説明

両面プリント配線板の製造方法

【課題】層間導通の信頼性を向上させることと、配線パターンの設計の自由度を向上させることの両方を達成することが可能な両面プリント配線板の製造方法を提供する。
【解決手段】層間導通部5を有する両面プリント配線板1の製造方法は、ベースフィルム2と、導電層3a,4aと、層間導通部5と、を有する両面導電層積層基板1aを準備する準備工程S11と、導電層3a,4aに第1のレジスト層82を形成する第1のレジスト層形成工程S20と、層間導通部5のランド部51,52に第2のレジスト層83を形成する第2のレジスト層形成工程S30と、レジストパターンを、第1のレジスト層82に形成するレジストパターン形成工程S40と、配線パターン3,4を形成する配線パターン形成工程S50と、第1及び第2のレジスト層82,83を除去するレジスト層除去工程S60と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面プリント配線板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボタンめっき工法で層間接続部分を形成し、その後に、エッチングで配線回路を形成したプリント配線板の製造方法が知られている。
このプリント配線板の製造方法では、層間接続部分のランド部も厚くなるため、配線回路を形成する際には、このランド部の厚みに合わせた厚いレジストを用いる必要がある(例えば特許文献1の段落0006〜段落0016及び図5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−88334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の両面プリント配線板の製造方法では、厚いレジストによって、微細な配線回路を形成することができず、配線回路の設計に制限が課されていた。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、層間導通の信頼性を向上させることと、配線パターンの設計の自由度を向上させることの両方を達成することが可能な両面プリント配線板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るプリント配線板の製造方法は、絶縁性基板の両面に形成された配線パターン同士を導通する層間導通部を有する両面プリント配線板の製造方法であって、前記絶縁性基板と、前記絶縁性基板の両面に形成された導電層と、前記導電層同士を導通する前記層間導通部と、を有する両面導電層積層基板を準備する準備工程と、前記導電層に第1のレジスト層を形成する第1のレジスト層形成工程と、前記層間導通部において前記導電層から露出した露出部に第2のレジスト層を形成する第2のレジスト層形成工程と、前記配線パターンに対応するレジストパターンを、前記第1のレジスト層に形成するレジストパターン形成工程と、前記導電層において前記レジストパターンから露出した部分をエッチングして、前記配線パターンを形成する配線パターン形成工程と、前記第1及び第2のレジスト層を除去するレジスト層除去工程と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
上記発明において、前記第1のレジスト層形成工程は、第1のレジスト樹脂を前記導電層に塗布することを含み、前記第2のレジスト層形成工程は、第2のレジスト樹脂を前記露出部に塗布することを含み、前記第2のレジスト樹脂の粘度は、前記第1のレジスト樹脂の粘度と比較して相対的に高くてもよい。
【0008】
上記発明において、前記準備工程は、少なくとも一方の前記導電層と前記絶縁性基板に貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記貫通孔の内壁に、導体被覆層を形成する導体被覆層形成工程と、前記導電層において、前記貫通孔の周囲の領域にめっきレジストを形成するめっきレジスト層形成工程と、前記めっきレジストから露出した前記導電層及び前記導体被覆層をめっきして、前記露出部を有する前記層間導通部を形成する層間導通部形成工程と、前記めっきレジストを除去するめっきレジスト層除去工程と、を含んでいてもよい。
【0009】
上記発明において、前記層間導通部は、スルーホール又はビアホールであり、前記スルーホールは、前記絶縁性基板及び両方の前記導電層において開口し、前記ビアホールは、前記絶縁性基板及び一方の前記導電層において開口していてもよい。
【0010】
上記発明において、前記層間導通部の前記露出部は、エッジ部を有し、前記第2のレジスト層形成工程は、前記第2のレジスト層を、前記露出部の少なくとも前記エッジ部に形成することを含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、導電層に第1のレジスト層を形成する第1のレジスト層形成工程と、層間導通部において導電層から露出した露出部に第2のレジスト層を形成する第2のレジスト層形成工程と、を備えたことで、両面プリント配線板において、層間導通の信頼性を向上させることと、配線パターンの設計の自由度を向上させることの両方を達成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態における両面プリント配線板の断面図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態における両面プリント配線板の変形例を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態における両面プリント配線板の製造方法を示すフローチャートである。
【図4】図4は、図3の準備工程を説明するフローチャートである。
【図5】図5は、本発明の第1実施形態における両面プリント配線板の製造方法を説明する断面図である。
【図6】図6は、本発明の第1実施形態における両面プリント配線板の製造方法の第1及び第2の変形例を説明する断面図である。
【図7】図7は、本発明の第1実施形態における両面プリント配線板の製造方法の第3変形例を説明する断面図である。
【図8】図8は、本発明の第2実施形態における両面プリント配線板の製造方法の第1及び第2のレジスト層形成工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
<<第1実施形態>>
図1は本実施形態における両面プリント配線板の断面図、図2は本実施形態における両面プリント配線板の変形例を示す断面図である。
【0015】
本実施形態における両面プリント配線板1は、例えば、屈曲した状態でスライド式の携帯電話等に組み込まれる配線板である。この両面プリント配線板1は、図1に示すように、両面プリント配線板1において比較的薄く形成された屈曲部11を有しており、この屈曲部11で、両面プリント配線板1を屈曲させることが可能になっている。なお、このような両面プリント配線板1としては、例えば、両面フレキシブルプリント回路(Double Side Flexible Printed Circuit)を挙げることができる。
【0016】
この両面プリント配線板1は、図1に示すように、ベースフィルム2と、第1の配線パターン3と、第2の配線パターン4と、層間導通部5と、第1のカバーレイ6と、第2のカバーレイ7と、を備えている。なお、本実施形態におけるベースフィルム2が、本発明の絶縁性基板の一例に相当する。
【0017】
ベースフィルム2は、例えば、ポイリミド(Polyimide)等の可撓性及び絶縁性を有する材料で構成されている。なお、ベースフィルム2を、ポリエチレンナフタレート(PEN:Polyethylene Naphthalate)やポリエチレンテレフタレート(PET:Polyethylene Terephthalate)等で構成してもよい。ここで、以下において、ベースフィルム2の図中上面を第1の主面21と称し、ベースフィルム2の図中下面を第2の主面22と称する。
【0018】
また、本実施形態におけるベースフィルム2には、層間導通部5を形成するための貫通孔23が形成されている。
【0019】
第1の配線パターン3は、ベースフィルム2の第1の主面21に形成された第1の配線31を有している。本実施形態では、この第1の配線31が、銅(Cu)で構成されている。なお、第1の配線31を構成する材料については特に限定されず、例えば、第1の配線31を、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)等の導電性を有する材料で構成してもよい。また、第1の配線31の形状や数についても特に限定されない。例えば、特に図示しないが、この第1の配線31は、両端で2つの層間導通部5と接続するような形状であってもよい。
【0020】
この第1の配線31は、図1に示すように、貫通孔32と、第1の接点33と、を有している。貫通孔32は、層間導通部5を形成するための孔であり、第1の配線31において、ベースフィルム2の貫通孔23と接続するように形成されている。第1の接点33は、外部の部品との接点となっており、後述する第1のカバーレイ6の第1の露出孔61によって、第1のカバーレイ6から露出している。
【0021】
第2の配線パターン4は、図1に示すように、ベースフィルム2の第2の主面22において、両面プリント配線板1の屈曲部11以外の領域に形成されている。この第2の配線パターン4も、第1の配線パターン3と同様に、例えば、銅で構成された第2の配線41を有している。なお、第2の配線41を構成する材料についても、特に銅に限定されず、第2の配線41を、例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)等の導電性を有する材料で構成してもよい。また、第2の配線41の数や形状についても特に限定されない。
【0022】
第2の配線41は、図1に示すように、貫通孔42と、第2の接点43と、を有している。貫通孔42は、層間導通部5を形成するための孔であり、第2の配線41において、ベースフィルム2の貫通孔23と接続するように形成されている。第2の接点43は、外部の部品との接点となっており、後述する第2のカバーレイ7の第2の露出孔71によって、第2のカバーレイ7から露出している。
【0023】
層間導通部5は、図1に示すように、ベースフィルム2の貫通孔23と、第1及び第2の配線31,41の貫通孔32,42とを介して、第1及び第2の配線31,41(第1及び第2の配線パターン3,4)を導通するスルーホールであり、ベースフィルム2と、第1及び第2の配線31,41とにおいて開口している。この層間導通部5は、例えば、銅等の導電性を有する材料で構成されている。本実施形態における層間導通部5(スルーホール)は、層間導通の信頼性を向上させるために、比較的肉厚となるようにボタンめっきで形成されている。
【0024】
層間導通部5は、図1に示すように、第1のランド部51と、第2のランド部52と、貫通導通部53と、を有している。なお、本実施形態における第1及び第2のランド部51,52が、本発明の露出部の一例に相当する。
【0025】
第1のランド部51は、層間導通部5において第1の配線31と接続する部分であり、第1の配線31から露出(突出)している。本実施形態では、上記のように層間導通部5が肉厚に形成されていることに伴って、この第1のランド部51も比較的厚く(例えば25μm程度)形成されている。
【0026】
第2のランド部52は、層間導通部5において第2の配線41と接続する部分であり、第2の配線41から露出(突出)している。本実施形態では、上記のように層間導通部5が肉厚に形成されていることに伴って、第1のランド部51と同様に、この第2のランド部52も比較的厚く形成されている。
【0027】
貫通導通部53は、図1に示すように、第1の配線31の貫通孔32から、ベースフィルム2の貫通孔23を介して、第2の配線41の貫通孔42に至るように、ベースフィルム2と、第1及び第2の配線31,41とを貫通している。さらに、貫通導通部53は、両端で第1及び第2のランド部51,52と接続して、第1及び第2の配線31,41を導通させている。
【0028】
なお、本実施形態では、層間導通部5がスルーホールである場合を説明したが、第1及び第2の配線31,41を電気的に接続することができれば、特に限定されない。例えば、図2に示すように、層間導通部5は、第1の配線31及びベースフィルム2において開口する一方で、第2の配線41では開口しない非貫通のビアホールであってもよい。
【0029】
第1のカバーレイ6は、図1に示すように、第1の配線パターン3に積層され、第1の配線パターン3を保護している。本実施形態における第1のカバーレイ6には、第1のパターン配線3の第1の接点33の部分で開口する第1の露出孔61が形成されており、この第1の露出孔61によって、第1の配線31の第1の接点33を外部に露出させている。
【0030】
この第1のカバーレイ6は、同図に示すように、第1の接着層62と、第1の絶縁性フィルム63と、を有している。
【0031】
第1の接着層62は、同図に示すように、第1の配線パターン3に積層され、第1の配線パターン3と第1の絶縁性フィルム63とを接着している。この第1の接着層62は、例えばエポキシ系樹脂からなる接着剤で構成されている。
【0032】
第1の絶縁性フィルム63は、同図に示すように、第1の接着層62に積層され、第1の配線パターン3を保護している。この第1の絶縁性フィルム63は、例えばポリイミド等の可撓性及び絶縁性を有する材料で構成されている。
【0033】
第2のカバーレイ7は、第2の配線パターン4に積層され、第2の配線パターン4を保護している。本実施形態における第2のカバーレイ7には、第2の配線パターン4の第2の接点43の部分で開口する第2の露出孔71が形成されており、この第2の露出孔71によって、第2の接点43を外部に露出させている。
【0034】
このような第2のカバーレイ7は、図1に示すように、第2の接着層72と、第2の絶縁性フィルム73と、を有している。
【0035】
第2の接着層72は、同図に示すように、第2の配線パターン4に積層され、第2の配線パターン4と第2の絶縁性フィルム73とを接着している。この第2の接着層72も、第1の接着層62と同様に、例えばエポキシ系樹脂からなる接着剤で構成されている。
【0036】
第2の絶縁性フィルム73は、同図に示すように、第2の接着層72に積層され、第2の配線パターン4を保護している。この第2の絶縁性フィルム73も、第1の絶縁性フィルム63と同様に、例えばポリイミド等の可撓性及び絶縁性を有する材料で構成されている。
【0037】
次に、本実施形態における両面プリント配線板の製造方法について説明する。
【0038】
図3は本実施形態における両面プリント配線板の製造方法を示すフローチャート、図4は図3の準備工程を説明するフローチャート、図5は本実施形態における両面プリント配線板の製造方法を説明する断面図、図6及び図7は本実施形態における両面プリント配線板の製造方法の変形例を説明する断面図である。
【0039】
本実施形態における両面プリント配線板1の製造方法は、図3に示すように、準備工程S10と、第1のレジスト層形成工程S20と、第2のレジスト層形成工程S30と、レジストパターン形成工程S40と、配線パターン形成工程S50と、レジスト層除去工程S60と、カバーレイ積層工程S70と、を備えている。
【0040】
準備工程S10では、図5(a)に示すように、ベースフィルム2の両面に導電層3a,4aが形成された両面導電層積層基板1aを準備する。なお、この両面導電層積層基板1aとしては、例えば、両面銅張積層板を挙げることができる。
【0041】
さらに、この準備工程S10では、この両面導電層積層基板1aに、第1及び第2の導電層3a,4aを導通させる層間導通部5を形成する。この層間導通部5を形成する工程について、以下に詳細に説明する。
【0042】
準備工程S10は、層間導通部5を形成する工程として、図4に示すように、貫通孔形成工程S11と、導体被覆層形成工程S12と、めっきレジスト層形成工程S13と、層間導通部形成工程S14と、めっきレジスト層除去工程S15と、を含んでいる。なお、これらの工程S11〜S15が上述したボタンめっきの工程である。
【0043】
まず、貫通孔形成工程S11おいて、図5(a)に示すように、例えば、ドリル加工やレーザ加工によって、両面導電層積層基板1aに貫通孔1b(完成後の両面プリント配線板1における貫通孔23,32,42に相当する。)を形成する。
【0044】
次いで、導体被覆層形成工程S12において、例えば、DPP(Direct Plating Process)処理によって、貫通孔1bの内壁に、導体を付着させて導体被覆層を形成する。導体被覆層は、後述する層間導通部形成工程S14において、貫通孔1bの内部にめっきを施すための下地となる層である。なお、この導体被覆層ついては、例えばパラジウムやカーボンで構成することができる。また、導体被覆層形成工程S12では、導体被覆層を形成することができればよく、特にDPP処理に限定されない。
【0045】
次いで、めっきレジスト層形成工程S13において、図5(b)に示すように、ドライフィルムを第1及び第2の導電層3a,4aに積層して、露光及び現像し、めっきレジスト層81を形成する。本実施形態では、第1及び第2の導電層3a,4aにおいて層間導通部5の第1及び第2のランド部51,52に対応する部分を露出させるように、上記の露光及び現像を行う。
【0046】
次いで、層間導通部形成工程S14において、同図に示すように、両面導電層積層基板1aに対してめっきを施して、第1及び第2の導電層3a,4aにおいて、上記のドライフィルムから露出した部分、及び、両面導電層積層基板1aの貫通孔1bの内壁(導体被覆層)にめっき層5aを形成する。本実施形態では、このようなめっき層5aによって、第1及び第2のランド部51,52を有する層間導通部5が形成される。
【0047】
本実施形態では、第1及び第2の導電層3a,4a間の導通の信頼性を向上させるために、この層間導通部5(めっき層5a)を比較的厚く形成している。なお、本実施形態におけるめっきの材料としては、例えば、銅を挙げることができる。
【0048】
次いで、めっきレジスト層除去工程S15において、図5(c)に示すように、上記のめっきレジスト層81を剥離することで、層間導通部5を有する両面導電層積層基板1aの準備(準備工程S10)が完了する。
【0049】
次いで、図3に戻って、第1のレジスト層形成工程S20、第2のレジスト層形成工程S30、レジストパターン形成工程S40、配線パターン形成工程S50、レジスト層除去工程S60及びカバーレイ積層工程S70によって、第1の配線パターン3を形成する。
【0050】
第1のレジスト層形成工程S20では、図5(d)に示すように、比較的薄いドライフィルムを、第1の導電層3aの一面に積層して、第1のレジスト層82を形成する。なお、本実施形態では、層間導通部5の第1のランド部51にも、第1のレジスト層82を形成する。
【0051】
また、上記のドライフィルムに替えて、例えば粘度μ1が10〜50[dPa・s]程度の液状の第1のレジスト樹脂を、第1の導電層3aに塗布して乾燥させることで、さらに薄い第1のレジスト層82を形成することができる。これにより、後述する配線パターン形成工程S50にて、より微細な配線パターンを形成することが可能となる。なお、このように液状の第1のレジスト樹脂を第1の導電層3aに対して塗布する際には、例えば、カーテンコータやスプレーコーティング装置を用いることができる。
【0052】
次いで、第2のレジスト層形成工程S30において、図5(d)に示すように、液状の第2のレジスト樹脂を、第1のレジスト層82を介して、層間導通部5の第1のランド部51に塗布する。次いで、この第1のランド部51に塗布された第2のレジスト樹脂を乾燥させることで、第2のレジスト層83を形成する。なお、第2のレジスト樹脂を第1のランド部51に塗布する際には、例えば、ジェットディスペンサを用いたり、スクリーン印刷によって第2のレジスト樹脂を塗布する。
【0053】
この第2のレジスト樹脂は、例えば、粘度μ2が150〜300[dPa・s]程度となっており、第1のレジスト層82の粘度μ1と比較して相対的に高くなっている(μ2>μ1)。これにより、第2のレジスト層83が破れ難くなるので、第1のランド部51が外部に露出し難くなる。
【0054】
ここで、この第2のレジスト樹脂は、上記の第1のレジスト樹脂と同一の樹脂で構成することができる。この場合には、溶剤によって、第1のレジスト樹脂を希釈させることで、第1のレジスト樹脂の粘度μ1を、第2のレジスト樹脂の粘度μ2よりも低下させる。なお、第1及び第2のレジスト樹脂を相互に異なる樹脂で構成してもよく、第1及び第2のレジスト樹脂を構成する材料については特に限定されない。
【0055】
また、この第2のレジスト層形成工程S30では、図6(a)に示すように、第1のランド部51のエッジ部51aのみに第2のレジスト樹脂を塗布してもよい。これにより、仮に、第1のレジスト層82が第1のランド部51のエッジ部51aによって破れてしまったとしても、このエッジ部51a上に第2のレジスト層83を形成することで、第1のランド部51が第2のレジスト層83によって確実に覆われるようになることを確保しつつ、第2のレジスト樹脂の使用量を削減することができる。
【0056】
次いで、レジストパターン形成工程S40において、図5(e)に示すように、第1のレジスト層82に対して露光及び現像することで、第1の配線パターン3に対応するレジストパターン82aを、第1のレジスト層82に形成する。
【0057】
次いで、配線パターン形成工程S50において、図5(f)に示すように、塩化鉄エッチング液、塩化銅エッチング液又はアルカリエッチャント等を用いて、上記のレジストパターン82aから露出した第1の導電層3aをエッチングすることで、第1の配線パターン3(第1の配線31)を形成する。
【0058】
次いで、レジスト層除去工程S60において、第1及び第2のレジスト層82,83を一括して除去して、カバーレイ積層工程S70において、第1のカバーレイ6を第1の配線パターン3に積層する。
【0059】
第2の配線パターン4についても、上記の同様の工程S20〜S60によって形成する。すなわち、第1のレジスト層形成工程S20において、第2の導電層4aの一面に第1のレジスト層82を形成し、第2のレジスト層形成工程S30において、第1のレジスト層82を介して第2のランド部52に第2のレジスト層83を形成する。次いで、レジストパターン形成工程S40において、第1のレジスト層82に対して第2の配線パターン4に対応するレジストパターンを形成し、配線パターン形成工程S50において、レジストパターンから露出した第2の導電層4aをエッチングすることで、第2の配線パターン4を形成する。この際に、第2の導電層4aにおいて、両面プリント配線板1の屈曲部11に対応する部分もエッチングする。
【0060】
次いで、レジスト層除去工程S60において、第1及び第2のレジスト層82,83を除去して、カバーレイ積層工程S70において、第2のカバーレイ7を第2の配線パターン4に積層する。これにより、両面プリント配線板1が完成する。
【0061】
本実施形態では、液状の第1のレジスト樹脂を用いた場合の第1のレジスト層形成工程S20において、当該第1のレジスト樹脂を乾燥させた後に、第2のレジスト層形成工程S30を実行しているが、これらの順番は特に限定されない。例えば、第1のレジスト樹脂を乾燥させる前に、第2のレジスト層形成工程S30を実行して、第1及び第2のレジスト樹脂を同時に乾燥させてもよい。
【0062】
また、本実施形態では、第1のレジスト層形成工程S20を先に実施して、その後に、第2のレジスト層形成工程S30を実施しているが、この順番を反対にしてもよい。
【0063】
すなわち、図6(b)に示すように、先に、層間導通部5の第1及び第2のランド部51,52に第2のレジスト層83を形成し、次いで、この第2のレジスト層83と、第1及び第2の導電等3a,4aに対して、第1のレジスト層82を形成してもよい。
【0064】
また、上述した準備工程S10では、層間導通部5としてスルーホールを形成した場合について説明したが、このスルーホールに代えて或いは加えて、両面導電層積層基板1aに、非貫通のビアホールの層間導通部5を設けてもよい(図2参照)。
【0065】
この非貫通のビアホールとは、ベースフィルム2及び第1の導電層3aにおいて開口する一方で、第2の導電層4aでは開口せずに、第1及び第2の導電層3a,4aを電気的に接続するような層間接続の構造である。以下に、このような非貫通のビアホールの形成方法について、図7(a)及び図7(b)を参照して説明する。
【0066】
貫通孔形成工程S11では、図7(a)に示すように、ベースフィルム2及び第1の導電層3aの孔あけ加工が終了した時点で、当該加工を終了し、貫通孔1bを形成する。これにより、貫通孔1b内から第2の導電層を露出させる。この状態で、上記と同様の導体被覆層形成工程S12、めっきレジスト層形成工程S13、層間導通部形成工程S14、めっきレジスト層除去工程S15を実行することで、図7(b)に示すように、第1のランド部51を有する非貫通のビアホール(層間導通部5)を形成することができる。
【0067】
次に、本実施形態における両面プリント配線基板1の製造方法の作用について説明する。
【0068】
両面プリント配線板の配線パターン同士の接続の信頼性を向上させるために、ボタンめっきで層間導通部を厚く形成すると、層間導通部のランド部の厚さも厚くなる。このため、配線パターンを形成する際には、ランド部を確実に覆うように、厚いレジスト層を形成する必要がある。しかしながら、厚いレジスト層では、微細な配線パターンを形成することができなくなるため、配線パターンの設計が制限されてしまう。
【0069】
一方、微細な配線パターンを形成するために、薄いレジスト層を形成すると、厚いランド部と、導電層との段差によって、レジスト層が破れやすくなってしまう。このようにランド部のレジスト層が破れてしまうと、ランド部がレジストから露出してエッチングされてしまい、結果として層間導通部が断線してしまう恐れがある。
【0070】
これに対し、本実施形態では、第1のレジスト層82を、第1及び第2の導電層3a,4aに形成し、第2のレジスト層83を、第1及び第2のランド部51,52に形成している。すなわち、本実施形態では、第1及び第2の導電層3a,4aに形成するレジスト層と、第1及び第2のランド部51,52に形成するレジスト層と、を使い分けている。
【0071】
これにより、第2のレジスト層83によって、第1及び第2のランド部51,52の露出を抑制しつつ、第1のレジスト層82によって、微細な配線パターンを形成することを可能としている。このように、微細な配線パターンを形成することが可能となることに伴って、配線パターンの設計の自由度も向上する。つまり、本実施形態では、層間導通部5の層間接続の信頼性の向上を図ることと、配線パターンの設計の自由度を向上させることの両方を達成することが可能となっている。
【0072】
特に、本実施形態では、図5(d)に示すように、第1及び第2の導電層3a,4aにおいて、第1及び第2のランド部51,52を除いた領域に対しては、第1のレジスト層82のみを形成し、第1及び第2のランド部51,52に対しては、第1及び第2のレジスト層82,83の両方を形成することで、第1及び第2の導電層3a,4aに形成するレジストの厚さ(第1のレジスト層82の厚さ)H1と比較して相対的に、第1及び第2のランド部51,52に形成するレジストの厚さ(第1及び第2のレジスト層82,83の総厚)H2を厚くしている。
【0073】
これにより、仮に、第1及び第2のランド部51,52に形成した第1のレジスト層82が破れてしまったとしても、第2のレジスト層83によって、第1及び第2のランド部51,52を覆うことができるため、第1及び第2のランド部51,52がエッチングされてしまうことを抑制することができる。
【0074】
このように、本実施形態では、第2のレジスト層83によって、確実にランド部51を被覆できることから、第1のレジスト層82を、より薄く形成できるようになっている。これにより、より微細な配線パターンを形成することが可能となる。
【0075】
また、本実施形態では、第2のレジスト層83を構成する第2のレジスト樹脂の粘度が、第1のレジスト層82を構成する第1のレジスト樹脂の粘度と比較して相対的に高くなっており、第2のレジスト層83のテンティング(tenting)性の向上が図られている。これにより、第2のレジスト層83が、破れ難くなるので、第2のレジスト層83によって第1及び第2のランド部51,52を確実に覆うことができる。これに伴って、第1のレジスト層82を、さらに薄く形成することができ、さらに微細な配線パターンを形成することが可能となる。
【0076】
次に、第2実施形態について説明する。
【0077】
<<第2実施形態>>
図8は本実施形態における両面プリント配線板の製造方法の第1及び第2のレジスト層形成工程を示す断面図である。
【0078】
本実施形態では、両面プリント配線板1の製造方法の第1及び第2のレジスト層形成工程S21,S31において第1実施形態と相違するが、それ以外については、第1実施形態と同様である。以下に、主に第1実施形態と相違する部分を説明し、第1実施形態と同一の部分については、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0079】
本実施形態における両面プリント配線板1の製造方法は、第1実施形態の第1及び第2のレジスト層形成工程S20,S30に替えて、第1のレジスト層形成S21と、第2のレジスト層形成工程S31と、を備えている。
【0080】
本実施形態における第1のレジスト層形成工程S21では、図8(a)に示すように、第1のレジスト層82を層間導通部5の第1及び第2のランド部51,52に対して形成しない点が第1実施形態と相違する。すなわち、本実施形態では、第1及び第2のランド部51,52を除いた第1及び第2の導電層3a,4aの領域に、第1のレジスト層82を形成する。ここで、本実施形態における第1のレジスト層82の厚さH1は、第1実施形態と同様に比較的薄く形成されている。
【0081】
第2のレジスト層形成工程S31では、第2のレジスト層83を、層間導通部5の第1及び第2のランド部51,52に形成する。本実施形態における第2のレジスト層83の厚さH3は、第1のレジスト層82の厚さH1と比較して相対的に厚くなっており、確実に第1及び第2のランド部51,52を覆うことができるようになっている。
【0082】
以上のように、本実施形態においても、第1のレジスト層82を、第1及び第2の導電層3a,4aに形成し、第2のレジスト層83を、第1及び第2のランド部51,52に形成している。すなわち、本実施形態においても、微細な配線パターンを形成したい領域と、確実にレジストで覆うことが必要なランド部と、に対してレジストを使い分けている。
【0083】
これにより、層間接続部5を厚く形成した場合においても、微細な配線パターンを形成することが可能となるので、層間導通部5の層間接続の信頼性の向上を図ることと、配線パターンの設計の自由度を向上させることの両方を達成することが可能となる。
【0084】
また、本実施形態では、薄い第1のレジスト層82(厚さH1)を、第1及び第2の導電層3a,4aにおいて第1及び第2の配線パターン3,4に対応する領域に形成し、第1のレジスト層82と比較して相対的に厚い第2のレジスト層83(厚さH2(H2>H1))を、第1及び第2のランド部51,52に形成している。これにより、第1及び第2のランド部51,52を確実に覆って第1及び第2のランド部51,52の断線を抑制しつつ、より微細な配線パターンを形成することが可能となっている。
【0085】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0086】
1…両面プリント配線板
1a…両面導電層積層基板
2…ベースフィルム
3…第1の配線パターン
3a…第1の導電層
31…第1の配線
4…第2の配線パターン
4a…第2の導電層
41…第2の配線
5…層間導通部
51…第1のランド部
52…第2のランド部
6…第1のカバーレイ
7…第2のカバーレイ
81…めっきレジスト層
82…第1のレジスト層
83…第2のレジスト層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性基板の両面に形成された配線パターン同士を導通する層間導通部を有する両面プリント配線板の製造方法であって、
前記絶縁性基板と、前記絶縁性基板の両面に形成された導電層と、前記導電層同士を導通する前記層間導通部と、を有する両面導電層積層基板を準備する準備工程と、
前記導電層に第1のレジスト層を形成する第1のレジスト層形成工程と、
前記層間導通部において前記導電層から露出した露出部に第2のレジスト層を形成する第2のレジスト層形成工程と、
前記配線パターンに対応するレジストパターンを、前記第1のレジスト層に形成するレジストパターン形成工程と、
前記導電層において前記レジストパターンから露出した部分をエッチングして、前記配線パターンを形成する配線パターン形成工程と、
前記第1及び第2のレジスト層を除去するレジスト層除去工程と、を備えたことを特徴とする両面プリント配線板の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の両面プリント配線板の製造方法であって、
前記第1のレジスト層形成工程は、第1のレジスト樹脂を前記導電層に塗布することを含み、
前記第2のレジスト層形成工程は、第2のレジスト樹脂を前記露出部に塗布することを含み、
前記第2のレジスト樹脂の粘度は、前記第1のレジスト樹脂の粘度と比較して相対的に高いことを特徴とする両面プリント配線板の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の両面プリント配線板の製造方法であって、
前記準備工程は、
少なくとも一方の前記導電層と前記絶縁性基板に貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記貫通孔の内壁に、導体被覆層を形成する導体被覆層形成工程と、
前記導電層において、前記貫通孔の周囲の領域にめっきレジストを形成するめっきレジスト層形成工程と、
前記めっきレジストから露出した前記導電層及び前記導体被覆層をめっきして、前記露出部を有する前記層間導通部を形成する層間導通部形成工程と、
前記めっきレジストを除去するめっきレジスト層除去工程と、を含むことを特徴とする両面プリント配線板の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の両面プリント配線板の製造方法であって、
前記層間導通部は、スルーホール又はビアホールであり、
前記スルーホールは、前記絶縁性基板及び両方の前記導電層において開口し、
前記ビアホールは、前記絶縁性基板及び一方の前記導電層において開口していることを特徴とする両面プリント配線板の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の両面プリント配線板の製造方法であって、
前記層間導通部の前記露出部は、エッジ部を有し、
前記第2のレジスト層形成工程は、前記第2のレジスト層を、前記露出部の少なくとも前記エッジ部に形成することを含むことを特徴とする両面プリント配線板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−69754(P2013−69754A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205779(P2011−205779)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】