説明

両面印刷装置

【課題】両面印刷を行うために必要な、高精度の用紙位置決めなどの基本性能を劣化させることなく、騒音発生を抑制できるようにする。
【解決手段】傾斜板17が移動ガイド板12に取り付けられ、画像形成部6より送り出された用紙Pが傾斜板17に衝突することにより、移動ガイド板12で移動を停止させられる時の衝撃力を緩和させる。このことにより、衝突時の騒音を低減させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙の両面に印刷を行う両面印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の両面印刷装置として、表面印刷済み用紙を移動ガイド板で停止させてクランプ爪で挟持し、再給紙ユニットで十分に搬送可能な位置まで移動してから表面印刷済み用紙を開放することで、表裏反転させて印刷手段に再給紙できるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、印刷装置の排紙台に、排出された印刷装置の衝突による衝撃を緩衝する緩衝部材を備え、その緩衝部材が、印刷用紙の衝突面が下向きに傾斜するようように固定されたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、用紙積載装置として、排紙トレイの排出側に、用紙の整合基準壁となる後端フェンスを備え、排紙トレイに積載された用紙の排紙方向先端に当接するように用紙ストッパ部材を備えたものがある(例えば、特許文献3参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1のものでは、表面印刷済み用紙に対して、印刷直後の画像汚れ対策や、用紙を再度、給紙するために必要な位置精度と角度精度を求めるため、図19に示すような移動ガイド板に用紙を衝突させ、用紙の位置決め(レジスト)/傾き(スキュー)を保持して、再給紙ユニットで搬送可能な位置まで移動させていた。このため、衝突により騒音が発生していた。
【0006】
また、用紙Pが衝突する時、図20に示すように、衝突と同時に用紙Pが共鳴し、騒音が大きくなっていた。
【0007】
また、上述した特許文献2、3のものは、用紙が排出された際の騒音対策であり、両面印刷のためのその後の用紙搬送を行うためのレジスト、スキューといった高い精度を必要としない場合に用いるものであった。すなわち、両面印刷を行うためのスキュー、レジストといった基本性能が要求される用途に適用することについてまで考慮されたものではなかった。
【0008】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、両面印刷を行うために必要な、高精度の用紙位置決めなどの基本性能を劣化させることなく、騒音発生を抑制することができる両面印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために、本発明に係る両面印刷装置は、用紙に画像を形成する印刷手段と、表面に画像を形成された表面印刷済み用紙を保持し、該表面印刷済み用紙を表裏反転させて上記印刷手段に向けて再給紙する再給紙手段と、上記印刷手段から送り出された上記表面印刷済み用紙を上記印刷手段近傍の第1の位置で挟持した後、該第1の位置よりも低い上記再給紙手段の上流側近傍の第2の位置で該表面印刷済み用紙の挟持を開放する用紙挟持手段と、上記第1の位置および上記第2の位置の間で上記用紙挟持手段を往復動させる移動手段と、を備え、上記用紙挟持手段は、上記印刷手段から送り出された上記表面印刷済み用紙を衝突させる用紙衝突面を備え、該用紙衝突面は、用紙進入方向に対する垂直面よりも所定角度傾斜するよう設けられたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る両面印刷装置は、用紙に画像を形成する印刷手段と、表面に画像を形成された表面印刷済み用紙を保持し、該表面印刷済み用紙を表裏反転させて上記印刷手段に向けて再給紙する再給紙手段と、上記印刷手段から送り出された上記表面印刷済み用紙を上記印刷手段近傍の第1の位置で挟持した後、該第1の位置よりも低い上記再給紙手段の上流側近傍の第2の位置で該表面印刷済み用紙の挟持を開放する用紙挟持手段と、上記第1の位置および上記第2の位置の間で上記用紙挟持手段を往復動させる移動手段と、を備え、上記用紙挟持手段は、上記印刷手段から送り出された上記表面印刷済み用紙を当接させて該表面印刷済み用紙の衝突による衝突音の伝播を抑制する当接部を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る両面印刷装置は、用紙に画像を形成する印刷手段と、表面に画像を形成された表面印刷済み用紙を保持し、該表面印刷済み用紙を表裏反転させて上記印刷手段に向けて再給紙する再給紙手段と、上記印刷手段から送り出された上記表面印刷済み用紙を上記印刷手段近傍の第1の位置で挟持した後、該第1の位置よりも低い上記再給紙手段の上流側近傍の第2の位置で該表面印刷済み用紙の挟持を開放する用紙挟持手段と、上記第1の位置および上記第2の位置の間で上記用紙挟持手段を往復動させる移動手段と、を備え、上記用紙挟持手段は、上記印刷手段から送り出された上記表面印刷済み用紙を衝突させる用紙衝突面と、上記表面印刷済み用紙を載承する用紙載置面と、を備え、上記用紙衝突面は、上記用紙載置面に弾性部材を介して接続されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、両面印刷を行うために必要な、高精度の用紙位置決めなどの基本性能を劣化させることなく、騒音発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の各実施形態としての両面印刷装置の構成例を示す縦断面図である。
【図2】第1の実施形態としての移動ガイド板を示す断面図である。
【図3】傾斜板17による衝突角度θと各種性能の関連についての実験結果を示す図である。
【図4】従来技術の両面印刷装置による騒音測定データを示す図である。
【図5】従来技術と本実施形態の両面印刷装置による衝突音ピーク値の比較データを示す図である。
【図6】第2の実施形態としての移動ガイド板を示す斜視図である。
【図7】第2の実施形態としての移動ガイド板を示す断面図である。
【図8】第2の実施形態としての移動ガイド板に用紙が衝突した状態を示す斜視図である。
【図9】該移動ガイド板に用紙が衝突した状態を示す縦断面図である。
【図10】該移動ガイド板に用紙が衝突した状態を用紙進行方向から見た横断面図である。
【図11】第3の実施形態としての移動ガイド板を示す斜視図である。
【図12】第3の実施形態としての移動ガイド板を示す断面図である。
【図13】第3の実施形態の移動ガイド板周りの動作例を示す図である。
【図14】第3の実施形態の変形例としての移動ガイド板を示す斜視図および縦断面図である。
【図15】第4の実施形態としての移動ガイド板を示す斜視図である。
【図16】第4の実施形態としての移動ガイド板を示す断面図である。
【図17】第4の実施形態の変形例としての移動ガイド板を示す斜視図である。
【図18】第4の実施形態の変形例としての移動ガイド板を示す断面図である。
【図19】従来の移動ガイド板を示す断面図である。
【図20】従来の移動ガイド板による衝突音の伝播を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係る両面印刷装置を適用した一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
本発明の各実施形態は、両面印刷装置における再給紙動作を低騒音化できる好適なものを例示している。
【0015】
〔第1の実施形態〕
まず、本実施形態の第1の実施形態について、図1,図2を参照して説明する。
本実施形態は、図1に示すように、印刷装置としての孔版印刷装置1は、スキャナ部2、製版部3、排版部4、給紙装置5、画像形成部6、排紙吸着搬送部7、排紙部8、エアーナイフ部9、再給紙部10で主に構成されている。スキャナ部2はセットされた原稿を、画像情報として読み込む部分である。製版部3は、読み込まれた画像情報をマスタ(孔版原紙)Mに書き込み製版し、製版されたマスタMを画像形成部6の印刷ドラム11まで搬送し、印刷ドラム11の外周面にマスタMを巻き付ける部分である。
排版部4は、印刷終了後に不要になった印刷ドラム11の外周面上に巻き付けられたマスタMを剥がし、排版されたマスタMをストックしておく部分である。
【0016】
本実施形態は、再給紙部10の移動ガイド板12に主たる特徴を有するものであり、その機能は以下のようになる。
【0017】
まず給紙装置5は、セットされた用紙Pを1枚に分離し、画像形成部6(P1位置)まで搬送を行う。裏面を印刷された用紙は、両面印刷される場合、排紙吸着搬送部7の先端部にある切換爪13により、P2位置に誘導される。
【0018】
移動ガイド板12は、プレスローラ14近傍に移動しておくことで、画像形成部6から送り出される用紙を待ち構える。用紙Pが移動ガイド板12に挿入されると移動ガイド板12に取り付けられているクランプ爪15が用紙Pをクランプ(挟持)する。
その後、移動ガイド板12は、排紙部8に近づく方向へ移動し、用紙Pのクランプ状態を開放する。開放された用紙は、再給紙ユニット16によって、P3位置まで搬送されると、用紙Pは、プレスローラ14により、再度、画像形成部6に送られ、表面が印刷される。表面印刷されると排紙吸着搬送部7によって用紙が、排紙部8に排出される。
【0019】
図2に示すように、本実施形態では、傾斜板(用紙衝突面)17が移動ガイド板12に取り付けられ、画像形成部6より送り出された用紙Pが傾斜板17に衝突することにより、移動ガイド板12で移動を停止させられる時の衝撃力を緩和させる。このことにより、衝突時の騒音を低減させることができる。
【0020】
傾斜板17には、ウレタン等によるクッション材を貼付すると、より減音効果が期待できる。この場合、用紙端面が衝突するところには、SUS板材やPETシートによる磨耗防止をすると良い。詳細は、第2の実施形態として後述する。
【0021】
傾斜板17による衝突角度θは、図3に示すように、騒音に対しては、角度θが小さければ小さいほど効果があるが、用紙搬送ジャムに関しては、角度が小さいと悪化傾向がある。よって60°〜80°が望ましい、それ以下になると用紙が潜り込み易くなり、ジャムが発生し易くなる。
【0022】
また傾斜板17によって、移動ガイド板12に衝突する時の衝撃が緩和される際、跳ね返りも少なくなるため、結果として用紙Pのスキュー(用紙傾き)が少なくなり、レジスト(印刷位置精度)も良くなる。
【0023】
以上のように、上述した第1の実施形態は、以下の特徴を有する。
版胴の回転方向に沿って第1の製版画像と第2の製版画像とが2面並んで形成された分割製版済みマスタを巻装する上記版胴および該版胴に対して相対的に接離自在な押圧手段を有する印刷部と、用紙を上記印刷部に向けて給紙する給紙部と、上記印刷部で印刷された印刷済み用紙を排出する排紙部と、上記印刷部で第1の製版画像または第2の製版画像に対応してその表面に印刷画像を形成された表面印刷済み用紙を一時的に保持し、その後に該表面印刷済み用紙を上記押圧手段に向けて送り出し該押圧手段で反転させて上記印刷部に向けて再給紙する再給紙部と、上記印刷部から送り出された上記表面印刷済み用紙の先端を上記印刷部近傍の第1の位置付近で挟持し、第1の位置よりも低い上記再給紙部の上流側近傍の第2の位置で上記表面印刷済み用紙の先端を開放する用紙挟持手段と、第1の位置と第2の位置との間で上記用紙挟持手段を往復動させる移動手段と、上記用紙挟持手段が第1の位置を占めた時、該用紙挟持手段をして一旦開放させた後、上記表面印刷済み用紙の先端を挟持するように作動させ、上記用紙挟持手段が第2の位置を占めた時、該用紙挟持手段をして上記表面印刷済み用紙の先端を開放するように作動させる作動時機制御手段と、上記印刷部を通過した用紙を上記用紙挟持手段または上記排紙部に案内する切換手段とを有し、上記版胴の1回転で用紙の両面に印刷可能であることを特徴とする両面印刷装置において、上記用紙挟持手段の用紙衝突面が傾斜し、用紙衝突音を減音できる手段を備えたことを特徴とする。
【0024】
このため、上述した第1の実施形態によれば、両面印刷を行うために必要な、レジスト、スキューといった高い精度、表面印刷直後の画像汚れ対策などの基本性能を何ら劣化させることなく、騒音を下げることができる。
【0025】
より詳述すると、共に両面印刷時には印刷画像濃度ムラや印刷画像濃度差の無い画質良好な印刷物を安価かつ容易に得ることができ、さらに設置スペースの増大を抑制することが可能な従来の1ドラム1押圧手段両面印刷方式の1工程両面印刷装置よりも簡素化された両面印刷装置、すなわち用紙挟持手段および移動手段を配設したことにより、たとえ腰の弱い用紙等でも用紙先端の挿入が抵抗無く行えて表面印刷済み用紙の先端の挟持を確実かつ良好に行うことができて、上記従来の両面印刷装置における再給紙貯容手段を不要とした新規な両面印刷装置を提供することができると共に、印刷部から送り出された表面印刷済み用紙と再給紙部にある表面印刷済み用紙との接触を防止して表面印刷済み用紙への擦れ汚れの発生を防止することができることで、表面印刷済み用紙の搬送ジャムの発生を防止することができ、かつ、表面印刷済み用紙が蛇行したり、スキューしたりすることが無く安定した状態で良好に搬送でき、これによって印刷時に印刷画像が傾いたり、傾きなどが元でレジストが悪化してしまうことを未然に防止できる。
さらに傾斜板17の表面を、SUS等にしているため、用紙端面で衝突を繰り返しても、耐久性に問題はない。
【0026】
また、騒音低減の効果について、図4、図5に示す。
図4は、従来技術の両面印刷装置による5速(120cpm)でA4サイズの90k紙を通紙し、排紙側で騒音測定したデータであり、横軸が時間で縦軸が周波数、音の強弱は色分けされている。図5は、図4の衝突音のピーク値を抜き出したものであり、従来技術の両面印刷装置と、本実施形態を適用した装置とでの比較を示すものである。結果は、ピーク部で約10dBの効果が確認された。
【0027】
減音される原理であるが、衝突音は上述した図20に示すように、用紙P端面が移動ガイド板12に衝突時に発生し、その音が用紙Pにより響いてしまう。本実施形態では、用紙進入方向に対する垂直面よりも所定角度(90°−θ)傾斜した傾斜板17を設けることにより、用紙Pにより衝突音が響いて大きくなることを軽減できる。
【0028】
〔第2の実施形態〕
次に、本実施形態の第2の実施形態について、図6,図7を参照して説明する。
本実施形態は、図6、図7に示すように、傾斜板17の複数個(図6の例では4個)を移動ガイド板12に取り付け、その周辺に1〜3ミリの隙間をあける。また、傾斜板17には、クッション材18と耐磨耗プレート19を取付けた構成としている。
図7は、本実施形態の移動ガイド板による衝撃力を逃がす構造を示す。
【0029】
傾斜板17の角度は、上述した第1の実施形態と同様に、θ=60°〜80°が望ましい。クッション材18は、25%圧縮荷重で0.01Mpa程度のもので厚みがt1程度、また衝撃吸収性に優れ、温度依存が低いもので耐久性も考慮したウレタン系クッション材が望ましい。
【0030】
磨耗防止材19は、PET材等でも可能であるが、用紙Pとの衝突面の角にRを付けることが好ましい為、SUSt0.1〜0.3等の板金を推奨する。用紙速度が1000mm/sec程度の印刷機の場合、R2〜3mm程度が望ましい。
【0031】
用紙が移動ガイド板12に衝突した状態を図8〜図10に示す。
図8に示すように、クッションを伴った傾斜した面とその周辺に数ミリの空間を設定することにより、用紙の衝突時、端部がその空間に入り込む。このことにより、衝突一次音を軽減することができる。
【0032】
さらに、こうして用紙先端がその空間に入り込み、用紙先端が傾斜板17の下部側と移動ガイド板12の用紙載置面にそれぞれ当接することで、用紙が微小に変形するため、衝突時の2次的な反響音が押さえられる。
図9、図10は用紙先端が入り込んだ状態を示す断面図である。
図10のように用紙先端が波打つような形状となり、図8に示すように用紙の傾斜板17周辺部位にストレスがかかり、用紙後端側への音の伝播が低減される。
【0033】
このように、傾斜板17の下部側と移動ガイド板12の用紙載置面(底面)との隙間の空間に用紙先端が入り込み、用紙先端が傾斜板17の下部側と移動ガイド板12の用紙載置面にそれぞれ当接することで、用紙の音の伝播が抑制される。
【0034】
以上のように、上述した第2の実施形態は、以下の特徴を有する。
上述した第1の実施形態の両面印刷装置であって、上記用紙挟持手段の用紙衝突面が傾斜し、傾斜面が数箇所とその周辺に数ミリの空間があることにより、用紙の音の伝搬と衝突音を軽減する手段を備えたことを特徴とする。
【0035】
このため、上述した第2の実施形態によれば、傾斜板17を所定個数設置し、その周辺に空間を設けることにより、図8〜図10のように用紙Pが変形し、音の伝搬を減少させることができる。このため、擦れ汚れやスキュー、レジストといった基本性能を何ら劣化させることなく、衝突音を低減させることができる。
【0036】
〔第3の実施形態〕
次に、本実施形態の第3の実施形態について、図11,図12を参照して説明する。
本実施形態は、図11、図12に示すように、クランプ爪軸21に消音フラップ20を取り付け(固定せず)、用紙Pが移動ガイド板12へ進入、衝突して騒音が発生した場合、消音フラップ20で用紙P表面を押さえ、用紙P自身による振動や騒音の伝達を最小限に押さえるものである。
【0037】
消音フラップ20の形状は、短冊状でも可能である。設定荷重としては、100gr程度の荷重で用紙Pを押さえるのが好ましい。
【0038】
第3の実施形態の動作について、図13を参照して詳細に説明する。
消音フラップ20は、用紙がないときには移動ガイド板12の用紙載置面に当接する方向に付勢されている。用紙が印刷ドラム11から送られてくると、用紙先端が消音フラップ20の傾斜面(用紙進入方向に対する垂直面より所定角度傾斜した面)に当たりながら消音フラップ20の下部側(自由端側)と移動ガイド板12の用紙載置面の間に入り込み、消音フラップ20が上記の付勢により用紙先端を押さえることで、用紙の衝突音の伝播が抑制される。
【0039】
図13(a)の用紙受け取り時には、消音フラップ20に用紙が衝突した時に、消音フラップ20が先端余白を押さえることにより、衝突時の2次的な用紙反響音を押さえることができる。
また、用紙端面が衝突する移動ガイド板12の垂直壁面にクッションを設置すれば、衝突時の一次音を下げることができる。
【0040】
そして図13(b)により移動ガイド板12が再給紙ユニット16近傍まで移動された後、図13(c)での再給紙時、フラップによる挟持が開放される。この状態で、再給紙UNITのベルト搬送により、用紙のみが再給紙される。
【0041】
このように、本実施形態では、クランプ爪軸21とフラップ20間にスプリング22が設けられ、用紙P進入時と搬送時は、このスプリング22による用紙載置面方向への付勢で用紙Pを押さえるようにする。
クランプ爪15が、用紙Pを開放する位置で、フラップ20の一部であるレバー20’を印刷機本体に取り付けた突起(図示せず)にて解除を行い、再給紙ユニット10による用紙搬送の抵抗とならないようにする。
【0042】
以上のように、上述した第3の実施形態は、以下の特徴を有する。
上述した第1の実施形態の両面印刷装置であって、上記用紙挟持手段の用紙衝突面が傾斜し、用紙先端より数ミリの所を広範囲に挟持することにより、用紙の音の伝搬と衝突音を軽減する手段を備えたことを特徴とする。
【0043】
このため、上述した第3の実施形態によれば、上述した第1の実施形態よりも減音効果は数dB劣るものの、上述した第1の実施形態と同様に、擦れ汚れやスキュー、レジストといった基本性能を何ら劣化させることなく、現行機器と基本性能は同等のままで、衝突音を低減させることができる。
【0044】
〔第3の実施形態の変形例〕
図14は、第3の実施形態の変形例を示す。
この変形例では、上述した構成例のように消音フラップ20がスプリングで付勢される構成に替えて、可撓性のあるマイラーを用いる構成としている。上述した図12の構成よりは用紙先端を押さえる力は弱いが、用紙受取時の用紙先端のめくれ等の変形を抑制することができる。
【0045】
この変形例では、図14に示すように、マイラーシートが、用紙受取時に起きる用紙端部めくれ等の変形を抑制し、クッション消音効果の最大のポイントへ用紙端部を衝突させることができる。また、衝突音の2次的な反響音を抑制させることができる。
さらに、上述した図13の動作例のように、用紙受け取り時、用紙搬送時、再給紙時の各状態に応じて、マイラーシートを可動させる構成であってもよい。
【0046】
また、マイラーシートに限定されず、シート状で柔らかい材料で用紙搬送の抵抗にならない物であれば、各種の材料であってよい。
【0047】
〔第4の実施形態〕
次に、本実施形態の第4の実施形態について、図15,図16を参照して説明する。
本実施形態は、図15、図16に示すように、移動ガイド板12の下部に伸縮プレート23の一端を固定(両面テープ/カシメ等による)し、移動ガイド板12を挟み、伸縮プレート23の他端にプレート24を取付ける。
【0048】
用紙P進入時、プレート24に沿って移動し、伸縮プレート23における固定端と反対側端部に設けられた用紙衝突面に衝突する。この時、伸縮プレート23のバネ部が、衝撃を吸収し、衝突音を軽減させる。伸縮プレート23は、SUSの板バネかPET等の樹脂プレートが良く、伸縮部はコイルスプリングでも可能である。荷重設定は、用紙P進入時に300〜400gr(全部の伸縮プレート23の合計)が望ましい。
【0049】
また、伸縮プレート23の用紙Pが衝突する箇所は、用紙Pを保持し易いよう、数十度の角度をつけると良い。なお、図15では、伸縮プレート23とプレート24を4セット取付けているが、1〜6セットにしても問題はない。
【0050】
以上のように、上述した第4の実施形態は、以下の特徴を有する。
上述した第1の実施形態の両面印刷装置であって、上記用紙挟持手段の用紙衝突面が用紙進入方向に対する垂直面よりも所定角度傾斜し、又その衝突面が用紙挟持手段と独立してバネにて可動でき、用紙が衝突する時の衝突音を軽減する手段を備えたことを特徴とする。
【0051】
このため、上述した第4の実施形態によれば、上述した第1の実施形態よりも減音効果は数dB劣るものの、上述した第1の実施形態と同様に、擦れ汚れやスキュー、レジストといった基本性能を何ら劣化させることなく、現行機器と基本性能は同等のままで、衝突音を低減させることができる。
【0052】
〔第4の実施形態の変形例〕
図17,図18は、第4の実施形態の変形例を示す。
この変形例では、移動ガイド板12の上部にスライドプレート26を取り付け、移動ガイド板12の下部にスプリング26を取付け、その時、スライドプレート25が容易に外れないようにしている。
【0053】
この変形例の構成でも、上述した第4の実施形態の構成例と同様の効果が得られる。
【0054】
〔各実施形態について〕
なお、上述した各実施形態は本発明の好適な実施形態であり、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 孔版印刷装置
2 スキャナ部
3 製版部
4 排版部
5 給紙装置
6 画像形成部
7 排紙吸着搬送部
8 排紙部
9 エアーナイフ部
10 再給紙部
11 印刷ドラム
12 移動ガイド板
13 切換爪
14 プレスローラ
15 クランプ爪
16 再給紙ユニット
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】
【特許文献1】特開2005−125716号公報
【特許文献2】特許第3691325号
【特許文献3】特許第3744704号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に画像を形成する印刷手段と、
表面に画像を形成された表面印刷済み用紙を保持し、該表面印刷済み用紙を表裏反転させて前記印刷手段に向けて再給紙する再給紙手段と、
前記印刷手段から送り出された前記表面印刷済み用紙を前記印刷手段近傍の第1の位置で挟持した後、該第1の位置よりも低い前記再給紙手段の上流側近傍の第2の位置で該表面印刷済み用紙の挟持を開放する用紙挟持手段と、
前記第1の位置および前記第2の位置の間で前記用紙挟持手段を往復動させる移動手段と、
を備え、
前記用紙挟持手段は、前記印刷手段から送り出された前記表面印刷済み用紙を衝突させる用紙衝突面を備え、該用紙衝突面は、用紙進入方向に対する垂直面よりも所定角度傾斜するよう設けられたことを特徴とする両面印刷装置。
【請求項2】
用紙に画像を形成する印刷手段と、
表面に画像を形成された表面印刷済み用紙を保持し、該表面印刷済み用紙を表裏反転させて前記印刷手段に向けて再給紙する再給紙手段と、
前記印刷手段から送り出された前記表面印刷済み用紙を前記印刷手段近傍の第1の位置で挟持した後、該第1の位置よりも低い前記再給紙手段の上流側近傍の第2の位置で該表面印刷済み用紙の挟持を開放する用紙挟持手段と、
前記第1の位置および前記第2の位置の間で前記用紙挟持手段を往復動させる移動手段と、
を備え、
前記用紙挟持手段は、前記印刷手段から送り出された前記表面印刷済み用紙を当接させて該表面印刷済み用紙の衝突による衝突音の伝播を抑制する当接部を備えたことを特徴とする両面印刷装置。
【請求項3】
前記用紙挟持手段は、
前記印刷手段から送り出された前記表面印刷済み用紙を衝突させる用紙衝突面と、
該表面印刷済み用紙を載承する用紙載置面と、
を備え、
前記用紙衝突面は、用紙進入方向に対する垂直面よりも所定角度傾斜するよう設けられ、
前記当接部は、前記用紙衝突面および前記用紙載置面の間に開設されて前記表面印刷済み用紙先端が進入可能な空間であることを特徴とする請求項2記載の両面印刷装置。
【請求項4】
前記用紙挟持手段は、前記表面印刷済み用紙を載承する用紙載置面を備え、
前記当接部は、前記用紙載置面に対して付勢され、用紙進入方向に対する垂直面よりも所定角度傾斜するよう設けられたことを特徴とする請求項2記載の両面印刷装置。
【請求項5】
用紙に画像を形成する印刷手段と、
表面に画像を形成された表面印刷済み用紙を保持し、該表面印刷済み用紙を表裏反転させて前記印刷手段に向けて再給紙する再給紙手段と、
前記印刷手段から送り出された前記表面印刷済み用紙を前記印刷手段近傍の第1の位置で挟持した後、該第1の位置よりも低い前記再給紙手段の上流側近傍の第2の位置で該表面印刷済み用紙の挟持を開放する用紙挟持手段と、
前記第1の位置および前記第2の位置の間で前記用紙挟持手段を往復動させる移動手段と、
を備え、
前記用紙挟持手段は、
前記印刷手段から送り出された前記表面印刷済み用紙を衝突させる用紙衝突面と、
前記表面印刷済み用紙を載承する用紙載置面と、
を備え、
前記用紙衝突面は、前記用紙載置面に弾性部材を介して接続されたことを特徴とする両面印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−101991(P2011−101991A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257847(P2009−257847)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】