説明

両面印刷装置

【課題】高精度な印刷が可能な両面印刷装置を提供する。
【解決手段】
両面印刷装置は、用紙1を圧接して順方向または逆方向に搬送する正逆転可能な圧接搬送ローラ5を備えている。この圧接搬送ローラ5の下流側には印刷部6が設けられ、上流側には略雨滴形状の用紙反転ガイド41を備える用紙反転部4が設けられている。用紙反転部4は、用紙トレイ2と圧接搬送ローラ5間の第1の経路Aと、圧接搬送ローラ5と用紙反転ガイド41間の第2の経路Bのいずれかを有効にする用紙経路切替アーム43を備えている。用紙1は、その表面が印刷された後、用紙反転部4において反転され、圧接搬送ローラ5により圧接された状態で印刷部6と用紙反転部4間を往復動して印刷部6により複数回印刷される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、用紙に両面印刷可能な両面印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
年賀状等の葉書に対してパーソナルで印刷する公知の装置では、裏面の印刷に熱昇華リボンを使用して印刷している。
【0003】
熱昇華リボンを使用した印刷装置では、イエロー(Y)のインクを転写するインクリボン、マゼンタ(M)のインクを転写するインクリボン、シアン色(C)のインクを転写するインクリボンを使用して葉書の裏面にカラー画像を印刷する。
【0004】
しかし、葉書の裏面のみの印刷装置では、その表面には別途宛て名印刷を施すことが必要になる。
【0005】
そこで、用紙反転部を内蔵することにより両面を印刷可能にした両面印刷装置が提案されている(例えば特許文献1,2参照。)。
【0006】
図1は、特許文献1の構成に係る両面印刷装置である。用紙検出センサ103によって、用紙があることが確認されれば、用紙吸入口105から、用紙を1枚取り出して、印字ヘッド101とプラテン102とで用紙を圧接して、この表面に印字(印刷)する(印字部Aによる印字動作)。表面が印字された用紙は、図1左側に位置する下流の搬送ローラ104、用紙ガイド106とドラムガイド107との間を通る。ドラムガイド107の回転により用紙は反転して(反転部Bによる反転動作)、図1の印字部Aに送られ、その裏面に印字(印刷)される(印字部Aによる印字動作)。両面の印字(印刷)が終了すると、用紙は、図1の左側に位置する下流の搬送ローラ104、ドラムガイド107と用紙ガイド106との間を通り、用紙搬出ローラ110の回転により、用紙搬出口111から出力される。片面印字(印刷)と、両面印字(印刷)の各々の場合の用紙の搬送の切替えは、用紙切替えガイド112で行われる。
【0007】
また、特許文献2に示される両面印刷装置では、搬入された用紙を印刷部に搬送してその表面を印刷した後、その用紙を略直線状のスイッチバック部に搬送して表裏を反転させ、再び印刷部に搬送してその裏面を印刷するようにして、葉書等の両面印刷を可能にしている。
【0008】
上記特許文献1、2とも、裏面にカラー印刷を行うときには、転写リボンを切り替えながら、且つその切り替えに応じて用紙を往復搬送させて所望のカラー画像を得る。
【特許文献1】特公平7−39197号公報
【特許文献2】特開平11−151840号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1、特許文献2とも、用紙の搬送を一般の搬送ローラだけで行っているために、裏面にカラー印刷を行うときには、用紙の往復搬送時に用紙の搬送ピッチがずれてしまうことがあり、このため高精度なカラー印刷が困難である欠点があった。
【0010】
本発明の目的は、高精度な印刷が可能な両面印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明の両面印刷装置は、用紙収納部から搬入されてくる用紙を圧接して順方向または逆方向に搬送する正逆転可能な圧接搬送ローラと、前記圧接搬送ローラの上流側に設けられ、前記圧接搬送ローラにより、前記用紙が逆方向に搬送されるときに、この用紙を引き入れ、又はこの用紙を引き入れて該用紙の表裏を反転させる用紙反転部と、を備えている。
【0012】
前記圧接搬送ローラは、前記用紙の第1の面が印刷された後に、第2の面が複数回に亙って印刷されるときに、その印刷されている期間の全部において該用紙を圧接して搬送している。また、別の実施態様においては、前記用紙の第1の面が複数回に亙って印刷されるときに、その印刷されている期間の全部において該用紙を圧接して搬送し、その後に、第2の面が印刷される。
【0013】
これにより、前記用紙の第2の面又は第1の面を複数回に亙って印刷するときには、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色によって順次印刷するときには、該用紙が往復動してもその搬送ピッチがずれることはなく、それにより、印刷が高精度なものとなる。カラー印刷を行うときには、色ズレが生じなくなり、美しい印刷画像を得られる。また、スイッチバック装置のような複雑な構造を採用せず、全体として略雨滴形状となる用紙反転ガイドを用いているため、印刷装置全体は、簡易で且つ小型な構造になる 前記印刷部に、黒(B)の熱溶融リボンと、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色の熱昇華リボンとをこの順に配置しているインク転写リボンを使用することにより、表面には黒色の宛て名をスッキリと印刷し、裏面には高細精度なカラー画像を印刷することができる。
【0014】
例えば、用紙の表面が上向きに配置されている状態で給紙する装置においては、本発明では、表面を第1の面として黒(B)の印刷を行ってから、表裏の反転,を行って裏面(第2の面)の印刷に移行する。裏面の印刷では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色によって順次印刷する。
【0015】
また、別の実施態様の装置、すなわち、用紙の裏面が上向きに配置されている状態で給紙する装置においては、本発明では、裏面を第1の面としてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色によって順次印刷する。この印刷を終えると、表裏の反転を行って表面(第1の面)の印刷に移行する。表面(第1の面)の印刷では、黒(B)の印刷を行う。
【発明の効果】
【0016】
カラー印刷等、一つの面に複数回の印刷を行う場合に、印刷中は用紙が往復動している間のすべての期間において、用紙を圧接搬送ローラにより圧接しているため、搬送ピッチがずれることがない。このため印刷精度が高くなり、カラー画像印刷時には美しいカラー画像を印刷することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図2は本発明の実施形態である両面印刷装置の概略構成図、図3は同印刷装置の平面図を示している。
用紙1は、用紙収納部である用紙トレイ2に積載されている。
【0018】
用紙トレイ2の用紙出口には、用紙1の幅方向の中央位置に用紙搬入ローラ3が配置され、このローラ3により用紙トレイ2から1枚の用紙が装置内部に搬入される。
【0019】
用紙搬入ローラ3の下流側には、用紙反転部4が設けられている。この用紙反転部4の下流側には、圧接搬送ローラ5が設けられ、さらに、このローラ5の下流側には、印刷部6が設けられている。
【0020】
前記圧接搬送ローラ5は、用紙トレイ2から搬入されてくる用紙1を圧接して順方向(下流方向)または逆方向(上流方向)に搬送する正逆転可能なローラで構成され、モータ11(図3参照)に連結されている。
【0021】
前記用紙反転部4は、前記圧接搬送ローラ5の上流側に位置し、前記圧接搬送ローラ5により、用紙1が逆方向に搬送されるときに、この用紙1を引き入れ、又はこの用紙1を引き入れて該用紙1の表裏を反転させる。
【0022】
前記印刷部6は、用紙1に対する印刷用の印刷ヘッド60、およびこの印刷ヘッド60に対向して配設されるプラテンローラ61を備え、圧接搬送ローラ5により用紙1が逆方向に搬送されるときに該用紙1に対して印刷を行う。印刷ヘッド60は、モータ12(図3参照)によって駆動されるリフター62の一端に連結され、このリフター62の昇降動作によりプラテン61に接したり、プラテン61から離れたりする。
【0023】
前記印刷部6は、さらに、インク転写リボン(以下、インクリボン)7を備えている。このインクリボン7は、印刷ヘッド60とプラテン61との間を介して2つのボビン70、71に巻回され、第1のボビン70から第2のボビン71に印刷が進むに応じて巻き取られていく。したがって、第2のボビン71が図示しない連結機構を介してモータ11に連結されている。
【0024】
図4(B)に示すように、このインクリボン3は、オーバーコート(OC)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(B)の層をインクリボンの進行方向(上流方向)に向かってこの順に設けている。黒(B)については相対的に安価な熱溶融リボン、その他の色については画像品質がより高精度なものとなる熱昇華リボンが使用される。なお、対比のため図4(A)に従来のインクリボンの構成を示している。従来のインクリボンでは、黒(B)の熱溶融リボンがなく、そのため、黒(B)はイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)を混色することで形成する。したがって、このようなインクリボンを使用すると、表面と裏面各々で、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のセットを2セット分使用することになり、非常に不経済である。本実施形態では、表面と裏面で、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(B)の1セット分(合計4層)を使用すれば良く、経済的となる。
【0025】
前記印刷部6の下流側には、排出ローラ8が設けられ、印刷の終了した用紙1がこのローラ8により装置外に排出される。
【0026】
前記用紙反転部4は、外周に略雨滴形状の溝40を有し、用紙1がこの溝40に沿って通ることができるよう形成された用紙反転ガイド41を備えている。したがって、この用紙反転ガイド41も溝40と同様に略雨滴形状を有している。用紙1は、この溝40に沿って屈曲して搬送されることから、反転構造が小型化する。前記用紙反転部4は、さらに、溝40に沿って前記用紙を搬送するためのガイド内搬送ローラ42を備えている。このローラ42は、この用紙反転部4に引き入れられた用紙1を掴んで前記溝40に沿って搬送するためのものであり、図示しない連結機構を介してモータ10に連結されている。前記用紙反転部4は、さらに、用紙トレイ2と圧接搬送ローラ5間の第1の経路Aと、圧接搬送ローラ5と用紙反転ガイド4間の第2の経路Bのいずれかを有効にする用紙経路切替アーム43を備えている(図5参照)。図5(A)は、第1の経路Aが有効にされている状態を示し、用紙経路切替アーム43は、その先端部(自由端部)がソレノイド44がオンすることにより下方に引かれている。図5(B)は、第2の経路Bが有効にされている状態を示し、ソレノイド44がオフすることにより、該アーム43の先端部がスプリング45により上方に引かれている。第1の経路が有効にされている状態では、用紙トレイ2から用紙1が装置内部に搬入され、その用紙1は圧接搬送ローラ5の正転により印刷部6へと送られていく。第2の経路Bが有効にされている状態では、印刷部6において印刷された用紙1が圧接搬送ローラ5の逆転により用紙反転部4に引き入れられ、さらに、ガイド内搬送ローラ42によって、略雨滴形状の溝40に沿って、用紙反転部4内に送られていく。
【0027】
用紙反転部4内に引き入れられた用紙1は、その表面に印刷するときには、さらに、用紙反転ガイド41の外周に巻き付けられるように、ガイド内搬送ローラ42により略雨滴形状の溝40に沿って送られる。この搬送中に、用紙1の表面に印刷部6により所定の文字や画像が印刷される。印刷の終えた用紙1は、裏面印刷の準備のために、さらに、第2の経路Bを通過させて圧接搬送ローラ5に送る。このとき、圧接搬送ローラ5は逆転から正転に制御され、用紙1の順方向への搬送を開始する。このような搬送により、用紙1はその表裏が反転された状態となり、圧接搬送ローラ5により印刷部6へと送られるようになる。
【0028】
なお、用紙反転部4内に引き入れられた用紙1について、表面の印刷だけを行うときには、用紙反転部4において表裏の反転を行うことなく、用紙反転部4に引き入れた後、逆方向への搬送から順方向への搬送に切り替える。すると、用紙1は、順方向に搬送されて装置外にそのまま排出される。
【0029】
用紙反転部4には、用紙1の表裏を反転させて適切なタイミングで圧接搬送ローラ5に送るための反転検出センサ46を設けている。このセンサ46で用紙1の先端を検出すると用紙反転モードに入り、圧接搬送ローラ5の回転を逆転から正転に切り替えるなどの必要な制御を行う。
【0030】
前記圧接搬送ローラ5の上流側近傍には用紙検出センサ10が設けられている。この用紙検出センサ10は、用紙1の後端部を検出する。圧接搬送ローラ5の正転と逆転の制御は、このセンサ10により用紙1の後端部を検出するタイミングに基づいて行われる。
【0031】
次に、用紙1の表裏に印刷するときの装置の動作について説明する。
【0032】
図6、図7は、その動作を示すフローチャートであり、図示しない制御部により制御される。図8〜図15は、動作中の装置内の状態を示す図である。
【0033】
図示しないプリントスイッチがオンされると、給紙モードが設定される(ST1)。この給紙モードでは、ソレノイド44がオンされ、圧接搬送ローラ5が正転し、リフタ62が上昇し、プラテン61が正転する。これにより、図8に示すように、用紙トレイ2から1枚の用紙1が装置内に搬入されていく。
【0034】
用紙検出センサ10により用紙の後端が検出されると(図9参照)、ボビン71を駆動してインクリボン7を黒(B)に設定する(ST3)。
【0035】
次に、表面印刷モードに設定する(ST4)。この表面印刷モードでは、ソレノイド44がオフされ、圧接搬送ローラ5が逆転し、リフタ62が下降し、プラテン61が逆転する。ボビン71は駆動を維持する。これにより、図10、図11に示すように、用紙1は逆方向に搬送されていき、そのとき、印刷部6により黒色のインクリボンによる印刷が行われる。用紙1は、そのまま逆方向に搬送され、用紙反転ガイド41の外周に巻き付けられるように、ガイド内搬送ローラ42により略雨滴形状の溝40に沿って送られていき、用紙1の先端が反転検出センサ46により検出されると、各ローラの動作が停止し、用紙1の搬送がストップする(ST5)。図12はこのときの状態を示す。
【0036】
続いて、反転モードが設定される(ST10)。この反転モードでは、ソレノイド44がオフされ、圧接搬送ローラ5が正転し、リフタ62が上昇し、プラテン61が正転する。ボビン71は駆動を維持する。これにより、用紙1は、第2の経路Bを通過し、圧接搬送ローラ5により印刷部6へと搬送される。図13はこのときの状態を示す。
【0037】
用紙検出センサ10により用紙後端が検出されると(ST11)、インクリボンを次の色(最初はイエロー(Y)色)に設定し(ST12)、裏面印刷モードを設定する(ST13)。この裏面印刷モードでは、ソレノイド44がオフされ、圧接搬送ローラ5が逆転し、リフタ62が下降し、プラテン61が逆転する。ボビン71は駆動を維持する。これにより、用紙1は逆方向に搬送されながら、その裏面は印刷部6によりインクリボンの色に印刷される。また、印刷後は第2の経路Bを通過し、圧接搬送ローラ5により用紙反転部4へと搬送される。図14は、そのときの状態を示している。
【0038】
上記裏面印刷モードで印刷を行って用紙先端が印刷部6を通過すると(ST14)、用紙1の逆方向への搬送は一端停止する(ST15)。このとき、用紙1の先端は圧接搬送ローラ5で圧接されたままである。そして、ST16に進み、順方向搬送の制御が行われる。この順方向搬送の制御では、図6の給紙モードのときの制御と同じ制御が行われる。したがって、用紙1は下流方向に搬送されていく。ST17で印刷終了でなければ(全ての色についての印刷が終了していなければ)、用紙1の後端が用紙検出センサ10により検出されるまで順方向搬送を行い(ST18)、用紙1の後端が検出されると、ST12に戻り、次の色の印刷が上記と同じ制御により行われる。
【0039】
なお、ステップST14において、用紙1の逆方向への送り量を計数することにより、用紙1の先端が印刷部6を通過するタイミングを容易に検出することができる。その場合、モータ11(図3参照)の回転軸に回転検出センサを設け、このセンサにより検出するパルス数により上記送り量を計数することが可能である。その他、用紙1の先端を検出するセンサを圧接搬送ローラ5の上流側近傍に設け、このセンサにより用紙1の先端が印刷部6を通過するタイミングを検出することもできる。
【0040】
上記ST10からST18までの制御中は、用紙1は常に圧接搬送ローラ5で圧接されている。したがって、用紙1の往復動作中に、ピッチズレ等が生じることはなく、高精度で用紙1の順方向への搬送、及び逆方向への搬送が行われる。このようにして、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色に対して印刷を行うと、ST17により印刷終了と判定され、用紙1は、排出ローラ8により装置外部に排出される。図15は、このとき状態を示している。
【0041】
以上の動作により、1枚の用紙1に対し、最初はその表面に対して、黒(B)の印刷が行われ、続いて、裏面に対して、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色の印刷が行われて装置外部に排出される。したがって、葉書に印刷する場合、他の装置やメモリ媒体から適当な宛て名データとカラー画像データを入力することにより、葉書の表面には黒色で宛て名を印刷し、裏面にカラー画像を印刷して排出することができる。これらの印刷は自動的に行われ、また、相対的に安価な黒色の熱溶融リボンと、相対的に高細精度な印刷が可能なイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の熱昇華リボンとを使用しているため、全体として安価で美しいカラー画像の葉書印刷を行うことができる。
【0042】
図16〜図18は、本発明の第2の実施形態の両面印刷装置を示している。
【0043】
図16は、同両面印刷装置に使用するインクリボンの構成図を示し、図17、図18は同両面印刷装置の動作を示すフローチャートである。
【0044】
図16において、この図に示すインクリボンが図4(B)に示すインクリボンと相違する部分は、インクリボンの巻き取られる方向(インクリボンの進行方向)に沿って配置されるインクリボンの色の順番が、本実施形態では、黒(B)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)となっている点である。すなわち、本実施形態の両面印刷装置では、まず、用紙の裏面にシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)によるカラー印刷が行われ、その後に用紙が反転され、その表面に黒(B)の印刷が行われる。装置全体の構造については図2に示すものと同じであり、制御手順が異なっている。したがって、用紙1は、裏返した状態で給紙される。
【0045】
図17、図18において、まず、用紙1は裏面を上にして給紙される(ST20)。続いて、用紙検出センサ10により用紙1の後端が検出されると、ST22〜ST27において、上記ST12〜ST17と同様な制御により用紙1の裏面にシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色の印刷が行われる。このとき、用紙1は、圧接搬送ローラ5により、常時圧接された状態を維持して往復動する。シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色の印刷が終了すると、ST28にて用紙1の搬送は一旦停止し、続いて、逆方向に搬送される(ST30)。逆方向の搬送は、圧接搬送ローラ5を逆転することにより可能である。このとき、用紙1は、用紙反転部4のガイド内搬送ローラ42により略雨滴形状の溝40に沿って送られていき、用紙1の先端が反転検出センサ46により検出されると、用紙1の搬送がストップする(ST31)。すると、反転モードに設定され(ST32)、図7のST10と同様な制御が行われる。用紙検出センサ10により用紙1の後端が検出されると(ST33)、インクリボン7を黒(B)に設定し(ST34)、表面印刷モードに移行する(ST35)。表面印刷モードでは、用紙1の表面に黒(B)による印刷が行われる。この印刷が終了すると、すなわち、逆方向に搬送されている用紙1の先端が印刷部6を通過するのを検出すると(ST36)、ST37でその搬送を一旦停止し、順方向への搬送に切り替えて(ST38)、用紙1を排出ローラ8により装置外部に排出する。
【0046】
以上の処理により、裏面が上方を向く状態で給紙される場合に、最初に用紙1の裏面にカラー印刷を行い、続いて、その用紙1の表面に黒色の印刷を行って、装置外部に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】従来の両面印刷装置の概略構成図。
【図2】本発明の実施形態に係る両面印刷装置の概略平面図を示す。
【図3】上記両面印刷装置の概略平面図を示す。
【図4】上記両面印刷装置に使用するインクリボンと、従来の両面印刷装置に使用するインクリボンの構成図。
【図5】第1の経路と第2の経路を示す図。
【図6】上記両面印刷装置の動作を示すフローチャート。
【図7】上記両面印刷装置の動作を示すフローチャート。
【図8】上記両面印刷装置の動作時の状態を示す図。
【図9】上記両面印刷装置の動作時の状態を示す図。
【図10】上記両面印刷装置の動作時の状態を示す図。
【図11】上記両面印刷装置の動作時の状態を示す図。
【図12】上記両面印刷装置の動作時の状態を示す図。
【図13】上記両面印刷装置の動作時の状態を示す図。
【図14】上記両面印刷装置の動作時の状態を示す図。
【図15】上記両面印刷装置の動作時の状態を示す図。
【図16】本発明の他の実施形態の両面印刷装置に使用するインクリボンの構成図。
【図17】上記他の実施形態の両面印刷装置の動作を示すフローチャート。
【図18】上記他の実施形態の両面印刷装置の動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0048】
1−用紙
2−用紙トレイ
4−用紙反転部
5−圧接搬送ローラ
6−印刷部
7−インクリボン
43−用紙経路切替アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙が収納される用紙収納部と、
前記用紙収納部から搬入されてくる前記用紙を圧接して順方向または逆方向に搬送する正逆転可能な圧接搬送ローラと、
前記圧接搬送ローラの下流側に設けられ、前記用紙に対する印刷用の印刷ヘッドおよびこの印刷ヘッドに対向して配設されるプラテンローラを備え、前記圧接搬送ローラにより前記用紙が逆方向に搬送されるときに該用紙に対して印刷を行う印刷部と、
前記圧接搬送ローラの上流側に設けられ、前記圧接搬送ローラにより、前記用紙が逆方向に搬送されるときに、この用紙を引き入れ、又はこの用紙を引き入れて該用紙の表裏を反転させる用紙反転部と、を備え、
前記用紙収納部から搬入されてくる前記用紙は、その第1の面が前記印刷部により印刷され、さらに、それによって印刷された前記用紙は前記圧接搬送ローラが逆転することにより前記用紙反転部に引き入れられて該用紙の表裏が反転され、さらに、そのようにして表裏が反転された前記用紙は、前記圧接搬送ローラが正転と逆転を繰り返すことにより、前記圧接搬送ローラに圧接された状態を維持しながら前記印刷部と前記用紙反転部間を往復動して、それにより該用紙の第2の面に前記印刷部により複数回の印刷が行われることを特徴とする両面印刷装置。
【請求項2】
用紙が収納される用紙収納部と、
前記用紙収納部から搬入されてくる前記用紙を圧接して順方向または逆方向に搬送する正逆転可能な圧接搬送ローラと、
前記圧接搬送ローラの下流側に設けられ、前記用紙に対する印刷用の印刷ヘッドおよびこの印刷ヘッドに対向して配設されるプラテンローラを備え、前記圧接搬送ローラにより前記用紙が逆方向に搬送されるときに該用紙に対して印刷を行う印刷部と、
前記圧接搬送ローラの上流側に設けられ、前記圧接搬送ローラにより、前記用紙が逆方向に搬送されるときに、この用紙を引き入れ、又はこの用紙を引き入れて該用紙の表裏を反転させる用紙反転部と、を備え、
前記用紙収納部から搬入されてくる前記用紙は、前記圧接搬送ローラが逆転することにより前記用紙反転部に引き入れられ、さらに、前記圧接搬送ローラが正転と逆転を繰り返すことにより、該用紙は前記圧接搬送ローラに圧接された状態を維持しながら前記印刷部と前記用紙反転部間を往復動して、それにより該用紙の第1の面に前記印刷部により複数回の印刷が行われ、さらに、そのようにして印刷された用紙は、前記用紙反転部に引き入れられて該用紙の表裏が反転されてその第2の面に前記印刷部により印刷されることを特徴とする両面印刷装置。
【請求項3】
前記用紙反転部は、
外周に略雨滴形状の溝を有し、前記用紙がこの溝に沿って通ることができるよう形成された用紙反転ガイドと、
前記溝に沿って設けられ、前記溝に沿って前記用紙を搬送するためのガイド内搬送ローラと、
前記用紙収納部と前記圧接搬送ローラ間の第1の経路と、前記圧接搬送ローラと前記用紙反転ガイド間の第2の経路のいずれかを有効にする用紙経路切替アームとを備え、
前記圧接搬送ローラは、用紙経路切替アームにより前記第2の経路が有効にされているときに、前記用紙の印刷が終了するまで前記用紙が常に圧接された状態を維持している、請求項1または2記載の両面印刷装置。
【請求項4】
前記圧接搬送ローラの上流側近傍に設けられ、用紙の後端部を検出する用紙検出センサを備え、この用紙検出センサにより前記用紙の後端部を検出するタイミングに基づいて前記圧接搬送ローラの正転と逆転の制御を行う、請求項1または2記載の両面印刷装置。
【請求項5】
前記用紙経路切替アームは、前記用紙収納部から前記用紙を給紙するときには前記第1の経路を有効にし、前記用紙の表面及び裏面を印刷するときには前記第2の経路を有効にする、請求項3記載の両面印刷装置。
【請求項6】
前記印刷ヘッドは、印刷動作を行う時以外の時には前記用紙から遠ざかる方向に位置が制御されている請求項1〜5のいずれかに記載の両面印刷装置。
【請求項7】
前記印刷部は、インク転写リボンを備え、該インク転写リボンは、黒色の熱溶融リボンと、イエロー色、マゼンタ色及びシアン色の熱昇華リボンとをこの順に配置している請求項1〜6のいずれかに記載の両面印刷装置。
【請求項8】
前記第1の面は前記用紙の表面であり、前記第2の面は前記用紙の裏面である請求項1〜7のいずれかに記載の両面印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−256119(P2006−256119A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−76939(P2005−76939)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】