説明

中継コネクター

【課題】被検査側コネクタ38の端子38aにプローブ54を当接させる中継コネクターを提供する。
【解決手段】ピンブロック24に対してフローティングガイド26を接近分離自在で分離方向に弾性付勢して配設する。フローティングガイド26に被検査側コネクタ38をピンブロック24側に向けて嵌合挿入して位置決めするガイド孔26bを穿設する。ガイド孔26bに嵌合挿入された被検査側コネクタ38の端子38aに臨んで、ピンブロック24にフローティングガイド26の接近分離方向を軸方向としてプローブ54を配設する。ガイド孔26bに被検査側コネクタ38の嵌合挿入を許容する開口状態とガイド孔26bに嵌合挿入された被検査側コネクタ38をピンブロック24側に押圧した押圧状態とに操作される押圧操作部材14を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査のために、電子部品等の被検査基板に配設された被検査側コネクタを、測定器等に電気的接続するために用いる中継コネクターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機やデジタルカメラのごとく小型の電子機器にあっては、小さなスペースに多くの電子回路を搭載するために、複数枚の基板が重ねられるように配設され、これらの基板間がそれぞれに配設されたコネクタを介して電気的接続されるものがある。そこで、基板とそれに配設されたコネクタを検査するには、コネクタに測定器等を適宜に電気的接続すれば良い。ここで、被検査基板と被検査側コネクタの全体を検査するためには、被検査側コネクタに対となる治具側のコネクタを嵌合させて測定器に電気的接続することが望ましい。しかるに、被検査側および治具側のいずれのコネクタにあっても、嵌合引き抜き耐久回数は50回程度と比較的に少ない。そこで、治具側コネクタを検査回数が耐久回数に達する毎に交換しなければならない。この治具側コネクタが治具側基板に半田付けにより固定されていてその治具側基板に測定器等に接続される多数本の配線ケーブルが半田付けされているとすると、治具側コネクタのみを簡単に交換することができない。そこで、治具側コネクタと治具側基板および配線ケーブルの全体を交換せざるを得ない。すると、測定検査のコストが大きくなるという不具合が生ずる。
【0003】
そこで、本発明の出願人は、既に特開2004−273192号公報に示されるごとき技術を提案して、交換する部分を少なくすることで、測定検査のコストを小さなものとした。この先に提案した技術は、被検査側コネクタに対となる治具側コネクタを絶縁中継基板に配設し、この絶縁中継基板を絶縁材からなるプローブユニットに着脱自在に配設する。このプローブユニットには、プローブが配設されている。そして、治具側コネクタの端子が絶縁中継基板に設けられた端子に電気的接続され、この絶縁中継基板の端子にプローブユニットのプローブが当接して電気的接続される。なお、プローブユニットに設けられたプローブの他端は、測定器等に接続される多数本の配線ケーブルに適宜に電気的接続される。もって、被検査側コネクタが、治具側コネクタと絶縁中継基板とプローブおよび配線ケーブルを介して測定器等に電気的接続される。そこで、治具側コネクタの検査使用回数が耐久回数に達すると、この治具側コネクタと絶縁中継基板を交換すれば良く、交換する部分が少ない分だけ、測定検査のコストを少なくできる。
【特許文献1】特開2004−273192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特開2004−273192号公報で提案した技術にあっては、治具側コネクタと絶縁中継基板のみを交換すれば良く、従前に比べて、測定検査のコストを少なくできるが、必ずしも十分に満足できるものでない。そこで、発明者らは、被検査側コネクタの端子にプローブを直接に当接させ、治具側コネクタと絶縁中継基板の交換が不要であり、当接させるプローブが破損したらそのプローブのみを交換するようにした構造とすることで、より測定検査のコストを少なくできると考えた。
【0005】
本発明は、かかる考えに基づいてなされたもので、被検査側コネクタにプローブを当接させる中継コネクターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、本発明の中継コネクターは、被検査基板に配設された被検査側コネクタの端子にプローブを当接させて測定器に電気的接続させるための中継コネクターであって、絶縁材からなるピンブロックに対して絶縁材からなるフローティングガイドを接近分離自在でしかも分離方向に弾性付勢して配設し、前記フローティングガイドに前記被検査側コネクタを前記ピンブロック側に向けて嵌合挿入して位置決めするガイド孔を穿設し、このガイド孔に嵌合挿入された前記被検査側コネクタの端子に臨んで前記ピンブロックに前記フローティングガイドの接近分離方向を軸方向としてプローブを配設し、前記フローティングガイドの前記ガイド孔に前記被検査側コネクタの嵌合挿入を許容する開口状態と前記フローティングガイドに嵌合挿入された前記被検査側コネクタを前記ピンブロック側に押圧した押圧状態とに操作される押圧操作部材を設けて構成されている。
【0007】
そして、前記押圧操作部材に係合突起を設けるとともに前記フローティングガイドに係合受け部を設け、前記押圧操作部材の開口状態で前記係合突起が前記係合受け部と係合して、前記フローティングガイドが前記ピンブロック側に移動するのを規制するように構成しても良い。
【0008】
また、前記押圧操作部材を、前記ガイド孔に嵌合挿入された前記被検査側コネクタの前記ピンブロック側に臨む面と平行な面に配設した揺動軸によって前記開口状態と前記押圧状態に揺動自在に配設するとともに、前記被検査側コネクタを押圧する先端側に前記揺動軸と平行な第2の揺動軸で押圧ブロックを揺動自在に配設して構成することもできる。
【0009】
さらに、両端に膨大部を有するフローティングピンを、前記フローティングガイドと前記ピンブロックに前記フローティングガイドの接近分離方向に貫通配設して、前記両端の膨大部により前記フローティングガイドが前記ピンブロックから分離方向に移動できる距離を規制し、前記フローティングピンにフロートバネを遊嵌させるとともに前記フローティングガイドと前記ピンブロックの間に縮設して構成しても良い。
【0010】
そしてまた、前記フローティングピンがその一端側に螺合する調整ネジにより前記分離方向に移動できる距離を調整するようにし、前記調整ネジに臨んで前記押圧操作部材に調整用孔を穿設して、外部から前記調整ネジを調整できるように構成することも可能である。
【0011】
そしてさらに、前記被検査側コネクタを前記ピンブロック側に向けて前記ガイド孔に嵌合挿入する前記フローティングガイドの基板搭載面には、前記被検査基板よりも大きな平面が形成されていて、前記被検査側コネクタを前記ガイド孔に嵌合挿入した状態で前記被検査基板が何ら位置の規制がされないように構成しても良い。
【0012】
またさらに、揺動自在の前記押圧操作部材を前記開口状態側への揺動を規制する規制部を設け、前記規制部で前記押圧操作部材が規制されている状態で、前記係合突起が前記係合受け部に係合するように構成しても良い。
【0013】
また、本発明の中継コネクターは、被検査基板に配設された被検査側コネクタの端子にプローブを当接させて測定器に電気的接続させるための中継コネクターであって、絶縁材からなるベース部材に対して絶縁材からなるフローティングガイドを当接分離自在に配設し、前記ベース部材と前記フローティングガイドの間に前記被検査基板を挿入した状態で前記フローティングガイドに前記被検査側コネクタを嵌合挿入して位置決めするガイド孔を穿設し、前記ベース部材に前記フローティングガイドを挟んでしかも前記フローティングガイド側が接近分離自在となるように押圧操作部材を配設し、前記押圧操作部材に前記フローティングガイドに臨んで絶縁材からなるピンブロックを配設し、前記フローティングガイドに前記ピンブロックを当接させた状態で前記ガイド孔に嵌合挿入した前記被検査側コネクタの端子に当接するように前記ピンブロックにプローブを配設し、前記ピンブロックを前記フローティングガイドから分離する方向の前記押圧操作部材の操作に連動して前記フローティングガイドが前記ベース部材から分離するようにし、前記ベース部材と前記フローティングガイドの間に前記被検査基板の挿入を許容する開口状態と前記フローティングガイドの前記ガイド孔に嵌合挿入された前記被検査側コネクタ側に前記ピンブロックを押圧した押圧状態とに前記押圧操作部材を操作するように構成しても良い。
【0014】
そして、前記フローティングガイドの前記ガイド孔に臨んで、前記ベース部材に設けた基板搭載面に、前記被検査基板の挿入側の先端部分の形状を備えた基板位置決め凹部を縁部から設けて、前記基板位置決め凹部により前記被検査基板の挿入寸法および側方へのずれを規制して前記被検査基板を位置決めするように構成することもできる。
【0015】
また、前記フローティングガイドが、前記ベース部材に設けられたリニアガイドに案内されて、前記ベース部材の前記基板搭載面に対して垂直方向に当接分離するように構成することもできる。
【0016】
さらに、前記押圧操作部材を前記ベース部材に対して前記フローティングガイド側が接近分離するように揺動自在に配設するとともに、前記押圧操作部材の前記フローティングガイド側が接近する方向に弾性付勢するように前記押圧操作部材と前記ベース部材の間に押圧バネを縮設して構成することもできる。
【0017】
また、前記押圧操作部材を前記ベース部材に対して前記フローティングガイド側が接近分離するように揺動自在に配設するとともに、前記ベース部材に対してレバー部材を前記押圧操作部材の揺動軸と平行な揺動軸で揺動自在に配設するとともに、前記レバー部材の一端部を前記フローティングガイドに係合させ、他端部が前記押圧操作部材の操作によって押圧されて、前記押圧操作部材の前記フローティングガイド側が前記ベース部材から分離方向に揺動するのに伴って前記フローティングガイドが前記ベース部材から分離方向に揺動して前記開口状態となるように構成することもできる。
【0018】
そしてさらに、前記フローティングガイドに穿設された前記ガイド孔の深さを、前記被検査側コネクタの高さと一致するように構成することもできる。
【0019】
そしてさらに、前記フローティングガイドの前記ピンブロック側の面に凹部を設け、前記ピンブロックの前記フローティングガイド側の面に前記凹部に嵌合する凸部を形成して、前記凹部と前記凸部の係合により、前記フローティングガイドと前記ピンブロックを相対的に位置決めするように構成することもできる。
【0020】
そしてさらに、前記押圧操作部材の前記フローティングガイド側の先端外側部を、面取り状の斜めの面に形成して構成することもできる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1記載の中継コネクターにあっては、押圧操作部材の開口状態で、弾性付勢されてピンブロックから分離しているフローティングガイドのガイド孔に、被検査側コネクタをピンブロック側に向けて嵌合挿入して位置決めし、かかる状態において、押圧操作部材によりフローティングガイドと被検査側コネクタをピンブロック側に押圧した押圧状態に操作するので、被検査側コネクタをガイド孔に嵌合挿入して位置決めする際には、被検査側コネクタが不適切な姿勢でプローブに当接するようなことがなく、プローブに被検査側コネクタが当接した状態で相対的に横にずれるような力が作用することがなく、プローブまたは被検査側コネクタを破損させるようなことがない。
【0022】
そして、請求項2記載の中継コネクターにあっては、押圧操作部材に係合突起を設けるとともにフローティングガイドに係合受け部を設け、押圧操作部材の開口状態で係合突起と係合受け部が係合するようにして、フローティングガイドがピンブロック側に移動するのを規制するので、フローティングガイドのガイド孔に被検査側コネクタを嵌合挿入させる際に、フローティングガイドにピンブロック側に向けた力が作用してもフローティングガイドが移動せず、正しく位置決めされていない状態の被検査側コネクタがプローブに当接することがなく、プローブまたは被検査側コネクタを破損させるようなことがない。
【0023】
また、請求項3記載の中継コネクターにあっては、押圧操作部材を揺動軸によって開口状態と押圧状態に揺動自在に配設するので、押圧操作部材を配設する構造が簡単である。しかも、被検査側コネクタを押圧する先端側に揺動軸と平行な第2の揺動軸で押圧ブロックを揺動自在に配設したので、フローティングガイドをピンブロック側に接近方向に正しく押圧することができる。
【0024】
さらに、請求項4記載の中継コネクターにあっては、両端に膨大部を有するフローティングピンにより、フローティングガイドがピンブロックから分離方向に移動できる距離が規制される。しかも、フロートバネにより分離方向に弾性付勢され、押圧操作部材の開口状態で、フローティングガイドをピンブロックから分離した状態とすることができる。
【0025】
そしてまた、請求項5記載の中継コネクターにあっては、フローティングピンがその一端側に螺合する調整ネジにより分離方向に移動できる距離を調整するので、フローティングガイドがピンブロックから分離し得る距離を任意に設定できる。しかも、調整ネジに臨んで押圧操作部材に調整用孔を穿設しているので、使用中に、調整ネジが緩んでも外部から簡単に再調整できる。
【0026】
そしてさらに、請求項6記載の中継コネクターにあっては、被検査側コネクタをピンブロック側に向けてガイド孔に嵌合挿入するフローティングガイドの基板搭載面には、被検査基板よりも大きな平面が形成されていて、被検査側コネクタをガイド孔に嵌合挿入した状態で被検査基板が何ら位置の規制がされないようにしたので、被検査側コネクタが被検査基板に対して位置がずれて実装されていても、被検査側コネクタを被検査基板に対して側方にずらすような力がどこからも作用せず、検査には何ら不具合を生じさせない。
【0027】
またさらに、請求項7記載の中継コネクターにあっては、揺動自在の押圧操作部材を開口状態側への揺動を規制する規制部を設け、規制部で押圧操作部材が規制されている状態で、係合突起が係合受け部に係合するようにしているので、押圧操作部材が開口状態に規制されると、係合突起が係合受け部に係合して、フローティングガイドがピンブロック側に移動するのが確実に規制される。
【0028】
また、請求項8記載の中継コネクターにあっては、ベース部材とフローティングガイドの間に被検査基板を挿入した状態で、フローティングガイドに穿設したガイド孔に被検査側コネクタを嵌合挿入して位置決めし、フローティングガイドにピンブロックを当接させて、ガイド孔に嵌合挿入した被検査側コネクタの端子にプローブを当接させるようにしたので、ベース部材が下側に配設されるならば、被検査側コネクタを被検査基板の上側に配設した状態で検査することができる。
【0029】
そして、請求項9記載の中継コネクターにあっては、フローティングガイドのガイド孔に臨んで、ベース部材の基板搭載面に、被検査基板の挿入側の先端部分の形状を備えた基板位置決め凹部を縁部から設けたので、基板位置決め凹部により被検査基板の挿入寸法および側方へのずれが規制され、被検査基板が位置決めされる。もって、被検査基板に配設された被検査側コネクタが、フローティングガイドに穿設されたガイド孔に対して相対的な位置決めがなされる。
【0030】
また、請求項10記載の中継コネクターにあっては、フローティングガイドが、ベース部材に設けられたリニアシャフトに案内されて、ベース部材の前記基板搭載面に対して垂直方向に当接分離するので、フローティングガイドに穿設されたガイド孔に被検査側コネクタが挿入される際に、被検査側コネクタを側方にずらすような力が作用せず、もって被検査側コネクタが配設された被検査基板を側方にずらすような力が作用しない。
【0031】
さらに、請求項11記載の中継コネクターにあっては、押圧操作部材をベース部材に対してフローティングガイド側が接近分離するように揺動自在に配設するとともに、押圧操作部材のフローティングガイド側が接近する方向に弾性付勢するように押圧操作部材とベース部材の間に押圧バネを縮設しているので、その構造が簡単である。そして、押圧操作部材を押圧操作している間は開口状態となって被検査基板の挿入が許容され、押圧操作を解除すれば被検査側コネクタにピンブロックを押圧する押圧状態となって測定ができ、測定中に押圧操作を必要とせず、その操作が容易である。
【0032】
そしてまた、請求項12記載の中継コネクターにあっては、押圧操作部材のフローティングガイド側がベース部材から分離方向に揺動するのに伴って、フローティングガイドがベース部材から分離方向に揺動して開口状態となるので、押圧操作部材を押圧操作している間は、ベース部材からフローティングガイドが分離されていて、確実に被検査基板の挿入が許容される。
【0033】
そしてさらに、請求項13記載の中継コネクターにあっては、フローティングガイドに穿設されたガイド孔の深さを、被検査側コネクタの高さと一致するようにしているので、フローティングガイドのピンブロック側の面とガイド孔に嵌合挿入された被検査側コネクタのピンブロック側の面が同じ平面内となり、この面を基準としてピンブロックにプローブを配設することで、被検査側コネクタにプローブを適切な力で弾接させることができる。
【0034】
そしてさらに、請求項14記載の中継コネクターにあっては、フローティングガイドのピンブロック側の面に凹部を設け、ピンブロックのフローティングガイド側の面にこの凹部に嵌合する凸部を形成して、凹部と凸部の係合により、フローティングガイドとピンブロックを相対的に位置決めするようにしたので、フローティングガイドのガイド孔で位置決めされた被検査側コネクタに対して、ピンブロックに配設したプローブを適正な位置で当接させることができる。
【0035】
そしてさらに、請求項15記載の中継コネクターにあっては、押圧操作部材のフローティングガイド側の先端外側部を、面取り状の斜めの面に形成しているので、被検査基板に被検査側コネクタと近接して配設されたCCDカメラ素子等の検査を行う際に、本発明の中継コネクターの押圧操作部材が当該検査の邪魔とならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の第1実施例を図1ないし図14を参照して説明する。図1は、本発明の中継コネクターの第1実施例の押圧状態の側面図である。図2は、図1の平面図である。図3は、図1の開口状態の側面図である。図4は、図1の分解斜視図である。図5は、上、下ピンブロックとフローティングガイドの分解斜視図である。図6は、ピンブロックの分解斜視図である。図7は、下ピンブロックと配線基板およびベース部材の分解斜視図である。図8は、本発明の中継コネクターで検査する被検査基板に設けられた被検査側コネクタの外観斜視図である。図9は、ピンブロックの縦断面図である。図10は、配線基板に設けられる端子パターンを示す図である。図11は、押圧操作部材とヒンジ部材およびベース部材の分解斜視図である。図12は、図2のA−A断面矢視図である。図13は、ヒンジ部材に設けたリブで配線基板をベース部材に押さえる構造を示し、(a)は一部切り欠き側面図であり、(b)は背面図である。図14は、押圧操作部材の先端上部が面取り状の斜めの面に切り欠かれていることによる作用を説明する図である。
【0037】
図1ないし図14において、本発明の第1実施例の中継コネクターは、以下のように構成されている。まず、ベース部材10にヒンジ部材12がネジ10aにより固定され、このヒンジ部材12に押圧操作部材14が貫通配設された揺動軸16により揺動自在に配設される。そして、この押圧操作部材14の後ろ側とヒンジ部材12の間に押圧バネ18が縮設される。また、押圧操作部材14の先端側に、揺動軸16と平行に貫通配設された第2の揺動軸20により押圧ブロック22が揺動自在に配設される。そして、絶縁材からなるピンブロック24に対して絶縁材からなるフローティングガイド26が、押圧操作部材14の先端側の略揺動方向で直線状に接近分離自在でしかも分離方向の距離が規制されて配設される。さらに、ピンブロック24のフローティングガイド26と反対側に配線基板28がネジ28aにより固定され、この配線基板28をベース部材10側として、ピンブロック24と配線基板28がベース部材10にネジ24aにより固定される。そして、フローティングガイド26に係合受け部26fが突設され、押圧操作部材14に係合突起14aが突設されて、押圧操作部材14の開口状態で係合受け部26fに係合突起14aが係合するように形成される。そこで、押圧操作部材14が開口状態にあっては、フローティングガイド26がピンブロック24から分離され、しかもピンブロック24側に移動することが規制される。なお、押圧操作部材14の開口状態にあっては、その後端側がヒンジ部材12に当接して揺動が規制され、ヒンジ部材12の被当接部分が規制部として作用している。
【0038】
ピンブロック24に対してフローティングガイド26は、押圧操作部材14の先端側が開口状態とこれを閉口させた押圧状態との揺動に応じて、図1と図3において図面の上下方向に直線的に移動自在とされる。そこで、ピンブロック24に上下方向にリニアシャフト30aが植設され、フローティングガイド26にこのリニアシャフト30aが軸方向に摺動自在となるように挿入されるリニア筒部材30bが上下方向に配設され、これらリニアシャフト30aとリニア筒部材30bとからなるリニアガイド30により、この直線的な移動が実現される。また、ピンブロック24とフローティングガイド26に対して、上下方向に両端に膨大部を有するフローティングピン32が貫通配設される。両端の膨大部の間の距離は、一端側に設けた調整ネジ32aの螺合により調整し得る。さらに、このフローティングピン32に遊嵌されたフロートバネ34がピンブロック24とフローティングガイド26の間に縮設されて、ピンブロック24からフローティングガイド26を分離する方向に弾性付勢している。もって、フローティングピン32の調整により、フローティングガイド26がピンブロック24から分離し得る距離が任意に規制され、しかもフロートバネ34の縮設された弾力により、押圧操作部材14の開口状態にあっては、フローティングガイド26がピンブロック24から分離した状態とされる。
【0039】
フローティングガイド26には、被検査基板36が搭載配設される基板搭載面26aが設けられ、この基板搭載面26aに被検査基板36に配設された被検査側コネクタ38を嵌合挿入し得るガイド孔26bが貫通穿設される。このガイド孔26bの内周壁に被検査側コネクタ38の外側周壁が当接して、挿入された被検査側コネクタ38の位置決めがなされるように形成される。そして、このガイド孔26bの周辺の基板搭載面26aには搭載された被検査基板36を位置決めするように位置規制する構成は何ら設けられておらず、十分に大きな平面を有する。また、基板搭載面26aの裏側のピンブロック24側の面には、貫通穿設されたガイド孔26bを略中心として凹部26cが設けられる。この凹部26cの底面と基板搭載面26aの厚さ、すなわちガイド孔26bの深さは、被検査側コネクタ38の高さと一致するように基板搭載面26aが切削等により調整されて形成される。なお、基板搭載面26aの両端裏側には、機械的強度を大きくするための補強リブ26dが設けられている。
【0040】
ピンブロック24は、下ピンブロック40と上ピンブロック42がネジ42bにより一体化され、上ピンブロック42に上に向けて凸部42aが設けられ、フローティングガイド26の凹部26cに嵌合して、ピンブロック24とフローティングガイド26が相対的に位置決めされるように構成される。また、下ピンブロック40と上ピンブロック42に上下方向に貫通させて、プローブ孔46が一列に多数穿設される。そして、下ピンブロック40と上ピンブロック42に上下方向に貫通して絶縁材からなる位置調整ブロック48が挿入される挿入孔50が穿設される。位置調整ブロック48は、やはり下位置調整ブロック48aと上位置調整ブロック48bからなり、適宜に一体化され、しかも上下方向に貫通してプローブ孔52が一列に多数穿設される。位置調整ブロック48は、挿入孔50内で、プローブ孔52の位置が、下ピンブロック40と上ピンブロック42に穿設されたプローブ孔46との距離が適宜となるように調整されて、位置だしピン56により固定される。なお、挿入孔50内で、位置調整ブロック48は、プローブ孔46、52の間の距離を調整する方向にのみ移動が可能であり、これと直交する方向には移動ができないように設定される。また、プローブ孔46、52は上端部に狭窄部が設けれていて、下側からプローブ54が適宜に挿入できて上に抜け出ないように形成される。そして、プローブ孔46、52が穿設されるピッチは、図8に示す被検査側コネクタ38の端子38aのピッチPに合わせて穿設されることは勿論である。さらに、位置調整ブロック48のプローブ孔52と下ピンブロック40と上ピンブロック42のプローブ孔46との距離が、被検査側コネクタ38の端子38aの2列の間の距離dに対応するように適宜に調整されることは勿論である。しかも、プローブ孔46、52には、被検査側コネクタ38の端子38aに応じてプローブ54が下側から適宜な本数が適宜な位置で挿入される。
【0041】
プローブ孔46、52にプローブ54が挿入されたピンブロック24に対して、下側から配線基板28が配設され、下側からネジ28aにより固定されて一体化される。この配線基板28の固定により、プローブ54はプローブ孔46、52から抜け出ることがない。そして、この配線基板28が固定されたピンブロック24が、上方からネジ24aによりベース部材10に固定される。なお、ベース部材10は、図示しない検査治具等に予め固定ネジ10bにより適宜に固定されても良い。そこで、図8に示す被検査側コネクタ38の端子38aに対して、図9に示すごとく、プローブ孔46、52に挿入されたプローブ54のプランジャーが当接できるように形成される。なお、図10に示すごとく、配線基板28に設けられた端子パターン28bは、位置調整ブロック48が移動してもプローブ54のプランジャーが当接できるように移動方向に長く形成されている。
【0042】
さらに、ヒンジ部材12に揺動自在に配設された押圧操作部材14は、開口状態となる揺動方向の動きが、ヒンジ部材12により規制される。この開口状態となる揺動方向の動きが規制された状態で、前述の係合突起14aと係合受け部26fが係合するように形成されている。そして、ヒンジ部材12には、図13に示すごときリブ12aが設けられ、配線基板28を上からベース部材10側に押し付けるように作用し、配線基板28がベース部材10から浮き上がるのを規制している。
【0043】
押圧操作部材14には、リニアガイド30およびフローティングピン32に臨んで、孔14cと調整用孔14dがそれぞれに穿設されている。また、フローティングガイド26には、配線基板28が固定されたピンブロック24をベース部材10に固定するネジ24aに臨んで、孔26eが穿設されている。さらに、押圧操作部材14の先端上部が、面取り状の斜めの面14bに形成されている。本発明の中継コネクターの第1実施例の外形寸法は、高さ27mmで幅が26mmで長さが60mmであって、手に持って検査作業を行うことができる。
【0044】
かかる構成において、押圧バネ18の弾力に抗して押圧操作部材14を揺動操作して開口状態とし、フローティングガイド26の基板搭載面26aに被検査基板36を配設して、被検査側コネクタ38をガイド孔26bに嵌合挿入させる。このガイド孔26bへの嵌合挿入により、被検査側コネクタ38の位置決めがなされる。ここで、被検査基板36自体には何ら位置決めする力が作用しておらず、被検査基板36に対して被検査側コネクタ38の位置を側方にずらすような力が作用することがない。この押圧操作部材14を開口状態に維持している間は、フローティングガイド26の係合受け部26fに押圧操作部材14の係合突起14aが係合していて、フローティングガイド26がピンブロック24から分離した状態にあり、ピンブロック24側に不用意に移動するようなことがない。よって、被検査側コネクタ38をガイド孔26bに嵌合挿入している作業の最中に誤ってフローティングガイド26が下方に移動し、不適正な姿勢の被検査側コネクタ38に対してプローブ54が当接して被検査側コネクタ38またはプローブ54のいずれかを破損させる虞がない。そして、押圧操作部材14を押圧バネ18の弾力により先端側を閉じて押圧状態とすると、フローティングガイド26はリニアガイド30により直線的にピンブロック24側に移動し、被検査側コネクタ38の端子38aにプローブ54のプランジャーが当接する。この際には、フローティングガイド26の凹部26cとピンブロック24の凸部42aが嵌合することで、フローティングガイド26とピンブロック24が確実に相対的な位置合わせがなされる。もって、ピンブロック24に対して被検査側コネクタ38の位置決めがなされ、プローブ54に端子38aの位置決めがなされる。なお、押圧バネ18の押圧操作部材14を押圧状態とする弾力が、フロートバネ34のフローティングガイド26をピンブロック24から分離させる弾力よりも大きく設定されていることは勿論である。しかも、フローティングガイド26のガイド孔26bの深さが、被検査側コネクタ38の高さと一致するように設定されているので、ガイド孔26bに嵌合挿入された被検査側コネクタ38のピンブロック24側の面が凹部26cの底面と同じ平面内となり、この凹部26cの底面を基準として、プランジャーの突出高さが適正となるようにプローブ54が配設されることで、適正な弾力でプローブ54のプランジャーを被検査側コネクタ38の端子38aに当接させることができる。
【0045】
押圧操作部材14は、揺動軸16により開口状態と押圧状態に揺動自在に構成され、その構造は比較的に簡単である。しかも、押圧操作部材14の先端側に第2の揺動軸20により押圧ブロック22を設けているので、この押圧ブロック22によりフローティングガイド26をピンブロック24側に接近方向に向けて正しく押圧することができる。
【0046】
ところで、種種の異なる寸法の被検査側コネクタ38に本発明の中継コネクターを対応させるには、まずフローティングガイド26のガイド孔26bの大きさとその深さを、被検査側コネクタ38に応じて適宜に調整設定する。ガイド孔26bの深さの調整は、基板搭載面26aを適宜に切削するなどにより行うことができる。また、ピンブロック24側においても、位置調整ブロック48の固定位置を、挿入孔50内で適正に設定することで、2列のプローブ孔46、52の間の距離を被検査側コネクタ38の2列の端子38aの間の距離dに一致させる。これには、位置だしピン56を挿入する孔の位置を適正に穿設することでなし得る。なお、プローブ孔46、52に対して、被検査側コネクタ38の端子38aに臨むようにプローブ54を挿入することは勿論である。このように、種種の異なる寸法の被検査側コネクタ38に本発明の中継コネクターを対応させるための作業は、最終加工直前の各部材を予め準備しておけば比較的に簡単であり、各部材を新規に加工製作するのに比べて、迅速に対応することができる。
【0047】
そして、フローティングガイド26がピンブロック24から分離方向に離れる距離は、フローティングピン30により任意に調整できるが、使用によりフローティングガイド26がピンブロック24から分離方向に離れる距離が変化した場合には、押圧操作部材14に穿設した調整用孔14dから適宜に工具を挿入してフローティングピン32の調整ネジ32aの螺合挿入状態を調整すれば良い。また、プローブ54が破損して交換する場合には、押圧操作部材14が付いたままの状態でヒンジ部材12をベース部材10から取り外し、フローティングガイド26に穿設した孔26eから工具を挿入してネジ24aをベース部材10から取り外す。さらに、取り外したピンブロック24を配線基板28を上にして、ネジ28aを取り外してピンブロック24から配線基板28を取り除く。そして、破損して交換の必要なプローブ54のみをプローブ孔46、52から取り出して交換すれば良い。
【0048】
配線基板28は、ピンブロック24にネジ28aにより固定されているが、半田付けの熱等により曲がりを生じ、その後端側がベース部材10から浮いた状態となる虞がある。そこで、ヒンジ部材12に設けたリブ12aにより、配線基板28をベース部材10側に押さえ付けるように形成されている。また、被検査基板36がカメラモジュールであると、被検査基板36の他端側、すなわち被検査側コネクタ38が設けられたのと反対側に、CCDカメラ素子58が配設される。そして、被検査側コネクタ38とCCDカメラ素子58が配設される位置が、図14に示すごとく、比較的に接近しているものもある。そこで、押圧操作部材14のフローティングガイド26側の先端外側部を面取り状の斜めの面14bに形成することで、CCDカメラ素子58の上方の視界が大きく広く開け、視界内に何ら障害物なしに、このCCDカメラ素子58を検査するための検査装置60に設けたレンズ62と対向させることができる。
【0049】
次に、本発明の第2実施例を図15ないし図21を参照して説明する。図15は、本発明の中継コネクターの第2実施例の押圧状態の側面図である。図16は、図15の縦断面図である。図17は、図15の開口状態の側面図である。図18は、図17の縦断面図である。図19は、図15の分解斜視図である。図20は、第2実施例で、開口状態で被検査基板を挿入した要部縦断面拡大図である。図21は、第2実施例で、被検査基板が挿入されて押圧状態とした要部縦断面拡大図である。図15ないし図21において、図1ないし図14に示す部材と同じまたは均等なものには同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0050】
図15ないし図21において、本発明の第2実施例の中継コネクターは、以下のように構成されている。絶縁材からなるベース部材70に対して、ベース部材70に植設されたリニアガイド72、72により、絶縁材からなるフローティングガイド74がベース部材70の先端側に設けた基板搭載面70aに対して垂直方向に当接分離自在に配設される。また、配線基盤28を挟んで絶縁材からなる押圧操作部材76の先端側にピンブロック24がビス等により配設固定され、後端側に絶縁材からなるヒンジブロック78がビス等により配設固定される。そして、ベース部材70に設けた第1揺動軸80をヒンジブロック78に貫通させて押圧操作部材76が揺動自在に配設される。ここで、ピンブロック24は、ベース部材70に配設したフローティングガイド74に臨む位置となるようにされる。しかも、ヒンジブロック78とベース部材70との間に押圧バネ82、82が縮設されていて、ピンブロック24がフローティングガイド74に当接する方向に弾性付勢されている。さらに、ベース部材70に、第1揺動軸80と平行に配設された第2揺動軸84によりレバー部材86が揺動自在に配設されている。このレバー部材86は、一端部がフローティングガイド74の係合凹部74cに係合され、他端部がピンブロック24をフローティングガイド74から分離方向に揺動させる押圧操作部材76の揺動により、ヒンジブロック78に押圧されてレバー部材86が揺動される。そしてさらに、レバー部材86とベース部材70の間に、レバー押圧バネ88が縮設され、フローティングガイド74がベース部材70に当接する方向に弾性付勢力されている。なお、押圧操作部材部材76のピンブロック24が配設された側の先端外側部に面取り状の斜めの面76aが設けられている。
【0051】
ベース部材70の基板搭載面70aには、被検査基板36の挿入側の先端部分の形状を備えた基板位置決め凹部70bが縁部から設けられている。この基板位置決め凹部70bの縁部側は幅がテーパー状に拡大されていて、被検査基板36の挿入が容易になされる。そして、この基板位置決め凹部70bにより挿入寸法と側方へのずれが規制されてベース部材70に対して位置決めされた被検査基板36に上側に向けて配設された被検査側コネクタ38に臨んで、フローティングガイド74に被検査側コネクタ38が嵌合挿入し得るガイド孔74aが穿設されている。そして、このガイド孔74aを略中心として、フローティングガイド74のピンブロック24側の面に凹部74bが設けられている。ここで、ガイド孔74aの深さが、被検査側コネクタ38の高さと一致するように形成される。ピンブロック24の構造は、第1実施例と同様であるが、プローブ54、54…がフローティングガイド74側に向けて突出するように押圧操作部材76に配設されている点で、第1実施例と相違する。なお、ピンブロック24に、フローティングガイド76に設けた凹部74bに嵌合する凸部42aが設けられていることは、第1実施例と同様である。
【0052】
かかる構成からなる第2実施例において、押圧操作部材76の後端側のヒンジブロック78側を押圧バネ82、82の弾力に抗して押圧すると、押圧操作部材76が揺動し、先端側のピンブロック24がベース部材70から分離方向に移動される。これに伴い、レバー部材86の他端部がヒンジブロック78に押圧されてレバー押圧バネ88の弾力に抗して揺動され、レバー部材86の一端部が係合するフローティングガイド74をベース部材70から分離方向に移動させ、もって開口状態となる。そこで、図20のごとく、ベース部材70とフローティングガイド74の間に被検査基板36を挿入して、基板位置決め凹部70bによりその位置決めがなされる。ここで、被検査側コネクタ38はフローティングガイド74に向けて配設された状態である。かかる状態で、押圧操作部材76の押圧を解除すると、押圧バネ82、82の弾力により押圧操作部材76が揺動して先端側のピンブロック24がフローティングガイド74に当接し、これと同時に、レバー押圧バネ88の弾力によりレバー部材86も揺動してフローティングガイド74が移動してベース部材70に当接させられる。そこで、被検査基板36に配設された被検査側コネクタ38がフローティングガイド74のガイド孔74aに嵌合挿入され、さらに被検査側コネクタ38の端子38a、38a…に、ピンブロック24のプローブ54、54…が当接して電気的接続がなされる。
【0053】
この第2実施例にあっては、ベース部材70を下側に配設するならば、被検査側コネクタ38を被検査基板36の上側に配設した状態で検査することができる。そして、ベース部材70の基板搭載面70aに設けた基板位置決め凹部70bにより被検査基板36の挿入寸法と側方へのずれが規制されて、ベース部材70に対して被検査基板36の位置決めがなされる。そして、基板搭載面70aに対してリニアガイド72、72により垂直方向に当接分離自在にフローティングガイド74が配設されているので、被検査基板36に配設された被検査側コネクタ38に対してフローティングガイド74のガイド孔74aが相対的に位置決めされることとなり、フローティングガイド74の接近および当接によりそのガイド孔74aに被検査側コネクタ38が正確に嵌合挿入される。ここで、フローティングガイド74が基板搭載面70aに対して垂直方向に接近分離するので、ガイド孔74aに被検査側コネクタ38が嵌合挿入される際に、被検査側コネクタ38を側方にずらすような力が作用することがなく、被検査基板36に対して相対的に被検査側コネクタ38を側方にずらすような力が作用しない。さらに、押圧操作部材76がベース部材70に対して揺動自在に構成されていて、その構造が簡単である。しかも、被検査基板36を挿入して、押圧操作部材76の押圧を解除すると押圧バネ82、82の弾力によって被検査側コネクタ38にピンブロック24を押圧した押圧状態となり、測定中に押圧操作を必要とせず、その操作が容易である。また、押圧操作部材76を押圧して揺動させると、この揺動に伴い、フローティングガイド74がベース部材70から分離する方向に連動して移動するので、被検査基板36の挿入が容易である。しかも、押圧操作部材76を押圧操作している間は、レバー部材86の作用により、フローティングガイド74がベース部材70側に移動するのを確実に規制することができる。
【0054】
なお、第2実施例にあっては、押圧操作部材76を押圧操作している開口状態で、レバー部材86によりフローティングガイド74がベース部材70側に移動しないように規制しているが、これに限られず、フローティングガイド74をベース部材70から分離方向に弾性付勢するバネを、フローティングガイド74とベース部材70の間に縮設して、押圧操作部材76が開口状態となると、このバネの弾力でフローティングガイド74がベース部材70から分離方向に移動するようにして、フローティングガイド74とベース部材70の間に被検査基板36の挿入を許容するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の中継コネクターの第1実施例の押圧状態の側面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の開口状態の側面図である。
【図4】図1の分解斜視図である。
【図5】上、下ピンブロックとフローティングガイドの分解斜視図である。
【図6】ピンブロックの分解斜視図である。
【図7】下ピンブロックと配線基板およびベース部材の分解斜視図である。
【図8】本発明の中継コネクターで検査する被検査基板に設けられた被検査側コネクターの外観斜視図である。
【図9】ピンブロックの縦断面図である。
【図10】配線基板に設けられる端子パターンを示す図である。
【図11】押圧操作部材とヒンジ部材およびベース部材の分解斜視図である。
【図12】図2のA−A断面矢視図である。
【図13】ヒンジ部材に設けたリブで配線基板をベース部材に押さえる構造を示し、(a)は一部切り欠き側面図であり、(b)は背面図である。
【図14】押圧操作部材の先端上部が面取り状の斜めの面に切り欠かれていることによる作用を説明する図である。
【図15】本発明の中継コネクターの第2実施例の押圧状態の側面図である。
【図16】図15の縦断面図である。
【図17】図15の開口状態の側面図である。
【図18】図17の縦断面図である。
【図19】図15の分解斜視図である。
【図20】第2実施例で、開口状態で被検査基板を挿入した要部縦断面拡大図である。
【図21】第2実施例で、被検査基板が挿入されて押圧状態とした要部縦断面拡大図である。
【符号の説明】
【0056】
10、70 ベース部材
12 ヒンジ部材
12a リブ
14、76 押圧操作部材
14a 係合突起
14b 斜めの面
14d 調整用孔
16 揺動軸
18、82 押圧バネ
20 第2の揺動軸
22 押圧ブロック
24 ピンブロック
26、74 フローティングガイド
26a、70a 基板搭載面
26b、74a ガイド孔
26c、74b 凹部
26f 係合受け部
28 配線基板
28a ネジ
28b 端子パターン
30、72 リニアガイド
30a リニアシャフト
30b リニア筒部材
32 フローティングピン
32a 調整ネジ
34 フロートバネ
36 被検査基板
38 被検査側コネクタ
38a 端子
40 下ピンブロック
42 上ピンブロック
42a 凸部
46、52 プローブ孔
48a 下位置調整ブロック
48b 上位置調整ブロック
50 挿入孔
54 プローブ
56 位置だしピン
58 CCDカメラ素子
60 検査装置
62 レンズ
70b 基板位置決め凹部
74c 係合凹部
78 ヒンジブロック
80 第1揺動軸
84 第2揺動軸
86 レバー部材
88 レバー押圧バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査基板に配設された被検査側コネクタの端子にプローブを当接させて測定器に電気的接続させるための中継コネクターであって、絶縁材からなるピンブロックに対して絶縁材からなるフローティングガイドを接近分離自在でしかも分離方向に弾性付勢して配設し、前記フローティングガイドに前記被検査側コネクタを前記ピンブロック側に向けて嵌合挿入して位置決めするガイド孔を穿設し、このガイド孔に嵌合挿入された前記被検査側コネクタの端子に臨んで前記ピンブロックに前記フローティングガイドの接近分離方向を軸方向としてプローブを配設し、前記フローティングガイドの前記ガイド孔に前記被検査側コネクタの嵌合挿入を許容する開口状態と前記フローティングガイドに嵌合挿入された前記被検査側コネクタを前記ピンブロック側に押圧した押圧状態とに操作される押圧操作部材を設けて構成したことを特徴とする中継コネクター。
【請求項2】
請求項1記載の中継コネクターにおいて、前記押圧操作部材に係合突起を設けるとともに前記フローティングガイドに係合受け部を設け、前記押圧操作部材の開口状態で前記係合突起が前記係合受け部と係合して、前記フローティングガイドが前記ピンブロック側に移動するのを規制するように構成したことを特徴とする中継コネクター。
【請求項3】
請求項1記載の中継コネクターにおいて、前記押圧操作部材を、前記ガイド孔に嵌合挿入された前記被検査側コネクタの前記ピンブロック側に臨む面と平行な面に配設した揺動軸によって前記開口状態と前記押圧状態に揺動自在に配設するとともに、前記被検査側コネクタを押圧する先端側に前記揺動軸と平行な第2の揺動軸で押圧ブロックを揺動自在に配設して構成したことを特徴とする中継コネクター。
【請求項4】
請求項1記載の中継コネクターにおいて、両端に膨大部を有するフローティングピンを、前記フローティングガイドと前記ピンブロックに前記フローティングガイドの接近分離方向に貫通配設して、前記両端の膨大部により前記フローティングガイドが前記ピンブロックから分離方向に移動できる距離を規制し、前記フローティングピンにフロートバネを遊嵌させるとともに前記フローティングガイドと前記ピンブロックの間に縮設して構成したことを特徴とする中継コネクター。
【請求項5】
請求項4記載の中継コネクターにおいて、前記フローティングピンがその一端側に螺合する調整ネジにより前記分離方向に移動できる距離を調整するようにし、前記調整ネジに臨んで前記押圧操作部材に調整用孔を穿設して、外部から前記調整ネジを調整できるように構成したことを特徴とする中継コネクター。
【請求項6】
請求項1記載の中継コネクターにおいて、前記被検査側コネクタを前記ピンブロック側に向けて前記ガイド孔に嵌合挿入する前記フローティングガイドの基板搭載面には、前記被検査基板よりも大きな平面が形成されていて、前記被検査側コネクタを前記ガイド孔に嵌合挿入した状態で前記被検査基板が何ら位置の規制がされないように構成したことを特徴とする中継コネクター。
【請求項7】
請求項2記載の中継コネクターにおいて、揺動自在の前記押圧操作部材を前記開口状態側への揺動を規制する規制部を設け、前記規制部で前記押圧操作部材が規制されている状態で、前記係合突起が前記係合受け部に係合するように構成したことを特徴とする中継コネクター。
【請求項8】
被検査基板に配設された被検査側コネクタの端子にプローブを当接させて測定器に電気的接続させるための中継コネクターであって、絶縁材からなるベース部材に対して絶縁材からなるフローティングガイドを当接分離自在に配設し、前記ベース部材と前記フローティングガイドの間に前記被検査基板を挿入した状態で前記フローティングガイドに前記被検査側コネクタを嵌合挿入して位置決めするガイド孔を穿設し、前記ベース部材に前記フローティングガイドを挟んでしかも前記フローティングガイド側が接近分離自在となるように押圧操作部材を配設し、前記押圧操作部材に前記フローティングガイドに臨んで絶縁材からなるピンブロックを配設し、前記フローティングガイドに前記ピンブロックを当接させた状態で前記ガイド孔に嵌合挿入した前記被検査側コネクタの端子に当接するように前記ピンブロックにプローブを配設し、前記ピンブロックを前記フローティングガイドから分離する方向の前記押圧操作部材の操作に連動して前記フローティングガイドが前記ベース部材から分離するようにし、前記ベース部材と前記フローティングガイドの間に前記被検査基板の挿入を許容する開口状態と前記フローティングガイドの前記ガイド孔に嵌合挿入された前記被検査側コネクタ側に前記ピンブロックを押圧した押圧状態とに前記押圧操作部材を操作するように構成したことを特徴とする中継コネクター。
【請求項9】
請求項8記載の中継コネクターにおいて、前記フローティングガイドの前記ガイド孔に臨んで、前記ベース部材に設けた基板搭載面に、前記被検査基板の挿入側の先端部分の形状を備えた基板位置決め凹部を縁部から設けて、前記基板位置決め凹部により前記被検査基板の挿入寸法および側方へのずれを規制して前記被検査基板を位置決めするように構成したことを特徴とする中継コネクター。
【請求項10】
請求項8記載の中継コネクターにおいて、前記フローティングガイドが、前記ベース部材に設けられたリニアガイドに案内されて、前記ベース部材の前記基板搭載面に対して垂直方向に当接分離するように構成したことを特徴とする中継コネクター。
【請求項11】
請求項8記載の中継コネクターにおいて、前記押圧操作部材を前記ベース部材に対して前記フローティングガイド側が接近分離するように揺動自在に配設するとともに、前記押圧操作部材の前記フローティングガイド側が接近する方向に弾性付勢するように前記押圧操作部材と前記ベース部材の間に押圧バネを縮設して構成したことを特徴とする中継コネクター。
【請求項12】
請求項8記載の中継コネクターにおいて、前記押圧操作部材を前記ベース部材に対して前記フローティングガイド側が接近分離するように揺動自在に配設するとともに、前記ベース部材に対してレバー部材を前記押圧操作部材の揺動軸と平行な揺動軸で揺動自在に配設するとともに、前記レバー部材の一端部を前記フローティングガイドに係合させ、他端部が前記押圧操作部材の操作によって押圧されて、前記押圧操作部材の前記フローティングガイド側が前記ベース部材から分離方向に揺動するのに伴って前記フローティングガイドが前記ベース部材から分離方向に揺動して前記開口状態となるように構成したことを特徴とする中継コネクター。
【請求項13】
請求項1または8記載の中継コネクターにおいて、前記フローティングガイドに穿設された前記ガイド孔の深さを、前記被検査側コネクタの高さと一致するように構成したことを特徴とする中継コネクター。
【請求項14】
請求項1または8記載の中継コネクターにおいて、前記フローティングガイドの前記ピンブロック側の面に凹部を設け、前記ピンブロックの前記フローティングガイド側の面に前記凹部に嵌合する凸部を形成して、前記凹部と前記凸部の係合により、前記フローティングガイドと前記ピンブロックを相対的に位置決めするように構成したことを特徴とする中継コネクター。
【請求項15】
請求項1または8記載の中継コネクターにおいて、前記押圧操作部材の前記フローティングガイド側の先端外側部を、面取り状の斜めの面に形成して構成したことを特徴とする中継コネクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−140770(P2008−140770A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265372(P2007−265372)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(000006758)株式会社ヨコオ (158)
【Fターム(参考)】