説明

下地剤無しに接着接合可能な熱硬化シリコーンコーティング

本発明は、プラスチック、特に熱可塑性プラスチック上の熱硬化シリコーンコーティングに関し、これは接着下地剤を使用せずに接着接合可能であることを特徴とする。こうした熱硬化シリコーンコーティングは、以下の工程:シリコーン組成物をプラスチックの表面またはプラスチック下地剤で処理されたプラスチックの表面に適用する工程;前記シリコーン組成物を空気乾燥させてシリコーンフィルムを形成する工程;80℃乃至200℃の温度で焼き付けする工程;焼き付け中または焼き付け後の常温への冷却段階中に前記シリコーンフィルムに接着促進組成物を適用する工程;を含む方法によって製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック表面の熱硬化シリコーンコーティングの分野並びにその製造及び接着接合及び封止の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック、特に熱可塑性プラスチックは、かなりの長期間に亘り使用されている。しかしながら、その使用は多数の不都合をもたらす。その柔らかさのため、これらは非常に擦過され易い。このことは特に目に見える且つ/または暴露されたプラスチック部品の場合には非常に重大な不都合である。これらプラスチックの多くは透明であり、このため窓またはカバーの形態でガラスの代替物としてしばしば使用される。これらの応用においても同様に、光が擦過傷によって偏向され、結果としてこれらの窓が不透明から濁った状態になりうるため、擦過は非常に重大な不都合である。
【0003】
こうしたプラスチックのこれら不都合を解消するため、これらは長期に亘って耐擦過性シリコーン組成物でコーティングされてきた。この種のシリコーン組成物は、プラスチックに適用され、焼き付けされる。これらの熱硬化シリコーンコーティングは、英語圏の当業者には「シリコーンハードコート」なる語でも知られる。この種のコーティングは、例えばUS5041313、US4624870、及びEP0570165A2、またはG. Medfordらの"The Next Generation in Weatherable Hardcoats for Polycarbonate", International Coatings for Plastics Symposium, June 4-6, 2001, Troy, MIに開示されている。しかしながら、多くの場合、熱硬化シリコーンコーティングで処理されたこうしたプラスチックを含む成形部品は、別の成形部品と接続されねばならない。接着接合技術の既知の利点のため、これらの部品を接合または封止することが望ましい。しかしながら、この種のコーティング部品は、典型的な接着剤または封止剤を用いて、特に一成分ポリウレタン接着剤または封止剤を用いて接合または封止することが非常に困難なことが判明している。
【0004】
EP1382625A1は、この問題を、例えばポリジメチルシロキサンベースのコーティングを有するポリ(メチルメタクリレート)またはポリカーボネート(PDMS-PMMAまたはPDMS-PC)等のプラスチックへの優れた接着を特徴とする特定のイソシアネート含有下地剤の使用により解消している。しかしながら、この欠点は、付加的工程、すなわち下地剤の適用が、この種の成形部品が使用される製造ライン上で必要とされることである。しかしながら、更に一層不利なことは、必要なフラッシュオフ、すなわち、下地剤の適用と接着剤または封止剤の適用との間の時間により待ち時間が生じ、このため連続的な製造操作に中間貯蔵が必要となるという事実である。更にまた、下地在中に典型的に存在する溶媒は、しばしば腐食応力亀裂をもたらす。
【特許文献1】US5041313
【特許文献2】US4624870
【特許文献3】EP0570165A2
【特許文献4】EP1382625A1
【非特許文献1】G. Medfordらの"The Next Generation in Weatherable Hardcoats for Polycarbonate", International Coatings for Plastics Symposium, June 4-6, 2001, Troy, MI
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、接着性下地剤無しに接着剤を使用して接合されるかまたは封止剤を使用して封止されることが可能な、プラスチック表面、特に熱可塑性プラスチック表面上の、熱硬化シリコーンコーティングを提供することである。
【0006】
下地剤無しに接合または封止されるとは、本明細書中では、接着接合または封止の操作の際の、接着性下地剤の使用無しに接着性接合または封止する能力を意味する。
【0007】
驚くべきことに、請求項1に記載の方法を用いることによればこの種のコーティングを達成しうることが、ここに判明している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、プラスチック上での熱硬化シリコーンコーティングの製造方法を提供する。この方法は、
・シリコーン組成物をプラスチックの表面またはプラスチック下地剤で処理されたプラスチックの表面に適用する工程;
・前記シリコーン組成物にフラッシュオフしてシリコーンフィルムを形成する工程;
・80℃乃至200℃の温度で焼き付けする工程;
・焼き付け中または焼き付け後の常温への冷却段階中に前記シリコーンフィルムに接着促進剤組成物を適用する工程;
を含む。
【0009】
前記シリコーン組成物は、典型的には、水と有機溶媒と少なくとも一つのトリアルコキシシランRSi(OR')3またはそのシラノールRSi(OR')3-n(OH)nまたはその部分縮合物との混合物中のコロイダルシリカの分散物を含む。Rは1乃至3の炭素原子を有するアルキル置換基または6乃至13の炭素原子を有するアリール置換基を表し;R'は1乃至3の炭素原子を有するアルキル置換基を表し;更にnは1、2、または3である。好ましくはRはメチル基である。同様に、好ましくはR'はメチル基である。このシリコーン組成物及びこれから製造される熱硬化シリコーンコーティングの詳細な調製方法は、例えば、特許文献US4373061、US4624870、US5869185、及びUS5041313に記載されており、これらは本発明の構成要素と見なして参照のためにここに取り込むこととする。シリコーン組成物の固体フラクションは、典型的には10乃至30重量%、特に15乃至25重量%である。
【0010】
更にまた、前記シリコーン組成物のpHは、好ましくは6乃至8.5、特に6.5乃至8である。シリコーン組成物の好ましい構成成分の一つは、アルコキシシリル化UV吸収剤、特に既述の特許文献において言及されている種類のものである。適当なシリコーン組成物は、熱硬化シリコーンコーティング(ハードコート)を製造するためのコーティング材料として、例えばPPG Industries(Ohio)よりResilientとして、あるいはGE SiliconesよりPHC587、AS4000、またはAS4700として、あるいはSDC Technologies Inc.よりCrystalCoat(登録商標)またはSupercoatとして市販品を購入可能であり、またこの種の類似の系がFujikura KaseiまたはKRD Coatings GmbHよりKasi(登録商標)Flexの商品名で、またはT O P Oberflachen GmbHよりOrmocer(登録商標)の商品名で市販されている。
【0011】
前記シリコーン組成物が適用されるプラスチックは、原則としてあらゆる既知のプラスチックである。これは、例えば、熱硬化性樹脂または熱可塑性プラスチックであってよい。しかしながら、特に適当なものは、焼き付けの間にその形状を変化させない、または実質的に変化させない熱可塑性プラスチックである。したがって、熱可塑性プラスチックは、好ましくは100℃を超える、特に120℃を超えるガラス転移温度を有するべきである。好ましくは、前記プラスチックは透明である。
【0012】
特に適当な熱可塑性プラスチックは、一方ではメタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、及びこれらのあらゆる所望の混合物からなる群より選択されるモノマーのホモポリマーまたはコポリマーである。これらのホモポリマーまたはコポリマーの中で好ましいのは、ポリ(メチルメタクリレート)である。
【0013】
他方で特に適当なものは、ポリカーボネート、特にビスフェノールAに基づくもの、更にまたアモルファスポリエステル、例えばPETGまたはPETである。
【0014】
好ましいのは、芳香族熱可塑性プラスチック、特に芳香族ポリカーボネート、例えばGeneral Electric CompanyによりLexan(登録商標)ポリカーボネートの名で、またはBayerによりMakrolon(登録商標)の名で市販のものである。
【0015】
応用によっては、別の熱可塑性プラスチックまたはそのブレンド、例えばポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド、ポリエステル、ポリアミド、またはポリスルホンを使用することもできる。
【0016】
前記接着促進剤組成物は、好ましくは少なくとも一つの有機ケイ素化合物及び/または少なくとも一つの有機チタン化合物を含む。本明細書中における有機ケイ素化合物とは、ケイ素原子に結合した少なくとも一つのアルコキシ基またはアシルオキシ基、及び更にケイ素原子に炭素−ケイ素結合を介して結合した少なくとも一つの有機置換基を有する。本明細書中における有機チタン化合物は、酸素−チタン結合を介してチタン原子に結合した少なくとも一つの置換基を有する。
【0017】
特に適当な有機ケイ素化合物は、下式(I)または(II)または(III):
【化1】

[式中、
本明細書中におけるR1は1乃至20の炭素原子を、任意に芳香族部分と共に、また任意に1つ以上のヘテロ原子、特に窒素原子と共に有する直鎖状または分枝状、任意に環状のアルキレン基であり;且つ
本明細書中におけるR2は1乃至5の炭素原子を有するアルキル基、特にメチルまたはエチル、あるいはアシル基であり;且つ
本明細書中におけるR3は1乃至8の炭素原子を有するアルキル基であり、特にメチルであり;且つ
本明細書中におけるXはH、またはオキシラン、OH、(メタ)アクリロイルオキシ、アミン、SH、アシルチオ、及びビニルに包含される群より選択される官能基、好ましくはアミンであり(完全を期して本明細書中においてはアシルチオが下式:
【化2】

{式中、
R4はアルキル、特に1乃至20の炭素原子を有するもの、点線は置換基R1との結合を表す}
の置換基を意味することに言及する);且つ
本明細書中におけるX1はNH、S、S2、及びS4に包含される群より選択される官能基であり;且つ
本明細書中におけるX2はN及びイソシアヌレートに包含される群から選択される官能基であり;且つ
本明細書中におけるaは0、1、または2、好ましくは0である]
の有機ケイ素化合物である。
【0018】
置換基R1は、特にメチレン、プロピレン、メチルプロピレン、ブチレン、またはジメチルブチレン基である。置換基R1として特に好ましいのは、プロピレン基である。
【0019】
アミノ、メルカプト、またはオキシラン基を含む有機ケイ素化合物は、「アミノシラン」、「メルカプトシラン」、または「エポキシシラン」とも呼称される。
【0020】
式(I)の適当な有機ケイ素化合物の例は、オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、メチルオクチルジメトキシシラン;3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン;3-メタクリロイルオキシプロピルトリアルコキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン;3-アミノピロピルトリメトキシシラン;3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、3-アミノ-2-メチルプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、4-アミノブチルトリメトキシシラン、4-アミノブチルジメトキシメチルシラン、4-アミノ-3-メチルブチルトリメトキシシラン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシラン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルジメトキシメチルシラン、2-アミノエチルトリメトキシシラン、2-アミノエチルジメトキシメチルシラン、アミノメチルトリメトキシシラン、アミノメチルジメトキシメチルシラン、アミノメチルメトキシジメチルシラン、7-アミノ-4-オキサヘプチルジメトキシメチルシラン、N-(メチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン;3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン;3-アシルチオプロピルトリメトキシシラン;ビニルトリメトキシシラン、及びビニルトリエトキシシランに包含される群より選択される有機ケイ素化合物である。
【0021】
更に好ましいのは、そのアルコキシ基がアセトキシ基によって置換された、既述の有機ケイ素化合物、例えばオクチルトリアセトキシシラン(オクチル−Si(O(O=C)CH3)3)である。この種の有機ケイ素化合物は、加水分解に際して酢酸を発生する。
【0022】
これら既述の有機ケイ素化合物の中で、好ましいのは、アルキル基でない官能基を更に有するケイ素原子に結合した有機置換基を有し、且つ式(I)(式中XはHでない)に合致するものである。
【0023】
式(II)の適当な有機ケイ素化合物の例は、ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミン、4,4,15,15-テトラエトキシ-3,16-ジオキサ-8,9,10,11-テトラチア-4-15-ジシラオクタデカン(ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドまたはビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドを包含する群より選択される有機ケイ素化合物である。
【0024】
式(III)の適当な有機ケイ素化合物の例は、トリス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、トリス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミン、1,3,5-トリス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン-ウレア(すなわち、トリス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)イソシアヌレート)及び1,3,5-トリス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン-ウレア(すなわち、トリス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)イソシアヌレート)を包含する群より選択される有機ケイ素化合物である。
【0025】
好ましい有機ケイ素化合物は、アミノシラン、特にX=N2またはNH2-CH2-CH2-NH、X1=NH、及びX2=Nであるアミノシランである。特に好ましいのは、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、及びビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミン、並びにこれらの互いとの混合物である。特にアミノシランを使用すると、特に既述のアミノシランの場合には、熱硬化シリコーンコーティングの微小亀裂が低減されることが判明している。
【0026】
酸素−チタン結合を介してチタン原子に結合する置換基として、特に適当な置換基は、アルコキシ基、スルホネート基、カルボキシレート基、ジアルキルホスフェート基、ジアルキルピロホスフェート基、及びアセチルアセトネート基に包含される群より選択されるものである。
【0027】
特に適当な化合物は、チタンに結合する置換基の全てがアルコキシ基、スルホネート基、カルボキシレート基、ジアルキルホスフェート基、ジアルキルピロホスフェート基、及びアセチルアセトネート基に包含される群より選択され、これら全ての置換基が互いに同一であるかまたは相違することが可能である。
【0028】
特に適当であると判明しているアルコキシ基は、特にネオアルコキシ置換基として既知のもの、特に下式(V):
【化3】

ものである。
【0029】
特に適当であると判明しているスルホン酸は、特にその芳香族基がアルキル基によって置換されている芳香族スルホン酸である。好ましいスルホン酸であると見なされる基は、下式(V):
【化4】

のものである。
【0030】
特に適当であると判明しているカルボキシレート基は、特に脂肪酸のカルボキシレートである。デカノエートが好ましいカルボキシレートと見なされる。
【0031】
上記式の全てにおいて、この場合の点線は酸素−チタン結合を示す。
【0032】
有機チタン化合物は、市販品を、例えばKenrich Petrochemicals社またはDupont社より購入可能である。適当な有機チタン化合物の例は、例えばKenrich Petrochemicals社製のKen-React(登録商標)KR TTS、KR 7、KR 9S、KR 12、KR 26S、KR 33DS、KR 38S、KD 39DS、KR44、KR 134S、KR 138S、KR 158FS、KR 212、KR 238S、KR 262ES、KR 138D、KR 158D、KR 238T、KR 238M、KR 238A、KR 238J、KR 262A、LICA 38J、KR 55、LICA 01、LICA 09、LICA 12、LICA 38、LICA 44、LICA 97、LICA 99、KR OPPR、KR OPP2、Dupont社製のTyzor(登録商標)ET、TPT、NPT、BTM、AA、AA-75、AA-95、AA-105、TE、ETAM、OGTである。好ましいと見なされるのは、DuPont社製のKen-React(登録商標)KR TTS、KR 7、KR 9S、KR 12、KR 26S、KR 38S、KR44、LICA 09、LICA 44、NZ 44、並びにTyzor(登録商標)ET、TPT、NPT、BTM、AA、AA-75、AA-95、AA-105、TE、ETAMである。
【0033】
特に好ましいのは、酸素−チタン結合を介してチタン原子に結合している式(IV)及び/または(V)の置換基を有する有機チタン化合物である。
【0034】
接着促進剤組成物は、好ましくは少なくとも一つの有機ケイ素化合物及び少なくとも一つの有機チタン化合物を含む。
接着促進剤組成物は、少なくとも一つの溶媒を更に含んで良い。好ましい溶媒は、特にプラスチックを用いて、またはせいぜいプラスチック下地剤を用いて、応力亀裂をもたらさないものである。
【0035】
溶媒の使用は加湿について利点を有して良い。
【0036】
一つの実施態様では、適当な溶媒は特に揮発性溶媒であり、換言すれば760トールにて25℃乃至140℃、特に50℃乃至120℃、好ましくは65℃乃至99℃の沸点を有するものである。
【0037】
別の実施態様では、特に揮発性がより低い溶媒、換言すれば760トールにて焼き付け温度よりも高い沸点を有するものが適当である。特にこれらは100℃以上の、特に100℃乃至200℃、好ましくは140℃乃至200℃の沸点を有する。
【0038】
更にまた、特に異なる溶媒の混合物が有利であることが判明している。炭化水素同士の混合物または少なくとも一つの炭化水素ととその構造式中に少なくとも一つのヘテロ原子を有する少なくとも一つの極性溶媒との混合物が使用されると特に適当であることが判明している。前記炭化水素は、飽和であっても、またはオレフィン性もしくは芳香属性不飽和であってもよい。好ましくは、炭化水素は飽和したものである。極性溶媒中の適当と見なされるヘテロ原子は、特にO、N、及びSである。好ましくは、少なくとも一つのヘテロ原子が酸素原子であり、例えば極性溶媒の構造式において、ヒドロキシル、カルボニル、エーテル、カルボン酸、またはカルボン酸誘導体基、例えばエステル、アミド、またはカルボキシレート基の形態で存在することが特に好ましい。好ましい極性溶媒は、水、アルコール、及びケトンである。最も好ましい極性溶媒はアルコールであり、特に飽和し、分枝状または直鎖状または環状の、1乃至8の炭素原子を有するアルコールである。
【0039】
好ましい溶媒は、アルコール並びに脂肪族及び環状脂肪族の炭化水素、特にエタノール、イソプロパノール、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、またはオクタン、並びにこれらの混合物である。溶媒は、好ましくはエタノールまたはヘプタンである。
【0040】
特に好ましいと見なされるのは、アルコールと脂肪族または環状脂肪族の炭化水素との溶媒混合物、特にエタノールまたはイソプロパノールとヘキサンまたはシクロヘキサンまたはヘプタンまたはオクタンとの溶媒混合物、並びにこれらの混合物である。特に好ましいと判明している溶媒混合物は、エタノールとヘプタンとの混合物である。
【0041】
揮発性が低いと見なされる溶媒は、特に炭化水素、例えばトルエン、キシレン、または120℃乃至200℃、特に120℃乃至140℃の沸点を有する炭化水素混合物である。
【0042】
この種の溶媒を使用して、低濃度の接着促進剤物質、すなわち有機ケイ素化合物及び/または有機チタン化合物が均一に適用可能なことが確認できる。溶媒含量は、有機ケイ素化合物含量及び/または有機チタン化合物含量が0.1乃至10重量%、特に0.5乃至10重量%であると好ましい。
【0043】
しかしながら、実際のところ、前記接着促進剤組成物が溶媒を全く含まず、且つ有機ケイ素化合物及び/または有機チタン化合物の含量が90重量%より大なること、特に99重量%より大なることが有利である。このようにして、例えば、揮発性有機化合物規定によって課される不利益または制限を回避することができ、あるいはせいぜい溶媒によって引き起こされるシリコーンフィルム特性変化を排除することができる。
【0044】
前記接着促進剤組成物は更なる構成成分を含んで良い。特に適当な更なる構成成分は、UV吸収剤及びまた蛍光増白剤である。蛍光増白剤は、例えば、品質制御のために使用して良く、換言すれば、これをトレーサーとしてUV光線を観察することによって、熱硬化シリコーンコーティングの製造において、接着促進剤組成物の適用が起こったか否かを確認することができる。この種の蛍光増白剤は、UV光線を吸収し、且つ可視光線、通常は青色の光を放出する。好ましい蛍光増泊剤はCiba Speciality Chemicals社製のChiba Uvitex(登録商標)OBである。更なる適当な増白剤は、例えば、Kirk-Othmer, "Encyclopedia of Chemical Technology", 4th ed., John Wiley & Sons, New York, vol. 11, pp. 227-241に特定されている。
【0045】
多くの場合に前記材料及びその上の熱硬化コーティングが透明であることから、UV吸収剤を使用して、プラスチック材料及びその上に存在する熱硬化シリコーンコーティングを通過するUV光線から、硬化シリコーンコーティングに接続した接着剤または封止剤を保護することができる。この種のUV保護は、特にポリウレタン接着剤または封止剤向けに非常に有利である。UV吸収剤は、例えば本来有機のもの、例えばChiba Speciality Chemicals社製のTinuvin(登録商標)製品群のものであってよく、あるいはこれらは本来無機のもの、例えば有色顔料、例えば特にカーボンブラックまたは二酸化チタンであってよい。
【0046】
前記接着促進剤組成物がイソシアネート基含有化合物を含まないことが好ましい。これは、この種のイソシアネート基含有化合物が接着促進剤組成物中に存在することにより、これを用いて製造される熱硬化シリコーンコーティングに機械的脆弱点が生じることが判明しているためである。
【0047】
前記シリコーン組成物は、当業者に既知の広範な塗布方法、例えばスプレー法、ディッピング法、ロールコーティング法、ブラッシング法等によって適用可能である。前記シリコーン組成物の乾燥フィルムコート厚さは、好ましくは約5乃至15マイクロメートルである。二つ以上のコーティングを連続して適用することも可能である。
【0048】
更にまた、シリコーンコーティングが適用される前に、シリコーン組成物のプラスチックへの効果的な接着を確実にするために、前記プラスチックにプラスチック下地剤を適用せねばならないことが必要であってもよい。こうしたプラスチック下地剤のフィルム厚さは、典型的には0.1乃至3マイクロメートルである。「プラスチック下地剤」とは、本明細書中全般に亘って、シリコーン組成物が適用される前にプラスチックに適用される下地剤を意味する。
【0049】
更にまた、UV遮断物質または色素を用いて内部層を設けることも有利となりうる。こうした内部層はまた、美的または装飾的観点のみから所望されうる。
【0050】
内部層が使用される場合、これらはまたプラスチック上及び/またはこれに接着するコーティング上の所定の部分にのみ設けられても良く、自動的に全領域を覆って存在する必要はない。挙げてよいこうした例は、窓の端部にマスキング内部層を有する自動車のポリカーボネート窓であり、ここでは接着剤が車体フランジまたはアルミもしくはカソード電着塗装されたスチールのフレームに窓を接続する。
【0051】
前記シリコーン組成物は、フラッシュオフされねばならない。換言すれば、更なる作業工程が実施可能となるには、一定時間の経過が必要である。この時間の間に、シリコーン組成物はフィルムを形成する。典型的には、ここでは溶媒または溶媒混合物の蒸発による少なくとも部分的な乾燥、及び/またはシリコーン組成物の反応性構成成分との予備的な反応が起こる。このフラッシュオフ時間の長さ及びフラッシュオフの程度は、非常に様々であり、シリコーン組成物の処方及び部品の形状及びサイズの詳細に高度に依存する。しかしながら、これは、少なくとも前記シリコーン組成物が、これ以降シリコーンフィルムと呼称されるフィルムを形成するために十分に長い。この長さは、せいぜい空気、主に高温空気を吹き込むことにより、あるいは所定の境界内でのポリマーの穏やかな加熱(焼き付け温度よりも格段に低温)により、短縮しても良い。しかしながら、典型的には、フラッシュオフ時間は少なくとも5分間である。好ましくは、フラッシュオフ時間は5分乃至60分間であり、特に5分乃至30分間、好ましくは5分乃至25分間である。
【0052】
次いで前記コーティングは80乃至200℃の温度で焼き付けされる。焼き付けの温度及び時間は、好ましくはシリコーン組成物及びプラスチックに適合させる。更にまた、焼き付け時間は部品サイズ及び形状に依存する。
【0053】
焼き付けは、典型的には100乃至140℃、特に120乃至130℃の温度で実施され、典型的には30分乃至90分間、特に40分から60分間に亘る。この焼き付け温度が、焼き付け操作の間一定ではなく、温度プロフィールに従うことが有利になり得る。焼き付けは典型的にはオーブン中で行われる。プラスチック上に熱硬化シリコーンコーティングを製造するためのシリコーン組成物の焼き付けについての更なる詳細は、シリコーン組成物の説明に関して既に引用した従来技術により、当業者には既に知られている。
【0054】
焼き付けの後、コーティングは常温に冷却される。
【0055】
焼き付け操作によりシリコーンコーティングは硬化し、すなわちシリコーンコーティングが硬化してネットワークを形成する。実験的証拠が入手不可能ではあるが、上述の本発明の熱硬化シリコーンコーティングは、比較的に、シリコーンコーティング/プラスチック界面近傍よりも表面近傍に、接着促進剤組成物をより高濃度で含むことが推定される。
【0056】
焼き付けの間または常温への冷却段階中、すなわち焼き付けの直後に、接着促進剤組成物がシリコーンフィルムに適用される。この際、当然ながら当業者には、焼き付けが少なくとも部分的には既に開始されており、焼き付け時にはシリコーンフィルムは既に部分的または完全に熱硬化されていてよいことが明かである。前記組成物の適応は、原則として非常に様々な方法で行って良い。適用の好ましい方式はローリングであり、フェルトまたはスポンジを用いる適用である。必要に応じて、この目的のためには、マスクを使用して特に模様を適用するかまたは特に小区分を処理することが可能である。適用される接着促進剤組成物の量は、いかなる溶媒が存在するかによって非常に様々に異なる。好ましくは、接着促進剤組成物は、5乃至200g/m2、特に10乃至100g/m2の量でシリコーンフィルムに適用される。0.02乃至40g/m2、特に0.1乃至20g/m2、好ましくは0.5乃至10g/m2の有機ケイ素化合物及び/または有機チタン化合物がシリコーンフィルムに適用されることが好ましい。
【0057】
接着促進剤組成物の適用は、二回以上の連続的工程で行われて良い。
【0058】
接着促進剤組成物の二回の適用の間には、好ましくは10秒乃至1分間の時間がある。接着促進剤組成物の多数回の適用により、高濃度の接着促進剤物質、すなわち有機ケイ素化合物及び/または有機チタン化合物を均一に適用することが容易にできる。
【0059】
焼き付け後の冷却段階中の接着促進剤組成物の適用でさえも、接着の改善をもたらすことが判明している。
【0060】
しかしながら、当業者には、前記適用が冷却段階の早い時期、特に最初の三分の一に行われるべきこと並びに特に適用中の表面温度が60℃より高温、好ましくは100℃より高温であるべきことが明白である。
【0061】
接着促進剤組成物の適用は、焼き付けの間に行われることが好ましい。特に、前記適用は、焼き付け時間の前半、特に最初の三分の一、好ましくは焼き付け時間の1乃至30分の間の時間枠内に行われる。
【0062】
熱硬化シリコーンはこの上ない長期安定性を有し、特に応力亀裂を全く示さないかまたは僅かに示すのみであり、このためコーティングの寿命を保証することができる。
【0063】
このように製造された熱硬化シリコーンコーティングは、驚くべきことに、様々な接着剤または封止剤を使用する下地無しの接着接合または封止に非常によく適合する。
【0064】
接着下地剤を使用しない接着は、接着促進剤組成物をシリコーンフィルムに適用する工程なしにシリコーンコーティングが製造される場合には存在しない。本明細書全般を通して、「接着下地剤」は接着剤または封止剤が適用されるかまたは適用されうる熱硬化シリコーンコーティングに適用される下地剤を意味する。
【0065】
接着促進剤組成物が、焼き付け前に適用されるか、または貯蔵され且つ室温に冷却された熱硬化シリコーンコーティングに適用されるならば、接着は確かに起こる。しかしながら、いずれの場合にも、その間にコーティングへの接着が確実化されうるコーティングの貯蔵時間(「ts」)は、シリコーンフィルムへの接着促進剤組成物の適用が焼き付けの間または焼き付け後であるが常温への冷却中に行われる場合よりも格段に短い。
【0066】
好ましい接着剤または封止剤は、エポキシ樹脂に基づくもの、(メタ)アクリレート基を含むモノマーまたはオリゴマーに基づくもの、アルコキシシラン末端プレポリマーに基づくもの、またはイソシアネート末端プレポリマーもしくはポリイソシアネートに基づくものである。
【0067】
エポキシ樹脂に基づく適当とみなされる接着剤または封止剤は、一方では二成分接着剤または封止剤であって、その第一成分がアミンまたはメルカプタン硬化剤を含み、その第二成分がビスフェノールAまたはビスフェノールFまたはビスフェノールA/Fのジグリシジルエーテルを含む。この種の二成分エポキシ樹脂接着剤または封止剤の例は、Sikadur(登録商標)製品群の、Sika Schweiz AGより市販品を購入可能なものである。
【0068】
エポキシ樹脂に基づく適当とみなされる接着剤または封止剤は、更に、一成分熱硬化エポキシ樹脂接着剤または封止剤である。
【0069】
この種の接着剤または封止剤は、典型的には、高温でのみフリーもしくは活性になる硬化剤を含む。こうした硬化剤の例は、ジシアンジアミン(dicy)である。特に好ましい一成分熱硬化エポキシ樹脂接着剤または封止剤は、例えばEP1359202A1に記載のように衝撃強度を高くしたものである。1成分熱硬化エポキシ樹脂接着剤の例は、SicaPower(登録商標)製品群の、Sika Schweiz AGより市販品を購入可能なものである。
【0070】
(メタ)アクリレート基を含むモノマーまたはオリゴマーに基づく適当な接着剤または封止剤は、特に、二成分の室温硬化(メタ)アクリレート接着剤または封止剤であって、その第一成分中にフリーラジカル開始剤、特に有機過酸化物、好ましくは過酸化ベンゾイルを含み、第二成分中に(メタ)アクリレート基を含むモノマーまたはオリゴマーを含むものである。二成分の室温硬化(メタ)アクリレート接着剤または封止剤の例は、SikaFast(登録商標) 製品群の、Sika Schweiz AGより市販品を購入可能なものである。
【0071】
アルコキシシラン末端プレポリマーに基づく適当な接着剤または封止剤は、一成分湿分硬化接着剤または封止剤であり、いわゆるMSポリマーもしくはアルコキシシラン末端ポリウレタンプレポリマー、特にポリオール及びイソシアネートから、イソシアネート反応性オルガノシランまたはイソシアネート官能オルガノシランの後続反応をもって調製される種類のものである。とはいえ、いかなる接着促進剤組成物も使用せずに製造された熱硬化シリコーンコーティングの上でさえも、多くの場合に十分に優れた接着が存在すると判明していることから、これらの接着剤または封止剤は好ましくない。
【0072】
イソシアネート末端プレポリマーに基づく適当な接着剤または封止剤は、一方では二成分ポリウレタン接着剤または封止剤であり、その第一成分はアミンまたはポリオールを含み、その第二成分はNCO含有プレポリマーまたはポリイソシアネートを含む。この種の二成分室温硬化ポリウレタン接着剤の例は、SikaForce(登録商標) 製品群の、Sika Schweiz AGより市販品を購入可能なものである。
【0073】
イソシアネート末端プレポリマーに基づく適当な接着剤または封止剤はまた、熱可塑性ポリマーを含み、更にイソシアネート末端プレポリマーまたは熱可塑性イソシアネート末端プレポリマーを含む反応性ポリウレタンホットメルト接着剤または封止剤である。この種の反応性ポリウレタンホットメルト接着剤または封止剤は、溶解し、一方では冷却に際して固化し、他方では大気中の水分と反応して架橋する。
【0074】
イソシアネート末端プレポリマーに基づく適当な接着剤または封止剤はまた、一成分湿分硬化ポリウレタン接着剤または封止剤である。この種の接着剤または封止剤は、湿分、特に大気中の水分の作用下で架橋する。この種の一成分湿分硬化ポリウレタン接着剤または封止剤の例は、SikaFlex(登録商標)及びSikaTack(登録商標) 製品群の、Sika Schweiz AGより市販品を購入可能なものである。上述のイソシアネート末端プレポリマーは、ポリオール、特にポリオキシアルキレンポリオールと、ポリイソシアネート、特にジイソシアネートとから調製される。
【0075】
好ましいのは、イソシアネート末端プレポリマーに基づく接着剤または封止剤である。
【0076】
所定の状況において適当な更なる接着剤または封止剤は、熱可塑性エラストマー(TPE)に基づくものである。
【0077】
接着接合または封止の時点で、接着剤または封止剤を熱硬化シリコーンコーティングの事前の予備処理、例えば接着下地剤の適用なしにこの熱硬化シリコーンコーティングと接触させる。更にまた、接着接合の時点で、熱硬化シリコーンコーティングは接着剤を用いて別の被着体と接合される。
【0078】
さらに、例えば下地剤が(故意にまたは不注意で、例えば不完全な適用の結果として)部分的にのみ被覆されており、未被覆のプラスチックと熱硬化シリコーンコーティングとの両方が表面に存在する場合には、例えば接着下地剤の熱硬化シリコーンコーティングへの適用が実行可能である。接着剤または封止剤がこうした表面に適用される場合は、プラスチック下地剤の適用後に確実な接着を達成することができるが、一方で従来の熱硬化シリコーンコーティングの場合にはそうはいかず、何故なら例えばポリカーボネート、特にポリメチルメタクリレートについては、未被覆プラスチックとこれに適用されるハードコートとのいずれの上でも接着剤または封止剤のために接着を仲介し得る下地剤が全く知られていないためである。
【0079】
接着接合は、一方では接着剤を熱硬化シリコーンコーティングに適用し、その後更なる被着体と接合させることによって、あるいは接着剤をまず更なる被着体に適用し、その後熱硬化シリコーンコーティングに接着することによって達成されうる。更にまた、接着剤または封止剤を熱硬化シリコーンコーティングと更なる被着体とによって形成される間隙に注入することも可能である。別の適用の方法は、好ましくない方法であり、接着剤を熱硬化シリコーンコーティングと更なる被着体との両方に適用し、その後これらの部品を互いに接着するというものである。
【0080】
被着体が接続された後に接着剤または封止剤は硬化し、こうして被着体を耐久的に接着する。このようにして形成されたアッセンブリは、様々な気候条件下で耐久的な接着を示し、高い機械的負荷を伝達することができる。
【0081】
本発明によれば、熱硬化シリコーンコーティングが接着接合または封止の前に清浄化されていれば有利であろうが、この熱硬化シリコーンコーティングは必ずしも接着下地剤で予備処理されていなくとも良い。こうした清浄化は、特に拭き取り、好ましくは揮発性溶媒を用いた拭き取りを包含する。この溶媒は、好ましくはコーティングに対して不活性であるべきである。この場合は更に、接着剤または封止剤が清浄化された表面に適用されるかもしくはこの表面に接触する前に、溶媒ができるだけ完全に除去されるように留意されるべきである。
【0082】
更なる被着体は、多様な材料製であって良い。好ましいのは、一方ではプラスチックであり、他方では金属であるが、究極的にはガラス及びガラスセラミックスである。プラスチックとしては、接着技術に典型的なプラスチックが関連性のあるものと見なされる。特に好ましい場合には、更なる被着体は同じく熱硬化シリコーンコーティングであるか、または熱硬化シリコーンコーティングで被覆されたプラスチックである。然るに、更なる被着体は、本発明の熱硬化シリコーンコーティング同一であるか、またはこの熱硬化シリコーンコーティングで被覆されたプラスチックであってよい。
【0083】
好ましい金属は、特に鉄、アルミニウム、銅、クロムの金属及び合金である。特に好ましいのはスチール及びアルミニウムであり、またその合金である。特に好ましくは、スチール及びアルミニウムさらにまたその合金である。特に好ましくは前記金属は塗装されている。好ましい塗料は、特に自動車用塗料である。
【0084】
ガラス及びガラスセラミックスは同じく好ましい材料である。好ましいのは特にフロートガラスと呼称されるガラス、更にまたこれより製造される物品、特に窓である。好ましいガラスセラミックスは、特にスクリーン印刷によって適用し、次いで熱乾燥させたものである。
【0085】
更なる被着体は、接着接合または封止の前に下地剤または接着促進剤組成物で予備処理されていても、またはされていなくてもよい。この操作がなされるか否かは、被着剤が作られている材料及び/又はこうしたアッセンブリが使用される既存の気候条件に大きく依存する。
【0086】
更なる実施態様では、熱硬化シリコーンコーティングは反応性材料で包まれている。ここで問題とするシステムは、特に反応性材料、例えば一成分もしくは二成分ポリウレタンで、例えばRIM(反応注入成形)処理により、または熱可塑性プラスチック、例えばPVCまたは熱可塑性ポリウレタン(TPU)、例えば更にこれらの弾性熱可塑性形態の適用により包まれた窓である。
【0087】
このようにして形成されたアッセンブリは、好ましくは車両、特に自動車またはその一部である。自動製造においては接合または封止されたモジュールが使用されること、または部品が製造ライン上で接合されることが通常である。
【0088】
特に好ましいのは、透明なプラスチック、特にポリカーボネートを含み、本発明のコーティングで被覆された窓の、車両、特に自動車の車体への接着接合であり、この接着接合は典型的にはフランジまたはフレーム上で行われる。車体またはフランジもしくはフレームは、典型的には塗装された金属から製造される。特に好ましい実施態様は、ルーフモジュール及び横窓及び被覆部品、例えばコラムカバーである。
【0089】
本発明の別の好ましい実施態様は、本発明の熱硬化シリコーンコーティングで被覆されたポリカーボネートで製造されたヘッドランプレンズ、またはこうしたヘッドランプレンズとヘッドランプハウジングとの接着接合からもたらされるヘッドランプである。
【0090】
本発明による実施態様についてのさらなる可能性は、本発明の熱硬化シリコーンコーティングで被覆されたプラスチックの応用分野から、特にこうした物質が接着または封止されているかまたは接着または封止されようとする場合から生じる。
【0091】
従って、本発明の熱硬化シリコーンコーティングで被覆されたプラスチックは、例えばランプハウジング、安全ゴーグル、電球カバー、ディスプレイカバー、安全ガラス及び安全窓、屋根材、データ媒体、例えばCDまたはDVD等の製造に、特にこれらの物品が製造される際に接着剤または封止剤が使用される場合、あるいはこれらの物品が別の被着体と接合または封止される場合に使用される。
【0092】
熱可塑性接着剤のより最近の応用、すなわちOLED(有機発光ダイオード)フィルムへの応用も同じく本発明によって提供される。この場合は、熱可塑性プラスチック中に、電流の適用によって特に励起されて発光することができ、よって情報の表示に利用することのできる有機分子が挿入されている。こうしたOLEDの作用及び製造の方式は、例えばMatthias Rehan,”Elektrisch leitfahige Kunststoffe”, Chemie in Unserer Zeit 2003, pp. 17-30から、またはUS6703184またはUS52471090から既知である。こうしたOLEDはOLEDディスプレイのためのフィルムとして使用可能である。OLEDディスプレイは、Cambridge Technology及びKodakにより既に市販されている。そこで、これらOLEDフィルムの保護のためには、熱可塑性プラスチックは本発明の方法によって熱硬化シリコーンコーティングで被覆可能である。この種のフィルムは特にコンピューターの薄型ディスプレイユニットとして適当であり、また広告目的のための情報媒体としても使用可能である。これらフィルムの重要な特性はその薄さ及び得られた可撓性であって、このため従来の情報技術では達成しえなかった方法で情報を表示することができる。例えば、この種のフィルムは巻くことができ、また物体の外形に完全に適合させることができ、これによって複雑な形状を達成することができる。
【0093】
これらの応用の全てに共通することは、熱硬化シリコーンコーティングで被覆されたポリカーボネートフィルムの接着接合が特に望まれる点である。従って、接着下地剤を用いる処理なしに可能である本発明の熱硬化シリコーンコーティングは、技術的及び経済的な利点を構成する。
【実施例】
【0094】
(接着促進剤組成物の調製)
0.3重量%のN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、0.3重量%のイソプロピルトリ(ドデシル)ベンゼンスルホニルチタネート(Kenreact KR9S)、1重量%のエタノール、及び98.46重量%のへプタンから混合物を調製した。この接着促進剤組成物を、以下の実験に使用した。
【0095】
(熱硬化シリコーンコーティングの製造)
全ての被覆実験は23℃及び50%相対湿度にて行われた。Bayer製のMakrolon(登録商標)AL2647ポリカーボネートシートが基板として使用された。10cm×15cm×3mmの寸法を有するこのシートを、糸くずの出ないイソプロパノール浸漬布での拭き取りによって使用前に清浄化し、その後3分間フラッシュオフした。使用したシリコーン組成物は、GE Siliconesより市販品を購入可能なPHC587、AS4000、及びAS4700であった。AS4700を使用する場合には、ポリカーボネートシートはまず特に推奨されるGE Silicones製のプラスチック下地剤SHP470ベースコートでフローコートされる:プラスチック下地剤を、スプレーボトルを使用して垂直に置いたシート上に均一にスプレーし、被覆されたシートをその位置で20分間空気乾燥させた。続いて、被覆されたシートを熱風乾燥器中、125℃にて25分間に亘って熱処理した。AS4000を使用する場合には、下地剤SHP401を同様に使用し、但し20分間のフラッシュオフ時間の後は熱処理を行わなかった。
【0096】
PHC587及びAS4000を、清浄化して垂直に置いたポリカーボネートシートにスプレーし、S4700を、下地剤処理して垂直に置いたポリカーボネートシートにスプレーし、ここではスプレーボトルを使用して、垂直に置いたシートに均一にスプレーし、垂直位置で20分間のフラッシュオフ時間に亘って空気乾燥させた。フラッシュオフの間、空気流(23℃、50%相対湿度)を1.5m/秒の速度で表面に平行に吹き付けた。その後、参考実施例1乃至3の試料にブラシを使用して直接適用されたのは、30g/m2の量の接着促進剤組成物であり、仕上げの焼き付けは更に55乃至60分間に亘って熱風乾燥器中、125℃または130℃で行われた。
【0097】
フラッシュオフ後、実施例1乃至5の試料を125℃または130℃に熱した熱風乾燥器に5乃至10分間収容した。引き続き接着促進剤組成物をブラシで30g/m2の速度で適用し、仕上げの焼き付けを更に50分間に亘って熱風乾燥器中、125℃または130℃で行った。参考実施例4の場合には、接着促進剤組成物を全く使用しなかった。参考実施例5の場合には、焼き付けの間には接着促進剤組成物の適用なしに焼き付けを行った;上述の量の接着促進剤組成物を、室温までの冷却及び23℃/50%相対湿度での一日間の貯蔵時間後に初めて適用し、接着剤の適用の前に10分間のフラッシュオフを行った。
【0098】
これらの試料について表1及び2に特定される23℃/50%相対湿度での貯蔵時間(「ts」)の後に、一成分湿分硬化ポリウレタン接着剤Sikaflex(登録商標)221(「SF221」)、SikaTack(登録商標)Plus(「STP」)、Sikaflex(登録商標)250 DM-3「DM3」)、及びSikaflex(登録商標)265(「SF265」)の、並びに二成分ポリウレタン接着剤SikaForce(登録商標)7550-L15(「7550」)の丸ビード(全てSika Schweiz AGより市販品を購入可能)を、押し出しカートリッジ及びダイを用いてそれぞれ適用した。
【0099】
7日間の気候制御貯蔵(「CL」)(23℃/50%相対湿度)の硬化時間の後、更にまたこれに続く水中、23℃にて7日間に亘る水貯蔵(「WL」)の後、更にこれに続く7日間に亘る70℃及び100%相対湿度における高温多湿貯蔵(「CP」)の後に、接着剤を試験した。
【0100】
接着剤の接着を、ビード試験を用いて試験した。この試験では、接着領域のすぐ上のビードの末端に切り込みを入れる。ビードの切り込みを入れた末端を、先端が丸いピンセットで保持し、基板から引っ張る。これは、ピンセットの先でビードを注意深く巻き上げ、ビードの引っ張り方向に対して垂直に、未被覆の基板まで切り込みを入れることによって行われる。ビード除去の速度は、切り込みがおよそ3秒ごとに行われるように選択される。
試験長は少なくとも8cmに達しなければならない。ビードが引き剥がされた(凝集破壊)後の基板上に残る接着剤の評価を行う。接着特性は、接着領域の凝集破壊の推定によって評価される。
1=凝集破壊95%より大
2=凝集破壊75乃至95%
3=凝集破壊25乃至75%
4=凝集破壊25%未満
5=凝集破壊0%(完全凝集破壊)
【0101】
追加の「B」は、熱硬化シリコーンコーティングがポリカーボネートから脱離すること、したがってシリコーンコーティングが弱点を呈することを示す。凝集破壊が75%未満の試験結果は、典型的には不適当とみなされる。
【0102】
【表1】

表1.様々な貯蔵時間後の、熱硬化シリコーンコーティング(シリコーン組成物としてPHC587、AS4000、及びAS4700)で被覆されたポリカーボネートへのSikaTack(登録商標)Plusの接着
Ref:参考実施例
【0103】
【表2】

表2.様々な貯蔵時間ts後の、熱硬化シリコーンコーティング(シリコーン組成物としてAS4000)で被覆されたポリカーボネートへの様々な接着剤の接着
*:n.d.=測定不能
【0104】
結果は、本発明により熱硬化されたシリコーンコーティングが、参考実施例と比較して著しく改善された接着を示すこと、特に優れた接着が維持される貯蔵期間が確実に延長されたことを明示している。
【0105】
(焼成条件の変更)
一連の更なる実験において、焼成条件を変化させた。この目的のために、接着促進剤組成物を0.3重量%のビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、0.3重量%のテトラブチルオルトチタネート(Fluka AG)、及び99.4重量%のヘプタンから調製した。この接着促進剤組成物を、以下のように使用した。
シリコーンフィルムを備えたポリカーボネートシートを以下のように製造した。
10cm×15cm×3mmの寸法を有するBayer製のMakrolon(登録商標)AL2647ポリカーボネートシートを、糸くずの出ないイソプロパノール浸漬布での拭き取りによって使用前に清浄化し、その後3分間フラッシュオフした。このシートを23℃及び50%相対湿度にてプラスチック下地剤SHP401でフローコートした:プラスチック下地剤をスプレーボトルを使用して垂直に置いたシート上にスプレーし、このシートはその位置で20分間空気乾燥させた。続いて、GE Siliconesより市販品を購入可能なシリコーン組成物AS4000を、スプレーボトルを使用して、下地剤処理されて垂直に置かれたポリカーボネートシートに均一にスプレーし、このシートは20分間のフラッシュオフ時間に亘って垂直位置で空気乾燥させた。フラッシュオフの間、空気流(23℃、50%相対湿度)を1.5m/秒の速度で表面に平行に吹き付けた。
【0106】
次いで、シリコーンフィルムを備えたこれらポリカーボネートシートを、130℃に加熱した熱風乾燥器中に表3に「t1」と示した時間に亘って格納した。次に試料を室温にて2分間に亘りベンチにおいた。次いでこれらの試料を接着促進剤組成物を浸漬させたメラミンスポンジを用いて十分に拭いた。その後すぐに、試料を再び熱風乾燥器中に置き、130℃にて表3に「t2」と示した時間に亘って焼き付けした。
比較参考例6の場合には、接着促進剤組成物をシリコーン組成物のフラッシュオフ直後に適用した:すなわち、接着促進剤組成物は焼き付け前(t1=0)に適用された。参考例7の場合には、接着促進剤組成物は全く使用しなかった(焼成時間:130℃にて60分間)。
【0107】
表3に記載の25℃/50%相対湿度でのこれら試料の貯蔵時間(「tS」)の後、一成分湿分硬化ポリウレタン接着剤SikaTack(登録商標)Plus(「STP」)(Sika Schweiz AGより市販品を購入可能)の丸ビードを、押出カートリッジ及びダイを用いて適用した。
【0108】
7日間の気候制御貯蔵(「CL」)(23℃/50%相対湿度)の硬化時間の後、更にまたこれに続く水中、23℃にて7日間に亘る水貯蔵(「WL」)の後、更にこれに続く7日間に亘る70℃及び100%相対湿度における高温多湿貯蔵(「CP」)の後に、接着剤を上述のビード試験によって試験した。
【0109】
【表3】

表3.様々な貯蔵時間後及び焼き付けパラメータでの、熱硬化シリコーンコーティング(シリコーン組成物としてAS4000)で被覆されたポリカーボネートへのSikaTack(登録商標)Plusの接着
a) 数値は(分)で表示
d:(日)
【0110】
(シリコーンコーティング上の接着接合)
Sikaflex(登録商標)221のビードを、予め接着下地剤を適用せずに表2及び3について使用されるシリコーンコーティングに適用した。次いで、同じく下地剤が適用されていない、または下地剤を適用された、表4に示した各材料の被着体のシートを接着剤のビードに押し付け、接着剤フィルムの厚さを3mmとした。このアッセンブリを23℃/50%相対湿度で7日間に亘り貯蔵した。これらアッセンブリには、ハンマーを使用して駆動するウェッジによって接着脱離されうるものはなかった。
【0111】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック上での熱硬化シリコーンコーティングの製造方法であって、以下の:
・シリコーン組成物をプラスチックの表面またはプラスチック下地剤で処理されたプラスチックの表面に適用する工程;
・前記シリコーン組成物にフラッシュオフしてシリコーンフィルムを形成する工程;
・80℃乃至200℃の温度で焼き付けする工程;
・焼き付け中または焼き付け後の常温への冷却段階中に前記シリコーンフィルムに接着促進組成物を適用する工程;
を含む方法。
【請求項2】
前記プラスチックが熱可塑性プラスチックであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シリコーン組成物が、水と有機溶媒と少なくとも一つのトリアルコキシシランRSi(OR')3またはそのシラノールRSi(OR')3-n(OH)nまたはその部分縮合物との混合物中のコロイドシリカの水性分散物を含み、ここで、Rは1乃至3の炭素原子を有するアルキル置換基または6乃至13の炭素原子を有するアリール置換基を表し;R'は1乃至3の炭素原子を有するアルキル置換基を表し;更にnは1、2、または3であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
Rがメチルであり、R'がメチルであることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記シリコーン組成物が、10乃至30重量%、特に15乃至25重量%の固体含量を有することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記接着促進剤組成物が、ケイ素原子に結合した少なくとも一つのアルコキシ基及び更に炭素−ケイ素結合を介してケイ素原子に結合した少なくとも一つの有機置換基を有する、少なくとも一つの有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記接着促進剤組成物が、酸素−チタン結合を介してチタン原子に結合した少なくとも一つの置換基を有する、少なくとも一つの有機チタン化合物を含むことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記接着促進剤組成物が、
ケイ素原子に結合した少なくとも一つのアルコキシ基及び更に炭素−ケイ素結合を介してケイ素原子に結合した少なくとも一つの有機置換基を有する少なくとも一つの有機ケイ素化合物、並びに
酸素−チタン結合を介してチタン原子に結合した少なくとも一つの置換基を有する少なくとも一つの有機チタン化合物を含むことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
酸素−チタン結合を介してチタン原子に結合した少なくとも一つの置換基が、アルコキシ基、スルホネート基、カルボキシレート基、ジアルキルホスフェート基、ジアルキルピロホスフェート基、及びアセチルアセトネート基を包含する群より選択されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記有機ケイ素化合物が、下式(I)または(II)または(III):
【化1】

[式中、
R1は1乃至20の炭素原子を、任意に芳香族部分と共に、また任意に1つ以上のヘテロ原子、特に窒素原子と共に有する直鎖状または分枝状、任意に環状のアルキレン基であり;且つ
R2は1乃至5の炭素原子を有するアルキル基、特にメチルまたはエチル、あるいはアシル基であり;且つ
R3は1乃至8の炭素原子を有するアルキル基であり、特にメチルであり;且つ
XはH、またはオキシラン、OH、(メタ)アクリロイルオキシ、アミン、SH、アシルチオ、及びビニルに包含される群より選択される官能基、好ましくはアミンであり;且つ
X1はNH、S、S2、及びS4に包含される群より選択される官能基であり;且つ
X2はN及びイソシアヌレートに包含される群から選択される官能基であり;且つ
aは0、1、または2、好ましくは0である]
を有することを特徴とする、請求項6または8または9に記載の方法。
【請求項11】
置換基R1が、メチレン、プロピレン、メチルプロピレン、ブチレン、またはジメチルブチレン基、好ましくはプロピレン基であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
Xが、NH2またはNH2-CH2-CH2-NHであり、X1がNHであり、X2がNであることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記接着促進剤組成物が、760トールにて25℃乃至140℃、特に50℃乃至120℃、好ましくは65℃乃至99℃の沸点を有する少なくとも一つの溶媒を含むことを特徴とする、請求項6乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記接着促進剤組成物が、760トールにて焼き付け温度よりも高い、特に100℃以上の、特に100℃乃至200℃、好ましくは140℃乃至200℃の沸点を有する少なくとも一つの溶媒を含むことを特徴とする、請求項6乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記接着促進剤組成物が、少なくとも一つの炭化水素とその構造式中に少なくとも一つのヘテロ原子を有する少なくとも一つの極性溶媒との混合物を含むことを特徴とする、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも一つの前記溶媒が、アルコールまたは脂肪族炭化水素または環式脂肪族炭化水素、特にエタノール、イソプロパノール、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、またはオクタン、好ましくはエタノールまたはヘプタンであることを特徴とする、請求項13または14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記接着促進剤組成物が、0.1乃至10重量%、特に0.5乃至10重量%の有機ケイ素化合物含量及び/または有機チタン化合物含量を有することを特徴とする、請求項5乃至16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記接着促進剤組成物が、5乃至200g/m2、特に10乃至100g/m2の量で適用されることを特徴とする、請求項1乃至17のいずれか一項に記載に記載の方法。
【請求項19】
0.02乃至40g/m2、特に0.1乃至20g/m2、好ましくは0.5乃至10g/m2の有機ケイ素化合物及び/または有機チタン化合物が適用されることを特徴とする、請求項6乃至18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記プラスチックがポリカーボネート、特に芳香族ポリカーボネートであることを特徴とする、請求項1乃至19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記シリコーン組成物のフラッシュオフが、5乃至60分間、特に5乃至30分間、好ましくは5乃至25分間続くことを特徴とする、請求項1乃至20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記焼き付けが100乃至140℃の温度にて、特に30乃至90分間の焼き付け時間に亘って行われることを特徴とする、請求項1乃至21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記接着促進剤組成物のシリコーンフィルムへの適用が、焼き付け中、特に焼き付け時間の前半中、特に初め三分の一の間、好ましくは焼き付け時間の1乃至30分の間の時間枠内に行われることを特徴とする、請求項1乃至22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
請求項1乃至23のいずれか一項に記載の方法によって製造されることを特徴とする、熱硬化シリコーンコーティング。
【請求項25】
熱硬化シリコーンコーティングに接着性下地剤を予め適用することなく、接着剤または封止剤を熱硬化シリコーンコーティングと接触させることを含む、請求項24の熱硬化シリコーンコーティングの接着接合または封止方法。
【請求項26】
熱硬化シリコーンコーティングが、接着剤または封止剤を用いて更なる被着体に封止または接合されることを特徴とする、請求項25に記載の接着結合または封止方法。
【請求項27】
更なる被着体がプラスチックであることを特徴とする、請求項26に記載の接着結合または封止方法。
【請求項28】
更なる被着体が金属、特に塗装金属であることを特徴とする、請求項26に記載の接着結合または封止方法。
【請求項29】
更なる被着体がガラスまたはガラスセラミック、特にシートであることを特徴とする、請求項26に記載の接着結合または封止方法。
【請求項30】
更なる被着体が、接着結合または封止の前に下地剤で予備処理されていることを特徴とする、請求項26乃至29のいずれか一項に記載の接着結合または封止方法。
【請求項31】
接着剤または封止剤が、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを含む一成分湿分硬化型ポリウレタン接着剤または封止剤であることを特徴とする、請求項25乃至30のいずれか一項に記載の接着結合または封止方法。
【請求項32】
請求項25乃至31のいずれか一項に記載の接着結合または封止方法によって製造され、且つここで接着剤または封止剤が硬化されているアッセンブリ。
【請求項33】
車両、特に自動車またはその一部であることを特徴とする、請求項32に記載のアッセンブリ。
【請求項34】
情報表示のためのディスプレイであることを特徴とする、請求項32に記載のアッセンブリ。
【請求項35】
シリコーンコーティングの接着剤または封入剤の接着を促進するための、請求項5乃至17のいずれか一項に記載の接着促進剤組成物の使用。

【公表番号】特表2009−528158(P2009−528158A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556791(P2008−556791)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【国際出願番号】PCT/EP2007/051974
【国際公開番号】WO2007/099157
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】