説明

予防若しくは治療の形態で投与されるα−MSHを用いた、改善の余地のある多様な病理学的過程に関する治療におけるニコチン、そのアナログ、その前駆体またはその誘導体の使用

要約
本発明は、α−MSHの作用の増強により改善しうる、(関節の、及び/または中央の神経システムの、腎臓、肺、肝臓の、)炎症、感染性、カンジダ症、または変性の治療、うつ病、肥満、骨の病気等に対するニコチン、そのアナログ、その前駆体、またはその誘導体についての使用を保護し、かかるホルモンが驚くべき特性を有するという事実を提供する:例えば、アセトアミノフェンと比較して、20,000倍もの解熱薬の効能を有し、その抗細菌性能は、ゲンタミシン(gentamycine)に匹敵し、公知で最良の抗カンジダ症性である;多様な幹細胞のアポトーシスを妨げ、免疫反応を顕著に調節し、これにより、その放出に作用する薬剤の使用は、顕著な治療の潜在性を有しうる。かかる患者は、その濃度もしくはその効果の変化により、体中のあらゆる細胞、組織もしくは器官の対応する受容体に関して、α−MSHを倍化させるか軽減させる、血液及び/または中央もしくは抹消の組織における、α−MSHの生体利用性を増大させ、及び/または減少させる目的で、ニコチン、そのアナログ、その前駆体またはその誘導体の使用を保護し、短期、中期及び/または長期で、治療及び/または予防の目的で投与される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の目的
本発明は、α−MSHホルモン(メラニン細胞刺激ホルモン)の、プロラクチン産生との密接な関係における脳下垂体の中間部に位置するメラニン細胞刺激ホルモン産生細胞に関する、主にその間接的な効果を通じての、ニコチン、そのアナログ、その前駆体または誘導体としての放出及び作用または活性を促進し、容易にし、または増強する物質の使用を保護する。α−MSHの投与によって改善されうる様々な感染しやすい病的状態があり、なぜなら、該刺激に応答する幹細胞が、生体内の幾つかの主要な機能に関与するからであり、我々が例として挙げるもののうち(これに制限されることはないが):あらゆる生体の線維芽細胞と同様、眼の線維芽細胞が低酸素症の存在下、分泌コラーゲンを反応させる増殖性網膜症(Dr. Humberto Montoya de Lira、2000)、水晶体後線維増殖症の初期段階、増殖性糖尿病網膜症、外傷後増殖性網膜症;低酸素症に起因する増殖性の網膜症:一次的、二次的、局所的及び遠位の;肝臓、腎臓及び肺の二次変質が抑制されうる感染性の症候群;変性の変形性関節症に対して、子癇に対して、パーキンソン病に対して、アルツハイマーに対して、様々な病因由来の関節炎に対して、移植された組織の拒絶反応に対して、α−MSHが保護因子の状態で、うつ病を改善し、腎臓、肺、腸における虚血/再潅流の実験モデルにおける組織の損傷を95%に減少し、細菌性のLPS(リポポリサッカライド)に起因する損傷から血管を保護し、LPSにより生じる損傷から肝臓を保護し、同時に、α−MSHは、軟骨を保護するものと想定される、変形性関節症における保護因子と考えられている。また、抗うつ効果は、肥満の抑制に重要な治療の役割を有しうる、α−MSHに関して記載されている。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
α−MSHは強力な抗炎症作用を有する3つのデカペプチドであり、例えば、炎症伝達物質を減少させる顕著な作用を有しており、腫瘍の壊死因子のレベルを減少させ、サイトカインを含む。アルファ−MSHホルモンは、13アミノ酸からなる化合物である。プロピオメラノコルチンから誘導され、中枢神経系の幾つかの領域及び体皮細胞中で発現し、ファゴサイト及びケラチノサイトを含む。抗−炎症効果は、主に、前炎症性伝達物質の拮抗作用を経たものである。α−腫瘍の壊死因子、インターロイキン6、及び一酸化窒素(NO)を含む。α−MSHの神経ペプチドは、炎症の内因性モジュレータである。α−MSHが宿主反応において重要であるという考えは、分子の解熱作用に由来する初期の観察に端を発している。内因性発熱物質の結果としての、熱を抑えることに対するα−MSHの効能は劇的である:分子同士の関係を比較すると、アセトアミノフェンの20,000(二万)倍も優れている(Airagui, Lorena 2000)。アルファ−MSHはまた、エンドトキシン、IL−6及びアルファ−TNF(α−TNF)に起因する熱も妨げるので、IL−1に関する、並びに急性期及び好中球(neutrophyl)からタンパク質を循環させる際にα−TNFによって生じる増大に関する、阻害剤の効果を有する。そのため、α−MSHはまた、虚血性の急性腎異常のみならず、盲腸結紮及び穿刺に起因する急性呼吸器症候群及び腹膜炎のような、全身性の炎症モデルにおける組織損傷をも妨げる。
【0003】
急性腎不全と急性呼吸不全との併発によって、死亡率は80%に達する。重度の外傷、やけど、出血、敗血症ショック、または重度の局所的な組織性外傷は、多様な臓器性障害及び死を誘発する、全身性の炎症反応を引き起こしうる。腎臓及び肺の外傷の間の病原性の及び疫学的な繋がりがある。心臓手術後の急性腎臓障害に起因するリスクの増大の大部分は、呼吸器障害のような特別な腎臓の合併症からくる。重度の組織性外傷は、下部の胴の長引く虚血後、または腹部大動脈瘤の複雑な手術中、または急性呼吸器障害症候群中に発生した。
【0004】
動物のモデルでは、二次的な(または遠位の)肺の外傷は、肝臓、胃腸の管、体の下部分、腎臓、または薬剤性(chemical)膵炎における重度の局所的な虚血によって始まりうる。例えば、虚血/再潅流による腎臓の外傷性障害は、間質性浮腫、肺胞の出血、及び赤血球(eritrocyte)のレオロジー(reological)特性についての損傷を生じるのみならず、肺の血管透過性をも増大させうる。肺は、生体中、最大のマイクロキャピラー(microcapilar)の外傷を有することに起因して、肺のマクロファージの活性化、前炎症性サイトカインの分泌、好中球(neutrophyl)及びマクロファージの誘引を伴う炎症性の兆候の循環と反応し、最終的には肺の外傷を引き起こす。
【0005】
肺疾患の外傷及び急性の腎臓及び二次的な肺疾患の外傷性障害後に、組織性外傷の局所的な経路の活性化において多くの類似点がある。腎臓の虚血/再潅流は、直腸の近接した尿細管及び白血球の炎症性浸潤におけるアポトーシス及び壊死の原因となる。再潅流期間が短くなればなるほど、ストレス(例えば、マイトジェンにより活性化されたキナーゼタンパク質 p−38[MAPK])による、並びに核因子(NF‐κB)の転写κB因子及びタンパク質活性化因子(AP−1)及び前炎症性サイトカインの誘導(α‐TNF及び付着分子(細胞間の付着分子−1[ICAM−1])による活性化キナーゼの活性化がある。α−TNF及び/またはICAM−1の選択阻害は、急性の腎臓性外傷を軽減させる。並行して、炎症性のトレース、すなわちNF−κB、p−38及びAP−1は、急性肺疾患の外傷後に活性化され、NF−κB及びp−38の阻害は、遠位の肺疾患の外傷または二次的なものを減少させる。だが、局所的な外傷も遠位の肺疾患の外傷も共に妨げる薬剤は何ら示されていない。例えば、p−38 CNI−1493の阻害剤は、遠位の肺疾患の外傷を部分的には減少させるが、虚血/再潅流による下腎臓(subyacent renal)の外傷には効果がない。
【0006】
アルファ−MSHホルモン(メラニン細胞のα−覚醒剤)は、慢性または急性の全身性の炎症を妨げる、抗炎症のサイトカイン(citokyne)である。アルファ−MSHは、虚血/再潅流による、シスプラチン(cysplatin)の投与による、または適応基準ぎりぎりのドナー(marginal donor)による移植後の、腎臓の外傷を妨げる;しかし、水銀の投与後ではない(水銀はメラニン細胞を汚染する)。
【0007】
α−MSHの作用メカニズムは、広がりを見せており(extense)、我々によって実証される作用は:炎症トレース、細胞障害性(cytoxics)、及び腎臓の虚血により活性化されるアポトーシスの(apopotic)経路の阻害である。
【0008】
α−MSHは、再潅流後の4時間、α−TNF及びICAM−1の活性化を妨げることが実証されている。だが、α−MSHによって活性化される分子メカニズムが短いほど、解明されにくくなる。虚血/再潅流の疾病のモデル、及び他の類似物において、α−MSHは、多くのサイトカイン、ケモカイン、及び一酸化窒素の誘導型シンターゼの生産を妨げる;このことは、α−MSHが炎症の第1の(inicial)経路における、一または幾つかの短い通常のステップで作用することを示唆する。最近の研究によれば、α−MSHは、脳の炎症、及びLPS(リポポリサッカライド)に晒された細胞培養中で、NF−κBの刺激を抑えることを実証している。
【0009】
アルファ−MSHはまた、マクロファージ中ではなく、メラノーマ細胞B16、及び皮膚の線維芽細胞におけるAP−リガンド−DNA中のp38 MAPKも妨げる。これにより(By means)、α−MSHは、虚血/再潅流由来の腎臓の外傷に起因する肺疾患の外傷を軽減させるということが見出されている。
【0010】
動物モデルでは、証人及び対照動物と比較すると、血清中クレアチニンが、重要な形態において、腎臓の虚血/再潅流後4、8及び24時間で増加することが実証されている。同時に、α−MSHを受けた動物は、4時間、定量的な細胞学(citology)により評価された、より少ないシリンダー及び壊死のみならず、賦形剤しか有しない動物よりも、クレアチニンについて重要な、低いレベルを有した。
【0011】
白血球の蓄積におけるα−MSHの効果:初期の研究では、腎臓の虚血は、腎臓及び肺中への白血球の侵入の原因となり、α−MSHは、急性の炎症後及び腎臓の虚血中の白血球の蓄積を局所的に妨げるということが示された。クロロ酢酸のステアリン酸塩での染色は、証人である動物と比較した、腎臓の虚血/再潅流(reperfussin)後4時間における、肺における白血球の蓄積中の増大を示す。パッチ(クランプ)の放出前のα−MSHを伴う治療は、白血球の侵入を軽減させる。これらの変化は、肺及び腎臓における陽性のステアリン酸塩細胞数をカウントすることにより、評価された。肺及び腎臓における湿潤性の白血球量が上がった。虚血/再潅流による腎臓の外傷後、及び該蓄積後の非常に早い段階が、α−MSHにより妨げられた。
【0012】
α−MSHのα−TNF及びICAM−1に対する効果。腎臓の虚血は、α−TNF及びICAM−1を増大させ、双方の経路の阻害が、劇的な形で、腎臓の損傷を軽減させる。腎臓の虚血は、(活性化の手段により、)再潅流後30分の間に、肺中のみならず、腎臓中の細胞質性のIκBα由来のリン酸化反応の原因となることが明らかになってきている。パッチ(クランプ)の放出直前でのα−MSHの投与は、肺中と同様、腎臓中でもIκBαのリン酸化反応を妨げる。
【0013】
IκBαのリン酸化反応は、自己破壊の原因となる;すなわち、p65を含有するNF−κBのダイマーが核に転座させる。望ましいことではあるが、IκBαのリン酸化反応は、肺中だけでなく腎臓中でも迅速に、p65を核中に出現させるが、α−MSHの投与によって妨げられうる。
【0014】
活性リガンドであるNF−κBは、虚血期間の終期に、腎臓中だけでなく肺中でも迅速に増大し、α−MSHを用いた治療は、腎臓及び肺中でのリガンドNF−κBの活性を妨げた。
【0015】
腎臓の虚血/再潅流はまた、全体的なp38の変化のない、腎臓及び肺のp38由来の迅速なリン酸化反応(及び、もちろん活性化)の原因ともなる。p38のリン酸化反応は、α−MSHの治療により妨げられた。
【0016】
炎症細胞の湿潤は、激しくかつ迅速に、腎臓の虚血後の肺に侵入することが明らかになってきている;及び、α−MSHは、肺疾患の外傷において劇的な効果を有することが証明されてきており、なぜなら、それは、腎臓に関する類似の効果を伴って、腎臓の虚血後、4及び8時間以内で肺疾患の侵入を妨げるからである。α−MSHの効果は、4時間よりも8時間の方がより劇的であり、なぜなら、おそらく、ストレス/炎症(inflamatories)についての最も短い反応を妨げうるからであって、それらの一部または全部が、損傷の進行を軽減させることに対する、α−MSHの能力に寄与しうる。
【0017】
腎臓の虚血/再潅流が、シスプラチン(cysplatin)の阻害後のα−TNF−及びICAM−1に対する、mRNA(メッセンジャー)のレベルを増大するということが明らかになってきている。
【0018】
アルファ−TNFは、遠位の器官損傷の発症に重要である;なぜなら、抗体に対し、α−TNFは肝臓の虚血後の肺疾患の損傷を軽減させ、遠位の肺疾患の損傷を軽減させる薬剤も肺疾患の組織に位置するα−TNFを軽減させるからである。かかる証拠は、余計な肺疾患の器官に対する虚血または損傷により生じる、特に遠位の肺疾患の外傷における炎症及びα−TNFの重要性を示唆している。
【0019】
α−MSHの効果の中には、好中球(neutrophyl)及びマクロファージがα−MSHに対する受容体を発現しているため、おそらく、白血球に関する直接的な効果によって媒介されているものもある。
【0020】
アルファ−MSHは、インビトロでの好中球(neutrophyl)の移動、及びマクロファージの培養中での一酸化窒素の生産を妨げる。だが、α−MSHは、白血球の侵入がなくなるまで、腎臓の虚血/再潅流による損傷を妨げ、このことは、白血球とは異なる方法により作用しうることを示唆している。
【0021】
再潅流直前のα−MSHの投与は、腎臓だけでなく肺においても大きな保護効果を有する。アルファ−MSHは、劇的な形で、肺の移植、膵炎、肝臓の虚血、出血または細菌性のリポポリサッカライドに対する二次的な反応に起因する、遠位のまたは二次的な肺疾患の損傷の活性化を妨げる。
【0022】
腎臓の虚血/再潅流後の遠位の腎臓の損傷の原因となる現象は知られていない。
【0023】
末端−キナーゼであるC−Jun N、及びp38の活性化を妨げる遠位の虚血に対する前治療は、虚血/再潅流後の腎臓の損傷を妨げるが、不運なことに、かかる前治療は、実行可能な治療の代替法ではなく、α−MSHの投与よりもはるかに現実的である。
【0024】
NF−κBの活性化が進行し、心筋の虚血及び腎臓の虚血後のα−TNFの分泌の原因となりうるという証拠は、常により多く存在する。
【0025】
併発した急性の肺及び腎臓の障害は、極端に高い罹患率及び死亡率をもたらし、そのサブヤセント(subyacent)のメカニズムは知られていない。やけどをした者、多発性外傷の患者、そして腹部大動脈瘤による下部の胴または複雑な手術の長引く虚血に存在する重度の組織性外傷は、複数の臓器の障害の原因となるその後の現象を頻繁に誘発する。実際、利用可能な治療の段階は、非常に基本的であり、失われた器官の機能を元に戻すことに限られ、通気及び透析を制御し;気圧障害を回避し、及び適切な急性(volumen)かつ強心の療法の蘇生(resucitation)を伴う心臓血管の機能を最適化する。薬物を用いた治療は、望ましくない。最近では、活性化C−タンパク質が敗血症による死を軽減させるのに有効であることを示した。複数の臓器の障害を妨げるか、及び/または治療するための更なる戦略は、極めて有益であろう。目下のところ、我々は、肺疾患の損傷を軽減する薬物も、腎臓の損傷を軽減する薬物も、何ら知らないのである。
【0026】
再潅流直前のα−MSHの投与は、肺疾患の損傷だけでなく急性の腎臓の損傷をも妨げるということが実証されてきている。
【0027】
両方の器官における損傷を妨げるα−MSHの能力、到達しまたは達する保護の拡張、広い作用メカニズムは、α−MSHを虚血/再潅流による損傷を妨げ、制限し、保護し、または遅らせるために用いられる他の薬剤から区別する。
【0028】
このことは、α−MSHが十分な患者数に関する重要な治療の効果を有しうるということを示唆している(Deng, Hu, Yuen, Star, Am J Respir Crit Care Med Vol 169 pp 749- 756, 2004.)。
【0029】
アルファ−MSHは、様々な病気の原因に由来する、血管炎、血症、慢性の及び急性の炎症の疾病の治療に対する重要な治療の役割を有しうる(Endocrinology 144: 360-370, 2003)。
【0030】
間欠的血液透析の際、それは、α−TNF、IL−6及びNOの上昇に敏感となりうる;α−MSHは、これらの患者において遊離しているように、これらのサイトカインの前炎症性効果に対抗する(Lorena Airagui, Leticia Garofalo, Maria Grazia Cutuli. Nephrol Dial Trans 2000 (15):1212-1216)。
【0031】
アルファ−MSHは、局所的なα−TNFを調節し、脳の炎症の実験モデル中で循環する(Nilum Rajora, Giovanni Boccoli, Dennos Burns.The Journal of Neuroscience March 15, 1997; 17(6): 2181-2186.)。本調査において、α−TNFの中枢神経系中での分泌は、細菌性のLPSの局所的な注入によって生じた。α−TNFの血漿濃度は、LPSの主要な適用後に、重要な上昇を有しており、宿主の抹消反応はCNSの兆候の発生によって増大したことを示している。
【0032】
α−MSHによるα−TNF合成の阻害は、mRNAの阻害を用いて確認された。だが、炎症性サイトカインの中には、中枢神経系の炎症(CNS)に寄与するものもあり、複数の硬化症、CNSのHIV感染、アルツハイマー病、髄膜炎、結果的に虚血/再潅流、及び/または外傷に対する重度の脳の頭蓋の外傷性障害と同じくらい、CNSの疾病の生理的な病原性の物質中で重要な薬剤として同定されているので、α−TNFは特に重要である。α−MSHレベルの増大は、上述の通り、内因性または外的(exogenic)投与によって、α−TNFが増加するような疾病を軽減することに対して、重要な治療または予防の効果を有する。
【0033】
中枢神経系(CNS)の変性におけるα−MSHの効果。CNSに関する変性の疾病の殆ど全ては、慢性の炎症に関連する。本方法における重要な段階は、ミクログリアという名の、脳のファゴサイティックな(fagocytic)単核細胞の活性化である。選択的なニコチンのアンタゴニスト受容体に対する、その作用に起因したニコチンの神経受容体:α7の効果が報告されている;パーキンソン、アルツハイマー、うつ病、肥満、老化等のような病気において(α−7 ニコチン受容体のミクログリアの活性化に関するコリンの調節、R Douglas Shytle, Takashi Mori, Kira Townsed, Journal of Neurochemistry , 2004, 89, p337-443.)。
【0034】
α−MSHの有利な効果が、次のような生体全体を含むということは整合性がある:皮膚、粘液、眼、腸、筋肉、関節等、なぜなら、それらは該ホルモンによって刺激された一般的な代謝経路を有するからである。
【発明の開示】
【0035】
発明の詳細な説明
本発明は、主に、十分な患者数に対する、ニコチン、そのアナログ、その前駆体、またはその誘導体を、ファーマコフォア及び効果的な量で投与することにある。各ケースでの適切な経路により;治療の形態及び/または予防において、その効果を通じて、視床下部上での(主要な作用だが固有ではない)、脳下垂体の中間部からメラニン細胞刺激ホルモン産生細胞により生じたα−MSHの放出、なぜなら、かかる分泌(α−MSH)は毒性があるからである。だが、視床下部は分泌腺というよりむしろサプレッサーの効果を有し、脳下垂体上での他の視床下部の効果とは異なっている。毒性の形態(持続的)で放出されるごく少数の下垂体(hypophysary)ホルモンの一つのようであり、視床下部は、ドーパミンの分泌(視床下部の)を通じたかかる放出を妨げる(毒性の形態で放出される、別の下垂体前葉性(hypophysary)ホルモンは、マモトロフ(mamotroph)由来のプロラクチンである)。ニコチン前駆体、そのアナログまたはその誘導体は、効果的な量及び適切なファーマコフォアで、適切な形で投与されるが、ドーパミン分泌の視床下部での減少の効果を誘発し、α−MSHを毒として放出する脳下垂体の中間部のメラニン細胞刺激ホルモン産生細胞(より視床下部で阻害され、より毒性の低いα−MSHの放出及びヴァイスヴァース(viceverse)に対し)、生存中常に起こっているので、幾つかの因子についての結果として、該分泌は、軽減させるか、及び/または包括的な遮断をする;該因子は、環境を破壊せず、経済的で、様々な急性または慢性の疾病、感染性の疾病、手術、様々な治療の作用、農薬、ホルモン、化学薬品、様々な生体異物の型等があり、一または他の意味で、あらゆるケースでα−MSHの分泌を誘発する。この患者で示唆されたニコチンの作用、及び、おそらく、ニコチン、そのアナログ、その前駆体、またはその誘導体についての固有の効果だけではなく、該作用は、マモトロフ(mamotroph)と密接な関わりのある、脳下垂体の中葉部に位置するメラニン細胞刺激ホルモン産生細胞からのα−MSHの放出を主に誘発しうる。だが、それは固有の経路でなく、おそらく、完全な形で立証されていて、より特異的であり、なぜなら、現在まで、それが、他の作用部位、すなわち、皮膚(ケラチノサイト)、毛包小胞等を排除することなく、より完全かつ科学的な形で、我々の立証できる唯一の方法であるからである。
【0036】
かかる患者におけるニコチンの使用に関して、我々は幾つかの実施例を有している。
【0037】
実施例1.27歳の女性患者は、糖尿病または高血圧または神経障害の兆候もない、9か月の妊婦である。手術の兆候もないが、発生後72時間以内に右の腎臓領域に強い痛みが生じ始め、睡眠できず、3時間ごとに鎮痛剤の投与を要求する。24時間後、12時間ごとにアミカシン(Amikacina)IMが投与された。彼女は、妊娠9か月での自然発生的な不調は別として、強い痛みのせいで自由な姿勢でいられない。水系の賦形剤の形で舌下の経路により、3mg/mlの濃度でニコチンを投与することが決まった。
【0038】
始めに、15滴、その30分後に更に10滴が投与された。患者は眠り、3日後も一晩中眠ることができ、起きなかったということは、痛みは顕著に軽減したということである。通常の体の状態は劇的な形で改善し、鎮痛剤の量は12時間ごとに半量のアスピリンに制限され、抗生物質のコースはさらに8日間続いた。ニコチンは、4週間、舌下の経路で3時間ごとに5滴の量で投与された。
【0039】
実施例2.生まれたばかりの男性患者(彼の母親は実施例1の患者である)は、帝王切開により生まれ、最初の数時間中、低体温であり、かつ嘔吐を繰り返していたが、数時間後、背中に点状出血(petequias)が現れ、血液を分析したところ、血小板の減少(plateletopenia)及び沈降速度(分析)の増加が発見され、敗血症であると判断し、まず、アミカシン(amikacina)IVが投与された;母親の治療に同意し、12または24時間ごとに1滴の量で、舌下の経路によるニコチンの投与が始まった;3mg/mLの濃度で。患者は深くかつ長く眠り、不思議なことに、心拍数は1分間当たり110〜130回に増加し、抹消(periferal)酸素は93%まで減少することはなかった。24時間後、前記の乳児は体重が80g増加した。現在、この子供は元気に成長し、何の問題もない。
【0040】
実施例3.外傷性後出血(前房出血)を有する25歳の男性患者。彼は、その疾病について、14回目の再検査を受け、前房出血の90%は1回目の治療で改善せず、彼の担当医が、彼の眼の弛緩(loose)を回避するために血液を抜くよう手術を提案したため、前記患者は我々のもとにやってきた。我々は、ニコチンがα−MSHの放出を誘導する場合、強力な抗−炎症剤としてアポトーシスから組織を保護するために、α−MSHを刺激することが代替法の形となりうるという治療を患者に説明した。我々は、舌下の経路により、1時間ごとに2滴の量の適用を指示した。というのも、前房出血が90%であり、視力(vision)が低く、眼球内の圧力が直近の治療にもかかわらず40mmHgであったためである。全ての薬を一時中断し、新たな治療を開始した。三週間後、視力は20/40であった。その回復は劇的かつ完全であり、4週間後には90%まで回復した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニコチン、そのアナログ、その前駆体、またはその誘導体を、効果的な量及び適切なファーマコフォアで使用することを主張し、及びα−MSHを調節するために本ケースによる最良の経路の投与;主にメラニン親和性(melanothrops)によるヒトで(だが、他の幹細胞も刺激に応答しうる)。
【請求項2】
予防または治療の目的でのヒトのα−MSHの調節。
【請求項3】
α−MSHの調節に起因した、ニコチン、そのアナログ、その前駆体、及び/またはその誘導体の手段により;ヒト及び/または動物における、あらゆる治療の及び/または予防の適用。
【請求項4】
一または他の意味において、ヒトの生体中でのα−MSHの分泌を調節する目的とともに、効果的な量、適切な投与方法及び適当なファーマコフォアで、ニコチン、そのアナログ、その前駆体、またはその誘導体を投与することを目的とする、治療の及び/または予防薬(prophilactic)の使用(あらゆる組織、器官または人体のシステムの疾病において、予防または治療の形で投与される、公知のまたは将来の知見を用いて)。
【請求項5】
健康に関する有利な効果を得るために、どのような物質がα−MSHにより伝達されるとしても、血液及び/もしくは中央または抹消の組織におけるα−MSHの濃度及び/もしくは作用を増大または減少させ;並びに、短期、中期または長期での利点を理解するための、適切な投与形態、効果的な量、及び適当なファーマコフォアでの、ニコチン、そのアナログ、その前駆体、またはその誘導体のあらゆる使用。
【請求項6】
α−MSHの分泌を調節するために、一または他の形態で、一または他の意味で、その抗細菌または抗カンジダ症(candidiasic)の特性からあらゆる利点をも得る目的での、あるいはヒト及び/または動物における、あらゆる他の特性または特徴的な公知のもしくは将来の知見を得るための、ニコチン、そのアナログ、その前駆体、またはその誘導体の使用。

【公表番号】特表2009−536193(P2009−536193A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−509455(P2009−509455)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【国際出願番号】PCT/MX2006/000031
【国際公開番号】WO2007/129879
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(507401041)
【Fターム(参考)】