説明

乳酸のポリマーを含む埋め込み型用具用コーティングおよびこのコーティングの製造方法

本発明は、埋め込み型医療機器用コーティングおよびこのコーティングの製造方法を開示する。このコーティングは乳酸のポリマーを含んで成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物溶出血管ステントのような薬物送達用具用コーティングおよびそのコーティングの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
経皮経管冠動脈形成術(PTCA)は心疾患を治療するための処置である。バルーン部分を有するカテーテル装置が、上腕動脈または大腿動脈を介して患者の心血管系に経皮的に導入される。カテーテル装置は、バルーン部分が閉塞病変部にわたって配置されるまで冠血管系に送り込まれる。バルーンは閉塞病変にわたって配置されると、所定サイズに膨張されてアテローム硬化性病変のプラークを放射状に圧迫し、内腔壁を再構築する。次に、バルーンはより小さなプロファイルに収縮され、カテーテルが患者の血管系から引き抜かれるようにする。
【0003】
上記処置に関わる問題には内膜弁の形成または動脈内膜の断裂が含まれ、これは、バルーンが収縮された後に導管を破壊して閉塞する可能性がある。更に、処置後数ヶ月にわたり動脈の血栓および再狭窄が発現するおそれがあり、これにより別の血管形成術処置またはバイパス外科手術が必要になり得る。動脈内膜の破壊による動脈の部分閉塞または全体閉塞を低減するとともに、血栓および再狭窄の発現の可能性を減少させるために、内腔にステントを植え込んで血管の開存性を維持する。
【0004】
ステントは、機械的な介入手段としてだけではなく、生物学的治療を提供する媒体としても使用される。機械的な介入手段として、ステントは足場として機能して物理的に開通させるように作用し、所望すれば通路の壁を拡張する。通常、ステントは圧縮可能であるため、カテーテルを介して小血管に挿入し、次に所望の位置に至れば大径に拡張することができる。PTCA処置に適用されたステントを開示した特許文献の例には、Palmazに交付された米国特許第4,733,665号、Gianturcoに交付された米国特許第4,800,882号、およびWiktorに交付された米国特許第4,886,062号が含まれる。
【0005】
生物学的治療はステントに薬剤を塗布することで実現可能である。薬剤ステントは治療剤を病変部位に局所投与する。治療部位に有効濃度を提供するため、このような薬剤の全身投与は患者に対して有害または毒性の副作用を生じることが多い。局所送達は、全身的薬用量に比し低レベルの総薬剤量が投与されるが、特定部位に集中するという点で、好ましい治療法である。このように、局所送達は生じる副作用がより少なく、より好適な結果を実現する。ステントに薬剤を塗布するために提案された1つの方法は、ステントの表面にコーティングされたポリマー担体の使用を含む。溶剤、該溶剤に溶解したポリマー、および該混合物に分散した治療剤を含む溶液が、ステントに塗布される。溶剤は蒸発させて、ポリマーとポリマーに含浸した治療剤のコーティングをステント表面に取り残す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ステントを介した治療剤の局所投与は、再狭窄の低減に幾分かの好結果を示している。しかし、薬剤の局所送達のためのより優れて有効なコーティングの必要性が高い。例えば、生物学的に有益な性質、向上した吸収率、調整可能な薬剤放出速度、および良好な機械的性質を有する、生物学的に吸収可能なステントコーティングを有することが望ましい。本発明の実施形態ではこのようなコーティングを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
コーティングを有する埋め込み型基体を含む医療用製品を提供し、該コーティングは、ポリ(乳酸)、その誘導体を含む第一の生物学的に吸収可能なポリマーまたはポリ(乳酸)由来の少なくとも1つの部分を有するブロックコポリマーを含有する。ブロックコポリマーには、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、またはその混合物が含まれ、例えば、少なくとも1つの生体適合性部分を有するジブロックコポリマーおよびトリブロックコポリマーが含まれる。生体適合性部分の例には、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(テトラメチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド−co−プロピレンオキシド、ε−カプロラクトン、β−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、グリコリド、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)とその塩、ポリ(スチレンスルホン酸)、スルホン化デキストラン、ポリホスファゼン、ポリ(オルソエステル)、ポリ(チロシンカーボネート)、ヒアルロン酸またはその誘導体、ポリ(エチレングリコール)とヒアルロン酸またはその誘導体とのコポリマー、ヘパリン、ポリエチレングリコールとヘパリンとのコポリマー、ポリ(L−リジン)およびポリ(エチレングリコール)のグラフトコポリマーが含まれる。
【0008】
医療用製品を製造する方法を提供し、該方法は埋め込み型基体の少なくとも一部分にコーティングを塗布するステップを含み、該コーティングはポリ(乳酸)、その誘導体を含む第一の生物学的に吸収可能なポリマーまたはポリ(乳酸)由来の少なくとも1つの部分を有するブロックコポリマーを含有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(用語および定義)
以下の定義を適用する:
「生物学的に分解可能」、「生物学的に腐食可能」、「生物学的に吸収可能」、および「生物学的に再吸収可能」なコーティングおよび/またはポリマーという用語は、互換的に用いられ、血液のような体液に暴露するとやがて完全に分解、溶解、および/または腐食可能であって、生体によって徐々に再吸収、吸収、および/または除去されるコーティングおよび/またはポリマーと定義する。コーティングおよび/またはポリマーの分解ならびに最終的な吸収および除去は、例えば、加水分解、代謝過程、バルクまたは表面の腐食などによって惹起され得る。
【0010】
「生物学的に分解可能」、「生物学的に腐食可能」、「生物学的に吸収可能」、および「生物学的に再吸収可能」なステント用コーティングおよび/またはこのようなステント用コーティングを形成するポリマーについて述べる場合には常に、分解、腐食、吸収、および/または再吸収の過程が完結した後に、コーティングがステントに残存しないというように理解することとする。本出願において「分解可能」、「生体分解性」、または「生物学的に分解可能」という用語を用いる場合は常に、これらが生物学的に分解可能、生物学的に腐食可能、生物学的に吸収可能、および生物学的に再吸収可能なコーティングおよび/またはポリマーを広範に含むものとする。
【0011】
「生体分解性」、「生体腐食性」、「生体吸収性」、および「生体再吸収性」とは、コーティングおよび/またはコーティングを成すポリマーおよび/または生物学的に分解可能、生物学的に腐食可能、または生物学的に吸収可能、および生物学的に再吸収可能なポリマーの固有特性であると定義する。
【0012】
「速放性」とは、ステント用コーティングからほぼ全量の薬剤を15日未満、例えば、7日から14日以内にインビボで放出することと定義する。「徐放性」とは、ステント用コーティングからほぼ全量の薬剤を15日以上、例えば、15日から56日以内にインビボで放出することと定義する。
【0013】
「ブロックコポリマー」および「グラフトコポリマー」という用語は、国際純正・応用化学連合(IUPAC)が用いる用語法に従って定義する。「ブロックコポリマー」とは、線状配置されたブロックを含むコポリマーをいう。ブロックは、モノマー単位が隣接部分には存在しない、少なくとも1つの構造的あるいは配置的特性を有するポリマー分子の一部と定義する。「グラフトコポリマー」とは、1つ以上のブロック種が側鎖として主鎖に結合した高分子から成るポリマーをいい、該側鎖は主鎖とは異なる構造的あるいは配置的特性を有する。
【0014】
「ABブロックコポリマー」という用語は、一般式−{[A−]−[B]}−(式中、各“m”、“n”および“x”は正の整数であり、m≧2、n≧2である)に従って配置されたA部分およびB部分を有するブロックコポリマーと定義する。
【0015】
「ABAブロックコポリマー」という用語は、一般式−{[A−]−[B−]−[A]}−(式中、各“m”、“n”、“p”、および“x”は正の整数であり、m≧2、n≧2、p≧2である)に従って配置されたA部分およびB部分を有するブロックコポリマーと定義する。
【0016】
AおよびBブロックの数を決定する整数値が、通常、個々のブロックが独立してポリマーだとみなされるほど長くなるようにするため、ABAおよびABブロックコポリマーのブロックは末端で連結する必要はない。従って、ABAブロックコポリマーは、ポリA−ブロック−co−ポリBブロック−co−ポリAブロック−コポリマーと命名することができ、ABブロックコポリマーは、ポリA−ブロック−co−ポリBブロック−コポリマーと命名することができる。通常、ブロック“A”および“B”は3ブロックサイズより大きく、交互あるいは不規則に並べることができる。
【0017】
ステントのような埋め込み型医療機器用コーティングは、本発明の実施形態に従って、任意の以下の4層またはその組合せを含むことが可能な多層構造とすることができる:
(a)プライマ層;
(b)薬剤−ポリマー層(「貯留部」または「貯留層」とも呼ぶ)またはポリマー非含有薬剤層;
(c)トップコート層;および/または
(d)仕上塗層。
【0018】
ステント用コーティングの各層は、ポリマーまたはポリマー混合物を溶剤または溶剤混合物中に溶解するとともに、生成したポリマー溶液にてステントを噴霧あるいは浸漬して溶液をステントに塗布することによって、ステントに形成することができる。ステントに溶液を塗布した後、溶剤を蒸発させてコーティングを乾燥させる。乾燥を高温にて行えば、乾燥過程を速めることができる。完全なステント用コーティングは、コーティングの熱力学的安定性を向上させることが望ましいのであれば、約5分から60分の間、約40℃から約150℃の温度にて任意にアニールすることができる。
【0019】
貯留層に薬剤を組み入れるため、上記のようにステントに塗布するポリマー溶液と薬剤を組み合わせることができる。または、薬剤放出速度が速いステント用コーティングが望ましいのでれば、ポリマー非含有貯留部を作製することができる。ポリマー非含有貯留部を作製するため、好適な溶剤または溶剤混合物に薬剤を溶解することができ、生成した薬剤溶液にてステントを噴霧あるいは浸漬して薬剤溶液をステントに塗布することができる。
【0020】
薬剤を溶液として導入する代わりに、適切な溶剤相中の懸濁液のようなコロイド系として薬剤を導入することができる。懸濁液を作製するため、コロイド化学で利用されている従来の技法を用いて溶剤相中に薬剤を分散させることができる。種々の要因、例えば、薬剤の性質に応じて、当業者であれば懸濁液の溶剤相を形成するための溶剤および溶剤相中に分散させる薬剤の量を選択することができる。懸濁液はポリマー溶液と混合することができ、この混合物を上記のようにステントに塗布することができる。また、薬剤懸濁液はポリマー溶液と混合せずにステントに塗布することができる。
【0021】
薬剤−ポリマー層はステント表面の少なくとも一部に直接塗布して、貯留層に組み入れられる少なくとも1つの活性剤または薬剤の貯留部として機能することができる。任意のプライマ層はステントと貯留部の間に塗布して、ステントに対する薬剤−ポリマー層の接着性を向上させることができる。任意のトップコート層は貯留層の少なくとも一部にわたって塗布することができ、薬剤の放出速度を制御するのに役立つ速度制限膜として機能する。一実施形態において、トップコート層は活性剤または薬剤を実質的に含有しないようにすることができる。トップコート層を用いる場合、任意の仕上塗層は、薬剤放出速度の更なる制御およびコーティングの生体適合性向上のために、トップコート層の少なくとも一部にわたって塗布することができる。トップコート層がなければ、仕上塗層は貯留層に直接沈着させることができる。
【0022】
トップコート層および仕上塗層を有するコーティングからの薬剤の放出過程は、少なくとも3ステップを含む。まず、薬剤−ポリマー層/トップコート層の界面上のトップコート層のポリマーによって薬剤が吸収される。次に、薬剤は、トップコート層ポリマーの高分子間の空間を移動経路として用いて、トップコート層を通じて拡散する。次に、薬剤はトップコート層/仕上塗層の界面に達する。最後に、薬剤は同様に仕上塗層を通じて拡散し、仕上塗層の外面に達し、該外面から脱着する。この時点で薬剤は血流中に放出される。従って、トップコート層と仕上塗層の組合せを用いれば、速度制限遮断層として機能することができる。薬剤は、層の分解、溶解、および/または腐食を通じて放出することができる。
【0023】
一実施形態において、ステント用コーティングの任意の層またはすべての層は、生物学的に分解可能、腐食可能、吸収可能、および/または再吸収可能なポリマーから作製することができる。別の実施形態において、コーティングの最表層はこのようなポリマーに限定することができる。
【0024】
より詳細に例示するため、上記の全4層(即ち、プライマ層、貯留層、トップコート層、および仕上塗層)を有するステント用コーティングにおいて、最表層は仕上塗層であり、これは生物学的に分解可能、腐食可能、吸収可能、および/または再吸収可能なポリマーから作製する。この場合に任意で、他の層(即ち、プライマ層、貯留層、トップコート層)も生物学的に分解可能なポリマーから作製することができ、ポリマーは各層において同種または異種でもよい。
【0025】
仕上塗層を用いない場合、トップコート層を最表層とすることができ、生物学的に分解可能なポリマーから作製する。この場合に任意で、他の層(即ち、プライマ層および貯留層)も生物学的に分解可能なポリマーから作製することができ、ポリマーは3層の各々において同種または異種でもよい。
【0026】
仕上塗層もトップコート層も用いない場合、ステント用コーティングはプライマ層と貯留層の2層のみを有し得る。この場合、貯留部がステント用コーティングの最表層であり、生物学的に分解可能なポリマーから作製する。任意で、プライマ層も生物学的に分解可能なポリマーから作製することができる。これら2層は同種または異種の材料から作製することができる。
【0027】
生物学的に分解可能、腐食可能、吸収可能、および/または再吸収可能なポリマーの生物学的分解、腐食、吸収、および/または再吸収は、貯留層またはトップコート層または両層を形成するポリマーの漸進的な消失により、薬剤の放出速度を上昇させると考えられる。適切な分解性ポリマーを選択することにより、ステント用コーティングは所望のように薬剤の速放または徐放を提供するように設計することができる。当業者であれば、ある特定の薬剤に対して緩徐な放出速度または迅速な放出速度を有するステント用コーティングのいずれが望ましいかを判断できよう。例えば、1〜2週間以内に放出される必要があることが多い遊走阻止剤を添加したステント用コーティングには、速放性が推奨されよう。抗増殖剤には徐放性が必要であろう(最大30日の放出時間)。
【0028】
任意のステント用コーティング層を作製するために使用可能な生物学的に分解可能、腐食可能、吸収可能、および/または再吸収可能なポリマーは、少なくとも1つのポリ(乳酸)、即ち、ポリ(D,L−乳酸)(DLPLA)、ポリ(D−乳酸)またはポリ(L−乳酸)またはこれらの任意の組合せを含む。ポリ(乳酸)は式H−[O−CH(CH)−C(O)]−OHを有し、反応式(I)により概略的に示すようにラクチド(乳酸の環状二量体)の開環重合によって得ることができる。式中、ラクチドは化合物(A)であり、ポリ(乳酸)は化合物(B)である:
【化1】

【0029】
ポリ(乳酸)の分子量は、約416〜4,166の化合物(B)中の正の整数の値に対応し、約30,000〜約300,000ダルトンになり得る。当業者であれば、反応式(I)が例示するラクチドのポリ(乳酸)への変換をなし得る条件を決定することができる。
【0030】
また、ポリ(乳酸)由来の部分を含有するポリマーも、任意のステント用コーティング層を作製するために、ポリ(乳酸)に加えて、あるいはポリ(乳酸)の代わりに用いることができる。ポリ(乳酸)に基づく別のポリマーの一種には、ポリ(乳酸)の誘導体、例えば、加水分解ポリ(乳酸)またはカルボキシル化ポリ(乳酸)またはその混合物が含まれる。加水分解またはカルボキシル化ポリ(乳酸)の使用は、コーティングの分解速度の上昇を生じさせて、結果的に薬剤放出速度の上昇に至ると考えられる。
【0031】
加水分解ポリ(乳酸)は、元の(加水分解されていない)ポリ(乳酸)(B)と、その加水分解のオリゴマーおよび/またはポリマー生成物の混合物を含むポリマー生成物である。加水分解の生成物は、乳酸のオリゴマー、幾分かのモノマー乳酸やヒドロキシル化種を含み得る他の生成物の複合混合物を含み得る。該混合物は、上記に示すような分子量を有する、約1重量%〜約20重量%の元のポリ(乳酸)と、バランスであるその加水分解生成物を含有し得る。ポリ(乳酸)の加水分解のオリゴマーおよび/またはポリマー生成物は、約1,000〜約20,000ダルトンの平均分子量を有し得る。
【0032】
加水分解ポリ(乳酸)を得るため、加水分解ポリ(乳酸)は当業者により選択可能な条件にて加水分解することができる。加水分解の処理はポリマー類似性変換であり、ポリ(乳酸)とその加水分解生成物の混合物が得られるまで行われ、該混合物はポリ(乳酸)とその加水分解生成物の所望の比率を有する。所望の比率は当業者によって決定することもできる。
【0033】
カルボキシル化ポリ(乳酸)は、カルボキシル基を末端とするポリ(乳酸)を含み、反応式(II)により概略的に示すように、開環触媒として機能するヒドロキシ酸HO−R−COOHの存在下、ラクチド(A)の開環重合によって得ることができる。式中、カルボキシル化ポリ(乳酸)は化合物(C)である:
【化2】

【0034】
反応式(II)における開環触媒のヒドロキシ酸HO−R−COOHは、当業者により選択可能な任意の好適なヒドロキシ酸とすることができる。使用可能なヒドロキシ酸の一例にヒドロ酢酸(グリコール酸)がある。
【0035】
カルボキシル化ポリ(乳酸)は、完全にカルボキシル化されたポリ(乳酸)、即ち、100%の生成物(C)とすることができる。完全にカルボキシル化されたポリ(乳酸)の分子量は、約1,000〜約20,000ダルトンとすることができる。完全にカルボキシル化されたポリ(乳酸)は、アラバマ州バーミングハムのBirmingham Polymers,Inc.から市販されている。
【0036】
カルボキシル化ポリ(乳酸)は、元のポリ(乳酸)(B)との混合物中にも存在し得る。該混合物は、上記に示すような分子量を有する、約1重量%〜約20重量%の元のポリ(乳酸)と、バランスであるカルボキシル化ポリ(乳酸)(C)を含有し得る。
【0037】
使用可能であってポリ(乳酸)に基づく別のポリマーの一種には、ABブロックコポリマー(「ジブロックコポリマー」)またはABAブロックコポリマー(「トリブロックコポリマー」)またはその混合物のようなブロックコポリマーが含まれる。ブロックAの分子量は、約300〜約40,000ダルトン、より狭めて約8,000〜約30,000ダルトン、例えば、約15,000ダルトンとすることができる。ブロックBの分子量は、約50,000〜約250,000ダルトン、より狭めて約80,000〜約200,000ダルトン、例えば、約100,000ダルトンとすることができる。
【0038】
使用可能なABAおよびABブロックコポリマーは、ポリ(乳酸)のブロックと、ABまたはABAブロックコポリマーに血液適合性を提供する生物学的適合性部分(「生体適合性部分」)のブロックを有する。例示するために、一実施形態において、部分Aはポリ(乳酸)であり、部分Bは生体適合性部分である。別の実施形態において、部分Bはポリ(乳酸)であり、部分Aは生体適合性部分である。一実施形態において、生体適合性部分は、ABAおよびABブロックコポリマー全体を生物学的に分解可能とするように選択する。
【0039】
好適な生体適合性部分の例には、ポリ(アルキレングリコール)、例えば、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレングリコール)(PPG)、ポリ(テトラメチレングリコール)、またはポリ(エチレンオキシド−co−プロピレンオキシド);ラクトンおよびラクチド、例えば、ε−カプロラクトン、β−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、またはグリコリド;ポリ(N−ビニルピロリドン);ポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)とその塩(AMPSとその塩);ポリ(スチレンスルホネート);スルホン化デキストラン;ポリホスファゼン;ポリ(オルソエステル);ポリ(チロシンカーボネート);ヒアルロン酸;ステアロイルまたはパルミトイル置換基を有するヒアルロン酸;ヒアルロン酸またはヒアルロン酸−ステアロイルまたはヒアルロン酸−パルミトイルを有するPEGのコポリマー;ヘパリン;ヘパリンを有するPEGのコポリマー;ポリ(L−リジン)およびPEGのグラフトコポリマー;またはそのコポリマーが含まれる。好適な生体適合性ポリマー部分の分子量は、化合物の腎クリアランスを確実にするために40,000ダルトン未満、例えば、約300〜約40,000ダルトン、より狭めて約8,000〜約30,000ダルトン、例えば、約15,000ダルトンとすることができる。上記ラクトンおよびラクチドは、所望すればブロックコポリマー中のDLPLAの一部またはすべてを置換することもできる。
【0040】
従って、使用可能なABブロックコポリマーの一例は、ポリ(D,L−乳酸)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)(DLPLA−PEG)である。DLPLA−PEGブロックコポリマーの考え得る1つの構造を式(III)に示す。
【化3】

【0041】
式(III)に示すDLPLA−PEGブロックコポリマーは、テトラヒドロフラン中、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)法で測定するように、約30,000〜約300,000ダルトン、例えば、約60,000ダルトンの総分子量を有し得る。PEGブロックの分子量は、約500〜約30,000ダルトン、例えば、約550ダルトンとすることができ、DLPLAブロックの分子量は、約1,500〜約20,000ダルトン、例えば、約1,900ダルトンとすることができる。従って、式(III)中、“n”は約21〜約278の値を有し得る整数であり、“m”は約11〜約682の値を有し得る整数である。
【0042】
使用可能なABAブロックコポリマーの一例は、ポリ(D,L−乳酸)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(D,L−乳酸)(DLPLA−PEG−DLPLA)である。DLPLA−PEG−DLPLAブロックコポリマーの考え得る1つの構造を式(IV)に示す。
【化4】

【0043】
式(IV)に示すDLPLA−PEG−DLPLAブロックコポリマーは、テトラヒドロフラン中、GPC法で測定するように、約30,000〜約300,000ダルトン、例えば、約60,000ダルトンの総分子量を有し得る。PEGブロックの分子量は、約500〜約30,000ダルトン、例えば、約7,500ダルトンとすることができ、DLPLAブロックの分子量は、約1,500〜約20,000ダルトンの分子量を有することができ、例えば、1つの末端DLPLAブロックは約3,400ダルトンの分子量を有することができ、他方の末端DLPLAブロックは約10,000ダルトンの分子量を有し得る。従って、式(IV)中、“n”は約21〜約278の値を有し得る整数であり、“m”は約11〜約682の値を有し得る整数であり、“p”は約21〜約278の値を有し得る整数である。
【0044】
所望であれば、該部分の位置を切り替えてBABブロックコポリマー、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(D,L−乳酸)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)(PEG−DLPLA−PEG)とすることができる。PEG−DLPLA−PEGブロックコポリマーの考え得る1つの構造を式(V)に示す。
【化5】

【0045】
式(V)に示すPEG−DLPLA−PEGブロックコポリマーは、テトラヒドロフラン中、GPC法で測定するように、約30,000〜約300,000ダルトン、例えば、約60,000ダルトンの総分子量を有し得る。PEGブロックの分子量は、約500〜約30,000ダルトン、例えば、約7,500ダルトンとすることができ、DLPLAブロックの分子量は、約1,500〜約20,000ダルトンとすることができる。従って、式(V)中、“n”は約21〜約278の値を有し得る整数であり、“m”は約11〜約682の値を有し得る整数であり、“p”は約11〜約682の値を有し得る整数である。
【0046】
式(III〜V)に示すブロックコポリマーは、当業者に公知の標準的方法、例えば、PEGとDLPLAの共重縮合により合成することができる。共重縮合の処理は、必要であれば酸または塩基により触媒することができる。
【0047】
一実施形態に従って、PEGおよびDLPLAの加水分解ブロックコポリマーは、ステント用コーティングを作製するために用いることができる。上記のABおよびABAおよびBABブロックコポリマーは、PEGおよびDLPLAの加水分解ブロックコポリマーを得るために用いることができる。PEGおよびDLPLAの加水分解ブロックコポリマーは、PEGおよびDLPLAのブロックコポリマーと、その部分的加水分解の生成物との混合物を含むポリマー生成物である。該混合物は、約1重量%〜約20重量%のPEGおよびDLPLAの加水分解されていないブロックコポリマーと、バランスであるその加水分解生成物を含有し得る。
【0048】
PEGおよびDLPLAの加水分解ブロックコポリマーを得るため、ブロックコポリマーは当業者により選択可能な条件にて加水分解することができる。加水分解の処理は、ブロックコポリマーとその部分的加水分解の生成物との混合物が得られるまで行われ、該混合物はブロックコポリマーとその部分的加水分解の生成物との所望の比率を有する。所望の比率は当業者によって決定することもできる。
【0049】
本発明の他の実施形態に従って、ポリ(乳酸)に基づくポリマーに加え、あるいはその代わりに、ステント用コーティングを作製するために他の生物学的に吸収可能なポリマーを用いることができる。このようなポリマーの一部の例には、
(a)ポリ(ヒドロキシブチレート)(PHB);
(b)ポリ(ヒドロキシバレレート)(PHV);
(c)ポリ(ヒドロキシブチレート−co−バレレート)(PHB−HV)
(d)ポリ(カプロラクトン)(PCL);
(e)ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLGA);
(f)および、ポリ(ブチレンテレフタレート)を伴ったPEGのABおよびABAブロックコポリマー、例えば、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(ブチレンテレフタレート)(PEG−PBT)、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(ブチレンテレフタレート)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)(PEG−PBT−PEG)、またはポリ(ブチレンテレフタレート)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT−PEG−PBT);ならびに、
(f)PCLを伴ったPEGのABおよびABAブロックコポリマー、例えば、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(カプロラクトン)(PEG−PCL)、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(カプロラクトン)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)(PEG−PCL−PEG)、またはポリ(カプロラクトン)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(カプロラクトン)(PCL−PEG−PCL)
が含まれる。
【0050】
上記の(a)〜(f)群の化合物の任意の混合物を用いることもできる。PEG−PBTおよびPEG−PBT−PEGブロックコポリマーは、商標名POLYACTIVEにて公知であり、オランダのIsoTis Corp.から市販されている。これらのポリマーは、例えば、ジブチレンテレフタレートのPEGとのトランスエステル化により得ることができる。POLYACTIVEにおいて、エチレングリコール由来のユニットとブチレンテレフタレート由来のユニットの比率は、約0.67:1〜約9:1とすることができる。エチレングリコール由来のユニットの分子量は約300〜約4,000ダルトンとすることができ、ブチレンテレフタレート由来のユニットの分子量は約50,000〜約250,000ダルトン、例えば、約100,000ダルトンとすることができる。
【0051】
DLPLA−PEG−DLPLA、PEG−DLPLA−PEG、PEG−PBT、PEG−PBT−PEG、PBT−PEG−PBT、PEG−PCL、PEG−PCL−PEG、およびPCL−PEG−PCLブロックコポリマーはすべて、エステル結合を有する断片を含有する。エステル結合が水不安定性結合であることは既知である。弱アルカリ性血液と接触するとエステル結合は触媒加水分解を受け、こうしてブロックコポリマーの生物学的分解性を確実にする。DLPLA−PEG−DLPLA、PEG−DLPLA−PEG、PEG−PBT、PEG−PBT−PEG、PBT−PEG−PBT、PEG−PCL、PEG−PCL−PEG、およびPCL−PEG−PCL群に属するすべてのブロックコポリマーの一分解生成物がPEGであると考えられ、これは高度に生物学的に適合性がある。
【0052】
ステント用コーティングのどの層も、上記の生体吸収性ポリマーまたは2つ以上のこのようなポリマーの混合物を任意の量にて含有し得る。層の100%未満が上記の生体吸収性ポリマーから作製される場合、他の別のポリマーがバランスを含んで成り得る。使用可能な別のポリマーの例には、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート−co−ブチルメタクリレート)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(エチレン−co−メチルメタクリレート)、ポリ(アクリロニトリル−co−スチレン)、およびポリ(シアノアクリレート)のようなポリアクリレート;ポリ(ビニリデンフルオリド)およびポリ(ビニリデンフルオリド−co−ヘキサフルオロプロペン)のようなフッ素化ポリマー;ポリ(N−ビニルピロリドン);ポリジオキサノン;ポリオルソエステル;ポリアンヒドリド;ポリ(グリコール酸);ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカーボネート);ポリホスホエステル;ポリホスホエステルウレタン;ポリ(アミノ酸);ポリ(トリメチレンカーボネート);ポリ(イミノカーボネート);co−ポリ(エーテル−エステル);ポリアルキレンオキサレート;ポリホスファゼン;フィブリン、フィブリノーゲン、セルロース、テンプン、コラーゲン、およびヒアルロン酸のような生体分子;ポリウレタン;シリコーン;ポリエステル;ポリオレフィン;ポリイソブチレンおよびエチレン−アルファオレフィンコポリマー;ポリビニルクロリドのようなビニルハリドポリマーおよびコポリマー;ポリビニルメチルエーテルのようなポリビニルエーテル;ポリビニリデンクロリド;ポリビニルケトン;ポリスチレンのようなポリビニル芳香族;ポリビニルアセテートのようなポリビニルエステル;ビニルモノマー同士およびオレフィンのコポリマー、例えば、ポリ(エチレン−co−ビニルアルコール)(EVAL);ABS樹脂;およびポリ(エチレン−co−ビニルアセテート);ナイロン66およびポリカプロラクタムのようなポリアミド;アルキド樹脂;ポリカーボネート;ポリオキシメチレン;ポリイミド;ポリエーテル、エポキシ樹脂;ポリウレタン;レーヨン;レーヨン−トリアセテート;セルロース;セルロースアセテート;セルロースブチレート;セルロースアセテートブチレート;セロファン;セルロースニトレート;セルロースプロピオネート;セルロースエーテル;ならびにカルボキシメチルセルロースが含まれる。
【0053】
ステント用コーティングを作製するのに好適な溶剤の一部の代表例には、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、シクロヘキサノン、キシレン、トルエン、アセトン、i−プロパノール、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルブチルケトン、エチルアセテート、n−ブチルアセテート、およびジオキサンが含まれる。一部の溶剤混合物を用いることもできる。該混合物の代表例には、
(1)DMACとメタノール(例えば、混合質量比50:50);
(2)水とi−プロパノールとDMAC(例えば、混合質量比10:3:87);
(3)i−プロパノールとDMAC(例えば、混合質量比80:20、50:50、または20:80);
(4)アセトンとシクロヘキサノン(例えば、混合質量比80:20、50:50、または20:80);
(5)アセトンとキシレン(例えば、混合質量比50:50);
(6)アセトンとFLUX REMOVER AMSとキシレン(例えば、混合質量比10:50:40);
(7)1,1,2−トリクロロエタンとクロロホルム(例えば、混合質量比80:20)
が含まれる。
【0054】
FLUX REMOVER AMSは、テキサス州アマリロのTech Spray,Inc.が製造している溶剤の商標名であり、3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンと1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンの約93.7%の混合物およびバランスのメタノールを微量のニトロメタンとともに含む。当業者であれば、溶解させる特定のポリマーに好適な溶剤または溶剤混合物を選択するであろう。
【0055】
貯留層において使用可能な治療物質は、患者に対して治療効果または予防効果を及ぼすことが可能な任意の物質を含むことができる。治療物質は、低分子物質、ペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチドなどを含み得る。治療物質は、例えば、血管平滑筋細胞の活性を阻害するように設計することが可能である。治療物質は再狭窄を抑制するために、平滑筋細胞の異常あるいは不適切な移動および/または増殖を抑制するように仕向けることができる。
【0056】
使用可能な治療物質の例には、アクチノマイシンDまたはその誘導体および類似体のような抗増殖物質が含まれる(ウィスコンシン州ミルウォーキーのSigma−Aldrich社製またはMerck社から市販されているCOSMEGEN)。アクチノマイシンDの同義語にはダクチノマイシン、アクチノマイシンIV、アクチノマイシンI、アクチノマイシンX、およびアクチノマイシンCが含まれる。活性剤は、抗新生物、抗炎症、抗血小板、抗凝固、抗フィブリン、抗トロンビン、抗有糸分裂、抗生、抗アレルギー、および抗酸化物質類に分類される。このような抗新生物剤および/または抗有糸分裂剤の例には、パクリタキセル(例えば、コネチカット州スタンフォード、Bristol−Myers Squibb Co.によるタキソール(登録商標))、ドセタキセル(例えば、ドイツ、フランクフルト、Aventis S.A.提供のタキソテール(登録商標))、メソトレキセート、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、フルオロウラシル、ドキソルビシン塩酸塩(例えば、ニュージャージー州ピーパック、Pharmacia & Upjohn提供のアドリアマイシン(登録商標))、およびマイトマイシン(例えば、コネチカット州スタンフォード、Bristol−Myers Squibb Co.提供のMutamycin(登録商標))が含まれる。このような抗血小板剤、抗凝固剤、抗フィブリン剤、抗トロンビン剤の例には、ヘパリンナトリウム、低分子量ヘパリン、ヘパリノイド、ヒルジン、アルガトロバン、フォルスコリン、バピプロスト、プロスタサイクリンおよびプロスタサイクリン類似体、デキストラン、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン(合成抗トロンビン剤)、ジピリダモール、糖タンパク質IIb/IIIa血小板膜受容体アンタゴニスト抗体、組換えヒルジン、およびANGIOMAX(マサチューセッツ州ケンブリッジ、Biogen,Inc.)のようなトロンビン阻害剤が含まれる。このような細胞増殖抑制剤または抗増殖剤の例には、アンギオペプチン、カプトプリル(例えば、コネチカット州スタンフォード、Bristol−Myers Squibb Co.提供のカポテン(登録商標)およびCapozide(登録商標))、シラザプリル、またはリシノプリル(例えば、ニュージャージー州ホワイトハウス・ステーション、Merck & Co.,Inc.提供のプリニビル(登録商標)およびプリンザイド(登録商標))のようなアンジオテンシン変換酵素阻害剤;(ニフェジピンのような)カルシウムチャネル遮断薬、コルヒチン、線維芽細胞増殖因子(FGF)アンタゴニスト、魚油(オメガ3脂肪酸)、ヒスタミン拮抗薬、ロバスタチン(HMG−CoA還元酵素の阻害剤、コレステロール降下剤、ニュージャージー州ホワイトハウス・ステーション、Merck & Co.,Inc.提供の商品名メバコール(登録商標))、(血小板由来増殖因子(PDGF)受容体に特異的であるような)モノクローナル抗体、ニトロプルシド、ホスホジエステラーゼ阻害剤、プロスタグランジン阻害剤、スラミン、セロトニン遮断薬、ステロイド、チオプロテアーゼ阻害剤、トリアゾロピリミジン(PDGFアンタゴニスト)、および一酸化窒素が含まれる。抗アレルギー剤の一例にはペミロラストカリウムがある。適切であると思われる他の治療物質または治療剤には、アルファインターフェロン、遺伝子処理した上皮細胞、タクロリムス、デキサメタゾン、ラパマイシンならびに40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(Novartis社から市販されているEVEROLIMUSの商標名により公知)、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、および40−O−テトラゾール−ラパマイシンのような、その構造誘導体または機能的類似体が含まれる。
【0057】
本発明のコーティングおよび方法について、バルーン拡張式または自動拡張型ステントのようなステントを参照して説明した。しかし、コーティングの用途はステントに限定されず、コーティングは他の種々の医療機器にも用いることができる。本発明の実施形態とともに使用可能な埋め込み型医療機器の例には、ステントグラフト、グラフト(例えば、大動脈グラフト)、人工心臓弁、脳脊髄液シャント、ペースメーカー電極、axius冠動脈シャント、および心臓内リード線(例えば、Guidant Corporationから市販されているFINELINEおよびENDOTAK)が含まれる。機器の基礎構造はほぼ如何なる設計でも可能である。機器は金属材料または合金から製造することができ、例えば、コバルトクロム合金(例えば、ELGILOY)、ステンレススチール(316L)、“MP35N”、“MP20N”、ELASTINITE(ニチノール)、タンタル、タンタルベースの合金、ニッケルチタン合金、白金、例えば白金−イリジウム合金のような白金ベースの合金、イリジウム、金、マグネシウム、チタン、チタンベースの合金、ジルコニウムベースの合金、またはその組合せがあげられるが、これらに限定されない。生体吸収性または生体安定性ポリマーから作製される機器は、本発明の実施形態とともに使用することもできる。実施形態の一部において、機器自体を上記のポリマーから作製することができる。
【0058】
“MP35N”、“MP20N”は、コバルト、ニッケル、クロム、およびモリブデンの合金に対する商標であり、ペンシルベニア州ジェンキンタウンのStandard Press Steel CO.から市販されている。“MP35N”はコバルト35%、ニッケル35%、クロム20%、およびモリブデン10%から成る。“MP20N”はコバルト50%、ニッケル20%、クロム20%、およびモリブデン10%から成る。
【0059】
以下の実施例は本発明の実施形態を更に例示するために提供する。
【実施例1】
【0060】
第一の組成物は次の成分を混合して調製することができる:
(a)室温にて約0.67dl/cmのインヘレント粘度を有する、約1.0重量%〜約15重量%、例えば、約2.0重量%ポリ(D,L−乳酸)(DLPLA)および
(b)バランスとして約4:1のTCEとクロロホルムの質量比を有する、1,1,2−トリクロルエタン(TCE)およびクロロホルムを含む溶剤混合物。
【0061】
第一の組成物は、12mm VISIONベアステント(Guidant Corporationから市販されている)の表面に噴霧によって塗布し、乾燥させてプライマ層を形成することができる。約60℃にて維持された0.014ファンノズルを有し、約0.2atm(約3psi)の給圧および約1.3atm(約20psi)の噴霧圧力を有するスプレーコーターを用いることができる。プライマ層は約120℃にて約30分間焼成させ、乾燥プライマ層を得ることができる。プライマ層は約100μgのDLPLAを含有し得る。
【0062】
第二の組成物は次の成分を混合して調製することができる:
(a)約0.05重量%〜約3.0重量%、例えば、約2.0重量%EVEROLIMUS;および
(b)バランスとして約2:3のアセトンとキシレンの質量比を有するアセトンおよびキシレンを含む溶剤混合物。
【0063】
第二の組成物は、プライマ層を塗布するのに使用するのと同じ噴霧技法および装置を用いて、乾燥プライマ層に塗布して貯留層を形成することができ、次に、乾燥によって、例えば、約50℃にて約1時間焼成させて乾燥貯留層が得られる。乾燥貯留層は約120μgのEVEROLIMUSを含有し得る。
【0064】
第三の組成物は次の成分を混合して調製することができる:
(a)室温にて約0.67dl/cmのインヘレント粘度を有する、約1.0重量%〜約15重量%、例えば、約2.0重量%DLPLAおよび
(b)バランスとして約4:1のTCEとクロロホルムの質量比を有するTCEおよびクロロホルムを含む溶剤混合物。
【0065】
第三の組成物は、プライマ層および貯留層を塗布するのに使用するのと同じ噴霧技法および装置を用いて、乾燥貯留層に塗布してトップコート層を形成することができ、次に、乾燥によって、例えば、約50℃にて約1時間焼成させて乾燥トップコート層が得られる。乾燥トップコート層は約300μgのDLPLAを含有し得る。
【実施例2】
【0066】
12mm VISIONステントは実施例1に記載したようにコーティングすることができる。組成物は次の成分を混合して調製することができる:
(a)約45モル%PBTユニットおよび約55モル%PEGユニットを有する、約1.0重量%〜約15重量%、例えば、約2.0重量%PEG−PBT。PEGユニットの分子量は約300ダルトンとすることができ、PBTブロックの分子量は約100,000ダルトンとすることができる;および
(b)バランスとして上記のTCEとクロロホルムの混合物。
【0067】
組成物は、プライマ層を塗布するのに使用するのと同じ噴霧技法および装置を用いて、ステントが仕上塗層を形成するようにコーティングされた乾燥ステント用コーティングに塗布し、次に、乾燥によって、例えば、約50℃にて約1時間焼成させて乾燥仕上塗層が得られる。乾燥仕上塗層は約150μgのPEG−PBTを含有し得る。
【実施例3】
【0068】
ステントは実施例1に記載したようにプライマ層をコーティングすることができる。第一の組成物は次の成分を混合して調製することができる:
(a)約0.05重量%〜約3.0重量%、例えば、約0.7重量%EVEROLIMUS;
(b)室温にて約0.67dl/cmのインヘレント粘度を有する、約1.0重量%〜約15重量%、例えば、約2.1重量%DLPLA、および
(c)バランスとして上記のTCEとクロロホルムの混合物。
【0069】
EVEROLIMUSとDLPLAの質量比は約1:3とすることができる。第一の組成物は、プライマ層を塗布するのに使用するのと同じ噴霧技法および装置を用いて、乾燥プライマ層に塗布して貯留層を形成することができ、次に、乾燥によって、例えば、約50℃にて約1時間焼成させて乾燥貯留層が得られる。乾燥貯留層は約75μgのEVEROLIMUSおよび約225μgのDLPLAを含有し得る。
【0070】
第二の組成物は次の成分を混合して調製することができる:
(a)室温にて約0.67dl/cmのインヘレント粘度を有する、約1.0重量%〜約15重量%、例えば、約2.0重量%DLPLAおよび
(b)バランスとして上記のTCEとクロロホルムの混合物。
【0071】
第二の組成物は、プライマ層および貯留層を塗布するのに使用するのと同じ噴霧技法および装置を用いて、乾燥貯留層に塗布してトップコート層を形成することができ、次に、乾燥によって、例えば、約50℃にて約1時間焼成させて乾燥トップコート層が得られる。乾燥トップコート層は約100μgのDLPLAを含有し得る。
【実施例4】
【0072】
ステントは実施例3に記載したものと同じ方法に従ってコーティングすることができる。但し、貯留層においてDLPLAをカルボキシル化DLPLA(DLPLA−COOH)に置換することができ、これはBirmingham Polymers,Inc.から市販されている。乾燥貯留層は約75μgのEVEROLIMUSおよび約225μgのDLPLA−COOHを含有し得る。
【実施例5】
【0073】
(DLPLA−PEG−DLPLAブロックコポリマーの合成)
約3,400ダルトンの分子量を有する、約33mmolのPEGジオールと、アセトンから再結晶化した約33molのD,Lラクチドをフラスコに入れ、無水トルエン中に溶解させた。真空下にて共沸蒸留を二度行い、残留水を除去した。PEG−ジオールとD,Lラクチドの混合物を真空下にて約10分間、約140℃まで加熱した。真空は約7Torr下であった。約140℃にて温度を維持したが、フラスコにアルゴンを導入し、フラスコ中のアルゴン雰囲気が維持されたため、触媒量のオクタン酸第一錫(2滴、21ゲージ針)をPEG−ジオールとD,Lラクチドの混合物に加えた。次に、約160℃の温度にて約10時間、反応を行った。生成したポリマーをアセトン中に溶解し、メタノール中に沈殿させ、約60℃にて約72時間、真空乾燥させた。
【実施例6】
【0074】
ステントは実施例1に記載したようにプライマ層をコーティングすることができる。第一の組成物は次の成分を混合して調製することができる:
(a)約0.05重量%〜約3.0重量%、例えば、約0.7重量%EVEROLIMUS;
(b)実施例5に記載した約1.0重量%〜約15重量%、例えば、約2.1重量%のポリ(乳酸)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(乳酸)(DLPLA−PEG−DLPLA);および
(c)バランスとして上記のTCEとクロロホルムの混合物。
【0075】
EVEROLIMUSとDLPLA−PEG−DLPLAの質量比は約1:3とすることができる。第一の組成物は、プライマ層を塗布するのに使用するのと同じ噴霧技法および装置を用いて、乾燥プライマ層に塗布して貯留層を形成することができ、次に、乾燥によって、例えば、約50℃にて約1時間焼成させて乾燥貯留層が得られる。乾燥貯留層は約75μgのEVEROLIMUSおよび約225μgのDLPLA−PEG−DLPLAを含有し得る。
【0076】
第二の組成物は次の成分を混合して調製することができる:
(a)実施例2に記載した約1.0重量%〜約15重量%、例えば、約2.0重量%PEG−PBTブロックコポリマー;および
(b)バランスとして上記のTCEとクロロホルムの混合物。
【0077】
第二の組成物は、プライマ層および貯留層を塗布するのに使用するのと同じ噴霧技法および装置を用いて、乾燥貯留層に塗布してトップコート層を形成することができ、次に、乾燥によって、例えば、約50℃にて約1時間焼成させて乾燥トップコート層が得られる。乾燥トップコート層は約150μgのPEG−PBTを含有し得る。
【実施例7】
【0078】
ステントは実施例1に記載したようにプライマ層をコーティングすることができる。第一の組成物は次の成分を混合して調製することができる:
(a)約0.05重量%〜約3.0重量%、例えば、約0.7重量%EVEROLIMUS;
(b)約1.0重量%〜約15重量%、例えば、約2.1重量%DLPLA;
(c)約0.05重量%〜約3.0重量%、例えば、約0.7重量%のアミノ基を両末端とするPEG(PEG−ジアミン);および
(d)バランスとして上記のTCEとクロロホルムの混合物。
【0079】
PEG−ジアミン付加物は、商標名JEFFAMINEにてテキサス州ヒューストンのHuntsman Chemical Co.から市販されている。EVEROLIMUSとDLPLAとPEG−ジアミンの質量比は約1:3:1とすることができる。第一の組成物は、プライマ層を塗布するのに使用するのと同じ噴霧技法および装置を用いて、乾燥プライマ層に塗布して貯留層を形成することができ、次に、乾燥によって、例えば、約50℃にて約1時間焼成させて乾燥貯留層が得られる。乾燥貯留層は約60μgのEVEROLIMUS、約60μgのPEG−ジアミン、および約180μgのDLPLAを含有し得る。次に、実施例6に記載したように、乾燥貯留層上にトップコート層を形成することができる。
【0080】
本発明の特定の実施形態を示して説明したが、本発明から逸脱することなくより広範な態様において変更および改変が可能であることは当業者には明らかであろう。従って、添付の特許請求の範囲はその範囲内で、本発明の真の精神および範囲内に含まれる、こうしたあらゆる変更および改変を包含するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティングを有する埋め込み型基体を含む医療用製品であって、該コーティングが、ポリ(乳酸)の誘導体を含むポリマーまたはポリ(乳酸)由来の少なくとも1つの部分を有するブロックコポリマーを含有する医療用製品。
【請求項2】
前記医療用製品がステントである、請求項1に記載の医療用製品。
【請求項3】
ポリ(乳酸)がポリ(D−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、またはポリ(D,L−乳酸)を含む、請求項1に記載の医療用製品。
【請求項4】
前記ポリ(乳酸)の誘導体が加水分解ポリ(乳酸)またはカルボキシル化ポリ(乳酸)である、請求項1に記載の医療用製品。
【請求項5】
前記ブロックコポリマーがジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、またはその混合物を含む、請求項1に記載の医療用製品。
【請求項6】
前記ジブロックコポリマーおよびトリブロックコポリマーが、少なくとも1つの生体適合性部分を含有する、請求項5に記載の医療用製品。
【請求項7】
前記生体適合性部分がポリ(エチレングリコール)である、請求項6に記載の医療用製品。
【請求項8】
前記生体適合性部分が、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(テトラメチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド−co−プロピレンオキシド)、ε−カプロラクトン、β−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、グリコリド、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)とその塩、ポリ(スチレンスルホン酸)、スルホン化デキストラン、ポリホスファゼン、ポリ(オルソエステル)、ポリ(チロシンカーボネート)、ヒアルロン酸またはその誘導体、ポリ(エチレングリコール)とヒアルロン酸またはその誘導体とのコポリマー、ヘパリン、ポリエチレングリコールとヘパリンとのコポリマー、ポリ(L−リジン)およびポリ(エチレングリコール)のグラフトコポリマーからなる群から選択される、請求項6に記載の医療用製品。
【請求項9】
前記ジブロックコポリマーが、化学式、
【化1】

を有するコポリマーであって、式中、各“n”および“m”が整数である、請求項5に記載の医療用製品。
【請求項10】
“n”が約21〜約278の値を有し、“m”が約11〜約682の値を有する、請求項9に記載の医療用製品。
【請求項11】
前記トリブロックコポリマーが、化学式、
【化2】

を有するコポリマーであって、式中、各“n”、“m”、および“p”が整数である、請求項5に記載の医療用製品。
【請求項12】
“n”が約21〜約278の値を有し、“m”が約11〜約682の値を有し、“p”が約21〜約278の値を有する、請求項11に記載の医療用製品。
【請求項13】
前記トリブロックコポリマーが、化学式、
【化3】

を有するコポリマーであって、式中、各“n”、“m”、および“p”が整数である、請求項5に記載の医療用製品。
【請求項14】
“n”が約21〜約278の値を有し、“m”が約11〜約682の値を有し、“p”が約11〜約682の値を有する、請求項13に記載の医療用製品。
【請求項15】
前記ジブロックコポリマーおよびトリブロックコポリマーが、ポリ(乳酸)およびポリ(エチレングリコール)の加水分解ブロックコポリマーである、請求項5に記載の医療用製品。
【請求項16】
前記コーティングが生物学的に吸収可能なポリマーを更に含む、請求項1に記載の医療用製品。
【請求項17】
前記生物学的に吸収可能なポリマーが、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ヒドロキシバレレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート−co−バレレート)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(エチレン−グリコール)−ブロック−ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレン−グリコール)−ブロック−ポリ(ブチレンテレフタレート)−ブロック−ポリ(エチレン−グリコール)、ポリ(ブチレンテレフタレート)−ブロック−ポリ(エチレン−グリコール)−ブロック−ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレン−グリコール)−ブロック−ポリ(カプロラクトン)、ポリ(エチレン−グリコール)−ブロック−ポリ(カプロラクトン)−ブロック−ポリ(エチレン−グリコール)、ポリ(カプロラクトン)−ブロック−ポリ(エチレン−グリコール)−ブロック−ポリ(カプロラクトン)、およびその混合物からなる群から選択される、請求項16に記載の医療用製品。
【請求項18】
コーティング中に組み入れられた生物学的活性剤を更に含む、請求項1に記載の医療用製品。
【請求項19】
医療用製品を製造する方法であって、埋め込み型基体の少なくとも一部分をコーティング処理するステップを含み、コーティングがポリ(乳酸)の誘導体を含むポリマーまたはポリ(乳酸)由来の少なくとも1つの部分を有するブロックコポリマーを含有する方法。
【請求項20】
前記医療用製品がステントである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ポリ(乳酸)がポリ(D−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、またはポリ(D,L−乳酸)を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
ポリ(乳酸)を加水分解あるいはカルボキシル化して前記ポリ(乳酸)の誘導体を得るステップを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記ブロックコポリマーがジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、またはその混合物を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記ジブロックコポリマーおよびトリブロックコポリマーが、少なくとも1つの生体適合性部分を含有する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記生体適合性部分がポリ(エチレングリコール)である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記生体適合性部分が、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(テトラメチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド−co−プロピレンオキシド)、ε−カプロラクトン、β−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、グリコリド、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)とその塩、ポリ(スチレンスルホン酸)、スルホン化デキストラン、ポリホスファゼン、ポリ(オルソエステル)、ポリ(チロシンカーボネート)、ヒアルロン酸またはその誘導体、ポリ(エチレングリコール)とヒアルロン酸またはその誘導体とのコポリマー、ヘパリン、ポリエチレングリコールとヘパリンとのコポリマー、ポリ(L−リジン)およびポリ(エチレングリコール)のグラフトコポリマーからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記ジブロックコポリマーが、化学式、
【化4】

を有するコポリマーであって、式中、各“n”および“m”が整数である、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
“n”が約21〜約278の値を有し、“m”が約11〜約682の値を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記トリブロックコポリマーが、化学式、
【化5】

を有するコポリマーであって、式中、各“n”、“m”、および“p”が整数である、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
“n”が約21〜約278の値を有し、“m”が約11〜約682の値を有し、“p”が約21〜約278の値を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記トリブロックコポリマーが、化学式、
【化6】

を有するコポリマーであって、式中、各“n”、“m”、および“p”が整数である、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
n”が約21〜約278の値を有し、“m”が約11〜約682の値を有し、“p”が約11〜約682の値を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ジブロックコポリマーおよびトリブロックコポリマーを加水分解してポリ(乳酸)およびポリ(エチレングリコール)の加水分解ブロックコポリマーを得るステップと、ポリ(乳酸)およびポリ(エチレングリコール)の加水分解ブロックコポリマーを前記コーティング中に組み入れるステップとを更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項34】
生物学的に吸収可能なポリマーを組み入れるステップを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項35】
前記生物学的に吸収可能なポリマーが、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ヒドロキシバレレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート−co−バレレート)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(エチレン−グリコール)−ブロック−ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレン−グリコール)−ブロック−ポリ(ブチレンテレフタレート)−ブロック−ポリ(エチレン−グリコール)、ポリ(ブチレンテレフタレート)−ブロック−ポリ(エチレン−グリコール)−ブロック−ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレン−グリコール)−ブロック−ポリ(カプロラクトン)、ポリ(エチレン−グリコール)−ブロック−ポリ(カプロラクトン)−ブロック−ポリ(エチレン−グリコール)、ポリ(カプロラクトン)−ブロック−ポリ(エチレン−グリコール)−ブロック−ポリ(カプロラクトン)、およびその混合物からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
生物学的活性剤をコーティング中に組み入れるステップを更に含む、請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2007−512094(P2007−512094A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541411(P2006−541411)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/038843
【国際公開番号】WO2005/051449
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(504183388)アドヴァンスド カーディオヴァスキュラー システムズ, インコーポレイテッド (40)
【Fターム(参考)】