並設シールドトンネルの連通部形成方法
【課題】施工コストの低減化と工期の短縮化、専有面積の縮小化とが図れる並設シールドトンネルの連通部形成方法を提供する。
【解決手段】両トンネル間の連通結合予定部位両側部の地山8中に、トンネルの一方から他方に向けて、円弧状の鋼製曲管6を掛け渡す。該鋼製曲管はトンネル長手方向に沿って所定のピッチで所定数ずつ設置する。該鋼製曲管を通じて周囲の地山中に薬液注入して地盤改良を行う。該両トンネル内にこれの変形を防止する内部支保工20を設置する。該両トンネルの連通結合部のセグメントを切り開くとともに地山を掘削して連通させる。該両トンネルの切り開かれたセグメントリングの端縁同士に掛け渡して連結セグメント22を設置する。該連結セグメントと該鋼製曲管との間の空隙にコンクリート24を充填する。該コンクリートの硬化後に該内部支保工を撤去する。
【解決手段】両トンネル間の連通結合予定部位両側部の地山8中に、トンネルの一方から他方に向けて、円弧状の鋼製曲管6を掛け渡す。該鋼製曲管はトンネル長手方向に沿って所定のピッチで所定数ずつ設置する。該鋼製曲管を通じて周囲の地山中に薬液注入して地盤改良を行う。該両トンネル内にこれの変形を防止する内部支保工20を設置する。該両トンネルの連通結合部のセグメントを切り開くとともに地山を掘削して連通させる。該両トンネルの切り開かれたセグメントリングの端縁同士に掛け渡して連結セグメント22を設置する。該連結セグメントと該鋼製曲管との間の空隙にコンクリート24を充填する。該コンクリートの硬化後に該内部支保工を撤去する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネルの側部同士を開削して、相互に一体的に連通結合させる並設シールドトンネルの連通部形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド工法は、例えば都市土木等において、地下水の存在する地盤や軟弱な地盤に対するトンネルの構築工法として一般に採用されるもので、シールド掘進機の後方にトンネルの掘削内周面を覆う覆工体をセグメントによってリング状に逐次組み立てて形成していくとともに、形成した覆工体から推進反力を得ながらシールド掘進機を前進させて掘進作業を行ってゆくものである。
【0003】
ところで、この様なシールド工法を用いて地下構築物を構築にするにあたっては、例えば地下鉄道の駅構内や地下道路の分岐・合流部の構築等に際して、シールドトンネルを複数近接させて並設し、爾後、そのシールドトンネルの側部同士を相互に連通させて繋ぎ合わせ、その断面をメガネ状等の複合形態のトンネルに一体化させて形成することが行われている。ここで、この様な断面形態のトンネルでは形状的にその連通結合部位の剛性が弱くなるので、例えば特許第2619937号公報等に示されるように、当該連通結合部位には多数の支柱等の補剛部材を設けてその剛性を補うようにしている。
【0004】
しかし、上記のように支柱を設けてシールドトンネルの連通結合部位の強度を確保するようにすると、例えば道路の分岐・合流部等では当該支柱が邪魔になって相互のトンネル内への車両の円滑な往来が行えなくなる。特に、高速道路では安全かつ円滑な分岐・合流を行わせるためには、所定長に亘って無柱の区間が必要となる。従って、こうした分岐・合流部を構築するにあたっては、本線道路と分岐・合流用道路とを1つのシールドトンネル内に設置できるように、大円形断面のシールドトンネル構造を採用するか、または地上からの開削工法による大断面矩形構造を採用するか、若しくは道路自体の線形を変更して、分岐・合流部だけは地上に設置するしかなかった。
【0005】
そこで、本出願人は、支柱を無くして広い空間を確保できるトンネルおよびその構築方法の技術について開発を進め、特開2003−138899号公報にて開示したような提案をしている。
【0006】
即ち、当該公報にて示した技術では、隣接配置されたシールドトンネル間を、結合部を介して間接的に連通結合するにあたり、当該結合部には上下方向に平行に上版部と下版部とを設けるとともに、結合部の上方には地中ビームを設けている。この地中ビームは、発進部と到達部とアーチ部とを備え、当該アーチ部は中空円筒状をなしてトンネル上部側の外周を半周する半円状に形成され、両端が発進部と到達部とにそれぞれ一体化されている。そして、結合部と地中ビームとの間には、複数の吊アンカーが設置されている。吊アンカーは、下端側が結合部の上部に設けられた定着ブロックに定着固定されているとともに、各吊アンカーの上端側は、アーチ部の中空管体の側壁に定着固定されている。
【特許文献1】特許第2619937号公報
【特許文献2】特開2003−138899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記提案のものにあっては、並設されたシールドトンネルの外側に、それら結合部を支持するための大がかりな地中ビームとその発進部、到達部等からなる支持構造体を配置するものであるため、その工事もシールドトンネル両外側部から上部にまで及ぶ様な非常に大がかりなものとなってしまい、施行コスト面や工期、専有面積等の点で未だ改善の余地を残すものであった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、シールドトンネル相互の連通結合部に設けて構造を安定化させ得る補剛部材を、当該シールドトンネル内部からの施工だけで設置することができ、施工コストの低減化と工期の短縮化、専有面積の縮小化とが図れる並設シールドトンネルの連通部形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために本発明では、近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネルの側部同士を開削して連通結合させる並設シールドトンネルの連通部形成方法を、該両シールドトンネル間の連通結合予定部位両側部の地山中に、該シールドトンネルの一方から他方に向けて、曲線ボーリング装置を用いて円弧状の鋼製曲管を掛け渡し、トンネル長手方向に沿って所定のピッチで所定数ずつ設置する鋼製曲管設置工程と、該両シールドトンネル内に該トンネルの変形を防止する内部支保工を設置する内部支保工設置工程と、該両シールドトンネルの連通結合部のセグメントを切り開いて、両シールドトンネル間の地山を掘削して連通させるシールドトンネル連通工程と、該両シールドトンネルの切り開かれたセグメントリングの端縁同士に掛け渡して連結セグメントを設置する連結セグメント設置工程と、該連結セグメントと該鋼製曲管との間の空隙にコンクリートを充填するコンクリート充填工程と、該コンクリートの硬化後に該内部支保工を撤去する支保工撤去工程と、を備えて構成することを特徴とする(請求項1)。
【0010】
ここで、前記鋼製曲管設置工程と内部支保工設置工程との間に、シールドトンネルのセグメントに形成された薬液柱入口から地山中に薬液を注入して地盤改良を行う地盤改良工程を備えた構成となし得る(請求項2)。
【0011】
あるいは、前記鋼製曲管設置工程と内部支保工設置工程との間に、前記鋼製曲管を通じて周囲の地山中に薬液を注入して地盤改良を行う地盤改良工程を備えた構成となし得る(請求項3)。
【0012】
また、前記鋼製曲管設置工程においては、剛性保持用の鋼製曲管と薬液注入用の鋼製曲管とを別途に設け、該薬液注入用鋼製曲管は該剛性保持用鋼製曲管間の外側に相互のピッチをずらして配置するように構成しても良い(請求項4)。
【0013】
また、前記剛性保持用の鋼製曲管は内管と外管とからなる2重管構造となしても良い(請求項5)。
【0014】
あるいは、前記剛性保持用の鋼製曲管内にH形鋼を挿通配置するようにしても良い(請求項6)。
【0015】
さらには、前記剛性保持用の鋼製曲管内の空隙にはコンクリートを充填するようにしても良い(請求項7)。
【0016】
さらに加えて、前記剛性保持用の鋼製曲管内には、該鋼製曲管にプレストレスを導入するために、張力を付与した鋼線を配設するようにしても良い(請求項8)。
【発明の効果】
【0017】
上記のようにしてなる本発明の並設シールドトンネルの連通部形成方法によれば、次の様な各種の優れた効果を奏することができる。
【0018】
(1)アーチ状に湾曲した剛性保持用の鋼製曲管をトンネル軸方向(長手方向)に沿って所定ピッチで、連通結合部の上下にこれを挟んで無数に設置するとともに、該両シールドトンネルの切り開かれたセグメントリングの端縁同士に掛け渡して連結セグメントを設け、かつ、連結セグメントと鋼製曲管との間の空隙にコンクリートを充填して両シールドトンネルを一体化するので、並設されたシールドトンネル同士の連通結合部を高剛性に形成でき、当該部位を無支柱化することができる。
【0019】
(2)連通結合部に支柱が無いため、道路等の分岐合流部に適用すれば、シールドトンネル相互間の車両の行き来を、円滑かつ安全に行わせることが可能となる。
【0020】
(3)分岐合流部の形成部位を大断面円形トンネル構造や、開削工法による大断面矩形構造にする必要が無いため、地上への影響を可及的に少なくすることができる。
【0021】
(4)線形を変更することなく、本線等の一般部と分岐合流部とを、ともに地中トンネル構造にすることができる。
【0022】
(5)トンネルの外側に別途に支持構造を設置する必要が無く、シールドトンネルの連通結合部だけの補剛で構造を安定化でき、しかもシールドトンネル内部からの施工のみで補剛部材を設置できるため、施工コストの低減化、施工期間の短縮化、専有面積の縮小化等が図れて、合理的な構造となし得る。
【0023】
(6)剛性保持用の鋼製曲管と薬液注入用の鋼製曲管とを別途に設け、該薬液注入用鋼製曲管は該剛性保持用鋼製曲管間の外側に相互のピッチをずらして配置することで、地山中に注入する薬液が上下の鋼製曲管で挟まれた内方部まで伝わり易くすることができる。
【0024】
(7)剛性保持用の鋼製曲管を内管と外管とからなる2重管構造とすること、あるいは、前記剛性保持用の鋼製曲管内にH形鋼を挿通配置すること、もしくは前記剛性保持用の鋼製曲管内の空隙にはコンクリートを充填すること、さらには張力を付与した鋼線を配設してプレストレスを導入することによって、連通結合部の更なる高剛性化を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明に係る並設シールドトンネルの連通部形成方法の好適な一実施の形態について、添付図面に基づいて詳述する。
【0026】
図1〜図9は、並設シールドトンネルの連通部形成方法の各施工工程を順次に示す概略図であり、本実施の形態では地下高速道路の分岐・合流部の構築に適用する場合を例示している。
【0027】
図1に示すように本線道路を設けるための大きい円形断面の第1シールドトンネル2と、この本線道路用の第1シールドトンネル2の側方に近接して、分岐・合流部用の道路を設けるための小さい円形断面の第2シールドトンネル4が並設される。各シールドトンネル2,4はトンネル軸が相互に平行になるように隣接配置される。このように近接して並設された2つの円形断面のシールドトンネル2,4の側部同士が開削されて連通結合されることで2連状態の道路トンネルが形成される。なお、シールドトンネルの円形断面とは図示する真円状のものに限定されるものではなく、楕円状のものであっても良い。
【0028】
図2は鋼製曲管設置工程を示している。図示するように、この鋼製曲管設置工程では、両シールドトンネル2,4間の連通結合予定部位の上下両側部の地山8中に、シールドトンネル2,4の一方から他方に向けて、曲線ボーリング装置を用いて円弧状の鋼製曲管6が掛け渡される。ここでは、第1シールドトンネル2側を発進部とし、第2シールドトンネル4側を到達部として鋼製曲管6が推進工法により順次地山中に押し込まれて渡設される。そして、これらの鋼製曲管6はトンネル長手方向に沿って所定のピッチで所定数ずつ設置される。
【0029】
具体的には、図10に示すように、本実施形態例ではセグメント1リング毎に3つの鋼製曲管6が設けられる。即ち、各シールドトンネル2,4の覆工体10を形成するセグメント12は8個で1周分を形成している。それぞれのシールドトンネル2,4において鋼製曲管6が掛け渡される部位のセグメント12には鋼製曲管6の受け口部が予め着脱可能な蓋体で閉塞されて設けられていて、当該受け口部が開放されて鋼製曲管6が設置される。セグメント12は幅は1.2mの鋼板または鋼板コンクリート製であり40cm間隔で補強リブ14が立設されており、当該補強リブ14間に位置されて鋼製曲管6は40cmピッチで設けられている。鋼製曲管の径は30cmである。
【0030】
また、この実施の形態では上記鋼製曲管6は専ら剛性保持用として設けられ、当該鋼製曲管6の外側には地盤改良用の薬液を周囲の地山8中に注入するための鋼製曲管16が同様にして設けられている。この薬液注入用鋼製曲管16はその管面に多数の薬液柱入口(図示せず)を有し、剛性保持用の鋼製曲管6,6のほぼ中間部に位置されて、これらと相互のピッチがずらされて配置されており、これより地山8中に注入する薬液が上下の剛性保持用鋼製曲管6で挟まれている内方部分の地山中まで伝わり易くされている。薬液注入用鋼製曲管16の径は剛性保持用鋼製曲管6よりも細く10〜15cmとされている。
【0031】
図3は地盤改良工程を示し、上記薬液注入用鋼製曲管16を通じて周囲の地山8中の地盤改良領域18に薬液が注入されて地盤改良が行われる。なお、剛性保持用鋼製曲管6に薬液注入機能も併せ持たせて当該薬液注入用鋼製曲管16は省略する様にしても良い。さらには、当該薬液の注入は剛性保持用鋼製曲管6を通じて行わずに、覆工体10のセグメントに予め形成してある薬液柱入口から行って地盤改良するようにしても良い。
【0032】
地盤改良が済むと、図4の内部支保工設置工程に示すように、両シールドトンネル2,4内には、連通結合部のセグメントを切り広げたときに、それらシールドトンネル2,4に変形が生じることを防止するための内部支保工20が横断面矩形状に組立設置される。
【0033】
図5及び図6はシールドトンネル連通工程を示し、両シールドトンネル2,4の連通結合部のセグメントを切り開いて、両シールドトンネル2,4間の地山8を掘削して相互に連通させる。
【0034】
そして、図7の連結セグメント設置工程に示すように、両シールドトンネル2,4の切り開かれたセグメントリング(覆工体10)の上下部それぞれの端縁同士に掛け渡して連結セグメント22が設置される。この連結セグメント22は鋼板製でなる。
【0035】
連結セグメント22が設置されると、図8のコンクリート充填工程に示すように、上下の各連結セグメント22と鋼製曲管6との間の空隙にコンクリート24が充填される。そして、当該コンクリート24が硬化すると、図9の支保工撤去工程に示すように、内部支保工20が撤去されて無支柱の2連状態の道路トンネルが形成されることになる。
【0036】
ここで、前記鋼製曲管設置工程と内部支保工設置工程との間に、前記鋼製曲管を通じて周囲の地山中に薬液を注入して地盤改良を行う地盤改良工程を備えた構成となしているが、不必要であれば当該地盤改良工程は省略するようにしても良い。
【0037】
また、前記剛性保持用の鋼製曲管6は、図11(a)に示すように外管6aと内管6bとからなる2重管構造となしても良い。あるいは、図12(a)に示すように前記剛性保持用鋼製曲管6内には、H形鋼6cを挿通配置するようにしても良い。
【0038】
さらには、前記剛性保持用鋼製曲管6内の空隙には、当該剛性保持用鋼製曲管6の両端を閉塞板(図示せず)で閉止してコンクリート24を充填するようにしても良い。ここで、剛性保持用鋼製曲管6を二重管構成となした場合には、図11(b)〜(d)に示すように、当該コンクリート24は内管6bの内側の空隙のみへの充填、あるいは内管6bの外側の管状の空隙のみへの充填、若しくは内管6bの内外両側の空隙双方内への充填となしても良い。
【0039】
またさらには、図11及び図12に示すように、剛性保持用鋼製曲管6内には、当該剛性保持用鋼製曲管6にプレストレスを導入するために、その図心の近傍に沿わせてその全長に亘って、シース管26を介して鋼線28を配設し、当該鋼線28の両端を張力を付与した状態で閉塞板(図示せず)に固定係止させる様にしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る並設シールドトンネルの連通部形成方法におけるシールドトンネル設置工程を示す概略図である。
【図2】同上、鋼製曲管設置工程を示す概略図である。
【図3】同上、地盤改良工程を示す概略図である。
【図4】同上、内部支保工設置工程を示す概略図である。
【図5】同上、シールドトンネル連通工程のセグメントを切り開き段階を示す概略図である。
【図6】同上、シールドトンネル連通工程の地山掘削段階を示す概略図である。
【図7】同上、連結セグメント設置工程を示す概略図である。
【図8】同上、コンクリート充填工程を示す概略図である。
【図9】同上、支保工撤去工程を示す概略図である。
【図10】図2中のA部を内側から示す展開図である。
【図11】剛性保持用の鋼製曲管を二重管にした場合の各種変形例の断面図であり、(a)はコンクリートを充填しない二重管構造のもの、(b)は内管の内側空隙内にコンクリートを充填したもの、(c)は内管の外側空隙内にコンクリートを充填したもの、(d)は内管の内外両側の空隙内にコンクリートを充填したものを示す。
【図12】剛性保持用の鋼製曲管内にH形鋼を挿通配置した場合の各種変形例の断面図であり、(a)はコンクリートを充填しないもの、(b)はコンクリートを充填したものを示す。
【符号の説明】
【0041】
2 第1シールドトンネル
4 第2シールドトンネル
6 剛性保持用の鋼製曲管
6a 外管
6b 内管
6c H型鋼
8 地山
10 覆工体
12 セグメント
14 補強リブ
16 薬液注入用の鋼製曲管
18 地盤改良領域
20 内部支保工
22 連結セグメント
24 コンクリート
26 シース管
28 鋼線
【技術分野】
【0001】
この発明は、近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネルの側部同士を開削して、相互に一体的に連通結合させる並設シールドトンネルの連通部形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド工法は、例えば都市土木等において、地下水の存在する地盤や軟弱な地盤に対するトンネルの構築工法として一般に採用されるもので、シールド掘進機の後方にトンネルの掘削内周面を覆う覆工体をセグメントによってリング状に逐次組み立てて形成していくとともに、形成した覆工体から推進反力を得ながらシールド掘進機を前進させて掘進作業を行ってゆくものである。
【0003】
ところで、この様なシールド工法を用いて地下構築物を構築にするにあたっては、例えば地下鉄道の駅構内や地下道路の分岐・合流部の構築等に際して、シールドトンネルを複数近接させて並設し、爾後、そのシールドトンネルの側部同士を相互に連通させて繋ぎ合わせ、その断面をメガネ状等の複合形態のトンネルに一体化させて形成することが行われている。ここで、この様な断面形態のトンネルでは形状的にその連通結合部位の剛性が弱くなるので、例えば特許第2619937号公報等に示されるように、当該連通結合部位には多数の支柱等の補剛部材を設けてその剛性を補うようにしている。
【0004】
しかし、上記のように支柱を設けてシールドトンネルの連通結合部位の強度を確保するようにすると、例えば道路の分岐・合流部等では当該支柱が邪魔になって相互のトンネル内への車両の円滑な往来が行えなくなる。特に、高速道路では安全かつ円滑な分岐・合流を行わせるためには、所定長に亘って無柱の区間が必要となる。従って、こうした分岐・合流部を構築するにあたっては、本線道路と分岐・合流用道路とを1つのシールドトンネル内に設置できるように、大円形断面のシールドトンネル構造を採用するか、または地上からの開削工法による大断面矩形構造を採用するか、若しくは道路自体の線形を変更して、分岐・合流部だけは地上に設置するしかなかった。
【0005】
そこで、本出願人は、支柱を無くして広い空間を確保できるトンネルおよびその構築方法の技術について開発を進め、特開2003−138899号公報にて開示したような提案をしている。
【0006】
即ち、当該公報にて示した技術では、隣接配置されたシールドトンネル間を、結合部を介して間接的に連通結合するにあたり、当該結合部には上下方向に平行に上版部と下版部とを設けるとともに、結合部の上方には地中ビームを設けている。この地中ビームは、発進部と到達部とアーチ部とを備え、当該アーチ部は中空円筒状をなしてトンネル上部側の外周を半周する半円状に形成され、両端が発進部と到達部とにそれぞれ一体化されている。そして、結合部と地中ビームとの間には、複数の吊アンカーが設置されている。吊アンカーは、下端側が結合部の上部に設けられた定着ブロックに定着固定されているとともに、各吊アンカーの上端側は、アーチ部の中空管体の側壁に定着固定されている。
【特許文献1】特許第2619937号公報
【特許文献2】特開2003−138899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記提案のものにあっては、並設されたシールドトンネルの外側に、それら結合部を支持するための大がかりな地中ビームとその発進部、到達部等からなる支持構造体を配置するものであるため、その工事もシールドトンネル両外側部から上部にまで及ぶ様な非常に大がかりなものとなってしまい、施行コスト面や工期、専有面積等の点で未だ改善の余地を残すものであった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、シールドトンネル相互の連通結合部に設けて構造を安定化させ得る補剛部材を、当該シールドトンネル内部からの施工だけで設置することができ、施工コストの低減化と工期の短縮化、専有面積の縮小化とが図れる並設シールドトンネルの連通部形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために本発明では、近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネルの側部同士を開削して連通結合させる並設シールドトンネルの連通部形成方法を、該両シールドトンネル間の連通結合予定部位両側部の地山中に、該シールドトンネルの一方から他方に向けて、曲線ボーリング装置を用いて円弧状の鋼製曲管を掛け渡し、トンネル長手方向に沿って所定のピッチで所定数ずつ設置する鋼製曲管設置工程と、該両シールドトンネル内に該トンネルの変形を防止する内部支保工を設置する内部支保工設置工程と、該両シールドトンネルの連通結合部のセグメントを切り開いて、両シールドトンネル間の地山を掘削して連通させるシールドトンネル連通工程と、該両シールドトンネルの切り開かれたセグメントリングの端縁同士に掛け渡して連結セグメントを設置する連結セグメント設置工程と、該連結セグメントと該鋼製曲管との間の空隙にコンクリートを充填するコンクリート充填工程と、該コンクリートの硬化後に該内部支保工を撤去する支保工撤去工程と、を備えて構成することを特徴とする(請求項1)。
【0010】
ここで、前記鋼製曲管設置工程と内部支保工設置工程との間に、シールドトンネルのセグメントに形成された薬液柱入口から地山中に薬液を注入して地盤改良を行う地盤改良工程を備えた構成となし得る(請求項2)。
【0011】
あるいは、前記鋼製曲管設置工程と内部支保工設置工程との間に、前記鋼製曲管を通じて周囲の地山中に薬液を注入して地盤改良を行う地盤改良工程を備えた構成となし得る(請求項3)。
【0012】
また、前記鋼製曲管設置工程においては、剛性保持用の鋼製曲管と薬液注入用の鋼製曲管とを別途に設け、該薬液注入用鋼製曲管は該剛性保持用鋼製曲管間の外側に相互のピッチをずらして配置するように構成しても良い(請求項4)。
【0013】
また、前記剛性保持用の鋼製曲管は内管と外管とからなる2重管構造となしても良い(請求項5)。
【0014】
あるいは、前記剛性保持用の鋼製曲管内にH形鋼を挿通配置するようにしても良い(請求項6)。
【0015】
さらには、前記剛性保持用の鋼製曲管内の空隙にはコンクリートを充填するようにしても良い(請求項7)。
【0016】
さらに加えて、前記剛性保持用の鋼製曲管内には、該鋼製曲管にプレストレスを導入するために、張力を付与した鋼線を配設するようにしても良い(請求項8)。
【発明の効果】
【0017】
上記のようにしてなる本発明の並設シールドトンネルの連通部形成方法によれば、次の様な各種の優れた効果を奏することができる。
【0018】
(1)アーチ状に湾曲した剛性保持用の鋼製曲管をトンネル軸方向(長手方向)に沿って所定ピッチで、連通結合部の上下にこれを挟んで無数に設置するとともに、該両シールドトンネルの切り開かれたセグメントリングの端縁同士に掛け渡して連結セグメントを設け、かつ、連結セグメントと鋼製曲管との間の空隙にコンクリートを充填して両シールドトンネルを一体化するので、並設されたシールドトンネル同士の連通結合部を高剛性に形成でき、当該部位を無支柱化することができる。
【0019】
(2)連通結合部に支柱が無いため、道路等の分岐合流部に適用すれば、シールドトンネル相互間の車両の行き来を、円滑かつ安全に行わせることが可能となる。
【0020】
(3)分岐合流部の形成部位を大断面円形トンネル構造や、開削工法による大断面矩形構造にする必要が無いため、地上への影響を可及的に少なくすることができる。
【0021】
(4)線形を変更することなく、本線等の一般部と分岐合流部とを、ともに地中トンネル構造にすることができる。
【0022】
(5)トンネルの外側に別途に支持構造を設置する必要が無く、シールドトンネルの連通結合部だけの補剛で構造を安定化でき、しかもシールドトンネル内部からの施工のみで補剛部材を設置できるため、施工コストの低減化、施工期間の短縮化、専有面積の縮小化等が図れて、合理的な構造となし得る。
【0023】
(6)剛性保持用の鋼製曲管と薬液注入用の鋼製曲管とを別途に設け、該薬液注入用鋼製曲管は該剛性保持用鋼製曲管間の外側に相互のピッチをずらして配置することで、地山中に注入する薬液が上下の鋼製曲管で挟まれた内方部まで伝わり易くすることができる。
【0024】
(7)剛性保持用の鋼製曲管を内管と外管とからなる2重管構造とすること、あるいは、前記剛性保持用の鋼製曲管内にH形鋼を挿通配置すること、もしくは前記剛性保持用の鋼製曲管内の空隙にはコンクリートを充填すること、さらには張力を付与した鋼線を配設してプレストレスを導入することによって、連通結合部の更なる高剛性化を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明に係る並設シールドトンネルの連通部形成方法の好適な一実施の形態について、添付図面に基づいて詳述する。
【0026】
図1〜図9は、並設シールドトンネルの連通部形成方法の各施工工程を順次に示す概略図であり、本実施の形態では地下高速道路の分岐・合流部の構築に適用する場合を例示している。
【0027】
図1に示すように本線道路を設けるための大きい円形断面の第1シールドトンネル2と、この本線道路用の第1シールドトンネル2の側方に近接して、分岐・合流部用の道路を設けるための小さい円形断面の第2シールドトンネル4が並設される。各シールドトンネル2,4はトンネル軸が相互に平行になるように隣接配置される。このように近接して並設された2つの円形断面のシールドトンネル2,4の側部同士が開削されて連通結合されることで2連状態の道路トンネルが形成される。なお、シールドトンネルの円形断面とは図示する真円状のものに限定されるものではなく、楕円状のものであっても良い。
【0028】
図2は鋼製曲管設置工程を示している。図示するように、この鋼製曲管設置工程では、両シールドトンネル2,4間の連通結合予定部位の上下両側部の地山8中に、シールドトンネル2,4の一方から他方に向けて、曲線ボーリング装置を用いて円弧状の鋼製曲管6が掛け渡される。ここでは、第1シールドトンネル2側を発進部とし、第2シールドトンネル4側を到達部として鋼製曲管6が推進工法により順次地山中に押し込まれて渡設される。そして、これらの鋼製曲管6はトンネル長手方向に沿って所定のピッチで所定数ずつ設置される。
【0029】
具体的には、図10に示すように、本実施形態例ではセグメント1リング毎に3つの鋼製曲管6が設けられる。即ち、各シールドトンネル2,4の覆工体10を形成するセグメント12は8個で1周分を形成している。それぞれのシールドトンネル2,4において鋼製曲管6が掛け渡される部位のセグメント12には鋼製曲管6の受け口部が予め着脱可能な蓋体で閉塞されて設けられていて、当該受け口部が開放されて鋼製曲管6が設置される。セグメント12は幅は1.2mの鋼板または鋼板コンクリート製であり40cm間隔で補強リブ14が立設されており、当該補強リブ14間に位置されて鋼製曲管6は40cmピッチで設けられている。鋼製曲管の径は30cmである。
【0030】
また、この実施の形態では上記鋼製曲管6は専ら剛性保持用として設けられ、当該鋼製曲管6の外側には地盤改良用の薬液を周囲の地山8中に注入するための鋼製曲管16が同様にして設けられている。この薬液注入用鋼製曲管16はその管面に多数の薬液柱入口(図示せず)を有し、剛性保持用の鋼製曲管6,6のほぼ中間部に位置されて、これらと相互のピッチがずらされて配置されており、これより地山8中に注入する薬液が上下の剛性保持用鋼製曲管6で挟まれている内方部分の地山中まで伝わり易くされている。薬液注入用鋼製曲管16の径は剛性保持用鋼製曲管6よりも細く10〜15cmとされている。
【0031】
図3は地盤改良工程を示し、上記薬液注入用鋼製曲管16を通じて周囲の地山8中の地盤改良領域18に薬液が注入されて地盤改良が行われる。なお、剛性保持用鋼製曲管6に薬液注入機能も併せ持たせて当該薬液注入用鋼製曲管16は省略する様にしても良い。さらには、当該薬液の注入は剛性保持用鋼製曲管6を通じて行わずに、覆工体10のセグメントに予め形成してある薬液柱入口から行って地盤改良するようにしても良い。
【0032】
地盤改良が済むと、図4の内部支保工設置工程に示すように、両シールドトンネル2,4内には、連通結合部のセグメントを切り広げたときに、それらシールドトンネル2,4に変形が生じることを防止するための内部支保工20が横断面矩形状に組立設置される。
【0033】
図5及び図6はシールドトンネル連通工程を示し、両シールドトンネル2,4の連通結合部のセグメントを切り開いて、両シールドトンネル2,4間の地山8を掘削して相互に連通させる。
【0034】
そして、図7の連結セグメント設置工程に示すように、両シールドトンネル2,4の切り開かれたセグメントリング(覆工体10)の上下部それぞれの端縁同士に掛け渡して連結セグメント22が設置される。この連結セグメント22は鋼板製でなる。
【0035】
連結セグメント22が設置されると、図8のコンクリート充填工程に示すように、上下の各連結セグメント22と鋼製曲管6との間の空隙にコンクリート24が充填される。そして、当該コンクリート24が硬化すると、図9の支保工撤去工程に示すように、内部支保工20が撤去されて無支柱の2連状態の道路トンネルが形成されることになる。
【0036】
ここで、前記鋼製曲管設置工程と内部支保工設置工程との間に、前記鋼製曲管を通じて周囲の地山中に薬液を注入して地盤改良を行う地盤改良工程を備えた構成となしているが、不必要であれば当該地盤改良工程は省略するようにしても良い。
【0037】
また、前記剛性保持用の鋼製曲管6は、図11(a)に示すように外管6aと内管6bとからなる2重管構造となしても良い。あるいは、図12(a)に示すように前記剛性保持用鋼製曲管6内には、H形鋼6cを挿通配置するようにしても良い。
【0038】
さらには、前記剛性保持用鋼製曲管6内の空隙には、当該剛性保持用鋼製曲管6の両端を閉塞板(図示せず)で閉止してコンクリート24を充填するようにしても良い。ここで、剛性保持用鋼製曲管6を二重管構成となした場合には、図11(b)〜(d)に示すように、当該コンクリート24は内管6bの内側の空隙のみへの充填、あるいは内管6bの外側の管状の空隙のみへの充填、若しくは内管6bの内外両側の空隙双方内への充填となしても良い。
【0039】
またさらには、図11及び図12に示すように、剛性保持用鋼製曲管6内には、当該剛性保持用鋼製曲管6にプレストレスを導入するために、その図心の近傍に沿わせてその全長に亘って、シース管26を介して鋼線28を配設し、当該鋼線28の両端を張力を付与した状態で閉塞板(図示せず)に固定係止させる様にしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る並設シールドトンネルの連通部形成方法におけるシールドトンネル設置工程を示す概略図である。
【図2】同上、鋼製曲管設置工程を示す概略図である。
【図3】同上、地盤改良工程を示す概略図である。
【図4】同上、内部支保工設置工程を示す概略図である。
【図5】同上、シールドトンネル連通工程のセグメントを切り開き段階を示す概略図である。
【図6】同上、シールドトンネル連通工程の地山掘削段階を示す概略図である。
【図7】同上、連結セグメント設置工程を示す概略図である。
【図8】同上、コンクリート充填工程を示す概略図である。
【図9】同上、支保工撤去工程を示す概略図である。
【図10】図2中のA部を内側から示す展開図である。
【図11】剛性保持用の鋼製曲管を二重管にした場合の各種変形例の断面図であり、(a)はコンクリートを充填しない二重管構造のもの、(b)は内管の内側空隙内にコンクリートを充填したもの、(c)は内管の外側空隙内にコンクリートを充填したもの、(d)は内管の内外両側の空隙内にコンクリートを充填したものを示す。
【図12】剛性保持用の鋼製曲管内にH形鋼を挿通配置した場合の各種変形例の断面図であり、(a)はコンクリートを充填しないもの、(b)はコンクリートを充填したものを示す。
【符号の説明】
【0041】
2 第1シールドトンネル
4 第2シールドトンネル
6 剛性保持用の鋼製曲管
6a 外管
6b 内管
6c H型鋼
8 地山
10 覆工体
12 セグメント
14 補強リブ
16 薬液注入用の鋼製曲管
18 地盤改良領域
20 内部支保工
22 連結セグメント
24 コンクリート
26 シース管
28 鋼線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネルの側部同士を開削して連通結合させる並設シールドトンネルの連通部形成方法であって、
該両シールドトンネル間の連通結合予定部位両側部の地山中に、該シールドトンネルの一方から他方に向けて、曲線ボーリング装置を用いて円弧状の鋼製曲管を掛け渡し、トンネル長手方向に沿って所定のピッチで所定数ずつ設置する鋼製曲管設置工程と、
該両シールドトンネル内に該トンネルの変形を防止する内部支保工を設置する内部支保工設置工程と、
該両シールドトンネルの連通結合部のセグメントを切り開いて、両シールドトンネル間の地山を掘削して連通させるシールドトンネル連通工程と、
該両シールドトンネルの切り開かれたセグメントリングの端縁同士に掛け渡して連結セグメントを設置する連結セグメント設置工程と、
該連結セグメントと該鋼製曲管との間の空隙にコンクリートを充填するコンクリート充填工程と、
該コンクリートの硬化後に該内部支保工を撤去する支保工撤去工程と、
を備えたことを特徴とする並設シールドトンネルの連通部形成方法。
【請求項2】
前記鋼製曲管設置工程と内部支保工設置工程との間に、シールドトンネルのセグメントに形成された薬液柱入口から地山中に薬液を注入して地盤改良を行う地盤改良工程を備えたことを特徴とする請求項1に記載の並設シールドトンネルの連通部形成方法。
【請求項3】
前記鋼製曲管設置工程と内部支保工設置工程との間に、前記鋼製曲管を通じて周囲の地山中に薬液を注入して地盤改良を行う地盤改良工程を備えたことを特徴とする請求項1に記載の並設シールドトンネルの連通部形成方法。
【請求項4】
前記鋼製曲管設置工程において、剛性保持用の鋼製曲管と薬液注入用の鋼製曲管とが別途に設けられ、該薬液注入用鋼製曲管は該剛性保持用鋼製曲管間の外側に相互のピッチをずらされて配置されされることを特徴とする請求項3に記載の並設シールドトンネルの連通部形成方法。
【請求項5】
前記剛性保持用の鋼製曲管が内管と外管とからなる2重管構造とされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の並設シールドトンネルの連通部形成方法。
【請求項6】
前記剛性保持用の鋼製曲管内にH形鋼が挿通配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の並設シールドトンネルの連通部形成方法。
【請求項7】
前記剛性保持用の鋼製曲管内にコンクリートが充填されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の並設シールドトンネルの連通部形成方法。
【請求項8】
前記剛性保持用の鋼製曲管内には、該鋼製曲管にプレストレスを導入するために、張力を付与した鋼線が配設されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の並設シールドトンネルの連通部形成方法。
【請求項1】
近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネルの側部同士を開削して連通結合させる並設シールドトンネルの連通部形成方法であって、
該両シールドトンネル間の連通結合予定部位両側部の地山中に、該シールドトンネルの一方から他方に向けて、曲線ボーリング装置を用いて円弧状の鋼製曲管を掛け渡し、トンネル長手方向に沿って所定のピッチで所定数ずつ設置する鋼製曲管設置工程と、
該両シールドトンネル内に該トンネルの変形を防止する内部支保工を設置する内部支保工設置工程と、
該両シールドトンネルの連通結合部のセグメントを切り開いて、両シールドトンネル間の地山を掘削して連通させるシールドトンネル連通工程と、
該両シールドトンネルの切り開かれたセグメントリングの端縁同士に掛け渡して連結セグメントを設置する連結セグメント設置工程と、
該連結セグメントと該鋼製曲管との間の空隙にコンクリートを充填するコンクリート充填工程と、
該コンクリートの硬化後に該内部支保工を撤去する支保工撤去工程と、
を備えたことを特徴とする並設シールドトンネルの連通部形成方法。
【請求項2】
前記鋼製曲管設置工程と内部支保工設置工程との間に、シールドトンネルのセグメントに形成された薬液柱入口から地山中に薬液を注入して地盤改良を行う地盤改良工程を備えたことを特徴とする請求項1に記載の並設シールドトンネルの連通部形成方法。
【請求項3】
前記鋼製曲管設置工程と内部支保工設置工程との間に、前記鋼製曲管を通じて周囲の地山中に薬液を注入して地盤改良を行う地盤改良工程を備えたことを特徴とする請求項1に記載の並設シールドトンネルの連通部形成方法。
【請求項4】
前記鋼製曲管設置工程において、剛性保持用の鋼製曲管と薬液注入用の鋼製曲管とが別途に設けられ、該薬液注入用鋼製曲管は該剛性保持用鋼製曲管間の外側に相互のピッチをずらされて配置されされることを特徴とする請求項3に記載の並設シールドトンネルの連通部形成方法。
【請求項5】
前記剛性保持用の鋼製曲管が内管と外管とからなる2重管構造とされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の並設シールドトンネルの連通部形成方法。
【請求項6】
前記剛性保持用の鋼製曲管内にH形鋼が挿通配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の並設シールドトンネルの連通部形成方法。
【請求項7】
前記剛性保持用の鋼製曲管内にコンクリートが充填されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の並設シールドトンネルの連通部形成方法。
【請求項8】
前記剛性保持用の鋼製曲管内には、該鋼製曲管にプレストレスを導入するために、張力を付与した鋼線が配設されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の並設シールドトンネルの連通部形成方法。
【図1】
【図2】
【図10】
【図11】
【図12】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図10】
【図11】
【図12】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2006−219914(P2006−219914A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−35174(P2005−35174)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】
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