説明

二剤式染毛用又は脱色用毛髪化粧品

【課題】二剤式染毛用又は脱色用毛髪化粧品の第1剤と第2剤の混合液を、スクイズ容器を用いて泡状に吐出させるにあたり、泡質と吐出性を向上させる。
【解決手段】二剤式染毛用又は脱色用毛髪化粧品1が、アルカリ剤を含有する第1剤A1、過酸化水素を含有する第2剤A2、及び第1剤A1 と第2剤A2 の混合液A3 を泡状に吐出させるスクイズ容器6を備える。第1剤A1又は第2剤A2 は起泡剤を含有し、これらの混合液A3 の粘度(25℃)は1〜100mPa・sである。スクイズ容器6のスクイズフォーマー5は、混合液を発泡させる気液混合室12、気液混合室12で発泡した混合液の泡を均質化する泡均質化手段14、及び均質化した泡を吐出させる吐出口17を有し、第1剤と第2剤の合計容積と容器本体の内容積との比が0.30〜0.60である。容器本体の胴部横断面は、短径と長径の比を0.50〜1.0とし、面積を12〜30cm2とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二剤式染毛用又は脱色用組成物を構成する第1剤と第2剤、及びこれらの混合液を充填するスクイズ容器を備えた二剤式染毛用又は脱色用毛髪化粧品に関する。
【背景技術】
【0002】
液体の内容物を収容し、その内容物を吐出させる吐出容器の一つにスクイズ容器がある。スクイズ容器は、容器本体に取り付けるキャップの種類により、ノズルキャップ付スクイズ容器、スクイズフォーマー付スクイズ容器等に分類する事ができる。
【0003】
これらスクイズ容器を用いた製品を完成させるには、内容物の物性や使用目的等により、多種多様な材質、形状等を選択し、1回あたりの吐出量、内容物を液状又は泡状のいずれで吐出させるかという吐出形態、吐出頻度等を踏まえて設計する必要がある。こういった選択・設計は、容器の当業者と内容物の当業者との共同作業をもってしても、膨大な作業が必要となり、新製品開発にはしばしば非常な困難がつきまとう。
【0004】
例えば、洗顔化粧料は、1回あたり1g前後の吐出量を1日に数回程度の頻度で使用するものである。そして洗顔化粧料を収容する容器は、数ヶ月〜数年間にわたり内容物が入った状態で放置され、吐出形態については液体のまま、あるいはきめ細かな泡状、といった条件が課せられ、これらの条件に最適な材質等を選択し、設計する必要がある。
【0005】
一方、二剤式染毛用又は脱色用組成物は、アルカリ剤を含有する第1剤と、過酸化水素を含有する第2剤とからなり、使用直前に第1剤と第2剤とを充分に混合して用い、混合後にはすぐに全てを使いきってしまう必要がある。また、第1剤と第2剤の混合液は毛髪に適用し、30分前後放置する必要があり、その間タレ落ちない事が求められる。そのため、混合液を液状のまま毛髪に適用するには、少なくとも粘度が数千mPa・sのジェル状あるいはクリーム状の剤型とすることが求められ、そのような剤型の二剤式染毛用又は脱色用組成物を収容する容器としては、髪への適用のしやすさ、組成物による容器の腐食の問題等を考慮して、一般にノズルキャップ付スクイズ容器が使用されている。
【0006】
しかしながら、ジェル状あるいはクリーム状の剤型の二剤式染毛用又は脱色用組成物を用いてムラなく染色又は脱色するには、それらの混合液の粘度が前述の通り高いため、熟練を要する上に、予め毛髪をブロッキング(毛髪を、前頭部、側頭部、後頭部などの部位ごとに束ねておくこと)する必要があり、非常に手間と時間を要する。
【0007】
近年、この問題を解決するため、第1剤と第2剤との少なくとも一方に起泡剤を含有させた二剤式染毛用又は脱色用組成物が提案されている(特許文献1、特許文献2)。これら第1剤と第2剤との混合液をフォーマー容器により泡状に吐出させて毛髪に適用すると、手間なく簡単に染色又は脱色する事ができる。
【0008】
【特許文献1】特開2004-339216号公報
【特許文献2】特開2006-124279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1、特許文献2には、二剤式染毛用又は脱色用組成物の第1剤と第2剤の混合液を泡状に吐出させるフォーマー容器として、公知のポンプフォーマー容器、スクイズ容器等が記載されている。
【0010】
しかしながら、第1剤と第2剤の混合液の吐出操作を円滑に繰り返せるようにし、また泡状の混合液を髪に適用して30分前後放置しても液ダレせず、しかもムラなく染色又は脱色する事ができるようにするためには、フォーマー容器に更なる検討が必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、二剤式染毛用又は脱色用組成物の第1剤と第2剤の混合液をスクイズ容器で泡状に吐出させる場合に、スクイズ容器に充填した混合液の液量と容器本体の内容積との比、容器本体の横断面形状や横断面面積といった要因が泡質に大きく影響することを見出し、これらを特定の範囲とすることで泡質を制御でき、引いては液ダレせずしかもムラ無く染色又は脱色する事ができることを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
即ち、第1の本発明は、アルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素を含有する第2剤とからなる二剤式染毛用又は脱色用組成物、及び第1剤と第2剤の混合液を泡状に吐出させるスクイズ容器を備え、
第1剤又は第2剤の少なくとも一方が起泡剤を含有し、
第1剤と第2剤の混合液の粘度(25℃)が1〜100mPa・sであり、
スクイズ容器が、容器本体及びスクイズフォーマーを有し、
スクイズフォーマーが、容器本体内の空気と混合液との混合により混合液を発泡させる気液混合室、気液混合室で発泡した混合液の泡を均質化する泡均質化手段、及び均質化した泡を吐出させる吐出口を有し、
第1剤と第2剤の合計容積と容器本体の内容積との比(合計容積/内容積)が0.30〜0.60である二剤式染毛用又は脱色用毛髪化粧品を提供する。
【0013】
第2の本発明は、アルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素を含有する第2剤とからなる二剤式染毛用又は脱色用組成物、及び第1剤と第2剤の混合液を泡状に吐出させるスクイズ容器を備え、
第1剤又は第2剤の少なくとも一方が起泡剤を含有し、
第1剤と第2剤の混合液の粘度(25℃)が1〜100mPa・sであり、
スクイズ容器が、容器本体及びスクイズフォーマーを有し、
スクイズフォーマーが、容器本体内の空気と混合液との混合により混合液を発泡させる気液混合室、気液混合室で発泡した混合液の泡を均質化する泡均質化手段、及び均質化した泡を吐出させる吐出口を有し、
第1剤と第2剤の合計容積と容器本体の内容積との比(合計容積/内容積)が0.30〜0.70であり、
容器本体の胴部外形が、容器本体の高さ方向の中央部において短径と長径の比が0.50〜1.0の横断面を有する二剤式染毛用又は脱色用毛髪化粧品を提供する。
【0014】
第3の本発明は、アルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素を含有する第2剤とからなる二剤式染毛用又は脱色用組成物、及び第1剤と第2剤の混合液を泡状に吐出させるスクイズ容器を備え、
第1剤又は第2剤の少なくとも一方が起泡剤を含有し、
第1剤と第2剤の混合液の粘度(25℃)が1〜100mPa・sであり、
スクイズ容器が、容器本体及びスクイズフォーマーを有し、
スクイズフォーマーが、容器本体内の空気と混合液との混合により混合液を発泡させる気液混合室、気液混合室で発泡した混合液の泡を均質化する泡均質化手段、及び均質化した泡を吐出させる吐出口を有し、
第1剤と第2剤の合計容積と容器本体の内容積との比(合計容積/内容積)が0.30〜0.70であり、
容器本体の胴部外形が、容器本体の高さ方向の中央部において面積12〜30cm2 の横断面を有する二剤式染毛用又は脱色用毛髪化粧品を提供する。
【発明の効果】
【0015】
第1の本発明によれば、第1剤と第2剤の混合液が起泡剤を含有すると共に特定の粘度を有し、特定のスクイズフォーマーを備えたスクイズ容器を使用し、さらに第1剤と第2剤の合計容積と容器本体の内容積との比(合計容積/内容積)を0.30〜0.60としているので、スクイズを繰り返した際の混合液の泡質を、スクイズの開始当初から最後まで極めてきめ細かくすることができ、液ダレせずしかもムラ無く染色又は脱色する事ができるといった染毛性能に優れたものとすることができる。また、スクイズの開始当初から最後まで1回のスクイズで片手の上に取るのに適切な略3g以上の泡を吐出させ、毛髪に必要な全吐出量に対応するスクイズの繰り返し数を低減させることができる。よって、毛髪全体に混合液の泡を適用する場合でも手の疲れが引き起こされないようにすることが可能となる。
【0016】
第2の本発明によれば、第1の本発明と同様の混合液とスクイズフォーマーを使用し、さらに容器本体の胴部外形に、容器本体の高さ方向の中央部において短径と長径の比が0.50〜1.0の横断面をもたせているので、スクイズ容器から吐出される混合液の泡質をきめ細かくすることができ、液ダレせずしかもムラ無く染色又は脱色する事ができるといった染毛性能に優れたものとすることができる。また、1回のスクイズで片手の上に取るのに適切な略3g以上の泡を吐出させると共に、スクイズした容器の復元性を向上させることができる。よって、安定した泡質で連続的にスクイズを繰り返すことが容易となる。
【0017】
第3の本発明によれば、第1の本発明と同様の混合液とスクイズフォーマーを備え、さらに、容器本体の胴部外形に、容器本体の高さ方向の中央部において面積12〜30cm2 の横断面をもたせているので、スクイズ容器から吐出される混合液の泡質をきめ細かくすることができ、液ダレせずしかもムラ無く染色又は脱色する事ができるといった染毛性能に優れたものとすることができる。また、容器本体が把持しやすくなり、1回のスクイズの吐出量を多くすることが容易となり、1回のスクイズで片手の上に取るのに適切な略3g以上の泡を吐出させることが容易となる。よって、毛髪全体に混合液の泡を適用する場合でも、手の疲れが引き起こされないようにすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
【0019】
図1Aは、第1の本発明の二剤式染毛用又は脱色用毛髪化粧品の一態様の模式図であって、第1剤と第2剤の混合前の状態を表し、図1Bは第1剤と第2剤の混合後の状態を表している。
【0020】
図1Aに示すように、この二剤式染毛用又は脱色用毛髪化粧品1は、第1容器2に充填された第1剤A1 と、第2容器3に充填された第2剤A2 と、スクイズフォーマー5からなっている。第2容器3の容器本体4はスクイズ容器の容器本体ともなっており、容器本体4とスクイズフォーマー5から図1Bに示すようにスクイズ容器6が構成される。ここでスクイズ容器は、同一容器本体内の空気と混合液との混合により混合液を発泡させる方式であることが好ましく、このような方式のスクイズ容器としては、図1Bに示すスクイズ容器6のように正立で内容物を吐出させるタイプ(例えば大和製罐製 S1スクイズフォーマー)の他、図7に示すスクイズ容器6Bのように、液の吐出経路に逆止弁(図示せず)を設けることにより、正立時は空気導入路である部分が倒立時は液導入路となり、一方で正立時は液導入路であるディップチューブが倒立時は空気導入路となることで正立・倒立いずれでも内容物を吐出させることができるタイプ(例えば東洋製罐製スクイズフォーマー RF−270)などを使用することができる。泡の吐出性能の点からは、図1Bに示すような正立で内容物を吐出させるタイプが好ましい。
【0021】
なお、本発明において、二剤式染毛用又は脱色用組成物とは、第1剤と第2剤からなり、それらを使用時に混合して用いる染毛用あるいは脱色用の組成物を含む概念である。染毛用の場合、第1剤A1 はアルカリ剤と染料を含有し、第2剤A2 は過酸化水素を含有する。脱色用の場合、第1剤A1 は染料を含有することなくアルカリ剤を含有し、第2剤A2 は、過酸化水素を含有する。また、染毛用の場合も脱色用の場合も、過硫酸塩を含有する第3剤をも用いる形態も含まれる概念であり、その場合には、第1剤、第2剤及び第3剤が混合して用いられる。
【0022】
第1の本発明の染毛用又は脱色用毛髪化粧品1は、かかる二剤式染毛用又は脱色用組成物の第1剤A1 又は第2剤A2 の少なくとも一方に起泡剤を含有させると共にその混合液A3 を所定の粘度に調整し、かつスクイズ容器6として特定のものを使用し、混合液A3の初期充填量と容器本体4の内容積とを特定の比率とすることにより、スクイズ容器から泡状に吐出される混合液A3 の泡質と吐出性とをスクイズの開始当初から最後まで改善したものである。
【0023】
ここで、第1剤A1 が含有するアルカリ剤としては、アンモニア、モノエタノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を使用することができる。また、適宜、緩衝剤として、炭酸水素アンモニウム、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩や、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩などを添加することができる。
【0024】
アルカリ剤の濃度は、第1剤A1 と第2剤A2 の混合液A3 におけるpHが8〜12、好ましくは9〜11となるように適宜定められる。
【0025】
一方、第2剤A2 が含有する過酸化水素の濃度は、好ましくは1〜9質量%、より好ましくは3〜6質量%であり、第1剤A1 と第2剤A2 の混合液中の過酸化水素濃度を、好ましくは1〜6質量%、より好ましくは2〜5質量%とする。また、第2剤A2 のpHは、過酸化水素の分解抑制のため、好ましくはpH2〜6、より好ましくはpH2.5〜4とする。
【0026】
第1剤A1 と第2剤A2 は、いずれも水を主たる媒体とすることが好ましい。
【0027】
また、第1剤A1 と第2剤A2 の少なくとも一方は起泡剤を含有する。これにより、第1剤A1 と第2剤A2 の混合液A3 をスクイズ容器6から吐出させることにより、容易に混合液A3 を発泡させ、かつその泡を持続させることができる。起泡剤としては、起泡性を持つものであれば何でも良いが、界面活性剤が好ましい。界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、半極性界面活性剤等が挙げられる。この中でもアニオン界面活性剤を使用することが好ましく、さらに両性界面活性剤も併用することがより好ましい。アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等を使用することができる。両性界面活性剤としては、脂肪酸アミドプロピルベタイン、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、スルホベタイン等を使用することができる。
【0028】
また、一般に、第1剤A1がアンモニアや炭酸塩を含み、高いイオン強度を有している場合が多い点に鑑み、第1剤A1 には、染料の可溶化のために、あるいは感触向上のために、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルポリグルコシド、アルキルアルカノールアミド等の非イオン界面活性剤を含有させることが好ましく、中でも、アルキルポリグルコシド又はポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。より具体的には、好ましいアルキルポリグルコシドとしては、アルキル基の炭素数が8〜14であって、グルコシドの縮合度が平均で1〜2のものが挙げられる。また、好ましいポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、アルキル基の炭素数が10〜18であって、ポリオキシエチレンの平均重合度が5〜40のものが挙げられる。
【0029】
また、第2剤A2 にも、感触向上のためポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルポリグルコシド、アルキルアルカノールアミド等の非イオン界面活性剤や、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム等のカチオン界面活性剤を使用することができる。
【0030】
二剤式組成物が染毛用のものである場合に、第1剤A1 が含有する染料としては、酸化染料又は直接染料を挙げることができる。この酸化染料としては、パラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、トルエン−2,5−ジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)パラフェニレンジアミン、2−(2−ヒドロキシエチル)パラフェニレンジアミン、4−アミノ−3−メチルフェノール、6−アミノ−3−メチルフェノール、オルトアミノフェノール、1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール等の染料前駆体、レゾルシン、2−メチルレゾルシン、メタアミノフェノール、パラアミノオルトクレゾール、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、メタフェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、1−ナフトール等のカップラーが挙げられる。直接染料としては、パラニトロオルトフェニレンジアミン、パラニトロメタフェニレンジアミン、ベーシックイエロー87、ベーシックオレンジ31、ベーシックレッド12、ベーシックレッド51、ベーシックブルー99、アシッドオレンジ7等を挙げることができる。
【0031】
また、第1剤A1 と第2剤A2の少なくとも一方には、スクイズ容器6から吐出した混合液の泡の泡持ちをよくし、泡を毛髪に適用した後にその泡がつぶれて液だれが生じることを抑制するため、高級アルコールを含有させることが好ましい。高級アルコールとしては、炭素数14〜24のものが好ましく、例えば、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。これらは、二種以上を併用することができる。第1剤と第2剤との混合後の染毛用組成物全体に対して、0.01〜3質量%、好ましくは0.1〜2質量%、更に好ましくは0.2〜1質量%、最も好ましくは0.3〜0.8質量%含有する。
【0032】
この他、第1剤A1 と第2剤A2 は必要に応じて種々の添加剤を含有することができる。例えば、第1剤A1 と第2剤A2 の混合液A3 を毛髪に適用後、水分が蒸発し、過酸化水素等の刺激性成分が濃縮されて頭皮が刺激を受けることをなくすため、ポリオール類、その低級アルキルエーテル類等の不揮発性親水性溶剤を添加することが好ましい。また、コンディショニング効果を毛髪に付与するため、両性若しくはカチオン性ポリマー、又はシリコーン類等を含有させることも好ましい。香料、紫外線吸収剤、エデト酸等の金属封鎖剤、殺菌剤、パラオキシ安息香酸メチル等の防腐剤、ジブチルヒドロキシトルエン、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、硫酸オキシキノリン等の安定化剤、エタノール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール等の有機溶剤、ヒドロキシエチルセルロース等の水溶性高分子化合物、保湿剤等も適宜含有することができる。
【0033】
また、第1剤A1の粘度(25℃)は、好ましくは1〜50mPa・s、より好ましくは3〜40mPa・s、最も好ましくは5〜30mPa・sである。第2剤A2 の粘度(25℃)は、好ましくは1〜300mPa・s、より好ましくは3〜200mPa・s、最も好ましくは5〜100mPa・sである。第1剤A1と第2剤A2との混合液A3 の粘度(25℃)が1〜100mPa・s、好ましくは3〜50mPa・s、最も好ましくは5〜30mPa・sである。なお、粘度の数値は、株式会社トキメック製B型回転粘度計(モデルTV−10)で、ローターNo.1を用い、ローターを1分間回転させた後の値である。測定対象が100mPa・s以下の場合の回転速度は60rpm、100〜200mPa・sの場合は30rpm、200〜500mPa・sの場合は12rpmで測定する。粘度は、第1剤、第2剤、混合液のいずれも、25℃の恒温槽において測定するものとする。なお、混合液の場合、混合後ただちに測定するものとし、反応熱による温度変化は無視するものとする。混合液の粘度を上述の範囲とすることにより容器本体内での混合時に混合液を泡立てずに均質に混合することを可能とし、さらに、スクイズフォーマーから吐出後には毛髪へ適用し易く、毛髪との泡馴染みがよく、毛髪に適用した後の液だれが生じにくい均質な泡を得ることができる。
【0034】
第1剤A1 と第2剤A2 の混合液A3 の粘度を上述の範囲に調整する方法としては、第1剤A1 又は第2剤A2 にエタノール等の水溶性溶剤を添加したり、あるいは前述の界面活性剤、ポリオール類又は高級アルコールの種類や添加量を適宜調整すればよい。
【0035】
一方、二剤式染毛用又は脱色用組成物を起泡させるスクイズ容器6は、特開平7-215352号公報等に記載の公知のスクイズ容器と同様の基本構成を備えており、図2に示すように、可撓性の容器本体4とスクイズフォーマー5からなっている。スクイズフォーマー5は、容器本体4の開口部に被着するキャップ部7と、キャップ部7に冠着するヘッド部8からなる。
【0036】
キャップ部7には混合器10が冠着し、垂下している。混合器10の内部には気液混合室11と、容器本体4内の内部空間と気液混合室11とを連通させる空気導入路12が設けられている。また、混合器10にはディップチューブ13が容器本体4内に伸びて嵌合しており、さらに気液混合室11の天面には泡均質化手段14としてネットが取り付けられ、泡均質化手段14のヘッド部8側が通液路15となっている。
【0037】
ヘッド部8には、キャップ部7の通液路15に連通する通液路16と、通液路16に連通する吐出口17が設けられ、さらに、吐出口17近傍の通液路16内には泡均質化手段18としてネットが設けられている。
【0038】
なお、本発明において、気液混合室側及び吐出口側の泡均質化手段14、18としては、それぞれネットに限らず、スポンジ、焼結体等の多孔性物質を使用してもよい。
【0039】
この二剤式染毛用又は脱色用毛髪化粧品1の使用方法としては、使用時に、まず、第1容器2に充填されていた第1剤A1 の全量を、第2剤A2 が充填されている第2容器3の容器本体4に移して混合液A3 を作る。したがって、第1剤と第2剤の合計容積が、容器本体4における混合液A3 の初期充填量となる。本発明の好ましい使用方法においては、この第1剤A1 と第2剤A2 の混合をできる限り泡立てないように、あるいは泡立たないように行う。ここで泡立てない、あるいは泡立たないとは、意図して泡立てることを排除する意味であり、例えば以下に示す具体例のように混合した際に、意図せず僅かな泡が発生することは含む概念であるものとする。混合時に泡立たないのであれば、混合方法に制限は無いが、例えば試験管を振とうする様な混合方法、あるいは容器本体4を略正立状態から倒立乃至横倒し状態とし再度略正立状態に戻す混合方法が挙げられる。より具体的には、第1剤A1 と第2剤A2 が入っている容器本体4に第2容器3の蓋をし、容器本体4を略正立状態から倒立乃至横倒し状態とし再度略正立状態に戻すサイクルを10秒間に1〜30回、好ましくは1.5〜20回、最も好ましくは2〜10回の速さで行うと良い。略正立状態から倒立乃至横倒し状態とし再度略正立状態に戻す操作は1〜15回、好ましくは2〜10回、最も好ましくは3〜7回行う。このように容器本体4をゆっくりと振とうしても、本発明に用いられる第1剤A1 と第2剤A2は、粘度がジェル状やクリーム状の剤型と比較してはるかに低いから、容易に均一な混合液A3 を得ることができ、しかも泡立つことがない。
【0040】
第1剤A1 と第2剤A2 を混合した後は、図1Bあるいは図7に示すように、この容器本体4にスクイズフォーマー5を取り付ける。なお、第1剤A1 と第2剤A2の混合時に、第1剤A1の全量を、第2剤A2 が充填されている第2容器の容器本体4に移した後、容器本体4に、第2容器3の蓋に代えてスクイズフォーマー5を取り付け、試験管を振とうする様な混合方法で容器本体4をゆっくりと振とうしてもよい。
【0041】
こうして吐出された混合液A3 の泡は手又は櫛で毛髪に適用する。また、必要量までこの吐出を繰り返す。その後、所定時間放置し、洗い流すことにより、毛髪の染毛ないし脱色を行うことができる。
【0042】
ここで、第1の本発明の二剤式染毛用又は脱色用毛髪化粧品1においては、第1剤A1と第2剤A2 との合計容積(即ち、混合液A3 の初期充填量 以下同じ)と容器本体4の内容積との比(合計容積/内容積)が0.30〜0.60となることを特徴としている。したがって、例えば、混合液A3 の液量が100mLとなる場合、容器本体4としては、その内容積が167mL〜333mLであるものを使用する。この混合液A3 の初期充填量と容器本体4の内容積との比は、好ましくは0.40〜0.60、より好ましくは、0.35〜0.55、更には0.40〜0.50、特に0.45〜0.50である。このように混合液A3 の初期充填量と容器本体4の内容積との比を特定の範囲とすることにより、スクイズ開始当初から、吐出口17から吐出される混合液A3 の泡を極めてきめ細かな泡質にし、泡持ちをよくし、泡を毛髪に適用した後の液だれを抑制することが可能となる。より具体的には、混合液A3 の初期充填量と容器本体4の内容積との比を0.30〜0.60とすることにより、図3に示すように、泡を吐出させる際に、容器本体4をその対向する側面が互いに接触するまでスクイズしても、スクイズの開始当初から気液混合室11の空気導入路12が容器本体4内の混合液A3 で塞がれることはなく、泡質の指標となる気液混合比を安定させることができる。従って髪に適用した際、液ダレしにくく、色ムラも生じにくい。
【0043】
なお、気液混合比は、次のようにして25℃で吐出させたものの質量と体積を測定することにより測定される値である。即ち、混合液A3 が80g入ったスクイズ容器6から1000mLのメスシリンダーに20g吐出し、最初の吐出から1分後の泡と液の合計体積を測定し、その測定された泡と液の合計容積(mL)を質量20gで割ることにより気液混合比(mL/g)を求める。ただし、第1剤A1 と第2剤A2 との合計容積と容器本体4の内容積との比の影響を測定するときは、初期充填量にて測定するものとする。
【0044】
第2の本発明の二剤式染毛用又は脱色用毛髪化粧品は、第1の本発明の二剤式染毛用又は脱色用毛髪化粧品において、第1剤A1 と第2剤A2 との合計容積と容器本体4の内容積との比(合計容積/内容積)を0.30〜0.70、好ましくは0.35〜0.60、更には0.40〜0.55、より好ましくは0.45〜0.50とする。一方、図4に示すように、容器本体4の胴部外形が、容器本体4の高さ方向の中央部において、短径La と長径Lb の比a/bが0.50〜1.0である横断面Sを有するとしたものである。ここで、容器本体4の高さ方向の中央部とは、容器本体容器4の高さLh (容器本体4の底面からスクイズフォーマー5のキャップ部7の下縁までの高さ)の中央部をいう。
【0045】
横断面Sの短径La と長径Lb の比a/bは、好ましくは、0.60〜0.90、より好ましくは0.70〜0.80であり、容器本体4の横断面Sは円よりも楕円が好ましい。
【0046】
この短径La と長径Lb の比a/bは、容器本体4をスクイズするのに必要な押し圧と、スクイズによって吐出される液量に影響し、この比a/bを0.50〜1.0とすることにより、容器本体4をその対向する側面が互いに接触するまでスクイズしなくても、より少ない押し圧でスクイズすることにより、十分な泡量を吐出させることができ、スクイズ後の容器本体4の復元性も向上させることができる。
【0047】
より具体的には、1回のスクイズで混合液A3 を容器本体4から片手の上に取るのに適切な3g以上吐出させる場合に、容器本体4のスクイズに必要な押し圧を5kgf以下とすることが可能となる。
【0048】
ここで、押し圧は、次のようにして測定される数値である。即ち、25℃にて、混合液A3の充填量が80gの時点で、容器本体4の高さLh (容器本体4の底面からスクイズフォーマー5のキャップ部7の下縁までの高さ)の中央部を、直径15mmで、先端が高さ5mmの略ドーム形状を有するステンレス製の棒状部材で、容器本体4の対向する両側から短径方向に短径の1/2の距離を15mm/秒でスクイズしたときの最大荷重の測定値である。ただし、第1剤A1 と第2剤A2 との合計容積と容器本体4の内容積との比の影響を測定するときは、初期充填量にて測定するものとする。
【0049】
また、1回のスクイズで吐出させる泡量については、混合液A3 を容易に、片手の上に取るのに適切な2g以上、より好ましくは3g以上とすることができる。したがって、毛髪全体に混合液を適用する場合でも、その混合液の吐出に必要なスクイズ回数を略30回以下程度とすることができ、スクイズする手を疲れさせることがない。しかも吐出させた泡を髪に適用した際、液ダレしにくく、色ムラも生じにくい。
【0050】
第3の本発明の二剤式染毛用又は脱色用毛髪化粧品は、第1の本発明の二剤式染毛用又は脱色用毛髪化粧品において、第1剤A1 と第2剤A2 の合計容積と容器本体4の内容積との比(合計容積/内容積)を0.30〜0.70、好ましくは0.35〜0.60、更には0.40〜0.55、より好ましくは0.45〜0.50とし、一方、容器本体4の胴部外形が、容器本体4の高さ方向の中央部において、面積12〜30cm2 、好ましくは17〜25cm2 、より好ましくは19〜23cm2 を有するとしたものである。
【0051】
この横断面Sの面積は、容器本体4の把持のしやすさと、容器本体4をスクイズするのに必要な押し圧と、スクイズによって吐出される液量に影響するため、この面積を上述の範囲とすることにより、容器本体4をその対向する側面が互いに接触するまでスクイズしなくても、1回のスクイズで吐出させる混合液A3 の液量を容易に2g以上、より好ましくは3g以上とすることができる。
【0052】
したがって、毛髪全体に混合液を適用する場合でも、その混合液の吐出に必要なスクイズ回数を略30回以下程度とすることができ、スクイズする手を疲れさせることがない。しかも吐出させた泡を髪に適用した際、液ダレしにくく、色ムラも生じにくい。
【0053】
以上の第1、第2及び第3の本発明の二剤式染毛用又は脱色用毛髪化粧品の構成は、適宜組み合わせてもよい。
【0054】
また、第1、第2及び第3のいずれの二剤式染毛用又は脱色用毛髪化粧品においても、容器本体4のスクイズに必要な押し圧を低下させると共に、スクイズした容器本体4の復元性を向上させるため、容器本体4をポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のポリオレフィン樹脂から形成することが好ましく、特にポリプロピレン(PP)が好ましい。また、このようなポリオレフィン樹脂から容器本体4を形成する場合に、容器本体4の樹脂量w(g)と容器本体4の内容積V(mL)の2/3乗との比(w/V2/3)である「2/3乗係数」を0.40〜0.60とすることが好ましく、0.45〜0.55とすることがより好ましい。ちなみに容器本体4の内容積が210mLの場合、樹脂量は好ましくは14〜20g、より好ましくは16〜18gとなる。これにより、スクイズに必要な押し圧を低下させると共に、復元性を向上させて連続的にスクイズを繰り返すことが可能となる。
【0055】
また、第1、第2及び第3のいずれの二剤式染毛用又は脱色用毛髪化粧品においても、スクイズ容器6から吐出させた混合液A3 の泡の泡質をさらに改善するため、空気導入路12の最狭部の開口面積とディップチューブ13の流路断面積との比(最狭部の開口面積/流路断面積)を0.05〜0.25とすることが好ましく、より好ましくは0.055〜0.20、特に好ましくは0.060〜0.10とする。なお、スクイズフォーマー5に空気導入路12が複数形成されている場合には、その最狭部の開口面積の合計とディップチューブ13の流路断面積との比を上述の範囲とする。空気導入路12の数は成型のしやすさと、泡質の観点から1〜8個とすることが好ましく、より好ましくは2〜6個、特に好ましくは3〜4個とする。また、ディップチューブ13の流路においてその断面積に広狭がある場合には、上述の比の算出において最狭部の流路断面積を使用する。
【0056】
これらにより、気液混合比が下がって泡中の液の割合が大きくなって液だれしやすくなることを防止でき、また、気液混合比が過度に高くなることにより個々の泡が大きくなってきめの粗い泡、所謂カニ泡となり、混合液A3 の毛髪への適用効率(浴比)が低下し、ひいては液ダレや色ムラといった染毛性能の悪化を防止できる。
【0057】
この他、気液混合室11側の泡均質化手段14を構成するネットの粗さを、好ましくは50〜220メッシュ、より好ましくは90〜195メッシュ、さらに好ましくは130〜170メッシュとし、吐出口17側の泡均質化手段18を構成するネットの粗さを、好ましくは150〜280メッシュ、より好ましくは165〜250メッシュ、さらに好ましくは180〜220メッシュとする。ここで、メッシュとは、1インチ当たりの目の数をいう。
【0058】
さらに、スクイズ容器6の使用者が、混合液A3 を泡として吐出させる時に、図5に示すように、過度に傾け、容器本体4内の混合液A3 がスクイズフォーマー5の空気導入路12を塞ぐと、容器本体4をスクイズしても混合液A3 を泡として吐出させることができないので、使用者がスクイズ時にスクイズ容器6をこのように傾けないようにする容器構成が好ましい。
【0059】
そこで、図6(a)に示すように、先端の吐出口17が下向きの吐出ノズル21をヘッド部8に取り付けるか、そのような吐出ノズル21をヘッド部8に一体に形成することにより、スクイズ容器6を正立させたときの吐出口17の開口面に垂直な軸Lx と鉛直方向Ly とのなす角度θが80〜10°となるようにすることが好ましく、この角度θが65〜20°となるようにすることがより好ましく、更には50〜30°とすることが特に好ましい。同図(b)に示すように、一般に、使用者は、吐出口17の開口面に垂直な軸Lxが鉛直方向を向く以上に傾けることはしないから、このように吐出口17を形成することにより、使用者が容器本体4を傾けて空気導入路12が混合液A3 で覆われることを防止できる。
【実施例】
【0060】
以下の試験例は全て室温(25℃)で行った。
【0061】
試験例1
(1)二剤式染毛用毛髪化粧品の作製
表1、表2に示す配合組成で二剤式染毛剤組成物の第1剤と第2剤を調製した。この第1剤と第2剤のそれぞれの粘度とpH、及び第1剤と第2剤との質量比4:6の混合液の粘度とpHを測定したB型回転粘度計でローターNo.1を用い、30rpmで1分間回転させることで測定し、pHはpH計(堀場製作所製F−52 電極9611−10D)で測定した。この結果を表3に示す。
【0062】
一方、試験例1のスクイズ容器として、図1Bのスクイズ容器6を、可撓性の容器本体4とスクイズフォーマー(大和製罐社、S1スクイズフォーマー)から構成した。この可撓性の容器本体4は、ポリプロピレン(PP)製で、樹脂量17g、内容積210mLであり、この樹脂量と内容積から算出される2/3乗係数α(α=w/V2/3)は0.46であった。容器本体4の高さ方向の中央部に相当する、底部から55mmの高さの横断面形状は楕円(長径61mm、短径44mm、面積21cm2 )であり、短径Laと長径Lbの比La/Lbは0.72であった。
【0063】
また、スクイズフォーマー5内の均質化手段としては、気液混合室11側に150メッシュのネットを有し、吐出口17側に200メッシュのネットを有していた。スクイズフォーマー内の空気導入路12の最狭部の開口面積(3箇所の合計)は0.27mm2であり、この開口面積とディップチューブ13の流路断面積との比は、0.086であった。
【0064】
(2)吐出性評価
上述のスクイズ容器に第1剤40gと第2剤60gを入れ、容器本体を略正立状態から倒立状態とし再度略正立状態に戻す操作を10秒間に3回の割合で、5回振とうすることにより、第1剤と第2剤をそれらの混合液が泡立たないように混合し、スクイズフォーマーを取り付けた。
【0065】
次に、スクイズ容器を正立させ、1回のスクイズあたり2秒でスクイズ容器を後述の押し圧測定と同一方法で30mmスクイズし、泡状の混合液を吐出させ、(a)スクイズ1回の吐出量を次のように評価し、吐出させた泡の泡質を評価するために(b)気液混合比を次のように測定した。
また、スクイズ時の(c)押し圧と(d)復元性を次のように評価した。
これらの結果を表4に示す。
【0066】
(a)スクイズ1回の吐出量
スクイズを初回から3回繰り返すことにより吐出した混合液の質量を測定し、スクイズ1回あたりの吐出量(g)を求め、この数値によって、次のように評価した。
◎:3g以上
○:2g以上3g未満
△:1g以上2g未満
×:1g未満
【0067】
(b)気液混合比
スクイズ容器から1000mLのメスシリンダーに20g吐出させ、最初の吐出から1分後の泡と液との合計体積(mL)を20gで割ることにより気液混合比(mL/g)を求め、この数値によって、次のように評価した。
◎:20mL/g以上30mL/g未満
○:15mL/g以上20mL/g未満、又は30mL/g以上40mL/g未満
△:10mL/g以上15mL/g未満、又は40mL/g以上50mL/g未満
×:10mL/g未満、又は50mL/g以上
【0068】
なお、この評価基準は、手に載せる量や、髪に塗布した際の浴比の観点から定めたものである。ただし、20g吐出直後での液の体積が3mL以上である場合、手に取ったときに垂れ落ちる不都合が生じるため、一律×とする。
【0069】
(c)押し圧
25℃でスクイズして混合液の泡を吐出させ、1回目のスクイズで、容器本体4の高さLhの中央部(容器本体4の底面から55mmの位置)を、直径15mmで、先端が高さ5mmの略ドーム形状を有するステンレス製の棒状部材で、容器本体4の対向する両側から短径方向に短径の1/2の距離を15mm/秒でスクイズし、そのときの最大荷重を測定し、その測定値によって、次のように評価した。
◎:5Kgf未満
○:5Kgf以上5.5Kgf未満
△:5.5Kgf以上6Kgf未満
×:6Kgf以上
【0070】
(d)復元性
(c)の測定を行った後、荷重を解放したときに容器本体が原形を回復するのに要する時間を測定した。
◎:0.5秒未満
○:0.5秒以上1秒未満
△:1秒以上3秒未満
×:3秒以上(長径方向に力を加えるなど、ボトルの戻りを助ける操作が必要)
【0071】
試験例1-2〜1-6
混合液(第1剤と第2剤の質量比4:6)の容器本体における初期充填量を、比を一定のまま表4のように変えた。そして各評価を試験例1も含め、初期状態で上述の吐出性評価を行った。結果を表4に示す。




















【0072】
【表1】



















【0073】
【表2】

(*1):pHを3.5にする量

【0074】
【表3】





























【0075】
【表4】


【0076】
表4から、混合液の初期充填量と容器本体の内容積との比が0.30〜0.70の範囲にある試験例1〜1-5では、泡質を安定させることができること、これに対し、この比が大きい試験例1-6では泡質が緩くなり、押し圧が高くなることがわかる。
【0077】
試験例2〜2-5
スクイズ容器の容器本体として、胴部横断面の短径と長径の長さが表5のように異なるものを使用し、容器本体中の混合液が80gの時点で評価する以外は、試験例1と同様にして吐出性評価を行った。結果を表5に示す。
【0078】
表5から、短径と長径の比が0.50〜1.0の範囲にある試験例2〜2-4では、この比がこれよりも小さい試験例2-5に比して復元性に優れていることがわかる。
【0079】
【表5】

【0080】
試験例3〜3-6
スクイズ容器の容器本体として、胴部横断面の面積が表6のように異なるものを使用し、容器本体中の混合液が80gの時点で評価する以外は、試験例1と同様にして吐出性評価を行った。結果を表6に示す。
【0081】
表6から、容器本体の胴部横断面の面積が12〜30cm2の範囲にある試験例3〜3-4では、横断面の面積がこの範囲よりも小さい試験例3-5や、この範囲よりも大きい3-6のいずれに対してもスクイズ1回の吐出量を多くできることがわかる。
【0082】
【表6】

【0083】
試験例4〜4-6
スクイズ容器の容器本体として、空気導入路の最狭部の開口面積とディップチューブの流路断面積との比が表7のように異なるものを使用し、容器本体中の混合液が80gの時点で評価する以外は、試験例1と同様にして吐出性評価を行った。結果を表7に示す。
【0084】
表7から、この比が0.05〜0.25の範囲にある試験例4〜4-4では、良好な泡質が得られることがわかる。
【0085】
反対に、この比が試験例4-5のように小さいと、吐出量は増えるが緩い泡となり、この比が試験例4-6のように大きいと、気液混合比を測定する際の液の体積が3mL以上となり、吐出量が少なくなることがわかる。
【0086】
【表7】


【0087】
試験例5〜5-6
容器本体の樹脂量と内容積から算出される2/3乗係数α(α=w/V2/3)が表8のように異なるものを使用し、容器本体中の混合液が80gの時点で評価する以外は、試験例1と同様にして吐出性評価を行った。結果を表8に示す。
【0088】
表8から、2/3乗係数が0.40〜0.60の範囲にある試験例5〜5-4では、小さい押し圧で復元性よく吐出させられることがわかる。
【0089】
これに対し、試験例5-5のように容器本体の樹脂量が少ないことによりこの比が小さいと、押し圧は小さいが復元しにくく、試験例5-6のように容器本体の樹脂量が多いことによりこの比が大きいと、復元はし易くなるが、大きな押し圧が必要になることがわかる。
【0090】
【表8】


【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明の二剤式染毛用又は脱色用化粧品は、毛髪の染毛あるいは脱色に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1A】第1の本発明の一態様の二剤式染毛用又は脱色用化粧品であって、第1剤と第2剤の混合前の模式図である。
【図1B】第1の本発明の一態様の二剤式染毛用又は脱色用化粧品であって、第1剤と第2剤の混合後の模式図である。
【図2】スクイズ容器の断面図である。
【図3】スクイズ時のスクイズ容器の断面図である。
【図4】スクイズ容器の横断面の説明図である。
【図5】スクイズ容器を傾けた状態の模式図である。
【図6】ノズル付きの二剤式染毛用又は脱色用毛髪化粧品の説明図である。
【図7】第1剤と第2剤の混合後のスクイズ容器の模式図である。
【符号の説明】
【0093】
1 二剤式染毛用又は脱色用毛髪化粧品
2 第1容器
3 第2容器
4 第2容器の容器本体、スクイズ容器の容器本体
5 スクイズフォーマー
6、6B スクイズ容器
7 キャップ部
8 ヘッド部
10 混合器
11 気液混合室
12 空気導入路
13 ディップチューブ
14 泡均質化手段
15 通液路
16 通液路
17 吐出口
18 泡均質化手段
19 間隙
20 逆止弁
21 吐出ノズル
A1 第1剤
A2 第2剤
A3 混合液
La 短径
Lb 長径
Lx 吐出口の開口面に垂直な軸
Ly 鉛直方向
S 容器本体の横断面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素を含有する第2剤とからなる二剤式染毛用又は脱色用組成物、及び前記第1剤と第2剤との混合液を泡状に吐出させるスクイズ容器を備え、
前記第1剤又は第2剤の少なくとも一方が起泡剤を含有し、
第1剤と第2剤との混合液の粘度(25℃)が1〜100mPa・sであり、
スクイズ容器が、容器本体及びスクイズフォーマーを有し、
スクイズフォーマーが、容器本体内の空気と混合液との混合により混合液を発泡させる気液混合室、気液混合室で発泡した混合液の泡を均質化する泡均質化手段、及び均質化した泡を吐出させる吐出口を有し、
第1剤と第2剤との合計容積と容器本体の内容積との比(合計容積/内容積)が0.30〜0.60である二剤式染毛用又は脱色用毛髪化粧品。
【請求項2】
アルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素を含有する第2剤とからなる二剤式染毛用又は脱色用組成物、及び第1剤と第2剤の混合液を泡状に吐出させるスクイズ容器を備え、第1剤又は第2剤の少なくとも一方が起泡剤を含有し、
第1剤と第2剤の混合液の粘度(25℃)が1〜100mPa・sであり、
スクイズ容器が、容器本体及びスクイズフォーマーを有し、
スクイズフォーマーが、容器本体内の空気と混合液との混合により混合液を発泡させる気液混合室、気液混合室で発泡した混合液の泡を均質化する泡均質化手段、及び均質化した泡を吐出させる吐出口を有し、
第1剤と第2剤との合計容積と容器本体の内容積との比(合計容積/内容積)が0.30〜0.70であり、
容器本体の胴部外形が、容器本体の高さ方向の中央部において短径と長径の比が0.50〜1.0の横断面を有する二剤式染毛用又は脱色用毛髪化粧品。
【請求項3】
アルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素を含有する第2剤とからなる二剤式染毛用又は脱色用組成物、及び第1剤と第2剤の混合液を泡状に吐出させるスクイズ容器を備え、第1剤又は第2剤の少なくとも一方が起泡剤を含有し、
第1剤と第2剤の混合液の粘度(25℃)が1〜100mPa・sであり、
スクイズ容器が、容器本体及びスクイズフォーマーを有し、
スクイズフォーマーが、容器本体内の空気と混合液との混合により混合液を発泡させる気液混合室、気液混合室で発泡した混合液の泡を均質化する泡均質化手段、及び均質化した泡を吐出させる吐出口を有し、
第1剤と第2剤との合計容積と容器本体の内容積との比(合計容積/内容積)が0.30〜0.70であり、
容器本体の胴部外形が、容器本体の高さ方向の中央部において面積12〜30cm2 の横断面を有する二剤式染毛用又は脱色用毛髪化粧品。
【請求項4】
容器本体がポリオレフィン系樹脂からなり、容器本体の樹脂量w(g)と容器本体の内容積V(mL)の2/3乗との比(w/V2/3)が0.40〜0.60である請求項1〜3のいずれかに記載の二剤式染毛用又は脱色用毛髪化粧品。
【請求項5】
スクイズフォーマーが、容器本体の内部空間と気液混合室とを連通させる空気導入路と、気液混合室から容器本体底部側に伸びたディップチューブを備え、空気導入路の最狭部の開口面積と、ディップチューブの流路断面積との比(最狭部の開口面積/流路断面積)が、0.05〜0.25である請求項1〜3のいずれかに記載の二剤式染毛用又は脱色用毛髪化粧品。
【請求項6】
スクイズ容器を正立させたときの吐出口の開口面に垂直な軸と鉛直方向とのなす角度が10〜80°となるように吐出口を形成する請求項1〜3のいずれかに記載の二剤式染毛用又は脱色用毛髪化粧品。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−291024(P2008−291024A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−115372(P2008−115372)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】