説明

予定日変更受付システム

【課題】 企業のコールセンタ等では、顧客からの電話による問い合わせを自動音声で応答を行い、顧客からの入金日の設定変更についても、簡便に自動音声応答で受け付けることができる。しかし、入金日の設定変更の申し出が、顧客の経済状況の悪化等を理由とする場合に、オペレータにより何らかの改善策を提案することができない。
【解決手段】 自動音声応答により簡便に入金予定日の設定変更を受け付ける一方、あらかじめ保持する顧客の情報と入力の履歴から判定を行い、所定の顧客についてはオペレータの音声による応答に切り替えることで、顧客との会話によりオペレータからのアドバイスを行う機会を確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
企業のコールセンタ等で、顧客から入金等の予定日の変更申出を自動音声応答装置により受け付け、受け付けた結果に応じてオペレータの音声による応答に切り替える技術に関する。
【背景技術】
【0002】
企業のコールセンタ等では、自動音声応答装置(IVR)の導入を図り、顧客からの電話による問合せに対し、あらかじめ登録した音声ガイダンスの案内により、顧客の通信機器のダイヤルボタン等に、問合せ事項に該当する番号を入力させることで、その選択結果に基づき、内容に適したオペレータを選択して転送を行う電話応答方法が用いられている。
【0003】
たとえば、個人向け融資の業界においても、自動音声応答装置が導入されており、入金予定日の設定変更等を、オペレータを介さずに行うことができる
【0004】
そのため、オペレータが顧客との対応を自動音声応答に切り替えて、その音声案内にしたがって暗証番号を入力させる技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2006−033780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の通り、個人向け融資の業界における入金予定日の設定変更等は、自動音声応答装置の導入によりオペレータを介さずに行うことができるが、なかには頻繁に変更を行う顧客も存在する。このような顧客においても、属性や取引状況等からまったく問題がない場合もある。
【0006】
しかし、単に返済を忘れたのではなく、経済状況が悪化傾向にあるため、返済が遅れるという場合もある。このような場合であっても、変更後の入金予定日までに入金が行われていれば、オペレータと顧客が特に会話をすることはない。そのため、金融機関としては顧客に何ら改善策を提案できず、気が付けば顧客が返済できないような経済状況になっていたという場合があった。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、自動音声応答により入金予定日の設定変更を受け付け、所定の要件を満たさない顧客についてはオペレータの音声による応答に切り替えることで、顧客との会話によりオペレータからのアドバイスを行う機会を確保することを可能とする予定日変更受付システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の予定日変更受付システムは、顧客からの電話による予定日の変更申出を、通信制御機能を備えるサーバ装置により自動音声応答で受け付ける予定日変更受付システムであって、あらかじめ保持する自動音声データによる応答で、顧客の通信機器に入力された変更希望日データを取得する変更希望日取得手段と、前記変更希望日取得手段により取得した変更希望日が、あらかじめ保持する予定日の変更を許容する範囲の日であるか否かを判定する変更範囲判定手段と、前記変更範囲判定手段により変更希望日が予定日の変更を許容する範囲の日であるとする判定結果の場合に、顧客の変更希望日を予定日データとして保存する予定日保存手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
すなわち、顧客からの電話による入金等の予定日の変更申出を自動音声により受け付けて、通信制御機能を備えるサーバ装置が、顧客が入力した変更希望日を判定して、所定の範囲内の場合に、顧客の変更希望日を予定日として保存する。
【0010】
ここで、電話とは一般公衆回線を用いた通信方式に限らず、IP電話等の通話機能を有する各種の方式を包含するものである。また、通信制御機能を有するサーバ装置とは、企業のコールセンタ等で採用されるCTIシステムサーバやPBX装置等を利用したシステムを意味し、自動音声応答機能についてはIVRシステム装置等の自動音声応答装置を設置することで実現される。
【0011】
なお、「予定日の変更を許容する範囲の日」とは、顧客からの予定日の変更申出に対し、変更を許容する範囲として、あらかじめシステムが保持する期間である。その日数は、顧客に対して一律に、または、個別に設定することができる。
【0012】
なお、予定日変更受付システムの変更希望日取得手段は、前記変更範囲判定手段において変更希望日が予定日の変更を許容する範囲の日であるとする判定結果の場合に、あらかじめ保持する自動音声データによる応答で、顧客に前記予定日の変更を許容する範囲の日を通知して、再度、顧客の通信機器に入力された変更希望日データを取得することを特徴とする。
【0013】
すなわち、顧客が最初の判定において許容する範囲ではない日付を希望した場合に、許容する範囲の日を通知し、その範囲において変更希望日を入力する機会を付与するように設定することもできる。
【0014】
また、予定日変更受付システムは、あらかじめ保持する自動音声データによる応答で、顧客の通信機器に入力された変更申出データを取得する変更申出取得手段と、前記変更申出取得手段により取得した変更申出の回数が、あらかじめ保持する予定日の変更を許容する範囲の回数であるか否かを判定する変更範囲判定手段と、前記予定日保存手段により予定日が保存された場合に、あらかじめ保持する顧客の変更回数のデータを変更する変更回数保存手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
ここで、「予定日の変更を許容する範囲の回数」とは、顧客からの予定日の変更を許容する回数として、あらかじめシステムが保持する。その回数は、顧客に対して一律に、または、個別に設定することができる。
【0016】
予定日の変更が受け付けられて、新しい予定日が保存されると、あらかじめ保持する顧客の変更回数に1が加算される。
【0017】
さらに、本発明の予定日変更受付システムは、前記変更申出取得手段により取得した変更申出の日が、あらかじめ保持する予定日の変更を許容する範囲の日であるか否かを判定する変更範囲判定手段を備えることを特徴とする。
【0018】
すなわち、顧客からの変更申出の着信があった日が、すでに変更を許容する範囲を超過している場合には、顧客に変更希望日の確認を行わない。
【0019】
また、本発明の予定日変更受付システムは、前記変更範囲判定手段により、予定日の変更を許容する範囲ではないとする判定結果の場合に、応答方法を自動音声応答からオペレータの通信機器による応答に切り替えるオペレータ応答切り替え手段を備えることを特徴とする。
【0020】
すなわち、顧客から予定日の変更を許容する範囲を超えた変更申出があった場合に、自動音声応答による変更申出の受付はできないため、通信制御機能を備えるサーバ装置により、オペレータの音声による応答に切り替えを行う。
【0021】
これにより、オペレータは顧客との会話の機会を得て、顧客が予定を変更する理由等の確認を行い、契約の履行について適格なアドバイス等を行うことができる。
【0022】
また、予定日変更受付システムは、顧客からの着信に対し、あらかじめ登録した自動音声データによる応答で、顧客の通信機器に入力された会員番号データ等の顧客識別情報を取得する識別情報取得手段と、前記識別情報入力受付手段により取得した識別情報データに基づき、あらかじめ保持する顧客の情報から顧客を特定する顧客特定手段と、を備えることを特徴とする。
【0023】
これにより、顧客から着信があった時点から顧客の契約内容等の把握が可能となるため、予定日の変更申出にかかる処理を迅速に行うことができる。
【0024】
さらに、予定日変更受付システムは、あらかじめ保持する顧客の契約内容および入力履歴のデータから、前記予定日の変更を許容する範囲を算出して設定する許容変更範囲設定手段を備えることを特徴とする。
【0025】
すなわち、許容変更日数および許容変更回数は顧客により異なるものとすることができるが、顧客の属性や取引状況等に基づき、許容変更日数および許容変更回数を算出して設定することができる。
【0026】
なお、前記許容変更範囲設定手段は、顧客の契約内容に基づいて変更を許容する日数を定める許容変更日数計算テーブルと、顧客の入力履歴に基づいて変更を許容する回数を定める許容変更回数計算テーブルを用いて計算を行うことを特徴とする。顧客の契約内容と入力履歴の夫々に基づく2種類のテーブルを用いることにより、計算機に負荷をかけずにリアルタイムに許容変更範囲の設定演算を行うことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、たとえば個人向け融資の業界において返済の入金予定日を変更する顧客からの申し出に対し、単なる返済忘れや仕事が多忙で時間がとれないような場合か、経済状況が悪化傾向にある顧客のイエローサインの場合かを判別することができる。
【0028】
これにより、前者の場合には自動音声応答装置により対応することで煩わしさが軽減できる。一方、後者の場合にはオペレータに顧客と会話を行う機会が得られるため、経済状況が深刻になる前に、金融機関から何らかの改善策を提案することで、より良い状況へ回復するように働きかけることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、予定日変更受付システムの一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0030】
図1は、本実施形態にかかる予定日変更受付システム1と、通信ネットワーク2を介して接続する顧客の通信機器5、専用ネットワーク3を介して接続するオペレータの端末4の機能ブロック図である。
【0031】
本実施形態におけるシステムサーバは通信制御機能を備えるCTIサーバを用い、自動音声応答(IVR)装置16との連携により、自動音声応答とオペレータの音声による応答を切り替える。なお、本発明の予定日変更受付システム1を、一定の規模のコールセンタ等において導入する場合には、それぞれの機能をサーバ装置により管理することが効果的である(図2)。
【0032】
図1で示す予定日変更受付システム1は、通信ネットワーク2、専用ネットワーク3等と通信を行う送受信部11、顧客情報の受付に関する演算処理等を行う中央演算処理部12、顧客に関する情報や入力履歴データ等を保持する記憶部13、データを入力するキーボード等の入力部14、データを出力する表示装置あるいはプリンタ等の出力部15、顧客からの着信に自動音声で応答を行う自動音声応答装置16から構成されている。
【0033】
送受信部11は、一般の公衆回線等の通信ネットワーク2を介して、顧客の通信機器5等に接続されている。また、LAN等の専用ネットワーク3を介して、オペレータの端末4等に接続されている。なお、オペレータの端末4は、通信機能を有するコンピュータ端末であり、通信機器部46にヘッドセット等を備えて、一般の公衆回線を利用する顧客の通信機器5等と通話をすることができる。
【0034】
また、通信制御機能を備える送受信部11は、自動音声応答装置16との連携により、顧客の通信機器5からの着信に対して自動音声で応答し、顧客の通信機器5が備えるダイヤルボタン等から入力されたデータを受信することができる。
【0035】
さらに、自動音声による応答において、顧客の通信機器5からオペレータの音声による応答方法を選択する入力がなされた場合に、オペレータの端末4が備えるヘッドセット(通信機器部46)でのオペレータの音声による応答に切り替わるほか、予定日変更受付システム1の中央演算処理部12から送信される所定の信号によっても、応答方法を相互に切り替えることができる。
【0036】
記憶部13には、顧客に関するデータ等を保持する顧客情報DB131(図3)、自動音声応答等により得られた顧客の入力履歴のデータ等を保持する入力履歴DB132(図4)等により構成されている。
【0037】
中央演算処理部12には、送受信部11との間でデータの受け渡しを行う送受信処理手段501、入力部14または出力部15とデータの受け渡しを行う入出力処理手段502、顧客の契約内容および入力履歴から許容範囲を算出して設定する許容変更範囲設定手段503、自動音声応答により顧客の会員番号等の顧客を識別できる情報の入力を受け付けて取得する識別情報取得手段504、あらかじめ保持する顧客情報から、会員番号により顧客を特定する顧客特定手段505、自動音声応答により顧客の変更申出を受け付けて取得する変更申出取得手段506、変更申出の予定日の変更が許容する範囲であるか否かを判定する変更範囲判定手段507、自動音声応答により顧客の変更希望日を受け付けて取得する変更希望日取得手段508、いずれかの判定の結果、許容範囲にない場合にオペレータによる応答に切り替えるオペレータ応答切り替え手段509、変更希望日が許容する範囲の日である場合に、入金予定日として保存する予定日保存手段510、入金予定日の変更の登録に際して、変更の回数を保存する変更回数保存手段511を備える。
【0038】
図3は、本実施形態における顧客情報DB131のデータ構成例である。
顧客テーブルでは、顧客の会員番号を主キーに氏名、電話番号、住所、メールアドレス等の顧客を特定する情報のほか、顧客との契約の内容について管理する。本実施形態の一例では、契約期間において一定の契約額を、毎月同じ日付を約定日に設定して入金を行うこととしている。
【0039】
約定日とは、定期的に一定額の入金を行う住宅ローンや割賦販売等において、顧客との契約で定める入金期限のことである。
【0040】
また、顧客情報DB131では、入金テーブルを備えて契約に基づく顧客からの入金状況について管理を行う。
【0041】
図4は、本実施形態における入力履歴DB132のデータ構成例である。
入力履歴DB132では、自動音声応答において顧客の通信機器から入力された情報を応答ログとして保存する。自動音声応答により受け付けた所定の事項については、応答ログに基づいて入力履歴テーブルが作成される。図5の入金予定日変更受付テーブルは、入力履歴テーブル等のデータの変更を受けて、各月の入金予定日等を保存するほか、顧客が入金予定日の変更申出を行う際に、許容される変更日数や変更回数を管理する。
【0042】
本実施形態における例では、契約における入金の期限である約定日からの許容変更日数は3日、許容される変更回数は2回を標準とする。ただし、顧客の属性や取引状況等により、許容できる日数および回数が異なるため、顧客によって標準許容変更日数および標準許容変更回数から増減させることとしている。
【0043】
なお、約定日に許容される変更日数を加算した日は、変更が許容される最後の日となり、本実施形態の入金予定日変更受付テーブルでは「許容変更日」として管理する。
【0044】
図6は、許容される日数および回数が異なる顧客の許容範囲を、一覧表にまとめた例である。本実施形態では、入力履歴DB132の入金予定日変更受付テーブルが保持する顧客の数値に基づいて一覧表を作成して、顧客の入金管理に活用することが可能となる。
【0045】
なお、許容できる日数および回数の増減は、オペレータ等により手動で行うこともできるが、本実施形態では、後述の許容変更範囲設定手段503により行う。
【0046】
図7は、予定日変更受付システム1の動作を示すフローチャートである。顧客の通信機器5から発信された電話は、通信ネットワーク2を介して送受信部11に着信する(S101)。自動音声応答により顧客の会員番号の入力を案内して、顧客の通信機器5が備えるダイヤルボタン等の操作により回答を受け付ける(識別情報取得手段504・S102)。次に顧客情報DB131が保持する顧客テーブルの中から、取得した会員番号データを検索することで、顧客の特定が可能となり、氏名、住所や契約内容等の情報を得ることができる(顧客特定手段505・S103)。
【0047】
次に、自動音声応答により、顧客が希望する申し込み、問い合わせの内容の選択を案内する(S104)。この場合に、顧客特定手段505により特定された顧客の契約内容等の情報により、あらかじめ保持するデータの中から適切な自動音声データが選択される。なお、顧客が複数の契約を行っているような場合には、いずれの契約に関する問合せであるのかを特定する。
【0048】
入金予定日の変更申出を選択する顧客は、自動音声によるサービスの案内から、入金予定日の変更に対応する番号を通信機器5のダイヤルボタンに入力する。変更申出取得手段506は顧客の通信機器5からの入力を取得する(S105)。
【0049】
顧客による入金予定日の変更申出の選択を受けて、変更範囲判定手段507は、顧客から変更申出の着信があった日が、入金予定日の変更が許容される期間内であるか否かを判定する(S106)。これにより、着信の日がすでに変更が許容される期間の経過後であった場合に、その後の無駄な手続を回避することができる。
【0050】
具体的には、自動音声応答により特定された顧客の契約において、顧客からの変更申出に係る予定日の変更が許容される期限を規定する許容変更日を抽出する。許容変更日のデータは記憶部13の入力履歴DB132の入金予定日変更受付テーブルが保持する(図5)。
【0051】
次に、顧客から変更申出の着信があった日と顧客の許容変更日の比較を行い、顧客から変更申出の着信があった日が顧客の許容変更日と同日または以前であれば、着信日は許容範囲の日と判定される(S106)。
【0052】
着信日が許容範囲の日ではないと判定された場合には、変更範囲判定手段507によりオペレータ応答切り替え手段509を起動し、オペレータへ転送する旨の自動音声応答がなされ(S116)、オペレータの音声による応答に切り替える(S117)。
【0053】
着信日が変更を許容する範囲の日であると判定された場合には(S106)、入金予定日の変更申出の回数が、予定日の変更を許容する範囲の回数であるか否かの判定がなされる(S107)。これにより、応答にかかる入金予定日の変更申出が、すでに許容される変更回数を超過していた場合に、その後の無駄な手続を回避することができる。
【0054】
具体的には、記憶部13の入力履歴DB132の入金予定日変更受付テーブルが保持する、すでに行った入金予定日の変更の回数である実績変更回数のデータを抽出して、許容変更回数のデータと比較を行う。実績変更回数のデータが許容変更回数のデータより小さい場合に、応答にかかる変更申出は許容範囲の回数であると判定される(S107)。許容変更回数より小さいとしたのは、実績変更回数は応答にかかる変更申出により1が加算されるため、許容変更回数より1以上少ない必要があるからである。
【0055】
変更回数が許容範囲ではないと判定された場合には、オペレータ応答切り替え手段509により、オペレータへ転送する旨の自動音声応答がなされ(S116)、オペレータの音声による応答に切り替える(S117)。
【0056】
変更回数が許容範囲であると判定された場合には(S107)、あらかじめ保持する自動音声データによる応答で、顧客に入金予定日の変更を希望する日の入力を案内する(S108)。顧客は入金予定日の変更を希望する日に対応する番号を通信機器5のダイヤルボタンに入力を行い、変更希望日取得手段508は顧客の通信機器5からの入力を取得する(S109)。
【0057】
変更範囲判定手段507は、顧客から入力された入金予定日の変更を希望する日が、入金予定日の変更可能な期間内であるか否かを判定する(S110)。具体的には、上述の入力履歴DB132の入金予定日変更受付テーブルが保持する許容変更日と入金予定日の変更を希望する日との比較を行い、入金予定日の変更を希望する日が顧客の許容変更日と同日または以前であれば、入金予定日の変更を希望する日は許容範囲の日と判定される(S110)。
【0058】
入金予定日の変更を希望する日が、変更を許容する範囲の日ではないと判定された場合には、あらかじめ保持する自動音声データによる応答で、顧客に許容変更日の日付とあらためて入金予定日の変更を希望する日の入力を案内する(S113)。顧客はあらためて入金予定日の変更を希望する日に対応する番号を通信機器5のダイヤルボタンに入力を行い、変更希望日取得手段508は顧客の通信機器5からの入力を取得する(S114)。
【0059】
変更範囲判定手段507は、顧客からあらためて入力された入金予定日の変更を希望する日が、入金予定日の変更可能な期間内であるか否かを判定する(S115)。具体的には、上述の入力履歴DB132の入金予定日変更受付テーブルが保持する許容変更日と入金予定日の変更を希望する日との比較を行い、入金予定日の変更を希望する日が顧客の許容変更日と同日または以前あれば、入金予定日の変更を希望する日は許容範囲の日と判定される(S115)。
【0060】
入金予定日の変更を希望する日が許容範囲の日ではないと判定された場合には、変更範囲判定手段507によりオペレータ応答切り替え手段を起動し、オペレータへ転送する旨の自動音声応答がなされ(S116)、オペレータの音声による応答に切り替える(S117)。
【0061】
なお、本実施形態では、最初の判定において入金予定日の変更を希望する日が許容範囲の日ではないと判定された場合に、あらためて顧客に許容変更日の日付と入金予定日の変更を希望する日の入力を案内することとしているが、設定によっては最初の判定を最終的な判定とすることもできる。これにより、顧客に許容変更日に基づく判定を意識させることなく、入金予定日の変更を受け付けることができる。
【0062】
入金予定日の変更を希望する日が、変更を許容する範囲の日であると判定された場合には(S110)、予定日保存手段510により、入力履歴DB132の入金予定日変更受付テーブルが保持する入金予定日のデータを、顧客が入金予定日の変更を希望する日に更新される(S111)。
【0063】
また、変更回数保存手段511により、入力履歴DB132の入金予定日変更受付テーブルが保持する実績変更回数の数値データに1が加算される(S112)。
【0064】
なお、変更申出の日、または、変更申出の回数、または、入金予定日の変更を希望する日が、予定日の変更を許容する範囲ではないと判定された場合に、自動音声応答からオペレータの音声による応答に切り替えられるが(S117)、オペレータは顧客から入金予定日の変更の理由を聴取して、問題がないと判断すれば入金予定の変更を希望する日を、新しい入金予定日に設定する。
【0065】
これらの入力はオペレータの端末4の入力部44から行われるが、その変更結果等については、自動音声応答と同様に入力履歴DB132が保持する応答ログに保存されて(図4)、入金予定日変更受付テーブルに新しい入金予定日が保存される。
【0066】
一方、経済状況が悪化傾向にあると判断すれば、何らかの改善策を提案することで、より良い状況へ回復するように働きかける。これにより、顧客の経済状況が深刻化することを防ぐことができる。
【0067】
次に、許容変更範囲設定手段503について説明する。
上述の通り、入金予定日の変更が許容される範囲は顧客によって異なるが、本発明の予定日変更受付システム1の許容変更範囲設定手段503では、顧客の情報および入力の履歴に基づいて自動的に設定を行うことができる。
【0068】
顧客の許容変更日および許容変更回数は、入力履歴DB132が保持する入金予定日変更受付テーブルが管理するが(図5)、その計算については、許容変更日数計算テーブルおよび許容変更回数計算テーブルに基づいて決められる(図8)。
【0069】
許容変更日は約定日に標準許容変更日数と、顧客により異なる調整日数を加算することにより定められるが、本実施形態における調整日数は、顧客情報DB131の顧客テーブルおよび入金テーブルが保持する契約内容等に基づいて定められる(図8)。
【0070】
図9には、許容変更日数調整テーブルの構成例について示す。契約内容の種別や契約期間、入金の完了状況等をポイントに換算し、その合計ポイントにより増減の日数が算定される。それぞれの換算表は入力履歴DB132が備える。
【0071】
許容変更回数は、標準許容変更回数と、顧客により異なる調整回数により定められるが、本実施形態における調整回数は、主に入力履歴DB132の入金予定日変更受付テーブルが保持する変更の履歴等によって定められる(図8)。
【0072】
図10には、許容変更回数調整テーブルの構成例について示す。直前の入金である前回の入金における変更日数および変更回数、事前の変更申出がなく入金予定日を経過した日数、事前に行われた変更申出と入金予定日までの日数差等をポイントに換算し、その合計ポイントにより増減の回数が算定される。それぞれの換算表は入力履歴DB132が備える。
【0073】
換算表のデータに変更があった場合に、許容変更範囲設定手段503は入金予定日変更受付テーブルの情報を更新する。
【0074】
換算表の基準を変更する場合には、これらの換算表の内容を変更することで、すべての顧客に対して新しい基準を適用することができる。
【0075】
なお、たとえば許容変更日数調整テーブルの換算表において、教育ローンや住宅ローン、割賦販売等の項目については高いポイントとし、事業資金貸付等の顧客に一定のリスクが生じる契約内容については低いポイントとすることができる。また、契約金額や毎月入金額において額に段階を設けて高額になるほど低いポイントとすることもできる。また、入金完了回数や入金額が多い場合は高いポイントとし、少ない場合は低いポイントとすることもできる。
【0076】
他にも、入金完了率や残額により契約の履行が進んでいる場合や、繰り延べ入金が行われている場合や、他の契約により入金が担保できているような場合等に、高いポイントとするように設定することもできる。反対に、以前にオペレータとの応答により改善策の提案を受けているような場合や、他の契約との関係で入金を圧迫することが懸念されているような場合等に、低いポイントとするように設定することもできる。
【0077】
たとえば許容変更回数調整テーブルの換算表においては、前回の入金において変更回数や変更日数が大きかった場合は低いポイントとすることができる。さらに、顧客への注意を促す目的で、変更申出の事前連絡が直前となる場合や、事前に変更申出のないまま入金予定日を経過した入金が頻繁に行われている場合等に低いポイントとし、オペレータの音声による応答で理由を聴取することもできる。
【0078】
ポイントの設定では、低いポイントとしてマイナスのポイントとすることもできる。特定の項目について大きなマイナスポイントとすることで、ポイントの換算の結果、該当する顧客の許容変更回数は0回となり、変更範囲判定手段507により必ずオペレータの音声による応答へ案内することができる。
【0079】
その結果、個別の顧客の事情について客観的に数値化することで、たとえば経済的に不安な兆候が現れた顧客に対し、より適切な時期にオペレータとの会話の機会を送出することが可能となる。一方、順調に入金を継続する顧客に対しては、オペレータの音声による応答を必要とせず、高い利便性を提供することができる。
【0080】
なお、本発明の予定変更受付システムにおける入金とは、個人や事業への融資、住宅ローンや教育ローン等に限らず、割賦販売における支払、定期預金や保険料の支払、納税等も含めることができる。
【0081】
さらに、本発明の予定変更受付システムは、入金に関する予定変更受付に限らず、換算表の項目の設定を変更することにより、たとえば医療機関、娯楽施設、スポーツ施設、学習機関等におけるサービス予約等にも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施の形態に係る予定日変更受付システム1、および、顧客の通信端末5、オペレータの端末4の機能ブロック図である。
【図2】本発明の予定日変更受付システムをコールセンタに採用した場合の構成例である。
【図3】予定日変更受付システム1の記憶部13が保持する顧客情報DB131のデータ構成例である。
【図4】予定日変更受付システム1の記憶部13が保持する入力履歴DB132のデータ構成例である。
【図5】予定日変更受付システム1の記憶部13が保持する入力履歴DB132の入金予定日変更受付テーブルのデータ構成例である。
【図6】顧客により異なる許容変更日数および許容変更回数を、一覧に表した図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る予定日変更受付システム1における全体の流れを示したフローチャート図である。
【図8】入金予定日変更受付テーブルと、許容変更日数計算テーブルおよび許容変更回数計算テーブルの関係図である。
【図9】許容変更日数計算テーブルにおける換算表の一例である。
【図10】許容変更回数計算テーブルにおける換算表の一例である。
【符号の説明】
【0083】
1 予定日変更受付システム
2 通信ネットワーク
3 専用ネットワーク
4 オペレータ(端末)
5 顧客(通信機器)
11、41 送受信部
12、42 中央演算処理部
13、43 記憶部
14、44 入力部
15、45 出力部
16 自動音声応答装置
46 通信機器部
131 顧客情報DB
132 入力履歴DB
501 送受信処理手段
502 入出力処理手段
503 許容変更範囲設定手段
504 識別情報取得手段
505 顧客特定手段
506 変更申出取得手段
507 変更範囲判定手段
508 変更希望日取得手段
509 オペレータ応答切り替え手段
510 予定日保存手段
511 変更回数保存手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客からの電話による予定日の変更申出を、通信制御機能を備えるサーバ装置により自動音声応答で受け付ける予定日変更受付システムであって、
あらかじめ保持する自動音声データによる応答で、顧客の通信機器に入力された変更希望日データを取得する変更希望日取得手段と、
前記変更希望日取得手段により取得した変更希望日が、あらかじめ保持する予定日の変更を許容する範囲の日であるか否かを判定する変更範囲判定手段と、
前記変更範囲判定手段により変更希望日が予定日の変更を許容する範囲の日であるとする判定結果の場合に、顧客の変更希望日を予定日データとして保存する予定日保存手段と、
を備えることを特徴とする予定日変更受付システム。
【請求項2】
前記変更希望日取得手段は、前記変更範囲判定手段において変更希望日が予定日の変更を許容する範囲の日であるとする判定結果の場合に、あらかじめ保持する自動音声データによる応答で、顧客に前記予定日の変更を許容する範囲の日を通知して、再度、顧客の通信機器に入力された変更希望日データを取得することを特徴とする請求項1に記載の予定日変更受付システム。
【請求項3】
あらかじめ保持する自動音声データによる応答で、顧客の通信機器に入力された変更申出データを取得する変更申出取得手段と、
前記変更申出取得手段により取得した変更申出の回数が、あらかじめ保持する予定日の変更を許容する範囲の回数であるか否かを判定する変更範囲判定手段と、
前記予定日保存手段により予定日が保存された場合に、あらかじめ保持する顧客の変更回数のデータを変更する変更回数保存手段と、
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の予定日変更受付システム。
【請求項4】
前記変更申出取得手段により取得した変更申出の日が、あらかじめ保持する予定日の変更を許容する範囲の日であるか否かを判定する変更範囲判定手段を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一に記載の予定日変更受付システム。
【請求項5】
前記変更範囲判定手段により、予定日の変更を許容する範囲ではないとする判定結果の場合に、応答方法を自動音声応答からオペレータの通信機器による応答に切り替えるオペレータ応答切り替え手段を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一に記載の予定日変更受付システム。
【請求項6】
顧客からの着信に対し、あらかじめ登録した自動音声データによる応答で、顧客の通信機器に入力された会員番号データ等の顧客識別情報を取得する識別情報取得手段と、
前記識別情報取得手段により取得した識別情報に基づき、あらかじめ保持する顧客の情報から顧客を特定する顧客特定手段と、
を備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一に記載の予定日変更受付システム。
【請求項7】
あらかじめ保持する顧客の契約内容および入力履歴のデータから、前記予定日の変更を許容する範囲を算出して設定する許容変更範囲設定手段を備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一に記載の予定日変更受付システム。
【請求項8】
前記許容変更範囲設定手段は、顧客の契約内容に基づいて変更を許容する日数を定める許容変更日数計算テーブルと、顧客の入力履歴に基づいて変更を許容する回数を定める許容変更回数計算テーブルを用いて計算を行うことを特徴とする請求項7に記載の予定変更受付システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2008−147795(P2008−147795A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−329965(P2006−329965)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【出願人】(595078415)プロミス株式会社 (99)
【Fターム(参考)】