説明

不飽和基含有化合物およびその組成物

【課題】 本発明は、官能基化可能な水酸基と不飽和二重結合を有する化合物であり、それ自体硬化性樹脂組成物として使用できるほか、種々の機能性化合物の中間体となる化合物を提供することを目的とする。
【解決手段】下記式(1)
【化1】


(式中、nは0〜3の整数を示すが2個あるnが同時に0となることはない。P、Q及びRはそれぞれ水素原子、炭素数1〜8のアルキル基またはアリール基のいずれかを表し、個々のP、R、Qはそれぞれ互いに同一であっても異なっていても良い。)で示される不飽和基を有するポリアルケニル化合物

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な不飽和基含有化合物に関するものであり、さらにはその不飽和基含有化合物を含有する、加工性、接着性、耐熱性などに優れた硬化物を与える熱硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
熱硬化性樹脂組成物は、注型、含浸、積層、成形用材料として各種電気絶縁材料、構造材料、接着剤などに使用されている。近年、これらの各用途において材料の使用条件は厳しくなる傾向にあり、特に材料の耐熱性は重要な要件になっている。
【0003】
しかしながら、熱硬化性樹脂組成物に一般に使用されている熱硬化性のポリイミド樹脂は、良好な耐熱性を有するが、加工時に高温で長時間の加熱が必要であり、加工性に劣るものであった。また、耐熱性に改良を加えたエポキシ樹脂は、加工性に優れているものの、高温時の機械的特性、電気的特性及び長期の耐熱劣化性、高度耐熱機能が不十分であった。
【0004】
そこで、これらに代わる材料として、例えばポリイミドとアルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテルとを含む熱硬化性樹脂混合物、マレイミド系化合物、ポリアリル化フェノール系化合物及びエポキシ樹脂を含む耐熱性樹脂組成物等が提案されている。(特許文献1、2)
【0005】
【特許文献1】特開平05−43629号
【特許文献2】特開平07-278268号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は官能基化可能な水酸基を有する不飽和二重結合を有する低粘度な化合物であり、それ自体硬化性樹脂組成物として使用できるほか、種々の機能性化合物の中間体となる化合物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明は
(1)下記式(1)
【化1】

(式中、nは0〜3の整数を示すが2個あるnが同時に0となることはない。P、R及びQはそれぞれ水素原子、炭素数1〜8のアルキル基またはアリール基のいずれかを表し、個々のP、R、Qはそれぞれ互いに同一であっても異なっていても良い。)で示されるポリアルケニル化合物、
(2)上記(1)に記載のポリアルケニル化合物及びマレイミド化合物を必須成分とする樹脂組成物、
(3)上記(2)に記載の樹脂組成物を硬化してなる硬化物
を、提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のポリアルケニル化合物は、容易に反応性の官能基とすることが可能な水酸基を有し、不飽和二重結合を有する化合物であり、それ自体硬化性樹脂組成物として使用できる。本発明の化合物は種々の機能性化合物の中間体とすることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のポリアルケニル化合物は、下記式(2)
【化2】

(式中、mは1〜3の整数を表す。R及びQは式(1)におけるのと同じ意味を表す。)
で表されるアリルフェノール類とエピハロヒドリンとの反応によって得られる。反応は、エピハロヒドリンに対し、過剰のアリルフェノール類を反応させる、もしくはアリルフェノール類の水酸基をグリシジルエーテル化した後、さらにアリルフェノール類と反応させる方法から選択できる。後者の場合、選択的に非対称型のポリアルケニル化合物を得ることができることから精密な分子設計をする意味で有効である。
【0010】
用いるアリルフェノール類は、アリルフェノールや、フェノール類のアリルエーテル類を原料にクライゼン転移により製造してもかまわない。
ここでいうフェノール類とはフェノール以外に、ハロゲン原子、炭素数1〜8の炭化水素基、トリフルオロメチル基で置換された置換フェノール類等が挙げられ、具体的にはフェノールのo,m,pのいずれかに、もしくは5つある置換位置のうち2つに下記に記載する置換基をそれぞれ独立に有する化合物である。ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。また、炭素数1〜8の炭化水素基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、シクロヘプチル基、n−オクチル基、シクロオクチル基等の鎖状アルキル基または環状アルキル基、アリル基またはアリール基等が挙げられる。またアリール基としてはフェニル基、ナフチル基、トルイル基等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、原料のアリルフェノール類の一部を、アリル基を有しないフェノール類で置き換えて反応させることもできる。この際のフェノール類としては、前記フェノール類等が挙げられる。
【0011】
前記フェノール類のアリルエーテル類を合成する方法としては公知の方法が採用され、例えば特許文献1に記載の手法が用いられる。例えば、フェノール類とアリル化合物のハロゲン化物やアルキルスルホニルエーテル等を塩基性条件下で反応させる。ここでいうアリル化合物は具体的にはアリルブロマイド、アリルクロライド、アリルアイオダイド、メタアリルブロマイド、メタアリルクロライド、メタアリルアイオダイド、アリルオキシメタンスルホネート、アリルオキシトシレート等が挙げられる。得られたアリルエーテル類は160〜250℃の温度で熱処理し、クライゼン転移を行うことで目的とするアリルフェノール類が得られる。
【0012】
前記アリルフェノール類とエピハロヒドリンとの反応は、1段階(A法)、または2段階(B法)で反応させて行う。特に副反応による不純物量を低減させることが目的である場合、B法を採用することが好ましい。
【0013】
A法とは、一段で2分子のアリルフェノール類を、エピハロヒドリンをリンカーとし、結合させる反応ある。このA法ではエピハロヒドリンに対し、過剰当量のアリルフェノール類を塩基性条件下で反応させる。本発明のポリアルケニル化合物を得る反応において、塩基としてはアルカリ金属水酸化物が好適である。アルカリ金属水酸化物はその固形物を利用してもよく、水溶液を使用してもよい。アルカリ金属水酸化物の使用量は用いるエピハロヒドリンのエポキシ基1モルに対して通常0.9〜2.5モルであり、好ましくは0.95〜2.0モルである。
【0014】
本反応には反応を簡便に進行させるため、必要に応じて4級アンモニウム塩を触媒として添加してもかまわない。用いることのできる4級アンモニウム塩としてはテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等が挙げられる。4級アンモニウム塩の使用量としてはアリルフェノール類の水酸基1モルに対し通常0.1〜15重量部であり、好ましくは0.2〜10重量部である。
【0015】
エピハロヒドリンの使用量はアリルフェノール類の水酸基1モルに対し通常0.1〜1.0モル、好ましくは0.2〜0.8モルである。使用するエピハロヒドリンとしてはエピクロロヒドリンα―メチルエピクロロヒドリン、β―メチルエピクロロヒドリン、γ―メチルエピクロロヒドリン等のエピクロロヒドリン誘導体、エピブルモヒドリン、エピヨードヒドリン等が挙げられるが、工業的にはエピクロロヒドリン誘導体が使用しやすい。反応の際、アリルフェノール類の溶解性を高めるため、また反応を温和な条件で行うためにメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、t−ブタノールなどのアルコール類、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどの非プロトン性の極性溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、トルエン、キシレンなどの芳香族系化合物等に挙げられる溶剤を添加して反応を行うことが好ましい。
【0016】
溶剤を使用する場合、その使用量は原料の総重量に対し、通常2〜1000重量%、好ましくは5〜300重量%である。
【0017】
反応温度は通常30〜90℃であり、好ましくは35〜80℃である。反応時間は通常0.5〜10時間であり、好ましくは1〜8時間である
【0018】
反応終了後、副生した塩をろ過、水洗などにより除去し、更に加熱減圧下、未反応原料、溶媒等を留去することにより本発明のポリアルケニル化合物を得ることができる。
【0019】
B法とは一段めでアリルフェノール類を過剰のエピハロヒドリンと反応させ、エポキシ化合物とした後に、二段目でもう1分子のアリルフェノール類と反応させ、目的物を得る方法である。
【0020】
アリルフェノール類とエピハロヒドリンとの反応は、従来公知の方法に準じて行うことが出来る。例えば、アリルフェノール類とエピハロヒドリンの混合物に水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の固体を添加し、または添加しながら20〜120℃で0.5〜10時間反応させる。この際アルカリ金属水酸化物は水溶液を使用してもよく、その場合は該アルカリ金属水酸化物を連続的に添加すると共に反応混合物中から減圧下、または常圧下、連続的に水及びエピハロヒドリンを留出させ、更に分液し水は除去しエピハロヒドリンは反応混合中に連続的に戻す方法でもよい。本手法に使用できるエピハロヒドリンは前記A法の場合と同様のものが挙げられる。
【0021】
上記の方法において、エピハロヒドリンの使用量はアリルフェノール類の水酸基1モルに対して通常2.0〜20モル、好ましくは3.0〜10モルである。アルカリ金属水酸化物の使用量はアリルフェノール類の水酸基1モルに対し通常0.5〜1.5モル、好ましくは0.7〜1.2モルである。この際、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン溶媒を添加することにより副反応を抑制することができる。非プロトン性極性溶媒の使用量はエピハロヒドリンの重量に対し5〜200重量%、好ましくは10〜100重量%である。上記の溶媒以外にもメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、t−ブタノールなどのアルコール類を添加することによっても反応が進み易くなる。また、トルエン、キシレン等も使用することができる。
【0022】
本反応には反応を簡便に進行させるため、必要に応じて4級アンモニウム塩を触媒として添加してもかまわない。用いることのできる4級アンモニウム塩としてはテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等が挙げられる。4級アンモニウム塩の使用量としてはアリルフェノール類の水酸基1モルに対し通常0.1〜15重量部であり、好ましくは0.2〜10重量部である。
【0023】
また別法としてアリルフェノール類と過剰のエピハロヒドリンの混合物にテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライドなどの第四級アンモニウム塩を触媒として使用し、50〜150℃で1〜10時間反応させ、得られるアリルフェノール類のハロヒドリンエーテルに水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の固体または水溶液を加え、再び20〜120℃で1〜10時間反応させてハロヒドリンエーテルを閉環させてアリルフェノール類のエポキシ化物を得ることもできる。この場合の四級アンモニウム塩の使用量はアリルフェノール類の水酸基1モルに対して通常0.001〜0.2モル、好ましくは0.05〜0.1モルである。アルカリ金属水酸化物の使用量はアリルフェノール類の水酸基1当量に対して通常0.8〜1.5モル、好ましくは0.9〜1.1モルである。
【0024】
反応終了後、副生した塩をろ過、水洗などにより除去し、更に加熱減圧下、過剰のエピハロヒドリン等の溶媒を留去することによりアリルフェノール類のエポキシ化物を得ることができる。
さらに高純度なエポキシ化物が必要な場合は、反応終了後、反応生成物を水洗した後、または水洗無しに加熱減圧下、過剰のエピハロヒドリン類や溶媒等を除去した後、再びトルエン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等の溶媒に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて再び反応を行う。この場合アルカリ金属水酸化物の使用量はアリルフェノール利の水酸基1モルに対して通常0.01〜0.2モル、好ましくは0.05〜0.1モルである。反応温度は通常50〜120℃、反応時間は通常0.5〜2時間である。反応終了後、副生した塩をろ過、水洗などにより除去し、更に加熱減圧下、溶媒等を留去することにより高純度なアリルフェノール類のエポキシ化物を得ることができる。
【0025】
次いで得られたエポキシ化物をアリルフェノール類と反応させることで目的とするポリアルケニル化合物が得られる。本反応は通常フュージョンと呼ばれる手法であり、無触媒、もしくはトリフェニルホスフィン、トリトリルフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン−ハイドロキノン複合体等の有機ホスフィン類、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライドなどの四級アンモニウム塩、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の溶剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物を触媒として反応を行うこともできる。触媒の使用量は触媒にも依るが、アリルフェノール類の水酸基1モルに対して通常0.0001〜0.2モル、好ましくは0.0005〜0.1モルである。
【0026】
反応は無溶剤でもかまわないが、反応を温和な条件で行うために、別途溶剤を添加することもできる。使用できる溶剤の具体例としてはジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどの非プロトン性の極性溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、トルエン、キシレンなどの芳香族系化合物等に挙げられるがこれに限定されない。
【0027】
反応温度は通常50〜180℃、反応時間は通常0.5〜2時間である。反応終了後、必要に応じて触媒をろ過、水洗などにより除去し、更に必要に応じて加熱減圧下、溶媒等を留去することにより本発明のポリアルケニル化合物を得ることができる。
【0028】
このようにして得られた本発明のポリアルケニル化合物は、不飽和二重結合と水酸基の2種の官能基を有するため、種々の合成中間体として有用である。
例えば酸触媒存在下、フェノール類と反応させることにより、フェノールノボラックに類似するオリゴマーが製造できる。またアリル基を過酸化物で酸化したり、ハロヒドリン化したりした後、塩基で閉環させることでエポキシ化合物が合成でき、塩基で処理することでスチレン誘導体とすることもできる。さらに中央の水酸基を感光性基化することで(例えば(メタ)アクリル酸エステル基を有するイソシアネート化合物やマレイミド基を有するイソシアネート化合物 具体的にはカレンズMOIやカレンズAOI等)光硬化性部位と熱硬化性部位を1分子中に同時に具備する化合物となり、新たな硬化系を形成することも可能であり、同様に水酸基に酸無水物を反応させ1分子中にカルボキシル基とエポキシ基を同時に有するエポキシ樹脂とすることもできる。またDieals-Alder反応のジエノフィルとして働くことも可能であり、さらにはエン反応のエンとして反応させることも可能である。また水酸基を利用し、ジイソシアネートでつなぐことで多官能のアリル化合物とすることも可能であり、水酸基を利用することで末端にアリル基を有するデンドリマーのブランチとして使用することもできる。
【0029】
本発明のポリアルケニル化合物は種々の高分子合成反応における架橋剤として有用である。例えばポリマレイミド化合物とポリアルケニル化合物とを反応させることにより、耐熱性及び機械的特性に優れた樹脂硬化物を得ることができることが知られている。
【0030】
ここで本発明のポリアルケニル化合物を含有する熱硬化性樹脂組成物について詳細に説明する。ポリマレイミド化合物とポリアルケニル化合物とを反応させることにより、耐熱性及び機械的特性に優れた樹脂硬化物を得ることができる。本発明の熱硬化性樹脂組成物において用いられるポリマレイミド化合物は、既に広く知られ、又使用されてもいる物質であり、分子内に2個以上のマレイミド基を有する化合物であれば特に限定されない。
【0031】
ポリマレイミド化合物として好ましい具体例としては、例えば、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、1,2−ジマレイミドベンゼン、ビス(3−マレイミドフェニル)メタン、1,3−ジマレイミドベンゼン、ビス(4−マレイミドフェニル)エーテル、1,4−ジマレイミドベンゼン、ビス(3−マレイミドフェニル)エーテル、1,4−ジマレイミドナフタレン、2,3−ジマレイミドナフタレン、1,5−ジマレイミドナフタレン、4,4' −ジマレイミドビフェニル、1,8−ジマレイミドナフタレン、3,3' −ジマレイミドビフェニル、2,6−ジマレイミドナフタレン、3,4' −ジマレイミドビフェニル、2,7−ジマレイミドナフタレン、2,2' −ビス[4−(4−マレイミドフェニルオキシ)フェニル]スルホン、2,5−ジマレイミド−1,3−キシレン、ビス(4−マレイミドフェニル)ケトン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、1,5−ジマレイミドアントラキノン、ビス(3−マレイミドフェニル)スルホン、1,2−ジマレイミドアントラキノン、2,7−ジマレイミドフルオレン、9,9−ビス(4−マレイミドフェニル)フルオレン、3,7−ジマレイミド−2−メトキシフルオレン、9,9−ビス(4−マレイミド−3−メチルフェニル)フルオレン、9,10−ジマレイミドフェナントレン、9,9−ビス(3−エチル−4−マレイミドフェニル)フルオレン、3,6−ジマレイミドアクリジン、1,2−ジマレイミド アントラキノン、1,5−ジマレイミド アントラキノン、2,6−ジマレイミド アントラキノン、3,8−ジマレイミド−6−フェニルフェナントリジン、ビス(4−マレイミドシクロヘキシル)メタン、ビス(3−マレイミドシクロヘキシル)メタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェニルオキシ)フェニル]プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−マレイミドフェニル)プロパン、1,4−ビス(4−マレイミドフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(4−マレイミドフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−マレイミドフェニル)ジフェニルシラン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルフィド、ビス(3−マレイミドフェニル)スルフィド、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホキシド、ビス(3−マレイミドフェニル)スルホキシド、2,2−ビス(4−マレイミドフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェニルオキシ)フェニル]プロパン、ビス(3−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−マレイミドフェニル)メタン、イソホロンジマレイミド、1,2−ジマレイミドエタン、1,4−ジマレイミドブタン、1,6−ジマレイミドヘキサン、1,3−ビス(マレイミドメチル)シクロヘキサン、1,4−ジマレイミド−2−ブタノン、1,2−ジマレイミドシクロヘキサン、1,10−ジマレイミドデカン、1,12−ジマレイミドデカン、1,7−ジマレイミドヘプタン、2,5−ジマレイミドピリジン、1,3−ジマレイミド−2−ヒドロキシプロパン、1,8−ジマレイミド−p−メンタン、2,3−ジマレイミドナフタレン、1,2−ジマレイミド−2−メチルプロパン、1,9−ジマレイミドノナン、1,8−ジマレイミドオクタン、1,5−ジマレイミドペンタン、1,3−ジマレイミドプロパン、2,4ジマレイミドフェノール、3,4−ジマレイミドベンゾフェノン、2,6−ジマレイミドトルエン、3,4−ジマレイミドトルエン、アダマンタン−1,3−ジマレイミド、2,3−ジマレイミドピリジン、1,4−ビス(3−マレイミドプロピル)ピペラジン、4,5−ジマレイミドピリジン2,6−ジマレイミドピリジン、3,4−ジマレイミドピリジンビス(3−エチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジエチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−プロピル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジプロピル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−ブチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジブチル−4−マレイミドフェニル)メタン、2−メチル−1,4−ジマレイミドベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジマレイミドベンゼン、2,5−ジメチル−1,4−ジマレイミドベンゼン、2,6−ジメチル−1,4−ジマレイミドベンゼン、4−エチル−1,3−ジマレイミドベンゼン、5−エチル−1,3−ジマレイミドベンゼン、4,6−ジメチル−1,3−ジマレイミドベンゼン、2,4,6−トリメチル−1,3−ジマレイミドベンゼン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−ジマレイミドベンゼン、ビス(3−エチル−4−マレイミド−5−メチルフェニル)メタン、4−メチル−1,3−ジマレイミドベンゼン等のビスマレイミド;トリス(4−マレイミドフェニル)メタン等のトリスマレイミド;ビス(3,4−ジマレイミドフェニル)メタン等のテトラキスマレイミド;ポリ(4─マレイミドスチレン)及びポリ(3─マレイミドスチレン)及びアニリンとホルムアルデヒドの反応により得られるアニリン樹脂等の芳香族ポリアミンをマレイミド化したポリマレイミド化合物等が挙げられる。
【0032】
本発明の組成物は、ポリアルケニル化合物及びポリマレイミド化合物の要求性能及び用途に応じて組成を調整すればよく、通常モル比(ポリアルケニル化合物/ポリマレイミド化合物)を0.05〜20とする。好ましくは0.1〜5、更に好ましくは0.5〜2の範囲とするのが良い。
【0033】
本発明の熱硬化性樹脂組成物には必要に応じて以下の成分を添加することができる。
(A)アルケニルフェニルエーテル:アルケニル基とベンゼン環とが酸素を介して結合するエーテルであり、好ましい具体例として以下の化合物が挙げられる。即ち、4,4' −ビス(2−メチル−2−プロペニルオキシ)ビフェニル、ビス[4−(2−メチル−2−プロペニルオキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(2−メチル−2−プロペニルオキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(2−メチル−2−プロペニルオキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(2−メチル−2−プロペニルオキシ)フェニル]ケトン、9,9−ビス[4−(2−メチル−2−プロペニルオキシ)フェニル]フルオレン、1,1−ビス[4−(2−プロペニルオキシ)フェニル]エチルベンゼン、1,1−ビス[4−(2−プロペニルオキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス[4−(2−プロペニルオキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2−プロペニルオキシ)フェニル]ケトン、9,9−ビス[4−(2−プロペニルオキシ)フェニル]フルオレン、1,4−ビス(2−プロペニルオキシ)ベンゼン、1,2,4−トリス(2−プロペニルオキシ)ベンゼン、2,3−ビス(2−メチル−2−プロペニルオキシ)ベンズアルデヒド、2,4−ビス(2−メチル−2−プロペニルオキシ)ベンズアルデヒド、2,5−ビス(2−メチル−2−プロペニルオキシ)ベンズアルデヒド、3,4−ビス(2−メチル−2−プロペニルオキシ)ベンズアルデヒド、1,1,1−トリス[4−(2−メチル−2−プロペニルオキシ)フェニル]エタン、1−[1−メチル−1−(4−(2−メチル−2−プロペニルオキシ)フェニル)エチル、4−[1,1−ビス(4−(2−メチル−2−プロペニルオキシ)フェニル)エチル]ベンゼン、1−[1−メチル−1−(4−(2−プロペニルオキシ)フェニル)エチル−4−[1,1−ビス(4−(2−プロペニルオキシ)フェニル)エチル]ベンゼン、2,3−ビス(2−プロペニルオキシ)ベンズアルデヒド、2,4−ビス(2−プロペニルオキシ)ベンズアルデヒド、2,5−ビス(2−プロペニルオキシ)ベンズアルデヒド、3,4−ビス(2−プロペニルオキシ)ベンズアルデヒド、1,1,1−トリス[4−(2−プロペニルオキシ)フェニル]エタン、1−[1−メチル−1−(4−(2−プロペニルオキシ)フェニル)エチル]−4−[1,1−ビス(4−(2−プロペニルオキシ)フェニル)エチル]ベンゼン等が挙げられる。これらの中で、2個のメタリル基もしくはアリル基を有するアルケニルフェニルエーテルは好ましい化合物である。アルケニルフェニルエーテルの好ましい添加量は用途により異なるが、樹脂組成物の総量に対し50重量%まである。
【0034】
(B)アルケニルフェノール:アルケニル基がベンゼン環に結合したフェノールであり、好ましい具体例として以下の化合物がが挙げられる。即ち、3,3' −ビス(2−メチル−2−プロペニル)−4,4' −ビフェニルジオール、3,3' −ビス(2−メチル−2−プロペニル)−2,2' −ビフェニルジオール、3,3' −ジ(2−プロペニル)−4,4' −ビフェニルジオール、3,3' −ジ(2−プロペニル)−4,4' −ビフェニルジオール、2,2' −ビス[4−ヒドロキシ−3−(2−メチル−2−プロペニル)フェニル]プロパン、ビス[4−ヒドロキシ−3−(2−メチル−2−プロペニル)フェニル]メタン、ビス[4−ヒドロキシ−3−(2−メチル−2−プロペニル)フェニル]スルホキシド、ビス[4−ヒドロキシ−3−(2−メチル−2−プロペニル)フェニル]スルフィド、ビス[4−ヒドロキシ−3−(2−メチル−2−プロペニル)フェニル]エーテル、ビス[4−ヒドロキシ−3−(2−メチル−2−プロペニル)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−ヒドロキシ−3−(2−プロペニル)フェニル]プロパン、ビス[4−ヒドロキシ−3−(2−プロペニル)フェニル]メタン、ビス[4−ヒドロキシ−3−(2−プロペニル)フェニル]スルホキシド、ビス[4−ヒドロキシ−3−(2−プロペニル)フェニル]スルフィド、ビス[4−ヒドロキシ−3−(2−プロペニル)フェニル]エーテル、ビス[4−ヒドロキシ−3−(2−プロペニル)フェニル]スルホン、1,1−ビス[4−ヒドロキシ−3−(2−メチル−2−プロペニル)フェニル]エチルベンゼン、1,1−ビス[4−ヒドロキシ−3−(2−メチル−2−プロペニル)フェニル]シクロヘキサン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス−[4−ヒドロキシ−3−(2−メチル−2−プロペニル)フェニル]プロパン、等である。これらの中で、2個のメタリル基を有するアルケニルフェノールは好ましい化合物が挙げられる。これらのアルケニルフェノールの好ましい添加量は用途により異なるが、樹脂組成物の総量に対し50重量%まである。
【0035】
(C)エポキシ樹脂:一分子中に少なくとも2個のエポキシ基をもつエポキシ化合物である。ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂などが挙げられる。具体的には、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロルメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物及びこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類、アルコール類から誘導されるグリシジルエーテル化物、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等の固形または液状エポキシ樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。これらのエポキシ樹脂の好ましい添加量は用途により異なるが、樹脂組成物の総量に対し50重量%まである。
【0036】
(D)エポキシ樹脂硬化剤:エポキシ樹脂の硬化剤であり、組成物中にエポキシ樹脂を配合する場合に有効な成分であり、エポキシ樹脂の硬化剤として知られているものはいずれも用いることができる。好ましいエポキシ樹脂硬化剤として、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物などが挙げられる。使用できる硬化剤としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロロメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4’−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4’−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物及びこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類、イミダゾール、トリフルオロボラン−アミン錯体、グアニジン誘導体、テルペンとフェノール類の縮合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよいが、好ましくはフェノール系化合物、アミン系化合物、更に好ましくはフェノール系化合物が挙げられる。特にアミン系化合物はマレイミドの硬化剤としても有効である。これらのエポキシ樹脂硬化剤の好ましい添加量は用途により異なるが、樹脂組成物の総量に対し50重量%まである。
【0037】
(E)ラジカル開始剤:組成物を加熱硬化させるためのラジカル開始剤である。本発明の組成物は、硬化反応の開始剤が存在しない場合でも容易に硬化するが、場合によりラジカル開始剤も使用することができる。好ましい具体例として、過酸化クミル、過酸化tert−ブチル、過酸化アセチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化−2−クロロベンゾイル、過酸化3−クロロベンゾイル、過酸化4−クロロベンゾイル、過酸化2,4−ジクロロベンゾイル、過酸化4−ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル、テトラリンヒドロペルオキシド、1−フェニル−2−メチルプロピル−1−ヒドロキシペルオキシド、過トリフェニル酢酸tert−ブチル、過酢酸tert−ブチル、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過安息香酸tert−ブチル、過ギ酸tert−ブチル、過フェニル酢酸tert−ブチル、過4−メトキシ酢酸tert−ブチル、過N−(3−トルイル)カルバミン酸tert−ブチル等の過酸化物;2,2' −アゾビスプロパン、2,2' −ジクロロ−2,2' −アゾビスプロパン、1,1' −アゾ(メチルエチル)ジアセテート、2,2' −アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、2,2' −アゾビス(2−アミジノプロパン)硝酸塩、2,2' −アゾビスイソブタン、2,2' −アゾビスイソブチルアミド、2,2' −アゾビスイソブチロニトリル、2,2' −アゾビスイソブチロニトリル1重量部当たり塩化第二スズ21.5重量部の混合物、2,2' −アゾビス−2−メチルプロピオン酸メチル、2,2' −ジクロロ−2,2' −アゾビスブタン、2,2' −アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2' −アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2' −アゾビスイソ酪酸ジメチル1重量部当たり塩化第二スズ19.53重量部の混合物、1,1' −アゾビス(1−メチルブチロニトリル−3−スルホン酸ナトリウム)、2−(4−メチルフェニルアゾ)−2−メチルマロノジニトリル、4,4' −アゾビス−4−シアノ吉草酸、3,5−ジヒドロキシメチルフェニルアゾ−2−メチルマロノジニトリル、2,2' −アゾビス−2−メチルバレロニトリル、2−(4−ブロモフェニルアゾ)−2−アリルマロノジニトリル、4,4−アゾビス−4−シアノ吉草酸ジメチル、2,2,−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1' −アゾビスシクロヘキサンニトリル、2,2' −アゾビス−2−プロピルブチロニトリル、1,1' −アゾビス−1−クロロフェニルエタン、1,1' −アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、1,1' −アゾビス−1−フェニルエタン、1,1' −アゾビスクメン、4−ニトロフェニルアゾベンジルシアノ酢酸エチル、フェニルアゾジフェニルメタン、フェニルアゾトリフェニルメタン、4−ニトロフェニルアゾトリフェニルメタン、1,1' −アゾビス−1,2−ジフェニルメタン、ポリ(ビスフェノールA−4,4' −アゾビス−4−シアノペンタエート)及びポリ(テトラエチレングリコール−2,2' −アゾビスイソブチレート)等のアゾ化合物;1,4−ビス(ペンタエチレン1−2−テトラゼン、ベンゼンスルホニルアジド及び1,4−ジメトキシカルボニル−1,4−ジフェニル−2−テトラゼン等が挙げられる。これらのラジカル開始剤の好ましい添加量は、用途により異なるが、全組成物の総量に対して5重量%迄である。
【0038】
(F)無機充填剤:機械的特性等の硬化物特性を向上させるために添加する。無機充填剤としては、結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、チタニア、タルク等の粉体またはこれらを球形化したビーズ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。これらの無機充填剤の好ましい添加量は用途により異なるが、樹脂組成物の総量に対し95重量%まである。更に本発明の硬化性樹脂組成物には、シランカップリング剤、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の離型剤、顔料等の種々の配合剤、各種熱硬化性樹脂を添加することができる。
【0039】
(G)難燃剤:樹脂硬化物に難燃性を付与するための成分である。好ましい具体例として以下のものが挙げられる。即ち、テトラブロモビスフェノールAのジメタクリレート反応物、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモベンゼン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、デカブロモジフェニルエーテル等の臭素系難燃剤、三塩化アンチモン、水酸化ジルコニウム、水酸化マグネシウム、酸化スズ等の無機系難燃剤、トリフェニルホスフェイト、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、フェニレンビス(フェニルクレジルホスフェート)、キシレニルジフェニルホスフェート、フェニレンビス(ジクレジルホスフェート)等の芳香族リン酸エステル系難燃剤及びその重縮合物、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、ビス(2−クロロエチル)ビニルホスフェート等の(ハロ)アルキルリン酸エステル系難燃剤及びその重縮合物及び赤リン等の無機リン系難燃剤等が挙げられる。これらの難燃剤の好ましい添加量は用途により異なるが、樹脂組成物の総量に対し50重量%まである。
【0040】
(H)合成樹脂:樹脂硬化物に種々の特性を付与するための成分である。好ましい具体例として以下のものがが挙げられる。即ち、フェノール樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ブタジエンゴム、ブタジエンアクリロニトリルゴム、及びポリエステル樹脂等の合成樹脂等が挙げられる。これらの合成樹脂の好ましい添加量は用途により異なるが、樹脂組成物の総量に対し50重量%まである。
【0041】
本発明の樹脂組成物は、上記各成分を組成物の硬化温度に至らない温度において均一に混合することにより容易に調製することができ、これを適当な温度例えば120〜300℃の温度で1〜20時間加熱することにより、容易に硬化し、耐熱性及び機械的特性に優れた硬化物とすることができる。
【実施例】
【0042】
次に本発明を更に実施例により具体的に説明するが、以下において部は特に断わりのない限り重量部である。
【0043】
実施例1
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、2−アリルフェノール134部、エピクロルヒドリン555部、メタノール56部を仕込み、撹拌下で70℃まで昇温した。次いでフレーク状水酸化ナトリウム40部を90分かけて分割添加し、その後、70度で1時間攪拌した。反応終了後、水150部を加えて2回水洗を行い生成した塩などを除去した後、加熱減圧下過剰のエピクロルヒドリン等を留去した。得られた残渣にメチルイソブチルケトン300部を加えて溶解させ、系を70℃に保った。ここに30%水酸化ナトリウム水溶液10部を加え、一時間加熱した後、200部の水で水洗を3回行った。得られた有機層を加熱減圧下濃縮することで2−グリシジルオキシアリルベンゼン187部を液状化合物として得た。得れた化合物のエポキシ当量は194g/eq.であった。
さらに撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに得られた前記エポキシ化合物97部、2−アリルフェノール67部とメチルエチルケトン30部、テトラメチルアンモニウムクロライド2部を仕込み、撹拌下で100℃まで昇温し、そのまま、10時間加熱した後、メチルイソブチルケトン300部を追加し、200部の水で水洗を3回行った。得られた有機層を加熱減圧下濃縮することで目的とする本発明のポリアルケニル化合物が液状化合物として161部得られた。得られた化合物の粘度は111mPa・s(E型粘度計)であり、エポキシ基は検出されなかった。またGPCによる目的物の純度は94%であった。
【0044】
実施例2
実施例1で得られた本発明のポリアルケニル化合物65部、4、4−ビス(マレイミドフェニル)メタン(東京化成株式会社製)72部を120℃で加熱溶融し、均一にした後、150℃で5時間、180℃で4時間、200℃で1時間加熱した。得られた硬化物を、TMA(熱機械測定装置)を用いてガラス転移温度を測定したところ、129℃であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)
【化1】

(式中、nは0〜3の整数を示すが2個あるnが同時に0となることはない。P、Q及びRはそれぞれ水素原子、炭素数1〜8のアルキル基またはアリール基のいずれかを表し、個々のP、R、Qはそれぞれ互いに同一であっても異なっていても良い。)で示される不飽和基を有するポリアルケニル化合物。
【請求項2】
請求項1に記載のポリアルケニル化合物及びマレイミド化合物を必須成分とする樹脂組成物。
【請求項3】
請求項2に記載の樹脂組成物を硬化してなる硬化物

【公開番号】特開2007−45973(P2007−45973A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−233486(P2005−233486)
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【Fターム(参考)】