説明

中間転写体の製造方法、中間転写体及び画像形成装置

【課題】粒子の付着ムラを低減し中間転写体から記録媒体へ転写した画像の濃度ムラを抑制できる中間転写体の製造方法、その製造方法で作製した中間転写体及びその中間転写体を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】基材11上に形成された弾性層12の表面に粒子13を付着させる粒子付着工程と、弾性層12の表面に付着させた粒子13を弾性層12の表面に固着させる粒子固着工程とを有する、画像形成装置に用いられる中間転写体38の製造方法において、前記粒子付着工程で静電的な力により粒子13を弾性層12の表面に引きつけて付着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に用いられる中間転写体の製造方法、その製造方法で作製した中間転写体及びその中間転写体を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
中間転写体として中間転写ベルトを使用した画像形成装置は、カラー画像情報や多色画像情報の複数の色成分画像を順次積層転写してカラープリントを出力するカラー画像形成装置あるいは多色画像形成装置として有用である。この種の画像形成装置としては、従来、ポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂などの樹脂で形成した中間転写ベルトを使用した画像形成装置が多く提供されてきた。
【0003】
しかし、樹脂で形成された中間転写ベルトは一般に硬度が高い。このため、例えば、像担持体としての感光体から中間転写ベルトへのトナー画像の一次転写工程、及び、中間転写ベルトから記録媒体へのトナー画像の二次転写工程において、トナー画像(特に文字の中央部)が応力集中を受けて、いわゆる文字の中抜け現象といわれる転写不良が発生し易くなる。
【0004】
上述の文字の中抜け現象を改善する方法の一つとして、中間転写ベルト表面の弾性化が提案されている。つまり、中間転写ベルトの表面が弾性化されることにより、トナー画像の厚みに対応して中間転写ベルトの表面が自在に変形されるので、トナー画像に対する応力集中が低減され前記転写不良が改善される。したがって、このような転写不良を解消するために、中間転写ベルトとして基材上にゴムなどの柔軟な素材からなる弾性層を形成させたものが用いられている。
【0005】
ところが、中間転写ベルト表面が弾性層であることで弾性層の粘着性により、感光体から中間転写ベルト表面に転写されたトナーの最下層部分が中間転写ベルト表面に粘着し、この粘着したトナーが記録媒体へ転写されずに中間転写ベルト表面に残ってしまう。そのため、中間転写ベルトから記録媒体へのトナーの転写効率低下による画像濃度不足や、画像の中抜けによる画像欠陥が発生してしまう。
【0006】
特許文献1には、基材上に弾性層が形成された中間転写ベルトの表面である弾性層表面に粒子を付着させる粒子付着工程と、弾性層表面に付着させた粒子を弾性層表面に固着させる粒子固着工程とを有した中間転写ベルトの製造方法が開示されている。前記粒子付着工程では、弾性層表面に当接部材を当て、弾性層表面と当接部材との接触部分に粒子を投入し中間転写ベルトを回転させて弾性層表面と当接部材とを摺擦させることにより、前記接触部分に投入した粒子を摩擦接触で弾性層表面に付着させている。粒子固着工程では、前記粒子付着工程で弾性層表面に付着させた粒子が、当接部材で弾性層内に押し込まれることによって弾性層表面に固着される。このように、弾性層表面に粒子を付着させることで、弾性層表面の露出面積が小さくなり弾性層の粘着性を低下させることができので、転写時に中間転写ベルト表面に残るトナーが低減し転写効率を向上させることができるとされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された中間転写ベルトの製造方法では、弾性層表面に粒子を付着させる際に前記摩擦接触などで機械的な力を受けて粒子が凝集し偏在してしまうため、弾性層表面に粒子を均一に存在させることが困難であった。そのため、弾性層表面の粒子の付着ムラが原因となって転写性能にもばらつきが発生し、中間転写ベルトから記録媒体へ転写したトナー画像に濃度ムラが発生するといった問題が生じる。
【0008】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、弾性層表面の粒子の付着ムラを低減し中間転写体から記録媒体へ転写した画像の濃度ムラを抑制できる中間転写体の製造方法、その製造方法で作製した中間転写体及びその中間転写体を備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、基材上に形成された弾性層の表面に粒子を付着させる粒子付着工程と、前記弾性層の表面に付着させた粒子を前記弾性層の表面に固着させる粒子固着工程とを有する、画像形成装置に用いられる中間転写体の製造方法において、前記粒子付着工程で静電的な力により前記粒子を前記弾性層の表面に引きつけて付着させることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の中間転写体の製造方法において、上記粒子と磁性粒子とを混合した粒子塗布剤を表面に担持する回転体によって前記粒子塗布剤を中間転写体と対向する領域に搬送し、前記回転体と前記中間転写体との電位差によって前記対向する領域に形成された前記回転体から前記中間転写体側に前記粒子を引きつけるような電界により、静電的な力によって前記粒子を前記回転体から前記中間転写体側に向けて移動させ、前記弾性層の表面に前記粒子を付着させることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の中間転写体の製造方法において、上記粒子塗布剤の総重量に対して、上記粒子の濃度Aが5[wt%]≦A≦10[wt%]であることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2または3の中間転写体の製造方法において、上記粒子の体積平均粒径が0.5[μm]〜5.0[μm]であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3または4の中間転写体の製造方法において、上記弾性層における上記粒子の露出部分の投影面積率が60[%]以上であることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1、2、3、4または5の中間転写体の製造方法において、上記粒子がシリコーン樹脂微粒子であることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1、2、3、4、5または6の中間転写体の製造方法において、上記粒子付着工程では上記弾性層の表面に付着させた上記粒子の少なくとも一部分が含浸可能に前記弾性層が軟化しており、上記粒子固着工程で前記弾性層を加熱し硬化させることによって、前記粒子を前記弾性層の表面に固着させることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、表面に静電潜像を形成する像担持体と、該像担持体上の静電潜像を現像剤で現像する現像手段と、該現像手段で現像された該像担持体上の画像が転写される中間転写体とを備え、前記像担持体上の画像を前記中間転写体上に転写する1次転写と、該中間転写体上の画像を記録媒体上に転写する2次転写とを行う画像形成装置に用いられる中間転写体において、前記中間転写体が、請求項1、2、3、4、5、6または7の中間転写体の製造方法により製造されたものであることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、表面に静電潜像を形成する像担持体と、前記該像担持体上の静電潜像を現像剤で現像する現像手段と、前記現像手段で現像された前記像担持体上の画像が転写される中間転写体とを備え、前記像担持体上の画像を前記中間転写体上に転写する1次転写と、該中間転写体上の画像を記録媒体上に転写する2次転写とを行う画像形成装置において、前記中間転写体として、請求項8の中間転写体を用いたことを特徴とするものである。
【0010】
本発明においては、静電的な力により粒子を弾性層表面に引きつけて付着させるので、弾性層表面それぞれの箇所で静電的な力の大きさに応じた量の粒子を付着させることができる。これにより、弾性層表面に粒子を付着させる際に従来のような摩擦接触などで機械的な力を受けて粒子が凝集し偏在することが無いので、その分、従来よりも弾性層表面に粒子を均一に存在させることができ、弾性層表面の粒子の付着ムラを低減させることができる。よって、その分、弾性層表面の粒子の付着ムラに起因した転写性能のばらつきが抑えられ、中間転写体から記録媒体へ転写した画像に濃度ムラが発生するのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上、本発明によれば、弾性層表面の粒子の付着ムラを低減し中間転写体から記録媒体へ転写した画像の濃度ムラを抑制できるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】粒子塗布装置の模式図。
【図2】本実施形態に係る画像形成装置の要部模式図。
【図3】1つの中間転写ベルトに沿って複数の感光体ドラムが並設された画像形成装置の一構成例を示す要部模式図。
【図4】中間転写ベルトの層構成の模式図。
【図5】厚み方向に粒子を複数含む弾性層を有する中間転写ベルトの断面の模式図。
【図6】基層及び弾性層を作製するための装置の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図2は、本発明に係る中間転写体の製造方法により得られるシームレスベルトをベルト部材として装備する画像形成装置を説明するための要部模式図である。
【0014】
図2に示すベルト部材を含む中間転写ユニット500は、複数のローラに張架された中間転写体である中間転写ベルト501などにより構成されている。この中間転写ベルト501の周りには、二次転写ユニット600の二次転写電荷付与手段である二次転写バイアスローラ605、中間転写体クリーニング手段であるベルトクリーニングブレード504、潤滑剤塗布手段の潤滑剤塗布部材である潤滑剤塗布ブラシ505などが対向するように配設されている。
【0015】
また、位置検知用マークが中間転写ベルト501の外周面または内周面に図示しない位置検知用マークが設けられる。ただし、中間転写ベルト501の外周面側については位置検知用マークがベルトクリーニングブレード504の通過域を避けて設ける工夫が必要であり、配置上の困難さを伴うことがあるので、その場合には位置検知用マークを中間転写ベルト501の内周面側に設けてもよい。マーク検知用センサとしての光学センサ514は、中間転写ベルト501が架け渡されている一次転写バイアスローラ507とベルト駆動ローラ508との間の位置に設けられる。
【0016】
この中間転写ベルト501は、一次転写電荷付与手段である一次転写バイアスローラ507、ベルト駆動ローラ508、ベルトテンションローラ509、二次転写対向ローラ510、クリーニング対向ローラ511、及び、フィードバック電流検知ローラ512に張架されている。各ローラは導電性材料で形成され、一次転写バイアスローラ507以外の各ローラは接地されている。一次転写バイアスローラ507には、定電流または定電圧制御された一次転写電源801により、トナー像の重ね合わせ数に応じて所定の大きさの電流または電圧に制御された転写バイアスが印加されている。
【0017】
中間転写ベルト501は、図示しない駆動モータによって矢印方向に回転駆動されるベルト駆動ローラ508により、矢印方向に駆動される。
【0018】
このベルト部材である中間転写ベルト501は、通常、半導体、又は絶縁体で、単層または多層構造となっているが、本発明においてはシームレスベルトが好ましく用いられ、これによって耐久性が向上すると共に、優れた画像形成が実現できる。また、中間転写ベルト501は、感光体ドラム200上に形成されたトナー像を重ね合わせるために、通紙可能最大サイズより大きく設定されている。
【0019】
二次転写手段である二次転写バイアスローラ605は、二次転写対向ローラ510に張架された部分の中間転写ベルト501のベルト外周面に対して、後述する接離手段としての接離機構によって、接離可能に構成されている。二次転写バイアスローラ605は、二次転写対向ローラ510に張架された部分の中間転写ベルト501との間に被記録媒体である転写紙Pを挟持するように配設されており、定電流制御される二次転写電源802によって所定電流の転写バイアスが印加されている。
【0020】
レジストローラ610は、二次転写対向ローラ510に張架された中間転写ベルト501と二次転写バイアスローラ605との間に、所定のタイミングで転写材である転写紙Pを送り込む。また、二次転写バイアスローラ605には、クリーニング手段であるクリーニングブレード608が当接している。クリーニングブレード608は、二次転写バイアスローラ605の表面に付着した付着物を除去してクリーニングするものである。
【0021】
このような構成のカラー複写機において、画像形成サイクルが開始されると、感光体ドラム200は、図示しない駆動モータによって矢印で示す半時計方向に回転され、感光体ドラム200上に、Bk(ブラック)トナー像形成、C(シアン)トナー像形成、M(マゼンタ)トナー像形成、Y(イエロー)トナー像形成が行われる。中間転写ベルト501はベルト駆動ローラ508によって矢印で示す時計回りに回転される。この中間転写ベルト501の回転に伴って、一次転写バイアスローラ507に印加される電圧による転写バイアスにより、Bkトナー像、Cトナー像、Mトナー像、Yトナー像の一次転写が行われ、最終的にBk、C、M、Yの順に中間転写ベルト501上に各トナー像が重ね合わせて形成される。
【0022】
例えば、上記Bkトナー像形成は次のように行われる。
図2において、帯電チャージャ203は、コロナ放電によって感光体ドラム200の表面を負電荷で所定電位に一様に帯電する。上記ベルトマーク検知信号に基づき、タイミングを定め、図示しない書き込み光学ユニットにより、Bkカラー画像信号に基づいてレーザ光によるラスタ露光を行う。このラスタ像が露光されたとき、当初一様帯電された感光体ドラム200の表面の露光された部分は、露光光量に比例する電荷が消失し、Bk静電潜像が形成される。このBk静電潜像に、現像装置231Bkの現像ローラ上の負帯電されたBkトナーが接触することにより、感光体ドラム200の電荷が残っている部分にはトナーが付着せず、電荷の無い部分つまり露光された部分にはトナーが吸着し、静電潜像と相似なBkトナー像が形成される。
【0023】
このようにして感光体ドラム200上に形成されたBkトナー像は、感光体ドラム200と接触状態で等速駆動回転している中間転写ベルト501のベルト外周面に一次転写される。この一次転写後の感光体ドラム200の表面に残留している若干の未転写の残留トナーは、感光体ドラム200の再使用に備えて、感光体クリーニング装置201で清掃される。この感光体ドラム200側では、Bk画像形成工程の次にC画像形成工程に進み、所定のタイミングでカラースキャナによるC画像データの読み取りが始まり、そのC画像データによるレーザ光書き込みによって、感光体ドラム200の表面にC静電潜像を形成する。
【0024】
そして、先のBk静電潜像の後端部が通過した後で、且つC静電潜像の先端部が到達する前にリボルバ現像ユニット230の回転動作が行われ、現像装置231Cが現像位置にセットされ、C静電潜像がCトナーで現像される。以後、C静電潜像領域の現像を続けるが、C静電潜像の後端部が通過した時点で、先の現像装置231Bkの場合と同様にリボルバ現像ユニットの回転動作を行い、次の現像装置231Mを現像位置に移動させる。これもやはり次のY静電潜像の先端部が現像位置に到達する前に完了させる。なお、M及びYの画像形成工程については、それぞれのカラー画像データ読み取り、静電潜像形成、現像の動作が上述のBk、Cの工程と同様であるので説明は省略する。
【0025】
このようにして感光体ドラム200上に順次形成されたBk、C、M、Yのトナー像は、中間転写ベルト501上の同一面に順次位置合わせされて一次転写される。これにより、中間転写ベルト501上に最大で4色が重ね合わされたトナー像が形成される。一方、上記画像形成動作が開始される時期に、転写紙Pが転写紙カセット又は手差しトレイなどの給紙部から給送され、レジストローラ610のニップで待機している。
【0026】
そして、二次転写対向ローラ510に張架された中間転写ベルト501と二次転写バイアスローラ605によりニップが形成された二次転写部に、中間転写ベルト501上のトナー像の先端がさしかかるときに、転写紙Pの先端がこのトナー像の先端に一致するように、レジストローラ610が駆動されて、転写紙ガイド板601に沿って転写紙Pが搬送され、転写紙Pとトナー像とのレジスト合わせが行われる。
【0027】
このようにして、転写紙Pが二次転写部を通過すると、二次転写電源802によって二次転写バイアスローラ605に印加された電圧による転写バイアスにより、中間転写ベルト501上の4色重ねトナー像が転写紙P上に一括転写(二次転写)される。この転写紙Pは、転写紙ガイド板601に沿って搬送されて、二次転写部の下流側に配置した除電針からなる転写紙除電チャージャ606との対向部を通過することにより除電された後、ベルト構成部であるベルト搬送装置210により定着装置270に向けて送られる。そして、この転写紙Pは、定着装置270の定着ローラ271、272のニップ部でトナー像が溶融定着された後、図示しない排出ローラで装置本体外に送り出され、図示しないコピートレイに表向きにスタックされる。なお、定着装置270は必要によりベルト構成部を備えた構成とすることもできる。
【0028】
一方、上記ベルト転写後の感光体ドラム200の表面は、感光体クリーニング装置201でクリーニングされ、上記除電ランプ202で均一に除電される。また、転写紙Pにトナー像を二次転写した後の中間転写ベルト501のベルト外周面に残留した残留トナーは、ベルトクリーニングブレード504によってクリーニングされる。ベルトクリーニングブレード504は、図示しないクリーニング部材離接機構によって、中間転写ベルト501のベルト外周面に対して所定のタイミングで接離されるように構成されている。
【0029】
このベルトクリーニングブレード504の中間転写ベルト501の移動方向上流側には、中間転写ベルト501のベルト外周面に対して接離するトナーシール部材502が設けられている。このトナーシール部材502は、上記残留トナーのクリーニング時にベルトクリーニングブレード504から落下した落下トナーを受け止めて、該落下トナーが上記転写紙Pの搬送経路上に飛散するのを防止している。このトナーシール部材502は、上記クリーニング部材離接機構によって、ベルトクリーニングブレード504とともに、中間転写ベルト501のベルト外周面に対して接離される。
【0030】
このようにして残留トナーが除去された中間転写ベルト501のベルト外周面には、潤滑剤塗布ブラシ505により削り取られた潤滑剤506が塗布される。潤滑剤506は、例えば、ステアリン酸亜鉛などの固形体からなり、潤滑剤塗布ブラシ505に接触するように配設されている。また、この中間転写ベルト501のベルト外周面に残留した残留電荷は、中間転写ベルト501のベルト外周面に接触した図示しないベルト除電ブラシにより印加される除電バイアスによって除去される。ここで、潤滑剤塗布ブラシ505及び上記ベルト除電ブラシは、それぞれの図示しない接離機構により、所定のタイミングで、中間転写ベルト501のベルト外周面に対して接離されるようになっている。
【0031】
ここで、リピートコピーの時は、カラースキャナの動作及び感光体ドラム200への画像形成は、1枚目の4色目(Y)の画像形成工程に引き続き、所定のタイミングで2枚目の1色目(Bk)の画像形成工程に進む。また、中間転写ベルト501は、1枚目の4色重ねトナー像の転写紙への一括転写工程に引き続き、ベルト外周面のベルトクリーニングブレード504でクリーニングされた領域に、2枚目のBkトナー像が一次転写されるようにする。その後は、1枚目と同様動作になる。
【0032】
以上は、4色フルカラーコピーを得るコピーモードであったが、3色コピーモード、2色コピーモードの場合は、指定された色と回数の分について、上記同様の動作を行うことになる。また、単色コピーモードの場合は、所定枚数が終了するまでの間、リボルバ現像ユニット230の所定色の現像装置のみを現像動作状態にし、ベルトクリーニングブレード504を中間転写ベルト501に接触させたままの状態にしてコピー動作を行う。
【0033】
上記実施形態では、感光体ドラムを一つだけ備えた複写機について説明したが、本発明は、例えば、図3の要部模式図に一構成例を示すような、複数の感光体ドラムをシームレスベルトからなる一つの中間転写ベルトに沿って並設した画像形成装置にも適用できる。
【0034】
図3は、4つの異なる色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー像を形成するための4つの感光体ドラム21Bk、21Y、21M、21Cを備えた4ドラム型のデジタルカラープリンタの一構成例を示す。
【0035】
図3において、プリンタ本体10は電子写真方式によるカラー画像形成を行うための、画像書込部17、画像形成部18、給紙部19、から構成されている。画像信号を元に画像処理部で画像処理して画像形成用のブラック(Bk)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)の各色信号に変換し、画像書込部17に送信する。画像書込部17は、例えば、レーザ光源と、回転多面鏡等の偏向器と、走査結像光学系、及びミラー群、からなるレーザ走査光学系であり、上記の各色信号に対応した4つの書込光路を有し、画像形成部18の各色毎に設けられた像坦持体である感光体ドラム21Bk、21M、21Y、21Cに各色信号に応じた画像書込を行う。
【0036】
画像形成部18はブラック(Bk)用、マゼンタ(M)用、イエロー(Y)用、シアン(C)用の各像坦持体である感光体ドラム21Bk、21M、21Y、21Cを備えている。この各色用の各感光体としては、通常OPC感光体が用いられる。各感光体ドラム21Bk、21M、21Y、21Cの周囲には、帯電装置、画像書込部17からのレーザ光の露光部、ブラック、マゼンタ、イエロー、シアンの各色用の現像装置20Bk、20M、20Y、20C、一次転写手段としての一次転写バイアスローラ23Bk、23M、23Y、23C、クリーニング装置(表示略)、及び図示しない感光体除電装置等が配設されている。なお、現像装置20Bk、20M、20Y、20Cには、2成分磁気ブラシ現像方式を用いている。ベルト構成部である中間転写ベルト22は、各感光体ドラム21Bk、21M、21Y、21Cと、各一次転写バイアスローラ23Bk、23M、23Y、23Cとの間に介在し、各感光体上に形成された各色のトナー像が順次重ね合わせて転写される。
【0037】
一方、転写紙Pは、給紙部19から給紙された後、レジストローラ16を介して、ベルト構成部である転写搬送ベルト50に担持される。そして、中間転写ベルト22と転写搬送ベルト50とが接触するところで、中間転写ベルト22上に転写されたトナー像が、二次転写手段としての二次転写バイアスローラ60により二次転写(一括転写)される。これにより、転写紙P上にカラー画像が形成される。このカラー画像が形成された転写紙Pは、転写搬送ベルト50により定着装置15に搬送され、この定着装置15により転写された画像が定着された後、プリンタ本体外に排出される。
【0038】
なお、上記二次転写時に転写されずに中間転写ベルト22上に残った残留トナーは、ベルトクリーニング部材25によって中間転写ベルト22から除去される。このベルトクリーニング部材25の下流側には、潤滑剤塗布装置27が配設されている。この潤滑剤塗布装置27は、固形潤滑剤と、中間転写ベルト22に摺擦して固形潤滑剤を塗布する導電性ブラシとで構成されている。前記導電性ブラシは、中間転写ベルト22に常時接触して、中間転写ベルト22に固形潤滑剤を塗布している。固形潤滑剤は、中間転写ベルト22のクリーニング性を高め、フィルミィングの発生を防止し耐久性を向上させる作用がある。
【0039】
画像形成装置においてはいくつかの部材にシームレスベルトが用いられるが、電気的特性を要求される重要な部材の一つとして中間転写体(中間転写ベルト)がある。以下、本発明の中間転写ベルトについて説明する。
【0040】
本発明のシームレスベルトは、中間転写ベルト方式の画像形成装置、例えば、像担持体である感光体ドラム上に順次形成される複数のカラートナー現像画像を中間転写ベルト上に順次重ね合わせて一次転写を行い、その一次転写画像を被記録媒体に一括して二次転写する方式の画像形成装置における中間転写ベルトとして好適に装備されるものである。
【0041】
図4には、本発明に好適に用いられる中間転写ベルトの層構成を示す。ただし、この構成に限定されるものではない。構成としては、比較的屈曲性が得られる剛性な基層11の上に柔軟な弾性層12が積層されており、この弾性層12の最表面には、球形樹脂粒子13による層が形成されている。
【0042】
まず、基層11について説明する。この構成材料としては、樹脂中に電気抵抗を調整する充填材(又は、添加材)、いわゆる電気抵抗調整材を含有してなるものが挙げられる。このような樹脂としては、難燃性の観点から、例えば、PVDF、ETFEなどのフッ素系樹脂や、ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂等が好ましく、機械強度(高弾性)や耐熱性の点から、特にポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂が好適である。
【0043】
電気抵抗調整材としては、金属酸化物やカーボンブラック、イオン導電剤、導電性高分子材料などがある。
【0044】
金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素等が挙げられる。また、分散性を良くするため、前記金属酸化物に予め表面処理を施したものも挙げられる。
【0045】
カーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ガスブラック等が挙げられる。
【0046】
イオン導電剤としては、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート、グルセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエステル、アルキルベタイン、過塩素酸リチウム等が挙げられ、これらを併用して用いてもよい。
【0047】
なお、本発明における電気抵抗調整材は、上記例示化合物に限定されるものではない。 また、本発明のシームレスベルトの製造方法における少なくとも樹脂成分を含む塗工液には必要に応じて、さらに分散助剤、補強材、潤滑材、熱伝導材、酸化防止剤などの添加材を含有してもよい。
【0048】
前記中間転写ベルトとして好適に装備されるシームレスベルトに含有される電気抵抗調整材は、好ましくは表面抵抗で1×10[Ω/□]〜1×1013[Ω/□]、体積抵抗で1×10[Ω・cm]〜1×1012[Ω・cm]となる量とされるが、機械強度の面から成形膜が脆く割れやすくならない範囲の量を選択して添加することが必要である。
【0049】
つまり、中間転写ベルトとする場合には、前記樹脂成分(例えば、ポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体)と電気抵抗調整材の配合を適正に調整した塗工液を用いて、電気特性(表面抵抗及び体積抵抗)と機械強度のバランスが取れたシームレスベルトを製造して用いるのが好ましい。
【0050】
本発明における電気抵抗調整材の含有量としては、カーボンブラックの場合には、塗工液中の全固形分の10[wt%]〜25[wt%]、好ましくは15[wt%]〜20[wt%]である。また、金属酸化物の場合の含有量としては、塗工液中の全固形分の1[wt%]〜50[wt%]、好ましくは10[wt%]〜30[wt%]である。含有量が前記それぞれの電気抵抗調整材の範囲よりも少ないと効果が十分に得られず、また含有量が前記それぞれの範囲よりも多いと前記中間転写ベルト(シームレスベルト)の機械強度が低下し、実使用上好ましくない。
【0051】
次に、基層11上に積層する弾性層12について説明する。
弾性層12を構成する材料としては、汎用の樹脂・エラストマー・ゴムなどの材料を使用することが可能だが、本発明の効果を十分に発現するに十分な柔軟性(弾性)を有する材料を用いることが好ましく、エラストマー材料やゴム材料を用いるのが良い。
【0052】
エラストマー材料としては、熱可塑性エラストマーとして、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリアクリル系、ポリジエン系、シリコーン変性ポリカーボネート系、フッ素系共重合体系等が挙げられる。また、熱硬化性として、ポリウレタン系、シリコーン変性エポキシ系、シリコーン変性アクリル系等が挙げられる。
【0053】
また、ゴム材料としては、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、フッ素ゴム、ウレタンゴム、ヒドリンゴム等が挙げられる。
【0054】
上記各種エラストマー、ゴムの中から、性能が得られる材料を適宜選択する。特に、転写材である紙の表面性状に凹凸のあるレザック紙のような紙の表面状態に追従させるためにはできるだけ柔らかいものを選択する方が好ましい。
【0055】
本発明においては、この材料の表面に球形樹脂粒子層を形成する上で、熱可塑性のものよりも熱硬化性のものの方が好ましい。熱硬化性のものの方が、その硬化反応に寄与する官能基の効果により樹脂粒子との密着性に優れ確実に固定化することが可能である。加硫ゴムも同様に好ましい。
【0056】
上記選択した材料に、電気特性を調整するための抵抗調整剤、難燃性を得るための難燃剤、必要に応じて、酸化防止剤、補強剤、充填剤、加硫促進剤などの材料を適宜含有させた配合を行う。
【0057】
電気特性を調整するための抵抗調整剤としては、すでに前述した各種材料が適用できるが、カーボンブラックや金属酸化物などは柔軟性を損なうため、使用量を抑えることが好ましく、イオン導電剤や導電性高分子を用いることも有効である。また、これらの併用でも構わない。
【0058】
弾性層12の抵抗値としては、表面抵抗で1×10[Ω/□]〜1×1013[Ω/□]、体積抵抗で1×10[Ω・cm]〜1×1012[Ω・cm]となる様に調整されることが好ましい。
【0059】
弾性層12の膜厚としては、200[μm]〜2[mm]程度が好ましい。膜厚が薄いと、転写媒体の表面性状への追従性や転写圧力低減効果が低く好ましくない。逆に膜厚が厚すぎると、膜の重さが重くなってたわみやすくなり走行性が不安定になったり、ベルトを張架させるためのローラ曲率部での屈曲により亀裂が発生しやすくなったりするため好ましくない。
【0060】
次に、この弾性層12の表面に形成する球形樹脂粒子13について説明する。
材料としては特に問わないが、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、などの樹脂を主成分としてなる球形粒子が挙げられる。また、これらの樹脂材料からなる粒子の表面を異種材料で表面処理を施したものでも良い。ここで言う樹脂粒子の中には、ゴム材料も含む。ゴム材料で作製された球状粒子の表面を硬い樹脂をコートしたような構成のものも適用可能である。また、球形樹脂粒子13は中空であったり多孔質であったりしても良い。
【0061】
前述した樹脂中で、滑性を有し、トナーに対しての離型性や耐摩耗性を付与できる機能の高いものとして、シリコーン樹脂粒子が最も好ましい。
【0062】
球形樹脂粒子13としては前述した樹脂を用い、重合法などにより球状の形状に作製された粒子であることが好ましく、真球に近いものほど好ましい。
【0063】
また、球形樹脂粒子13の粒径は、体積平均粒径が0.5[μm]〜5.0[μm]であり、分布がシャープな単分散であることが望ましい。体積平均粒径が0.5[μm]以下の場合、粒子による転写性能の効果が十分に得られず、一方、体積平均粒径が5.0[μm]以上では、表面粗さが大きくなり、粒子間の隙間が大きくなるため、トナーがうまく転写できなくなったりクリーニング不良となったりする不具合が生じる。さらには、球形樹脂粒子13は絶縁性であることが多いため、体積平均粒径が大きすぎると球形樹脂粒子13による帯電電位の残留により、連続画像出力時にこの電位の蓄積による画像乱れが発生する不具合も生じる。
【0064】
次に、弾性層12へ球形樹脂粒子13を付着させる方法について説明する。
本発明における静電気的な力を利用して球形樹脂粒子13を塗布する方法を端的に表現すると、画像形成装置における現像工程においてトナーを感光体上に現像するのと同じような原理で、球形樹脂粒子13を中間転写ベルトに塗布することを特徴としている。本実施形態では、電子写真現像における二成現像方式と同様の方式を例に説明する。
【0065】
まず、中間転写ベルト上に塗布する球形樹脂粒子13と、球形樹脂粒子13を帯電させるための磁性粒子(以下、キャリアとする)とを混合し、混合粉体(以下、粒子塗布剤とする)を得る。粒子塗布剤の総重量に対して、球形樹脂粒子13の濃度が5[wt%]〜10[wt%]の範囲となるように混合することが好ましく、さらには球形樹脂粒子13の濃度が6[wt%]〜8[wt%]の範囲となるように混合することがより好ましい。これは、粒子濃度が低すぎると、中間転写ベルト上に十分な量の球形樹脂粒子13が塗布されないからである。逆に球形樹脂粒子13の濃度が高すぎると、必要以上に球形樹脂粒子13が飛散し、作業環境の悪化や歩留まりの低下につながる。
【0066】
キャリアとして使用する磁性粒子としては、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性体金属、マグネタイト等の金属酸化物、フェライト等の磁性材料、若しくは、樹脂をコアとするフェライト等の磁性材料を含有した粒子を使用することができる。この粒子の粒径は、20[μm]〜60[μm]の範囲が好適である。
【0067】
この粒子塗布剤を、図1に示す粒子塗布装置30に充填する。粒子塗布装置30では、撹拌部分で球形樹脂粒子13と磁性粒子であるキャリアとを十分に混合した粒子塗布剤37を、回転体たる筒状をした粒子塗布剤担持体である粒子塗布ローラ31に供給し、粒子塗布ローラ31により粒子塗布剤37を中間転写ベルト38と対向する領域に搬送して、中間転写ベルト表面に球形樹脂粒子13を塗布する。この粒子塗布装置30は、一般的に二成分磁気ブラシ現像方式に用いられる現像装置と同様のものをそのまま用いることができる。
【0068】
粒子塗布剤37を撹拌混合し、粒子塗布ローラ31に供給する撹拌部の構成として、粒子塗布ローラ31の横方向あるいは下方に、球形樹脂粒子13とキャリアとからなる粒子塗布剤37の撹拌搬送のため、第1スクリュー33と第2スクリュー34とを水平方向に2本配置し、これら部材をケーシング36で覆った構成を例に説明する。
【0069】
このような構成の粒子塗布装置30では、第1スクリュー33と第2スクリュー34との間に仕切板35を設け、第1スクリュー33と第2スクリュー34とが互いに反対の方向に粒子塗布剤37を搬送して、仕切板35のない搬送方向両端部分で現像剤の受け渡しを行うことで、粒子塗布剤37を循環させている。
【0070】
第2スクリュー34よりも粒子塗布ローラ31から離れた位置に配置された第1スクリュー33では、その搬送方向上流側で、球形樹脂粒子13を補給し、球形樹脂粒子13とキャリアとを混合しながら搬送して、第1スクリュー33の搬送方向下流側で、第1スクリュー33よりも粒子塗布ローラ31に近い位置に配置された第2スクリュー34に粒子塗布剤37を受け渡す。
【0071】
第2スクリュー34は、粒子塗布ローラ31への粒子塗布剤の供給と、粒子塗布ローラ31からの粒子塗布剤37の回収とを行いながら、粒子塗布剤37を搬送し、その搬送方向下流側で第1スクリュー33に粒子塗布剤を受け渡す。
【0072】
粒子塗布ローラ31は、複数の磁極を配置した図示しないマグネットローラを内部に有し、固定されたマグネットローラの周囲を円筒状のスリーブが回転する構成となっている。粒子塗布ローラ31の第2スクリュー34に対向する部分では、粒子塗布ローラ31に対する粒子塗布剤37の汲み上げと、粒子塗布を終了した粒子塗布剤37を切り離す作用を行うことが必要であり、マグネットローラにはその機能を果たすように磁極が設けられている。これらの磁極から発せられる、粒子塗布ローラ表面に対して法線方向の磁力線に沿うように、磁性粒子であるキャリアが集合し穂立ちして磁気ブラシが形成される。
【0073】
粒子塗布ローラ31と中間転写ベルト38とは、互いが対向し合う領域である粒子塗布ニップ領域で直接には接触せずに、粒子塗布に適する一定の間隔を保持して対向している。粒子塗布ローラ31上において粒子塗布剤37を穂立ちさせ、粒子塗布剤37を中間転写ベルト38に接触させることで、中間転写ベルト表面に球形樹脂粒子13を付着させる形で塗布する。
【0074】
粒子塗布ローラ31の固定軸32には接地されたバイアス用の電源70が接続されている。固定軸32に接続された電源70の電圧は、導電性の軸受や導電性の回転軸を経てスリーブに印加される。また、この際の電圧の極性は球形樹脂粒子13の帯電極性と同極性にする。一方、環状の中間転写ベルト38の裏面を自身の表面に接触させて支持する導電性を有した円筒状支持体(金型)39は接地されている。こうして、粒子塗布ニップ領域には、キャリアから離脱した球形樹脂粒子13を中間転写ベルト38側へ移動させる電界を形成しておき、粒子塗布ローラ31のスリーブと中間転写ベルト表面との電位差により静電的な力によって球形樹脂粒子13を中間転写ベルト38側に向けて移動させ、電位差による静電的な力の大きさ(電界の大きさ)に応じた量の球形樹脂粒子13を中間転写ベルト38の弾性層12の表面に塗布する。
【0075】
中間転写ベルトの弾性層12の表面に球形樹脂粒子13を塗布する際には、十分な量の球形樹脂粒子13を供給することが好ましい。球形樹脂粒子13の供給量が少ないと、球形樹脂粒子13で覆われずに弾性層12の表面が露出する領域が大きくなる。そのため、トナー転写性はもとより、残トナークリーニング性や耐フィルミング性が著しく低下する。
【0076】
具体的には、弾性層12の露出部分と球形樹脂粒子13の露出部分との投影面積比について、球形樹脂粒子13の露出部分の投影面積率が60[%]以上となるよう、十分な量の球形樹脂粒子13を供給することが好ましい。
【0077】
本実施形態においては、粒子塗布剤37の濃度や粒子塗布時に印加する電界を調整することによって、容易に粒子塗布量を調整することが可能である。
【0078】
さらに、球形樹脂粒子13は、弾性層12に対して厚み方向に単一層で形成される方が好ましい。図5のように、弾性層12の厚み方向に複数の球形樹脂粒子13を含むような構成では、球形樹脂粒子13の含有される分布がむらになり、球形樹脂粒子13の有する電気抵抗値の影響によって、中間転写ベルト表面の電気特性が不均一となり画像乱れを生じる。
【0079】
具体的には、球形樹脂粒子13が多く存在する部分での電気抵抗値が高くなり、ここに残留電荷による表面電位が発生して、中間転写ベルト表面において表面電位のばらつきが発生し、隣接した部分での画像濃度に差が生じる等による画像乱れが顕在化する。
【0080】
これに対し本発明で提案している中間転写ベルトの製造方法であれば、静電的な力により球形樹脂粒子13を弾性層12の表面に引きつけて付着させるので、弾性層表面それぞれの箇所で静電的な力の大きさに応じた量の球形樹脂粒子13が付着され、弾性層表面に球形樹脂粒子13をほぼ均一に存在させることができ、弾性層表面の球形樹脂粒子13の付着ムラを低減させることができる。よって、弾性層表面に球形樹脂粒子13を面方向に配列し一様な凹凸形状を形成した中間転写ベルトを得ることができる。
【0081】
次に、上記本発明の構成の中間転写ベルトを作製する方法についての一例を説明する。
【0082】
まず、中間転写ベルトの基材である基層11の作製方法について説明する。
本発明の少なくとも樹脂成分を含む塗工液、すなわち前記ポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体を含む塗工液を用いて基層11を製造する方法について説明する。
【0083】
ポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂製の基体である基層11は、円筒状支持体(型)表面に前記前駆体液をノズルやディスペンサーによる螺旋塗工、または広幅のダイによるダイ塗工、または塗布ロールを用いたロール塗工などにより塗工することができる。ここでは、ロール塗工について説明する。図6に示すような装置により塗工できる。符号40は塗料41である脱泡した前駆体液を貯留するための塗料パンであり、符号42は塗料パン40から塗料41を連続的に汲み上げるための塗布ローラであり、符号43は連続的に汲み上げられた塗料41の厚みを塗布ローラ42との隙間で調節して所定塗料厚みにするための規制ローラであり、符号39は所定厚みにした塗料(塗膜)41を塗布ローラ42から転移させて付着させるための円筒状支持体(金型)である。
【0084】
上記した製造装置に、先ず予め十分に脱泡された前駆体液である塗料41を塗料パン40に流し込む。塗料粘度は、前記した有機極性溶媒により、0.5[Pa・s]〜10[Pa・s]に調整しておくことが望ましい。次いで、塗布ローラ42の下部に塗料41を流し込んだ塗料パン40を近づけ塗料中に浸漬し、10[mm/sec]〜100[mm/sec]のゆっくりとした周速度で塗布ローラ表面に塗料41を付着させ上方に汲み上げていく。その後、塗布ローラ42の上方に設置され、塗布ローラ42と任意の隙間を調整することができる規制ローラ43により、塗布ローラ42上の塗料厚みを調整する。規制する塗料厚みとしては、円筒状支持体39へ転写する塗料厚みの2倍量程度が好ましい。
【0085】
次に塗布ローラ42に円筒状支持体39をゆっくり回転させながら、塗布ローラ42の塗料厚み以下まで近づける。塗布ローラ42上の塗料41は、塗布ローラ42と同方向(図6に示す方向では「時計回り方向」)に回転する円筒状支持体39上に、塗布ローラ42からの塗料41が転移され、円筒状支持体39上に所定膜厚の塗料41が付着される。
【0086】
塗布後、円筒状支持体39を回転させつつ徐々に昇温させながら、約80[℃]〜150[℃]の温度で塗膜中の溶媒を蒸発させていく。この過程では、雰囲気の蒸気(揮発した溶媒等)を効率よく循環して取り除くことが好ましい。自己支持性のある膜が形成されたところで金型ごと高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に移し、段階的に昇温し、最終的に250[℃]〜450[℃]程度の高温加熱処理(焼成)し、十分にポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体のイミド化又はポリアミドイミド化を行い、基層11を作製する。
【0087】
そして、基層11を十分に冷却後、引き続き、弾性層12を基層11上に積層する。
弾性層12は、ゴムを有機溶剤に溶解させたゴム塗料を用い、基層11上に塗布形成し、その後、溶剤を乾燥、加硫することで製造することができる。塗布成形法としては、基層11と同じく、螺旋塗工、ダイ塗工、ロール塗工などの既存の塗工法が適用できるが、凹凸転写性を良くする為には弾性層12の厚みを厚くすることが必要であり、厚膜を形成する塗工法としては、ダイ塗工、及び螺旋塗工が優れている。ここでは、螺旋塗工について説明する。基層11を周方向に回転させながら、丸型、又は広幅のノズルによりゴム塗料を連続的に供給しながら、ノズルを基層11の軸方向に移動させて、基層11上に塗料を螺旋状に塗工する。基層11上に螺旋状に塗工された塗料は、所定の回転速度、乾燥温度を維持させることでレベリングされながら乾燥される。
【0088】
そして、十分にレベリングしたところで、図1に示す粒子塗布装置30を中間転写ベルト38に対向する位置に設置する。粒子塗布ローラ31上において、粒子塗布剤37を穂立ちさせ、粒子塗布剤37を中間転写ベルト38に回転させながら接触させる。このとき、粒子塗布ニップ領域には、キャリアから離脱した球形樹脂粒子13を中間転写ベルト38側へ移動させる電界を形成しておき、粒子塗布ローラ31と中間転写ベルト38表面との電位差により球形樹脂粒子13を中間転写ベルト38側に向けて移動させ、球形樹脂粒子13を塗布する。粒子塗布後、必要に応じて押し当て部材等で軽く押し当てる等して、粒子を弾性層12中により強固に固定させてもよい。そして、粒子塗布後、所定温度、所定時間で加熱することにより、硬化させ弾性層12を形成する。
【0089】
これにより、弾性層12に対して厚み方向に単一層で形成される好ましい形で球形樹脂粒子が塗布された中間転写ベルトを製造することができる。
【0090】
[実験]
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって制限されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りこれらの実施例を適宜改変したものも本件の発明の範囲内である。
【0091】
[実施例1]
下記により基層用塗工液を調製し、この塗工液を用いてシームレスベルト基層11を製造した。
【0092】
<基層用塗工液の調製>
先ず、ポリイミド樹脂前駆体を主成分とするポリイミドワニス(U−ワニスA;宇部興産社製)に、予めビーズミルにてN−メチル−2−ピロリドン中に分散させたカーボンブラック(SpecialBlack4;エボニックデグサ社製)の分散液を、カーボンブラック含有率がポリアミック酸固形分の17[重量%]になるように調合し、よく攪拌混合して塗工液を調製した。
【0093】
<シームレスベルトの製造>
外径340[mm]、長さ360[mm]の外面をブラスト処理にて粗面化した金属製の円筒状支持体を型として用い、ロールコート塗工装置に取り付けた。次に、基層用塗工液Aをパンに流し込み、塗布ローラの回転速度40[mm/sec]で塗料を汲み上げ、規制ローラと塗布ローラとのギャップを0.6[mm]として、塗布ローラ上の塗料厚みを制御した。そして、円筒状支持体の回転速度を35[mm/sec]に制御して塗布ローラに近づけ、塗布ローラとのギャップ0.4[mm]として塗布ローラ上の塗料を均一に円筒状支持体上に転写塗布した後、回転を維持しながら熱風循環乾燥機に投入して、110[℃]まで徐々に昇温して30分加熱、さらに昇温して200[℃]で30分加熱し、回転を停止した。その後、これを高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に導入し、段階的に320[℃]まで昇温して60分加熱処理(焼成)した。
【0094】
<基層上への弾性層の作製>
下記に示す各構成材料を混合し、2軸混練機を用いて、十分に混練することでゴム組成物を作成した。
【0095】
<弾性層構成材料>
・アクリルゴム ニポールAR12(日本ゼオン株式会社) 100重量部
・ステアリン酸 ビーズステアリン酸つばき(日油株式会社) 1重量部
・赤リン ノーバエクセル140F(燐化学工業株式会社) 10重量部
・水酸化アルミニウム ハイジライトH42M(昭和電工株式会社) 60重量部
・架橋剤 Diak.No1(ヘキサメチレンジアミンカーバメイト)
(デュポン ダウ エラストマージャパン) 0.6重量部
・架橋促進剤 VULCOFAC ACT55
(70[%]1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7と二塩基酸との塩、30[%]アモルファスシリカ)(Safic alca社) 1重量部
・導電剤 QAP−01(過塩素酸テトラブチルアンモニウム)
(日本カーリット株式会社) 0.3重量部
【0096】
次いで、このようにして得られたゴム組成物を有機溶剤(MIBK:メチルイソブチルケトン)に溶かして固形分35[wt%]のゴム溶液を作製した。この作製したゴム溶液を先に作製したポリイミド基層が形成された円筒状支持体を回転させながらポリイミド基層上に、ノズルよりゴム塗料を連続的に吐出しながら支持体の軸方法に移動させ螺旋状に塗工した。塗布量としては最終的な膜厚が500[μm]になるような液量の条件とした。所定の全量を流し終えて塗膜がまんべんなく広がった時点で、図1の粒子塗布装置30を用いて球形樹脂粒子13を塗布した。
【0097】
球形樹脂粒子13として、シリコーン樹脂粒子(トスパール130(体積平均粒径3.0[μm]品);モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ)と、フェライト製磁性キャリア(飽和磁化60[emu/g]、粒径50[μm])を、球形樹脂粒子13が7.0[wt%]となる比で混合したものを粒子塗布剤として用いた。
【0098】
粒子塗布を終えた後、ゴム塗料が塗工された円筒状支持体をそのまま回転しながら熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4[℃/分]で90[℃]まで昇温して30分加熱した。続いて、昇温速度4[℃/分]で170[℃]まで昇温して60分加熱処理した。加熱を停止した後、常温まで徐冷した。十分冷却後、金型から取り外し、中間転写ベルトAを得た。
【0099】
[実施例2]
実施例1における球形樹脂粒子13を、シリコーン樹脂粒子(トスパール2000B(体積平均粒径6.0[μm]品);モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ)に代えた他は同じとし、中間転写ベルトBを得た。
【0100】
[実施例3]
実施例1における球形樹脂粒子13を、シリコーン樹脂粒子(KMP−590(体積平均粒径2.0[μm]品);信越シリコーン)に代え、粒子塗布剤中の粒子濃度を4.5[wt%]とした他は同じとし、中間転写ベルトCを得た。
【0101】
[実施例4]
実施例1における球形樹脂粒子13を、シリコーン樹脂粒子(KMP−590(体積平均粒径2.0[μm]品);信越シリコーン)に代え、粒子塗布剤中の粒子濃度を11.0[wt%]とした他は同じとし、中間転写ベルトDを得た。この中間転写ベルトDを得る際の粒子塗布工程において、若干の粒子飛散が確認された。
【0102】
[実施例5]
実施例1における球形樹脂粒子13を、アクリル樹脂粒子(NMB−0320(体積平均粒径3.5[μm品]);新日本石油株式会社)に代えた他は同じとし、中間転写ベルトEを得た。
【0103】
[実施例6]
実施例1における球形樹脂粒子13を、メラミン−シリカ樹脂粒子(オプトビーズ3500M(体積平均粒径3.5[μm]品);日産化学工業株式会社)に代えた他は同じとし、中間転写ベルトFを得た。
【0104】
[比較例1]
実施例1において、粒子塗布方法として、弾性層塗料を流し終えて塗膜がまんべんなく広がった時点で、中間転写ベルトを周方向に回転させながら摩擦部材を当接させ、中間転写ベルトと摩擦部材とのニップ部分に球形樹脂粒子13(トスパール130(体積平均粒径3.0[μm]品);モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ)を投入する方法で塗布した他は同じとし、中間転写ベルトGを作製した。
【0105】
[比較例2]
実施例1において、粒子塗布方法として、弾性層塗料を流し終えて塗膜がまんべんなく広がった時点で、下記の方法で調整した粒子分散液をスプレー塗布する方法を用いた他は同じとし、中間転写ベルトHを作製した。
【0106】
<粒子分散液の調整>
球形樹脂粒子13(トスパール130(体積平均粒径3.0[μm]品);モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ)10重量部とメチルエチルケトン90重量部を混合後、ナノマイザーを用いて分散することにより粒子分散液を調整した。
【0107】
上記各実施例、各比較例の中間転写ベルトA〜Hに対し、以下に示す評価を実施した。
【0108】
<ベルト表面粒子面積率の測定>
各ベルトの表面を走査電子顕微鏡にて観察し、その画像を画像処理ソフト(Image−proplus;cyber netics社)を用いて画像を2値化し、弾性体の露出部分と粒子の露出部分の投影面積率を算出した。
【0109】
さらに、上記各実施例、各比較例の中間転写ベルトA〜Hを、図3の画像形成装置に搭載し、以下の各種評価を実施した。
【0110】
<転写率の測定>
転写紙として、表面に凹凸模様を施してある紙(連量175[kg]紙レザック紙)を用い、これに、青色のベタ画像を出力する操作を実施し、紙に転写する前の中間転写ベルト上の画像トナー量と紙に転写した後に中間転写ベルト上に残ったトナー量を計測し、数1から転写率を算出した。転写率の値としては、90[%]以上が好ましく95[%]以上がより好ましい。
【0111】
【数1】

【0112】
<1万枚連続画像出力時点における転写率の測定>
テストチャートを連続1万枚連続画像出力した後、停止し、上記の方法に従い、転写率を測定した。
【0113】
<1万枚連続画像出力時点における画像評価>
テストチャートを1万枚連続画像出力した後、連量175[kg]紙レザック紙に全面シアン単色のハーフトーン画像を出力し、異常画像を観察した。
【0114】
結果は、表1の通りであった。
【0115】
【表1】

【0116】
実施例1〜実施例6については、初期・1万枚画像出力後ともに優れた性能を発揮した。一方、比較例1では、弾性層12のゴムが十分に硬化していない状態で、摩擦部材の押し当てによって球形樹脂粒子13を塗布した。そのため、押し当てによって弾性層12が流動し、完成した中間転写ベルトIには膜厚ムラが生じた。渦電流式膜厚計(ISOSCOPE MP30SP;(株)フィッシャー・インストルメンツ)によって膜厚を測定したところ、最厚部と最薄部で50[μm]ほどの膜厚差があった。また、1万枚画像出力後の画像において一部濃度ムラのある画像が得られ、転写率も実施例1〜6よりも劣っている。
【0117】
比較例2においても粒子塗布状態にムラが存在し、それが画像ムラとして影響している。さらに、一万枚画像出力耐久試験により一部粒子が脱落した。
【0118】
以上、本発明の製造方法により、転写媒体の種類・表面性状によらず高い転写率を実現でき、かつ、長期にわたり持続可能である高耐久・高画質の画像形成装置を実現するための中間転写ベルトを得ることが実現できる。
【0119】
以上、本実施形態によれば、基材である基層11上に形成された弾性層12の表面に粒子である球形樹脂粒子13を付着させる粒子付着工程と、弾性層12の表面に付着させた球形樹脂粒子13を弾性層12の表面に固着させる粒子固着工程とを有する、画像形成装置に用いられる中間転写体である中間転写ベルトの製造方法において、前記粒子付着工程で静電的な力により球形樹脂粒子13を弾性層12の表面に引きつけて付着させることで、弾性層表面それぞれの箇所で静電的な力の大きさに応じた量の球形樹脂粒子13を付着させることができる。これにより、弾性層表面に粒径樹脂粒子13をほぼ均一に存在させることができ、弾性層表面の球形樹脂粒子13の付着ムラを低減させることができる。よって、その分、弾性層表面の球形樹脂粒子13の付着ムラに起因した転写性能のばらつきが抑えられ、中間転写ベルトから記録媒体へ転写した画像に濃度ムラが発生するのを抑制することができる。また、上述した実験で明らかにしたように、転写媒体の種類・表面性状によらず高い転写率を実現でき、かつ、長期にわたり持続可能である高耐久・高画質の画像形成装置を実現するための中間転写ベルトを得ることが実現できる。
また、本実施形態によれば、球形樹脂粒子13と磁性粒子であるキャリアとを混合した粒子塗布剤37を表面に担持する回転体である粒子塗布ローラ31によって粒子塗布剤37を中間転写ベルト38と対向する領域に搬送し、粒子塗布ローラ31と中間転写ベルト38との電位差によって前記対向する領域に形成された粒子塗布ローラ31から中間転写ベルト38側に球形樹脂粒子13を引きつけるような電界により、静電的な力によって球形樹脂粒子13を粒子塗布ローラ31から中間転写ベルト38側に向けて移動させ、弾性層12の表面に球形樹脂粒子13を付着させることで、弾性層表面に球形樹脂粒子13を面方向に配列し一様な凹凸形状を形成した中間転写ベルト38を得ることができる。
また、本実施形態によれば、粒子塗布剤37の総重量に対して球形樹脂粒子13の濃度Aが5[wt%]≦A≦10[wt%]の範囲となるように混合することが好ましい。これは、粒子濃度が低すぎると、中間転写ベルト上に十分な量の球形樹脂粒子13が塗布されないからである。逆に球形樹脂粒子13の濃度が高すぎると、必要以上に球形樹脂粒子13が飛散し、作業環境の悪化や歩留まりの低下につながるからである。
また、本実施形態によれば、球形樹脂粒子13の体積平均粒径を0.5[μm]〜5.0[μm]の範囲とするのが好ましい。球形樹脂粒子13の体積平均粒径が0.5[μm]以下の場合、球形樹脂粒子13による転写性能の効果が十分に得られず、一方、体積平均粒径が5.0[μm]以上では、表面粗さが大きくなり、球形樹脂粒子間の隙間が大きくなるため、トナーがうまく転写できなくなったりクリーニング不良となったりする不具合が生じる。さらには、球形樹脂粒子13は絶縁性であることが多いため、体積平均粒径が大きすぎると球形樹脂粒子13による帯電電位の残留により、連続画像出力時にこの電位の蓄積による画像乱れが発生する不具合も生じる。
また、本実施形態によれば、弾性層12における球形樹脂粒子13の露出部分の投影面積率が60[%]以上とするのが好ましい。投影面積率が60[%]未満では球形樹脂粒子部分の露出部が多すぎてトナーが弾性層12と接触し良好な転写性が得られなくなる。
また、本実施形態によれば、球形樹脂粒子13がシリコーン樹脂微粒子であることで、滑性を有し、トナーに対しての離型性や耐摩耗性を付与できる機能が高いので好ましい。
また、本実施形態によれば、上記粒子付着工程では弾性層12の表面に付着させた球形樹脂粒子13の少なくとも一部分が含浸可能に弾性層12が軟化しており、上記粒子固着工程で弾性層12を加熱し硬化させることによって、球形樹脂粒子13を弾性層12の表面に固着させことで、球形樹脂粒子13を単に弾性層12に押し込んで固着させる場合よりも、強固に球形樹脂粒子13を弾性層12で保持し固着させることができる。
また、本実施形態によれば、表面に静電潜像を形成する像担持体である感光体ドラムと、感光体ドラム上の静電潜像を現像剤で現像する現像装置と、現像装置で現像された感光体ドラム上のトナー像が転写される中間転写体とを備え、感光体ドラム上のトナー像を中間転写体上に転写する1次転写と、中間転写体上のトナー像を記録媒体上に転写する2次転写とを行う画像形成装置に用いられる中間転写体において、前記中間転写体が、本発明の中間転写ベルトの製造方法により製造された中間転写ベルトであることで、上述した実験で明らかにしたように、転写媒体の種類・表面性状によらず高い転写率を実現でき、かつ、長期にわたり持続可能である高耐久・高画質の画像形成を実現するための中間転写ベルトを得ることができる。
また、本実施形態によれば、表面に静電潜像を形成する像担持体である感光体ドラムと、感光体ドラム上の静電潜像を現像剤で現像する現像装置と、現像装置で現像された感光体ドラム上のトナー像が転写される中間転写体とを備え、感光体ドラム上のトナー像を中間転写体上に転写する1次転写と、中間転写体上のトナー像を記録媒体上に転写する2次転写とを行う画像形成装置において、前記中間転写体として、本発明の中間転写ベルトを用いたことで、上述した実験で明らかにしたように、転写媒体の種類・表面性状によらず高い転写率を実現でき、かつ、長期にわたり持続可能である高耐久・高画質の画像形成を行うことができる。
【符号の説明】
【0120】
10 プリンタ本体
11 基層
12 弾性層
13 球形樹脂粒子
15 定着装置
16 レジストローラ
17 画像書込部
18 画像形成部
19 給紙部
20 現像装置
21 感光体ドラム
22 中間転写ベルト
23 一次転写バイアスローラ
25 ベルトクリーニング部材
27 潤滑剤塗布装置
30 粒子塗布装置
31 粒子塗布ローラ
32 固定軸
33 第1スクリュー
34 第2スクリュー
35 仕切板
36 ケーシング
37 粒子塗布剤
38 中間転写ベルト
39 円筒状支持体(金型)
40 塗料パン
41 塗料
42 塗布ロール
43 規制ロール
50 転写搬送ベルト
60 二次転写バイアスローラ
70 電源
200 感光体ドラム
201 感光体クリーニング装置
202 除電ランプ
203 帯電チャージャ
210 ベルト搬送装置
230 リボルバ現像ユニット
231 現像装置
270 定着装置
271 定着ローラ
500 中間転写ユニット
501 中間転写ベルト
502 トナーシール部材
504 ベルトクリーニングブレード
505 潤滑剤塗布ブラシ
506 潤滑剤
507 一次転写バイアスローラ
508 ベルト駆動ローラ
509 ベルトテンションローラ
510 二次転写対向ローラ
511 クリーニング対向ローラ
512 フィードバック電流検知ローラ
514 光学センサ
600 二次転写ユニット
601 転写紙ガイド板
605 二次転写バイアスローラ
606 転写紙除電チャージャ
608 クリーニングブレード
610 レジストローラ
801 一次転写電源
802 二次転写電源
【先行技術文献】
【特許文献】
【0121】
【特許文献1】特開平7−234592号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に形成された弾性層の表面に粒子を付着させる粒子付着工程と、前記弾性層の表面に付着させた粒子を前記弾性層の表面に固着させる粒子固着工程とを有する、画像形成装置に用いられる中間転写体の製造方法において、
前記粒子付着工程で静電的な力により前記粒子を前記弾性層の表面に引きつけて付着させることを特徴とする中間転写体の製造方法。
【請求項2】
請求項1の中間転写体の製造方法において、
上記粒子と磁性粒子とを混合した粒子塗布剤を表面に担持する回転体によって前記粒子塗布剤を中間転写体と対向する領域に搬送し、前記回転体と前記中間転写体との電位差によって前記対向する領域に形成された前記回転体から前記中間転写体側に前記粒子を引きつけるような電界により、静電的な力によって前記粒子を前記回転体から前記中間転写体側に向けて移動させ、前記弾性層の表面に前記粒子を付着させることを特徴とする中間転写体の製造方法。
【請求項3】
請求項2の中間転写体の製造方法において、
上記粒子塗布剤の総重量に対して、上記粒子の濃度Aが5[wt%]≦A≦10[wt%]であることを特徴とする中間転写体の製造方法。
【請求項4】
請求項1、2または3の中間転写体の製造方法において、
上記粒子の体積平均粒径が0.5[μm]〜5.0[μm]であることを特徴とする中間転写体の製造方法。
【請求項5】
請求項1、2、3または4の中間転写体の製造方法において、
上記弾性層における上記粒子の露出部分の投影面積率が60[%]以上であることを特徴とする中間転写体の製造方法。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5の中間転写体の製造方法において、
上記粒子がシリコーン樹脂微粒子であることを特徴とする中間転写体の製造方法。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5または6の中間転写体の製造方法において、
上記粒子付着工程では上記弾性層の表面に付着させた上記粒子の少なくとも一部分が含浸可能に前記弾性層が軟化しており、上記粒子固着工程で前記弾性層を加熱し硬化させることによって、前記粒子を前記弾性層の表面に固着させることを特徴とする中間転写体の製造方法。
【請求項8】
表面に静電潜像を形成する像担持体と、該像担持体上の静電潜像を現像剤で現像する現像手段と、該現像手段で現像された該像担持体上の画像が転写される中間転写体とを備え、前記像担持体上の画像を前記中間転写体上に転写する1次転写と、該中間転写体上の画像を記録媒体上に転写する2次転写とを行う画像形成装置に用いられる中間転写体において、
前記中間転写体が、請求項1、2、3、4、5、6または7の中間転写体の製造方法により製造されたものであることを特徴とする中間転写体。
【請求項9】
表面に静電潜像を形成する像担持体と、
前記該像担持体上の静電潜像を現像剤で現像する現像手段と、
前記現像手段で現像された前記像担持体上の画像が転写される中間転写体とを備え、
前記像担持体上の画像を前記中間転写体上に転写する1次転写と、該中間転写体上の画像を記録媒体上に転写する2次転写とを行う画像形成装置において、
前記中間転写体として、請求項8の中間転写体を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−198328(P2012−198328A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61373(P2011−61373)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】