中空構造体の製造方法、芯材間に隙間を有する構造体の製造方法、及び、隙間を有する芯材が固定された構造体の製造方法
【課題】第1部材に、若しくは第1部材と第2部材の間に芯材を容易かつ確実に取り付けることが可能な中空構造体の製造方法、芯材間に隙間を有する構造体の製造方法、及び、隙間を有する芯材が固定された構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】第1パネル21と、第2パネル22と、第1パネル21と第2パネル22の間に互いに所定の隙間34を有して立設された複数の芯材たる板状部材31,31…と、を備える中空構造体の製造方法であって、互いに隙間34を有して配置された複数の板状部材31,31…の当該隙間34に間隔保持剤42を充填する間隔保持剤充填工程S4と、間隔保持剤42によって間隔を保持された複数の板状部材31,31…を第1パネル21と第2パネル22の間に固定する板状部材固定工程S6と、板状部材31,31同士の間から間隔保持剤42を溶融して除去する間隔保持剤除去工程S7と、を含むことを特徴とする。
【解決手段】第1パネル21と、第2パネル22と、第1パネル21と第2パネル22の間に互いに所定の隙間34を有して立設された複数の芯材たる板状部材31,31…と、を備える中空構造体の製造方法であって、互いに隙間34を有して配置された複数の板状部材31,31…の当該隙間34に間隔保持剤42を充填する間隔保持剤充填工程S4と、間隔保持剤42によって間隔を保持された複数の板状部材31,31…を第1パネル21と第2パネル22の間に固定する板状部材固定工程S6と、板状部材31,31同士の間から間隔保持剤42を溶融して除去する間隔保持剤除去工程S7と、を含むことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンドイッチパネル等に代表される中空構造体の製造方法、芯材間に隙間を有する構造体の製造方法、及び、隙間を有する芯材が固定された構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中空構造体の製造方法としては、例えば、多数のフィン(芯材)と平板状のプレート(第1部材又は第2部材)とを交互に積層する際に、フィンとプレートとの間にシート状またはペースト状のNiろう等を挿入し、炉中で加熱してろうを溶かして互いを接合する方法がある(例えば特許文献1参照)。かかる製造方法では、ろうの融解や部材の熱変形によってフィンとプレートとの間隔が変化するので、隙間が開かないように、フィンとプレートとを加圧して拘束する必要があった。
【特許文献1】特開2004−17061号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、多数の芯材を所定の間隔で第1部材に、若しくは第1部材と第2部材の間に立設するには、多数の芯材を個別に取り扱わなければならず、多くの手間と時間を要していた。
また、第1部材に、若しくは第1部材と第2部材の間に芯材を一つずつ取り付ける際、芯材が変形し易い場合には、十分な拘束力を加えることができず、芯材が第1部材及び/又は第2部材に十分に固定されない場合があった。
【0004】
本発明は、かかる問題を解決するために創案されたものであり、第1部材に、若しくは第1部材と第2部材の間に芯材を容易かつ確実に取り付けることが可能な中空構造体の製造方法、芯材間に隙間を有する構造体の製造方法、及び、隙間を有する芯材が固定された構造体の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、第1部材と、第2部材と、前記第1部材と前記第2部材の間に互いに所定の隙間を有して立設された複数の芯材と、を備える中空構造体の製造方法であって、互いに隙間を有して配置された複数の前記芯材の当該隙間に間隔保持剤を充填する間隔保持剤充填工程と、前記間隔保持剤によって間隔を保持された複数の前記芯材を前記第1部材と前記第2部材の間に固定する芯材固定工程と、前記芯材同士の間から前記間隔保持剤を溶かして除去する間隔保持剤除去工程と、を含むことを特徴とする。
【0006】
かかる方法によれば、芯材同士の隙間に間隔保持剤を充填することで、複数の芯材と間隔保持剤とが一体化して一つの塊になる。そのため、複数の芯材を一体的に取り扱うことができる。また、一塊になった複数の芯材を間隔保持剤と共に第1部材と第2部材の間に固定した後に間隔保持剤を溶かして除去することで、芯材同士の隙間が容易に形成されると同時に、複数の芯材が第1部材と第2部材の間に一度に立設されることとなる。これにより、芯材の固定作業が容易になり、中空構造体の生産性が向上する。
なお、「溶かす」とは、固体を液体にすること(融解)だけでなく、固体を水などの溶剤に溶かすこと(溶解)も含む。
【0007】
また、かかる方法によれば、芯材同士の隙間が間隔保持剤で充填された状態のまま、第1部材と第2部材の間に芯材が取り付けられるので、芯材が破損しにくい。そのため、第1部材と第2部材の間に芯材を固定する際にこれらを加圧しても、芯材が変形・破損することがない。また、第1部材と第2部材の間に芯材を加圧挟持するので、第1部材と芯材及び芯材と第2部材をしっかりと固定することができる。
【0008】
また、本発明に係る中空構造体の製造方法は、前記芯材固定工程において、前記間隔保持剤の融点よりも耐熱温度の高い接合剤を用いて前記第1部材と前記第2部材の間に前記複数の芯材を固定し、前記間隔保持剤除去工程において、前記間隔保持剤を、前記間隔保持剤の融点以上であって前記接合剤の耐熱温度未満の温度にするのが好ましい。
【0009】
かかる方法によれば、間隔保持剤を、間隔保持剤の融点以上であって接合剤の耐熱温度未満の温度にすることによって、第1部材と芯材の固定状態及び第2部材と芯材の固定状態を維持しながら、間隔保持剤を融解して除去することができる。これにより、隣り合う芯材同士の隙間を一度に容易に形成することができる。
なお、接合剤の耐熱温度とは、接合性能を維持している温度をいう。
【0010】
また、本発明に係る中空構造体の製造方法は、前記間隔保持剤充填工程の前に、前記芯材とスペーサとを交互に積層する芯材積層工程と、隣り合う前記芯材同士を仮固定する芯材仮固定工程と、前記スペーサを取り除いて隣り合う前記芯材同士の間に隙間を形成する隙間形成工程と、を有し、前記間隔保持剤充填工程の後であって前記芯材固定工程の前に、隣り合う前記芯材同士の仮固定を解除する仮固定解除工程を有するのが好ましい。
【0011】
かかる方法によれば、芯材とスペーサとを交互に積層するという簡易な方法で、芯材の位置決め等の煩雑な作業を行うことなく、複数の芯材を所定の間隔に配置することができる。
また、隣り合う前記芯材同士が仮固定された状態でスペーサを取り除くことにより、隣り合う芯材の間に隙間を容易に形成することができる。
そして、間隔保持剤を充填した後に仮固定を解除すれば、間隔保持剤を介して複数の芯材が一体化されているので、芯材固定工程において複数の芯材を一体的に取り扱うことができる。
さらに、仮固定を解除した後に芯材を第1部材と第2部材の間に固定するので、間隔保持剤が必ず外部に露出する。この間隔保持剤の外部に露出した部分が溶けた間隔保持剤の出口になるため、芯材同士の間から間隔保持剤を確実かつ容易に除去することができる。
これにより、作業時間の短縮、ひいては中空構造体の生産性の向上を図ることができる。
【0012】
また、本発明に係る中空部材の製造方法において、前記第1部材及び前記第2部材は平板部材であり、前記中空構造体はサンドイッチパネルであるのが好ましい。
【0013】
かかる方法によれば、第1部材と第2部材の間に複数の芯材が強固に固定されたサンドイッチパネルを容易に製造することができる。
【0014】
また、本発明は、第1部材と、互いに所定の隙間を有して前記第1部材に立設された複数の芯材と、を備える芯材間に隙間を有する構造体の製造方法であって、互いに隙間を有して配置された前記複数の芯材の当該隙間に間隔保持剤を充填する間隔保持剤充填工程と、前記間隔保持剤によって間隔を保持された前記複数の芯材を前記第1部材の上に固定する芯材固定工程と、前記芯材同士の間から前記間隔保持剤を溶かして除去する間隔保持剤除去工程と、を含むことを特徴とする。
【0015】
かかる方法によれば、互いに隙間を有して配置された複数の芯材の当該隙間に間隔保持剤を充填した上で、複数の芯材を第1部材に固定するので、固定作業時に、複数の芯材をまとめて取り扱うことができる。また、複数の芯材を第1部材の上に固定した後に、芯材同士の間から間隔保持剤を溶かして除去することで、芯材間に隙間を容易に形成することができる。すなわち、かかる方法によれば、芯材間に隙間を有する構造体を容易に製造することができる。
【0016】
また、芯材同士の隙間に間隔保持剤が充填されているので、芯材を加圧しても芯材が折れたり曲がったりすることがない。そのため、第1部材と複数の芯材との固定作業時に圧力を加えて両者をしっかりと固定することができる。
【0017】
また、本発明は、前記芯材固定工程において、前記間隔保持剤の融点よりも耐熱温度の高い接合剤を用いて前記第1部材の上に前記複数の芯材を固定し、前記間隔保持剤除去工程において、前記間隔保持剤を、前記間隔保持剤の融点以上であって前記接合剤の耐熱温度未満の温度に加熱するのが好ましい。
【0018】
かかる方法によれば、間隔保持剤を、間隔保持剤の融点以上であって接合剤の耐熱温度未満の温度にすることによって、第1部材と芯材の固定状態を維持しながら、間隔保持剤を融解して除去することができる。これにより、隣り合う芯材同士の隙間を一度に容易に形成することができる。
【0019】
また、本発明は、前記間隔保持剤充填工程の前に、互いに隙間を有した状態で前記複数の芯材を仮固定する芯材仮固定工程を有し、前記間隔保持剤充填工程の後であって前記芯材固定工程の前に、前記複数の芯材の仮固定を解除する仮固定解除工程を有するのが好ましい。
【0020】
かかる方法によれば、間隔保持剤充填工程の前に、互いに隙間を有した状態で複数の芯材を仮固定する芯材仮固定工程を有するので、当該隙間に間隔保持剤を容易に充填することができる。また、間隔保持剤を充填した後に仮固定を解除すれば、間隔保持剤によって複数の芯材が一体化されているので、複数の芯材を一体的に取り扱うことができる。
【0021】
また、本発明において、前記芯材は、棒状又は針状であるのが好ましい。
【0022】
かかる方法によれば、芯材が棒状又は針状であっても、互いの隙間に間隔保持剤を充填することによってこれらを一体的に取り扱うことができるので、複数の棒状又は針状の芯材を第1部材に容易に立設することができる。
【0023】
また、本発明は、第1部材と、前記第1部材に立設された隙間を有する芯材と、を備える隙間を有する芯材が固定された構造体の製造方法であって、隙間を有する前記芯材の当該隙間に間隔保持剤を充填する間隔保持剤充填工程と、前記間隔保持剤によって間隔を保持された前記芯材を前記第1部材の上に固定する芯材固定工程と、前記隙間から前記間隔保持剤を溶かして除去する間隔保持剤除去工程と、を含むことを特徴とする。
【0024】
かかる方法によれば、芯材が隙間を有しているために変形し易い場合でも、芯材の隙間が間隔保持剤で充填されているので、芯材を第1部材に固定するときに、芯材が変形・損傷し難い。また、第1部材に芯材を固定した後に、間隔保持剤を溶かして除去するので、隙間を容易に復元することができる。そのため、隙間を有する芯材が固定された構造体を容易かつ確実に製造することができる。
【0025】
また、前記芯材固定工程において、前記間隔保持剤の融点よりも耐熱温度の高い接合剤を用いて前記第1部材の上に前記芯材を固定し、前記間隔保持剤除去工程において、前記間隔保持剤を、前記間隔保持剤の融点以上であって前記接合剤の耐熱温度未満の温度に加熱するのが好ましい。
【0026】
かかる方法によれば、間隔保持剤を、間隔保持剤の融点以上であって接合剤の耐熱温度未満の温度にすることによって、第1部材と芯材の固定状態を維持しながら、間隔保持剤を融解して除去することができる。これにより、芯材の隙間を容易に形成することができる。
【0027】
また、前記芯材固定工程の後であって、前記間隔保持剤除去工程の前に、前記芯材の前記第1部材と反対側に第2部材を固定する工程を備えるのが好ましい。
【0028】
かかる方法によれば、間隔保持剤によって隙間が充填された芯材の第1部材と反対側に第2部材を固定するので、押圧力を加えても、芯材が変形・損傷し難い。また、間隔保持剤を融解して除去することで、隙間を容易に形成することができる。これにより、中空構造体を容易に製造するこができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、第1部材に、若しくは第1部材と第2部材の間に芯材を容易かつ確実に取り付けることが可能な中空構造体の製造方法、芯材間に隙間を有する構造体の製造方法、及び、隙間を有する芯材が固定された構造体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の第1実施形態について図面を参照して詳細に説明する。説明において、同一の要素には同一の番号を付し、重複する説明は省略する。第1実施形態では、中空構造体として、サンドイッチパネルを例にとって説明する。
【0031】
はじめに、第1実施形態に係る中空構造体の製造方法によって製造されるサンドイッチパネル1の構造について説明する。
図1は、第1実施形態のサンドイッチパネルを示す斜視図である。
図1に示すように、サンドイッチパネル1は、比強度、比剛性に優れた中空の軽量部材であり、例えば建物や車両や航空機などの壁体などに用いられている。サンドイッチパネル1は、平面視長方形状を呈しており、第1部材たる第1パネル21と、第2部材たる第2パネル22と、この第1パネル21と第2パネル22の間に互いに所定の隙間34を有して固定された複数の芯材たる板状部材31,31…と、から構成されている。
【0032】
第1パネル21及び第2パネル22は、サンドイッチパネル1のいわゆる表面材を構成する平板部材であり、平面視長方形状(長さL×幅B)を呈している。第1パネル21及び第2パネル22は、例えば、アルミニウム合金などの金属材料や繊維強化プラスチックなどのプラスチック材料で構成されている。本実施形態では、第1パネル21及び第2パネル22は、炭素繊維強化樹脂材料(以下、「CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)」という場合がある)を用いて形成されている。
【0033】
板状部材31は、サンドイッチパネル1のいわゆる芯材(強度部材)を構成する部材であり、側面視長方形状(長さL×幅(高さ)H)を呈している。板状部材31は、第1パネル21と第2パネル22の間に所定の隙間34(間隔d)を有して複数立設されている。つまり、複数の板状部材31,31…の上端部31cに跨って第1パネル21が固定されていると共に、複数の板状部材31,31…の下端部31dに跨って第2パネル22が固定されている。なお、複数の板状部材31,31…の右端部31bと左端部31aには何も取り付けられておらず、サンドイッチパネル1の側部に隙間34が開口している。板状部材31は、例えば、アルミニウム合金などの金属材料や繊維強化プラスチックなどのプラスチック材料で構成されている。本実施形態では、板状部材31は、CFRPで構成されており、第1パネル21及び第2パネル22に接合剤で固定されている。また、板状部材31の厚さ寸法は例えば0.4mm程度であり、隙間34の間隔dは例えば1mm程度である。
【0034】
つづいて、第1実施形態に係る中空構造体の製造方法について図2乃至図9を参照して説明する。
図2は、第1実施形態に係る中空構造体の製造方法の手順を示すフロー図である。図3は、芯材積層工程を説明するための模式図である。図4は、芯材仮固定工程を説明するための模式図である。図5は、隙間形成工程を説明するための模式図である。図6は、間隔保持剤充填工程を説明するための模式図である。図7は、仮固定解除工程を説明するための模式図である。図8は、芯材固定工程を説明するための模式図である。図9は、間隔保持剤除去工程を説明するための模式図である。
【0035】
図2に示すように、第1実施形態に係る中空構造体の製造方法は、芯材積層工程S1と、芯材仮固定工程S2と、隙間形成工程S3と、間隔保持剤充填工程S4と、仮固定解除工程S5と、芯材固定工程S6、間隔保持剤除去工程S7と、を含んでいる。以下、各工程について詳細に説明する。
【0036】
[芯材積層工程S1]
はじめに、図3(a)に示すように、CFRP製の長尺の板状部材31と、スペーサ32と、をそれぞれ複数枚用意する。このとき、板状部材31は、その長さ寸法W1がスペーサ32の長さ寸法W2よりも大きいものを用意する。また、スペーサ32は、その厚さ寸法tが、製造すべきサンドイッチパネル1の隣り合う板状部材31,31同士の隙間34の間隔d(図1参照)に等しいものを用意する。そして、板状部材31の左端部31aと右端部31bとをスペーサ32の左端部32a,右端部32bよりも突出させながら、板状部材31とスペーサ32とを交互に積層する。
これにより、図3(b)に示すように、板状部材31とスペーサ32との積層体30Aが形成される。このとき、板状部材31とスペーサ32とは積層するだけで、接着はしない。板状部材31とスペーサ32は、これらを合わせた積層寸法Bが図1に示す第1パネル21及び第2パネル22の幅寸法Bに略等しくなる枚数だけ交互に積層するのが好ましい。
【0037】
[芯材仮固定工程S2]
つぎに、図4に示すように、積層体30Aの板状部材31,31…の隣り合う左端部31a,31a同士を仮固定用接着剤33で仮固定すると共に、隣り合う右端部31b,31b同士を仮固定用接着剤33で仮固定する。仮固定用接着剤33は、公知の接着剤の中から適宜選択して用いることができる。本実施形態では、仮固定用接着剤33として、Henkel社製のエポキシ接着剤(EA9394/C−2)を用いる。
【0038】
[隙間形成工程S3]
つぎに、図5に示すように、左端部31a,31a…及び右端部31b,31b…を仮固定用接着剤33で固めた積層体30Aからスペーサ32,32…を取り除くことにより、隣り合う板状部材31,31同士の間に隙間34,34…を形成する。
【0039】
すなわち、かかる方法によれば、板状部材31,31…とスペーサ32,32…とを交互に重ねるという簡易な方法で、板状部材31,31…を所定の間隔に配置することができる。また、板状部材31,31は仮固定されているので、スペーサ32,32…を取り去っても、隙間34,34…を維持することができる。
【0040】
[間隔保持剤充填工程S4]
つぎに、図6(a)に示すように、融解した間隔保持剤42を貯留した貯留槽41を用意する。間隔保持剤42としては、例えば熱可塑性接着剤やホットメルト接着剤等を用いることができる。本実施形態では、間隔保持剤42として、Electron Microscopy Sciences社製のCrystalbond590を用いる。なお、Crystalbond590の融点は150℃程度である。
そして、この貯留槽41の中に、隙間34,34…を有して配置された板状部材31,31…を沈めると、この隙間34,34…の中に間隔保持剤42が流入する。
この状態のまま貯留槽41を冷却して間隔保持剤42が硬化した後に、貯留槽41から板状部材31,31…を取り出し、余分な間隔保持剤42を除去すると、図6(b)に示すように、隙間34,34…に間隔保持剤42が充填された板状部材31,31…が得られる。なお、間隔保持剤42を隙間34に充填する方法は、これに限定されるものではない。
【0041】
[仮固定解除工程S5]
つぎに、図7に示すように、間隔保持剤42が充填された各板状部材31,31…から仮固定用接着剤33,33を切り落として除去することにより、仮固定を解除する。切り出された各板状部材31,31…は、間隔保持剤42によって一体化されつつ所定の間隔に保持されているので、板状部材31,31…と間隔保持剤42,42…との積層体30Bとして一体的に取り扱うことができる。このとき、積層体30Bの長さ寸法Lが、図1に示す第1パネル21及び第2パネル22の長さ寸法Lと略等しくなるように切断するのが好ましい。
【0042】
[芯材固定工程S6]
つぎに、図8(a)に示すように、積層体30Bの下面30Baに、接合剤50を塗布する。接合剤50は、例えばスクリーン印刷やロールコートなどによって塗布するのが好ましい。また、接合剤50は、間隔保持剤42の融点以上の温度でも接合力を有するものであればどのようなものでもよく、例えば、熱硬化性接着剤や熱可塑性接着剤などを用いることができる。また、各部材が金属製の場合は、ろうを用いてろう付けしてもよい。本実施形態では、接合剤50として、仮固定用接着剤33と同じHenkel社製のエポキシ接着剤(EA9394/C−2)を用いる。なお、このエポキシ接着剤(EA9394/C−2)の耐熱温度は260℃程度であり、間隔保持剤42の融点よりも耐熱温度が高い。
【0043】
そして、接合剤50が塗布された積層体30Bの下面30Baを第2パネル22に当接させて加圧することにより、両者を強固に接着する。このとき、板状部材31,31…は、間隔保持剤42,42…によって一体化されているので、加圧力によって折れたり倒れたりすることがない。そのため、板状部材31,31…と第2パネル22とを確実かつ容易に接着することができる。なお、加圧力は、例えば0.5MPa程度とするのが好ましい。
【0044】
つぎに、図8(b)に示すように、積層体30Bの上面30Bbに、接合剤50を塗布し、当該上面30Bbに第1パネル21を当接させて加圧することにより、両者をしっかりと接着する。
これにより、図8(c)に示すように、第1パネル21と積層体30Bと第2パネル22の積層体10Aが形成される。
なお、積層体30Bの上面30Bbと下面30Baに第1パネル21と第2パネル22をそれぞれ当接させてから、加圧力を加えるようにしてもよい。また、接合材50として熱硬化性接着剤を用いた場合には、加圧した状態で、さらに加熱するようにしてもよい。
【0045】
[間隔保持剤除去工程S7]
つぎに、図9(a)に示すように、箱型の昇温炉60の中に積層体10Aを配置する。このとき、仮固定解除工程S5において、板状部材31,31の左端部31a,31a…及び右端部31b,31b…から仮固定用接着剤33が除去されているので、積層体10Aの左右端部には、間隔保持剤42が露出している。
そして、昇温炉60を、間隔保持剤42の融点以上の温度であって、接合剤50の融点よりも低い温度まで昇温させると、積層体10Aの間隔保持剤42,42…が融解し、積層体10Aの左右端部に露出した板状部材31,31…の間から、融解した間隔保持剤42が流出する。
なお、図9(a)においては、説明の都合上、昇温炉60の上壁を仮想線で描いている。
【0046】
図9(b)に示すように、間隔保持剤42,42…が板状部材31,31…の間から流出すると、第1パネル21と第2パネル22の間には、板状部材31,31…だけが立設した状態で残存する。そして、隣り合う板状部材31,31…の間には、間隔保持剤42(ひいてはスペーサ32)の厚さ寸法tに等しい隙間34が形成される。これにより、サンドイッチパネル1が形成されることとなる。
なお、融解により除去しきれなかった間隔保持剤42は、例えばメタノールなどの溶剤を用いて溶解除去する。
【0047】
以上のようなサンドイッチパネル1の製造方法によれば、以下のような作用効果を奏する。
すなわち、かかる方法によれば、板状部材31,31同士の隙間34に間隔保持剤42を充填することで、複数の板状部材31,31…と間隔保持剤42,42…とが一つの塊になる。そのため、複数の板状部材31,31…を一体的に取り扱うことができる。
【0048】
また、一塊になった複数の板状部材31,31…を間隔保持剤42,42…と共に第1パネル21と第2パネル22の間に固定した後に間隔保持剤42,42…を融解することで、板状部材31,31…同士の隙間34,34…が容易に形成されると同時に、複数の板状部材31,31…が第1パネル21と第2パネル22の間に一度に立設されることとなる。これにより、板状部材31,31…の固定作業が容易になり、サンドイッチパネル1の生産性が向上する。
【0049】
また、かかる方法によれば、板状部材31,31同士の隙間34が間隔保持剤42で充填された状態で、第1パネル21と第2パネル22の間に取り付けられるので、板状部材31,31…が破損しにくい。そのため、板状部材31が変形し易い薄板形状である場合でも、板状部材31を適度に加圧して第1パネル21と第2パネル22の間にしっかりと固定することができる。
【0050】
また、板状部材31と第1パネル21、及び、板状部材31と第2パネル22、を接合する接合剤50は、間隔保持剤42よりも融点の高いものを用いているので、間隔保持剤42の温度を、間隔保持剤42の融点以上であって接合剤50の融点未満の温度にすることによって、板状部材31と第1パネル21、及び、板状部材31と第2パネル22、の固定状態を維持しながら、間隔保持剤42を融解して除去することができる。これにより、隣り合う板状部材31,31同士の隙間34を一度に容易に形成することができる。
【0051】
また、板状部材31の原材料となる板状部材31とスペーサ32とを交互に積層するという簡易な方法で、板状部材31の位置決め等の煩雑な作業を行うことなく、複数の板状部材31,31…を所定の間隔に配置することができる。
また、隣り合う板状部材31,31同士が仮固定された状態でスペーサ32を取り除くことにより、隣り合う板状部材31,31の間に隙間34を容易に形成することができる。
そして、間隔保持剤42を充填した後に仮固定用接着剤33を除去すれば、間隔保持剤42を介して複数の板状部材31,31…が一体化されているので、芯材固定工程S6において複数の板状部材31,31…を一体的に取り扱うことができる。
さらに、仮固定用接着剤33を除去した後に一体化された複数の板状部材31,31…を第1パネル21と第2パネル22の間に固定するので、間隔保持剤42が必ず外部に露出する。この間隔保持剤42の外部に露出した部分が融解した間隔保持剤42の出口になるため、板状部材31,31同士の間から間隔保持剤42を確実かつ容易に除去することができる。
これにより、作業時間の短縮、ひいては中空構造体の生産性の向上を図ることができる。
【0052】
つづいて、第2実施形態に係る中空構造体の製造方法について主に図10を参照して説明する。
図10は、第2実施形態に係る中空構造体の製造方法を説明するための模式図であり、(a)は芯材仮固定工程を、(b)は隙間形成工程を、(c)は仮固定解除工程を、それぞれ示している。
【0053】
第2実施形態に係る中空構造体の製造方法は、仮固定用の治具(仮固定用治具70)を用いて板状部材31を仮固定した点が、第1実施形態と異なっている。
【0054】
図10(a)に示すように、仮固定用治具70は、板状部材31,31…の左右両端部31a,31bを把持するための把持部71,71…を備えている。把持部71,71…は、板状部材31の厚さ寸法vと略等しい幅寸法の凹溝である。把持部71,71…は、スペーサ32の厚さ寸法tと略等しい間隔で設けられている。仮固定用治具70の材質は特に限定されるものではなく、金属、プラスチックなど適宜な材料を用いて形成されている。
【0055】
芯材積層工程S1において、複数の板状部材31,31…が所定の間隔、すなわちスペーサ32,32…の厚さ寸法t、を隔てて配置される。そして、仮固定用治具70には、このスペーサの厚さ寸法tに対応した間隔で、把持部71,71…が形成されている。
したがって、芯材仮固定工程S2において、積層された板状部材31,31…の左右両端部31a,31bを、仮固定用治具70の把持部71,71…に、一度に挿入して把持することができる。
つまり、スペーサ32と、これに対応した仮固定用治具70とを用いれば、板状部材31,31…を仮固定用治具70に対して、一枚ずつ位置あわせすることなく、容易に仮固定することができる。そのため、作業時間の短縮を図ることができる。
【0056】
そして、図10(b)に示すように、仮固定用治具70によって左右両端部31a,31bを把持された状態で、スペーサ32抜き取れば、隣り合う板状部材31,31の間に隙間34が形成されることとなる。なお、図10(b)では、抜き取ったスペーサ32を破線で示している。
【0057】
そして、図10(c)に示すように、隙間34,34…に間隔保持剤42を充填して板状部材31,31…を一体化した後に、仮固定用治具70を取り外して仮固定を解除する(仮固定解除工程S5)。これにより、板状部材31,31…と間隔保持剤42,42…との積層体30B’が製造されることとなる。このようにすれば、板状部材31を切断する必要がなく、仮固定の解除が容易になる。なお、板状部材31は、第1パネル21の長さ寸法Lに略等しい長さ寸法のものを用いるのが好ましい。
【0058】
つづいて、本発明の第3実施形態について、図11乃至図16を参照して説明する。説明において、前記した実施形態と同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図11は、第3実施形態に係る芯材間に隙間を有する構造体の斜視図である。図12は、第3実施形態に係る芯材間に隙間を有する構造体の製造方法を説明するためのフロー図である。図13は、第3実施形態の芯材仮固定工程と間隔保持剤充填工程を説明するための模式図である。図14は、第3実施形態の仮固定解除工程を説明するための模式図である。図15は、第3実施形態の芯材固定工程を説明するための模式図である。図16は、第3実施形態の間隔保持剤除去工程を説明するための模式図である。
【0059】
第3実施形態に係る芯材間に隙間を有する構造体1A(以下、「有隙間構造体1A」という場合がある。)は、芯材が棒状に形成されている点、及び、第1部材と第2部材の間ではなく第1部材の上に芯材が立設されている点、が第1実施形態に係る中空構造体1と主に異なっている。
【0060】
有隙間構造体1Aは、第1部材たる円盤状部材121と、この円盤状部材121の表面に立設された芯材たる複数の棒状部材131,131…と、から構成されている。そして、有隙間構造体1Aは、隣り合う棒状部材131同士の間に隙間134を有している。有隙間構造体1Aの用途は特に限定されるものではないが、例えば発熱する機械部品に取り付けて熱を放散させるヒートシンクとして利用することができる。
【0061】
円盤状部材121は、芯材を立設するためのベースとなる部材であり、平面視円形状の板状部材で構成されている。円盤状部材121は、例えば、アルミニウム合金などの金属材料や繊維強化プラスチックなどのプラスチック材料で構成されている。
なお、第3実施形態においては、平面視円形状の板状部材を例にとって第1部材を説明したが、第1部材は特に限定されるものではなく、例えば3次元的な立体形状を有する機械部品などであってもよい。3次元的な立体形状としては、例えば球状、階段状、波状などの他、これらを組み合わせた複雑な形状等が挙げられる。
【0062】
棒状部材131は、円柱状の部材であり、円盤状部材121の上面に互いに隙間134を有して複数立設されている。第3実施形態では、円盤状部材121の略中央部に縦5本×横5本で等間隔に配列されている。棒状部材131は、例えば、アルミニウム合金などの金属材料や繊維強化プラスチックなどのプラスチック材料で構成されている。
なお、第3実施形態においては、円柱状の部材を例にとって芯材を説明したが、芯材の形状は特に限定されるものではなく、例えば断面形状が多角形を呈する柱状であってもよいし、柱状ではなく錐状(例えば円錐状)であってもよいし、頭部のみが尖った柱状(尖頭状)であってもよい。また、芯材は、第1及び第2実施形態で説明したように、板状であってもよいことはいうまでもない。
【0063】
つづいて、第3実施形態に係る有隙間構造体1Aの製造方法について説明する。
図12に示すように、第3実施形態に係る有隙間構造体1Aの製造方法は、芯材仮固定工程S101と、間隔保持剤充填工程S102と、仮固定解除工程S103と、芯材固定工程S104と、間隔保持剤除去工程S105と、を含んでいる。以下、各工程について詳細に説明する。
【0064】
[芯材仮固定工程S101]
図13(a)に示すように、はじめに、棒状部材131の原材料となる長尺の棒状部材132,132…を仮固定するための仮固定部材133A,133Bを用意する。
仮固定部材133Aは、側面視正方形状の板状部材であり、その側面には、長尺の棒状部材132,132…を嵌め入れるための複数の嵌入穴133Aa,133Aa…が形成されている。複数の嵌入穴133Aa,133Aa…は、互いに間隔tを隔てて形成されている。複数の嵌入穴133Aa,133Aa…の配列及び間隔tは、製造すべき有隙間構造体1Aの棒状部材131,131の配列及び間隔d(図11参照)に対応している。なお、仮固定部材133Bは、仮固定部材133Aと同一の構造であるので説明を省略する。
【0065】
そして、この仮固定部材133Aの嵌入穴133Aaに長尺の棒状部材132の一端部132aを嵌め入れるとともに、仮固定部材133Bの嵌入穴133Baに長尺の棒状部材132の他端部132bを嵌め入れる。
これにより、図13(b)に示すように、長尺の棒状部材132の隣り合う一端部132a同士が仮固定部材133Aによって間隔tを隔てて仮固定されるとともに、長尺の棒状部材132の隣り合う他端部132b同士が仮固定部材133Bによって間隔tを隔てて仮固定される。すなわち、仮固定部材133A,133Bによって、複数の長尺の棒状部材132,132…が、互いに隙間134,134…を有して配置された状態となる。
【0066】
[間隔保持剤充填工程S102]
つぎに、図13(c)に示すように、仮固定部材133A,133Bによって互いに隙間134,134…を有して配置された複数の長尺の棒状部材132,132…の当該隙間134,134…に、間隔保持剤42を充填する。間隔保持剤42としては、例えば熱可塑性接着剤やホットメルト接着剤等を用いることができる。本実施形態では、間隔保持剤42として、Electron Microscopy Sciences社製のCrystalbond590を用いる。なお、Crystalbond590の融点は150℃程度である。
間隔保持剤42の充填方法は第1実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する(図6(a),(b)参照)。
【0067】
[仮固定解除工程S103]
つぎに、図14に示すように、間隔保持剤42によって所定間隔に保持された長尺の棒状部材132,132…を、間隔保持剤42とともに所定の長さ寸法に切断する。これにより、長尺の棒状部材132,132…から仮固定部材133A,133Bが切り離される(仮固定が解除される)とともに、間隔保持剤42によって所定間隔に保持された複数の棒状部材131,131…のブロック135,135…が形成される。
第3実施形態において、ブロック135は、側面視正方形状の六面体を呈している。ブロック135の切断面135aには、縦5本×横5本で等間隔に配列された棒状部材131,131…の端面が露出している。
なお、第3実施形態では、切断することによって仮固定を解除したが、仮固定の解除方法はこれに限定されるものではなく、仮固定部材133A,133Bと棒状部材131とが分離されればよい。また、第3実施形態では、切断面を平坦面としたが、第1部材の形状に合わせて3次元形状に切断又は切削してもよい。
【0068】
[芯材固定工程A104]
つぎに、図15(a)に示すように、ブロック135の一方の切断面135aに、接合剤50を塗布する。接合剤50は、例えばスクリーン印刷やロールコートなどによって塗布するのが好ましい。また、接合剤50は、間隔保持剤42の融点以上の温度でも接合力を有するものであればどのようなものでもよく、例えば、熱硬化性接着剤や熱可塑性接着剤などを用いることができる。また、各部材が金属製の場合は、ろうを用いてろう付けしてもよい。本実施形態では、接合剤50として、仮固定用接着剤33と同じHenkel社製のエポキシ接着剤(EA9394/C−2)を用いる。なお、このエポキシ接着剤(EA9394/C−2)の耐熱温度は260℃程度であり、間隔保持剤42の融点よりも耐熱温度が高い。
【0069】
つぎに、図15(b)に示すように、接合剤50が塗布されたブロック135の一方の切断面135aを円盤状部材121に当接させて加圧することにより、両者を強固に接着する。このとき、各棒状部材131,131…は、間隔保持剤42,42…に埋没した状態になっているので、加圧力によって折れたり倒れたりすることがない。そのため、棒状部材131,131…と円盤状部材121とを確実かつ容易に接着することができる。なお、加圧力は、例えば0.5MPa程度とするのが好ましい。
また、棒状部材131,131…は、間隔保持剤42,42…によって一体化されているので、複数の棒状部材131,131…を一体的に取り扱うことができる。そのため、芯材を第1部材に固定する作業が容易になる。
【0070】
[間隔保持剤除去工程S105]
つぎに、図16に示すように、箱型の昇温炉60の中にブロック135が固定された円盤状部材121を配置する。
そして、昇温炉60を、間隔保持剤42の融点以上の温度であって、接合剤50の融点よりも低い温度まで昇温させると、間隔保持剤42,42…が融解し、棒状部材131,131…の間から、融解した間隔保持剤42が流出する。これにより、隣り合う棒状部材131,131…の間に、隙間134,134…が形成される。なお、隙間134の間隔d(図11参照)は、仮固定部材133A,133Bの嵌入穴133Aa,133Baの間隔t(図13(a)参照)に等しくなる。これにより、図11に示すような有隙間構造体1Aが形成されることとなる。
【0071】
このように、第3実施形態に係る芯材間に隙間を有する構造体1Aの製造方法によれば、複数の棒状部材131,131…を一体的に取り扱うことができるので、有隙間構造体1Aを容易に製造することができる。また、各棒状部材131,131…は、間隔保持剤42,42…に埋没した状態になっているので、加圧力によって折れたり倒れたりすることがない。そのため、棒状部材131,131…と円盤状部材121とを確実かつ容易に接着することができる。
【0072】
つづいて、第4実施形態に係る隙間を有する芯材が固定された構造体の製造方法について、図17及び図18を参照して説明する。説明において、前記した実施形態と共通する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図17は、隙間を有する芯材が固定された構造体の斜視図である。図18は、芯材固定工程を説明するための模式図である。
【0073】
第4実施形態に係る隙間を有する芯材が固定された構造体1Bの製造方法は、複数の隙間の間ではなくて、一つの芯材が有する隙間に間隔保持剤が充填されている点が、前記した第3実施形態と主に異なっている。
【0074】
はじめに、隙間を有する芯材が固定された構造体1Bの構造について説明する。
図17に示すように、隙間を有する芯材が固定された構造体1Bは、第1部材であるベース部材221と、このベース部材221に固定された隙間を有する芯材である渦巻状部材231と、から構成されている。
【0075】
ベース部材221は、芯材を立設するためのベースとなる部材であり、平面視四角形状の板状部材で構成されている。ベース部材221は、例えば、アルミニウム合金などの金属材料や繊維強化プラスチックなどのプラスチック材料で構成されている。
なお、ベース部材221の形状は、特に限定されるものではない。
【0076】
渦巻状部材231は、細長い板材を渦巻状に形成した部材であり、渦巻状の隙間234を有している。渦巻状部材231は、例えば、アルミニウム合金などの金属材料や繊維強化プラスチックなどのプラスチック材料で構成されている。渦巻状部材231は、接合剤50(図18参照)によって、ベース部材221に固定されている。
渦巻状の隙間234は、渦巻状部材231をベース部材221に固定した状態で、その一部が外部に露出(開口)している。
なお、第4実施形態では、隙間を有する芯材として渦巻状部材231を例にとって説明したが、芯材の形状は渦巻状に限定されるものではなく、隙間を有していれば、その形状は特に限定されるものではない。
【0077】
なお、間隔保持剤42及び接合剤50は、前記した第1実施形態と同一の構成であるので、詳細な説明を省略する。
【0078】
つぎに、隙間を有する芯材が固定された構造体1Bの製造方法について説明する。
隙間を有する芯材が固定された構造体1Bの製造方法は、間隔保持剤充填工程と、芯材固定工程と、間隔保持剤除去工程と、を備えている。
【0079】
[間隔保持剤充填工程]
図18に示すように、渦巻状部材231の渦巻状の隙間234に間隔保持剤42を充填する。なお、間隔保持剤を充填する方法としては、例えば、第1実施形態で説明したように、融解した間隔保持剤42を貯留した貯留槽41に渦巻状部材231を沈設する方法を採用することができる(図6(a)、(b)参照)。かかる方法によれば、隙間234に融解した間隔保持剤42が流入することとなる。そして、間隔保持剤42が固まった後に、渦巻状部材231を取り出すと、間隔保持剤42によって隙間234が充填された渦巻状部材231が得られる。
【0080】
[芯材固定工程]
つぎに、間隔保持剤42によって隙間234が充填された渦巻状部材231の一方の端面231aに、接合剤50を塗布する。そして、接合剤50が塗布された端面231aをベース部材221に当接させて、渦巻状部材231とベース部材221とを固定する。このとき、渦巻状部材231の隙間234に間隔保持剤が充填されているので、しっかりと強固に固定するために適当な力で両者を押圧しても、渦巻状部材231が変形したり損傷したりすることがない。そのため、渦巻状部材231の固定作業が容易になるとともに、渦巻状部材231をベース部材221にしっかりと確実に固定することができる。
【0081】
[間隔保持剤除去工程]
つぎに、図示は省略するが、この渦巻状部材231が固定されたベース部材221を昇温炉(図9(a)参照)に入れ、間隔保持剤42の融点以上の温度まで加熱する。これにより、間隔保持剤42が融解して隙間234から流出する。これにより、隙間234から間隔保持剤42が除去されて隙間234が復元される。
以上のような工程により、隙間を有する芯材が固定された構造体1Bが製造されることとなる。
【0082】
なお、渦巻状部材231の他方の端部231bに、第2部材(図示省略)を固定してもよい。このようにすれば、渦巻状部材231を芯材とする中空構造体を容易に製造することができる。
【0083】
以上、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0084】
例えば、第1実施形態においては、所定の間隔で配置した板状部材31,31…を、融解した間隔保持剤42の中に沈めることによって、板状部材31,31同士の隙間34に間隔保持剤42を充填することとしたが、間隔保持剤42を充填する方法はこれに限られるものではない。例えば、隙間34,34の一方の開口部を型枠を用いて閉塞し、他方の開口部から融解した間隔保持剤42を注入するようにしてもよい。
【0085】
また、第1実施形態においては、各部材をCFRPで構成したが、他の材料で構成してもよい。例えば、各部材を金属性の材料で構成した場合は、接合剤50として間隔保持剤42よりも融点の高いろうを使用して接合(ろう付け)してもよい。
【0086】
また、第1〜第4実施形態では、昇温炉60を用いて間隔保持剤を融解させて除去したが、薬品などを用いて間隔保持剤を溶解させて除去してもよいことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】第1実施形態のサンドイッチパネルを示す斜視図である。
【図2】中空構造体の製造方法の手順を示すフロー図である。
【図3】芯材積層工程を説明するための模式図である。
【図4】芯材仮固定工程を説明するための模式図である。
【図5】隙間形成工程を説明するための模式図である。
【図6】間隔保持剤充填工程を説明するための模式図である。
【図7】仮固定解除工程を説明するための模式図である。
【図8】芯材固定工程を説明するための模式図である。
【図9】間隔保持剤除去工程を説明するための模式図である。
【図10】第2実施形態に係る中空構造体の製造方法を説明するための模式図であり、(a)は芯材仮固定工程を、(b)は隙間形成工程を、(c)は仮固定解除工程を、それぞれ示している。
【図11】第3実施形態に係る芯材間に隙間を有する構造体の斜視図である。
【図12】第3実施形態に係る芯材間に隙間を有する構造体の製造方法を説明するためのフロー図である。
【図13】第3実施形態の芯材仮固定工程と間隔保持剤充填工程を説明するための模式図である。
【図14】第3実施形態の仮固定解除工程を説明するための模式図である。
【図15】第3実施形態の芯材固定工程を説明するための模式図である。
【図16】第3実施形態の間隔保持剤除去工程を説明するための模式図である。
【図17】第4実施形態に係る隙間を有する芯材が固定された構造体の斜視図である。
【図18】第4実施形態の芯材固定工程を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0088】
1 サンドイッチパネル
21 第1パネル
22 第2パネル
31 板状部材(芯材)
32 スペーサ
34 隙間
42 間隔保持剤
S1 芯材積層工程
S2 芯材仮固定工程
S3 隙間形成工程
S4 間隔保持剤充填工程
S5 仮固定解除工程
S6 芯材固定工程
S7 間隔保持剤除去工程
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンドイッチパネル等に代表される中空構造体の製造方法、芯材間に隙間を有する構造体の製造方法、及び、隙間を有する芯材が固定された構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中空構造体の製造方法としては、例えば、多数のフィン(芯材)と平板状のプレート(第1部材又は第2部材)とを交互に積層する際に、フィンとプレートとの間にシート状またはペースト状のNiろう等を挿入し、炉中で加熱してろうを溶かして互いを接合する方法がある(例えば特許文献1参照)。かかる製造方法では、ろうの融解や部材の熱変形によってフィンとプレートとの間隔が変化するので、隙間が開かないように、フィンとプレートとを加圧して拘束する必要があった。
【特許文献1】特開2004−17061号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、多数の芯材を所定の間隔で第1部材に、若しくは第1部材と第2部材の間に立設するには、多数の芯材を個別に取り扱わなければならず、多くの手間と時間を要していた。
また、第1部材に、若しくは第1部材と第2部材の間に芯材を一つずつ取り付ける際、芯材が変形し易い場合には、十分な拘束力を加えることができず、芯材が第1部材及び/又は第2部材に十分に固定されない場合があった。
【0004】
本発明は、かかる問題を解決するために創案されたものであり、第1部材に、若しくは第1部材と第2部材の間に芯材を容易かつ確実に取り付けることが可能な中空構造体の製造方法、芯材間に隙間を有する構造体の製造方法、及び、隙間を有する芯材が固定された構造体の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、第1部材と、第2部材と、前記第1部材と前記第2部材の間に互いに所定の隙間を有して立設された複数の芯材と、を備える中空構造体の製造方法であって、互いに隙間を有して配置された複数の前記芯材の当該隙間に間隔保持剤を充填する間隔保持剤充填工程と、前記間隔保持剤によって間隔を保持された複数の前記芯材を前記第1部材と前記第2部材の間に固定する芯材固定工程と、前記芯材同士の間から前記間隔保持剤を溶かして除去する間隔保持剤除去工程と、を含むことを特徴とする。
【0006】
かかる方法によれば、芯材同士の隙間に間隔保持剤を充填することで、複数の芯材と間隔保持剤とが一体化して一つの塊になる。そのため、複数の芯材を一体的に取り扱うことができる。また、一塊になった複数の芯材を間隔保持剤と共に第1部材と第2部材の間に固定した後に間隔保持剤を溶かして除去することで、芯材同士の隙間が容易に形成されると同時に、複数の芯材が第1部材と第2部材の間に一度に立設されることとなる。これにより、芯材の固定作業が容易になり、中空構造体の生産性が向上する。
なお、「溶かす」とは、固体を液体にすること(融解)だけでなく、固体を水などの溶剤に溶かすこと(溶解)も含む。
【0007】
また、かかる方法によれば、芯材同士の隙間が間隔保持剤で充填された状態のまま、第1部材と第2部材の間に芯材が取り付けられるので、芯材が破損しにくい。そのため、第1部材と第2部材の間に芯材を固定する際にこれらを加圧しても、芯材が変形・破損することがない。また、第1部材と第2部材の間に芯材を加圧挟持するので、第1部材と芯材及び芯材と第2部材をしっかりと固定することができる。
【0008】
また、本発明に係る中空構造体の製造方法は、前記芯材固定工程において、前記間隔保持剤の融点よりも耐熱温度の高い接合剤を用いて前記第1部材と前記第2部材の間に前記複数の芯材を固定し、前記間隔保持剤除去工程において、前記間隔保持剤を、前記間隔保持剤の融点以上であって前記接合剤の耐熱温度未満の温度にするのが好ましい。
【0009】
かかる方法によれば、間隔保持剤を、間隔保持剤の融点以上であって接合剤の耐熱温度未満の温度にすることによって、第1部材と芯材の固定状態及び第2部材と芯材の固定状態を維持しながら、間隔保持剤を融解して除去することができる。これにより、隣り合う芯材同士の隙間を一度に容易に形成することができる。
なお、接合剤の耐熱温度とは、接合性能を維持している温度をいう。
【0010】
また、本発明に係る中空構造体の製造方法は、前記間隔保持剤充填工程の前に、前記芯材とスペーサとを交互に積層する芯材積層工程と、隣り合う前記芯材同士を仮固定する芯材仮固定工程と、前記スペーサを取り除いて隣り合う前記芯材同士の間に隙間を形成する隙間形成工程と、を有し、前記間隔保持剤充填工程の後であって前記芯材固定工程の前に、隣り合う前記芯材同士の仮固定を解除する仮固定解除工程を有するのが好ましい。
【0011】
かかる方法によれば、芯材とスペーサとを交互に積層するという簡易な方法で、芯材の位置決め等の煩雑な作業を行うことなく、複数の芯材を所定の間隔に配置することができる。
また、隣り合う前記芯材同士が仮固定された状態でスペーサを取り除くことにより、隣り合う芯材の間に隙間を容易に形成することができる。
そして、間隔保持剤を充填した後に仮固定を解除すれば、間隔保持剤を介して複数の芯材が一体化されているので、芯材固定工程において複数の芯材を一体的に取り扱うことができる。
さらに、仮固定を解除した後に芯材を第1部材と第2部材の間に固定するので、間隔保持剤が必ず外部に露出する。この間隔保持剤の外部に露出した部分が溶けた間隔保持剤の出口になるため、芯材同士の間から間隔保持剤を確実かつ容易に除去することができる。
これにより、作業時間の短縮、ひいては中空構造体の生産性の向上を図ることができる。
【0012】
また、本発明に係る中空部材の製造方法において、前記第1部材及び前記第2部材は平板部材であり、前記中空構造体はサンドイッチパネルであるのが好ましい。
【0013】
かかる方法によれば、第1部材と第2部材の間に複数の芯材が強固に固定されたサンドイッチパネルを容易に製造することができる。
【0014】
また、本発明は、第1部材と、互いに所定の隙間を有して前記第1部材に立設された複数の芯材と、を備える芯材間に隙間を有する構造体の製造方法であって、互いに隙間を有して配置された前記複数の芯材の当該隙間に間隔保持剤を充填する間隔保持剤充填工程と、前記間隔保持剤によって間隔を保持された前記複数の芯材を前記第1部材の上に固定する芯材固定工程と、前記芯材同士の間から前記間隔保持剤を溶かして除去する間隔保持剤除去工程と、を含むことを特徴とする。
【0015】
かかる方法によれば、互いに隙間を有して配置された複数の芯材の当該隙間に間隔保持剤を充填した上で、複数の芯材を第1部材に固定するので、固定作業時に、複数の芯材をまとめて取り扱うことができる。また、複数の芯材を第1部材の上に固定した後に、芯材同士の間から間隔保持剤を溶かして除去することで、芯材間に隙間を容易に形成することができる。すなわち、かかる方法によれば、芯材間に隙間を有する構造体を容易に製造することができる。
【0016】
また、芯材同士の隙間に間隔保持剤が充填されているので、芯材を加圧しても芯材が折れたり曲がったりすることがない。そのため、第1部材と複数の芯材との固定作業時に圧力を加えて両者をしっかりと固定することができる。
【0017】
また、本発明は、前記芯材固定工程において、前記間隔保持剤の融点よりも耐熱温度の高い接合剤を用いて前記第1部材の上に前記複数の芯材を固定し、前記間隔保持剤除去工程において、前記間隔保持剤を、前記間隔保持剤の融点以上であって前記接合剤の耐熱温度未満の温度に加熱するのが好ましい。
【0018】
かかる方法によれば、間隔保持剤を、間隔保持剤の融点以上であって接合剤の耐熱温度未満の温度にすることによって、第1部材と芯材の固定状態を維持しながら、間隔保持剤を融解して除去することができる。これにより、隣り合う芯材同士の隙間を一度に容易に形成することができる。
【0019】
また、本発明は、前記間隔保持剤充填工程の前に、互いに隙間を有した状態で前記複数の芯材を仮固定する芯材仮固定工程を有し、前記間隔保持剤充填工程の後であって前記芯材固定工程の前に、前記複数の芯材の仮固定を解除する仮固定解除工程を有するのが好ましい。
【0020】
かかる方法によれば、間隔保持剤充填工程の前に、互いに隙間を有した状態で複数の芯材を仮固定する芯材仮固定工程を有するので、当該隙間に間隔保持剤を容易に充填することができる。また、間隔保持剤を充填した後に仮固定を解除すれば、間隔保持剤によって複数の芯材が一体化されているので、複数の芯材を一体的に取り扱うことができる。
【0021】
また、本発明において、前記芯材は、棒状又は針状であるのが好ましい。
【0022】
かかる方法によれば、芯材が棒状又は針状であっても、互いの隙間に間隔保持剤を充填することによってこれらを一体的に取り扱うことができるので、複数の棒状又は針状の芯材を第1部材に容易に立設することができる。
【0023】
また、本発明は、第1部材と、前記第1部材に立設された隙間を有する芯材と、を備える隙間を有する芯材が固定された構造体の製造方法であって、隙間を有する前記芯材の当該隙間に間隔保持剤を充填する間隔保持剤充填工程と、前記間隔保持剤によって間隔を保持された前記芯材を前記第1部材の上に固定する芯材固定工程と、前記隙間から前記間隔保持剤を溶かして除去する間隔保持剤除去工程と、を含むことを特徴とする。
【0024】
かかる方法によれば、芯材が隙間を有しているために変形し易い場合でも、芯材の隙間が間隔保持剤で充填されているので、芯材を第1部材に固定するときに、芯材が変形・損傷し難い。また、第1部材に芯材を固定した後に、間隔保持剤を溶かして除去するので、隙間を容易に復元することができる。そのため、隙間を有する芯材が固定された構造体を容易かつ確実に製造することができる。
【0025】
また、前記芯材固定工程において、前記間隔保持剤の融点よりも耐熱温度の高い接合剤を用いて前記第1部材の上に前記芯材を固定し、前記間隔保持剤除去工程において、前記間隔保持剤を、前記間隔保持剤の融点以上であって前記接合剤の耐熱温度未満の温度に加熱するのが好ましい。
【0026】
かかる方法によれば、間隔保持剤を、間隔保持剤の融点以上であって接合剤の耐熱温度未満の温度にすることによって、第1部材と芯材の固定状態を維持しながら、間隔保持剤を融解して除去することができる。これにより、芯材の隙間を容易に形成することができる。
【0027】
また、前記芯材固定工程の後であって、前記間隔保持剤除去工程の前に、前記芯材の前記第1部材と反対側に第2部材を固定する工程を備えるのが好ましい。
【0028】
かかる方法によれば、間隔保持剤によって隙間が充填された芯材の第1部材と反対側に第2部材を固定するので、押圧力を加えても、芯材が変形・損傷し難い。また、間隔保持剤を融解して除去することで、隙間を容易に形成することができる。これにより、中空構造体を容易に製造するこができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、第1部材に、若しくは第1部材と第2部材の間に芯材を容易かつ確実に取り付けることが可能な中空構造体の製造方法、芯材間に隙間を有する構造体の製造方法、及び、隙間を有する芯材が固定された構造体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の第1実施形態について図面を参照して詳細に説明する。説明において、同一の要素には同一の番号を付し、重複する説明は省略する。第1実施形態では、中空構造体として、サンドイッチパネルを例にとって説明する。
【0031】
はじめに、第1実施形態に係る中空構造体の製造方法によって製造されるサンドイッチパネル1の構造について説明する。
図1は、第1実施形態のサンドイッチパネルを示す斜視図である。
図1に示すように、サンドイッチパネル1は、比強度、比剛性に優れた中空の軽量部材であり、例えば建物や車両や航空機などの壁体などに用いられている。サンドイッチパネル1は、平面視長方形状を呈しており、第1部材たる第1パネル21と、第2部材たる第2パネル22と、この第1パネル21と第2パネル22の間に互いに所定の隙間34を有して固定された複数の芯材たる板状部材31,31…と、から構成されている。
【0032】
第1パネル21及び第2パネル22は、サンドイッチパネル1のいわゆる表面材を構成する平板部材であり、平面視長方形状(長さL×幅B)を呈している。第1パネル21及び第2パネル22は、例えば、アルミニウム合金などの金属材料や繊維強化プラスチックなどのプラスチック材料で構成されている。本実施形態では、第1パネル21及び第2パネル22は、炭素繊維強化樹脂材料(以下、「CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)」という場合がある)を用いて形成されている。
【0033】
板状部材31は、サンドイッチパネル1のいわゆる芯材(強度部材)を構成する部材であり、側面視長方形状(長さL×幅(高さ)H)を呈している。板状部材31は、第1パネル21と第2パネル22の間に所定の隙間34(間隔d)を有して複数立設されている。つまり、複数の板状部材31,31…の上端部31cに跨って第1パネル21が固定されていると共に、複数の板状部材31,31…の下端部31dに跨って第2パネル22が固定されている。なお、複数の板状部材31,31…の右端部31bと左端部31aには何も取り付けられておらず、サンドイッチパネル1の側部に隙間34が開口している。板状部材31は、例えば、アルミニウム合金などの金属材料や繊維強化プラスチックなどのプラスチック材料で構成されている。本実施形態では、板状部材31は、CFRPで構成されており、第1パネル21及び第2パネル22に接合剤で固定されている。また、板状部材31の厚さ寸法は例えば0.4mm程度であり、隙間34の間隔dは例えば1mm程度である。
【0034】
つづいて、第1実施形態に係る中空構造体の製造方法について図2乃至図9を参照して説明する。
図2は、第1実施形態に係る中空構造体の製造方法の手順を示すフロー図である。図3は、芯材積層工程を説明するための模式図である。図4は、芯材仮固定工程を説明するための模式図である。図5は、隙間形成工程を説明するための模式図である。図6は、間隔保持剤充填工程を説明するための模式図である。図7は、仮固定解除工程を説明するための模式図である。図8は、芯材固定工程を説明するための模式図である。図9は、間隔保持剤除去工程を説明するための模式図である。
【0035】
図2に示すように、第1実施形態に係る中空構造体の製造方法は、芯材積層工程S1と、芯材仮固定工程S2と、隙間形成工程S3と、間隔保持剤充填工程S4と、仮固定解除工程S5と、芯材固定工程S6、間隔保持剤除去工程S7と、を含んでいる。以下、各工程について詳細に説明する。
【0036】
[芯材積層工程S1]
はじめに、図3(a)に示すように、CFRP製の長尺の板状部材31と、スペーサ32と、をそれぞれ複数枚用意する。このとき、板状部材31は、その長さ寸法W1がスペーサ32の長さ寸法W2よりも大きいものを用意する。また、スペーサ32は、その厚さ寸法tが、製造すべきサンドイッチパネル1の隣り合う板状部材31,31同士の隙間34の間隔d(図1参照)に等しいものを用意する。そして、板状部材31の左端部31aと右端部31bとをスペーサ32の左端部32a,右端部32bよりも突出させながら、板状部材31とスペーサ32とを交互に積層する。
これにより、図3(b)に示すように、板状部材31とスペーサ32との積層体30Aが形成される。このとき、板状部材31とスペーサ32とは積層するだけで、接着はしない。板状部材31とスペーサ32は、これらを合わせた積層寸法Bが図1に示す第1パネル21及び第2パネル22の幅寸法Bに略等しくなる枚数だけ交互に積層するのが好ましい。
【0037】
[芯材仮固定工程S2]
つぎに、図4に示すように、積層体30Aの板状部材31,31…の隣り合う左端部31a,31a同士を仮固定用接着剤33で仮固定すると共に、隣り合う右端部31b,31b同士を仮固定用接着剤33で仮固定する。仮固定用接着剤33は、公知の接着剤の中から適宜選択して用いることができる。本実施形態では、仮固定用接着剤33として、Henkel社製のエポキシ接着剤(EA9394/C−2)を用いる。
【0038】
[隙間形成工程S3]
つぎに、図5に示すように、左端部31a,31a…及び右端部31b,31b…を仮固定用接着剤33で固めた積層体30Aからスペーサ32,32…を取り除くことにより、隣り合う板状部材31,31同士の間に隙間34,34…を形成する。
【0039】
すなわち、かかる方法によれば、板状部材31,31…とスペーサ32,32…とを交互に重ねるという簡易な方法で、板状部材31,31…を所定の間隔に配置することができる。また、板状部材31,31は仮固定されているので、スペーサ32,32…を取り去っても、隙間34,34…を維持することができる。
【0040】
[間隔保持剤充填工程S4]
つぎに、図6(a)に示すように、融解した間隔保持剤42を貯留した貯留槽41を用意する。間隔保持剤42としては、例えば熱可塑性接着剤やホットメルト接着剤等を用いることができる。本実施形態では、間隔保持剤42として、Electron Microscopy Sciences社製のCrystalbond590を用いる。なお、Crystalbond590の融点は150℃程度である。
そして、この貯留槽41の中に、隙間34,34…を有して配置された板状部材31,31…を沈めると、この隙間34,34…の中に間隔保持剤42が流入する。
この状態のまま貯留槽41を冷却して間隔保持剤42が硬化した後に、貯留槽41から板状部材31,31…を取り出し、余分な間隔保持剤42を除去すると、図6(b)に示すように、隙間34,34…に間隔保持剤42が充填された板状部材31,31…が得られる。なお、間隔保持剤42を隙間34に充填する方法は、これに限定されるものではない。
【0041】
[仮固定解除工程S5]
つぎに、図7に示すように、間隔保持剤42が充填された各板状部材31,31…から仮固定用接着剤33,33を切り落として除去することにより、仮固定を解除する。切り出された各板状部材31,31…は、間隔保持剤42によって一体化されつつ所定の間隔に保持されているので、板状部材31,31…と間隔保持剤42,42…との積層体30Bとして一体的に取り扱うことができる。このとき、積層体30Bの長さ寸法Lが、図1に示す第1パネル21及び第2パネル22の長さ寸法Lと略等しくなるように切断するのが好ましい。
【0042】
[芯材固定工程S6]
つぎに、図8(a)に示すように、積層体30Bの下面30Baに、接合剤50を塗布する。接合剤50は、例えばスクリーン印刷やロールコートなどによって塗布するのが好ましい。また、接合剤50は、間隔保持剤42の融点以上の温度でも接合力を有するものであればどのようなものでもよく、例えば、熱硬化性接着剤や熱可塑性接着剤などを用いることができる。また、各部材が金属製の場合は、ろうを用いてろう付けしてもよい。本実施形態では、接合剤50として、仮固定用接着剤33と同じHenkel社製のエポキシ接着剤(EA9394/C−2)を用いる。なお、このエポキシ接着剤(EA9394/C−2)の耐熱温度は260℃程度であり、間隔保持剤42の融点よりも耐熱温度が高い。
【0043】
そして、接合剤50が塗布された積層体30Bの下面30Baを第2パネル22に当接させて加圧することにより、両者を強固に接着する。このとき、板状部材31,31…は、間隔保持剤42,42…によって一体化されているので、加圧力によって折れたり倒れたりすることがない。そのため、板状部材31,31…と第2パネル22とを確実かつ容易に接着することができる。なお、加圧力は、例えば0.5MPa程度とするのが好ましい。
【0044】
つぎに、図8(b)に示すように、積層体30Bの上面30Bbに、接合剤50を塗布し、当該上面30Bbに第1パネル21を当接させて加圧することにより、両者をしっかりと接着する。
これにより、図8(c)に示すように、第1パネル21と積層体30Bと第2パネル22の積層体10Aが形成される。
なお、積層体30Bの上面30Bbと下面30Baに第1パネル21と第2パネル22をそれぞれ当接させてから、加圧力を加えるようにしてもよい。また、接合材50として熱硬化性接着剤を用いた場合には、加圧した状態で、さらに加熱するようにしてもよい。
【0045】
[間隔保持剤除去工程S7]
つぎに、図9(a)に示すように、箱型の昇温炉60の中に積層体10Aを配置する。このとき、仮固定解除工程S5において、板状部材31,31の左端部31a,31a…及び右端部31b,31b…から仮固定用接着剤33が除去されているので、積層体10Aの左右端部には、間隔保持剤42が露出している。
そして、昇温炉60を、間隔保持剤42の融点以上の温度であって、接合剤50の融点よりも低い温度まで昇温させると、積層体10Aの間隔保持剤42,42…が融解し、積層体10Aの左右端部に露出した板状部材31,31…の間から、融解した間隔保持剤42が流出する。
なお、図9(a)においては、説明の都合上、昇温炉60の上壁を仮想線で描いている。
【0046】
図9(b)に示すように、間隔保持剤42,42…が板状部材31,31…の間から流出すると、第1パネル21と第2パネル22の間には、板状部材31,31…だけが立設した状態で残存する。そして、隣り合う板状部材31,31…の間には、間隔保持剤42(ひいてはスペーサ32)の厚さ寸法tに等しい隙間34が形成される。これにより、サンドイッチパネル1が形成されることとなる。
なお、融解により除去しきれなかった間隔保持剤42は、例えばメタノールなどの溶剤を用いて溶解除去する。
【0047】
以上のようなサンドイッチパネル1の製造方法によれば、以下のような作用効果を奏する。
すなわち、かかる方法によれば、板状部材31,31同士の隙間34に間隔保持剤42を充填することで、複数の板状部材31,31…と間隔保持剤42,42…とが一つの塊になる。そのため、複数の板状部材31,31…を一体的に取り扱うことができる。
【0048】
また、一塊になった複数の板状部材31,31…を間隔保持剤42,42…と共に第1パネル21と第2パネル22の間に固定した後に間隔保持剤42,42…を融解することで、板状部材31,31…同士の隙間34,34…が容易に形成されると同時に、複数の板状部材31,31…が第1パネル21と第2パネル22の間に一度に立設されることとなる。これにより、板状部材31,31…の固定作業が容易になり、サンドイッチパネル1の生産性が向上する。
【0049】
また、かかる方法によれば、板状部材31,31同士の隙間34が間隔保持剤42で充填された状態で、第1パネル21と第2パネル22の間に取り付けられるので、板状部材31,31…が破損しにくい。そのため、板状部材31が変形し易い薄板形状である場合でも、板状部材31を適度に加圧して第1パネル21と第2パネル22の間にしっかりと固定することができる。
【0050】
また、板状部材31と第1パネル21、及び、板状部材31と第2パネル22、を接合する接合剤50は、間隔保持剤42よりも融点の高いものを用いているので、間隔保持剤42の温度を、間隔保持剤42の融点以上であって接合剤50の融点未満の温度にすることによって、板状部材31と第1パネル21、及び、板状部材31と第2パネル22、の固定状態を維持しながら、間隔保持剤42を融解して除去することができる。これにより、隣り合う板状部材31,31同士の隙間34を一度に容易に形成することができる。
【0051】
また、板状部材31の原材料となる板状部材31とスペーサ32とを交互に積層するという簡易な方法で、板状部材31の位置決め等の煩雑な作業を行うことなく、複数の板状部材31,31…を所定の間隔に配置することができる。
また、隣り合う板状部材31,31同士が仮固定された状態でスペーサ32を取り除くことにより、隣り合う板状部材31,31の間に隙間34を容易に形成することができる。
そして、間隔保持剤42を充填した後に仮固定用接着剤33を除去すれば、間隔保持剤42を介して複数の板状部材31,31…が一体化されているので、芯材固定工程S6において複数の板状部材31,31…を一体的に取り扱うことができる。
さらに、仮固定用接着剤33を除去した後に一体化された複数の板状部材31,31…を第1パネル21と第2パネル22の間に固定するので、間隔保持剤42が必ず外部に露出する。この間隔保持剤42の外部に露出した部分が融解した間隔保持剤42の出口になるため、板状部材31,31同士の間から間隔保持剤42を確実かつ容易に除去することができる。
これにより、作業時間の短縮、ひいては中空構造体の生産性の向上を図ることができる。
【0052】
つづいて、第2実施形態に係る中空構造体の製造方法について主に図10を参照して説明する。
図10は、第2実施形態に係る中空構造体の製造方法を説明するための模式図であり、(a)は芯材仮固定工程を、(b)は隙間形成工程を、(c)は仮固定解除工程を、それぞれ示している。
【0053】
第2実施形態に係る中空構造体の製造方法は、仮固定用の治具(仮固定用治具70)を用いて板状部材31を仮固定した点が、第1実施形態と異なっている。
【0054】
図10(a)に示すように、仮固定用治具70は、板状部材31,31…の左右両端部31a,31bを把持するための把持部71,71…を備えている。把持部71,71…は、板状部材31の厚さ寸法vと略等しい幅寸法の凹溝である。把持部71,71…は、スペーサ32の厚さ寸法tと略等しい間隔で設けられている。仮固定用治具70の材質は特に限定されるものではなく、金属、プラスチックなど適宜な材料を用いて形成されている。
【0055】
芯材積層工程S1において、複数の板状部材31,31…が所定の間隔、すなわちスペーサ32,32…の厚さ寸法t、を隔てて配置される。そして、仮固定用治具70には、このスペーサの厚さ寸法tに対応した間隔で、把持部71,71…が形成されている。
したがって、芯材仮固定工程S2において、積層された板状部材31,31…の左右両端部31a,31bを、仮固定用治具70の把持部71,71…に、一度に挿入して把持することができる。
つまり、スペーサ32と、これに対応した仮固定用治具70とを用いれば、板状部材31,31…を仮固定用治具70に対して、一枚ずつ位置あわせすることなく、容易に仮固定することができる。そのため、作業時間の短縮を図ることができる。
【0056】
そして、図10(b)に示すように、仮固定用治具70によって左右両端部31a,31bを把持された状態で、スペーサ32抜き取れば、隣り合う板状部材31,31の間に隙間34が形成されることとなる。なお、図10(b)では、抜き取ったスペーサ32を破線で示している。
【0057】
そして、図10(c)に示すように、隙間34,34…に間隔保持剤42を充填して板状部材31,31…を一体化した後に、仮固定用治具70を取り外して仮固定を解除する(仮固定解除工程S5)。これにより、板状部材31,31…と間隔保持剤42,42…との積層体30B’が製造されることとなる。このようにすれば、板状部材31を切断する必要がなく、仮固定の解除が容易になる。なお、板状部材31は、第1パネル21の長さ寸法Lに略等しい長さ寸法のものを用いるのが好ましい。
【0058】
つづいて、本発明の第3実施形態について、図11乃至図16を参照して説明する。説明において、前記した実施形態と同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図11は、第3実施形態に係る芯材間に隙間を有する構造体の斜視図である。図12は、第3実施形態に係る芯材間に隙間を有する構造体の製造方法を説明するためのフロー図である。図13は、第3実施形態の芯材仮固定工程と間隔保持剤充填工程を説明するための模式図である。図14は、第3実施形態の仮固定解除工程を説明するための模式図である。図15は、第3実施形態の芯材固定工程を説明するための模式図である。図16は、第3実施形態の間隔保持剤除去工程を説明するための模式図である。
【0059】
第3実施形態に係る芯材間に隙間を有する構造体1A(以下、「有隙間構造体1A」という場合がある。)は、芯材が棒状に形成されている点、及び、第1部材と第2部材の間ではなく第1部材の上に芯材が立設されている点、が第1実施形態に係る中空構造体1と主に異なっている。
【0060】
有隙間構造体1Aは、第1部材たる円盤状部材121と、この円盤状部材121の表面に立設された芯材たる複数の棒状部材131,131…と、から構成されている。そして、有隙間構造体1Aは、隣り合う棒状部材131同士の間に隙間134を有している。有隙間構造体1Aの用途は特に限定されるものではないが、例えば発熱する機械部品に取り付けて熱を放散させるヒートシンクとして利用することができる。
【0061】
円盤状部材121は、芯材を立設するためのベースとなる部材であり、平面視円形状の板状部材で構成されている。円盤状部材121は、例えば、アルミニウム合金などの金属材料や繊維強化プラスチックなどのプラスチック材料で構成されている。
なお、第3実施形態においては、平面視円形状の板状部材を例にとって第1部材を説明したが、第1部材は特に限定されるものではなく、例えば3次元的な立体形状を有する機械部品などであってもよい。3次元的な立体形状としては、例えば球状、階段状、波状などの他、これらを組み合わせた複雑な形状等が挙げられる。
【0062】
棒状部材131は、円柱状の部材であり、円盤状部材121の上面に互いに隙間134を有して複数立設されている。第3実施形態では、円盤状部材121の略中央部に縦5本×横5本で等間隔に配列されている。棒状部材131は、例えば、アルミニウム合金などの金属材料や繊維強化プラスチックなどのプラスチック材料で構成されている。
なお、第3実施形態においては、円柱状の部材を例にとって芯材を説明したが、芯材の形状は特に限定されるものではなく、例えば断面形状が多角形を呈する柱状であってもよいし、柱状ではなく錐状(例えば円錐状)であってもよいし、頭部のみが尖った柱状(尖頭状)であってもよい。また、芯材は、第1及び第2実施形態で説明したように、板状であってもよいことはいうまでもない。
【0063】
つづいて、第3実施形態に係る有隙間構造体1Aの製造方法について説明する。
図12に示すように、第3実施形態に係る有隙間構造体1Aの製造方法は、芯材仮固定工程S101と、間隔保持剤充填工程S102と、仮固定解除工程S103と、芯材固定工程S104と、間隔保持剤除去工程S105と、を含んでいる。以下、各工程について詳細に説明する。
【0064】
[芯材仮固定工程S101]
図13(a)に示すように、はじめに、棒状部材131の原材料となる長尺の棒状部材132,132…を仮固定するための仮固定部材133A,133Bを用意する。
仮固定部材133Aは、側面視正方形状の板状部材であり、その側面には、長尺の棒状部材132,132…を嵌め入れるための複数の嵌入穴133Aa,133Aa…が形成されている。複数の嵌入穴133Aa,133Aa…は、互いに間隔tを隔てて形成されている。複数の嵌入穴133Aa,133Aa…の配列及び間隔tは、製造すべき有隙間構造体1Aの棒状部材131,131の配列及び間隔d(図11参照)に対応している。なお、仮固定部材133Bは、仮固定部材133Aと同一の構造であるので説明を省略する。
【0065】
そして、この仮固定部材133Aの嵌入穴133Aaに長尺の棒状部材132の一端部132aを嵌め入れるとともに、仮固定部材133Bの嵌入穴133Baに長尺の棒状部材132の他端部132bを嵌め入れる。
これにより、図13(b)に示すように、長尺の棒状部材132の隣り合う一端部132a同士が仮固定部材133Aによって間隔tを隔てて仮固定されるとともに、長尺の棒状部材132の隣り合う他端部132b同士が仮固定部材133Bによって間隔tを隔てて仮固定される。すなわち、仮固定部材133A,133Bによって、複数の長尺の棒状部材132,132…が、互いに隙間134,134…を有して配置された状態となる。
【0066】
[間隔保持剤充填工程S102]
つぎに、図13(c)に示すように、仮固定部材133A,133Bによって互いに隙間134,134…を有して配置された複数の長尺の棒状部材132,132…の当該隙間134,134…に、間隔保持剤42を充填する。間隔保持剤42としては、例えば熱可塑性接着剤やホットメルト接着剤等を用いることができる。本実施形態では、間隔保持剤42として、Electron Microscopy Sciences社製のCrystalbond590を用いる。なお、Crystalbond590の融点は150℃程度である。
間隔保持剤42の充填方法は第1実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する(図6(a),(b)参照)。
【0067】
[仮固定解除工程S103]
つぎに、図14に示すように、間隔保持剤42によって所定間隔に保持された長尺の棒状部材132,132…を、間隔保持剤42とともに所定の長さ寸法に切断する。これにより、長尺の棒状部材132,132…から仮固定部材133A,133Bが切り離される(仮固定が解除される)とともに、間隔保持剤42によって所定間隔に保持された複数の棒状部材131,131…のブロック135,135…が形成される。
第3実施形態において、ブロック135は、側面視正方形状の六面体を呈している。ブロック135の切断面135aには、縦5本×横5本で等間隔に配列された棒状部材131,131…の端面が露出している。
なお、第3実施形態では、切断することによって仮固定を解除したが、仮固定の解除方法はこれに限定されるものではなく、仮固定部材133A,133Bと棒状部材131とが分離されればよい。また、第3実施形態では、切断面を平坦面としたが、第1部材の形状に合わせて3次元形状に切断又は切削してもよい。
【0068】
[芯材固定工程A104]
つぎに、図15(a)に示すように、ブロック135の一方の切断面135aに、接合剤50を塗布する。接合剤50は、例えばスクリーン印刷やロールコートなどによって塗布するのが好ましい。また、接合剤50は、間隔保持剤42の融点以上の温度でも接合力を有するものであればどのようなものでもよく、例えば、熱硬化性接着剤や熱可塑性接着剤などを用いることができる。また、各部材が金属製の場合は、ろうを用いてろう付けしてもよい。本実施形態では、接合剤50として、仮固定用接着剤33と同じHenkel社製のエポキシ接着剤(EA9394/C−2)を用いる。なお、このエポキシ接着剤(EA9394/C−2)の耐熱温度は260℃程度であり、間隔保持剤42の融点よりも耐熱温度が高い。
【0069】
つぎに、図15(b)に示すように、接合剤50が塗布されたブロック135の一方の切断面135aを円盤状部材121に当接させて加圧することにより、両者を強固に接着する。このとき、各棒状部材131,131…は、間隔保持剤42,42…に埋没した状態になっているので、加圧力によって折れたり倒れたりすることがない。そのため、棒状部材131,131…と円盤状部材121とを確実かつ容易に接着することができる。なお、加圧力は、例えば0.5MPa程度とするのが好ましい。
また、棒状部材131,131…は、間隔保持剤42,42…によって一体化されているので、複数の棒状部材131,131…を一体的に取り扱うことができる。そのため、芯材を第1部材に固定する作業が容易になる。
【0070】
[間隔保持剤除去工程S105]
つぎに、図16に示すように、箱型の昇温炉60の中にブロック135が固定された円盤状部材121を配置する。
そして、昇温炉60を、間隔保持剤42の融点以上の温度であって、接合剤50の融点よりも低い温度まで昇温させると、間隔保持剤42,42…が融解し、棒状部材131,131…の間から、融解した間隔保持剤42が流出する。これにより、隣り合う棒状部材131,131…の間に、隙間134,134…が形成される。なお、隙間134の間隔d(図11参照)は、仮固定部材133A,133Bの嵌入穴133Aa,133Baの間隔t(図13(a)参照)に等しくなる。これにより、図11に示すような有隙間構造体1Aが形成されることとなる。
【0071】
このように、第3実施形態に係る芯材間に隙間を有する構造体1Aの製造方法によれば、複数の棒状部材131,131…を一体的に取り扱うことができるので、有隙間構造体1Aを容易に製造することができる。また、各棒状部材131,131…は、間隔保持剤42,42…に埋没した状態になっているので、加圧力によって折れたり倒れたりすることがない。そのため、棒状部材131,131…と円盤状部材121とを確実かつ容易に接着することができる。
【0072】
つづいて、第4実施形態に係る隙間を有する芯材が固定された構造体の製造方法について、図17及び図18を参照して説明する。説明において、前記した実施形態と共通する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図17は、隙間を有する芯材が固定された構造体の斜視図である。図18は、芯材固定工程を説明するための模式図である。
【0073】
第4実施形態に係る隙間を有する芯材が固定された構造体1Bの製造方法は、複数の隙間の間ではなくて、一つの芯材が有する隙間に間隔保持剤が充填されている点が、前記した第3実施形態と主に異なっている。
【0074】
はじめに、隙間を有する芯材が固定された構造体1Bの構造について説明する。
図17に示すように、隙間を有する芯材が固定された構造体1Bは、第1部材であるベース部材221と、このベース部材221に固定された隙間を有する芯材である渦巻状部材231と、から構成されている。
【0075】
ベース部材221は、芯材を立設するためのベースとなる部材であり、平面視四角形状の板状部材で構成されている。ベース部材221は、例えば、アルミニウム合金などの金属材料や繊維強化プラスチックなどのプラスチック材料で構成されている。
なお、ベース部材221の形状は、特に限定されるものではない。
【0076】
渦巻状部材231は、細長い板材を渦巻状に形成した部材であり、渦巻状の隙間234を有している。渦巻状部材231は、例えば、アルミニウム合金などの金属材料や繊維強化プラスチックなどのプラスチック材料で構成されている。渦巻状部材231は、接合剤50(図18参照)によって、ベース部材221に固定されている。
渦巻状の隙間234は、渦巻状部材231をベース部材221に固定した状態で、その一部が外部に露出(開口)している。
なお、第4実施形態では、隙間を有する芯材として渦巻状部材231を例にとって説明したが、芯材の形状は渦巻状に限定されるものではなく、隙間を有していれば、その形状は特に限定されるものではない。
【0077】
なお、間隔保持剤42及び接合剤50は、前記した第1実施形態と同一の構成であるので、詳細な説明を省略する。
【0078】
つぎに、隙間を有する芯材が固定された構造体1Bの製造方法について説明する。
隙間を有する芯材が固定された構造体1Bの製造方法は、間隔保持剤充填工程と、芯材固定工程と、間隔保持剤除去工程と、を備えている。
【0079】
[間隔保持剤充填工程]
図18に示すように、渦巻状部材231の渦巻状の隙間234に間隔保持剤42を充填する。なお、間隔保持剤を充填する方法としては、例えば、第1実施形態で説明したように、融解した間隔保持剤42を貯留した貯留槽41に渦巻状部材231を沈設する方法を採用することができる(図6(a)、(b)参照)。かかる方法によれば、隙間234に融解した間隔保持剤42が流入することとなる。そして、間隔保持剤42が固まった後に、渦巻状部材231を取り出すと、間隔保持剤42によって隙間234が充填された渦巻状部材231が得られる。
【0080】
[芯材固定工程]
つぎに、間隔保持剤42によって隙間234が充填された渦巻状部材231の一方の端面231aに、接合剤50を塗布する。そして、接合剤50が塗布された端面231aをベース部材221に当接させて、渦巻状部材231とベース部材221とを固定する。このとき、渦巻状部材231の隙間234に間隔保持剤が充填されているので、しっかりと強固に固定するために適当な力で両者を押圧しても、渦巻状部材231が変形したり損傷したりすることがない。そのため、渦巻状部材231の固定作業が容易になるとともに、渦巻状部材231をベース部材221にしっかりと確実に固定することができる。
【0081】
[間隔保持剤除去工程]
つぎに、図示は省略するが、この渦巻状部材231が固定されたベース部材221を昇温炉(図9(a)参照)に入れ、間隔保持剤42の融点以上の温度まで加熱する。これにより、間隔保持剤42が融解して隙間234から流出する。これにより、隙間234から間隔保持剤42が除去されて隙間234が復元される。
以上のような工程により、隙間を有する芯材が固定された構造体1Bが製造されることとなる。
【0082】
なお、渦巻状部材231の他方の端部231bに、第2部材(図示省略)を固定してもよい。このようにすれば、渦巻状部材231を芯材とする中空構造体を容易に製造することができる。
【0083】
以上、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0084】
例えば、第1実施形態においては、所定の間隔で配置した板状部材31,31…を、融解した間隔保持剤42の中に沈めることによって、板状部材31,31同士の隙間34に間隔保持剤42を充填することとしたが、間隔保持剤42を充填する方法はこれに限られるものではない。例えば、隙間34,34の一方の開口部を型枠を用いて閉塞し、他方の開口部から融解した間隔保持剤42を注入するようにしてもよい。
【0085】
また、第1実施形態においては、各部材をCFRPで構成したが、他の材料で構成してもよい。例えば、各部材を金属性の材料で構成した場合は、接合剤50として間隔保持剤42よりも融点の高いろうを使用して接合(ろう付け)してもよい。
【0086】
また、第1〜第4実施形態では、昇温炉60を用いて間隔保持剤を融解させて除去したが、薬品などを用いて間隔保持剤を溶解させて除去してもよいことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】第1実施形態のサンドイッチパネルを示す斜視図である。
【図2】中空構造体の製造方法の手順を示すフロー図である。
【図3】芯材積層工程を説明するための模式図である。
【図4】芯材仮固定工程を説明するための模式図である。
【図5】隙間形成工程を説明するための模式図である。
【図6】間隔保持剤充填工程を説明するための模式図である。
【図7】仮固定解除工程を説明するための模式図である。
【図8】芯材固定工程を説明するための模式図である。
【図9】間隔保持剤除去工程を説明するための模式図である。
【図10】第2実施形態に係る中空構造体の製造方法を説明するための模式図であり、(a)は芯材仮固定工程を、(b)は隙間形成工程を、(c)は仮固定解除工程を、それぞれ示している。
【図11】第3実施形態に係る芯材間に隙間を有する構造体の斜視図である。
【図12】第3実施形態に係る芯材間に隙間を有する構造体の製造方法を説明するためのフロー図である。
【図13】第3実施形態の芯材仮固定工程と間隔保持剤充填工程を説明するための模式図である。
【図14】第3実施形態の仮固定解除工程を説明するための模式図である。
【図15】第3実施形態の芯材固定工程を説明するための模式図である。
【図16】第3実施形態の間隔保持剤除去工程を説明するための模式図である。
【図17】第4実施形態に係る隙間を有する芯材が固定された構造体の斜視図である。
【図18】第4実施形態の芯材固定工程を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0088】
1 サンドイッチパネル
21 第1パネル
22 第2パネル
31 板状部材(芯材)
32 スペーサ
34 隙間
42 間隔保持剤
S1 芯材積層工程
S2 芯材仮固定工程
S3 隙間形成工程
S4 間隔保持剤充填工程
S5 仮固定解除工程
S6 芯材固定工程
S7 間隔保持剤除去工程
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、第2部材と、前記第1部材と前記第2部材の間に互いに所定の隙間を有して立設された複数の芯材と、を備える中空構造体の製造方法であって、
互いに隙間を有して配置された複数の前記芯材の当該隙間に間隔保持剤を充填する間隔保持剤充填工程と、
前記間隔保持剤によって間隔を保持された複数の前記芯材を前記第1部材と前記第2部材の間に固定する芯材固定工程と、
前記芯材同士の間から前記間隔保持剤を溶かして除去する間隔保持剤除去工程と、
を含むことを特徴とする中空構造体の製造方法。
【請求項2】
前記芯材固定工程において、前記間隔保持剤の融点よりも耐熱温度の高い接合剤を用いて前記第1部材と前記第2部材の間に前記複数の芯材を固定し、
前記間隔保持剤除去工程において、前記間隔保持剤を、前記間隔保持剤の融点以上であって前記接合剤の耐熱温度未満の温度に加熱することを特徴とする請求項1に記載の中空構造体の製造方法。
【請求項3】
前記間隔保持剤充填工程の前に、
前記芯材とスペーサとを交互に積層する芯材積層工程と、
隣り合う前記芯材同士を仮固定する芯材仮固定工程と、
前記スペーサを取り除いて隣り合う前記芯材同士の間に隙間を形成する隙間形成工程と、を有し、
前記間隔保持剤充填工程の後であって前記芯材固定工程の前に、隣り合う前記芯材同士の仮固定を解除する仮固定解除工程を有する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の中空構造体の製造方法。
【請求項4】
前記第1部材及び前記第2部材は平板部材であり、前記中空構造体はサンドイッチパネルであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の中空構造体の製造方法。
【請求項5】
第1部材と、互いに所定の隙間を有して前記第1部材に立設された複数の芯材と、を備える芯材間に隙間を有する構造体の製造方法であって、
互いに隙間を有して配置された前記複数の芯材の当該隙間に間隔保持剤を充填する間隔保持剤充填工程と、
前記間隔保持剤によって間隔を保持された前記複数の芯材を前記第1部材の上に固定する芯材固定工程と、
前記芯材同士の間から前記間隔保持剤を溶かして除去する間隔保持剤除去工程と、
を含むことを特徴とする芯材間に隙間を有する構造体の製造方法。
【請求項6】
前記芯材固定工程において、前記間隔保持剤の融点よりも耐熱温度の高い接合剤を用いて前記第1部材の上に前記複数の芯材を固定し、
前記間隔保持剤除去工程において、前記間隔保持剤を、前記間隔保持剤の融点以上であって前記接合剤の耐熱温度未満の温度に加熱することを特徴とする請求項5に記載の芯材間に隙間を有する構造体の製造方法。
【請求項7】
前記間隔保持剤充填工程の前に、互いに隙間を有した状態で前記複数の芯材を仮固定する芯材仮固定工程を有し、
前記間隔保持剤充填工程の後であって前記芯材固定工程の前に、前記複数の芯材の仮固定を解除する仮固定解除工程を有することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の芯材間に隙間を有する構造体の製造方法。
【請求項8】
前記芯材は、棒状又は針状であることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の芯材間に隙間を有する構造体の製造方法。
【請求項9】
第1部材と、前記第1部材に立設された隙間を有する芯材と、を備える隙間を有する芯材が固定された構造体の製造方法であって、
隙間を有する前記芯材の当該隙間に間隔保持剤を充填する間隔保持剤充填工程と、
前記間隔保持剤によって間隔を保持された前記芯材を前記第1部材の上に固定する芯材固定工程と、
前記隙間から前記間隔保持剤を溶かして除去する間隔保持剤除去工程と、
を含むことを特徴とする隙間を有する芯材が固定された構造体の製造方法。
【請求項10】
前記芯材固定工程において、前記間隔保持剤の融点よりも耐熱温度の高い接合剤を用いて前記第1部材の上に前記芯材を固定し、
前記間隔保持剤除去工程において、前記間隔保持剤を、前記間隔保持剤の融点以上であって前記接合剤の耐熱温度未満の温度に加熱することを特徴とする請求項9に記載の隙間を有する芯材が固定された構造体の製造方法。
【請求項11】
前記芯材固定工程の後であって、前記間隔保持剤除去工程の前に、
前記芯材の前記第1部材と反対側に第2部材を固定する工程を備えることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の隙間を有する芯材が固定された構造体の製造方法。
【請求項1】
第1部材と、第2部材と、前記第1部材と前記第2部材の間に互いに所定の隙間を有して立設された複数の芯材と、を備える中空構造体の製造方法であって、
互いに隙間を有して配置された複数の前記芯材の当該隙間に間隔保持剤を充填する間隔保持剤充填工程と、
前記間隔保持剤によって間隔を保持された複数の前記芯材を前記第1部材と前記第2部材の間に固定する芯材固定工程と、
前記芯材同士の間から前記間隔保持剤を溶かして除去する間隔保持剤除去工程と、
を含むことを特徴とする中空構造体の製造方法。
【請求項2】
前記芯材固定工程において、前記間隔保持剤の融点よりも耐熱温度の高い接合剤を用いて前記第1部材と前記第2部材の間に前記複数の芯材を固定し、
前記間隔保持剤除去工程において、前記間隔保持剤を、前記間隔保持剤の融点以上であって前記接合剤の耐熱温度未満の温度に加熱することを特徴とする請求項1に記載の中空構造体の製造方法。
【請求項3】
前記間隔保持剤充填工程の前に、
前記芯材とスペーサとを交互に積層する芯材積層工程と、
隣り合う前記芯材同士を仮固定する芯材仮固定工程と、
前記スペーサを取り除いて隣り合う前記芯材同士の間に隙間を形成する隙間形成工程と、を有し、
前記間隔保持剤充填工程の後であって前記芯材固定工程の前に、隣り合う前記芯材同士の仮固定を解除する仮固定解除工程を有する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の中空構造体の製造方法。
【請求項4】
前記第1部材及び前記第2部材は平板部材であり、前記中空構造体はサンドイッチパネルであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の中空構造体の製造方法。
【請求項5】
第1部材と、互いに所定の隙間を有して前記第1部材に立設された複数の芯材と、を備える芯材間に隙間を有する構造体の製造方法であって、
互いに隙間を有して配置された前記複数の芯材の当該隙間に間隔保持剤を充填する間隔保持剤充填工程と、
前記間隔保持剤によって間隔を保持された前記複数の芯材を前記第1部材の上に固定する芯材固定工程と、
前記芯材同士の間から前記間隔保持剤を溶かして除去する間隔保持剤除去工程と、
を含むことを特徴とする芯材間に隙間を有する構造体の製造方法。
【請求項6】
前記芯材固定工程において、前記間隔保持剤の融点よりも耐熱温度の高い接合剤を用いて前記第1部材の上に前記複数の芯材を固定し、
前記間隔保持剤除去工程において、前記間隔保持剤を、前記間隔保持剤の融点以上であって前記接合剤の耐熱温度未満の温度に加熱することを特徴とする請求項5に記載の芯材間に隙間を有する構造体の製造方法。
【請求項7】
前記間隔保持剤充填工程の前に、互いに隙間を有した状態で前記複数の芯材を仮固定する芯材仮固定工程を有し、
前記間隔保持剤充填工程の後であって前記芯材固定工程の前に、前記複数の芯材の仮固定を解除する仮固定解除工程を有することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の芯材間に隙間を有する構造体の製造方法。
【請求項8】
前記芯材は、棒状又は針状であることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の芯材間に隙間を有する構造体の製造方法。
【請求項9】
第1部材と、前記第1部材に立設された隙間を有する芯材と、を備える隙間を有する芯材が固定された構造体の製造方法であって、
隙間を有する前記芯材の当該隙間に間隔保持剤を充填する間隔保持剤充填工程と、
前記間隔保持剤によって間隔を保持された前記芯材を前記第1部材の上に固定する芯材固定工程と、
前記隙間から前記間隔保持剤を溶かして除去する間隔保持剤除去工程と、
を含むことを特徴とする隙間を有する芯材が固定された構造体の製造方法。
【請求項10】
前記芯材固定工程において、前記間隔保持剤の融点よりも耐熱温度の高い接合剤を用いて前記第1部材の上に前記芯材を固定し、
前記間隔保持剤除去工程において、前記間隔保持剤を、前記間隔保持剤の融点以上であって前記接合剤の耐熱温度未満の温度に加熱することを特徴とする請求項9に記載の隙間を有する芯材が固定された構造体の製造方法。
【請求項11】
前記芯材固定工程の後であって、前記間隔保持剤除去工程の前に、
前記芯材の前記第1部材と反対側に第2部材を固定する工程を備えることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の隙間を有する芯材が固定された構造体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
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【図11】
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【図13】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−149596(P2008−149596A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−340884(P2006−340884)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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