説明

乗客コンベア

【課題】スカートガードの変形位置に関わらず、踏段とスカートガードとの間の隙間が異常な隙間に広がったことを確実に検出できる乗客コンベアを得ることを目的とする。
【解決手段】スカートガード異常検出装置20を備え、検出装置本体21は、第1定常位置と、異常検出位置との間を移動可能な検出体35と、検出体35を作動押圧力より小さな力でスカートガード16に向けて付勢する第1コイルばね44と、作動体48と、作動押圧力以上の力でスカートガード16を押し付けるように、作動体48を付勢する第2コイルばね55と、検出体35と作動体48とを連結し、検出体35が、第1定常位置にある場合に第2付勢部材の付勢力に抗して作動体48をスカートガード16から離間させて保持する保持位置と、検出体35が異常検出位置に移動されたときに、作動体48の保持力を解除する解除位置とを移動可能に構成されたリンク装置60とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、踏段とスカートガードとの間の隙間が異常に広がったことを検出する機能を有する乗客コンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエスカレータの安全装置は、互いに連結されて循環移動される複数の踏段、この踏段の左右両側に対向して設けられたスカートガード、このスカートガードが所定距離外側にたわんだとき作動する作動スイッチとを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来のエスカレータの安全装置では、踏段とスカートガードとの間の隙間が所定以上の隙間となったときに、作動スイッチが動作して、スカートガードの異常な変形を検出するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭64−12080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のエスカレータの安全装置では、作動スイッチは、スカートガードの延設方向に互いに間隔をあけて設けられることになる。このため、作動スイッチの間に位置するスカートガードの部位が大きく変形して、踏段とスカートガードとの間に所定以上の隙間が形成されても、作動スイッチを動作させるための力が作動スイッチに加わらず、作動スイッチが動作しない場合がある。
【0006】
この発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、スカートガードの変形位置に関わらず、踏段とスカートガードとの間の隙間が異常な隙間に広がったことを確実に検出できる乗客コンベアを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る乗客コンベアは、乗り口から降り口に乗客を運ぶための経路を含む往路側経路と、往路側経路に連続し、往路側経路の下方に位置する帰路側経路とを循環走行する複数の踏段と、少なくとも乗客を運ぶ経路を走行する踏段の幅方向の両側に、踏段との間に許容範囲内の隙間を保って設けられるスカートガードと、スカートガードの表面が、所定の作動押圧力以上の力で押圧されたときに動作するスカートガード安全スイッチと、踏段の少なくとも一つに設けられて、乗客を運ぶための経路を走行する踏段とスカートガードとの間が所定の異常隙間より広くなったことを検出してスカートガード安全スイッチを動作させる検出装置本体を有するスカートガード異常検出装置とを備え、検出装置本体は、踏段との間の隙間が許容範囲内の隙間に保たれたスカートガードに接する第1定常位置と、踏段との間の隙間が異常隙間に広まったスカートガードの部位に接する異常検出位置との間を移動可能な検出体と、検出体を作動押圧力より小さな力でスカートガードに押し付ける第1付勢部材と、スカートガードの表面から離間した第2定常位置と、スカートガードの表面との間を移動可能に設けられる作動体と、作動体が作動押圧力以上の力でスカートガードの表面を押しつけることが可能な付勢力で、作動体を第2定常位置からスカートガードの表面に向かう方向に付勢する第2付勢部材と、検出体と作動体とを連結し、検出体が、第1定常位置にある場合に第2付勢部材の付勢力に抗して作動体を上記第2定常位置に保持するための保持位置と、検出体が異常検出位置に移動されたときに、作動体の保持を解除するための解除位置とを移動可能に構成されたリンク装置とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る乗客コンベアによれば、踏段とスカートガードとの間の隙間が異常隙間以上に広がって、検出体が、異常検出位置に移動されるのに連動して、第2付勢部材の付勢力に抗して作動体をスカートガードから離間させて保持するための保持位置をとっていたリンク装置が、作動体の保持を解除する解除位置に移動される。
これにより、作動体が、作動押圧力以上の力でスカートガードの表面を押圧した状態で踏段とともに移動される。このため、スカートガードの変形位置が、スカートガード安全スイッチからずれた箇所にあって、仮に、作動体が、スカートガードの表面を押し付けた直後にはスカートガード安全スイッチが動作しない場合でも、作動体が、スカートガード安全スイッチに対応する位置を通過する際に、スカートガード安全スイッチを確実に動作させることができる。即ち、スカートガードの変形位置に関わらず、踏段とスカートガードとの間の隙間が異常な隙間に広がったことを確実に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の一実施の形態に係るエスカレータの模式図である。
【図2】この発明の一実施の形態に係るエスカレータにおいて、検出装置本体が取り付けられて往路側経路を走行している踏段の上面図である。
【図3】図2のIII−III矢視断面図である。
【図4】図3のIV−IV矢視断面図である。
【図5】この発明の一実施の形態に係るエスカレータの動作を説明する断面図であり、踏段が、復帰部材の設置箇所を通過しているときの様子を示している。
【図6】この発明の一実施の形態に係るエスカレータの動作を説明する断面図であり、踏段が、帰路側経路を通過しているときの様子を示している。
【図7】この発明の一実施の形態に係るエスカレータの動作を説明する断面図であり、検出装置本体の取り付けられた踏段が、変形したスカートガードに対応する位置を通過しているときの様子を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
図1はこの発明の一実施の形態に係るエスカレータの模式図、図2はこの発明の一実施の形態に係るエスカレータにおいて、検出装置本体が取り付けられて往路側経路を走行している踏段の上面図、図3は図2のIII−III矢視断面図、図4は図3のIV−IV矢視断面図、図5はこの発明の一実施の形態に係るエスカレータの動作を説明する断面図であり、踏段が、復帰部材の設置箇所を通過しているときの様子を示している。図6はこの発明の一実施の形態に係るエスカレータの動作を説明する断面図であり、踏段が、帰路側経路を通過しているときの様子を示している。図7はこの発明の一実施の形態に係るエスカレータの動作を説明する断面図であり、検出装置本体の取り付けられた踏段が、変形したスカートガードに対応する位置を通過しているときの様子を示している。
なお、説明の便宜上、図4〜図7では、検出装置本体に対応する踏み板の配置位置を一点鎖線にて示している。
【0011】
図1において、乗客コンベアとしてのエスカレータ1は、建物の上階側に設けられる乗り口2aと下階側に設けられる降り口2bとの間に架設されたトラス3と、トラス3の上階側に設置された上部機械室4Aと、トラス3の下階側に設けられた下部機械室4Bと、上部機械室4Aに配設された電動機5と、上部機械室4Aに配設された駆動スプロケット6と、電動機5と駆動スプロケット6との間を連結し、電動機5の駆動に連動させて駆動スプロケット6を回転させる駆動鎖7とを備えている。
【0012】
また、エスカレータ1は、駆動スプロケット6に同軸に連結され、駆動スプロケット6の回転に連動して回転する上部スプロケット8Aと、下部機械室4Bに配設された下部スプロケット8Bと、上部スプロケット8A及び下部スプロケット8Bに無端状に巻き掛けられ、上部スプロケット8Aの回転により循環走行する踏段鎖10と、踏段鎖10に無端状に連結された複数の踏段11と、乗客を搬送する経路を走行する踏段11の幅方向の端部との間に許容範囲内の隙間を保って配置されるスカートガード16をそれぞれ有し、踏段11の幅方向の両側に立設された一対の欄干15とを備えている。
【0013】
また、エスカレータ1は、スカートガード16の裏面側に設けられ、設置箇所に対応するスカートガード16の部位が、その表面側から所定の作動押圧力以上の力で押圧されたときに動作するスカートガード安全スイッチ18と、踏段11の少なくとも一つに設けられて、踏段11とスカートガード16との間が所定の異常隙間以上になったことを検出してスカートガード安全スイッチ18を動作させる検出装置本体21を有するスカートガード異常検出装置20と、上部機械室4Aに配設され、電動機5の駆動に連動する踏段11の走行など、エスカレータ1の機器の動作全般を制御するエスカレータ制御盤13とを備えている。
なお、スカートガード安全スイッチ18は、スカートガード16の延設方向に互いに間隔をあけて、複数設けられている。
【0014】
踏段11は、図2にも示されるように、所定の幅及び所定の奥行きを有する矩形平板状をなし、乗客を乗せる踏み板12を有している。
一方のスカートガード異常検出装置20の検出装置本体21が、踏み板12の幅方向の一側に設けられ、他方のスカートガード異常検出装置20の検出装置本体21が、踏み板12の幅方向の他側に設けられている。なお、踏段11の幅方向及び奥行き方向は、踏み板12の幅方向及び奥行き方向に一致する方向とする。
【0015】
踏段11の循環経路は、乗り口2aから降り口2bに乗客を運ぶ経路を含む往路側経路と、往路側経路に連続し、往路側経路の下方に位置する帰路側経路とから構成されている。
また、スカートガード16の下端は、検出装置本体21が設けられた踏段11が、帰路側経路を走行するときの検出装置本体21の位置より上方に位置している。また、スカートガード16は、図2に示されるように、往路側経路を走行する踏段のうち乗客を運ぶための経路を走行する踏段11の幅方向の端部との間に隙間をあけて少なくとも設けられる。スカートガード16が正常な状態にあるときには、往路側経路を走行する踏段11とスカートガード16との隙間は、許容範囲内の隙間に保たれるようになっている。
【0016】
次いで、スカートガード異常検出装置20の詳細について説明する。
図1〜図4において、スカートガード異常検出装置20は、検出装置本体21と、復帰部材85とを備えている。
【0017】
図3及び図4において、検出装置本体21は、検出手段30と、作動手段45と、検出手段30と作動手段45とを連結するリンク装置60とを備えている。
【0018】
検出手段30は、踏み板12に取り付けられる第1取付面33を有する第1支持体31と、第1支持体31に所定方向に移動可能に支持される検出体35と、検出体35を押圧付勢する第1付勢部材としての第1コイルばね44とを備えている。
【0019】
第1支持体31は、図4に示されるように、一面に開口し、軸挿通穴32aが形成された底部を有する筒状の本体部32、及び本体部32の長手方向に沿って設けられるガイド部材34とを備えている。
【0020】
本体部32の長手方向に直交する断面の外形は矩形形状であり、その一辺により表される一面が第1取付面33を構成する。
ガイド部材34は、断面L字状に作製され、第1取付面33に直交する本体部32の一対の側面のうちの一方の側面に取り付けられている。ガイド部材34は、本体部32の一方の側面との間に、本体部32の長手方向に延在する凹部を形成するように、一端を側面に沿って取り付けられている。
【0021】
検出体35は、軸棒36と、軸棒36の一端に設けられる第1キャスタ37と、軸棒36の長手方向の中間部から軸棒36の外周部の外側に延出される第1フランジ38と、軸棒36の他端に取り付けられるリンク作動部材40とを備えている。
【0022】
第1フランジ38の外形は、本体部32の内形に対応する矩形形状である。
リンク作動部材40は、図4に示されるように、高さ方向に直交する断面が、L字の角部を所定の角度で傾斜させた形状の板状部材により構成され、傾斜片41、及び傾斜片41の一端及び他端から傾斜片41に対して所定の角度をもって延出される連結片42及びガイド片43を有する。
【0023】
また、検出体35の軸棒36が、本体部32の軸挿通穴32aに他端側から挿入されている。このとき、第1フランジ38が、本体部32内の中間部に位置し、軸棒36の一端は、本体部32の開口から延出され、第1キャスタ37は本体部32の外側に位置している。
また、軸棒36の他端には、連結片42が固定される。
このとき、ガイド片43を臨む側の連結片42の面に、軸棒36の他端が固定され、また、ガイド片43の先端側が、ガイド部材34と本体部32とで形成される凹部に嵌められている。
【0024】
以上のように本体部32に支持される検出体35は、軸棒36の長手方向、言い換えれば本体部32の長手方向に移動可能となっている。
【0025】
また、第1コイルばね44が、図4に示されるように、軸挿通穴32aが形成された本体部32の底部と第1フランジ38との間に縮設されている。
これにより、検出体35は、本体部32の一端から押し出される方向に付勢される。
また、本体部32の内壁面の開口側には、第1フランジ38が当該開口に所定の距離まで移動されたときに第1フランジ38に当接されて検出体35の移動を規制するストッパ39が設けられている。
【0026】
作動手段45は、踏み板12に取り付けられる第2取付面47を有する第2支持体46と、所定方向に移動可能に第2支持体46に支持される作動体48と、図4に示されるように、作動体48を押圧付勢する第2付勢部材としての第2コイルばね55とを備えている。
【0027】
第2支持体46は、一面に開口する有底の筒状体により構成されている。第2支持体46の長手方向に直交する断面の外形形状は、矩形形状であり、長手方向に平行な外壁面のうちの一面が第2取付面47を構成する。第2取付面47に直交する一対の側壁のうちの一方には、図4に示されるように、長手方向の一端近傍から他端に向かって所定の部位に至るまで、第2支持体46の内外を貫通する切り欠き46aが形成されている。
【0028】
作動体48は、軸棒49と、軸棒49の一端に設けられる第2キャスタ50と、軸棒49の長手方向の他端に取り付けられて軸棒49の外周部から外側に延出される第2フランジ51とを備えている。
【0029】
第2フランジ51は、第2支持体46の内形形状におおよそ対応する矩形形状を有し、所定の厚みのフランジ本体52と、フランジ本体52の一辺の所定範囲から、フランジ本体52の外側に延出される第1係合部53とを備えている。
【0030】
第1係合部53の厚みは、フランジ本体52からの延出端側に向かって所定のところで、ステップ状に広がっている。このとき、第1係合部53の厚み方向の一面は、当接平面53aとして構成されており、フランジ本体52の一面と面一である。また、第1係合部53の厚み方向の他側に位置する面が、ステップ状に壁面形状を変化した後、フランジ本体52からの延出端に向かって漸次当接平面53aとの距離を狭めるように変化する湾曲面により構成されている。
【0031】
軸棒49の長手方向を第2支持体46の長手方向に一致させ、かつ、切り欠き46aから第1係合部53が第2支持体46の外側に突出するように、フランジ本体52を第2支持体46に嵌め合わせることで、作動体48が、第2支持体46の長手方向に移動可能に第2支持体46に支持されている。第1係合部53の厚みがステップ状に変化する部位の基端部が、切り欠き46aが形成された第2支持体46の側壁の外側の直近に配置される。
【0032】
リンク装置60は、リンク機構61と、ローラ付勢ばね67と、リンク復帰ばね77と、第1リンク回動軸81と、第2リンク回動軸82とを備えている。
リンク機構61は、第1リンク体62、第2リンク体70、及び第3リンク体71を有している。
【0033】
第1リンク体62は、図4に示されるように、アーム部材63、及びローラ66を有している。
アーム部材63は、互いの間に所定の角度をもって端部を結合される第1アーム部64及び第2アーム部65からなるへの字状に作製される。第1アーム部64及び第2アーム部65の結合部には、貫通穴63aが形成されている。
ローラ66は、第1アーム部64の長手方向に直交する軸まわりに回転自在に第1アーム部64の先端に連結されている。
【0034】
第2リンク体70は、長尺の棒状体に作成される。
第2リンク体70の一端と第2アーム部65の先端とは、ローラ66の軸と平行な回動軸まわりに互いに回動自在に連結される。なお、詳細には説明しないが、当該回動軸には、ローラ66とアーム部材63が外れないように、外れ止めが取り付けられる。
【0035】
また、第3リンク体71は、一端を第2リンク体70の他端に連結される棒状のリンク本体72と、リンク本体72の他端からリンク本体72の長手方向に垂直に延出される第2係合部73とを備えている。
第2係合部73は、断面半円状をなし、円弧側がリンク本体72とは逆側に配置され、弦の半分が第3リンク本体72からリンク本体72の長手方向に垂直に突出されている。
図4に示されるように、リンク本体72の長手方向に垂直に突出される第2係合部73の平面を、第2当接平面73aとする。
また、リンク本体72の長手方向の中間部には、貫通穴72aが形成されている。
なお、貫通穴72aの穴方向は、第2当接平面73aに平行とされている。
【0036】
そして、リンク本体72の一端と第2リンク体70の他端とが、ローラ66の軸と平行な回動軸まわりに互いに回動自在に連結されている。なお、第2リンク体70と第3リンク体71が回動軸から外れないように、当該回動軸には外れ止めが取り付けられる。
【0037】
ローラ付勢ばね67とリンク復帰ばね77には、それぞれコイルばねが用いられる。
【0038】
また、復帰部材85は、厚み方向に直交する断面が、底辺、底辺の一端から底辺に鋭角に延在する乗りあげ辺、乗りあげ辺の他端から底辺と平行に延在される上辺、上辺から漸次底辺との間の間隔を狭めるように傾斜される乗り下げ辺、及び乗り下げ辺の端部と底辺とを直角に結ぶ側辺とを有する5角形となる板部材により作製されている。
【0039】
次いで、スカートガード異常検出装置20の設置構造について説明する。
上述したように、一方のスカートガード異常検出装置20の検出装置本体21は、踏段11の幅方向の一側に、他方のスカートガード異常検出装置20の検出装置本体21は、踏段11の幅方向の一側に取り付けられる。
また一方のスカートガード異常検出装置20の復帰部材85は、一方の欄干15側に、他方のスカートガード異常検出装置20の復帰部材85、他方の欄干15側に取り付けられる。
【0040】
以下では、一方のスカートガード異常検出装置20の設置構造について説明するが、他方のスカートガード異常検出装置20の設置構造も同様である。
まず、検出装置本体21の踏み板12への取り付け構造について説明する。
【0041】
まず、検出手段30の取付構造について説明する。
第1支持体31は、その一端側の開口を、踏段11の幅方向の一端に向けて、踏み板12の裏面に第1取付面33を取り付けられている。
このとき、第1支持体31は、ガイド部材34が取り付けられた一方の側面を、踏段11の奥行き方向の一端側に向けて配置される。
【0042】
また、リンク作動部材40は、高さ方向が、踏み板12の裏面に直交するように配置される。このとき、本体部32の側面とガイド部材34とで形成される凹部に嵌められたガイド片43が、第1支持体31の一方の側面に沿って延在し、連結片42が、本体部32の底部外壁と相対するように配置される。
【0043】
作動手段45は、踏段11の奥行き方向に関して、検出手段30より他端側に配置されるように踏み板12の裏面に取り付けられている。
【0044】
第2支持体46は、その一端側の開口を、踏段11の幅方向の一端側に向けて、踏み板12の裏面に第2取付面47を取り付けられている。
このとき、第2支持体46は、作動体48の第1係合部53が挿通される切り欠きを、第1支持体31とは逆側に向けて配置されている。
また、作動体48は、第2コイルばね55の付勢力により踏段11の一端からの突出量を増やす方向に付勢される。後述するように、作動体48は、リンク装置60が保持位置にあるときには、第2コイルばね55の付勢力に抗してスカートガード16から離間した第2定常位置に保持される。
【0045】
次いで、リンク装置60の取り付け構造について説明する。
第1リンク回動軸81、及び第2リンク回動軸82は、踏み板12の裏面に固定されて、踏み板の裏面に垂直に延出されている。
【0046】
このとき、第1リンク回動軸81は、その軸心が、踏み板12の奥行き方向に関し、リンク作動部材40の傾斜片41より一端側、かつ、踏み板12の幅方向に関し、連結片42より若干他端側に位置する踏み板12の部位を通過するように設けられている。
また、第2リンク回動軸82は、その軸心が、踏み板12の奥行き方向に関し、切り欠き46aが形成された第2支持体46の側壁より若干他端側、かつ、踏み板12の幅方向に関して、第2支持体46の底部より若干他端側に位置する踏み板12の部位を通過するように設けられている。
【0047】
そして、リンク機構61は、第1リンク体62の貫通穴63aに第1リンク回動軸81を遊嵌状態に挿通させるとともに、第3リンク体71の貫通穴72aに第2リンク回動軸82を遊嵌状態に挿通させて配置される。
さらに、第1リンク回動軸81及び第2リンク回動軸82の先端に、径方向の外方に延出される抜け防止部材が取り付けられており、第1リンク体62及び第2リンク体70が、第1リンク回動軸81及び第2リンク回動軸82から外れることが防止されている。
【0048】
そして、ローラ66は、図4中、第1リンク体62を時計まわりに回動させることで、傾斜片41に押し当てられる位置にくるようになっている。
【0049】
また、ローラ付勢ばね67が、ローラ66を連結片42側に、傾斜片41に沿って引っ張る方向に付勢力が働くように、ローラ66と、踏み板12の裏面に突設されたばね支持部材68との間に設けられている。
【0050】
また、第2リンク体70は、長手方向を踏段11の奥行き方向に一致させて延在している。第2リンク体70の他端は、踏段11の奥行き方向に関し、切り欠き46aが形成された第2支持体46の側壁に対応する位置におおよそ配置される。
【0051】
また、第3リンク体71の中間部より他端側は、切り欠き46aが形成された本体部32の側壁に沿って、おおよそ延在している。
リンク復帰ばね77が、第3リンク体71の他端側を側壁に向かって押圧する付勢力を発揮するように、第3リンク体71の他端側と、踏み板12の裏面に突設されたばね支持部材78との間に縮設されている。
【0052】
また、作動体48と第3リンク体71とは、作動体48を第2支持体46内に所定量押し込み、第3リンク体71の他端側が第2支持体46に向かうように第2リンク回動軸82の軸まわりに第3リンク体71を回動させることで、第1係合部53と第2係合部73を互いの当接平面53a,73aを当接させて係合させることが可能になっている。
【0053】
また、リンク復帰ばね77の付勢力により、第1係合部53と第2係合部73とが係合される。なお、リンク復帰ばね77の付勢力は小さいものである。
【0054】
また、リンク復帰ばね77の付勢力に抗して、第2リンク回動軸82の軸まわりに第3リンク体71を回動させた場合、第1係合部53と第2係合部73との係合が解除され、
作動体48は、第2コイルばね55の付勢力により、大きな力で切り欠き46aの壁面に当接するまで移動し、第2支持体46からの第2キャスタ50の先端までの距離が増大される。
【0055】
次いで、復帰部材85の設置について説明する。
復帰部材85は、図1に示されるように、乗り口2a側に位置するスカートガード16の端部に対応させて設置されている。
【0056】
このとき、復帰部材85は、図5に示されるように、配設箇所を通過する踏段11の移動方向に底辺及び上辺の長さ方向を一致させ、底辺を踏段11の端部と逆側に向けて配置されている。上辺が、踏み板12の厚み方向から見て、踏み板12の幅方向の端部より若干内側に入るように配置させている。
また、上辺から延在された乗り下げ辺の端部が、乗り口2a側のスカートガード16の端部の表面に連結されている。
【0057】
踏段11が復帰部材85を通過する直前では、以下に説明するように、第1突出位置にある検出体35の第1キャスタ37及び第2突出位置にある作動体48の第2キャスタ50の前方に、乗りあげ辺が位置するように、復帰部材85が設けられている。
第1突出位置は、検出体35の第1フランジ38がストッパ39に当接した位置であり、第2突出位置は、フランジ本体52が、第2コイルばね55の付勢方向の前方に位置する切り欠き46aの壁面に当接した位置である。
【0058】
次いで、エスカレータ1の動作について説明する。
ここでは、一方のスカートガード異常検出装置20が動作する場合について説明するが、他方のスカートガード異常検出装置20が動作する場合についても同様に説明される。
【0059】
初期状態としては、検出装置本体21が取り付けられた踏段11が、乗客を運ぶための経路を走行しており、スカートガード16に異常はないものとする。
【0060】
図2に示されるように、第1コイルばね44に付勢された検出体35は、第1キャスタ37がスカートガード16に押し当てられる第1定常位置に配置される。このとき、第1コイルばね44の付勢力は、スカートガード安全スイッチ18を動作させるのに必要な作動押圧力より小さくなるように設定されており、スカートガード安全スイッチ18が動作することはない。
【0061】
第1定常位置に検出体35がある場合、ローラ付勢ばね67の付勢力は、傾斜片41にローラ66を押し当てるように、第1リンク回動軸81の軸まわりに第1リンク体62を回動させる方向に働いている。このとき、ローラ66は、ガイド片43側に位置する傾斜片41の部位に当接される。また、ローラ66の回動軸の軸方向から見て、ローラ66が当接される傾斜片41の部位から連結片42に至る部位と、第1アーム部64とのなす角度は、鋭角となっている。さらに、第2アーム部65の長手方向は、おおよそ踏段11の幅方向に一致されており、第2アーム部65は、踏段11の他端側に向かって基端から延在されている。
【0062】
また、初期状態では、作動体48は、第2コイルばね55の付勢力に抗して第2支持体46の底部に向けて押し込まれ、第2キャスタ50がスカートガード16から離れた第2定常位置に配置される。
【0063】
また、リンク復帰ばね77に、他端側を付勢される第3リンク体71は、長手方向をおおよそ第2コイルばね55の付勢方向に一致させた状態で、第1係合部53に第2係合部73を係合させて配置される。
このとき、第1係合部53と第2係合部73の互いの当接平面53a,73aが第2コイルばね55の付勢方向に対面するように当接し、第2コイルばね55の付勢力による作動体48の移動が規制されて、作動体48が、第2定常位置に保持される。
このように、作動体48の移動を規制するリンク装置60の位置を保持位置とする。
【0064】
次いで、踏段11がスカートガード16と相対する位置から外れた場合について説明する。
検出装置本体21が取り付けられた踏段11が、降り口2b側まで走行した後、検出装置本体21とスカートガード16との相対関係を解消する経路を走行する間、図6に示されるように、検出体35は、ストッパ39に移動を規制されるまで移動し、第1定常位置から、第1コイルばね44の付勢方向に所定量移動されて、踏段11の幅方向の一端からの突出量が所定量が大きくなる第1突出位置に配置される。
【0065】
第1突出位置にあるときには、踏段11の一端からの第1キャスタ37の突出端までの長さは、踏段11の端部とスカートガード16の間の隙間が異常であるとの判断基準となる異常隙間より大きく設定されている。即ち、少なくとも、検出体35は、踏段11との間の隙間が異常隙間に広まったときのスカートガード16の部位に接する異常検出位置と、第1定常位置との間を含む範囲を移動可能になっている。
【0066】
検出体35が、第1定常位置から第1突出位置に移動するのに連動して、傾斜片41も、踏段11の幅方向の一端側にずれるので、傾斜片41に押し付けられていたローラ66が踏段11の奥行き方向の他側、言い換えれば、作動体48側に近づくようにずれ、第1リンク体62が、図6中、第1リンク回動軸81を回動軸として、時計まわりに回動する。
【0067】
これに連動して、第2リンク体70が、踏段11の奥行き方向の一端側に移動されるので、第3リンク体71が、図6中、第2リンク回動軸82を回動軸として、時計まわりに回動する。これにより、リンク装置60は、第1係合部53と第2係合部73の係合が解除されて、作動体48の移動規制を解除する解除位置をとり、作動体48が、切り欠き46aの壁面に当接されて移動を規制されるまで移動する。
【0068】
このとき、作動体48は、第2定常位置から、第2コイルばね55の付勢方向に所定量移動されて、踏段11の幅方向の一端から十分に突出された第2突出位置に配置される。
第2突出位置に配置されたときの作動体48の踏段11の一端からの突出量は、スカートガード16に撓むなどの異常変形が発生したときに想定される踏段11の端部とスカートガード16との間の最大の隙間よりも大きくなるように設定される。
【0069】
検出装置本体21が取り付けられた踏段11が、帰路側経路を含む経路を走行してスカートガード16と踏段11の端部とが相対される位置に移動する際、第1キャスタ37がまず、スカートガード16の端部に連結される復帰部材85の乗りあげ辺を転動して上った後、上辺を転動してさらに、乗り下げ辺を転動して、スカートガード16の表面に到達する。
【0070】
これにより、検出体35は、第1突出位置から、第1キャスタ37をスカートガード16の表面に当接させた第1定常位置に復帰する。
また、検出体35が、図5に示されるように、復帰部材85の上辺に乗りあげられると、第2リンク体70が踏段11の奥行き方向の他側に向かって移動され、第3リンク体71の他端側が、リンク復帰ばね77の付勢力により、第2支持体46の側壁に向かって移動される。この状態で、第2キャスタ50が、復帰部材85に乗り上げられるように、復帰部材85の一方の傾斜面を転動する。これにより、作動体48が、第2突出位置から第2定常位置に向かって押し込まれる。
【0071】
このとき、第1係合部53が、スカートガード16側から第2係合部73に当接される。このときに第2係合部73と当接される第1係合部53の壁面は、スカートガード16側に向かって第2支持体46の側面付近からの突出量が漸次増大する湾曲面により構成されており、第1係合部53と相対する第2係合部73の壁面は、円弧面により構成されている。このため、第1係合部53の移動力は、第3リンク体71の他端側をリンク復帰ばね77の付勢力に抗して押しやる方向にも作用し、第1係合部53は、第2係合部73に規制されることなく、第2係合部73を通過する。
【0072】
第1係合部53が第2係合部73を通過すると、復帰ばね77に付勢されて回動した第3リンク体71は、当接平面73aを第1係合部53の当接平面53aに相対させる位置に配置される。
キャスタ50が、乗り下げ辺を転動して、スカートガード16の表面まで到達すると、作動体48は、第2定常位置に移動され、第3リンク体71に移動を規制される。即ち、リンク装置60が、保持位置に復帰する。
【0073】
以上をまとめると、踏段11が正常なスカートガード16との間に隙間をあけて乗客を運ぶための経路を走行する場合、検出体35は、第1コイルばね44により付勢されてスカートガード16に押し付けられ、第1定常位置に配置される。このとき、第1コイルばね44の付勢力が作動押圧力より小さいので、スカートガード安全スイッチ18が動作することはない。
【0074】
また、作動体48は、スカートガード16から離間した第2定常位置に配置されて、検出体35が第1定常位置あるときに保持位置をとるリンク装置60によって、第2コイルばね55の付勢する方向に移動することを規制される。
【0075】
また、踏段11が、降り口2bを通過して、スカートガード16と相対する位置から外れる経路を走行すると、検出体35が第1突出位置に、作動体48が第2突出位置に移動される。しかし、乗り口2aに向かった踏段11が、再度スカートガード16と相対する位置に走行される前に、スカートガード16の端部に設けられた復帰部材85が、検出体35及び作動体48を押し込んで、検出体35を第1定常位置に、作動体48を第2定常位置に戻す。
以上のように、スカートガード16に異常変形がない場合には、踏段11は、循環走行を続ける。
【0076】
次いで、図7に示されるように、スカートガード16の一部が、何らかの原因で異常変形して踏段11との間の隙間が許容隙間より開いた箇所を、検出装置本体21が通過する場合について説明する。
踏段11との隙間が広がったスカートガード16の表面を通過する場合、検出体35は、第1コイルばね44の付勢力により、踏段11の端部からの突出量を増大させるように移動される。
これにより、第1リンク体62が、図7中、時計まわりに回動して、第2リンク体70が踏段11の奥行き方向一側にずれ、第3リンク体71が復帰ばね85の付勢力に抗して時計まわりに回動する。これにより、リンク機構61は、第2係合部73を第1係合部53に係合させて作動体48の移動を規制していた保持位置から、第2係合部73の第1係合部53への係合を解除させることで、作動体48の移動規制を解除する解除位置に移動される。
【0077】
そして、第2コイルばね55の大きな付勢力で付勢される作動体48が、スカートガード16に向かって移動して、スカートガード16を押し込む。
第2コイルばね55の付勢力は、スカートガード安全スイッチ18を作動させるのに必要なスカートガード16の作動押圧力以上の力である。このため、第2キャスタ50は、踏段11の移動に連動して、スカートガード16の表面を転動しながら移動するので、必ずスカートガード安全スイッチ18の設置箇所に対応するスカートガード16の表面を通過する。
【0078】
即ち、スカートガード16の異常の発生箇所が、スカートガード安全スイッチ18からずれていても、確実に作動体48が、スカートガード安全スイッチ18を動作させる。
なお、スカートガード安全スイッチ18が動作すると、電動機5の駆動源が切れて、踏段11の走行が停止されるように構成されている。また、エスカレータ制御盤13は、図示しない管理室等に、スカートガード安全スイッチ18が動作したことを報知するように構成されている。
【0079】
この発明のエスカレータ1は、踏段11との間の隙間が許容範囲内の隙間に保たれたスカートガード16に接する第1定常位置と、踏段との間の隙間が異常隙間に広まったスカートガード16の部位に接する異常検出位置との間を移動可能な検出体35と、検出体44をスカートガード16に向けてスカートガード安全スイッチ18を作動させるのに必要な作動押圧力より小さな力で押圧する第1コイルばね44と、スカートガード16の表面から離間した第2定常位置と、スカートガード16の表面との間を移動可能に設けられる作動体48とを備えている。
【0080】
また、エスカレータ1は、作動体48がスカートガード安全スイッチ18を作動させるのに必要な作動押圧力以上の力でスカートガード16の表面を押しつけることが可能な付勢力で、作動体48を第2定常位置からスカートガード16の表面に向かう方向に付勢する第2コイルばね55と、検出体35と作動体48とを連結し、検出体35が、第1定常位置にある場合に第2コイルばね55の付勢力に抗して作動体48をスカートガード16から離間させて保持するための保持位置と、検出体35が異常検出位置に移動されたときに、作動体48の保持力を解除するための解除位置とを移動可能に構成されたリンク装置60とを備えている。
【0081】
以上のような構成を有するエスカレータ1では、踏段11とスカートガード16との間の隙間が異常隙間に広がって、検出体35が、異常検出位置に移動されるのに連動して、第2コイルばね55の付勢力に抗して作動体48をスカートガード16から離間させて保持するための保持位置をとっていたリンク装置60が、作動体48の保持を解除する解除位置に移動される。
【0082】
これにより、作動体48が、作動押圧力以上の力でスカートガード16の表面を押圧した状態で踏段11とともに移動される。このため、スカートガード16の異常変形個所が、スカートガード安全スイッチ18からずれており、仮に、作動体48が、スカートガード16の表面を押し付けた直後に、スカートガード安全スイッチ18を動作させることができなかったとしても、作動体48が、スカートガード安全スイッチ18に対応する位置を通過する際に、スカートガード安全スイッチ18を確実に動作させることができる。
即ち、スカートガード16の変形位置に関わらず、踏段11とスカートガード16との間の隙間が異常な隙間に広がったことを確実に検出できる。
【0083】
また、この実施の形態に係るエスカレータは、検出装置本体21が設けられた踏段11が、帰路側経路を経由して、スカートガード16と相対する位置に移動される際に、検出体35及び作動体48を押し込んで、検出体35を第1定常位置に戻すとともに、作動体48を第2定常位置に戻す壁面形状を有する復帰部材85を備えている。
復帰部材85を備えることで、スカートガード16を、少なくとも乗客を運ぶ経路に位置する踏段11の経路に対応させて配置させれば、帰路側経路を含むその他の経路を走行する踏段11の両側にスカートガード16を配設する必要がなくなる。
【0084】
なお、この実施の形態では、乗り口2aは、上階側に設けられ、降り口2bが下階側に設けられるものとして説明したが、乗り口2aが上階側に設けられ、降り口2bが下階側に設けられるものでもよい。
【0085】
また、スカートガード16の下端は、帰路側経路を走行する踏段11の高さ位置より上方に位置するものとして説明したが、スカートガード16は、踏段11が帰路側経路を走行する際に相対するように設けてもよい。この場合、復帰部材85必要なくなる。
【0086】
また、第1及び第2付勢部材は、第1及び第2コイルばね44,55であるものとして説明したが、第1付勢部材及び第2付勢部材は、コイルばね44,55によらず、板ばね等、他の付勢部材により構成されているものでもよい。
【0087】
また、乗客コンベアは、エスカレータ1であるものとして説明したが、乗客コンベアが動く歩道ってあっても本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0088】
1 エスカレータ(乗客コンベア)、2a 乗り口、2b 降り口、11 踏段、16 スカートガード、18 スカートガード安全スイッチ、20 スカートガード異常検出装置、21 検出装置本体、35 検出体、44 第1コイルばね(第1付勢部材)、48 作動体、55 第2コイルばね(第2付勢部材)、60 リンク装置、85 復帰部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り口から降り口に乗客を運ぶための経路を含む往路側経路と、上記往路側経路に連続し、上記往路側経路の下方に位置する帰路側経路とを循環走行する複数の踏段と、
少なくとも上記乗客を運ぶ経路を走行する上記踏段の幅方向の両側に、上記踏段との間に許容範囲内の隙間を保って設けられるスカートガードと、
上記スカートガードの表面が、所定の作動押圧力以上の力で押圧されたときに動作するスカートガード安全スイッチと、
上記踏段の少なくとも一つに設けられて、上記乗客を運ぶための経路を走行する上記踏段と上記スカートガードとの間が所定の異常隙間より広くなったことを検出して上記スカートガード安全スイッチを動作させる検出装置本体を有するスカートガード異常検出装置と
を備え、
上記検出装置本体は、
上記踏段との間の隙間が上記許容範囲内の隙間に保たれた上記スカートガードに接する第1定常位置と、上記踏段との間の隙間が上記異常隙間に広まったときの上記スカートガードの部位に接する異常検出位置との間を含む範囲を移動可能な検出体と、
上記検出体を上記作動押圧力より小さな力で上記スカートガードに押し付ける第1付勢部材と、
上記スカートガードの表面から離間した第2定常位置と、上記スカートガードの表面との間を移動可能に設けられる作動体と、
上記作動体が上記作動押圧力以上の力で上記スカートガードの表面を押しつけることが可能な付勢力で、上記作動体を上記第2定常位置から上記スカートガードの表面に向かう方向に付勢する第2付勢部材と、
上記検出体と上記作動体とを連結し、上記検出体が、上記第1定常位置にある場合に上記第2付勢部材の付勢力に抗して上記作動体を上記第2定常位置に保持するための保持位置と、上記検出体が上記異常検出位置に移動されたときに、上記作動体の保持を解除するための解除位置とを移動可能に構成されたリンク装置と
を備えている乗客コンベア。
【請求項2】
上記スカートガードの下端は、上記検出装置本体が設けられた上記踏段が、上記帰路側経路を走行するときの上記検出装置本体の位置より上方に位置し、
上記検出装置本体と上記スカートガードとの相対関係が解消される経路を上記踏段が走行する間、上記検出体は上記第1付勢部材の付勢方向に上記第1定常位置から所定量移動するとともに、上記作動体が上記第2付勢部材の付勢方向に上記第2定常位置から所定量移動され、
上記スカートガード異常検出装置は、
上記乗り口側に位置する上記スカートガードの端部に対応する位置に固定され、上記検出装置本体が設けられた上記踏段が、上記帰路側経路を経由して上記スカートガードと相対する位置に移動される際に、上記検出体及び上記作動体を押し込んで、上記検出体を上記第1定常位置に戻すとともに、上記作動体を上記第2定常位置に戻す壁面形状を有する復帰部材を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の乗客コンベア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−107734(P2013−107734A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253746(P2011−253746)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】