説明

事務機及び事務機用コンピュータプログラム

【課題】伝票用紙に印刷された伝票フォーマットに対して入力装置によって入力された情報を位置ずれなく印字できるようにする。
【解決手段】記憶部に記憶されている伝票フォーマット情報356に基づく伝票フォーマットを表示装置に表示させ(フォーマット展開部351、情報表示部352)、入力装置によって入力された情報を表示装置に表示されている伝票フォーマット上に表示し(情報表示部352、データ入力部353)、表示装置に表示させている伝票フォーマットの元になる伝票フォーマット情報356が有している基点の位置と、カメラによる撮像画像に含まれている基点の位置とを比較してそのずれ量を判定し(基点判定部363)、伝票用紙に対して入力装置によって入力された情報を判定されたずれ量だけずらして印字させるようにした(位置補正部364、データ記憶部354、伝票印字部355)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝票の編集機能及び編集した伝票の印字発行機能を有する事務機及びこれに用いる事務機用コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、伝票の編集機能及び編集した伝票の印字発行機能を有する事務機が普及している。このような事務機は、表示装置と入力装置とプリンタとを備え、記憶部に記憶されている伝票フォーマット情報に基づく伝票フォーマットを表示装置に表示させ、入力装置によって入力された情報を表示装置に表示されている伝票フォーマット上に表示することで、伝票の編集を可能とする。そして、予め決められたフォーマットが印刷されている伝票用紙に入力情報を印字させることで、編集した伝票の印字発行を可能とする。
【0003】
特許文献1は、伝票用紙に対する所定情報の印字について開示している。
【0004】
【特許文献1】特開平05−241750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
事務機が有する伝票編集機能は、記憶部に記憶されている伝票フォーマット情報に基づく伝票フォーマットを表示装置に表示させ、表示されている伝票フォーマット上で実行される。このため、編集された伝票を印字するに際して、伝票用紙に印刷された伝票フォーマットに対して入力装置によって入力された情報をずれなく正しく印字するためには、伝票用紙が規定の位置に正しくセットされて正しく搬送されることが必要条件となる。これに対して、伝票用紙は、人が手でセットするものであるため、特にその横方向位置(Y軸方向位置)が常に同じ状態でセットされにくい。このため、従来の事務機では、どうしても、伝票用紙に印刷された伝票フォーマットに対して入力装置によって入力された情報がずれて印字されがちとなってしまう。
【0006】
本発明の目的は、伝票用紙に印刷された伝票フォーマットに対して入力装置によって入力された情報を位置ずれなく印字できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、情報を表示する表示装置と、情報を入力する入力装置と、伝票用紙の挿入を受け付け、挿入された伝票用紙を案内する案内経路と、前記案内経路に挿入された伝票用紙を搬送してプリントヘッドで印字を行なうプリンタと、前記案内経路に挿入された伝票用紙を撮像するカメラと、を備え、記憶部に記憶されている伝票フォーマット情報に基づく伝票フォーマットを前記表示装置に表示させ、前記入力装置によって入力された情報を前記表示装置に表示されている前記伝票フォーマット上に表示し、前記表示装置に表示させている前記伝票フォーマットの元になる前記伝票フォーマット情報が有している基点の位置と、前記カメラによる撮像画像に含まれている基点の位置とを比較し、そのずれ量を判定し、前記プリンタを駆動制御し、伝票用紙に前記入力装置によって入力された情報を前記判定されたずれ量だけずらして印字させるようにした。
【0008】
別の面から見た本発明は、事務機が有するコンピュータにインストールされ、当該コンピュータに上記各種処理を実行させる事務機用コンピュータプログラムを規定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、表示装置に表示させている伝票フォーマットの元になる伝票フォーマット情報が有している基点の位置と、カメラによる撮像画像に含まれている基点の位置とを比較してそのずれ量を判定し、伝票用紙に入力装置によって入力された情報を判定されたずれ量だけずらして印字させるようにしたので、伝票用紙に印刷された伝票フォーマットに対して入力装置によって入力された情報を位置ずれなく印字することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の一形態を図1ないし図7に基づいて説明する。
【0011】
図1は、事務機全体の斜視図である。事務機101のハウジング102は、直方体状をしており、正面下部が前方に延出して当該部分にキーボード103を位置付けている。ハウジング102の正面には、キーボード103よりも上方に位置させて表示装置104が取り付けられている。表示装置104は、枠体構造のフレーム105に液晶表示パネル106が保持されて形成されている。このような表示装置104とキーボード103との間に配置されている開口部は、伝票用紙401(図6及び図7参照)を挿入するための伝票挿入口107である。
【0012】
ハウジング102には、その正面左側下方に位置させて電源スイッチ108が配置され、正面左側上方に位置させてLEDによるインジケータ109が配置されている。ハウジング102の正面右側には、磁気ディスク301(図3参照)を装着するための装着スロット110が配置されている。
【0013】
このような事務機101は、後方に位置させて排紙トレイ111を有し、右側面にトラクタ送りノブ112を有している。更に、事務機101は、マウスであるポインティングデバイス113も有している。ポインティングデバイス113は、キーボード103と共に、入力装置114を構成する。
【0014】
図2は、案内経路及びプリンタの部分を切り欠いて内部構造を示す側面図である。事務機101は、伝票挿入口107からの伝票用紙401の挿入を受け付け、挿入された伝票用紙401を案内する案内経路115をハウジング102の内部に有している。案内経路115は、その一端が伝票挿入口107に連絡し、他端がハウジング102の上面に形成された排紙口116に連絡しており、伝票挿入口107と排紙口116との間を湾曲形状に繋いでいる。前述した排紙トレイ111は、排紙口116から排紙された伝票挿入口107等を保持するように設けられている。
【0015】
事務機101は、案内経路115に挿入された伝票用紙401を搬送してプリントヘッド117で印字を行なうプリンタ118も有している。プリンタ118は、案内経路115に挿入された伝票用紙401を搬送するための構造として、案内経路115を介して対抗配置された一対の搬送ローラ119とピンチローラ120とからなるローラ対を複数組有している。搬送ローラ119は、図示しない駆動源から動力を得て回転駆動される。ピンチローラ120は、案内経路115を介して搬送ローラ119に当接し、搬送ローラ119に連れ回り駆動される。プリントヘッド117としては、シリアル型のインパクトドットプリンタヘッドが用いられている。したがって、プリントヘッド117は、キャリアシャフト121にスライド自在に取り付けられて往復移動自在のキャリッジ122に搭載されている。キャリッジ122の往復移動方向は、案内経路115を案内搬送される伝票用紙401の紙幅方向である。プリンタ118は、プリントヘッド117を用いたシリアル型のワイヤドットマトリクス方式での印字を実現するために、プラテン123と図示しないインクリボン機構とを備えている。プラテン123は、プリントヘッド117の先端面と案内経路115を介して対向配置され、プリントヘッド117の先端面から繰り出される図示しないワイヤの先端部が衝突し得る位置に位置付けられている。インクリボン機構は、プリントヘッド117の先端面と案内経路115との間に図示しないインクリボンを供給する。
【0016】
キャリッジ122には、カメラ124が搭載されている。カメラ124は、CCDカメラであり、案内経路115に挿入された伝票用紙401を撮像ができる位置に取り付けられている。
【0017】
図2中、ハウジング102の背面下方に配置されているのはトラクタ125である。ハウジング102の背面中央に配置されているのは連続紙ホルダ126である。トラクタ125は、図示しないトラクタ用紙を案内経路115に給紙する。このようなトラクタ125の紙送り機構部に前述したトラクタ送りノブ112が連結されており、トラクタ送りノブ112を回転させることによってトラクタ125に紙送りを実現させる。このようなトラクタ125の手動操作による紙送りは、トラクタ125に対する連続紙のセット時に必要となる。連続紙ホルダ126は、図示しない連続紙を積層状態で保持し、案内経路115に給紙する。事務機101は、伝票用紙401の他に、トラクタ用紙及び連続用紙に対しても、プリントヘッド117を用いた印字を行なうことができる。
【0018】
図3は、ハードウェア構成を示すブロック図である。事務機101は、マイクロコンピュータ201を有している。マイクロコンピュータ201は、各種演算処理を実行して各部を集中的に制御するCPU202に固定データを固定的に記憶するROM203と可変データを書き換え自在に記憶してワークエリアとして機能するRAM204とがバスライン205を介して接続されることによって構成されている。このようなマイクロコンピュータ201には、HDD206及び磁気ディスクドライブ207もバスライン205を介して接続されている。
【0019】
前述したキーボード103及びポインティングデバイス113からなる入力装置114は、バスライン205を介してマイクロコンピュータ201に接続され、マイクロコンピュータ201に各種の情報を入力する。また、表示装置104、インジケータ109及びプリンタ118もバスライン205を介してマイクロコンピュータ201に接続され、マイクロコンピュータ201による制御を受ける。そして、カメラ124もバスライン205を介してマイクロコンピュータ201に接続され、マイクロコンピュータ201に撮像画像のデータを提供する。
【0020】
図4は、伝票用プログラムの扱いを示す模式図である。事務機101は、HDD206にOS(オペレーティングシステム)302をインストールしている。OS302は、事務機101の起動時にその全部又は一部がRAM204にコピーされ、CPU202が実行する情報処理を支援する。CPU202は、基本的にはRAM204にコピーされたOS302を参照し、このOS302上で動作する。
【0021】
伝票用紙401に対する印字は、伝票用プログラム303に従ったCPU202の情報処理に基づいて実行される。伝票用プログラム303は、一例として、磁気ディスク301を記録媒体として可搬性を持たされている。そこで、磁気ディスク301に記録された伝票用プログラム303は、磁気ディスクドライブ207によって読み取られ、HDD206にインストールされる。HDD206にインストールされた伝票用プログラム303は、必要に応じてその全部又は一部がRAM204にコピーされ、CPU202に参照される。CPU202は、基本的にはRAM204にコピーされた伝票用プログラム303に従い伝票編集処理及び編集された伝票の印字発行処理を実行し、事務機101に伝票編集機能及び編集された伝票の印字発行機能を果たさせる。
【0022】
図4に示すように、伝票用プログラム303は、伝票フォーマットが相違する毎にインストールされている。例えば、伝票A用には伝票A用プログラム303a、伝票B用には伝票B用プログラム303b、伝票C用には伝票C用プログラム303c、…がそれぞれHDD206にインストールされている。
【0023】
図5は、伝票用プログラム303に従いマイクロコンピュータ201が実行する処理を示す機能ブロック図である。まず、基本処理を実行するブロックとして、事務機101は、フォーマット展開部351、情報表示部352、データ入力部353、データ記憶部354及び伝票印字部355を有している。伝票フォーマット毎に設けられた伝票用プログラム303(伝票A用プログラム303a、伝票B用プログラム303b、伝票C用プログラム303c、…)は、その伝票用プログラム303が対応している伝票フォーマットについての伝票フォーマット情報356を有している。伝票用プログラム303の起動時、当該伝票用プログラム303が有している伝票フォーマット情報356は、フォーマット展開部351によってRAM204の一部を構成する画像メモリにイメージ情報として展開される。画像メモリに展開された伝票フォーマット情報356は、情報表示部352によって表示装置104に表示される。こうして、マイクロコンピュータ201は、記憶部であるRAM204に記憶されている伝票フォーマット情報356に基づく伝票フォーマットを表示装置104に表示させることができる。
【0024】
図6(a)は、伝票用紙401の一例を示す模式図、図6(b)は、別の伝票用紙401の一例を示す模式図である。伝票用紙401は、その伝票フォーマットの一例として、タイトル欄402、年月日欄403、伝票番号欄404、宛先欄405及び明細欄406を有している。図6(a)、(b)に示す伝票用紙401は納品書であり、明細欄406には、「下記の通り納品しました」という解説文と共に、通し番号406a、品名欄406b、数量欄406c、単価欄406d、金額欄406e、摘要欄406f及び合計欄406gがそれぞれ用意されている。
【0025】
図5に基づく説明に戻る。伝票フォーマット情報356は、実際に使用する図6(a)、(b)に例示するような伝票用紙401のフォーマット情報である。したがって、一例として、図6(a)に例示する伝票用紙401に対応する伝票用プログラム303が起動している場合、この伝票用プログラム303と共にRAM204にコピーされている伝票フォーマット情報356は、実際に使用する図6(a)に示す伝票用紙401のフォーマット情報であり、表示装置104には当該伝票用紙401と同一の伝票フォーマットが表示される。同様に、図6(b)に例示する伝票用紙401に対応する伝票用プログラム303が起動している場合、この伝票用プログラム303と共にRAM204にコピーされている伝票フォーマット情報356は、実際に使用する図6(b)に示す伝票用紙401のフォーマット情報であり、表示装置104には当該伝票用紙401と同一の伝票フォーマットが表示される。そこで、ユーザは、表示装置104に表示されている伝票フォーマットに従い、各入力欄、つまり、タイトル欄402、年月日欄403、伝票番号欄404、宛先欄405及び明細欄406に所望事項を入力することができる。この際の入力は、キーボード103及びポインティングデバイス113からなる入力装置114によって実行可能である。伝票用プログラム303は、一例として、入力装置114による入力に応じて各入力欄に図示しないカーソルを移動させ、入力装置114による所望情報の入力を可能とする。この際、図5に示すデータ入力部353は、入力装置114によって入力された情報を表示装置104に表示されている伝票フォーマット上に表示するという機能を果たす。
【0026】
図5に示すデータ記憶部354は、データ入力部353によって入力された情報をRAM204のワークエリアに一時記憶させる。そして、伝票印字部355は、プリンタ118を駆動制御し、伝票挿入口107から挿入された伝票用紙401を案内経路115内に案内搬送し、搬送される伝票用紙401に入力装置によって入力されてRAM204のワークエリアに一時記憶された情報を印字させる。
【0027】
以上説明したのが、伝票印字の基本処理である。本実施の形態の事務機101は、そのような基本処理の実行に際して、伝票用紙401の正否判定処理と位置補正処理とを実行する。以下、これらの二つの処理について説明する。
【0028】
まず、伝票用紙401の正否判定処理について説明する。この処理は、ある伝票用紙401に対応する伝票用プログラム303が起動している場合、この伝票用プログラム303が対応している伝票用紙401ではない伝票用紙401が伝票挿入口107から挿入されたことを判定し、その結果を出力する処理である。図5に示すように、事務機101は、伝票用プログラム303に従いマイクロコンピュータ201が実行する機能ブロックとして、画像取込部357、識別パターン設定部358、伝票正否判定部359及び結果出力部360を有している。
【0029】
識別パターン設定部358は、伝票フォーマット情報356に対して識別パターンを設定する。この場合の識別パターンとしては、伝票フォーマット情報356が有している伝票フォーマット上の複数個の黒点の位置情報を用いることができる。一例として、伝票フォーマットの横軸(Y軸)方向上での最初の黒点と別の位置に配される黒点との距離を識別パターンとして用いることができる。図6(a)中、タイトル欄402における「納品書」の「納」の文字の糸偏を構成する黒点の最上位位置が伝票フォーマットの横軸(Y軸)方向上での最初の黒点であり、年月日欄403における「年」の文字を構成する黒点の最上位位置が別の位置に配される黒点である。同様に、図6(b)中、タイトル欄402における「納品書」の「納」の文字の糸偏を構成する黒点の最上位位置が伝票フォーマットの横軸(Y軸)方向上での最初の黒点であり、伝票番号欄404における「No」の「N」の文字を構成する黒点の最上位位置が別の位置に配される黒点である。識別パターン設定部358は、一例として、識別パターンの設定モードをユーザに提供する。そして、一例として、識別パターンの設定モードでは、ポインティングデバイス113によって図示しないポインタを表示装置104の表示領域中の所望位置に合わせることを可能とし、その位置でポインティングデバイス113によるダブルクリック等の手法を持って識別パターンを構成する二点を特定させる。こうして設定された識別パターンは、XY座標によって特定される識別パターン設定情報361として伝票フォーマット情報356に取り込まれる。
【0030】
画像取込部357は、カメラ124の撮像画像を取り込む。そして、伝票正否判定部359は、表示装置104に表示させている伝票フォーマットの元になる伝票フォーマット情報356が識別パターン設定情報361として有している識別パターンを、画像取込部357によって取り込んだカメラ124による撮像画像が有しているかどうかを判定する。例えば、現在起動中の伝票用プログラム303が図6(a)に示す伝票用紙401の使用を前提とするものである場合、図6(b)に示す伝票用紙401が伝票挿入口107に挿入されて案内経路115内を搬送されると、パターンマッチングが取れない。このため、伝票正否判定部359は、正しい伝票用紙401ではないとの判定結果を得、その判定結果を結果出力部360に送信する。すると、結果出力部360は、カメラ124による撮像画像が識別パターンを有していないという判定結果を情報表示部352に出力する。つまり、出力部360は、伝票用紙401が正しくセットされなかったことをユーザに報知するための報知情報を表示情報として情報表示部352に送信する。これにより、一例として、表示装置104には伝票用紙401が正しくセットされなかったことをユーザに報知するためのダイアログが表示され、注意が喚起される。
【0031】
次いで、位置補正処理について説明する。この処理は、ある伝票用紙401に対応する伝票用プログラム303が起動している場合、この伝票用プログラム303が有している伝票フォーマット情報356が定義している伝票フォーマットの位置に対して、伝票挿入口107から挿入された伝票用紙401の位置がずれていることを判定し、伝票印字部355による伝票用紙401への印字打ち出し位置を補正する処理である。図5に示すように、事務機101は、伝票用プログラム303に従いマイクロコンピュータ201が実行する機能ブロックとして、基点設定部362、基点判定部363、位置補正部364及びデータ記憶部354を有している。
【0032】
基点設定部362は、伝票フォーマット情報356に対して基点を設定する。この場合の基点としては、伝票フォーマット情報356が有している伝票フォーマット上の黒点の位置情報を用いることができる。一例として、伝票フォーマットの横軸(Y軸)方向上での最初の黒点を基点として用いることができる。図6(a)中、タイトル欄402における「納品書」の「納」の文字の糸偏を構成する黒点の最上位位置が伝票フォーマットの横軸(Y軸)方向上での最初の黒点である。同様に、図6(b)中、タイトル欄402における「納品書」の「納」の文字の糸偏を構成する黒点の最上位位置が伝票フォーマットの横軸(Y軸)方向上での最初の黒点である。基点設定部362は、一例として、基点の設定モードをユーザに提供する。そして、一例として、起点の設定モードでは、ポインティングデバイス113によって図示しないポインタを表示装置104の表示領域中の所望位置に合わせることを可能とし、その位置でポインティングデバイス113によるダブルクリック等の手法を持って基点を特定させる。こうして設定された基点は、XY座標によって特定される基点設定情報365として伝票フォーマット情報356に取り込まれる。
【0033】
前述したように、画像取込部357は、カメラ124の撮像画像を取り込む。そこで、基点判定部363は、表示装置104に表示させている伝票フォーマットの元になる伝票フォーマット情報356が基点設定情報365として有している基点の位置と、カメラ124による撮像画像に含まれている基点の位置とを比較し、そのずれ量を判定する。例えば、現在起動中の伝票用プログラム303が図6(a)又は図6(b)に示す伝票用紙401の使用を前提とするものである場合、基点の位置は、それぞれ、図6(a)、(b)に示されているように、タイトル欄402における「納品書」の「納」の文字の糸偏を構成する黒点の最上位位置のXY座標の位置となる。そこで、伝票挿入口107に挿入されて案内経路115内を搬送される伝票用紙401がX方向又はY方向に位置ずれを生じた場合、その伝票用紙401のカメラ124による撮像画像では、「納」の文字の糸偏を構成する黒点の最上位位置のXY座標は、基点設定情報365として定義されている基点の位置からずれる。この際、基点判定部363は、当該ずれ量を、一例として、X方向のずれ量Δx、Y方向のずれ量Δyとして求め、位置補正部364に送信する。
【0034】
位置補正部364は、基点判定部363から受信したX方向のずれ量Δx、Y方向のずれ量Δyというずれ情報を、データ記憶部354に送信する。前述したように、データ記憶部354は、データ入力部353によって入力された情報をRAM204のワークエリアに一時記憶させる。そこで、データ記憶部354は、ずれ情報を受信すると、データ入力部353によって入力された情報が含んでいる印字位置情報を、受信したずれ情報に応じて補正する。この場合の補正は、ずれが収束するようにする補正である。その結果、マイクロコンピュータ201は、プリンタを駆動制御し、伝票用紙401に入力装置114によって入力された情報を判定されたずれ量だけずらして印字させることになる。
【0035】
以上説明したように、表示装置104に表示させている伝票フォーマットの元になる伝票フォーマット情報356が識別パターン設定情報361として有している識別パターンを、カメラ124による撮像画像が有しているかどうかを判定して判定結果を出力するようにしたので、給紙された伝票用紙401の伝票フォーマットと編集された伝票の伝票フォーマットとの不一致に基づく無駄な伝票の印字発行動作及び伝票用紙401の無駄な消費を防止することができる。
【0036】
また、表示装置104に表示させている伝票フォーマットの元になる伝票フォーマット情報356が有している基点の位置と、カメラ124による撮像画像に含まれている基点の位置とを比較してそのずれ量を判定し、伝票用紙401に入力装置114によって入力された情報を判定されたずれ量だけずらして印字させるようにしたので、伝票用紙401に印刷された伝票フォーマットに対して入力装置114によって入力された情報を位置ずれなく印字することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の一形態を示す全体の斜視図である。
【図2】案内経路及びプリンタの部分を切り欠いて内部構造を示す側面図である。
【図3】ハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】伝票用プログラムの扱いを示す模式図である。
【図5】伝票用プログラムに従いマイクロコンピュータが実行する処理を示す機能ブロック図である。
【図6】(a)は伝票用紙の一例を示す模式図、(b)は別の伝票用紙の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0038】
104 表示装置、114 入力装置、115 案内経路、117 プリントヘッド、118 プリンタ、124 カメラ、204 RAM(記憶部)、356 伝票フォーマット情報、401 伝票用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を表示する表示装置と、
記憶部に記憶されている伝票フォーマット情報に基づく伝票フォーマットを前記表示装置に表示させる手段と、
情報を入力する入力装置と、
前記入力装置によって入力された情報を前記表示装置に表示されている前記伝票フォーマット上に表示する手段と、
伝票用紙の挿入を受け付け、挿入された伝票用紙を案内する案内経路と、
前記案内経路に挿入された伝票用紙を搬送してプリントヘッドで印字を行なうプリンタと、
前記案内経路に挿入された伝票用紙を撮像するカメラと、
前記表示装置に表示させている前記伝票フォーマットの元になる前記伝票フォーマット情報が有している基点の位置と、前記カメラによる撮像画像に含まれている基点の位置とを比較し、そのずれ量を判定する手段と、
前記プリンタを駆動制御し、伝票用紙に前記入力装置によって入力された情報を前記判定されたずれ量だけずらして印字させる手段と、
を備える事務機。
【請求項2】
前記プリンタは、前記用紙の搬送方向と直交する方向に前記プリントヘッドを移動させて印字を行なうシリアル型であり、
前記カメラは、移動自在の前記プリントヘッドの側に取り付けられている、
請求項1記載の事務機。
【請求項3】
前記基点を設定する手段を備える、請求項1又は2記載の事務機。
【請求項4】
情報を表示する表示装置と、
情報を入力する入力装置と、
伝票用紙の挿入を受け付け、挿入された伝票用紙を案内する案内経路と、
前記案内経路に挿入された伝票用紙を搬送してプリントヘッドで印字を行なうプリンタと、
前記案内経路に挿入された伝票用紙を撮像するカメラと、
を備える事務機が有するコンピュータにインストールされ、当該コンピュータに、
記憶部に記憶されている伝票フォーマット情報に基づく伝票フォーマットを前記表示装置に表示させる手段と、
前記入力装置によって入力された情報を前記表示装置に表示されている前記伝票フォーマット上に表示する手段と、
前記表示装置に表示させている前記伝票フォーマットの元になる前記伝票フォーマット情報が有している基点の位置と、前記カメラによる撮像画像に含まれている基点の位置とを比較し、そのずれ量を判定する手段と、
前記プリンタを駆動制御し、伝票用紙に前記入力装置によって入力された情報を前記判定されたずれ量だけずらして印字させる手段と、
を実行させる事務機用コンピュータプログラム。
【請求項5】
情報を表示する表示装置と、
記憶部に記憶されている伝票フォーマット情報に基づく伝票フォーマットを前記表示装置に表示させる手段と、
情報を入力する入力装置と、
前記入力装置によって入力された情報を前記表示装置に表示されている前記伝票フォーマット上に表示する手段と、
伝票用紙の挿入を受け付け、挿入された伝票用紙を案内する案内経路と、
前記案内経路に挿入された伝票用紙を搬送してプリントヘッドで印字を行なうプリンタと、
前記案内経路に挿入された伝票用紙を撮像するカメラと、
を備える事務機が有するコンピュータにインストールされ、当該コンピュータに、
前記表示装置に表示させている前記伝票フォーマットの元になる前記伝票フォーマット情報が有している基点の位置と、前記カメラによる撮像画像に含まれている基点の位置とを比較し、そのずれ量を判定する手段と、
前記プリンタを駆動制御し、伝票用紙に前記入力装置によって入力された情報を前記判定されたずれ量だけずらして印字させる手段と、
を実行させる事務機用コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−118492(P2007−118492A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−316331(P2005−316331)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】