中空糸モジュールの密閉機構及び中空糸モジュール
【課題】滅菌処理を行っても中空糸モジュールの高い密閉性を維持する密閉機構を提供する。
【解決手段】中空糸モジュールの密閉機構40は、一次通液ノズル11、12に嵌め込み可能で閉栓可能な閉栓部材50と、二次通液ノズル13、14に取り付け可能で閉鎖可能な閉鎖部材51と、閉鎖部材51の内側において二次通液ノズル13、14に嵌め込み可能で閉栓可能な内栓部材52を有している。閉鎖部材51は、変形自在に形成され、二次通液ノズル13、14に取り付けられた状態で内栓部材52を二次通液ノズル13、14内に押圧できる。内栓部材は52、閉鎖部材51の内側で二次通液ノズル13、14に比較的浅く嵌め込まれた状態で、内側空間60と外周空間Bとを連通させ、閉鎖部材61の内側で二次通液ノズル13、14に比較的深く嵌め込まれた状態で、内側空間60と外周空間Bとを不通にする通路70を有している。
【解決手段】中空糸モジュールの密閉機構40は、一次通液ノズル11、12に嵌め込み可能で閉栓可能な閉栓部材50と、二次通液ノズル13、14に取り付け可能で閉鎖可能な閉鎖部材51と、閉鎖部材51の内側において二次通液ノズル13、14に嵌め込み可能で閉栓可能な内栓部材52を有している。閉鎖部材51は、変形自在に形成され、二次通液ノズル13、14に取り付けられた状態で内栓部材52を二次通液ノズル13、14内に押圧できる。内栓部材は52、閉鎖部材51の内側で二次通液ノズル13、14に比較的浅く嵌め込まれた状態で、内側空間60と外周空間Bとを連通させ、閉鎖部材61の内側で二次通液ノズル13、14に比較的深く嵌め込まれた状態で、内側空間60と外周空間Bとを不通にする通路70を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空糸モジュールの密閉機構及び中空糸モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば血液製剤からウイルスを除去するウイルス除去器や、透析時等に血液から不要物質を除去する血液浄化器等には、従来より血液製剤等の液体を通過させて当該液体から特定の物質を分離する中空糸膜を備えた中空糸モジュールが用いられている。
【0003】
上述の中空糸モジュールは、例えば中空糸膜束が長手方向に収容されたハウジングと、前記ハウジングの長手方向の両端に形成され、中空糸膜束内に通じる一次通液ノズルと、ハウジングの外周側面に形成され、中空糸膜束の外周空間に通じる二次通液ノズルを有している。そして、例えばハウジングの一次通液ノズルから液体を流入させ、当該中空糸膜束によって特定物質を分離し、当該特定物質を二次通液ノズルから流出させている。
【0004】
ところで、上記中空糸モジュールの製造工程では、出荷する前に滅菌処理が行われる。この滅菌処理は、例えばハウジング内に水を充填し、総ての通液ノズルを閉鎖した状態で、中空糸モジュールを高温、高圧下に所定時間曝すことにより行われる(特許文献1参照)。水を充填し各通液ノズルを閉鎖した状態で行うのは、滅菌処理後にハウジング内の乾燥を防止し無菌状態を維持するためであり、また中空糸モジュールの使用時まで中空糸膜の濡れ性を維持して、使用開始時から中空糸膜の分離性能を十分に発揮させるためである。
【0005】
例えば上記滅菌処理の際に通液ノズルを閉鎖する方法として、図12に示すようにハウジング100に接続された通液ノズル101の端面にOリング102を介して平板103を取り付け、当該平板103の周りを覆う固定具104により平板103を通液ノズル101に固定する方法が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−245329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のように滅菌処理は、高温、高圧下で行われるため、このときハウジング内の水やガスが膨縮する。上記閉鎖方法を用いた場合、平板103や固定具104に、温度と圧力による負荷がかかり、例えば平板103や固定具104が変形、変質して、滅菌処理後の通液ノズル101の密閉性が低下する恐れがある。
【0008】
滅菌処理後に通液ノズルの密閉性が低下していると、例えば中空糸モジュールが出荷されてから実際に使用されるまでの間に、ハウジング内に雑菌が入り込む可能性がある。また、ハウジング内の水が揮発しハウジング外に放出され、例えばハウジング内の水が減って中空糸膜の一部が乾燥し、使用開始時の中空糸膜の分離性能が低下する可能性がある。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、上述のような滅菌処理を行っても中空糸モジュールの高い密閉性を維持できる中空糸モジュールの密閉機構、及び中空糸モジュールを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明は、中空糸膜束が長手方向に収容されたハウジングと、前記ハウジングの長手方向の両端に形成され、前記中空糸膜束内に通じる一次通液ノズルと、前記ハウジングの外周側面に形成され、前記ハウジング内の前記中空糸膜束の外周空間に通じる二次通液ノズルとを有する中空糸モジュールの密閉機構であって、前記一次通液ノズルに嵌め込み可能で当該一次通液ノズルを閉栓可能な閉栓部材と、前記二次通液ノズルに取り付け可能で当該二次通液ノズルを閉鎖可能な閉鎖部材と、前記閉鎖部材の内側において、前記二次通液ノズルに嵌め込み可能で当該二次通液ノズルを閉栓可能な内栓部材と、を有し、前記閉鎖部材は、変形自在に形成され、前記二次通液ノズルに取り付けられた状態で変形して前記内栓部材を前記二次通液ノズル内に押圧でき、前記内栓部材は、前記閉鎖部材の内側で前記二次通液ノズルに比較的浅く嵌め込まれた状態で、前記閉鎖部材の内側空間と前記ハウジング内の前記外周空間とを連通させ、前記閉鎖部材の内側で前記二次通液ノズルに比較的深く嵌め込まれた状態で、前記内側空間と前記外周空間とを不通にする通路を有している。
【0011】
本発明によれば、滅菌処理時に内栓部材を二次通液ノズルに比較的浅く嵌め込むことにより、ハウジング内で膨張した液体や気体を、内栓部材の通路を通じて閉鎖部材の内側空間に流出できる。これにより、滅菌処理時の液体等の膨張を吸収し、一次通液ノズル側の閉栓部材にかかる負荷を低減できる。滅菌処理後、二次通液ノズルに内栓部材を比較的深く嵌め込むことにより、二次通液ノズルの密閉性を確保できる。また、嵌め込み可能な閉栓部材よって一次通液ノズルを閉栓できるので、一次通液ノズルの高い密閉性が確保できる。これらの結果、滅菌処理を行っても中空糸モジュールの高い密閉性を維持できる。
【0012】
前記一次通液ノズルと前記二次通液ノズルは、前記ハウジングに接続された円筒部と、当該円筒部の先端に形成され前記円筒部の外径よりも大きな外径を有するフェルール部を有していてもよい。
【0013】
前記閉栓部材は、前記フェルール部の端面に密着可能な頭部と、前記円筒部内に嵌め込み可能な嵌め込み部とを有していてもよい。
【0014】
前記閉鎖部材は、前記二次通液ノズルから外側に膨出した膜状に形成されていてもよい。
【0015】
前記内栓部材は、前記内側空間側に突出する凸状部を有していてもよい。
【0016】
前記通路は、前記二次通液ノズルの内周面に接する前記内栓部材の外周面に、嵌め込み方向に沿った溝状に形成され、前記内栓部材の先端から、後端側の途中まで形成されていてもよい。
【0017】
前記二次通液ノズルの内周面に接する前記内栓部材の外周面には、当該外周面から外側に突出する環状の突条部が形成され、前記突条部は、前記内栓部材の前記通路より後端側に形成されていてもよい。
【0018】
前記二次通液ノズルの内周面に接する前記内栓部材の外周面には、当該外周面から外側に突出する他の突条部が形成され、前記他の突条部は、前記内栓部材の前記通路が形成されている区間に形成されていてもよい。
【0019】
別の観点による本発明は、中空糸膜束が長手方向に収容されたハウジングと、前記ハウジングの長手方向の両端に形成され、前記中空糸膜束内に通じる一次通液ノズルと、前記ハウジングの外周側面に形成され、前記ハウジング内の前記中空糸膜束の外周空間に通じる二次通液ノズルとを有する中空糸モジュールであって、前記一次通液ノズルに嵌め込み可能で当該一次通液ノズルを閉栓可能な閉栓部材と、前記二次通液ノズルに取り付け可能で当該二次通液ノズルを閉鎖可能な閉鎖部材と、前記閉鎖部材の内側において、前記二次通液ノズルに嵌め込み可能で当該二次通液ノズルを閉栓可能な内栓部材と、を有し、前記閉鎖部材は、変形自在に形成され、前記二次通液ノズルに取り付けられた状態で変形して前記内栓部材を前記二次通液ノズル内に押圧でき、前記内栓部材は、前記閉鎖部材の内側で前記二次通液ノズルに比較的浅く嵌め込まれた状態で、前記閉鎖部材の内側空間と前記ハウジング内の前記外周空間とを連通させ、前記閉鎖部材の内側で前記二次通液ノズルに比較的深く嵌め込まれた状態で、前記内側空間と前記外周空間とを不通にする通路を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、滅菌処理を行っても中空糸モジュールの高い密閉性を維持できるので、中空糸モジュールの無菌性が向上する。また、ハウジング内の水が揮発して中空糸膜の一部が乾燥することが防止されるので、中空糸膜の分離性能が維持される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】中空糸モジュールの構成の概略を示す断面図である。
【図2】中空糸モジュールの二次通液ノズル付近の構成を示す断面図である。
【図3】中空糸モジュールの一次通液ノズル付近の構成を示す断面図である。
【図4】中空糸モジュールの密閉機構の構成を示す説明図である。
【図5】内栓部材が浅く嵌め込まれた状態の二次通液ノズル付近の拡大断面図である。
【図6】内栓部材が深く嵌め込まれた状態の二次通液ノズル付近の拡大断面図である。
【図7】内栓部材を先端側からみた平面図である。
【図8】中空糸モジュールの製造方法の主な工程を示すフロー図である。
【図9】閉鎖部材の外側から内栓部材が押し込まれた状態を示す説明図である。
【図10】閉鎖部材に嵌合部を設けた二次通液ノズルを示す説明図である。
【図11】閉栓部材に嵌合部を設けた一次通液ノズルを示す説明図である。
【図12】改良前の通液ノズルの密閉機構を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係る密閉機構が適用される中空糸モジュール1の構成の概略を示す断面図である。
【0023】
中空糸モジュール1は、例えば図1に示すように中空糸膜束Aが長手方向に収容され、両端が閉鎖された円筒状のハウジング10と、ハウジング10の長手方向の両端に形成され、中空糸膜束A内に通じる2つの一次通液ノズル11、12と、ハウジング10の外周側面に形成され、ハウジング10内の中空糸膜束Aの外周空間Bに通じる2つの二次通液ノズル13、14を有している。
【0024】
中空糸膜束Aの両端部は、ポッティング剤Cによりハウジング10の内壁面に固定されている。このポッティング剤Cにより、ハウジング10の内部に、中空糸膜束Aの外周に位置する外周空間Bと、中空糸膜束Aの両端であって中空糸膜束Aの開口端が通じる端部空間Dが形成されている。この中空糸膜束Aの外周空間Bに、二次通液ノズル13、14が開口し、中空糸膜束Aの端部空間Dに、一次通液ノズル11、12が開口している。これにより、例えば一方の一次通液ノズル11から流入した液体は、一方の端部空間D、中空糸膜束Aの管内、他方の端部空間Dを通り、他方の一次通液ノズル12から流出される。また、例えば中空糸膜束Aを通過する際に中空糸膜の側壁孔を通過した液体は、外周空間Bに流出し、二次通液ノズル13、14から排出される。中空糸膜の側壁孔を通過する際に、例えば液体から特定の物質が分離される。
【0025】
二次通液ノズル13、14は、例えば図2に示すように円管状に形成され、ハウジング10の外周壁に接続された円筒部20と、その先端の開口部に形成された環状のフェルール部21を有している。二次通液ノズル13、14は、例えば内径がハウジング10の筒部に近づくにつれて次第に小さくなるテーパ形状を有している。
【0026】
一次通液ノズル11、12は、二次通液ノズル13、14と同様に例えば図3に示すように円管状に形成され、ハウジング10の筒部に接続された円筒部30と、その先端の開口部に形成された環状のフェルール部31を有している。一次通液ノズル11、12は、例えば内径がハウジング10の中央に近づくにつれて僅かに小さくなるテーパ形状を有している。
【0027】
次に、以上のように構成された中空糸モジュール1の密閉機構について説明する。
【0028】
例えば図4に示すように中空糸モジュールの密閉機構40は、一次通液ノズル11、12に嵌め込み可能で一次通液ノズル11、12を閉栓可能な閉栓部材50と、二次通液ノズル13、14に取り付け可能で二次通液ノズル13、14を閉鎖可能な閉鎖部材51と、閉鎖部材51の内側において、二次通液ノズル13、14に嵌め込み可能で二次通液ノズル13、14を閉栓可能な内栓部材52を有している。
【0029】
閉鎖部材51は、図2に示すように二次通液ノズル13、14側から外側に向かって突出する風船形の膜状に形成され、内側に内側空間60を形成できる。閉鎖部材51は、例えば固定リング61等を用いて、開口部を二次通液ノズル13、14のフェルール部21に気密に固定できる。さらに、閉鎖部材51の開口部、固定リング61及びフェルール部21は、それらの外側を覆うクランプ62によって固定できる。閉鎖部材51は、例えばゴムにより形成され、膨縮自在で変形自在に形成されている。これにより、閉鎖部材51は、変形して、後述する内側空間60内の内栓部材52を二次通液ノズル13、14内に押圧できる。また、閉鎖部材51は、通気性を有していてもよい。閉鎖部材51の材質としては、耐熱性を有するものが好ましく、例えばシリコンゴムやフッ素ゴムが用いられる。
【0030】
内栓部材52は、例えば略円柱状に形成され、嵌め込み部52aと、ヘッド部52b及び凸状部としての押し込み部52cを先端側からこの順で有している。内栓部材52は、弾力性のある例えばゴムにより形成されている。なお、内栓部材52の材質としては、耐熱性を有するものが好ましく、例えばシリコンゴムやフッ素ゴムが用いられる。
【0031】
嵌め込み部52aは、二次通液ノズル13、14の内径と適合する径を有している。嵌め込み部52aの外周面には、嵌め込み方向に沿った溝状の通路70が形成されている。通路70は、嵌め込み部52aの先端から、当該先端と後端との間の位置まで形成されている。通路70は、図5に示すように内栓部材52が二次通液ノズル13、14に浅く嵌め込まれたときに当該通路70の上端付近が閉鎖部材51の内側空間60に開口し当該通路70を通じてハウジング10内と内側空間60が連通するように形成されている。また、通路70は、図6に示すように内栓部材52が二次通液ノズル13、14に深く嵌め込まれたときに当該通路70が二次通液ノズル13、14内に完全に入り込みハウジング10内と内側空間60を不通にするように形成されている。例えば通路70は、嵌め込み部52aの先端から後端までの長さの例えば3分の2程度の長さに形成されている。また、通路70は、例えば図7に示すように嵌め込み部52aの互いに対向する2か所に形成されている。
【0032】
嵌め込み部52aの外周面には、図2に示すように外側に突出し二次通液ノズル13、14の内周面に接する環状の例えば2本の突条部71が形成されている。これらの突条部71は、例えば嵌め込み部52aの通路70より後端側の、通路70のない区間に形成されている。これにより、嵌め込み部52aが二次通液ノズル13、14に深く嵌め込まれた際に、嵌め込み部52aの通路70より後端側の気密性を向上し、通路70を通じた液体や気体の漏れを防止できる。
【0033】
また、嵌め込み部52aの外周面の先端側の通路70のある区間には、例えば3本の他の突条部72が形成されている。これらの他の突条部72は、およそ環状に形成され、通路70の部分のみ切り欠きになっている。これにより、内栓部材52と二次通液ノズル13、14との摩擦が大きくなるので、内栓部材52を浅く嵌め込んだ際にハウジング10の内圧により内栓部材52が外れることを防止できる。
【0034】
ヘッド部52bは、嵌め込み部52aの後端側に形成されており、嵌め込み部52aより径が大きくなっている。内栓部材52が二次通液ノズル13、14に深く嵌め込まれたときに、ヘッド部52bがフェルール部21の上面に当接し、これによっても二次通液ノズル13、14が閉栓される。
【0035】
押し込み部52cは、ヘッド部52bの後端側に形成され、二次通液ノズル13、14から離れる方向に突出する凸状に形成されている。押し込み部52cは、例えば閉鎖部材51の内側空間60の、二次通液ノズル13、14から離れる方向(図2の上方向)の全長の4分の1以上の長さを有している。
【0036】
閉栓部材50は、例えば図3に示すように略円柱状に形成され、一次通液ノズル11、12のフェルール部31の端面に密着可能な頭部50aと、一次通液ノズル11、12の円筒部30内に嵌め込み可能な嵌め込み部50bを有している。
【0037】
閉栓部材50は、弾力性のある例えばゴムにより形成されている。なお、閉栓部材50の材質としては、耐熱性を有するものが好ましく、例えばシリコンゴムやフッ素ゴムが用いられる。
【0038】
嵌め込み部50bは、一次通液ノズル11、12の内径と適合する径を有している。頭部50aは、嵌め込み部50bの後端側に形成されており、嵌め込み部50bより径が大きくなっている。閉栓部材50が一次通液ノズル11、12に嵌め込まれたときに、頭部50aがフェルール部31の端面に当接し、これによっても一次通液ノズル11、12が閉栓される。さらに、閉栓部材50の外面にプレート80を被せ、そのプレート80とフェルール部31の周りをクランプ81によって把持することによって、閉栓部材50を固定できる。
【0039】
次に、以上のように構成された中空糸モジュールの密閉機構40の作用を、中空糸モジュール1の製造方法と共に説明する。当該製造方法は、中空糸モジュール1の出荷直前に行われる製造工程を含むものである。図8は、かかる製造方法の主な工程を示すフロー図である。
【0040】
ハウジング10が製造された後の中空糸モジュール1の最終製造段階において、まず、中空糸モジュール1のハウジング10を鉛直方向に立てた状態で、下側の一次通液ノズル11から水が導入され、一次通液側である中空糸膜束Aの端部空間Dと中空糸膜束A内に水Hが充填される(図8の工程S1)。その後、図3に示すように上側の一次通液ノズル12に閉栓部材50が嵌め込まれ、閉栓部材50がプレート80及びクランプ81によって固定されて、一次通液ノズル12が閉栓される(図8の工程S2)。その後、下側の一次通液ノズル11にも閉栓部材50が嵌め込まれ、プレート80及びクランプ81によって固定されて、一次通液ノズル11が閉栓される。次に、図4に示すように中空糸モジュール1のハウジング10を水平方向に置いた状態で、一方の二次通液ノズル13から水Hが導入され、二次通液側である外周空間Bに水Hが充填される(図8の工程S3)。その後、図5に示すように二次通液ノズル13、14に、内栓部材52が浅く嵌め込まれ、その外側から閉鎖部材51が取り付けられる。このとき、閉鎖部材51の内側に内側空間60が形成されると共に、内栓部材52の嵌め込み部52aの通路70により、ハウジング10内と閉鎖部材51の内側空間60とが連通する(図8の工程S4)。
【0041】
次に、中空糸モジュール1の全体が高圧下で加熱され、滅菌される(図8の工程S5)。このとき、ハウジング10内の水Hや残存ガスが膨張し、ハウジング10内から二次通液ノズル13、14に流れ込み、内栓部材52の通路70を通って閉鎖部材51の内側空間60に流れ込む。例えば内側空間60に流れ込む水Hが多い場合には、閉鎖部材51が膨出して内側空間60の容積が広げられる。また、内側空間60に流れ込んだガスは、一部閉鎖部材51を通じて外部に放出される。このようにして、ハウジング10内の水やガスの膨張は、閉鎖部材51により吸収される。この結果、ハウジング10の内圧による一次通液ノズル11、12側にかかる負荷が低減する。
【0042】
滅菌が終了し、例えば冷却によって水やガスの膨張が元に戻った後、図9に示すように閉鎖部材51が外側から押され変形し、内栓部材52の押し込み部52cが押圧され、図6に示すように内栓部材52が二次通液ノズル13、14に深く嵌め込まれる。こうして、通路70が閉鎖され、ハウジング10内と内側空間60とが不通となり、二次通液ノズル13、14が閉栓される(図8の工程S6)。
【0043】
以上の実施の形態によれば、中空糸モジュールの密閉機構40が、閉鎖部材51と内栓部材52を有しているので、二次通液ノズル13、14に内栓部材52を比較的浅く嵌め込み、その外に閉鎖部材51を取り付けることにより、滅菌処理時にハウジング10内で膨張した液体や気体を、内栓部材52の通路70を通じて閉鎖部材51の内側空間60に流出できる。これにより、滅菌処理時の液体等の膨張を吸収し、一次通液ノズル11、12側の閉栓部材50にかかる負荷を低減できる。滅菌処理後、二次通液ノズル13、14に内栓部材52を比較的深く嵌め込むことにより、二次通液ノズル13、14の密閉性を十分に確保できる。また、嵌め込み可能な閉栓部材50よって一次通液ノズル11、12を閉栓できるので、一次通液ノズル11、12の高い密閉性が確保できる。これらの結果、滅菌処理を行っても中空糸モジュール1の高い密閉性を維持できる。
【0044】
以上の実施の形態では、一次通液ノズル11、12と二次通液ノズル13、14は、ハウジング10に接続された円筒部30、20と、当該円筒部の先端に形成され円筒部の外径よりも大きな外径を有するフェルール部31、21を有している(フェルール型)。かかるノズル形状の場合、ハウジング10内部からの負荷に対する密閉性の確保が難しいため、本発明にかかる密閉機構40を採用することは、特に有用である。
【0045】
閉栓部材50は、一次通液ノズル11、12のフェルール部31の端面に密着可能な頭部50aと、一次通液ノズル11、12の円筒部30内に嵌め込み可能な嵌め込み部50bを有しているので、頭部50aと嵌め込み部50bの両方で一次通液ノズル11、12を閉栓でき、高い密閉性を確保できる。
【0046】
閉鎖部材50は、二次通液ノズル13、14から外側に膨出した膜状に形成されているので、内側空間60を形成して、内部に水等を滞留させることができる。
【0047】
内栓部材52は、内側空間60側に突出する押し込み部52cを有しているので、閉鎖部材51の外側から内栓部材52を好適に押し込むことができる。
【0048】
通路70は、二次通液ノズル13、14の内周面に接する内栓部材52の外周面に、嵌め込み方向に沿った溝状に形成され、内栓部材52の先端から、後端側の途中まで形成されている。このため、内栓部材52を二次通液ノズル13、14に浅く嵌め込むことにより、通路70により、ハウジング10内と内側空間60とを好適に連通させることができる。
【0049】
二次通液ノズル13、14の内周面に接する内栓部材52の外周面には、当該外周面から外側に突出する環状の突条部71が形成され、突条部71は、内栓部材52の通路70より後端側に形成されているので、内栓部材52が深く嵌め込まれた際に、当該突条部71が、通路70より後端側で二次通液ノズル13、14の内周面に接し、内栓部材52の気密性を向上できる。
【0050】
二次通液ノズル13、14の内周面に接する内栓部材52の外周面には、当該外周面から外側に突出する他の突条部72が形成され、他の突条部72は、内栓部材52の通路70が形成されている区間に形成されているので、内栓部材52と二次通液ノズル13、14との摩擦が大きくなり、内栓部材52を浅く嵌め込んだ際にハウジング10の内圧により内栓部材52が外れることを防止できる。
【0051】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0052】
例えば上記実施の形態で記載した一次通液ノズル11、12のフェルール部31やプレート80と閉栓部材50との接触部分、又は二次通液ノズル13、14のフェルール部21と閉鎖部材51との接触部分に嵌合部を設けてもよい。例えば図10に示すように閉鎖部材51の先端の下面に環状の突条部51aを形成し、一次通液ノズル13、14のフェルール部21の上面に、突状部51aに嵌合する環状の凹部21aを設けてもよい。また、図11に示すように閉栓部材50の頭部50aの下面に環状の突条部50cを形成し、一次通液ノズル11、12のフェルール部31の上面に、突条部50cに嵌合する環状の凹部31aを設けてもよい。また、閉栓部材50の頭部50aの上面にも環状の突条部50dを形成し、プレート80の下面に、突条部50dに嵌合する環状の凹部80aを設けてもよい。こうすることによって、一次通液ノズル11、12や二次通液ノズル13、14の気密性をさらに向上できる。さらに、閉栓部材50の嵌め込み部50bの外周面に外側に突出する環状の突条部50eを形成してもよい。これによっても一次通液ノズル11、12の気密性を向上できる。
【符号の説明】
【0053】
1 中空糸モジュール
10 ハウジング
11、12 一次通液ノズル
13、14 二次通液ノズル
40 中空糸モジュールの密閉機構
50 閉栓部材
51 閉鎖部材
52 内栓部材
60 内側空間
70 通路
A 中空糸膜束
B 外周空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空糸モジュールの密閉機構及び中空糸モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば血液製剤からウイルスを除去するウイルス除去器や、透析時等に血液から不要物質を除去する血液浄化器等には、従来より血液製剤等の液体を通過させて当該液体から特定の物質を分離する中空糸膜を備えた中空糸モジュールが用いられている。
【0003】
上述の中空糸モジュールは、例えば中空糸膜束が長手方向に収容されたハウジングと、前記ハウジングの長手方向の両端に形成され、中空糸膜束内に通じる一次通液ノズルと、ハウジングの外周側面に形成され、中空糸膜束の外周空間に通じる二次通液ノズルを有している。そして、例えばハウジングの一次通液ノズルから液体を流入させ、当該中空糸膜束によって特定物質を分離し、当該特定物質を二次通液ノズルから流出させている。
【0004】
ところで、上記中空糸モジュールの製造工程では、出荷する前に滅菌処理が行われる。この滅菌処理は、例えばハウジング内に水を充填し、総ての通液ノズルを閉鎖した状態で、中空糸モジュールを高温、高圧下に所定時間曝すことにより行われる(特許文献1参照)。水を充填し各通液ノズルを閉鎖した状態で行うのは、滅菌処理後にハウジング内の乾燥を防止し無菌状態を維持するためであり、また中空糸モジュールの使用時まで中空糸膜の濡れ性を維持して、使用開始時から中空糸膜の分離性能を十分に発揮させるためである。
【0005】
例えば上記滅菌処理の際に通液ノズルを閉鎖する方法として、図12に示すようにハウジング100に接続された通液ノズル101の端面にOリング102を介して平板103を取り付け、当該平板103の周りを覆う固定具104により平板103を通液ノズル101に固定する方法が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−245329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のように滅菌処理は、高温、高圧下で行われるため、このときハウジング内の水やガスが膨縮する。上記閉鎖方法を用いた場合、平板103や固定具104に、温度と圧力による負荷がかかり、例えば平板103や固定具104が変形、変質して、滅菌処理後の通液ノズル101の密閉性が低下する恐れがある。
【0008】
滅菌処理後に通液ノズルの密閉性が低下していると、例えば中空糸モジュールが出荷されてから実際に使用されるまでの間に、ハウジング内に雑菌が入り込む可能性がある。また、ハウジング内の水が揮発しハウジング外に放出され、例えばハウジング内の水が減って中空糸膜の一部が乾燥し、使用開始時の中空糸膜の分離性能が低下する可能性がある。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、上述のような滅菌処理を行っても中空糸モジュールの高い密閉性を維持できる中空糸モジュールの密閉機構、及び中空糸モジュールを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明は、中空糸膜束が長手方向に収容されたハウジングと、前記ハウジングの長手方向の両端に形成され、前記中空糸膜束内に通じる一次通液ノズルと、前記ハウジングの外周側面に形成され、前記ハウジング内の前記中空糸膜束の外周空間に通じる二次通液ノズルとを有する中空糸モジュールの密閉機構であって、前記一次通液ノズルに嵌め込み可能で当該一次通液ノズルを閉栓可能な閉栓部材と、前記二次通液ノズルに取り付け可能で当該二次通液ノズルを閉鎖可能な閉鎖部材と、前記閉鎖部材の内側において、前記二次通液ノズルに嵌め込み可能で当該二次通液ノズルを閉栓可能な内栓部材と、を有し、前記閉鎖部材は、変形自在に形成され、前記二次通液ノズルに取り付けられた状態で変形して前記内栓部材を前記二次通液ノズル内に押圧でき、前記内栓部材は、前記閉鎖部材の内側で前記二次通液ノズルに比較的浅く嵌め込まれた状態で、前記閉鎖部材の内側空間と前記ハウジング内の前記外周空間とを連通させ、前記閉鎖部材の内側で前記二次通液ノズルに比較的深く嵌め込まれた状態で、前記内側空間と前記外周空間とを不通にする通路を有している。
【0011】
本発明によれば、滅菌処理時に内栓部材を二次通液ノズルに比較的浅く嵌め込むことにより、ハウジング内で膨張した液体や気体を、内栓部材の通路を通じて閉鎖部材の内側空間に流出できる。これにより、滅菌処理時の液体等の膨張を吸収し、一次通液ノズル側の閉栓部材にかかる負荷を低減できる。滅菌処理後、二次通液ノズルに内栓部材を比較的深く嵌め込むことにより、二次通液ノズルの密閉性を確保できる。また、嵌め込み可能な閉栓部材よって一次通液ノズルを閉栓できるので、一次通液ノズルの高い密閉性が確保できる。これらの結果、滅菌処理を行っても中空糸モジュールの高い密閉性を維持できる。
【0012】
前記一次通液ノズルと前記二次通液ノズルは、前記ハウジングに接続された円筒部と、当該円筒部の先端に形成され前記円筒部の外径よりも大きな外径を有するフェルール部を有していてもよい。
【0013】
前記閉栓部材は、前記フェルール部の端面に密着可能な頭部と、前記円筒部内に嵌め込み可能な嵌め込み部とを有していてもよい。
【0014】
前記閉鎖部材は、前記二次通液ノズルから外側に膨出した膜状に形成されていてもよい。
【0015】
前記内栓部材は、前記内側空間側に突出する凸状部を有していてもよい。
【0016】
前記通路は、前記二次通液ノズルの内周面に接する前記内栓部材の外周面に、嵌め込み方向に沿った溝状に形成され、前記内栓部材の先端から、後端側の途中まで形成されていてもよい。
【0017】
前記二次通液ノズルの内周面に接する前記内栓部材の外周面には、当該外周面から外側に突出する環状の突条部が形成され、前記突条部は、前記内栓部材の前記通路より後端側に形成されていてもよい。
【0018】
前記二次通液ノズルの内周面に接する前記内栓部材の外周面には、当該外周面から外側に突出する他の突条部が形成され、前記他の突条部は、前記内栓部材の前記通路が形成されている区間に形成されていてもよい。
【0019】
別の観点による本発明は、中空糸膜束が長手方向に収容されたハウジングと、前記ハウジングの長手方向の両端に形成され、前記中空糸膜束内に通じる一次通液ノズルと、前記ハウジングの外周側面に形成され、前記ハウジング内の前記中空糸膜束の外周空間に通じる二次通液ノズルとを有する中空糸モジュールであって、前記一次通液ノズルに嵌め込み可能で当該一次通液ノズルを閉栓可能な閉栓部材と、前記二次通液ノズルに取り付け可能で当該二次通液ノズルを閉鎖可能な閉鎖部材と、前記閉鎖部材の内側において、前記二次通液ノズルに嵌め込み可能で当該二次通液ノズルを閉栓可能な内栓部材と、を有し、前記閉鎖部材は、変形自在に形成され、前記二次通液ノズルに取り付けられた状態で変形して前記内栓部材を前記二次通液ノズル内に押圧でき、前記内栓部材は、前記閉鎖部材の内側で前記二次通液ノズルに比較的浅く嵌め込まれた状態で、前記閉鎖部材の内側空間と前記ハウジング内の前記外周空間とを連通させ、前記閉鎖部材の内側で前記二次通液ノズルに比較的深く嵌め込まれた状態で、前記内側空間と前記外周空間とを不通にする通路を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、滅菌処理を行っても中空糸モジュールの高い密閉性を維持できるので、中空糸モジュールの無菌性が向上する。また、ハウジング内の水が揮発して中空糸膜の一部が乾燥することが防止されるので、中空糸膜の分離性能が維持される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】中空糸モジュールの構成の概略を示す断面図である。
【図2】中空糸モジュールの二次通液ノズル付近の構成を示す断面図である。
【図3】中空糸モジュールの一次通液ノズル付近の構成を示す断面図である。
【図4】中空糸モジュールの密閉機構の構成を示す説明図である。
【図5】内栓部材が浅く嵌め込まれた状態の二次通液ノズル付近の拡大断面図である。
【図6】内栓部材が深く嵌め込まれた状態の二次通液ノズル付近の拡大断面図である。
【図7】内栓部材を先端側からみた平面図である。
【図8】中空糸モジュールの製造方法の主な工程を示すフロー図である。
【図9】閉鎖部材の外側から内栓部材が押し込まれた状態を示す説明図である。
【図10】閉鎖部材に嵌合部を設けた二次通液ノズルを示す説明図である。
【図11】閉栓部材に嵌合部を設けた一次通液ノズルを示す説明図である。
【図12】改良前の通液ノズルの密閉機構を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係る密閉機構が適用される中空糸モジュール1の構成の概略を示す断面図である。
【0023】
中空糸モジュール1は、例えば図1に示すように中空糸膜束Aが長手方向に収容され、両端が閉鎖された円筒状のハウジング10と、ハウジング10の長手方向の両端に形成され、中空糸膜束A内に通じる2つの一次通液ノズル11、12と、ハウジング10の外周側面に形成され、ハウジング10内の中空糸膜束Aの外周空間Bに通じる2つの二次通液ノズル13、14を有している。
【0024】
中空糸膜束Aの両端部は、ポッティング剤Cによりハウジング10の内壁面に固定されている。このポッティング剤Cにより、ハウジング10の内部に、中空糸膜束Aの外周に位置する外周空間Bと、中空糸膜束Aの両端であって中空糸膜束Aの開口端が通じる端部空間Dが形成されている。この中空糸膜束Aの外周空間Bに、二次通液ノズル13、14が開口し、中空糸膜束Aの端部空間Dに、一次通液ノズル11、12が開口している。これにより、例えば一方の一次通液ノズル11から流入した液体は、一方の端部空間D、中空糸膜束Aの管内、他方の端部空間Dを通り、他方の一次通液ノズル12から流出される。また、例えば中空糸膜束Aを通過する際に中空糸膜の側壁孔を通過した液体は、外周空間Bに流出し、二次通液ノズル13、14から排出される。中空糸膜の側壁孔を通過する際に、例えば液体から特定の物質が分離される。
【0025】
二次通液ノズル13、14は、例えば図2に示すように円管状に形成され、ハウジング10の外周壁に接続された円筒部20と、その先端の開口部に形成された環状のフェルール部21を有している。二次通液ノズル13、14は、例えば内径がハウジング10の筒部に近づくにつれて次第に小さくなるテーパ形状を有している。
【0026】
一次通液ノズル11、12は、二次通液ノズル13、14と同様に例えば図3に示すように円管状に形成され、ハウジング10の筒部に接続された円筒部30と、その先端の開口部に形成された環状のフェルール部31を有している。一次通液ノズル11、12は、例えば内径がハウジング10の中央に近づくにつれて僅かに小さくなるテーパ形状を有している。
【0027】
次に、以上のように構成された中空糸モジュール1の密閉機構について説明する。
【0028】
例えば図4に示すように中空糸モジュールの密閉機構40は、一次通液ノズル11、12に嵌め込み可能で一次通液ノズル11、12を閉栓可能な閉栓部材50と、二次通液ノズル13、14に取り付け可能で二次通液ノズル13、14を閉鎖可能な閉鎖部材51と、閉鎖部材51の内側において、二次通液ノズル13、14に嵌め込み可能で二次通液ノズル13、14を閉栓可能な内栓部材52を有している。
【0029】
閉鎖部材51は、図2に示すように二次通液ノズル13、14側から外側に向かって突出する風船形の膜状に形成され、内側に内側空間60を形成できる。閉鎖部材51は、例えば固定リング61等を用いて、開口部を二次通液ノズル13、14のフェルール部21に気密に固定できる。さらに、閉鎖部材51の開口部、固定リング61及びフェルール部21は、それらの外側を覆うクランプ62によって固定できる。閉鎖部材51は、例えばゴムにより形成され、膨縮自在で変形自在に形成されている。これにより、閉鎖部材51は、変形して、後述する内側空間60内の内栓部材52を二次通液ノズル13、14内に押圧できる。また、閉鎖部材51は、通気性を有していてもよい。閉鎖部材51の材質としては、耐熱性を有するものが好ましく、例えばシリコンゴムやフッ素ゴムが用いられる。
【0030】
内栓部材52は、例えば略円柱状に形成され、嵌め込み部52aと、ヘッド部52b及び凸状部としての押し込み部52cを先端側からこの順で有している。内栓部材52は、弾力性のある例えばゴムにより形成されている。なお、内栓部材52の材質としては、耐熱性を有するものが好ましく、例えばシリコンゴムやフッ素ゴムが用いられる。
【0031】
嵌め込み部52aは、二次通液ノズル13、14の内径と適合する径を有している。嵌め込み部52aの外周面には、嵌め込み方向に沿った溝状の通路70が形成されている。通路70は、嵌め込み部52aの先端から、当該先端と後端との間の位置まで形成されている。通路70は、図5に示すように内栓部材52が二次通液ノズル13、14に浅く嵌め込まれたときに当該通路70の上端付近が閉鎖部材51の内側空間60に開口し当該通路70を通じてハウジング10内と内側空間60が連通するように形成されている。また、通路70は、図6に示すように内栓部材52が二次通液ノズル13、14に深く嵌め込まれたときに当該通路70が二次通液ノズル13、14内に完全に入り込みハウジング10内と内側空間60を不通にするように形成されている。例えば通路70は、嵌め込み部52aの先端から後端までの長さの例えば3分の2程度の長さに形成されている。また、通路70は、例えば図7に示すように嵌め込み部52aの互いに対向する2か所に形成されている。
【0032】
嵌め込み部52aの外周面には、図2に示すように外側に突出し二次通液ノズル13、14の内周面に接する環状の例えば2本の突条部71が形成されている。これらの突条部71は、例えば嵌め込み部52aの通路70より後端側の、通路70のない区間に形成されている。これにより、嵌め込み部52aが二次通液ノズル13、14に深く嵌め込まれた際に、嵌め込み部52aの通路70より後端側の気密性を向上し、通路70を通じた液体や気体の漏れを防止できる。
【0033】
また、嵌め込み部52aの外周面の先端側の通路70のある区間には、例えば3本の他の突条部72が形成されている。これらの他の突条部72は、およそ環状に形成され、通路70の部分のみ切り欠きになっている。これにより、内栓部材52と二次通液ノズル13、14との摩擦が大きくなるので、内栓部材52を浅く嵌め込んだ際にハウジング10の内圧により内栓部材52が外れることを防止できる。
【0034】
ヘッド部52bは、嵌め込み部52aの後端側に形成されており、嵌め込み部52aより径が大きくなっている。内栓部材52が二次通液ノズル13、14に深く嵌め込まれたときに、ヘッド部52bがフェルール部21の上面に当接し、これによっても二次通液ノズル13、14が閉栓される。
【0035】
押し込み部52cは、ヘッド部52bの後端側に形成され、二次通液ノズル13、14から離れる方向に突出する凸状に形成されている。押し込み部52cは、例えば閉鎖部材51の内側空間60の、二次通液ノズル13、14から離れる方向(図2の上方向)の全長の4分の1以上の長さを有している。
【0036】
閉栓部材50は、例えば図3に示すように略円柱状に形成され、一次通液ノズル11、12のフェルール部31の端面に密着可能な頭部50aと、一次通液ノズル11、12の円筒部30内に嵌め込み可能な嵌め込み部50bを有している。
【0037】
閉栓部材50は、弾力性のある例えばゴムにより形成されている。なお、閉栓部材50の材質としては、耐熱性を有するものが好ましく、例えばシリコンゴムやフッ素ゴムが用いられる。
【0038】
嵌め込み部50bは、一次通液ノズル11、12の内径と適合する径を有している。頭部50aは、嵌め込み部50bの後端側に形成されており、嵌め込み部50bより径が大きくなっている。閉栓部材50が一次通液ノズル11、12に嵌め込まれたときに、頭部50aがフェルール部31の端面に当接し、これによっても一次通液ノズル11、12が閉栓される。さらに、閉栓部材50の外面にプレート80を被せ、そのプレート80とフェルール部31の周りをクランプ81によって把持することによって、閉栓部材50を固定できる。
【0039】
次に、以上のように構成された中空糸モジュールの密閉機構40の作用を、中空糸モジュール1の製造方法と共に説明する。当該製造方法は、中空糸モジュール1の出荷直前に行われる製造工程を含むものである。図8は、かかる製造方法の主な工程を示すフロー図である。
【0040】
ハウジング10が製造された後の中空糸モジュール1の最終製造段階において、まず、中空糸モジュール1のハウジング10を鉛直方向に立てた状態で、下側の一次通液ノズル11から水が導入され、一次通液側である中空糸膜束Aの端部空間Dと中空糸膜束A内に水Hが充填される(図8の工程S1)。その後、図3に示すように上側の一次通液ノズル12に閉栓部材50が嵌め込まれ、閉栓部材50がプレート80及びクランプ81によって固定されて、一次通液ノズル12が閉栓される(図8の工程S2)。その後、下側の一次通液ノズル11にも閉栓部材50が嵌め込まれ、プレート80及びクランプ81によって固定されて、一次通液ノズル11が閉栓される。次に、図4に示すように中空糸モジュール1のハウジング10を水平方向に置いた状態で、一方の二次通液ノズル13から水Hが導入され、二次通液側である外周空間Bに水Hが充填される(図8の工程S3)。その後、図5に示すように二次通液ノズル13、14に、内栓部材52が浅く嵌め込まれ、その外側から閉鎖部材51が取り付けられる。このとき、閉鎖部材51の内側に内側空間60が形成されると共に、内栓部材52の嵌め込み部52aの通路70により、ハウジング10内と閉鎖部材51の内側空間60とが連通する(図8の工程S4)。
【0041】
次に、中空糸モジュール1の全体が高圧下で加熱され、滅菌される(図8の工程S5)。このとき、ハウジング10内の水Hや残存ガスが膨張し、ハウジング10内から二次通液ノズル13、14に流れ込み、内栓部材52の通路70を通って閉鎖部材51の内側空間60に流れ込む。例えば内側空間60に流れ込む水Hが多い場合には、閉鎖部材51が膨出して内側空間60の容積が広げられる。また、内側空間60に流れ込んだガスは、一部閉鎖部材51を通じて外部に放出される。このようにして、ハウジング10内の水やガスの膨張は、閉鎖部材51により吸収される。この結果、ハウジング10の内圧による一次通液ノズル11、12側にかかる負荷が低減する。
【0042】
滅菌が終了し、例えば冷却によって水やガスの膨張が元に戻った後、図9に示すように閉鎖部材51が外側から押され変形し、内栓部材52の押し込み部52cが押圧され、図6に示すように内栓部材52が二次通液ノズル13、14に深く嵌め込まれる。こうして、通路70が閉鎖され、ハウジング10内と内側空間60とが不通となり、二次通液ノズル13、14が閉栓される(図8の工程S6)。
【0043】
以上の実施の形態によれば、中空糸モジュールの密閉機構40が、閉鎖部材51と内栓部材52を有しているので、二次通液ノズル13、14に内栓部材52を比較的浅く嵌め込み、その外に閉鎖部材51を取り付けることにより、滅菌処理時にハウジング10内で膨張した液体や気体を、内栓部材52の通路70を通じて閉鎖部材51の内側空間60に流出できる。これにより、滅菌処理時の液体等の膨張を吸収し、一次通液ノズル11、12側の閉栓部材50にかかる負荷を低減できる。滅菌処理後、二次通液ノズル13、14に内栓部材52を比較的深く嵌め込むことにより、二次通液ノズル13、14の密閉性を十分に確保できる。また、嵌め込み可能な閉栓部材50よって一次通液ノズル11、12を閉栓できるので、一次通液ノズル11、12の高い密閉性が確保できる。これらの結果、滅菌処理を行っても中空糸モジュール1の高い密閉性を維持できる。
【0044】
以上の実施の形態では、一次通液ノズル11、12と二次通液ノズル13、14は、ハウジング10に接続された円筒部30、20と、当該円筒部の先端に形成され円筒部の外径よりも大きな外径を有するフェルール部31、21を有している(フェルール型)。かかるノズル形状の場合、ハウジング10内部からの負荷に対する密閉性の確保が難しいため、本発明にかかる密閉機構40を採用することは、特に有用である。
【0045】
閉栓部材50は、一次通液ノズル11、12のフェルール部31の端面に密着可能な頭部50aと、一次通液ノズル11、12の円筒部30内に嵌め込み可能な嵌め込み部50bを有しているので、頭部50aと嵌め込み部50bの両方で一次通液ノズル11、12を閉栓でき、高い密閉性を確保できる。
【0046】
閉鎖部材50は、二次通液ノズル13、14から外側に膨出した膜状に形成されているので、内側空間60を形成して、内部に水等を滞留させることができる。
【0047】
内栓部材52は、内側空間60側に突出する押し込み部52cを有しているので、閉鎖部材51の外側から内栓部材52を好適に押し込むことができる。
【0048】
通路70は、二次通液ノズル13、14の内周面に接する内栓部材52の外周面に、嵌め込み方向に沿った溝状に形成され、内栓部材52の先端から、後端側の途中まで形成されている。このため、内栓部材52を二次通液ノズル13、14に浅く嵌め込むことにより、通路70により、ハウジング10内と内側空間60とを好適に連通させることができる。
【0049】
二次通液ノズル13、14の内周面に接する内栓部材52の外周面には、当該外周面から外側に突出する環状の突条部71が形成され、突条部71は、内栓部材52の通路70より後端側に形成されているので、内栓部材52が深く嵌め込まれた際に、当該突条部71が、通路70より後端側で二次通液ノズル13、14の内周面に接し、内栓部材52の気密性を向上できる。
【0050】
二次通液ノズル13、14の内周面に接する内栓部材52の外周面には、当該外周面から外側に突出する他の突条部72が形成され、他の突条部72は、内栓部材52の通路70が形成されている区間に形成されているので、内栓部材52と二次通液ノズル13、14との摩擦が大きくなり、内栓部材52を浅く嵌め込んだ際にハウジング10の内圧により内栓部材52が外れることを防止できる。
【0051】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0052】
例えば上記実施の形態で記載した一次通液ノズル11、12のフェルール部31やプレート80と閉栓部材50との接触部分、又は二次通液ノズル13、14のフェルール部21と閉鎖部材51との接触部分に嵌合部を設けてもよい。例えば図10に示すように閉鎖部材51の先端の下面に環状の突条部51aを形成し、一次通液ノズル13、14のフェルール部21の上面に、突状部51aに嵌合する環状の凹部21aを設けてもよい。また、図11に示すように閉栓部材50の頭部50aの下面に環状の突条部50cを形成し、一次通液ノズル11、12のフェルール部31の上面に、突条部50cに嵌合する環状の凹部31aを設けてもよい。また、閉栓部材50の頭部50aの上面にも環状の突条部50dを形成し、プレート80の下面に、突条部50dに嵌合する環状の凹部80aを設けてもよい。こうすることによって、一次通液ノズル11、12や二次通液ノズル13、14の気密性をさらに向上できる。さらに、閉栓部材50の嵌め込み部50bの外周面に外側に突出する環状の突条部50eを形成してもよい。これによっても一次通液ノズル11、12の気密性を向上できる。
【符号の説明】
【0053】
1 中空糸モジュール
10 ハウジング
11、12 一次通液ノズル
13、14 二次通液ノズル
40 中空糸モジュールの密閉機構
50 閉栓部材
51 閉鎖部材
52 内栓部材
60 内側空間
70 通路
A 中空糸膜束
B 外周空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空糸膜束が長手方向に収容されたハウジングと、前記ハウジングの長手方向の両端に形成され、前記中空糸膜束内に通じる一次通液ノズルと、前記ハウジングの外周側面に形成され、前記ハウジング内の前記中空糸膜束の外周空間に通じる二次通液ノズルとを有する中空糸モジュールの密閉機構であって、
前記一次通液ノズルに嵌め込み可能で当該一次通液ノズルを閉栓可能な閉栓部材と、
前記二次通液ノズルに取り付け可能で当該二次通液ノズルを閉鎖可能な閉鎖部材と、
前記閉鎖部材の内側において、前記二次通液ノズルに嵌め込み可能で当該二次通液ノズルを閉栓可能な内栓部材と、を有し、
前記閉鎖部材は、変形自在に形成され、前記二次通液ノズルに取り付けられた状態で変形して前記内栓部材を前記二次通液ノズル内に押圧でき、
前記内栓部材は、前記閉鎖部材の内側で前記二次通液ノズルに比較的浅く嵌め込まれた状態で、前記閉鎖部材の内側空間と前記ハウジング内の前記外周空間とを連通させ、前記閉鎖部材の内側で前記二次通液ノズルに比較的深く嵌め込まれた状態で、前記内側空間と前記外周空間とを不通にする通路を有していることを特徴とする、中空糸モジュールの密閉機構。
【請求項2】
前記一次通液ノズルと前記二次通液ノズルは、前記ハウジングに接続された円筒部と、当該円筒部の先端に形成され前記円筒部の外径よりも大きな外径を有するフェルール部を有していることを特徴とする、請求項1に記載の中空糸モジュールの密閉機構。
【請求項3】
前記閉栓部材は、前記フェルール部の端面に密着可能な頭部と、前記円筒部内に嵌め込み可能な嵌め込み部とを有していることを特徴とする、請求項2に記載の中空糸モジュールの密閉機構。
【請求項4】
前記閉鎖部材は、前記二次通液ノズルから外側に膨出した膜状に形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれに記載の中空糸モジュールの密閉機構。
【請求項5】
前記内栓部材は、前記内側空間側に突出する凸状部を有していることを特徴とする、請求項1〜4のいずれに記載の中空糸モジュールの密閉機構。
【請求項6】
前記通路は、前記二次通液ノズルの内周面に接する前記内栓部材の外周面に、嵌め込み方向に沿った溝状に形成され、前記内栓部材の先端から、後端側の途中まで形成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれに記載の中空糸モジュールの密閉機構。
【請求項7】
前記二次通液ノズルの内周面に接する前記内栓部材の外周面には、当該外周面から外側に突出する環状の突条部が形成され、
前記突条部は、前記内栓部材の前記通路より後端側に形成されていることを特徴とする、請求項6に記載の中空糸モジュールの密閉機構。
【請求項8】
前記二次通液ノズルの内周面に接する前記内栓部材の外周面には、当該外周面から外側に突出する他の突条部が形成され、
前記他の突条部は、前記内栓部材の前記通路が形成されている区間に形成されていることを特徴とする、請求項7に記載の中空糸モジュールの密閉機構。
【請求項9】
中空糸膜束が長手方向に収容されたハウジングと、前記ハウジングの長手方向の両端に形成され、前記中空糸膜束内に通じる一次通液ノズルと、前記ハウジングの外周側面に形成され、前記ハウジング内の前記中空糸膜束の外周空間に通じる二次通液ノズルとを有する中空糸モジュールであって、
前記一次通液ノズルに嵌め込み可能で当該一次通液ノズルを閉栓可能な閉栓部材と、
前記二次通液ノズルに取り付け可能で当該二次通液ノズルを閉鎖可能な閉鎖部材と、
前記閉鎖部材の内側において、前記二次通液ノズルに嵌め込み可能で当該二次通液ノズルを閉栓可能な内栓部材と、を有し、
前記閉鎖部材は、変形自在に形成され、前記二次通液ノズルに取り付けられた状態で変形して前記内栓部材を前記二次通液ノズル内に押圧でき、
前記内栓部材は、前記閉鎖部材の内側で前記二次通液ノズルに比較的浅く嵌め込まれた状態で、前記閉鎖部材の内側空間と前記ハウジング内の前記外周空間とを連通させ、前記閉鎖部材の内側で前記二次通液ノズルに比較的深く嵌め込まれた状態で、前記内側空間と前記外周空間とを不通にする通路を有していることを特徴とする、中空糸モジュール。
【請求項1】
中空糸膜束が長手方向に収容されたハウジングと、前記ハウジングの長手方向の両端に形成され、前記中空糸膜束内に通じる一次通液ノズルと、前記ハウジングの外周側面に形成され、前記ハウジング内の前記中空糸膜束の外周空間に通じる二次通液ノズルとを有する中空糸モジュールの密閉機構であって、
前記一次通液ノズルに嵌め込み可能で当該一次通液ノズルを閉栓可能な閉栓部材と、
前記二次通液ノズルに取り付け可能で当該二次通液ノズルを閉鎖可能な閉鎖部材と、
前記閉鎖部材の内側において、前記二次通液ノズルに嵌め込み可能で当該二次通液ノズルを閉栓可能な内栓部材と、を有し、
前記閉鎖部材は、変形自在に形成され、前記二次通液ノズルに取り付けられた状態で変形して前記内栓部材を前記二次通液ノズル内に押圧でき、
前記内栓部材は、前記閉鎖部材の内側で前記二次通液ノズルに比較的浅く嵌め込まれた状態で、前記閉鎖部材の内側空間と前記ハウジング内の前記外周空間とを連通させ、前記閉鎖部材の内側で前記二次通液ノズルに比較的深く嵌め込まれた状態で、前記内側空間と前記外周空間とを不通にする通路を有していることを特徴とする、中空糸モジュールの密閉機構。
【請求項2】
前記一次通液ノズルと前記二次通液ノズルは、前記ハウジングに接続された円筒部と、当該円筒部の先端に形成され前記円筒部の外径よりも大きな外径を有するフェルール部を有していることを特徴とする、請求項1に記載の中空糸モジュールの密閉機構。
【請求項3】
前記閉栓部材は、前記フェルール部の端面に密着可能な頭部と、前記円筒部内に嵌め込み可能な嵌め込み部とを有していることを特徴とする、請求項2に記載の中空糸モジュールの密閉機構。
【請求項4】
前記閉鎖部材は、前記二次通液ノズルから外側に膨出した膜状に形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれに記載の中空糸モジュールの密閉機構。
【請求項5】
前記内栓部材は、前記内側空間側に突出する凸状部を有していることを特徴とする、請求項1〜4のいずれに記載の中空糸モジュールの密閉機構。
【請求項6】
前記通路は、前記二次通液ノズルの内周面に接する前記内栓部材の外周面に、嵌め込み方向に沿った溝状に形成され、前記内栓部材の先端から、後端側の途中まで形成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれに記載の中空糸モジュールの密閉機構。
【請求項7】
前記二次通液ノズルの内周面に接する前記内栓部材の外周面には、当該外周面から外側に突出する環状の突条部が形成され、
前記突条部は、前記内栓部材の前記通路より後端側に形成されていることを特徴とする、請求項6に記載の中空糸モジュールの密閉機構。
【請求項8】
前記二次通液ノズルの内周面に接する前記内栓部材の外周面には、当該外周面から外側に突出する他の突条部が形成され、
前記他の突条部は、前記内栓部材の前記通路が形成されている区間に形成されていることを特徴とする、請求項7に記載の中空糸モジュールの密閉機構。
【請求項9】
中空糸膜束が長手方向に収容されたハウジングと、前記ハウジングの長手方向の両端に形成され、前記中空糸膜束内に通じる一次通液ノズルと、前記ハウジングの外周側面に形成され、前記ハウジング内の前記中空糸膜束の外周空間に通じる二次通液ノズルとを有する中空糸モジュールであって、
前記一次通液ノズルに嵌め込み可能で当該一次通液ノズルを閉栓可能な閉栓部材と、
前記二次通液ノズルに取り付け可能で当該二次通液ノズルを閉鎖可能な閉鎖部材と、
前記閉鎖部材の内側において、前記二次通液ノズルに嵌め込み可能で当該二次通液ノズルを閉栓可能な内栓部材と、を有し、
前記閉鎖部材は、変形自在に形成され、前記二次通液ノズルに取り付けられた状態で変形して前記内栓部材を前記二次通液ノズル内に押圧でき、
前記内栓部材は、前記閉鎖部材の内側で前記二次通液ノズルに比較的浅く嵌め込まれた状態で、前記閉鎖部材の内側空間と前記ハウジング内の前記外周空間とを連通させ、前記閉鎖部材の内側で前記二次通液ノズルに比較的深く嵌め込まれた状態で、前記内側空間と前記外周空間とを不通にする通路を有していることを特徴とする、中空糸モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−259992(P2010−259992A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112013(P2009−112013)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(507365204)旭化成メディカル株式会社 (65)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(507365204)旭化成メディカル株式会社 (65)
【Fターム(参考)】
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