説明

中間体及び1−アダマンタンの芳香族誘導体の調製方法

【課題】1−アダマンタン(トリシクロ[3.3.1.1(3,7)]デカン)の芳香族誘導体又はその薬理学的に許容できる塩の調製方法の提供。
【解決手段】上記方法は、前駆体シアノ化合物の加水分解反応に基づく。当該反応は更に、シアノ化合物を得るための様々な方法を含んでなる。本発明の方法は特に、高収量及び高純度でのアダプレネの調製を産業的スケールにおいて実施する際に有用である。本発明はまた、前記調製方法にとり有用な新規な中間体の提供に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1−アダマンタンの芳香族誘導体、特にアダプレネの調製方法、並びにその調製用の中間体化合物の提供に関する。
【背景技術】
【0002】
アダプレネは、製薬用有効成分としての国際一般名(INN)であり、その化学名は6−[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−2−ナフトエ酸であり、以下の式で表される。
【0003】
【化1】

【0004】
アダプレネは、ナフトエ酸に由来する、抗炎症特性及び角質溶解特性を有する抗ざ瘡剤である。
【0005】
特許文献1は、ベンゾナフタレン誘導体、並びにそれらの治療用と及び美顔用途を記載している。また、それらの調製方法も記載している。記載されている幾つかの1−アダマンタン誘導体化合物(アダプレネなど)は、2−(アダマンチル)−4−ハロゲンアニソールをそのマグネシウム、リチウム又は亜鉛誘導体に変換し、更にメチル6−ブロモ−2−ナフトエートとカップリングさせ、塩基性条件下で、得られたエステルを加水分解することにより得られる。但しこの工程には、メチルナフトエートのハロゲン化誘導体の調製が困難であり、その収率が低いという欠点が存在する。
【0006】
一方では、特許文献2は、1−アダマンタンの幾つかの芳香族誘導体(アダプレネなど)、並びにその癌の治療及び/又は予防への使用に関して記載している。
【特許文献1】欧州特許出願公開第199636A1号
【特許文献2】国際公開第01/56563A1号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上より、効率的かつ工業化が簡便な1−アダマンタンの芳香族誘導体の調製工程を提供することは、これらの化合物の産業的な調製にとって大きな注目の的といえる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者らは鋭意研究の結果、新規かつ簡便な1−アダマンタンのフェニルナフタレン−カルボン酸誘導体の調製方法であって、合成の終了時に、対応するシアノ誘導体からカルボキシル基を得ることを特徴とする方法を見出し、本発明を完成させるに至った。当該方法は特に、アダプレネの調製に有利である。なぜなら、調製が困難であり、かつ費用のかかるナフタレンカルボン酸誘導体の調製が必要ないからである。
【0009】
すなわち、本発明の一態様は、式(II)の化合物の調製方法の提供に関する。
【0010】
【化2】

式中、Wは以下からなる群:−CH−、−O−及び−SO−から選択されるビラジカルであり、R及びRは同じ又は異なる基であり、独立に水素、ハロゲン及び(C−C)−アルキル基からなる群から選択され、Rは、ヒドロキシル、アシル、アミド基、ハロゲン、1つ以上のヒドロキシル基又はアシル基によって、任意に置換されてもよい(C−C)アルキル基、及び任意に1つ以上のヒドロキシル基、(C−C)−アルコキシル基又はアミドにより置換されてもよく、及び/又は1つ以上の酸素原子によって任意に中断されてもよい(C−C)−アルコキシル基からなる群から選択される基であり、Rは水素、ヒドロキシル基、(C−C)−アルキル及び(C−C)−アルコキシルからなる群から選択される基であるか、又は、R及びRは共にビラジカル−OCHO−を形成し、Rは水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシル及びハロゲンからなる群から選択される基であり、Pは(P)−1及び(P)−2から選択される基であり、
【0011】
【化3】

式中、Rは水素、(C−C)−アルキル及びハロゲンから選択される基であり、Rは水素、ヒドロキシル基及びハロゲンから選択される基であり、Vはビラジカル−CH−でありV’はO原子であるか、又は、VはN原子でありV’はビラジカル−NH−である。
【0012】
好ましい実施形態では、式(II)の化合物は、WがCHである化合物である。更に他の好ましい実施形態では、式(II)の化合物はPが(P)−1基である化合物である。最も好ましい化合物は、式(IIa)の6−[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−2−シアノナフタレンである。
【0013】
【化4】

【0014】
本発明の別の態様は、上記で定義した式(II)の化合物の調製方法であって、式(III)の化合物とシアン化金属(好ましくは銅及び亜鉛から選択される)と反応させることを含んでなる方法の提供に関する。
【0015】
【化5】

【0016】
式(III)においては、Qは以下から選択される基である。
【0017】
【化6】

式中、XがCl、Br及びIなどのハロゲン、並びに−OSOの式のスルホネートから選択される離脱基であり、式中、RがCF、(C−C)−アルキル、フェニル、並びに(C−C)−アルキル基、ハロゲン及びニトロ基から選択される基によって一置換若しくは二置換されてもよいフェニル基からなる群から選択され、W、V、V’、R、R、R、R、R、R及びRは上記で定義した式(II)の化合物のそれらと同じ意味を有する。
【0018】
好ましい実施形態では、式(III)の化合物は式(IlIa)の化合物であり、式中、Xは(III)のそれと同じ意味を有する。
【0019】
【化7】

【0020】
好ましくは、当該ハロゲンはBrであり、当該スルホネートはメシレート(R=−CH)、トシレート(R=−CCH)、ベシレート(R=−C)及びトリフルオロメタンスルホネート(R=−CF)から選択され、好ましくはトリフルオロメタンスルホネートである。
【0021】
好ましい実施形態では、XがBrである式(IIIa)の化合物のシアン化は、シアン化銅によって実施する。他の好ましい実施形態では、式(IIIa)の化合物(Xがトリフルオロメタンスルホネートである)のシアン化は、好ましくはパラジウム又はニッケル触媒の存在下でシアン化亜鉛によって実施する。
【0022】
Xがハロゲンである式(III)の化合物は、式(IV)の化合物又は式(V)の化合物と、
【0023】
【化8】

2,4,6−トリス[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリボリナン又は式(VI)の化合物のいずれかとのカップリング反応によって調製できる。
【0024】
【化9】

式中、RはMgZ、ZnZ及び以下の群から選択される式で表される基であり、
【0025】
【化10】

式中、Zはハロゲン(好ましくはCl及びBr)であり、T及びTはヒドロキシル基、(C−C)−アルコキシル基及びフェノキシ基からなる群から各々独立に選択され、最後の基は(C−C)−アルコキシル基、(C−C)−アルキル基又はハロゲンで任意に置換されてもよいか、又は、T及びTはホウ素原子と共に以下から選択される環状構造を形成してもよく、
【0026】
【化11】

Mが(CH、(CHCR(CH及びCR(CHCRからなる群から選択され、nは2から4の整数であり、r及びsは0から4の整数であり、但しr及びsが両方とも0でなく、tは0から1の整数であり、R及びRは水素、(C−C)−アルキル、フェニル及び一置換若しくは二置換フェニル基(当該置換基はハロゲン、(C−C)−アルキル及び(C−C)−アルコキシル基である)からなる群から各々独立に選択される。
【0027】
Zn誘導体の場合、当該反応はネギシカップリングとして公知である。ホウ素誘導体の場合、この反応はスズキカップリングとして公知である。これらの反応は通常、十分な溶媒の存在下、好ましくは遷移金属化合物及び塩基の存在下で実施する。スズキカップリングは、好ましくは塩基の存在下で実施する。
【0028】
式(IV)、(V)及び(VI)において、W、R、R、R、R、R、R及びRは、式(II)の化合物に関して上記で定義したのと同じ意味を有し、XはCl、Br及びIから選択されるハロゲンであり、Yは離脱基を意味し、Cl、Br及びIなどのハロゲン、並びに−OSOの式のスルホネートから選択され、RはCF、メチル基などの(C−C)−アルキル基、フェニル基からなる群から選択され、当該フェニル基は(C−C)−アルキル基(例えばメチルフェニル基)、ハロゲン及びニトロ基から選択される基で一置換若しくは二置換されてもよい。
【0029】
例えば式(IIIa)の化合物(Xがハロゲンである)は、式(IVa)の化合物(すなわちR及びR=H、X=ハロゲンである化合物(IV))と、2,4,6−トリス[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリボリナン又は式(VIa)の化合物のいずれかとのカップリング反応により得られる。
【0030】
【化12】

【0031】
式(IVa)及び(VIa)においては、R及びYは上記と同じ意味を有する。
【0032】
好ましくは、式(IIIa)の化合物(X=Br)を得る際、式(IVa)の化合物(Y=Br又はトリフルオロメタンスルホネート、及びX=Br)を、2,4,6−トリス[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリボリナン、又は、3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニルホウ酸、(3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル)−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン及び3−(1−アダマンチル)−4−メトキシベンゼン塩化亜鉛から選択される式(VIa)の化合物とカップリングさせる。
【0033】
X及びYがBrである式(IVa)の化合物(すなわち2,6−ジブロモナフタレン)は市販されている。XがBrであり、Yがトリフルオロメタンスルホネート基(すなわち6−ブロモ−2−ナフタレンのトリフルオロメタンスルホネート)である式(IVa)の化合物は通常、第3級アミド(例えばトリエチルアミン)の存在下における、6−ブロモ−2−ナフトールからのトリフレート無水物との反応により容易に調製できる。
【0034】
例えば、3−(1−アダマンチル)−1−ブロモ−4−メトキシベンゼンのリチウム化、続いてトリイソプロピルボレート(B(O−i−Pr))による処理及び酸加水分解により、フリーのホウ酸の形態の、純度の低い3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニルホウ酸が得られる。この化合物は、約60℃で加熱することにより三量体の環状生成物である2,4,6−トリス[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリボリナンに変換させることができ、又は、ヘキサンなどの(C−C)−脂肪族化合物炭化水素で処理することにより、低温(0〜5℃)においても当該変換を実施できる。
【0035】
(3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル)−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナンなどの式(VIa)の他のホウ素の誘導体は、例えば、三量体生成物2,4,6−トリス[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリボリナンと、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールとの、(C−C)−芳香族炭化水素などの適当な溶媒中における、高温での反応により調製することができる。
【0036】
3−(1−アダマンチル)−4−メトキシベンゼン塩化亜鉛などの式(VIa)の亜鉛誘導体の調製は、例えば、3−(1−アダマンチル)−1−ブロモ−4−メトキシベンゼンのリチウム誘導体又はマグネシウム誘導体の、ZnClによる処理によって実施できる。
【0037】
好ましくは、(IV)又は(V)の化合物と、式(VI)の化合物とのカップリング反応による、式(III)の化合物の調製に用いる遷移金属化合物は、パラジウム及びニッケルの金属塩及び金属錯体から選択される。好適な金属化合物の例としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh)、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィン)フェロセン]パラジウム(II)(PdCl(dppf))、ジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィン)ブタン]パラジウム(PdCl(dppb))、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(II)(PdCl(PCy)、ジクロロ[1,1’−ビス(ジ−terc−ブチルホスフィン)フェロセン]パラジウム(II)(PdCl(dtbp))、パラジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)NiCl(PPh及び上述した触媒とホスフィンとの混合物が挙げられる。好ましくは、当該金属化合物はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh)である。
【0038】
好ましくは、カップリング反応は、室温〜使用する溶媒の還流温度で実施する。好ましくは、スズキカップリングに使用する塩基は、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属リン酸塩から選択される。好ましくは、当該塩基はリン酸カリウムである。
【0039】
Xがスルホネート基である式(III)の化合物は、対応するアルコールと、塩化スルホニル又はスルホン酸無水物との反応により調製できる。好ましくは、トリフレート無水物を用いる。反応は、第3級アミンの存在下で、約−15℃〜30℃の温度で、適当な溶媒中で実施する。反応を実施する際の適当な溶媒としては、例えば塩化物溶媒(例えばジクロロメタン又は1,2−ジクロロエタン)が挙げられる。適当な第3級アミンの例としては、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンが挙げられる。
【0040】
前駆体アルコールは、式(VII)の化合物又は式(VIII)の化合物と、2,4,6−トリス[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリボリナン又は式(VIb)の化合物とのカップリングにより調製できる。通常、適切な溶媒の存在下、好ましくは遷移金属化合物及び塩基の存在下で反応を実施する。
【0041】
【化13】

【0042】
【化14】

【0043】
上記の式においては、全ての変数及び置換基は、化合物(IV)、(V)及び(VI)において既に定義したそれらと同じ意味を有する。
【0044】
化合物(VII)及び(VIII)及び化合物(VI)のカップリングを実施する際の反応条件下は基本的に、上記の式(IV)又は(V)の化合物と式(VIb)の化合物とのカップリング反応のそれと同様である。
【0045】
例えば、式(IX)のアルコールは、式(VIIa)の化合物(すなわちR及びR=Hである化合物(VII))と、2,4,6−トリス[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリボリナン又は式(VIc)の化合物(すなわちRがホウ素誘導体である化合物(VIa))とのカップリングにより得られる。
【0046】
【化15】

【0047】
【化16】

【0048】
式(VIIa)において、Yは(VII)に関して既に定義したのと同じ意味を有し、T及びTは式(VIb)の化合物のそれらと同じ意味を有する。
【0049】
Xがスルホネート基である式(IIIa)の化合物(すなわち化合物(X)(RがCF、(C−C)−アルキル基、フェニル基、並びに(C−C)−アルキル基、ハロゲン及びニトロ基から選択される基によって一置換若しくは二置換されたフェニル基から選択される))、並びにその前駆体アルコールである式(IX)の化合物もまた、本発明に包含される新規化合物である。好ましい実施形態では、式(X)の化合物はRがCFである。
【0050】
【化17】

【0051】
本発明の別の態様は、式(II)の化合物の更に別の調製方法の提供に関し、当該方法は、化合物(XI)又は化合物(XII)と、
【0052】
【化18】

2,4,6−トリス[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリボリナンも又は式(VI)の化合物
【0053】
【化19】

とをカップリング反応させることを特徴とし、式中、Y、V、V’、W、R、R、R、R、R、R、R及びRは上記における定義と同じ意味を有する。好ましくは、YはBr、メタンスルホネート、p−トルエンスルホネート及びトリフルオロメタンスルホネートから選択される。
【0054】
好ましい実施形態では、当該カップリング反応は、式(XIa)の化合物(R及びR=Hで、Yが化合物(XI)と同じ意味を有する化合物(XI))を用いて実施する。
【0055】
【化20】

【0056】
より好ましい実施形態では、式(XIa)の化合物においては、YはBr、メタンスルホネート、p−トルエンスルホネート及びトリフルオロメタンスルホネートから選択される。
【0057】
他の好ましい実施形態では、化合物(VI)は、Rが(VI)と同じ意味を有する式(VIa)の化合物である。
【0058】
【化21】

【0059】
好ましくは、式(XIa)の化合物は、2,4,6−トリス[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリボリナン、又は、3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニルホウ酸、(3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル)−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン、3−(1−アダマンチル)−4−メトキシベンゼン塩化亜鉛、3−(1−アダマンチル)−4−メトキシベンゼン亜鉛臭化物及び3−(1−アダマンチル)−4−メトキシベンゼンマグネシウム臭化物から選択される式(VIa)の化合物とのカップリング反応に供される。
【0060】
通常、式(XI)又は(XII)の化合物と式(VI)の化合物とをカップリングさせて式(II)の化合物を得る反応は、適当な溶媒の存在下、好ましくは遷移金属化合物の存在下で実施する。ホウ素誘導体を用いる場合、塩基の存在下で反応を実施させるのが望ましい。
【0061】
好ましくは、当該金属化合物はパラジウム及びニッケルの金属塩及び金属錯体から選択される。好適な金属化合物の例としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh)、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィン)フェロセン]パラジウム(II)(PdCl(dppf))、ジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィン)ブタン]パラジウム(PdCl(dppb))、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(II)(PdCl(PCy)、ジクロロ[1,1’−ビス(ジ−ter−ブチルホスフィン)フェロセン]パラジウム(II)(PdCl(dtbp))、パラジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)NiCl(PPh及び上述した触媒とホスフィンとの混合物が挙げられる。好ましくは、当該金属化合物はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh)である。
【0062】
好ましくは、カップリング反応は、室温〜使用する溶媒の還流温度で実施する。好ましくは、スズキカップリングに使用する塩基は、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、並びにリン酸ナトリウム又はリン酸カリウムなどのアルカリ金属リン酸塩から選択される。好ましくは、当該塩基はリン酸カリウムである。
【0063】
式(II)の化合物は、1−アダマンタンのフェニルナフタレン−カルボン酸誘導体又はその薬理学的に許容できる塩の調製に有用な中間体である。特に式(IIa)の化合物はアダプレネの調製に有用である。
【0064】
すなわち、本発明の最後の態様は、式(I)の化合物又はその薬理学的に許容できる塩の調製方法の提供に関する。
【0065】
【化22】

式中、Wは以下からなる群:−CH−、−O−及び−SO−から選択されるビラジカルであり、R及びRは同じ又は異なる基であり、独立に水素、ハロゲン及び(C−C)−アルキル基からなる群から選択され、Rは、ヒドロキシル、アシル、アミド基、ハロゲン、1つ以上のヒドロキシル基又はアシル基によって、任意に置換されてもよい(C−C)アルキル基、及び任意に1つ以上のヒドロキシル基、(C−C)−アルコキシル基又はアミドにより置換されてもよく、及び/又は1つ以上の酸素原子によって任意に中断されてもよい(C−C)−アルコキシル基からなる群から選択される基であり、Rは水素、ヒドロキシル基、(C−C)−アルキル及び(C−C)−アルコキシルからなる群から選択される基であるか、又は、R及びRは共にビラジカル−OCHO−を形成し、Rは水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシル及びハロゲンからなる群から選択される基であり、Rは(R)−1及び(R)−2から選択される基であり、
【0066】
【化23】

式中、Rは水素、(C−C)−アルキル及びハロゲンから選択される基であり、Rは水素、ヒドロキシル基及びハロゲンから選択される基であり、Vはビラジカル−CH−でありV’はO原子であるか、又は、VはN原子でありV’はビラジカル−NH−であり、前記方法は、上記で定義した式(II)の化合物を加水分解反応に供することを含んでなる。
【0067】
好ましい実施形態では、式(I)の化合物は式(Ia)の化合物であり、式(II)の化合物は式(IIa)の化合物である。
【0068】
【化24】

【0069】
【化25】


加水分解反応の実施に適する条件は、例えば使用する溶媒、メタル化剤、温度、メタル化時間などの当業者により考慮されるパラメータを適宜変化させて調整する。これらの条件は、ルーチン試験、及びこの明細書に存在する実施例の教示内容を基に、本技術分野の当業者であれば容易に決定できる。好ましくは、当該加水分解は塩基条件下において実施し、更に任意に酸処理を行い、アダプレネを単離してもよい。好ましくは、当該塩基はアルカリ金属水酸化物(例えば水酸化カリウム又は水酸化ナトリウム)から選択される。
【0070】
最後に、得られた式(I)の化合物はその薬理学的に許容できる塩に変換させることができ、又はその薬理学的に許容できる塩は従来公知方法で他の塩に変換させてもよい。
【0071】
本発明の利点としては、この1−アダマンタン誘導体の調製工程により、迅速かる効率的かつ選択性の高い合成が可能となる点が挙げられる。この工程によるアダプレネの調製は、特に産業レベルでの実用化にとり有利である。なぜなら、高コストで調製が困難なナフタレンのカルボン酸誘導体の使用が必要ないからである。更に、最終製品が高い化学純度で得られるという利点も挙げられる。また本発明の方法の更なる効果として、カルボキシル基の保護/脱保護処理が必要ないという点も挙げられる。
【0072】
本発明の更なる課題、効果及び特徴は、本願明細書中の記載の検討により当業者にとり明らかとなり、また本発明の実施によって習得されうる。本願明細書及び特許請求の範囲における用語「含んでなる」という用語、並びにその活用形は、他の技術的特徴、添加物、構成要素又は処理を除外することを目的として用いられる用語ではない。本発明に添付される要約書の開示内容は、参考として本願明細書に援用される。以下に実施例及び図面を例示するが、それらは本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0073】
特に明記しない限り、化学品業者から市販されている化合物を反応物質として用いた。テトラヒドロフラン(THF)及びジオキサンはNa/ベンゾフェノンで生成し、トルエンはNaで精製した。KPOは、使用前に微粉末化した。
【0074】
<実施例1:6−ブロモ−2−ナフタレニルトリフルオロメタンスルホネートの調製>
6−ブロモ−2−ナフトール(2g、9.0mmol)及びトリエチルアミン(NEt)(1.52ml、1.09g、10.8mmol)のジクロロメタン(CHCl)(40ml)中溶液に、−10℃、不活性雰囲気下で、トリフレート無水物[(CFSOO、1.8ml、3.03g、10.8mmol]を添加した。−10℃で2時間撹拌した後、反応混合物をHO(50ml)で希釈し、CHCl(3×40ml)で抽出した。全ての有機相をHCl水(50ml、0.1M)、更にHO(50ml)で洗浄し、NaSOを通じて乾燥させた。濾過、蒸発、及びカラムクロマトグラフィ(SiO、CHCl)による精製を行い、無色の油状物の形の標題化合物(3.25g)を得た。IR(KBr)3090、1590、1501、1425、1363、1251、1212、1182、1141、1111、1065、960、915、882、850、801、786、767、714、653及び609。M/Z(IQ、NH)356[M+(81Br)53%]354[M79Br)63]223[M−SOCF81Br)63]及び221[M−SOCF79Br)100]
【0075】
<実施例2:6−シアノ−2−ナフタレニルトリフルオロメタンスルホネートの調製>
6−シアノ−2−ナフトール(1g、5.91mmol)及び無水NEt(1ml、7.09mmol)の無水CHCl中溶液(20ml)に、0℃、不活性雰囲気下で、トリフレート無水物[(CFSOO、1.20ml、7.09mmol]を滴下して添加した。反応液を室温にし、開始材料が観察されなくなるまで(48時間)反応させた。反応混合液を乾燥濃縮し、得られた粗生成物をEtOH(5mL)中に懸濁させた。水(5mL)を添加し、混合物を分散させ、得られる懸濁液を濾過し、褐色がかった固体として粗生成物(1.74g)を得た。カラムクロマトグラフィ(SiO、CHCl:シクロヘキサン(6/4))で精製し、白色固体の形で標題の化合物(1.56g、88%)を得た。IR(KBr)3058、2240、1809、1630、1604、1425、1152、964、932。H NMR(400MHz、CDCl)8.30(d、J=0.4Hz、1H)8.03(d、J=8.8Hz、1H)7.99(d、J=8.4Hz、1H)7.83(d、J=2.4Hz、1H)7.73(dd、J=8.8及び1.4Hz(1H)及び7.52(dd、J=8.8及び2.4Hz(1H)。
【0076】
<実施例3:6−シアノ−2−ナフタレニルメタンスルホネートの調製>
6−シアノ−2−ナフトール(4.74g、28.02mmol)の無水トルエン(47ml)中の溶液に、0℃、不活性雰囲気下でEtN(4.32ml、31.00mmol)を添加した。溶液を0℃で10分間撹拌した。次に、MsCl(3.27ml、42.46mmol)を滴下して添加した。残留する試薬が観察されなくなるまで(薄膜クロマトグラフィで12時間)、混合液を室温で撹拌した。HO(3×25ml)で洗浄した後、有機相をMgSOで乾燥させ、濃縮乾燥し、橙色の固体(7.52g)の粗生成物を得た。カラムクロマトグラフィ(SiO、CHCl:シクロヘキサン(8/2))で精製し、ベージュ色の固体の形で標題化合物(6.45g、93%)を得た。H−NMR(400MHz、CDCl)8.27(s、1H)7.71(d、J=8.8Hz、2H)7.94(d、J=8.8Hz、1H)7.83(d、J=2Hz、1H)7.70(dd、J=8.8、1.6Hz、1H)7.54(dd、J=8.8、2.4Hz、1H)3.25(s、3H)。M/Z(IQ、NH)247[M+、14.78](265[M+18、100])
【0077】
<実施例4:6−シアノ−2−ナフタレニルトルエンスルホネートの調製>
6−シアノ−2−ナフトール(1.20g、7.09mmol)の無水CHCl(8ml)中の溶液にEtN(1.10ml、7.85mmol)を不活性雰囲気下、0℃で添加した。溶液を0℃で10分撹拌した。TsCl(1.52g、7.80mmol)を添加し、残留する試薬が観察されなくなるまで(薄膜クロマトグラフィで4時間)、混合液を室温で撹拌した。HO(3×10ml)で洗浄した後、有機相をMgSO上で濃縮乾燥させ、灰色がかった固体(2.24g)の形の粗生成物を得た。カラムクロマトグラフィ(SiO、CHCl:シクロヘキサン(6/4))で精製し、ベージュ色の固体の形の標題化合物(2.07g、90%)を得た。H−NMR(400MHz、CDCl)8.21(s、1H)7.85(d、J=4MHz、1H)7.83(d、J=4.4MHz、1H)7.74(d、J=8.4MHz、1H)7.63(dd、J=8.8、1.6MHz、1H)7.57(d、J=2.4MHz、1H)7.33(d、J=8MHz、1H)7.23(dd、J=8.8、2.4MHz、1H)2.46(s、3H)。M/Z(IQ、NH)323.0[M+、6.64](341.1[M+18、100])
【0078】
<実施例5:2,4,6−トリス[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリボリナンの調製>
−78℃、不活性雰囲気下で、3−(1−アダマンチル)−1−ブロモ−4−メトキシ・ベンゼン(6g、18.7mmol)のTHF(90ml)中の溶液に、n−BuLi(9ml、22.4mmol、ヘキサン中2.5M)を10分間にわたり添加した。反応混合液を同じ温度で1時間撹拌し、その間に白い沈殿物が形成された。−78℃で沈殿物にB(O−i−Pr)(15ml、65.4mmol)を添加して溶解させた。−78℃で1時間撹拌した後、反応混合液を室温にし、16時間撹拌した。次に、混合液を0℃に冷却し、HO(6ml)及びHCl(6ml、2M)を添加した。5分後にHCl(120ml、2M)を再び添加し、10分間激しく撹拌した。最後に、EtOAc(3×100mlで抽出した。全ての有機相をNaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させ、黄色の固体として粗3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニルホウ酸(6.46g)を得た。若干の三量体が含まれていた。
【0079】
得られた固体をヘキサン(60ml)中に懸濁させ、得られた懸濁液を30分間かけて50℃に加熱した。次に、懸濁液を静置して室温に冷却させ、濾過し、固体をヘキサン(30ml)で洗浄した。真空乾燥させた後、白色固体として標題化合物(5.53g)を得、事前精製をせずに次のスズキカップリング反応に用いた。IR(KBr)3228、2902、2846、1597、1453、1400、1339、1281、1235、1181、1138、1100、1022、820、758及び724。H NMR(400MHz、CDCl)8.15(s、1H)8.05(d、J=8.4Hz、1H)7.00(d、J=8.4Hz、1H)3.92(s、3H)2.21(s、6H)2.10(s、3H)及び1.82(s、6H)。
【0080】
<実施例6:(3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル)−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナンの調製>
2,4,6−トリス[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリボリナン(1g、1.24mmol)及び2,2−ジメチル−プロパン−1,3−ジオール(388mg、3.73mmol)のトルエン(10ml)中溶液を、ディーン−スタークコレクターに添加し、6時間、不活性雰囲気下で還流加熱した。トルエンを減圧下で蒸発させ、シクロヘキサン(2ml)を添加した。溶液を10分間還流加熱した後、室温に冷却し、濾過した後、白色固体として標題化合物(904mg、68%)を得、事前の精製を行わずに次のスズキカップリングに用いた。IR(KBr)3217、2958、2900、1596、1477、1416、1377、1310、1283、1233、1177、1136、1100、1032、990、816、694、676及び633。M/Z(エレクトロスプレー)355(M)。
【0081】
<実施例7:6−[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−2−ブロモナフタレンの調製>
3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル)ホウ酸(150mg、0.32mmol)、6−ブロモ−2−ナフタレニルトリフルオロメタンスルホネート(93mg、0.26mmol)、KPO(222mg、1.05mmol)、KBr(34mg、0.29mmol)及びTHF(2ml)をSchlenk管に添加した。反応混合物から遊離酸素を除去した(3回の凍結−解凍サイクル)。直後にPd(PPh(15mg、0.013mmol)を添加し、混合液から再び遊離酸素を除去した(2回の凍結−解凍サイクル)。18時間還流加熱した後、混合液を室温にし、CHCl(5ml)で希釈した。溶液をセライトで濾過し、CHCl(2×5ml)で洗浄した。全ての有機相を蒸発させ、得られた残余物をCHCl(5ml)中に再溶解させ、HO(2×5ml)で洗浄した。有機相をNaSO上で乾燥させた後、粗生成物(97mg)を得、更に最小量のトルエンで還流し、再結晶させた。淡黄色の粉末として標題化合物(68mg、58%)を得た。IR(KBr)2900、2847、1600、1489、1456、1442、1262、1237、1178、1142、1103、1061、1026、877、809及び470。M/Z(El)448[M81Br)76%]そして、446[M79Br)100]
【0082】
<実施例8:6−[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−2−ブロモナフタレンの調製>
2,4,6−トリス[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリボリナン(151mg、0.19mmol)、6−ブロモ−2−ナフタレニルトリフルオロメタンスルホネート(100mg、0.28mmol)、KPO(239mg、1.13mmol)、THF(2ml)及びHO(0.4ml)をSchlenk管に添加した。反応混合物から遊離酸素を除去した(3回の凍結−解凍サイクル)。直後にPd(PPh(16mg、0.014mmol)を添加し、混合液から再び遊離酸素を除去した(2回の凍結−解凍サイクル)。15時間還流加熱した後、混合液がまた熱いうちにトルエン(5ml)で希釈した。溶液を熱いトルエン(2×5ml)で洗浄し、セライトで濾過した。全ての有機相を加熱したHO(2×5ml)で洗浄した。有機相を乾燥させて粗生成物(201mg)を得、還流しながら最小量のトルエン(1.2ml)で再結晶させ、淡黄色の粉末として標題化合物(107mg、87%)を得た。分光測定データは実施例7のデータと一致した。
【0083】
<実施例9:6−[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−2−ブロモナフタレンの調製>
(3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル)−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン(100mg、0.28mmol)、6−ブロモ−2−ナフタレニルトリフルオロメタンスルホネート(67mg、0.19mmol)、KPO(160mg、0.75mmol)、THF(2ml)及びHO(0.4ml)をSchlenk管に添加した。反応混合物から遊離酸素を除去した(3回の凍結−解凍サイクル)。直後にPd(PPh(11mg、0.009mmol)を添加し、混合液から再び遊離酸素を除去した(2回の凍結−解凍サイクル)。17時間還流加熱した後、混合液がまた熱いうちにトルエン(5ml)で希釈した。溶液を熱いトルエン(2×5ml)で洗浄し、セライトで濾過した。有機相を乾燥させて粗生成物(59mg)を得、還流しながら最小量のトルエン(0.55ml)で再結晶させ、淡黄色の粉末として標題化合物(20mg、24%)を得た。分光測定データは実施例7のデータと一致した。
【0084】
<実施例10:6−[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−2−ブロモナフタレンの調製>
2,4,6−トリス[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリボリナン(187mg、0.23mmol)、2,6−ジブロモナフタレン(100mg、0.35mmol)、KPO(296mg、1.4mmol)、THF(2ml)及びHO(0.4ml)をSchlenk管に添加した。反応混合物から遊離酸素を除去した(3回の凍結−解凍サイクル)。直後にPd(PPh(20mg、0.017mmol)を添加し、混合液から再び遊離酸素を除去した(2回の凍結−解凍サイクル)。15時間還流加熱した後、混合液がまた熱いうちにトルエン(5ml)で希釈した。溶液を熱いトルエン(2×5ml)で洗浄し、セライトで濾過した。全ての有機相を加熱したHO(2×5ml)で洗浄した。有機相を蒸発させ、粗生成物(128mg)を得、還流しながら最小量のトルエン(0.75ml)を用いて再結晶させ、淡黄色の粉末として標題化合物(39mg、25%)を得た。分光測定データは実施例7のデータと一致した。
【0085】
<実施例11:6−[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−2−シアノナフタレンの調製>
6−[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−2−ブロモナフタレン(250mg、0.56mmol)のDMF(2mL)中の懸濁液に、CuCN(90mg、1.01mmol)を添加し、混合液を160℃で8時間撹拌した。反応液を100℃に冷却し、NH水溶液(5ml、14%)に添加した。得られる混合液をトルエン(3×10ml)で抽出し、全有機相をNH水(3×10ml、5%)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、粗製の中間体であるシアン化物(220mg)を得た。還流しながらトルエンを用いて再結晶化させ、茶色の固体として所望の生成物(200mg、91%)を得た。IR(KBr)3398、2898、2840、2219、1604、1476、1239、1027、880及び816。H NMR(400MHz、CDCl)8.23(s、1H)8.01(s、1H)7.94(t、J=8.0Hz、2H)7.85(dd、J=8.4及び1.6Hz(1H)7.60(m、2H)7.54(dd、J=8.4 y、2.4Hz、1H)7.00(d、J=8.4Hz、1H)3.91(s、3H)2.18(s、6H)2.11(s、3H)1.81(s、6H)。M/Z(El)393(M+、100)。
【0086】
<実施例12:6−[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−2−シアノナフタレンの調製>
2,4,6−トリス[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリボリナン(889mg、1.11mmol)、6−シアノナフタレニルトリフルオロメタンスルホネート(500mg、1.66mmol)、KPO(1.41g、6.64mmol)、THF(10ml)及びHO(2ml)をSchlenkフラスコに添加し、反応混合物から遊離酸素を除去した(3回の凍結−解凍サイクル)。その直後、Pd(PPh(96mg、0.083mmol)を添加し、混合液から再び遊離酸素を除去した(2回の凍結−解凍サイクル)。17時間還流加熱した後、まだ熱いうちにトルエン(50ml)で反応混合液を希釈した。混合液を熱いトルエン(2×50ml)で洗浄し、セライトで濾過した。全有機相を熱水(2×50ml)で洗浄した。有機相を蒸発させて粗生成物(906mg)を得、還流しながら最小量トルエン(6.2ml)を用いて再結晶化させ、灰色の粉末として標題化合物(541mg、83%)を得た。分光測定データは実施例11のデータと一致した。
【0087】
<実施例13:6−[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル1−2−シアノナフタレンの調製>
2,4,6−トリス[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−1,3,5,2,4,6−トリオキサボリナン(69mg、0.086mmol)、6−シアノ−2−ナフタレニルメタンスルホネート(50mg、0.202mmol)、NiCI(PPh(13mg、0.020mmol)、PPh(11mg、0.040mmol)及びKPO−1.5HO(290mg、1.213mmol)をSchlenkフラスコに添加し、反応混合物から遊離酸素を除去した(3回の凍結−解凍サイクル)。無水トルエンを添加した(1ml)。反応混合物を120℃で16時間加熱した後、反応混合物を室温にし、CHCl(3ml)を添加した。懸濁液をセライトで濾過し、固体をCHClで洗浄した。濾過液をMgSOを通じて濃縮乾燥させ、黄色の固体(108mg)の形の粗製の生成物を得た。カラムクロマトグラフィ(SiO、CHCl:シクロヘキサン(60/40))で精製し、標題化合物(75mg、94%)を得た。分光測定データは実施例11のデータと一致した。
【0088】
また、キシレン(58%)、ジオキサン(65%)及びTHF(52%)を用いてこのカップリングを最適に実施した。
【0089】
<実施例14:6−[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−2−シアノナフタレンの調製>
3−(1−アダマンチル)−1−ブロモ−4−メトキシベンゼン(62mg、0.19mmol)の無水THF(1ml)中の混合液に、Ar雰囲気下、−78℃で、t−BuLi(197μl、1.4M、0.27mmol)を滴下して添加し、混合液を1時間撹拌した。この後、反応液を室温にし、ZnCl(26mg、0.19mmol)の無水THF(0.4mL)中の溶液を添加し、更に撹拌を継続させた。6−シアノナフタレニルトリフルオロメタンスルホネート(50mg、0.17mmol)、Pd(PPh(12mg、0.01mmol)及び無水THF(0.2ml)の混合溶液を添加し、反応液を室温で18時間、50℃で5時間維持した。最後に、反応液をHCl(1M)で中和し、EtO(3×2ml)で抽出した。有機相を飽和NaCl水(3×3ml)及びHO(3×3ml)で洗浄し、MgSOで乾燥させた。オレンジ色の油状物として粗生成物を得た(88mg)。カラムクロマトグラフィ(SiO、CHCl:シクロヘキサン8/2)による精製後、白色固体として標題化合物(11mg、18%)を得た。分光測定データは実施例11のデータと一致した。
【0090】
<実施例15:6−[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−2−シアノナフタレンの調製>
事前に調製した3−(1−アダマンチル)−1−ブロモ−4−メトキシベンゼン(50mg、0.156mmol)、ジブロモエタン(13μl、0.155mmol)及び無水THF(0.4ml)の溶液をマグネシウム(56.4mg、2.322mmol)の無水THF(1ml)中の懸濁液を通じて添加し、反応が活性化するまで(2.5分)、混合液を室温で撹拌した。反応が活性化した後、3−(1−アダマンチル)−1−ブロモ−4−メトキシベンゼン(0.45g、1.402mmol)の無水THF(3ml)中の溶液を滴下して添加し、反応混合液を還流温度で2時間撹拌し、有機マグネシウム化合物を得た。次に、溶液を室温に冷却し、前記有機マグネシウム化合物溶液(0.858ml、0.304mmol、0.354M)をZnCl(21.5mg、0.304mmol)(事前に真空下で溶解させ、不活性雰囲気下で室温に冷却した)を通じて徐々に添加し、混合液を室温で1時間撹拌し、有機亜鉛誘導体を得た。
【0091】
事前調製した有機亜鉛誘導体の溶液を、事前に遊離酸素を除去(凍結/解凍を3サイクル)した、6−シアノ−2−ナフタレニルメタンスルホネート(50mg、0.202mmol)、NiCl(PPh(13mg、0.020mmol)及びPPh(11mg、0.040mmol)の混合液に添加し、混合液を室温で16時間撹拌した。
【0092】
次に、溶液をHO(2ml)で希釈し、CHCl(3×5ml)で抽出した。有機相を飽和NaCl水(3×3ml)で洗浄し、有機相をMgSO上で乾燥させ、濃縮し、黄色がかった粗製の油状物(115mg)を得た。カラムクロマトグラフィ(SiO、CHCl:シクロヘキサン(40/60))で精製し、白色固体の形で標題化合物(47mg、59%)を得た。分光測定データは実施例11のデータと一致した。
【0093】
<実施例16:6−[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]2−シアノナフタレンの調製>
2,4,6−トリス[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−1,3,5,2,4,6−トリオキサボリナン(53mg、0.066mmol)、6−シアノ−2−ナフタレニルトルエンスルホネート(50mg、0.155mmol)、NiCl(PPh(10mg、0.016mmol)、PPh(8mg、0.031mmol)及びKPO−1.5HO(222mg、0.930mmol)をSchlenkフラスコに添加し、反応混合液から遊離酸素を除去した(凍結/解凍を3サイクル)。無水トルエンを添加した(2ml)。85℃で16時間加熱した後、反応混合液を室温に冷却し、CHClを添加した(3ml)。懸濁液をセライトで濾過し、固体分をCHClで洗浄した。濾過液をMgSOで乾燥させ濃縮し、黄色の固体(128mg)として粗製物を得た。カラムクロマトグラフィ(SiO、CHCl:シクロヘキサン(60/40)で精製し、標題化合物(33mg、54%)を得た。分光測定データは実施例11のデータと一致した。
【0094】
また無水トルエン中で反応を行った結果、41%の収率で標題化合物を得た。
【0095】
<実施例17:6−[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]2−シアノナフタレンの調製>
事前に調製した3.5mlの3−(1−アダマンチル)−1−ブロモ4−メトキシベンゼン(2g、6.23mmol)の無水THF(7ml)中溶液を、マグネシウム(166mg、6.83mmol)の無水THF(4ml)中の懸濁液に添加し、反応が活性化するまで混合液を室温で10分間、更に67℃で撹拌した。反応が活性化した後、3−(1−アダマンチル)−1−ブロモ−4−メトキシベンゼンの無水THFの溶液の残りを滴下して添加し、−67℃で1時間、反応混合液を撹拌し、有機マグネシウム誘導体を得た。溶液を室温に冷却した。
【0096】
事前に調製した有機マグネシウム誘導体(0.748ml、0.62M、0.464mmol)、シアノナフタレニルトルエンスルホネート(50mg、0.155mmol))の混合液に、不活性雰囲気下でNiCl(PPh(5mg、0.007mmol)及びPPh(2mg、0.007mmolを添加し、溶液を80℃で72時間撹拌した。
【0097】
溶液を室温に冷却し、CHCl(3ml)で希釈し、濾過し、CHClで洗浄した。全濾過液をMgSOを通じて乾燥させ、濃縮し、オレンジ色の油状の粗製物(170mg)を得た。カラムクロマトグラフィ(SiO、CHCl:シクロヘキサン(60/40))で精製し、標題化合物(7mg、11%)を得た。分光測定データは実施例11のデータと一致した。
【0098】
<実施例18:6−[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]2−ヒドロキシナフタレンの調製>
2,4,6−トリス[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリボリナン(1.18g、1.46mmol)、6−ブロモ−2−ナフトール(500mg、2.19mmol)、NaCO(0.93g、8.77mmol)、トルエン(4ml)、エタノール(4ml)及びHO(4ml)をSchlenkフラスコに添加し、反応混合液から遊離酸素を除去した(凍結−解凍を3サイクル)。直後に、Pd(PPh(127mg、0.11mmol)を添加し、混合液から再び遊離酸素を除去した(凍結−解凍を2サイクル)。還流温度で17時間加熱した後、まだ熱いうちにトルエン(60ml)で反応混合液を希釈した。混合液を熱いトルエン(2×50ml)で洗浄し、セライトで濾過した。全ての有機相を熱いHO(2×50ml)で洗浄した。有機相を蒸発させ、粗生成物を得た(1.24g)。カラムクロマトグラフィ(SiO、CHCl:シクロヘキサン(8/2))で精製し、白色固体の形で標題化合物(0.46g、55%)を得た。IR(KBr)3515、3361、2900、2848、1604、1497、1236、1181、1139、1026、860、805、H NMR(400MHz、CDCl)8.01(s、1H)7.95(d、J=9.2Hz、1H)7.90(d、J=8.4Hz、1H)7.83(dd、J=8.4 y、2Hz、1H)7.75(d、J=2.4、1H)7.57(d、J=2.4Hz、1H)7.52(dd、J=8.4及び2.4Hz(1H)7.37(dd、J=9.2及び2.4、1H)7.00(d、J=8.4Hz、1H)3.90(s、3H)2.19(s、6H)2.10(s、3H)及び1.80(s、6H)。M/Z(El)516(M+、100%)
【0099】
<実施例19:6−[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−2−ナフタレニルトリフルオロメタンスルホネートの調製>
6−[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−2−ヒドロキシナフタレン(0.46g、1.20mmol)及び無水NEt(0.20ml、1.44mmol)の無水CHCl中溶液に、不活性雰囲気下、0℃で、トリフレート無水物[(CFSOO、0.24ml、1.44mmol]を滴下して添加した(9.2ml)。開始原料が観察されなくなるまで(18時間)、室温で反応させた。反応混合液を濃縮乾燥し、得られた粗生成物をEtOH(5ml)中に懸濁した。水(8ml)を添加し、混合液を分散させ、得られる懸濁液を濾過し、灰色茶色の固体として粗製物(0.514g)を得た。カラムクロマトグラフィ(SiO、CHCl100%)で精製し、黄色がかった固体状の標題化合物(0.454g、73%)を得た。IR(KBr)3449、2904、2847、1610、1502、1412、1143、1027、931、810、637。H NMR(400MHz、CDCl)7.91(s、1H)7.79(d、J=8.8Hz、1H)7.72(d、J=8.4Hz、1H)7.68(dd、J=8.4及び2.4Hz(1H)7.56(d、J=2.4Hz、1H)7.49(dd、J=8.4及び2.4Hz(1H)7.16(d、J=2.4Hz、1H)7.12(dd、J=8.8、2.4Hz、1H)6.98(d、J=8.4Hz、1H)4.93(sa、OH)3.89(s、3H)2.18(s、6H)2.10(s、3H)及び1.80(s、6H)。M/Z(IQ)534(M+NH、33)516(M+、100)383(84)
【0100】
<実施例20:6−[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−2−シアノナフタレンの調製>
6−[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−2−ナフタレニルトリフルオロメタンスルホネート(60mg、0.12mmol)の無水DMF(1.1ml)中の混合物に、Zn(CN)(8.2mg、0.07mmol)及びPd(PPh(6mg、0.005mmol)を添加し、反応混合液を80℃で1時間撹拌した。反応液をEtO(3mL)で希釈し、HO(3×4ml)で洗浄した。有機相をMgSOで乾燥させ、白色固体として粗生成物(40mg)を得た。カラムクロマトグラフィ(SiO、CHClシクロヘキサン、6/4)で精製し、白色固体の形で標題化合物(24mg、53%)を得た。分光測定データは実施例11のデータと一致した。
【0101】
<実施例21:アダプレネの調製>
6−[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−2−シアノナフタレン(125mg、0.32mmol)、ジオキサン(2mL)、MeOH(2mL)及びHO(0.8mL)の混合物に、KOH(222mg、3.97mmol)を添加し、反応混合液を24時間還流温度で撹拌した。混合液をHCl(5mL、2M)で酸性化し、EtOAc(3×10mL)で抽出した。全ての有機相をNaSOで乾燥させ、粗製のアダプレネ(164mg)を得た。トルエンから再結晶化させ、白色固体としてアダプレネ(122mg、58%)を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)の化合物。
【化1】

(式中、Wは以下からなる群:−CH−、−O−及び−SO−から選択されるビラジカルであり、R及びRは同じ又は異なる基であり、独立に水素、ハロゲン及び(C−C)−アルキル基からなる群から選択され、Rは、ヒドロキシル、アシル、アミド基、ハロゲン、1つ以上のヒドロキシル基又はアシル基によって任意に置換されてもよい(C−C)アルキル基、及び任意に1つ以上のヒドロキシル基、(C−C)−アルコキシル基又はアミドにより置換されてもよく、及び/又は1つ以上の酸素原子によって任意に中断されてもよい(C−C)−アルコキシル基からなる群から選択される基であり、Rは水素、ヒドロキシル基、(C−C)−アルキル及び(C−C)−アルコキシルからなる群から選択される基であるか、又は、R及びRは共にビラジカル−OCHO−を形成し、Rは水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシル及びハロゲンからなる群から選択される基であり、Pは(P)−1及び(P)−2から選択される基であり、
【化2】

式中、式中、Rは水素、(C−C)−アルキル及びハロゲンから選択される基であり、Rは水素、ヒドロキシル基及びハロゲンから選択される基であり、Vはビラジカル−CH−でありV’はO原子であるか、又は、VはN原子でありV’はビラジカル−NH−である。)
【請求項2】
Wが−CH−である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Pが(P)−1基である、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
化合物(II)が式(IIa)の化合物である、請求項3記載の化合物。
【化3】

【請求項5】
式(III)の化合物
【化4】

(式中Qが以下の式から選択される基であり、
【化5】

XがCl、Br及びIなどのハロゲン、並びに−OSOの式のスルホネートから選択される離脱基であり、式中、RがCF、(C−C)−アルキル、フェニル、並びに(C−C)−アルキル基、ハロゲン及びニトロ基から選択される基によって一置換若しくは二置換されてもよいフェニル基からなる群から選択され、W、V、V’、R、R、R、R、R、R及びRは上記の式(II)の化合物におけるそれらと同じ意味を有する)とシアン化金属を反応させることを含んでなる、請求項1から4のいずれか1項記載の式(II)の化合物の調製方法。
【請求項6】
式(III)の化合物が式(IlIa)の化合物であり、Xが請求項5に記載のそれと同じ意味を有する、請求項5記載の方法。
【化6】

【請求項7】
ハロゲンがBrである、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記反応がシアン化銅によって実施される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
がCFである、請求項6記載の方法。
【請求項10】
前記反応がシアン化亜鉛によって実施される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記反応がパラジウム触媒又はニッケル触媒の存在下で実施される、請求項9又は10記載の方法。
【請求項12】
前記触媒がパラジウム触媒である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
請求項1から4のいずれか1項記載の式(II)の化合物の調製方法であって、(XI)及び(XII)から選択される化合物と、
【化7】

2,4,6−トリス[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリボリナン又は式(VI)の化合物とのカップリング反応を含んでなる方法。
【化8】

(式中、W、V、V’、R、R、R、R、R、R及びRが上記の式(II)の化合物のそれらと同じ意味を有し、YがCl、Br及びIなどのハロゲン、並びに−OSOの式のスルホネートから選択される離脱基であり、式中、RがCF、(C−C)−アルキル、フェニル、並びに(C−C)−アルキル基、ハロゲン及びニトロ基から選択される基によって一置換若しくは二置換されてもよいフェニル基からなる群から選択され、RはMgZ、ZnZ及び以下の群から選択される式で表される基であり、
【化9】

式中、Zはハロゲン(好ましくはCl及びBr)であり、T及びTはヒドロキシル基、(C−C)−アルコキシル基及びフェノキシ基からなる群から各々独立に選択され、最後の基は(C−C)−アルコキシル基、(C−C)−アルキル基又はハロゲンで任意に置換されてもよいか、又は、T及びTはホウ素原子と共に以下から選択される環状構造を形成してもよく、
【化10】

Mが(CH、(CHCR(CH及びCR(CHCRからなる群から選択され、nは2から4の整数であり、r及びsは0から4の整数であり、但しr及びsが両方とも0でなく、tは0から1の整数であり、R及びRは水素、(C−C)−アルキル、フェニル及び一置換若しくは二置換フェニル基(当該置換基はハロゲン、(C−C)−アルキル及び(C−C)−アルコキシル基である)からなる群から各々独立に選択される。)
【請求項14】
前記カップリング反応が化合物(XIa)(式中、Yは離脱基を意味し、Cl、Br及びIなどのハロゲン、並びに−OSOの式のスルホネートから選択され、RはCF、(C−C)−アルキル基、フェニル基、並びに(C−C)−アルキル基、ハロゲン及びニトロ基から選択される基で一置換若しくは二置換されているフェニル基からなる群から選択される)を用いて実施される、請求項13記載の調製方法。
【化11】

【請求項15】
YがBr及びトリフルオロメタンスルホネートから選択される、請求項13又は14記載の調製方法。
【請求項16】
Yがメタンスルホネート及びp−トルエンスルホネートから選択される、請求項13又は14記載の調製工程。
【請求項17】
化合物(VI)が式(VIa)の化合物であり、式中、Rが請求項13の化合物(VI)におけるそれと同じ意味を有する、請求項13から16のいずれか1項記載の調製方法。
【化12】

【請求項18】
式(XI)の化合物を、2,4,6−トリス[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリボリナン、又は、3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニルホウ酸、(3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル)−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン及び3−(1−アダマンチル)−4−メトキシベンゼン塩化亜鉛から選択される式(VIa)の化合物とカップリングさせる、請求項13から17のいずれか1項記載の調製方法。
【請求項19】
式(XI)の化合物を、3−(1−アダマンチル)−4−メトキシベンゼン臭化亜鉛及び3−(1−アダマンチル)−4−メトキシベンゼン臭化マグネシウムから選択される式(VIa)の化合物とカップリングさせる、請求項13から17のいずれか1項記載の調製方法。
【請求項20】
式(XI)の化合物を、2,4,6−トリス[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリボリナン又は3−(1−アダマンチル)−4−メタオキシベンゼン塩化亜鉛とカップリングさせる、請求項18記載の調製方法。
【請求項21】
前記カップリングを遷移金属化合物の存在下で実施する、請求項13から20のいずれか1項記載の調製工程。
【請求項22】
前記遷移金属がパラジウム及びニッケルから選択される、請求項21記載の調製工程。
【請求項23】
前記金属化合物がテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)である、請求項22記載の調製方法。
【請求項24】
前記金属化合物がNiCI(PPhである、請求項22記載の調製方法。
【請求項25】
前記反応が、2,4,6−トリス[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリボリナン、又は、式(VI)の化合物(R
【化13】

で表される式の基である)を用いて、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属リン酸塩からなる群から選択される塩基の存在下で実施される、請求項13から24のいずれか1項記載の調製方法。
【請求項26】
式(I)の化合物又はその薬理学的に許容できる塩の調製方法
【化14】

(式中、Wは−CH−、−O−及び−SO−からなる群から選択されるビラジカルであり、 R及びRは同じ又は異なる基であり、独立に水素、ハロゲン及び(C−C)−アルキル基からなる群から選択され、Rは、ヒドロキシル、アシル、アミド基、ハロゲン、1つ以上のヒドロキシル基又はアシル基によって、任意に置換されてもよい(C−C)アルキル基、及び任意に1つ以上のヒドロキシル基、(C−C)−アルコキシル基又はアミドにより置換されてもよく、及び/又は1つ以上の酸素原子によって任意に中断されてもよい(C−C)−アルコキシル基からなる群から選択される基であり、Rは水素、ヒドロキシル基、(C−C)−アルキル及び(C−C)−アルコキシルからなる群から選択される基であるか、又は、R及びRは共にビラジカル−OCHO−を形成し、Rは水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシル及びハロゲンからなる群から選択される基であり、Rは(R)−1及び(R)−2から選択される基であり、
【化15】

式中、Rは水素、(C−C)−アルキル及びハロゲンから選択される基であり、Rは水素、ヒドロキシル基及びハロゲンから選択される基であり、Vはビラジカル−CH−でありV’はO原子であるか、又は、VはN原子でありV’はビラジカル−NH−である)であって、請求項1から4のいずれか1項で定義した式(II)の化合物を加水分解反応に供することを含んでなる方法。
【請求項27】
式(I)の化合物が式(Ia)の化合物であり、式(II)の化合物が式IIaの化合物である、請求項26記載の方法。
【化16】

【請求項28】
前記加水分解を塩基性条件下で実施し、更に酸処理を実施する、請求項26又は27記載の方法。
【請求項29】
前記塩基がアルカリ金属水酸化物である、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記アルカリ金属水酸化物が水酸化カリウムである、請求項29記載の方法。
【請求項31】
式(X)の化合物。
【化17】

(式中、RがCF、(C−C)−アルキル基、フェニル基及び(C−C)−アルキル基で一置換若しくは二置換されたフェニル基から選択される基である。)
【請求項32】
請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
式(IX)の化合物。
【化18】

(式中、Rが−CFである。)

【公表番号】特表2009−517457(P2009−517457A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542930(P2008−542930)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【国際出願番号】PCT/IB2006/054548
【国際公開番号】WO2007/063523
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(508161894)フィノルガ ソシエテ パル アクションス シンプリフィ (2)
【Fターム(参考)】