説明

下側緩衝材および梱包装置

【課題】筺材に対する位置決めを正確に行うことができて、金型の構造を簡易にでき、かつ、強度の低下を抑制できる下側緩衝材およびそのような下側緩衝材を備える梱包装置を提供すること。
【解決手段】梱包装置の第1下側緩衝材1の側面17,18に、上下方向に貫通する切欠き溝11,12を形成すると共に、梱包装置の筺材の内面に、上下方向に延在する突出条を形成し、切欠き溝11,12を、上記突出条に係止させることによって、上記筺材に、第1下側緩衝材1を位置決め固定する。上記筺材の上記突出条は、上記筺材の接合代に連なる先端部を、上記筺材の内側に180°折り返えして形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品への衝撃力を緩和する下側緩衝材に関し、また、下側緩衝材を備える梱包装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、梱包装置としては、特開平10−139069号公報(特許文献1)に記載されているものがある。この梱包装置は、筺材と、下側緩衝材とを備え、下側緩衝材は、筺材内に配置されるようになっている。上記下側緩衝材の外径加工寸法は、筺材内に圧入できる範囲内で、筺材の内寸法より大きく設定されている。この梱包装置は、上記筺材に下側緩衝材を圧入固定した後、製品の本体や付属品を梱包するようになっている。
【0003】
この梱包装置は、下側緩衝材を単に筺材に圧入固定する構成であるから、筺材に対する下側緩衝材の位置決めを精密に行うことができなくて、エアコンの室外機や、冷蔵庫等の大型の電気製品を梱包する場合、それらの大型の電気製品を、効率かつ迅速に梱包しにくいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−139069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図8は、上記位置決めの問題を解消できる参考例の梱包装置の第1下側緩衝材100を示す斜視図であり、図9は、参考例の梱包装置の第2下側緩衝材130を示す斜視図である。また、図10は、それら第1、第2下側緩衝材100,130が収容される梱包装置の筺材150を示す斜視図である。
【0006】
図8に示すように、第1下側緩衝材100は、互いに平行な第1および第2側面101,102と、第1および第2突起103とを有し、第1突起103は、第1側面101から突出する一方、第2突起は、第2側面102から突出している。
【0007】
また、図9に示すように、第2下側緩衝材130は、互いに平行な第1および第2側面131,132と、第1および第2突起133とを有し、第1突起133は、第1側面131から突出する一方、第2突起は、第2側面132から突出している。
【0008】
また、図10に示すように、参考例の筺材150は、互いに平行な第1および第2側壁151,152と、第1、第2、第3および第4貫通穴153,154,155,156とを有し、第1および第3貫通穴153,155は、第1側壁151を貫通する一方、第2および第4貫通穴154,156は、第2側壁152を貫通している。また、上記第1貫通穴153と、第2貫通穴154とは、第1側壁151の法線方向に対向し、第2貫通穴155と、第4貫通穴155とも、その法線方向に対向している。
【0009】
上記筺材150に第1、第2下側緩衝材130,150を組み付ける前、筺材150の第1側壁151の内面と、筺材150の第2側壁152の内面との距離は、第1下側緩衝材100の第1側面101と、第2側面102との距離よりも小さくなっており、かつ、第2下側緩衝材130の第1側面131と、第2側面132との距離よりも小さくなっている。
【0010】
この梱包装置は、筺材150の第1側壁151と、第1下側緩衝材100の第1側面101とが略平行な状態で、筺材150の内部に第1下側緩衝材100を圧入して、筺材150の第1貫通穴153に第1突起103を係合すると共に、筺材150の第2貫通穴154に第2突起を係合するようになっている。
【0011】
また、同様に、筺材150の第1側壁151と、第2下側緩衝材130の第1側面131とが略平行な状態で、筺材150の内部に第2下側緩衝材130を圧入して、筺材150の第3貫通穴155に第1突起133を係合すると共に、筺材150の第2貫通穴156に第2突起を係合するようになっている。
【0012】
この梱包装置は、このようにして、筺材150に第1および第2下側緩衝材100,130を固定するようになっている。
【0013】
上記参考例の梱包装置は、下側緩衝材100,130の突起103,133を、筺材150の貫通穴153,154,155,156に係合する構成であるから、筺材150に下側緩衝材100,130を正確に位置決め固定することができる。
【0014】
しかしながら、上記参考例の梱包装置では、下側緩衝材を筺材に好適に圧入できるように、下側緩衝材100,130に、図11の拡大斜視図で示す複雑な断面略等脚台形状の突起103(例として、第1下側緩衝材100の第1突起103を図示したが、他の突起の形状も同じ)を形成しなければならならず、下側緩衝材100,130を成形する金型の構造が複雑になって、金型が高価になり、かつ、金型の耐久性が低いという問題がある。
【0015】
また、上記参考例の梱包装置では、下側緩衝材100,130を筺材150に圧入しなければならないから、突起103,133は小さきものでなければならないが、小さい突起103,133は、欠けやすくて、成形が難しく、また、運ぶときに、けずれたりするという問題もある。
【0016】
また、図10に示すように、参照番号170、171で示すPPバンドを用いて、製品を結束する場合には、PPバンド170,171が、筺材150に設けた貫通穴153,154,155,156に食い込んで、筺材150が破れ易くなると共に、PPバンド170,171に緩みが発生するという問題もある。
【0017】
そこで、本発明の課題は、筺材に対する位置決めを正確に行うことができて、金型の構造を簡易にでき、かつ、強度の低下を抑制できる下側緩衝材およびそのような下側緩衝材を備える梱包装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するため、この発明の下側緩衝材は、
側面と、底面とを有すると共に、上記側面に上下方向に貫通する切欠き溝を有することを特徴としている。
【0019】
尚、上記「上下方向」は、本発明の緩衝材が組み込まれる梱包装置が、製品を梱包している状態で、その梱包装置の底面が、水平面に載置されている状態での方向をさすものとする。また、この明細書で、上、下、上側、下側、水平方向等、鉛直方向や水平方向を示す文言を用いた場合、それは、緩衝材が組み込まれる梱包装置が、製品を梱包している状態で、その梱包装置の底面が、水平面に載置されている状態での方向をさすものとする。また、この発明の下側緩衝材は、好ましくは、梱包装置の内側下部に配置される。
【0020】
本発明によれば、下側緩衝材が、側面に上下方向に貫通する切欠き溝を有しているから、この切欠き溝を、筺材の内面に形成された上下方向に延在する突出条に係合することにより、筺材に対して下側緩衝材を正確に位置決めすることができる。
【0021】
また、本発明によれば、下側緩衝材に、突出部の代わりに切欠き溝が形成されているから、従来の突出部を形成した下側緩衝材のように、突出部が欠けたり削れたりすることがなくて、下側緩衝材の強度の低下を抑制できると共に、下側緩衝材を容易に成形することができる。また、突出部がなくて、突出部が欠けることがないから、下側緩衝材と製品との緩みを抑制できると共に、突出部の代わりに溝が形成されるから、下側緩衝材の材料費を低減することもできる。
【0022】
また、本発明によれば、切欠き溝のみを形成すれば良いから、下側緩衝材の構造を、矩形状の本体部から突出する部分がないようにすることができて、下側緩衝材を成形する金型を単純な構造にすることができる。したがって、金型の製造コストを低減できると共に、金型の耐久性を向上できる。
【0023】
また、一実施形態では、
対向する両側面の互いに対応する位置に、上記切欠き溝を設けている。
【0024】
上記実施形態によれば、対向する両側面の互いに対応する位置に、上記切欠き溝が設けられているから、下側緩衝材が、筺材に対して回動するように移動することを確実に防止できて、下側緩衝材を筺材に確実に固定することができる。
【0025】
また、本発明の梱包装置は、
本発明の下側緩衝材と、
上記下側緩衝材の上記底面および3方の側面に当接する内面を有する筺材と
を備え、
上記筺材の内面に上下方向に延在して上記切欠き溝に係合する突出条を設けたことを特徴としている。
【0026】
本発明によれば、筺材が、下側緩衝材の切欠き溝に係合する突出条を有しているから、筺材の突出条を、下側緩衝材の切欠き溝に係合することによって、筺材に対して下側緩衝材を正確に位置決めできる。
【0027】
また、本発明によれば、下側緩衝材の金型の製造コストを下げることができると共に、下側緩衝材の金型の耐久性を上げることができる。また、下側緩衝材と筺材との係合の強度の低下も抑制できる。
【0028】
また、一実施形態では、
上記筺材の上記突出条は、上記筺材の側面部材の接合代に連なる先端部からなっていて、上記先端部は、上記側面部材に当接する位置から180°折り返えされて上記接合代に重ね合わされている。
【0029】
上記実施形態によれば、筺材を形成するのに必要不可欠である従来接合代(筺材の繋ぎの部分のこと)として使用されていた部分の一部を、接合代として使用しないで、突出条として使用することができる。したがって、簡単迅速かつ新たな製造コストを殆ど必要とせずに筺材に突出条を形成することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、筺材に対する位置決めを正確に行うことができて、金型の構造を簡易にでき、かつ、強度の低下を抑制できて、製造コストが低い下側緩衝材およびそのような下側緩衝材を備えた梱包装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態の第1下側緩衝材の斜視図である。
【図2】第1下側緩衝材の第1切欠き溝の周辺部分の拡大斜視図である。
【図3】上記第1下側緩衝材が収容される筺材の斜視図である。
【図4】筺材の第3突出条の周辺部を示す斜視図である。
【図5】筺材に収容される第1下側緩衝材とは別の第2下側緩衝材の斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態の梱包装置を示す斜視図である。
【図7】上記梱包装置における第3突出条周辺を示す上面図である。
【図8】参考例の梱包装置の第1下側緩衝材を示す斜視図である。
【図9】参考例の梱包装置の第2下側緩衝材を示す斜視図である。
【図10】参考例の第1、第2下側緩衝材が収容される梱包装置の筺材を示す斜視図である。
【図11】参考例の梱包装置の第1下側緩衝材の第1突起の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
【0033】
図1は、本発明の下側緩衝材の一実施形態である第1下側緩衝材1の斜視図である。
【0034】
図1に示すように、この第1下側緩衝材1は、略直方体状の発砲スチロールに複数の凹部を形成した形状を有している。上記第1下側緩衝材1は、その第1下側緩衝材1の長手方向を垂直に二等分する平面に対して略面対称な形状を有している。
【0035】
上記第1下側緩衝材1は、上方凹部10と、第1切欠き溝11と、第2切欠き溝12とを有し、上記上方凹部10は、上面15に存在して、幅方向の一方側および上方側に開口している。上記上方凹部10は、製品の一部を嵌入して係止するために形成されている。
【0036】
上記第1下側緩衝材1は、底面16と、第1および第2側面(外側面)17,18とを有し、第1および第2側面17,18は、互いに対向している。上記第1および第2側面17,18の夫々は、第1下側緩衝材1の幅方向に延在している。
【0037】
上記第1下側緩衝材1は、第1および第2側面17,18の互いに対向する位置に、上記切欠き溝11,12を設けている。上記第1側面17は、第1切欠き溝11を有する一方、第2側面18は、第2切欠き溝12を有する。上記第1切欠き溝11および第2切欠き溝12の夫々は、第1下側緩衝材1の上下方向に延在し、第1下側緩衝材1を上下方向に貫通している。上記第1切欠き溝11は、第2切欠き溝12と第1下側緩衝材1の長手方向に対向している。
【0038】
図2は、第1下側緩衝材1の第1切欠き溝11の周辺部分の拡大斜視図である。
【0039】
図2に示すように、上記第1切欠き溝11は、断面略矩形の形状を有している。また、上記第1切欠き溝11の上記一方側の側面22の深さ(第1切欠き溝11の底面19の法線方向の長さ)は、第1切欠き溝11の上記一方側とは反対側の側面23の深さの略2倍になっている。上記一方側の側面22は、上記反対側の側面23と略平行であり、かつ、第1下側緩衝材1の長手方向に延在する第3側面(外側面)29とも略平行になっている。
【0040】
図2に示すように、上記第1下側緩衝材1の第1側面17は、第1側面部31と、第2側面部32とを有する。上記第1側面部31は、第1切欠き溝11の溝の深さが深い側の側面22の開口側の端部から第1切欠き溝11の一方側に延在している一方、第2側面部32は、第1切欠き溝11の溝の深さが浅い側の側面23の開口側の端部から第1切欠き溝11の他方側に延在している。
【0041】
図3は、上記下側緩衝材1が収容される筺材50の斜視図である。
【0042】
上記筺材50は、段ボールからなっている。上記筺材50は、上方に開口している。上記筺材50は、筺材50を筺材50の長手方向を垂直に二等分する平面に対して略面対称な形状を有し、筺材50を筺材50の幅方向を垂直に二等分する平面に対しても略面対称な形状を有する。上記筺材50は、第1側壁51と、第2側壁52と、第3側壁53と、第4側壁54とを有する。上記第1側壁51と、第2側壁52とは、互い平行であり、筺材50の長手方向に延在している。また、上記第3側壁53と、第4側壁54とは、互いに平行であり、筺材50の幅方向に延在している。
【0043】
図3に示すように、上記第1側壁51は、第1突出条61と、第2突出条62とを有し、第2側壁52は、第3突出条63と、第4突出条64とを有する。上記第1乃至第4突出条61,62,63,64の夫々は、上下方向に延在している。上記第1突出条61は、第3突出条63と、筺材50の幅方向に対向する一方、第2突出条62は、第4突出条64と、筺材50の幅方向に対向している。
【0044】
図4は、筺材50の第3突出条63の周辺部を示す斜視図である。
【0045】
図4に示すように、上記筺材50の第3突出条63は、筺材50の側面部材48の接合代75に連なる先端部71からなっていて、その先端部71は、側面部材48に当接する位置から、図4に矢印Aで示す水平方向に180°折り返えされて接合代75に重ね合わされている。上記先端部71は、従来構造では接合代として使用された部分であるが、本実施形態では、その部分を、接合代として使用せずに、第2突出条63として使用している。
【0046】
上記接合代75と、そこから折り返されて第3突出条63として使用される先端部71との間には、ミシン目等からなる折り返し部が形成されている。この折り返し部は、予め形成されている。この折り返し部は、折り返しを容易にし、かつ、第3突出条63の存在位置を確定している。
【0047】
図4に示すように、接合代75の筺材50の内方側の表面と、第3突出条63の折り返し後に第2側壁52側に向く面とは、重ねられて、互いに当接している。尚、突出条の折り返し後に筺材の側壁側に向く面に、予め粘着テープ等からなる粘着材を塗布し、上記突出条の壁側に向く面が、接合代の表面から剥がれないようにすることもできるが、このようにすると、突出条を、側壁に対して相対移動不可にできる。尚、詳述しないが、第1突出条61、第2突出条62および第4突出条64は、第3突出条63と同一の構造によって形成されている。
【0048】
図5は、筺材50に収容される第1下側緩衝材1とは別の第2下側緩衝材81の斜視図である。
【0049】
図5に示すように、第2下側緩衝材81は、上方凹部90と、第1切欠き溝91と、第2切欠き溝92とを有する。上記上方凹部90は、第2下側緩衝材81の上面95に幅方向の一方側および上方側に開口するように存在し、第1切欠き溝91は、第2下側緩衝材81の幅方向に延在する第1側面(外側面)97に上下方向に延在するように存在し、第2切欠き溝92は、第1側面97に第2下側緩衝材81の長手方向に対向する第2側面(外側面)98に上下方向に延在するように存在している。
【0050】
上記第2下側緩衝材81は、製品の一部が係止される上方凹部90の形状および幅方向の長さのみが、図1に示す第1下側緩衝材1と異なり、他の構成、例えば、第2下側緩衝材81がその第2下側緩衝材81の長手方向を垂直に二等分する平面に対して略面対称な形状を有している構成や、第1切欠き溝91が、第2切欠き溝92に第2下側緩衝材81の長手方向に対向している構成等の構成は、第1下側緩衝材1と同一である。
【0051】
図6は、本発明の一実施形態の梱包装置を示す斜視図である。
【0052】
この梱包装置は、図3に示す筺材50に、図1に示す第1下側緩衝材1と、図5に示す第2下側緩衝材81とを組み付けてなっている。上記第1下側緩衝材1および第2下側緩衝材81の夫々は、筺材50の内側下部に収容されるようになっており、梱包装置の内側下部に配置されるようになっている。
【0053】
詳しくは、上記第1下側緩衝材1の第1切欠き溝11を、筺材50の第2突出条62に係合させると共に、第1下側緩衝材1の第2切欠き溝12を、筺材50の第4突出条64に係合させるように、第1下側緩衝材1の底面が、筺材50の底面55に当接するまで、第1下側緩衝材1を、筺材50に嵌め込む。また、上記第2下側緩衝材81の第1切欠き溝91を、筺材50の第1突出条61に係合させると共に、第2下側緩衝材81の第2切欠き溝92を、筺材50の第3突出条63に係合させるように、第2下側緩衝材81の底面が、筺材50の底面55に当接するまで、第2下側緩衝材1を、筺材50に嵌め込む。このようにして、第1および第2下側緩衝材1,81を、筺材50に固定して、梱包装置の作成を完了する。
【0054】
図6に示すように、上記第1下側緩衝材1の幅方向の上方凹部10側とは反対側の第3側面29(図1参照)と、筺材50の第4側壁54の内面とは、当接し、第2下側緩衝材81の幅方向の上方凹部90側とは反対側の第3側面(外側面)96(図5参照)と、筺材50の第3側壁53の内面とも、当接している。
【0055】
この梱包装置の筺材50は、第1および第2下側緩衝材1,81の夫々の底面および3方の側面に当接する内面84を有し、筺材50の内面84に上下方向に延在して切欠き溝11,12,91,92に係合する突出条61,62,63,64を設けている。
【0056】
図7は、図6の第3突出条63周辺の拡大図であり、梱包装置における第3突出条63周辺を示す上面図である。
【0057】
図7に示すように、上記接合代75における筺材50の内方側の表面88は、第2下側緩衝材81の切欠き溝92(図5参照)の幅方向の上方凹部90側とは反対側に位置する表面89と当接している。また、上記第3突出条63は、第2下側緩衝材81の切欠き溝92に隙間が殆どない状態で嵌合している。
【0058】
上記筺材50において接合代75と先端部71とを重ね合わせてなる構造と、切欠き溝92および切欠き溝92の上方凹部90側とは反対側の表面89からなる構造とは、互いに対応する表面形状を有している。上記筺材50において接合代75と先端部71とを重ね合わせてなる構造と、切欠き溝92および切欠き溝92の上方凹部90側とは反対側の表面89からなる構造とは、略隙間なく係合している。尚、説明は省略するが、第1,3,4突出条61,62,64と、筺材50とは、第3突出条63と筺材50との係合と同一の係合をしている。
【0059】
上記実施形態の第1下側緩衝材1によれば、上下方向に貫通する切欠き溝11,12を有しているから、この切欠き溝11,12を、筺材50に形成された上下方向に延在する突出条62,64に係合することにより、筺材50に対して第1下側緩衝材1を正確に位置決めすることができる。
【0060】
また、上記実施形態の第1下側緩衝材1によれば、突出部の代わりに切欠き溝が形成されているから、図8に示す従来の突起103を形成した下側緩衝材100のように、突起103が欠けたり削れたりすることがない。したがって、第1下側緩衝材1の強度の低下を抑制できると共に、第1下側緩衝材1を容易に成形することができる。また、突出部がなくて、突出部が欠けることがないから、第1下側緩衝材1と製品との緩みを抑制できると共に、突出部の代わりに切欠き溝11,12が形成されるから、第1下側緩衝材1の材料費を低減することもできる。
【0061】
また、上記実施形態の第1下側緩衝材1によれば、切欠き溝11,12のみを形成すれば良いから、第1下側緩衝材1の構造を、矩形状の本体部から突出する部分がないようにすることができて、第1下側緩衝材1を成形する金型を単純な構造にすることができる。したがって、金型の製造コストを低減できると共に、金型の耐久性を向上できる。
【0062】
また、上記実施形態の第1下側緩衝材1によれば、対向する両側面17,18の互いに対応する位置に、切欠き溝11,12が設けられているから、第1下側緩衝材1が、筺材50に対して回動するように移動することを確実に防止できて、第1下側緩衝材1を筺材50に確実に固定することができる。
【0063】
尚、具体的な記載は省略するが、第2下側緩衝材81が、第1下側緩衝材1と同様な作用効果を奏することができることは言うまでもない。
【0064】
また、上記実施形態の梱包装置によれば、筺材50を形成するのに必要不可欠である従来接合代(筺材の繋ぎの部分のこと)として使用されていた部分の一部71を、接合代として使用しないで、突出条として使用する。したがって、簡単迅速かつ新たな製造コストを殆ど必要とせずに筺材50に突出条61,62,63,64を形成することができる。
【0065】
また、上記実施形態の梱包装置によれば、筺材50に穴を空けることがなく、筺材50に下側緩衝材1,81を固定することができるから、図10に示すのと同様な使用法で、PPバンドを使用したとしても、PPバンドの食い込みを防止でき、更に、PPバンドの緩みを防止することができる。また、PPバンドによる筺材50の破れも防止することができる。
【0066】
尚、上記実施形態の下側緩衝材1,81は、発砲スチロールからなっていたが、本発明の下側緩衝材は、古紙緩衝材や、力学的な計算で内容物を保護できるように折り曲げ加工された段ボールや、衝撃吸収ゲルのようなゲル化素材等からなっていても良い。
【0067】
また、上記実施形態の梱包装置の筺材50では、筺材50の接合代75に連なる先端部71を水平方向に略180°折り返して突出条61,62,63,64を形成したが、この発明では、筺材に一体の接合代を設け、その一体の接合代の形状を、予め2段の階段状の形状にしておくこともできる。
【0068】
また、上記実施形態の梱包装置の筺材50では、筺材50の接合代75に連なる先端部71を水平方向に略180°折り返して突出条61,62,63,64を形成したが、この発明では、筺材の接合代とは無関係な側壁の筺材の内側の表面に突出条が存在していても良い。
【0069】
また、上記実施形態の梱包装置の筺材50では、筺材50の幅方向に互いに対向する第1および第2側壁51,52に、上記幅方向に対向する(幅方向に重なる)ように、第2下側緩衝材81の係止用の第1突出条61および第3突出条63が形成されたが、この発明では、筺材の幅方向に互いに対向する第1および第2側壁の夫々に少なくとも一つずつ、上記幅方向に対向しない(幅方向に重ならない)ように、一の下側緩衝材の係止用の突出条を形成しても良い。
【0070】
このことを下側緩衝材の立場から述べると、上記実施形態の第1下側緩衝材1では、第1下側緩衝材1の長手方向に互いに対向する第1および第2側面17,18に、上記長手方向に対向する(長手方向に重なる)ように、第1および第2切欠き溝11,12が形成されたが、この発明では、下側緩衝材の長手方向に互いに対向する第1および第2側面の夫々に、少なくとも一つずつ、上記長手方向に対向しない(長手方向に重ならない)ように、切欠き溝を形成しても良い。
【0071】
また、上記実施形態の梱包装置では、第1下側緩衝材1は、二の切欠き溝11,12を有していたが、この発明では、下側緩衝材は、一のみの切欠き溝を有していても良く、筺材は、各下側緩衝材について一箇所の接合代に連なる先端部のみを折り返して、突出条を有しても良い。
【0072】
また、上記実施形態の梱包装置では、第1下側緩衝材1は、二の切欠き溝11,12を有していたが、この発明では、下側緩衝材は、三以上の切欠き溝を有していても良い。尚、この場合、一方向に対向して、互いに反対方向に向いた下側緩衝材の各側面が少なくとも一つの切欠き溝を有していると好ましい。
【0073】
また、上記実施形態の梱包装置では、筺材50が、筺材50の長手方向に延在する第1および第2側壁51,52の内面側に突出条61,62,63,64を有していたが、この発明では、筺材は、筺材の幅方向に延在する側壁の内面側に、接合代に連なる先端部を折り返して突出条を形成しても良く、その突出条で、長手方向の長さが、略筺材の長手方向の長さと略一致する下側緩衝材を係止するようにしても良い。
【符号の説明】
【0074】
1 第1下側緩衝材
11 第1下側緩衝材の第1切欠き溝
12 第1下側緩衝材の第2切欠き溝
16 第1下側緩衝材の底面
17 第1下側緩衝材の第1側面
18 第1下側緩衝材の第2側面
29 第1下側緩衝材の第3側面
48 筺材の側面部材
50 筺材
61 筺材の第1突出条
62 筺材の第2突出条
63 筺材の第3突出条
64 筺材の第4突出条
71 先端部
75 接合代
81 第2下側緩衝材
84 筺材の内面
91 第2下側緩衝材の第1切欠き溝
92 第2下側緩衝材の第1切欠き溝
96 第2下側緩衝材の第3側面
97 第2下側緩衝材の第1側面
98 第2下側緩衝材の第2側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面と、底面とを有すると共に、上記側面に上下方向に貫通する切欠き溝を有することを特徴とする下側緩衝材。
【請求項2】
請求項1に記載の下側緩衝材において、
対向する両側面の互いに対応する位置に、上記切欠き溝を設けたことを特徴とする下側緩衝材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の下側緩衝材と、
上記下側緩衝材の上記底面および3方の側面に当接する内面を有する筺材と
を備え、
上記筺材の内面に上下方向に延在して上記切欠き溝に係合する突出条を設けたことを特徴とする梱包装置。
【請求項4】
請求項3に記載の梱包装置において、
上記筺材の上記突出条は、上記筺材の側面部材の接合代に連なる先端部からなっていて、上記先端部は、上記側面部材に当接する位置から180°折り返えされて上記接合代に重ね合わされていることを特徴とする梱包装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−75686(P2013−75686A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217018(P2011−217018)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】