説明

不揮発性半導体記憶装置および同装置の製造方法

【課題】高抵抗状態と低抵抗状態の抵抗値の比を大きくする素子の構成及び方法並びに素子間ばらつきの低減方法を提供する。
【解決手段】ペロブスカイト酸化物の一面に特定金属が設けられるとともに、前記ペロブスカイト酸化物から前記金属へ当該ペロブスカイト酸化物の酸素が移動することで当該金属の酸化と当該ペロブスカイト酸化物の還元が進行するために必要な活性化エネルギー以上のエネルギーが与えられるように加熱することによって得られる酸素欠乏層領域が前記ペロブスカイト酸化物の前記金属と接触した近傍の領域に存在するようになし、前記金属よりなる一方の電極と前記酸素欠乏層を介して対となる他方の電極間の電圧−電流特性のヒステリシス特性を利用することを特徴とする不揮発性半導体記憶装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性半導体記憶装置および同装置の製造方法に係り、特に、電圧の印加により抵抗値の変化を利用する抵抗変化型不揮発性半導体記憶装置および同装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
新たなメモリ素子として、RRAM(Resistance Random Access Memory)と呼ばれる不揮発性半導体記憶装置が注目されている。RRAMは、抵抗値が異なる複数の抵抗状態を記憶し、外部から電気的刺激を与えることにより抵抗状態が変化する抵抗記憶素子を用い、抵抗記憶素子の高抵抗状態と低抵抗状態とを例えば情報の“0”と“1”とに対応づけることにより、メモリ素子として利用するものである。RRAMは、高速性、大容量性、低消費電力性等、そのポテンシャルの高さから、その将来性が期待されている。
【0003】
抵抗記憶素子は、電圧の印加により抵抗状態が変化する抵抗記憶材料を一対の電極間に狭持したものである。抵抗記憶材料としては、代表的なものとして遷移金属を含む酸化物材料が知られており、電気的特性の違いから大きく2つに分類することができる。
【0004】
1つは、高抵抗状態と低抵抗状態との間で抵抗状態を変化するために互いに異なる極性の電圧を用いるものであり、クロム(Cr)等の不純物を微量にドープしたSrTiO3やSrZrO3、或いは超巨大磁気抵抗(CMR:Colossal Magneto-Resistance)を示すPr1-xCaxMnO3やLa1-xCaxMnO3等が該当する。このような双極性の材料を用いたRRAMは、例えば特許文献1、特許文献2、非特許文献1又は非特許文献2に記載されている。
【0005】
もう1つは、高抵抗状態と低抵抗状態との間で抵抗状態を変化するために同じ極性の電圧を用いるものであり、例えばNiOxやTiOxのような単一の遷移金属の酸化物等が該当する。このような単極性の材料を用いたRRAMは、例えば非特許文献3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6473332号明細書
【特許文献2】特開2005−025914号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】A. Beck et al., Appl.Phys. Lett. Vol. 77, p. 139 (2001)
【非特許文献2】W. W. Zhuang et al.,Tech. Digest IEDM 2002, p.193
【非特許文献3】I. G. Baek et al.,Tech. Digest IEDM 2004, p.587
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電極/ペロブスカイト酸化物/電極なる構造において、上下電極間に電圧を印加することで生じる抵抗変化現象は、高抵抗状態と低抵抗状態の抵抗値の比が精々一桁程度と小さく、データ読み出しの際、読み出し時の抵抗の高低を識別する上で不利となっている。前記電極/ペロブスカイト酸化物/電極構造において上下電極間に印加する電圧の絶対値或いは印加電圧パルスのパルス幅を変えることで抵抗値の制御が可能であり、電圧の絶対値が大きいほど或いは電圧パルスのパルス幅が広いほど、高抵抗状態の抵抗値はより高く、
低抵抗状態の抵抗値はより低くすることが出来、この特性を利用することでメモリの多値化が可能である。しかし、前述のように、高抵抗状態と低抵抗状態の抵抗値の比が小さいという事実が多値応用の妨げとなっている。
【0009】
また、この構造を多数作製してメモリ素子として用いる場合、例えば、同一ウエハ上にフォトリソグラフィー等を利用して電極/ペロブスカイト酸化物/電極なる構造を多数作製した場合、ウエハの周辺と、中心に位置する構造とでは前記高抵抗と低抵抗の比を含むメモリ特性に差異が生じることがある。この素子間ばらつきを抑制する方法は現在までのところ確立されておらず、メモリ素子としての大容量化を妨げる要因となっている。
【0010】
本発明の目的は、高抵抗状態と低抵抗状態の抵抗値の比を大きくし得る素子構造および同素子の製造方法及び素子間ばらつきの低減方法を提供することで、読み出しエラーの効果的な防止と多値応用、更に、メモリ素子の大容量化を可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明請求項1に係る発明は、ペロブスカイト酸化物の一面に当該ペロブスカイト酸化物における酸化のギブズエネルギーより小なる酸化のギブズエネルギーを有する金属が設けられるとともに、前記ペロブスカイト酸化物から前記金属へ当該ペロブスカイト酸化物の酸素が移動することで当該金属の酸化と当該ペロブスカイト酸化物の還元が進行するために必要な活性化エネルギー以上のエネルギーが与えられるように加熱することによって得られる酸素欠乏層領域が前記ペロブスカイト酸化物の前記金属と接触した近傍の領域に存在するようになし、前記金属よりなる一方の電極と前記酸素欠乏層を介して対となる他方の電極間の電圧−電流特性のヒステリシス特性を利用することを特徴とする不揮発性半導体記憶装置を提供する。なお、本書においては、ペロブスカイト型或いは層状ペロブスカイト型の結晶構造を有する金属酸化物を総称して、「
ペロブスカイト酸化物」という。
【0012】
本発明請求項2に係る発明は、ペロブスカイト酸化物の一面に当該ペロブスカイト酸化物における酸化のギブズエネルギーより小なる酸化のギブズエネルギーを有する金属を設けた後、前記ペロブスカイト酸化物から前記金属へ当該ペロブスカイト酸化物の酸素が移動することで当該金属の酸化と当該ペロブスカイト酸化物の還元が進行するために必要な活性化エネルギー以上のエネルギーが与えられるように加熱することによって、前記ペロブスカイト酸化物の前記金属と接触した近傍の領域に酸素欠乏層領域を作るようになし、前記金属よりなる一方の電極と前記酸素欠乏層を介して対となる他方の電極を設けることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の製造方法を提供する。
【0013】
本発明請求項3に係る発明は、前記加熱を、Ar、He等の不活性ガス又はNガス中で行うことを特徴とする請求項2に記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法を提供する。
【0014】
本発明請求項4に係る発明は、前記ペロブスカイト酸化物は、Bi2Sr2CuO6+δ、Bi2Sr2CaCu28+δ、Bi2Sr2Ca2Cu310+δ、YBa2Cu37-δ、La2-xBaxCuO4、TlBa2Can-1Cun2n+3(n=1、2、3、4、5)、Tl2Ba2Can-1Cun2n+4(n=1、2、3、4)、HgBa2YCan-1Cun2n+2+δ(n=1、2、3、4、5)、La2-xSrxCuO4、Nd2-xCexCuO4、La2-xSrxCuO4のいずれか1つより選択された物質であり、前記金属は、Al、Cu、Ti、Ni、Ta、V、Cr、Sb、Mn、Fe、Co、Zn、Hf、Nb、Mo、Sn、Siのいずれか1つ或いはその合金より選択された物質であることを特徴とする請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置を提供する。
【0015】
本発明請求項5に係る発明は、前記ペロブスカイト酸化物は、Bi2Sr2CuO6+δ、Bi2Sr2CaCu28+δ、Bi2Sr2Ca2Cu310+δ、YBa2Cu37-δ、La2-xBaxCuO4、TlBa2Can-1Cun2n+3(n=1、2、3、4、5)、Tl2Ba2Can-1Cun2n+4(n=1、2、3、4)、HgBa2YCan-1Cun2n+2+δ(n=1、2、3、4、5)、La2-xSrxCuO4、Nd2-xCexCuO4、La2-xSrxCuO4のいずれか1つより選択された物質であり、前記金属は、Al、Cu、Ti、Ni、Ta、V、Cr、Sb、Mn、Fe、Co、Zn、Hf、Nb、Mo、Sn、Siのいずれか1つ或いはその合金より選択された物質であることを特徴とする請求項2又は3に記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、上記のような構成の不揮発性半導体記憶装置であり、従来の抵抗変化型半導体記憶装置に比し、高抵抗と低抵抗の比を大きくすることができ、従って読み出しの信頼度が向上し、多値応用に有利である。
【0017】
また、記憶装置の使用目的に応じ材料の選択ができる。さらにまた、本件装置は加熱処理によって製造することができるので、半導体ウエハ面内の素子間のばらつきが低減され、ひいては大容量化を可能にするものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)、(b)、(c)、(d)は本発明の一実施例における装置の主要部の製造方法を説明するための断面図である。
【図2】(a)は同上実施例によって得られた装置の電流−電圧特性を示す図であり、(b)は比較のために掲げた別装置の電流−電圧特性を示す図である。
【図3】本発明を説明するためのエネルギー準位を示す図である。
【図4】(a)、(b)、(c)は本発明の作用効果を説明するための図である。
【図5】特定ペロブスカイト酸化物の酸化・還元の程度により抵抗率が変化する状況を示す図である。
【図6】本発明の他の実施例における装置の主要部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例につき、図面を参照しながら説明する。
【0020】
先ず、図1(a)に示すように、ペロブスカイト酸化物の一例であるBi-2212(銅酸化物超伝導体Bi2Sr2CaCu28+δ)の両面にAl電極とPt電極とをそれぞれ 100nm成膜し、Al/Bi-2212/Pt構造を作製した。Al、Ptの成膜にはスパッタ法を用いた。成膜方法は蒸着法やCVD法等であっても良い。
【0021】
図1(a)で作製したものをAr雰囲気中において、100、200、300、400、500℃でそれぞれ1時間ずつ熱処理した(図1(b))。ここで、Arの代わりにHe等の不活性ガスを使用しても良い。不活性ガスを使用する主たる理由は電極の酸化を防ぐことにある。したがって、不活性ガスに限られず、例えばNガス(窒素ガス)が寧ろよい場合がある。すなわち、電極金属としてTiを使用した場合、金属がBi-2212と接している側では酸化が進み、金属表面では窒化物が形成されるが、Tiの窒化物はTiのままで使用するより安定な電極として使用可能である。
【0022】
(a)、 (b)の工程を経ることで、Al電極がBi-2212から酸素を奪うことでAlOxを形成し、Bi-2212のAl電極と接触した近傍の領域には酸素欠乏(還元)層が形成される(図1(c))。
【0023】
次に、図1(d)に示すように、Pt電極を接地し、Al電極にバイアス電圧Vを印加することで、 (a)−(c)の工程で得られた素子のI-V特性を測定した。
【0024】
図2(a)に図1(d)で測定されたI-V特性を示す。図1(c)の工程におけるアニール温度を増加させると共にヒステリシスの開きが大きくなり、高抵抗と低抵抗の比(= 高抵抗/低抵抗)が増加した。
【0025】
比較のため、上下両方の電極にPtを用いた場合に測定されたI-V特性を図2(b)に示す。as-prepared(作製したままの状態)から400℃アニールの試料までヒステリシスは殆ど確認されず、アニール温度に拘らず類似のI-V特性が観測された。また、注意すべき点として、Al/Bi-2212/Pt構造にAr雰囲気にて500℃, 1時間の熱処理を施した場合には、 Alの酸化が進行し過ぎてAlOxがAl2O3となり、高い絶縁性のためメモリ素子としての機能を果たさなかった。
【0026】
要するところ、加熱処理は、Bi-2212(ペロブスカイト酸化物)からAl(金属)へ当該Bi-2212(ペロブスカイト酸化物)の酸素が移動することで当該Al(金属)の酸化と当該Bi-2212(ペロブスカイト酸化物)の還元が進行するために必要な活性化エネルギー以上のエネルギーが与えられるように加熱することが必要である。併せて、Al(金属)の過剰な酸化により酸化領域の抵抗がBi-2212(ペロブスカイト酸化物)の酸素欠乏層の抵抗に比べて高くなり、Bi-2212(ペロブスカイト酸化物)への電圧印加を妨げることで、Bi-2212(ペロブスカイト酸化物)における高抵抗から低抵抗或いは低抵抗から高抵抗への抵抗変化を妨げるエネルギー未満であることも実用上大切である。
【0027】
図3にAl-TE(TEは上部電極を意味し、以下同じ。)/Bi-2212界面におけるAl + Bi2Sr2CaCu2O8+δ1 (α)とAl2O3 + Bi2Sr2CaCu2O8+δ2 (β)のエネルギー準位を示す。状態αから酸素欠乏層が形成されるβへ転移するためには活性化エネルギーEaを越える必要があり、その反応速度v = Aexp(-Ea/kBT)はアニール温度Tに依存する。一方で、Pt-TE/Bi-2212やBi-2212/Pt-BE(BEは下部電極を意味し、以下同じ。)界面ではPtが酸化し難いため、酸素の移動が生じ難い。Al-TE/Bi-2212/Pt-BE構造のas-prepared試料の抵抗がPt-TE/Bi-2212/Pt-BE構造に比べて高いのはAl堆積時のスパッタリングエネルギー(プラズマの輻射熱とスパッタ粒子の運動エネルギー)により、α ⇒ βの反応が一部進行したためである。
【0028】
図4に酸素欠乏(還元)層(Oxygen-depleted layer)の形成及びそれにより、Alに正バイアスを印加することで低抵抗、負バイアスを印加することで高抵抗のスイッチングが生じるようになる理由を示す。
【0029】
最初に、ギブズエネルギーの低い金属(Al)をBi-2212単結晶上に堆積することで、AlがBi-2212から酸素を奪って酸素欠乏層が形成され、HRS(高抵抗状態)になる(図4(a))。
【0030】
更に、アニール処理を施すことでAlによる酸素欠乏層の還元が促進され、抵抗が増加する。続いて、Alに正電圧を印加するとBi-2212単結晶内の酸素イオンがクーロン力でAl側に引き寄せられて酸素欠乏層の酸化が進み、酸素欠乏層が修復されるためLRS(低抵抗状態)になる(図4(b))。再びAlに負電圧を印加すると、酸素イオンがBE側に移動し、Bi-2212に再度酸素欠乏層が形成され、HRSになる(図4(c))。
【0031】
従って、Bi-2212単結晶を用いたReRAMの抵抗スイッチングは酸素イオンの移動によるAl電極近傍のBi-2212の酸化/還元によって生じると考えられる。酸素欠乏層中の酸素濃度はアニール温度の増加と共に減少し、高抵抗状態の抵抗を増加させる。故に、アニール温度の増加によってRHRS /RLRSは増加する。
【0032】
補足説明として、Bi2Sr2CaCu2O8+δは酸化/還元、即ちδの変化により抵抗率が大きく変化することを述べておく。
【0033】
図5にWatanabe等によって報告されたBi2Sr2CaCu2O8+δの抵抗率のδ依存性を示す。δの減少と共に抵抗率が増加している。
【0034】
図4(a)において、Bi-2212中に酸素欠乏(還元)層、即ちδの減少が生じることで、当該領域が高抵抗化し、高抵抗状態が実現する。一方、図4(b)では、Al電極に正バイアスを印加することでBi-2212単結晶内の酸素イオンがクーロン力でAl側に引き寄せられて酸素欠乏層の酸化が進み, 酸素欠乏層が修復される、即ちδがある程度回復するためLRSになる。続いて、図4(c)では、Alに負電圧を印加することで, 酸素イオンがBE側に移動し、Bi-2212に再度酸素欠乏層が形成される、即ちδが減少するため、HRSとなる。
【0035】
なお、本実施例においてAl電極は次の材料(Alも含めて)、Al、Cu、Ti、Ni、Ta、V、Cr、Sb、Mn、Fe、Co、Zn、Hf、Nb、Mo、Sn、Siのいずれか1つ或いはその合金
であっても良い。
【0036】
また、Pt電極は次の材料(Ptも含めて)、即ち、Pt、Au、Ag、Pd、Irのいずれか1つ或いはその合金であっても良い。
【0037】
更に、Bi-2212は次の材料(Bi-2212も含めて)であっても良い。即ち、Bi2Sr2CuO6+δBi2Sr2CaCu28+δ、Bi2Sr2Ca2Cu310+δ、YBa2Cu37-δLa2-xBaxCuO4、TlBa2Can-1Cun2n+3(n=1、2、3、4、5)、Tl2Ba2Can-1Cun2n+4(n=1、2、3、4)、HgBa2YCan-1Cun2n+2+δ(n=1、2、3、4、5)、La2-xSrxCuO4、Nd2-xCexCuO4、La2-xSrxCuO4、Pr1−xCaxMnO3(PCMO)、SrTiO3 である。
【0038】
これらの材料から、図3に基づいて採用するペロブスカイト酸化物における酸化のギブズエネルギーより小なる酸化のギブズエネルギーを有する金属という組み合わせを選択し、Ea以上の温度に加熱することで、Al/Bi2212/Ptと同等の機能を満たす。
【0039】
電極の位置関係についてもAl電極とPt電極、即ち酸化物還元用電極と酸化反応に対して不活性な電極は必ずしも酸化物の表裏に配置されている必要はない。例えば、図6に示すように酸化物の同一平面上に配置されていても良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペロブスカイト酸化物の一面に当該ペロブスカイト酸化物における酸化のギブズエネルギーより小なる酸化のギブズエネルギーを有する金属が設けられるとともに、前記ペロブスカイト酸化物から前記金属へ当該ペロブスカイト酸化物の酸素が移動することで当該金属の酸化と当該ペロブスカイト酸化物の還元が進行するために必要な活性化エネルギー以上のエネルギーが与えられるように加熱することによって得られる酸素欠乏層領域が前記ペロブスカイト酸化物の前記金属と接触した近傍の領域に存在するようになし、前記金属よりなる一方の電極と前記酸素欠乏層を介して対となる他方の電極間の電圧−電流特性のヒステリシス特性を利用することを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項2】
ペロブスカイト酸化物の一面に当該ペロブスカイト酸化物における酸化のギブズエネルギーより小なる酸化のギブズエネルギーを有する金属を設けた後、前記ペロブスカイト酸化物から前記金属へ当該ペロブスカイト酸化物の酸素が移動することで当該金属の酸化と当該ペロブスカイト酸化物の還元が進行するために必要な活性化エネルギー以上のエネルギーが与えられるように加熱することによって、前記ペロブスカイト酸化物の前記金属と接触した近傍の領域に酸素欠乏層領域を作るようになし、前記金属よりなる一方の電極と前記酸素欠乏層を介して対となる他方の電極を設けることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項3】
前記加熱を、Ar、He等の不活性ガス又はNガス中で行うことを特徴とする請求項2に記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項4】
前記ペロブスカイト酸化物は、Bi2Sr2CuO6+δ、Bi2Sr2CaCu28+δ、Bi2Sr2Ca2Cu310+δ、YBa2Cu37-δ、La2-xBaxCuO4、TlBa2Can-1Cun2n+3(n=1、2、3、4、5)、Tl2Ba2Can-1Cun2n+4(n=1、2、3、4)、HgBa2YCan-1Cun2n+2+δ(n=1、2、3、4、5)、La2-xSrxCuO4、Nd2-xCexCuO4、La2-xSrxCuO4のいずれか1つより選択された物質であり、前記金属は、Al、Cu、Ti、Ni、Ta、V、Cr、Sb、Mn、Fe、Co、Zn、Hf、Nb、Mo、Sn、Siのいずれか1つ或いはその合金より選択された物質であることを特徴とする請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項5】
前記ペロブスカイト酸化物は、Bi2Sr2CuO6+δ、Bi2Sr2CaCu28+δ、Bi2Sr2Ca2Cu310+δ、YBa2Cu37-δ、La2-xBaxCuO4、TlBa2Can-1Cun2n+3(n=1、2、3、4、5)、Tl2Ba2Can-1Cun2n+4(n=1、2、3、4)、HgBa2YCan-1Cun2n+2+δ(n=1、2、3、4、5)、La2-xSrxCuO4、Nd2-xCexCuO4、La2-xSrxCuO4のいずれか1つより選択された物質であり、前記金属は、Al、Cu、Ti、Ni、Ta、V、Cr、Sb、Mn、Fe、Co、Zn、Hf、Nb、Mo、Sn、Siのいずれか1つ或いはその合金より選択された物質であることを特徴とする請求項2又は3に記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−222059(P2012−222059A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84216(P2011−84216)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 1. 日本真空協会、2010年11月4日発行の刊行物「第30回表面科学学術講演会要旨集、第51回真空に関する連合講演会予稿集」 2. 社団法人応用物理学会、2011年3月9日発行の刊行物「第58回応用物理学関係連合講演会講演予稿集」
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.RRAM
【出願人】(504150461)国立大学法人鳥取大学 (271)
【Fターム(参考)】