説明

中空歯車の製造方法

【課題】歯部および貫通孔の加工を容易に行うことができ、歯部および貫通孔の加工作業の作業性を向上させることができる中空歯車の製造方法を提供すること。
【解決手段】カウンタドリブンギヤの製造方法にあっては、歯切り工程B後にカウンタドリブンギヤを熱処理する熱処理工程Cと、外周部にファイナルドライブギヤが形成されたカウンタシャフトを準備し、熱処理工程C後に、小径環状部をカウンタシャフトに組み付ける組み付け工程Dと、組み付け工程D後に、カウンタシャフトを研磨装置のクランプ部に把持し、研磨装置の研磨工具によってディスク部の歯部の歯面を研磨加工する歯研磨工程Eと、歯研磨工程E後に、カウンタシャフトをレーザ加工装置のクランプ部に把持し、ディスク部に貫通孔を形成する貫通孔形成工程Fとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空歯車の製造方法に関し、特に、ディスク部に貫通孔を有する中空歯車の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に設けられた動力伝達装置は、複数の歯車を介して内燃機関から駆動輪に動力を伝達するようになっている。例えば、ハイブリッド車両に設けられた動力伝達装置にあっては、内燃機関やモータジェネレータから入力軸に伝達された動力を、遊星歯車装置のリングギヤを介してカウンタドリブンギヤに伝達し、次いで、このカウンタドリブンギヤに連結されるファイナルドライブギヤを介してディファレンシャル装置に伝達した後、ディファレンシャル装置を介して左右の駆動輪に動力を伝達するようになっている。
【0003】
ところで、動力伝達装置において発生する騒音は、遊星歯車、カウンタドリブンギヤ、ファイナルドライブギヤやシャフト、ベアリング等が回転することによって生じる騒音と、これらの振動が動力伝達装置のケース等に伝播してケース等が共振することによって発生する騒音とに大別される。
【0004】
従来、この動力伝達装置において発生する騒音は、主に動力伝達装置のケース等にリブを追加する等の対策を施すことにより、動力伝達装置のケース等の共振を防止することによって騒音の低減が試みられていた。
【0005】
ところが、近年においては、内燃機関の低騒音化やタイヤが回転することによって発生する騒音の低減化、ボディの改良による風切り音の低減化等が確実に実現されてきており、動力伝達装置のケースにおいて発生する騒音を無視することができないようになってきている。
【0006】
加えて、近年においては、車両への動力伝達装置の搭載スペースの制約や動力伝達装置自体の重量の制約等が一層厳しくなってきており、動力伝達装置のケース等への対策を実施することは非常に困難になっている。このため、動力伝達装置のケース等への対策以外の他の騒音低減技術の開発が必要となっている。
【0007】
このような要求に対して歯車の構造を工夫して騒音の抑制や変速機の軽量化を図るようにしたものがある。このような歯車の製造方法としては、中空状の小径環状部と、小径環状部の回転軸に直交する方向に小径環状部から放射方向に延在し、放射方向外端面に歯部を有するディスク部とを備え、ディスク部に貫通孔を形成したものがある。
【0008】
この歯車の製造方法としては、中空状の小径環状部と、小径環状部から放射方向に延在するディスク部とからなる中空ブランクを鍛造加工によって成形した後、ディスク部の放射方向外端に切削によって歯部を形成し、次いで、歯部の歯面にシェービング加工を施すようにしている(例えば、特許文献1参照)。
この後の処理としては、中空ブランクに焼き入れ等の熱処理工程を施した後に、レーザ加工によってディスク部に貫通孔を形成することにより、製品としての中空歯車を製造するようにしているものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
また、シェービング加工にあっては、中空ブランクをシェービング装置に設けられた把持部に把持し、このシェービング装置に設けられたシェービングカッターによって中空ブランクの歯部の歯面をシェービングすることが一般的である。
また、レーザ加工によってディスク部に貫通孔を形成する場合には、中空ブランクをレーザ加工装置に設けられた把持部に把持した状態でディスク部をレーザ加工することにより、貫通孔を形成するのが一般的である。
【0010】
このように形成された中空歯車をカウンタドリブンギヤとして用い、小径環状部をファイナルドライブギヤの回転軸にスプライン嵌合し、カウンタドリブンギヤと遊星歯車装置のリングギヤとを噛合させることにより、カウンタドリブンギヤとリングギヤが噛合する際の放射方向および接線方向の弾性変形を許容し、カウンタドリブンギヤとリングギヤ同士が噛合する際にカウンタドリブンギヤとリングギヤのギヤ部が衝突して振動が発生することによって生ずる騒音や、カウンタドリブンギヤとリングギヤに加わる負荷が変動等することにより、カウンタドリブンギヤとリングギヤの噛合のタイミングが変動することよって生ずる振動に起因する騒音を低減し、これらの振動が動力伝達装置のケース等に伝播してこのケース等が共振するのを抑制することができる。
【0011】
また、カウンタドリブンギヤに貫通孔が形成されることにより、カウンタドリブンギヤが肉抜きされるので、カウンタドリブンギヤの軽量化を図ることができ、結果的に動力伝達装置の軽量化を図ることができる。
【特許文献1】特開平7−136863号公報
【特許文献2】特開2006−266495号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、このような従来の中空歯車の製造方法にあっては、中空ブランクにシェービング加工を施す際およびディスク部に貫通孔を形成する際に、中空ブランクを単体でシェービング装置に設けられた把持部に把持するようにしているため、十分な把持力を確保することができず、歯部や貫通孔の加工作業の作業性が低いという問題があった。
【0013】
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、歯部および貫通孔の加工を容易に行うことができ、歯部および貫通孔の加工作業の作業性を向上させることができる中空歯車の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る中空歯車の製造方法は、上記目的を達成するため、(1)中空状の小径環状部と、前記小径環状部から放射方向に延在し、放射方向外端面に歯部を有するディスク部とを備え、前記ディスク部に貫通孔が形成される中空歯車の製造方法であって、前記ディスク部の放射方向外端に複数の歯部が前加工された前記中空歯車を熱処理する熱処理工程と、外周部に動力伝達歯車が形成された回転軸を準備し、前記熱処理工程後に、前記小径環状部を前記動力伝達歯車の回転軸に組み付ける組み付け工程と、前記組み付け工程後に、前記回転軸を把持し、次いで、研磨装置によって前記ディスク部の歯部の歯面を研磨加工する歯研磨工程と、前記歯研磨工程後に、前記回転軸を把持し、前記ディスク部に前記貫通孔を形成する貫通孔形成工程とを含んでなる。
【0015】
この方法により、熱処理加工後の歯研磨加工において、小径環状部を動力伝達歯車の回転軸に組み付けた状態で、回転軸を把持し、研磨装置によってディスク部の歯部の歯面を研磨加工するので、歯部の歯面の研磨加工時に十分な把持力を確保することができ、歯部の加工を容易に行うことができる。このため、歯部の加工作業の作業性を向上させることができる。
また、歯研磨加工後の貫通孔形成工程において、小径環状部を動力伝達歯車の回転軸に組み付けた状態で、回転軸を把持し、ディスク部に貫通孔を形成するので、貫通孔の加工時に十分な把持力を確保することができ、貫通孔の加工を容易に行うことができる。このため、貫通孔の加工作業の作業性を向上させることができる。
【0016】
また、歯部の歯面の研磨加工前にディスク部に貫通孔を形成すると、歯部にびびりが発生するおそれがあるが、本発明では、歯部の歯面の研磨加工を行った後に、ディスク部に貫通孔を形成するようにしたので、歯部にびびりが発生するのを防止することができ、歯部の加工精度が低下するのを防止することができる。
【0017】
上記(1)に記載の中空歯車の製造方法において、(2)前記貫通孔形成工程において、前記貫通孔を前記動力伝達歯車の放射方向外端面よりも放射方向外方に形成するようにしている。
【0018】
この方法により、貫通孔を動力伝達歯車の放射方向外端面よりも放射方向外方に形成するので、貫通孔を形成する際に動力伝達歯車の放射方向外方の空間を利用することができ、動力伝達歯車が貫通孔の形成作業の妨げになるのを防止することができる。
【0019】
上記(1)または(2)に記載の中空歯車の製造方法において、(3)前記貫通孔形成工程がレーザ加工によって行われる。
この方法により、貫通孔をレーザ加工によって形成するので、貫通孔を非接触加工で形成することができ、中空歯車にバリ等が発生するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、歯部および貫通孔の加工を容易に行うことができ、歯部および貫通孔の加工作業の作業性を向上させることができる中空歯車の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る中空歯車の製造方法の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1〜図6は、本発明に係る中空歯車の製造方法の一実施の形態を示す図であり、中空歯車を自動車等の車両の動力伝達装置に適用した例を示している。
【0022】
まず、構成を説明する。
図1において、動力伝達装置1は、トランスミッションケース2を有しており、トランスミッションケース2内には、変速機構を構成する複合遊星歯車装置3と、フロントドライブシャフト33、34への差動出力が可能なディファレンシャル装置4と、蓄電された電力により車両を駆動させる駆動用モータ5と、図示しないエンジンからの動力により発電可能なモータジェネレータ6と、動力伝達装置1の各部にオイルを供給するオイルポンプ7とが収納されている。
【0023】
複合遊星歯車装置3は、駆動用モータ5から出力された動力を伝達する第1の遊星歯車装置11と、エンジンから出力された動力を伝達する第2の遊星歯車装置12とを含んで構成されており、駆動用モータ5およびエンジンから出力された動力をディファレンシャル装置4に選択的に伝達できるようになっている。
【0024】
トランスミッションケース2は、エンジン側に締結支持されるハウジング13と、ハウジング13のエンジン側とは反対側の開口端に固定されたケース14とを有している。
また、ケース14のハウジング13側とは反対側の開口端には、ケースカバー15が装着されており、ケースカバー15のケース14側の反対側には、オイルポンプカバー16が装着されている。
【0025】
また、ハウジング13には、ハウジングカバー17が装着されており、ハウジング13内をモータジェネレータ6の収納部分とエンジンからの駆動力伝達機構であるダンパー要素18の収納部分とに画成している。
【0026】
モータジェネレータ6および第2の遊星歯車装置12の回転中心部分には、モータジェネレータ6および第2の遊星歯車装置12を貫通するように延在するインプットシャフト19が配設されており、駆動用モータ5および第1の遊星歯車装置11の回転中心部分には、駆動用モータ5および第1の遊星歯車装置11を貫通するように延在するオイルポンプ駆動軸20が配設されている。
【0027】
インプットシャフト19は、一端部がクランクシャフト21に回転方向一体に係合されるとともに、他端部が第2の遊星歯車装置12に接続されており、エンジンからの動力を複合遊星歯車装置3に伝達するようになっている。
【0028】
オイルポンプ駆動軸20は、一端部がインプットシャフト19に回転方向一体に係合されるとともに、他端部がオイルポンプ7に接続されており、インプットシャフト19からの動力をオイルポンプ7に伝達するようになっている。
【0029】
また、トランスミッションケース2内には、複合遊星歯車装置3から出力された動力をディファレンシャル装置4に伝達するカウンタドリブンギヤ22およびファイナルドライブギヤ23が設けられている。
【0030】
カウンタドリブンギヤ22は、複合遊星歯車装置3のカウンタドライブギヤ24に噛合しており、このカウンタドリブンギヤ22はファイナルドライブギヤ23が一体に形成された回転軸としてのカウンタシャフト25にスプライン嵌合している。
【0031】
ディファレンシャル装置4は、中空のデフケース26を備えており、デフケース26の外周部にはファイナルドライブギヤ23と歯合するファイナルギヤ27が締結され、複合遊星歯車装置3から出力された動力がファイナルギヤ27を介してデフケース26に伝達されるようになっている。
【0032】
また、デフケース26の内部には、ピニオンギヤシャフト28が回転自在に支持されており、ピニオンギヤシャフト28には、一対のディファレンシャルピニオンギヤ29、30が固定されている。
【0033】
各ディファレンシャルピニオンギヤ29、30には、2体のサイドギヤ31、32がそれぞれ歯合しており、各サイドギヤ31、32にはフロントドライブシャフト33、34がそれぞれ接続され、各フロントドライブシャフト33、34には、図示しない前輪がそれぞれ固定されている。
【0034】
本実施の形態では、このように構成される動力伝達装置1のカウンタドリブンギヤ22が動力伝達歯車としてのファイナルドライブギヤ23のカウンタシャフト25にスプライン嵌合されていることから、カウンタドリブンギヤ22が中空歯車を構成しており、このカウンタドリブンギヤ22の製造方法について特徴がある。
【0035】
図2、図4において、カウンタドリブンギヤ22は、内周部にスプライン部41aを有する中空状の小径環状部41と、小径環状部41から放射方向に延在し、放射方向外端面に歯部42を有するディスク部43とを備え、ディスク部43に3つの貫通孔44が形成されている。
【0036】
そして、小径環状部41のスプライン部41aがカウンタシャフト25のスプライン部25aにスプライン嵌合することにより、カウンタドリブンギヤ22がカウンタシャフト25に取付けられている。
【0037】
また、カウンタドリブンギヤ22がファイナルドライブギヤ23のカウンタシャフト25に組み付けられた状態において、ディスク部43の貫通孔44は、ファイナルドライブギヤ23の放射方向外端面よりも放射方向外方に形成されている。
【0038】
次に、このカウンタドリブンギヤ22の製造方法を図3の製造手順に基づいて説明する。
まず、材料を所定形状に鍛造する(鍛造工程A)。次いで、鍛造工程Aで得られたカウンタドリブンギヤ22(製品)の中空ブランクをハイポイド歯切り加工し、ディスク部43に相当する中空ブランクの放射方向外端に複数の歯部42を形成する(歯切り工程B)。また、小径環状部41に相当する中空ブランクの内周部にスプライン部41aを加工する。
【0039】
次いで、中空ブランクの熱処理を行う(熱処理工程C)。この熱処理工程Cでは、例えば、ガス浸炭と油焼入れを行う。具体的には、中空ブランクを浸炭ガス雰囲気中で930℃×5時間加熱した後、850℃×1時間拡散し、次いで、130℃で油焼入れをした後、180℃×1時間の焼戻しの条件で浸炭焼入れ、焼戻しを行う。
【0040】
次いで、図4に示すように、小径環状部41のスプライン部41aをカウンタシャフト25のスプライン部25aにスプライン嵌合することにより、カウンタドリブンギヤ22をカウンタシャフト25に取付ける(組み付け工程D)。
【0041】
次いで、図5に示すように、カウンタドリブンギヤ22が組み付けられたカウンタシャフト25の両端部を研磨装置51のクランプ部(把持部)52に把持し、ディスク部43の歯部42の歯面42aを研磨装置51の研磨工具53によって研磨加工する(歯研磨工程E)。
具体的には、研磨工具53は、ディスク部43の歯部42に噛合する研磨用の凸部を有する歯車形状を有しており、研磨工具53および中空ブランクを共に回転させながら研磨工具53の凸部によって歯部42の歯面42aを研磨加工する。
【0042】
次いで、図6に示すように、カウンタドリブンギヤ22が組み付けられたカウンタシャフト25の両端部をレーザ加工装置61のクランプ部(把持部)62に把持し、レーザ加工装置61からディスク部43にレーザ光Lを照射することにより、ディスク部43の照射円周方向に沿って3つの貫通孔44を形成する(貫通孔形成工程F)。
なお、レーザ加工装置61は、レーザ発振器を用いた光学系で構成されており、レーザ加工装置61によりディスク部43にレーザ光Lが照射されると、ディスク部43が溶融または蒸発することによって貫通孔44が形成される。
【0043】
このように本実施の形態のカウンタドリブンギヤ22の製造方法にあっては、歯切り工程B後にカウンタドリブンギヤ22を熱処理する熱処理工程Cと、外周部にファイナルドライブギヤ23が形成されたカウンタシャフト25を準備し、熱処理工程C後に、小径環状部41をカウンタシャフト25に組み付ける組み付け工程Dと、組み付け工程D後に、カウンタシャフト25を研磨装置51のクランプ部52に把持し、研磨装置51の研磨工具53によってディスク部43の歯部42の歯面42aを研磨加工する歯研磨工程Eと、歯研磨工程E後に、カウンタシャフト25をレーザ加工装置61のクランプ部62に把持し、ディスク部43に貫通孔44を形成する貫通孔形成工程Fとを含む製造工程によって製造するようにしたので、歯部42の歯面42aの研磨加工時に十分な把持力を確保することができ、歯部42の加工を容易に行うことができる。このため、歯部42の加工作業の作業性を向上させることができる。
また、貫通孔44の加工時に十分な把持力を確保することができ、貫通孔44の加工を容易に行うことができる。このため、貫通孔44の加工作業の作業性を向上させることができる。
【0044】
また、歯部42の歯面42aの研磨加工前にディスク部43に貫通孔を形成すると、歯部42にびびりが発生するおそれがあるが、本実施の形態では、歯部42の歯面42aの研磨加工を行った後に、ディスク部43に貫通孔44を形成するようにしたので、歯部42にびびりが発生するのを防止することができ、歯部42の加工精度が低下するのを防止することができる。
【0045】
また、本実施の形態では、貫通孔形成工程において、貫通孔44をファイナルドライブギヤ23の放射方向外端面よりも放射方向外方に形成したので、貫通孔44を形成する際にファイナルドライブギヤ23の放射方向外方の空間を利用することができ、ファイナルドライブギヤ23が貫通孔44の形成作業の妨げになるのを防止することができる。
【0046】
また、本実施の形態では、貫通孔形成工程において、貫通孔44をレーザ加工によって形成するようにしたので、貫通孔44を非接触加工で形成することができ、カウンタドリブンギヤ22のディスク部43にバリ等が発生するのを防止することができる。
【0047】
なお、本実施の形態では、中空歯車の製造方法として、車両の動力伝達装置1に用いられるカウンタドリブンギヤ22を製造する方法を示したが、これに限らず、外周部に動力伝達歯車が形成された回転軸が組み付けられた状態で歯部を形成することができる中空歯車であれば、本製造方法をどのような形態の中空歯車に適用してもよい。
【0048】
また、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0049】
以上のように、本発明に係る中空歯車の製造方法は、歯部および貫通孔の加工を容易に行うことができ、歯部および貫通孔の加工作業の作業性を向上させることができるという効果を有し、ディスク部に貫通孔を有する中空歯車の製造方法等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る中空歯車の製造方法の一実施の形態を示す図であり、中空歯車であるカウンタドリブンギヤを備えた動力伝達装置の構成図である。
【図2】本発明に係る中空歯車の製造方法の一実施の形態を示す図であり、カウンタドリブンギヤの正面図である。
【図3】本発明に係る中空歯車の製造方法の一実施の形態を示す図であり、カウンタドリブンギヤの製造手順を示す図である。
【図4】本発明に係る中空歯車の製造方法の一実施の形態を示す図であり、カウンタドリブンギヤをファイナルドライブギヤに組み付けた状態を示す図である。
【図5】本発明に係る中空歯車の製造方法の一実施の形態を示す図であり、カウンタドリブンギヤの歯部の歯面を研磨する状態を示す図である。
【図6】本発明に係る中空歯車の製造方法の一実施の形態を示す図であり、カウンタドリブンギヤに貫通孔を形成する状態を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
22 カウンタドリブンギヤ(中空歯車)
23 ファイナルドライブギヤ(動力伝達歯車)
25 カウンタシャフト(回転軸)
41 小径環状部
42 歯部
42a 歯面
43 ディスク部
44 貫通孔
A 鍛造工程
B 歯切り工程
C 熱処理工程
D 組み付け工程
E 歯研磨工程
F 貫通孔形成工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空状の小径環状部と、前記小径環状部から放射方向に延在し、放射方向外端面に歯部を有するディスク部とを備え、前記ディスク部に貫通孔が形成される中空歯車の製造方法であって、
前記ディスク部の放射方向外端に複数の歯部が前加工された前記中空歯車を熱処理する熱処理工程と、
外周部に動力伝達歯車が形成された回転軸を準備し、前記熱処理工程後に、前記小径環状部を前記動力伝達歯車の回転軸に組み付ける組み付け工程と、
前記組み付け工程後に、前記回転軸を把持し、次いで、研磨装置によって前記ディスク部の歯部の歯面を研磨加工する歯研磨工程と、
前記歯研磨工程後に、前記回転軸を把持し、前記ディスク部に前記貫通孔を形成する貫通孔形成工程とを含んでなることを特徴とする中空歯車の製造方法。
【請求項2】
前記貫通孔形成工程において、前記貫通孔を前記動力伝達歯車の放射方向外端面よりも放射方向外方に形成することを特徴とする請求項1に記載の中空歯車の製造方法。
【請求項3】
前記貫通孔形成工程がレーザ加工によって行われることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の中空歯車の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−250418(P2009−250418A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−102623(P2008−102623)
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】