説明

中間細孔層を有する未処理拡散媒体およびそれを組み込んだデバイス

電気化学電池および拡散媒体を使用する他のデバイスの水管理に関連した問題に対処するために、拡散媒体およびそれの製造方法が提供される。本発明の一実施形態に従って、拡散媒体を製造するための方法が提供される。第1および第2の主面を画定する多孔質繊維状マトリックスを備える拡散媒体基板が設けられる。基板は、その基板を導電性にするのに十分な多量の炭素質材料を備える。基板の第1および第2の主面のうちの1つの少なくとも一部分に沿って中間細孔層が付けられる。中間細孔層は、疎水性成分、親水性成分および孔形成剤を備える被膜を設けることによって基板に付けられる。中間細孔層を保持する基板の領域以外には基板にフッ素化重合体が無い。中間細孔層が拡散媒体基板よりも多孔性であるように、孔形成剤が分解される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡散媒体の設計および製造に関し、より詳細には、水管理が大きな設計問題である電気化学電池用の拡散媒体に関する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明に従って、電気化学電池および拡散媒体を使用する他のデバイスの水管理に関連した問題に対処するために、拡散媒体およびそれの製造方法が提供される。本発明の一実施形態に従って、拡散媒体を製造するための方法が提供される。第1および第2の主面を画定する多孔質繊維状マトリックスを備える拡散媒体基板が設けられる。基板は、その基板を導電性にするのに十分な多量の炭素質材料を備える。基板の第1および第2の主面のうちの1つの少なくとも一部分に沿って中間細孔層(mesopourous layer)が付けられる。中間細孔層は、疎水性成分、親水性成分および孔形成剤を備える被膜を設けることによって基板に付けられる。中間細孔層を保持する基板の領域以外には基板にフッ素化重合体が無い。中間細孔層が拡散媒体基板よりも多孔性であるように、孔形成剤が分解される。
【0003】
本発明の他の実施形態に従って、拡散媒体を製造する方法が提供される。この方法に従って、中間細孔層は、疎水性成分、親水性成分、孔形成剤および溶剤を備える被膜を設けることによって基板に付けられる。疎水性成分は、フッ素化重合体を備える。親水性成分は、炭素繊維、炭素粒子、およびこれらの組合せから選ばれた炭素質物質を備える。炭素質物質は、約60cm/グラムの表面積で特徴付けられる。孔形成剤は、炭酸アンモニウムを備える。中間細孔層を保持する基板の領域以外には基板にフッ素化重合体が無い。中間細孔層の無い拡散媒体に比べて拡散媒体の多孔度を実質的に増加させるように、十分な量の中間細孔層が、基板に付けられる。拡散媒体の多孔度の実質的な増加は、約5%から約15%までの範囲である。溶剤は、HO、イソプロパノール、およびこれらの組合せから選ばれる。被膜は、拡散媒体基板に少なくとも部分的に浸透するように設けられる。中間細孔層が拡散媒体基板よりも多孔性であるように、孔形成剤は、熱処理プロセスで分解される。
【0004】
本発明のさらに他の実施形態に従って、拡散媒体を備えるデバイスが提供され、この拡散媒体は、拡散媒体基板および中間細孔層を備えている。拡散媒体基板は、第1および第2の主面を画定する多孔質繊維状マトリックス、およびその基板を導電性にするのに十分な多量の炭素質材料を備えている。拡散媒体基板は、基板の第1および第2の主面のうちの1つの少なくとも一部分に沿って中間細孔層を保持している。中間細孔層は、その中間細孔層の中に疎水性領域および親水性領域を画定する疎水性成分および親水性成分を備えている。中間細孔層は、その中間細孔層を導電性にするのに十分な多量の炭素質材料を備えている。中間細孔層は、拡散媒体基板の多孔度よりも大きな多孔度によって特徴付けられる。中間細孔層を保持する基板の領域以外には拡散媒体基板にフッ素化重合体が無い。
【0005】
従って、本発明の目的は、拡散媒体およびそのような拡散媒体を使用するデバイスの水管理問題に対処する手段を提供することである。本発明の他の目的は、ここに組み込まれる本発明の説明に照らして明らかであろう。
【0006】
本発明の特定の実施形態についての以下の詳細な説明は、以下の図面と共に読まれるとき、最良に理解することができる。図面では、同様な構造は同様な参照数字で示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
最初に図1を参照すると、本発明に従った多孔質拡散媒体20を組み込んだ燃料電池10が図示されている。特に、燃料電池10は、燃料電池10のアノード流れ場40とカソード流れ場50の間に置かれた膜電極アセンブリ30を備える。流れ場40、50および膜電極アセンブリ30は、本発明の範囲を逸脱することなしに、様々な従来の形態または未だ開発されていない形態をとることができると考えられる。膜電極アセンブリ30の特定の形態は本発明の範囲を超えているが、図示の実施形態では、膜電極アセンブリ30は、それぞれの触媒電極層32およびイオン交換膜34を含む。
【0008】
ここで図2を参照すると、本発明の一実施形態に従った拡散媒体20が模式的に図示されている。拡散媒体20は、拡散媒体基板22および中間細孔層24を備える。拡散媒体基板22は、第1および第2の主面21、23を画定する多孔質繊維状マトリックス、および基板22を導電性にするのに十分な多量の炭素質材料を備える。図示の実施形態では、拡散媒体基板22は、基板22の第1の主面21に沿って中間細孔層24を保持している。
【0009】
本発明の多くの実施形態では、中間細孔層24は、燃料電池の流れ場に面するように位置付けされるのとは対照的に燃料電池10の膜電極アセンブリ30に接して位置付けされると、水管理問題に対処するのにいっそう効果的である。それにもかかわらず、拡散媒体基板22は、どちらの面が膜電極アセンブリ30に接して位置付けされるかにかかわらず、基板22のどちらかの主面21、23に沿って中間細孔層24を保持することができると考えられる。さらに、中間細孔層24は、それが保持されている面の全てまたは部分を覆うことができる。
【0010】
中間細孔層24は、一般に、拡散媒体基板22よりも多孔性である。本発明を定義しかつ説明する目的のために、中間細孔構造は数ナノメートルから数百ナノメートルに及ぶことができる孔径によって特徴付けられることに留意されたい。中間細孔層24は、層24の疎水性領域および親水性領域を画定する疎水性成分26および親水性成分28を備えている。疎水性成分26は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルフルオライド(PVF)、フッ素化重合体の組合せであるフッ素化重合体、または任意の他の適切な疎水性材料または材料の組合せを含むことができる。親水性成分28は、炭素繊維、炭素粒子、およびそれらの組合せのような炭素質物質として与えることができるが、代わりに任意の他の適切な親水性材料で与えることができる。限定するものでなく例示として、約60cm/グラムの表面積で特徴付けられるアセチレンブラックのような炭素質物質が中間細孔層24の適切な親水性材料であることに留意にされたい。中間細孔層24は、また、その層を導電性にするのに十分な多量の炭素質材料を備えている。層24にすでに存在している親水性または疎水性成分28は、この役目を満たすように選ぶことができるが、その層を導電性にするようにその層に追加の成分を組み込むことができると考えられる。
【0011】
図2に示すように、中間細孔層24は、拡散媒体基板22に少なくとも部分的に浸透する。図2に第1の表面21を想像で示して模式的に図示された浸透の程度は、中間細孔層24および拡散媒体基板22の特性に依存して大きく変化するだろう。
【0012】
拡散媒体基板22は、フッ素化重合体が無いという意味で未処理である。もちろん、中間細孔層24がフッ素化重合体を含む実施形態では、中間細孔層24を保持する基板22の領域以外には拡散媒体基板22にフッ素化重合体が無いかもしれないことに留意されたい。
【0013】
ここで図3を参照すると、本発明に従って拡散媒体を組み込んだ燃料電池システムは、自動車100の動力源として動作するように構成されることがある。特に、燃料蓄積ユニット120からの燃料は、燃料例えばH2を電気に変換するように構成された燃料電池アセンブリ110に向けることができる。生成された電気は、その後、自動車100の原動力供給としてとして使用され、自動車100で、電気はトルクおよび自動車並進運動に変換される。
【0014】
ここで本発明の拡散媒体を製造することができる方法を参照すると、疎水性成分、親水性成分、孔形成剤および適切な溶剤を備える被膜を設けることによって、中間細孔層が基板に付けられる。孔形成剤は、その後、中間細孔層が拡散媒体基板よりも多孔性であるように分解される。溶剤は、脱イオンHO、イソプロパノール、およびこれらの組合せを含むがこれらに限定されない任意の適切な溶媒であることができる。
【0015】
一般に、約15重量%から約40重量%の疎水性成分、約85重量%から約60重量%の親水性成分、約0重量%から約15重量%の孔形成剤を備えた混合物として被膜は設けられる。より具体的には、被膜は、約20重量%よりも僅かに少ない疎水性成分、約80重量%よりも僅かに少ない親水性成分、および約5重量%の孔形成剤を備えた混合物として設けられる。
【0016】
親水性成分が炭素質物質を備える場合、その物質は、炭素繊維、炭素粒子、およびこれらの組合せを含むがこれらに限定されない様々な材料から選ぶことができる。炭素質物質は、約50cm/グラムから約250cm/グラムの表面積で特徴付けることができる。より具体的には、また限定するものでなく例示として、アセチレンブラックのような適切な親水性成分は、約60cm/グラムの表面積で特徴付けられる。
【0017】
孔形成剤に関して、基板に塗布され、かつ硬化、乾燥、固化するかそうでなく安定化することができるようにされるときに中間細孔層の孔径を実質的に増加させる傾向のある材料を、孔形成剤は備えるべきである。例えば、また限定するものではなく例示として、孔形成剤は、炭酸アンモニウムまたは、加熱すると疎水性成分および親水性成分を有する混合物に分解するように選ばれた任意の他の材料を備えることができる。分解は、粒子が無くてもよく、気体成分および液体成分を含んでもよい。より具体的には、孔形成剤は、孔形成剤の分解のすぐあとで孔形成剤の成分が中間細孔層に実質的に無いように選ばれた材料を備えることができる。分解して気体生成物および水になる孔形成剤は、本発明の多くの用途に適している。例えば、炭酸アンモニウムの熱分解の生成物には、アンモニア、二酸化炭素、窒素、および水蒸気がある。
【0018】
孔形成剤の分解は、被覆された基板を加熱して促進することができる。適切な加熱処理温度は、中間細孔層の組成に依存して変わる。例えば、炭酸アンモニウムが孔形成剤として使用される場合、被覆された媒体は、炭酸アンモニウムの分解のすぐあとで水の気化を促進するように少なくとも約100℃まで加熱されるべきである。一般に、加熱処理プロセスは、約75℃から約100℃の間または少なくとも約65℃より上の温度で特徴付けられる。
【0019】
中間細孔層の無い拡散媒体に比べた中間細孔層を有する拡散媒体の多孔度の増加に関して、増加の広い範囲が考えられるが、約5%から約15%の間またはより具体的には約7.5%の拡散媒体の多孔度の増加が、本発明の多くの実施形態で一般的である。限定するものでなく例示として、本発明の一実施形態に従って、厚さ250μmの炭素繊維紙基板および厚さ10μmのアセチレンブラックおよびPTFEの中間細孔層を含んだ拡散媒体の多孔度は、(中間細孔層の無い)約78%から(中間細孔層を含んだ)約84%に増加した。
【0020】
図2に図示した拡散媒体基板22および中間細孔層24のそれぞれの厚さa、bに関して、適切な値は、拡散媒体が使用される特定の用途に依存して変わることに留意されたい。例えば、約100μmから約300μmの厚さb有する炭素繊維紙製品は、約10μmから約25μmの中間細孔層厚さaを有する本発明の使用に適していると考えられる。
【0021】
「好ましくは」、「共通に」、および「一般に」のような用語は、特許請求される発明の範囲を限定するように、または、特許請求された発明の構造または機能にとって特定の特徴が決定的、基本的、または重要でさえあることを意味するように、本明細書で使用されないことに留意されたい。そうではなく、これらの用語は、主として、本発明の特定の実施形態で使用してもよく、または使用しなくてもよい代替えまたは追加の特徴を強調する意図である。
【0022】
本発明を説明しかつ定義する目的のために、「デバイス」という用語は、部品が他の部品と組み合わされるかどうかにかかわらず、部品の組合せおよび個々の部品を表すように本明細書で使用されることに留意されたい。例えば、本発明に従った「デバイス」は、拡散媒体、本発明に従った拡散媒体を組み込んだ燃料電池、本発明に従った燃料電池を組み込んだ自動車、その他を備えることができる。
【0023】
本発明を説明しかつ定義する目的のために、「実質的に」という用語は、任意の量的な比較、値、測定値、または他の表現に付与することができる不確定性の固有の程度を表すように本明細書で使用されることに留意されたい。また、「実質的に」という用語は、論争中の問題の基本的な機能の変化を結果として生じることなしに、量的表現が、述べられた基準から変化することができる程度を表すようにも本明細書で使用される。
【0024】
本発明を詳細に、かつそれの特定の実施形態を参照して説明したので、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱することなしに修正物および変形物が可能であることは明らかであろう。より具体的には、本発明のいくつかの態様は、好ましいように、または特に有利なように、本明細書で示されているが、本発明は、本発明のこれらの好ましい態様に必ずしも限定されないと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に従った多孔質拡散媒体を組み込んだ燃料電池の模式的な説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に従った多孔質拡散媒体の模式的な説明図である。
【図3】本発明に従った燃料電池を組み込んだ乗物の模式的な説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡散媒体を製造するための方法であって、
第1および第2の主面を画定する多孔質繊維状マトリックスを備える拡散媒体基板を設けるステップであって、前記基板は前記基板を導電性にするのに十分な多量の炭素質材料を備えるものであるステップと、
前記基板の前記第1および第2の主面のうちの1つの少なくとも一部分に沿って中間細孔層を付けるステップであって、前記中間細孔層が、疎水性成分、親水性成分および孔形成剤を備える被膜を設けることによって前記基板に付けられ、さらに、前記中間細孔層を保持する前記基板の領域以外には前記基板にフッ素化重合体が無い、ステップと、
前記中間細孔層が前記拡散媒体基板の多孔度よりも大きな多孔度によって特徴付けられるように、前記孔形成剤を分解するステップと、を備える方法。
【請求項2】
前記疎水性成分が、フッ素化重合体を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記疎水性成分が、PTFEを備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記被膜が、約15重量%から約40重量%までの範囲の前記疎水性成分を備える混合物として設けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記被膜が、約20重量%の前記疎水性成分を備える混合物として設けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記親水性成分が、炭素質物質を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記炭素質物質が、炭素繊維、炭素粒子およびこれらの組合せから選ばれる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記炭素質物質が、約50cm/グラムから約250cm/グラムまでの範囲の表面積で特徴付けられる、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記炭素質物質が、約60cm/グラムの表面積で特徴付けられる、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記炭素質物質が、アセチレンブラックを備える、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記被膜が、約60重量%から約85重量%までの範囲の前記親水性成分を備える混合物として設けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記被膜が、約80重量%の前記親水性成分を備える混合物として設けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記孔形成剤は、前記孔形成剤の分解時に、前記孔形成剤の成分が前記中間細孔層に実質的に無いように選ばれた材料を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記孔形成剤は、室温より上への加熱時に、前記疎水性成分および親水性成分を有する混合物に分解するように選ばれた材料を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記孔形成剤が、前記分解に粒子が無いように選ばれた材料を備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記孔形成剤は、前記分解が気体成分および液体成分を備えるように選ばれた材料を備える、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記孔形成剤は、前記分解が少なくとも1つの気体成分およびHOを備えるように選ばれた材料を備える、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記孔形成剤が、炭酸アンモニウムを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記被膜が、約0重量%から約15重量%までの範囲の前記孔形成剤を備える混合物として設けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記被膜が、約5重量%の前記孔形成剤を備える混合物として設けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記中間細孔層の無い前記拡散媒体に比べて前記拡散媒体の多孔度を実質的に増加させるように、十分な量の前記中間細孔層が、前記基板に付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記拡散媒体の前記多孔度の前記実質的な増加が、約5%から約15%までの範囲である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記拡散媒体の前記多孔度の前記実質的な増加が、約7.5%である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記基板および前記中間細孔層を含んだ前記拡散媒体の前記多孔度が、約84%である、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記被膜が、さらに、HO、イソプロパノール、およびこれらの組合せから選ばれた溶剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記被膜が、前記拡散媒体基板に少なくとも部分的に浸透するように設けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記拡散媒体の全体多孔度を前記中間細孔層の無い約78%から前記中間細孔層を含んだ約84%に実質的に増加させるように、十分な量の前記中間細孔層が、前記基板に付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
約10μmから約25μmまでの範囲の中間細孔層厚さを生じさせるように、十分な量の前記中間細孔層が、前記基板に付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記拡散媒体基板が、約100μmから約300μmまでの範囲の厚さを有して設けられる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記孔形成剤が、熱処理プロセスによって分解される、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記熱処理プロセスが、約75℃から約100℃までの範囲の温度で特徴付けられる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記熱処理プロセスが、約65℃より上の温度で特徴付けられる、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
第1および第2の主面を画定する多孔質繊維状マトリックスを備える拡散媒体基板を設けるステップであって、前記基板が前記基板を導電性にするのに十分な多量の炭素質材料を備えるものであるステップと、
前記基板の前記第1および第2の主面のうちの1つの少なくとも一部分に沿って中間細孔層を付けるステップとを備え、
前記中間細孔層が、疎水性成分、親水性成分、孔形成剤および溶剤を備える被膜を設けることによって前記基板に付けられ、
前記疎水性成分が、フッ素化重合体を備え、
前記親水性成分が、炭素繊維、炭素粒子、およびこれらの組合せから選ばれた炭素質物質を備え、
前記炭素質物質が、約60cm/グラムの表面積で特徴付けられ、
前記孔形成剤が、炭酸アンモニウムを備え、
前記中間細孔層を保持する前記基板の領域以外には前記基板にフッ素化重合体が無く、
前記中間細孔層の無い前記拡散媒体に比べて前記拡散媒体の多孔度を実質的に増加させるように、十分な量の前記中間細孔層が、前記基板に付けられ、
前記拡散媒体の前記多孔度の前記実質的な増加が、約5%から約15%までの範囲であり、
前記溶剤が、HO、イソプロパノール、およびこれらの組合せから選ばれ、さらに、
前記被膜が、前記拡散媒体基板に少なくとも部分的に浸透するように設けられ、
更に、
前記中間細孔層が前記拡散媒体基板の多孔度よりも大きな多孔度で特徴付けられるように、前記孔形成剤を熱処理プロセスで分解するステップ、を備える拡散媒体を製造する方法。
【請求項34】
拡散媒体を備えるデバイスであって、
前記拡散媒体が、拡散媒体基板および中間細孔層を備え、
前記拡散媒体基板が、第1および第2の主面を画定する多孔質繊維状マトリックス、および前記基板を導電性にするのに十分な多量の炭素質材料を備え、
前記拡散媒体基板が、前記基板の前記第1および第2の主面のうちの1つの少なくとも一部分に沿って前記中間細孔層を保持し、
前記中間細孔層が、前記中間細孔層の中に疎水性領域および親水性領域を画定する疎水性成分および親水性成分を含み、
前記中間細孔層が、前記中間細孔層を導電性にするのに十分な多量の炭素質材料を含み、
前記中間細孔層が、前記拡散媒体基板の多孔度よりも大きな多孔度によって特徴付けられ、さらに、
前記中間細孔層を保持する前記基板の領域以外には前記拡散媒体基板にフッ素化重合体が無い、デバイス。
【請求項35】
前記中間細孔層が、約1nmから1μmまでの範囲の孔径で特徴付けられる、請求項34に記載のデバイス。
【請求項36】
前記疎水性成分が、フッ素化重合体を備え、
前記親水性成分が、炭素繊維、炭素粒子、およびこれらの組合せから選ばれた炭素質物質を備え、
前記炭素質物質が、約60cm/グラムの表面積で特徴付けられ、
前記中間細孔層が、前記拡散媒体基板に少なくとも部分的に浸透し、
前記拡散媒体基板が、前記中間細孔層を保持する前記基板の領域以外で、約78%の多孔度で特徴付けられ、さらに、
前記拡散媒体が、約84%の全体多孔度で特徴付けられる、請求項34に記載のデバイス。
【請求項37】
前記デバイスが、さらに、前記拡散媒体を使用する燃料電池を画定する構造を備える、請求項34に記載のデバイス。
【請求項38】
前記デバイスが、さらに、前記燃料電池で給電される自動車を画定する構造を備える、請求項37に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−500422(P2007−500422A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521820(P2006−521820)
【出願日】平成16年6月7日(2004.6.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/017840
【国際公開番号】WO2005/018028
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(590001407)ゼネラル・モーターズ・コーポレーション (118)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL MOTORS CORPORATION
【Fターム(参考)】