説明

乾燥装置

【課題】乾燥装置の処理能力を向上させること。
【解決手段】本発明では、中空状の回転軸(6)に中空状のディスク(7)を連通連結するとともに、回転軸(6)及びディスク(7)の中空部に熱媒体を流して、熱媒体の熱でディスク(7)の表面に吹き付けた被乾燥物を乾燥させる乾燥装置(1)において、ディスク(7)の内面に溝(28)を形成してディスク(7)の内面を凹凸面とすることにした。また、前記溝(28)は、回転軸(6)とディスク(7)とを連通連結する熱媒体の流入口(22)からディスク(7)の半径方向に向けて形成することにした。また、前記溝(28)は、回転軸(6)とディスク(7)とを連通連結する熱媒体の流出口(23)からディスク(7)の半径方向に向けて形成することにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空状の回転軸に中空状のディスクを連通連結するとともに、回転軸及びディスクの中空部に熱媒体を流して、熱媒体の熱でディスクの表面に吹き付けた被乾燥物を乾燥させる乾燥装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、汚泥等の流動状の被乾燥物を乾燥させる乾燥装置として、回転ディスク型の乾燥装置が開発されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
この回転ディスク型の乾燥装置は、ケーシングに中空状の回転軸を回動自在に設けるとともに、回転軸に複数枚の中空状のディスクを平行に所定の間隔をあけて連通連結するとともに、回転軸及びディスクの中空部に蒸気等の熱媒体を流すように構成している。
【0004】
そして、回転ディスク型の乾燥装置では、ディスクの中空部に流した熱媒体の熱でディスクの表面を加熱し、その熱でディスクの表面に吹き付けた被乾燥物を乾燥させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−206856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この回転ディスク型の乾燥装置では、熱媒体の熱を被乾燥物にディスクを介して伝導するように構成しているために、ディスクの熱伝導効率を向上させることで、乾燥装置の処理時間や処理量などの処理能力をより一層向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、請求項1に係る本発明では、中空状の回転軸に中空状のディスクを連通連結するとともに、回転軸及びディスクの中空部に熱媒体を流して、熱媒体の熱でディスクの表面に吹き付けた被乾燥物を乾燥させる乾燥装置において、ディスクの内面に溝を形成してディスクの内面を凹凸面とすることにした。
【0008】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記溝は、回転軸とディスクとを連通連結する熱媒体の流入口からディスクの半径方向に向けて形成することにした。
【0009】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、前記溝は、回転軸とディスクとを連通連結する熱媒体の流出口からディスクの半径方向に向けて形成することにした。
【発明の効果】
【0010】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0011】
すなわち、本発明では、中空状の回転軸に中空状のディスクを連通連結するとともに、回転軸及びディスクの中空部に熱媒体を流して、熱媒体の熱でディスクの表面に吹き付けた被乾燥物を乾燥させる乾燥装置において、ディスクの内面に溝を形成してディスクの内面を凹凸面としているために、ディスクの内面の熱媒体と接触する表面積を大きくすることができ、ディスクの熱伝導効率が向上して乾燥装置の処理能力を向上させることができる。
【0012】
特に、回転軸とディスクとを連通連結する熱媒体の流入口からディスクの半径方向に向けて溝を形成した場合には、溝によって熱媒体を流入口からディスクの内部へ案内することができ、熱媒体の流入が円滑になり、これによってディスクの熱伝導効率がより一層向上して乾燥装置の処理能力を向上させることができる。
【0013】
また、回転軸とディスクとを連通連結する熱媒体の流出口からディスクの半径方向に向けて溝を形成した場合には、溝によって熱媒体をディスクの内部から流出口へ案内することができ、熱媒体の流出が円滑になり、これによってもディスクの熱伝導効率がより一層向上して乾燥装置の処理能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る乾燥装置を示す正面図。
【図2】同左側面図。
【図3】同正面拡大断面展開図。
【図4】同側面拡大断面図。
【図5】同側面拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る乾燥装置の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1〜図4に示すように、乾燥装置1は、基台2の上部に中空箱型状のケーシング3を取付け、ケーシング3の左右側壁4,5の間に中空円筒状の回転軸6を回転自在に取付けるとともに、回転軸6に中空円板状のディスク7を連通連結している。
【0017】
この乾燥装置1は、ケーシング3の左側壁4に駆動モータ8を取付け、駆動モータ8に回転軸6を連動機構9を介して接続している。これにより、乾燥装置1は、駆動モータ8を駆動することで、回転軸6を回転させ、それに伴って、ディスク7を回転させるようにしている。
【0018】
また、乾燥装置1は、ケーシング3の右側壁5に回転軸6の中空部に連通する流入部10を形成するとともに、ケーシング3の左側壁4に回転軸6の中空部に連通する流出部11を形成し、流入部10に熱媒体としての蒸気を供給する蒸気供給源を接続している。これにより、乾燥装置1は、蒸気供給源から供給された蒸気を流入部10から回転軸6の中空部へ供給するとともに、回転軸6及びディスク7の中空部を通って流出部11から排出して、蒸気でディスク7を加熱するようにしている。
【0019】
また、乾燥装置1は、被乾燥物を貯留した貯留タンク12にポンプ13を介してノズル14を接続し、そのノズル14をディスク7の表面に向けた状態でケーシング3の内部に取付けるとともに、ケーシング3の下端部に回収口15を形成し、その回収口15を貯留タンク12に接続している。これにより、乾燥装置1は、貯留タンク12に貯留した被乾燥物をノズル14からディスク7の表面に向けて吹き付け、余剰の被乾燥物を回収口15から貯留タンク12に回収するようにしている。
【0020】
さらに、乾燥装置1は、ケーシング3の上部に排気口16を形成するとともに、ディスク7の表面に当接させたスクレーパ17をケーシング3の内部に取付け、そのスクレーパ17の下端部に排出口18を接続している。これにより、乾燥装置1は、ノズル14から吹き付けた被乾燥物がディスク7の表面で乾燥することによってディスク7の表面に付着した固形物をスクレーパ17でディクス7の表面から掻き取って排出口18から排出するとともに、乾燥時に生じた蒸気を排気口16から排気するようにしている。
【0021】
上記乾燥装置1において、回転軸6は、中空部に仕切壁19を形成して、中空部を蒸気の流入部10に通じる流入室20と上記の流出部11に通じる流出室21とに区画し、流入室20とディスク7の中空部とを流入口22を介して接続するとともに、流出室21とディスク7の中空部とを流出口23を介して接続している。
【0022】
ディスク7は、左右一対のドーナツ板状のディスク板24,25の外周端縁に円環状の縁板26を取付けて中空円板状に形成しており、その中空部を流入口22と流出口23との間に形成した仕切壁27で区画している。
【0023】
このディスク7は、ディクス板24,25の表面(ディスク7の内面)に溝28を形成することによってディスク7の内面を凹凸面としている。
【0024】
溝28は、図4に示すように、同心円状に形成してもよく、また、螺旋状や図5に示すようにディスク7の回転中心から半径方向に向けて放射状に形成してもよく、さらには、これらを組み合わせた形状としてもよい。特に、図5に示すディスク7では、流入口22及び流出口23からディスク7の半径方向に向けて溝28を形成しており、流入口22と流出口23との間に形成した仕切壁27に沿って直線状の溝28を形成している。
【0025】
乾燥装置1は、以上に説明したように、中空状の回転軸6に中空状のディスク7を連通連結するとともに、回転軸6及びディスク7の中空部に熱媒体を流して、熱媒体の熱でディスク7の表面に吹き付けた被乾燥物を乾燥させるように構成している。
【0026】
しかも、上記乾燥装置1は、ディスク7の内面に溝28を形成してディスク7の内面を凹凸面としている。
【0027】
そのため、上記構成の乾燥装置1では、ディスク7の内面の熱媒体と接触する表面積を大きくすることができ、ディスク7の熱伝導効率が向上して乾燥装置1の処理能力を向上させることができる。
【0028】
また、上記乾燥装置1では、図5に示すように、回転軸6とディスク7とを連通連結する熱媒体の流入口22からディスク7の半径方向に向けて溝28を形成している。
【0029】
そのため、上記構成の乾燥装置1では、溝28によって熱媒体を流入口22からディスク7の内部へ案内することができ、熱媒体の流入が円滑になり、これによってディスク7の熱伝導効率がより一層向上して乾燥装置1の処理能力を向上させることができる。
【0030】
また、上記乾燥装置1では、図5に示すように、回転軸6とディスク7とを連通連結する熱媒体の流出口23からディスク7の半径方向に向けて溝28を形成している。
【0031】
そのため、上記構成の乾燥装置1では、溝28によって熱媒体をディスク7の内部から流出口23へ案内することができ、熱媒体の流出が円滑になり、これによってもディスク7の熱伝導効率がより一層向上して乾燥装置1の処理能力を向上させることができる。
【符号の説明】
【0032】
1 乾燥装置 2 基台
3 ケーシング 4,5 側壁
6 回転軸 7 ディスク
8 駆動モータ 9 連動機構
10 流入部 11 流出部
12 貯留タンク 13 ポンプ
14 ノズル 15 回収口
16 排気口 17 スクレーパ
18 排出口 19 仕切壁
20 流入室 21 流出室
22 流入口 23 流出口
24,25 ディスク板 26 縁板
27 仕切壁 28 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空状の回転軸に中空状のディスクを連通連結するとともに、回転軸及びディスクの中空部に熱媒体を流して、熱媒体の熱でディスクの表面に吹き付けた被乾燥物を乾燥させる乾燥装置において、
ディスクの内面に溝を形成してディスクの内面を凹凸面としたことを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
前記溝は、回転軸とディスクとを連通連結する熱媒体の流入口からディスクの半径方向に向けて形成したことを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記溝は、回転軸とディスクとを連通連結する熱媒体の流出口からディスクの半径方向に向けて形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−102966(P2012−102966A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253472(P2010−253472)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(596091978)株式会社西村鐵工所 (9)
【Fターム(参考)】