説明

中空針を有する容器

【課題】薬剤を取り込みかつ放出するための容器、より正確には、薬剤の投与及び投与デバイスとの接続を各々容易にし、かつ比較的単純な構造である、関連の投与デバイスを備えた容器を提供すること。
【解決手段】薬剤、特に非経口的薬剤を取り込みかつ放出するための容器(1,1’,1”)であって、該容器(1,1’,1”)は、前記薬剤を放出するための開口(7)を除いて密封される一体式のケーシング(6,6’)を備え、前記容器(1,1’,1”)は、前記薬剤の放出が前記ケーシング(6,6’)の少なくとも一部分の変形により実行されるように設計され、前記容器は前記開口(7)の部分において中空針(9,10)を備えたことを特徴とする容器(1,1’,1”)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤を取り込みかつこれを投与デバイス内に放出するための容器、前記容器の製造及び使用及び関連の投与デバイスに関する。薬剤は、例えば非経口で投与されるべき薬剤であるが、内服薬または局所用薬剤であってもよい。本発明による容器は、ケーシングの構成に特に優位点がある。
【背景技術】
【0002】
薬剤の非経口的投与、即ち、ほ乳類の消化管を経由しない投与は、一般に注射または点滴によって行われる。「注射」という用語は、滅菌した薬液を注射器及び中空針により組織または血管系へ直接、胃腸管を通さずに投与することを意味するものとして理解される。点滴の場合、これは、比較的大量の(薬物を含有する)液体をゆっくりと、ほとんど滴として体内に流入させるものである。
【0003】
薬剤−例えば、非経口的に投与されるべき薬剤−は、一般に、準備された後に、1回分または複数回分の摂取量/用量を入れることのできる容器へ静かに移される。この容器は、一次パックと呼ばれる。
【0004】
一次パックとしては、特別なアンプル用鋸で開けなければならない、または開けるために予め決められた破断点が付いているガラス製アンプルが知られている。内容物は、このアンプルから、例えば注射器等の投与に適する容器へ移されなければならない。さらに、ほとんどの場合、アンプル内には残留液がなければならず、そうでなければ、注射器の充填の間に不都合な空気の吸引が発生する可能性がある。さらに、残留液を内部に含んでいるアンプルを後に密封することは、実際には不可能である。
【0005】
さらなる容器として、いわゆる穿孔可能なアンプル(バイアル)が技術上周知である。前記アンプルは、そのために示されているポイントで注射器により穿刺され、次に、当該容器内に保持されている液体が注射器に充填される。この容器に関連するこのプロセスは、アンプルを直に投与目的で使用することができず、内容物をアンプルから先に述べた注射器等の投与に適する容器に移さなければならないことから、極めて複雑である。アンプルの開封または穿孔及びこれに続いて必要な投与に適する容器への移動は、例えば、時間的制約のある状況で投与を実行しなければならない緊急な状況では不利であることが分かっている。
【0006】
現在では、クリップで留められた、または接着された投与のためのカニューレを備える注射器への直接的な移し替えも行われている。注射器容器内に可動式に支持されるプランジャに圧力がかかると、液体はその注射器容器からカニューレを介して投与場所内へ注入される。この注射器には、その多部品構造を理由に比較的高価であるという欠点がある。比較的長い保管期間の後も動作上の機能を保つ目的で、プランジャ及び注射器容器は、例えばシリコーンでコーティングされている。従って、薬剤の効用とは全く関係のない物質や、例えば、高いpH値を有する薬剤の場合のように、悪影響を及ぼす可能性さえある物質が、前記薬剤と共に保管されかつ投与される。
【0007】
一般に、アンプル、バイアルまたは直ぐに使える注射器へ、かつ点滴ボトルまたは点滴袋へも移される非経口薬剤と共に、非経口でなく投与される薬剤もまた、例えば、投与の前に水と混合しなければならないためにアンプルまたはバイアルに保管される。
【0008】
米国特許第4926915号明細書によると、押出しチューブ形の容器が既知である。当該特許に開示されている押出しチューブは、アンプルまたは穿孔可能なアンプルを単純化したものであり、注射器を直接取り付けて充填することができる。押出しチューブとの接続手段として、内側の1点へ向けて円錐形に先細るテーパ状の表面が提案されている。
【0009】
英国特許第800455号明細書は、内容物の相反的放出をもたらすような2つの押出しチューブの接続を開示している。投与デバイスとの接続は、提示されていない。
【0010】
米国特許第4926915号明細書は、とりわけ、アンプルとの接続のためのルアー・
カップリングを備える押出しチューブ形の容器を開示している。投与デバイスとの接続は、やはり提示されていない。
【0011】
米国特許出願公開第2003/0010795号明細書には、液体のトリガされた放出が独立して継続されるように構成された容器が示されている。
【0012】
米国特許第4328912号明細書は、特有のバルブ設計により液体の放出を独立して行うことのできる押出し容器を開示している。
【0013】
米国特許出願公開第2003/0015605号明細書は、液体が充填された容器を開示しており、当該明細書によると、液体の放出は、圧力の影響下で、初期抵抗が克服された後にのみ突如としてトリガされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述の欠点に鑑みて、本発明の目的は、薬剤を取り込みかつ放出するための容器、より正確には、薬剤の投与及び投与デバイスとの接続を各々容易にし、かつ比較的単純な構造である、関連の投与デバイスを備えた容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的は、請求項1に記載される容器によって達成される。効果的な構成は、その従属請求項から明らかとなるであろう。効果的な製造プロセス及び効果的な使用は、関連の独立請求項の主題である。
【0016】
本発明による、薬剤を受け入れかつ放出するための容器は、薬剤を放出するための開口を除いて密封される一体式のケーシングを装備している。本容器はさらに、薬剤の開口からの放出が、ケーシング全体の、またはケーシングの一部分の変形により実行されるように構成される。薬剤は、例えば、溶液または他の液体内に存在しており、それらの粘度は変更可能に選択されうる。例えば、それは、非経口的、経口的または局所的に投与されるべき薬剤かによる。
【0017】
本発明によれば、ケーシングの変形は薬剤の放出に関連づけられる。例えば、材質の選定を理由に、また特に、ケーシングの容積が比較的大きい場合には、ケーシングは潰れるように構成される。これは、毛管力により、および/または重力の影響により薬剤が放出される時点で容器内に部分的な真空が形成されることを理由に、ケーシングの少なくとも部分的な圧潰及び必然的にケーシングの変形が発生することを意味する。
【0018】
「一体性」の概念は、ケーシングが多部品構造ではない、というように理解される。ケーシングは、例えば1つの材料で、または幾つかの材料で製造され、および/または異なる部分で異なる組成を備える。プランジャ・デバイスの場合のような多部品構造と比較すると、ケーシングの一体性はデバイスの安価な製造を保証する。さらに、投与は、特に簡単、無菌、高速かつ失敗しにくい方法で行われる。一体性のために、製品の接触部品または材料の数は、例えば可動プランジャを有する構造設計と比較すると低減され、よって、薬剤との適合性は有利に、また比較的簡便に確保され得る。
【0019】
本発明による容器は、さらに、開口部分に中空針を含む。ある実施形態では、中空針は、投与デバイスへ、または薬液用容器への接続のための手段として作用する。中空針により、この接続を迅速かつ確実に行うことができる。投与デバイスが、針によって液体を通す接続を確立されるものである場合、問題は、例えば、容器の内容物を投与デバイスへ空けるための中空針により穿刺される膜または金属の薄片を備える点滴または注射のための手段にある。
【0020】
本発明によるデバイスの効果的な構成においては、問題は、薬剤をその開口から患者へ投与する働きをする投与デバイス、換言すれば、点滴または注射の針またはカニューレにある。移送及び貯蔵に使用される容器が同時に薬剤投与のためにも使用されれば、移送用容器から投与のための容器へ移すプロセスは効果的に省かれる。
【0021】
ある構成においては、中空針は、例えば注射による直接的投与の代わりをする。注射は、投与の場所に依存して、皮内、皮下、筋肉内、静脈内、動脈内、心臓内、関節内、髄腔
内または腰部内に実行される。ある実施形態では、中空針は、例えば医療用の特殊鋼などの金属から製造され、人または動物への注射または点滴用の針として使用するために、鋭利にされる。
【0022】
ある実施形態によれば、中空針は、ケーシングの開口部分に挿入または接着される。
【0023】
他の効果的な実施形態によれば、ケーシングは中空針と一体式に製造される。これにより、本容器を特に安価に製造することができる。その結果、有利な点として薬剤放出の間に他の材料は薬剤に接触することがない。貯蔵及び放出の間、薬剤に接触する材料または材料組成物は1つに限られる。このようにして、容器の材料との接触が、容器に含まれる薬剤に対して、例えばpH値を変化させるような悪影響を与えないことを非常に簡単に保証することができる。さらに、この場合は、本容器を非常に簡単に、費用効果的に、かつ迅速に製造することができ、製造技術の観点から有効である。
【0024】
本発明による容器の他の有効な構成においては、本容器は、薬剤の放出がケーシングの少なくとも1つの外側部分に対する圧力によって達成される、または少なくともトリガされるように構成される。例えば、ケーシングは、薬剤の放出がケーシングの外側の関連部分への親指による圧力によってもたらされるように設計される。その結果、例えば可変性の高い粘性を有する液体状で存在する薬剤の、非常に再現性の良い一回分の放出が可能になる。例えば、注射に必要な注入圧力は、ケーシングに作用する圧力によって生成されるが、結果的に、例えばポンプのような圧力生成用の追加的手段を用いずに済ますことができる点で有効である。例えば、本容器が管状構造であり、管状のケーシングに対する押圧により容積が減少する。この容積の減少が、容器内に入っている薬剤の容器からの移動をもたらし、逸脱、さらには開口を介する放出をもたらす。選択されるケーシングの硬度に依存して、加わる圧力の特性は効果的に変えられてもよい。
【0025】
他の有効な実施形態では、本容器は、圧力により放出がトリガされた後、薬剤の放出が独立して継続されるように構成される。例えば、これは、ある外側の曲がりが発生すると、比較的硬い弾性のあるケーシング・セグメントが、ジャンピング・ジャックの原理に従って、ばねのようにその反対側に向かって容器の内部を目指してジャンプし、このようにして、前記ケーシング・セグメントのばね特性により正確に定められた量の薬剤を放出するという構成によって達成される。これにより、一方では独立した放出が達成され、他方では適量の放出が達成される。
【0026】
他の有効な実施形態によれば、本容器は押出しチューブ形のケーシングを備える。本発明における「押出しチューブ形」とは、実質上ヒートシールの結果、容器が開口の反対側に位置するその端の1点へと先細るテーパ状のものとして理解されるべきである。このタイプの構成により、容器からの非常に容易な排出、故に薬剤の放出が達成される。例えば、押出しチューブを先細の端から軽擦運動により、特に薬剤が水溶液に比較して高い粘性を示す場合には、特に効果的な、即ち、迅速かつ残留がほとんどない容器からの排出を達成することができる。押出しチューブは、例えば、各例で使用されている材料に依存して、一方の端が平らなヒートシールまたは畳み込みにより密封されるチューブによって製造される。ある構成では、ヒートシールまたは畳み込みの前に行われる押出しチューブ形容器の内部へのアクセスが、効果的に薬剤充填のための供給オプションとしてさらに機能し、前記薬剤は最終的に容器に入れられ、本発明に従って提供される開口を介して任意に放出される。
【0027】
他の有効な実施形態によれば、中空針を容器へ着脱可能に接続するために接続手段が用いられる。このように着脱可能にすることにより、容器が投与デバイスから取り外されることを可能にし、例えば、充填済みの新しい容器を迅速に取り付けることができる。着脱可能な接続を目的として、例えば、容器上に雄ねじを装備した延設部が設けられ、該延設部には開口が同心的に配置される。中空針は、例えば、前記延設部と相互に作用して、これを受け入れる凹部を有する。凹部内に設けられ、雄ねじと相互に作用する雌ねじにより、容器と中空針との間には、着脱可能であると同時に液密の接続が達成される。容器と中空針の接続の前記構成による着脱可能性は、容器を充填済み容器に容易に交換できることを保証し、その結果として、投与の柔軟性及び迅速性、それ故使用者の使いやすさがより一層改善される。
【0028】
他の有効な実施形態では、開口を投与デバイスへ接続するための手段が、接続の偶発的な緩みを防止するためのロック手段を含む。例えば、ねじデバイスには、ラッチ式のばねエレメントによってねじ接続をねじ込まれた状態で追加的に固定するラッチ機能が装備される。緩みは、ラッチに関連づけられるこのばねの作用が打ち負かされた場合にのみ生じる。接続の偶発的な緩みは、このようにしてほとんど防止される。
【0029】
本発明の容器の他の有効な実施形態によれば、着脱可能な接続のための手段は、2つの互いに相補的な円錐形表面を備える。その結果、単純であると同時に十分に密な接続が達成される。本容器は、好適には、開口へと円錐状に先細るテーパ形状の外面を有する延設部を備える。
【0030】
一実施形態によれば、前記延設部はルアー・カップリング(ルアー・コーン、またはルアー・ロック)である。いわゆるルアー・カップリングは、ISO 594/1に定義されている。一般に、これは雄と呼ばれるカップリングである。このようなカップリングを容器上へ備えることにより、薬剤投与の間の幾つかの動作ステップがなくされる。
【0031】
他の有効な構成によれば、接続手段は、少なくとも部分的に容器と一体式に形成される。これにより、本容器を特に簡単に、費用効果的に、かつ迅速に製造することができ、製造技術の観点から有効である。
【0032】
一体性は、例えば、単一の製造ステップ、または次のようにして達成される。最初の製造ステップで2つの部分が製造され、続いてこれらが互いにヒートシールされるか接合される。次に、デカンタに一体部分が設けられ、これに薬剤を充填する。既存の射出成形を利用するのであれば、実際の容器を形成するプラスチック・ホースまたはラミネート・ホースが接続手段を有するヘッド部分へヒートシールされる製造プロセスの場合、或いは接続手段が特に複雑である場合に、2つの部分を接合するのが効果的である。
【0033】
他の有効な構成では、本容器の容積は5mL未満である。押出しチューブである容器は、単に親指で1回圧力をかけるだけで内容物が効率的かつ均一に排出され得ることから、5mL未満の容積が特に有効であることが分かっている。その結果として、容器の取り扱い、ひいては薬剤の投与が極めて簡便かつ効率的であることが明らかになっている。
【0034】
他の有効な実施形態では、本容器は合成材料から成り、特に、ポリプロピレン、LDPEのようなPEまたはPETから成る。また、PVC、PVF等も使用可能である。現在は、薬剤用に有効に使用できる新しいヒートシール可能な合成材料も開発されつつある。本発明による合成材料の選択は、本発明による容器の生産可能性が保証される範囲に限定される。その結果、本容器は安価に製造さすることが可能である。さらに、ヒートシール及び溶融温度が比較的低いことにより、移し替えが行われた後の容器の密封を、特に薬剤に害を与えることなく実行することができる。さらに、このようにして、バッチ情報及び/または使用期限情報を容器の外面に簡単に刻印することができる。従って、これらの銘刻文字は長寿命である。
【0035】
他の有効な実施形態では、本容器はラミネートから成る。その結果、適合性に関してオプションがさらに存在する。例えば、容器のジャケットに、それ自体は製品へ接触しないが高められた酸素バリアを構成するアルミ箔が挿入されてもよく、このようにして、製品の安定性に良い影響が与えられる。さらに、ジャケットには、それ自体もやはりバリア機能を有する場合のある予めプリントされたラベルが挿入されてもよい(金型内ラベリング)。これにより、ラベルの取り付けが省かれ、拡散により製品内に進入する可能性のある接着剤が不要になる。
【0036】
他の有効な実施形態によれば、本容器は少なくとも部分的に透明であるように設計される。その結果、内容物の充填レベルまたは排出を効果的に監視することができる。
【0037】
他の有効な実施形態によれば、本容器はコーティングされる。例えば、ケーシングの薬剤に接触している内面は、酸化珪素のような化学的に中性であるコーティングで被覆される。これにより、この点に関しては、容器がガラスに付随する不利益、例えばガラス製アンプルの開封時及び処分時に負傷する危険性等、を伴なうことなくガラスのような特性を達成することが、コーティングを理由として、保証される。
【0038】
他の有効な実施形態では、本容器のケーシングは少なくとも部分的に弾性があるように設計される。これにより、ケーシング上の圧力が除かれると、それはそのもとの形状を回復することができ、容器は、例えば連続して実行される幾つかの類似動作において、断続的に排出されることが保証される。その結果、内容物の排出を特に簡便に実行することができる。
【0039】
他の実施形態によれば、接続のための手段はさらにそのためのシールと相互に作用してもよく、よって、例えば導入部で説明したアンプルとは対照的に、本発明による容器の特に容易な密封が達成される。前記シールは、例えば、先に述べた中空針へねじ固定される、または嵌合固定される別途プラスチック射出成形された部分である。別の実施形態では、シールは、容器に入れられる薬剤を汚染から守るためにケーシングへ一体式に接続され、かつ容器と共に1つの工程ステップで製造される。これにより、シールされた容器を簡便かつ費用効果的に製造することができる。密封手段には、例えば、ねじまたは差込み式キャップ、及びケーシング上へヒートシールされ、予め決められた破断点を備えるセグメントが含まれる。
【0040】
本容器を製造するための本発明によるプロセスは、本容器が、プラスチック射出成形ステップ、プラスチック射出ブロー成形ステップまたはプラスチック押出ブロー成形ステップで製造されるステップを備える。その結果、本容器を、任意選択としてシール及び/または投与デバイスとの着脱可能な接続のための手段と共に安価に製造することができる。別の製造プロセスでは、ジャケットとヘッド部分が別々に製造され、互いにヒートシールされる。さらに、デカンタ及びユーザにとって有利な一体性は、既にメーカにより組み立てられて(例えば、突き合わされた上でヒートシールされて)1つに形成されている場合を除き、メーカにより別々に製造される2つの部分によって達成されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1a及び1bは、本発明による容器の例示的な実施形態を示す。
【0042】
図2a及び2bは、ケーシングの部分自体が押出し式に構成される、本発明による容器の一形態を示す。
【0043】
図1aは、押出しチューブ形の一体式ケーシング6を備える、本発明による容器1の第1の実施形態を示す。薬剤(一般に、非経口的薬剤)を含む液体(図示せず)は、ケーシング6内に含まれる。(一般に、非経口的な)薬剤、またはより正確に言えば液体は、例えば指によりケーシング6の1の部分にかけられる圧力によって容器1から開口4を介して放出される。ケーシング6は、開口4の反対側に位置する平らに延設されるヒートシール2によって気密式及び液密式に密封され、その結果、押出しチューブの形状が形成される。容器の開口4の図示されていない投与デバイスへの接続手段は、ケーシング上へ形成される円錐形の延設部5を含む。図1aに示す前記延設部の輪郭は、延設部が、同じく接続手段の一部である雌ねじの付いたスリーブ3によって部分的に包囲されることから、点線で示されている。前記円錐形の延設部にはスリーブが備わっていない場合もあり、結果的にいわゆる雄ルアー・カップリングを形成する。スリーブに雌ねじが装備されていれば、いわゆるルアーロック・カップリングに相当する構造体が形成される。接続手段の一部として円錐形に延設される延設部3は、それと相補的な接続エレメントとの接続により、投与デバイス(本図には示されていない)としての点滴針または注射針のために作用し、前記デバイスを、一方では液体を通すように、他方では密封かつ着脱可能に接続する。
【0044】
開口4は、例えば、予め決められた破断点を有する出口で密封され、この接続部には、任意形状の破断用補助具7が射出成形により、または例えば尖った物体で穿刺され得る直接的に成形された金属の薄片または膜と共に取り付けられる。
【0045】
図1bは、本発明による押出しチューブ形容器の他の実施形態1’を示す。この容器と実施形態1との相違点は、とりわけ、ケーシング開口部における設計にある。さらに、容器と投与デバイスとの接続に役立つ、換言すれば、前記容器から例えば点滴バック内へ導入に役立つ本発明による中空針9が示されている。前記中空針は、ケーシングと一体式に形成される。
【0046】
図2a及び2bは、本発明による容器の他の実施形態1”を示す。前記容器は、薬剤の放出時にジャンピング・ジャックの原理を利用するケーシング6’を装備している。図2bは、ケーシング6’の断面を示す。本図に示すケーシングの上半分は、初期の外圧後に所定の曲り以上に曲げられると弾性的に内側へジャンプし、この内側へ向いたばね作用がケーシング6’内に保持される薬剤に対して押し退け効果を発生させ、結果的に薬剤は開口を介して放出される。予め決められたばね作用により、ケーシング6’にかかる最初のトリガ圧力の後に、再現可能に独立して放出がなされる。従って、常に同量の液体が排出される。断面を見ると、ケーシングの上半分は加圧後にもう一方の半分に契合し、よってもはやそのもとの形状に跳ね返ることができない点は明らかである。
【0047】
図3は、図1に示す実施形態を関連の点滴針または注射針10と共に示したものである。点滴針または注射針10へ接合される接続手段12は、容器1の接続手段の外面5と相補的であるように1点へ向けて内側へ円錐状に先細るテーパ形状の内面を備える。接続手段5、12の2つの表面の接合により、容器1と針10との間には着脱可能な接続が確立される。この接続は、ケーシングの雌ねじ3と前記針の接続部11に備わる雄ねじ12とのねじ接続によってさらに堅固にされる。
【0048】
図4は、図1bの容器1’の使用法を示す。中空針9は、点滴袋または点滴ボトル14との接続に役立ち、これにより、点滴袋または点滴ボトル14の金属の薄片または膜13が穿刺され、容器1’内に保持される薬剤が袋またはボトル14内へ導入される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明による容器の例示的な実施形態を示す。
【図2】ケーシングの部分自体が押出し式に構成される、本発明による容器の一形態を示す。
【図3】図1に示す実施形態を関連の点滴針または注射針10と共に示したものである。
【図4】図1bの容器1’の使用法を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤、特に非経口的薬剤を取り込みかつ放出するための容器(1,1’,1”)であって、該容器(1,1’,1”)は、前記薬剤を放出するための開口(7)を除いて密封される一体式のケーシング(6,6’)を備え、前記容器(1,1’,1”)は、前記薬剤の放出が前記ケーシング(6,6’)の少なくとも一部分の変形により実行されるように設計され、前記容器は前記開口(7)の部分において中空針(9,10)を備えたことを特徴とする容器(1,1’,1”)。
【請求項2】
前記中空針(9)は前記ケーシング(6,6’)と一体式に製造される、先行する請求項記載の容器。
【請求項3】
前記針は、投与デバイスとしての点滴針または注射針(10)である、先行する請求項のうちの何れかに記載の容器。
【請求項4】
前記容器(1,1’,1”)は、前記薬剤の放出が前記ケーシング(6)の少なくとも外側の一部分にかかる圧力によって達成されるように、または少なくともトリガされるように構成される、先行する請求項のうちの何れかに記載の容器(1,1’,1”)。
【請求項5】
前記容器(1,1’,1”)は、前記薬剤放出のトリガの後、前記薬剤の放出が独立して継続されるように構成される、先行する請求項記載の容器(1,1’,1”)。
【請求項6】
前記容器(1,1’,1”)は、押出しチューブ形のケーシング(6,6’)を備える、先行する請求項のうちの何れかに記載の容器(1,1’,1”)。
【請求項7】
前記中空針を前記容器または前記ケーシングへ着脱可能に接続するための制御手段(3,5,11,12)を備える、先行する任意の請求項記載の容器(1,1’,1”)。
【請求項8】
前記中空針(10)を前記容器(1,1’,1”)へ着脱可能式に接続するために、前記制御手段(3,5,11,12)は2つの互いに相補的な円錐形状の表面を有する、先行する請求項記載の容器(1,1’,1”)。
【請求項9】
前記中空針(10)を前記容器へ着脱可能式に接続するために、前記制御手段(3,5,11,12)は偶発的な緩みを防止するためのロック手段(3,12)を含む、先行する2請求項のうちの何れかに記載の容器(1,1’,1”)。
【請求項10】
前記容器(1,1’,1”)の容積は5mL未満である、先行する請求項のうちの何れかに記載の容器(1,1’,1”)。
【請求項11】
前記容器(1,1’,1”)は合成物質から成り、特に、ポリプロピレン、LDPEのようなPEまたはPETから成る、先行する請求項のうちの何れかに記載の容器(1,1’,1”)。
【請求項12】
前記容器(1,1’,1”)はラミネート状である、先行する請求項のうちの何れかに記載の容器(1,1’,1”)。
【請求項13】
前記容器(1,1’,1”)は少なくとも部分的に透明であるように設計される、先行する請求項のうちの何れかに記載の容器(1,1’,1”)。
【請求項14】
前記容器(1,1’,1”)は部分的にコーティングされる、先行する請求項のうちの何れかに記載の容器(1,1’,1”)。
【請求項15】
前記容器(1,1’,1”)の前記ケーシング(6,6’)は少なくとも部分的に弾性があるように設計される、先行する請求項のうちの何れかに記載の容器(1,1’,1”)。
【請求項16】
先行する請求項1〜14の何れかに記載の容器(1,1’,1”)を製造するためのプロセスであって、射出成形ステップ、射出ブロー成形ステップまたは押出ブロー成形ステップを含むプロセス。
【請求項17】
薬剤の点滴または注射を目的とする、先行する請求項1〜15の何れかに記載の容器の使用法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−177588(P2011−177588A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138404(P2011−138404)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【分割の表示】特願2008−512810(P2008−512810)の分割
【原出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(507268503)ビフォー(インターナショナル)エージー (3)
【Fターム(参考)】