説明

予約実行装置および予約実行方法

【課題】予約された放送番組をより確実に予約実行する。
【解決手段】第一の周波数で取得する現在時刻を基準時刻に設定し、基準時刻から第二の周波数で現在時刻を取得するまでの経過時間を基準時刻に加え、第二の周波数で取得する現在時刻と、基準時刻に経過時間を加えた時刻との差分を時間誤差として算出する時間誤差算出部25と、予約情報を設定する予約設定部21と、予約を実行する際、同時に選局可能な放送番組数を超える場合でかつ、予約設定された放送番組が放送される周波数と現在選局されている放送番組が放送されている周波数とが異なる場合、時間誤差と、現在選局されている周波数上で放送されている信号に含まれる現在時刻と、を用いて予約を実行する予約実行部23と、からなる予約実行装置100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放送番組の予約を実行する予約実行装置および予約実行方法に関し、特に予約した放送番組をより確実に予約実行することが可能な予約実行装置および予約実行方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、世界各国でテレビ放送がアナログ放送からデジタル放送に移行している。デジタル放送では、デジタル放送受信機における放送番組の選局に必要な情報を選局情報として放送番組と共に伝送されている。視聴者はこの選局情報をデジタル放送受信機の表示画面に表示し、放送番組の確認、視聴予約、録画予約等に利用することができる。
【0003】
デジタル放送を受信し、受信した信号から希望する放送番組を、例えば予約視聴する場合、視聴予約機能付デジタル放送受信機が用いられる。この視聴予約機能付デジタル放送受信機は、受信した信号の中から視聴者が視聴を希望する放送番組をリモコン等からの入力操作によって指定すると、指定した時刻に該放送番組への選局動作が実行される。
【0004】
デジタル放送受信機の予約実行動作としては、デジタル放送受信機本体に内蔵された時計を基準に指定された時刻に選局動作を行うものが一般的である。
【0005】
ところで、アナログ放送からデジタル放送に移行が進むテレビ放送において、ある周波数上で放送されている信号に含まれている時刻情報とある周波数とは異なる周波数上で放送されている信号に含まれている時刻情報と、は必ずしも一致しない。この為、例えば、チューナを1系統しか搭載しないデジタル放送受信機において、視聴予約した放送番組が放送される周波数と、視聴予約した放送番組が放送される時間帯に視聴者が視聴している放送番組が放送される周波数とが異なる場合、視聴予約した放送番組の予約実行は、視聴者が視聴している放送番組が放送される周波数で送出されている時刻情報に基づいて行われるので、視聴予約した放送番組が開始される実際の時刻に予約実行されない、つまり視聴予約した放送番組が開始される時刻に現在視聴している放送番組から視聴予約した放送番組に切り替わらない場合があり、視聴予約した番組を正確に予約実行するためにはデジタル放送受信機独自の工夫が必要となる。
【0006】
特許文献1には、デジタル放送受信機本体に内蔵された時計とデジタル放送信号に含まれている時刻情報との時間誤差に基づいて、予約実行を開始する時刻を修正する手段を備えた予約機能付デジタル放送受信機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−303799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、従来のデジタル放送受信機にあっては、以下のような課題があった。
【0009】
つまり、特許文献1のデジタル放送受信機では、受信機本体に時計が内蔵されていることが前提となっている為、時計が内蔵されていない受信機では上述した課題は依然として解決されていない。
【0010】
本発明は、予約(視聴予約、録画予約等)された放送番組をより確実に予約実行することが可能な予約実行装置および予約実行方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の予約実行装置は、選局された周波数上で放送されている信号を取得する際に、前記信号に含まれる現在時刻を取得する時刻取得部と、第一の周波数で取得する現在時刻を基準時刻に設定し、前記基準時刻から前記第一の周波数とは異なる第二の周波数で現在時刻を取得するまでの経過時間を前記基準時刻に加え、前記第二の周波数で取得する現在時刻と、前記基準時刻に前記経過時間を加えた時刻との差分を時間誤差として算出する時間誤差算出部と、放送番組の選局情報および前記放送番組の放送日時からなる予約情報を設定する予約設定部と、前記予約を実行する際、同時に選局可能な放送番組数を超える場合でかつ、前記予約設定された放送番組が放送される周波数と現在選局されている放送番組が放送されている周波数とが異なる場合、前記時間誤差と、前記現在選局されている周波数上で放送されている信号に含まれる現在時刻と、を用いて前記予約を実行する予約実行部と、からなる。
【0012】
また、本発明の予約実行方法は、選局された周波数上で放送されている信号を取得する際に、前記信号に含まれる現在時刻を取得する現在時刻取得ステップと、第一の周波数で取得する現在時刻を基準時刻に設定し、前記基準時刻から前記第一の周波数とは異なる第二の周波数で現在時刻を取得するまでの経過時間を前記基準時刻に加え、前記第二の周波数で取得する現在時刻と、前記基準時刻に前記経過時間を加えた時刻との差分を時間誤差として算出する時間誤差算出ステップと、放送番組の選局情報および前記放送番組の放送日時からなる予約情報を設定する予約設定ステップと、前記予約設定された放送番組が放送される周波数と、現在選局されている放送番組が放送されている周波数とが異なる場合、前記時間誤差と、前記現在選局されている周波数上で放送されている信号に含まれる現在時刻と、を用いて前記予約を実行する予約実行ステップと、からなるからなる。
【0013】
また、本発明の予約実行装置における時間誤差算出部は、初回スキャン時に、前記基準時刻を設定し、前記時間誤差を算出することを特徴とする。
【0014】
本発明の予約実行装置および予約実行方法によれば、基準時刻を設定し、設定した基準時刻に対する異なる周波数間で発生する現在時刻の誤差(時間誤差)を算出し、予約を実行する際、同時に選局可能な放送番組数を超える場合でかつ、予約された番組が放送されている周波数と現在選局されている周波数とが異なる場合、算出した時間誤差と現在選局されている周波数上で放送されている信号に含まれる現在時刻とを用いて予約を実行するので、異なる周波数間で発生する現在時刻の誤差にも係らず、予約された放送番組をより確実に予約実行することが可能となる。
【0015】
また、本発明の予約実行装置は、バックグラウンドスキャン時に、前記時間誤差を更新することを特徴とする。
【0016】
上述の効果に加え、本発明の予約実行装置によれば、バックグランドスキャン時に初回スキャン時や以前のバックグランドスキャン時に構築したサービスリストの時間誤差を更新することができ、放送局の日々の運用の中で初回スキャン時や以前のバックグランドスキャン時に算出した時間誤差に変化が生じた場合であっても該変化を調整することができるので、異なる周波数間で発生する現在時刻の誤差変化にも係らず、予約された放送番組をより確実に予約実行することが可能となる。
【0017】
また、本発明の予約実行装置は、前記選局された周波数と、前記選局された周波数における時間誤差を一つの組として、同一の周波数における前記組を時間誤差履歴として複数記憶する記憶部をさらに備え、前記時間誤差算出部は、前記時間誤差履歴に基づき、前記バックグラウンドスキャン時に算出した時間誤差の信頼性を判断し、前記バックグラウンドスキャン時に算出した時間誤差を更新するか否かを決定することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の予約実行装置は、前記取得する現在時刻の内、最初に取得する現在時刻を基準時刻に設定することを特徴とする。
【0019】
上述の効果に加え、本発明の予約実行装置によれば、時間誤差履歴を用いて算出した時間誤差の信頼性を判断し、算出した時間誤差を更新するか否かを判断することで、時間誤差の更新精度を高めることができるので、異なる周波数間で発生する現在時刻の誤差にも係らず、予約された放送番組をより確実に予約実行することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の予約実行装置および予約実行方法によれば、基準時刻を設定し、設定した基準時刻に対する異なる周波数間で発生する現在時刻の誤差(時間誤差)を算出し、予約を実行する際同時に選局可能な放送番組数を超える場合でかつ、予約された番組が放送される周波数と現在選局されている周波数とが異なる場合、算出した時間誤差と現在選局されている周波数上で放送されている信号に含まれる現在時刻とを用いて予約を実行するので、異なる周波数間で発生する現在時刻の誤差にも係らず、予約された放送番組をより確実に予約実行することが可能となる。
【0021】
また、バックグランドスキャン時に初回スキャン時や以前のバックグランドスキャン時に構築したサービスリストの時間誤差を更新することができ、放送局の日々の運用の中で初回スキャン時や以前のバックグランドスキャン時に算出した時間誤差に変化が生じた場合であっても該変化を調整することができるので、異なる周波数間で発生する現在時刻の誤差変化にも係らず、予約された放送番組をより確実に予約実行することが可能となる。
【0022】
さらに、時間誤差履歴を用いて算出した時間誤差の信頼性を判断し、算出した時間誤差を更新するか否かを判断することで、時間誤差の更新精度を高めることができるので、異なる周波数間で発生する現在時刻の誤差にも係らず、予約された放送番組をより確実に予約実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例1に係るデジタル放送受信機の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施例1に係るデジタル放送受信機の記憶部が保持する初回スキャン時に使用する周波数テーブルの一例を示す図。
【図3】本発明の実施例1に係るデジタル放送受信機の初回スキャン時の動作を示すフローチャート。
【図4】本発明の実施例1に係るデジタル放送受信機が初回スキャン時に構築するサービスリストの一例を示す図。
【図5】本発明の実施例1に係るデジタル放送受信機の視聴予約時の動作を示すフローチャート。
【図6】本発明の実施例1に係るデジタル放送受信機のバックグランドスキャン時の動作を示すフローチャート。
【図7】本発明の実施例1に係るデジタル放送受信機がバックグラウンドスキャン時に構築するサービスリストの一例を示す図。
【図8】本発明の実施例1に係るデジタル放送受信機のバックグラウンドスキャン時の別の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0025】
<デジタル放送受信機100の構成と機能>
図1は、本発明の実施例1に係るデジタル放送受信機の構成を示すブロック図である。
【0026】
デジタル放送受信機100は、チューナ部11、TS(Transport Stream)デコード部12、AV(Audio & Video)デコード部13、AV(Audio & Video)出力部14、制御部15、リモコン受信部16とから構成される。なお、実施例1において、デジタル放送受信機100が備えるチューナは1系統であり、同時に選局可能な放送番組は1つである。
【0027】
チューナ部11は、制御部15により設定された選局情報に基づき選局した周波数上で放送されている放送波を受信し、MPEG2(Motion Picture Experts Group Phase2)形式のTSに復調してTSデコード部12に出力する。TSは、映像データおよび音声データの他、現在時刻を含む選局情報から構成される。
【0028】
TSデコード部12は、チューナ部11から入力されたTSをフィルタリングし、映像データおよび音声データをAVデコード部13に出力するとともに、現在時刻を含む選局情報を制御部15に出力する。
【0029】
AVデコード部13は、TSデコード部13から入力された映像データおよび音声データを復号してAV出力部14に出力する。
【0030】
AV出力部14は、AVデコード部13から入力された映像データをモニタ等の表示装置(図示せず)に出力するとともに、音声データをスピーカ等の音声出力装置(図示せず)に出力する。
【0031】
制御部15は、デジタル放送受信機100全体を制御するコントローラである。詳細は後述する。
【0032】
リモコン受信部16は、視聴者によるリモコン17の操作に基づき、リモコン17から操作情報を受信し、制御部15に出力する。
<制御部15の構成と機能>
制御部15は、予約設定部21、記憶部22、選局実行部23、時刻取得部24、時間誤差算出部25とから構成される。なお、制御部15は、その他の構成も備えるが記載を省略している。
【0033】
予約設定部21は、視聴者によるリモコン17の操作に基づき、リモコン受信部16経由で受信した放送番組の選局情報および該放送番組の放送日時からなる予約情報を記憶部22に記憶させる。
【0034】
記録部22は、初回スキャン時に使用する周波数テーブルの他、初回スキャンにより生成されるサービスリスト、予約情報等を記憶している。
【0035】
選局実行部23は、視聴者が放送番組を視聴中、リモコン17で別の放送番組を選局すると、該放送番組に対応するネットワークID、TSID、サービスID、周波数等からなる選局情報を記憶部22に記憶されているサービスリストから取得し、チューナ部11に設定する。また、予約実行時には、予約設定部21により記憶部22に記憶されている予約情報に基づき、予約された放送番組の開始時間前に対応する選局情報を記憶部22に記憶されているサービスリストから取得し、チューナ部11に設定する。また、初回スキャン時やバックグラウンドスキャン時には、記憶部22に記憶されている初回スキャン時の周波数テーブルやサービスリストを読み出し、選局情報をチューナ部11に設定する。
【0036】
時刻取得部24は、視聴者による放送番組視聴時、初回スキャン時、バックグラウンドスキャン時、予約実行時等、TSデコード部12から入力された現在時刻を含む選局情報を取得し記憶部22に記憶させるとともに、取得した選局情報を時間誤差算出部25に出力する。
【0037】
時間誤差算出部25は、時刻取得部24から入力された選局情報に含まれる現在時刻の内一つを基準時刻に設定し、設定した基準時刻と時刻取得部24から入力されたその他の現在時刻とから現在時刻の誤差(時間誤差)を算出し、算出した時間誤差を選局情報と関連付けて記憶部22に記憶させる。
【0038】
続いて、デジタル放送受信機100の初回スキャン時、視聴予約実行時、バックグラウンドスキャン時の動作について、図2から図8を用いて説明する。
【0039】
まず初めに、視聴者がデジタル放送受信機100を購入後、初めて電源を投入した際に行われる初回スキャン時の動作について、図2から図4を用いて説明する。
<初回スキャン時>
図2は、本発明の実施例1に係るデジタル放送受信機の記憶部が保持する初回スキャン時に使用する周波数テーブルの一例を示す図である。ここでは、地上波デジタル放送、衛星デジタル放送、ケーブルデジタル放送の放送毎に、選局実行部23が初回スキャン時にチューナ部11に設定する周波数が記載されている。なお、初回スキャン時の周波数テーブルはデジタル放送受信機100の出荷時に記憶部22に記憶されている。
【0040】
図3は、本発明の実施例1に係るデジタル放送受信機の初回スキャン時の動作を示すフローチャートである。
【0041】
選局実行部23は、デジタル放送受信機100に初めて電源が投入されると、記憶部22に記憶されている初回スキャン時の周波数テーブルを読み出し、チューナ部11に初回スキャン時の周波数テーブルに記載された周波数を設定する。例えば、選局実行部23は地上波デジタル放送周波数リストに記載の周波数474.00MHzをチューナ部11に設定する(ステップS301)。
【0042】
選局実行部23は、チューナ部11に設定した周波数にTSが存在するか否かを確認する。選局実行部23は、設定した周波数にTSが存在しなければ(ステップS302でNo)、初回スキャン時の周波数テーブルに記載された他の周波数を選択し、チューナ部11に設定する。例えば、先に設定した周波数474.00MHzと異なる周波数482.00MHzをチューナ部11に設定する(ステップS301)。
【0043】
チューナ部11に設定された周波数にTSが存在すると(ステップS302でYes)、チューナ部11で復調されたTSはTSデコード部12でフィルタリングされ、現在時刻を含む選局情報が時刻取得部24に出力される。時刻取得部24は、TSデコード部12から最初に入力された現在時刻を基準時刻として、その他の選局情報とともに記憶部22のサービスリストに記憶させる(ステップS303)。
【0044】
選局実行部23は、初回スキャン時の周波数テーブルに記載の全ての周波数をチューナ部11に設定すると初回スキャンを終了する(ステップS304でYes)。
【0045】
一方、選局実行部23は、初回スキャン時の周波数テーブルにまだチューナ部11に設定していない周波数が存在する場合(ステップS304でNo)、チューナ部11に該周波数を設定する(ステップS305)。
【0046】
チューナ部11に設定された周波数にTSが存在すると(ステップS306でYes)、チューナ部11で復調されたTSはTSデコード部12でフィルタリングされ、現在時刻を含む選局情報が時刻取得部24に出力される。時刻取得部24は、TSデコード部12から入力された現在時刻と基準時刻との現在時刻の誤差(時間誤差)を算出する。
【0047】
具体的には、基準時刻から基準時刻を取得した周波数とは異なる周波数上で放送されている信号を取得する際に該信号に含まれる現在時刻を取得するまでの経過時間、を基準時刻に加え、基準時刻を取得した周波数とは異なる周波数上で放送されている信号を取得する際に基準時刻を取得した周波数とは異なる周波数上で放送されている信号に含まれる現在時刻と、基準時刻に経過時間を加えた時刻と、の差分を現在時刻の誤差(時間誤差)として算出する(ステップS307)。
【0048】
例えば、時刻取得部24は、周波数474.00MHzで取得した現在時刻(例えば、12:00:00)を基準時刻とし、次にチューナ部11に設定した周波数482.00MHzで現在時刻を含む選局情報を取得するまでに要した時間(例えば、00:00:25)を経過時間として基準時間に加える。次に時刻取得部24は、周波数482.00MHzで取得した現在時刻(例えば、12:00:30)との差分(00:00:05)を現在時刻の誤差(時間誤差)として算出する。
【0049】
時刻取得部24は、算出した時間誤差をその他の選局情報と関連付けて記憶部22に記憶させる(ステップS308)。
【0050】
選局実行部23は、初回スキャン時の周波数テーブルに記載の全ての周波数をチューナ部11に設定すると初回スキャンを終了する(ステップS309でYes)。
【0051】
一方、選局実行部23は、初回スキャン時の周波数テーブルにまだチューナ部11に設定していない周波数が存在する場合(ステップS309でNo)、チューナ部11に該周波数を設定し(ステップS305)、初回スキャン時の周波数テーブルに記載の全ての周波数をチューナ部11に設定するまで同様の動作を繰返す(ステップS305〜ステップS309)。
【0052】
図4は、本発明の実施例1に係るデジタル放送受信機が初回スキャン時に構築するサービスリストの一例を示す図である。サービスリストは、チャンネル、放送波種別、ネットワークID、TSID、サービスID、周波数、時間誤差を一つの組として構成されている。
【0053】
ここで、放送波種別は、地上波デジタル放送、衛星デジタル放送、ケーブルデジタル放送の別を示す。ネットワークIDはネットワーク毎に割り当てられた識別子、TSIDは所定のネットワークに属する所定の周波数で放送されるTSに割り当てられた識別子であり、ネットワークID毎に1以上存在する。サービスIDは、放送番組毎に割り当てられる識別子で、TSID毎に1以上のサービスIDが存在する。図4において、周波数474.00MHz上で放送されている信号に含まれる現在時刻を基準時刻(時間誤差0秒)とし、その他の周波数上で放送されている信号に含まれる現在時刻と基準時刻の現在時刻の誤差が時間誤差として記憶部22に記憶されている。
【0054】
なお、本実施例では、初回スキャン時に最初に取得した時刻情報を基準時刻(図4では、周波数474.00MHzで取得した時刻情報)としているが、これに限らず、初回スキャン時の周波数テーブルに記載の周波数上で放送されている信号に含まれる現在時刻の内、いずれか一つを基準時刻として、その他現在時刻との差分を時間誤差としても良い。
【0055】
次に、視聴者による例えば視聴予約が行われた後、視聴予約が実行されるまでの動作について、図5を用いて説明する。
<視聴予約実行時>
図5は、本発明の実施例1に係るデジタル放送受信機の視聴予約時の動作を示すフローチャートである。
【0056】
選局実行部23は、予約設定部21により記憶部22に記憶されている放送日時に基づき、視聴予約された放送番組の開始時間前に対応する選局情報を記憶部22に記憶されているサービスリストから取得する(ステップS501)。
【0057】
選局実行部23は、視聴者が現在視聴している放送番組が放送されている周波数と、視聴予約された放送番組が放送される周波数とが同じであるか否かを判断する(ステップS502)。
【0058】
視聴者が現在視聴している放送番組が放送されている周波数と、視聴予約された放送番組が放送される周波数とが同じ場合(ステップS502でYes)、選局実行部23は、視聴者が現在視聴している放送番組が放送されている周波数で送出されている現在時刻に基づき、視聴予約された時間(ステップS505でYes)に現在視聴している放送番組から視聴予約された放送番組にチャンネルを切り替える。例えば、図4において、視聴者がチャンネル6を視聴中に、視聴予約したチャンネル10に切り替える場合が該当する。
【0059】
一方、視聴者が現在視聴している放送番組が放送されている周波数と、視聴予約された放送番組が放送される周波数とが異なる場合(ステップS502でNo)、選局実行部23は、記憶部22のサービスリストに記憶した時間誤差を算出し(ステップS503)、視聴者が現在視聴している放送番組が放送されている周波数で送出されている現在時刻にステップS503で算出した時間誤差を加算し、加算した時刻が視聴予約された時間になると(ステップS504でYes)、現在視聴している放送番組から視聴予約された放送番組にチャンネルを切り替える。例えば、図4において、視聴者が視聴中のチャンネル6から視聴予約されたチャンネル3に切り替える場合、選局実行部23はサービスリストからチャンネル3とチャンネル6の時間誤差(−25秒)を算出し(ステップS503)、視聴者が現在視聴している放送番組が放送されている周波数で送出されている現在時刻に加算し、加算した時刻が視聴予約された時間になると(ステップS504でYes)、現在視聴している放送番組から視聴予約された放送番組にチャンネルを切り替える。
【0060】
なお、本実施例1では、デジタル放送受信機100が備えるチューナが1系統であることが前提であるため、ステップS502〜ステップS505に基づき視聴予約が実行されるが、デジタル放送受信機が備えるチューナが複数系統である場合等、視聴予約を実行する際にデジタル放送受信機が同時に選局可能な放送番組数を超えない限り、ステップS502〜ステップS505は不要となる。
【0061】
次に、デジタル放送受信機100がスタンバイ状態(待機状態、チャンネルスキャンを実施するために必要な機能ブロック、例えばチューナ等、の電源のみを投入した状態)で行うバックグランドスキャン時の動作について図6を用いて説明する。
<バックグランドスキャン時>
図6は、本発明の実施例1に係るデジタル放送受信機のバックグランドスキャン時の動作を示すフローチャートである。
【0062】
選局実行部23は、デジタル放送受信機100がスタンバイ状態になると、図6に示すフローに従って動作する。
【0063】
図3に示す初回スキャン時との動作の違いは、選局実行部23がチューナ部11に設定する周波数を初回スキャン時に構築したサービスリストから読み出し、サービスリストの誤差時間を更新する点であり、それ以外の動作は初回スキャン時と同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。もちろん、選局実行部23は、初回スキャン時に構築したサービスリストではなく、初回スキャン時に使用した周波数テーブルをバックグランドスキャン時に再度用いても良い。
【0064】
なお、誤差時間算出部25は、初回スキャン時、バックグラウンドスキャン時に算出する時間誤差を都度記録部22に記憶させ、記憶させた複数の誤差時間(誤差時間履歴)から今回行ったバックグラウンドスキャンにおいて算出した誤差時間の信頼性を判断し、誤差時間を更新するか否かの判断を行っても良い。
【0065】
図7は、本発明の実施例1に係るデジタル放送受信機がバックグランドスキャン時に構築するサービスリストの一例を示す図である。
【0066】
時間誤差1は初回スキャン時、時間誤差2は初回バックグラウンドスキャン時、時間誤差3は今回行ったバックグラウンドスキャン時に算出した時間誤差である。
【0067】
誤差時間算出部25は、初回スキャン時および初回バックグラウンドスキャン時に算出した誤差時間(誤差時間履歴)から今回行ったバックグラウンドスキャンで算出した時間誤差3の信頼性を判断する。
【0068】
例えば、周波数482.00MHzにおける時間誤差1、時間誤差2はともに5秒であり、これらの時間誤差履歴から今回行ったバックグラウンドスキャン時に算出した時間誤差3の60秒は信頼性が低いと判断し、時間誤差としては誤差履歴の5秒を維持する。
【0069】
図8は、本発明の実施例1に係るデジタル放送受信機のバックグラウンドスキャン時の別の動作(時間誤差を維持または更新する場合の動作)を示すフローチャートである。
【0070】
ステップS807からステップS809が上述の動作に該当する。その他のステップは図6に示すバックグラウンドスキャン時の動作と同じである。
【0071】
なお、時間誤差履歴を用いて、今回算出した時間誤差の信頼性を判断する場合、デジタル放送受信機100のバックグラウンドスキャン時に基準時刻として設定する現在時刻を含む信号を放送している周波数は、初回スキャン時に基準時刻として設定した現在時刻を含む信号を放送している周波数と同じ周波数にするのが望ましいが、これに限定されず、基準時刻として設定する現在時刻を含む信号を放送している周波数をバックグラウンドスキャン毎に異なる周波数としても良い。
【0072】
本発明の予約実行装置および予約実行方法によれば、基準時刻を設定し、設定した基準時刻に対する異なる周波数間で発生する現在時刻の誤差(時間誤差)を算出し、予約を実行する際同時に選局可能な放送番組数を超える場合でかつ、予約された番組が放送されている周波数と現在選局されている周波数とが異なる場合、算出した時間誤差と現在選局されている周波数上で放送されている信号に含まれる現在時刻とを用いて予約を実行するので、異なる周波数間で発生する現在時刻の誤差にも係らず、予約された放送番組をより確実に予約実行することが可能となる。
【0073】
また、バックグランドスキャン時に初回スキャン時や以前のバックグランドスキャン時に構築したサービスリストの時間誤差を更新することができ、放送局の日々の運用の中で初回スキャン時や以前のバックグランドスキャン時に算出した時間誤差に変化が生じた場合であっても該変化を調整することができるので、異なる周波数間で発生する現在時刻の誤差変化にも係らず、予約された放送番組をより確実に予約実行することが可能となる。
【0074】
さらに、時間誤差履歴を用いて算出した時間誤差の信頼性を判断し、算出した時間誤差を更新するか否かを判断することで、時間誤差の更新精度を高めることができるので、異なる周波数間で発生する現在時刻の誤差にも係らず、予約された放送番組をより確実に予約実行することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の予約実行装置、予約実行方法は、基準時刻を設定し、設定した基準時刻に対する異なる周波数間で発生する現在時刻の誤差(時間誤差)を算出し、予約を実行する際同時に選局可能な放送番組数を超える場合でかつ、予約された番組が放送される周波数と現在選局されている周波数とが異なる場合、算出した時間誤差と現在選局されている周波数上で放送されている信号に含まれる現在時刻とを用いて予約を実行するので、異なる周波数間で発生する現在時刻の誤差にも係らず、予約された放送番組をより確実に予約実行することが可能となるので、予約実行技術として有用である。
【符号の説明】
【0076】
11 チューナ部
12 TSデコード部
13 AVデコード部
14 AV出力部
15 制御部
16 リモコン受光部
17 リモコン
21 予定設定部
22 記憶部
23 選局実行部
24 時刻取得部
25 時間誤差算出部
100 デジタル放送受信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
選局された周波数上で放送されている信号を取得する際に、前記信号に含まれる現在時刻を取得する時刻取得部と、
第一の周波数で取得する現在時刻を基準時刻に設定し、
前記基準時刻から前記第一の周波数とは異なる第二の周波数で現在時刻を取得するまでの経過時間、を前記基準時刻に加え、
前記第二の周波数で取得する現在時刻と、前記基準時刻に前記経過時間を加えた時刻との差分を時間誤差として算出する時間誤差算出部と、
放送番組の選局情報および前記放送番組の放送日時からなる予約情報を設定する予約設定部と、
前記予約を実行する際、同時に選局可能な放送番組数を超える場合でかつ、
前記予約設定された放送番組が放送される周波数と現在選局されている放送番組が放送されている周波数とが異なる場合、
前記時間誤差と、前記現在選局されている周波数上で放送されている信号に含まれる現在時刻と、を用いて前記予約を実行する予約実行部と、
からなる予約実行装置。
【請求項2】
前記時間誤差算出部は、
初回スキャン時に、前記基準時刻を設定し、前記時間誤差を算出する
ことを特徴とする請求項1記載の予約実行装置。
【請求項3】
前記時間誤差算出部は、
バックグラウンドスキャン時に、前記時間誤差を更新する
ことを特徴とする請求項1記載の予約実行装置。
【請求項4】
前記選局された周波数と、前記選局された周波数における時間誤差を一つの組として、
同一の周波数における前記組を時間誤差履歴として複数記憶する記憶部をさらに備え、
前記時間誤差算出部は、
前記時間誤差履歴に基づき、前記バックグラウンドスキャン時に算出した時間誤差の信頼性を判断し、前記バックグラウンドスキャン時に算出した時間誤差を更新するか否かを決定する
ことを特徴とする請求項3記載の予約実行装置。
【請求項5】
前記取得する現在時刻の内、最初に取得する現在時刻を基準時刻に設定する
ことを特徴とする請求項1記載の予約実行装置。
【請求項6】
選局された周波数上で放送されている信号を取得する際に、前記信号に含まれる現在時刻を取得する現在時刻取得ステップと、
第一の周波数で取得する現在時刻を基準時刻に設定し、
前記基準時刻から前記第一の周波数とは異なる第二の周波数で現在時刻を取得するまでの経過時間、を前記基準時刻に加え、
前記第二の周波数で取得する現在時刻と、前記基準時刻に前記経過時間を加えた時刻との差分を時間誤差として算出する時間誤差算出ステップと、
放送番組の選局情報および前記放送番組の放送日時からなる予約情報を設定する予約設定ステップと、
前記予約設定された放送番組が放送される周波数と、現在選局されている放送番組が放送されている周波数とが異なる場合、
前記時間誤差と、前記現在選局されている周波数上で放送されている信号に含まれる現在時刻と、を用いて前記予約を実行する予約実行ステップと、
からなる予約実行方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−60206(P2012−60206A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198465(P2010−198465)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】