説明

中継装置およびプログラム

【課題】データ通信の両端に位置する通信装置が特別な機能を有していなくても、そのデータ通信についての通信態様をそのデータ通信を仲介する通信網における通信品質に応じて切り換えることを可能にする。
【解決手段】一般公衆回線網を介して受信したデータを他の通信網を介してその宛先へ転送する第1の転送処理と上記他の通信網を介して受信したデータを上記一般公衆回線網を介して当該データの宛先へ転送する第2の転送処理とを実行する中継装置に、上記一般公衆回線網における通信品質(遅延の揺らぎや、データ欠落の発生頻度、利用可能な帯域幅)を示す特性量を計測し、その計測結果に応じて、第1の転送処理と前記第2の転送処理の少なくとも一方の通信態様(遅延の大きさの最大値や、多重化度、エンコード方式)を切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信網を介して送信装置から受信装置へと送信されるデータの中継を行う技術に関し、特に、受信装置にてリアルタイム再生される映像や音声を表すデータの中継に好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ADSL(Asymmetric
Digital Subscriber Line)や光通信などの高速データ通信技術の普及に伴い、通信網を介して映像データや音声データを配信し、その受信側で映像や音声のリアルタイム再生を行うことが一般に普及している。この種の通信サービスの一例としては、映像や楽曲のストリーミング配信サービスや、遠隔会議サービスなどが挙げられる。
【0003】
この種の通信サービスにおいては、送信側の通信装置から受信側の通信装置へ送信されるデータは所定のデータサイズ分ずつ分割され、所謂パケット単位で送信される。このため、各パケットが一定の時間間隔で受信側の通信装置へ到達しないと、受信側で再生される映像や音声に乱れが生じる。また、データ通信を仲介する通信網でデータ欠落(所謂パケットロス)が発生すると受信側で再生される映像等に途切れが生じる。ここで、受信側への各パケットの到達間隔はデータ通信を仲介する通信網内での遅延に依存し、かかる遅延はその通信網に掛かっている負荷に応じて時々刻々変化する。以下、このような遅延の変化を「遅延の揺らぎ」と呼ぶ。一方、通信網におけるデータ欠落の発生頻度もその通信網に掛かっている負荷に応じて時々刻々変化する。したがって、受信側で再生される映像や音声に乱れや途切れが生じないようにするためには、データ通信を仲介する通信網の通信品質(遅延の揺らぎの大きさやデータ欠落の発生頻度など)に応じて、各パケットの送信間隔などの通信態様を適宜切り換えつつそのデータ通信を行う必要がある。そこで、このようなことを可能にする技術が従来より種々提案されており、その一例としては特許文献1に開示された技術が挙げられる。
【0004】
特許文献1に開示された技術では、データ通信の両端に位置する各通信装置(データの送信側の通信装置と同受信側の通信装置)に以下の処理を行わせることで上記問題点が解決される。すなわち、受信側の通信装置は、通信網における帯域幅を計測してその計測結果を送信側の通信装置へ通知する。一方、送信側の通信装置は、受信側の通信装置から通知された帯域幅に応じて符号化方式を切り換える。これにより、両通信装置間のデータ通信を仲介する通信網にて割り当て可能な帯域幅に見合ったビットレートでデータ通信が行われ、データ欠落などの不具合の発生を回避しつつデータ通信を継続することが可能になるのである。
【特許文献1】特開2000−115245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術では、送信側の通信装置と受信側の通信装置とに各々特有な処理(帯域測定処理や受信側から通知された帯域幅に応じて符号化方式を切り換える処理)を行わせること、すなわち、両通信装置にそれら処理を実行する機能を付与することによって上記問題が解決される。しかし、インターネットやWAN(Wide Area Network)などの一般公衆回線網を介して行われる映像や音声のストリーミング配信のように不特定多数の通信装置が受信側の通信装置として用いられる環境下では、それら受信側の通信装置の全てについて上記の如き機能を有していることを期待することはできない。つまり、映像や音声のストリーミング配信サービスのように不特定多数の通信装置が受信側の通信装置となり得る場合には、特許文献1に開示された技術によって上記問題を解決することは難しい。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたものであり、データ通信の両端に位置する通信装置が特別な機能を有していなくても、そのデータ通信についての通信態様をそのデータ通信を仲介する通信網における通信品質に応じて切り換えることを可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、通信網を介して受信したデータを他の通信網を介して当該データの宛先へ転送する第1の転送処理と前記他の通信網を介して受信したデータを前記通信網を介して当該データの宛先へ転送する第2の転送処理の各々を予め設定された通信態様で実行するデータ転送手段と、前記通信網における通信品質を示す特性量を計測する計測手段と、前記第1の転送処理と前記第2の転送処理の少なくとも一方の通信態様を、前記計測手段により計測された特性量に応じて切り換える通信態様切り換え手段とを有することを特徴とする中継装置、およびコンピュータ装置を上記各手段として機能させることを特徴とするプログラムを提供する。例えば、一般公衆回線網であるWANとLAN(Local Area Network)などの他の通信網とを接続する中継装置に本発明を適用すれば、WANを介して受信したデータをLAN内の通信装置へ転送する際の通信態様、または、LANを介して受信したデータをWANを介してその宛先へ転送する際の通信態様が、WANにおける通信品質に応じて切り換えられる。なお、より好ましい態様においては、通信態様の切り換えに先立って、その切り換えが行われる転送処理によるデータの転送先へその旨を通知する通知手段を上記中継装置に設けても良い。また、本発明の具体的な実施態様としては、以下の3つの態様が挙げられる。
【0008】
本発明に係る中継装置の第1の実施態様においては、前記計測手段は、前記特性量として前記通信網における遅延の揺らぎを計測し、前記通信態様切り換え手段は、前記揺らぎが大きいほど、前記第1の転送処理にて大きな遅延を付与できるようにすることを特徴とする。この態様の中継装置においては、上記通信網における遅延の揺らぎが大きいほど、その通信網を介して受信したデータを他の通信網を介してその宛先へ転送する際に大きな遅延を付与することができるため、上記通信網における遅延の揺らぎを吸収しつつデータ転送を行うことが可能になる。
【0009】
本発明に係る中継装置の第2の実施態様においては、前記計測手段は、前記特性量として前記通信網におけるデータ欠落の発生頻度を計測し、前記通信態様切り換え手段は、前記発生頻度が高いほど、前記第2の転送処理における多重化度を高くすることを特徴とする。この態様の中継装置においては、上記通信網におけるデータ欠落の発生頻度が高いほど、その通信網を介してデータを転送する際の多重化度を高くする(すなわち、転送対象のデータのコピーを上記発生頻度が高いほど多数生成しそのコピー元となったデータとともに送信する)処理が実行される。これにより、上記多重化したデータのうちの幾つかが上記通信網内で欠落したとしても、転送対象のデータが上記他の中継装置へ全く到達しないといった事態の発生頻度が低下する。
【0010】
本発明に係る中継装置の第3の態様においては、前記計測手段は、前記特性量として前記通信網にて割り当て可能な帯域幅を計測し、前記通信態様切り換え手段は、前記帯域幅が狭いほど、前記第2の転送処理におけるエンコード方式を圧縮率の高いものに切り換えることを特徴とする。この態様の中継装置においては、上記通信網にて割り当て可能な帯域幅が狭いほど、その帯域幅に収まるように転送対象のデータを高い圧縮率でエンコードして転送する処理が実行される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る中継装置40A、40Bおよび40Cを含む通信システム1の構成例を示すブロック図である。この通信システム1は、図1に示すように、上記3台の中継装置の他に3台の通信装置(送信装置10、受信装置20Aおよび20B)を含んでいる。以下では、上記3台の中継装置の各々を区別する必要がない場合には「中継装置40」と表記し、受信装置20Aおよび20Bについても、その各々を区別する必要がない場合には、「受信装置20」と表記する。
【0012】
送信装置10は、所謂webサーバ機能を備えたコンピュータ装置である。この送信装置10は、映像データや音声データを予め記憶しており、他の通信装置からの要求に応じて、これら映像データや音声データをRTP(Real-time Transport Protocol)などの所定の通信プロトコルにしたがってパケット単位でその要求元へ送信する。一方、受信装置20は、所謂webブラウザ機能を備えたコンピュータ装置である。この受信装置20は、上記webブラウザ機能により送信装置10に対して音声データや映像データの送信を要求するとともに、その要求に応じて送信装置10からパケット単位で送信されてくる映像データや音声データを受信し、それらデータの表す映像や音声の再生を行う。つまり、通信システム1は、映像や音声のストリーミング配信サービスを実現するためのものである。
【0013】
通信網30は、例えばインターネットやWANなどの一般公衆回線網であり、自網に接続されている通信装置間で所定の通信プロトコルにしたがって行われるデータ通信を仲介するものである。この通信プロトコルとしてはプロトコル階層毎に種々のものを用いることができる。本実施形態では、ネットワーク層の通信プロトコルとしてはIP(Internet Protocol)が、トランスポート層の通信プロトコルとしてはUDP(User Datagram Protocol)が、アプリケーション層の通信プロトコルとしては前述したRTPが用いられている。なお、本実施形態では、これら通信プロトコルを用いて映像や音声のストリーミング配信を実現する場合について説明するが、例えばトランスポート層の通信プロトコルとしてTCP(Transmission Control Protocol)を用いるなど、他の通信プロトコルを用いても良いことは勿論である。
【0014】
通信網30には中継装置40の各々が接続されており、これら中継装置40にはLANなど通信網30とは異なる他の通信網が接続される。本実施形態では、中継装置40Aには、受信装置20Aが接続されているLAN(図示省略)が接続されており、中継装置40Bには、受信装置20Bが接続されているLAN(同図示省略)が接続されている。そして、中継装置40Cには、送信装置10が接続されているLAN(同図示省略)が接続されている。このため、図1に示す通信システム1では、例えば、送信装置10から受信装置20Aへ宛てて送信される映像データや音声データは、中継装置40C、通信網30および中継装置40Aをこの順に経由してその宛先である受信装置20Aへ転送され、送信装置10から受信装置20Bへ宛てて送信される映像データや音声データは、中継装置40C、通信網30および中継装置40Bをこの順に経由してその宛先である受信装置20Bへ転送される。
【0015】
さて、通信網を介して行われる映像や音声のストリーミング配信サービスにおいては、その通信網(本実施形態では、通信網30)における通信品質(通信網内での遅延の揺らぎやデータ欠落の発生頻度、データ通信に割り当て可能な帯域幅)に応じてそのデータ通信の通信態様の切り換えを行うことができると好ましいことは前述した通りである。本実施形態に係る通信システム1においては、前述した特許文献1に開示された技術とは異なり、中継装置40に本発明に特徴的な処理を行わせることによって上記通信態様の切り換えが実現されるのである。以下、本発明の特徴を顕著に示す中継装置40の構成および機能について詳細に説明する。
【0016】
図2は、中継装置40の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、中継装置40は、制御部410、第1通信インタフェース(以下、「I/F」)部420、第2通信I/F部430、記憶部440、およびこれら各構成要素間のデータ授受を仲介するバス450を含んでいる。
制御部410は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部410は、記憶部440に格納されている制御プログラム442aを実行することにより、中継装置40の制御中枢として機能する。この制御プログラム442aにしたがって制御部410が実行する処理の詳細については後に明らかにする。
【0017】
第1通信I/F部420と第2通信I/F部430とは、共にNIC(Network Interface Card)であり、各々異なる通信網に接続されている。より詳細に説明すると、第1通信I/F部420は通信網30に接続されており、第2通信I/F部430は他方の通信網に接続されている。例えば、中継装置40Aの第2通信I/F部430は、受信装置20Aが接続されているLANに接続されている。同様に、中継装置40Bの第2通信I/F部430は受信装置20Bが接続されているLANに、中継装置40Cの第2通信I/F部430は送信装置10が接続されているLANに、各々接続されている。第1通信I/F部420と第2通信I/F部430の各々は、その接続先である通信網から受信したデータを制御部410へ引渡す一方、制御部410から引渡されたデータを各々の接続先である通信網へと送出する。
【0018】
記憶部440は、図2に示すように、揮発性記憶部441と不揮発性記憶部442とを含んでいる。揮発性記憶部441は、例えばRAM(Random Access Memory)であり、各種プログラムを実行する際のワークエリアとして利用される。また、この揮発性記憶部441は、第1通信I/F部420により受信したデータを第2通信I/F部430によって転送する処理(あるいは、その逆方向の転送処理)を行う際の遅延バッファの役割も果たす。さらに、この揮発性記憶部441には、通信網を介して相手装置へデータを送信する際の通信態様を示す通信態様データがその相手装置毎に格納される。例えば、中継装置40Aの揮発性記憶部441には、第2通信I/F部430に接続されているLAN(図示省略)を介して受信装置20Aへデータを送信する際の通信態様を示す通信態様データと、通信網30を介して中継装置40Bや40Cへデータを送信する際の通信態様を示す通信態様データが格納される。この通信態様データとしては、上記遅延バッファを利用した転送処理にて付与することができる遅延(一方の通信網を介して受信したデータを他方の通信網へ送出するまでの時間差:すなわち、受信したデータを遅延バッファに滞留させておくことができる時間)の最大値、受信したデータを多重化して転送する際の多重化度およびそのデータのエンコード方式(圧縮方式)を示すデータが挙げられる。ここで、多重化とは、通信網におけるデータの欠落に備えて転送対象のデータ(パケット)のコピーを予め定められた数だけ生成し、そのコピー元となったデータとともにその宛先へ転送することをいう。例えば多重化度がN(Nは2以上の整数)であれば、転送対象のデータのコピーがN−1個生成され、それらN−1個のコピーデータとそのコピー元となったデータとの合計N個のデータがその宛先へと転送される。
【0019】
一方、不揮発性記憶部442は、FlashROM(Flash Read Only Memory)やハードディスクである。不揮発性記憶部442には、ルータなどの一般的な中継装置が行うデータ転送処理に加えて、本発明に係る中継装置に特徴的な処理を制御部410に実行させる制御プログラム442aや、その制御プログラム442aの実行過程で参照される各種テーブルが格納されている。不揮発性記憶部442に格納されているテーブルの一例としては、所謂ルーティングテーブル(図示省略)や通信態様管理テーブル442bが挙げられる。これら不揮発性記憶部442の格納内容のうち、ルーティングテーブルについては一般的な中継装置に格納されているものとなんら変わるところはないため説明を省略し、以下では、制御プログラム442aと通信態様管理テーブル442bを中心に説明する。
【0020】
図3は、制御プログラム442aにしたがって制御部410が実行する処理の概要を示す図である。図3に示すように、制御プログラム442aにしたがって制御部410が実行する処理は、データ転送処理SA01、特性量計測処理SA02および通信態様切り換え処理SA03の3つの処理に大別される。
【0021】
データ転送処理SA01は、第1通信I/F部420と第2通信I/F部430の何れか一方を介して受信したデータ(パケット)を前述した遅延バッファ(すなわち、揮発性記憶部441内のバッファ領域)を利用してバッファリングしつつ他方の通信I/F部によりそのデータの宛先へと転送する処理である。より詳細に説明すると、データ転送処理SA01では、まず、第1通信I/F部420と第2通信I/F部430の何れか一方を介して受信したデータを前述した遅延バッファへ書き込む処理が実行される。次いで、データ転送処理SA01においては、上記遅延バッファへ書き込んだデータを読み出し、そのデータの宛先に対応する通信態様データの示す通信態様で転送する処理が実行される。
【0022】
例えば、第1通信I/F部420と第2通信I/F部430の何れか一方を介して受信したデータを他方の通信I/F部を用いて転送する際に付与することができる遅延の最大値を示す通信態様データ(例えば、受信したパケットを遅延バッファに滞留させておくことができる時間の最大値やその時間長に見合ったバッファサイズを示すデータ)が揮発性記憶部441に格納されている場合には、このデータ転送処理SA01では、遅延バッファからのデータ読出しタイミングを上記通信態様データの示す遅延の大きさの範囲内で調整しつつ一定の転送間隔でデータを転送する処理が実行される。また、何らかのエンコードを施してデータを転送することを示す通信態様データ(例えば、エンコード方式を示すデータ)が揮発性記憶部441に格納されている場合には、このデータ転送処理SA01では、上記遅延バッファから読み出したデータを通信態様データの示すエンコード方式でエンコードして転送する処理(例えば、エンコードされていないデータを所定のエンコード方式でエンコードして転送する処理や、何らかのエンコード方式でエンコードされたデータを他のエンコード方式にトランスコードして転送する処理)が実行される。そして、所定の多重化度で多重化してデータを転送することを示す通信態様データ(例えば、多重化度の値を示すデータ)が揮発性記憶部441に格納されている場合には、このデータ転送処理SA01では、通信態様データの示す多重化度に応じた数分のコピーデータを生成し、コピー元データとともにそれらコピーデータを転送する処理が実行される。
【0023】
特性量計測処理SA02は、データ通信を仲介する一般公衆回線網(本実施形態では通信網30)の通信品質を表す特性量を計測する処理である。通信網30の通信品質を表す特性量としては種々のものが考えられる。例えば、通信網30における遅延の揺らぎの大きさや、通信網30におけるデータ欠落の発生頻度、通信網30にてそれらデータ通信に割り当て可能な帯域幅などが挙げられる。
【0024】
通信態様切り換え処理SA03は、データ転送を行う際の通信態様を、特性量計測処理SA02にて計測される特性量と通信態様管理テーブル442bの格納内容とに基づいて切り換える処理である。通信態様管理テーブル442bには、特性量計測処理SA02にて計測される特性量が取り得る値に対応付けて、その値の示す通信品質に応じた通信態様を示す通信態様データが格納されている。通信態様切り換え処理SA03では、特性量計測処理SA02にて計測された特性量に対応する通信態様データを通信態様管理テーブル442bから読出し、揮発性記憶部441に格納されている通信態様データのうちの該当するものを上記新たに読み出した通信態様データで更新する処理が実行される。以降、上記書き換え後の通信態様データにしたがってデータ転送処理SA01を実行させることによって、データ通信の通信態様の切り換えが実現されるのである。例えば、一般公衆回線網を介して受信したデータをLANなど他の通信網を介してその宛先へ送信する中継装置(本実施形態では、中継装置40Aや40B)では、上記他の通信網へデータを送出する際の通信態様を上記一般公衆回線網における通信品質に応じて切り換える処理が実行される。一方、上記他の通信網を介して受信したデータを一般公衆回線を介してその宛先へと転送する中継装置(本実施形態では、中継装置40C)では、一般公衆回線網へデータを送出する際の通信態様をその一般公衆回線網の通信品質に応じて切り換える処理が実行される。ここで、特性量計測処理SA02にて計測する特性量と、その特性量の値に対応付けて通信態様管理テーブル442bに格納しておく通信態様データとの組み合わせについては種々のものが考えられるが、その一例としては以下の3つの態様が挙げられる。
【0025】
(A:第1の態様)
第1の態様は、一般公衆回線網(本実施形態では、通信網30)の通信品質を示す特性量としてその通信網における遅延の揺らぎの大きさを用い、その特性量に対応付けて通信態様管理テーブル442bに格納する通信態様データとしてその通信網を介して受信したデータを当該データの宛先へと転送する際に付与することができる遅延の最大値を示すデータを用いる態様である。この第1の態様は、通信網30を介して受信したデータをその宛先へと転送する際の通信態様を通信網30における通信品質に応じて切り換える態様であり、本実施形態では、中継装置40A(あるいは40B)で実行される。この第1の態様を実現するには、特性量計測処理SA02において、遅延の計測を複数回行い、それら計測結果についての標準偏差を上記特性量として算出するようにすれば良く、遅延の揺らぎが大きいことを示す特性量ほどデータ転送の際に付与する遅延を大きくできることを示す通信態様データを対応付けて通信態様管理テーブル442bに格納しておけば良い。そして、この第1の態様においては、特性量計測処理SA02で計測される特性量に対応する通信態様データにしたがって遅延バッファのバッファサイズを拡張し、データの転送間隔が一定になるようにその遅延バッファからのデータの読出しタイミングを調整する処理を前述したデータ転送処理SA01にて実行させるようにすれば良い。この第1の態様においては、図4(A)および図4(B)に示すように、通信網30における遅延の揺らぎが大きいほど、遅延バッファからのデータ読出しタイミングの調整の幅が広がり、中継装置40A(あるいは中継装置40B)から受信装置20A(あるいは20B)へのデータの転送間隔を一定(通信網30における遅延の揺らぎがゼロである場合の転送間隔)にすることができる。この第1の態様によれば、中継装置40A(あるいは中継装置40B)にて、遅延バッファのオーバーフローを生じさせることなく、通信網30における遅延の揺らぎを吸収しつつ一定の転送間隔でデータを転送することが可能になり、受信装置20A(または受信装置20B)で再生される映像や音声に乱れが生じることが回避される。
【0026】
ところで、中継装置40Cから中継装置40Aに至る通信経路と中継装置40Cから中継装置40Bへ至る通信経路とは異なることが一般的であり、通信経路が異なれば遅延の揺らぎ具合も異なることが一般的である。そこで、送信装置10が多地点接続装置である場合など、通信網30を介して中継装置40Cから送信されるデータを複数の他の中継装置(すなわち、中継装置40Aや40B)が受信し各々の配下の通信網へ送出する態様においては、それら複数の他の中継装置を協働させ、それら複数の他の中継装置の各々で特定される通信態様データのうち最大のものを用いて上記複数の他の中継装置の各々にデータ転送処理SA01を実行させるようにしても良い。このような態様によれば、通信システム1を利用して映像や音声のストリーミング配信サービスを享受する各利用者に平等に通信サービスを提供することが可能になる。
【0027】
また、別の好ましい態様においては、図4(C)に示すように、中継装置40A(あるは40B)における遅延の最大値の切り換えに先立って、遅延の最大値を切り換えることを通知する旨の通知データを中継装置40A(40B)に送信させても良い。例えば、遅延の最大値が大きくなるように通信態様を切り換える場合には、「通信品質の劣化により、映像や音声に一時的な乱れが生じる虞があります。予めご了承下さい。」といったメッセージを表す画像データや音声データを上記通知データとして用いることが考えられる。例えば、中継装置40Aの制御部410が、中継装置40Cから受信したデータを受信装置20Aへ転送する際の遅延の大きさの最大値を切り換えると、受信装置20A(あるいは20B)で再生される映像や音声の再生速度に変化が生じ、通信サービスの利用者に違和感を与える虞があるが、上記切り換えに先立って上記メッセージを表す通知データを送信し、そのメッセージを受信側の通信装置に出力させることによって、映像や音声の再生速度に変化が生じることを利用者に事前に了知させておくことが可能になる。
【0028】
さらに、受信側の通信装置が映像や音声の再生速度を変更する機能(例えば、話速変換機能など)を有している場合には、映像や音声の再生速度の変更を指示する旨の制御コマンドを上記通知データとして用いても良い。具体的には、遅延の最大値が大きくなるように通信態様を切り換える場合には、その増加分だけ映像や音声の再生速度を遅くすることを指示する旨の制御コマンドを上記通知データとしてその切り換えに先立って送信し、逆に、遅延の最大値が小さくなるように通信態様を切り換える場合には、その減少分だけ映像や音声の再生速度を速くすることを指示する旨の制御コマンドを上記通知データとしてその切り換えに先立って送信する処理を中継装置40A(40B)の制御部410に実行させるようにしても良い。このような態様によれば、映像や音声の再生速度の変化が緩やかになり、上記違和感を和らげることが可能になる。
【0029】
(B:第2の態様)
第2の態様は、一般公衆回線網(通信網30)の通信品質を示す特性量としてその通信網におけるデータ欠落の発生頻度を用い、その特性量に対応付けて通信態様管理テーブル442bに格納する通信態様データとしてその通信網へデータを送出する際の多重化度を示すデータを用いる態様である。この第2の態様は、通信網30へデータを送出する際の通信態様をその通信網30における通信品質に応じて切り換える態様であり、本実施形態では、中継装置40Cで実行される。この第2の態様においては、データ欠落の発生頻度が高いことを示す特性量ほど高い多重化度を示す通信態様データを対応付けて通信態様管理テーブル442bに格納しておけば良い。ここで、データ欠落の発生頻度については、データ転送用の通信プロトコルとしてRTPを使用している場合には、このRTPとペアで使用される制御用の通信プロトコルであるRTCPを利用して計測することができる。また、データ転送用の通信プロトコルとしてRTP以外のものを利用する場合には、例えば、受信側の中継装置から転送されてくるデータ再送信要求の受信回数をカウントするなどの周知の手法によりデータ欠落の発生頻度を計測することができる。
【0030】
この第2の態様においては、図5(A)から図5(C)に示すように、通信網30におけるデータ欠落の発生頻度が高いほど、その通信網30を介して中継装置40Cから中継装置40A(あるいは中継装置40B)へ転送されるデータの多重化度が高くなる。このため、多重化されて中継装置40Cから中継装置40A(あるいは中継装置40B)へ転送されるデータの全てが欠落した場合を除いて受信装置20A(あるいは受信装置20B)にて再生される映像や音声に途切れが生じることはない。つまり、この第2の態様によれば、映像や音声に途切れが生じる頻度を低減させることが可能になるのである。ただし、この第2の態様においては、受信側の中継装置(すなわち、本実施形態では中継装置40Aまたは40B)がデータ通信の多重化に対応していること(すなわち、多重化されて中継装置40Cから転送されてくるデータの全てを第2通信I/F部430により受信装置20Aまたは20Bに送信するのではなく、それら多重化されたデータのうちの何れか1つのみを送信する機能を有していること)が必要である。このため、通信態様の切り換えに先立って、その切り換えを行う旨を上記受信側の中継装置へ通知し、当該中継装置がデータ通信の多重化に対応していることを確認しておく必要があることは言うまでもない。
【0031】
(C:第3の態様)
そして、第3の態様は、一般公衆回線網(通信網30)の通信品質を示す特性量としてその通信網において他の中継装置との間のデータ通信に割り当て可能な帯域幅を用い、その特性量に対応付けて通信態様管理テーブル442bに格納する通信態様データとしてその通信網へデータを送出する際のエンコード方式を示すデータを用いる態様である。具体的には、上記割り当て可能な帯域幅が狭いことを示す特性量ほど高い圧縮率のエンコード方式を示す通信態様データを対応付けて通信態様管理テーブル442bに格納するようにすれば良い。この第3の態様も、前述した第2の態様と同様に、通信網30へデータを送出する側の中継装置(すなわち、本実施形態では、中継装置40C)で実行される態様である。例えば、図6(A)から図6(C)に示すように、通信網30において中継装置40Cと中継装置40A(あるいは中継装置40B)との間のデータ通信に割り当て可能な帯域幅が狭いほど、送信装置10から転送されてくるデータ(データサイズがS1であるデータ)をその1/2、1/4のデータサイズに圧縮することを示す通信態様データが格納された通信態様管理テーブル442bを中継装置40Cに記憶させておけば良い。この第3の態様によれば、中継装置40Cと中継装置40A(あるいは中継装置40B)との間のデータ通信に充分な幅の通信帯域を割り当てることができない場合であっても、通信網30に過剰な負荷をかけることを回避しつつその通信網30を介した通信サービスの提供を継続することが可能になる。
【0032】
ここで、送信装置10から受信したデータが既に何らかのエンコード方式でエンコードされている場合には、そのデータをデコードした後に、そのデコード後のデータを上記帯域幅に応じたエンコード方式でエンコードして(すなわち、トランスコードして)転送すれば良い。ただし、この場合は、中継装置40A(あるいは中継装置40B)において、通信網30を介して受信したデータを再度デコードし元々のエンコード方式でエンコードして受信装置20A(あるいは受信装置20B)へ転送する必要があることは言うまでもない。また、この第3の態様においても、前述した第2の態様と同様に通信態様(エンコード方式)の切り換えに先立って、その切り換えを行う旨を受信側の中継装置(本実施形態では、中継装置40Aまたは40B)へ通知し、当該中継装置が上記切り換え後のエンコード方式に対応していることを確認しておく必要があることは言うまでもない。
【0033】
以上説明したように本実施形態に係る中継装置40によれば、送信側の通信装置(すなわち、送信装置10)から一般公衆回線網である通信網30を介して受信側の通信装置(受信装置20)へ音声データや映像データを送信する際に、その通信網30における通信品質に応じて音声データや映像データの転送を行う際の通信態様を切り換える処理が各中継装置40で行われる。つまり、本実施形態に係る中継装置40によれば、データ通信の両端に位置する通信装置(すなわち、送信装置10や受信装置20)が何らの特別な機能を有していなくても、両通信装置間のデータ通信の通信態様がそのデータ通信を仲介する通信網における通信品質に応じて切り換えられるのである。このように本実施形態に係る中継装置40を用いてデータ通信の両端に位置する通信装置を通信網に接続するようにすれば、それら通信装置が一般的なwebサーバ機能やwebブラウザ機能しか有しないもの(すなわち、一般的な従来の通信装置)であっても、両通信装置間のデータ通信の通信態様をそのデータ通信を仲介する通信網(特に、一般公衆回線網)における通信品質に応じて切り換えることが可能になり、前述した従来技術の問題点が解消されるのである。
【0034】
(D:変形)
以上本発明の実施形態およびその具体例について説明したが、これら実施形態を以下のように変形しても良いことは勿論である。
(1)上述した実施形態では、本発明に係る中継装置が実行し得る通信態様切り換え処理SA03の具体例を3つ説明したが、これら3つの全てまたはこれら3つから任意に選んだ2つを組み合わせて実行させても勿論良い。また、データの転送先(あるいは送信元)が複数ある場合には、それら転送先毎(あるいは送信元毎)に異なる態様の通信態様切り換え処理SA03を実行させても良い。
【0035】
(2)上述した実施形態では、RTPにしたがって行われるデータ通信を本発明に係る中継装置40により中継する場合について説明した。ところで、RTPにしたがったデータ通信を行う際には、その開始に先立って、データ通信の終端に位置する通信装置間に通信セッションを確立しておく必要があり、この通信セッションの確立とともに、そのデータ通信で使用するエンコード方式等のネゴシエーションが行われる。このエンコード方式等のネゴシエーションは、所謂オファー/アンサーモデル(図7(A)および図7(B)参照:なお、図7(A)はINVITEメッセージによりエンコード方式の提案を行う態様であり、図7(B)は、INVITEメッセージに対する応答によりエンコード方式の提案を行う態様である)に準拠して行われる。オファー/アンサーモデルでは、データ通信の両端に位置する通信装置の一方が、そのデータ通信で使用するエンコード方式を他方に提案し、その提案を受け入れることよって両通信装置間で使用するエンコード方式が決定される。逆に、上記提案を受けた側の通信装置が、提案されたエンコード方式に対応していない場合には、その提案元に対して拒否応答を返答し、通信セッションを確立することなく処理を終了する。つまり、オファー/アンサーモデルでは、エンコード方式のネゴシエーションが常に成功する訳ではない。
【0036】
これに対して、本実施形態に係る中継装置は、送信側の通信装置から受信したデータを他のエンコード方式でエンコードして転送することが可能であるため、この中継装置40を利用して上記問題点を解決することが可能である。例えば、図7(C)に示すように、エンコード方式1〜3に対応している中継装置が、エンコード方式1にのみ対応している通信装置から、エンコード方式2にのみ対応している通信装置へ宛てて送信されたINVITEメッセージを受信した場合には、そのINVITEメッセージにて提案されているエンコード方式(すなわち、エンコード方式1)を示すデータをエンコード方式2を示すデータに書き換えてその宛先に転送し、以降、エンコード方式の変換を行いつつデータ通信を中継するようにすれば良い。ここで、INVITEメッセージの転送先である通信装置が対応可能なエンコード方式を上記中継装置に選択させるためには、各通信装置を一意に識別する端末識別子に対応付けてその通信装置が対応しているエンコード方式を示すデータを格納したエンコード方式管理テーブル(図7(D)参照)を上記中継装置に予め記憶させておき、このエンコード方式管理テーブルを参照して上記提案方式の変更を行うようにすれば良い。また、INVITEメッセージを受信する度にその送信元アドレスとそのINVITEメッセージで提案されているエンコード方式を示すデータとを対応付けて上記エンコード方式管理テーブルに格納する処理を上記中継装置に実行させ、同テーブルの格納内容の拡充を行わせるようにしても勿論良い。
【0037】
(3)上述した実施形態では、本発明に係る中継装置に特徴的な処理をソフトウェアモジュールで実現したが、電子回路等のハードウェアモジュールで実現しても勿論良い。具体的には、特性量計測処理SA02を実行する計測手段と通信態様切り換え処理SA03を実行する通信態様切り換え手段とを各々電子回路で構成し、一般的な中継装置にこれら電子回路を組み込んで本発明に係る中継装置を構成しても勿論良い。
【0038】
(4)上述した実施形態では、本発明に係る中継装置に特徴的な処理をCPUなど中継装置の制御部に実行させる制御プログラム442aや通信態様管理テーブル442bがその中継装置の記憶部に予め格納されていた。しかし、例えばCD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)などコンピュータ装置読み取り可能な記録媒体に上記制御プログラム442aや通信態様管理テーブル442bを書き込んで配布しても良く、また、インターネットなどの電気通信回線経由のダウンロードにより上記制御プログラム442aや通信態様管理テーブル442bを配布しても良い。このようにして配布される制御プログラム442aや通信態様管理テーブル442bを一般的な中継装置の記憶部に格納し、その中継装置の制御部を上記制御プログラム442aにしたがって作動させることによって、その中継装置に本発明に係る中継装置と同一の機能を付与することが可能になる。
【0039】
(5)上述した実施形態では、本発明に係る中継装置に特徴的な通信態様切り換え処理を制御部410に実行させるための制御プログラム442aと、この制御プログラム442aの実行過程で参照される通信態様管理テーブル442bとを各々別個に不揮発性記憶部442へ格納したが、両者を一体として(例えば、制御プログラムに通信態様管理テーブルを埋め込んで)不揮発性記憶部442に格納しても勿論良い。また、制御プログラムに通信態様管理テーブルを埋め込む態様においても、その制御プログラムをコンピュータ装置読み取り可能な記録媒体に書き込んで配布したり、電気通信回線経由のダウンロードにより配布したりして、その制御プログラムを一般的な中継装置にインストールしても良い。
【0040】
(6)上述した実施形態では、映像や音声のストリーミング配信サービスを提供する通信システムに本発明を適用した。しかし、遠隔会議システムなど映像や音声を表すデータの双方向通信を行う通信システムに含まれる中継装置に本発明を適用しても勿論良い。例えば、図8に示すように、中継装置40A、40Bおよび40Cの各々に会議端末として機能する通信装置50A、50Bおよび50Cを接続して遠隔会議システム2を構成した場合には、中継装置40Aや40Bにおいても、前述した第2または第3の態様の通信態様切り換え処理SA03(すなわち、通信網30へデータを送出する際の通信態様を切り換える処理)が実行され、中継装置40Cにおいても前述第1の態様の通信態様切り換え処理SA03(すなわち、通信網30を介して受信したデータをその宛先へ転送する際の通信態様を切り換える通信態様切り換え処理)が実行されることになる。
【0041】
また、上記のように、各中継装置40が通信網30へデータを送出する際の通信態様および通信網30を介して受信したデータをその宛先へ転送する際の通信態様を切り換える通信態様切り換え処理SA03を実行する場合には、それら中継装置40の各々に記憶されている通信態様管理テーブル442bの内容が同一であることが好ましい。そこで、上記複数の中継装置40の何れかの通信態様管理テーブル442bの格納内容が更新された場合には、他の中継装置40の通信態様管理テーブル442bの格納内容の同期更新を行うことが好ましい。このようなことは、例えば操作部などを介して通信態様管理テーブル442bの格納内容の更新を指示された中継装置40の制御部410に、操作部を介して入力された更新指示およびその更新内容を書き込んだ通信メッセージを通信網30を介して他の中継装置40に送信する処理を実行させ、その通信メッセージを受信した中継装置40の制御部410には、その通信メッセージに書き込まれている更新内容および更新指示にしたがって自装置の通信態様管理テーブル442bの格納内容を更新する処理を実行させることにより実現可能である。ここで、複数の中継装置40の各々に記憶されている通信態様管理テーブル442bの同期更新を行う際の更新単位は、テーブル単位(すなわち、通信態様管理テーブル442bをそっくり差し替える)であっても良く、1または複数の通信態様データ単位であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態に係る通信システム1の構成例を示す図である。
【図2】同通信システム1の通信網30に接続されている中継装置40の構成例を示す図である。
【図3】同中継装置40の制御部410が制御プログラム442aに従って実行する処理の概要を示す図である。
【図4】同制御部410が実行する処理の第1の具体例を示す図である。
【図5】同制御部410が実行する処理の第2の具体例を示す図である。
【図6】同制御部410が実行する処理の第3の具体例を示す図である。
【図7】変形例(2)を説明するための図である。
【図8】変形例(6)に係る遠隔会議システム2の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
1…通信システム、10…送信装置、20,20A,20B…受信装置、30…通信網、40,40A,40B,40C…中継装置、410…制御部、420…第1通信I/F部、430…第2通信I/F部、440…記憶部、441…揮発性記憶部、442…不揮発性記憶部、442a…制御プログラム、442b…通信態様管理テーブル、450…バス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信網を介して受信したデータを他の通信網を介して当該データの宛先へ転送する第1の転送処理と前記他の通信網を介して受信したデータを前記通信網を介して当該データの宛先へ転送する第2の転送処理の各々を予め設定された通信態様で実行するデータ転送手段と、
前記通信網における通信品質を示す特性量を計測する計測手段と、
前記第1の転送処理と前記第2の転送処理の少なくとも一方の通信態様を、前記計測手段により計測された特性量に応じて切り換える通信態様切り換え手段と、
を有することを特徴とする中継装置。
【請求項2】
前記通信態様の切り換えに先立って、その切り換えが行われる転送処理におけるデータの転送先へその旨を通知する通知手段を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の中継装置。
【請求項3】
前記計測手段は、前記特性量として前記通信網における遅延の揺らぎを計測し、
前記通信態様切り換え手段は、前記揺らぎが大きいほど、前記第1の転送処理にて大きな遅延を付与できるようにする
ことを特徴とする請求項1または2に記載の中継装置。
【請求項4】
前記計測手段は、前記特性量として前記通信網におけるデータ欠落の発生頻度を計測し、
前記通信態様切り換え手段は、前記発生頻度が高いほど、前記第2の転送処理における多重化度を高くする
ことを特徴とする請求項2に記載の中継装置。
【請求項5】
前記計測手段は、前記特性量として前記通信網にて割り当て可能な帯域幅を計測し、
前記通信態様切り換え手段は、前記帯域幅が狭いほど、前記第2の転送処理におけるエンコード方式を圧縮率の高いものに切り換える
ことを特徴とする請求項2に記載の中継装置。
【請求項6】
コンピュータ装置を、
通信網を介して受信したデータを他の通信網を介して当該データの宛先へ転送する第1の転送処理と前記他の通信網を介して受信したデータを前記通信網を介して当該データの宛先へ転送する第2の転送処理の各々を予め設定された通信態様で実行するデータ転送手段と、
前記通信網における通信品質を示す特性量を計測する計測手段と、
前記第1の転送処理と前記第2の転送処理の少なくとも一方の通信態様を、前記計測手段により計測された特性量に応じて切り換える通信態様切り換え手段と、
として機能させることを特徴とするプログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−164958(P2009−164958A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−1325(P2008−1325)
【出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】