説明

乾燥設備の対流システム

本発明は、通過するウェブ、特に、紙のための乾燥設備の対流システムに関する。対流システム7は、ウェブに向かう開口部14を備えた燃焼生成物の吸引のための外部ケーシング13と、燃焼生成物を対流システム7に吸引する第1の吸引ダクト15および第2の吸引ダクト16との組立体である。第1の吸引ダクト15からもたらされる燃焼生成物は外部ケーシング13を介して混合および吹出し装置17へ案内される。冷気18はこの混合および吹出し装置17内で燃焼生成物19と混合され、より低温のガス混合物20を生じる。対流システム7は外部ケーシング13の内側に内部ケーシング21をさらに有する。この内部ケーシング21は、ウェブに向かう少なくとも1個の開口22を有し、混合装置17から内部ケーシング21への上記ガス混合物20のガスフローを可能にさせる開口部34をさらに有する。内部ケーシング21の下に、吹出しダクト23がさらに存在する。第2の吸引ダクト16もこの内部ケーシング21の下に配置され、それによって、燃焼生成物の第2のフロー24を内部ケーシング21に回収する。その後、この燃焼生成物の第2のフロー24は、混合装置17からもたらされるガス混合物20と混合され、第1のガス混合物20より高く、かつ、例えば、350℃〜370℃、より好ましくは、390℃〜410℃、さらに一層好ましくは、420℃、450℃、または、500℃より高い温度のガスの混合物25を生じる。その後これらの熱風25は内部ケーシング21の吹出しダクト23によって乾燥中のウェブに吹出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通過するウェブ、特に、紙のための乾燥設備の対流システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、本出願人の名義のFR−A−2771161によれば、少なくともウェブと、実質的にウェブの全幅に亘って、ウェブの横方向に広がる少なくとも1列に配置されたガス加熱型放射要素と、少なくとも1列の放射要素の下流で、放射要素によって生成された燃焼生成物の少なくとも一部分を吸引し、燃焼生成物のこの一部分をウェブへ向かって吹出す吸引および吹出し装置を装備している少なくとも横向き対流システムとを有する設備が存在する。この設備は、一般に、通過するウェブと燃焼生成物との間の対流交換から生じる温風を回収する装置をさらに有する。
【0003】
吸引および吹出し装置は、例えば、複数の公知の理由のため、ウェブの幅に対して通常は大きな距離にあり、さらに一層非常に大きな距離にある中央の縦軸に関して、ウェブの外側で側面に沿ってシフトされる換気装置のような混合装置を有する。そのような方法で、換気装置は、最初にウェブの全幅に亘って分配された燃焼生成物を側面に沿って収集し、燃焼生成物を混合し、混合された燃焼生成物をウェブの全幅に亘って再度分配しなければならない。このような混合は必然的に多量のエネルギー消費を伴う。
【0004】
さらに、このような設備は、少なくともウェブの横方向に大きなサイズを有する吸引および吹出しダクトを有する。
【0005】
これらのダクトは放射および対流によって熱エネルギーを散逸する。特に、燃焼生成物を冷却する冷気が吸引される。従って、ウェブに吹出される燃焼生成物の温度は、放射要素によって生成された燃焼生成物の温度よりかなり低い。
【0006】
このような設備は、十分に機能するにもかかわらず、多量の機械エネルギーの消費と、同様に多量の熱エネルギーの損失を意味し、よって、かなりの投資コストおよび運用コストを生じ、さらに広い面を占領する。機械エネルギーの消費および熱エネルギーの損失を低減し、投資コストおよび運用コストを削減し、より小さい空間を必要とする既に改良されているシステムは、本出願人の名義のWO2005/085729に記載されている。
【0007】
この乾燥設備は、対流システムの吸引および吹出し装置が、少なくともウェブの横方向に広がる対応する吸引および吹出しダクトに対して通過するウェブの反対側に設置され、ベクトル平均が最適化されるように上記燃焼生成物を吸引および/または吹出すように配置されている少なくとも1つの吸引および吹出し装置を有することを特徴とする。ベクトルは、吸引および/または吹出された燃焼生成物の様々な噴流の個々の軌道を表現している。
【0008】
この最適化は、燃焼生成物の噴流の軌道と、燃焼生成物の様々な噴流を吸引および吹出すために必要とされる機械的な混合エネルギーとをかなり削減する。
【0009】
これらの燃焼生成物の軌道の短縮は、より短い吸引および吹出しダクトと、より狭い表面に対応するより小さい寸法を必要とし、結果として、放射および対流による熱エネルギーの損失をかなり削減する。
【0010】
同様に、吸引された燃焼生成物と吹出された燃焼生成物との間の温度差が実質的に削減され、それによって、効率を高める。
【0011】
このようにして、燃焼生成物と通過する平面との間の熱伝達を最大化することが可能であり、燃焼生成物ができる限り高温で吹出される非常に小型の乾燥設備を実現することも可能である。
【0012】
上記のシステムは、乾燥設備の効率を既に大幅に改良しているが、混合装置は、例えば、350℃より高い温度に耐えることができないため、暖かい吹出された燃焼生成物の温度を制限するという点で、依然としてシステムに重大な制約が存在する。
【発明の開示】
【0013】
本発明の目的は、公知の設備の制限を緩和し、機械エネルギーの消費がより多く削減され、熱エネルギーの損失がより多く削減され、設備コストおよび運用コストがより削減された乾燥設備の対流システムを提案することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、既存のシステムおよび既存の寸法の範囲内で改良を実現することである。
【0015】
本発明のさらに別の目的は、簡単な手段を用いて改良を実現することである。
【0016】
本発明の第1の態様によれば、乾燥されるべきウェブに関して横向きに配置された乾燥設備の対流システムが提供される。対流システムは、ウェブに向かう開口部を備えた燃焼生成物の吸引のための外部ケーシングと、燃焼生成物を対流システムに吸引する第1の吸引ダクトおよび第2の吸引ダクトとの組立体である。第1の吸引ダクトからもたらされる燃焼生成物は、外部ケーシングを介して混合および吹出し装置へ案内される。冷気がこの混合および吹出し装置内で燃焼生成物と混合され、より低温のガス混合物を生じる。
【0017】
対流システムは外部ケーシングの内側に内部ケーシングをさらに有する。内部ケーシングは、ウェブに向かう少なくとも1個の開口部を有し、外部ケーシングから内部ケーシングへの上記ガス混合物のガスフローを可能にさせる開口部をさらに有する。内部ケーシングの下に、吹出しダクトも存在する。
【0018】
第2の吸引ダクトもこの内部ケーシングの下に配置され、それによって、燃焼生成物の第2のフローを内部ケーシングに回収する。その後、この燃焼生成物の第2のフローは、混合装置からもたらされるより低温のガス混合物と混合され、第1のガス混合物より高く、かつ、例えば、350℃、より好ましくは、400℃〜450℃、さらに一層好ましくは、500℃より高い温度のガスの混合物を生じる。その後、これらの熱風は内部ケーシングの吹出しダクトによって乾燥中のウェブに吹出される。
【0019】
さらに本発明によれば、この改良された対流システムは、簡単な手段によって、内部ケーシングを外部ケーシングの中に付設することによって実現され得る。内部ケーシングの付設は困難なく、従って、簡単な方法で実行され得ることは明らかである。
【0020】
内部ケーシングの付設は、完全に新しい対流システムおよび既存の対流システムの何れにおいても、寸法を大幅に変更することなく実現され得る。
【0021】
内部ケーシング中における高温燃焼生成物の直接的な再利用は、吹出されるガスの温度を上昇させ、乾燥システムによって生成された熱のより効率的な利用をもたらし、システム内での熱交換効率を改善する。
【0022】
本発明の代替的な変形によれば、対流システムは、ベンチュリシステムをなす混合および吹出し装置を用いて構築される。
【0023】
本発明の別の変形によれば、対流システムは、吹出しダクトが上記第1の吸引ダクトと上記第2の吸引ダクトとの間に配置されるように設計される。
【0024】
本発明の好ましい実施形態では、優れた空気分布を生じる内部ケーシングの特別な設計が提供される。
【0025】
本発明の別の好ましい実施形態では、乾燥されるべきウェブへの一定の浮揚効果を確保するためにシステム内に気圧センサが設置されている。また、温度センサが想定される場合もある。
【0026】
本発明の好ましい実施形態は、混合および吹出し装置が、軸がウェブに垂直な少なくとも1つの送風機(タービン)を有する対流システムである。本発明の別の形態は、混合および吹出し装置が、軸がウェブに平行な少なくとも1つの送風機(タービン)を有する対流システムである。
【0027】
第2の態様によれば、本発明は、上記の対流システムを使用することにより高温燃焼ガスとの接触からファンを保護する方法を提供する。
【0028】
第3の態様によれば、本発明は、上記の対流システムを使用して熱交換効率を高めるために加熱されたガスを再利用する方法を提供する。
【0029】
その後、上記の対流システムは、ウェブ、例えば、紙を乾燥させる乾燥設備において使用され得る。乾燥設備は、ウェブ全幅を乾燥するため設計され、対流システムに隣接して、上記ウェブに熱放射するガス加熱型放射要素で構成されている。放射要素は、実質的にウェブ全幅に亘って横方向に延びる少なくとも1列に配置されている。本発明のさらなる実施は、ウェブの移動方向に列設され、かつ、少なくとも1列の横向きのガス加熱型放射要素によって相互に分離されている少なくとも2つの横向き対流システムを有する設備である。
【0030】
同様に、上記の対流システムは、バーナー組立体に基づく、例えば、火炎乾燥炉型の上記乾燥設備で使用され得る。
【0031】
本発明のさらに一層好ましい実施形態では、排気ガスを再利用するシステムはカスケードシステムにセットアップされ、加熱用組立体(例えば、バーナーシステム、ガス加熱型放射要素)から直接的にもたらされる排気ガスが、第1の対流システムによって吸引され、ウェブに吹出される。その後に、第2の対流システムで利用可能である温風は、再利用および再吹出しのため再び吸引され、これによって、加熱用組立体によって作り出された利用可能な熱エネルギーをさらに利用する。例えば、最初に、1000℃を上回る温度の加熱用組立体が存在し、その後に、再利用される排気ガスを400℃で吹出す第1の対流システムが存在し、その後に、ガスを200℃で吹出す第2の対流システムが存在する。
【0032】
これはシステムの乾燥効率をさらに高める。
【0033】
さらに、乾燥されるべきウェブの両面に、それぞれ上記設備の少なくとも1つを配設することが想定されている。
【0034】
次に本発明を、添付図面を参照してより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明は、特定の実施形態に関して、ある図面を参照して説明されるが、本発明は特定の実施形態に限定されることがなく、特許請求の範囲だけに限定される。記載されている図面は概略だけであり、非限定的である。図面中、一部の要素のサイズは、例示の目的のため、誇張され、正しい縮尺で描かれていないことがある。寸法および相対的な寸法は本発明の現実の実施化に対応していない。
【0036】
さらに、明細書および特許請求の範囲における第1、第2、第3などの用語は、類似した要素を区別するため使用され、必ずしも、時間的、空間的、ランキング、または、その他のいかなる様式においても順序を説明することを目的としていない。このように使用された用語が適切な状況下で交換可能であること、ならびに、本明細書に記載されている本発明の実施形態が本明細書に記載または例示されている順序以外の順序で動作可能であることは理解されるべきである。
【0037】
図1は、通過するウェブ2、特に、紙のための、例えば、湿式で処理され、接触なしに乾燥させられるべき塗工紙のウェブのための乾燥設備1を表している。
【0038】
設備1は、少なくともウェブ2とガス加熱型放射要素3とを有する。要素3は、ウェブ2の横方向5に広がる少なくとも1つの列4に従って配置されている。列4は実質的にウェブ全幅に亘って広がる。
【0039】
設備1は、ウェブ6の移動方向に沿って、放射要素3の少なくとも1つの列4の下流に少なくとも1つの対流システム7をさらに有する。対流システムは吸引および吹出し装置8を含む。装置8は、放射要素3によって生成された燃焼生成物の少なくとも一部分を吸引し、これらの燃焼生成物をウェブ2に向かって吹出す。
【0040】
対流システムは、通過するウェブ2と燃焼生成物との間の対流熱交換から生じる温風を回収する装置9をさらに有する。
【0041】
放射要素3は、どのようなタイプのガス加熱型放射要素でもよく、相互に、かつ、ガス供給管及び燃焼用空気供給管に対して任意の可能な形で配置されている。
【0042】
本発明によれば、吸引および吹出し装置8は、通過するウェブ2の反対側に設置された少なくとも1つの混合装置17を含む。
【0043】
図2は、ウェブの長手方向に広がるウェブに垂直な平面による(B−B′による)対流システム7の断面図を表している。
【0044】
図3は対流システム中の個々のガスフローを示し、Aはウェブの移動方向に関して第1の吸引ダクト15を示し、Bはウェブの移動方向に関して対流システムの代替的なセットアップを示している。
【0045】
図2および図3Aを参照する。対流システム7は、ウェブに向かう開口部14を備えた燃焼生成物の吸引のための外部ケーシング13と、燃焼生成物を対流システム7に吸引する第1の吸引ダクト15及び第2の吸引ダクト16との組立体である。第1の吸引ダクト15からもたらされる燃焼生成物は、外部ケーシング13の中を通って混合および吹出し装置17へ案内される。冷気18はこの混合および吹出し装置17内で燃焼生成物19と混合され、より低温のガス混合物20を生じる。
【0046】
対流システム7は外部ケーシング13の内側に内部ケーシング21をさらに有する。この内部ケーシング21は、ウェブに向かう少なくとも1個の開口部22を有し、混合装置17から内部ケーシング21への上記ガス混合物20のガスフローを可能にさせる開口部34をさらに有する。
【0047】
内部ケーシング21の下に、吹出しダクト23がさらに存在する。
【0048】
第2の吸引ダクト16もこの内部ケーシング21の下に配置されているので、燃焼生成物の第2のフロー24を内部ケーシング21へ回収する。その後、この燃焼生成物の第2のフロー24は、混合装置17からもたらされるガス混合物20と混合され、第1のガス混合物20より高温、例えば、350℃または370℃より高温、より好ましくは、390℃または410℃より高温、さらに一層好ましくは、420℃、450℃または500℃より高温のガスの混合物25を生じる。その後に、これらの熱風25は、内部ケーシング21の吹出しダクト23によって乾燥中のウェブに吹出される。
【0049】
図3Bは、図3Aと同様の原理による代替的な実施形態を示している。
【0050】
図4は、ウェブの横方向に広がるウェブ2と垂直な平面による(A−A′による)対流システム7の断面図である。吸引ダクト15及び16と吹出しダクト23とは、ウェブ全幅に亘って広がるが、この図に示されていない。内部ダクト21内の良好な3次元空気分布を実現するために、対流システム7は、好ましくは、図4に示されているように設計され得る。内部ケーシング21は、装置9の一部である回収ダクト26をさらに備える。回収ダクト26は、温風25の一部および燃焼ガス19の一部を回収する。この回収ダクト26は、対流システム7内に非対称的に配置されている。良好な空気吹出し分布を達成するために、内部ケーシング21の内側の高さも非対称的であり、回収ダクト26へ向かって増加する。
【0051】
装置9は、公知の回収装置、例えば、ファンである。
【0052】
提示された実施例では、各送風機30は遠心タービンホイールを有し、遠心タービンホイールの吸引開口部32がウェブ2に関して上流の横方向吸引ダクト15に接続されている。ホイールは、任意の従来型ファンと同様の動力源によって駆動される。
【0053】
混合ガス20は、2つの横方向吹出しダクト34に接続された2つの接線方向出口33を介して、ウェブ2の幅方向に沿って実質的に反対方向に吹き出される。
【0054】
図5は本発明の別の好ましい実施形態を表している。この実施形態では、対流システムの混合及び吹出し装置は、ウェブと平行な軸をもつ少なくとも1つの送風機(円筒ロータ)を有する。円筒ロータ27は第1の外部ケーシング13の内側に設置されている。各円筒ロータ27は、対応する閉鎖空間28の内部に設置され、放射状の多数の羽根を有する。各円筒ロータ27は、ウェブ2と平行であり、かつ、ウェブ2の通過方向6と実質的に垂直であるそれぞれの軸29の周りに回転する。
【0055】
提示された実施例では、共通の動力源によって駆動される軸に別の送風機27が設置されている。
【0056】
本発明の別の好ましい実施形態は、混合および吹出し装置が、例えば、ファンのように、ウェブと垂直な軸をもつ少なくとも1つの送風機を有する対流システム7である。
【0057】
この軸は、本発明の範囲から逸脱することなく、ウェブに対して任意の可能な方向へ傾斜した他の向きを与えられることもあり得る。
【0058】
図6および7の実施形態において、各対流システム7は、ウェブ2と実質的に垂直な軸31をもつ少なくとも1つの送風機30を有する。
【0059】
各対流システムは、ウェブ2の側方エッジに沿って、例えば、図4の右側に、外気入口開口部を有することも可能である。この外気入口は、必要に応じて、燃焼生成物を希釈し、よって、送風機30によって吸引された燃焼生成物の温度を制限するために、大気温度の空気が吸引ダクト15の内部に入ることを可能にさせるバルブによって閉じられるのが有利である。
【0060】
さらに、各対流システム7は上述されている回収開口部をさらに有する。
【0061】
本発明の別の好ましい実施形態は、混合装置12が図4の開口部33を通じて加圧された空気を吹出すように適合された気管(organ)である対流システムであり。この実施形態は、吸引ダクト15を介して燃焼生成物の少なくとも一部分を吸引し、内部ケーシング21内に吹出すベンチュリ効果を生み出す。
【0062】
明らかに、本発明は上記実施形態に限定されることがなく、多数の変更および変形が本発明の範囲から逸脱することなくこれらの実施形態に対し行われ得る。
【0063】
当然ながら、燃焼生成物を吸引し吹出すために適合した任意の混合装置が使用され、こられの混合装置と、対応する吸引および吹出しダクトとが公知のいかなる方法でも配置され得る。
【0064】
上記の混合装置は上述されている方式以外の異なる方式で配置されてもよい。
【0065】
これらの混合装置および対応する横向き対流システムは、いかなるタイプのガス加熱型放射要素にも連結可能であり、これらの放射要素は考えられるいかなる方式で配置されてもよい。
【0066】
これらの混合装置および対応する横向き対流システムは、例えば、青色炎バーバーのようないかなるタイプのガス加熱型放射要素にも同じ方式で連結可能であり、これらのバーナー要素は考えられるいかなる方式で配置されてもよい。
【0067】
図1、6および7に図式化されているように、ウェブ2の通過方向6に次々に配置され、かつ、ガス加熱型放射要素の少なくとも1列の横向き列4によって互いに分離されている、本発明による少なくとも2つの対流システム7が想定され得る。図7によれば、このような放射要素および対流システムの配置は、乾燥されるべきウェブの両面にそれぞれ設置される可能性がある。
【0068】
明らかに、上記本発明の装置における、吸引ダクト15,16、吹出しダクト23、混合装置30、外部ケーシング13および内部ケーシング21等は、吸引される、および/または、吹出される燃焼生成物の高い温度に永続的かつ高い信頼性で耐え得るように、公知の方式で設計され配置されている。
【0069】
図8に図式化されているように、乾燥設備において、ウェブ2の通過方向に次々に配置され、本発明による少なくとも2つの対流システムを予測することが可能である。このいわゆるカスケードシステムにおいて、排気ガスはバーナー組立体から直接的にもたらされ、対流システムによって吸引され、その後に、これらの熱風が吹出しダクトによって再利用のためウェブに吹出される。その後に対流システムで利用可能である温風は、再利用および再吹出しのため再び吸引される可能性があり、それによって、バーナー組立体によって作り出された利用可能な熱エネルギーをさらに利用する。例えば、最初に、1000℃を超える温度のバーナー組立体が存在し、その後、再利用された排気ガスを400℃で吹出す第1の対流システムが存在し、その後、200℃でガスを吹出す第2の対流システムが存在する。作り出された熱風フローを再利用するこのカスケードシステムは、他の乾燥システムにおいて、例えば、IR乾燥炉と組み合わせて、使用されることも可能である。
【0070】
明らかに、例えば、電動機のようなある特定の装置を保護するために公知の断熱装置および/または従来型の冷却装置をさらに想定し得る。
【0071】
従って、燃焼生成物の高いエネルギーポテンシャルを維持し、よって、ウェブと、吸引され吹出された燃焼生成物との間で対流熱交換の優れたリターンを可能にさせるため、熱損失をできる限り制限するように設計され配置された乾燥設備で使用される対流システムが記載され、説明されている。
【0072】
燃焼生成物とウェブとの間の熱交換の重要な改善に加えて、これらの燃焼生成物を吸引し吹出すために必要とされる機械的エネルギーも削減される。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】乾燥システムの概略図である。
【図2】ウェブの縦方向に広がり、ウェブの移動方向に垂直である平面B−B′による、対流システムの構造を示す対流システムの断面図である。
【図3A】ウェブの縦方向に広がり、ウェブの移動方向に垂直である平面B−B′による、ウェブの移動方向に関して第1のセットアップの対流システムで起こるガスフローを示す、対流システムの断面図である。
【図3B】ウェブの縦方向に広がり、ウェブの移動方向に垂直である平面B−B′による、ウェブの移動方向に関して代替的なセットアップの対流システムで起こるガスフローを示す、対流システムの断面図である。
【図4】ウェブの横方向に広がり、ウェブの移動方向に垂直である平面A−A′による対流システムの断面図である。
【図5】本発明の別の実施形態の断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態による乾燥設備の断面図である。
【図7】本発明の別の実施形態による乾燥設備の略断面図である。
【図8】本発明の代替的な実施形態による火炎乾燥設備の略断面図である。
【符号の説明】
【0074】
1 乾燥設備
2 移動するウェブ
3 ガス加熱型放射要素
4 1列のガス加熱型放射要素の列
5 横方向矢印
6 ウェブ移動方向
7 対流システム
8 吸引および吹出し装置
9 対流熱交換から生じる温風(矢印)を回収する装置
10 ガス供給管
11 燃焼用空気供給管
12 空気/ガス吸収
13 外部ケーシング
14 ウェブに向かう開口部
15 第1の吸引ダクト
16 第2の吸引ダクト
17 混合および吹出し装置
18 外冷気
19 燃焼生成物
20 低温のガス混合物
21 内部ケーシング
22 ウェブに向かう内部ケーシング中の開口部
23 吹出しダクト
24 燃焼生成物の第2のフロー
25 (20)からの温度よりt°高い温度のガスの混合物
26 回収ダクト
27 円筒型ロータ
28 円筒型ロータのための対応する閉鎖空間
29 ロータの軸
30 送風機
31 送風機の軸
32 送風機の吸引開口部
33 送風機の接線方向出口開口部
34 混合装置17から内部ケーシングへのガスフローを可能にさせる開口部
35 バーナー組立体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥されるべきウェブを横切るように配置された乾燥設備(1)における対流システム(7)であって、
燃焼生成物(19)を吸引するための外部ケーシング(13)であって、前記ウェブに対向する開口部(14)を有する外部ケーシング(13)と、
前記燃焼生成物(19)を前記対流システム(7)に吸引する第1および第2の吸引ダクト(15,16)であって、前記第1の吸引ダクト(15)は、前記燃焼生成物(19)を前記外部ケーシング(13)内に吸引するような、第1および第2の吸引ダクト(15,16)と、
前記燃焼生成物(19)の再利用のための混合および吹出し装置(17)であって、前記燃焼生成物(19)を冷気(18)と混合し、より低温のガス混合物(20)とするような混合および吹出し装置(17)と、
前記外部ケーシング(13)の内側に配設され、前記ウェブ(2)に対向する少なくとも1つの開口部(22)を有する内部ケーシング(21)であって、前記外部ケーシング(13)から前記内部ケーシング(21)内への前記ガス混合物(20)のガス流(20)を可能にする開口部(34)を有するような内部ケーシング(21)と、
前記内部ケーシング(21)の下部に配設された吹出しダクト(23)と、
を備えるものにおいて、
前記第2の吸引ダクト(16)は、前記内部ケーシング(21)の下部に配設され、前記第2の吸引ダクト(16)を通じて、前記燃焼生成物の第2のフロー(24)が前記内部ケーシング(21)内に回収され、該第2のフロー(24)が前記低温の前記ガス混合物(20)と混合されることにより、該ガス混合物より高温のガスの混合物(25)を生じ、該ガスの混合物(25)が、前記吹出しダクト(23)によって乾燥中のウェブ(2)に吹き当てられるように構成されていることを特徴とする対流システム。
【請求項2】
前記混合および吹出し装置(17)は、ベンチュリ構造をなしていることを特徴とする請求項1に記載の対流システム。
【請求項3】
前記吹出しダクト(23)は、前記第1の吸引ダクト(15)と前記第2の吸引ダクト(16)との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の対流システム。
【請求項4】
前記内部ケーシング(21)は、良好な空気分布を与えるように設計されていることを特徴とする請求項1に記載の対流システム。
【請求項5】
前記ウェブに一定の浮揚効果を確保するための気圧センサをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の対流システム(7)。
【請求項6】
温度センサをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の対流システム。
【請求項7】
前記混合および吹出し装置(17)は、前記ウェブ(2)に対して実質的に垂直な軸(31)をもつ少なくとも1つの送風機(30)を有することを特徴とする請求項1に記載の対流システム。
【請求項8】
前記混合および吹出し装置(17)は、前記ウェブ(2)に対して実質的に平行な軸(29)をもつ少なくとも1つの送風機(27)を有することを特徴とする請求項1に記載の対流システム。
【請求項9】
請求項1〜8に記載の対流システムを使用することにより、高温の燃焼ガスとの接触からファンを保護する方法。
【請求項10】
請求項1〜8に記載のシステムを使用して熱交換効率を高めるために加熱されたガスを再利用する方法。
【請求項11】
ウェブ全幅を乾燥するため設けられ、ウェブ(2)、特に、紙を乾燥させる乾燥設備(1)であって、
実質的にウェブ全幅に亘って横方向(5)に延びる少なくとも1つの列(4)に沿って配置され、前記ウェブに熱放射するガス加熱型放射要素(3)と、
請求項1〜8のいずれか一項に記載の少なくとも1つの横向き対流システム(7)と、
を備えた乾燥設備。
【請求項12】
ウェブ全幅を乾燥するため設けられ、ウェブ(2)、特に、紙を乾燥させる乾燥設備であって、
実質的にウェブ全幅に亘って横方向(5)に延びる少なくとも1つの列(4)に沿って配置され、前記ウェブを加熱すべく青色炎モードで燃焼するように適合されている少なくとも1個のバーナー組立体(35)と、
請求項1〜8のいずれか一項に記載の少なくとも1つの横向き対流システム(7)と、
を備えた乾燥設備。
【請求項13】
前記ウェブ(2)の移動方向(6)に列設され、加熱要素(3、35)の少なくとも1列の横向き列(4)によって相互に分離されている少なくとも2つの横向き対流システム(7)を備えた請求項11または12に記載の乾燥設備。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−516985(P2010−516985A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551781(P2008−551781)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【国際出願番号】PCT/EP2007/050693
【国際公開番号】WO2007/085618
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(592014377)ナムローゼ・フェンノートシャップ・ベーカート・ソシエテ・アノニム (81)
【氏名又は名称原語表記】N V BEKAERT SOCIETE ANONYME
【出願人】(508225613)ベーカート・コンバスチョン・テクノロジー・ベスローテン・フェンノートシャップ (5)
【Fターム(参考)】