説明

乾燥食品とその製造方法

【課題】本発明は、可溶性調味基材から乾燥具材への味移り及び色移りを確実に防止して、喫食時の風味を自然の風味に近い状態にし、消費者の購買意欲をそそる乾燥食品とその製造方法を提供するものである。
【解決手段】凍結乾燥により乾燥した可溶性調味基材と凍結乾燥により乾燥した乾燥具材とで構成した乾燥食品において、前記可溶性調味基材と前記乾燥具材を別々の所定大きさのブロックに形成し、可溶性調味基材のブロックと乾燥具材のブロックとを組み合わせて一包装にしたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫食時に熱湯を注ぐことにより簡単に調理ができる乾燥食品とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
喫食時に熱湯を注ぐことにより汁もの、スープあるいは惣菜を作るいわゆる即席の乾燥食品は、味噌、スープ、あんかけの素などを乾燥した可溶性調味基材と、うきみ、具等を乾燥した乾燥具材とからなり、この可溶性調味基材と乾燥具材に熱湯を注ぐことで、汁物、スープ、惣菜、丼の素、麻婆豆腐の素などを簡便に得ることができるものである。また、これらの乾燥食品は、保存性に優れ軽量であることから、携帯食、保存食などにも利用される。
【0003】
この様に利便性の高い乾燥食品とその製造方法は、大きく分類して次の3種類がある。
(1)、熱湯を注いだ時にスープになる可溶性調味基材をスプレー乾燥して粒状にし、この粒状の可溶性調味基材と別途乾燥した乾燥具材を一緒に包装した形態のもの。
(2)、前記可溶性調味基材と具材を一体にして凍結乾燥しブロック状に形成して包装したもの(特許文献1。)
(3)、可溶性調味基材を生の状態で包装「例えば調味した味噌を袋詰にした状態」し、これとは別に、乾燥具材を袋詰にして双方の袋を一緒にして包装したもの等がある。
【0004】
上記した乾燥食品のうち、
(1)、熱湯を注いだ時にスープになる可溶性調味基材を粒状にし、この粒状の可溶性調味基材と乾燥具材を一緒に包装した形態のものは、可溶性調味基材を粒状にするために、多くの場合スプレー乾燥を用いる。このスプレー乾燥は、調味基材の調理から粒状になるまでに長時間加熱された状態に置かれるので調味基材の風味を逃し易い。上記したスプレー乾燥で粒状にした可溶性調味基材を用いる乾燥食品は、多少風味が損なわれるもののその生産コストが凍結乾燥に比べて安く且つ、生産時に可溶性調味基材と具材とを一緒に調理しないので、可溶性調味基材から具材への味移りと色移りを防止することが可能であり、さらに、可溶性調味基材と乾燥具材とを夫々計量して一緒に包装できるので、商品の品質(包装した乾燥具材の数等が一定している)を良好に保ち手軽なことがその利点となる。
【0005】
上記した乾燥食品のうち、
(2)、調味基材と具材を一体にして凍結乾燥しブロック状に形成して包装した形態のもの(特許文献1)は、調味基材と具材とを混合し一緒に凍結乾燥によって作るものである。この製造方法は、調理した調味基材と具材を予備凍結した後凍結乾燥を行なう。このため、調味基材と具材に必要以上の熱を加えることなく凍結状態のままで固形化するので、調味基材の風味を損ないにくい利点を有する。しかし、具材が軽い浮身などの場合は、調味基材と具材の調理時に調味基材の中で具材が一方に偏るなどの問題があり、商品製造に当たって、具材の種類が制限されるので汎用性にかける欠点がある。さらに、凍結乾燥において、大きなブロック状のものを凍結乾燥する場合、乾燥がその表面から順次進むため製造工程に長時間を必要とする。
【0006】
また、凍結乾燥により、調味基材と具材を一体化した乾燥食品は、その製造時に調味基材と具材を一緒に調理した後、型枠トレーに充填し予備凍結した後に凍結乾燥するので、調味基材と具材を一緒に調理するとき調味基材の味が具材に移るいわゆる味移りが生じる。また、色の薄い具材例えば麩などは、調理中に調味基材の色が移るいわゆる色移りがある。色移り、味移りは出来上がったスープの味に影響が無くても商品としての外見が悪く食欲を殺ぐので商品価値が下がるものである。このため、調味基材と具材を一体にした乾燥食品の製造に当たっては、この様な状況にならない調味基材と具材の組合せに制限される。
【0007】
さらに、調味基材と具材を一体的にして凍結乾燥した乾燥食品は、全体が直方体に形成してあり、喫食時に熱湯を注いだ時その表面からほぐれるので、可溶性調味基材と乾燥具材との戻り速度を合わせることが難しくなる。このため、可溶性調味基材と具材の組合せを、熱湯を注いで可溶性調味基材と乾燥具材がほぐれたとき双方の戻り速度を合わせてその風味が一致するように選定する必要がある。
【0008】
また、上記した乾燥食品のうち、
(3)、可溶性調味基材を生の状態で包装「例えば調味した味噌を袋詰にした状態」し、この袋詰した可溶性調味基材とは別に、乾燥具材を袋詰にして双方の袋を一緒にして包装したものは、可溶性調味基材を生のままで利用する。そのため、乾燥工程を必要としないのでコストが削減できる。しかし、可溶性調味基材が生であるから基材と乾燥具材を一緒にすると基材の水分が乾燥具材に移るので、基材と乾燥具材を小さい包装に分け、いわゆる分包して、その分包を所定量ずつセットにして包装する必要がある。
【0009】
この様な商品形態である乾燥食品は、喫食時に全体の包装と夫々の分包をあけて器に移した後給湯する必要があるので、喫食に際して包装をあけるのに手間がかかる。また分包を開くときに、可溶性調味基材が飛び散ったりする。従って乾燥食品に求められる簡便性が阻害される欠点がある。
【0010】
上記した分包による喫食時の煩雑さを避けるために特許文献2に示すように、乾燥具材を溶解性のカプセルに封入した乾燥食品あるいは、特許文献3に示すように、可溶性調味基材と乾燥具材との間に可食性ゲル層を設けた乾燥食品がある。これらは喫食時に給湯してカプセル、ゲル層を溶かすので分包開封の煩わしさを避けるようにしたものである。しかしながら、特許文献2及び特許文献3に示される乾燥食品は、出来上がった食品の中にカプセルあるいはゲル層が充分に溶解せず小さい塊(だま)になって残り喫食に際して違和感が残るなど食品として違和感が残る等の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特公昭61−26344
【特許文献2】特開平7−327646
【特許文献3】実用新案登録第3015231号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、可溶性調味基材から乾燥具材への味移りを確実に防止して、喫食時の風味を自然の風味に近い状態にし、さらに、色移りを防止して消費者の購買意欲をそそる乾燥食品とその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0013】
本発明は、凍結乾燥により乾燥した可溶性調味基材と乾燥具材で構成した乾燥食品において、前記可溶性調味基材と前記乾燥具材を別々の所定大きさのブロックに形成し、可溶性調味基材のブロックと乾燥具材のブロックとを組み合わせて一包装にしたことを特徴とする。
【0014】
上記した本発明は、可溶性調味基材と乾燥具材を所定の大きさのブロックに形成するために、喫食調理まで、可溶性調味基材と乾燥具材が混ざり合わないので、味移りがない。このため即席食品といえども通常の調理食品に極めて近い食感を保ことができる。また、この乾燥食品の生産の工程において、可溶性調味基材と乾燥具材は全く別の工程でつくるので、可溶性調味基材の色が乾燥具材に移らない。このため可溶性調味基材、乾燥具材各々を極自然な状態の色に保つので消費者の購買意欲を殺がない効果を有する。
【0015】
さらに、本発明は、一包装内の可溶性調味基材のブロックと乾燥具材のブロックとの組合せを乾燥具材のブロックと可溶性調味基材のブロックの夫々を複数個としたことを特徴とする。
【0016】
上記した本発明は、一包装内の可溶性調味基材のブロックと乾燥具材のブロックとの組合せを乾燥具材のブロックと可溶性調味基材のブロックの夫々を複数個にすることにより、喫食事に喫食者の好みに応じて味の濃度の加減又は具材の量を調整できるので、喫食者の好みに合致させることができる効果を有する。
【0017】
さらに、味噌などの調味基材と調味料と水を混合し流動性を有する可溶性調味基材の材料を作る混合工程と、この混合工程で得られた可溶性調味基材の材料を型枠トレーに充填する充填工程と、充填工程を終了した型枠トレーの可溶性調味基材の材料を凍結する予備凍結工程と、この予備凍結工程で凍結した可溶性調味基材を凍結乾燥する凍結乾燥工程を有する可溶性調味基材のブロックの製作工程と、可溶性調味基材のブロックの製作工程とは別に設けてあり、味噌汁あるいはかきたまなどの具材と賦形剤を混合し流動性を有する乾燥具材の材料を作る混合工程または変性工程と、この混合工程または変性工程で得られた流動性を有する乾燥具材の材料を型枠トレーに充填する充填工程と、充填工程を終了した型枠トレーの乾燥具材の材料を凍結する予備凍結工程と、この予備凍結工程で凍結した乾燥材料を凍結乾燥する凍結乾燥工程を経て製作される乾燥具材のブロックの製作工程と、を備え前記各製作工程で製作された可溶性調味基材のブロックと乾燥具材のブロックを適宜組合せ一包装にする包装工程を有することを特徴とする乾燥食品の製造方法
【発明の効果】
【0018】
上記した本発明によると、可溶性調味基材のブロックと乾燥具材のブロックを別体にしたので、可溶性調味基材から味噌汁の乾燥具材への味移りが全くない、このため、喫食時において乾燥具材と可溶性調味基材の味の独自性を保ち喫食者の好みに合致させることができる。更に、可溶性調味基材と乾燥具材がその素材に合致した最適な乾燥条件で乾燥できることが可能となるから、可溶性調味基材、乾燥具材の材料の特徴である風味、食感、復元性を自然な風味に近い状態に改善できる。また、色移りが全くないので、乾燥具材各々を極自然な状態の色に保つので消費者の購買意欲を殺がない効果を有する。加えて、製品化に当たって可溶性調味基材のブロックと乾燥具材のブロックの種類をいろいろ組み合わせるだけで複数種類の乾燥食品を生産することができるので市場の要求に対して迅速に対応できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態における包装した乾燥食品の断面図
【図2】本発明の実施の形態における可溶性調味基材及び乾燥具材のブロックの外形図
【図3】本発明の実施の形態における可溶性調味基材の製造工程図
【図4】本発明の実施の形態における味噌汁の乾燥具材の製造工程図
【図5】本発明の実施の形態におけるかきたまの乾燥具材の製造工程図
【図6】本発明の実施の形態における製品化工程の工程図
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0020】
以下本発明の実施例について説明する。図1は、包装した乾燥食品の図であり、乾燥食品を味噌汁とした場合について述べる。図1において、1は、乾燥食品としての味噌汁の全体を現しており、2は、味噌汁のスープとなる可溶性調味基材であり、味噌を調整(水、調味料、混合)して凍結乾燥により製作してあり所定の大きさのブロックにしてある。3は、葱、麩、豆腐、わかめ、油揚、納豆、えのきなど味噌汁の具となる材料を調整(水、賦形剤、混合)して凍結乾燥により所定の大きさのブロックにした乾燥具材である。包装フィルム4は、可溶性調味基材2と乾燥具材3を一食分セットにして全体を包装してある。
【0021】
前記可溶性調味基材2のブロックの形状は、図2に示すように小平面aとこの小平面aと平行な大平面bとこの2つの平面を斜面cで連結した構成の台形のブロックである。また味噌汁の乾燥具材3の形状も可溶性調味基材2と同様に図2に示しているように、小平面aとこの小平面aと平行な大平面bとこの2つの平面を斜面cで連結した構成の台形のブロックである。尚、可溶性調味基材2と乾燥具材3の形状を区別して述べる場合は、小平面a、大平面b、斜面cを2又は3を添え字して示す。すなわち、可溶性調味基材2の形状を具体記に述べる場合は、小平面2a、大平面2b、斜面2cと記載し、味噌汁の乾燥具材3のブロックを具体的に述べる場合は、小平面3a、大平面3b、斜面3cと記載して区別する。同様に、かきたまの乾燥具材5のブロックを具体的に述べる場合は、小平面5a、大平面5b、斜面5cと記載して区別する。この可溶性調味基材2と乾燥具材3のブロックは、調整された可溶性調味基材2の材料(流動性を有する材料)と乾燥具材3の材料(流動性を有する材料)を小分けにし凍結乾燥用の型枠トレーに充填して凍結乾燥した結果の形状である。
【0022】
この様に、可溶性調味基材2と乾燥具材3のブロックは、凍結乾燥のための型枠トレーの形状が単純であるので、生産工程における取り扱いが容易になり生産性が向上する形状であり、また、図1に示すように可溶性調味基材2のブロックの斜面2aと乾燥具材3のブロックの斜面3aを沿わせるようにして包装することで極めて安定した状態にすることができる。このため、乾燥食品1の生産工程あるいはその搬送においても可溶性調味基材2及び乾燥具材3が破損しにくい。
【0023】
尚、可溶性調味基材2と乾燥具材3のブロックの形状は、台形としたが、特にこの形状に特定されずに他の形状でも良い。ただ、可溶性調味基材2、乾燥具材3をともに凍結乾燥を行なうので、調整を終えた具材、可溶性調味基材を小分けする型枠トレーは、凍結乾燥の終了後ブロックを取り出すための抜き勾配が必要であるため、台形の形状となる可能性が高い。すなわち、形状としては、三角錐台、円錐台であったりするのが好ましい。
【0024】
以下図3により図1、図2に示した乾燥食品の可溶性調味基材2の製造工程について説明する。図3において、混合工程33は、味噌30に水31及び調味料32(かつおだし、昆布だしなどの風味調味料)を加えて、混合して味噌汁の味を調えると共に凍結乾燥に必要な水分を含ませるように混合して均質化する。この均質化された流動性を有する混合物(以下味噌汁の可溶性調味基材2の材料と記す。)は、味噌汁の可溶性調味基材2の材料となる。尚、味噌30は、赤味噌、赤味噌と白味噌を合わせた合せ味噌等として、複数種類の可溶性調味基材2を製造しておいても良い。
【0025】
充填工程34は、前記混合工程33で均質化された味噌汁の可溶性調味基材2の材料を凍結乾燥しやすいように型枠トレーに充填する工程である。この型枠トレーは、図示していないが、図2に示す可溶性調味基材2の形状のブロックが形成できる型枠トレーである。すなわち、底面に小平面2aを設け、この小平面2aに斜面2cを連接してその上部に大平面2bが開口する容器の構造で、凍結乾燥が終了したとき型枠トレーからの取り外しが容易な台形のブロック構造である。
【0026】
予備凍結工程35は、凍結庫に前記充填工程34で味噌汁の可溶性調味基材2の材料を充填した型枠トレーを複数枚搬入して味噌汁の可溶性調味基材2の材料を凍結する工程である。この工程で凍結された味噌汁の可溶性調味基材2の材料は、その材料内で流動性を有する混合物の状態を保ったまま、その水分が凍結した状態になる。
【0027】
凍結乾燥装置で構成される凍結乾燥工程36は、前記予備凍結工程35で凍結した複数枚の型枠トレーの味噌汁の可溶性調味基材2の材料を凍結乾燥する。この凍結乾燥工程36の凍結乾燥装置は、真空装置によって高度に真空状態に保たれ、且つ味噌汁の可溶性調味基材2の材料を加熱する装置を備えた真空加熱室とこの真空加熱室の排気口にコールドトラップを設けた構成である。前記味噌汁の可溶性調味基材2の材料が充填された複数枚の型枠トレーを真空加熱室に搬入して真空状態下で加熱される、すると、型枠トレー内の味噌汁の可溶性調味基材2の材料は、凍結した水分が昇華によりその表面から順次蒸発する。この凍結乾燥時において、昇華された水分は、真空加熱室の外部でコールドトラップにより冷却され水分として捕集して外部に排出される。
【0028】
凍結乾燥工程36は、味噌汁の可溶性調味基材2の材料を凍結乾燥して味噌汁の味噌汁の可溶性調味基材2を製造する工程である。この凍結乾燥時においても、味噌汁の可溶性調味基材2の材料が図1に示したように全体がほぼ均等な厚みであるため、真空加熱室の熱が均等に伝達される。このため味噌汁の可溶性調味基材2の材料の凍結乾燥による昇華が全体に均等に進行するので、凍結乾燥工程36の処理時間を早くすることができる。
【0029】
取り出し工程37は、前記凍結乾燥工程36で凍結乾燥した味噌汁の可溶性調味基材2を取り出す工程である。この取り出し工程37においても、味噌汁の可溶性調味基材2が台形のブロックであるため、味噌汁の可溶性調味基材2を型枠トレーから外し易く、さらに味噌汁の可溶性調味基材2を取り外す時の破損も発生しにくい。したがって、この取り出し工程37の処理時間を短縮できると共に歩留まりを向上させることができる。
【0030】
以下図4により図1、図2に示した乾燥食品を味噌汁とした場合、その味噌汁の乾燥具材3の製造工程について説明する。図4において、混合工程43は、味噌汁の乾燥具材3のかたちを形成するための澱粉とデキストリンを主成分とする賦形剤42と、葱、麩、豆腐、わかめ、油揚などの味噌汁の具材41と混合する工程であり、この混合工程43の混合で流動性を有する味噌汁の乾燥具材3の材料が作られる。
【0031】
前記の賦形剤42は、デキストリンと澱粉42aに水42bを適宜加えて混合工程42cでよく混合した後、加熱工程42dで加熱することでデキストリンと澱粉42aが糊化してゲル状の賦形剤42が出来上がる。この賦形剤42は、味噌汁の具材41と混合工程43で混合することで味噌汁の具材41の流動性を保ちながら具材41が偏らず安定した状態に保った味噌汁の乾燥具材3の材料とする機能があるので、味噌汁の乾燥具材3の取り扱いを容易にする。
【0032】
充填工程44は、混合工程43で賦形剤42と味噌汁の具材41とが十分に混合され、賦形剤42の中に味噌汁の具材41が均質に且つ適当な粘性を持って流動する状態になった味噌汁の乾燥具材3の材料を図2に示す形状に形成するため型枠トレーに充填する工程である。この型枠トレーは、図示していないが、図2に示す味噌汁の乾燥具材3の形状のブロックが形成できる型枠トレーである。すなわち、底面に小平面3aを備えこの小平面3aの周辺に斜面3cを連接して、その上部に大平面bとなる構造で、ブロック状の味噌汁の乾燥具材3が形成できる構造である。
【0033】
予備凍結工程45は、凍結庫に前記充填工程44で、味噌汁の乾燥具材3の材料を充填した型枠トレーを複数枚搬入して凍結する工程である。この工程で凍結された味噌汁の乾燥具材3の材料は、その材料内で流動性を有する混合物の状態を保ったまま、その水分が凍結した状態になる。
【0034】
凍結乾燥装置で構成される凍結乾燥工程46は、前記予備凍結工程45で凍結した複数枚の型枠トレーに充填した味噌汁の乾燥具材3の材料を凍結乾燥する。この凍結乾燥工程46の凍結乾燥装置は、真空装置によって高度に真空状態に保たれ、且つ味噌汁の乾燥具材3の材料を加熱する装置を備えた真空加熱室とこの真空加熱室の出口側にコールドトラップを設けた構成である。前記味噌汁の乾燥具材3の材料が充填された複数枚の型枠トレーは、真空加熱室に搬入して真空状態下で加熱される、すると、型枠トレー内の味噌汁の乾燥具材3の材料は、昇華によりその表面から順次乾燥する。この凍結乾燥時において、昇華された水分は、真空加熱室の外部でコールドトラップにより冷却され水分として捕集して外部に排出される。
【0035】
取り出し工程47は、前記凍結乾燥工程46で凍結乾燥した味噌汁の乾燥具材3を取り出す工程である。この取り出し工程47においても、味噌汁の乾燥具材3が台形のブロックであるため、味噌汁の乾燥具材3が型枠トレーから外し易く破損も発生しにくい。したがって、この取り出し工程37の処理時間を短縮できると共に歩留まりを向上させることができる。
【0036】
次に、前記した味噌汁の乾燥具材3と相違する種類のかきたまの乾燥具材5の工程について図5によって説明する。尚、前記した味噌汁の乾燥具材3とかきたまの乾燥具材5の製作工程において同一工程には同一符号を付けその説明を省略し、相違する部分のみを説明する。
図5に示すかきたまの乾燥具材5の工程において、変性工程43’は、賦形剤42と溶き卵51を混合して、流動性がありさらに溶き卵51が適度に分散した状態のかきたま52を製造する。このかきたま52に葱53を加え、かきたまの乾燥具材5の材料が出来上がる。このかきたまの乾燥具材5の材料工程以外は、味噌汁の乾燥具材3と同一である。すなわち、葱53が加えられたかきたまの乾燥具材5の材料は、充填工程で型枠トレーに充填され予備凍結工程45で凍結され凍結乾燥工程46で凍結乾燥された後取り出す。
【0037】
以上の様にして製作した味噌汁の乾燥具材3あるいはかきたまの乾燥具材5と可溶性調味基材2を用いて製品を作る製品化工程を示す図6について、味噌汁の乾燥食品とした場合について述べる。
図6に示した包装工程61は、味噌汁の乾燥具材3と可溶性調味基材2を図1に示すようにその斜面cを重ね合わせる様に配置して適宜組み合わせると、全体が長方形状になり安定した状況になる。この様な状態にして包装装置で包装して製品化する。この包装工程61で包装した製品は、規定数を纏めて梱包工程62で梱包して出荷工程63より出荷する。
【0038】
図6に示した製品化工程において、可溶性調味基材2と乾燥具材3を組み合わせることで各種の商品ができる。すなわち、味噌汁の乾燥具材3と赤味噌の可溶性調味基材2の組合せ、味噌汁の乾燥具材3と合せ味噌の可溶性調味基材2の組合せ、かきたまの乾燥具材3aと合せ味噌のかきたまの乾燥具材3aとの組合せなど各種の乾燥食品を作ることができる。また、この工程において可溶性調味基材2と乾燥具材3を予め複数種類を作っておいて、市場の要求に対応して一食分の組合せを変えることができる
【符号の説明】
【0039】
1 乾燥食品
2 可溶性調味基
3 乾燥具材
4 包装フィルム
30 味噌
31 水
32 調味料
33 混合工程
34 充填工程
35 予備凍結工程
36 凍結乾燥工程
37 取り出し工程
41 味噌汁の具材
42 賦形剤
43 混合工程
43’ 変性工程
44 充填工程
45 予備凍結工程
46 凍結乾燥工程
47 取り出し工程
51 溶き卵
52 かきたま
53 葱
61 包装工程
62 梱包工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凍結乾燥により乾燥した可溶性調味基材と乾燥具材とで構成した乾燥食品において、
前記可溶性調味基材と前記乾燥具材を別々の所定大きさのブロックに形成し、可溶性調味基材のブロックと乾燥具材のブロックとを組み合わせて一包装にしたことを特徴とする乾燥食品。
【請求項2】
一包装内の可溶性調味基材のブロックと乾燥具材のブロックの夫々を複数の種類としたことを特徴とする請求項1記載の乾燥食品乾燥食品。
【請求項3】
味噌などの調味基材と調味料と水を混合し流動性を有する可溶性調味基材の材料を作る混合工程と、この混合工程で得られた可溶性調味基材の材料を型枠トレーに充填する充填工程と、充填工程を終了した型枠トレーの可溶性調味基材の材料を凍結する予備凍結工程と、この予備凍結工程で凍結した可溶性調味基材を凍結乾燥する凍結乾燥工程を有する可溶性調味基材のブロックの製作工程と、可溶性調味基材のブロックの製作工程とは別に設けてあり、味噌汁あるいはかきたまなどの具材と賦形剤を混合し流動性を有する乾燥具材の材料を作る混合工程または変性工程と、この混合工程または変性工程で得られた流動性を有する乾燥具材の材料を型枠トレーに充填する充填工程と、充填工程を終了した型枠トレーの乾燥具材の材料を凍結する予備凍結工程と、この予備凍結工程で凍結した乾燥具材の材料を凍結乾燥する凍結乾燥工程を経て製作されるのブロックの製作工程と、を備え前記各製作工程で製作された可溶性調味基材ブロックと乾燥具材のブロックを適宜組合せ一包装にする包装工程を有することを特徴とする乾燥食品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−183871(P2010−183871A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29998(P2009−29998)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000130145)株式会社コスモス食品 (2)
【Fターム(参考)】