−RNA
いくつかの実施形態では、EMP2阻害剤は、EMP2siRNAである。「siRNA」または「RNAi」は、二本鎖RNAを形成する核酸をいい、この二本鎖RNAは、siRNAがある遺伝子または標的遺伝子と同じ細胞内で発現すると、その遺伝子または標的遺伝子の発現を低下させるか、または阻害する能力を有する。このように、「siRNA」または「RNAi」は相補鎖によって形成された二本鎖RNAをいう。
【0064】
EMP2の抑制についてsiRNA分子を評価する方法は、例えば、EMP2に特異的な候補siRNAを試験試料へ添加することを含み得る。コントロール試料は、例えば、siRNAが添加されていない試料、および/または無関係の(EMP2に非特異的な)siRNAが添加されている試料を含むことができる。コントロール試料に対する試験試料中のEMP2またはVEGFの抑制は、siRNAEMP2阻害剤としての指標である。
【0065】
EMP2siRNA阻害剤の同定に適した方法は、実施例4、5および6で説明する。
【0066】
ハイブリダイズして二本鎖分子を形成するsiRNAの相補的部分は、通常、実質的または完全な同一性を有する。1つの実施形態では、si−RNAは、標的遺伝子に対して実質的または完全な同一性を有し、二本鎖siRNAを形成する核酸をいう。通常、siRNAは、長さが少なくとも約15〜50個のヌクレオチドである(例えば、二本鎖siRNAの各相補配列は、長さが15〜50個のヌクレオチドであり、二本鎖siRNAは、長さが約15〜50個の塩基対、好ましくは約20〜30個の塩基のヌクレオチド、好ましくは長さが約20〜25個または約24〜29個のヌクレオチド、例えば、長さが20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30個のヌクレオチドである。
【0067】
siRNAの分子およびベクターの設計および作成は、当業者によく知られている。例えば、適切なsiRNAの設計に有効なプロセスは、mRNA転写物のAUG開始コドンから開始して、AAジヌクレオチド配列をスキャンすることである(Elbashir et al., EMBO J 20:6877-6888 (2001)参照)。各AAおよび3’隣接ヌクレオチドは、siRNA標的部位の可能性がある。隣接部位の配列長さがsiRNAの長さを決定するであろう。例えば、19個の隣接部位は、21個のヌクレオチド長のsiRNAを与えるであろう。このアプローチはまた、ヘアピン型siRNAを転写するためのRNA pol IIIの使用と両立する。RNA pol IIIは4〜6個のヌクレオチドポリ(T)トラクトの位置で転写を終了し、短かいポリ(U)テールを有するRNA分子を作成する。しかしながら、他の3’末端ジヌクレオチドオーバーハングを有するsiRNAはまた、有効にRNAiを誘導することができ、その配列は経験的に選択することができる。選択性に関し、他のコード配列と相同の16〜17個超の隣接する塩基対を有する標的配列は、BLASTサーチ(www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST参照)を行うことにより回避することができる。
【0068】
siRNAを直接投与することができ、またはsiRNA発現ベクターを、RNAiを誘導するために使用することができる。ベクターには、短いスペーサー配列で分離され、転写の完了に関与する一連のTで終わる、2つの逆方向反復を挿入させることができる。発現するRNA転写物は、短いヘアピン型siRNAに折り畳まれることが予想される。siRNA標的配列の選択、推定されるヘアピンのステムをコードする逆方向反復の長さ、逆方向反復の順序、ヘアピンのループ部分をコードするスペーサー配列の長さおよび組成、ならびに5’−オーバーハングの存在または非存在は、変化することができる。siRNA発現カセットの好ましい順序は、センス鎖、短いスペーサーおよびアンチセンス鎖である。これらの種々のステム長(例えば、15〜30)を有するヘアピンsiRNAが適している。ヘアピン型siRNAのセンスおよびアンチセンス鎖に連結しているループの長さは、種々の長さ(例えば、3〜9個のヌクレオチドまたはそれ以上)を有し得る。ベクターは、siRNAをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結したプロモーターおよび発現エンハンサーまたは他の調節エレメントを含み得る。
【0069】
「コントロール配列」という表現は、特定の宿主生物において作動可能に連結したコード配列が発現するために必要なDNA配列をいう。原核生物に適したコントロール配列は、例えば、プロモーター、任意選択によりオペレーター配列およびリボソーム結合部位を含む。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、およびエンハンサーを利用することが知られている。これらの調節エレメントは、制御エレメントが応答する外部因子を加えるか、またはそれを調節することにより、臨床医が遺伝子の発現をオンまたはオフにできるように設計することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、EMP2阻害剤は、細胞内に存在するときEMP2の発現を阻害することができるEMP2リボザイムである。リボザイムはRNAの特定の開裂を触媒することができる酵素RNA分子である。リボザイムの作用機構は、相補的標的RNAへのリボザイム分子の配列特異性ハイブリダイゼーション、およびそれに続くヌクレオチド鎖切断による開裂を含む。EMP2mRNAのヌクレオチド鎖切断による開裂を特異的かつ有効に触媒する、遺伝子操作によるハンマーヘッドモチーフリボザイム分子は、本発明の範囲に入る。可能性を有するRNA標的内の特定のリボザイム開裂部位は、最初、標的分子をリボザイム開裂部位についてスキャンすることにより同定され、これには次の配列、GUA、GUUおよびGUCが含まれる。同定されると、開裂部位を含有する標的遺伝子領域に対応する、リボヌクレオチドが15〜20個の短いRNA配列は、オリゴヌクレオチド配列を不適当なものにするおそれのある二次構造などの予測される構造的特徴について評価することができる。
【0071】
本発明のDNA分子およびリボザイムは、RNA分子の合成法として、この分野で知られた任意の方法により調製し得る。これらには、この分野でよく知られたオリゴデオキシリボヌクレオチドを化学的に合成する方法、例えば固相ホスホラミダイト化学合成などが含まれる。
【0072】
あるいは、RNA分子は、インビトロおよびインビボでアンチセンスRNA分子をコードするDNA配列の転写により生成させることができる。そのようなDNA配列は、T7またはSP6ポリメラーゼプロモーターなどの適切なRNAポリメラーゼプロモーターを組み込む、多様なベクターに組み込むことができる。リボザイムの作成方法は、この分野ではよく知られている(例えば、米国特許出願公開第2006/0062785号参照)。
【0073】
所望のEMP2siRNAまたはEMP2リボザイム配列、およびコントロール配列を含有する、EMP2siRNAまたはEMP2リボザイムに適したベクターの構築には、標準的なライゲーションおよび制限手法が用いられ、これらはこの分野では十分に理解されている(Maniatis et al., in Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York (1982)参照)。単離したプラスミド、DNA配列または合成オリゴヌクレオチドを開裂し、調整し、所望の形態に再結合する。
【0074】
「保存的に修飾した変異体」は、アミノ酸および核酸の配列の両方に適用される。特定の核酸配列に関しては、保存的に修飾した変異体は、同一または実質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸、または核酸がアミノ酸配列をコードしない場合には、実質的に同一の配列をいう。遺伝子コードの縮重のため、多くの機能的に同一の核酸が所与のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCGおよびGCUは全て、アミノ酸のアラニンをコードする。
【0075】
したがって、アラニンがコドンにより特定化されている全ての位置で、コドンは、コードされるポリペプチドを改変することなく、特定された対応する任意のコドンに改変され得る。そのような核酸変異体は「サイレント変異体」であり、保存的修飾変異体の一種である。また、ポリペプチドをコードする本明細書の核酸配列は、いずれも核酸のあらゆる可能なサイレント変異体を特定している。当業者であれば、核酸中の各コドン(ただし、通常メチオニンの唯一のコドンであるAUG、および通常トリプトファンの唯一のコドンであるTGGは除く)を修飾することにより、機能的に同一の分子を得ることができることを認識するであろう。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異体は、発現産物に関しては、特定された各配列に暗に含まれるが、実際のプローブ配列に関しては含まれない。
【0076】
EMP2siRNAおよびEMP2ポリペプチドを含む、2つ以上の核酸またはポリペプチドの配列に関して、「同一の」または「同一性」パーセントという用語は、下記の既定のパラメータを使用したBLASTまたはBLAST 2.0配列比較アルゴリズムを使用して、または手作業の位置合わせと目視検査によって測定して(例えば、NCBIウエブサイトhttp://www.ncbi.nlm.nih.govi/BLAST/などを参照)、同一であるか、または同一であるとするアミノ酸残基またはヌクレオチドの特定のパーセンテージ(すなわち、比較ウィンドウまたは指定された領域にわたって、一致が最大になるように比較し、位置合わせしたとき、特定の領域に亘って、約60%の同一性、好ましくは、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはこれより高い同一性)を有する、2つ以上の配列または部分配列をいう。
【0077】
その場合、そのような配列は「実質的に同じ」であるといわれる。これはまた、試験配列の相補体(complement)を指すか、またはこれに適用され得る。これはまた、削除および/または挿入された配列、ならびに置換された配列を含む。同一性は、長さが少なくとも約25個のアミノ酸またはヌクレオチドの領域にわたって存在することが好ましく、または長さが50〜100個のアミノ酸またはヌクレオチドの領域にわたって存在することがより好ましい。
【0078】
配列の比較では、通常、1つの配列が参照配列となり、それと試験配列とが比較される。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験および参照配列をコンピュータに入力し、必要に応じて部分配列座標を指定し、必要であれば配列アルゴリズムプログラムのパラメータを指定する。好ましくは、既定のプログラムパラメータを使用することができ、また別のパラメータを指定することもできる。その後、配列比較アルゴリズムは、プログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列のパーセント配列同一性を計算する。
【0079】
「比較ウインドウ」は、本明細書では、20〜参照配列の最大長さ、通常は約25〜100、または50〜約150、より一般的には約100〜約150からなる群から選択される連続する位置数の任意の1つのセグメントへの参照であって、その中の配列が、2つの配列の位置合わせを最適化した後に同じ連続位置番号を持つ参照配列と比較されるセグメントの参照を含む。比較のための配列の位置合わせの方法は、この分野ではよく知られている。
【0080】
比較のための配列の最適な位置合わせは、例えばSmith & Waterman, Adv, Appl. Math. 2:482(1981)の局所ホモロジーアルゴリズムによって、Needleman & Wunsch, J. Mol. Biol. 48:443 (1970)のホモロジーアラインメントアルゴリズムによって、Pearson & Lipman, Proc, Nat 7. Acad. Sci. USA 85:2444 (1988)の類似性探索法により、これらのアルゴリズムをコンピュータを用いて実施することによって(Wisconsin Genetics Software PackageのGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA、Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WI)、あるいは手作業の位置合わせおよび目視検査によって(例えばCurrent Protocols in Molecular Biology (Ausubel et al., eds. 1995 supplement) 参照)実施することができる。
【0081】
パーセント配列同一性および配列類似性の決定に適したアルゴリズムの好ましい例は、BLASTおよびBLAST 2.0アルゴリズムであり、これらはAltschul et al.,Nuc. Acids Res. 25:3389-3402 (1997) およびAltschul et al., J. Mol. Biol. 215:403-410 (1990) にそれぞれ記載されている。BLASTおよびBLAST 2.0を、本明細書に記載のパラメータとともに使用し、本発明の核酸およびタンパク質のパーセント配列同一性を決定する。BLSAT分析を実行するソフトウエアは、National Center for Biotechnology Information (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)より公的に入手できる。このアルゴリズムは、最初に、データベース配列内の同じ長さのワードと位置合わせを行ったときに、ある正の値を持つ閾値スコアTに一致するか、または条件を満たす、検索配列中の長さWの短いワードを同定することにより、高スコアの配列ペア(HSP)を同定することを含む。Tは、隣接ワードスコア閾値と呼ばれる(Altschul et al. 上掲)。これらの最初にヒットした隣接ワードは、それらを含むより長いHSPの検索を始める際に種となるものである。ヒットしたワードは、位置合わせの累計スコアが増加し得る限り、各配列に沿って両側に伸ばされていく。累計スコアは、ヌクレオチド配列では、パラメータM(一致した残基ペアへの報酬スコア;常に>0)およびN(不一致残基の罰則スコア;常に<0)を用いて計算される。アミノ酸配列では、スコア行列を用いて累計スコアを計算する。ヒットしたワードの各方向への引き伸ばしは、累計の位置合わせスコアが、その達成された最大値からX分だけ低下したとき;累計スコアが、1つ以上の負のスコアを与える残基の位置合わせが累積したことによってゼロ以下になったとき;あるいはどちらかの配列の端部に到達したときに停止する。BLASTアルゴリズムのパラメータW、T、およびXは、位置合わせの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、既定値として、ワード長(W)11、期待値(E)10、M=5、N=−4および両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列では、BLASTPプログラムは、既定値としてワード長3、期待値(E)10を使用し、BLOSUM62スコア行列(Henikoff & Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci USA 89: 10915 (1989) 参照)の位置合わせ(B)50、期待値(E)10、M=5、N=−4、および両鎖の比較を使用する。
【0082】
「核酸」は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、および一本鎖または二本鎖の形態のそれらのポリマー、ならびにこれらの補体をいう。この用語は、公知のヌクレオチド類似体、または修飾された主鎖残基もしくは結合を含有する核酸であって、合成された、天然に産する、および天然には産しないものであり、参照核酸と類似の結合特性を有し、かつ参照ヌクレオチドと類似の仕方で代謝される核酸を含む。このような類似体の例には、ホスホロチオエート、ホスホロアミデート、メチルホスホネート、キラルメチルホスホネート、2−O−メチルリボヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)を含まれるが、特にこれらに限定されない。
【0083】
他に指示がなければ、特定の核酸配列は、明示された配列だけでなく、保存的に修飾された核酸配列の変異体(例えば、縮重コドン置換体)および相補的配列もまた含む。具体的には、縮重コドンの置換は、1つ以上の選択された(または全部の)コドンの第3位が混合基および/またはデオキシイノシン残基によって置換された配列を作ることにより達成され得る(Batzcr et al., Nucleic Acid Res. 19:5081 (1991); Ohtsuka et al., J. Biol. Chem. 260:2605-2608 (1985); Rossolini et al., Mol. Cell. Probes 8:91-98 (1994))。用語の核酸は、遺伝子、cDNA、mRNA、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドの同義語として使用される。
【0084】
核酸の一部に関して指す「異種の」とは、核酸が、天然には互いに同じ関係では見出されない2つ以上の部分配列を含むことを意味する。例えば、その核酸は、通常、組み換えにより作成され、新しい機能的核酸を作成するように配置される無関係の遺伝子由来の2つ以上の配列、例えば、1つの起源由来のプロモーターおよび別の起源由来の翻訳領域を有する。同様に、異種タンパク質は、そのタンパク質が、天然には互いに同じ関係では見出されない2つ以上の部分配列を含むことを意味する(例えば、融合タンパク質)。
【0085】
EMP2アプタマー
いくつかの実施形態では、EMP2阻害剤はアプタマーである。アプタマーは、古典的なワトソン−クリック塩基対形成とは別の相互作用を介した分子に対して特異的な結合親和性を有する核酸分子である。
【0086】
アプタマーは、ファージディスプレイにより生成されるペプチドまたは単クローン性抗体のように、選択された標的に特異的に結合し、例えば、結合アプタマーの標的が機能する能力をその結合アプタマーが阻止し得ることにより、その標的の活性または結合の相互作用を調節することができる。ランダム配列のオリゴヌクレオチドのプールからインビトロセレクション法により発見されて以来、アプタマーは成長因子、転写因子、酵素、免疫グロブリンおよび受容体を含む130を超えるタンパク質に対して作成されてきた。典型的なアプタマーはサイズが10〜15kDa(20〜45個のヌクレオチド)であり、ナノモルからサブナノモルの親和性で標的と結合し、近縁の標的を区別する(例えば、アプタマーは、通常、同じ遺伝子ファミリーの別のタンパク質とは結合しないであろう)。
【0087】
一連の構造研究によって、アプタマーは、抗原−抗体複合体において親和性と特異性を発揮させるのと同じタイプの結合相互作用(例えば、水素結合、静電相補性、疎水性接触、立体障害)を用い得ることが分かった。
【0088】
アプタマーの作成に適した方法は、「指数的濃縮によるリガンドの系統的進化(Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)」(「SELEX(商標)」)というプロセスを使用するものである。SELEX(商標)プロセスは、標的分子と非常に特異的に結合する核酸分子をインビトロで進化させる方法であって、例えば、現在では放棄されているが、1990年6月11日に出願の米国特許出願第07/536,428号、発明の名称が「核酸リガンド(Nucleic Acid Ligands)」の米国特許第5,475,096号、および発明の名称が「核酸リガンド(Nucleic Acid Ligands)」の米国特許第5,270,163号(国際公開第91/19813号も参照)に記載されている。
【0089】
SELEX(商標)は、出発点として、ランダム化配列を含む、一本鎖オリゴヌクレオチドの大きなライブラリーまたはプールに依存する。このオリゴヌクレオチドは、修飾もしくは非修飾のDNA、RNAまたはDNA/RNAハイブリッドであり得る。いくつかの例では、このプールは100%ランダム、または部分的にランダムなオリゴヌクレオチドを含む。別の例では、このプールは、ランダム化配列内に組み込まれる、少なくとも1つの固定配列および/または保存的配列を含有する、ランダムまたは部分的にランダムなオリゴヌクレオチドを含む。別の例では、このプールは、このオリゴヌクレオチドプールの全ての分子に共通する配列を含み得る、5’および/または3’末端において、少なくとも1つの固定配列および/または保存的配列を含有する、ランダムまたは部分的にランダムなオリゴヌクレオチドを含有する。
【0090】
より具体的には、SELEX(商標)法は、核酸の出発プールを含有する混合物から出発して、(a)結合に好ましい条件下でこの混合物を標的と接触させ;(b)標的分子と特異的に結合した核酸から非結合核酸を分離し;(c)核酸−標的複合体を解離させ;(d)リガンドに富む核酸混合物を得るために、核酸−標的複合体から解離させた核酸を増幅し;(e)標的分子に対する、特異性が高い、高親和性の核酸リガンドを得るのに望ましいサイクル数で、結合、分離、解離および増幅の工程を繰り返す、工程を含む。RNAアプタマーが選択される例では、SELEX(商標)法は、(i)工程(d)の増幅前に、核酸−標的複合体から解離させた核酸を逆転写し;(ii)このプロセスを再開する前に、工程(d)で増幅した核酸を転写する工程をさらに含む。
【0091】
多数の可能な配列および構造を含有する核酸混合物内には、所与の標的に対する幅広い結合親和性が存在する。例えば20個のヌクレオチドのランダム化セグメントを含有する核酸混合物は、420種類の候補の可能性を有し得る。標的に対してより高い親和性を有するもの(解離定数がより低いもの)が標的と結合する可能性が最も高い。分離、解離および増幅後、より高い結合親和性候補に富んだ第二の核酸混合物を生成させる。選別の反復を重ねるにつれて、徐々に最適のリガンドが選り抜かれ、得られる核酸混合物は主として1種類のみ、または少数の配列から構成されるようになる。その後、これらをクローンニングし、配列を決定し、純粋なリガンドまたはアプタマーとして個々に結合親和性について試験することができる。
【0092】
EMP2阻害剤としてのアプタマーを評価する方法は、例えば、試験試料への候補アプタマーの添加を含むことができる。コントロール試料は、例えば、アプタマー無添加の試料および/または無関係(EMP2に対して非特異的)なアプタマーを添加した試料を含むことができる。コントロール試料と比較して、試験試料中のEMP2またはVEGFが阻害されれば、これはEMP2阻害剤のアプタマーであることを示している。
【0093】
小分子
いくつかの実施形態では、EMP2阻害剤は小分子である。「小分子」とは、分子量が、1つの実施形態では約2,500ダルトン未満、他の一実施形態では約2,000ダルトン未満、他の一実施形態では約1,000ダルトン未満、さらに他の一実施形態では約500ダルトン未満である化合物、例えば、有機化合物をいう。
【0094】
小分子は任意の小さい化学的化合物、またはタンパク質、糖、核酸または脂質などの生物学的物質であり得る。
【0095】
小分子は、合成または天然化合物のライブラリーを含む様々な供給源から得ることができる。
【0096】
1つの実施形態では、スクリーニング法は、多数の潜在的治療化合物(潜在的モジュレータまたはリガンド化合物)を含むコンビナトリアル化学またはペプチドライブラリーを提供することを含む。そのような「コンビナトリアルケミカルライブラリー」または「リガンドライブラリー」を、その後、本明細書中に記載するような方法で、1回以上の試験によりスクリーニングして、所望の特徴的な活性を示すこれらのライブラリーのメンバー(特定の化学種またはサブクラス)を同定する。このようにして同定された化合物は、従来の「リード化合物」として作用させる、または潜在的または実際の治療薬として使用することができる。
【0097】
コンビナトリアルケミカルライブラリーは、試薬などのいくつかのケミカル「ビルディングブロック」を組み合わせることにより、化学的合成または生物学的合成により生成させた種々の化学化合物の収集物である。例えば、ポリペプチドライブラリーなどの線形コンビナトリアルケミカルライブラリーは、ケミカルビルディングブロック(アミノ酸)のセットを、所与の化合物の長さ(すなわち、ポリペプチド化合物のアミノ酸の数)に、あらゆる可能な方法で組み合わせることにより作成される。そのようなケミカルビルディングブロックのコンビナトリアルな混合により、何百万もの化学化合物を合成することができる。
【0098】
コンビナトリアルケミカルライブラリーの作成およびスクリーニングは、当業者にはよく知られている。そのようなコンビナトリアルケミカルライブラリーには、ペプチドライブラリーが含まれるが、特にこれに限定されない(例えば、米国特許第5,010,175号、Furka, Int. J. Pept. Prot. Res. 37:487-493 (1991)、およびHoughton et al., Nature 354:84-88 (1991)参照)。化学的に多様なライブラリーを作成する他の化学もまた使用することができる。そのような化学には、ペプチド(例えば、国際公開第91/19735号)、コードされたペプチド(例えば、国際公開第93/20242号)、ランダムバイオオリゴマー(例えば、国際公開第92/00091号)、ベンゾジアゼピン(例えば、米国特許第5,288,514号)、ヒダントイン、ベンゾジアゼピンおよびジペプチドなどのダイバーソマー(Hobbs et al., Proc. Nat. Acad. Sci. USA 90:6909-6913 (1993))、ビニル性ポリペプチド(Hagihara et al., J. Amer. Chem. Soc. 114:6568 (1992))、グルコース骨格を有する非ペプチド性ペプチド類似体(Hirschmann et al., J. Amer. Chem. Soc. 114:9217-9218 (1992))、小化合物ライブラリーの類似物有機合成(Chen et al., J. Amer. Chem. Soc. 116:2661 (1994))、オリゴカルバメート(Cho et al., Science 261:1303 (1993))、および/またはペプチジルホスホネート(Campbell et al., J. Org. Chem. 59:658 (1994))、核酸ライブラリー(Ausubel, BergerおよびSambrook、全て前掲、参照)、ペプチド核酸ライブラリー(例えば、米国特許第5,539,083号参照)、抗体ライブラリー(例えば、Vaughn et al., Nature Biotechnology, 14(3):309-314 (1996) およびPCT/US96/10287号参照)、炭水化物ライブラリー(例えばLiang et al., Science, 274:1520-1522 (1996)および米国特許第5,593,853号参照)、小有機分子ライブラリー(例えば、ベンゾジアゼピン、Baum C&EN, Jan 18, page 33 (1993);イソプレノイド、米国特許第5,569,588号;チアゾリジノンおよびメタチアザノン、米国特許第5,549,974号;ピロリジン、米国特許第5,525,735号および同第5,519,134号;モルホリノ化合物、米国特許第5,506,337号;ベンゾジアゼピン、米国特許第5,288,514号などを参照)が含まれるが、特にこれらに限定されない。
【0099】
コンビナトリアルライブラリーを作成する装置は商業的に入手することができる(例えば、357 NIPS, 390 MPS, Advanced Chem Tech, Louisville Ky., Symphony, Rainin, Woburn, Mass., 433A Applied Biosystems, Foster City, Calif., 9050 Plus, Millipore, Bedford, Mass.参照)。
【0100】
さらに、多くのコンビナトリアルライブラリー自体を商業的に入手することができる(例えば、ComGenex, Princeton, N.J., Tripos, Inc., St. Louis, Mo., 3D Pharmaceuticals, Exton, Pa., Martek Biosciences, Columbia, Md.などを参照)。
【0101】
EMP2を阻害する小分子は、いくつかの方法により同定および/または評価することができる。例えば、EMP2のアンタゴニストはVRGFの産生を阻害する、またはVEGFの生物学的作用を妨害することができる。EMP2阻害剤はまた、EMP2のシグナル伝達を阻害し得る。EMP2の小分子阻害剤は、推定EMP2阻害剤を試料に添加する分析法により同定し得る。その後、コントロールにEMP2の推定小分子阻害剤を加えたそれらの試料間で比較を行う。
【0102】
眼の疾患および病気
「眼の疾患」には、眼、あるいは眼の部分または領域の1つに影響または関係する病気または疾病が含まれ得る。大まかに言えば、眼は、眼球を構成する眼球と組織および眼内液、眼球周辺の筋肉(斜筋および直筋など)、眼球の内部および隣接部にある視神経部を含む。
【0103】
「眼の前面」または「前部の眼疾患」とは、水晶体被膜または毛様筋の後壁より前部にある、眼球周辺筋肉、目蓋、または眼球組織もしくは眼内液などの眼内領域または部位に影響または関係する疾患または病気である。したがって、眼の前面における眼疾患は、結膜、角膜、結膜、前眼房、虹彩、水晶体および水晶体被膜の他、前眼領域または部位などの血管新生、維持および神経支配を行う、血管、リンパ管および神経に影響または関係する。
【0104】
眼の前面(前部)の眼疾患には、例えば、無水晶体眼、偽水晶体眼、乱視、眼瞼痙攣、白内障、結膜疾患、結膜炎、角膜疾患、角膜潰瘍、眼球乾燥症候群、眼瞼疾患、涙器疾患、涙道閉塞、近視、老視、瞳孔疾患、屈折異常および斜視などの病気、疾病もしくは疾患が含まれ得る。緑内障は、その治療の臨床的目標が眼の眼前房内の上昇した眼内液圧力の降下(すなわち、眼内圧の降下)であり得るから、眼の前面の眼疾患であると考えることができる。
【0105】
「後部の眼疾患」(または眼の後部)は、例えば、脈絡膜または強膜(水晶体被膜の後壁を通る平面より後ろの位置にある)、硝子体、硝子体眼房、網膜、視神経(すなわち、視神経円板)、ならびに後眼領域または部位などの血管新生または神経支配を行う血管および神経などの後眼領域または部位に主として影響または関係する病気または疾病である。
【0106】
したがって、後部の眼疾患には、例えば、黄斑変性(非滲出型加齢性黄斑変性および滲出型加齢性黄斑変性など)、脈絡膜または網膜の血管新生などの病気または疾病が含まれ得る。緑内障はまた、視神経に障害を与えるので、眼の後部の眼疾患であると考えることができる。
【0107】
「眼内血管新生性疾患」は、眼部の血管新生を特徴とする病気である。眼内血管新生性疾患の例には、例えば、増殖網膜症、脈絡膜血管新生(CNV)、加齢性黄斑変性(AMD)、糖尿病および他の虚血性網膜症、糖尿病黄斑浮腫、変性近視、フォンヒッペル・リンドウ病、眼部のヒストプラズマ症、角膜血管新生、網膜血管新生が含まれるが、特にこれらに限定されない。
【0108】
「乾性AMD」(萎縮型加齢性黄斑変性とも呼ばれる)は、黄斑にドルーゼンが存在するが、網膜血管新生は殆どないか全くない網膜の疾患をいう。
【0109】
AMDの乾性の形態は、読むこと、運転、または顔の認識などの活動で使用する良好な視力に必要な、網膜の光感応性黄斑部の細胞死を伴う。長い時間をかけて、黄斑の機能が衰えるとともに、冒された眼の中心視力が徐々に失われ得る。乾性AMDの初期の最も一般的な兆候はドルーゼンの出現である。
【0110】
ドルーゼンは網膜の下に溜まる黄色の沈着物であり、60歳を超えた人々にしばしば見られる。
【0111】
初期および中期のAMDは、小または中サイズのドルーゼンが存在することを特徴とし、初期および中期のAMD患者は、読むときにはより強い光を必要とし、彼らの視野の中央にはぼやけたスポットが現れる。進行したAMD患者では、中または大サイズのドルーゼンが存在することに加え、網膜中央部において光感応細胞および支持組織の破壊が生じる。
【0112】
「湿性AMD」は、網膜血管新生の存在(カテゴリー4または進行AMD)または視力喪失を特徴とする網膜の疾患をいう。
【0113】
後部眼疾患にはまた、急性黄斑神経網膜症、黄斑浮腫(嚢胞様黄斑浮腫および糖尿病黄斑浮腫など);ベーチェット病、網膜障害、糖尿病網膜症(増殖糖尿病網膜症を含む);網膜動脈閉塞症;網膜中心静脈閉塞症;ぶどう膜網膜症(uveitic retinal disease);網膜剥離;後眼部の部位または位置に影響する眼外傷;眼部レーザー治療により引き起こされたまたは影響を受けた後部眼疾患;光線力学療法により引き起こされたまたは影響を受けた後部眼疾患;光凝固;放射線網膜症;網膜上膜障害;網膜分枝静脈閉塞症;前部虚血性視神経症;非網膜症糖尿病性網膜機能障害、網膜色素変性および緑内障が含まれ得る。
【0114】
緑内障治療の治療目標は、網膜細胞または視神経細胞の損傷または喪失による視力喪失の発生を防止または低減すること(すなわち、神経保護)であるから、緑内障も後眼部の疾患であると考えることができる。
【0115】
種々の実施形態において、治療する眼の病気または疾患は、湿性(滲出型)黄斑変性であろう。「治療」および「療法」は同義語として使用し得る。ある実施形態では、療法は、初期療法、継続療法、修正療法または終期療法から選択することができるが、これらに限定されない。「療法」にはまた、病気を予防するためにとり得る任意の予防的手段も含まれる。
【0116】
ある実施形態では、治療は患者に疾患調節剤を投与することを含む。薬剤は、病気または病気の危険性があると診断または同定された患者に使用する治療薬または予防薬であり得る。ある実施形態では、修正療法とは、治療の期間、頻度または強度を変更する、例えば、用量の程度を変更することをいう。
【0117】
「有効量」または「治療上有効な量」とは、ある疾患または病気を予防、改善または治療するのに必要な化合物または薬剤の量をいう。加齢性黄斑変性(AMD)の場合には、薬剤の有効量は、例えば、視力喪失を抑制または防止するために必要な量であり得る。
【0118】
AMDの治療において、インビボでの効果は、例えば、以下の1つ以上によって測定することができる。所望の時期までの、最高矯正視力(BCVA)のベースラインからの平均変化を評価、所望の時期に、ベースラインと比較して視力が15未満の文字を喪失した患者の割合を評価、所望の時期に、ベースラインと比較して視力が15以上の文字を獲得した患者の割合を評価、所望の時期にスネレン等価視力が20/2000、またはこれより悪い患者の割合を評価、National Eye Institute Visual Functioning Questionnaireでの評価、所望の時期に、蛍光眼底撮影で評価されるCNVのサイズおよびCNVからの漏出を評価。
【0119】
「治療用量」は、患者に治療効果が現れる用量であり、「治療用量以下(sub-therapeutic dose)」は、治療患者に治療効果が現れない用量である。
【0120】
上皮膜タンパク質(EMP)2
上皮膜タンパク質2(EMP2)(ポリペプチド;配列番号1)(核酸;配列番号2)は、特徴的な生化学的および生理学的役割を有する、4回膜貫通タンパク質ファミリーの成長停止特異的遺伝子3/末梢性ミエリンタンパク質22のメンバーである。EMP2は、ポストゴルジエンドソーム区画から適切な細胞膜の位置への分子の輸送を助けることによって、各種タンパク質および脂質の輸送を調節していると考えられる。
【0121】
具体的には、EMP2は、糖脂質に富む脂質ラフト・マイクロドメインへの選択分子の適切な輸送を助けていると考えられる。糖脂質に富むマイクロドメインは、効率的なシグナル伝達に重要なシャペロン、レセプトソームおよびタンパク質複合体を伴うコレステロールに富むマイクロドメインである。
【0122】
さらに、糖脂質に富むマイクロドメインは、ゴルジ体から細胞膜へのタンパク質の正しい選別にも関与している。これに関して、EMP2発現レベルの調節または細胞膜上のその位置は、インテグリン、局所接着キナーゼ(FAK)、クラスIのMHC分子、ならびに、CD54およびグリコシルホスファチジルイノシトール結合タンパク質などの他の免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーを含む数種類のクラスの分子表面レパートリーを変更する。
【0123】
上記のように、EMP2は、眼内で、角膜、毛様体およびRPEに見出される。
【0124】
血管内皮成長因子(VEGF)
VEGFは、ヒトの正常な網膜内の種々の細胞で発現する。VEGFmRNAとタンパク質の共局在性が、神経節細胞、内顆粒層および外網状層、血管壁、ならびに光受容体内に観察される(Gerhardinger et al., Am J .Pathol 152:1453-62 (1998))。網膜色素上皮、ミューラー細胞、周細胞、血管内皮および神経節細胞は全てVEGFを産生する(Miller et al., Diabetes Metab Rev 13:37-50 (1997); およびKim et al. Invest Opthalmol Vis Sci 40:2115-21 (1999))。
【0125】
免疫組織化学の研究では、AMD患者から外科的に切除したCNV膜に、VEGFを局在化させている。Kvantaら(1996)は、RPE細胞および線維芽細胞様細胞にVEGFmRNAおよびタンパク質が存在することを報告した。Kvanta et al., Invest Opthalmol Vis Sci 37:1929-34 (1996)を参照されたい。Lopez et al.(1996)は、VEGFに対して強い免疫反応を示すRPE細胞は、活発に血管が新生する領域に主に存在しており、CNV膜の線維領域に見出されるRPE細胞は、VEGFに対する反応性を殆ど示さないことに言及した。Lopez et al., Invest Opthalmol V is Sci 37:855-68 (1996)を参照されたい。Kliffenら(1997)は、コントロールと比較して、AMD患者の黄斑のRPE細胞および脈絡膜血管で、VEGFの発現が増加することを報告した。Kliffen et al., Br J Opthalmol 81:154-62 (1997)を参照されたい。
【0126】
VEGF発現の増加は、ラットおよびヒト以外の霊長類のCNV実験モデルで言及されている(Husain et al., Opthalmology 104:124250 (1997); およびYi et al. Vascular endothelial growth factor expression in choroidal neovascularization in rats. Graefes Arch Clin Exp Opthalmol 235:313-9 (1997))。さらに、光受容体(Okamoto et al. 1997、前掲)、または網膜色素上皮(Schwesinger et al., AM J Pathol. 158(3):1161-72 (2001))でVEGF発現を増加させた遺伝子組換マウスは、新生血管型AMD患者に見られるCNVを思わせる血管新生を引き起こした。
【0127】
湿性AMDの対象は、VEGFの血管新生特性であるが、これは、ニワトリ漿尿膜((Leung et al., Science 246:1306-9 (1989);およびPlouet J, Schilling J, Gospodarowicz D. EMBO J 8:3801-6 (1989))、ウサギの角膜(Phillips et al., In Vivo 8:961-5 (1994))、およびウサギの骨(Connolly et al. J Clin Invest 84:1470-8 (1989a))を含む種々のインビボモデルで報告されている。VEGFはまた、新生上皮細胞の生存因子として潜在的に機能する(Dvorak H F. N Engl J Med 315:1650-9 (1986);およびConnolly et al. J Biol Chem 264:20017-24 (1989))。生存活性と同調して、VEGFはヒト内皮細胞に抗アポトーシスタンパク質、Bel2およびA1の発現を誘導する(Connolly et al. J Biol Chem. 264:20017-24 (1989b))。
【0128】
VEGFは、モルモットの皮膚に血管漏出を誘導することが示されている。血管新生プロセスにおけるVEGFの機能は、血漿タンパク質の漏出の誘導にあろう。このことの効果は、内皮細胞の基質として働く血管外フィブリンゲルを形成することであろう。CNV膜の透過性は、網膜の下および網膜の中へ血清成分を漏出させ、黄斑剥離、黄斑浮腫および視力喪失をもたらし得るであろう。
【0129】
EMP2が局所接着キナーゼ(FAK)を調節することが示されている。FAKのシグナル伝達は、VEGFの産生に関係している。
【0130】
医薬組成物
本発明で使用する治療化合物は、所望の純度のポリペプチドを、任意選択の、医薬品として許容される担体、賦形剤または安定剤(Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. [1980])と混合することにより、保存用として、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で調製される。許容される担体、賦形剤または安定剤は、使用する用量および濃度で受容者に無毒であり、リン酸塩、クエン酸塩および他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸およびメチオニンを含む酸化防止剤;保存料(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾールなど);低分子量(約10未満の残基)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンまたはリシンなどのアミノ酸;グルコース、マンノースまたはデキストリンを含む、モノサッカリド、ジサッカリド、および他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えばZn−タンパク質錯体);ならびに/あるいはTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含む。
【0131】
活性成分はまた、例えば、液滴形成法、または界面重合法により調製したマイクロカプセル、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、またはゼラチンマイクロカプセル、およびポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセルにそれぞれ、コロイド薬剤送達システム(例えば、リポソーム、アルブミン小球体、マイクロエマルション、ナノ粒子およびナノカプセル)、またはマクロエマルションで、封入することができる。このような手法は、Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)に記載されている。
【0132】
徐放性製剤を調製することができる。いくつかの実施形態では、EMP2阻害剤を提供するために眼内インプラントを使用することができる。徐放性製剤の例には、本発明のポリペプチドを含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが含まれる。このマトリックスは、成形品、例えばフィルムまたはマイクロカプセルの形態を有する。徐放性製剤の例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸とガンマエチル−L−グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン−酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸−グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドからなる注入可能なマイクロスフェア)などの分解性の乳酸−グリコール酸コポリマー、およびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が含まれる。エチレン−酢酸ビニルや乳酸−グリコール酸などのポリマーは100日を超える期間に亘って分子を放出できるが、あるヒドロゲルはより短い期間、タンパク質を放出する。
【0133】
注射針で眼内に投与することができる、ヒドロゲル(ポリマー性ヒアルロン酸など)に懸濁させたマイクロスフィア懸濁液(薬剤が組み込まれている)は、本発明の範囲に含まれる。
【0134】
本発明の薬剤送達システムは、生分解性ポリマーと混合または分散させた治療薬を含むことができる。薬剤送達システム組成物は、好ましい薬剤放出プロファイル、使用する特定の活性薬剤、治療する眼の疾患、および患者の病歴に応じて変えることができる
【0135】
眼内の薬剤送達システムは、ポリ(ラクチド)(PLA)ポリマー、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)ポリマー、およびPLAポリマーとPLGAポリマーのコポリマーなどの生分解性ポリマーから作成することができる。PLAポリマーおよびPLGAポリマーは加水分解により分解し、分解生成物である乳酸およびグリコール酸は二酸化炭素と水に代謝される。
【0136】
カプセル化した抗体が体内に長く留まると、37℃の水分に暴露されることで、変性または凝集し、生物学的な活性の喪失や免疫原性の変化が起こり得る。
【0137】
関与する機構に応じて安定化に対する合理的な戦略を考案できる。例えば、凝集機構がチオ−ジスルフィド交換による分子間S−S結合であることが分かれば、スルフヒドリル残基を修飾し、酸性溶液から凍結乾燥し、水分量を調節し、適当な添加剤を使用し、特定のポリマーマトリックス組成物を開発することにより安定化を達成することができる。
【0138】
投与方法
本発明はまた、特定の薬剤送達システム製剤、およびAMDなどの眼疾患を治療するためにこれらの薬剤送達システムを投与する方法を含む。
【0139】
眼内血管新生性疾患を治療するための治療化合物は、通常、眼部、眼内および/または硝子体内注射により投与する。局所的、非経口的、例えば、皮下、腹腔内、肺内、鼻腔内および病変内投与を含む、他の投与方法も使用することができるが、特にこれらに限定されない。
【0140】
非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内または皮下投与を含む。本明細書に記載されているように、眼内血管新生症候群の治療のための治療化合物は、製剤化し、用量分に分け、適正な医療行為と一貫性を保って投与される。
【0141】
「眼内」とは、眼の組織内または組織下をいう。薬剤送達システムの眼内投与は、テノン嚢下、結膜下、上脈絡膜、硝子体内などの場所への薬剤送達システムの投与を含む。薬剤送達システムの眼内投与は、局所、全身、筋肉内、皮下、腹腔内などの場所への薬剤送達システムの投与を含まない。
【0142】
「治療薬」、「活性薬剤」および「薬剤」は同義語として使用され、眼の疾患を治療するために使用する任意の物質(生物学的、または高分子のものを含む)をいう。治療薬は眼の疾患を治療するために眼に投与することができる。後部(すなわち、黄斑近傍)テノン嚢下スペースに薬剤デポを投与することが知られている。例えば、米国特許第6,413,245号の第4欄を参照されたい。さらに、ポリ乳酸インプラントをテノン嚢下スペースまたは上脈絡膜の場所に投与することが知られている。米国特許第5,264,188号および米国特許出願公開第2005/044463号を参照されたい。
【0143】
抗EMP2薬を、脈絡膜血管新生(「CNV」)などの血管新生を含む、後部眼疾患などの眼疾患の治療に使用することができる。治療量の抗EMP2薬を眼に直接、例えば、硝子体に投与することができる。Maurice, D. M. (1983) Micropharmaceutics of the eye, Ocular Inflammation Ther. 1:97-102;Lee, V. H. L. et al. (1989), Drug delivery to the posterior segment" Chapter 25 In Retina. T. E. Ogden and A. P. Schachat eds., St. Louis: C V Mosby, Vol. 1, pp. 483-98;および Olsen, T. W. et al. (1995), human scleral permeablilty: effects of age, cryotherapy, transscleral diode laser, and surgical thinning, Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 36:1893-1903。
【0144】
眼内投与は、注射器によって眼内の場所に注入することができ、または、強膜を切開後、鉗子、トロカール、または他の種類のアプリケーターによる配置を含む各種方法によって、眼内に挿入(インプラント)することができる。
【0145】
ある場合には、切開を行わずにトロカールまたはアプリケーターを使用し得る。いくつかの実施形態では、手動式アプリケーターを使用して、1つ以上の生分解性インプラントを眼に挿入する。手動式アプリケーターは、通常、18〜30GAステンレス針、レバー、アクチュエーターおよびプランジャーを含む。後部眼領域または部位に1つまたは複数のインプラントを挿入するのに適した装置は、米国特許出願第10/666,872の開示されたものを含む。
【0146】
一般的な投与方法は、先ず、眼部領域内の標的部位へ、針、トロカールまたはインプラント器具を接近させることを含む。標的部位内、例えば硝子体腔に到達したら、手動式器具のレバーを押し下げ、アクチュエーターによりプランジャーを前方に駆動させることができる。プランジャーが前方に移動するとともに、眼の硝子体腔(後房)へのインプラントまたは注入によりインプラントを標的部位(すなわち、硝子体)へ押し出すことができる。
【0147】
薬剤送達システムは、生分解性インプラントおよび/またはマイクロスフィアとすることができる。薬剤送達システムは、一体化物、すなわち、生分解性ポリマー内に活性薬剤を均一に分布または分散したものとすることができる。
【0148】
欧州特許第488401号には、網膜/硝子体障害の外科手術後に、眼内で使用するための、ある種のポリ乳酸で作られた眼内インプラントが記載されている。欧州特許第430539号には、上脈絡膜に挿入される生体内分解性インプラントの使用が記載されている。2006年12月1日出願の米国特許出願第11/565,917号には、各種の薬剤含有固体インプラントの眼内(テノン嚢下を含む)投与が開示されている。
【0149】
所定位置に縫合または固定する眼内薬剤送達システムが知られている。縫合または他の固定手段は、薬物送達システム内または薬物送達システム上に治療薬を含有するため、またはインビボで治療薬を放出させるようにするために必要のない薬物送達システムの面に、感受性の高い眼の組織を接触させる必要がある。そのような縫合または眼への固定手段は、単なる周辺的または補助的価値しか意味せず、それらの使用は、治癒時間、患者の不快感、および感染または他の合併症のリスクを増加し得る。
【0150】
米国特許出願第11/742,350号;同第11/859,310号;同第11/952,938号;同第11/364,687号には、ベバシズマブなどの治療用抗体を含有する眼内組成物の使用について記載されている。眼内使用の高分子製剤が知られている。例えば、米国特許出願第11/370,301号;同第11/364,687号;同第60/721,600号;同第11/116,698号および同第60/567,423号を参照されたい。
【0151】
治療方法
病気または疾患の治療に適したタイムスケジュールに従って用量を投与し得る。例えば、所望の治療効果および副作用の軽減を達成するために、用量は、毎日、毎週、隔週毎、または毎月投与し得る。
【0152】
用量は、障害が起きる前、起きつつあるとき、または起きた後で投与することができる。治療化合物の投与に通常の知識を有する医者であれば、通常の方法で投与スケジュールを調節することにより、本発明の方法の範囲内で特定のタイムスクジュールを容易に決定することができる。
【0153】
第1回目の個々の、および第2回目の個々の服用数、ならびにその後の服用数の投与時期は、最大の治療効果を維持しながら、副作用を最小化するように調節される。副作用の発生は、患者との通常の面接により観察することができ、服用の時期を調節することにより副作用の発生を最小限とするように調節することができる。全ての服用時期が本発明の範囲内に入るように考慮されるべきである。例えば、用量は、毎月の計画で投与し、その後3か月またはそれ以上の間隔の投与計画にすることができる。維持量についても本発明で考慮されている。
【0154】
用量は治療する特定の病気または疾患に依存し、その病気または疾患の治療に通常の知識を有する医者であれば、知られた用量調節手法を使用して容易に決定することができる。用量は、一般に、その治療化合物に対して確立された治療濃度域に入るであろう。それは追加の罹患率および死亡率を最小限に留めながら一定の治療効果を提供するであろう。通常、治療化合物は、1回の服用当たり0.001mg〜約100mg、好ましくは0.1〜20mgの範囲の用量で投与される。
【0155】
通常、本発明の方法で使用する治療化合物は、室温、適当なpH、および所望の純度で、生理学的に許容される担体、すなわち、使用する用量および濃度で受容者に無毒である担体と混合することによって製剤化される。製剤のpHは主として特定の使用およびアンタゴニストの濃度に依存するが、好ましくは、いかなる場合にも、約3〜約8の範囲である。
【0156】
本明細書で使用する治療化合物、例えば、抗−EMP2抗体は無菌のものである。無菌化は、(0.2ミクロン)膜の無菌濾過により容易に行うことができる。治療ペプチドおよびタンパク質は、再構成用の凍結乾燥製剤を許容できるものの、水溶液として保管することが好ましい。
【0157】
治療化合物は、製剤化し、用量に分け、適正な医療行為と一貫性を保って投与される。これに関して考慮すべき因子には、治療する特定の障害、治療する特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与のタイムスケジュール、および医師に知られているその他の因子が含まれる。
【0158】
本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を記述することのみを目的とするものであり、限定することを意図するものではないことが理解されよう。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する場合、内容において明確な他の指示がない限り、単数形「a」、「an」および「the」は、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「a molecule」というときは、任意選択により2つ以上のそのようなmoleculeの組み合わせなどを含む。接続詞「or(または)」は、文内に明確な他の指示がない限り、互いに排他的でない。「include(含む)」という用語は、非限定的な例を示すために使用される。
【実施例】
【0159】
以下の実施例は、説明のために提供されるものであって、本発明を限定するために提供されるものではない。
【0160】
実施例1:ARPE−19細胞系
ARPE−19、すなわち自然発生の網膜色素上皮(RPE)細胞系(RPE特異的マーカーのCRALBPおよびRPE−65を発現する)を、American Type Culture Collection(CRL-2302;ATCC(商標))から得た。ARPE−19細胞を、10%ウシ胎児血清を添加したDMEM−F12培地中、37℃、5%のCOを含む加湿チャンバー内で培養した。培地は週に2回取り替えた。コンフルエンス後、0.05%(重量/体積)トリプシン中で解離して培養物を継代した。EMP2のレベルが上昇した。
【0161】
実施例2:ファージライブラリーの選択
先ず、2%ミルクPBS中、室温で1時間かけて、8.2×10メンバーのファージミドライブラリーから1012〜1013ファージを100μLのストレプトアビジン電磁ビーズ(Invitrogen)を使用して予め枯渇させた。その後、予め枯渇したファージライブラリーを、10μgのビオチン共役24−アミノ酸ペプチド(hEMP2およびマウスEMP2(mEMP2;それぞれ、DIHDKNAKFYPVTREGSYGGSGSKおよびDLHQQNRKLYYLLQEGSYGGSGSK;参照番号27)の細胞外ループに対応)と室温で1時間混合した。このファージ混合物に、2%ミルクPBSで予めブロックした100マイクロリットルのストレプトアビジン電磁ビーズを加え、室温で15分間回転させた。ビーズを、0.1%PBS/Tween 20、2%ミルクPBS、最後にPBSで十分に洗浄し、1mLの100mmol/Lトリエチルアミンで結合しているファージを溶出させ、500mLの1mol/Lトリス−HCL(pH7.4)で中和し、10mLの指数的に成長しているエシェリキア・コリ(Eschcrichia coli)TG1に加えた。その後、培養物を、100μg/mLアンピシリンおよび2%ブドウ糖含有寒天プレートを含む2×TY培地を有する150mmの培養プレート上に蒔いて37℃で終夜培養した。翌日、プレートからコロニーを掻き取り、上記の選択操作の2回目用として、ファージを増幅させるために使用した。合計で3回の選択操作を行った後、選択されたファージ抗体のスクリーニングおよび同定を行った。
【0162】
実施例3:二重特異性抗体の構築と調製
発現したscFvの結合特異性をELISAによって解析した。二重特異性抗体の構築のために、高活性のscFvクローンを選択した。DNA指紋検査法およびDNA塩基配列の決定により、数種類の異なるscFvクローンの特徴を明らかにし、それらを確認した。QlAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen)を使用して、選択したファージからのpHENファージミドを単離した。その後、scFvインサートを消化し、COOH末端にc−Mycおよび6Hisタグを付けて、pSYNIベクターにインフレームにクローン化した。scFvフラグメントを二重特異性抗体に転換するために、scFvの15−アミノ酸リンカー領域(AGTGGTGGAGGCGGTTCAGGCGGAGGTGGCTCTGGCGGTGGCGGATCG)を、QuikChange部位特異的変異誘発キット(Stratagene)を使用して5−アミノ酸リンカー(AGTGGTGGAGGATCG)に短縮した。DNA配列解析により、欠失変異を確認した。
【0163】
選択した二重特異性抗体の発現と精製を、MarksおよびBradburyによって提案された修正プロトコルを使用して実施した。単一コロニーをプレートから選び取り、250rpm、37℃で、100μg/mLアンピシリンを含む2×TYの1L/コロニー培地に植え付けた。A600が0.8〜1.0に達したとろで、1mmol/LのIPTGを添加してタンパク質の発現を誘導した。培養物を30℃、120rpmで4時間振盪し、4℃、7,000rpmで15分間回転させた。その後、20mLのペリプラズム緩衝液[200mmol/Lのトリス−HCl、20%スクロース、1mmol/LのEDTA(pH7.5)]に沈殿物を再懸濁させ、各混合物に290,000単位のリゾチーム(Epicentre)を加えた。この混合物を室温で5分間インキュベートし、4℃、7,000rpmで15分間回転させた。その後、沈殿物を40mmol/LのMgSO、20mLに再懸濁させ、10分間、氷上に放置した。試料を再度回転させ、この回転からの上澄み液を最初の上澄み液と混合した。その後、この混合物を0.45μmフィルターでろ過し、透析緩衝液[300mmol/LのNaCl、20mmol/LのHEPES(pH8.0)]中、4℃で終夜透析を行った。翌朝、0.2μmフィルターで試料を再度ろ過し、5mLのNi−NTAカラム(Qiagen)に通した。このカラムを20mLの洗滌緩衝液[300mmol/LのNaCl、20mmol/Lのイミダゾール、20mmol/LのHEPS、0.05%のTween 20(pH8.0)]で洗浄し、結合している二重特異性抗体を5mLの溶出緩衝液[300mmol/LのNaCl、250mmol/Lのイミダゾール、20mmol/LのHEPS(pH8.0)]により溶出させ、内毒素非含有PBS中、室温で終夜透析を行った。0.22μmフィルターで試料をろ過し、使用するまで−20℃で保管した。調製物の純度は、必要に応じてサイズ排除クロマトグラフ法のプロファイル(高速タンパク質液体クロマトグラフィー;Superdex 75(商標);Amersham. Pharmacia Biotech)により決定した。
【0164】
二重特異性抗体の分取分析では、4%〜20%トリス−グリシンゲル(Invitrogen)で精製した二重特異性抗体調製物を分離し、GelCode(商標)Blue Stain Reagent(Pierce)を使用して可視化した。Image J program(NIH)を使用してゲルをスキャンし、バンド強度を解析した。
【0165】
実施例4:VEGF ELISA
VEGF ELISAキット(R & D Systems, Minneapolis, MN)を使用し、取扱説明書に従ってVEGFの濃度を測定した。
【0166】
実施例5:siRNA EMP2
ARPE−19細胞に、75ピコモルのEMP2siRNA(J−016226−05(配列番号3)、J−016226−06(配列番号4)、J−016226−07(配列番号5)、J−016226−08(配列番号6);標的配列; Dharmacon、Lafayette、CO)および親油性形質移入試薬(Lipofectamine(商標)2000;Invitrogen、Carlsbad、CA)を瞬間的に形質移入してEMP2レベルを低下させ、48時間後に分析した。負のコントロールとして、細胞に75ピコモルのスクランブルコントロールsiRNA(D−001206−13−05;Dhartnacon)を形質移入した。EMP2siRNAおよびコントロールsiRNAは、それぞれ、EMP2を標的とする4つのsiRNAのプールおよび4つの標的を有しないsiRNAのプールである。VEGFの発現レベルを、ウエスタンブロット法およびELISAにより記載のように定量した。
【0167】
実施例6:VEGFのウエスタンブロット分析
ウエスタンブロット分析を前述のようにして行った。要約すると、プロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤(Upstate, Charlottesville, VA)を含有するRIPA緩衝液を使用して細胞タンパク質を単離し、タンパク質定量試験(ビシンコニン酸(BCA);Bio-Rad)によりこのタンパク質濃度を測定した。各レーンに総計で10μgのタンパク質を流し、還元条件下、4%〜20%SDS−PAGE勾配ゲルによってタンパク質を分画した。タンパク質をニトロセルロース膜(GE Healthcare, Buckinghamshire, UK)に転写し、転写の妥当性をPonceau S(Sigma-Aldrich)の赤色染色によって確認した。その後、TBS Tween(TBST;Upstate)に混合した脱脂ミルクでこの膜をブロッキング処理した。抗−VEGFでは1: およびβ−アクチンでは1:5000に希釈した一次抗体とともに、ブロットを1時間インキュベートした。西洋ワサビペルオキシダーゼ−共役ヤギ抗ウサギ抗体、または西洋ワサビペルオキシダーゼ−共役ヤギ抗マウス抗体を、希釈率1:2000でブロットに暴露させた。その後、ブロットを化学発光で展開させ、結合した抗体を可視化し(ECL; Pierce、Rockford、IL)、内部コントロールとしてβ−アクチンを使用して定量した。ウエスタンブロット分析をNIHのImage Jで定量化した。ブロットをフラットベッドスキャナーで数値化し、Image Jを使用してバンド密度を測定した。負荷量変動性を調節するために、β−アクチンを使用し、各試料を正規化した。少なくとも3回の独立した実験を行い、結果は、それが示されている場合には、スチューデントのt−検定(対応がない、片側)により統計的有意性について評価した。p<0.05のレベルを統計的に有意であるとみなした。
【0168】
配列番号1 上皮膜タンパク質2(NP_001415.1)
MLVLLAFIIAFHITSAALLFIATVDNAWWVGDEFFADVWRICTNNTNCTVINDSFQEYSTLQAVQATMILSTILCCIAFFIFVLQLFRLKQGERFVLTSIIQLMSCLCVMIAASIYTDRREDIHDKNAKFYPVTREGSYGYSYILAWVAFACTFISGMMYLILRKRK
【0169】
配列番号2 上皮膜タンパク質2(NM_001424)
GAGGGGCCCC GCCGCCTAGA GGGTGGAGGG
AGGGCGCGCA GTCCCAGCCC AGAGCTTCAA
AACAGCCCGG CGGCCTCGCC TCGCACCCCC
AGCCAGTCCG TCGATCCAGC TGCCAGCGCA
GCCGCCAGCG CCGGCACATC CCGCTCTGGG
CTTTAAACGT GACCCCTCGC CTCGACTCGC
CCTGCCCTGT GAAAATGTTG GTGCTTCTTG
CTTTCATCAT CGCCTTCCAC ATCACCTCTG
CAGCCTTGCT GTTCATTGCC ACCGTCGACA
ATGCCTGGTG GGTAGGAGAT GAGTTTTTTG
CAGATGTCTG GAGAATATGT ACCAACAACA
CGAATTGCAC AGTCATCAAT GACAGCTTTC
AAGAGTACTC CACGCTGCAG GCGGTCCAGG
CCACCATGAT CCTCTCCACC ATTCTCTGCT
GCATCGCCTT CTTCATCTTC GTGCTCCAGC
TCTTCCGCCT GAAGCAGGGA GAGAGGTTTG
TCCTAACCTC CATCATCCAG CTAATGTCAT
GTCTGTGTGT CATGATTGCG GCCTCCATTT
ATACAGACAG GCGTGAAGAC ATTCACGACA
AAAACGCGAA ATTCTATCCC GTGACCAGAG
AAGGCAGCTA CGGCTACTCC TACATCCTGG
CGTGGGTGGC CTTCGCCTGC ACCTTCATCA
GCGGCATGAT GTACCTGATA CTGAGGAAGC
GCAAATAGAG TTCCGGAGCT GGGTTGCTTC
TGCTGCAGTA CAGAATCCAC ATTCAGATAA
CCATTTTGTA TATAATCATT ATTTTTTGAG
GTTTTTCTAG CAAACGTATT GTTTCCTTTA
AAAGCCAAAA AAAAAAAAAA AAAAAAAAAA
AAAAGAAAAA AGAAAAAAAA AATCCAAAAG
AGAGAAGAGT TTTTGCATTC TTGAGATCAG
AGAATAGACT ATGAAGGCTG GTATTCAGAA
CTGCTGCCCA CTCAAAAGTC TCAACAAGAC
ACAAGCAAAA ATCCAGCAAT GCTCAAATCC
AAAAGCACTC GGCAGGACAT TTCTTAACCA
TGGGGCTGTG ATGGGAGGAG AGGAGAGGCT
GGGAAAGCCG GGTCTCTGGG GACGTGCTTC
CTATGGGTTT CAGCTGGCCC AAGCCCCTCC
CGAATCTCTC TGCTAGTGGT GGGTGGAAGA
GGGTGAGGTG GGGTATAGGA GAAGAATGAC
AGCTTCCTGA GAGGTTTCAC CCAAGTTCCA
AGTGAGAAGC AGGTGTAGTC CCTGGCATTC
TGTCTGTATC CAAACCAGAG CCCAGCCATC
CCTCCGGTAT CGGGGTGGGT CAGAAAAAGT
CTCACCTCAA TTTGCCGACA GTGTCACCTG
CTTGCCTTAG GAATGGTCAT CCTTAACCTG
CGTGCCAGAT TTAGACTCGT CTTTAGGCAA
AACCTACAGC GCCCCCCCCC TCACCCCAGA
CCTACAGAAT CAGAGTCTTC AAGGGATGGG
GCCAGGGAAT CTGCATTTCT AACGCGCTCC
CTGGGCAACG CTTCAGATGC GTTGAAGTTG
GGGACCACGG TGCCTGGGCC AGGTCAGCAG
AGCTGCCTCG TAAATGCTGG GGTATCGTCA
TGTGGAGATG GGGAGGTGAA TGCAACCCCC
ACAGCAGGCC AAAACCTTGG CCTCCATCGC
CACAGCTGTC TACATCTAGG GCCCCAAAAC
TCCATTCCTG AGCCATGTGA ACTCATAGAC
ACCTTCAGGG TGTGGGGTAC AGCCTCCTTC
CCATCTTATC CCAGAAGGCC TCTCCCTTCT
TGTCCAGCCC TTCATGCTAC ACCTGGCTGG
CCTCTCACCC CTATTTCTAG AGCCTCAGAG
GACCCATCCA CCATTCATTC ATTCATTCAT
TCATTCATTC ATTCATTCAT TCATCAACAT
AAATCATAAC TTGCATGCAT GTGCCAGGCA
CAGGGGATAC CCTCTAGAGA CAATCTCCTC
CTAGGGCTCA TGGCCTAGTG GAGGAGACAG
ATTAAAACTT AATTAGAAAA ACTGGCTGGG
TACAGTGGCT CATGCTTGTA ATCCCAGCAC
TTTGGGAGGC TGAGGCGGGT GGATCACCTG
AGGTCAGGAG TTCAAGACCA GCCTGGCCAA
AATGGTAAAA CCTGTCTCTA CTAAAAATAC
AAAAATGAGC TGGGCGTGGT GGTGCATGCC
TGTAATCCCA GCTATCAGGT GGCTGAGGCA
GGAGAATCAC TTGAAATGGG AGGTGGAGGT
TGCAGTGAGC CGAGACCGTG CCACTGCACT
CCAGCCTGGG TGACAGAGTG AGACTCCATC
TCAAAAAAAG AAAAAAAAGA AAAGAAACTA
ATTACACACT GTGATGGAGG CTGCAAAGAA
CACCACTAAG AATTCAAAAT CAGCTGGGTG
CGGTGGCTCA CACCTGTAAT CCCAGCACTT
TGGGAGGCTG AGGCAGGTGG ATCACAAGGT
CAGGAGTTCA AGACCAGCCT GGCCAACATG
GTGAAACCCC GTCTCTACCG AAAATACAAC
AAAATTAGCC CGGTGTGGTG GCAGGTGCCT
GTAATCCCAG CTACTTAGGA GGCTGAGGCA
GGAGAATCGC TTGAAACTGG GAGGCGGAGG
TCGCAGTGAG CCGAGATTCA CCACTGCACT
CCAGCCCAGG CGACAGTCTG AGACTCCGTC
TCAAAAATAA AACGATTCAA AATCGAGGCC
TGTGGCATGG TAGGGAGGCT GCTTTACGCG
TGCCTATTAT TAAATGCTCC TGGAGGCATT
TAGGTATTTA GATCAGTCTA AATATAGCTC
CATTCAGTTC GTGCAGATGA CAGTTATTGG
GCAGTACCTG TCTGTGTAAC ACCCAGAAAA
CATGTCTGTG GAGGGGCCCA TGGTCCCGAC
AGTAAATGCG GTGAGAGGGT CCCATAGAGC
TGGAGTTTTC AAGCTTTAGG GGTTCCCGTG
CTGCTTGGGA CAGGCTGATT CAGAGGGTCT
GGGTGAATGA TTTCCAGGTG ATTTTAAGAC
TGTGCTGAGA AATAGGGCTT TTGGGGCCTT
GTCCTTCAGG ATCAAAGCAT GATGCTGTGT
GGCAATGCAG ACCACCCAGG AACCATCCCA
GGAGATAAGC TCTTTGCACC TCATTGTCTT
TTTCTGCTTA TGTTGGAGCA GGATGCTGGG
GGCTGTCCTG GGATGGGGTG TGGGACCTCG
TGCTATTTAA ATACTTTTGC ACTTGACCTT
CTGCTGAGTG GAGTGGTGGT TTGCCATCAG
CTCAGTTCCA GTGGAGCTGA AGAGACATCT
GGTTTGAGTA GTTTTAGGGC CACCATGGAT
ATCTCTTCAA TGCAGGATTG GCTCTTTCCA
TCTGCTCTTT CATTCATTTG TTTTTGACAG
ATAGTATTAA ATGTTTACCA TGTTCCAGGC
ACTGTGTGAG GCTCTGAAAA TACAGGGGTG
AGCAAATCCA GATATCCTCC CTGCCATCAT
GAAGTTTGGA GTCTATGAGA TAGGACCCCC
TCCCTATGGA GAAGCCACCA ATGCAGTACA
GGGTGACCTG GGGCCAGAGA CAGGACAAAT
GTCACCTCCT GCCTCCATGA GATACTCTCA
CTAGTCATAT TGTGGGCAAG AATGTGGCTT
ACACCCCTAG GGTTAACAGG ATGCTACCCA
AGCTCATGGA GGAAGTTGAA TCTTAAGTTC
CCTTGAAACT TTCTACCTTG GTGGCTTTTC
TATAATTTTC TTTTTTCTTT TTCTTTTTTT
TTTTTTTTTT TGAGACTGAG TTTTGCTCTT
GTTGCCCAGG CTGGAGTGCA GTGGCACCAT
CTTGGCTCAC CGCAACCTCT GCCTCCTGGG
TTCAAGTGAT TCTCCTGCCT CAGCCTCCCG
AGTAGCTGGG ATTACAGGCA TGTCCCACCA
TGCCCAGCTA ATTTTTGTAT TTTTAGTAGA
GATGGGGTTT CTCCATGTTG GTCAGGCTGG
TTTCGAACTC CCAACCTCAG GTGATCCGCC
CACCTCAGCC TTCCAAAGTG CTGGGATTAC
AGGCATGAGC CACTGCGTCT GGCCTTCTAT
AATTTTCTGG TAGTCACGAT GGAAACAAAC
AAAACACCTT AGAACCAGAG ATCGACCCCC
TCAAGCAATA CATCAATTCC CTTCACAAGA
AACGTCGGGG CTACATGAGT ATCTGTGTTG
AATGCGGTCT GAAATGATCC TATGGATTTT
CCCGGCTGGT TGCCACTGCT GTACAACATT
CAGTGCCCAC ATCCACCTGT GCCATTAAGC
TTTTTTGAGA CATGAGAGAT GCCTCTTCCC
TGCTGTATGA CATGCATTTG GGAAGTTGGA
AAGAAATGAC AAAATCAGGG AGAAAACATC
CAAGCTTCTT ACCTGTAGAT AGAATCAGCC
CTCACTTGGT GCTTATTACC AGTTATTCAA
GAACAATAAC AACAACAAAA TTAGTAGACA
TCCAAGAAGC ACATATTAGG ACCAAAGATA
GCATCAACTG TATTTGAAGG AACTGTAGTT
TGCGCATTTT ATGACATTTT TATAAAGTAC
TGTAATTCTT TCATTGAGGG GCTATGTGAT
GGAGACAGAC TAACTCATTT TGTTATTTGC
ATTAAAATTA TTTTGGGTCT CTGTTCAAAT
GAGTTTGGAG AATGCTTGAC TTGTTGGTCT
GTGTGAATGT GTATATATAT ATACCTGAAT
ACAGGAACAT CGGAGACCTA TTCACTCCCA
CACACTCTGC TATAGTTTGC GTGCTTTTGT
GGACACCCCT CATGAACAGG CTGGCGCTCT
AGGACGCTCT GTGTTCACTG ATGATGAAGA
AACCTAGAAC TCCAAGCCTG TTTGTAAACA
CACTAAACAC AGTGGCCTAG ATAGAAACTG
TATCGTAGTT TAAAATCTGC CTCGCGGGAT
GTTACTAAAC TCGCTAATAG TTTAAAGGTT
ACTTACAATA GAGCAAGTTG GACAATTTTG
TGGTGTTGGG GAAATGTTAG GGCAAGGCCT
AGAGGTTCAT TTTGAATCTT GGTTTGTGAC
TTTAGGGTAG TTAGAAACTT TCTACTTAAT
GTACCTTTAA AATAGTCCAT TTTCTATGTT
TTGTATAATC TGAAACTGTA CATGGAAAAT
AAAGTTTAAA ACCAGATTGC CCAGAGCAAG
ACTCTAATGT TCCCAACGGT GATGACATCT
AGGGCAGAAT GCTGCCATTT TGAGGGGCAG
GGGGTCAGCT GATTTCTCAT CAAGATAATA
ATGTATGGTT TTTACACTAA GCAACTGATA
AATGGACAAT TTATCACTGG AAAAAA
【0170】
配列番号3(標的配列1):GUACCAACAACACGAAUUG
【0171】
配列番号4(標的配列2):UGAUUGCGGCCUCCAUUUA
【0172】
配列番号5(標的配列3):GCGAAAUUCUAUCCCGUGA
【0173】
配列番号6(標的配列4):AGACAGGCGUGAAGACAUU
【0174】
配列番号7 KS49重鎖
MAQVQLVQSGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYAMHWVRQAPGKGLEWVAVISYDGSNKYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDRRGRKSAGIDYWGQGTLVTVSS
【0175】
配列番号8 KS49重鎖CDR1:SYAMH
【0176】
配列番号9 KS49重鎖CDR2:VISYDGSNKYYADSVKG
【0177】
配列番号10 KS49重鎖CDR3:DRRGRKSAGIDY
【0178】
配列番号11 KS49軽鎖
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQDISNYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCLQDYNGWTFGQGTKVDIKRAAAEQKLISEEDLNGAA
【0179】
配列番号12 KS49軽鎖CDR1:QASQDISNYLN
【0180】
配列番号13 KS49軽鎖CDR2:AASSLQS
【0181】
配列番号14 KS49軽鎖CDR3:LQDYNGWT
【0182】
配列番号15 KS83重鎖
MAQVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMHWVRQAPGKGLEWVAVISYDGSNKYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARTVGATGAFDIWGQGTMVTVSSS
【0183】
配列番号16 KS83重鎖CDR1:SYAMH
【0184】
配列番号17 KS83重鎖CDR2:VISYDGSNKYYADSVKG
【0185】
配列番号18 KS83重鎖CDR3:TVGATGAFDI
【0186】
配列番号19 KS83軽鎖−DIVMTQSPSTVSASVGDRVIIPCRASQSIGKWLAWYQQKPGKAPKLLIYKASSLEGWVPSRFSGSGSGTEFSLTISSLQPDDSATYVCQQSHNFPPTFGGGTKLEIKRAAAEQKLISEEDLNGAA
【0187】
配列番号20 KS83軽鎖CDR1:RASQSIGKWLA
【0188】
配列番号21 KS83軽鎖CDR2:KASSLEG
【0189】
配列番号22 KS83軽鎖CDR3:QQSHNFPPT
【0190】
配列番号23 KS41重鎖−
MAQVQLVQSGGGLVQPGRSLRLSCAASGFSFSEYPMHWVRQAPGRGLESVAVISYDGEYQKYADSVKGRFTISRDDSKSTVYLQMNSLRPEDTAVYYCARTINNGMDVWGQGTTVTVSS
【0191】
配列番号24 KS41重鎖CDR1:EYPMH
【0192】
配列番号25 KS41重鎖CDR2:VISYDGEYQKYADSVKG
【0193】
配列番号26 KS41重鎖CDR3:TINNGMDV
【0194】
配列番号27 KS41軽鎖−
DIVMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPELLIYGASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDSATYYCLQDYNGWTFGQGTKLEIKRAAAEQKLISEEDLNGAA
【0195】
配列番号28 KS41軽鎖CDR1:RASQGIRNDLG
【0196】
配列番号29 KS41軽鎖CDR2:GASSLQS
【0197】
配列番号30 KS41軽鎖CDR3:LQDYNGWT
【0198】
配列番号31 KS89重鎖−
MAQVQLVQSGGGLVQPGRSLRLSCAASGFSFSEYPMHWVRQAPGRGLESVAVISYDGEYQKYADSVKGRFTISRDDSKSTVYLQMNSLRPEDTAVYYCARTINNGMDVWGQGTTVTVSS
【0199】
配列番号32 KS89重鎖CDR1:EYPMH
【0200】
配列番号33 KS89重鎖CDR2:VISYDGEYQKYADSVKG
【0201】
配列番号34 KS89重鎖CDR3:TINNGMDV
【0202】
配列番号35 KS89軽鎖−
DIVMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPELLIYGASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDSATYYCLQDYNGWTFGQGTKLEIKRAAAEQKLISEEDLNGAA
【0203】
配列番号36 KS89軽鎖CDR1:RASQGIRNDLG
【0204】
配列番号37 KS89軽鎖CDR2:GASSLQS
【0205】
配列番号38 KS89軽鎖CDR3:LQDYNGWT
【0206】
配列番号39 KS49抗−EMP−2二重特異性抗体の全ポリペプチド配列
MAQVQLVQSGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYAMHWVRQAPGKGLEWVAVISYDGSNKYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDRRGRKSAGIDYWGQGTLVTVSSGGGSDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQDISNYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCLQDYNGWTFGQGTKVDIKRAAAEQKLISEEDLNGAAHHHHHH
【0207】
配列番号40 KS83抗−EMP−2二重特異性抗体の全ポリペプチド配列
MAQVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMHWVRQAPGKGLEWVAVISYDGSNKYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARTVGATGAFDIWGQGTMVTVSSSGGGSDIVMTQSPSTVSASVGDRVIIPCRASQSIGKWLAWYQQKPGKAPKLLIYKASSLEGWVPSRFSGSGSGTEFSLTISSLQPDDSATYVCQQSHNFPPTFGGGTKLEIKRAAAEQKLISEEDLNGAAHHHHHH
【0208】
配列番号41 KS41抗−EMP−2二重特異性抗体の全ポリペプチド配列
MAQVQLVQSGGGLVQPGRSLRLSCAASGFSFSEYPMHWVRQAPGRGLESVAVISYDGEYQKYADSVKGRFTISRDDSKSTVYLQMNSLRPEDTAVYYCARTINNGMDVWGQGTTVTVSSSGGGSDIVMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPELLIYGASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDSATYYCLQDYNGWTFGQGTKLEIKRAAAEQKLISEEDLNGAAHHHHHH
【0209】
配列番号42 KS89抗−EMP−2二重特異性抗体の全ポリペプチド配列
MAQVQLVQSGGGLVQPGRSLRLSCAASGFSFSEYPMHWVRQAPGRGLESVAVISYDGEYQKYADSVKGRFTISRDDSKSTVYLQMNSLRPEDTAVYYCARTINNGMDVWGQGTTVTVSSSGGGSDIVMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPELLIYGASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDSATYYCLQDYNGWTFGQGTKLEIKRAAAEQKLISEEDLNGAAHHHHHH

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿性加齢性黄斑変性(AMD)の治療方法であって、有効量の上皮膜タンパク質2(EMP2)阻害剤を、それを必要とする患者に投与することを含む方法。
【請求項2】
前記EMP2阻害剤が抗−EMP2抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記EMP2阻害剤がEMP2si−RNAである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記EMP2阻害剤が眼内経路または局所的に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記EMP2阻害剤が眼内経路で投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
治療を必要とする患者に有効量のEMP2阻害剤を投与することを含む、患者の眼の病気の治療方法。
【請求項7】
前記眼の病気が、糖尿病網膜症、角膜血管新生、脈絡膜血管新生、毛様体炎、ヒッペル−リンダウ病、未熟児網膜症、翼状片、ヒストプラズマ症、虹彩血管新生、黄斑浮腫、緑内障関連の血管新生およびプルチャー網膜症である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
眼の血管内皮成長因子(VEGF)の発現を抑制する方法であって、有効量の上皮膜タンパク質2(EMP2)阻害剤を、それを必要とする患者に投与することを含む方法。
【請求項9】
前記EMP2阻害剤が抗−EMP2抗体である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記抗−EMP2抗体が重鎖および軽鎖を含み、前記重鎖は3つの相補的決定領域(CDR):HCDR1、HCDR2およびHCDR3を含み、前記軽鎖は3つのCDR:LCDR1、LCDR2およびLCDR3を含み、HCDR1は配列番号8を含み、HCDR2は配列番号9を含み、HCDR3は配列番号10を含み、LCDR1は配列番号12を含み、LCDR2は配列番号13を含み、LCDR3は配列番号14を含む、請求項2または9に記載の方法。
【請求項11】
前記抗体が二重特異性抗体である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記EMP2阻害剤がEMP2si−RNAである、請求項3または8に記載の方法。
【請求項13】
前記EMP2si−RNAが標的配列を含み、前記標的配列が配列番号3、配列番号4、配列番号5または配列番号6を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記EMP2si−RNAが、配列番号3、配列番号4、配列番号5および配列番号6からなる群から選択される標的配列を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
湿性加齢性黄斑変性(AMD)の治療方法であって、有効量の少なくとも2種の上皮膜タンパク質2(EMP2)阻害剤を、それを必要とする患者に投与することを含む方法。
【請求項16】
前記少なくとも2種のEMP2阻害剤の一種が抗−EMP2抗体であり、かつ前記少なくとも2種のEMP2阻害剤の一種がEMP2si−RNAである、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−520446(P2013−520446A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554099(P2012−554099)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2011/025772
【国際公開番号】WO2011/103599
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(505088684)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (18)
【出願人】(512215200)
【Fターム(参考)】