説明

乾式粉砕装置および乾式粉砕方法

被粉砕物10を乾式粉砕する粉砕手段20と、粉砕手段20により得られた粉砕物21を、平均粒子径が相対的に小さい細粉31と相対的に大きい粗粉32とに分級する第1の分級手段30と、第1の分級手段30により得られた粗粉32を、さらに平均粒子径が相対的に小さい細粉51と相対的に大きい粗粉52とに分級する第2の分級手段50と、第2の分級手段50により得られた粗粉52を、粉砕手段20に循環させる循環手段70とを備えた乾式粉砕装置により、所望の平均粒子径の製品を効率良く得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、研削材や研磨材、フィラー材等を製造する際に用いて好適な乾式粉砕装置、および該装置を用いた乾式粉砕方法に関するものである。
【背景技術】
研削材や研磨材、フィラー材等として用いられるアルミナや炭化珪素等のセラミックス粉体は、一般に、平均粒子径の大きい原料粉体を粉砕することによって製造されている。粉砕方法は回分粉砕法と連続粉砕法とに大別され、連続粉砕法はさらに開回路粉砕法と閉回路粉砕法とに大別されるが、粉砕効率に優れることから、連続粉砕法、特に閉回路粉砕法が広く採用されている。また、粉砕方法としては乾式粉砕法と湿式粉砕法とがあるが、乾燥状態の製品が求められる場合には、乾燥工程を必要としない乾式粉砕法が採用されることが多い。
乾式閉回路粉砕装置は、例えば、「化学工学便覧」,丸善,昭和53年10月25日,p.1265に記載されている。以下、図4に基づいて、その概略について説明する。
図4に示すように、従来の乾式閉回路粉砕装置は、被粉砕物110を乾式粉砕する粉砕手段120と、粉砕手段120により得られた粉砕物121を、平均粒子径が相対的に小さい細粉131と相対的に大きい粗粉132とに分級する分級手段130と、分級手段130により得られた粗粉132を、粉砕手段120に循環させる循環手段140とから概略構成されている。
この装置では、分級手段130により得られた細粉131が回収され、粗粉132については、所定範囲の平均粒子径になるまで繰り返し粉砕が行われる。なお、回収された細粉は、そのまま、あるいは必要に応じてさらに分級されて、各種の用途に利用される。
しかしながら、上記従来の乾式粉砕装置においては、所望の平均粒子径の製品を効率良く得ることができないことがあった。
研削材や研磨材等として好適に用いられるアルミナ粉体の平均粒子径は、例えば45〜90μmである。しかしながら、上記従来の装置において、分級手段により得られた細粉をさらに分級してかかる平均粒子径のアルミナ粉体を得る場合、粉砕手段として中砕機を用いると、細粉中に目的とする粒度より大きい粒度を有する粒子が多く混入するため、細粉中の有用粒度域が狭く、非効率的であった。
細粉中の有用粒度域を拡大するには、粉砕手段として微粉砕機を用いれば良いが、この場合には、細粉中に含まれる微粉量が多くなるため、細粉の分級効率が悪くなり、非効率的であった。
【発明の開示】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、所望の平均粒子径の製品を効率良く得ることが可能な乾式粉砕装置および乾式粉砕方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、本発明に到達した。
本発明は、以下に記載の乾式粉砕装置及び乾式粉砕方法を提供する。
(1) 被粉砕物を乾式粉砕する粉砕手段と、
前記粉砕手段により得られた粉砕物を、平均粒子径が相対的に小さい細粉と相対的に大きい粗粉とに分級する第1の分級手段と、
前記第1の分級手段により得られた粗粉を、さらに平均粒子径が相対的に小さい細粉と相対的に大きい粗粉とに分級する第2の分級手段と、
前記第2の分級手段により得られた粗粉を、前記粉砕手段に循環させる循環手段とを有することを特徴とする乾式粉砕装置。
(2) 前記第2の分級手段により得られた細粉を、さらに平均粒子径が相対的に小さい細粉と相対的に大きい粗粉とに分級する第3の分級手段と、
前記第3の分級手段により得られた粗粉を、前記粉砕手段に循環させる循環手段とをさらに有することを特徴とする上記(1)に記載の乾式粉砕装置。
(3) 前記粉砕手段がボールミルであることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の乾式粉砕装置。
(4) 前記第1の分級手段が気流式分級機であることを特徴とする上記(1)から(3)までのいずれか1項に記載の乾式粉砕装置。
(5) 前記第2の分級手段が篩であることを特徴とする上記(1)から(4)までのいずれか1項に記載の乾式粉砕装置。
(6) 前記第3の分級手段が篩であることを特徴とする上記(2)に記載の乾式粉砕装置。
(7) 前記第2の分級手段において、得られた細粉をさらに平均径が相対的に小さい微粉と相対的に大きい細粉とに分級する分級手段と、
この分級手段により得られた微粉を、前記粉砕手段に循環させる循環手段とを有することを特徴とする上記(5)記載の乾式粉砕装置。
(8) 前記第3の分級手段において、得られた細粉をさらに平均径が相対的に小さい微粉と相対的に大きい細粉とに分級する分級手段と、
この分級手段により得られた微粉を、前記粉砕手段に循環させる循環手段とを有することを特徴とする上記(6)記載の乾式粉砕装置。
(9) 前記第1の分級手段および前記第2の分級手段により得られた細粉を各々回収する回収手段をさらに有すると共に、
前記第2の分級手段により得られた細粉を回収する回収手段には除鉄手段が備えられていることを特徴とする上記(1)に記載の乾式粉砕装置。
(10) 前記第1の分級手段および前記第3の分級手段により得られた細粉を各々回収する回収手段をさらに有すると共に、
前記第3の分級手段により得られた細粉を回収する回収手段には除鉄手段が備えられていることを特徴とする上記(2)に記載の乾式粉砕装置。
(11) 前記第1の分級手段により得られる細粉の平均粒子径が5〜25μmであることを特徴とする上記(9)又は(10)に記載の乾式粉砕装置。
(12) 前記第2の分級手段により得られる細粉の平均粒子径が45〜90μmであり、かさ比重が1.7〜2.3であることを特徴とする上記(9)に記載の乾式粉砕装置。
(13) 前記第3の分級手段により得られる細粉の平均粒子径が45〜90μmであり、かさ比重が1.7〜2.3であることを特徴とする上記(10)に記載の乾式粉砕装置。
(14) 被粉砕物がアルミナであることを特徴とする上記(1)から(13)までのいずれか1項に記載の乾式粉砕装置。
(15) 被粉砕物を乾式粉砕する粉砕工程と、
前記粉砕工程により得られた粉砕物を、平均粒子径が相対的に小さい細粉と相対的に大きい粗粉とに分級する第1の分級工程と、
前記第1の分級工程により得られた粗粉を、さらに平均粒子径が相対的に小さい細粉と相対的に大きい粗粉とに分級する第2の分級工程と、
前記第2の分級工程により得られた粗粉を、前記粉砕工程に循環させる循環工程とを有することを特徴とする乾式粉砕方法。
(16) 前記第2の分級工程において、得られた細粉をさらに平均径が相対的に小さい微粉と相対的に大きい細粉とに分級する分級工程と、
この分級手段により得られた微粉を、前記粉砕工程に循環させる循環工程とを有することを特徴とする上記(15)記載の乾式粉砕方法。
(17) 前記第1の分級工程および前記第2の分級工程により得られた細粉を各々回収する回収工程をさらに有すると共に、
前記第2の分級工程により得られた細粉を回収する回収工程には除鉄工程が含まれていることを特徴とする上記(15)又は(16)に記載の乾式粉砕方法。
(18) 前記第2の分級工程により得られた細粉を、さらに平均粒子径が相対的に小さい細粉と相対的に大きい粗粉とに分級する第3の分級工程と、
前記第3の分級工程により得られた粗粉を、前記粉砕工程に循環させる循環工程とをさらに有することを特徴とする上記(15)に記載の乾式粉砕方法。
(19) 前記第3の分級工程において、得られた細粉をさらに平均粒子径が相対的に小さい微粉と相対的に大きい細粉とに分級する分級工程と、
この分級工程により得られた微粉を、前記粉砕工程に循環させる循環工程とを有することを特徴とする上記(18)に記載の乾式粉砕方法。
(20) 前記第1の分級工程および前記第3の分級工程により得られた細粉を各々回収する回収工程をさらに有すると共に、
前記第3の分級工程により得られた細粉を回収する回収工程には除鉄工程が含まれていることを特徴とする上記(18)又は(19)に記載の乾式粉砕方法。
上述のとおり、本発明の乾式粉砕装置は、被粉砕物を乾式粉砕する粉砕手段と、前記粉砕手段により得られた粉砕物を、平均粒子径が相対的に小さい細粉と相対的に大きい粗粉とに分級する第1の分級手段と、前記第1の分級手段により得られた粗粉を、さらに平均粒子径が相対的に小さい細粉と相対的に大きい粗粉とに分級する第2の分級手段と、さらに必要に応じ第2の分級手段により得られた細粉をさらに平均径が相対的に小さい微粉と相対的に大きい細粉とに分級する分級手段を第2の分級手段に設けることと、前記第2の分級手段により得られた粗粉および微粉を、前記粉砕手段に循環させる循環手段とを有することを特徴とする。
この本発明の乾式粉砕装置において、前記第1の分級手段および前記第2の分級手段により得られた細粉を各々回収する回収手段をさらに有すると共に、前記第2の分級手段により得られた細粉を回収する回収手段には除鉄手段が備えられていることが好ましい。
また、本発明の乾式粉砕装置において、前記第2の分級手段により得られた細粉を、さらに平均粒子径が相対的に小さい細粉と相対的に大きい粗粉とに分級する第3の分級手段と、さらに必要に応じ第3の分級手段により得られた細粉をさらに平均径が相対的に小さい微粉と相対的に大きい細粉とに分級する分級手段を第3の分級手段に設けることと、前記第3の分級手段により得られた粗粉および微粉を、前記粉砕手段に循環させる循環手段とをさらに有する構成としても良い。
この場合には、前記第1の分級手段および前記第3の分級手段により得られた細粉を各々回収する回収手段をさらに有すると共に、前記第3の分級手段により得られた細粉を回収する回収手段には除鉄手段が備えられていることが好ましい。
本発明の乾式粉砕装置において、前記粉砕手段としてはボールミルが好適である。前記第1の分級手段としては気流式分級機が好適であり、前記第2の分級手段、前記第3の分級手段としては篩が好適である。
また、前記第1の分級手段により得られる細粉の平均粒子径が5〜25μmであることが好ましく、前記第2の分級手段又は前記第3の分級手段により得られる細粉の平均粒子径が45〜90μmであり、かさ比重が1.7〜2.3であることが好ましい。また、被粉砕物としては、アルミナ、炭化珪素等のセラミックスが好ましく、特にアルミナが好適である。
本発明の乾式粉砕方法は、被粉砕物を乾式粉砕する粉砕工程と、前記粉砕工程により得られた粉砕物を、平均粒子径が相対的に小さい細粉と相対的に大きい粗粉とに分級する第1の分級工程と、前記第1の分級工程により得られた粗粉を、さらに平均粒子径が相対的に小さい細粉と相対的に大きい粗粉とに分級する第2の分級工程と、さらに必要に応じ第2の分級工程により得られた細粉をさらに平均径が相対的に小さい微粉と相対的に大きい細粉とに分級する分級工程を第2の分級工程に設けることと、前記第2の分級工程により得られた粗粉及び微粉を、前記粉砕工程に循環させる循環工程とを有することを特徴とする。
この本発明の乾式粉砕方法において、前記第1の分級工程および前記第2の分級工程により得られた細粉を各々回収する回収工程をさらに有すると共に、前記第2の分級工程により得られた細粉を回収する回収工程には除鉄工程が含まれていることが好ましい。
また、前記第2の分級工程により得られた細粉を回収する回収工程を有する代わりに、前記第2の分級工程により得られた細粉を、さらに平均粒子径が相対的に小さい細粉と相対的に大きい粗粉とに分級する第3の分級工程と、さらに必要に応じ第3の分級工程により得られた細粉をさらに平均径が相対的に小さい微粉と相対的に大きい細粉とに分級する分級工程を第3の分級工程に設けることと、前記第3の分級工程により得られた粗粉及び微粉を、前記粉砕工程に循環させる循環工程とをさらに有する構成としても良い。
この場合には、前記第1の分級工程および前記第3の分級工程により得られた細粉を各々回収する回収工程を有すると共に、前記第3の分級工程により得られた細粉を回収する回収工程には除鉄工程が含まれていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に係る第1実施形態の乾式粉砕装置および乾式粉砕方法を示す図である。
図2は、本明細書においてかさ比重を測定するために用いる装置の概略図である。
図3は、本発明に係る第2実施形態の乾式粉砕装置および乾式粉砕方法を示す図である。
図4は、従来の乾式粉砕装置および乾式粉砕方法を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
[第1実施形態]
次に、図1に基づいて、本発明に係る第1実施形態の乾式粉砕装置および該装置を用いた乾式粉砕方法について説明する。
図1に示すように、本実施形態の乾式粉砕装置は、被粉砕物10を乾式粉砕する粉砕手段20と、粉砕手段20により得られた粉砕物21を、平均粒子径が相対的に小さい細粉31と相対的に大きい粗粉32とに分級する第1の分級手段30と、第1の分級手段30により得られた粗粉32を、さらに平均粒子径が相対的に小さい細粉51と相対的に大きい粗粉52とに分級する第2の分級手段50と、さらに必要に応じ第2の分級手段50により得られた細粉51をさらに平均径が相対的に小さい微粉と相対的に大きい細粉とに分級する分級手段を第2の分級手段50に設けることと(図示略)、第2の分級手段50により得られた粗粉52及び微粉(図示略)を、粉砕手段20に循環させる循環手段70とを有して構成されている。
また、本実施形態の乾式粉砕装置には、第1の分級手段30により得られた細粉31を「細粉製品」として回収する細粉製品回収手段40と、第2の分級手段50により得られた細粉51を「粗粉製品」として回収する粗粉製品回収手段60とがさらに備えられている。また、粗粉製品回収手段60には、細粉51から鉄分を除去する除鉄手段(図示略)が備えられていることが好ましい。
なお、「細粉製品」、「粗粉製品」は、本実施形態において得られる生産物(製品とも言う。)のうち、平均粒子径が相対的に小さいもの、相対的に大きいものを各々示すものとする。
この装置を用いた本実施形態の乾式粉砕方法は、被粉砕物10を乾式粉砕する粉砕工程と、粉砕工程により得られた粉砕物21を、平均粒子径が相対的に小さい細粉31と相対的に大きい粗粉32とに分級する第1の分級工程と、第1の分級工程により得られた粗粉32を、さらに平均粒子径が相対的に小さい細粉51と相対的に大きい粗粉52とに分級する第2の分級工程と、さらに必要に応じ第2の分級工程により得られた細粉51をさらに平均径が相対的に小さい微粉と相対的に大きい細粉とに分級する分級工程を第2の分級工程に設けることと、前記第2の分級工程により得られた粗粉52及び微粉を、粉砕工程に循環させる循環工程とを有して構成される。また、第1の分級工程および第2の分級工程により得られた細粉31、51を各々回収する回収工程をさらに有すると共に、第2の分級工程により得られた細粉51を回収する回収工程には除鉄工程が含まれていることが好ましい。
本実施形態において、被粉砕物10の材質としては特に限定されないが、例えば、アルミナ、炭化珪素等のセラミックスが挙げられる。また、その形態は粉体が好ましい。
アルミナ粉体は、これをフィラー材として配合した樹脂組成物に高耐摩耗性と高透明性を付与することができるなどの利点を有し、種々の用途に利用されている。かかるアルミナ粉体を得るために用いて好適な原料としては、電融アルミナ等が具体的に挙げられる。
第1の分級手段30により得られる細粉製品、および第2の分級手段50により得られる粗粉製品の物性は特に限定されず、用途等に応じて適宜設計される。
但し、第1の分級手段30により得られる細粉製品の平均粒子径は5〜25μmの範囲内とすることが好ましく、10〜20μmの範囲内とすることがより好ましい。
細粉製品の平均粒子径が5μm未満では、粗粉32中に含まれる微粉量が多くなり、粗粉32を再度分級する第2の分級工程の分級効率が低下する恐れがあり、好ましくない。細粉製品の平均粒子径が25μm超では、細粉製品の有用粒度域が狭くなると共に、粗粉製品の回収量が低下するため、好ましくない。
これに対して、第2の分級手段50により得られる粗粉製品の平均粒子径は45〜90μmの範囲内とすることが好ましく、55〜75μmの範囲内とすることがより好ましい。また、同製品のかさ比重は1.7〜2.3の範囲内とすることが好ましく、1.8〜2.1の範囲内とすることがより好ましい。
粗粉製品の平均粒子径が45μm未満では、フィラー材として樹脂組成物中に配合する際の分散性が悪くなり、樹脂組成物の不均一化などの特性低下を招く恐れがある。粗粉製品の平均粒子径が90μm超では、フィラー材として樹脂組成物中に配合した際に、樹脂層の厚みより径の大きい粒子が含まれる場合があり、これによって樹脂層の表面平滑性低下などの特性低下を招く恐れがある。また、粗粉製品のかさ比重が1.7未満では、フィラー材として樹脂組成物中に配合する際の充填性が悪くなり、かさ比重が2.3超では、粉砕手段20内の滞留時間を長くする必要があり、過粉砕となり、また、生産性が劣り非効率的である。
なお、本明細書において、「平均粒子径」はレーザー回折法および「JIS R 6002:1998の3.試験方法の種類a)ふるい分け試験方法」の方法に準拠して測定されるものとし、「かさ比重」は、「JIS R 6126−1970」に準拠して測定されるものとする。すなわち、本明細書において、「平均粒子径」および「かさ比重」は以下のとおり測定されるものとする。
1.平均粒子径の測定(JIS R 6002;ふるい分け試験方法):
1.1 装置及び標準試料
1.1.1 試験機 衝動数156回/min、回転数290回/minのロータップ試験機を用いる。
1.1.2 ふるい 内枠の寸法が、内径200mm、深さ45mmの試験用網ふるいを用いる。
1.1.3 標準試料 ふるい分け結果を補正するために用いる標準試料は、褐色アルミナ研削材を各粒度の標準的粒度分布にふるい分け、粒度分布の基準値を与えたものである。
1.2 操作 ふるい分け試験の操作は、次のとおりとする。
a) 100g試料をはかり採る。
b) 試験機にJIS Z 8801に規定する試験用網ふるい(例えば、「JIS Z 8801 試験用網ふるい」、直径200mm×高さ45mm、株式会社飯田製作所製)を、ふるい目の開きの小さいものから順に受け皿の上に積み重ねる。
c) 試料を1段目のふるいに入れ、試験機で5分間振とうする。
d) 各々のふるい及び受け皿の上の試料の質量を0.1gのけたまではかる。この際、試料の合計の質量が99.0g以下になった場合は、再試験を行う。
1.3 計算 ふるい分けられた試料の質量百分率を計算する。
1.4 標準試料による補正 標準試料を用いて計算値を補正し、測定値とする。
2.かさ比重の測定(JIS R 6126):
2.1 約120mlの試料を採取し、乾燥状態にする。
2.2 試験方法
2.2.1 装置 図2の寸法(単位:mm)の漏斗141、ストッパー142、シリンダー143、支持台144からなる試験装置を用いる。各部材の材質は以下のとおりである。
漏斗141: ステンレス鋼
ストッパー142: 黄銅
シリンダー143: 黄銅(黄銅継目無管に黄銅の底をつける)
(上記及び図中に指定されたもの以外の寸法及び形状は適当でよい。)
2.2.2 操作
(1)シリンダー143の容積を水道水を用いて0.1mlまで正確にはかる。
(2)漏斗141の出口をストッパー142でふさぎ、試料約120mlを漏斗内に入れた後、シリンダー143を漏斗141の真下に置く。
(3)ストッパー142を引き抜き、試料の全量をシリンダー143内に落とす。シリンダー143の上面から盛り上がった試料は、金属板をシリンダー143の上縁に30〜45度の角度で密着させながら軽くすくい取るように除く。次にシリンダーに入った試料の重さを0.1gまで正確にはかる。
(4)(2)と(3)の操作を同一試料について3回繰り返す。3回の重さの最大と最小との差が1.0g以上ある場合は、さらに(2)と(3)の操作を繰り返し、範囲が1.0g未満の数字3個をとる。
2.2.3 計算 次の式によってかさ比重を計算する。

ここに、W、W、W: シリンダーにはいった各回の試料の重さ(g)
V: シリンダー容積(ml)
粉砕手段20としては被粉砕物10を粉砕できるものであれば特に限定されず、所望の製品の物性等に応じて適宜選択できる。
例えば、平均粒子径が5〜25μmの細粉製品、および平均粒子径が45〜90μmでありかさ比重が1.7〜2.3の粗粉製品を得る場合には、「微粉砕機」と一般に定義されている粉砕機が好適に用いられる。中でも、ボールミルが好ましい。ボールミルを用いることにより、前述の物性を有する細粉製品および粗粉製品を効率良く得ることができる。また、微粉砕機の中でも安価であり、設備コスト面でも有利である。
第1の分級手段30としては、粉砕手段20により得られた粉砕物21を分級できるものであれば特に限定されないが、例えば、気流式分級機、篩等が挙げられる。中でも、細粉31の分級効率(細粉製品の回収効率)に優れることから、気流式分級機が好ましい。
第2の分級手段50としても、第1の分級手段30により得られた粗粉32を分級できるものであれば特に限定されないが、例えば、気流式分級機、篩等が挙げられる。中でも、細粉51の分級効率(粗粉製品の回収効率)に優れることから、篩が好ましい。
細粉51(粗粉製品)から鉄分を除去する除鉄手段としては、磁気分離機等が挙げられる。かかる除鉄手段を設けることにより、粉砕工程や分級工程等において粉体に混入する鉄分を除去することができ、不純物の少ない高品質な粗粉製品を得ることができる。
また、細粉31(細粉製品)を回収する細粉回収手段40にも、必要に応じて同様の除鉄手段を設けても良い。
本実施形態の乾式粉砕装置および該装置を用いた乾式粉砕方法では、第1の分級手段30により得られた細粉31を「細粉製品」として回収すると共に、粗粉32を再度第2の分級手段50により細粉51と粗粉52とに分級し、得られた細粉51を「粗粉製品」として回収する構成を採用している。
このように本実施形態では、平均粒子径の異なる2種類の製品に分けて2段階で製品を回収する構成を採用しているので、用途等に応じて、「細粉製品」、「粗粉製品」を用いれば良く、回収した各々の製品の有用粒度域を広く確保することができ、効率的である。また、微粉を含む細粉31を分級して残った粗粉32のみを第2の分級手段50により再度分級するため、微粉の影響が少ない状態で粗粉32を分級することができる。そのため、微粉の存在による、第2の分級工程の分級効率の低下を招くこともない。
したがって、本実施形態によれば、所望の平均粒子径の製品(例えば、平均粒子径が5〜25μmの細粉製品、および平均粒子径が45〜90μmでありかさ比重が1.7〜2.3の粗粉製品)を極めて効率良く得ることができる。
なお、本実施形態によれば、粉砕手段20としてボールミル等を採用しているので、かさ比重が真比重の42〜58%(例えば、アルミナ(真比重3.98)の場合、かさ比重1.7〜2.3)と高い粗粉製品についても、効率良く得ることができる。
本実施形態により電融アルミナ等の原料アルミナを乾式粉砕すれば、研削材や研磨材、フィラー材等として好適な物性のアルミナ粉体を効率良く得ることができる。特に、本実施形態により得られるアルミナの粗粉製品は、樹脂とのなじみが良く、フィラー材として用いれば、充填率が高く、透明性の高い樹脂組成物を提供することができる。
[第2実施形態]
次に、図3に基づいて、本発明に係る第2実施形態の乾式粉砕装置および該装置を用いた乾式粉砕方法について説明する。なお、第1実施形態と同じ構成要素については同じ参照符号を付し、説明は省略する。
本実施形態の乾式粉砕装置が第1実施形態と異なる点は、第2の分級手段50により得られた細粉51を回収せずに、これをさらに平均粒子径が相対的に小さい細粉81と相対的に大きい粗粉82とに分級する第3の分級手段80と、さらに必要に応じ第3の分級手段80により得られた細粉81をさらに平均径が相対的に小さい微粉と相対的に大きい細粉とに分級する分級手段を第3の分級手段80に設けることと(図示略)、前記第3の分級手段80により得られた粗粉および微粉(図示略)を、粉砕手段20に循環させる循環手段100とをさらに備えている点にある。
また、本実施形態では、第2の分級手段50により得られた細粉51を粗粉製品として回収する粗粉製品回収手段の代わりに、第3の分級手段80により得られた細粉81を粗粉製品として回収する粗粉製品回収手段90が備えられている。この粗粉製品回収手段90には、第1実施形態と同様、細粉81から鉄分を除去する除鉄手段(図示略)が備えられていることが好ましい。
第3の分級手段80としては、第2の分級手段50により得られた細粉51を分級できるものであれば特に限定されないが、例えば、気流式分級機、篩等が挙げられる。中でも、細粉81の分級効率(粗粉製品の回収効率)に優れることから、篩が好ましい。
また、本実施形態の乾式粉砕方法が第1実施形態と異なる点は、第2の分級工程により得られた細粉51を、さらに平均粒子径が相対的に小さい細粉81と相対的に大きい粗粉82とに分級する第3の分級工程と、さらに必要に応じ第3の分級工程により得られた細粉81をさらに平均径が相対的に小さい微粉と相対的に大きい細粉とに分級する分級工程を第3の分級工程に設けることと、前記第3の分級工程により得られた粗粉82および微粉を、粉砕工程に循環させる循環工程とをさらに有する点にある。
本実施形態によれば、第2の分級手段50により得られた細粉51をさらに細粉81と粗粉82とに分級し、細粉81を粗粉製品として回収する構成を採用しているので、第1実施形態の効果に加えて、より安定した粒度分布の粗粉製品が得られ、粗粉製品の有用粒度域をより広くできるという効果が得られる。
【実施例】
次に、本発明に係る実施例について説明する。
【実施例1】
第1実施形態と同様の乾式粉砕装置を用いて乾式閉回路粉砕を行った。
被粉砕物として電融アルミナの粗粉砕品(粒径2mm以下)を用いた。粉砕手段として内容積0.5mの振動式ボールミル(粉砕媒体:アルミナボール、充填率70%)、第1の分級手段として強制渦流型気流式分級機(ホソカワミクロン製MS−4型)、第2の分級手段として円形振動篩を採用した。なお、乾式装置内で機器、風導管等の摩耗が激しい接粉部分にはライナー(アルミナ及びゴム)を施した。これにより、製品中の金属不純物量を低減させることができる。
先ず、振動式ボールミルの通渦流量を800kg/hとした。第1の分級手段では回転数を450r.p.m.、風量を120mとし、平均粒子径16μmの粗粉製品が得られた。また、第2の分級手段では125μmの篩網を取り付け粗粉を除き、平均粒子径61μm、かさ比重1.87の粗粉製品が得られた。粗粉製品の収率は72%であった。このように、本実施例によれば、所望の平均粒子径の製品を効率よく得ることができた。
【実施例2】
第2実施形態と同様の乾式粉砕装置を用いて乾式閉回路粉砕を行った。
被粉砕物として電融アルミナの粗粉砕品(粒径2mm以下)を用いた。粉砕手段として内容積1.0mのエアスエプト型転動式ボールミル(粉砕媒体:アルミナボール、充填率:45%)、第1の分級手段として強制渦流型気流式分級機(ホソカワミクロン製MS−1型)、第2の分級手段および第3の分級手段として面内篩を採用した。
先ず、転動式ボールミルの通過流量を250kg/hとした。第1の分級手段では回転数を1100r.p.m.、風量を15mとし、平均粒子径11μmの細粉製品が得られた。また、第2の分級手段では250μmの篩網を取り付け粗粉を除き、さらに第3の分級手段では106μmの篩網を取り付け粗粉を除き、45μmの篩網を取り付け細粉を除き整粒することで、平均粒子径58μm、かさ比重1.93の粗粉製品が得られた。第3の分級手段によって得られた粗粉製品の収率は69%であった。このように、本実施例によれば、所望の平均粒子径の製品を効率よく得ることができた。
また、第3の分級手段によって得られた粗粉製品に対してドラム型磁気分離機により除鉄処理を施すことにより、製品中の鉄量を240ppmから10ppm以下に下げることができた。
【実施例3】
第1実施形態と同様の乾式粉砕装置を用いて乾式閉回路粉砕を行った。
被粉砕物として電融ムライトの粗粉砕品(粒径1mm以下)を用いた。粉砕手段として内容積1.0mのエアスエプト型転動式ボールミル、第1の分級手段として強制渦流型気流式分級機(ホソカワミクロン製MS−1型)、第2の分級手段として円形振動篩を採用した。
先ず、転動式ボールミルの通過流量を250kg/hとした。第1の分級手段では回転数を750r.p.m.、風量を15mとし、平均粒子径20μmの細粉製品が得られた。また、第2の分級手段では150μmの篩網を取り付け粗粉を除き、53μmの篩網を取り付け細粉を除き整粒することで、平均粒子径74μm、かさ比重1.83の粗粉製品が得られた。第2の分級手段によって得られた粗粉製品の収率は74%であった。このように、本実施例によれば、所望の平均粒子径の製品を効率よく得ることができた。
(比較例)
図3に示す乾式粉砕装置を用いて乾式閉回路粉砕を行った。
被粉砕物として電融アルミナの粗粉砕品(粒径2mm以下)を用いた。粉砕手段として内容積0.5mの振動式ボールミル(粉砕媒体:アルミナボール、充填率70%)、分級手段として円形振動篩を採用した。さらに、得られた細粉を製品化するために分級手段を設け、強制渦流型気流式分級機(ホソカワミクロン製MS−1型)を採用した。。
先ず、振動式ボールミルの通過流量を800kg/hとした。分級手段では125μmの篩網を取り付け粗粉を除き、平均粒子径45μmの細粉が得られた。さらに、強制渦流型気流式分級機では回転数を900r.p.m.、風量を15mとし細粉を除き、平均粒子径63μm、かさ比重1.95の製品が得られた。この製品の収率は48%であった。
【産業上の利用可能性】
本発明によれば、所望の平均粒子径の製品を効率良く得ることが可能な乾式粉砕装置および乾式粉砕方法を提供することができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被粉砕物を乾式粉砕する粉砕手段と、
前記粉砕手段により得られた粉砕物を、平均粒子径が相対的に小さい細粉と相対的に大きい粗粉とに分級する第1の分級手段と、
前記第1の分級手段により得られた粗粉を、さらに平均粒子径が相対的に小さい細粉と相対的に大きい粗粉とに分級する第2の分級手段と、
前記第2の分級手段により得られた粗粉を、前記粉砕手段に循環させる循環手段とを有することを特徴とする乾式粉砕装置。
【請求項2】
前記第2の分級手段により得られた細粉を、さらに平均粒子径が相対的に小さい細粉と相対的に大きい粗粉とに分級する第3の分級手段と、
前記第3の分級手段により得られた粗粉を、前記粉砕手段に循環させる循環手段とをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の乾式粉砕装置。
【請求項3】
前記粉砕手段がボールミルであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の乾式粉砕装置。
【請求項4】
前記第1の分級手段が気流式分級機であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の乾式粉砕装置。
【請求項5】
前記第2の分級手段が篩であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の乾式粉砕装置。
【請求項6】
前記第3の分級手段が篩であることを特徴とする請求項2に記載の乾式粉砕装置。
【請求項7】
前記第2の分級手段において、得られた細粉をさらに平均径が相対的に小さい微粉と相対的に大きい細粉とに分級する分級手段と、
この分級手段により得られた微粉を、前記粉砕手段に循環させる循環手段とを有することを特徴とする請求項5記載の乾式粉砕装置。
【請求項8】
前記第3の分級手段において、得られた細粉をさらに平均径が相対的に小さい微粉と相対的に大きい細粉とに分級する分級手段と、
この分級手段により得られた微粉を、前記粉砕手段に循環させる循環手段とを有することを特徴とする請求項6記載の乾式粉砕装置。
【請求項9】
前記第1の分級手段および前記第2の分級手段により得られた細粉を各々回収する回収手段をさらに有すると共に、
前記第2の分級手段により得られた細粉を回収する回収手段には除鉄手段が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の乾式粉砕装置。
【請求項10】
前記第1の分級手段および前記第3の分級手段により得られた細粉を各々回収する回収手段をさらに有すると共に、
前記第3の分級手段により得られた細粉を回収する回収手段には除鉄手段が備えられていることを特徴とする請求項2に記載の乾式粉砕装置。
【請求項11】
前記第1の分級手段により得られる細粉の平均粒子径が5〜25μmであることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の乾式粉砕装置。
【請求項12】
前記第2の分級手段により得られる細粉の平均粒子径が45〜90μmであり、かさ比重が1.7〜2.3であることを特徴とする請求項9に記載の乾式粉砕装置。
【請求項13】
前記第3の分級手段により得られる細粉の平均粒子径が45〜90μmであり、かさ比重が1.7〜2.3であることを特徴とする請求項10に記載の乾式粉砕装置。
【請求項14】
被粉砕物がアルミナであることを特徴とする請求項1から請求項13までのいずれか1項に記載の乾式粉砕装置。
【請求項15】
被粉砕物を乾式粉砕する粉砕工程と、
前記粉砕工程により得られた粉砕物を、平均粒子径が相対的に小さい細粉と相対的に大きい粗粉とに分級する第1の分級工程と、
前記第1の分級工程により得られた粗粉を、さらに平均粒子径が相対的に小さい細粉と相対的に大きい粗粉とに分級する第2の分級工程と、
前記第2の分級工程により得られた粗粉を、前記粉砕工程に循環させる循環工程とを有することを特徴とする乾式粉砕方法。
【請求項16】
前記第2の分級工程において、得られた細粉をさらに平均径が相対的に小さい微粉と相対的に大きい細粉とに分級する分級工程と、
この分級手段により得られた微粉を、前記粉砕工程に循環させる循環工程とを有することを特徴とする請求項15記載の乾式粉砕方法。
【請求項17】
前記第1の分級工程および前記第2の分級工程により得られた細粉を各々回収する回収工程をさらに有すると共に、
前記第2の分級工程により得られた細粉を回収する回収工程には除鉄工程が含まれていることを特徴とする請求項15又は請求項16に記載の乾式粉砕方法。
【請求項18】
前記第2の分級工程により得られた細粉を、さらに平均粒子径が相対的に小さい細粉と相対的に大きい粗粉とに分級する第3の分級工程と、
前記第3の分級工程により得られた粗粉を、前記粉砕工程に循環させる循環工程とをさらに有することを特徴とする請求項15に記載の乾式粉砕方法。
【請求項19】
前記第3の分級工程において、得られた細粉をさらに平均粒子径が相対的に小さい微粉と相対的に大きい細粉とに分級する分級工程と、
この分級工程により得られた微粉を、前記粉砕工程に循環させる循環工程とを有することを特徴とする請求項18に記載の乾式粉砕方法。
【請求項20】
前記第1の分級工程および前記第3の分級工程により得られた細粉を各々回収する回収工程をさらに有すると共に、
前記第3の分級工程により得られた細粉を回収する回収工程には除鉄工程が含まれていることを特徴とする請求項18又は請求項19に記載の乾式粉砕方法。

【国際公開番号】WO2004/035216
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【発行日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−544974(P2004−544974)
【国際出願番号】PCT/JP2003/013272
【国際出願日】平成15年10月16日(2003.10.16)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】