説明

両面粘着テープ

【課題】巻き巣の発生が抑制又は防止され、外観性が良好な両面粘着テープを得る。
【解決手段】両面粘着テープは、支持体の両面に粘着剤層が形成された構成を有している両面粘着テープであって、多孔性基材を支持体とし、且つ支持体の少なくとも一方の面に形成された粘着剤層が、(a)アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルをモノマー主成分とするポリマー:100重量部に対して、(b)分子中に2個以上のイソシアネート基を含有する化合物:0.5〜10重量部、(c)分子中に2個以上のヒドロキシル基を含有するとともに分子中に窒素原子を含有する化合物:0.01〜10重量部、および(d)分子中に少なくとも1個の水酸基を含有するキシレンホルムアルデヒド系粘着付与樹脂:10〜100重量部を含む粘着剤組成物により構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面粘着テープに関し、さらに詳しくは、生産性と外観品質に優れた両面粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来用いられている感圧性接着剤層を有する粘着テープは、常温において指圧程度の力で接着できるため、接合用途で汎用に使用されており、特に、信頼性、安全性の面から優れた接着性(強接着性)を要求されることが多い。このように、優れた接着性を発現させるために、感圧性接着剤層(粘着剤層)を構成する粘着剤として、粘着剤主成分(又はベースポリマー)であるポリマーとして、アクリル系ポリマーが用いられたアクリル系粘着剤が広く利用されている。
【0003】
一般的に、アクリル系ポリマーに架橋剤を添加することにより、凝集力を向上させることができるが、粘着力と凝集力とはトレードオフの関係にあり、両特性を高いレベルで維持することが困難であるのが現状である。さらに、架橋剤の中で、イソシアネート系架橋剤は比較的、粘着力と凝集力とのバランスがとりやすい架橋剤であるが、水酸基との架橋反応の場合、両者の添加量が多いと反応速度が速すぎ、溶液状でのポットライフが短く、流動性が低いという問題がある。このため、例えば、両面粘着テープの支持体として不織布等の多孔性基材が用いられた場合、支持体への粘着剤の初期の含浸性が低く、また、経時で徐々に含浸して、粘着テープの厚さが変化してしまい、ロール状に巻回された形態の粘着テープでは、経時とともに、いわゆる「巻き巣」と呼ばれる空隙が発生し、側面(切断面)の外観性が損なわれる問題があった。一方、添加量が少ないと架橋反応が遅くなり、初期凝集力を確保するためのエージングが必要となるなど、生産性に大きな影響を及ぼし、いずれも好ましくなかった。
【0004】
また、一般的に、アクリル系ポリマーに粘着付与樹脂を添加する例は少ないが、例えば、非極性表面に対する接着性を向上させるために添加する場合がある。しかし、この場合も、汎用の石油樹脂系粘着付与樹脂などは、アクリル系ポリマーに対する相溶性に劣るため、十分な量を添加することができず、目的とする粘着力(接着力)などを得ることができていなかった。
【0005】
なお、巻き巣の発生を防ぐ方法として、例えば、特定の紙製巻き芯に巻き取った小巻原反を加湿熟成して塗工乾燥時の発泡を防ぎ、これにより発泡に起因した巻き巣の発生を防止し、外観性が良好な両面接着テープを得る手法が提案されているが(特許文献1参照)、塗工乾燥時の発泡は感圧性接着剤溶液の粘度調整や、塗工条件の設定によっても防ぐことができ、上記のように、加湿熟成を施すことは生産性の低下につながり、しかも、このような操作は、経時での含浸に起因する巻き巣の発生を抑制できるものとは言えない。
【0006】
また、アクリル系樹脂をベースポリマーとする感圧性接着剤において、イソシアネート系化合物と、1分子中に2個以上の水酸基を含有したアミン系化合物とを添加し、経時安定性と曲面接着性とを向上させる手法が開示されているが(特許文献2参照)、両面粘着テープにおける支持体との密着性や含浸性、さらに供給形態であるロール状に巻回された形態の外観性などについては、何ら考慮、検討もされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−3226号公報
【特許文献2】特開平8−41433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、巻き巣の発生が抑制又は防止され、外観性が良好な両面粘着テープを提供することにある。
本発明の他の目的は、さらに、粘着剤層を形成する際に用いられる粘着剤組成物の液状状態でのポットライフが長く、粘着剤組成物を塗工した後の初期凝集力にも優れており、外観性と生産性とを優れたレベルで両立することができる両面粘着テープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、多孔性基材を支持体とする両面粘着テープにおける粘着剤層を構成する粘着剤として、特定の(メタ)アクリル酸エステルをモノマー主成分とするアクリル系ポリマーに、イソシアネート系化合物と、水酸基含有化合物とを添加して調製された感圧性接着剤を用いると、巻き巣の発生を防ぎ、外観性が良好な両面粘着テープを作製することができることを見出した。また、さらに、粘着剤層を形成する粘着剤組成物の液状状態でのポットライフを十分に長くさせることができ、さらに、塗工後の初期凝集力にも優れており、外観性と生産性とを優れたレベルで両立することができる両面粘着テープを得ることができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
【0010】
すなわち、本発明は、支持体の両面に粘着剤層が形成された構成を有している両面粘着テープであって、多孔性基材を支持体とし、且つ支持体の少なくとも一方の面に形成された粘着剤層が、(a)アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルをモノマー主成分とするポリマー:100重量部に対して、(b)分子中に2個以上のイソシアネート基を含有する化合物:0.5〜10重量部、(c’)分子中に2個以上のヒドロキシル基を含有し且つ分子中に窒素原子を含有する化合物:0.01〜10重量部、および(d)分子中に少なくとも1個の水酸基を含有するキシレンホルムアルデヒド系粘着付与樹脂:10〜100重量部を含む粘着剤組成物により構成されていることを特徴とする両面粘着テープである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の両面粘着テープによれば、巻き巣の発生が抑制又は防止され、外観性が良好である。また、さらに、粘着剤層を形成する際に用いられる粘着剤組成物の液状状態でのポットライフが長く、粘着剤組成物を塗工した後の初期凝集力にも優れており、外観性と生産性とを優れたレベルで両立することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[(a)ポリマー]
本発明の両面粘着テープにおける粘着剤層を構成する粘着剤組成物では、ベースポリマー(粘着剤の基本成分)として、アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル)をモノマー主成分とするポリマー(a)[「ポリマー(a)」と称する場合がある]が用いられている。該ポリマー(a)は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0013】
アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸C4-12アルキルエステル]としては、アルキル基の炭素数が4〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルであれば特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸C4-12アルキルエステルは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0014】
(メタ)アクリル酸C4-12アルキルエステルは、モノマー主成分として用いられており、モノマー成分全量に対して50重量%以上(好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは85重量%以上)の割合で用いることができる。モノマー成分全量に対する(メタ)アクリル酸C4-12アルキルエステルの割合が、50重量%未満であると、粘着力や保持力が低下し、粘着テープ又はシート類として必要な良好な粘着力や保持力が得られなくなる場合がある。
【0015】
なお、モノマー成分全量に対する(メタ)アクリル酸C4-12アルキルエステルの割合の上限としては、特に制限されず、例えば、98重量%以下(好ましくは97重量%以下)であることが望ましい。
【0016】
ポリマー(a)では、必要に応じて、(メタ)アクリル酸C4-12アルキルエステルに対して共重合が可能なモノマー(共重合性モノマー)が併用されていてもよい。なお、このような共重合性モノマーの割合は、モノマー成分全量に対して50重量%未満の範囲で、モノマー成分の種類などに応じて適宜選択することができるが、良好な粘着性を発現させるためには、ポリマー(a)のガラス転移温度が−20℃以下(好ましくは−70〜−35℃)となるような使用量であることが望ましい。
【0017】
このような共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピルなどの(メタ)アクリル酸C1-3アルキルエステル;(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどの(メタ)アクリル酸C13-20アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル[(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなど]や、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の非芳香族性環含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸アリールエステル[(メタ)アクリル酸フェニルなど]、(メタ)アクリル酸アリールオキシアルキルエステル[(メタ)アクリル酸フェノキシエチルなど]や、(メタ)アクリル酸アリールアルキルエステル[(メタ)アクリル酸ベンジルエステル]等の芳香族性環含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イソクロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー又はその酸無水物(無水マレイン酸、無水イコタン酸など);ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレートなどのスルホン酸基含有モノマー;スチレン、置換スチレン(α−メチルスチレン等)、ビニルトルエンなどのスチレン系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ含有モノマー;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレンなどのオレフィン系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル系モノマー;塩化ビニル、塩化ビニリデン;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどの(N−置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルの他、ビニルアルコール、アリルアルコールなどのヒドロキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸アミノアルキル系モノマー;N−ビニルピロリドン、N−メチルビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−ビニルモルホリン、N−ビニルカプロラクタム、(メタ)アクリロイルモルホリンなどの窒素原子含有環を有するモノマー;N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系モノマー;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有モノマー;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミドなどのイタコンイミド系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクルロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマー;N−ビニルカルボン酸アミド類;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルなどの酸素原子含有複素環を有するモノマー;フッ素系(メタ)アクリレートなどのフッ素原子を含有するアクリル酸エステル系モノマー;シリコーン系(メタ)アクリレートなどのケイ素原子を含有するアクリル酸エステル系モノマー;1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレートなどの多官能モノマー等が挙げられる。
【0018】
共重合性モノマーは1種のみが用いられていてもよく、2種以上が併用されていてもよい。
【0019】
ポリマー(a)は、公知乃至慣用の重合方法により調製することができる。ポリマー(a)の重合方法としては、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法や、紫外線照射による重合方法(UV重合方法)などが挙げられ、粘着力、保持力などの粘着特性のバランスや、コストなどの点で、溶液重合方法が好適である。
【0020】
溶液重合方法等の重合時に用いられる重合開始剤としては、公知乃至慣用の重合開始剤を用いることができ、例えば、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1´−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2´−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、ジメチル−2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオネート等のアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン等の過酸化物系重合開始剤などが挙げられる。なお、溶液重合の場合は、油溶性の重合開始剤を用いることが好ましい。重合開始剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。重合開始剤の使用量は、通常の使用量であればよく、例えば、全モノマー成分100重量部に対して0.01〜1重量部程度の範囲から選択することができる。
【0021】
また、重合時などでは、分子量を調整するための連鎖移動剤が用いられていてもよい。連鎖移動剤としては、公知乃至慣用の連鎖移動剤を用いることができ、例えば、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、メルカプト酢酸、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメチルカプト−1−プロパノール、α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。連鎖移動剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。連鎖移動剤の使用量は、通常の使用量であればよく、例えば、全モノマー成分100重量部に対して0.01〜15重量部程度の範囲から選択することができる。
【0022】
なお、溶液重合では、各種の一般的な溶剤を用いることができる。溶剤としては、公知乃至慣用の溶剤を用いることができ、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類などの各種有機溶剤が挙げられる。溶剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0023】
本発明では、ポリマー(a)は、重量平均分子量が30万以上130万以下(35万〜85万、さらに好ましくは40万以上80万以下)であることが重要である。アクリル系ポリマー(a)の重量平均分子量が30万未満である場合、粘着剤として必要な粘着力を発揮させることができない場合があり、一方、130万を超えていると、粘着剤の粘度上昇による塗工性不良などの問題が生じる場合がある。ポリマー(a)の重量平均分子量は、重合開始剤や連鎖移動剤の種類やその使用量、重合の際の温度や時間の他、モノマー濃度、モノマー滴下速度などによりコントロールすることができる。
【0024】
なお、ポリマー(a)の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定することができる。より具体的には、GPC測定装置として、商品名「HLC−8120GPC」(東ソー株式会社製)を用いて、ポリスチレン換算値により、次のGPCの測定条件で測定して求めることができる。
GPCの測定条件
・サンプル濃度:0.2重量%(テトラヒドロフラン溶液)
・サンプル注入量:10μl
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流量(流速):0.6mL/min
・カラム温度(測定温度):40℃
・カラム:商品名「TSKgelSuperHM−H/H4000/H3000/H2000」(東ソー株式会社製)
・検出器:示差屈折計(RI)
【0025】
[(b)イソシアネート化合物]
前記粘着剤組成物では、架橋剤(硬化剤)として、分子中に2個以上のイソシアネート基を含有する化合物(b)[「イソシアネート化合物(b)」と称する場合がある]が用いられている。イソシアネート化合物(b)を、(c)分子中に2個以上のヒドロキシル基を含有する化合物[「ヒドロキシ化合物(c)」と称する場合がある]とともに用いることにより、イソシアネート化合物(b)のイソシアネート基と、ヒドロキシ化合物(c)のヒドロキシル基とが速やかに反応するため、良好な初期凝集力を発揮することができ、そのため、特に生産性に多大なる影響を及ぼす凝集力を発現させるのに必要なエージング時間を大幅に短縮させ、優れた保持力で被着体を接着させることができる。
【0026】
なお、本発明では、イソシアネート化合物(b)およびヒドロキシ化合物(c)とともに、(d)分子中に少なくとも1個の極性基を含有する粘着付与樹脂[「粘着付与樹脂(d)」と称する場合がある]を、それぞれ、特定の割合で組み合わせて用いると、粘着剤組成物は、初期凝集力が優れているだけでなく、各種被着体に対する粘着力が良好であり、しかも塗工前の液状状態でのポットライフを、塗工するには十分な長い時間で確保することができる。
【0027】
イソシアネート化合物(b)としては、分子中にイソシアネート基を少なくとも2個有する化合物であれば特に制限されない。イソシアネート化合物(b)としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート類、脂環族ポリイソシアネート類、芳香族ポリイソシアネート類、芳香脂肪族ポリイソシアネート類などが挙げられる。イソシアネート化合物(b)は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0028】
前記脂肪族ポリイソシアネート類には、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,2−エチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートなどが含まれる。
【0029】
また、脂環族ポリイソシアネート類には、例えば、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、シクロペンチルジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネートなどが含まれる。
【0030】
芳香族ポリイソシアネート類には、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2´−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルエ−テルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4´−ジイソシアネート、2,2´−ジフェニルプロパン−4,4´−ジイソシアネート、3,3´−ジメチルジフェニルメタン−4,4´−ジイソシネ−ト、4,4´−ジフェニルプロパンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3´−ジメトキシジフェニル−4,4´−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートなどが含まれる。
【0031】
芳香脂肪族ポリイソシアネートには、例えば、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、キシリレン−1,3−ジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネートなどが含まれる。
【0032】
また、イソシアネート化合物(b)としては、前記例示の脂肪族ポリイソシアネート類、脂環族ポリイソシアネート類、芳香族ポリイソシアネート類、芳香脂肪族ポリイソシアネート類による二重体や三量体、反応生成物又は重合物(例えば、ジフェニルメタンジイソシアネートの二重体や三量体、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとの反応生成物、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネートなど)なども用いることができる。
【0033】
なお、イソシアネート化合物(b)において、例えば、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物として、商品名「コロネートL」[日本ポリウレタン工業(株)製]や、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物として、商品名「コロネートHL」[日本ポリウレタン工業(株)製]などが市販されている。
【0034】
粘着剤組成物中に含まれているイソシアネート化合物(b)の配合量(含有量)は、ポリマー(a):100重量部に対して0.5〜10重量部であり、好ましくは1〜8重量部(さらに好ましくは2〜7重量部)である。イソシアネート化合物(b)の配合量が、ポリマー(a):100重量部に対して0.5重量部未満である場合、必要とする架橋効果が得られなくなり、凝集力が不足する。一方、イソシアネート化合物(b)の配合量が、ポリマー(a):100重量部に対して10重量部を超える場合、凝集力が過多となり、逆に粘着力が低下したり、ロール状に巻回された形態の両面粘着テープとした際に、いわゆる「巻き巣」が発生しやすくなる。
【0035】
なお、本発明では、イソシアネート化合物(b)とともに、イソシアネート化合物(b)以外の架橋剤(例えば、多官能性メラミン化合物や多官能性エポキシ化合物など)を用いることができる。
【0036】
[(c)ヒドロキシ化合物]
前記粘着剤組成物では、架橋助剤(硬化助剤)として、ヒドロキシ化合物(c)[すなわち、分子中に2個以上のヒドロキシル基を含有する化合物(c)]が用いられている。ヒドロキシ化合物(c)としては、分子中に2個以上のヒドロキシル基を含有する化合物であれば特に制限されない。ヒドロキシ化合物(c)としては、例えば、脂肪族ポリオール、脂環式ポリオール、芳香族ポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、アクリルポリオール、ポリウレタンポリオールなどが挙げられる。ヒドロキシ化合物(c)は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0037】
前記脂肪族ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2,4−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,3,5−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,10−デカンジオール、2−メチル−1,9−ノナンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,18−オクタデカンジオール、ダイマージオール等の脂肪族ジオールなどが挙げられる。
【0038】
脂環式ポリオールとしては、1,4−シクロヘキサンジオール、2,2´−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等の脂環式ジオール成分などが挙げられる。
【0039】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等を開環重合させたポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、およびこれらを共重合させたコポリエーテル等のポリエーテルジオールが挙げられる。
【0040】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,18−オクタデカンジオール等のジオール成分と、コハク酸、メチルコハク酸、アジピン酸、ピメリック酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、1,14−テトラデカン二酸やこれらの酸無水物または低級アルキルエステルなどのジカルボン酸成分又はその誘導体とを、単独若しくは混合物状態で脱水反応して得られるポリエステルジオールなどが挙げられる。
【0041】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリトリメチレンカーボネートジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリ3−メチル(ペンタメチレン)カーボネートジオールや、これらの共重合物などの他、エチレングリコール、1,3−トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,18−オクタデカンジオールなどの多価アルコールと、ジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどのジアルキルカーボネートとの脱アルコール反応等で得られるポリカーボネートジオールなどが挙げられる。
【0042】
ポリカプロラクトンポリオールとしては、例えば、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトンなどの環状エステルモノマーの開環重合により得られるカプロラクトン系ポリエステルジオール等が挙げられる。
【0043】
アクリルポリオールやポリウレタンポリオールとしては、ヒドロキシル基を複数有するアクリル系樹脂やウレタン系樹脂などが挙げられる。
【0044】
また、ヒドロキシ化合物(c)としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等のポリオールも用いることができる。
【0045】
さらにまた、ヒドロキシ化合物(c)としては、分子中に2個以上のヒドロキシル基を含有するとともに、分子中に窒素原子を含有する化合物[「窒素原子含有ヒドロキシ化合物(c)」と称する場合がある]を用いることができる。窒素原子含有ヒドロキシ化合物(c)は、分子中に窒素原子を少なくとも1個含有していればよく、分子中における窒素原子の数は特に制限されない。従って、窒素原子含有ヒドロキシ化合物(c)としては、分子中に2個以上のヒドロキシル基を含有するとともに、分子中に窒素原子を少なくとも1個含有する化合物を用いることができる。具体的には、窒素原子含有ヒドロキシ化合物(c)としては、例えば、N,N,N´,N´−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N´,N´−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N´,N´−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)トリメチレンジアミン、N,N,N´,N´−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)トリメチレンジアミン;エチレンジアミンのポリオキシエチレン縮合物、エチレンジアミンのポリオキシプロピレン縮合物、エチレンジアミンのポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物などのアルキレンジアミンのポリオキシアルキレン縮合物;ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルジイソプロパノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−エチルジイソプロパノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N−ブチルジイソプロパノールアミン等のジアルコールアミン類;トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のトリアルコールアミン類などを例示することができる。窒素原子含有ヒドロキシ化合物(c)としては、例えば、N,N,N´,N´−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N´,N´−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N´,N´−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)トリメチレンジアミン、N,N,N´,N´−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)トリメチレンジアミンを好適に用いることができる。
【0046】
さらに、ヒドロキシ化合物(c)としては、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)エタン、1,1,5,5−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、α,α,α´,α´−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α´,α´−テトラキス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−p−キシレン、α,α,α´,α´−テトラキス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−p−キシレン、α,α,α´,α´−テトラキス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−p−キシレン、α,α,α´,α´−テトラキス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−p−キシレン、α,α,α´,α´−テトラキス(4,5−ジヒドロキシ−2−ジメチルフェニル)−p−キシレン、α,α,α´,α´−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−α,α´−ジメチル−p−キシレンなども用いることができる。
【0047】
粘着剤組成物中に含まれているヒドロキシ化合物(c)の配合量(含有量)は、ポリマー(a):100重量部に対して0.01〜10重量部であり、好ましくは0.015〜9重量部(さらに好ましくは0.02〜8重量部)である。ヒドロキシ化合物(c)の配合量が、ポリマー(a):100重量部に対して0.01重量部未満である場合、必要とする架橋効果が得られなくなり、凝集力が不足する。一方、ヒドロキシ化合物(c)の配合量が、ポリマー(a):100重量部に対して10重量部を超える場合、凝集力が過多となり、逆に粘着力が低下したり、ロール状に巻回された形態の両面粘着テープとした際に、いわゆる「巻き巣」が発生しやすくなる。
【0048】
本発明では、ヒドロキシ化合物(c)としては、窒素原子含有ヒドロキシ化合物(c)、すなわち、分子中に2個以上のヒドロキシル基を含有し且つ分子中に窒素原子を含有する化合物を好適に用いることができる。ヒドロキシ化合物(c)として窒素原子含有ヒドロキシ化合物(c)を用いると、架橋促進効果をさらに高めることが可能となり、より一層優れた初期凝集力を発揮させることが可能となる。
【0049】
なお、本発明では、ヒドロキシ化合物(c)とともに、ヒドロキシ化合物(c)以外の架橋助剤を用いることができる。
【0050】
[(d)粘着付与樹脂]
前記粘着剤組成物では、必要に応じて、粘着付与樹脂(粘着付与剤)として、粘着付与樹脂(d)[すなわち、分子中に少なくとも1個の極性基を含有する粘着付与樹脂(d)]を用いることができる。粘着付与樹脂(b)を用いることにより、各種被着体に対する十分な粘着力を確保することができるとともに、塗工(塗布)前の粘着剤組成物溶液の状態でのポットライフを長くすることができる(延長できる)効果を発揮することが可能となる。すなわち、ベースポリマーとしてのポリマー(a)に、特定量のイソシアネート化合物(b)と、特定量のヒドロキシ化合物(c)と、特定量の粘着付与樹脂(d)とを組み合わせることにより、良好な初期凝集力を発揮して、優れた保持力で被着体を接着させることができる。また、各種被着体に対する粘着力を向上させ、被着体の表面が非極性表面であっても、良好な粘着力で被着体を接着させることができる。しかも、塗工前の液状状態でのポットライフを十分に長くすることができ、塗工作業性を向上させることができる。
【0051】
粘着付与樹脂(d)において、極性基としては、高い極性を有する基であれば特に制限されないが、例えば、水酸基(ヒドロキシル基)、カルボキシル基、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基、カルボジイミド基、イソシアネート基、ウレタン結合を有する基、尿素結合を有する基、アミド結合を有する基などが挙げられる。好ましい極性基としては、水酸基、カルボキシル基が挙げられ、特に、水酸基が好適である。極性基は、粘着付与樹脂(d)1分子中に1種のみが含まれていてもよく、2種以上が組み合わせられて含まれていてもよい。
【0052】
粘着付与樹脂(d)において、極性基は、分子中に少なくとも1個(1個以上)含有されていれば、その数は特に制限されず、粘着付与樹脂の種類などに応じて適宜選択することができる。なお、粘着付与樹脂の種類によっては、極性基を多数有しており、その数を正確には規定することができない場合があるが、その場合であっても、分子中に極性基を1個以上有していることは確かである。
【0053】
粘着付与樹脂(d)としては、分子中に少なくとも1個の極性基を含有する粘着付与樹脂であれば特に限定することなく使用することができ、例えば、テルペン系粘着付与樹脂、フェノール系粘着付与樹脂、ロジン系粘着付与樹脂、エポキシ系粘着付与樹脂、ポリアミド系粘着付与樹脂、ケトン系粘着付与樹脂、エラストマー系粘着付与樹脂などの粘着付与樹脂のうち、分子中に少なくとも1個の極性基を有するものが挙げられる。粘着付与樹脂(d)は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0054】
具体的には、テルペン系粘着付与樹脂としては、例えば、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、ジペンテン重合体などのテルペン系樹脂や、これらのテルペン系樹脂を変性(フェノール変性、芳香族変性、水素添加変性、炭化水素変性など)した変性テルペン系樹脂(例えば、テルペンフェノール系樹脂、スチレン変性テルペン系樹脂、芳香族変性テルペン系樹脂、水素添加テルペン系樹脂など)などのテルペン系粘着付与樹脂の中から、分子中に少なくとも1個の極性基を有するものを用いることができる。
【0055】
また、フェノール系粘着付与樹脂としては、各種フェノール類(例えば、フェノール、m−クレゾール、3,5−キシレノール、p−アルキルフェノール、レゾルシンなど)とホルムアルデヒドとの縮合物(例えば、アルキルフェノール系樹脂、キシレンホルムアルデヒド系樹脂など)、前記フェノール類とホルムアルデヒドとをアルカリ触媒で付加反応させたレゾールや、前記フェノール類とホルムアルデヒドとを酸触媒で縮合反応させて得られるノボラックの他、ロジン類(未変性ロジン、変性ロジンや、各種ロジン誘導体など)にフェノールを酸触媒で付加させ熱重合することにより得られるロジン変性フェノール樹脂などのフェノール系粘着付与樹脂の中から、分子中に少なくとも1個の極性基を有するものを用いることができる。
【0056】
さらにまた、ロジン系粘着付与樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどの未変性ロジン(生ロジン)や、これらの未変性ロジンを水添化、不均化、重合などにより変性した変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンの他、その他の化学的に修飾されたロジンなど)の他、各種のロジン誘導体などのロジン系粘着付与樹脂の中から、分子中に少なくとも1個の極性基を有するものを用いることができる。なお、前記ロジン誘導体としては、例えば、未変性ロジンをアルコール類によりエステル化したロジンのエステル化合物や、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなどの変性ロジンをアルコール類によりエステル化した変性ロジンのエステル化合物などのロジンエステル類;未変性ロジンや変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなど)を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジン類;ロジンエステル類を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類;未変性ロジン、変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなど)、不飽和脂肪酸変性ロジン類や不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類におけるカルボキシル基を還元処理したロジンアルコール類;未変性ロジン、変性ロジンや、各種ロジン誘導体等のロジン類(特に、ロジンエステル類)の金属塩などが挙げられる。
【0057】
粘着付与樹脂(d)としては、極性基として水酸基やカルボキシル基(特に水酸基)を分子中に少なくとも1個含有する粘着付与樹脂を好適に用いることができる。例えば、分子中に少なくとも1個の水酸基を含有する粘着付与樹脂としては、分子中に少なくとも1個の水酸基を含有するテルペン系粘着付与樹脂、分子中に少なくとも1個の水酸基を含有するフェノール系粘着付与樹脂を好適に用いることができる。分子中に少なくとも1個の水酸基を含有するテルペン系粘着付与樹脂としては、例えば、分子中に少なくとも1個の水酸基を含有するテルペンフェノール系粘着付与樹脂などが挙げられる。分子中に少なくとも1個の水酸基を含有するフェノール系粘着付与樹脂としては、例えば、分子中に少なくとも1個の水酸基を含有するアルキルフェノール系粘着付与樹脂、分子中に少なくとも1個の水酸基を含有するロジン変性フェノール系粘着付与樹脂、分子中に少なくとも1個の水酸基を含有するキシレンホルムアルデヒド系粘着付与樹脂などが挙げられる。従って、粘着付与樹脂(d)が、分子中に少なくとも1個の極性基を含有し、且つテルペンフェノール系粘着付与樹脂、アルキルフェノール系粘着付与樹脂、ロジン変性フェノール系粘着付与樹脂、およびキシレンホルムアルデヒド系粘着付与樹脂から選択された少なくとも1種の粘着付与樹脂を好適に用いることができる。
【0058】
粘着付与樹脂(d)としては、市販品から適宜選択して使用することができ、例えば、分子中に少なくとも1個の水酸基を含有するキシレンホルムアルデヒド系粘着付与樹脂としては、商品名「ニカノールH−80」、商品名「ニカノールL」(以上、三菱瓦斯化学株式会社製)などを使用することができる。
【0059】
粘着剤組成物中に含まれている粘着付与樹脂(d)の配合量(含有量)は、ポリマー(a):100重量部に対して10〜100重量部であることが好ましく、さらに好ましくは15〜80重量部(特に好ましくは20〜60重量部)である。粘着付与樹脂(d)の配合量が、ポリマー(a):100重量部に対して10重量部未満である場合、粘着付与樹脂の添加効果が十分でなく、目的とする粘着力が得られなくなり、また、ポットライフ延長効果も発現されなくなる場合がある。一方、粘着付与樹脂(d)の配合量が、ポリマー(a):100重量部に対して100重量部を超える場合、架橋剤[イソシアネート化合物(b)など]による架橋が不十分となり、また、ポリマー(a)との相溶性に劣ることによる粘着力低下などの問題が生じる場合がある。
【0060】
なお、本発明では、粘着付与樹脂として、前記粘着付与樹脂(d)とともに、分子中に極性基を含有していない粘着付与樹脂を用いることができる。分子中に極性基を含有していない粘着付与樹脂としては、炭化水素系粘着付与樹脂(例えば、石油系粘着付与樹脂やスチレン系粘着付与樹脂など)が挙げられる。
【0061】
本発明では、粘着剤組成物はそのまま使用してもよいが、必要に応じて各種添加剤が添加されていてもよい。このような添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、剥離調整剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、着色剤(顔料や染料など)、老化防止剤、界面活性剤、帯電防止剤などが挙げられる。これらの添加剤の使用量は、いずれもアクリル系感圧性接着剤に適用される通常の量であってもよい。
【0062】
粘着剤組成物は、前記成分[ポリマー(a)、イソシアネート化合物(b)、ヒドロキシ化合物(c)の他、必要に応じて粘着付与樹脂(d)や各種添加剤など]を、混合又は混練することにより調製することができる。
【0063】
[両面粘着テープ]
本発明の両面粘着テープは、支持体の両面に粘着剤層が形成された構成を有しており、多孔性基材を支持体とし、且つ支持体の少なくとも一方の面に形成された粘着剤層が、ポリマー(a):100重量部に対して、イソシアネート化合物(b):0.5〜10重量部と、ヒドロキシル化合物(c):0.01〜10重量部と、必要に応じて粘着付与樹脂(d):10〜100重量部とを含む粘着剤組成物により構成されている。そのため、両面粘着テープは、いわゆる「巻き巣」の発生が抑制又は防止されており、側面において空隙が見られず、良好にロール状に巻回された形態を有しており、外観性が良好である。また、前記粘着剤組成物は、液状状態でのポットライフを長くすることができ、粘着剤組成物の塗工作業性を向上させることができ、両面粘着テープを優れた作業性で作製することができる。従って、本発明の両面粘着テープは、外観性と生産性とを優れたレベルで両立することができる。
【0064】
さらに、本発明の両面粘着テープでは、前記粘着剤組成物の塗工後の初期凝集力も優れており、優れた保持力で接着させることができる。さらにまた、両面粘着テープは、各種被着体に対して優れた粘着力で接着させることも可能である。
【0065】
両面粘着テープは、支持体の両面に粘着剤層が形成された構成を有しており、基材付き両面粘着テープである。なお、両面粘着テープは、本発明の効果を損なわない範囲で、他の層(例えば、中間層、下塗り層など)を有していてもよい。
【0066】
なお、各粘着剤層は、単層、積層体のいずれの形態を有していてもよい。粘着剤層の厚み(支持体の一方の側の粘着剤層の厚み)は、例えば、5〜1000μm(好ましくは10〜200μm)程度である。
【0067】
支持体は、前述のように、多孔性基材により形成されている。多孔性基材としては、例えば、グラシン紙、クラフト紙、和紙、上質紙、合成紙等の紙;綿布やスフ布などの天然繊維、半合成繊維又は合成繊維の繊維状物質による布(織布);レーヨン製不織布、ポリビニルアルコール繊維製不織布(ビニロン不織布)、マニラ麻不織布、ポリエステル繊維製不織布、ポリアミド繊維製不織布(ナイロン繊維製不織布)、ポリオレフィン繊維製不織布(ポリエチレン繊維製不織布や、ポリプロピレン繊維製不織布等)、アクリル系繊維製不織布、綿製不織布、アセテート繊維製不織布などの天然繊維、半合成繊維又は合成繊維の繊維状物質による不織布;多孔質ポリオレフィン系フィルム又はシート、多孔質ポリエステル系フィルム又はシート、多孔質ポリウレタン系フィルム又はシート等の多孔質プラスチック製基材や、これらの積層体などが挙げられる。
【0068】
なお、不織布等の多孔性基材の片面には、非多孔性基材(例えば、プラスチックフィルム又はシート等)が積層されていてもよい。
【0069】
多孔性基材の表面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理等の物理的処理、下塗り処理、背面処理等の化学的処理などの適宜な公知乃至慣用の表面処理が施されていてもよい。
【0070】
多孔性基材の厚さは、その材質や形態などに応じて適宜選択でき、通常、1〜1000μm(好ましくは20〜500μm)程度である。
【0071】
本発明の両面粘着テープは、通常の両面粘着テープの製造方法に従って製造することができる。具体的には、多孔性基材の両面に前記粘着剤組成物による粘着剤層が形成された構成の両面粘着テープは、例えば、(1)多孔性基材の各面に、前記粘着剤組成物を、それぞれ、乾燥後の厚さが所定の厚さとなるように直接塗工した後、ロール状に巻回して製造する方法、(2)セパレータ上に前記粘着剤組成物を、乾燥後の厚さが所定の厚さとなるように塗工して粘着剤層を形成した後、該粘着剤層を、多孔性基材の各面に転写させ、ロール状に巻回して製造する方法、(3)前述の(1)および(2)の方法を組み合わせた製造方法などが挙げられる。
【0072】
なお、粘着剤組成物の塗布は、公知乃至慣用の塗工機(例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなど)を用いて行うことができる。
【0073】
本発明では、両面粘着テープを作製する際には、広幅長尺状の両面粘着テープを作製した後、所定の幅で且つ所定の長さの両面粘着テープを作製する方法を利用することができる。例えば、前述の製造方法のようにして、広幅長尺状のジャンボロール(例えば、1250mm幅で1000m巻きの両面粘着テープ)を作製した後、巻き替え機を用いて、広幅短尺状の小巻ロール(例えば、1250mm幅で50m巻きの両面粘着テープ)に巻き替え、この小巻ロールを、旋盤切断機により輪切り切断することにより、所定の幅で且つ所定の長さを有する狭幅短尺状の両面粘着テープ(例えば、20mm幅で50m巻きの両面粘着テープ)を作製することができる。
【0074】
なお、前記両面粘着テープは、粘着剤層が剥離ライナーにより保護された状態で巻回されていることが重要である。多孔性基材の両面に形成された粘着剤層は、1枚の剥離ライナーにより保護されていてもよく、2枚の剥離ライナーによりそれぞれ保護されていてもよい。剥離ライナーは両面粘着テープを製造する際に用いることもできる。
【0075】
前記剥離ライナーとしては、特に制限されず、公知の剥離ライナーから適宜選択して用いることができる。剥離ライナーとしては、基材(剥離ライナー用基材)の少なくとも一方の面に剥離コート層が形成されたものを好適に用いることができる。剥離ライナーの基材としては、プラスチックフィルム、紙、発砲体、金属箔等の各種薄葉体などが挙げられるが、通常、プラスチックフィルムが好適に用いられる。剥離ライナーの基材の厚みは、目的に応じて適宜選択できる。なお、前記剥離ライナーの基材のプラスチックフィルムの素材としては、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィン、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂などが挙げられる。なお、剥離ライナーの基材は、単層、複層のいずれの形態を有していてもよい。
【0076】
本発明では、剥離ライナーとしては、紙の片面又は両面にプラスチックのラミネート層が形成された構成の薄葉体の片面又は両面に、剥離コート層が設けられた剥離ライナーが好適である。
【0077】
また、剥離ライナーにおいて、剥離コート層としては、特に制限されず、慣用の剥離ライナーにおける剥離コート層として用いられている剥離コート層(例えば、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、長鎖アルキル系剥離剤等の公知の剥離剤による剥離コート層など)を用いることができる。
【0078】
本発明の両面粘着テープは、SUSステンレス板に対する180°粘着力(引張速度300mm/分、23℃、50%RH)が、例えば、5N/20mm以上(例えば、5〜25N/20mm)、好ましくは8N/20mm以上(例えば、8〜23N/20mm)であることが望ましい。
【0079】
粘着力(剥離力)は、例えば、ポリマー(a)を構成するモノマー成分の種類や割合、重合開始剤の種類や量、重合温度や重合時間、イソシアネート化合物(b)、ヒドロキシ化合物(c)や粘着付与樹脂(d)の種類や量を適宜選択することにより調整できる。
【0080】
本発明の両面粘着テープは、前述のように、各種被着体に対する接着力が優れており、汎用的に用いられる両面粘着テープとして用いることができる。本発明の両面粘着テープは、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂などのプラスチックやガラスなどの被着体に対して適用することができる。
【実施例】
【0081】
以下に、この発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。なお、以下において、部とあるのは重量部を、%とあるのは重量%を、それぞれ意味する。
【0082】
(実施例1)
重合容器に、アクリル酸n−ブチル95部、アクリル酸5部、トルエン150部を仕込み、室温で1時間窒素置換を行った。その後、60℃に昇温し、重合開始剤として2,2´−アゾビスイソブチロニトリルを0.2部添加して、63℃で7時間重合を行い、重量平均分子量が50万のアクリル系ポリマーの共重合物溶液を得た。この共重合物溶液に、共重合物の固形分100部に対して、粘着付与樹脂として水酸基を有するキシレンホルムアルデヒド系粘着付与樹脂(商品名「ニカノールH−80」三菱瓦斯化学株式会社製)を30部と、ヒドロキシ化合物として窒素原子を含有するヒドロキシ化合物(商品名「EDP−300」旭電化株式会社製;ポリヒドロキシアルキルアミン系化合物)を0.05部、イソシアネート化合物(商品名「コロネートL」日本ポリウレタン工業株式会社製)を4部添加し、充分混合して、粘着剤組成物(固形分40%)を得た。
【0083】
両面にポリエチレンによるラミネート処理が施された上質紙(グラシン紙、密度70g/m2)の両面に、シリコーン系剥離剤を塗布して剥離ライナー(「剥離ライナーA」と称する場合がある)を作製し、この剥離ライナーAの片面に、前記粘着剤組成物を、乾燥後の厚みが80μmとなるように塗工し、110℃の温度で3分間乾燥して感圧接着剤層(「感圧接着剤層A」と称する場合がある)を形成して、感圧接着剤層Aが形成された剥離ライナーAを作製した。この感圧接着剤層Aが形成された剥離ライナーAを、レーヨンパルプ不織布(商品名「MR原紙」三木特殊製紙株式会社製)の片面側に、感圧接着剤層Aがレーヨンパルプ不織布に接触する形態で重ね合わせて貼り合わせ、剥離ライナーAと一体に巻き取り、巻回体(捲回体)を作製した。
【0084】
前記剥離ライナーAと同様の構成を有しているが、別の剥離ライナー(「剥離ライナーB」と称する場合がある)の片面に、前記粘着剤組成物を、乾燥後の厚みが80μmとなるように塗工し、110℃の温度で3分間乾燥して感圧接着剤層(「感圧接着剤層B」と称する場合がある)を形成して、感圧接着剤層Bが形成された剥離ライナーBを作製した。この感圧接着剤層Bが形成された剥離ライナーBを、前記巻回体を巻き戻しながら、基材としてのレーヨンパルプ不織布の表面(感圧接着剤層Aが形成された面に対して反対側の面)に、感圧接着剤層Bがレーヨンパルプ不織布に接触する形態で重ね合わせて貼り合わせ、剥離ライナーBを引き剥がして、再度、巻き取り、両面粘着テープのジャンボロールを作製した。
【0085】
前記ジャンボロールを、巻き替え機にて、肉厚3mmの紙製ボール芯を用いて、50m巻きの両面粘着テープの小巻ロールを作製し、この小巻ロールを、旋盤切断機にて、20mm幅になるように輪切り切断して、所定の幅(20mm幅)の両面粘着テープの切断品を作製し、製品としての両面粘着テープ(両面粘着テープ製品)を得た。
【0086】
(実施例2)
ヒドロキシ化合物として窒素原子を含有するヒドロキシ化合物(商品名「EDP−1100」旭電化株式会社製)を6部添加したこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物を得た。また、この粘着剤組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして両面粘着テープ製品を得た。
【0087】
(比較例1)
ヒドロキシ化合物として窒素原子を含有するヒドロキシ化合物(商品名「EDP−300」旭電化株式会社製)を添加しないことを除いては、実施例1と同様にして粘着剤組成物を得た。また、この粘着剤組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして両面粘着テープ製品を得た。
【0088】
(比較例2)
ヒドロキシ化合物として窒素原子を含有するヒドロキシ化合物(商品名「EDP−300」旭電化株式会社製)を11部添加したこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物を得た。また、この粘着剤組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして両面粘着テープ製品を得た。
【0089】
(評価)
実施例及び比較例で得られた各粘着剤組成物または各両面粘着テープ製品について、保持力、接着力、ポットライフ、外観性を下記の方法(保持力測定方法、接着力測定方法、ポットライフ評価方法、外観性評価方法)により測定又は評価した。その結果を表1に示す。
【0090】
(保持力測定方法)
10×100mmの両面粘着テープ製品を、被着体としてのベーク板に10mm幅×20mmの接着面積で2kgのローラーを1往復させる方法で圧着し、40℃で1時間放置した後、端部に500gの荷重をかけ、JIS Z 0237に準じて、圧着時からのずれを測定し、40℃1時間後のずれの大きさ(距離)で保持力を評価した。
【0091】
なお、保持力については、初期凝集力を確認する為、両面粘着テープ製品を作製した後、23℃の環境下で24時間放置したものと、23℃の環境下で7日間放置したものとの2点について測定した。
【0092】
(粘着力測定方法)
20×100mmの両面粘着テープ製品(両面粘着テープ製品を作製した後、23℃の環境下で7日間放置したもの)を、下記被着体に2kgのローラーを1往復させる方法で圧着し、下記の放置条件で放置させた後、180°ピール剥離試験(引張り速度300mm/分、23℃、50%RH)により、その剥離に要する力(180°剥離力)(N/20mm)を測定して、粘着力を評価した。
被着体:ステンレス(SUSステンレス)板
放置条件:23℃×20分
【0093】
(ポットライフ評価方法)
粘着剤組成物の溶液を、30℃2時間保存した後、セパレータに塗布し、ムラなく均一に塗工できるか確認することにより、ポットライフを下記の評価基準により評価した。
ポットライフの評価基準
○:粘着剤組成物溶液をセパレータ上にムラなく均一に塗布できた。
△:粘着剤組成物溶液をセパレータ上に塗布すると塗布ムラが生じるが、徐々にレベリングした。
×:粘着剤組成物溶液をセパレータ上に塗布すると塗布ムラが生じた。
【0094】
(外観性評価方法)
両面粘着テープ製品を、40℃且つ92%RHの恒温恒湿室で30日間放置した後、両面粘着テープ製品の空隙部(いわゆる巻き巣)の発生状況を目視にて観察し、下記の評価基準により、外観性を評価した。
○:空隙部の発生が見られなかった。
×:空隙部の発生が見られた。
【0095】
【表1】

【0096】
表1より、実施例1〜2に係る粘着テープは、巻き巣の発生が防止され、外観性が良好である。さらに、保持力や粘着力が良好であり、しかもポットライフが長く、優れていることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の両面に粘着剤層が形成された構成を有している両面粘着テープであって、多孔性基材を支持体とし、且つ支持体の少なくとも一方の面に形成された粘着剤層が、(a)アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルをモノマー主成分とするポリマー:100重量部に対して、(b)分子中に2個以上のイソシアネート基を含有する化合物:0.5〜10重量部、(c’)分子中に2個以上のヒドロキシル基を含有し且つ分子中に窒素原子を含有する化合物:0.01〜10重量部、および(d)分子中に少なくとも1個の水酸基を含有するキシレンホルムアルデヒド系粘着付与樹脂:10〜100重量部を含む粘着剤組成物により構成されていることを特徴とする両面粘着テープ。

【公開番号】特開2012−62473(P2012−62473A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229552(P2011−229552)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【分割の表示】特願2005−16408(P2005−16408)の分割
【原出願日】平成17年1月25日(2005.1.25)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】