両面非接着剥離フィルム
利用者の皮膚または粘膜に貼付されるアタッチメント用の集合体(100)が開示される。この集合体、すなわち、経皮パッチは、外側裏当て層(112)、外側裏当て層(112)の内面に配置された第1の粘着剤層(110)、内側裏当て層(124)、および第1の粘着剤層(110)と内側裏当て層(124)との間に配置された中間剥離層(104)を備えている。中間剥離層(104)は、剥離可能な表面を内面および外面の両方に有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[相互参照]
本出願は、2005年11月7日に「両面非接着剥離フィルム」の表題で出願された米国特許出願第11/296,604号の利得を主張し、この内容は、参照することによって、ここに含まれるものとする。
【0002】
[技術の分野]
本発明は、一般的には、利用者の皮膚または粘膜に貼付されるアタッチメント集合体に関する。さらに詳細には、本発明は、経皮パッチおよび外傷手当用品、およびそれらの製造方法に関する。さらに詳細には、本発明は、粘着剤パッチの製造の改良に関する。
【背景技術】
【0003】
患者または利用者の皮膚または粘膜に貼付されるアタッチメントのための種々のシステムの使用が、ますます重要になってきている。これらの集合体は、いかなる活性物質をも含まずに皮膚に直接貼付される外傷手当用品の形態であってもよいし、またはこのような貼付によって種々の活性物質または薬剤の経皮送達を行う経皮パッチの形態であってもよい。このような集合体を作製する一般的な手段に関して、粘着剤含有集合体または粘着剤含有パッチの取扱いを容易にする必要性、すなわち、これらの粘着剤含有集合体または粘着剤含有パッチを別々のユニットとして保持する必要性が高まっている。経皮パッチシステムに関して、種々の薬剤の使用法によって、具体的には、薬剤が、皮膚に粘着される粘着剤系との混合物、または外側薬剤透過性粘着剤層を含む非粘着剤系との混合物の形態で用いられることによって、問題が生じている。
【0004】
単純な一体型経皮システムは、活性物質すなわち薬剤を単一の感圧接着剤層内に直接含んでいる。これらのシステムは、薄くて、洗練され、かつ比較的作製が容易であるという利点を有するが、粘着剤素地の薬剤送達に対する最適化と、粘着剤素地の皮膚に対する粘着能力との間で妥協しなければならない。加えて、これらのシステムは、大量の取扱いおよび大量の製造に関して、いまだに課題が残っている。
【0005】
周知の「二重ディスク」経皮パッチは、小さい活性物質送達パッチを覆う大きい補助パッチを用いて、皮膚に対する粘着性を改良または確保している。内側パッチおよび外側パッチのそれぞれの粘着剤素地は、独立して、活性物質送達用または粘着用に最適化させることができる。内側パッチおよび外側パッチが互いに積層され、完全なシステムを形成すると、これらのパッチの粘着剤素地は、直接接触し、平衡状態に移行し始める。システムが平衡状態に向かうにつれて、時間に依存する変化、例えば、内側パッチから活性物質が失われ、同時に、外側パッチに活性物質が蓄積される。この現象によって、もし内側パッチの成分のいくつか、特に、活性物質送達を達成または持続するのに必要な成分が、外側パッチの粘着剤素地と明らかな親和性を有する場合、経皮パッチの性能に変化が生じることがある。さらに、この影響は、平衡に達するまで、時間と共にさらに大きくなる。
【0006】
2つの粘着剤素地が平衡状態に移行するのを防ぐ1つの解決策は、貯蔵中に、それらの物理的な分離を維持し、粘着剤同士を直接接触させないことである。皮膚に貼付されると、これらの粘着剤素地は、直接接触するが、典型的には2〜3年掛かる平衡に至る過程は、一般的には7日以内である経皮送達過程と比較して緩慢である。しかし、二重ディスク経皮パッチでは、活性物質を含む内側パッチの周縁は、覆っている外側パッチとその粘着剤素地に露出している。二重ディスク経皮パッチのこの構造によって、活性物質が内側パッチから周縁に沿って外側パッチの粘着剤素地に移動する可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの問題のいくつかに対する1つの解決策が、本出願の譲渡人が所有する米国特許出願公開第2005/0037059に記載されている。この出願は、貯蔵中に、内側パッチと外側パッチとの間で活性物質の移動が妨げられるように、内側パッチと外側パッチとの間に物理的なバリアを用いることを開示している。この開示によれば、内側パッチおよび外側パッチは、内側パッチの外側部分に周方向に延びる環状フラップを生成するように、互いに貼付され、使い捨ての剥離ライナが、この環状フラップと外側パッチの粘着材料との間に介在される。従って、活性物質を含む外側フラップは、外側パッチの粘着剤に剥離可能に貼合された剥離ライナによって、下方にある外側部分から隔離される、と述べられている。この製品は、極めて好結果が得られることが分かっているが、活性物質を含む環状フラップを下方にある外側パッチの部分から完全に分離するさらに効率的な製品が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、これらおよび他の目的は、利用者の皮膚または粘膜に貼付されるアタッチメント集合体を見出すことによって達成される。この集合体は、内面および外面を有する外側裏当て層と、外側裏当て層の内面に配置された第1の粘着剤層と、内側裏当て層と、第1の粘着剤層と内側裏当て層との間に配置された中間剥離ライナと、を備え、中間剥離ライナは、内面および外面を有し、中間剥離ライナの内面および外面の両方が、剥離可能な表面を含んでいる。好ましくは、中間剥離ライナは、少なくとも1つの開口領域を有し、第1の粘着剤層は、少なくとも1つの開口領域において内側裏当て層に接合される部分を含んでいる。
【0009】
本発明の集合体の一実施形態によれば、中間剥離ライナは、単一シートから構成され、単一シートは、単一シートの両面に配置された剥離可能な表面を有する。
【0010】
本発明の集合体の他の実施形態によれば、中間剥離ライナは、互いに貼合された少なくとも1対のシートを含むラミネートから構成され、1対のシートの各々は、内面および外面を有し、1対のシートのそれぞれの内面は、互いに隣接して配置され、1対のシートの外面の各々は、剥離可能な表面を含んでいる。
【0011】
本発明の集合体の他の実施形態によれば、中間剥離ライナは、活性物質不透過性材料を含む。好ましくは、中間剥離層は、第1の粘着剤層および内側裏当て層の両方に剥離可能に粘着される。
【0012】
本発明の集合体の他の実施形態によれば、第1の粘着剤層は、集合体を利用者の皮膚または粘膜に粘着させる感圧接着材料を含む。
【0013】
本発明の集合体の他の実施形態によれば、1対のシートの少なくとも一方は、透明シートを含む。好ましくは、1対のシートの他方は、不透明なシートを含む。好ましい実施形態では、集合体は、1対のシートの他方の内面に印刷された材料を含む。
【0014】
本発明によれば、複数の粘着剤被覆要素の取扱いのためのシステムが見出されている。このシステムは、内面および外面を有する外側裏当て層および外側裏当て層の内面に配置された第1の粘着剤層を含む第1の粘着剤被覆要素と、内面および外面を有し前記内面が内側裏当て層を有する第2の粘着剤被覆要素と、第1の粘着剤層と第2の粘着剤被覆要素の内側裏当て層との間に配置され、内面および外面を有する中間剥離ライナと、を備え、中間剥離ライナの内面および外面の両方が、剥離可能な表面を含む。好ましい実施形態では、中間剥離ライナは、単一シートから構成され、単一シートは、その両面に剥離可能な表面を有する。
【0015】
本発明のシステムの一実施形態によれば、中間剥離ライナは、互いに貼合された少なくとも1対のシートを含むラミネートから構成され、1対のシートの各々は、内面および外面を有し、1対のシートの内面は、互いに隣接して配置され、1対のシートの外面の各々は、剥離可能な表面を含んでいる。
【0016】
本発明のシステムの他の実施形態によれば、第1の粘着剤被覆要素および第2の粘着剤被覆要素は、利用者の皮膚または粘膜に放出される活性物質を含むのに適するようにされる。
【0017】
本発明のシステムの他の実施形態によれば、中間剥離ライナは、活性物質不透過性材料を含む。
【0018】
本発明のシステムの他の実施形態によれば、中間剥離層は、第1の粘着剤層および第2の粘着剤被覆要素の内側裏当て層の両方に剥離可能に接合される。
【0019】
本発明のシステムの他の実施形態によれば、第1の粘着剤層は、感圧接着材料を含む。
【0020】
本発明のシステムの他の実施形態によれば、中間剥離ライナの内面の剥離可能な表面は、第1の剥離力を有し、中間剥離ライナの外面の剥離可能な表面は、第2の剥離力を有し、第1の剥離力および第2の剥離力は、互いに異なる。
【0021】
従って、本発明の集合体は、多数の層状システムの取扱いを可能にするのみならず、貯蔵中に、内側パッチと外側パッチと間に物理的なバリアを保持することによって、内側パッチと外側パッチとの間で活性物質が移動するのを阻止する。実際、この集合体は、小さい粘着剤システムの縁に露出した粘着剤が、大きいシステムの剥離フィルムに付着するのを阻止し、これによって、過去に知られているよりもさらに効率的に活性物質の移動を阻止することができる。本発明の集合体または装置を積層された粘着剤ユニットの取扱いに適用してみれば、これらの集合体が、経皮パッチに制限されず、または活性物質が利用者の皮膚または粘膜に用いられるいかなるシステムにも制限されないことが明らかである。すなわち、本システムは、広い範囲にわたって、粘着剤含有集合体、例えば、粘着剤含有パッチの内層と外層との間において、集合体のいかなる成分、例えば、活性物質および非活性物質、および非活性賦形剤、浸透促進剤、可塑剤、などを含む他の含有物が移動するのを阻止することが可能である。
【0022】
さらに具体的には、一実施形態において、本発明の集合体または装置は、粘着剤外側パッチに外側パッチ用の剥離ライナに設けられた開口を通して恒久的に接合された活性物質含有内側パッチを含む二重ディスクシステムの形態にある。内側パッチは、活性物質不透過性裏当て層と、利用者の皮膚または粘膜に送達される活性物質を含む活性物質層(粘着剤素地層であってもよい)と、使い捨て剥離ライナと、を備えている。外側パッチは、裏当て層と、追加的な活性物質を含んでもよい粘着剤素地層と、好ましくは活性物質不透過性材料からなる使い捨て剥離ライナと、を備え、この剥離ライナは、内面および外面の両方に剥離可能な表面を含んでいる。外側パッチの剥離ライナの開口が、外側パッチ粘着剤素地の一部を露出させる。開口は、活性物質内側パッチよりも小さい大きさを有し、使用前に内側パッチと外側パッチとの間の接触を阻止しながら、内側パッチに対してアンカーポイント(固定点)をもたらす。
【0023】
本発明の一実施形態では、活性物質を利用者の皮膚または粘膜に放出する集合体が記載されている。この集合体は、粘着特性を有する外層と、活性物質不透過層を有する内層であって、外層に接合される一部を有する内層と、不透過層の一部と外層の一部との間に介在された剥離ライナと、を備え、剥離ライナを取り除くことによって、集合体を利用者の皮膚または粘膜に貼付される外層を露出させる。
【0024】
本発明によれば、利用者の皮膚または粘膜に貼付されるアタッチメント集合体の製造用の積層された複数の構成部品が考案されている。この積層された複数の構成部品は、内面および外面を有する第1の複数の外側裏当て層および複数の外側裏当て層の内面に配置された第1の粘着剤層と、内面および外面を有する第2の複数の中間剥離ライナであって、複数の中間剥離ライナの内面および外面の両方が、剥離可能な表面を含む、第2の複数の中間剥離ライナと、を備え、第1の複数の外側裏当て層および第2の複数の中間剥離ライナは、互いに接着することなく、互いに積層可能とされる。好ましい実施形態では、中間剥離ライナは、単一シートから構成され、単一シートは、単一シートの両面に配置される剥離可能な表面を有する。
【0025】
本発明の積層された複数の構成部品の一実施形態によれば、中間剥離ライナは、互いに貼合された少なくとも1対のシートを含むラミネートから構成され、1対のシートの各々は、内面および外面を有し、1対のシートの内面は、互いに隣接して配置され、1対のシートの外面の各々は、剥離可能な表面を含んでいる。
【0026】
本発明の積層された複数の構成部品の他の実施形態によれば、第1の粘着剤層は、集合体を利用者の皮膚または粘膜に粘着させる感圧接着材料を含む。好ましい実施形態では、1対のシートの少なくとも1つは、透明シートを含む。好ましくは、1対のシートの他方は、不透明なシートを含む。好ましい実施形態では、1対のシートの他方の内面に印刷された材料を備えている。
【0027】
本発明によれば、利用者の皮膚または粘膜に貼付されるアタッチメント集合体の製造に用いられる粘着剤層を製造する方法も見出されている。この方法は、第1の表面および第2の表面を有する剥離ライナに粘着剤層を被覆する段階であって、第1の表面および第2の表面は、剥離可能な表面を有する段階と、剥離ライナの第1の表面に裏当て層を積層する段階と、粘着剤層から剥離ライナを一時的に取り外す段階と、剥離ライナを型抜きする段階と、剥離ライナを裏当て層に再接合する段階と、を含む。好ましくは、型抜き段階は、剥離ライナを複数の剥離ライナ部分に切り離すことを含む。好ましい実施形態では、型抜きは、剥離ライナに開口を穿孔することを含む。
【0028】
本発明の方法の一実施形態によれば、この方法は、被覆剥離ライナを乾燥することを含む。
【0029】
本発明の方法の他の実施形態によれば、この方法は、粘着剤層から残部を除去することを含む。
【0030】
本発明の方法の他の実施形態によれば、この方法は、再接合された剥離ライナおよび裏当て層をロールに巻き付けることを含む。
【0031】
本発明の主題は、明細書の結論の部分において、特に指摘され、かつ明瞭に主張されている。しかし、本発明は、その特徴、目的および利点と共に、実施の構成と方法の両方に関して、以下の詳細な説明を添付の図面と共に参照することによって、最もよく理解されるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図面に示される本発明の好ましい実施形態を説明する上で、明瞭にするため、特定の用語を用いている。しかし、本発明は、そのように選択された特定の用語に制限されるものではなく、特定の用語は、それぞれ、同様の目的を果たすために同様の方法で機能するあらゆる技術的な等価物を含むことを理解されたい。
【0033】
以下、図面について説明するが、これらの図面において、同様の参照番号は、同様の要素を表すものとする。図1には、本発明の一実施形態による一種または複数種の活性物質を利用者の皮膚または粘膜に投与する集合体の組み立てられていない構成部品が示されている。集合体100は、概して、外側パッチ102、外側パッチ剥離層104、内側パッチ106、および内側パッチ剥離層108を備えている。外側パッチ102、内側パッチ106、および剥離層104,108は、典型的には平面的な層であり、互いに組み合わされ、以下に述べる二重ディスク集合体の形態にある積層複合構造を形成する。
【0034】
外側パッチ102は、柔軟な粘着剤層110、および粘着剤層110に貼付された同じ大きさの保護用裏当て層112を備えている。粘着剤層110は、集合体100を利用者の皮膚または粘膜に貼付する役割の大半を担っている。好ましくは、粘着剤層110は、利用者の皮膚または粘膜への接触に適する、例えば、皮膚科学的に容認される感圧接着剤である。任意選択的に、粘着剤層は、利用者に投与される活性物質または他の薬剤と混合されていてもよい。この場合、粘着剤層110は、活性物質の投与を可能とする活性物質透過性材料から形成される。
【0035】
裏当て層112は、好ましくは、粘着剤層110の下面と同じ大きさの薄いシートである。集合体100が貼付される皮膚の領域を考慮して、美容上の理由および/または識別マークを付すために、裏当て層112は、肌色であるとよい。裏当て層112は、通常、集合体100を支持すると共に、集合体100に保護被覆をもたらす。裏当て層112は、活性物質不透過性材料または活性物質透過性材料のシートから形成されるとよい。好ましくは、裏当て層112は、活性物質が粘着剤層110に含まれているときは、活性物質不透過性材料から形成される。
【0036】
外側パッチ剥離層104は、粘着剤層110に対して、かつ内側パッチ106の柔軟な活性物質層122および/または粘着剤層126に対して、粘着剤層が大気の埃または他の汚れによって機能を失わないように保護すると共に、以下に述べる活性物質移動バリアをもたらすために、集合体100が使用される前まで、粘着剤層110の上面を覆っている。剥離層104は、少なくとも粘着剤層110の周縁まで延在するのに十分な表面積および形状を有している。剥離層104の開口114から、下方にある外側パッチ102の粘着剤層110の上面の一部が露出している。剥離層104は、単一の材料シートとして形成されてもよいし、または1つまたは複数のスリット120によって分離された多数の区域116,118として形成されてもよい。好ましくは、剥離層104は、活性物質不透過性材料のシートから形成され、これによって、内側パッチ106および外側パッチ102の両方における活性物質に対して、移動バリアをもたらす。
【0037】
内側パッチ106は、柔軟な活性物質層122、および活性物質層122の下面に貼付された同じ大きさの活性物質不透過性裏当て層124を備えている。活性物質層122は、活性物質または薬剤成分、および任意選択的に、活性物質促進剤と混合される熱可塑性ポリマー素地から形成されるとよい。活性物質層122用のポリマー素地は、好ましくは、感圧接着特性を有し、または代替的に、活性物質層は、仮想線で示されるように、活性物質透過性接着剤層126によって被覆されてもよい。
【0038】
内側パッチ剥離層108は、スリット132によって分離された1つまたは複数の区域128,130からなる、剥離層104と同様のシートとして形成されるとよい。剥離層108は、少なくとも活性物質層122の上面の周囲まで延在する表面積および形状を有している。剥離層108は、活性物質の放出を防ぐために、集合体100が使用される前まで、活性物質層122の上面を覆っている。活性物質層122が感圧接着特性を有するかまたは活性物質透過性粘着剤層で覆われているとき、剥離層108は、活性物質層122を大気の埃または他の汚れによって機能を失わないように保護する。
【0039】
図2,3に、略平面的な多数の層からなる積層複合集合体の形態にある、組み立てられた状態の集合体100が示されている。剥離ライナ104は、剥離可能な表面115,117を有し、これによって、外側パッチ102の粘着剤層110の上面にその全体にわたって接触して剥離可能に貼付されると共に、活性物質透過性裏当て層124の外面にその全体にわたって接触して、従って、活性物質層122および/または粘着剤層126のいかなる活性物質および/または粘着剤および/またはいかなる他の成分に対しても、剥離可能に貼付されている。
【0040】
剥離ライナ104が単一の材料シートから構成される場合、剥離被膜は、剥離ライナ104の両面に施されねばならない。一般的に用いられる剥離被膜は、ケイ素被膜、テフロン(登録商標)被膜、または剥離層の作製に従来から用いられている他の適切なこのような被膜からなる。これらの被膜の例として、例えば、シリコーン基粘着剤と適合するフッ化炭素被膜およびフッ化シリコーン被膜が挙げられる。
【0041】
剥離層104の開口114から、下方にある粘着剤層110の上面の一部が露出している。内側パッチ106は、開口114内に露出した粘着剤層110に不透過性裏当て層124を接合させることによって、外側パッチ102に貼付されている。開口114の表面積は、内側パッチ106の表面積よりも小さい。この結果、内側パッチ106は、開口114を包囲するフラップの形態にある環状部を有し、この環状部は、剥離ライナ104の介在部分によって、粘着剤層110に接合されていない。同様に、活性物質層122の周縁および/または粘着剤層126の周縁は、剥離ライナ104の一部によって、粘着剤層110から分離されている。すなわち、剥離可能な表面115が剥離層104上に存在することによって、この活性物質、粘着剤、または他の成分が剥離層104の表面に付着することが妨げられる。従って、不透過性裏当て層124および不透過性剥離層104は、活性物質層122を隔離し、使用前の集合体100の貯蔵中に活性物質が活性物質層から粘着剤層110に移動するのを阻止するのみならず、粘着剤層126の粘着剤が内側パッチ106の縁から移動し、剥離ライナ104の剥離前の被覆表面に付着し、使用前の剥離ライナの取除きを妨げるのを阻止する。
【0042】
集合体100は、剥離層104,108を取り除くことによって、利用者の皮膚または粘膜への貼付の準備がなされる。剥離層104の取除きを容易にするために、この剥離層の少なくとも一部が、下方にある粘着剤層110の周囲を超えて延在していると好ましい。拡張部分は、図3に示されるように、粘着剤層110の全周または一部を包囲するタブまたは環状部分の形態にあるとよい。このようにして、剥離層104の各区域116,118を取除き、活性物質を含む内側パッチ106を包囲する粘着剤層110の上面を露出させるとよい。粘着剤層110の露出した表面部分は、使用中に集合体100を利用者の皮膚または粘膜に貼付させるのに十分な表面積を有している。区域116,118がスリット120によって分離されているので、区域116,118の取除きは、個別になされる。これによって、開口114を包囲する区域116,118の一部が粘着剤層110と内側パッチ106の不透過性裏当て層124との間に介在しているにもかかわらず、区域116,118を取り除くことが可能となる。最も重大なことは、剥離ライナ104の両面に剥離可能な表面115,117が存在することによって、剥離ライナ104のいずれかの面への付着を生じることなく、またはユーザの指がいずれかの粘着剤に接触することなく、この操作を滑らかに行うことができる点にある。
【0043】
同様に、片面のみ、すなわち、粘着剤層126および/または活性物質層122と向き合う面のみに剥離可能な表面を必要とする剥離層108は、区域128,130の拡張部分を掴むことによって、活性物質層122の上面から取り除かれる。従って、可能であれば、剥離層108の区域128,130の各々が、内側パッチ106の周囲を越えて延在する拡張部分を有するとよく、場合によっては、そのような拡張部分を有することが望ましいこともある。例えば、図3Aを参照すると、内側パッチ剥離層108の区域128,130は、内側パッチ106の周囲よりも大きい外周を有し、好ましくは、剥離層108の両端に、拡張されたタブ状の区域128a,130aをさらに有している。このようにして、好ましくは、外側パッチ剥離層104が取り除かれた後、タブ128a,130aを摘み、内側パッチ剥離層108の部分128,130を取り除くことによって、内側パッチ剥離層108を取り除くことができる。集合体100は、図4に示されるように、活性物質層122を利用者に接触させて、利用者134の皮膚または粘膜に貼付される。活性物質が本発明の集合体によって投与される利用者は、薬剤または他の活性物質が所望の効能を発揮するいかなる利用者でもよい。利用者は、例えば、ヒトのような哺乳動物、さらに、いかなる温血動物または冷血動物でもよい。活性物質の投与は、治療または試験において、有利になされている。さらに、本発明の集合体100は、他のいかなる有利な目的に用いられてもよい。
【0044】
剥離層108の拡張区域は、図3Aに関して前述したのと同様でもよいし、剥離層104に関して前述したのと同様でもよい。しかし、剥離層104,108は、それぞれ、必ずしも下方にある粘着剤層110および活性物質層122の周囲を越えて延在している必要はないことを理解されたい。剥離層104,108の拡張は、集合体100を貼付ける前に、ユーザによる剥離層の取除きを容易にするにすぎない。
【0045】
集合体100の個々の構成部品は、単なる例示の目的で、矩形の形状に示されているにすぎない。集合体100およびその構成部品は、他のいかなる形状、例えば、正方形、丸、楕円、などの形状を有してもよいことを理解されたい。例えば、外側パッチ102が正方形状を有する一方、内側パッチ106が円形でもよい。加えて、開口114が矩形であることは、本発明の要件ではなく、開口114は、多角形、例えば、六角形でもよく、または剥離層104に複数の非連続的な開口として形成されてもよい。開口114は、集合体100を組み立てるときに、内側パッチ106を外側パッチ102に接合することができるという1つの機能を果たしている。加えて、内側パッチ106の表面積と関連付けられる開口114の表面積は、介在する剥離層104によって粘着剤層110から分離される内側パッチの周囲部分の大きさを画成する。従って、開口114の大きさ、形状、および位置は、例えば、活性物質層122内の活性物質の移動率に基づく活性物質の移動に適合するように、調整可能である。加えて、開口114の大きさを調整することによって、粘着剤層間における活性物質の移動、すなわち、粘着剤層110から開口114を通って活性物質層122および/または粘着剤層126への活性物質の移動を生じさせることもできる。
【0046】
図5〜7を参照すると、活性物質を利用者の皮膚または粘膜に投与するのに適する集合体136の他の実施形態が開示されている。集合体136は、一態様では、その構成部品の形状が集合体100と異なっている。この関連で、集合体136は、円形の外側パッチ138、正方形または矩形の外側パッチ剥離層140、円形の内側パッチ142、および円形の内側パッチ剥離層144を備えている。
【0047】
外側パッチ138は、粘着剤層146、および粘着剤層146と同じ大きさの外側裏当て層148を備えている。粘着剤層146は、感圧接着剤の形態にあるとよく、任意選択的に、利用者に投与される活性物質または他の薬剤と混合されてもよい。この場合、裏当て層148は、活性物質不透過性材料のシートの形態にある。
【0048】
剥離層140は、剥離層104と同様、好ましくは、活性物質不透過性材料のシートから形成され、この活性物質不透過性材料のシートは、その両面にそれぞれ剥離可能な表面153,155を有することによって、外側パッチ138の粘着剤層146の上面に剥離可能に貼付されると共に、内側パッチ142の活性物質層154(代替的に、粘着剤層126)の露出した縁にも剥離可能に貼付されている。剥離層140は、粘着剤層146の上面の一部を露出させる開口150を有し、この開口150を通して、内側パッチ142が貼付されている。剥離層の外縁から開口150に延在するスリット152によって、剥離層140の取除きが容易になる。
【0049】
内側パッチ142は、活性物質層154を備えている。この活性物質層154は、集合体136を利用者の皮膚または粘膜に(少なくとも部分的に)粘着させる感圧接着特性を有するようなポリマー材料と活性物質または他の成分の混合物であるとよい。すなわち、利用者の皮膚または粘膜に確実に貼付される集合体136の全体的な能力は、内側パッチ142と外側パッチ138の両方、およびそれらの粘着剤に依存する。活性物質層154の上面が活性物質透過性粘着剤層126によって被覆されてもよいが、図2に関して説明した粘着剤層126の場合と同じように、この粘着剤層は、排除されてもよく、従って、任意選択的に設けられるとよい。また、図示されていないが、内側パッチ142が、内側パッチ142の表面から利用者の皮膚または粘膜に放出される活性物質の割合を制御するための手段をもたらす律速ポリマー層を含むことも考えられる。この律速ポリマー層は、いかなる適切な活性物質透過性粘着剤、例えば、活性物質層154または粘着剤層126に対して用いられる粘着剤を用いて、活性物質層154の表面に貼付されてもよい。
【0050】
内側パッチ142は、活性物質層154の下面に貼付された活性物質不透過性裏当て層156をさらに備えている。不透過性裏当て層156は、活性物質層154の感圧接着特性を用いて貼付されていてもよいし、または、好ましくは活性物質不透過性粘着剤の層(図示せず)によって、貼付されていてもよい。剥離層144は、剥離層108と同様、利用者への貼り付けおよび治療の開始の前に、活性物質の放出を防ぐと共に内側パッチの粘着特性への汚れを阻止するために、内側パッチ142の活性物質層154、代替的に、粘着剤層126に剥離可能に貼付されている。従って、剥離層144は、剥離層140の両面の剥離可能な表面153または剥離可能な表面155に対応する単一の剥離可能な表面しか必要としないことが分かるだろう。従って、剥離層144の反対側の面、すなわち、内側パッチ142の活性物質層154または粘着剤層126のいずれかと接触する面と反対側の面は、剥離可能な表面を必要としない。何故なら、その表面は、剥離されるべきいかなる表面とも接触しないからである。
【0051】
剥離層140の一部は、内側パッチ142の下面の一部と外側パッチ138の粘着剤層146の上面との間に介在している。内側パッチ142、剥離層140、および外側パッチ138は、互いに位置合わせされ、かつ積層され、剥離層140の環状部分が内側パッチ142の外縁と剥離層の開口150の内縁との間に介在する集合体を形成する。内側パッチ142の外縁と開口150の内縁とを分離するこの環状領域が、活性物質層154を粘着剤層146から隔離し、これらの層154,146間におけるいかなる活性物質の移動をも妨げる。同様に、剥離ライナ140の上面の剥離可能な表面153の存在が、粘着剤層126からのいかなる粘着剤の移動をも、さらに具体的には、内側パッチ142を剥離層140の表面153に貼付する粘着剤層126の露出した縁からのいかなる粘着剤の移動をも妨げる。剥離層140を取り除くと、粘着剤層146の上面の環状部分は、内側パッチ142の周囲を囲んで露出する。粘着剤層146は、集合体136を利用者の皮膚または粘膜に貼付するのに十分な粘着力をもたらす。集合体136の粘着は、任意選択的に、感圧接着特性を有するかまたは活性物質透過性粘着剤層126を含む内側パッチ142によって強化されてもよい。
【0052】
前述したように、活性物質または薬剤は、活性物質層122,154、および任意選択的に、粘着剤層110,146に含まれている。活性物質は、例えば、浸透性薬剤でもよいし、または局所性薬剤でもよい。個々の活性物質またはその混合物が、必要に応じて、用いられてもよい。利用者の皮膚または粘膜を通るいかなる薬剤も、その薬剤が配置されている1つまたは多数の透過性粘着剤層を通る限り、本発明の集合体において、内部投与用の薬剤として用いられてもよい。活性物質および熱可塑性素地ポリマーを押出機において溶融混合し、次いで、押出成形によって、活性物質層122,154または粘着剤層110,146に成形することが可能である。活性物質を含ませる他の周知のプロセス、例えば、溶剤混合も考えられる。
【0053】
本発明の集合体による投与用の適切な浸透性薬剤として、ニコチン、カフェイン、メソカルブ、メフェキサミド、THCのようなカンナビノール、などの精神活性物質、ジアゼパム、メピリジン、ウルダゼパム、チバメート、メタクラゼパム、テトラバルビトール、などの鎮静剤、アミトリプチリン、イミプラミン、デシプラミン、ニアラミド、メリトラセン、イソカルボキサジド、などの抗鬱剤、フェノバルビトール、カルバマゼピン、メトスクシミド、2−エチル−2−フェニルマロナミド(PEMA)、フェニトインなどの抗痙攣剤、プロジェステロン、テストステロン、プレグナンジオール、プロジェスチン、エストラジオール、アナボリックステロイド、などのステロイド、コデイン、モルヒネ、フェンタニル、アナロルフィン(analorphine)、デメラル(demeral)、などの麻薬性鎮痛剤を含む鎮痛剤、アセタミノフェン、アスピリン、などの鎮痛剤、スルコナゾール、シッカニン、シルバーサルファジアジン、ベンチアサイド(bentiacide)、などのような抗菌剤、アルプラゾラム、メプロバメート、などのような精神安定剤、スルフォスファミド、ルフォクロモマイシン(rufocromomycin)、などのような抗腫瘍剤、およびテトラサイクリン、ペニシリン、ストレプトゾシン、などのような抗生物質製剤が挙げられる。
【0054】
活性物質の含有量は、薬学的または生理学的に有効な投与率の活性物質をそれを必要とする利用者に与えるのに十分な量である。当業者であれば、以下に述べる例に示されるように、必要以上の実験を行なわなくても、この量を容易に決定することができるだろう。
【0055】
本発明の集合体100,136は、任意選択的に、律速ポリマー層を備えている。律速ポリマー層として用いるのに適するポリマーは、当技術分野において従来から知られているので、ここで詳細に検討する必要はない。いくつかの好ましい材料として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、共重合ポリエステル(例えば、ハイトレル(HYTREL、登録商標))、およびポリウレタンが挙げられる。
【0056】
律速ポリマー層を通る活性物質の透過の速度は、そのポリマー層に対する活性物質の親和性、活性物質の分子の大きさ、そのキャリア層のポリマー構造、およびその層の厚みのような因子に依存する。従って、適切な律速ポリマー材料とその厚みは、用いられる活性物質およびその所望の透過率に依存する。ポリマー層およびその厚みを選択することによって、必要に応じて、皮膚または粘膜への投薬率を制御するための手段が得られる。
【0057】
さらに、皮膚を通る活性物質の浸透を促進する促進剤が、活性物質層122,154、またはもし設けられているなら、律速ポリマー層または活性物質透過性粘着剤層のいずれかに含まれているとよい。促進剤は、これらの層に、溶媒混合、さらに好ましくは、活性物質を活性物質層122,154または粘着剤層110,146内のいずれかに含ませるのに用いたのと同じプロセスによる溶融混合によって、含ませられているとよい。なお、粘着剤層110,146が促進剤を含んでいてもよい。
【0058】
適切な促進剤として、米国特許第4,573,996号に記載される促進剤が挙げられる。例えば、シクロヘキサノール、ラウリルアルコール、などのような6〜12の炭素原子を有する一価、飽和、および未飽和の脂肪族および脂環族アルコール類;鉱油のような脂肪族および脂環族炭化水素類;シクロヘキサノンのような脂環族および芳香族アルデヒド類およびケトン類;N、N−ジエチルアセトアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アセトアミド、などのようなN、N−ジ(低級アルキル)アセトアミド類;ミリスチン酸イソプロピルおよびラウリシディン(Lauricidin)のような脂肪族および脂環族エステル類;デシルメチルスルホキシドのようなN、N−ジ(低級アルキル)スルホキシド類;エッセンシャルオイル類;N−メチル−2−ピロリドン、アゾンのようなニトロ化脂肪族および脂環族炭化水素類;サリチル酸塩類、ポリアルキレングリコールシリケート類;オレイン酸およびラウリン酸のような脂肪酸類、シネオールのようなテルペン類、ラウリル硫酸ナトリウムのような界面活性剤、ヘキサメチルシロキサンのようなシロキサン類;および上記の材料の混合物などである。
【0059】
裏当て層124,156は、好ましくは、その裏当て層124,156が接触し得る1つまたは多数の層、例えば、活性物質層122,154、粘着剤層110,146、およびそこに含まれる活性物質または成分、および粘着剤、などに対して実質的に不透過性である材料または材料の組合せから作製される。これに関連して、裏当て層124,156を設ける主な目的は、活性物質または成分が内側パッチ106,142の裏当て層124,156を通って下方にある粘着剤層110,146に移動または染み出すのを阻止することにある。また、裏当て層112,148は、特に活性物質が粘着剤層110,146内にも含まれているときは、活性物質に対して不透過性である同様の材料から作製されるとよい。裏当て層112,148は、特に活性物質が粘着剤層110,146内に含まれていないときは、活性物質に対して不透過性である必要はない。従って、裏当て層124,156は、あらゆる場合に、活性物質に対して不透過性である必要はない。
【0060】
不透過性という用語は、対象としている裏当て層または構成部品と接触する他の構成部品が、集合体の通常の使用期間中および集合体の通常の貯蔵中、このような層または構成部品を通る明らかな透過性を呈しないことを意味する。裏当て層に適するいくつかの材料として、例えば、セロハン、酢酸セルロース、エチルセルロース、可塑化酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリ塩化ビニリデン(例えば、サラン(SARAN、登録商標)、またはこれらの組合せ/積層品が挙げられる。
【0061】
集合体100,136は、集合体の表面、例えば、利用者の皮膚または粘膜に貼付される表面に取り付けられた剥離ライナを備えている。剥離ライナは、裏当て層に用いられるのに適する材料であって、かつ活性物質不透過性である材料と同じ材料から作製されるとよい。最も重要なことは、剥離ライナ104,140は、その両面に剥離可能な表面を有することである。従って、これらの剥離ライナは、例えば、その表面にケイ素被膜、テフロン(登録商標)被膜、または他の適切な被膜による従来の処理を行うことによって、粘着剤層または活性物質層から取除き可能、すなわち、剥離可能にされる。従って、これらの剥離ライナ104,140の両面にこのような被膜を施すことによって、外側パッチの粘着剤層110,146の表面から容易に剥離されるという目的が達成されるのみならず、内側パッチ106,143に存在する、例えば、内側パッチ106,143の外縁または表面に沿って存在するにいかなる粘着剤または他の材料からの剥離も可能になる。また、剥離ライナからの集合体100,136の取除きは、保護層を機械的に処理することによって、例えば、保護ライナをエンボス加工することによってなされてもよい。
【0062】
本発明に用いられる内側パッチと外側パッチとの間の剥離ライナは、その両面に剥離可能な表面を有するが、これは、多くの方法によって達成される。前述したように、単一の材料シートが用いられる実施形態では、剥離被膜は、このシートの両面に施される。この場合、剥離被膜が単一シートに施されてもよいが、片面に剥離可能な表面を有する従来の剥離ライナが、その反対側の面に第2の剥離表面を有するように、部分修正されてもよい。しかし、代替的に、本発明の剥離ライナ104,140は、2つ以上のシートからなるラミネートから作製されてもよい。例えば、2つのシートが用いられる実施形態では、2つの従来式片面剥離ライナフィルムを互いに貼り付け、これによって、両面に剥離被膜を有する積層シートを作製することもできる。加えて、2つの非被覆シートを互いに貼り付け、このような貼付けの後、これらのシートの両外面に剥離表面を形成することもできる。前述の方法の全てを考慮すれば、さらなる製造の融通性が得られる。例えば、種々の市販剥離フィルムまたは受注生産された剥離フィルムを片面または両面に同時にまたは別個に施すことができる。
【0063】
単一シート式または多重シート式剥離ライナ104,140のいずれの場合においても、本発明の好ましい一実施形態では、剥離ライナの両面に互いに同一の剥離被膜または互いに異なる剥離被膜を施すことができる。従って、特定の目的に対して、剥離ライナの片面または両面の剥離特性を選択的に変更することができる。例えば、被膜化した粘着剤を積層すれば、どの粘着状態が引き剥がしに対してより小さい剥離力またはより大きい剥離力を有するかを予期することができる。このようにして、例えば、異なる材料から多層ラミネートを構成したとき、または共通の粘着剤からなる多重層を作製したとき、新しい基材に対して、乾燥フィルムを引き剥がすことができ、または乾燥フィルムを粘着させることができる。従って、具体的な剥離力を定量化する場合、または剥離ライナ104,140の両面の剥離力を区別する場合、従来通りに、標準的な粘着テープを利用し、その粘着テープを剥離ライナから引き剥がすのに必要な力に基づいて、標準的な測定値を得ることができる。一方、仕上げられた製品の層を分離するのに必要な剥離力が、必要に応じて、直接定量化され、かつ一覧にされてもよい。
【0064】
積層構造が用いられる本発明の具体的な一実施形態では、ラミネートの1つの層が透明性を有する市販の片面剥離フィルムとすることができる。次いで、このフィルムが、(剥離被膜を有してもよいし、または有しなくてもよいが)、この場合、着色された剥離フィルムまたは不透明な剥離フィルムである市販のフィルムからなる第2のラミネートに貼り付けられる。具体的な一実施形態では、例えば、第2の剥離フィルムまたは不透明な剥離フィルムは、(必要に応じて、剥離剤が塗布される前または後に)非剥離表面に印刷が施されてもよい。このようにして、最終的に、印刷が前述の第1の透明な片面剥離層の剥離被膜を通して目で見える印刷された両面剥離フィルムが得られる。
【0065】
本発明において活性物質不透過性粘着剤として用いられる適切な感圧接着材料の例として、いくつかの天然ゴム粘着剤、合成ゴム粘着剤、および架橋可能な貼合せ用粘着剤が挙げられる。適切な天然ゴム粘着剤の例として、B.F.グッドリッチ・カンパニー(Goodrich Co.,)のR−1072、C.L.ハサウエイ(Hathaway)のNo.735、およびエヴァンス・セイントクレア(Evans St. Clair)のNo.5702が挙げられる。合成ゴム粘着剤の例として、ジョワット・コーポレーション(Jowat Corp.)のジョワセレム(Jowatherem、登録商標)270−00およびジョワセレムS−3202、およびナショナルスターチ(National Starch)の70−9416が挙げられる。他の適切な貼合せ用粘着剤として、ダウコーニング(Dow Corning)の貼合せ用シリコーン粘着剤およびロードコーポレーション(Lord Corporation)のタイセル(Tycel、登録商標)7900系列貼合せ用粘着剤が挙げられる。また、ニュージャージ州、ブリッジウォータのナショナルスターチ・アンド・ケミカルカンパニー(National Starch and Chemical Co.,)からデュロ−タク(DURO-TAK、登録商標)87−2516およびデュロ−タク87−2287の商品名で市販されているようなアクリル共重合体も考えられる。殆どの活性成分に対して殆ど不透過性である粘着剤は、当業者によく知られている架橋可能な貼合せ用粘着剤である。
【0066】
活性物質透過性粘着剤層は、好ましくは、感圧接着剤である。薬剤の浸透を許容する周知の皮膚科学的に容認される感圧接着剤のいずれも、本発明に用いることができる。いくつかの適切な透過性粘着剤として、アクリル樹脂またはメタクリル樹脂;ポリウレタンエラストマ;ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、およびポリ酢酸ビニルのようなビニルポリマー;ユリア樹脂;フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂;エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸酪酸セルロースおよびカルボキシメチルセルロースのようなセルロース誘導体;およびグアー、アカシア、ペクチン、澱粉、デストリア(destria)、ゼラチン、カゼインのような天然ゴム糊、などが挙げられる。なお、上記のアクリル樹脂またはメタクリル樹脂として、例えば、アクリル酸またはメタクリル酸と、n−ブタノール、イソペンタノール、2−メチルブタノール、1−メチル−ブタノール、1−メチル−ペンタノール、2−メチルペンタノール、3−メチルペンタノール、2−エチル−ブタノール、イソオクタノール、n−デカノール、またはn−ドデカノールのようなアルコール類とのアルコールエステルのポリマー単独、またはこのようなアルコールエステルと、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルコキシメチルアクリルアミド、N−アルコキシメチルメタクリルアミド、N−t−ブチル−アクリルアミド、イタコン酸、酢酸ビニル、N−分岐アルキルマレイン酸(アルキル基は、10〜24の炭素原子を有する)、ジアクリル酸グリコール、またはこれらのモノマーの混合物のようなエチレン性不飽和結合を含有するモノマーとの共重合体が挙げられる。
【0067】
他の適切な感圧接着剤として、ポリイソブチレン感圧接着剤、ゴム感圧接着剤、およびシリコーン感圧接着剤が挙げられる。これらの接着剤は、当技術分野においてよく知られているように、粘着付与剤や安定剤と混合されてもよい。
【0068】
活性物質の透過性に関して好ましい粘着剤として、好ましくは被覆重量が75から125g/m2の範囲内にある、アベリー・ケミカル・カンパニー(Avery Chemical Company)のAS−351HSXのようなアクリル共重合体接着剤が挙げられる。この感圧接着剤は、永久粘性膜をもたらす架橋可能なポリマーである。
【0069】
これらの目的に用いられる他のこのような粘着剤として、ナショナルスターチ・アンド・ケミカル・カンパニーからデュロ−タク80−1054の商品名で市販されているアクリル系感圧接着剤が挙げられる。この接着剤は、47.5%の固形分、3,000cpsの粘度、および2.9mmの可塑度(ウィリアムス(Williams))を有している。この接着剤は、通常、酢酸エチル、ヘプタン、イソプロピルアルコール、およびトルエンを含む溶媒系と共に用いられる。他のこのような粘着剤が、UCBグループからゲルバ(登録商標)マルチポリマーエマルション(GELVA Multipolymer Emulsion)2484の商品名で市販されている。この粘着剤は、59%の固形分および1,500から2,300cpsの粘度を有する安定水性アクリル系エマルション感圧接着剤からなる。他のアクリル系接着剤の例として、UCBのゲルバ(Gelva、登録商標)788および733、C.L.ハサウエイのPS−41、H.B.フラー(Fuller)のVr−0833、モルトン・ケミカル(Morton Chemical)のアドコット(Adcot、登録商標)73A207A、ナショナルスターチのNo.80−2404、80−1054、72−9056、および72−9399、ローム&ハース(Rohm & Haas)のNo.E−2015、E−2067、およびE−1960、ユニロイヤル・インコ-ポレィテッド(Uniroyal Inc.)のM−6112、およびW.R.グレース(Grace)のデラタック(Deratak、登録商標)74Lが挙げられる。適切なゴム接着剤として、ナショナルスターチのデュロ−タク36−6172およびモルトン・ケミカルのモルスティク(Morstik、登録商標)118が挙げられる。適切なシリコーン接着剤の例として、ダウ・コーニングの7−4502が挙げられる。
【0070】
皮膚または粘膜と接触するための透過性粘着剤層の幅(すなわち、表面積)および厚みは、活性物質または活性促進剤に十分な透過性を与え、皮膚または粘膜に十分に粘着し、かつ皮膚または粘膜に対して望ましい投与率を可能にする適切な表面積をもたらす幅および厚みである。これらの幅および厚みは、当技術分野において従来から知られているので、ここで詳細に検討する必要はない。
【0071】
活性物質層122,154は、好ましくは、一体ポリマー活性物質キャリア層である。従って、本質的に、これらの一体活性物質キャリア層は、活性物質または薬剤成分、または活性促進剤、またはそれらの両方との溶融混合によって混合され、基本的には、熱可塑性ポリマー素地からなる。しかし、共通の溶剤内において活性物質を素地ポリマーと混合し、次いで、溶媒を蒸発させ、プラスチック膜を形成するような一体ポリマー素地キャリア層も、考えられる。当業者によって容易に理解されるように、溶融混合のステップは、熱可塑性ポリマーの使用、すなわち、熱を受けたときに軟化かつ溶融し、次いで、冷却されたときにその元の状態に戻るポリマーの使用を必要とする。適切な熱可塑性素地ポリマーは、熱可塑性ポリウレタン、例えば、ポリエーテルポリウレタンが好ましい。これらのポリウレタンとして、ダウ・ケミカル・カンパニー(Dow Chemical Company)のペレセン(PELLETHANE、登録商標)、特に、その2363−80AE等級、K.J.クイン(Quin)のキューセイン(Q-THANE、登録商標)、B.F.グッドリッチのエステン(ESTANE、登録商標)、モベイ・ケミカル・カンパニー(Mobay Chemical Company)のトキシン(TXIN、登録商標)などの市販ポリウレタン組成物が挙げられる。
【0072】
また、適切な熱可塑性素地ポリマーとして、種々のポリエステル、例えば、種々の環状ポリエステルの共重合体、具体的には、デュポン(DuPont)のハイトレル(HYTREL、登録商標)、特にその4056等級、およびジェネラル・エレクトリック(General Electric)のロモド(Lomod、登録商標)(これらは、それぞれ、ポリエーテルプレポリマーとポリブチレンテレフタレート、およびポリエーテルプレポリマーとポリイソブチレンテレフタレートの共重合体である)、さらにイーストマン・ケミカル(Estman Chemical)のPCCEが挙げられる。他の適切なポリマーとして、エチレンメタクリル酸共重合体およびエチレンアクリル酸共重合体が挙げられる。例えば、ニュクレル(NUCREL、登録商標)699の商品名を有するエチレンメタクリル酸は、熱可塑性素地ポリマーとして、特に適している。
【0073】
本発明の集合体100,136の種々の層は、当技術分野において従来から知られている方法によって、積層体を形成するように組み合わされるとよい。このようなプロセスの1つでは、活性物質および熱可塑性素地ポリマーが、それらの2成分を溶融混合し、押出成形によって、ポリマー層を形成することによって、組み合わされる。他の既知のプロセスは、溶媒混合プロセスと呼ばれる。このプロセスでは、溶媒和成分を用いて形成された混合物が、剥離ライナのような基板に塗布され、次いで、乾燥される。溶融混合プロセスは、米国特許第6,010,715号にさらに詳細に記載されている。この特許の開示内容は、参照することによって、ここに含まれるものとする。
【0074】
本発明の集合体100,136の構成において、裏当て層、剥離層、粘着剤層、活性物質層、感圧接着剤層、活性物質透過性粘着剤層、活性物質不透過性粘着剤層、活性物質不透過層、活性物質透過性粘着剤層、などに用いられる種々の材料が知られている。適切な材料が、米国特許第5,064,422号、第5,123,900号、第5,503,844号、および第5,948,433号に開示されている。これらの特許の開示内容は、参照することによって、ここに含まれるものとする。
【0075】
図8〜10を参照すると、溶媒混合プロセスによって、集合体100,136を作製する方法の一例が示されている。集合体100に関連して説明すると、溶媒和ポリマー材料、例えば、感圧接着特性を有するポリマー材料を利用者の皮膚または粘膜に投与される活性物質と混合することによって、活性物質層122を形成する。具体的には、この活性物質ポリマー混合物を剥離ライナに塗布、乾燥、次いで、活性物質不透過性裏当て層と積層し、連続供給ロール160に巻き取る。剥離ライナを活性物質層から分離させ、背面切込みによってスリット132を形成し、その一方、活性物質層を内側パッチ106の所望の寸法および形状に型抜きする。剥離ライナおよび活性物質層を再接合させ、この後、余剰の活性物質層を剥がし取る。
【0076】
図9に示されるように、同様の溶媒混合プロセスにおいて、粘着剤層110を形成する感圧接着剤素地材料を(両面に剥離特性を有する)剥離ライナに塗布、乾燥、次いで、裏当て層と積層し、巻き取って、供給ロール162を形成する。剥離ライナを粘着剤層から剥がし、型抜きによって、開口114を形成し、かつ背面切込みによって、スリット120を形成する。この剥離ライナを粘着剤層と再接合させ、この後、余剰の粘着剤層を剥がし取る。
【0077】
図10を参照すると、支持された活性物質層122を、連続的プロセスで、支持された粘着剤層110を覆って整合させ、粘着剤層110に剥離ライナの開口を通して粘着させる。活性物質層用の剥離ライナを、適切な寸法および形状に切断し、この後、ギロチンプロセスによって、外側パッチ剥離層を切断し、完成した集合体100を形成する。
【0078】
図8〜10を参照して述べたような集合体100,136を作製する方法の上記の説明は、1つの例示にすぎないことを理解されたい。これに関連して、集合体100,136を作製する他の方法も考えられ、従って、ここに述べた方法が本発明の範囲を制限すると解釈されるべきではない。
【0079】
本発明は、積層された粘着剤ユニットの取扱いへのより一般的な適用に関連して著しい有用性を発揮することも分かっている。例えば、図11を参照すると、多数の粘着剤ユニットの内、2つの粘着剤ユニットが示されている。これらの粘着ユニットの各々は、粘着剤含有パッチまたはストリップ162を備えている。粘着剤含有パッチ162は、粘着剤層170が付着された裏当て層172から作製されている。これらの層の各々の粘着剤表面に、剥離層164が貼付されている。これらの剥離層164の各々は、単一の材料シート、材料ラミネート、または1つまたは複数のスリット180によって分離された多数の区域166,168を含んでいる。これらのユニットが、例えば、製造中に、積層された形態にあるとき、剥離層164の各々の下面167は、粘着剤被覆層162の各々の粘着剤層170の上面と粘着している。しかし、本発明によれば、これらの剥離層164の各々の上面は、その両部分166,16に剥離被膜も有している。この剥離層164は、粘着剤含有パッチの裏当て層172と接触しているが、ユニットの縁の周囲を越えて剥離層164の上面166,168と接触するいかなる粘着剤170も、上面166,168に対して(もし生じたら、製造プロセスを妨げることになる)いかなる付着をも生じることがない。このようにして、剥離層のいかなる表面への個々のユニットの不適切な付着をも防ぐことができる。加えて、剥離層164の下面167および上面166,168の剥離の程度を注意深く選択することによって、いかにユニットを互いに分離するか、いかに大きな力が分離に必要か、などを明確に制御することができる。
【0080】
梱包前に型抜きをする中間的経皮システム製造ステップを考慮することによって、本発明の有用性の他の例を示すことができる。個々のシステムを型抜きすることが望まれるが、これらのシステムを別の工程で梱包することも望まれるとき、型抜きシステムは、余分の粘着剤層が除去された後、連続的な剥離ライナを再巻き取りすることがある。ここで、粘着剤がロールの隣接する周回部分の連続的な剥離ライナの背面と接触する傾向にある場合、このロールが後続の処理ステップ中に巻き戻されると、型抜きシステムが変形または損傷することがある。しかし、両面に剥離剤を有する前述の剥離層であれば、ロールの互いに隣接する周回部分が互いに接着するのを防止することができる。
【0081】
ここでは、本発明を特定の実施形態を参照して説明したが、これらの実施形態が本発明の原理と適用の単なる例示にすぎないことを理解されたい。従って、例示した実施形態に対して多くの修正がなされ得ること、および他の構成が特許請求の範囲に記載される本発明の精神と範囲から逸脱することなく考案され得ることを理解されたい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、内側パッチおよび外側パッチが活性物質を外側パッチに含ませて設けられ、活性物質を含む環状フラップが下方にあるパッチの部分から完全に分離される、患者または利用者に活性物質を投与するのに用いられる経皮パッチシステムを提供する。従って、活性物質の全てを投与する極めて効率的なシステムが製造される。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の一実施形態による、利用者の皮膚または粘膜に貼り付けられる活性物質を放出するための集合体の組み立てられていない構成部品を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示される集合体の組み立てられた状態の断面図である。
【図3】図2に示される集合体の平面図である。
【図3A】図1に示される集合体の一部の他の実施形態の平面図である
【図4】利用者の皮膚または粘膜に貼付された図2に示される集合体の貼付け状態の断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態による、利用者の皮膚または粘膜に貼り付けられる活性物質を放出するための集合体の組み立てられていない構成部品を示す分解斜視図である。
【図6】図5に示される集合体の組み立てられた状態の断面図である。
【図7】図6に示される集合体の平面図である。
【図8−10】本発明による集合体を作製する方法の一実施形態を示す概略図である。
【図11】多数の粘着剤含有集合体を製造するシステム用の組み立てられていない構成部品の分解斜視図である。
【技術分野】
【0001】
[相互参照]
本出願は、2005年11月7日に「両面非接着剥離フィルム」の表題で出願された米国特許出願第11/296,604号の利得を主張し、この内容は、参照することによって、ここに含まれるものとする。
【0002】
[技術の分野]
本発明は、一般的には、利用者の皮膚または粘膜に貼付されるアタッチメント集合体に関する。さらに詳細には、本発明は、経皮パッチおよび外傷手当用品、およびそれらの製造方法に関する。さらに詳細には、本発明は、粘着剤パッチの製造の改良に関する。
【背景技術】
【0003】
患者または利用者の皮膚または粘膜に貼付されるアタッチメントのための種々のシステムの使用が、ますます重要になってきている。これらの集合体は、いかなる活性物質をも含まずに皮膚に直接貼付される外傷手当用品の形態であってもよいし、またはこのような貼付によって種々の活性物質または薬剤の経皮送達を行う経皮パッチの形態であってもよい。このような集合体を作製する一般的な手段に関して、粘着剤含有集合体または粘着剤含有パッチの取扱いを容易にする必要性、すなわち、これらの粘着剤含有集合体または粘着剤含有パッチを別々のユニットとして保持する必要性が高まっている。経皮パッチシステムに関して、種々の薬剤の使用法によって、具体的には、薬剤が、皮膚に粘着される粘着剤系との混合物、または外側薬剤透過性粘着剤層を含む非粘着剤系との混合物の形態で用いられることによって、問題が生じている。
【0004】
単純な一体型経皮システムは、活性物質すなわち薬剤を単一の感圧接着剤層内に直接含んでいる。これらのシステムは、薄くて、洗練され、かつ比較的作製が容易であるという利点を有するが、粘着剤素地の薬剤送達に対する最適化と、粘着剤素地の皮膚に対する粘着能力との間で妥協しなければならない。加えて、これらのシステムは、大量の取扱いおよび大量の製造に関して、いまだに課題が残っている。
【0005】
周知の「二重ディスク」経皮パッチは、小さい活性物質送達パッチを覆う大きい補助パッチを用いて、皮膚に対する粘着性を改良または確保している。内側パッチおよび外側パッチのそれぞれの粘着剤素地は、独立して、活性物質送達用または粘着用に最適化させることができる。内側パッチおよび外側パッチが互いに積層され、完全なシステムを形成すると、これらのパッチの粘着剤素地は、直接接触し、平衡状態に移行し始める。システムが平衡状態に向かうにつれて、時間に依存する変化、例えば、内側パッチから活性物質が失われ、同時に、外側パッチに活性物質が蓄積される。この現象によって、もし内側パッチの成分のいくつか、特に、活性物質送達を達成または持続するのに必要な成分が、外側パッチの粘着剤素地と明らかな親和性を有する場合、経皮パッチの性能に変化が生じることがある。さらに、この影響は、平衡に達するまで、時間と共にさらに大きくなる。
【0006】
2つの粘着剤素地が平衡状態に移行するのを防ぐ1つの解決策は、貯蔵中に、それらの物理的な分離を維持し、粘着剤同士を直接接触させないことである。皮膚に貼付されると、これらの粘着剤素地は、直接接触するが、典型的には2〜3年掛かる平衡に至る過程は、一般的には7日以内である経皮送達過程と比較して緩慢である。しかし、二重ディスク経皮パッチでは、活性物質を含む内側パッチの周縁は、覆っている外側パッチとその粘着剤素地に露出している。二重ディスク経皮パッチのこの構造によって、活性物質が内側パッチから周縁に沿って外側パッチの粘着剤素地に移動する可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの問題のいくつかに対する1つの解決策が、本出願の譲渡人が所有する米国特許出願公開第2005/0037059に記載されている。この出願は、貯蔵中に、内側パッチと外側パッチとの間で活性物質の移動が妨げられるように、内側パッチと外側パッチとの間に物理的なバリアを用いることを開示している。この開示によれば、内側パッチおよび外側パッチは、内側パッチの外側部分に周方向に延びる環状フラップを生成するように、互いに貼付され、使い捨ての剥離ライナが、この環状フラップと外側パッチの粘着材料との間に介在される。従って、活性物質を含む外側フラップは、外側パッチの粘着剤に剥離可能に貼合された剥離ライナによって、下方にある外側部分から隔離される、と述べられている。この製品は、極めて好結果が得られることが分かっているが、活性物質を含む環状フラップを下方にある外側パッチの部分から完全に分離するさらに効率的な製品が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、これらおよび他の目的は、利用者の皮膚または粘膜に貼付されるアタッチメント集合体を見出すことによって達成される。この集合体は、内面および外面を有する外側裏当て層と、外側裏当て層の内面に配置された第1の粘着剤層と、内側裏当て層と、第1の粘着剤層と内側裏当て層との間に配置された中間剥離ライナと、を備え、中間剥離ライナは、内面および外面を有し、中間剥離ライナの内面および外面の両方が、剥離可能な表面を含んでいる。好ましくは、中間剥離ライナは、少なくとも1つの開口領域を有し、第1の粘着剤層は、少なくとも1つの開口領域において内側裏当て層に接合される部分を含んでいる。
【0009】
本発明の集合体の一実施形態によれば、中間剥離ライナは、単一シートから構成され、単一シートは、単一シートの両面に配置された剥離可能な表面を有する。
【0010】
本発明の集合体の他の実施形態によれば、中間剥離ライナは、互いに貼合された少なくとも1対のシートを含むラミネートから構成され、1対のシートの各々は、内面および外面を有し、1対のシートのそれぞれの内面は、互いに隣接して配置され、1対のシートの外面の各々は、剥離可能な表面を含んでいる。
【0011】
本発明の集合体の他の実施形態によれば、中間剥離ライナは、活性物質不透過性材料を含む。好ましくは、中間剥離層は、第1の粘着剤層および内側裏当て層の両方に剥離可能に粘着される。
【0012】
本発明の集合体の他の実施形態によれば、第1の粘着剤層は、集合体を利用者の皮膚または粘膜に粘着させる感圧接着材料を含む。
【0013】
本発明の集合体の他の実施形態によれば、1対のシートの少なくとも一方は、透明シートを含む。好ましくは、1対のシートの他方は、不透明なシートを含む。好ましい実施形態では、集合体は、1対のシートの他方の内面に印刷された材料を含む。
【0014】
本発明によれば、複数の粘着剤被覆要素の取扱いのためのシステムが見出されている。このシステムは、内面および外面を有する外側裏当て層および外側裏当て層の内面に配置された第1の粘着剤層を含む第1の粘着剤被覆要素と、内面および外面を有し前記内面が内側裏当て層を有する第2の粘着剤被覆要素と、第1の粘着剤層と第2の粘着剤被覆要素の内側裏当て層との間に配置され、内面および外面を有する中間剥離ライナと、を備え、中間剥離ライナの内面および外面の両方が、剥離可能な表面を含む。好ましい実施形態では、中間剥離ライナは、単一シートから構成され、単一シートは、その両面に剥離可能な表面を有する。
【0015】
本発明のシステムの一実施形態によれば、中間剥離ライナは、互いに貼合された少なくとも1対のシートを含むラミネートから構成され、1対のシートの各々は、内面および外面を有し、1対のシートの内面は、互いに隣接して配置され、1対のシートの外面の各々は、剥離可能な表面を含んでいる。
【0016】
本発明のシステムの他の実施形態によれば、第1の粘着剤被覆要素および第2の粘着剤被覆要素は、利用者の皮膚または粘膜に放出される活性物質を含むのに適するようにされる。
【0017】
本発明のシステムの他の実施形態によれば、中間剥離ライナは、活性物質不透過性材料を含む。
【0018】
本発明のシステムの他の実施形態によれば、中間剥離層は、第1の粘着剤層および第2の粘着剤被覆要素の内側裏当て層の両方に剥離可能に接合される。
【0019】
本発明のシステムの他の実施形態によれば、第1の粘着剤層は、感圧接着材料を含む。
【0020】
本発明のシステムの他の実施形態によれば、中間剥離ライナの内面の剥離可能な表面は、第1の剥離力を有し、中間剥離ライナの外面の剥離可能な表面は、第2の剥離力を有し、第1の剥離力および第2の剥離力は、互いに異なる。
【0021】
従って、本発明の集合体は、多数の層状システムの取扱いを可能にするのみならず、貯蔵中に、内側パッチと外側パッチと間に物理的なバリアを保持することによって、内側パッチと外側パッチとの間で活性物質が移動するのを阻止する。実際、この集合体は、小さい粘着剤システムの縁に露出した粘着剤が、大きいシステムの剥離フィルムに付着するのを阻止し、これによって、過去に知られているよりもさらに効率的に活性物質の移動を阻止することができる。本発明の集合体または装置を積層された粘着剤ユニットの取扱いに適用してみれば、これらの集合体が、経皮パッチに制限されず、または活性物質が利用者の皮膚または粘膜に用いられるいかなるシステムにも制限されないことが明らかである。すなわち、本システムは、広い範囲にわたって、粘着剤含有集合体、例えば、粘着剤含有パッチの内層と外層との間において、集合体のいかなる成分、例えば、活性物質および非活性物質、および非活性賦形剤、浸透促進剤、可塑剤、などを含む他の含有物が移動するのを阻止することが可能である。
【0022】
さらに具体的には、一実施形態において、本発明の集合体または装置は、粘着剤外側パッチに外側パッチ用の剥離ライナに設けられた開口を通して恒久的に接合された活性物質含有内側パッチを含む二重ディスクシステムの形態にある。内側パッチは、活性物質不透過性裏当て層と、利用者の皮膚または粘膜に送達される活性物質を含む活性物質層(粘着剤素地層であってもよい)と、使い捨て剥離ライナと、を備えている。外側パッチは、裏当て層と、追加的な活性物質を含んでもよい粘着剤素地層と、好ましくは活性物質不透過性材料からなる使い捨て剥離ライナと、を備え、この剥離ライナは、内面および外面の両方に剥離可能な表面を含んでいる。外側パッチの剥離ライナの開口が、外側パッチ粘着剤素地の一部を露出させる。開口は、活性物質内側パッチよりも小さい大きさを有し、使用前に内側パッチと外側パッチとの間の接触を阻止しながら、内側パッチに対してアンカーポイント(固定点)をもたらす。
【0023】
本発明の一実施形態では、活性物質を利用者の皮膚または粘膜に放出する集合体が記載されている。この集合体は、粘着特性を有する外層と、活性物質不透過層を有する内層であって、外層に接合される一部を有する内層と、不透過層の一部と外層の一部との間に介在された剥離ライナと、を備え、剥離ライナを取り除くことによって、集合体を利用者の皮膚または粘膜に貼付される外層を露出させる。
【0024】
本発明によれば、利用者の皮膚または粘膜に貼付されるアタッチメント集合体の製造用の積層された複数の構成部品が考案されている。この積層された複数の構成部品は、内面および外面を有する第1の複数の外側裏当て層および複数の外側裏当て層の内面に配置された第1の粘着剤層と、内面および外面を有する第2の複数の中間剥離ライナであって、複数の中間剥離ライナの内面および外面の両方が、剥離可能な表面を含む、第2の複数の中間剥離ライナと、を備え、第1の複数の外側裏当て層および第2の複数の中間剥離ライナは、互いに接着することなく、互いに積層可能とされる。好ましい実施形態では、中間剥離ライナは、単一シートから構成され、単一シートは、単一シートの両面に配置される剥離可能な表面を有する。
【0025】
本発明の積層された複数の構成部品の一実施形態によれば、中間剥離ライナは、互いに貼合された少なくとも1対のシートを含むラミネートから構成され、1対のシートの各々は、内面および外面を有し、1対のシートの内面は、互いに隣接して配置され、1対のシートの外面の各々は、剥離可能な表面を含んでいる。
【0026】
本発明の積層された複数の構成部品の他の実施形態によれば、第1の粘着剤層は、集合体を利用者の皮膚または粘膜に粘着させる感圧接着材料を含む。好ましい実施形態では、1対のシートの少なくとも1つは、透明シートを含む。好ましくは、1対のシートの他方は、不透明なシートを含む。好ましい実施形態では、1対のシートの他方の内面に印刷された材料を備えている。
【0027】
本発明によれば、利用者の皮膚または粘膜に貼付されるアタッチメント集合体の製造に用いられる粘着剤層を製造する方法も見出されている。この方法は、第1の表面および第2の表面を有する剥離ライナに粘着剤層を被覆する段階であって、第1の表面および第2の表面は、剥離可能な表面を有する段階と、剥離ライナの第1の表面に裏当て層を積層する段階と、粘着剤層から剥離ライナを一時的に取り外す段階と、剥離ライナを型抜きする段階と、剥離ライナを裏当て層に再接合する段階と、を含む。好ましくは、型抜き段階は、剥離ライナを複数の剥離ライナ部分に切り離すことを含む。好ましい実施形態では、型抜きは、剥離ライナに開口を穿孔することを含む。
【0028】
本発明の方法の一実施形態によれば、この方法は、被覆剥離ライナを乾燥することを含む。
【0029】
本発明の方法の他の実施形態によれば、この方法は、粘着剤層から残部を除去することを含む。
【0030】
本発明の方法の他の実施形態によれば、この方法は、再接合された剥離ライナおよび裏当て層をロールに巻き付けることを含む。
【0031】
本発明の主題は、明細書の結論の部分において、特に指摘され、かつ明瞭に主張されている。しかし、本発明は、その特徴、目的および利点と共に、実施の構成と方法の両方に関して、以下の詳細な説明を添付の図面と共に参照することによって、最もよく理解されるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図面に示される本発明の好ましい実施形態を説明する上で、明瞭にするため、特定の用語を用いている。しかし、本発明は、そのように選択された特定の用語に制限されるものではなく、特定の用語は、それぞれ、同様の目的を果たすために同様の方法で機能するあらゆる技術的な等価物を含むことを理解されたい。
【0033】
以下、図面について説明するが、これらの図面において、同様の参照番号は、同様の要素を表すものとする。図1には、本発明の一実施形態による一種または複数種の活性物質を利用者の皮膚または粘膜に投与する集合体の組み立てられていない構成部品が示されている。集合体100は、概して、外側パッチ102、外側パッチ剥離層104、内側パッチ106、および内側パッチ剥離層108を備えている。外側パッチ102、内側パッチ106、および剥離層104,108は、典型的には平面的な層であり、互いに組み合わされ、以下に述べる二重ディスク集合体の形態にある積層複合構造を形成する。
【0034】
外側パッチ102は、柔軟な粘着剤層110、および粘着剤層110に貼付された同じ大きさの保護用裏当て層112を備えている。粘着剤層110は、集合体100を利用者の皮膚または粘膜に貼付する役割の大半を担っている。好ましくは、粘着剤層110は、利用者の皮膚または粘膜への接触に適する、例えば、皮膚科学的に容認される感圧接着剤である。任意選択的に、粘着剤層は、利用者に投与される活性物質または他の薬剤と混合されていてもよい。この場合、粘着剤層110は、活性物質の投与を可能とする活性物質透過性材料から形成される。
【0035】
裏当て層112は、好ましくは、粘着剤層110の下面と同じ大きさの薄いシートである。集合体100が貼付される皮膚の領域を考慮して、美容上の理由および/または識別マークを付すために、裏当て層112は、肌色であるとよい。裏当て層112は、通常、集合体100を支持すると共に、集合体100に保護被覆をもたらす。裏当て層112は、活性物質不透過性材料または活性物質透過性材料のシートから形成されるとよい。好ましくは、裏当て層112は、活性物質が粘着剤層110に含まれているときは、活性物質不透過性材料から形成される。
【0036】
外側パッチ剥離層104は、粘着剤層110に対して、かつ内側パッチ106の柔軟な活性物質層122および/または粘着剤層126に対して、粘着剤層が大気の埃または他の汚れによって機能を失わないように保護すると共に、以下に述べる活性物質移動バリアをもたらすために、集合体100が使用される前まで、粘着剤層110の上面を覆っている。剥離層104は、少なくとも粘着剤層110の周縁まで延在するのに十分な表面積および形状を有している。剥離層104の開口114から、下方にある外側パッチ102の粘着剤層110の上面の一部が露出している。剥離層104は、単一の材料シートとして形成されてもよいし、または1つまたは複数のスリット120によって分離された多数の区域116,118として形成されてもよい。好ましくは、剥離層104は、活性物質不透過性材料のシートから形成され、これによって、内側パッチ106および外側パッチ102の両方における活性物質に対して、移動バリアをもたらす。
【0037】
内側パッチ106は、柔軟な活性物質層122、および活性物質層122の下面に貼付された同じ大きさの活性物質不透過性裏当て層124を備えている。活性物質層122は、活性物質または薬剤成分、および任意選択的に、活性物質促進剤と混合される熱可塑性ポリマー素地から形成されるとよい。活性物質層122用のポリマー素地は、好ましくは、感圧接着特性を有し、または代替的に、活性物質層は、仮想線で示されるように、活性物質透過性接着剤層126によって被覆されてもよい。
【0038】
内側パッチ剥離層108は、スリット132によって分離された1つまたは複数の区域128,130からなる、剥離層104と同様のシートとして形成されるとよい。剥離層108は、少なくとも活性物質層122の上面の周囲まで延在する表面積および形状を有している。剥離層108は、活性物質の放出を防ぐために、集合体100が使用される前まで、活性物質層122の上面を覆っている。活性物質層122が感圧接着特性を有するかまたは活性物質透過性粘着剤層で覆われているとき、剥離層108は、活性物質層122を大気の埃または他の汚れによって機能を失わないように保護する。
【0039】
図2,3に、略平面的な多数の層からなる積層複合集合体の形態にある、組み立てられた状態の集合体100が示されている。剥離ライナ104は、剥離可能な表面115,117を有し、これによって、外側パッチ102の粘着剤層110の上面にその全体にわたって接触して剥離可能に貼付されると共に、活性物質透過性裏当て層124の外面にその全体にわたって接触して、従って、活性物質層122および/または粘着剤層126のいかなる活性物質および/または粘着剤および/またはいかなる他の成分に対しても、剥離可能に貼付されている。
【0040】
剥離ライナ104が単一の材料シートから構成される場合、剥離被膜は、剥離ライナ104の両面に施されねばならない。一般的に用いられる剥離被膜は、ケイ素被膜、テフロン(登録商標)被膜、または剥離層の作製に従来から用いられている他の適切なこのような被膜からなる。これらの被膜の例として、例えば、シリコーン基粘着剤と適合するフッ化炭素被膜およびフッ化シリコーン被膜が挙げられる。
【0041】
剥離層104の開口114から、下方にある粘着剤層110の上面の一部が露出している。内側パッチ106は、開口114内に露出した粘着剤層110に不透過性裏当て層124を接合させることによって、外側パッチ102に貼付されている。開口114の表面積は、内側パッチ106の表面積よりも小さい。この結果、内側パッチ106は、開口114を包囲するフラップの形態にある環状部を有し、この環状部は、剥離ライナ104の介在部分によって、粘着剤層110に接合されていない。同様に、活性物質層122の周縁および/または粘着剤層126の周縁は、剥離ライナ104の一部によって、粘着剤層110から分離されている。すなわち、剥離可能な表面115が剥離層104上に存在することによって、この活性物質、粘着剤、または他の成分が剥離層104の表面に付着することが妨げられる。従って、不透過性裏当て層124および不透過性剥離層104は、活性物質層122を隔離し、使用前の集合体100の貯蔵中に活性物質が活性物質層から粘着剤層110に移動するのを阻止するのみならず、粘着剤層126の粘着剤が内側パッチ106の縁から移動し、剥離ライナ104の剥離前の被覆表面に付着し、使用前の剥離ライナの取除きを妨げるのを阻止する。
【0042】
集合体100は、剥離層104,108を取り除くことによって、利用者の皮膚または粘膜への貼付の準備がなされる。剥離層104の取除きを容易にするために、この剥離層の少なくとも一部が、下方にある粘着剤層110の周囲を超えて延在していると好ましい。拡張部分は、図3に示されるように、粘着剤層110の全周または一部を包囲するタブまたは環状部分の形態にあるとよい。このようにして、剥離層104の各区域116,118を取除き、活性物質を含む内側パッチ106を包囲する粘着剤層110の上面を露出させるとよい。粘着剤層110の露出した表面部分は、使用中に集合体100を利用者の皮膚または粘膜に貼付させるのに十分な表面積を有している。区域116,118がスリット120によって分離されているので、区域116,118の取除きは、個別になされる。これによって、開口114を包囲する区域116,118の一部が粘着剤層110と内側パッチ106の不透過性裏当て層124との間に介在しているにもかかわらず、区域116,118を取り除くことが可能となる。最も重大なことは、剥離ライナ104の両面に剥離可能な表面115,117が存在することによって、剥離ライナ104のいずれかの面への付着を生じることなく、またはユーザの指がいずれかの粘着剤に接触することなく、この操作を滑らかに行うことができる点にある。
【0043】
同様に、片面のみ、すなわち、粘着剤層126および/または活性物質層122と向き合う面のみに剥離可能な表面を必要とする剥離層108は、区域128,130の拡張部分を掴むことによって、活性物質層122の上面から取り除かれる。従って、可能であれば、剥離層108の区域128,130の各々が、内側パッチ106の周囲を越えて延在する拡張部分を有するとよく、場合によっては、そのような拡張部分を有することが望ましいこともある。例えば、図3Aを参照すると、内側パッチ剥離層108の区域128,130は、内側パッチ106の周囲よりも大きい外周を有し、好ましくは、剥離層108の両端に、拡張されたタブ状の区域128a,130aをさらに有している。このようにして、好ましくは、外側パッチ剥離層104が取り除かれた後、タブ128a,130aを摘み、内側パッチ剥離層108の部分128,130を取り除くことによって、内側パッチ剥離層108を取り除くことができる。集合体100は、図4に示されるように、活性物質層122を利用者に接触させて、利用者134の皮膚または粘膜に貼付される。活性物質が本発明の集合体によって投与される利用者は、薬剤または他の活性物質が所望の効能を発揮するいかなる利用者でもよい。利用者は、例えば、ヒトのような哺乳動物、さらに、いかなる温血動物または冷血動物でもよい。活性物質の投与は、治療または試験において、有利になされている。さらに、本発明の集合体100は、他のいかなる有利な目的に用いられてもよい。
【0044】
剥離層108の拡張区域は、図3Aに関して前述したのと同様でもよいし、剥離層104に関して前述したのと同様でもよい。しかし、剥離層104,108は、それぞれ、必ずしも下方にある粘着剤層110および活性物質層122の周囲を越えて延在している必要はないことを理解されたい。剥離層104,108の拡張は、集合体100を貼付ける前に、ユーザによる剥離層の取除きを容易にするにすぎない。
【0045】
集合体100の個々の構成部品は、単なる例示の目的で、矩形の形状に示されているにすぎない。集合体100およびその構成部品は、他のいかなる形状、例えば、正方形、丸、楕円、などの形状を有してもよいことを理解されたい。例えば、外側パッチ102が正方形状を有する一方、内側パッチ106が円形でもよい。加えて、開口114が矩形であることは、本発明の要件ではなく、開口114は、多角形、例えば、六角形でもよく、または剥離層104に複数の非連続的な開口として形成されてもよい。開口114は、集合体100を組み立てるときに、内側パッチ106を外側パッチ102に接合することができるという1つの機能を果たしている。加えて、内側パッチ106の表面積と関連付けられる開口114の表面積は、介在する剥離層104によって粘着剤層110から分離される内側パッチの周囲部分の大きさを画成する。従って、開口114の大きさ、形状、および位置は、例えば、活性物質層122内の活性物質の移動率に基づく活性物質の移動に適合するように、調整可能である。加えて、開口114の大きさを調整することによって、粘着剤層間における活性物質の移動、すなわち、粘着剤層110から開口114を通って活性物質層122および/または粘着剤層126への活性物質の移動を生じさせることもできる。
【0046】
図5〜7を参照すると、活性物質を利用者の皮膚または粘膜に投与するのに適する集合体136の他の実施形態が開示されている。集合体136は、一態様では、その構成部品の形状が集合体100と異なっている。この関連で、集合体136は、円形の外側パッチ138、正方形または矩形の外側パッチ剥離層140、円形の内側パッチ142、および円形の内側パッチ剥離層144を備えている。
【0047】
外側パッチ138は、粘着剤層146、および粘着剤層146と同じ大きさの外側裏当て層148を備えている。粘着剤層146は、感圧接着剤の形態にあるとよく、任意選択的に、利用者に投与される活性物質または他の薬剤と混合されてもよい。この場合、裏当て層148は、活性物質不透過性材料のシートの形態にある。
【0048】
剥離層140は、剥離層104と同様、好ましくは、活性物質不透過性材料のシートから形成され、この活性物質不透過性材料のシートは、その両面にそれぞれ剥離可能な表面153,155を有することによって、外側パッチ138の粘着剤層146の上面に剥離可能に貼付されると共に、内側パッチ142の活性物質層154(代替的に、粘着剤層126)の露出した縁にも剥離可能に貼付されている。剥離層140は、粘着剤層146の上面の一部を露出させる開口150を有し、この開口150を通して、内側パッチ142が貼付されている。剥離層の外縁から開口150に延在するスリット152によって、剥離層140の取除きが容易になる。
【0049】
内側パッチ142は、活性物質層154を備えている。この活性物質層154は、集合体136を利用者の皮膚または粘膜に(少なくとも部分的に)粘着させる感圧接着特性を有するようなポリマー材料と活性物質または他の成分の混合物であるとよい。すなわち、利用者の皮膚または粘膜に確実に貼付される集合体136の全体的な能力は、内側パッチ142と外側パッチ138の両方、およびそれらの粘着剤に依存する。活性物質層154の上面が活性物質透過性粘着剤層126によって被覆されてもよいが、図2に関して説明した粘着剤層126の場合と同じように、この粘着剤層は、排除されてもよく、従って、任意選択的に設けられるとよい。また、図示されていないが、内側パッチ142が、内側パッチ142の表面から利用者の皮膚または粘膜に放出される活性物質の割合を制御するための手段をもたらす律速ポリマー層を含むことも考えられる。この律速ポリマー層は、いかなる適切な活性物質透過性粘着剤、例えば、活性物質層154または粘着剤層126に対して用いられる粘着剤を用いて、活性物質層154の表面に貼付されてもよい。
【0050】
内側パッチ142は、活性物質層154の下面に貼付された活性物質不透過性裏当て層156をさらに備えている。不透過性裏当て層156は、活性物質層154の感圧接着特性を用いて貼付されていてもよいし、または、好ましくは活性物質不透過性粘着剤の層(図示せず)によって、貼付されていてもよい。剥離層144は、剥離層108と同様、利用者への貼り付けおよび治療の開始の前に、活性物質の放出を防ぐと共に内側パッチの粘着特性への汚れを阻止するために、内側パッチ142の活性物質層154、代替的に、粘着剤層126に剥離可能に貼付されている。従って、剥離層144は、剥離層140の両面の剥離可能な表面153または剥離可能な表面155に対応する単一の剥離可能な表面しか必要としないことが分かるだろう。従って、剥離層144の反対側の面、すなわち、内側パッチ142の活性物質層154または粘着剤層126のいずれかと接触する面と反対側の面は、剥離可能な表面を必要としない。何故なら、その表面は、剥離されるべきいかなる表面とも接触しないからである。
【0051】
剥離層140の一部は、内側パッチ142の下面の一部と外側パッチ138の粘着剤層146の上面との間に介在している。内側パッチ142、剥離層140、および外側パッチ138は、互いに位置合わせされ、かつ積層され、剥離層140の環状部分が内側パッチ142の外縁と剥離層の開口150の内縁との間に介在する集合体を形成する。内側パッチ142の外縁と開口150の内縁とを分離するこの環状領域が、活性物質層154を粘着剤層146から隔離し、これらの層154,146間におけるいかなる活性物質の移動をも妨げる。同様に、剥離ライナ140の上面の剥離可能な表面153の存在が、粘着剤層126からのいかなる粘着剤の移動をも、さらに具体的には、内側パッチ142を剥離層140の表面153に貼付する粘着剤層126の露出した縁からのいかなる粘着剤の移動をも妨げる。剥離層140を取り除くと、粘着剤層146の上面の環状部分は、内側パッチ142の周囲を囲んで露出する。粘着剤層146は、集合体136を利用者の皮膚または粘膜に貼付するのに十分な粘着力をもたらす。集合体136の粘着は、任意選択的に、感圧接着特性を有するかまたは活性物質透過性粘着剤層126を含む内側パッチ142によって強化されてもよい。
【0052】
前述したように、活性物質または薬剤は、活性物質層122,154、および任意選択的に、粘着剤層110,146に含まれている。活性物質は、例えば、浸透性薬剤でもよいし、または局所性薬剤でもよい。個々の活性物質またはその混合物が、必要に応じて、用いられてもよい。利用者の皮膚または粘膜を通るいかなる薬剤も、その薬剤が配置されている1つまたは多数の透過性粘着剤層を通る限り、本発明の集合体において、内部投与用の薬剤として用いられてもよい。活性物質および熱可塑性素地ポリマーを押出機において溶融混合し、次いで、押出成形によって、活性物質層122,154または粘着剤層110,146に成形することが可能である。活性物質を含ませる他の周知のプロセス、例えば、溶剤混合も考えられる。
【0053】
本発明の集合体による投与用の適切な浸透性薬剤として、ニコチン、カフェイン、メソカルブ、メフェキサミド、THCのようなカンナビノール、などの精神活性物質、ジアゼパム、メピリジン、ウルダゼパム、チバメート、メタクラゼパム、テトラバルビトール、などの鎮静剤、アミトリプチリン、イミプラミン、デシプラミン、ニアラミド、メリトラセン、イソカルボキサジド、などの抗鬱剤、フェノバルビトール、カルバマゼピン、メトスクシミド、2−エチル−2−フェニルマロナミド(PEMA)、フェニトインなどの抗痙攣剤、プロジェステロン、テストステロン、プレグナンジオール、プロジェスチン、エストラジオール、アナボリックステロイド、などのステロイド、コデイン、モルヒネ、フェンタニル、アナロルフィン(analorphine)、デメラル(demeral)、などの麻薬性鎮痛剤を含む鎮痛剤、アセタミノフェン、アスピリン、などの鎮痛剤、スルコナゾール、シッカニン、シルバーサルファジアジン、ベンチアサイド(bentiacide)、などのような抗菌剤、アルプラゾラム、メプロバメート、などのような精神安定剤、スルフォスファミド、ルフォクロモマイシン(rufocromomycin)、などのような抗腫瘍剤、およびテトラサイクリン、ペニシリン、ストレプトゾシン、などのような抗生物質製剤が挙げられる。
【0054】
活性物質の含有量は、薬学的または生理学的に有効な投与率の活性物質をそれを必要とする利用者に与えるのに十分な量である。当業者であれば、以下に述べる例に示されるように、必要以上の実験を行なわなくても、この量を容易に決定することができるだろう。
【0055】
本発明の集合体100,136は、任意選択的に、律速ポリマー層を備えている。律速ポリマー層として用いるのに適するポリマーは、当技術分野において従来から知られているので、ここで詳細に検討する必要はない。いくつかの好ましい材料として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、共重合ポリエステル(例えば、ハイトレル(HYTREL、登録商標))、およびポリウレタンが挙げられる。
【0056】
律速ポリマー層を通る活性物質の透過の速度は、そのポリマー層に対する活性物質の親和性、活性物質の分子の大きさ、そのキャリア層のポリマー構造、およびその層の厚みのような因子に依存する。従って、適切な律速ポリマー材料とその厚みは、用いられる活性物質およびその所望の透過率に依存する。ポリマー層およびその厚みを選択することによって、必要に応じて、皮膚または粘膜への投薬率を制御するための手段が得られる。
【0057】
さらに、皮膚を通る活性物質の浸透を促進する促進剤が、活性物質層122,154、またはもし設けられているなら、律速ポリマー層または活性物質透過性粘着剤層のいずれかに含まれているとよい。促進剤は、これらの層に、溶媒混合、さらに好ましくは、活性物質を活性物質層122,154または粘着剤層110,146内のいずれかに含ませるのに用いたのと同じプロセスによる溶融混合によって、含ませられているとよい。なお、粘着剤層110,146が促進剤を含んでいてもよい。
【0058】
適切な促進剤として、米国特許第4,573,996号に記載される促進剤が挙げられる。例えば、シクロヘキサノール、ラウリルアルコール、などのような6〜12の炭素原子を有する一価、飽和、および未飽和の脂肪族および脂環族アルコール類;鉱油のような脂肪族および脂環族炭化水素類;シクロヘキサノンのような脂環族および芳香族アルデヒド類およびケトン類;N、N−ジエチルアセトアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アセトアミド、などのようなN、N−ジ(低級アルキル)アセトアミド類;ミリスチン酸イソプロピルおよびラウリシディン(Lauricidin)のような脂肪族および脂環族エステル類;デシルメチルスルホキシドのようなN、N−ジ(低級アルキル)スルホキシド類;エッセンシャルオイル類;N−メチル−2−ピロリドン、アゾンのようなニトロ化脂肪族および脂環族炭化水素類;サリチル酸塩類、ポリアルキレングリコールシリケート類;オレイン酸およびラウリン酸のような脂肪酸類、シネオールのようなテルペン類、ラウリル硫酸ナトリウムのような界面活性剤、ヘキサメチルシロキサンのようなシロキサン類;および上記の材料の混合物などである。
【0059】
裏当て層124,156は、好ましくは、その裏当て層124,156が接触し得る1つまたは多数の層、例えば、活性物質層122,154、粘着剤層110,146、およびそこに含まれる活性物質または成分、および粘着剤、などに対して実質的に不透過性である材料または材料の組合せから作製される。これに関連して、裏当て層124,156を設ける主な目的は、活性物質または成分が内側パッチ106,142の裏当て層124,156を通って下方にある粘着剤層110,146に移動または染み出すのを阻止することにある。また、裏当て層112,148は、特に活性物質が粘着剤層110,146内にも含まれているときは、活性物質に対して不透過性である同様の材料から作製されるとよい。裏当て層112,148は、特に活性物質が粘着剤層110,146内に含まれていないときは、活性物質に対して不透過性である必要はない。従って、裏当て層124,156は、あらゆる場合に、活性物質に対して不透過性である必要はない。
【0060】
不透過性という用語は、対象としている裏当て層または構成部品と接触する他の構成部品が、集合体の通常の使用期間中および集合体の通常の貯蔵中、このような層または構成部品を通る明らかな透過性を呈しないことを意味する。裏当て層に適するいくつかの材料として、例えば、セロハン、酢酸セルロース、エチルセルロース、可塑化酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリ塩化ビニリデン(例えば、サラン(SARAN、登録商標)、またはこれらの組合せ/積層品が挙げられる。
【0061】
集合体100,136は、集合体の表面、例えば、利用者の皮膚または粘膜に貼付される表面に取り付けられた剥離ライナを備えている。剥離ライナは、裏当て層に用いられるのに適する材料であって、かつ活性物質不透過性である材料と同じ材料から作製されるとよい。最も重要なことは、剥離ライナ104,140は、その両面に剥離可能な表面を有することである。従って、これらの剥離ライナは、例えば、その表面にケイ素被膜、テフロン(登録商標)被膜、または他の適切な被膜による従来の処理を行うことによって、粘着剤層または活性物質層から取除き可能、すなわち、剥離可能にされる。従って、これらの剥離ライナ104,140の両面にこのような被膜を施すことによって、外側パッチの粘着剤層110,146の表面から容易に剥離されるという目的が達成されるのみならず、内側パッチ106,143に存在する、例えば、内側パッチ106,143の外縁または表面に沿って存在するにいかなる粘着剤または他の材料からの剥離も可能になる。また、剥離ライナからの集合体100,136の取除きは、保護層を機械的に処理することによって、例えば、保護ライナをエンボス加工することによってなされてもよい。
【0062】
本発明に用いられる内側パッチと外側パッチとの間の剥離ライナは、その両面に剥離可能な表面を有するが、これは、多くの方法によって達成される。前述したように、単一の材料シートが用いられる実施形態では、剥離被膜は、このシートの両面に施される。この場合、剥離被膜が単一シートに施されてもよいが、片面に剥離可能な表面を有する従来の剥離ライナが、その反対側の面に第2の剥離表面を有するように、部分修正されてもよい。しかし、代替的に、本発明の剥離ライナ104,140は、2つ以上のシートからなるラミネートから作製されてもよい。例えば、2つのシートが用いられる実施形態では、2つの従来式片面剥離ライナフィルムを互いに貼り付け、これによって、両面に剥離被膜を有する積層シートを作製することもできる。加えて、2つの非被覆シートを互いに貼り付け、このような貼付けの後、これらのシートの両外面に剥離表面を形成することもできる。前述の方法の全てを考慮すれば、さらなる製造の融通性が得られる。例えば、種々の市販剥離フィルムまたは受注生産された剥離フィルムを片面または両面に同時にまたは別個に施すことができる。
【0063】
単一シート式または多重シート式剥離ライナ104,140のいずれの場合においても、本発明の好ましい一実施形態では、剥離ライナの両面に互いに同一の剥離被膜または互いに異なる剥離被膜を施すことができる。従って、特定の目的に対して、剥離ライナの片面または両面の剥離特性を選択的に変更することができる。例えば、被膜化した粘着剤を積層すれば、どの粘着状態が引き剥がしに対してより小さい剥離力またはより大きい剥離力を有するかを予期することができる。このようにして、例えば、異なる材料から多層ラミネートを構成したとき、または共通の粘着剤からなる多重層を作製したとき、新しい基材に対して、乾燥フィルムを引き剥がすことができ、または乾燥フィルムを粘着させることができる。従って、具体的な剥離力を定量化する場合、または剥離ライナ104,140の両面の剥離力を区別する場合、従来通りに、標準的な粘着テープを利用し、その粘着テープを剥離ライナから引き剥がすのに必要な力に基づいて、標準的な測定値を得ることができる。一方、仕上げられた製品の層を分離するのに必要な剥離力が、必要に応じて、直接定量化され、かつ一覧にされてもよい。
【0064】
積層構造が用いられる本発明の具体的な一実施形態では、ラミネートの1つの層が透明性を有する市販の片面剥離フィルムとすることができる。次いで、このフィルムが、(剥離被膜を有してもよいし、または有しなくてもよいが)、この場合、着色された剥離フィルムまたは不透明な剥離フィルムである市販のフィルムからなる第2のラミネートに貼り付けられる。具体的な一実施形態では、例えば、第2の剥離フィルムまたは不透明な剥離フィルムは、(必要に応じて、剥離剤が塗布される前または後に)非剥離表面に印刷が施されてもよい。このようにして、最終的に、印刷が前述の第1の透明な片面剥離層の剥離被膜を通して目で見える印刷された両面剥離フィルムが得られる。
【0065】
本発明において活性物質不透過性粘着剤として用いられる適切な感圧接着材料の例として、いくつかの天然ゴム粘着剤、合成ゴム粘着剤、および架橋可能な貼合せ用粘着剤が挙げられる。適切な天然ゴム粘着剤の例として、B.F.グッドリッチ・カンパニー(Goodrich Co.,)のR−1072、C.L.ハサウエイ(Hathaway)のNo.735、およびエヴァンス・セイントクレア(Evans St. Clair)のNo.5702が挙げられる。合成ゴム粘着剤の例として、ジョワット・コーポレーション(Jowat Corp.)のジョワセレム(Jowatherem、登録商標)270−00およびジョワセレムS−3202、およびナショナルスターチ(National Starch)の70−9416が挙げられる。他の適切な貼合せ用粘着剤として、ダウコーニング(Dow Corning)の貼合せ用シリコーン粘着剤およびロードコーポレーション(Lord Corporation)のタイセル(Tycel、登録商標)7900系列貼合せ用粘着剤が挙げられる。また、ニュージャージ州、ブリッジウォータのナショナルスターチ・アンド・ケミカルカンパニー(National Starch and Chemical Co.,)からデュロ−タク(DURO-TAK、登録商標)87−2516およびデュロ−タク87−2287の商品名で市販されているようなアクリル共重合体も考えられる。殆どの活性成分に対して殆ど不透過性である粘着剤は、当業者によく知られている架橋可能な貼合せ用粘着剤である。
【0066】
活性物質透過性粘着剤層は、好ましくは、感圧接着剤である。薬剤の浸透を許容する周知の皮膚科学的に容認される感圧接着剤のいずれも、本発明に用いることができる。いくつかの適切な透過性粘着剤として、アクリル樹脂またはメタクリル樹脂;ポリウレタンエラストマ;ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、およびポリ酢酸ビニルのようなビニルポリマー;ユリア樹脂;フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂;エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸酪酸セルロースおよびカルボキシメチルセルロースのようなセルロース誘導体;およびグアー、アカシア、ペクチン、澱粉、デストリア(destria)、ゼラチン、カゼインのような天然ゴム糊、などが挙げられる。なお、上記のアクリル樹脂またはメタクリル樹脂として、例えば、アクリル酸またはメタクリル酸と、n−ブタノール、イソペンタノール、2−メチルブタノール、1−メチル−ブタノール、1−メチル−ペンタノール、2−メチルペンタノール、3−メチルペンタノール、2−エチル−ブタノール、イソオクタノール、n−デカノール、またはn−ドデカノールのようなアルコール類とのアルコールエステルのポリマー単独、またはこのようなアルコールエステルと、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルコキシメチルアクリルアミド、N−アルコキシメチルメタクリルアミド、N−t−ブチル−アクリルアミド、イタコン酸、酢酸ビニル、N−分岐アルキルマレイン酸(アルキル基は、10〜24の炭素原子を有する)、ジアクリル酸グリコール、またはこれらのモノマーの混合物のようなエチレン性不飽和結合を含有するモノマーとの共重合体が挙げられる。
【0067】
他の適切な感圧接着剤として、ポリイソブチレン感圧接着剤、ゴム感圧接着剤、およびシリコーン感圧接着剤が挙げられる。これらの接着剤は、当技術分野においてよく知られているように、粘着付与剤や安定剤と混合されてもよい。
【0068】
活性物質の透過性に関して好ましい粘着剤として、好ましくは被覆重量が75から125g/m2の範囲内にある、アベリー・ケミカル・カンパニー(Avery Chemical Company)のAS−351HSXのようなアクリル共重合体接着剤が挙げられる。この感圧接着剤は、永久粘性膜をもたらす架橋可能なポリマーである。
【0069】
これらの目的に用いられる他のこのような粘着剤として、ナショナルスターチ・アンド・ケミカル・カンパニーからデュロ−タク80−1054の商品名で市販されているアクリル系感圧接着剤が挙げられる。この接着剤は、47.5%の固形分、3,000cpsの粘度、および2.9mmの可塑度(ウィリアムス(Williams))を有している。この接着剤は、通常、酢酸エチル、ヘプタン、イソプロピルアルコール、およびトルエンを含む溶媒系と共に用いられる。他のこのような粘着剤が、UCBグループからゲルバ(登録商標)マルチポリマーエマルション(GELVA Multipolymer Emulsion)2484の商品名で市販されている。この粘着剤は、59%の固形分および1,500から2,300cpsの粘度を有する安定水性アクリル系エマルション感圧接着剤からなる。他のアクリル系接着剤の例として、UCBのゲルバ(Gelva、登録商標)788および733、C.L.ハサウエイのPS−41、H.B.フラー(Fuller)のVr−0833、モルトン・ケミカル(Morton Chemical)のアドコット(Adcot、登録商標)73A207A、ナショナルスターチのNo.80−2404、80−1054、72−9056、および72−9399、ローム&ハース(Rohm & Haas)のNo.E−2015、E−2067、およびE−1960、ユニロイヤル・インコ-ポレィテッド(Uniroyal Inc.)のM−6112、およびW.R.グレース(Grace)のデラタック(Deratak、登録商標)74Lが挙げられる。適切なゴム接着剤として、ナショナルスターチのデュロ−タク36−6172およびモルトン・ケミカルのモルスティク(Morstik、登録商標)118が挙げられる。適切なシリコーン接着剤の例として、ダウ・コーニングの7−4502が挙げられる。
【0070】
皮膚または粘膜と接触するための透過性粘着剤層の幅(すなわち、表面積)および厚みは、活性物質または活性促進剤に十分な透過性を与え、皮膚または粘膜に十分に粘着し、かつ皮膚または粘膜に対して望ましい投与率を可能にする適切な表面積をもたらす幅および厚みである。これらの幅および厚みは、当技術分野において従来から知られているので、ここで詳細に検討する必要はない。
【0071】
活性物質層122,154は、好ましくは、一体ポリマー活性物質キャリア層である。従って、本質的に、これらの一体活性物質キャリア層は、活性物質または薬剤成分、または活性促進剤、またはそれらの両方との溶融混合によって混合され、基本的には、熱可塑性ポリマー素地からなる。しかし、共通の溶剤内において活性物質を素地ポリマーと混合し、次いで、溶媒を蒸発させ、プラスチック膜を形成するような一体ポリマー素地キャリア層も、考えられる。当業者によって容易に理解されるように、溶融混合のステップは、熱可塑性ポリマーの使用、すなわち、熱を受けたときに軟化かつ溶融し、次いで、冷却されたときにその元の状態に戻るポリマーの使用を必要とする。適切な熱可塑性素地ポリマーは、熱可塑性ポリウレタン、例えば、ポリエーテルポリウレタンが好ましい。これらのポリウレタンとして、ダウ・ケミカル・カンパニー(Dow Chemical Company)のペレセン(PELLETHANE、登録商標)、特に、その2363−80AE等級、K.J.クイン(Quin)のキューセイン(Q-THANE、登録商標)、B.F.グッドリッチのエステン(ESTANE、登録商標)、モベイ・ケミカル・カンパニー(Mobay Chemical Company)のトキシン(TXIN、登録商標)などの市販ポリウレタン組成物が挙げられる。
【0072】
また、適切な熱可塑性素地ポリマーとして、種々のポリエステル、例えば、種々の環状ポリエステルの共重合体、具体的には、デュポン(DuPont)のハイトレル(HYTREL、登録商標)、特にその4056等級、およびジェネラル・エレクトリック(General Electric)のロモド(Lomod、登録商標)(これらは、それぞれ、ポリエーテルプレポリマーとポリブチレンテレフタレート、およびポリエーテルプレポリマーとポリイソブチレンテレフタレートの共重合体である)、さらにイーストマン・ケミカル(Estman Chemical)のPCCEが挙げられる。他の適切なポリマーとして、エチレンメタクリル酸共重合体およびエチレンアクリル酸共重合体が挙げられる。例えば、ニュクレル(NUCREL、登録商標)699の商品名を有するエチレンメタクリル酸は、熱可塑性素地ポリマーとして、特に適している。
【0073】
本発明の集合体100,136の種々の層は、当技術分野において従来から知られている方法によって、積層体を形成するように組み合わされるとよい。このようなプロセスの1つでは、活性物質および熱可塑性素地ポリマーが、それらの2成分を溶融混合し、押出成形によって、ポリマー層を形成することによって、組み合わされる。他の既知のプロセスは、溶媒混合プロセスと呼ばれる。このプロセスでは、溶媒和成分を用いて形成された混合物が、剥離ライナのような基板に塗布され、次いで、乾燥される。溶融混合プロセスは、米国特許第6,010,715号にさらに詳細に記載されている。この特許の開示内容は、参照することによって、ここに含まれるものとする。
【0074】
本発明の集合体100,136の構成において、裏当て層、剥離層、粘着剤層、活性物質層、感圧接着剤層、活性物質透過性粘着剤層、活性物質不透過性粘着剤層、活性物質不透過層、活性物質透過性粘着剤層、などに用いられる種々の材料が知られている。適切な材料が、米国特許第5,064,422号、第5,123,900号、第5,503,844号、および第5,948,433号に開示されている。これらの特許の開示内容は、参照することによって、ここに含まれるものとする。
【0075】
図8〜10を参照すると、溶媒混合プロセスによって、集合体100,136を作製する方法の一例が示されている。集合体100に関連して説明すると、溶媒和ポリマー材料、例えば、感圧接着特性を有するポリマー材料を利用者の皮膚または粘膜に投与される活性物質と混合することによって、活性物質層122を形成する。具体的には、この活性物質ポリマー混合物を剥離ライナに塗布、乾燥、次いで、活性物質不透過性裏当て層と積層し、連続供給ロール160に巻き取る。剥離ライナを活性物質層から分離させ、背面切込みによってスリット132を形成し、その一方、活性物質層を内側パッチ106の所望の寸法および形状に型抜きする。剥離ライナおよび活性物質層を再接合させ、この後、余剰の活性物質層を剥がし取る。
【0076】
図9に示されるように、同様の溶媒混合プロセスにおいて、粘着剤層110を形成する感圧接着剤素地材料を(両面に剥離特性を有する)剥離ライナに塗布、乾燥、次いで、裏当て層と積層し、巻き取って、供給ロール162を形成する。剥離ライナを粘着剤層から剥がし、型抜きによって、開口114を形成し、かつ背面切込みによって、スリット120を形成する。この剥離ライナを粘着剤層と再接合させ、この後、余剰の粘着剤層を剥がし取る。
【0077】
図10を参照すると、支持された活性物質層122を、連続的プロセスで、支持された粘着剤層110を覆って整合させ、粘着剤層110に剥離ライナの開口を通して粘着させる。活性物質層用の剥離ライナを、適切な寸法および形状に切断し、この後、ギロチンプロセスによって、外側パッチ剥離層を切断し、完成した集合体100を形成する。
【0078】
図8〜10を参照して述べたような集合体100,136を作製する方法の上記の説明は、1つの例示にすぎないことを理解されたい。これに関連して、集合体100,136を作製する他の方法も考えられ、従って、ここに述べた方法が本発明の範囲を制限すると解釈されるべきではない。
【0079】
本発明は、積層された粘着剤ユニットの取扱いへのより一般的な適用に関連して著しい有用性を発揮することも分かっている。例えば、図11を参照すると、多数の粘着剤ユニットの内、2つの粘着剤ユニットが示されている。これらの粘着ユニットの各々は、粘着剤含有パッチまたはストリップ162を備えている。粘着剤含有パッチ162は、粘着剤層170が付着された裏当て層172から作製されている。これらの層の各々の粘着剤表面に、剥離層164が貼付されている。これらの剥離層164の各々は、単一の材料シート、材料ラミネート、または1つまたは複数のスリット180によって分離された多数の区域166,168を含んでいる。これらのユニットが、例えば、製造中に、積層された形態にあるとき、剥離層164の各々の下面167は、粘着剤被覆層162の各々の粘着剤層170の上面と粘着している。しかし、本発明によれば、これらの剥離層164の各々の上面は、その両部分166,16に剥離被膜も有している。この剥離層164は、粘着剤含有パッチの裏当て層172と接触しているが、ユニットの縁の周囲を越えて剥離層164の上面166,168と接触するいかなる粘着剤170も、上面166,168に対して(もし生じたら、製造プロセスを妨げることになる)いかなる付着をも生じることがない。このようにして、剥離層のいかなる表面への個々のユニットの不適切な付着をも防ぐことができる。加えて、剥離層164の下面167および上面166,168の剥離の程度を注意深く選択することによって、いかにユニットを互いに分離するか、いかに大きな力が分離に必要か、などを明確に制御することができる。
【0080】
梱包前に型抜きをする中間的経皮システム製造ステップを考慮することによって、本発明の有用性の他の例を示すことができる。個々のシステムを型抜きすることが望まれるが、これらのシステムを別の工程で梱包することも望まれるとき、型抜きシステムは、余分の粘着剤層が除去された後、連続的な剥離ライナを再巻き取りすることがある。ここで、粘着剤がロールの隣接する周回部分の連続的な剥離ライナの背面と接触する傾向にある場合、このロールが後続の処理ステップ中に巻き戻されると、型抜きシステムが変形または損傷することがある。しかし、両面に剥離剤を有する前述の剥離層であれば、ロールの互いに隣接する周回部分が互いに接着するのを防止することができる。
【0081】
ここでは、本発明を特定の実施形態を参照して説明したが、これらの実施形態が本発明の原理と適用の単なる例示にすぎないことを理解されたい。従って、例示した実施形態に対して多くの修正がなされ得ること、および他の構成が特許請求の範囲に記載される本発明の精神と範囲から逸脱することなく考案され得ることを理解されたい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、内側パッチおよび外側パッチが活性物質を外側パッチに含ませて設けられ、活性物質を含む環状フラップが下方にあるパッチの部分から完全に分離される、患者または利用者に活性物質を投与するのに用いられる経皮パッチシステムを提供する。従って、活性物質の全てを投与する極めて効率的なシステムが製造される。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の一実施形態による、利用者の皮膚または粘膜に貼り付けられる活性物質を放出するための集合体の組み立てられていない構成部品を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示される集合体の組み立てられた状態の断面図である。
【図3】図2に示される集合体の平面図である。
【図3A】図1に示される集合体の一部の他の実施形態の平面図である
【図4】利用者の皮膚または粘膜に貼付された図2に示される集合体の貼付け状態の断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態による、利用者の皮膚または粘膜に貼り付けられる活性物質を放出するための集合体の組み立てられていない構成部品を示す分解斜視図である。
【図6】図5に示される集合体の組み立てられた状態の断面図である。
【図7】図6に示される集合体の平面図である。
【図8−10】本発明による集合体を作製する方法の一実施形態を示す概略図である。
【図11】多数の粘着剤含有集合体を製造するシステム用の組み立てられていない構成部品の分解斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の皮膚または粘膜に貼付されるアタッチメント用の集合体であって、内面および外面を有する外側裏当て層と、前記外側裏当て層の前記内面に配置された第1の粘着剤層と、内側裏当て層と、前記第1の粘着剤層と前記内側裏当て層との間に配置された中間剥離ライナと、を備え、前記中間剥離ライナは、内面および外面を有し、前記中間剥離ライナの前記内面および前記外面の両方が、剥離可能な表面を含む、集合体。
【請求項2】
前記中間剥離ライナは、少なくとも1つの開口領域を有し、前記第1の粘着剤層は、前記少なくとも1つの開口領域において前記内側裏当て層に接合される部分を含む、請求項1に記載の集合体。
【請求項3】
前記中間剥離ライナは、単一シートから構成され、前記単一シートは、前記単一シートの両面に配置された前記剥離可能な表面を有する、請求項1に記載の集合体。
【請求項4】
前記中間剥離ライナは、互いに貼合された少なくとも1対のシートを含むラミネートから構成され、前記1対のシートの各々は、内面および外面を有し、前記1対のシートの前記内面は、互いに隣接して配置され、前記1対のシートの前記外面の各々は、前記剥離可能な表面を含む、請求項1に記載の集合体。
【請求項5】
前記中間剥離ライナは、活性物質不透過性材料を含む、請求項1に記載の集合体。
【請求項6】
前記中間剥離層は、前記第1の粘着剤層および前記内側裏当て層の両方に剥離可能に接合される、請求項5に記載の集合体。
【請求項7】
前記第1の粘着剤層は、前記集合体を前記利用者の皮膚または粘膜に粘着させる感圧接着材料を含む、請求項1に記載の集合体。
【請求項8】
前記1対のシートの少なくとも一方は、透明シートを含む、請求項4に記載の集合体。
【請求項9】
前記1対のシートの他方は、不透明なシートを含む、請求項8に記載の集合体。
【請求項10】
前記1対のシートの他方の前記内面に印刷された材料を含む、請求項9に記載の集合体。
【請求項11】
複数の粘着剤被覆要素の取扱いのためのシステムであって、内面および外面を有する外側裏当て層および前記外側裏当て層の前記内面に配置された第1の粘着剤層を含む第1の粘着剤被覆要素と、内面および外面を有し該内面が内側裏当て層を含む第2の粘着剤被覆要素と、前記第1の粘着剤層と前記第2の粘着剤被覆要素の前記内側裏当て層との間に配置され、内面および外面を有する中間剥離ライナと、を備え、前記中間剥離ライナの前記内面および前記外面の両方が、剥離可能な表面を含む、システム。
【請求項12】
前記中間剥離ライナは、単一シートから構成され、前記単一シートは、前記単一シートの両面に配置された前記剥離可能な表面を有する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記中間剥離ライナは、互いに貼合された少なくとも1対のシートを含むラミネートから構成され、前記1対のシートの各々は、内面および外面を有し、前記1対のシートの前記内面は、互いに隣接して配置され、前記1対のシートの前記外面の各々は、前記剥離可能な表面を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の粘着剤被覆要素および前記第2の粘着剤被覆要素の少なくとも1つは、利用者の皮膚または粘膜に放出される活性物質を含むのに適するようにされる、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記中間剥離ライナは、活性物質不透過性材料を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記中間剥離層は、前記第1の粘着剤層および前記第2の粘着剤被覆要素の前記内側裏当て層の両方に剥離可能に接合される、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1の粘着剤層は、感圧接着材料を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記中間剥離ライナの前記内面の前記剥離可能な表面は、第1の剥離力を有し、前記中間剥離ライナの前記外面の前記剥離可能な表面は、第2の剥離力を有し、前記第1の剥離力および前記第2の剥離力は、互いに異なる、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
利用者の皮膚または粘膜に貼付されるアタッチメント集合体の製造用の積層された複数の構成部品であって、内面および外面を有する第1の複数の外側裏当て層と、前記複数の外側裏当て層の前記内面に配置された第1の粘着剤層と、内面および外面を有し該内面および外面の両方が剥離可能な表面を含む第2の複数の中間剥離ライナと、を備え、前記第1の複数の外側裏当て層および前記第2の複数の中間剥離ライナは、互いに接着することなく積層される、積層された複数の構成部品。
【請求項20】
前記中間剥離ライナは、単一シートから構成され、前記単一シートは、前記単一シートの両面に配置される前記剥離可能な表面を有する、請求項19に記載の積層された複数の構成部品。
【請求項21】
前記中間剥離ライナは、互いに貼合された少なくとも1対のシートを含むラミネートから構成され、前記1対のシートの各々は、内面および外面を有し、前記1対のシートの前記内面は、互いに隣接して配置され、前記1対のシートの前記外面の各々は、前記剥離可能な表面を含む、請求項19に記載の積層された複数の構成部品。
【請求項22】
前記第1の粘着剤層は、前記集合体を前記利用者の皮膚または粘膜に粘着させる感圧接着材料を含む、請求項19に記載の積層された複数の構成部品。
【請求項23】
前記1対のシートの少なくとも1つは、透明シートを含む、請求項21に記載の積層された複数の構成部品。
【請求項24】
前記1対のシートの他方は、不透明なシートを含む、請求項23に記載の積層された複数の構成部品。
【請求項25】
前記1対のシートの他方の前記内面に印刷された材料を備えている、請求項24に記載の積層された複数の構成部品。
【請求項26】
利用者の皮膚または粘膜に貼付されるアタッチメント集合体の製造に用いられる粘着剤層を製造する方法において、第1の表面および第2の表面を有する剥離ライナに粘着剤層を被覆する段階であって、前記第1の表面および前記第2の表面は、剥離可能な表面を有する段階と、前記剥離ライナの前記第1の表面に裏当て層を積層する段階と、前記粘着剤層から前記剥離ライナを一時的に取り外す段階と、前記剥離ライナを型抜きする段階と、前記剥離ライナを前記裏当て層に再接合する段階と、を含む、方法。
【請求項27】
前記型抜きは、前記剥離ライナを複数の剥離ライナ部分に切り離すことを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記型抜きは、前記剥離ライナに開口を穿孔することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記被覆剥離ライナを乾燥することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記粘着剤層から残部を除去することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記再接合された剥離ライナおよび前記裏当て層をロールに巻き取ることを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項1】
利用者の皮膚または粘膜に貼付されるアタッチメント用の集合体であって、内面および外面を有する外側裏当て層と、前記外側裏当て層の前記内面に配置された第1の粘着剤層と、内側裏当て層と、前記第1の粘着剤層と前記内側裏当て層との間に配置された中間剥離ライナと、を備え、前記中間剥離ライナは、内面および外面を有し、前記中間剥離ライナの前記内面および前記外面の両方が、剥離可能な表面を含む、集合体。
【請求項2】
前記中間剥離ライナは、少なくとも1つの開口領域を有し、前記第1の粘着剤層は、前記少なくとも1つの開口領域において前記内側裏当て層に接合される部分を含む、請求項1に記載の集合体。
【請求項3】
前記中間剥離ライナは、単一シートから構成され、前記単一シートは、前記単一シートの両面に配置された前記剥離可能な表面を有する、請求項1に記載の集合体。
【請求項4】
前記中間剥離ライナは、互いに貼合された少なくとも1対のシートを含むラミネートから構成され、前記1対のシートの各々は、内面および外面を有し、前記1対のシートの前記内面は、互いに隣接して配置され、前記1対のシートの前記外面の各々は、前記剥離可能な表面を含む、請求項1に記載の集合体。
【請求項5】
前記中間剥離ライナは、活性物質不透過性材料を含む、請求項1に記載の集合体。
【請求項6】
前記中間剥離層は、前記第1の粘着剤層および前記内側裏当て層の両方に剥離可能に接合される、請求項5に記載の集合体。
【請求項7】
前記第1の粘着剤層は、前記集合体を前記利用者の皮膚または粘膜に粘着させる感圧接着材料を含む、請求項1に記載の集合体。
【請求項8】
前記1対のシートの少なくとも一方は、透明シートを含む、請求項4に記載の集合体。
【請求項9】
前記1対のシートの他方は、不透明なシートを含む、請求項8に記載の集合体。
【請求項10】
前記1対のシートの他方の前記内面に印刷された材料を含む、請求項9に記載の集合体。
【請求項11】
複数の粘着剤被覆要素の取扱いのためのシステムであって、内面および外面を有する外側裏当て層および前記外側裏当て層の前記内面に配置された第1の粘着剤層を含む第1の粘着剤被覆要素と、内面および外面を有し該内面が内側裏当て層を含む第2の粘着剤被覆要素と、前記第1の粘着剤層と前記第2の粘着剤被覆要素の前記内側裏当て層との間に配置され、内面および外面を有する中間剥離ライナと、を備え、前記中間剥離ライナの前記内面および前記外面の両方が、剥離可能な表面を含む、システム。
【請求項12】
前記中間剥離ライナは、単一シートから構成され、前記単一シートは、前記単一シートの両面に配置された前記剥離可能な表面を有する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記中間剥離ライナは、互いに貼合された少なくとも1対のシートを含むラミネートから構成され、前記1対のシートの各々は、内面および外面を有し、前記1対のシートの前記内面は、互いに隣接して配置され、前記1対のシートの前記外面の各々は、前記剥離可能な表面を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の粘着剤被覆要素および前記第2の粘着剤被覆要素の少なくとも1つは、利用者の皮膚または粘膜に放出される活性物質を含むのに適するようにされる、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記中間剥離ライナは、活性物質不透過性材料を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記中間剥離層は、前記第1の粘着剤層および前記第2の粘着剤被覆要素の前記内側裏当て層の両方に剥離可能に接合される、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1の粘着剤層は、感圧接着材料を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記中間剥離ライナの前記内面の前記剥離可能な表面は、第1の剥離力を有し、前記中間剥離ライナの前記外面の前記剥離可能な表面は、第2の剥離力を有し、前記第1の剥離力および前記第2の剥離力は、互いに異なる、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
利用者の皮膚または粘膜に貼付されるアタッチメント集合体の製造用の積層された複数の構成部品であって、内面および外面を有する第1の複数の外側裏当て層と、前記複数の外側裏当て層の前記内面に配置された第1の粘着剤層と、内面および外面を有し該内面および外面の両方が剥離可能な表面を含む第2の複数の中間剥離ライナと、を備え、前記第1の複数の外側裏当て層および前記第2の複数の中間剥離ライナは、互いに接着することなく積層される、積層された複数の構成部品。
【請求項20】
前記中間剥離ライナは、単一シートから構成され、前記単一シートは、前記単一シートの両面に配置される前記剥離可能な表面を有する、請求項19に記載の積層された複数の構成部品。
【請求項21】
前記中間剥離ライナは、互いに貼合された少なくとも1対のシートを含むラミネートから構成され、前記1対のシートの各々は、内面および外面を有し、前記1対のシートの前記内面は、互いに隣接して配置され、前記1対のシートの前記外面の各々は、前記剥離可能な表面を含む、請求項19に記載の積層された複数の構成部品。
【請求項22】
前記第1の粘着剤層は、前記集合体を前記利用者の皮膚または粘膜に粘着させる感圧接着材料を含む、請求項19に記載の積層された複数の構成部品。
【請求項23】
前記1対のシートの少なくとも1つは、透明シートを含む、請求項21に記載の積層された複数の構成部品。
【請求項24】
前記1対のシートの他方は、不透明なシートを含む、請求項23に記載の積層された複数の構成部品。
【請求項25】
前記1対のシートの他方の前記内面に印刷された材料を備えている、請求項24に記載の積層された複数の構成部品。
【請求項26】
利用者の皮膚または粘膜に貼付されるアタッチメント集合体の製造に用いられる粘着剤層を製造する方法において、第1の表面および第2の表面を有する剥離ライナに粘着剤層を被覆する段階であって、前記第1の表面および前記第2の表面は、剥離可能な表面を有する段階と、前記剥離ライナの前記第1の表面に裏当て層を積層する段階と、前記粘着剤層から前記剥離ライナを一時的に取り外す段階と、前記剥離ライナを型抜きする段階と、前記剥離ライナを前記裏当て層に再接合する段階と、を含む、方法。
【請求項27】
前記型抜きは、前記剥離ライナを複数の剥離ライナ部分に切り離すことを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記型抜きは、前記剥離ライナに開口を穿孔することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記被覆剥離ライナを乾燥することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記粘着剤層から残部を除去することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記再接合された剥離ライナおよび前記裏当て層をロールに巻き取ることを含む、請求項26に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図3A】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図3A】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2009−518119(P2009−518119A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544360(P2008−544360)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/045255
【国際公開番号】WO2007/067363
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(506053216)マイラン・テクノロジーズ,インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/045255
【国際公開番号】WO2007/067363
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(506053216)マイラン・テクノロジーズ,インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
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