説明

乗員拘束機構

【課題】ベルト部の腰装着部による乗員の腰部の拘束方向を変更する。
【解決手段】乗員拘束機構10では、車両の衝突が予知された際に、モータ44の正転駆動により巻取軸36が正方向に回転されて、ウェビング22が巻取軸36に車両後側から巻取られることで、ウェビング22のラップベルト部が車両後側に引張られて、乗員の腰部が水平方向において拘束される。一方、車両の転覆が予知された際には、モータ44の逆転駆動により巻取軸36が逆方向に回転されて、ウェビング22が巻取軸36に車両前側から巻取られることで、ウェビング22のラップベルト部が車両下側に引張られて、乗員の腰部が上下方向において拘束される。このため、車両の予知される緊急状態の種類に対応して、乗員の腰部を適切に拘束できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員の腰部を拘束可能にされた乗員拘束機構に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の車両用シートベルト装置では、車両の正面衝突時に、シートベルトのラップベルト部が端部側からラップベルト用プリテンショナに巻取られて引張られることで、ラップベルト部が乗員の腰部を拘束可能にされている。
【0003】
ところで、この車両用シートベルト装置では、ラップベルト部のラップベルト用プリテンショナによる引張方向が一定である。
【0004】
ここで、車両の状況によりラップベルト部のラップベルト用プリテンショナによる引張方向を変更できれば、ラップベルト部による乗員の腰部の拘束方向を変更できて、乗員の腰部を適切に拘束できる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−160986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、ベルト部の腰装着部による乗員の腰部の拘束方向を変更できる乗員拘束機構を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の乗員拘束機構は、乗員の腰部に装着される腰装着部及び前記腰装着部から乗員の後側及び下側の少なくとも一方に延出される延出部が設けられたベルト部と、前記延出部が接続された巻取軸が設けられると共に、前記巻取軸に前記延出部が巻取られることで前記腰装着部が前記延出部を介して引張られて乗員の腰部を拘束可能にされ、前記巻取軸を一方向へ回転させることで前記巻取軸に一側から前記延出部を巻取ると共に、前記巻取軸を他方向へ回転させることで前記巻取軸に他側から前記延出部を巻取る巻取機構と、を備えている。
【0008】
請求項2に記載の乗員拘束機構は、請求項1に記載の乗員拘束機構において、前記巻取機構は、前記巻取軸を一方向へ回転させる際に前記巻取軸を一側に移動させると共に、前記巻取軸を他方向へ回転させる際に前記巻取軸を他側に移動させる移動手段を有している。
【0009】
請求項3に記載の乗員拘束機構は、請求項1又は請求項2に記載の乗員拘束機構において、前記巻取機構は、前記巻取軸を一方向へ回転させる際に前記巻取軸の他方向への回転を規制すると共に、前記巻取軸を他方向へ回転させる際に前記巻取軸の一方向への回転を規制する規制機構を有している。
【0010】
請求項4に記載の乗員拘束機構は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の乗員拘束機構において、前記巻取機構は、車両の衝突が予知又は検知された際に前記腰装着部を乗員の後側に引張ると共に、車両の転覆が予知又は検知された際に前記腰装着部を乗員の下側に引張る。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の乗員拘束機構では、ベルト部の腰装着部が乗員の腰部に装着されると共に、ベルト部の延出部が腰装着部から乗員の後側及び下側の少なくとも一方に延出される。さらに、巻取機構の巻取軸に延出部が接続されており、巻取軸に延出部が巻取られることで、腰装着部が、延出部を介して引張られて、乗員の腰部を拘束可能にされている。
【0012】
ここで、巻取機構が、巻取軸を一方向へ回転させることで、巻取軸に一側から延出部を巻取ると共に、巻取軸を他方向へ回転させることで、巻取軸に他側から延出部を巻取る。このため、巻取機構が巻取軸を回転させる方向を一方向と他方向とに変更して、巻取軸が延出部を巻取る側を一側と他側とに変更することで、腰装着部の引張方向を変更できて、腰装着部による乗員の腰部の拘束方向を変更できる。
【0013】
請求項2に記載の乗員拘束機構では、巻取機構が巻取軸を一方向へ回転させる際に移動手段が巻取軸を一側に移動させると共に、巻取機構が巻取軸を他方向へ回転させる際に移動手段が巻取軸を他側に移動させる。このため、巻取機構が巻取軸を回転させる方向を一方向と他方向とに変更することで、腰装着部の引張方向を効果的に変更できて、腰装着部による乗員の腰部の拘束方向を効果的に変更できる。
【0014】
請求項3に記載の乗員拘束機構では、巻取機構が巻取軸を一方向へ回転させる際に規制機構が巻取軸の他方向への回転を規制すると共に、巻取機構が巻取軸を他方向へ回転させる際に規制機構が巻取軸の一方向への回転を規制する。このため、腰装着部による乗員の腰部の拘束力が低下することを抑制できる。
【0015】
請求項4に記載の乗員拘束機構では、車両の衝突が予知又は検知された際に、巻取機構が腰装着部を乗員の後側に引張る。このため、乗員の腰部を水平方向において効果的に拘束できる。
【0016】
また、車両の転覆が予知又は検知された際に、巻取機構が腰装着部を乗員の下側に引張る。このため、乗員の腰部を上下方向において効果的に拘束できる。
【0017】
これにより、車両の状況に対応して乗員の腰部を適切に拘束できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る乗員拘束機構の巻取機構を示す車両前斜め左方から見た斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る乗員拘束機構の巻取機構の主要部を示す車両左方から見た断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る乗員拘束機構においてロック機構が巻取軸の回転をロックしない状況を示す車両前斜め左方から見た斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る乗員拘束機構においてロック機構が巻取軸の回転をロックしない状況を示す車両左方から見た側面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る乗員拘束機構においてロック機構が巻取軸の回転をロックする状況を示す車両前斜め左方から見た斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る乗員拘束機構においてロック機構が巻取軸の回転をロックする状況を示す車両左方から見た側面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る乗員拘束機構が乗員を拘束する状況を示す車両右方から見た側面図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る乗員拘束機構が適用された車両の主要部を示す車両前側から見た正面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る乗員拘束機構の巻取機構を示す車両前斜め左方から見た斜視図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る乗員拘束機構の巻取機構を示す車両前方から見た正面図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る乗員拘束機構の巻取機構の主要部を示す車両前斜め左方から見た分解斜視図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る乗員拘束機構が乗員を拘束する状況を示す車両右方から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1の実施の形態]
図8には、本発明の第1の実施の形態に係る乗員拘束機構10が適用された車両12の主要部が車両前側から見た正面図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車幅方向外方(車両右方)を矢印OUTで示し、車両上方を矢印UPで示している。
【0020】
図8に示す如く、本実施の形態における車両12では、車室14内にシート16(本実施の形態では運転席)が設置されており、シート16の前方、後方、右方、左方、上方及び下方は、それぞれ車両12の前方、後方、右方、左方、上方及び下方に向けられている。また、シート16の設置位置は、車両前後方向において、調整可能にされている。
【0021】
シート16の下側部分には、シートクッション16Aが設けられており、シートクッション16Aは、略水平に配置されている。シート16の上側部分には、シートバック16Bが設けられており、シートバック16Bは、シートクッション16Aの後端から上側に起立されている。シート16には、車両12の乗員18(本実施の形態では運転手)が着座可能にされている。
【0022】
シート16には、乗員拘束機構10(シートベルト装置)が装備されている。
【0023】
乗員拘束機構10には、格納手段としての巻取装置20(リトラクタ)が設けられており、巻取装置20は、シート16の後部の車幅方向外側かつ車両下側において、車体(シート16でもよい)に固定されている。巻取装置20には、スプール(図示省略)が設けられており、スプールには、ベルト部を構成する長尺帯状のウェビング22が基端側から巻取られている。このため、スプールが巻取方向へ回転されることでスプールにウェビング22が巻取られると共に、スプールからウェビング22が引出されることでスプールが引出方向(巻取方向とは反対方向)へ回転される。
【0024】
巻取装置20は、スプールに巻取方向への付勢力を作用させており、これにより、ウェビング22にスプールへの巻取方向への付勢力が付与されている。巻取装置20は、車両12の緊急状態(衝突(所定の加速度(減速加速度を含む)以上の前面衝突、後面衝突及び側面衝突等)及び転覆(所謂ロールオーバ、反転))を検知可能にされており、巻取装置20が車両12の緊急状態を検知した際には、巻取装置20がスプールからのウェビング22の引出しをロックする。
【0025】
ウェビング22は、巻取装置20より先端側において、アンカ(上支持部)としてのショルダアンカ24(スリップジョイント)に移動可能に挿通されており、ショルダアンカ24は、シート16の後部の車幅方向外側かつ車両上側において、車体(シート16でもよい)に回動可能に取付けられている。これにより、ウェビング22が、巻取装置20より先端側において、ショルダアンカ24に支持されている。
【0026】
ウェビング22は、ショルダアンカ24より先端側において、ベルト部の延出部を構成する係合部材としてのタング26に移動可能に挿通されている。
【0027】
乗員拘束機構10には、ベルト部の延出部を構成する内支持部としてのバックル28(インナアンカ)が設けられている。バックル28には、ベルト部の延出部を構成する連結部材としての帯状の連結ウェビング30の先端が連結されており、連結ウェビング30の基端は、シート16の後部の車幅方向内側かつ車両下側において、シート16(車体でもよい)に固定されている。タング26は、バックル28に対して係合及び係合解除可能にされており、タング26がバックル28に係合されることで、ウェビング22が、ショルダアンカ24より先端側において、タング26及びバックル28を介して連結ウェビング30に支持される。
【0028】
ウェビング22の先端部は、引張手段(外支持部)としての巻取機構32(リトラクタ)に連結されて支持されており、巻取機構32は、シート16の後部の車幅方向外側かつ車両下側において、シート16(車体でもよい)に固定されている。
【0029】
図1及び図2に示す如く、巻取機構32には、支持部材としての略直方体形箱状のフレーム34が設けられており、フレーム34がシート16に固定されることで、巻取機構32がシート16に固定されている。
【0030】
フレーム34の車両上側面及び車両前側面は、開放されており、フレーム34内には、略円柱状の巻取軸36(スプール)が設けられている。巻取軸36の軸方向両外側には、円柱状の支持軸38が同軸上に設けられており、支持軸38は、巻取軸36と一体に回転可能にされている。一方の支持軸38は、フレーム34の一側壁34A(本実施の形態では車幅方向内側壁)に回転自在に支持されると共に、他方の支持軸38は、フレーム34の他側壁34B(本実施の形態では車幅方向外側壁)に回転自在に支持されており、これにより、巻取軸36がフレーム34の一側壁34Aと他側壁34Bとの間に回転自在に支持されると共に、巻取軸36の回転軸が車幅方向に平行に配置されている。なお、巻取軸36の直径は、例えば40mm以上60mm以下にされている。
【0031】
巻取軸36には、径方向に沿って、長尺矩形状の挿通孔40が貫通形成されており、挿通孔40の貫通方向一端は、幅方向寸法を拡大されて、係止孔40Aにされている。ウェビング22の先端部は挿通孔40に係止孔40Aとは反対側から挿通されると共に、その後にウェビング22の先端が円柱状の係止棒42を装着されて拡大されている。このため、ウェビング22の先端(係止棒42を含む)が係止孔40Aに係止されて、ウェビング22先端部の挿通孔40からの離脱が阻止されることで、ウェビング22の先端部が巻取軸36に連結されている。また、巻取軸36が正方向(矢印A方向である一方向)に回転されることで、巻取軸36にウェビング22が車両後側から巻取られると共に、巻取軸36が逆方向(矢印B方向である他方向)に回転されることで、巻取軸36にウェビング22が車両前側から巻取られる。
【0032】
フレーム34内には、巻取軸36の側方において、駆動手段としてのモータ44が固定されており、モータ44の出力軸には、出力ギヤ46が固定されている。モータ44は、車両12の制御装置48を介して車両12の検出装置50に電気的に接続されており、検出装置50は、車両12の緊急状態(衝突(所定の加速度(減速加速度を含む)以上の前面衝突、後面衝突及び側面衝突等)及び転覆(所謂ロールオーバ、反転))を予知可能にされている。検出装置50が車両12の緊急状態を予知した際には、制御装置48の制御によりモータ44が駆動可能にされており、検出装置50が車両12の衝突を予知した際には、モータ44が正転駆動されて、出力ギヤ46が正転されると共に、検出装置50が車両12の転覆を予知した際には、モータ44が逆転駆動されて、出力ギヤ46が逆転される。
【0033】
モータ44の出力ギヤ46は、所定数(本実施の形態では1個)の中間ギヤ52を介して回転ギヤ54に連絡されており、中間ギヤ52は、フレーム34の一側壁34Aに回転自在に支持されると共に、回転ギヤ54は、巻取軸36の一方の支持軸38に同軸上に固定されて巻取軸36と一体に回転可能にされている。出力ギヤ46が回転された際には、中間ギヤ52を介して回転ギヤ54が減速されて回転可能にされており、出力ギヤ46が正転された際には、回転ギヤ54が正方向に回転されると共に、出力ギヤ46が逆転された際には、回転ギヤ54が逆方向に回転される。
【0034】
図1、図3及び図4に示す如く、巻取機構32には、規制機構としてのロック機構56が設けられている。
【0035】
ロック機構56には、規制部材としての第1ロックギヤ58及び第2ロックギヤ60が設けられている。第1ロックギヤ58は巻取軸36の他方の支持軸38側に同軸上に固定されると共に、第2ロックギヤ60は巻取軸36の一方の支持軸38側に同軸上に固定されており、第1ロックギヤ58及び第2ロックギヤ60は、巻取軸36と一体に回転可能にされている。第1ロックギヤ58の全周には第1ラチェット歯58Aが形成されると共に、第2ロックギヤ60の全周には第2ラチェット歯60Aが形成されており、第1ラチェット歯58Aの第1ロックギヤ58周方向における向きと第2ラチェット歯60Aの第2ロックギヤ60周方向における向きとは、互いに反対にされている。
【0036】
第1ロックギヤ58の車両下側及び第2ロックギヤ60の車両下側には、それぞれロック部材としての略矩形柱状の第1ロックプレート62及び第2ロックプレート64が設けられており、第1ロックプレート62は、基端(車両後側端)においてフレーム34の他側壁34Bに回動可能に支持されると共に、第2ロックプレート64は、基端(車両前側端)においてフレーム34の一側壁34Aに回動可能に支持されている。第1ロックプレート62及び第2ロックプレート64には、車両下側へ回動する方向への付勢力が付与されている。
【0037】
第1ロックプレート62の先端(車両前側端)には、断面台形状の第1突出部62Aが車両下側に突出されて形成されており、第1突出部62Aの第1ロックプレート62基端側の面は、第1ロックプレート62先端側へ向かうに従い車両下側へ向かう方向に傾斜されている。第2ロックプレート64の先端(車両後側端)には、断面台形状の第2突出部64Aが車両下側に突出されて形成されており、第2突出部64Aの第2ロックプレート64基端側の面は、第2ロックプレート64先端側へ向かうに従い車両下側へ向かう方向に傾斜されている。
【0038】
第1ロックプレート62及び第2ロックプレート64の車両下側には、作動部材としての平面視T字状のロックレバー66が設けられており、ロックレバー66には、車両後側かつ第1ロックプレート62側の第1レバー68と、車両後側かつ第2ロックプレート64側の第2レバー70と、車両前側の作動レバー72と、が設けられている。ロックレバー66は、第1レバー68の基端(車幅方向内側端)と第2レバー70の基端(車幅方向外側端)との結合部分において、フレーム34の底壁34C(車両下側壁)に回転可能に支持されており、ロックレバー66は、フレーム34の底壁34Cから車両上側に離間されている。
【0039】
第1レバー68の先端部(車幅方向外側端部)には、第1ロックプレート62が第1突出部62Aより基端側部分において付勢力によって載置されており、第2レバー70の先端部(車幅方向内側端部)には、第2ロックプレート64が第2突出部64Aより基端側部分において付勢力によって載置されている。第1レバー68及び第2レバー70は、略台形柱状にされており、第1レバー68及び第2レバー70は、車両上側へ向かうに従い幅方向寸法が小さくなる方向に、車両前側面及び車両後側面が傾斜されている。第1レバー68の基端部及び第2レバー70の基端部には、それぞれ回動手段(弾性部)としての第1柔軟部68A及び第2柔軟部70Aが設けられており、第1レバー68は、第1柔軟部68Aの弾性変形により車両下側に回動可能にされると共に、第2レバー70は、第2柔軟部70Aの弾性変形により車両下側に回動可能にされている。
【0040】
ロックレバー66の側方には、作動手段としてのソレノイド74が設けられており、ソレノイド74は、フレーム34の底壁34Cに固定されている。ソレノイド74には、柱状のプランジャ74Aが設けられており、プランジャ74Aは、付勢力によりソレノイド74から突出されると共に、先端がロックレバー66の作動レバー72に回動可能に連結されている。ソレノイド74は、作動されることでプランジャ74Aを吸引可能にされると共に、作動を解除されることでプランジャ74Aを付勢力により突出可能にされている。
【0041】
ソレノイド74は、上記制御装置48に電気的に接続されており、上記モータ44の駆動(出力軸の回転)が制限されてモータ44にロック電流が流れた際には、制御装置48がモータ44のロック電流を検知することで、制御装置48の制御によりソレノイド74が作動される。このため、図5及び図6に示す如く、ソレノイド74のプランジャ74Aが吸引されて、ロックレバー66が回転される。これにより、ロックレバー66の第1レバー68の先端部に第1ロックプレート62の第1突出部62Aが乗上げることで、第1ロックプレート62が車両上側に回動されて、第1レバー68の第1柔軟部68Aの弾性力によって第1ロックプレート62が第1ロックギヤ58に弾性当接される。さらに、ロックレバー66の第2レバー70の先端部に第2ロックプレート64の第2突出部64Aが乗上げることで、第2ロックプレート64が車両上側に回動されて、第2レバー70の第2柔軟部70Aの弾性力によって第2ロックプレート64が第2ロックギヤ60に弾性当接される。
【0042】
第1ロックプレート62が第1ロックギヤ58に弾性当接された状態で、巻取軸36が逆方向(矢印B方向)に回転される際には、第1ロックプレート62が第1ロックギヤ58の第1ラチェット歯58Aに噛合されることで、第1ロックプレート62ひいては巻取軸36の逆方向への回転がロック(規制)される。さらに、第2ロックプレート64が第2ロックギヤ60に弾性当接された状態で、巻取軸36が正方向(矢印A方向)に回転される際には、第2ロックプレート64が第2ロックギヤ60の第2ラチェット歯60Aに噛合されることで、第2ロックプレート64ひいては巻取軸36の正方向への回転がロック(規制)される。
【0043】
なお、第1ロックプレート62が第1ロックギヤ58の第1ラチェット歯58Aに噛合されると同時に第2ロックプレート64が第2ロックギヤ60の第2ラチェット歯60Aに噛合されることはない構成にされている。
【0044】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0045】
以上の構成の乗員拘束機構10では、シート16に乗員18が着座した状態で、巻取装置20(スプール)からウェビング22が付勢力に抗して引出されて、タング26がバックル28に係合されることで、必要に応じて巻取装置20(スプール)にウェビング22が付勢力によって巻取られて、乗員18にウェビング22が装着される。
【0046】
乗員18にウェビング22が装着された際には、ウェビング22のショルダアンカ24とタング26との間の部分が、胸装着部としてのショルダベルト部22Aにされて、乗員18の胸部18Aに斜め方向に装着される。さらに、ウェビング22のタング26より巻取機構32側かつシートクッション16Aより上側の部分が、腰装着部としてのラップベルト部22Bにされて、乗員18の腰部18Bに横方向に装着される。また、ウェビング22のラップベルト部22Bより巻取機構32側の部分が、延出部22Cにされて、ラップベルト部22Bから巻取機構32へ向けて車両後斜め下方に延出されると共に、バックル28に連結された連結ウェビング30がバックル28から車両後斜め下方に延出される。
【0047】
巻取装置20が車両12の衝突(所定の加速度(減速加速度を含む)以上の前面衝突、後面衝突及び側面衝突等)又は転覆(所謂ロールオーバ、反転)を検知した際には、巻取装置20がスプールからのウェビング22の引出しをロックする。このため、ウェビング22によって乗員18が拘束される。
【0048】
ここで、車両12の衝突以前において、検出装置50が車両12の衝突を予知した際には、巻取機構32において、制御装置48の制御によりモータ44が正転駆動されて、出力ギヤ46が正転されることで、中間ギヤ52及び回転ギヤ54を介して巻取軸36が正方向(矢印A方向)に回転される。このため、図7に2点鎖線で示す如く、ウェビング22の延出部22Cが巻取軸36に少なくとも巻取軸36の半径分だけ車両後側から巻取られて、ウェビング22のラップベルト部22Bが延出部22Cを介して車両後側(シートバック16B側)に引張られることで、乗員18の腰部18Bがラップベルト部22Bとシートバック16Bとの間で水平方向において拘束されて、乗員18の腰部18Bの車両前後方向及び車幅方向両側へ移動が制限される。
【0049】
また、車両12の転覆以前において、検出装置50が車両12の転覆を予知した際には、巻取機構32において、制御装置48の制御によりモータ44が逆転駆動されて、出力ギヤ46が逆転されることで、中間ギヤ52及び回転ギヤ54を介して巻取軸36が逆方向(矢印B方向)に回転される。このため、図7に1点鎖線で示す如く、ウェビング22の延出部22Cが巻取軸36に少なくとも巻取軸36の半径分だけ車両前側から巻取られて、ウェビング22のラップベルト部22Bが延出部22Cを介して車両下側(シートクッション16A側)に引張られることで、乗員18の腰部18Bがラップベルト部22Bとシートクッション16Aとの間で上下方向において拘束されて、乗員18の腰部18Bの車両上側へ移動(シートクッション16Aからの浮上がり)が制限される。
【0050】
このように、車両12の衝突が予知された際には、ウェビング22のラップベルト部22Bが車両後側に引張られて乗員18の腰部18Bが水平方向において拘束されると共に、車両12の転覆が予知された際には、ウェビング22のラップベルト部22Bが車両下側に引張られて乗員18の腰部18Bが上下方向において拘束される。これにより、車両12の予知される緊急状態の種類に対応して、乗員18の腰部18Bを適切に拘束できる。
【0051】
さらに、巻取機構32において、モータ44が駆動されて出力ギヤ46、中間ギヤ52及び回転ギヤ54を介して巻取軸36が回転された後に、ウェビング22の延出部22Cの巻取軸36への巻取りが乗員18の腰部18Bによって制限されることで、回転ギヤ54、中間ギヤ52及び出力ギヤ46を介してモータ44の駆動(出力軸の回転)が制限された際には、モータ44にロック電流が流れる。このため、ロック機構56において、制御装置48の制御によりソレノイド74が作動されることで、ソレノイド74のプランジャ74Aが吸引されて、ロックレバー66が回転される。これにより、ロックレバー66の第1レバー68の先端部に第1ロックプレート62の第1突出部62Aが乗上げて、第1ロックプレート62が第1ロックギヤ58に弾性当接されると共に、ロックレバー66の第2レバー70の先端部に第2ロックプレート64の第2突出部64Aが乗上げて、第2ロックプレート64が第2ロックギヤ60に弾性当接される。
【0052】
このため、車両12の衝突が予知されて、巻取軸36が正方向に回転された後に、上述の如く第1ロックプレート62が第1ロックギヤ58に弾性当接された状態で、乗員18の腰部18Bによるウェビング22の延出部22Cの巻取軸36からの引出力によって巻取軸36が逆方向に回転される際には、第1ロックプレート62が第1ロックギヤ58の第1ラチェット歯58Aに噛合されることで、第1ロックプレート62ひいては巻取軸36の逆方向への回転がロックされて、ウェビング22の延出部22Cの巻取軸36からの引出しが規制される。これにより、ウェビング22のラップベルト部22Bによる乗員18の腰部18Bの拘束力が低下することを抑制できる。
【0053】
また、車両12の転覆が予知されて、巻取軸36が逆方向に回転された後に、上述の如く第2ロックプレート64が第2ロックギヤ60に弾性当接された状態で、乗員18の腰部18Bによるウェビング22の延出部22Cの巻取軸36からの引出力によって巻取軸36が正方向に回転される際には、第2ロックプレート64が第2ロックギヤ60の第2ラチェット歯60Aに噛合されることで、第2ロックプレート64ひいては巻取軸36の正方向への回転がロックされて、ウェビング22の延出部22Cの巻取軸36からの引出しが規制される。これにより、ウェビング22のラップベルト部22Bによる乗員18の腰部18Bの拘束力が低下することを抑制できる。
【0054】
さらに、車両12の衝突が予知されて、巻取軸36が正方向に回転されると共に、第1ロックプレート62が第1ロックギヤ58の第1ラチェット歯58Aに噛合された後に、車両12の衝突が回避された際には、制御装置48の制御により、モータ44が正転駆動されて回転ギヤ54が正方向に回転されると共に、ソレノイド74の作動が解除されてロックレバー66の回転が解除されることで、第1ロックプレート62の第1ロックギヤ58(第1ラチェット歯58A)への噛合が解除される。このため、第1ロックプレート62ひいては巻取軸36の逆方向への回転のロックが解除されて、ウェビング22の延出部22Cの巻取軸36からの引出しが許容されることで、巻取機構32を車両12の衝突が予知される前の状態に復帰させることができる。
【0055】
また、車両12の転覆が予知されて、巻取軸36が逆方向に回転されると共に、第2ロックプレート64が第2ロックギヤ60の第2ラチェット歯60Aに噛合された後に、車両12の転覆が回避された際には、制御装置48の制御により、モータ44が逆転駆動されて回転ギヤ54が逆方向に回転されると共に、ソレノイド74の作動が解除されてロックレバー66の回転が解除されることで、第2ロックプレート64の第2ロックギヤ60(第2ラチェット歯60A)への噛合が解除される。このため、第2ロックプレート64ひいては巻取軸36の正方向への回転のロックが解除されて、ウェビング22の延出部22Cの巻取軸36からの引出しが許容されることで、巻取機構32を車両12の転覆が予知される前の状態に復帰させることができる。
【0056】
[第2の実施の形態]
図9には、本発明の第2の実施の形態に係る乗員拘束機構80の巻取機構32が車両前斜め左方から見た斜視図にて示されており、図10には、乗員拘束機構80の巻取機構32が車両前方から見た正面図にて示されている。さらに、図11には、乗員拘束機構80の巻取機構32の主要部が車両前斜め左方から見た分解斜視図にて示されている。
【0057】
本実施の形態に係る乗員拘束機構80は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0058】
図9〜図11に示す如く、本実施の形態に係る乗員拘束機構80は、巻取機構32において、フレーム34の外側に、案内部材としての断面U字形長尺板状のアウタフレーム82が設けられており、アウタフレーム82は、シート16の後部の車幅方向外側かつ車両下側において、シート16(車体でもよい)に固定されている。
【0059】
アウタフレーム82の車両上側面、車両前側面及び車両後側面は、開放されており、アウタフレーム82内には、フレーム34が配置されている。アウタフレーム82の一側壁82A(本実施の形態では車幅方向内側壁)及び他側壁82B(本実施の形態では車幅方向外側壁)には、長尺のレール孔84(ガイドレール)が貫通形成されており、レール孔84は、車両前後方向に沿って配置されている。
【0060】
フレーム34内の巻取軸36では、一方の支持軸38がフレーム34の一側壁34A外側に突出されると共に、他方の支持軸38がフレーム34の他側壁34B外側に突出されており、一方の支持軸38及び他方の支持軸38は、それぞれアウタフレーム82の一側壁82A及び他側壁82Bのレール孔84に挿入されている。支持軸38は、レール孔84によって、車両上下方向への移動が制限されると共に、車両前後方向への移動が許容されており、このため、フレーム34(巻取軸36等を含む)は、支持軸38をレール孔84に案内されて、車両前後方向へ移動(スライド)可能にされている。
【0061】
フレーム34内のモータ44は、出力軸がフレーム34の一側壁34Aを貫通しており、モータ44の出力ギヤ46は、フレーム34の一側壁34A外側に配置されている。さらに、所定数(本実施の形態では1個)の中間ギヤ52及び回転ギヤ54(移動部材)も、フレーム34の一側壁34A外側に配置されている。
【0062】
アウタフレーム82の一側壁82A内側には、移動手段としての長尺略矩形板状のラック86が固定されており、ラック86は、回転ギヤ54の車両下側に配置されている。ラック86の上面には、ラック歯86Aが形成されており、ラック86のラック歯86Aには、回転ギヤ54が噛合されている。このため、回転ギヤ54が正方向(矢印A方向)に回転される際には、回転ギヤ54がラック86によって車両後側に移動されて、フレーム34(巻取軸36等を含む)が車両後側に移動される。また、回転ギヤ54が逆方向(矢印B方向)に回転されるには、回転ギヤ54がラック86によって車両前側に移動されて、フレーム34(巻取軸36等を含む)が車両前側に移動される。
【0063】
ここで、本実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0064】
特に、車両12の衝突以前において、検出装置50が車両12の衝突を予知した際には、巻取機構32において、制御装置48の制御によりモータ44が正転駆動されて、出力ギヤ46が正転されることで、中間ギヤ52及び回転ギヤ54を介して巻取軸36が正方向(矢印A方向)に回転されると共に、正方向に回転される回転ギヤ54がラック86により車両後側へ移動されてフレーム34(巻取軸36等を含む)が車両後側に移動される。このため、図12に2点鎖線で示す如く、ウェビング22の延出部22Cが巻取軸36に少なくとも巻取軸36の半径と巻取軸36の車両後側への移動距離との合計分だけ車両後側から巻取られて、ウェビング22のラップベルト部22Bが延出部22Cを介して効果的に車両後側(シートバック16B側)に引張られることで、乗員18の腰部18Bがラップベルト部22Bとシートバック16Bとの間で効果的に水平方向において拘束されて、乗員18の腰部18Bの車両前後方向及び車幅方向両側へ移動が効果的に制限される。
【0065】
また、車両12の転覆以前において、検出装置50が車両12の転覆を予知した際には、巻取機構32において、制御装置48の制御によりモータ44が逆転駆動されて、出力ギヤ46が逆転されることで、中間ギヤ52及び回転ギヤ54を介して巻取軸36が逆方向(矢印B方向)に回転されると共に、逆方向に回転される回転ギヤ54がラック86により車両前側へ移動されてフレーム34(巻取軸36等を含む)が車両前側に移動される。このため、図12に1点鎖線で示す如く、ウェビング22の延出部22Cが巻取軸36に少なくとも巻取軸36の半径と巻取軸36の車両前側への移動距離との合計分だけ車両前側から巻取られて、ウェビング22のラップベルト部22Bが延出部22Cを介して効果的に車両下側(シートクッション16A側)に引張られることで、乗員18の腰部18Bがラップベルト部22Bとシートクッション16Aとの間で効果的に上下方向において拘束されて、乗員18の腰部18Bの車両上側へ移動(シートクッション16Aからの浮上がり)が効果的に制限される。
【0066】
このように、車両12の衝突が予知された際には、ウェビング22のラップベルト部22Bが効果的に車両後側に引張られて乗員18の腰部18Bが効果的に水平方向において拘束されると共に、車両12の転覆が予知された際には、ウェビング22のラップベルト部22Bが効果的に車両下側に引張られて乗員18の腰部18Bが効果的に上下方向において拘束される。これにより、車両12の予知される緊急状態の種類に対応して、乗員18の腰部18Bを一層適切に拘束できる。
【0067】
なお、本実施の形態では、回転ギヤ54をラック86のラック歯86Aに噛合させた。しかしながら、巻取軸36の回転に伴い回転される移動ギヤ(移動部材)をラック86のラック歯86Aに噛合させればよい。この場合、移動ギヤの径が小さい程、移動ギヤの回転による車両前後方向への移動距離が短くされて、巻取軸36の車両前後方向への移動距離を短くできる。一方、移動ギヤの径が大きい程、移動ギヤの回転による車両前後方向への移動距離が長くされて、巻取軸36の車両前後方向への移動距離を長くできる。
【0068】
さらに、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態において、シート16に着座した乗員18の体格を乗員体格検出手段(例えば、シート16に内蔵されて乗員18の体重を検出する荷重センサ、又は、乗員18を撮像するモニタカメラ)が検出し、かつ、乗員18の体格が小柄であると乗員体格検出手段が判断した場合には、車両12の緊急状態の態様に拘らず、巻取機構32がウェビング22のラップベルト部22Bを車両下側に引張ってもよい。
【0069】
また、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、車両12の緊急状態が予知された際に、巻取軸36を回転させた。しかしながら、車両12の緊急状態が検知された際に、巻取軸36を回転させてもよい。
【0070】
さらに、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、モータ44の駆動力により巻取軸36を回転させた。しかしながら、例えばガス(特に高圧ガス)の圧力により巻取軸36を回転させてもよい。
【0071】
また、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、モータ44にロック電流が流れた際に、ロック機構56(ソレノイド74)を作動させる。しかしながら、車両12の緊急状態が検知された際に、ロック機構56を作動させてもよい。
【0072】
さらに、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、1つの作動手段(ソレノイド74)により、第1ロックプレート62を第1ロックギヤ58の第1ラチェット歯58Aに噛合させると共に、第2ロックプレート64を第2ロックギヤ60の第2ラチェット歯60Aに噛合させる。しかしながら、独立した別々の作動手段(ソレノイド74)により、第1ロックプレート62を第1ロックギヤ58の第1ラチェット歯58Aに噛合させると共に、第2ロックプレート64を第2ロックギヤ60の第2ラチェット歯60Aに噛合させてもよい。
【0073】
しかも、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、第1ロックプレート62が付勢力により第1ロックギヤ58の第1ラチェット歯58Aに噛合されない状態が維持されると共に、第2ロックプレート64が付勢力により第2ロックギヤ60の第2ラチェット歯60Aに噛合されない状態が維持される。しかしながら、第1ロックプレート62が自重により第1ロックギヤ58の第1ラチェット歯58Aに噛合されない状態が維持されてもよく、第2ロックプレート64が自重により第2ロックギヤ60の第2ラチェット歯60Aに噛合されない状態が維持されてもよい。
【0074】
また、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、ウェビング22の延出部22Cを巻取機構32に連結した。しかしながら、これと共に、又は、これに代えて、連結ウェビング30を巻取機構32に連結してもよい。
【0075】
さらに、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、本発明をウェビング22にショルダベルト部22Aを設けた所謂3点支持式のシートベルト装置に適用した。しかしながら、本発明をウェビング22にショルダベルト部22Aを設けない所謂2点支持式のシートベルト装置に適用してもよい。この場合、ウェビング22にタング26を固定してもよい。
【0076】
また、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、シート16を運転席にした。しかしながら、シート16を助手席や後席にしてもよい。
【符号の説明】
【0077】
10 乗員拘束機構
12 車両
18 乗員
18B 腰部
22 ウェビング(ベルト部)
22B ラップベルト部(腰装着部)
22C 延出部
26 タング(ベルト部、延出部)
28 バックル(ベルト部、延出部)
30 連結ウェビング(ベルト部、延出部)
32 巻取機構
36 巻取軸
56 ロック機構(規制機構)
80 乗員拘束機構
86 ラック(移動手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員の腰部に装着される腰装着部及び前記腰装着部から乗員の後側及び下側の少なくとも一方に延出される延出部が設けられたベルト部と、
前記延出部が接続された巻取軸が設けられると共に、前記巻取軸に前記延出部が巻取られることで前記腰装着部が前記延出部を介して引張られて乗員の腰部を拘束可能にされ、前記巻取軸を一方向へ回転させることで前記巻取軸に一側から前記延出部を巻取ると共に、前記巻取軸を他方向へ回転させることで前記巻取軸に他側から前記延出部を巻取る巻取機構と、
を備えた乗員拘束機構。
【請求項2】
前記巻取機構は、前記巻取軸を一方向へ回転させる際に前記巻取軸を一側に移動させると共に、前記巻取軸を他方向へ回転させる際に前記巻取軸を他側に移動させる移動手段を有する請求項1記載の乗員拘束機構。
【請求項3】
前記巻取機構は、前記巻取軸を一方向へ回転させる際に前記巻取軸の他方向への回転を規制すると共に、前記巻取軸を他方向へ回転させる際に前記巻取軸の一方向への回転を規制する規制機構を有する請求項1又は請求項2記載の乗員拘束機構。
【請求項4】
前記巻取機構は、車両の衝突が予知又は検知された際に前記腰装着部を乗員の後側に引張ると共に、車両の転覆が予知又は検知された際に前記腰装着部を乗員の下側に引張る請求項1〜請求項3の何れか1項記載の乗員拘束機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−95240(P2013−95240A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239065(P2011−239065)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】