説明

中継局及び中継方法、並びに無線通信システム

【課題】中継局に接続する移動端末の不要動作を抑止し、ユーザの利便性を改善する。
【解決手段】中継局(20)は、無線基地局(10)と移動端末(30)との間の無線通信を中継する中継局であって、無線基地局と中継局との間の第1リンクの状態を検出する検出部(2836)と、第1リンクの状態に応じて、移動端末と中継局との間の第2リンクの状態を制御する制御部(284、285)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば無線基地局と移動端末との間の無線通信を中継する中継局及び中継方法、並びに無線基地局や移動端末や中継局を備える無線通信システムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の無線通信システムでは、移動端末が少なくとも一つの無線基地局と無線通信することができるように各無線基地局の配置が設計される。しかしながら、無線基地局を複数設置した場合でも、地形の制約や建物による遮蔽等の理由で、移動端末が何れの無線基地局とも無線通信を行うことができないデッドスポットが存在することもありうる。
【0003】
そこで、デッドスポットを解消し移動端末と無線基地局との間の無線通信を確立するために、例えばLTE−A(Long Term Evolution Advanced)等の無線通信システムでは、中継局(或いは、リレー局)の設置が提案されている。特に、LTE−Aでは、LTE等の他の無線通信システムとの互換性を確保するために、移動端末が中継局と無線基地局とを区別することなく扱うことができる中継局を設置することが提案されている。中継局は無線基地局からの電波を移動端末へ中継し、一方で移動端末からの電波を無線基地局へと中継する。中継局を用いると、移動端末が無線基地局からの電波に直接応答するのに代えて、中継局からの電波に応答することで、結果的に無線基地局と移動端末との間に無線通信を確立することができる。あるいは、移動端末が無線基地局へ向けて発する電波を中継局が無線基地局へ中継し、無線基地局はその中継された電波を介して移動端末からの電波を認識し、以後の無線通信を確立することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−57323号公報
【特許文献2】特開2002−171572公報
【特許文献3】特開2002−77987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
LTE−Aにおいて提案されている中継局は、設置場所が移動しないないしは固定されている固定型の中継局である。一方で、ユーザの利便性を考慮すれば、設置場所が移動する移動型の中継局を導入することも想定される。より具体的には、例えば電車や自動車等の移動体に移動型の中継局を設置することも想定される。しかしながら、移動型の中継局を導入すると、以下のような技術的な問題点が生じてしまいかねない。
【0006】
例えば、電車や自動車等の移動体に移動型の中継局を設置した場合には、移動体の走行場所や周辺環境によっては、中継局が無線基地局と無線通信することができない状況が発生しかねない。具体的には、移動体が無線基地局のカバーエリア(言い換えれば、セル)から十分離れた位置に移動すると、中継局と無線基地局との間のリレーリンクが切断状態になる。この場合、中継局に接続している移動端末は、中継局を中継して無線基地局と無線通信しているため、無線基地局と無線通信することができない状態になる。しかしながら、移動端末は、中継局と無線基地局とを区別することなく扱うことができるがゆえに、移動端末と中継局との間のアクセスリンクが接続状態にあれば、自身が無線基地局(或いは、中継局)のカバーエリア内にいる(つまり、圏内状態にある)と判定してしまう。このため、移動端末のユーザは、リレーリンクが切断状態にあるにも関わらずに発信動作を行う場合がある。移動端末もまた、自身が圏内状態にあると判定しているため、ネットワークに対して接続要求を行うが、接続要求が中継局から無線基地局へと通知されることがないため、無線通信が確立されることはない。この時、移動端末を主体に見れば、移動端末が行う発信動作自体が無駄な動作である。ユーザを主体に見れば、圏内状態にあるにも関わらずに無線通信することができない理由が理解できないため、発信動作を繰り返し行う可能性がある。これは、ユーザの利便性の観点からは適切であるとは言い難い。
【0007】
本発明が解決しようとする課題には上記のようなものが一例として挙げられる。本発明は、例えば移動端末側での不要な動作を削減すると共にユーザの利便性を向上させることが可能な中継局及び中継方法、並びに無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、無線基地局と移動端末との間の無線通信を中継する中継局であって、検出部と制御部と備える中継局によって解決され得る。検出部は、無線通信区間である無線基地局と中継局との間の第1リンク(例えば、リレーリンク)の状態を検出する。例えば、検出部は、第1リンクが接続状態にあるか否か又は切断状態にあるか否かを検出する。制御部は、検出部によって検出された第1リンクの状態に応じて、移動端末と中継局との間の第2リンク(例えば、アクセスリンク)の状態を制御する。例えば、制御部は、検出部によって検出された第1リンクの状態に応じて、第2リンクを介した正常な無線通信を行うことが可能となるよう又は正常な無線通信を行うことができなくなるように第2リンクの状態を制御する。或いは、例えば、制御部は、検出部によって検出された第1リンクの状態に応じて、第2リンクの状態が接続状態であると移動端末に認識させるように又は切断状態であると移動端末に認識させるように第2リンクの状態を制御する。
【0009】
上記課題は、無線基地局と移動端末との間の通信を中継する中継方法であって、検出工程と制御工程とを備える中継方法によって解決され得る。検出工程では、上述した検出部が行う動作と同様の動作が行われる。制御工程では、上述した制御部が行う動作と同様の動作が行われる。
【0010】
上記課題は、無線基地局と移動端末と上述した中継局(つまり、検出部と制御部と備える中継局)とを備える無線通信システムによって解決され得る。
【発明の効果】
【0011】
以上説明した中継局によれば、移動端末側での不要な動作を削減すると共にユーザの利便性を向上させることができる。
【0012】
また、以上説明した中継方法及び無線通信システムによれば、上述した中継局と同様の効果を享受することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態の無線通信システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係るeNBのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態に係るリレー局のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態のリレー局が備えるレイヤ1処理部のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図5】第1実施形態に係るUEのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図6】第1実施形態のリレー局の機能ブロックを示すブロック図である。
【図7】第1実施形態のリレー局の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【図8】第1実施形態のリレー局が備えるリレーリンク制御部が行うリレーリンクの状態を監視する動作の流れを示すフローチャートである。
【図9】第2実施形態のリレー局の機能ブロックを示すブロック図である。
【図10】第2実施形態のリレー局の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【図11】第3実施形態のリレー局の機能ブロックを示すブロック図である。
【図12】第3実施形態のリレー局の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【図13】第4実施形態のリレー局の機能ブロックを示すブロック図である。
【図14】第4実施形態のリレー局の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づいて説明する。
【0015】
(1)第1実施形態
第1実施形態の無線通信システム1についての説明を進める。以下の説明では、無線通信システムの一例として、LTE(Long Term Evolution)に準拠した携帯電話システムを用いて説明を進める。但し、LTEに準拠した携帯電話システム以外の各種無線通信システムに対して後述する実施形態を適用してもよい。
【0016】
(1−1)無線通信システムの構成
図1を参照して、第1実施形態の無線通信システム1の構成について説明する。図1は、第1実施形態の無線通信システム1の構成の一例を示すブロック図である。
【0017】
図1に示すように、第1実施形態に係る無線通信システム1は、eNB(evolved Node B)10と、リレー局20aと、リレー局20bと、UE(User Equipment)30aと、UE30bと、UE30cとを備えている。尚、図1に示すeNB10の数、リレー局20の数及びUE30の数は一例であって、eNB10の数、リレー局20の数及びUE30の数が図1に示す個数に限定されることはない。また、以下では、説明の便宜上、リレー局20a及びリレー局20bを区別することなく説明する場合には、“リレー局20”と称して説明を進める。同様に、UE30a、UE30b及びUE30cを区別することなく説明する場合には、“UE30”と称して説明を進める。
【0018】
eNB10は、セル半径が概ね数kmから十数kmないしは数十kmとなるセル19(いわゆる、マクロセル)をカバーする基地局である。eNB10は、自身がカバーするセル19中に位置するリレー局20及びUE30との間で無線通信を行う。つまり、eNB10は、自身がカバーするセル19中に位置するリレー局20及びUE30との間で通信コネクションを確立すると共に、リレー局20及びUE30に対してデータの送受信を行う。
【0019】
リレー局20は、eNB10からの電波を自身がカバーする中継エリア29内のUE30へと中継すると共に、中継エリア29内のUE30からの電波をeNB10へと中継する。これにより、eNB10のセルの大きさないしは形状等は、実質的に拡大ないしは変形する。例えば、図1に示す例では、リレー局20aは、eNB10からの電波を自身がカバーする中継エリア29a内のUE30bへと中継すると共に、中継エリア29a内のUE30bからの電波をeNB10へと中継する。同様に、図1に示す例では、リレー局20bは、eNB10からの電波を自身がカバーする中継エリア29b内のUE30cへと中継すると共に、中継エリア29c内のUE30cからの電波をeNB10へと中継する。本実施形態では、無線基地局10とリレー局20との間の無線回線をリレーリンクと称し、リレー局20と移動端末30との間の無線回線をアクセスリンクと称する。
【0020】
尚、リレー局20は、eNB10と同様に、設置場所が固定されていてもよい。或いは、リレー局20は、設置場所が移動してもよい。例えば、リレー局20は、自動車や電車や飛行機や船等の移動体に設置されてもよい。
【0021】
UE30は、自身がその内部に位置するセル19に対応するeNB10又は自身がその内部に位置する中継エリア29に対応するリレー局20との間でコネクションを確立すると共に、データの送受信を行う移動端末である。UE30は、eNB10(更には、eNB10の上位に接続される不図示の上位ノード等)を介して、各種サービスないしはアプリケーション(例えば、メールサービスや、音声通話サービスや、WEB閲覧サービスや、パケット通信サービス等)を利用することができる。UE30として、例えば携帯電話や、PDA(Personal Digital Assistant)や、その他無線通信機能を有する各種情報機器等が一例としてあげられる。
【0022】
尚、上述の説明では、セル半径が概ね数kmから十数kmないしは数十kmとなるセル(いわゆる、マクロセル)19をカバーするeNB10が例示されているが、eNB10に加えて又は代えて、セル半径が概ね数百mから1kmとなるセル(いわゆる、マイクロセル)をカバーする無線基地局や、セル半径が概ね数mから十数mないしは数十mとなるセル(いわゆる、フェムトセル)をカバーする無線基地局を配置してもよい。また、セル半径が上述したサイズ以外のセルをカバーする各種無線基地局を配置してもよい。
【0023】
(1−2)ハードウェア構成
図2から図5を参照して、第1実施形態の無線通信システム1が備えるeNB10、移動リレー局20及びUE30の夫々のハードウェア構成について説明する。
【0024】
(1−2−1)eNBのハードウェア構成
図2を参照して、第1実施形態のeNB10のハードウェア構成について説明する。図2は、第1実施形態に係るeNB10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0025】
図2に示すように、eNB10は、送信アンテナ11と、受信アンテナ12と、RF(Radio Frequency)部13と、レイヤ1処理部14と、レイヤ2処理部15と、RRC(Radio Resource Control)処理部16とを備えている。
【0026】
送信アンテナ11は、RF部13から出力される下りリンク信号を、リレーリンクを介してリレー局20へと送信する。また、送信アンテナ11は、RF部13から出力される下りリンク信号を、UE30へと直接送信してもよい。
【0027】
受信アンテナ12は、リレーリンクを介してリレー局20から送信されてくる上りリンク信号を受信する。また、受信アンテナ12は、UE30から直接送信されてくる上りリンク信号を受信してもよい。受信アンテナ12は、受信した上りリンク信号をRF部13へと出力する。
【0028】
RF部13は、下りリンク信号の送信時には、レイヤ1処理部14から出力されるベースバンド信号に対して無線送信処理(例えば、高周波信号への変換処理等)を施す。RF部13は、無線送信処理が施されたベースバンド信号(つまり、下りリンク信号)を送信アンテナ11へと出力する。RF部13は、上りリンク信号の受信時には、受信アンテナ12により受信された上りリンク信号に対して無線受信処理(例えば、ベースバンド信号への変換処理等)を施す。RF部13は、無線受信処理が施された上りリンク信号(つまり、ベースバンド信号)をレイヤ1処理部14へと出力する。
【0029】
レイヤ1処理部14は、レイヤ1(物理レイヤ:PHY)に関連する送受信処理を行う。具体的には、レイヤ1処理部14は、復調処理を行う復調部(DEM(Demodulation)部)140と、復号化処理を行う復号化処理部(DEC(Decoding)部)141と、符号化処理を行う符号化処理部(COD(Coding)部)142と、変調処理を行う変調処理部(MOD(Modulation)部)143とを備えている。
【0030】
復調処理部140は、上りリンク信号の受信時に、SC−FDMA方式(Single Carrier Frequency Division Multiple Access:単一キャリア周波数分割多重アクセス)に準拠した復調処理を行う。具体的には、復調処理部140は、シンボルを復調するためのFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)部1401と、復調されたシンボルをユーザ毎に分離するサブキャリアデマッピング部1402と、ユーザ毎に分離されたシンボルに対して逆離散フーリエ変換処理を施すIDFT(Inverse Discrete Fourier Transform:逆離散フーリエ変換)部1403と、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)や16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)や64QAM等に準拠して多値変調されたシンボルを復調する復調部1404とを備えている。尚、図2に示すように、IDFT部1403及び復調部1404は、ユーザ毎に個別に設けられていてもよい。
【0031】
復号化処理部141は、上りリンク信号の受信時に、復号化処理を行う。具体的には、復号化処理部141は、割り当てられた物理チャネルリソースに合わせて伸長又は縮小されているデータを元のデータに戻すデレートマッチング部1411と、HARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)再送処理で再送データの合成を行うHARQ合成部1412と、ターボ符号化されたデータを復号するターボ復号化部1413と、復号されたデータの正否をチェックするCRC(Cyclic Redundancy Check)チェック部1414とを備えている。尚、図2に示すように、デレートマッチング部1411、HARQ合成部1412、ターボ復号化部1413及びCRCチェック部1414は、ユーザ毎に個別に設けられていてもよい。
【0032】
符号化処理部142は、下りリンク信号の送信時に、符号化処理を行う。具体的には、符号化処理部142は、データに対してCRCを付与するCRC付与部1423と、データのターボ符号化を行うターボ符号化部1422と、指定された物理チャネルリソースに合わせてデータの伸長又は縮小を行うレートマッチング部1421とを備えている。尚、図2に示すように、CRC付与部1423、ターボ符号化部1422及びレートマッチング部1421は、ユーザ毎に個別に設けられていてもよい。
【0033】
変調処理部143は、下りリンク信号の送信時に、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:直交周波数分割多重アクセス)方式に準拠した変調処理を行う。具体的には、変調処理部143は、QPSKや16QAMや64QAM等に準拠してデータを多値変調する変調部1433と、変調されたデータを指定された物理チャネルリソースへと割り当てるサブキャリアマッピング部1432と、多重化されたデータに対して逆高速フーリエ変換処理を施すIFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)部1431とを備えている。尚、図2に示すように、サブキャリアマッピング部1432及び変調部1433は、ユーザ毎に個別に設けられてもよい。
【0034】
レイヤ2処理部15は、レイヤ2(MAC(Medium Access Control:メディアアクセス制御)レイヤ)に関連する送受信処理を行うことで、上位ノード(例えば、ゲートウェイ装置)を介してコアネットワークとの間でユーザデータの送受信を行うと共にRRC処理部16との間でコントロールデータの送受信を行う。例えば、レイヤ2処理部15は、MACやRLC(Radio Link Control:無線リンク制御)やPDCP(Packet Data Convergence Protocol:パケットデータ収束プロトコル)等のサブレイヤのフォーマットに合わせてデータの分離ないしは結合を行ったり、データの再送制御を行う。
【0035】
RRC処理部16は、レイヤ3(RRCレイヤ)に関連する送受信処理を行う。具体的には、RRC処理部16は、ページングや呼の確立や呼の解放等の無線リソースの制御を行うRRCコネクション制御部161と、報知情報の制御を行う報知情報制御部162と、ハンドオーバー等の接続切り替え制御を行うモビリティ制御部163とを備えている。
【0036】
尚、上述したハードウェア構成のうちの一部をソフトウェアによって実現してもよい。この場合、ソフトウェアによって実現されるハードウェア構成は、eNB10が備えるCPUないしはDSP上での機能ブロックとして実現されてもよい。以下に説明するリレー局20及びUE30についても同様である。
【0037】
(1−2−2)リレー局のハードウェアブロック図
図3及び図4を参照して、第1実施形態のリレー局20のハードウェア構成について説明する。図3は、第1実施形態のリレー局20のハードウェア構成を示すブロック図である。図4は、第1実施形態のリレー局20が備えるレイヤ1処理部24_1及び24_3の夫々のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0038】
図3に示すように、リレー局20は、送信アンテナ21_1と、受信アンテナ22_1と、RF部23_1と、レイヤ1処理部24_1と、レイヤ2処理部25_1と、RRC処理部26と、データ再構築部27と、レイヤ2処理部25_3と、レイヤ1処理部24_3と、RF部23_3と、受信アンテナ22_3と、送信アンテナ21_3とを備えている。
【0039】
送信アンテナ21_1は、RF部23_1から出力される上りリンク信号を、リレーリンクを介してeNB10へと送信する。
【0040】
受信アンテナ22_1は、リレーリンクを介してeNB10から送信されてくる下りリンク信号を受信する。受信アンテナ22_1は、受信した下りリンク信号をRF部23_1へと出力する。
【0041】
RF部23_1は、送信アンテナ21_1を介した上りリンク信号の送信時には、レイヤ1処理部24_1から出力されるベースバンド信号に対して無線送信処理を施す。RF部23_1は、無線送信処理が施されたベースバンド信号(つまり、上りリンク信号)を送信アンテナ21_1へと出力する。RF部23_1は、受信アンテナ22_1を介した下りリンク信号の受信時には、受信アンテナ22_1により受信された下りリンク信号に対して無線受信処理を施す。RF部23_1は、無線受信処理が施された下りリンク信号(つまり、ベースバンド信号)をレイヤ1処理部24_1へと出力する。
【0042】
レイヤ1処理部24_1は、レイヤ1に関連する送受信処理を行う。具体的には、図4(a)に示すように、レイヤ1処理部24_1は、復調処理を行う復調部240_1と、復号化処理を行う復号化処理部241_1と、符号化処理を行う符号化処理部242_1と、変調処理を行う変調処理部243_1とを備えている。
【0043】
復調処理部240_1は、受信アンテナ22_1を介した下りリンク信号の受信時に、ODFMA方式に準拠した復調処理を行う。具体的には、復調処理部240_1は、シンボルを復調するためのFFT部2401_1と、多値変調されたシンボルを復調する復調部2404_1と、セルサーチや受信レベルの測定を行う測定部2405_1とを備えている。
【0044】
復号化処理部241_1は、受信アンテナ22_1を介した下りリンク信号の受信時に、復号化処理を行う。具体的には、復号化処理部241_1は、割り当てられた物理チャネルリソースに合わせて伸長又は縮小されているデータを元のデータに戻すデレートマッチング部2411_1と、HARQ再送処理で再送データの合成を行うHARQ合成部2412_1と、ターボ符号化されたデータを復号するターボ復号化部2413_1と、復号されたデータの正否をチェックするCRCチェック部2414_1とを備えている。
【0045】
符号化処理部242_1は、送信アンテナ21_1を介した上りリンク信号の送信時に、符号化処理を行う。具体的には、符号化処理部242_1は、データに対してCRCを付与するCRC付与部2423_1と、データのターボ符号化を行うターボ符号化部2422_1と、指定された物理チャネルリソースに合わせてデータの伸長又は縮小を行うレートマッチング部2421_1とを備えている。
【0046】
変調処理部243_1は、送信アンテナ21_1を介した上りリンク信号の送信時に、SC−FDMA方式に準拠した変調処理を行う。具体的には、変調処理部243_1は、データを多値変調する変調部2433_1と、データを変調するためのDFT部2434_1と、変調されたデータを指定された物理チャネルリソースに割り当てるサブキャリアマッピング部2432_1と、多重化されたデータに対して逆高速フーリエ変換処理を施すIFFT部2431_1とを備えている。
【0047】
再び図3において、レイヤ2処理部25_1は、上述したレイヤ2処理部15(図2参照)と同様に、レイヤ2に関連する送受信処理を行う。
【0048】
RRC処理部26は、レイヤ3に関連する送受信処理を行う。具体的には、RRC処理部26は、リレー局20の無線リソースの制御を行うRRCコネクション制御(リレー用)部261_1と、UE30の無線リソースの制御を行うRRCコネクション制御(端末用)部261_3と、報知情報の制御を行う報知情報制御部262と、リレー局20でのハンドオーバー等の接続切り替え制御を行うモビリティ制御(リレー用)部263_1と、UE30でのハンドオーバー等の接続切り替え制御を行うモビリティ制御(端末用)部263_3と、リレーリンクでのメジャーメント制御を行うメジャーメント制御(リレーリンク用)部264_1と、アクセスリンクでのメジャーメント制御を行うモビリティ制御(アクセスリンク用)部264_3とを備えている。
【0049】
データ再構築部27は、eNB10から送信されるデータをUE30に対して中継する場合には、eNB10からまとめて送信される複数のUE30(つまり、複数のユーザ)のデータを、個別のUE30毎のデータに再構築する。一方で、UE30から送信されるデータをeNB10に対して中継する場合には、複数のUE30の夫々から個別に送信されるデータを、ひとまとめの結合データに再構築する。
【0050】
レイヤ2処理部25_3は、上述したレイヤ2処理部15(図2参照)と同様に、レイヤ2に関連する送受信処理を行う。
【0051】
レイヤ1処理部24_3は、レイヤ1に関連する送受信処理を行う。具体的には、図4(b)に示すように、レイヤ1処理部24_3は、復調処理を行う復調部240_3と、復号化処理を行う復号化処理部241_3と、符号化処理を行う符号化処理部242_3と、変調処理を行う変調処理部243_3とを備えている。
【0052】
復調処理部240_3は、受信アンテナ22_3を介した上りリンク信号の受信時に、SC−FDMA方式に準拠した復調処理を行う。具体的には、復調処理部240_3は、シンボルを復調するためのFFT部2401_3と、復調されたシンボルをユーザ毎に分離するサブキャリアデマッピング部2402_3と、ユーザ毎に分離されたシンボルに対して逆離散フーリエ変換処理を施すIDFT部2403_3と、多値変調されたシンボルを復調する復調部2404_3とを備えている。尚、図4(b)に示すように、IDFT部2403_3及び復調部2404_3は、ユーザ毎に個別に設けられていてもよい。
【0053】
復号化処理部241_3は、受信アンテナ22_3を介した上りリンク信号の受信時に、復号化処理を行う。具体的には、復号化処理部241_3は、割り当てられた物理チャネルリソースに合わせて伸長又は縮小されているデータを元のデータに戻すデレートマッチング部2411_3と、HARQ再送処理で再送データの合成を行うHARQ合成部2412_3と、ターボ符号化されたデータを復号するターボ復号化部2413_3と、復号されたデータの正否をチェックするCRCチェック部2414_3とを備えている。尚、図4(b)に示すように、デレートマッチング部2411_3、HARQ合成部2412_3、ターボ復号化部2413_3及びCRCチェック部2414_3は、ユーザ毎に個別に設けられていてもよい。
【0054】
符号化処理部242_3は、送信アンテナ21_3を介した下りリンク信号の送信時に、符号化処理を行う。具体的には、符号化処理部242_3は、データに対してCRCを付与するCRC付与部2423_3と、データのターボ符号化を行うターボ符号化部2422_3と、指定された物理チャネルリソースに合わせてデータの伸長又は縮小を行うレートマッチング部2421_3とを備えている。尚、図4(b)に示すように、CRC付与部2423_3、ターボ符号化部2422_3及びレートマッチング部2421_3は、ユーザ毎に個別に設けられていてもよい。
【0055】
変調処理部243_3は、送信アンテナ21_3を介した下りリンク信号の送信時に、OFDMA方式に準拠した変調処理を行う。具体的には、変調処理部243_3は、データを多値変調する変調部2433_3と、変調されたデータを指定された物理チャネルリソースに割り当てるサブキャリアマッピング部2432_3と、多重化されたデータを時間領域に変換するIFFT部2431_3とを備えている。尚、図4(b)に示すように、サブキャリアマッピング部2432_3及び変調部2433_3は、ユーザ毎に個別に設けられてもよい。
【0056】
RF部23_3は、送信アンテナ21_3を介した下りリンク信号の送信時には、レイヤ1処理部24_3から出力されるベースバンド信号に対して無線送信処理(例えば、高周波信号への変換処理等)を施す。RF部23_3は、無線送信処理が施されたベースバンド信号(つまり、下りリンク信号)を送信アンテナ21_3へと出力する。RF部23_3は、受信アンテナ22_3を介した上りリンク信号の受信時には、受信アンテナ22_3により受信された上りリンク信号に対して無線受信処理(例えば、ベースバンド信号への変換処理等)を施す。RF部23_3は、無線受信処理が施された上りリンク信号(つまり、ベースバンド信号)をレイヤ1処理部24_3へと出力する。
【0057】
受信アンテナ22_3は、アクセスリンクを介してUE30から送信されてくる上りリンク信号を受信する。受信アンテナ22_3は、受信した上りリンク信号をRF部23_3へと出力する。
【0058】
送信アンテナ21_3は、RF部23_3から出力される下りリンク信号を、アクセスリンクを介してUE30へと送信する。
【0059】
(1−2−3)UEのブロック図
図5を参照して、第1実施形態のUE30のハードウェア構成について説明する。ここに、図5は、第1実施形態のUE30のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0060】
図5に示すように、UE30は、送信アンテナ31と、受信アンテナ32と、RF部33と、レイヤ1処理部34と、レイヤ2処理部35と、RRC処理部36と、APL(Application)部37を備えている。
【0061】
送信アンテナ31は、RF部33から出力される上りリンク信号を、アクセスリンクを介してリレー局20へと送信する。また、送信アンテナ31は、RF部33から出力される上りリンク信号を、eNB10へと直接送信してもよい。
【0062】
受信アンテナ32は、アクセスリンクを介してリレー局20から送信されてくる下りリンク信号を受信する。また、受信アンテナ32は、eNB10から直接送信されてくる下りリンク信号を受信してもよい。受信アンテナ32は、受信した下りリンク信号をRF部33へと出力する。
【0063】
RF部33は、上りリンク信号の送信時には、レイヤ1処理部34から出力されるベースバンド信号に対して無線送信処理を施す。RF部33は、無線送信処理が施されたベースバンド信号(つまり、上りリンク信号)を送信アンテナ31へと出力する。RF部33は、下りリンク信号の受信時には、受信アンテナ32により受信された下りリンク信号に対して無線受信処理を施す。RF部33は、無線受信処理が施された下りリンク信号(つまり、ベースバンド信号)をレイヤ1処理部34へと出力する。
【0064】
レイヤ1処理部34は、レイヤ1に関連する送受信処理を行う。具体的には、レイヤ1処理部34は、復調処理を行う復調部340と、復号化処理を行う復号化処理部341と、符号化処理を行う符号化処理部342と、変調処理を行う変調処理部343とを備えている。
【0065】
復調処理部340は、下りリンク信号の受信時に、OFDMA方式に準拠した復調処理を行う。具体的には、復調処理部340は、シンボルを復調するためのFFT部3401と、多値変調されたシンボルを復調する復調部3404と、セルサーチや受信レベルの測定を行う測定部3405とを備えている。
【0066】
復号化処理部341は、下りリンク信号の受信時に、復号化処理を行う。具体的には、復号化処理部341は、割り当てられた物理チャネルリソースに合わせて伸長又は縮小されているデータを元のデータに戻すデレートマッチング部3411と、HARQ再送処理で再送データの合成を行うHARQ合成部3412と、ターボ符号化されたデータを復号するターボ復号化部3413と、復号されたデータの正否をチェックするCRCチェック部3414とを備えている。
【0067】
符号化処理部342は、上りリンク信号の送信時に、符号化処理を行う。具体的には、符号化処理部342は、データに対してCRCを付与するCRC付与部3423と、データのターボ符号化を行うターボ符号化部3422と、割り当てられた物理チャネルリソースに合わせてデータの伸長又は縮小を行うレートマッチング部3421とを備えている。
【0068】
変調処理部343は、上りリンク信号の送信時に、SC−FDMA方式に準拠した変調処理を行う。具体的には、変調処理部343は、多値変調する変調部3433と、データを変調するためのDFT部3434と、変調されたデータを指定された物理チャネルリソースに割り当てるサブキャリアマッピング部3432と、多重化されたデータに対して逆高速フーリエ変換処理を施すIFFT部3431とを備えている。
【0069】
レイヤ2処理部35は、上述したレイヤ2処理部15(図2参照)と同様に、レイヤ2に関連する送受信処理を行う。
【0070】
RRC処理部36は、レイヤ3に関連する送受信処理を行う。具体的には、RRC処理部36は、無線リソースの制御を行うRRCコネクション制御部361と、ハンドオーバー等の接続切り替え制御を行うモビリティ制御部363と、メジャーメント制御を行うメジャーメント制御部364とを備えている。
【0071】
APL部37は、ユーザデータを処理する上位レイヤに相当する。
【0072】
(1−3)リレー局の機能ブロック図
図6を参照して、第1実施形態のリレー局20の機能ブロックについて説明する。図6は、第1実施形態のリレー局20の機能ブロックを示すブロック図である。
【0073】
図6に示すように、リレー局20は、リレーリンク受信部281と、セルサーチ・レベル測定部282と、リレーリンク制御部283と、アクセスリンク送信制御部284と、アクセスリンク送信部285とを備えている。
【0074】
リレーリンク受信部281は、リレーリンクを介してeNB10から送信される下りリンク信号を受信する。リレーリンク受信部281は、受信した下りリンク信号をセルサーチ・レベル測定部282及びリレーリンク制御部283の夫々に対して出力する。
【0075】
セルサーチ・レベル測定部282は、リレーリンクを介してeNB10から送信される下りリンク信号から、周辺のeNB10を検出したり、検出したeNB10の受信レベルを測定する。セルサーチ・レベル測定部282は、測定した受信レベルを、リレーリンク制御部283に対して出力する。
【0076】
リレーリンク制御部283は、リレーリンクに関連する各種処理を制御する。リレーリンク制御部283は、RLF(Radio Link Failure:下り同期はずれ)判定部2831と、ハンドオーバー処理実行部2832と、物理チャネル変更処理部2833と、初期接続処理実行部2834と、再接続処理実行部2835と、下り同期判定部2836とを備えている。
【0077】
RLF判定部2831は、セルサーチ・レベル測定部282により測定された受信レベルに基づいて、リレーリンクの下り同期はずれが発生しているか否かを判定する。RLF判定部2831は、判定結果を再接続処理実行部2835に対して出力する。
【0078】
ハンドオーバー処理実行部2832は、リレーリンク受信部281から出力される下り同期信号に含まれる制御メッセージに基づいて、ハンドオーバー処理を実行する。ハンドオーバー処理実行部2832は、ハンドオーバー処理を実行した旨を示す制御メッセージを、下り同期判定部2836に対して出力する。
【0079】
物理チャネル変更処理部2833は、リレーリンク受信部281から出力される下り同期信号に含まれる制御メッセージに基づいて、リレー局20が使用する物理チャネル又は指定された物理チャネルを変更する。物理チャネル変更処理部2833は、物理チャネルを変更した旨を示す制御メッセージを、下り同期判定部2836に対して出力する。
【0080】
初期接続処理実行部2834は、eNB10に対するリレー局20の初期接続処理(例えば、リレー局20の電源ON時の初期接続処理)を実行する。初期接続処理実行部2834は、初期接続処理を行った旨を示す制御メッセージを、下り同期判定部2836に対して出力する。
【0081】
再接続処理実行部2835は、RLF判定部2831の判定結果に基づいて、eNB10に対するリレー局20の再接続処理を実行する。再接続処理実行部2835は、再接続処理を行った旨を示す制御メッセージを、下り同期判定部2836に対して出力する。
【0082】
下り同期判定部2836は、「検出部」の一例であって、リレーリンク(例えば、下り方向のリレーリンク)の同期が確立されているか否かを判定する。言い換えれば、下り同期判定部2836は、リレーリンク(例えば、下り方向のリレーリンク)を介してeNB10とリレー局20とが接続状態にあるか否かを判定する。下り同期判定部2836は、判定結果をアクセスリンク送信制御部284に対して出力する。尚、リレーリンクの同期が確立されているか否かの判定動作は、例えば、パイロット信号等の既知の信号を一定時間以上所定の受信品質以上で受信することが可能か否かに基づいて行われる。
【0083】
アクセスリンク送信制御部284は、アクセスリンクに関連する各種処理を制御する。アクセスリンク送信制御部284は、「制御部」の一例であるパイロット・同期信号生成部2841を備えている。パイロット・同期信号生成部2841は、下り同期判定部2836による判定結果に基づいて、パイロット・同期信号を生成するか否かを決定する。パイロット・同期信号生成部284は、決定の結果に基づいて、アクセスリンク送信部285の動作を制御する。
【0084】
アクセスリンク送信部285は、アクセスリンクを介して、下りリンク信号をUE30に対して送信する。
【0085】
尚、リレーリンク受信部281は、例えば、図3及び図4(a)に示すレイヤ1処理部23_1の復調処理部240_1や復号化処理部241_1によって実現される機能ブロックである。セルサーチ・レベル測定部282は、例えば、図3及び図4(a)に示すレイヤ1処理部23_1の測定部2405_1によって実現される機能ブロックである。リレーリンク制御部283は、例えば、図3に示すRRC処理部26によって実現される機能ブロックである。より具体的には、RLF判定部2831は、例えば、図3に示すRRC処理部26のRRCコネクション制御(リレー用)部261_1によって実現される機能ブロックである。ハンドオーバー処理実行部2832は、例えば、図3に示すRRC処理部26のモビリティ制御(リレー用)部263_1によって実現される機能ブロックである。物理チャネル変更処理部2833は、例えば、図3に示すRRC処理部26のRRCコネクション制御(リレー用)部261_1によって実現される機能ブロックである。初期接続処理実行部2834は、例えば、図3に示すRRC処理部26のRRCコネクション制御(リレー用)部261_1によって実現される機能ブロックである。再接続処理実行部2835は、例えば、図3に示すRRC処理部26のRRCコネクション制御(リレー用)部261_1によって実現される機能ブロックである。下り同期判定部2836は、例えば、図3に示すRRC処理部26のRRCコネクション制御(リレー用)部261_1及びモビリティ制御(リレー用)部263_1によって実現される機能ブロックである。アクセスリンク送信制御部284は、例えば、図3に示すRRC処理部26によって実現される機能ブロックである。より具体的には、パイロット・同期信号生成部2841は、例えば、図3に示すRRC処理部26のRRCコネクション制御(端末用)部261_3によって実現される機能ブロックである。アクセスリンク送信部285は、例えば、図3及び図4(b)に示すレイヤ1処理部23_3の変調処理部243_3や符号化処理部242_3によって実現される機能ブロックである。但し、図3及び図4に示すリレー局20のハードウェア構成と図6に示すリレー局20の機能ブロックとの対応付けは一例であり、リレー局20は、上述した例以外の対応付けによって説明される機能ブロックを備えていてもよい。
【0086】
(1−4)動作説明
図7を参照して、第1実施形態の無線通信システム1が備えるリレー局20の動作について説明する。図7は、第1実施形態のリレー局20の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【0087】
図7に示すように、リレー局20の電源がオフ(OFF)からオン(ON)に切り替えられる(ステップS10)。
【0088】
電源がオンに切り替えられた後、リレー局20が備えるセルサーチ・レベル測定部282は、リレー局20の周辺のeNB10(或いは、セル19)の検出および検出したeNB10の受信レベルを測定する(ステップS11)。尚、セルサーチ・レベル測定部282によって測定された周辺のeNB10の受信レベルは、初期接続処理実行部2834に対して出力される。
【0089】
その後、初期接続処理実行部2834は、セルサーチ・レベル測定部282によって測定された受信レベルに基づいて、リレー局20の周辺に接続可能なeNB10が検出されたか否かを判定する(ステップS12)。更に、初期接続処理実行部2834は、リレー局20の周辺に接続可能なeNB10が検出された場合には、当該検出されたeNB10を対象として初期接続処理を実行する(ステップS12)。加えて、下り同期判定部2836は、リレーリンク(例えば、下り方向のリレーリンク)の同期が確立されているか否かを判定することで、初期接続処理実行部2834によって実行された初期接続処理が成功したか否かを判定する(ステップS12)。
【0090】
リレー局20の周辺に接続可能なeNB10が検出され且つ当該検出されたeNB10に対して実行された初期接続処理が成功した場合には(ステップS12:Yes)、下りリンク同期判定部2836は、リレー局20の状態(接続状態)を圏内状態に設定する(ステップS13)。その後、パイロット・同期信号生成部2841は、パイロット信号及び同期信号を生成するようにアクセスリンク送信部285の動作を制御する(ステップS13)。アクセスリンク送信部285は、アクセスリンクを介して、パイロット信号及び同期信号を含む下りリンク信号をUE30に対して送信する(ステップS14)。その結果、例えば新たにリレー局20との無線通信を開始しようとしているUE30は、同期信号を検出することで、リレー局20との間の無線通信を開始することができる。或いは、例えば既にリレー局20との無線通信を開始しているUE30は、パイロット信号を検出することで、リレー局20との間の無線通信を継続することができる。従って、UE30の状態は圏内状態となる。
【0091】
他方で、リレー局20の周辺に接続可能なeNB10が検出されないか又は検出されたeNB10に対して実行された初期接続処理が成功しなかった場合には(ステップS12:No)、下りリンク同期判定部2836は、リレー局20の状態を圏外状態に設定する(ステップS15)。その後、パイロット・同期信号生成部2841は、パイロット信号及び同期信号を生成しないようにアクセスリンク送信部285の動作を制御する(ステップS15)。アクセスリンク送信部285は、アクセスリンクを介して、パイロット信号及び同期信号を含まない下りリンク信号をUE30に対して送信する(ステップS16)。その結果、例えば新たにリレー局20との無線通信を開始しようとしているUE30は、同期信号を検出することができないため、リレー局20との間の無線通信を開始することができない。或いは、例えば既にリレー局20との無線通信を開始しているUE30は、パイロット信号を検出することができないため、リレー局20との間の無線通信を継続することができない。従って、UE30の状態は圏外状態となる。
【0092】
以上の動作は、リレー局20の電源がオフからオンに切り替えられるタイミングで実行される初期動作に相当する。初期動作に続いて、リレー局20の電源がオンとなっている間に行われる定常動作について以下に説明する。
【0093】
下りリンク同期判定部2836は、リレー局20の状態が圏内状態に設定されているか否かを判定する(ステップS20)。
【0094】
ステップS20の判定の結果、リレー局20の状態が圏内状態にあると判定された場合には(ステップS20:Yes)、リレーリンク制御部283は、リレーリンクの状態を監視する(ステップS21)。以下、図8を参照して、リレーリンクの状態を監視する動作について説明する。図8は、第1実施形態のリレー局20が備えるリレーリンク制御部283が行うリレーリンクの状態を監視する動作の流れを示すフローチャートである。
【0095】
図8に示すように、リレーリンクの状態を監視する動作は、例えば、(i)リレーリンクの受信レベルの測定、(ii)物理チャネルの変更、及び(iii)ハンドオーバー処理の実行に付随して行われる。
【0096】
具体的には、リレーリンクの受信レベルの測定に付随してリレーリンクの状態を監視する場合には、セルサーチ・レベル測定部282は、周期的に又は任意のタイミングでリレーリンクの受信レベルを測定する(ステップS30)。その後、RLF判定部2831は、セルサーチ・レベル測定部282により測定された受信レベルに基づいて、リレーリンクの下り同期はずれが発生しているか否か(つまり、RLFが発生しているか否か)を判定する(ステップS41)。
【0097】
ステップS41の判定の結果、RLFが発生していると判定された場合には(ステップS41:Yes)、セルサーチ・レベル測定部282は、セルサーチ処理による周辺eNB10の検出および検出したeNB10の受信レベルを測定する。その後、再接続処理実行部2835は、セルサーチ・レベル測定部282によって測定された受信レベルに基づいて、リレー局20の周辺に接続可能なeNB10が検出されたか否かを判定する(ステップS42)。
【0098】
リレー局20の周辺に接続可能なeNB10が検出されたと判定された場合には(ステップS43:Yes)、再接続処理部2835は、検出されたeNB10を対象として再接続処理を実行する(ステップS44)。その後、セルサーチ・レベル測定部282は、再接続処理が実行されたeNB10とリレー局20との間のリレーリンクの受信レベルを測定する(ステップS46)。続いて、下り同期判定部2836は、ステップS46において測定された受信レベルに基づいて、下り方向のリレーリンクの同期が確立されているか否かを判定する(ステップS47)。ステップS47の判定の結果、下り方向のリレーリンクの同期が確立されていると判定された場合には(ステップS47:Yes)、下り同期判定部2836は、リレーリンクが接続状態にあると判定する(ステップS48)。他方で、ステップS47の判定の結果、下り方向のリレーリンクの同期が確立されていないと判定された場合には(ステップS47:No)、下り同期判定部2836は、リレーリンクが切断状態にあると判定する(ステップS45)。
【0099】
他方で、RLFが発生していないと判定された場合には(ステップS41:No)、下り同期判定部2836は、リレーリンクが接続状態にあると判定する(ステップS48)。或いは、リレー局20の周辺に接続可能なeNB10が検出されていないと判定された場合には(ステップS43:No)、下り同期判定部2836は、リレーリンクが切断状態にあると判定する(ステップS45)。
【0100】
物理チャネルの変更に付随してリレーリンクの状態を監視する場合には、物理チャネル変更処理部2833が物理チャネルを変更した後(ステップS31)、セルサーチ・レベル測定部282は、リレーリンクの受信レベルを測定する(ステップS46)。続いて、下り同期判定部2836は、ステップS46において測定された受信レベルに基づいて、下り方向のリレーリンクの同期が確立されているか否かを判定する(ステップS47)。ステップS47の判定の結果、下り方向のリレーリンクの同期が確立されていると判定された場合には(ステップS47:Yes)、下り同期判定部2836は、リレーリンクが接続状態にあると判定する(ステップS48)。他方で、ステップS47の判定の結果、下り方向のリレーリンクの同期が確立されていないと判定された場合には(ステップS47:No)、下り同期判定部2836は、リレーリンクが切断状態にあると判定する(ステップS45)。
【0101】
ハンドオーバー処理の実行に付随してリレーリンクの状態を監視する場合には、ハンドオーバー処理実行部2832は、ハンドオーバー処理を実行した後(ステップS32)、ハンドオーバー先のeNB10の検出に成功したか否かを判定する(ステップS49)。ステップS49の判定の結果、ハンドオーバー先のeNB10の検出に成功したと判定された場合には(ステップS49:Yes)、更に、セルサーチ・レベル測定部282がリレーリンクの受信レベルを測定すると共に(ステップS46)、下り同期判定部2836が下り方向のリレーリンクの同期が確立されているか否かを判定する(ステップS47)。下り方向のリレーリンクの同期が確立されていると判定された場合には(ステップS47:Yes)、下り同期判定部2836は、リレーリンクが接続状態にあると判定する(ステップS48)。他方で、下り方向のリレーリンクの同期が確立されていないと判定された又はハンドオーバー先のeNB10の検出に成功していないと判定された場合には(ステップS47:No又はステップS49:No)、下り同期判定部2836は、リレーリンクが切断状態にあると判定する(ステップS45)。
【0102】
再び図7において、下り同期判定部2836は、リレーリンクが切断状態にあるか否かを判定する(ステップS22)。
【0103】
ステップS22における判定の結果、リレーリンクが接続状態にあると判定された場合には(ステップS22:No)、リレーリンク制御部283は、ステップS20以降の動作を繰り返す。
【0104】
他方で、ステップS22における判定の結果、リレーリンクが切断状態にあると判定された場合には(ステップS22:Yes)、パイロット・同期信号生成部2841は、パイロット信号及び同期信号を生成しないようにアクセスリンク送信部285の動作を制御する(ステップS23)。下りリンク同期判定部2836は、リレー局20の状態を圏外状態に設定する(ステップS24)。アクセスリンク送信部285は、アクセスリンクを介して、パイロット信号及び同期信号を含まない下りリンク信号をUE30に対して送信する。従って、上述したように、UE30の状態は圏外状態となる。以降、リレーリンク制御部283は、ステップS20以降の動作を繰り返す。
【0105】
他方で、ステップS20の判定の結果、リレー局20の状態が圏内状態にないと判定された場合には(ステップS20:No)、セルサーチ・レベル測定部282は、セルサーチ処理による周辺eNB10の検出と検出したeNB10の受信レベルを測定する。その後、初期接続処理実行部2834は、セルサーチ・レベル測定部282によって測定された受信レベルに基づいて、リレー局20の周辺に新たな接続可能なeNB10が検出されたか否かを判定する(ステップS25)。
【0106】
ステップS25の判定の結果、リレー局20の周辺に新たな接続可能なeNB10が検出されていないと判定された場合には(ステップS25:No)、リレーリンク制御部283は、ステップS20以降の動作を繰り返す。
【0107】
他方で、ステップS25の判定の結果、リレー局20の周辺に新たな接続可能なeNB10が検出されたと判定された場合には(ステップS25:Yes)、初期接続処理実行部2834は、検出されたeNB10を対象として初期接続処理を実行する(ステップS26)。その後、初期接続処理実行部2834は、接続処理が成功したか否かを判定する(ステップS27)。
【0108】
ステップS27の判定の結果、接続処理が成功していないと判定された場合には(ステップS27:No)、リレーリンク制御部283は、ステップS20以降の動作を繰り返す。
【0109】
他方で、ステップS27の判定の結果、接続処理が成功したと判定された場合には(ステップS27:Yes)、パイロット・同期信号生成部2841は、パイロット信号及び同期信号を生成するようにアクセスリンク送信部285の動作を制御する(ステップS28)。また、下りリンク同期判定部2836は、リレー局20の状態を圏内状態に設定する(ステップS29)。このため、アクセスリンク送信部285は、アクセスリンクを介して、パイロット信号及び同期信号を含む下りリンク信号をUE30に対して送信する。従って、UE30の状態は圏内状態となる。以降、リレーリンク制御部283は、ステップS20以降の動作を繰り返す。
【0110】
以上説明したように、第1実施形態の無線通信システム1によれば、eNB10とリレー局20との間のリレーリンクの状態が切断状態である場合には、リレー局20からUE30へのパイロット信号及び同期信号の送信を停止することができる。このため、リレーリンクの状態が切断状態である場合には、UE30を圏外状態へ遷移させることができる。従って、UE30のユーザが無駄な発信動作を繰り返し行ってしまう不都合を好適に抑制することができると共に、UE30もまた無駄な発信動作を繰り返し行わなくてよい。従って、UE30側での不要な動作を削減すると共にユーザの利便性を向上させることができる。
【0111】
(2)第2実施形態
図9及び図10を参照して、第2実施形態の無線通信システムについて説明を進める。第2実施形態の無線通信システム2では、第1実施形態の無線通信システム1と比較して、リレー局50の機能ブロック及び動作が異なっている。従って、以下では、説明の簡略化のために、第1実施形態と異なる構成及び動作に着目して説明を進めると共に、第1実施形態の無線通信システム1と同一の構成及び動作については、同一の参照符号を付してその詳細な説明については省略する。
【0112】
(2−1)リレー局の機能ブロック図
図9を参照して、第2実施形態の無線通信システムが備えるリレー局50の機能ブロックについて説明する。図9は、第2実施形態のリレー局50の機能ブロックを示すブロック図である。
【0113】
図9に示すように、第2実施形態のリレー局50は、第1実施形態のリレー局20と同様に、リレーリンク受信部281と、セルサーチ・レベル測定部282と、リレーリンク制御部283と、アクセスリンク送信制御部284と、アクセスリンク送信部285とを備えている。
【0114】
第2実施形態のリレー局50は更に、アクセスリンク接続制御部586を備えている。アクセスリンク接続制御部586は、リレー局50と接続しているUE30に対して、アクセスリンク送信部285を介して呼切断メッセージを送信することで、呼切断を指示する。
【0115】
また、第2実施形態では、アクセスリンク送信制御部284は、上述したパイロット・同期信号生成部2841(図6参照)に代えて、「制御部」の一例となる報知情報生成部5842を備えている。報知情報生成部5842は、リレー局50の中継エリア29内に位置するUE30全てに対して送信される報知情報を生成すると共に、当該報知情報を送信するようにアクセスリンク送信部285の動作を制御する。
【0116】
尚、アクセスリンク接続制御部586は、例えば、図3に示すRRC処理部26のRRCコネクション制御(端末用)部261_3によって実現される機能ブロックである。報知情報生成部5842は、例えば、図3に示すRRC処理部26の報知情報制御部262によって実現される機能ブロックである。
【0117】
(2−2)動作説明
図10を参照して、第2実施形態の無線通信システムが備えるリレー局50の動作について説明する。図10は、第2実施形態のリレー局50の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【0118】
図10に示すように、第2実施形態のリレー局50は、第1実施形態のリレー局20と同様に、リレー局20の電源がオフ(OFF)からオン(ON)に切り替えられる(ステップS10)。電源がオンに切り替えられた後、セルサーチ・レベル測定部282は、リレー局20の周辺のeNB10の検出および検出したeNB10の受信レベルを測定する(ステップS11)。初期接続処理実行部2834は、セルサーチ・レベル測定部282によって測定された受信レベルに基づいて、リレー局20の周辺に接続可能なeNB10が検出されたか否かを判定する(ステップS12)。更に、初期接続処理実行部2834は、リレー局20の周辺に接続可能なeNB10が検出された場合には、当該検出されたeNB10を対象として初期接続処理を実行する(ステップS12)。加えて、下り同期判定部2836は、リレーリンク(例えば、下り方向のリレーリンク)の同期が確立されているか否かを判定することで、初期接続処理実行部2834によって実行された初期接続処理が成功したか否かを判定する(ステップS12)。
【0119】
リレー局20の周辺に接続可能なeNB10が検出され且つ当該検出されたeNB10に対して実行された初期接続処理が成功した場合には(ステップS12:Yes)、下りリンク同期判定部2836は、リレー局20の状態を圏内状態に設定する(ステップS13)。その後、報知情報生成部5842は、リレー局50とUE30との間のアクセスリンクを用いた無線通信を許可する旨を指示する報知情報を生成すると共に、当該報知情報を送信するようにアクセスリンク送信部285の動作を制御する(ステップS50)。アクセスリンク送信部285は、アクセスリンクを介して、報知情報を含む下りリンク信号をUE30に対して送信する。報知情報を含む下りリンク信号を受信したUE30は、報知情報を参照することで、リレー局50との間の無線通信が許可されていることを認識する。従って、UE30は、リレー局50との間の無線通信を開始する又は継続することができる。
【0120】
他方で、リレー局20の周辺に接続可能なeNB10が検出されないか又は検出されたeNB10に対して実行された初期接続処理が成功しなかった場合には(ステップS12:No)、下りリンク同期判定部2836は、リレー局20の状態を圏外状態に設定する(ステップS15)。その後、報知情報生成部5842は、リレー局50とUE30との間のアクセスリンクを用いた無線通信を禁止する旨を指示する報知情報を生成すると共に、当該報知情報を送信するようにアクセスリンク送信部285の動作を制御する(ステップS51)。アクセスリンク送信部285は、アクセスリンクを介して、報知情報を含む下りリンク信号をUE30に対して送信する。報知情報を含む下りリンク信号を受信したUE30は、報知情報を参照することで、リレー局50との間の無線通信が禁止されていることを認識する。従って、UE30は、リレー局50との間の無線通信を停止することができる。尚、リレー局50とUE30との間のアクセスリンクを用いた無線通信を禁止する旨を指示する報知情報を受信したUE30は、当該無線通信の禁止をユーザに対して通知するべく、所定の警告表示を表示したり警告音声を発してもよい。
【0121】
以上の動作は、リレー局20の電源がオフからオンに切り替えられるタイミングで実行される初期動作に相当する。初期動作に続いて、リレー局20の電源がオンとなっている間に行われる定常動作について以下に説明する。
【0122】
下りリンク同期判定部2836は、リレー局20の状態が圏内状態に設定されているか否かを判定する(ステップS20)。
【0123】
ステップS20の判定の結果、リレー局20の状態が圏内状態にあると判定された場合には(ステップS20:Yes)、リレーリンク制御部283は、リレーリンクの状態を監視する(ステップS21)。リレーリンクの状態の監視の際には、下り同期判定部2836は、リレーリンクが切断状態にあるか否かを判定する(ステップS22)。
【0124】
ステップS22における判定の結果、リレーリンクが接続状態にあると判定された場合には(ステップS22:No)、リレーリンク制御部283は、ステップS20以降の動作を繰り返す。
【0125】
他方で、ステップS22における判定の結果、リレーリンクが切断状態にあると判定された場合には(ステップS22:Yes)、報知情報生成部5842は、リレー局50とUE30との間のアクセスリンクを用いた無線通信を禁止する旨を指示する報知情報を生成すると共に、当該報知情報を送信するようにアクセスリンク送信部285の動作を制御する(ステップS52)。加えて、アクセスリンク接続制御部586は、リレー局50と接続しているUE30に対して呼切断メッセージを含む下りリンク信号を送信するようにアクセスリンク送信部285の動作を制御する(ステップS53)。アクセスリンク送信部285は、アクセスリンクを介して、報知情報及び呼切断メッセージを含む下りリンク信号をUE30に対して送信する。報知情報及び呼切断メッセージを含む下りリンク信号を受信したUE30は、報知情報を参照することで、リレー局50との間の無線通信が禁止されていることを認識すると共に、呼切断メッセージを参照することでリレー局50との間の接続が強制的に切断されることを認識する。従って、UE30は、リレー局50との間の無線通信を停止することができる。また、下りリンク同期判定部2836は、リレー局20の状態を圏外状態に設定する(ステップS24)。以降、リレーリンク制御部283は、ステップS20以降の動作を繰り返す。
【0126】
他方で、ステップS20の判定の結果、リレー局20の状態が圏内状態にないと判定された場合には(ステップS20:No)、初期接続処理実行部2834は、リレー局20の周辺に新たな接続可能なeNB10が検出されたか否かを判定する(ステップS25)。
【0127】
ステップS25の判定の結果、リレー局20の周辺に新たな接続可能なeNB10が検出されていないと判定された場合には(ステップS25:No)、リレーリンク制御部283は、ステップS20以降の動作を繰り返す。
【0128】
他方で、ステップS25の判定の結果、リレー局20の周辺に新たな接続可能なeNB10が検出されたと判定された場合には(ステップS25:Yes)、初期接続処理実行部2834は、検出されたeNB10を対象として接続処理を実行する(ステップS26)。その後、初期接続処理実行部2834は、接続処理が成功したか否かを判定する(ステップS27)。
【0129】
ステップS27の判定の結果、接続処理が成功していないと判定された場合には(ステップS27:No)、リレーリンク制御部283は、ステップS20以降の動作を繰り返す。
【0130】
他方で、ステップS27の判定の結果、接続処理が成功したと判定された場合には(ステップS27:Yes)、報知情報生成部5842は、リレー局50とUE30との間のアクセスリンクを用いた無線通信を許可する旨を指示する報知情報を生成すると共に、当該報知情報を送信するようにアクセスリンク送信部285の動作を制御する(ステップS54)。アクセスリンク送信部285は、アクセスリンクを介して、報知情報を含む下りリンク信号をUE30に対して送信する。報知情報を含む下りリンク信号を受信したUE30は、報知情報を参照することで、リレー局50との間の無線通信が許可されていることを認識する。従って、UE30は、リレー局50との間の無線通信を開始することができる。また、下りリンク同期判定部2836は、リレー局20の状態を圏内状態に設定する(ステップS29)。以降、リレーリンク制御部283は、ステップS20以降の動作を繰り返す。
【0131】
以上説明したように、第2実施形態の無線通信システム2によれば、eNB10とリレー局50との間のリレーリンクの状態が切断状態である場合には、リレー局50とUE30との間のアクセスリンクを用いた無線通信を禁止することができる。言い換えれば、リレーリンクの状態が接続状態である場合に、リレー局50とUE30との間のアクセスリンクを用いた無線通信を選択的に許可することができる。従って、UE30のユーザが無駄な発信動作を繰り返し行ってしまう不都合を好適に抑制することができると共に、UE30もまた無駄な発信動作を繰り返し行わなくてよい。従って、UE30側での不要な動作を削減すると共にユーザの利便性を向上させることができる。
【0132】
(3)第3実施形態
図11及び図12を参照して、第3実施形態の無線通信システムについて説明を進める。第3実施形態の無線通信システム3では、第2実施形態の無線通信システムと比較して、リレー局60の機能ブロック及び動作が異なっている。従って、以下では、説明の簡略化のために、第2実施形態と異なる構成及び動作に着目して説明を進めると共に、第2実施形態の無線通信システム2と同一の構成及び動作については、同一の参照符号を付してその詳細な説明については省略する。
【0133】
(3−1)リレー局の機能ブロック図
図11を参照して、第3実施形態の無線通信システムが備えるリレー局60の機能ブロックについて説明する。図11は、第3実施形態のリレー局60の機能ブロックを示すブロック図である。
【0134】
図11に示すように、第3実施形態のリレー局60は、第2実施形態のリレー局50と同様に、リレーリンク受信部281と、セルサーチ・レベル測定部282と、リレーリンク制御部283と、アクセスリンク送信制御部284と、アクセスリンク送信部285と、アクセスリンク接続制御部586とを備えている。
【0135】
第3実施形態のリレー局60は更に、異システム測定部687を備えている。異システム測定部687は、リレーリンク受信部281の受信結果に基づいて、リレー局60が現在無線通信を行っている無線通信システムとは異なる無線通信システムが存在するか否かを検出する。例えば、リレー局60が現在無線通信を行っている無線通信システム3がLTEに準拠した無線通信システムである場合には、異システム測定部687は、例えばWiMAXに準拠した無線通信システムやWiFiないしは無線LANに準拠した無線通信システムが存在するか否かを判定する。
【0136】
尚、異システム測定部687は、例えば、図3及び図4(a)に示すレイヤ1処理部24_1の測定部2405_1によって実現される機能ブロックである。
【0137】
(3−2)動作説明
図12を参照して、第3実施形態の無線通信システムが備えるリレー局60の動作について説明する。図12は、第3実施形態のリレー局60の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【0138】
図12に示すように、第3実施形態のリレー局60は、第2実施形態のリレー局50と比較して、リレーリンクの状態の監視動作及びリレーリンクの切断の検出動作(ステップS21及びステップS22)に続く動作が異なっている。第3実施形態のリレー局60のその他の動作については、第2実施形態のリレー局50の動作と同様である。具体的には、第3実施形態では、リレーリンクが切断していると判定された場合には(ステップS22:Yes)、アクセスリンク接続制御部586は、異システム測定部687から得た情報を用いて、UE30が接続可能な異なる無線通信システムが存在するか否かを判定する(ステップS60)。ステップS60の判定の結果、UE30が接続可能な異なる無線通信システムが存在すると判定された場合には(ステップS60:Yes)、リレー局60は、異なる無線通信システムをハンドオーバー先としてハンドオーバー処理を実行するようにUE30に対して指示メッセージを送信する(ステップS61)。その結果、UE30は、異なる無線通信システムに対してハンドオーバー処理を実行することで、無線通信を継続する。他方で、UE30が接続可能な異なる無線通信システムが存在しないと判定された場合には(ステップS60:No)、UE30へハンドオーバーの指示(ステップS61)を行わず、第2実施形態のリレー局同様、報知情報の更新および終話処理を行う。
【0139】
以上説明したように、第3実施形態の無線通信システムによれば、eNB10とリレー局60との間のリレーリンクの状態が切断状態である場合には、リレー局60とUE30との間のアクセスリンクを用いた無線通信を禁止することができる。従って、UE30のユーザが無駄な発信動作を繰り返し行ってしまう不都合を好適に抑制することができると共に、UE30もまた無駄な発信動作を繰り返し行わなくてもよい。従って、UE30側での不要な動作を削減すると共にユーザの利便性を向上させることができる。
【0140】
加えて、第3実施形態の無線通信システムによれば、eNB10とリレー局60との間のリレーリンクの状態が切断状態である場合であって且つ異なる無線通信システムへのハンドオーバー処理を実行することができる場合には、UE30の通信先をリレー局60から異なる無線通信システムへと変えることができる。このため、UE30の無線通信を好適に継続することができる。
【0141】
(4)第4実施形態
図13及び図14を参照して、第4実施形態の無線通信システムについて説明を進める。第4実施形態の無線通信システムでは、第1実施形態の無線通信システム1と比較して、リレー局70の機能ブロック及び動作が異なっている。従って、以下では、説明の簡略化のために、第1実施形態と異なる構成及び動作に着目して説明を進めると共に、第1実施形態の無線通信システム1と同一の構成及び動作については、同一の参照符号を付してその詳細な説明については省略する。
【0142】
(4−1)リレー局の機能ブロック図
図13を参照して、第4実施形態の無線通信システムが備えるリレー局70の機能ブロックについて説明する。図13は、第4実施形態のリレー局70の機能ブロックを示すブロック図である。
【0143】
図13に示すように、第4実施形態のリレー局70は、第1実施形態のリレー局20と同様に、リレーリンク受信部281と、セルサーチ・レベル測定部282と、リレーリンク制御部283と、アクセスリンク送信部285とを備えている。つまり、第4実施形態のリレー局70は、第1実施形態のリレー局20と比較して、アクセスリンク送信制御部284を備えていないという点で異なっている。
【0144】
(4−2)動作説明
図14を参照して、第4実施形態の無線通信システムが備えるリレー局70の動作について説明する。図14は、第4実施形態のリレー局70の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【0145】
図14に示すように、第4実施形態のリレー局70は、第1実施形態のリレー局20と比較して、リレーリンクの状態が切断状態である場合にパイロット信号及び同期信号の送信を停止し(図7のステップS16及びS23参照)且つリレーリンクの状態が接続状態である場合にパイロット信号及び同期信号の送信を開始する(図7のステップS14及びS28参照)ことに代えて、リレーリンクの状態が切断状態である場合にリレー局70からUE30への下りリンク信号全体の送信を停止し(ステップS72及びS73)且つリレーリンクの状態が接続状態である場合に下りリンク信号全体の送信を開始する(ステップS71及びS74参照)という点において異なっている。第4実施形態のリレー局70のその他の動作については、第1実施形態のリレー局20の動作と同様である。
【0146】
以上説明したように、第4実施形態の無線通信システムによれば、eNB10とリレー局70との間のリレーリンクの状態が切断状態である場合には、リレー局70からUE30への下りリンク信号の送信を停止することができる。このため、リレーリンクの状態が切断状態である場合には、UE30を圏外状態へ遷移させることができる。従って、UE30のユーザが無駄な発信動作を繰り返し行ってしまう不都合を好適に抑制することができると共に、UE30もまた無駄な発信動作を繰り返し行わなくてよい。従って、UE30側での不要な動作を削減すると共にユーザの利便性を向上させることができる。
【0147】
加えて、第4実施形態の無線通信システム4によれば、DF(Decode and Forward)型のリレー局のみならず、受信した信号を増幅して送信するAF(Amplify and Forward)型のリレー局に対しても、上述した構成及び動作を適用することができる。従って、比較的容易に上述した効果を享受することが可能なリレー局を実現することができる。
【0148】
以上説明した第1から第4実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
【0149】
(付記1)
無線基地局と移動端末との間の無線通信を中継する中継局であって、無線通信区間である前記無線基地局と当該中継局との間の第1リンクの状態を検出する検出部と、前記第1リンクの状態に応じて、前記移動端末と当該中継局との間の第2リンクの状態を制御する制御部とを備えることを特徴とする中継局。
【0150】
(付記2)
前記制御部は、(i)前記第1リンクが切断状態にある場合に、前記第2リンクにおける無線通信が行われなくなるように前記第2リンクの状態を制御し、(ii)前記第1リンクが接続状態にある場合に、前記第2リンクにおける無線通信が行われるように、前記第2リンクの状態を制御することを特徴とする付記1に記載の中継局。
【0151】
(付記3)
前記制御部は、前記第1リンクが切断状態にある場合に、前記第2リンクを介して当該中継局から前記移動端末へと送信される中継信号のうち少なくとも同期信号及びパイロット信号の送信を停止することで前記第2リンクの状態を制御することを特徴とする付記1又は2に記載の中継局。
【0152】
(付記4)
前記制御部は、前記第1リンクが切断状態にある場合に、前記第2リンクを介して当該中継局から前記移動端末へと送信される中継信号の送信を停止することで前記第2リンクの状態を制御することを特徴とする付記1から3のいずれか一項に記載の中継局。
【0153】
(付記5)
前記制御部は、前記第1リンクが切断状態にある場合に、前記第2リンクを介した無線通信を行わないことを示す報知信号を前記移動端末に対して送信することで前記第2リンクの状態を制御することを特徴とする付記1から4のいずれか一項に記載の中継局。
【0154】
(付記6)
前記報知信号を受信した前記移動端末は、前記第2リンクを介した前記中継局との間の無線通信を停止し、前記報知信号を送信した当該中継局は、前記第2リンクを介した前記移動端末との間の無線通信を停止することを特徴とする付記5に記載の中継局。
【0155】
(付記7)
前記検出部は、前記無線基地局から当該中継局へと向かう下り方向の通信品質を測定することで、前記第1リンクの状態を検出することを特徴とする付記1から6のいずれか一項に記載の中継局。
【0156】
(付記8)
前記検出部は、(i)所定のタイミング、(ii)ハンドオーバーが実行されるタイミング、及び(iii)物理チャネルのパラメータが変更されるタイミングの少なくとも1つのタイミングで、前記第1リンクの状態を検出することを特徴とする付記1から7のいずれか一項に記載の中継局。
【0157】
(付記9)
無線基地局と移動端末との間の通信を中継する中継方法であって、無線通信区間である前記無線基地局と当該中継局との間の第1リンクの状態を検出する検出工程と、前記第1リンクの状態に応じて、前記移動端末と当該中継局との間の第2リンクの状態を制御する制御工程とを備えることを特徴とする中継方法。
【0158】
(付記10)
無線基地局と、移動端末と、前記無線基地局と前記移動端末との間の通信を中継する中継局を備える無線通信システムであって、前記中継局は、無線通信区間である前記無線基地局と当該中継局との間の第1リンクの状態を検出する検出部と、前記第1回線の状態に応じて、前記移動端末と当該中継局との間の第2リンクの状態を制御する制御部とを備えることを特徴とする無線通信システム。
【0159】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う中継局及び中継方法、並びに無線通信システムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0160】
1 無線通信システム
10 eNB
20、50、60、70 リレー局
281 リレーリンク受信部
282 セルサーチ・レベル測定部
283 リレーリンク制御部
2836 下り同期判定部
284 アクセスリンク送信制御部
2841 パイロット・同期信号生成部
285 アクセスリンク送信部
30 UE
5842 報知情報生成部
586 アクセスリンク接続制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線基地局と移動端末との間の無線通信を中継する中継局であって、
無線通信区間である前記無線基地局と当該中継局との間の第1リンクの状態を検出する検出部と、
前記第1リンクの状態に応じて、前記移動端末と当該中継局との間の第2リンクの状態を制御する制御部と
を備えることを特徴とする中継局。
【請求項2】
前記制御部は、(i)前記第1リンクが切断状態にある場合に、前記第2リンクにおける無線通信が行われなくなるように前記第2リンクの状態を制御し、(ii)前記第1リンクが接続状態にある場合に、前記第2リンクにおける無線通信が行われるように、前記第2リンクの状態を制御することを特徴とする請求項1に記載の中継局。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1リンクが切断状態にある場合に、前記第2リンクを介して当該中継局から前記移動端末へと送信される中継信号のうち少なくとも同期信号及びパイロット信号の送信を停止することで前記第2リンクの状態を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の中継局。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1リンクが切断状態にある場合に、前記第2リンクを介して当該中継局から前記移動端末へと送信される中継信号の送信を停止することで前記第2リンクの状態を制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の中継局。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1リンクが切断状態にある場合に、前記第2リンクを介した無線通信を行わないことを示す報知信号を前記移動端末に対して送信することで前記第2リンクの状態を制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の中継局。
【請求項6】
無線基地局と移動端末との間の通信を中継する中継方法であって、
無線通信区間である前記無線基地局と当該中継局との間の第1リンクの状態を検出する検出工程と、
前記第1リンクの状態に応じて、前記移動端末と当該中継局との間の第2リンクの状態を制御する制御工程と
を備えることを特徴とする中継方法。
【請求項7】
無線基地局と、移動端末と、前記無線基地局と前記移動端末との間の通信を中継する中継局を備える無線通信システムであって、
前記中継局は、
無線通信区間である前記無線基地局と当該中継局との間の第1リンクの状態を検出する検出部と、
前記第1回線の状態に応じて、前記移動端末と当該中継局との間の第2リンクの状態を制御する制御部と
を備えることを特徴とする無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−254132(P2011−254132A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124579(P2010−124579)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】