説明

乳幼児おもちゃ

【課題】比較的長期間に亘って子供の興味を惹くことのできる乳幼児おもちゃを提供する。
【解決手段】乳幼児おもちゃ11は、複数の球状部材12と、複数の棒状部材13と、ジョイント部材14とを備え、各構成部品には、凸部15aと凸部15aを受け入れる凹部15bとによって球状部材12と棒状部材13、球状部材12とジョイント部材14、棒状部材13と棒状部材13、または棒状部材13とジョイント部材14とを着脱自在に連結する連結部15が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、がらがらおもちゃ等の乳幼児用のおもちゃであって、特に、複数の部品を組み合わせて形状を変更可能な乳幼児おもちゃに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7を参照して、従来のがらがらおもちゃ101は、例えば、内部に発音体102aを有する発音部102と、発音部102の下部に連結する把手103とを備えたものが一般的である。上記構成のがらがらおもちゃ101は、把手103を持って揺することによって発音体102aが発音部102の内壁面と接触して音を発するので、乳幼児は音に興味を持って遊ぶことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
乳幼児は、同じおもちゃで長く遊ぶことによりそのおもちゃに愛着を感じるようになる。したがって、乳幼児のお気に入りのおもちゃをいつも傍に置いておき、いつでも遊べるようにしておくことが望ましい。
【0004】
しかし、上記構成のがらがらおもちゃ101に代表される乳幼児おもちゃは、ある特定の月齢の子供を対象としたものが多い。したがって、各おもちゃが対象とする比較的短い期間を経過すると、子供はそのおもちゃにあまり興味を示さなくなり使用されなくなるのが一般的である。これでは、乳幼児がそのおもちゃに愛着を感じるようになるとは考えにくい。
【0005】
そこで、この発明の目的は、比較的長期間に亘って子供の興味を惹くことのできる乳幼児おもちゃを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る乳幼児おもちゃは、複数の球状部材と、複数の棒状部材とを備える。そして、複数の棒状部材の長手方向の端面および球状部材の表面には、凸部と凸部を受け入れる凹部とによって球状部材と棒状部材、または棒状部材と棒状部材とを着脱自在に連結する連結部が設けられている。
【0007】
一実施形態として、乳幼児おもちゃは、棒状部材の長手方向両端部それぞれに球状部材を連結し、組立時の短手方向の断面積が両端部から中央部に向かって徐々に小さくなる略鼓形状となる。そして、棒状部材は組立時に把手として機能する。
【0008】
他の実施形態として、乳幼児おもちゃは、表面の1箇所に連結部を有し、組立時に頭、左右の手、および左右の足を構成する5つの球状部材と、長手方向両端部に連結部を有し、長手方向一方側端部で左右の手および左右の足を構成する球状部材それぞれと連結して組立時に左右の腕および左右の脚を構成する4つの棒状部材と、頭を構成する球状部材と、左右の腕および左右の脚を構成する棒状部材の長手方向他方側端部それぞれと連結する連結部を有し、組立時に胴を構成するジョイント部材とを備える動物おもちゃである。
【0009】
さらに他の実施形態として、乳幼児おもちゃは、棒状部材、および/または球状部材の内部に振動によって音を発する発音体を有するがらがらおもちゃである。
【0010】
上記構成とすることにより、棒状部材と球状部材、棒状部材とジョイント部材、または棒状部材と棒状部材とをそれぞれ着脱させて形状および用途を変更可能な乳幼児おもちゃを得ることができる。
【0011】
その結果、例えば、がらがらおもちゃに興味を示さなくなった場合でも、動物おもちゃ等の他のおもちゃとして遊ぶことができる。さらには、ある形態おもちゃから他の形態のおもちゃに組み替えることを目的とするブロック遊びをすることもできる。このように、比較的長期間に亘って使用可能な乳幼児おもちゃとすることにより、乳幼児はこのおもちゃに愛着を感じて大切にするようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1〜図6を参照して、この発明の一実施形態に係る乳幼児おもちゃ11を説明する。なお、図1はこの発明の一実施形態に係る乳幼児おもちゃ11の内部構造を示す図、図2〜図4は各構成部品の内部構造を示す図、図5は乳幼児おもちゃ11を動物おもちゃの一形態とした状態の斜視図、図6は乳幼児おもちゃ11をがらがらおもちゃの一形態とした図である。
【0013】
まず、図5を参照して、この発明の一実施形態に係る乳幼児おもちゃ11は、複数の球状部材12と、複数の棒状部材13と、ジョイント部材14とを備える。なお、この実施形態における乳幼児おもちゃ11は、球状部材12を5つ、棒状部材13を4つ、ジョイント部材14を1つ用いて動物おもちゃの一形態を表している。
【0014】
ここで、球状部材12は頭12a、左手12b、右手12c、左足12d、右足12eを、棒状部材13は左腕13a、右腕13b、左脚13c、右脚13dを、ジョイント部材14は胴をそれぞれ構成している。また、各構成部品の表面には様々な模様が付されており、頭12aは目、鼻、口、耳が表されて子豚の顔の形状となっている。
【0015】
なお、本明細書中「脚」とは胴から伸びる大腿部から下腿部にかけての部分を指し、足首から先の部分を指す「足」とは区別するものとする。「腕」と「手」についても同様である。
【0016】
次に、図1を参照して、球状部材12、棒状部材13、およびジョイント部材14は、それぞれ構成部品同士を着脱自在に連結する連結部15を有しており、球状部材12と棒状部材13、球状部材12とジョイント部材14、および棒状部材13とジョイント部材14とがそれぞれ連結されている。
【0017】
次に、図2〜図4を参照して、乳幼児おもちゃ11の各構成要素を説明する。なお、図2は球状部材12を示す図、図3は棒状部材13を示す図、図4はジョイント部材14を示す図である。また、図2および図4に示す破線は球体を切断する前の輪郭線を示す仮想線である。
【0018】
まず、図2を参照して、球状部材12は中空の球体であって、球体の1箇所を直線的に切断して切断端面に連結部15としての凸部15aが設けられており、棒状部材13およびジョイント部材14と連結する。さらに、内部には複数の小球16が封入されている。
【0019】
次に、図3を参照して、棒状部材13は中空の棒材であって、両端面から中央部に向かって断面積が徐々に小さくなる略鼓形状となっている。そして、長手方向の一方側端面には連結部15としての凸部15aが、他方側端面には連結部15としての凹部15bがそれぞれ形成されており、球状部材12、ジョイント部材14、および他の棒状部材13と連結する。さらに、内部には複数の小球16が封入されている。
【0020】
次に、図4を参照して、ジョイント部材14は中空の球体であって、球体の表面の5箇所を切断してその切断端面に連結部15としての凹部15bが形成されており、球状部材12aおよび棒状部材13と連結する。さらに、内部空間には複数の小球16が封入されている。なお、この実施形態において、5箇所の凹部15bは球表面を通る同一円周上に形成されている。
【0021】
連結部15は、各構成部品に設けられた凸部15aと、凸部15aを受け入れる凹部15bとで構成されている。なお、この実施形態における凸部15aは表面にねじ山が形成された雄ねじであって、凹部15bは凸部15aに形成されたねじ山に螺合するねじ溝が形成された雌ねじである。そして、凸部15aと凹部15bとを螺合させることによって、構成部品同士を着脱可能な状態で連結する。
【0022】
なお、球状部材12、棒状部材13、およびジョイント部材14は、それぞれ樹脂材料で形成されている。一方、小球16は、金属、ガラス、または樹脂等の材料で形成されており、各構成部品の内部に任意の数封入されて振動によって音を発する発音体として機能する。具体的には、乳幼児おもちゃ11を揺すると、小球16が各構成部品の内壁面と衝突したり、小球16同士が衝突したりして音を発する。
【0023】
次に、図6を参照して、がらがらおもちゃの一形態としての乳幼児おもちゃ11は、棒状部材13と、棒状部材13の両端にそれぞれ連結された2つの球状部材12とで構成されている。この形態の乳幼児おもちゃ11は、短手方向の断面積が両端部から中央部に向かって徐々に小さくなる略鼓形状となり、棒状部材13は把手として機能する。なお、この実施形態において、2つの球状部材12には連結部15としての凸部15aが形成されており、棒状部材13の長手方向両端部には連結部15としての凹部15bが形成されている。その他の構成については図2および図3と同様であるので説明を省略する。
【0024】
上記構成の乳幼児おもちゃ11は、子豚の人形としての動物おもちゃとして遊ぶことができる他、がらがらおもちゃとしても遊ぶことができる。さらには、図5に示す動物おもちゃ、または図6に示すがらがらおもちゃ等を組み立てるブロックおもちゃとしても利用することができる。
【0025】
このように、月齢の低い間はがらがらおもちゃとして遊び、ある程度成長してからは動物おもちゃとして遊び、さらに成長した子供はブロックおもちゃとして遊ぶ等、比較的長期間に亘って使用可能な乳幼児おもちゃ11を得ることができる。その結果、乳幼児はこの乳幼児おもちゃ11に愛着を感じ、大切にするようになる。
【0026】
なお、上記の実施形態において、頭12aは子豚である例を示したが、これに限ることなく、猫や犬等の子供が興味を示すような任意の動物の顔を採用することができる。また、上記構成のジョイント部材14において、5箇所の連結部15を同一円周上に設けた例を示したが、連結部15の位置を工夫することにより、四足歩行の動物等も表すことができる。
【0027】
また、図2〜図4に示す乳幼児おもちゃ11の各構成部品は、球状部材12に凸部15a、棒状部材13の一方側端部に凸部15a、他方側端部に凹部15b、ジョイント部材14の5箇所全てに凹部15bを設けた例を示したが、これに限ることなく、任意の組み合わせを採用することができる。ただし、全ての構成部品を連結するためには、全体として凸部15aと凹部15bとが同数設けられている必要がある。
【0028】
また、上記の実施形態において、発音体は各構成部品中に封入される小球16である例を示したが、これに限ることなく、任意の発音体を採用することができる。例えば、鈴を封入してもよいし、振動を検出する振動センサと振動センサからの信号に伴って音を発する電子回路等を封入してもよい。
【0029】
また、上記の実施形態において、連結部15はねじであって、凸部15aと凹部15bとを螺合して各構成部品を連結する例を示したが、これに限ることなく、各構成部品を連結可能な任意の構成を採用することができる。例えば、凸部15aおよび凹部15bの互いに対面する面の摩擦を利用して両者を連結する等してもよい。
【0030】
また、上記の実施形態において、各構成部品の連結部15を設ける部分を平面とした例を示したが、これに限ることなく、例えば、球状部材12およびジョイント部材14の球面に直接凸部15aを設け、棒状部材13の端面を球面を受け入れる凹状球面としてその中に凹部15bを設ける等してもよい。
【0031】
また、図6に示すがらがらおもちゃの形態において、棒状部材13を1つだけ用いた例を示したが、これに限ることなく、棒状部材13を複数連結して、その両端に球状部材12を連結してがらがらおもちゃとしてもよい。このように、子供の手の大きさに合わせておもちゃの大きさを変えることができる。
【0032】
さらに、上記の実施形態において、乳幼児おもちゃ11は、動物おもちゃ、がらがらおもちゃ、ブロックおもちゃとして使用する例を示したが、これに限ることなく、その他の任意のおもちゃとしても利用可能である。例えば、球状部材12を弾力性に富む樹脂材料で形成し、乳幼児が舐めたり噛み付いたりするおしゃぶりおもちゃとして利用することも可能である。これによりさらに長期間使用可能な乳幼児おもちゃ11を得ることができる。
【0033】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
この発明は、比較的長い期間に亘って遊ぶことができる乳幼児おもちゃに有利に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明の一実施形態に係る乳幼児おもちゃの内部構造を示す図である。
【図2】球状部材の構造を示す図である。
【図3】棒状部材の構造を示す図である。
【図4】ジョイント部材の構造を示す図である。
【図5】この発明の一実施形態に係る乳幼児おもちゃの動物おもちゃの一形態を示す図である。
【図6】この発明の一実施形態に係る乳幼児おもちゃのがらがらおもちゃの一形態を示す図である。
【図7】従来のがらがらおもちゃを示す図である。
【符号の説明】
【0036】
11 乳幼児おもちゃ、12 球状部材、12a 頭、12b,12c 手、12d,12e 足、13 棒状部材、13a,13b 腕、13c,13e 脚、14 ジョイント部材、15 連結部、15a 凸部、15b 凹部、16,102a 発音体、101 がらがらおもちゃ、102 発音部、103 把手。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の球状部材と、
複数の棒状部材とを備え、
前記複数の棒状部材の長手方向の端面および前記球状部材の表面には、凸部と前記凸部を受け入れる凹部とによって前記球状部材と前記棒状部材、または前記棒状部材と前記棒状部材とを着脱自在に連結する連結部が設けられている、乳幼児おもちゃ。
【請求項2】
前記乳幼児おもちゃは、
前記棒状部材の長手方向両端部それぞれに前記球状部材が連結し、
組立時の短手方向の断面積が両端部から中央部に向かって徐々に小さくなる略鼓形状となり、
前記棒状部材は、組立時に把手として機能する、請求項1に記載の乳幼児おもちゃ。
【請求項3】
前記乳幼児おもちゃは、
表面の1箇所に前記連結部を有し、組立時に頭、左右の手、および左右の足を構成する5つの前記球状部材と、
長手方向両端部に前記連結部を有し、長手方向一方側端部で左右の手および左右の足を構成する前記球状部材それぞれと連結して組立時に左右の腕および左右の脚を構成する4つの棒状部材と、
頭を構成する前記球状部材と、左右の腕および左右の脚を構成する前記棒状部材の長手方向他方側端部それぞれと連結する連結部を有し、組立時に胴を構成するジョイント部材とを備える動物おもちゃである、請求項1に記載の乳幼児おもちゃ。
【請求項4】
前記乳幼児おもちゃは、前記棒状部材、および/または前記球状部材の内部に振動によって音を発する発音体を有するがらがらおもちゃである、請求項1〜3のいずれかに記載の乳幼児おもちゃ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−330342(P2007−330342A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−162782(P2006−162782)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【出願人】(390006231)アップリカ育児研究会アップリカ▲葛▼西株式会社 (97)
【Fターム(参考)】